JP2020177571A - 異常予兆診断装置、異常予兆診断方法及び異常予兆診断プログラム - Google Patents

異常予兆診断装置、異常予兆診断方法及び異常予兆診断プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】将来においてプラントが異常になる時期及び異常の程度を予測する。【解決手段】本発明の異常予兆診断装置は、プラントから取得される計測値を、計測値が相互に類似するもの同士で複数のカテゴリに分類する分類部と、プラントが正常であることが既知である期間において取得された計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、正常カテゴリに属する計測値と比較した結果である特徴量を算出する算出部と、算出した特徴量を将来の時系列で予測する予測部と、予測した特徴量に対して所定の閾値を適用することによってプラントが異常となる将来の時期を推定する推定部と、を備えることを特徴とする。【選択図】図10

Description

本発明は、異常予兆診断装置、異常予兆診断方法及び異常予兆診断プログラムに関する。
機器が劣化し正常に稼働できなくなると、その機器を修理・更新することになる。修理・更新が計画的に実行できれば問題はない。しかしながら、大規模な生産ラインに組み込まれている機器が突然停止したような場合、その修理・更新は、予想外の手間及び費用を必要とし、企業経営に大きな影響を及ぼす。そこで、機器が本格的な異常に陥る前にその予兆を検出し、予防的に修理・更新を行うことが重要である。
特許文献1の診断装置は、プラントの診断に先立ち、プラントが正常であることが既知である時点においてプラントから取得した状態量を用いて、正常モデルを構築しておく。当該診断装置は、同様にして、予兆モデル及び異常モデルも構築しておく。当該診断装置は、診断対象時点においてプラントから取得した状態量が、正常モデル、予兆モデル又は異常モデルのいずれに分類されるかを判定する。当該診断装置は、診断対象時点においてプラントから取得した状態量が、正常モデル、予兆モデル又は異常モデルのいずれにも分類さない場合、プラントは過去に経験したことがない未知状態である旨を表示する。
国際公開第2012/073289号
プラントが一見正常であるように見えても、異常に至る予兆を示していることがある。この場合、プラントのユーザとしては、本格的な異常に至るまでの猶予期間がどの程度あるかを知りたくなる。なぜならば、猶予期間の長さによって、具体的な対策が変わってくるからである。
しかしながら、特許文献1の診断装置は、過去の計測値に基づき正常モデル、予兆モデル及び異常モデルを予め構築しておき、プラントの現在の計測値が、3種類のモデルのいずれに分類されるかを診断するに過ぎない。当該診断装置は、仮に現在の計測値が予兆モデルに分類されると判断しても、将来のどの時刻に計測値が異常モデルに分類されるかを予測するものではない。
そこで、本発明は、将来においてプラントが異常になる時期及び異常の程度を予測することを目的とする。
本発明の異常予兆診断装置は、プラントから取得される計測値を、計測値が相互に類似するもの同士で複数のカテゴリに分類する分類部と、プラントが正常であることが既知である期間において取得された計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、正常カテゴリに属する計測値と比較した結果である特徴量を算出する算出部と、算出した特徴量を将来の時系列で予測する予測部と、予測した特徴量に対して所定の閾値を適用することによってプラントが異常となる将来の時期を推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、将来においてプラントが異常になる時期及び異常の程度を予測することができる。
異常予兆診断装置の構成を説明する図である。 プラントの構成を説明する図である。 計測値の分類を説明する図である。 計測値情報を説明する図である。 診断結果情報を説明する図である。 適応共鳴理論を用いたクラスタリングを説明する図である。 異常度及び寄与度を説明する図である。 将来の異常度が閾値に達する時刻を説明する図である。 将来の異常度が閾値に達する時刻を説明する図である。 将来の異常度が閾値に達する時刻を説明する図である。 処理手順のフローチャートである。
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、化学製品を生産するプラントの診断を行う例である。しかしながら、本発明は、それ以外の対象にも適用可能である。
(異常予兆診断装置の構成)
図1は、異常予兆診断装置1の構成を説明する図である。異常予兆診断装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、入力装置12、出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を備える。これらは、バスで相互に接続されている。補助記憶装置15は、計測値情報31及び診断結果情報32を格納している。補助記憶装置15は、異常予兆診断装置1から独立した構成であってもよい。
主記憶装置14における、前処理部21、分類部22、算出部23、予測部24、推定部25及び表示処理部26は、プログラムである。以降において、“○○部は”と動作主体を記した場合、それは、中央制御部11が補助記憶装置15から“○○部”での処理に使用する情報を読み出して主記憶装置14に記憶したうえで、後記する処理を実行することを意味する。異常予兆診断装置1は、通常、プラント監視センタ(図示せず)等に配置される。なお、請求項における分類部は、ここでの前処理部21及び分類部22を含む概念である。
本実施形態のプラント2は、化学製品を生産する設備の集合である(詳細後記)。計測・制御装置3は、プラント2の各所に配置されたセンサ等から、流量、温度、圧力等の計測値を取得し、ネットワーク4を介して又はネットワーク4を介さず直接、計測値を異常予兆診断装置1に送信する。計測・制御装置3は、流量、温度、圧力等の計測値がそれらの目標値となるように、プラント2の配管に配置されている弁の開度等を制御する。
(プラント)
図2は、プラント2の構成を説明する図である。プラント2は、原料A及び原料Bを反応させて製品Cを生産する。工程の上流には、原料Aを貯蔵するタンク41及び原料Bを貯蔵するタンク42が存在し、下流には、製品Cを貯蔵するタンク43が存在する。
原料Aは、タンク41からポンプ44A及びバルブ45Aを経由して反応装置46に送られる。原料Bは、タンク42からポンプ44B及びバルブ45Bを経由して反応装置46に送られる。反応装置46は、原料A及び原料Bを反応させて製品Cを生産する。製品Cは、タンク43に送られる。反応装置46の反応速度は、反応装置46の温度によって変化する。反応装置46は冷却装置48を有しており、冷却水の流量は、バルブ47の開度によって制御される。
バルブ45Aと反応装置46との間の配管に流量計FAが配置されている。流量計FAは、原料Aの流量を計測し、その計測値に基づいて、計測・制御装置3(図1)は、バルブ45Aの開度を制御する。バルブ45Bと反応装置46との間の配管に流量計FBが配置されている。流量計FBは、原料Bの流量を計測し、その計測値に基づいて、計測・制御装置3は、バルブ45Bの開度を制御する。圧力計Pは、反応装置46の圧力を計測する。反応装置46の出口に温度計Tが配置されている。温度計Tは、反応装置46の出口の温度を計測し、その計測値に基づいて、計測・制御装置3は、バルブ47の開度を制御する。すると、反応装置46に流入する冷却水の流量が変化する。
(計測値の分類)
図3は、計測値の分類を説明する図である。本実施形態の異常予兆診断装置1は、クラスタリング技術の1つである適応共鳴理論(Adaptive Resonance Theory)を用いて、計測値を複数のカテゴリに分類する。適応共鳴理論を用いた分類については、特許文献1にも記載されている。計測値は、一般的に時系列のベクトルである。ベクトルの各成分は、流量、圧力、温度等の計測値である。異常予兆診断装置1は、多次元空間にこれらのベクトルを示す点を描画し、その位置が近接するもの同士、つまり、計測値が相互に類似するもの同士を同じカテゴリに分類する。
図3の横軸は、上図51においても下図52においても時間である。図3の縦軸は、上図51においては計測値であり、下図52においてはカテゴリである。横軸の時間は、プラント状態が正常であることが既知である正常期間、及び、プラント状態が正常であるか否かが既知ではない診断期間に分かれている。正常期間は、診断期間における計測値を比較する基準となる計測値のサンプルを収集する期間でもある。その意味で、正常期間は、“学習”期間とも呼ばれる。上図51において、原料Aの流量の変化を示す実線のグラフFA、及び、原料Bの流量の変化を示す破線のグラフFBが描画されている。反応装置の圧力及び出口温度も同時に計測されている。しかしながら、説明の単純化のために、ここでは、これらは捨象されている。
グラフFA及びグラフFBは、両者に共通の警報上限値及び警報下限値の間で上下している。警報下限値から警報上限値までの範囲を、その中間値を境界線として“大”及び“小”に2分すると、以下のように、4種類の“大”及び“小”の組合せが想定され得る。
(FA,FB)=(大,小),(小,小),(小,大),(大,大)
正常期間のうち期間53の6つの時刻において、組合せは、“(FA,FB)=(大,小)”であった。そこで、異常予兆診断装置1は、この組合せを“カテゴリ1”に分類し、分類結果である6つの“◆”を下図52に描画した。正常期間のうち期間54の4つの時刻において、組合せは、“(FA,FB)=(小,小)”であった。そこで、異常予兆診断装置1は、この組合せを“カテゴリ2” に分類し、分類結果である4つの“◆”を下図52に描画した。正常期間のうち期間55の2つの時刻において、組合せは、“(FA,FB)=(小,大)”であった。そこで、異常予兆診断装置1は、この組合せを“カテゴリ3”に分類し、分類結果である2つの“◆”を下図52に描画した。
正常期間において、異常予兆診断装置1は、計測値をカテゴリ1、カテゴリ2及びカテゴリ3のうちのいずれかに分類したことになる。これらのカテゴリ間における計測値の相違は、運転条件、運転環境等の相違に起因する。
診断期間のうち期間56の3つの時刻において、組合せは、“(FA,FB)=(小,小)”であった。そこで、異常予兆診断装置1は、この組合せを既知の(学習済の)“カテゴリ2”に分類し、分類結果である3つの“◆”を下図52に描画した。診断期間のうち期間57の3つの時刻において、組合せは、“(FA,FB)=(大,大)”であった。この組合せは、正常期間においては出現していない。そこで、異常予兆診断装置1は、この組合せを新規の“カテゴリ4”に分類し、分類結果である3つの“■”を下図52に描画した。なお、異常予兆診断装置1は、前記のように2種類の計測値の大小関係に基づき計測値の組合せを分類する他に、2種類の計測値の差分に基づき計測値の組合せを分類してもよい。
(計測値情報)
図4は、計測値情報31を説明する図である。計測値情報31においては、計測値ID欄101に記憶された計測値IDに関連付けて、計測値種類欄102には計測値の種類が、時刻欄103には時刻が、計測値欄104には計測値が記憶されている。
計測値ID欄101の計測値IDは、計測値を一意に特定する識別子である。本実施形態の計測値IDは、例えば“FA”のように、それがどの種類の計測値であるかが直ちにわかるようになっている。
計測値種類欄102の計測値の種類は、“原料A流量”、“原料B流量”、“反応装置圧力”及び“反応装置出口温度”のうちのいずれかである。当然のことながら、計測値の種類は、プラントの内容によって異なる。ここに掲げたものは、あくまでも一例である。
時刻欄103の時刻は、計測値が流量計、圧力計、温度計等によって計測された時点の年月日時分秒である。なお、流量は、単位時間当たりの体積又は質量で定義される。つまり、流量を計測するためには、ある時間幅(例えば5秒)が必要になる。ここでの時刻は、そのような時間幅の始点の時刻を示す。
計測値欄104の計測値は、流量計、圧力計、温度計等が計測した計測値そのものである。“#”は、異なる値を省略的に示している(以降においても同様)。
図4を見ると、2019年3月1日10時00分00秒以降5分ごとに、各計測値(FA、FB、P及びT)が同時に計測されていることがわかる。
(診断結果情報)
図5は、診断結果情報32を説明する図である。診断結果情報32においては、計測値ベクトル欄111に記憶された計測値ベクトルに関連付けて、時刻欄112には時刻が、カテゴリ欄113にはカテゴリが、異常度欄114には異常度が、寄与度欄115には寄与度が記憶されている。
計測値ベクトル欄111の計測値ベクトルは、各計測値(FA、FB、P及びT)を成分として有するベクトルである。説明の単純化のため、ここでの計測値ベクトルは、2次元ベクトルであり、その成分は例えば、原料A流量及び原料B流量であるとする。計測値ベクトルは、現在時刻までのレコード(行)に記憶されている。
時刻欄112の時刻は、図4の時刻と同じである。時刻は、過去から現在を経て将来に至るまで、24時間ごとに並んでいる。ここでの24時間は、あくまでも一例に過ぎない。因みに、レコード116までが、図3の正常(学習)期間に相当し、レコード117〜119が、図3の診断期間に相当する。
カテゴリ欄113のカテゴリは、図3の説明で前記したカテゴリである。添え字“NEW”は、そのカテゴリが正常(学習)期間には出現しなかったことを示す。カテゴリは、現在時刻までのレコード(行)に記憶されている。
異常度欄114の異常度は、一般的には、プラントが正常であることが既知である期間において取得された計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、正常カテゴリに属する計測値と比較した結果であり、請求項における特徴量に相当する。ここでの正常カテゴリは、カテゴリ1〜3に相当し、予兆カテゴリは、カテゴリ4に相当する。
異常度の一例は、多次元空間(2次元平面を含む)における、診断対象の計測値ベクトルと、その計測値ベクトルに最も近いカテゴリの代表点(クラスタの重心等)との距離である。予兆カテゴリに属する計測値ベクトルに対して異常度が実際に算出され、さらに、将来の時刻のレコードについても、異常度が予測される(詳細後記)。“#”を囲んでいる“〈 〉”又は“〈〈 〉〉”は、その値が予測値であることを示す。“〈〈 〉〉”については、さらに詳細を後記する。なお、距離は、あくまでも異常度の一例である。他の例としては、ベクトルの内積、ベクトルの余弦類似度等が挙げられる。
寄与度欄115の寄与度は、異常度に対する各計測値の貢献度である。異常度が前記した距離である場合、寄与度は、その距離を多次元空間の各軸に投影した長さを成分として有するベクトルであり、その次元数は、計測値ベクトルの次元数に等しい(詳細後記)。予兆カテゴリに属する計測値ベクトルに対して算出された異常度に対して、寄与度が算出される。寄与度の成分に付された“*”は、その成分の値がすべての成分のうち最大であることを示している。
(適応共鳴理論を用いたクラスタリング)
図6は、適応共鳴理論を用いたクラスタリングを説明する図である。異常予兆診断装置1は、多次元の計測値を示す点を多次元空間に描画する。計測値には時刻が関連付けられており、描画された点の数が時刻の数に相当する。図6の2次元平面もまた、多次元空間のうち最も単純な説明目的の例であり、横軸に原料Aの流量FAを有し、縦軸に原料Bの流量FBを有する。異常予兆診断装置1は、正常(学習)期間において取得された計測値を示す複数の点を、カテゴリ1、カテゴリ2及びカテゴリ3に分類している。
診断期間においても、異常予兆診断装置1は、計測値を示す点を多次元空間に描画して行く。これらの点は、カテゴリ1、カテゴリ2又はカテゴリ3のいずれかに属する場合もあり、いずれにも属さない場合もある。これらの点のうち3個は、正常期間には未知であったカテゴリ4に属している。ユーザは、原料Aの流量及び原料Bの流量がともに高水準になるような状態が発生していることを知る。
(異常度及び寄与度)
図7は、異常度及び寄与度を説明する図である。図7の縦軸、横軸及びカテゴリ1〜4は、図6と同じである。診断期間における計測値●85が、正常期間には未知であるカテゴリ4に属する場合、ユーザは、次のことを知りたいと考える。
・その計測値が既知のどのカテゴリから見てどの程度異常であるか。
・複数種類の計測値(原料Aの流量、原料Bの流量等)のうち、その異常に最も寄与しているものは何であるか。
そこで、まず異常予兆診断装置1は、次の処理を行い、異常度を算出する。
(1)異常予兆診断装置1は、カテゴリ1の代表点◇86a、カテゴリ2の代表点◇86b及びカテゴリ3の代表点◇86cを特定する。ここで、代表点(代表値)とは、例えば、各カテゴリに属する計測値の中央値(最小値+(最大値−最小値)/2)、平均値(重心)等である。
(2)異常予兆診断装置1は、特定した各代表点◇と計測値●85との距離を算出し、これらを異常度の候補とする。異常度の候補の数は、既知のカテゴリの数に一致する。
(3)異常予兆診断装置1は、算出した異常度の候補のうち、最小のものを“異常度”とする。図7の例では、計測値●85とカテゴリ3の代表点◇86cとの距離が異常度87となる。
続いて、異常予兆診断装置1は、次の処理を行い、寄与度を算出する。
(4)異常予兆診断装置1は、異常度87を、横軸方向に対する成分及び縦軸方向に対する成分に分解する。ここで“軸方向に対する成分に分解する”とは、異常度87を各軸に投影した長さを求めることである。
(5)異常予兆診断装置1は、長さ88aを原料Aの流量の寄与度とし、長さ88bを原料Bの流量の寄与度とする。
一般的に、多次元空間における異常度は、多次元空間の任意の座標軸に対して投影され得る。つまり、寄与度の数は、多次元空間の次元数に一致する。前記したように、計測値は、多次元空間の各軸の値を成分に有する計測値ベクトルとして表される。したがって、異常度は、診断対象の計測値ベクトルから、その計測値ベクトルに最も近いカテゴリの代表点◇の位置ベクトルを減算した結果のベクトル(減算結果ベクトル)の大きさであるといえる。さらに、寄与度は、減算結果ベクトルの任意の成分そのものであるといえる。
(将来の異常度が閾値に達する時刻)
図8、図9及び図10は、将来の異常度が閾値に達する時刻を説明する図である。まず図8に注目する。図8の横軸は、時間であり、縦軸は異常度である。縦軸には、異常度の閾値が設定されている(後記する図9及び図10においても同様)。異常度が閾値に達すると、プラントは単に異常の“予兆”を示すに留まらず、“異常”状態となり実害を発生させる。異常予兆診断装置1は、異常度が閾値に達したとき、出力装置13に警報を発する。なお、異常予兆診断装置1は、将来の異常度が閾値に達する厳密な時刻(時分秒)を推定する他に、厳密な時刻を含む前後の大まかな時期(年月日等)を推定してもよい。請求項における“時期”は、ここでの時刻及び時期を含む概念である。説明が煩雑になるのを避けるため、以降では、“時刻”で統一する。
異常予兆診断装置1は、座標平面に異常度のグラフ61を描画する。グラフ61の横軸の終点は、現在時刻である。グラフ61の横軸の始点は、遅くとも計測値ベクトルが予兆カテゴリに属し始めた時刻(図5のレコード118)である。現在時刻に至るまで、異常度は閾値に達していない。しかしながら、計測値ベクトルが予兆カテゴリに属するようになると、それまでの期間とは有意に異なる速度で異常度が上昇し始めることが経験的にわかっている。
図9に注目する。異常予兆診断装置1は、グラフ61のうち、計測値ベクトルが予兆カテゴリに属している区間を使用して、近似グラフ62を描画する。近似グラフ62は、時間を入力(説明)変数とし、異常度を出力(目的)変数とする任意の関数である。この関数は、最も単純な場合、1次関数である。異常予兆診断装置1は、例えば、予兆カテゴリに属している複数の“(時刻,異常度)”の組合せを使用して回帰分析を行うことにより、近似グラフ62を作成する。近似グラフ62は、将来における計測値ベクトルの異常度の予測値を示している。異常予兆診断装置1は、予兆カテゴリに属している複数の“(時刻,異常度)”の組合せが属する任意の参照期間をユーザが指定するのを受け付けてもよい。なぜならば、当該参照期間に応じて、近似グラフの傾きが変化し得るからである。
図10に注目する。異常予兆診断装置1は、近似グラフ62と閾値を示す水平線との交点の横軸座標t*を求める。このことは、時刻t*においてプラントが異常状態になることを異常予兆診断装置1が推定していることを意味する。現在時刻から時刻t*までには、Δtの猶予期間が存在する。ユーザは、猶予期間の間に何らかの対策を講じることになる。対策の例として、プラントの保守に必要な資材及び人材の確保、異常発生時刻を先延ばしするためのプラントの運転条件の変更等、が挙げられる。
(処理手順)
図11は、処理手順のフローチャートである。処理手順を開始する前提として、補助記憶装置15は、計測値情報31(図4)を、正常(学習)期間及び診断期間について記憶しているものとする。
ステップS201において、異常予兆診断装置1の前処理部21は、正常期間のカテゴリを学習する。具体的には、第1に、前処理部21は、補助記憶装置15から計測値情報31を読み出す。診断対象となるプラントが複数存在する場合、前処理部21は、ユーザがそのうちの1つを入力装置12を介して選択するのを受け付けてもよい。
第2に、前処理部21は、ユーザが入力装置12を介して正常期間を入力するのを受け付ける。正常期間は、プラントが正常であることが既知である期間である。仮に、正常期間としたい期間中に、プラントが異常であることが既知である期間が部分的に含まれる場合、ユーザは、その期間を除外した期間を正常期間として入力する。以降の説明を単純化するため、ここで除外された期間はなかったものとする。
第3に、前処理部21は、ステップS201の“第1”において読み出した計測値情報31から、ステップS201の“第2”において受け付けた正常期間に該当するレコードを抽出する。
第4に、前処理部21は、ステップS201の“第3”において抽出した計測値情報31のレコードに基づいて、多次元空間において計測値を示す点を描画し、複数のクラスタ(カテゴリを示す球)を作成する。この段階で、前処理部21は、多次元空間において、図6のカテゴリ1、カテゴリ2及びカテゴリ3を描画していることになる。前処理部21は、予めユーザが入力装置12を介してクラスタの大きさを調整するパラメータρを受け付けておいてもよい。パラメータρは、クラスタの半径の逆数に相当する値(0<ρ≦1)であり、パラメータρの値が大きいほど、クラスタの半径が小さくなり、カテゴリの数が大きくなる傾向がある。
第5に、前処理部21は、診断結果情報32(図5)を作成する。このとき、前処理部21は、図5の診断結果情報32のうち、最初のレコードからレコード116までを作成し、補助記憶装置15に記憶することになる。これらのレコードの異常度欄114及び寄与度欄115は空欄のままである。
ステップS202において、前処理部21は、診断期間の計測値を取得する。具体的には、第1に、前処理部21は、ユーザが入力装置12を介して診断期間を入力するのを受け付ける。診断期間は、プラントが正常であるか否かが既知ではない期間であり、通常、正常(学習)期間に続く期間である。
第2に、前処理部21は、ステップS201の“第1”において読み出した計測値情報31から、ステップS202の“第1”において受け付けた診断期間に該当するレコードを抽出する。
ステップS203において、異常予兆診断装置1の分類部22は、診断期間の計測値を分類する。具体的には、分類部22は、ステップS202の“第2”において抽出したレコードに基づいて、多次元空間において計測値を示す点を描画する。そして、分類部22は、描画した点を、既知のカテゴリ1、カテゴリ2、カテゴリ3、又は、これら以外のカテゴリ4(予兆カテゴリ)のいずれかに分類する。このとき、分類部22は、図3の上図51及び下図52並びに図6の座標平面(空間)図を出力装置13に表示してもよい。
ステップS204において、異常予兆診断装置1の算出部23は、異常度及び寄与度を算出する。具体的には、第1に、算出部23は、図7の説明において前記した方法で、異常度及び寄与度を、予兆カテゴリに属する点ごとに算出する。
第2に、算出部23は、診断結果情報32(図5)のレコードを追加する。このとき、算出部23は、図5の診断結果情報32のレコード117〜119を作成し、補助記憶装置15に記憶することになる。
ステップS205において、異常予兆診断装置1の予測部24は、近似グラフ62を算出する。具体的には、予測部24は、図9の説明において前記した方法で、近似グラフ62を示す関数を算出する。つまり、近似グラフ62が1次関数である場合、予測部24は、その1次関数の傾き及び切片を算出することになる。このとき、予測部24は、図8のような座標平面を出力装置13に表示して、過去の異常度の推移をユーザに示したうえで、ユーザが前記した参照期間を入力するのを受け付けてもよい。
ステップS206において、予測部24は、将来の異常度を予測する。具体的には、第1に、予測部24は、ステップS205において算出した近似グラフ62を、図9の座標平面に描画する。つまり、予測部24は、現在時刻までの計測値を使用して算出した関数(近似グラフ62)を、将来に対して適用(外挿)する。
第2に、予測部24は、診断結果情報32(図5)のレコードを追加する。このとき、予測部24は、図5の診断結果情報32のレコード120以降を作成し、補助記憶装置15に記憶することになる。これらのレコードの時刻欄112及び異常度欄114以外の欄は空白のままである。
ステップS207において、異常予兆診断装置1の推定部25は、異常度が閾値に達する将来の時刻を推定する。具体的には、第1に、推定部25は、図10における近似グラフ62と閾値を示す水平線との交点の横軸座標t*、及び、現在時刻から時刻t*までの猶予期間Δtを推定する。
第2に、推定部25は、診断結果情報32(図5)のレコードを修正する。このとき、推定部25は、図5の診断結果情報32のレコード120以降の異常度のうち、閾値に達しているもの(レコード121以降)を“〈〈 〉〉”で括る。
ステップS208において、異常予兆診断装置1の表示処理部26は、診断結果を表示する。具体的には、表示処理部26は、ステップS207の“第1”において推定した時刻t*及び猶予期間Δtを出力装置13に表示する。表示処理部26は、正常カテゴリのクラスタ、予兆カテゴリのクラスタ、異常度及び寄与度を示す図7を作成し、出力装置13に表示してもよい。さらに、表示処理部26は、時刻t*及び猶予期間Δtを示す図10を作成し、出力装置13に表示してもよい。ユーザは、当該猶予期間Δtのうちに、最も寄与度が大きい原因に対して、どのような対策を講じるかを決定することになる。
その後、処理手順を終了する。
(変形例)
近似グラフ62が1次関数であり、その傾きが負値である場合、ステップS207の“第1”において、推定部25は、異常度が閾値に達する将来の時刻を推定できなくなる。この場合、ステップS208において表示処理部26は、例えば以下のようなメッセージを出力装置13に表示してもよい。
・“当面、異常が発生する見込みはありません。”
・“プラントは、過去に経験したことのない正常状態に入りました。”
(本実施形態の効果)
本実施形態の異常予兆診断装置の効果は以下の通りである。
(1)異常予兆診断装置は、プラントが実際に異常となる将来の時刻を推定できる。
(2)異常予兆診断装置は、実績のある適応共鳴理論を使用する他のアプリケーションと連携できる。
(3)異常予兆診断装置は、異常度を画面上の距離としてわかり易く表示できる。
(4)異常予兆診断装置は、関数を使用して、将来異常度が閾値に達する時刻を簡便に推定できる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1 異常予兆診断装置
2 プラント
3 計測・制御装置
4 ネットワーク
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 前処理部
22 分類部
23 算出部
24 予測部
25 推定部
26 表示処理部
31 計測値情報
32 診断結果情報

Claims (6)

  1. プラントから取得される計測値を、前記計測値が相互に類似するもの同士で複数のカテゴリに分類する分類部と、
    前記プラントが正常であることが既知である期間において取得された前記計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、前記正常カテゴリに属する計測値と比較した結果である特徴量を算出する算出部と、
    前記算出した特徴量を将来の時系列で予測する予測部と、
    前記予測した特徴量に対して所定の閾値を適用することによって前記プラントが異常となる将来の時期を推定する推定部と、
    を備えることを特徴とする異常予兆診断装置。
  2. 前記分類部は、
    適応共鳴理論を使用すること、
    を特徴とする請求項1に記載の異常予兆診断装置。
  3. 前記算出部は、
    前記予兆カテゴリに属する計測値と、前記正常カテゴリに属する計測値との距離
    を前記特徴量とすること、
    を特徴とする請求項2に記載の異常予兆診断装置。
  4. 前記予測部は、
    時間と前記特徴量との関係を関数で近似すること、
    を特徴とする請求項3に記載の異常予兆診断装置。
  5. 異常予兆診断装置の分類部は、
    プラントから取得される計測値を、前記計測値が相互に類似するもの同士で複数のカテゴリに分類し、
    前記異常予兆診断装置の算出部は、
    前記プラントが正常であることが既知である期間において取得された前記計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、前記正常カテゴリに属する計測値と比較した結果である特徴量を算出し、
    前記異常予兆診断装置の予測部は、
    前記算出した特徴量を将来の時系列で予測し、
    前記異常予兆診断装置の推定部は、
    前記予測した特徴量に対して所定の閾値を適用することによって前記プラントが異常となる将来の時期を推定すること、
    を特徴とする異常予兆診断装置の異常予兆診断方法。
  6. 異常予兆診断装置の分類部に対し、
    プラントから取得される計測値を、前記計測値が相互に類似するもの同士で複数のカテゴリに分類する処理を実行させ、
    前記異常予兆診断装置の算出部に対し、
    前記プラントが正常であることが既知である期間において取得された前記計測値が属する正常カテゴリ以外の予兆カテゴリに属する計測値を、前記正常カテゴリに属する計測値と比較した結果である特徴量を算出する処理を実行させ、
    前記異常予兆診断装置の予測部に対し、
    前記算出した特徴量を将来の時系列で予測する処理を実行させ、
    前記異常予兆診断装置の推定部に対し、
    前記予測した特徴量に対して所定の閾値を適用することによって前記プラントが異常となる将来の時期を推定するする処理を実行させること、
    を特徴とする異常予兆診断装置を機能させるための異常予兆診断プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022097385A1 (ja) * 2020-11-05 2022-05-12 株式会社日立製作所 データ解析装置、プログラムおよびデータ解析手法
JP7374528B1 (ja) 2022-10-17 2023-11-07 巴バルブ株式会社 バルブ状態診断装置及び状態診断方法

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