JP2020178667A - がん治療の効果および予後の予測方法および治療手段の選択方法 - Google Patents

がん治療の効果および予後の予測方法および治療手段の選択方法 Download PDF

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Abstract

【課題】がん免疫療法の奏功性を挙げる上げるための新たな評価手段を提供すること。【解決手段】複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルのがん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値による腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態の評価に基づいて、一のがん患者の治療効果および予後を予測することを特徴とする、がん患者の治療効果および予後の予測方法等が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は腫瘍組織内の遺伝子発現量に基づく腫瘍内免疫状態の分析方法に関する。
がんの治療手段として様々な手法が開発されており、従来の化学療法や放射線治療に加えて、分子標的薬や免疫機構に着目された手法も開発されている。例えば、特定のがん遺伝子の異常に対する分子標的薬がある。すべてのがん患者が投与対象になるのではなく、標的となる遺伝子変異の有無を事前に解析しておくことが推奨されており、このような目的に使用される試薬はコンパニオン診断薬と呼ばれている。このようなコンパニオン診断薬として、例えば、コバス(登録商標)EGFR変異検出キットv2.0(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)が市販されている。また、がん細胞表面に発現している抗原分子を標的とした抗体治療薬がある。トラスツズマブは抗HER2モノクローナル抗体であり、モガリズムマブは抗CCR4抗体である。いずれも、がん細胞表面に標的分子が発現していることを確認するために、それぞれに対して、ダコ HercepTest II(登録商標)とポテリジオテスト(登録商標)がコンパニオン診断薬として利用されている。
近年、がん細胞を排除しようとする生体の免疫機構を回避する働きをがん細胞が巧みに利用していること、さらにがん細胞自身が腫瘍内に免疫を抑制する環境を形成していることが明らかになり、このような免疫回避機構や免疫抑制状態を解除することで、抗腫瘍効果を得るための「免疫チェックポイント阻害薬」が開発された。また、積極的にがん細胞を排除する能力を有する人工的に作成された細胞、例えば、キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T)、TCR遺伝子改変T細胞(TCR−T)が知られている。また、免疫細胞とがんとを架橋する抗体である二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE)や、腫瘍組織内で選択的に増殖・拡散して腫瘍組織を破壊するウイルス(腫瘍溶解性ウイルス)を利用する方法も知られている。このような治療手段においても、治療の奏功性を上げられる事前の評価手段の開発が求められている。
一方、免疫状態の表現にも様々な方法があり、レーダーチャート形式での表示法も開発されている。評価軸の設定にてその意味するところは異なり、がん免疫サイクルの状態を示すためのレーダーチャート(非特許文献1)、血中サイトカインの観点から作成されたレーダーチャート(非特許文献2)の報告などがある。
J.Thorac. Oncol. 2017; 12(5):791−803 Personalized Medicine Universe, (July 2018) Vol. 7, pp. 28−33.
本発明の課題は、がんの免疫療法の奏功性を上げるための新たな評価手段を提供することにある。
本発明者らは、上記事情のもと、免疫治療手段の奏功性に影響を及ぼす要因に腫瘍内免疫状態が関与していると推測し、鋭意研究した。その結果、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の発現量が腫瘍内免疫状態に関連することを見出し、該遺伝子発現量をスコア化して該スコア値に基づき腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価し、該評価によって各種の治療手段によるがん患者の治療効果および予後を予測することができることを見出した。
したがって、本発明は、下記の態様を提供する。
(1)複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値による、腫瘍内免疫状態の評価に基づいて、一のがん患者の治療効果および予後を予測することを特徴とする、がん患者の治療効果および予後の予測方法、
(2)がん免疫サイクルに関連する遺伝子群として遺伝子セット:Innate immunity、Priming&activation、T−cells、IFN−γ response、Inhibitory Cells、Inhibitory molecules、およびRecognitionof tumor cells、腫瘍の増殖に関連する遺伝子群として遺伝子セット:Proliferation、およびGlycolysis、の少なくとも9個の遺伝子セットの遺伝子発現量のスコア値を用いることを特徴とする、上記(1)記載の方法、
(3)スコア値がsingle sample Gene Set Enrichment Analysisによる統計処理に基づき算出されることを特徴とする、上記(1)または(2)記載の方法、
(4)スコア値に基づき腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を2以上のクラスターに分類することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項記載の方法、
(5)腫瘍組織サンプルが胃がんサンプルであり、スコア値に基づき腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態をCOLD、INTERMEDIATE、HOT−ID、およびHOT−MCの4つのクラスターに分類することを特徴とする、上記(4)記載の方法、
(6)前記複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルのスコア値が既存のサンプル由来のスコア値を含んでいてもよい、上記(1)〜(5)のいずれか1項記載の方法、
(7)前記複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの前記遺伝子発現量のスコア値と腫瘍内免疫状態の評価に基づいて、腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価するためのアルゴリズムを作成し、該アルゴリズムに基づいて一のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価し、該腫瘍内免疫状態の評価に基づいて該一のがん患者の治療効果および予後を予測することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1項記載の方法、
(8)前記腫瘍内免疫状態の評価に基づいて該一のがん患者の治療手段を選択することをさらに含む、上記(1)〜(7)のいずれか1項記載の方法、
(9)腫瘍内免疫状態をCOLD、INTERMEDIATE、HOT−ID、HOT−MCの4群に分類することを特徴とする、胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価方法、(10)上記(9)記載の方法による腫瘍内免疫状態の評価に基づいて治療手段を選択することを特徴とする、腫瘍治療手段の選択方法、
(11)腫瘍内免疫状態の評価がCOLDの場合、人工的に抗原認識能を付与させた免疫系細胞または腫瘍選択的溶解能を有するウイルスの投与よる治療手段とすることを特徴とする、上記(10)記載の方法、
(12)腫瘍内免疫状態の評価がINTERMEDIATEの場合、手術による切除または免疫チェックポイント阻害剤とTGF−β阻害剤の併用投与による治療手段とすることを特徴とする、上記(10)記載の方法、
(13)腫瘍内免疫状態の評価がHOT−IDの場合、手術による切除後、比較的予後が良好で、化学療法などの標準治療の効果が期待できることを特徴とする、上記(10)記載の方法、
(14)腫瘍内免疫状態の評価がHOT−MCの場合、早期に免疫チェックポイント阻害剤の投与による治療手段とすることを特徴とする、上記(10)記載の方法、
(15)上記(9)記載の方法による腫瘍内免疫状態の評価に基づいて治療予後を予測することを特徴とする、治療予後の予測方法、
(16)腫瘍内免疫状態の評価がHOT−IDの場合、生存率が高いと予測することを特徴とする、上記(15)記載の方法、
(17)少なくとも、Innate immunity、Priming&activation、T−cells、IFN−γ response、Inhibitory Cells、Inhibitory molecules、Recognitionof tumor cells、Glycolysis、Proliferationの9つの遺伝子セットの発現量に基づき、腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を可視化する方法、
(18)可視化手段がレーダーチャート形式であることを特徴とする、上記(17)記載の方法、
(19)胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をCOLDと判定することを特徴とする、胃がんの腫瘍内免疫状態の評価方法、
(20)胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3未満であり、かつ遺伝子セットIFN−γ responseのイムノグラムスコア値が3.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をCOLDと判定することを特徴とする、上記(19)記載の方法、
(21)さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をINTERMEDIATEと判定することを特徴とする、上記(19)または(20)記載の方法、
(22)さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5以上であり、かつ、遺伝子セットGlycolysisのイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をHOT−IDと判定することを特徴とする、上記(21)記載の方法、
(23)さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5以上であり、かつ遺伝子セットGlycolysisのイムノグラムスコア値が2.5以上の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をHOT−MCと判定することを特徴とする、上記(22)記載の方法、
(24)さらに胃がんサンプルにおける遺伝子セットIFN−γのイムノグラムスコア値が3.5以上である、上記(21)〜(23)のいずれか1項記載の方法、
(25)上記(23)または(24)記載の方法によって得られた胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価結果に基づいて治療効果および予後を予測することを特徴とする、胃がん患者の治療効果および予後の予測方法。
本発明によれば、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値という新たな評価手段により腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価し、該評価によってがん患者に治療手段がもたらすであろう治療効果および予後を予測することができる。さらに、該予測に基づき、一人ひとりの患者に対し、効果が期待できる治療法を選択し、適切な治療法を提案することが可能となる。かくして、免疫療法の奏功性を上げることができる。さらに、本発明によれば、複数の腫瘍組織サンプルを用いて、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値に基づき、該複数の腫瘍組織サンプルを2以上の腫瘍内免疫状態のクラスターに分類することができ、次いで、各クラスターの特徴に基づき、各サンプルが由来する患者の治療効果および予後の予測や該患者に適した治療手段を選択することができる。さらに、本発明によれば、このような複数の腫瘍組織サンプルを用いた腫瘍内免疫状態のクラスター分類およびその分類のためのスコア値を分析して、各クラスター分類のためのアルゴリズムを作成することができる。かくして、個別のがん患者の診断ツールを開発することができる。
レーダーチャート形式で表示した、本発明による胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態を示す図である。 レーダーチャート形式で表示した、本発明による胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態を示す図である。 本願実施例で得られたイムノグラムスコア値に基づく腫瘍内免疫状態の評価結果を示す図である。 1評価軸による胃がんサンプルにおける腫瘍内免疫状態の分類結果を示す。Aは、本願実施例で得られた31サンプルの分類結果から得られたアルゴリズムを示す。Bは、TCGA(The Cancer Genome Atlas)に登録された240例のデータを用いた分類結果から得られたアルゴリズムを示す。
I.本発明の一般的記載
本明細書において、「がん」の種類は限定されず、いずれのがんであってもよい。例えば、限定するものではないが、頭頚部がん、胃がん、食道がん、大腸がん、肝がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、腎がん、脳腫瘍、子宮がん、卵巣がん、メラノーマ、白血病、肉腫等の種々のがんが挙げられる。また、原発性がん、転移性がん、および再発性がんも包含される。
本明細書において、「腫瘍組織サンプル」とは、がん患者から採取された病巣部位を含む組織であり、組織の種類はがんの種類に依存して適宜選択される。
免疫チェックポイント阻害剤の登場で、生体の持つ免疫反応が、がん細胞を認識し排除して腫瘍を長期にわたりコントロールすることが可能であり、免疫には、がんを治す力があることが証明された。がんに対する免疫反応は、非常にダイナミックで、生体の環境下において経時的な変化と解剖学的な影響を受けている。この複雑ながん免疫応答を一連のサイクルとして評価する「がん免疫サイクル(Cancer Immunity Cycle)」という概念が提唱されており、腫瘍特異的T細胞による抗腫瘍免疫応答は次の7つのステップで説明される。(1)腫瘍抗原の放出、(2)抗原提示細胞(antigen presenting cell, APC)による腫瘍抗原の取り込みとリンパ節への遊走、(3)T細胞への抗原提示と抗原特異的T細胞の活性化、(4)活性化T細胞の遊走、(5)腫瘍組織への浸潤、(6)腫瘍細胞の認識、(7)攻撃。T細胞に攻撃され細胞死を起こした腫瘍細胞は新たな腫瘍抗原を放出し、(1)に戻る。この一連のサイクルにおいて、いずれのステップが障害されても効果的ながん免疫応答の誘導が困難となり、がんは免疫監視機構から逃避する。がん細胞は抗腫瘍免疫反応から逃避するメカニズムを獲得し、増殖を続け、やがて腫瘍を形成する。また、腫瘍の増殖や代謝機能も腫瘍の免疫状態に影響を及ぼすことが知られている。かくして、腫瘍内免疫状態は、がん免疫応答因子と、がん細胞自体の因子(増殖等)とのバランスによって決定される。
本発明では、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の発現量が腫瘍内免疫状態に関連することを見出し、これらの遺伝子群の発現量を腫瘍内免疫状態の評価用指標として用いた。なお、腫瘍の増殖には代謝も関わるため、本明細書において、腫瘍増殖に関連する遺伝子群には腫瘍細胞の代謝機能に関連する遺伝子も包含される。また、腫瘍の増殖に関連する遺伝子群は、特に予後に関連すると思われる。
腫瘍内には、がん細胞、免疫細胞、間質細胞など多彩な細胞が存在し、腫瘍内免疫状態とは無関係な遺伝子も発現している可能性もあるため、先ずは免疫反応の特徴に関連する特定の遺伝子セットごとに解析するのが効率的である。
細胞の機能や特徴は、各種遺伝子の発現量に依存すると考えられる。細胞の機能や特徴は、単独の遺伝子の機能に依存するのではなく、複数の遺伝子(すなわち、遺伝子群)の協調により発揮されると考えられている。現在、細胞の各種機能または特徴に関連する複数の遺伝子からなる遺伝子セットが種々報告されている。本発明においては、このような遺伝子セットをがん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍の増殖に関連する遺伝子群として使用することができる。
がん免疫サイクルに関連する遺伝子セットの例としては、限定するものではないが、Innate immunity、Priming & activation、T−cell Priming and Activation、T cells、Antitumor T−cell Immunity、IFNγ response、Inhibitory cells、Inhibitory cells: Tregs、Absence of inhibitory cells; Treg、Inhibitory cells: MDSC、Absence of inhibitory cells; MDSC、Inhibitory molecules、Absence of checkpoint expression、Absence of Other inhibitory Molecules、Recognition of tumor cells、Recognition of Cancer Cells by T cells、Tumor antigenicity、Trafficking and Infiltration of T Cells into Toumors等が挙げられる。ここで、「Inhibitory cells」は、Inhibitory cells: TregsおよびInhibitory cells: MDSCを統合した遺伝子セットである。
腫瘍の増殖に関連する遺伝子セットの例としては、限定するものではないが、Proliferation、Apoptosis、Cell Cycle、Glycolysis、Fatty Acid Oxidation等が挙げられる。
上記のがん免疫サイクルに関連する遺伝子セットおよび腫瘍の増殖に関連する遺伝子セットの例を表1に記載する。
Figure 2020178667
なお、本発明において使用される遺伝子セットは本明細書に記載のものに限定されるものではなく、本明細書に記載の遺伝子セットと同等な遺伝子セットおよびその構成遺伝子を適宜使用すればよい。かかる同等の遺伝子セットおよびその構成遺伝子は、当業者に明らかである。例えば、MSigDB(http://software.broadinstitute.org/gsea/msigdb/collections.jsp#H)に登録されている17810の遺伝子セットなどから適宜選択することができる。
例えば、「Priming & activation」と同等な遺伝子セットとして、「T−cell Priming and Activation」(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。例えば、「T cells」と同等な遺伝子セットとして、「Antitumor T−cell Immunity」(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。例えば、「Inhibitory cells: Tregs」と同等な遺伝子セットとして、「Absence of inhibitory cells; Treg」(例えば、非特許文献1参照が挙げられる。例えば、「Inhibitory cells: MDSC」と同等な遺伝子セットとして、「Absence of inhibitory cells; MDSC」(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。例えば、「Inhibitory molecules」と同等な遺伝子セットとして、「Absence of checkpoint expression」および「Absence of Other inhibitory Molecules」(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。例えば、「Recognition of tumor cells」と同等な遺伝子セットとして、「Recognition of Cancer Cells by T cells」(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。
本発明においては、遺伝子セットを構成する全遺伝子を用いてもよいし、構成遺伝子の全てを用いなくてもよい。例えば、各遺伝子セットを構成する遺伝子のうち、その関連する細胞の機能または特徴と特に相関性の高いいくつかの遺伝子のみを選択することができる。例えば、限定するものではないが、遺伝子セットを構成する遺伝子のうち、1〜10個の遺伝子を用いてもよい。
腫瘍内免疫状態の評価用の遺伝子群の発現量のスコア値は、各遺伝子群を構成する各遺伝子の発現量から求められる。各遺伝子の発現量としては、各遺伝子から転写されたmRNA量を指標とすることができる。サンプル中のmRNAの存在量の解析手段は特に限定されるものではなく、次世代シーケンサー利用技術の他、所謂第3世代シーケンサー利用技術など、当該分野で既知の技術を用いることができる。例えば、mRNAの発現量として次世代シーケンサー(NGS)解析に基づくFPKM(Fragments Per Kilobase of exon per Million mapped fragments)値を用いてもよい。なお、多数の遺伝子を同時に解析するには次世代シーケンサーなどのハイスループット型の解析装置が必要とされる。しかしながら、遺伝子群のスコア値と特に相関性の高い発現量を示すいくつかの遺伝子が存在する場合、該遺伝子のみを解析対象とすることで、例えば、マルチプレックスリアルタイムPCRなどの更に簡便な解析手法を用いることも可能である。
次いで、各遺伝子群の遺伝子発現量を統計処理手段によって評価用のスコア値に変換する。該統計処理手段として、当業者に既知の手段を用いればよく、例えば、限定するものではないが、Gene Set Analysis、Gene Set Enrichment Analysis、PAGE(parametric analysis of gene set enrichment)等が挙げられる。例えば、Gene Set Enrichment Analysis(GSEA)を用いれば、発現量の偏りが大きい遺伝子セットを抽出することができる。さらに、1サンプルで同様の解析を行う統計処理手段としてsingle sample Gene Set Enrichment Analysis(ssGSEA)が知られている。サンプル数の点で本発明ではssGSEAが好適に使用できる。
例えば、遺伝子発現量のスコア値として、遺伝子群の各遺伝子のmRNA発現量(例えば、FPKM値)をGSEAやssGSEAによって統計処理して得られる解析値(enrichment score:ES)を採用しても良い。かかるESは、該遺伝子群の発現状態を表す。なお、本明細書では、ssGSEA処理で得られたESを特にssGSEAスコアという。
サンプル中のmRNAの存在量は遺伝子毎に差があり、コピー数としては1000倍の差がある場合も考えられる。したがって、好ましくは、標準化したスコア値を用いる。例えば、ESを標準化した値(Zスコア)は、下記の式から求められる。

Z=(ES−M)/SD
[式中、ESは、解析対象となる一の腫瘍組織サンプルから得られた特定の遺伝子群でのESであり、MおよびSDはそれぞれ、複数の腫瘍組織サンプルにおける該遺伝子群のESの平均値および標準偏差である。]
MおよびSDは、例えば、遺伝子データベース(例えば、The Cancer Genome Atlas:TCGA)から、解析対象の腫瘍組織サンプルと同じがんの症例における各遺伝子FPKM値の相当数のデータを入手し、ssGSEAを行い、各遺伝子群におけるESの平均値および標準偏差を計算して求めてもよい。または、複数であって相当数の腫瘍組織サンプルを解析対象とする場合は、該複数のサンプルのESからMおよびSDを算出してもよい。なお、本明細書において、相当数とは、例えば100以上であり、好ましくは100〜1000個、例えば約100〜300個である。
かくして得られたZスコアは、適宜、所望のスケールに変換してもよい。例えば、判断スケールを1〜5とする目的で、Zスコアを基に以下の計算式に基づくイムノグラムスコア(Immunogram score、IGS)を算出してもよい。

IGS=3+1.5×Z
かくして得られる遺伝子群の発現状態を表すスコア値に基づいて、腫瘍組織サンプルにおける腫瘍内免疫状態を評価する。本明細書において腫瘍内免疫状態とは、腫瘍における免疫系の状態を指す。
腫瘍内免疫状態を表す手法として、がんの種類と治療法の組み合わせやその特徴に関連した様々な分類がありうる。例えば、限定するものではないが、HotおよびColdなどの概念が知られている。Hotは、免疫系ががんを見つけて戦いを仕掛けている「Hotな」状態であり、一般に、がん免疫療法が効きやすい状態である。一方、Coldは、免疫系ががんを見つけても戦いを仕掛けられないか、または免疫系ががんをそもそも見つけられておらず、免疫学的に不活性で「Coldな」状態であり、一般に、がん免疫療法が効きにくい状態である。さらに、がんの種類によっては、HotとColdに加えて、HotとColdの中間の状態Intermediateや、Hot、Coldおよび/またはIntermediateをそれぞれ2以上のクラスターに細分化した分類ができる。例えば、本発明では、胃がんの場合、Hot、ColdおよびIntermediateの3つのクラスターに分類でき、Hotをさらに、予後に関連してHot−IDとHot−MCに分類できることが分かった。
腫瘍内免疫状態は、各遺伝子群の発現状態を示すスコア値によって表される発現パターンに基づいて評価する。例えば、相当数のサンプルにおける遺伝子群の発現量の平均と標準偏差を基準として、解析対象のサンプルにおける遺伝子群の発現量を比較することにより、腫瘍内免疫状態を評価することができる。相当数のサンプルにおける遺伝子群の発現量は、例えば、実際に相当数のサンプルを測定して得られるか、または大規模データベース等から得られる既存のデータを利用してもよい。
さらに、評価用指標である各遺伝子群の発現量のスコア値をグラフ等を用いて可視化すると、腫瘍内免疫状態の評価が容易である。可視化の手段としては、例えば、限定するものではないが、レーダーチャート形式、ヒートマップ形式等が挙げられる。
II.複数の腫瘍組織サンプルのクラスター分類による腫瘍内免疫状態の評価
本発明の一の態様では、腫瘍内免疫状態の評価用指標として、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値を用いる、複数の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態の評価方法が提供される。該態様では、複数の患者から得られた腫瘍組織サンプルを用いる。サンプル数は、限定されないが、好ましくは100個以上、例えば約100〜500個が挙げられる。上記複数の腫瘍組織サンプルのスコア値は、実際に複数のサンプルを測定して得てもよく、または大規模データベース等から得られる既存のデータを利用してもよい。
本発明の該態様の評価方法は、治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルを評価するためのアルゴリズムを構築するために用いてもよい。例えば、該態様の評価方法により、複数の腫瘍組織サンプルから得られた各遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値を用いて該サンプルを2以上の腫瘍内免疫状態のクラスターに分類し、該分類結果に基づき下記IIIに記載するように、治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルを評価するためのアルゴリズムを構築する。
アルゴリズムを構築しない場合は、該態様の評価方法により得られた複数の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態のクラスター分類結果とスコア値の発現パターンを、治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルから得られたスコア値の発現パターンと比較し、該治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルが属するクラスターを判定することもできる。あるいは、治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルの遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値と相当数の既存のサンプルデータ由来の遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値を用いて、治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルと既存サンプルの腫瘍内免疫状態を一緒に評価してクラスター分類し、該治療効果や予後を予測したい患者由来のサンプルが属する腫瘍内免疫状態のクラスターを判定することもできる。
好ましくは、腫瘍内免疫状態の評価用指標として、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群から選択される1以上の遺伝子セット、および腫瘍の増殖に関連する遺伝子群から選択される1以上の遺伝子セットを用いる。腫瘍内免疫状態の評価用指標として用いる遺伝子セット数はいくつでもよく、限定されない。利便性の観点から、例えば、がん免疫サイクルに関連する遺伝子セットおよび腫瘍の増殖に関連する遺伝子セットを合わせて6〜12セット程度用いてもよく、好ましくは8〜10セット程度が用いられる。なお、腫瘍内免疫状態の概要を把握するには、少なくとも、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群から選択される7つの遺伝子セット:Innate immunity、Priming & activation、T cells、IFNγ response、Inhibitory cells、Inhibitory molecules、Recognition of tumor cells、および腫瘍の増殖に関連する遺伝子群から選択される2つの遺伝子セット:Proliferation、Glycolysisを用いるのがさらに好適である。
本発明では、さらに、評価の精度を上げるために、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群、腫瘍増殖に関連する遺伝子群に加えて、代謝に関連する遺伝子群等の他の遺伝子群を用いてもよい。他の遺伝子群としては、MSigDB(http://software.broadinstitute.org/gsea/msigdb/collections.jsp#H)に登録されている17810の遺伝子セットなどから適切なものを抽出して活用可能である。
本発明の該態様における腫瘍内免疫状態の評価方法では、複数の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を、上記の各遺伝子群(または遺伝子セット)の遺伝子発現量のスコア値の発現パターンに基づき、2以上のクラスターに分類する。腫瘍内免疫状態の分類には、がんの種類と治療法の組み合わせやその特徴に関連した様々な分類がありうる。どのように分類するかは、当業者が適宜決定することができる。一例として、スコア値を1〜5のスケールに設定した場合、3より高いスコア値のサンプルをHot、3以下のスコア値のサンプルをColdに大別してもよい。がんの種類によっては、HotとColdに加えて、HotとColdの中間の状態としてIntermediateや、Hot、Coldおよび/またはIntermediateをそれぞれ2以上に細分化した腫瘍内免疫状態の分類ができる場合もある。
本発明の該態様における腫瘍内免疫状態の評価方法では、特に、胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態を、ColdとHot、更にその中間のIntermediateへのクラスターに大別することができ、Hotのクラスターに属するサンプルについては更にHot−MCとHot−IDのクラスターに分類できる。
したがって、本発明のさらなる態様では、腫瘍内免疫状態をCold、HotおよびIntermediateの3つのクラスター、またはCold、Intermediate、Hot−MCおよびHot−IDの4つのクラスターに分類することを特徴とする、胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価方法が提供される。
腫瘍内免疫状態と治療法の奏功性との相関性の観点では、Hotのクラスターに属するサンプルの患者は免疫療法の奏功性が認められる可能性が高い。特に、免疫チェックポイント阻害剤による奏功性が認められた患者由来のサンプルはHotに分類される割合が高かった。
一方、Coldのクラスターに属するサンプルについては、免疫応答が認められず、抗原提示能が弱まっているサンプルでもあることがその他の遺伝子発現状態からも示唆された。したがって、Coldのクラスターに属するサンプルの患者は、免疫チェックポイント阻害剤単独による奏功が期待できない。Coldのクラスターに属するサンプルの患者については、治療手段としては、人工的に抗原認識能を付与させた免疫細胞や、腫瘍抗原を特に認識せず腫瘍を選択的に溶解させる能力を有する腫瘍溶解性ウイルスなどが有用であると考えられる。該人工的に抗原認識能を付与させた免疫細胞としては、例えば、CAR−T、TCR−Tなどが挙げられる。該腫瘍溶解性ウイルスとしては、例えば、C−REVなどが挙げられる。また、例えば、ネオアンチゲンワクチン等と免疫チェックポイント阻害剤との併用による治療も考えられる。
胃がんにおいては、Intermediateのクラスターに属するサンプルは、上皮間葉転換をきたしたMesenchymal型が多く集まっており、またCAF(間質線維芽細胞)の発現が高かった。したがって、Intermediateのクラスターに属するサンプルの患者は、転移をきたす可能性が高く、化学療法や免疫チェックポイント阻害剤による奏功が期待できない。Intermediateのクラスターに属するサンプルの患者の治療手段としては、例えば、手術による病巣の切除が挙げられる。また、CAFが産生するTGF−βが腫瘍内へのT細胞浸潤を妨げるバリアを形成することが知られているので、免疫チェックポイント阻害剤とTGF−β阻害剤との併用による治療が考えられる。
胃がんの場合、Hot−MCのクラスターに属するサンプルは、予後が不良の患者由来の割合が高く、これらの患者は直ちに何らかの処置手段が必要と判断される。したがって、Hot−MCのクラスターに分類された腫瘍組織を有する患者は、手術予後が不良で、再発しやすい傾向にある。治療手段としては、例えば、周術期の免疫チェックポイント阻害剤治療も含め、免疫チェックポイント阻害剤の早期投与による治療が挙げられる。
胃がんの場合、Hot−IDのクラスターに属するサンプルは、比較的予後の良好な患者由来であった。これらの患者は、手術予後が良好なだけではなく、免疫チェックポイント阻害薬の奏効が期待される。また、これらの患者は、生存率が高いと予測される。したがって、Hot−IDのクラスターに分類された腫瘍組織を有する患者の治療手段としては、例えば、手術による病巣の切除や、早期の免疫チェックポイント阻害剤の投与による治療が挙げられる。
このように、腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態は、該サンプルが由来する患者の治療効果および予後に関連する。したがって、サンプルが属するクラスターを基に各種治療手段が患者の治療効果および予後を予測することができる。したがって、本発明のさらに別の態様は、上記の腫瘍内免疫状態の評価方法によって、治療効果や予後を予測したい一の患者由来のサンプルの腫瘍内免疫状態を評価し、該サンプルが属するクラスターを基に各種治療手段による該患者の治療効果および予後を予測する方法を提供する。さらに、上記評価方法によって判定された該患者由来のサンプルが属するクラスターを基に、該患者において奏功性が期待できる治療手段を適宜選択することが可能となる。また、治療後の該患者由来のサンプルのクラスターの変遷により該治療の効果も判断可能となる。かくして、本発明の方法によれば、一人ひとりの患者の治療効果および予後を予測することができ、さらに、奏功性のある治療手段を選択することもできる。
したがって、本発明のさらに別の態様は、上記した腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態の評価方法による評価に基づいて、各種治療手段によるがん患者の治療効果および予後を予測する方法を提供する。
III.個別のサンプルのアルゴリズムによる腫瘍内免疫状態の評価
上記IIに記載の腫瘍内免疫状態の評価方法による、複数の腫瘍組織サンプルを用いて解析した各種がんの腫瘍内免疫状態のクラスター分類結果および各遺伝子群(または遺伝子セット)のスコア値に基づいて、各クラスターに分類するためのアルゴリズムが得られる。該アルゴリズムにしたがえば、一の患者由来の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を個別に評価することができる。さらに、上記IIに記載したのと同様に、かかる腫瘍内免疫状態に基づいて、該一の患者の治療効果および予後を個別に予測することができ、また、奏功性が期待できる治療手段を個別に選択することができる。
したがって、本発明のさらなる態様は、がん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値による腫瘍内免疫状態の評価のためのアルゴリズムに基づいて、個別のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価する方法を提供する。各種がん患者の腫瘍内免疫状態の評価のためのアルゴリズムは、上記IIに記載したように各種がんについて複数の腫瘍組織サンプルを用いてクラスター分類を行い、該クラスター分類結果および各遺伝子群(または遺伝子セット)の遺伝子発現量のスコア値に基づいて得ることができる。したがって、該アルゴリズムにおいて腫瘍内免疫状態の評価用指標として用いられる遺伝子セットの数は、分類される腫瘍内免疫状態のクラスターの数に依存し、特に限定されないが、利便性の観点から、がん免疫サイクルに関連する遺伝子セットおよび腫瘍の増殖に関連する遺伝子セットから選択される1〜5セット程度が好ましい。分類される腫瘍内免疫状態のクラスターの数は、がんの種類に依存し、好ましくは、少なくともColdおよびHotの2つのクラスターを含む。本発明の該態様において、サンプルにおける遺伝子群の遺伝子発現量の測定は、次世代シーケンサーなどのハイスループット型の解析装置によって行ってもよいが、評価用指標の数が少ないため、例えば、マルチプレックスリアルタイムPCRなどの更に簡便な方法でも可能である。
例えば、胃がんの場合、胃がんサンプルの遺伝子セットT−cellsのIGSが3未満の場合は、該サンプルの腫瘍免疫状態はColdと判断できる。更に遺伝子セットIFN−γのIGSが3.5未満だとColdの判断精度が向上する。また、胃がんサンプルの遺伝子セットT−cellsのIGSが3以上であって、遺伝子セットProliferationのIGSが2.5未満の場合、該サンプルの腫瘍内免疫状態はIntermediateと判断できる。また、胃がんサンプルの遺伝子セットT−cellのIGSが3以上、遺伝子セットProliferationのIGSが2.5以上であって、遺伝子セットGlycolysisのIGSが2.5未満の場合、該サンプルの腫瘍内免疫状態はHot−IDと判断できる。更に、上記いずれの条件にも当てはまらないサンプルの腫瘍内免疫状態は、Hot−MCと判断できる。なお、ここではIGS値で示しているが、かかるIGS値と同等の値になる(すなわち、IGS値に換算すれば上記の数値になる)いずれのスコア値を用いてもよい。かくして、少なくともT−cells、Proliferation、およびGlycolysisの3つの特定の遺伝子セット、または少なくともT−cells、IFN−γ、Proliferation、およびGlycolysisの4つの特定の遺伝子セットの発現量のスコア値を用いることにより、胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態を評価することができる。さらに、上記IIに記載したとおり、このような腫瘍内免疫状態に基づき、各種治療手段による胃がん患者の治療効果および予後を予測することができ、また、奏功性が期待できる治療手段を適宜選択することができる。
以下、実施例にて本願発明を説明するが、本願発明は実施例により特に限定されるものではない。
実施例1:9つの遺伝子セットによる胃がん患者の腫瘍内免疫状態の評価
予後に関する情報が得られている胃がんサンプル31検体を解析対象とし、9つの遺伝子セット:Innate immunity、Priming&activation、T−cells、IFN−γ response、Inhibitory cells、Inhibitory molecules、Recognitionof tumor cells、Proliferation、およびGlycolysisによる解析を行った。該解析には、表1に示される各遺伝子セットの全ての遺伝子の発現を用いた。なお、「Inhibitory cells」として、表1に示される「Inhibitory cells: Tregs」および「Inhibitory cells: MDSC」の遺伝子を用いた。
1.解析用サンプルの調製
細胞内RNAを安定に保存するため、胃切除直後に得られた全ての腫瘍および隣接する正常肺組織サンプルは、RNAlater RNA Stabilization Reagent(Qiagen社製)による処理を行った。このうち、予後状態の判明している胃がん患者31名からの腫瘍組織サンプルを遺伝子発現解析に用いた。AllPrep DNA/RNAミニキット(Qiagen社製)またはAllPrep DNA/RNA/miRNAユニバーサルキット(Qiagen社製)を製造元のプロトコルに従って使用して、DNAおよびRNAサンプルを調製した。
2.遺伝子発現解析
遺伝子発現解析にはHiseq1500(Illumina社製)を用いた。該装置で解析するためのPoly−A+ RNAシーケンシングライブラリーは、胃がんサンプルより得られたRNAをSureSelect Strand−Specific RNA library Preparation kit for Illumina(Agilent Technologies社製)にて処理を行い得た。腫瘍組織由来サンプルは100bpエンドペア読み取りモードにて配列データを得た。次にRNA配列決定リードをTophat(バージョン1.3.2)を使用して整列させた。上記9評価軸の各遺伝子の発現値を、Cufflinks(バージョン2.0.2)を使用してマッピングされた百万フラグメント当たりの転写物のキロベース当たりのフラグメント(FPKM)として計算した。次にGene Set Enrichment Analysis(GSEA,v9)(Proc.Natl.Acad.Sci.,2005;102(43):15545−155550)を用いてsingle sample Gene Set Enrichment Analysis(ssGSEA)を行い、ssGSEAスコアを求めた。
次に、The Cancer Genome Atlas (TCGA)に登録された胃がん375例の各遺伝子の発現量(FPKM値)データをダウンロードし、上記と同様にしてssGSEAスコアを求めた。遺伝子セット毎に、TCGAに登録された胃がん患者のssGSEAスコアの平均値と標準偏差を計算した。つづいて、上記の胃がん患者31名の腫瘍組織サンプルから得られた、遺伝子セット毎のssGSEAスコアを、TCGAデータから作成した平均値と標準偏差を基準として標準化し、
式:Z=(ES−M)/SD
にしたがってZスコアを計算した。本実施例の胃がんサンプルのssGSEAスコアを上記式中のESに挿入し、TCGAに登録された胃がん患者のssGSEAスコアの平均値と標準偏差をそれぞれ、上記式中のMおよびSDに挿入した。さらに、Zスコアを、
式:IGS=3+1.5×Z
にしたがって1〜5点からなるイムノグラムスコア(IGS)に変換した。
3.腫瘍内免疫状態の評価
上記2で得られたイムノグラムスコア値を用いた31サンプルのレーダーチャート形式での解析結果を図1に示す。さらに、イムノグラムスコア値に基づく腫瘍内免疫状態の評価結果を図2に示す。図中、BKT001等の記号は本実施例で用いたサンプル番号を示す。また、IGS1は遺伝子セット「Innate immunity」、IGS2は遺伝子セット「Priming&activation」、IGS3は遺伝子セット「T−cells」、IGS4は遺伝子セット「IFN−γ response」、IGS5は遺伝子セット「Inhibitory Cells」、IGS6は遺伝子セット「Inhibitory molecules」、IGS7は遺伝子セット「Recognitionof tumor cells」、IGS8は遺伝子セット「Glycolysis」、IGS9は遺伝子セット「Proliferation」のIGSを示す。
図1および図2から明らかなように、サンプル毎に各遺伝子セットの発現量に傾向があり、腫瘍内免疫状態と遺伝子セットの発現量との間に相関関係があることが分かった。また、図2から明らかなように、上記遺伝子セットの発現量に基づき、胃がんサンプルの腫瘍免疫状態は、COLD、INTERMEDIATE、およびHOT−ID、HOT−MCの4つのクラスターに分類された。
実施例2:個別の胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価
実施例1で得られた31名の胃がん患者のクラスター解析の結果から、下記のアルゴリズムにより胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態を分類できることが分かった。すなわち、
「T Cells」のイムノグラムスコア値が3未満の場合、Coldと分類した。
「T Cells」のイムノグラムスコア値が3以上、かつ、「Proliferation」のイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、Intermediateと分類した。
「T Cells」のイムノグラムスコア値が3以上、かつ、「Proliferation」のイムノグラムスコア値が2.5以上、かつ、「Glycolysis」のイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、Hot−IDと分類した。
上記のいずれにも該当しない場合、Hot−MCと分類した。
さらに、TCGA登録データのうち、予後データが付与されていた240個の胃がんサンプルの各遺伝子の発現量(FPKM値)データを用いて、実施例1に記載されるように9個の遺伝子セットのイムノグラムスコア値を求め、解析した結果、上記の31サンプルと同様のアルゴリズムが得られた。
31サンプルから得られたアルゴリズムおよびTCGA登録データ由来の240サンプルから得られたアルゴリズムの結果を図3に示す。この結果により、個別の胃がん患者は、上記アルゴリズムに基づき、1〜3つの評価用指標のスコア値を用いて腫瘍内免疫状態を評価できることが分かった。さらに、かかる腫瘍内免疫状態の評価に基づき、該患者の治療効果や予後を予測し、該患者に適した治療手段を選択することができる。

Claims (25)

  1. 複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルのがん免疫サイクルに関連する遺伝子群および腫瘍増殖に関連する遺伝子群の遺伝子発現量のスコア値による腫瘍内免疫状態の評価に基づいて、一のがん患者の治療効果および予後を予測することを特徴とする、がん患者の治療効果および予後の予測方法。
  2. がん免疫サイクルに関連する遺伝子群として遺伝子セット:Innate immunity、Priming&activation、T−cells、IFN−γ response、Inhibitory Cells、Inhibitory molecules、およびRecognitionof tumor cells、腫瘍の増殖に関連する遺伝子群として遺伝子セット:Proliferation、およびGlycolysis、の少なくとも9個の遺伝子セットの遺伝子発現量のスコア値を用いることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. スコア値がsingle sample Gene Set Enrichment Analysisによる統計処理に基づき算出されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. スコア値に基づき腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を2以上のクラスターに分類することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 腫瘍組織サンプルが胃がんサンプルであり、スコア値に基づき腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態をCOLD、INTERMEDIATE、HOT−ID、およびHOT−MCの4つのクラスターに分類することを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 前記複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルのスコア値が既存のサンプル由来のスコア値を含んでいてもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記複数のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの前記遺伝子発現量のスコア値と腫瘍内免疫状態の評価に基づいて、腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価するためのアルゴリズムを作成し、該アルゴリズムに基づいて一のがん患者由来の腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を評価し、該腫瘍内免疫状態の評価に基づいて該一のがん患者の治療効果および予後を予測することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記腫瘍内免疫状態の評価に基づいて該一のがん患者の治療手段を選択することをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 腫瘍内免疫状態をCOLD、INTERMEDIATE、HOT−ID、HOT−MCの4群に分類することを特徴とする、胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価方法。
  10. 請求項9記載の方法による腫瘍内免疫状態の評価に基づいて治療手段を選択することを特徴とする、腫瘍治療手段の選択方法。
  11. 腫瘍内免疫状態の評価がCOLDの場合、人工的に抗原認識能を付与させた免疫系細胞または腫瘍選択的溶解能を有するウイルスの投与よる治療手段とすることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 腫瘍内免疫状態の評価がINTERMEDIATEの場合、手術による切除または免疫チェックポイント阻害剤とTGF−β阻害剤の併用投与による治療手段とすることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  13. 腫瘍内免疫状態の評価がHOT−IDの場合、手術による切除後、比較的予後が良好で、化学療法などの標準治療の効果が期待できることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  14. 腫瘍内免疫状態の評価がHOT−MCの場合、早期に免疫チェックポイント阻害剤の投与による治療手段とすることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  15. 請求項9記載の方法による腫瘍内免疫状態の評価に基づいて治療予後を予測することを特徴とする、治療予後の予測方法。
  16. 腫瘍内免疫状態の評価がHOT−IDの場合、生存率が高いと予測することを特徴とする、請求項15記載の方法。
  17. 少なくとも、Innate immunity、Priming&activation、T−cells、IFN−γ response、Inhibitory Cells、Inhibitory molecules、Recognitionof tumor cells、Glycolysis、Proliferationの9つの遺伝子セットの発現量に基づき、腫瘍組織サンプルの腫瘍内免疫状態を可視化する方法。
  18. 可視化手段がレーダーチャート形式であることを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. 胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をCOLDと判定することを特徴とする、胃がんの腫瘍内免疫状態の評価方法。
  20. 胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3未満であり、かつ遺伝子セットIFN−γ responseのイムノグラムスコア値が3.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をCOLDと判定することを特徴とする、請求項19記載の方法。
  21. さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をINTERMEDIATEと判定することを特徴とする、請求項19または20記載の方法。
  22. さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5以上であり、かつ、遺伝子セットGlycolysisのイムノグラムスコア値が2.5未満の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をHOT−IDと判定することを特徴とする、請求項21記載の方法。
  23. さらに、胃がんサンプルにおける遺伝子セットT−cellsのイムノグラムスコア値が3以上であり、かつ遺伝子セットProliferationのイムノグラムスコア値が2.5以上であり、かつ遺伝子セットGlycolysisのイムノグラムスコア値が2.5以上の場合、該胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態をHOT−MCと判定することを特徴とする、請求項22記載の方法。
  24. さらに胃がんサンプルにおける遺伝子セットIFN−γのイムノグラムスコア値が3.5以上である、請求項21〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. 請求項23または24記載の方法によって得られた胃がんサンプルの腫瘍内免疫状態の評価結果に基づいて治療効果および予後を予測することを特徴とする、胃がん患者の治療効果および予後の予測方法。
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