JP2020175713A - マルチローター航空機 - Google Patents

マルチローター航空機 Download PDF

Info

Publication number
JP2020175713A
JP2020175713A JP2019077735A JP2019077735A JP2020175713A JP 2020175713 A JP2020175713 A JP 2020175713A JP 2019077735 A JP2019077735 A JP 2019077735A JP 2019077735 A JP2019077735 A JP 2019077735A JP 2020175713 A JP2020175713 A JP 2020175713A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
angle
fuselage
thrust
aircraft
rotor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019077735A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020175713A5 (ja
Inventor
泰 森川
Yasushi Morikawa
泰 森川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2019077735A priority Critical patent/JP2020175713A/ja
Publication of JP2020175713A publication Critical patent/JP2020175713A/ja
Publication of JP2020175713A5 publication Critical patent/JP2020175713A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】複数の回転翼を備えたマルチローター航空機において、簡易な機構で水平飛行時に高いエネルギー効率での飛行を可能とする。【解決手段】マルチローター航空機は、胴体と、胴体に対して固定して配置された翼であって、胴体に対する翼の翼弦の角度が一定である翼と、胴体および/または翼に設けられた複数の回転翼であって、胴体に対する、複数の回転翼の回転面の角度がそれぞれ一定である複数の回転翼と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、マルチローター航空機に関し、詳しくは、複数のローター及び翼を備えた航空機に関するものである。
特許文献1には、垂直離着陸機能(以下、VTOLともいう)を有したマルチローター航空機が、複数のローター(以下、回転翼ともいう)に加えて、翼を備えることが記載されている。そして、翼はその傾きを変更できるように構成され、それによって機体の姿勢を保ったまま迎角を変えることを可能としている。このような、翼を備えたマルチローター航空機では、水平飛行におけるエネルギー効率を増すことが可能となる。すなわち、水平飛行時に翼によって発生する揚力を用いることにより回転翼による推力を抑えることができる。
特表2017−515621号公報
しかしながら、特許文献1に記載のマルチローター航空機は、翼の傾きを変更するための機構を備える。このため、機構が複雑となり、また、翼の傾きを制御するための制御構成も複雑となる。その結果、例えば、機体の重量が増し航続距離や航続時間が小さくなる、などといった問題を生じ得る。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、複数の回転翼を備えたマルチローター航空機において、簡易な機構で水平飛行時に高いエネルギー効率での飛行を可能とするマルチローター航空機を提供することを目的とする。
本発明の一態様では、マルチローター航空機において、胴体と、前記胴体に対して固定して配置された翼であって、前記胴体に対する前記翼の翼弦の角度が一定である翼と、前記胴体および/または前記翼に設けられた複数の回転翼であって、前記胴体に対する、前記複数の回転翼の回転面の角度がそれぞれ一定である複数の回転翼と、を備えることを特徴とする。
(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態に係る、マルチローター航空機の外観を示すそれぞれ斜視図および正面図である。 上記実施形態に係る航空機の回転翼の配置を模式的に示す上面図である。 本実施形態の航空機における回転翼20a、20cおよび翼102の取付角などを説明する図である。 本実施形態のマルチローター航空機のホバリングモードを説明する図である。 (a)〜(c)は、マルチローター航空機の水平飛行モードを説明する図である。 回転翼の一般的な配置の考え方を説明する図である。 本実施形態の航空機のピッチ角の変化に対する推力の変化を示すグラフである。 本実施形態の航空機のピッチ角の変化に対する飛行速度の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る翼の取付角を0〜15度の範囲で変えた場合の、ピッチ角の変化に対する必要推力の変化を示すグラフである。 実施形態のマルチローター航空機のホバリング状態から水平飛行状態へと遷移する場合の遷移過程を説明する図である。 実施形態のマルチローター航空機の水平飛行状態からホバリング状態へと遷移する場合の遷移過程を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係る、マルチローター航空機の概略構成を模式的に示す平面図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態に係る、マルチローター航空機100の外観を示すそれぞれ斜視図および正面図である。図1(a)および(b)に示すように、本実施形態のマルチローター航空機100は、機体胴体101の左右に翼102がそれぞれ取り付けられて構成される。
胴体101と翼102には、それぞれ2つの回転翼(ローターとも言う)20a〜20dが設けられる。そして、これら回転翼が設けられる、胴体101および翼102の部位は貫通した孔21の形態であり、それぞれの回転翼は、図3にて後述されるように、孔21の中で胴体の基準線に対して所定の傾きを有するよう配置される。また、それぞれの孔21には、モーター(不図示)が設けられ、対応する回転翼の回転が可能となる。また、胴体101にはそれぞれのモーターへ電力を供給するバッテリー(不図示)や回転翼の回転数を制御する制御回路(不図示)が設けられている。以上の構成によって、回転翼20a〜20dはそれぞれの回転によって推力を生じ、それぞれの回転数が制御されることによって同じまたは異なる推力を生じさせることが可能となる。
本実施形態の回転翼20a〜20dは、孔21によって胴体101および翼102の内部に埋め込まれた形態である。すなわち、胴体101および翼102は、孔21が設けられる部位を除いて空気力学的に抵抗が少なくなる形状に形成されている。これにより、回転翼を設けることによる空気抵抗の増大を抑制することができる。さらには、翼102は、操舵面を有しないことから、これによっても、空気抵抗の増大を抑制することができる。
また、本実施形態のマルチローター航空機は、地上のオペレータが無線通信を介して回転翼の回転数などを制御するものである。すなわち、無人機の形態の航空機である。なお、この形態に限定されず、胴体101に操縦席が設けられた有人の航空機の形態にも本発明を適用することができることはもちろんである。
また、回転翼の数は上述のように4つに限られず、後述されるように、8つなど複数とすることができることは明らかである。さらに、機体形態は、上記形態のように回転翼を埋め込む形態に限られず、例えば、回転翼がむき出しの形態であってもよい。加えて、回転翼は胴体101のみ、または、翼102のみに設けられてもよい。この場合においても、回転翼は図6にて後述する関係を満たす必要がある。
図2は、本実施形態に係る航空機100の回転翼の配置を模式的に示す上面図である。図2おいて、回転翼20a、20cは時計回りの回転をする回転翼であり、一方、回転翼20b、20dは反時計回りの回転をする回転翼である。この回転方向を持ったそれぞれの回転翼の配置によって、詳細が後述されるように、回転翼の回転の反力による機体の回転を防止しつつ、合成推力が機体の重心に作用するようにすることができる。
図3は、本実施形態の航空機100における回転翼20a、20cおよび翼102の取付角などを説明する図である。同図は、図1に示す胴体101の縦方向中央を通る断面と翼102の部分の断面を重ねて示したものである。この断面に現れない、翼102内に設けられた回転翼20b、20dは、以下で説明する回転翼20a、20cと同じ取付角を有している。
図3は、航空機100の機体がピッチ角θpで傾いた状態を示している。このピッチ角θpは、胴体101の基準線AFlの、図中矢印FDで示される飛行方向(図3に示す例は水平飛行)に対する傾き角として定義され、図3の面を見る方向において時計回りの傾きを正とするものである。この角度の正負の基準は以下で説明する各角度についても適用される。なお、図3には示されない他方の翼102の断面を図3の面の裏側から見るとき、上記時計回りおよび反時計周りと、正および負の関係は逆になることはもちろんである。また、基準線AFlは、例えば、回転翼20aおよび20cの回転面の中心を通る線とすることができる。
基準線AFlに対して、回転翼20a、20cはその取付角θrが負の傾き角を持つよう取り付けられる。なお、この回転翼の取付角とは回転翼が回転するときの回転面がなす角度として定義されるものである。一方、翼102は、その取付角θwが基準線AFlに対して正の傾き角を持つよう取り付けられる。
以上説明した回転翼および翼の取付角を有する航空機100が、図3に示すピッチ角θpで飛行するとき、回転翼20a〜20dのピッチ角はθprとなり、θpr=θp+θrの関係がある。すなわち、回転翼の取付角θrを大きくする程、飛行の際にとられるピッチ角θpに応じて回転翼のピッチ角θprが大きくなる。また、ピッチ角θpで飛行する航空機において、翼102は迎角αとなり、α=θw+θpの関係がある。すなわち、翼102の取付角θwが大きいほど迎角αが大きくなる関係にある。ここで、αは、翼102の翼弦線Clの、飛行方向FDに対する傾きとして表され、図に示す例は、上記角度の正負の基準からすれば、正となる。以上のとおり、ピッチ角θprや迎角αは、航空機が飛行する際のパラメータであり、これらは、回転翼や翼の取付角と関連している。
図4は、以上の構成を有するマルチローター航空機100が有する飛行モードのうち、ホバリングモードを説明する図であり、主に、ホバリングモードにおける力の釣り合いを示している。
ホバリングモードでは、図3に示す状態において、4つの回転翼20a〜20dのピッチ角θprを0度、すなわち、それぞれの回転翼の回転面を水平線と平行になるように制御する。この飛行制御は、例えば、胴体101に配置される回転翼20a、20cのうち、胴体後部に配置される回転翼20aの時間当りの回転数(推力)を、胴体前部に配置される回転翼20cの時間当りの回転数(推力)より小さくすることによって行う。
図4に示すように、ホバリングモードでは、一例として、回転翼20a、20cは回転によってそれぞれ推力F1、F2を発生する。翼102に配置される回転翼20b、20dも推力F3、F4を発生する。そして、それぞれが発生する推力は、その推力とそれぞれの回転翼の機体の重心からの距離との積が相互に等しくなるよう制御する。これにより、合成推力Fが航空機100の機体の重心に作用することになる。このとき、上記合成推力Fは、機体の重心に作用する航空機100の機体の総重量による重力Gと釣り合っている。
ホバリングモードにおいて、航空機100は、図4に示す姿勢を保ったまま、等しい推力F1〜F4の大きさを全体的に変化させる制御を行うことにより、上昇または下降することができる。また、風がある場合は、この風によって機体の位置が変化しないようにする制御を行うことができる。具体的には、風に向う方向に対して機体を傾けるように4つの回転翼の推力を制御し、これにより、これら推力の合成推力Fの水平成分が、風が機体に作用する力に釣り合うようにする。この場合、4つの回転翼の推力を制御することによって、風に向う方向に機首を向ければ、翼102による揚力も作用することから、回転翼による推力の発生を低減することができる。
図5(a)〜(c)は、マルチローター航空機100が有する飛行モードのうち、水平飛行モードを説明する図であり、主に、水平飛行モードにおける力の釣り合いを示している。
図5(a)は、回転翼20a〜20dが航空機100の機体に作用する推力を示している。飛行方向FDに対して機体を傾け所定のピッチ角θpとすることにより、回転翼20a〜20dが発生する推力F1〜F4は合成推力Fとして機体の重心に作用する。そして、この合成推力Fは、上記ピッチ角θpに応じた垂直成分Fvと水平成分Fhの分力を有する。また、図5(b)は、航空機100が所定の速度で方向FDに飛行しているときに翼102に生じる、機体に作用する揚力と抗力を示している。すなわち、翼102は迎角αに対応して、飛行方向に垂直な方向の揚力Lを発生する。これとともに、翼102には、飛行方向FDとは反対の方向に抗力Dが作用し、また、機体全体に対して有害抗力Dpが作用する。
図5(c)は、図5(a)および(b)で上述した回転翼の推力と翼の揚力および抗力の作用によって水平飛行を行う航空機100における力の釣り合いを示している。飛行方向と垂直な方向においては、機体の総重量による重力Gに対して、合成推力の垂直成分Fvと揚力Lとの合力が釣り合うよう作用している。一方、飛行方向FDである水平方向においては、合成推力の水平成分Fhと、翼および機体に作用する抗力Dおよび有害抗力Dpの合力とが釣り合っている。すなわち、図に示す状態は定速の水平飛行を行っているときの釣り合いを示している。
以上の飛行モード間の遷移は、徐々にピッチ角θpを変化させることによって行う。ホバリングモードから水平飛行モードへの遷移は、ピッチ角θpを減少させることにより、合成推力の水平成分Fhを大きくして行き、水平飛行における釣り合いの水平成分Fhを得る。このとき、ピッチ角θpを徐々に減少させて行くとき、垂直方向の釣り合いを考慮して推力Fを調整する。一方、水平飛行モードからホバリングモードへの遷移は、ピッチ角θpを増加させることにより合成推力Fの水平成分Fhを減少させて行き、ホバリングモードに移行させる。
図6は、以上説明した回転翼の一般的な配置の考え方を説明する図であり、航空機を上面から見たときの配置を示している。図において、回転翼30はその回転方向が時計回りの回転翼を示し、回転翼31は反時計回りの回転翼を示している。そして、図6は3つの時計回りの回転翼30および4つの反時計回りの回転翼31が配置される例を示している。
30tは3つの回転翼30の合成した推力とトルクを生じる仮想の回転翼を示し、31tは4つの回転翼31の合成した推力とトルクを生じる仮想の回転翼を示している。これらの仮想の回転翼30t、31tの位置は、回転翼30または回転翼31のそれぞれの推力の大きさに応じて異なるが、図6に示されるように、航空機の機体の重心GCに関して対称の位置に配置されるように制御すると、釣り合いがとれる。このように、例えば、ホバリング時には、7つの回転翼が、上述した合成推力の対象配置となるようにそれぞれの推力を制御して回転することにより、モーメントが釣り合い、機体が水平面内で回転しないようにでき、また、推力が釣り合い、機体が傾かないようにすることができる。この結果、機体のホバリングが可能となる。なお、エンベロープ30e、31eは、回転翼30、31を内側に含む最小面積の凸な多角形で、仮想回転翼30t、31tはこの内側に存在しうる。また、仮想回転翼30t、31tが重心に関する対称な配置となり、仮想の回転翼同士の重心周りでの釣り合いをとることができるためには、図6を例に採ると、エンベロープ30eを重心に対し点対称に写像させた場合に、その写像させたエンベロープの像が、エンベロープ31eと重なる部分があることが必要である。つまり、そのように重なっている場合に、回転翼30及び31の各推力を調整することで、仮想の回転翼の配置を変化させ重心周りでの釣り合いをとることができるものである。
次に、図4、図5にて上述した各飛行モードにおける釣り合いに基づく、本実施形態の航空機100の飛行性能について説明する。
図7および図8は、本実施形態の航空機100のピッチ角の変化に対する推力および飛行速度の変化をそれぞれ示すグラフである。
図3などで前述したように、ピッチ角をθp、回転翼の取付角をθrとするとき、回転翼20a〜20dのピッチ角θprは、θpr=θp+θrの式で表わされる。また、翼102の取付角をθw、翼102の迎角をαとするとき、迎角は、α=θp+θwの式で表される。これらの式の関係を用いて、図5(c)にて説明した釣り合いを式で表すと、
Figure 2020175713
Figure 2020175713
となる。ここで、mは機体重量、gは重力加速度、sは翼面積、Fは回転翼の合成推力、vは飛行速度、CLは揚力係数、CDは抗力係数、CDfは胴体抗力係数、sfは胴体代表面積である。
上記(1)式、(2)式をFとvについて解くと合成推力(以下、必要推力ともいう)Fと飛行速度vが以下の(3)式、(4)式によって表される。
Figure 2020175713
Figure 2020175713
ここで、図7および図8に示す関係は、航空機100が以下の仕様であるときに求められたものである。すなわち、翼102の翼型はNACA4412、機体重量はm=1.0kg、翼面積はs=0.06m2である。また、CDff=0.03m2である。回転翼の取付角θrを−10度、翼の取付角θwを10度とし、揚力係数CLおよび抗力係数CDは、
Figure 2020175713
Figure 2020175713
で近似式として表されるとする。これら(5)式、(6)式による揚力係数CLおよ及び抗力係数CDを、(3)式、(4)式に代入して、計算を行うことにより、合成推力Fと飛行速度vを、図7および図8のように表すことができる。
図7、図8において、回転翼の取付角θrを−10度としているので、上記θpr=θp+θrの関係から、グラフ横軸のピッチ角θpが10度のところで、回転翼は水平(回転翼のピッチ角θpr=0)になっている。このとき、翼は水平から20度上を向いている状態である(翼弦線Clの角度が20度)。ここから、機体がピッチダウンして行くに従って、すなわち、ピッチ角θpが負の方向に変化するのに従い、必要推力Fは、図7に示すように、徐々に減少して行く。そして、ピッチ角θpが−2度付近を超えると増加に転ずる。このときの迎角αは8度近傍である。このように必要推力が最小となる点の近傍で、翼102のL/Dが最良(最大)となっている。なお、必要推力が最小となるピッチ角は最良(最大)のL/Dだけで決まる訳ではない。ピッチ角に応じて推力およびL/Dがそれぞれに変化するものであり、その場合に、例えば、航空機の仕様が異なれば、L/Dが最良(最大)となるピッチ角と、必要推力が最小となるピッチ角にずれがある場合もある。
一方、図8に示すように、飛行速度は、ピッチ角θpが負の方向に変化するのに従い、釣り合いの飛行速度vは増加してゆく。すなわち、ピッチ角θpが負の方向に変化するのに従って、回転翼の推力の水平方向成分が増して行きそれに応じて飛行速度が増すことになる。
図9は、翼102の取付角θwを0〜15度の範囲で変えて計算したときの、ピッチ角の変化に対する必要推力の変化を示すグラフである。
それぞれの取付角について、迎角αが−4〜13度の範囲でピッチ角に対する必要推力の変化を示している。すなわち、迎角が−4度以下の場合は揚力係数CLが負になり、13度以上では揚力係数CLが頭打ちになり、失速迎角に近くなるからである。 図9に示すように、翼102の取付角を大きくすると、最小の必要推力となるピッチ角が小さくなる。すなわち、回転翼のピッチ角θprが小さくなるところで、従って、回転翼の推力の水平成分が大きいところで、釣り合うことになる。この結果、翼の揚力の利用率が高まり、水平飛行における必要推力を小さくすることができる。
図9において、翼の取付角が0度の場合、必要推力Fが最小となるピッチ角では、ホバリング時(ピッチ角θp=10度)の必要推力Fに対し、約85%の推力で飛行していることになる。この時の飛行速度は約7.4m/sである。翼の取付角が15度の場合、必要推力Fが最小となるピッチ角である、−4.5度近傍のときに、その必要推力がホバリング時の必要推力に対して58%となり、飛行速度は約8.4m/sとなる。
このように、ホバリング時に対して必要推力が最小となるピッチ角は、理論的には、(3)式に(5)式および(6)式を代入することにより、必要推力Fをピッチ角θpの関数とし、必要推力Fが極値を取るときのピッチ角θpである。
以上説明したように、本発明の実施形態では、迎角αが、巡航時に揚力係数CLが0より大きくなる範囲で、かつ失速迎角より小さい範囲の迎角となるよう、翼102の取付角θwを定める。また、この取付角θwは、0度以上の値とする。そして、ピッチ角θpの変化に対して、上記取付角θwが0度の場合より最小必要推力Fが小さくなる範囲で最小必要推力Fが変化するよう、取付角θwを定める。具体的には、図9に示すように、翼102の取付角θwが0度以上の範囲で、航空機100の仕様を考慮して、例えば、同図に示す5度、10度、15度などの取付角とする。そして、この取付角を大きくするほど、迎角αの上述した−4度〜13度を満たす、ピッチ角θpの範囲が負の方にずれる。このように、航空機100の水平かつ定速の飛行を実現するピッチ角θpの範囲内で、上記取付角θwを定めることができる。
上述のように定められた本実施形態の翼102の取付角によれば、比較的小さい必要推力で必要な揚力(釣り合い)を生じせることができる。これにより、例えば、外乱に対して、制御のための余力がある状態で、すなわち推力を増すことができる状態で、対応することが可能となる。
以上のように、翼が所定の取付角で固定されていても、適切な翼の取付角を選択し、さらに、ピッチ角θpを制御することにより、水平飛行時の回転翼の推力を抑えることができ、より効率の良い水平飛行が可能となる。すなわち、本実施形態のマルチローター航空機において、航続距離および航続時間を延ばすとともにペイロードを増加させることが可能となる。
図10は、本実施形態のマルチローター航空機100が垂直に飛び立ち、ホバリング状態となったところから、水平飛行状態へと遷移する場合の遷移過程を説明する図である。
ステップS1001でホバリング状態を維持する。そして、この状態から水平飛行状態へ遷移するときは、ステップS1002、S1103で、機体100の重心より前方にある回転翼20cの推力を低減し、後方にある回転翼20aの推力を増す。これにより、機体100は前傾し回転翼20a〜20dのピッチ角θprが0度よりも小さくなり、回転翼20a〜dにより飛行方向である水平方向への推力が生じる。これにより、機体100は水平方向へと加速しつつ飛行を継続する。そして、推力の水平方向成分と固定翼102に働く抗力がつりあったところで水平方向への速度は一定値へと収束し、目標巡航速度に達しない場合には、目標巡航速度に達するまでステップS1002、S1103を繰り返し、目標巡航速度に達するとステップS1004で、水平飛行状態となる。この間、高度が低下しないように、各回転翼の推力を制御する。
図11は、本実施形態のマルチローター航空機100が水平飛行状態からホバリング状態へと遷移する場合の遷移過程を説明する図である。
ステップS1101で、水平飛行状態を維持する。この状態からホバリング状態へと遷移するには、先ず、ステップS1102、S1103で、機体100の重心前方にある回転翼20cの推力を増し、後方にある回転翼20aの推力を減少させる。これにより、機体100は時計回りに傾き、回転翼20a〜dのピッチ角θprが増し、飛行している方向への回転翼20a〜dの推力の水平方向成分が減少し、飛行している方向と逆の方向への固定翼102と胴体101に働く抗力が相対的に大きくなる。これによって、機体100は減速を始める。そして、推力の水平方向成分と固定翼102に働く抗力とがつりあったところで、機体100の水平方向への速度が一定値へと収束する。この時、高度が落ちないように、各回転翼の出力を調節する。このステップS1102、S1103を繰り返すことで、機体は徐々に減速してゆき、最終的に、ステップS1104で、ホバリング状態に落ち着く。
(他の実施形態)
図12は、本発明の他の実施形態に係る、マルチローター航空機200の概略構成を模式的に示す平面図である。同図に示すマルチローター航空機200は、回転翼が8つであること以外は、上述した第1の実施形態のマルチローター航空機100と同じである。このため、詳細な説明は省略する。本実施形態の8つの回転翼は、図6にて上述した関係を満たすものであり、また、図7〜図9にて説明した性能を発揮できるよう、翼の取付角との関係を満たしている。
20a〜20d 回転翼(ローター)、
100 航空機(機体)
101 胴体
102 翼
AFl 胴体の基準線
Cl 翼弦
θw 翼の取付角
θr 回転翼の取付角
θp ピッチ角
θpr 回転翼のピッチ角
α 迎角

Claims (6)

  1. 胴体と、
    前記胴体に対して固定して配置された翼であって、前記胴体に対する前記翼の翼弦の角度が一定である翼と、
    前記胴体および/または前記翼に設けられた複数の回転翼であって、前記胴体に対する、前記複数の回転翼の回転面の角度がそれぞれ一定である複数の回転翼と、
    を備えることを特徴とするマルチローター航空機。
  2. 前記複数の回転翼の回転面の角度のそれぞれは前記胴体の基準線に対して負の値であり、前記翼の角度は前記胴体の基準線に対して正の値であることを特徴とする請求項1に記載のマルチローター航空機。
  3. 前記翼の角度は、ピッチ角を変えたときに、当該翼の迎角が、揚力係数が0より大きくなる範囲でかつ失速迎角より小さい範囲の迎角となるように定められた、0度以上の値であり、および前記胴体のピッチ角の変化に対して、前記翼の角度が0度の場合より水平飛行のために前記複数の回転翼によって発生すべき必要推力が小さくなる範囲で前記必要推力が変化するよう定められた値であることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチローター航空機。
  4. 前記複数の回転翼は、少なくとも前記胴体に2つ、少なくとも前記翼に2つ設けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマルチローター航空機。
  5. 前記翼は、操縦翼面を有しないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマルチローター航空機。
  6. 前記胴体における前記回転翼の仮想の推力の位置と前記翼における前記回転翼の仮想の推力の位置が、機体の重心を中心とした平面視で点対称であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマルチローター航空機。
JP2019077735A 2019-04-16 2019-04-16 マルチローター航空機 Pending JP2020175713A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019077735A JP2020175713A (ja) 2019-04-16 2019-04-16 マルチローター航空機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019077735A JP2020175713A (ja) 2019-04-16 2019-04-16 マルチローター航空機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020175713A true JP2020175713A (ja) 2020-10-29
JP2020175713A5 JP2020175713A5 (ja) 2022-02-01

Family

ID=72936510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019077735A Pending JP2020175713A (ja) 2019-04-16 2019-04-16 マルチローター航空機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020175713A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112520026A (zh) * 2020-12-23 2021-03-19 中国民用航空飞行学院 一种新型变体飞行器

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016501154A (ja) * 2012-12-07 2016-01-18 デロリアン エアロスペース リミテッド ライアビリティ カンパニー 垂直離着陸機
JP2018134908A (ja) * 2017-02-20 2018-08-30 株式会社菊池製作所 無人航空機

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016501154A (ja) * 2012-12-07 2016-01-18 デロリアン エアロスペース リミテッド ライアビリティ カンパニー 垂直離着陸機
JP2018134908A (ja) * 2017-02-20 2018-08-30 株式会社菊池製作所 無人航空機

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112520026A (zh) * 2020-12-23 2021-03-19 中国民用航空飞行学院 一种新型变体飞行器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10974827B2 (en) Electric tiltrotor aircraft
US20190071174A1 (en) Vertical take off and landing aircraft with four tilting wings and electric motors
EP2991897B1 (en) Vertical takeoff and landing (vtol) air vehicle
US6464166B1 (en) Ducted fan vehicles particularly useful as VTOL aircraft
US20160236775A1 (en) Vertical takeoff and landing aircraft
EP3087003B1 (en) An unmanned aerial vehicle
CN110466752B (zh) 一种倾转旋翼无人机的控制方法及倾转旋翼无人机
CN113784890B (zh) 混合旋翼式飞行器
CN108639332B (zh) 复合三旋翼无人机多模态飞行控制方法
WO2013048339A1 (en) An unmanned aerial vehicle
JP2004503430A (ja) 航空機に関する改良
US20180093765A1 (en) Enhanced net pitching moment multi-wing vtol compact personal aircraft
US11919631B2 (en) Vertical take-off and landing aircraft with aft rotor tilting
JP6613423B1 (ja) 有人飛行体
WO2017042291A1 (en) Aircraft for transport and delivery of payloads
US11230373B2 (en) Assembly and method for helicopter anti-torque
CN111348183A (zh) 飞行器
CN112368206A (zh) 尾座式垂直起降飞机
JP2020175713A (ja) マルチローター航空機
CN112685832B (zh) 垂直起降固定翼飞机过渡过程走廊构建方法
CN209581874U (zh) 一种垂直起降无人机
CN110770121B (zh) 飞行器
CN112896485B (zh) 一种流线型机身的两轴倾斜翼飞行器及控制方法
CN211223856U (zh) 一种垂直旋翼与倾斜旋翼混合固定的无人机
JP2022016569A (ja) 翼回転垂直離着陸長距離航空機

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220124

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240116