JP2020175582A - 液室ユニット、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可撓膜部材が撓みにくくなる虞を低減できる液室ユニット、液体噴射装置を提供する。【解決手段】液体を噴射する液体噴射部に供給される液体を貯留可能な液室74を有する圧力調整弁38であって、第1凹部83を有するベース部材70と、第1凹部83の開口部を覆うようにベース部材70に接合されて第1凹部83との間に液室74を形成する第1可撓膜部材71と、液室74内に位置する接合部92が内側フィルム層71aに接合されて、第1可撓膜部材71の変形に対応して変位する変位部材79と、を備え、内側フィルム層71aは、ベース部材70に接合されて液室74に貯留される液体と接し、外側フィルム層71bは、内側フィルム層71aに対して液室74とは反対側の面に接着され、第1可撓膜部材71において変位部材79が接合される接合領域Ab内には、外側フィルム層71bを積層方向Dsに貫通する貫通部94が設けられている。【選択図】図11
Description
本発明は、液体を貯留可能な液室を有する液室ユニット、液室ユニットを有する液体噴射装置に関する。
例えば特許文献1のように、液体供給源の一例であるインクカートリッジから供給された液体の一例であるインクを、液体噴射部の一例であるインクジェットヘッドから吐出して画像を形成する液体噴射装置の一例であるプリンターがある。プリンターは、インクを安定して供給するために、インクを供給するインク供給管に設けられるエアダンパーを備える。
エアダンパーは、液室の一例であるインク貯留部の一部が、可撓膜部材の一例である積層フィルムにより構成される。積層フィルムは、内側フィルム層の一例である内層と、外側フィルム層の一例である外層と、を接着剤により貼り合わせて構成されていた。
内側フィルム層と外側フィルム層とを含む可撓膜部材は、液室に液体を貯留する状態で時間が経過すると、内側フィルム層と外側フィルム層との間に液体が溜まることがある。内側フィルム層と外側フィルム層との間に溜まる液体の量が多くなると、可撓膜部材が撓みにくくなってしまう。
上記課題を解決する液室ユニットは、液体を噴射する液体噴射部に供給される前記液体を貯留可能な液室を有する液室ユニットであって、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成され、凹部を有するベース部材と、前記ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層と、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層と、を含み、前記凹部の開口部を覆うように前記ベース部材に接合されて前記凹部との間に前記液室を形成する可撓膜部材と、前記液室内に位置する接合部が前記内側フィルム層に接合されて、前記可撓膜部材の変形に対応して変位する変位部材と、を備え、前記内側フィルム層は、前記ベース部材に接合されて前記液室に貯留される前記液体と接し、前記外側フィルム層は、前記内側フィルム層に対して前記液室とは反対側の面に接着され、前記可撓膜部材において前記変位部材が接合される接合領域内には、前記外側フィルム層を積層方向に貫通する貫通部が設けられている。
以下、液室ユニット及び液体噴射装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体噴射装置は、例えば用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射して印刷するインクジェット式のプリンターであり、長尺の媒体に印刷を行うラージフォーマットプリンターでもある。
図面では、液体噴射装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
図1に示すように、液体噴射装置11は、支持台12に支持された媒体13を支持台12の表面に沿って搬送する搬送部14と、搬送される媒体13に液体を噴射して印刷を行う印刷部15と、を備える。支持台12は、印刷位置に位置する媒体13を支持する。印刷部15は、印刷位置に位置する媒体13に向かって鉛直方向Zに液体を噴射し、媒体13の印刷面に印刷する。搬送部14が媒体13を搬送する搬送方向Yは、印刷位置においてY軸と平行である。
支持台12、搬送部14、及び印刷部15は、ハウジングやフレームなどによって構成されるプリンター本体16に組み付けられている。支持台12は、液体噴射装置11において、媒体13の幅方向でもある走査方向Xに延在している。走査方向Xは、X軸に平行な方向である。また、プリンター本体16には、カバー17が開閉可能に取り付けられている。
支持台12は、一例として、アルマイト処理されたアルミニウムで形成されている。支持台12は、媒体13を加熱する図示しない加熱装置を有している。支持台12は、電気的に接地されている。支持台12は、媒体13の幅方向の端部の浮きを防止するための図2に示す浮き防止部材12Aを走査方向Xの両側に備えている。浮き防止部材12Aは、一例として、ステンレスで形成されており、印刷部15による印刷動作と同期して媒体13の幅方向に移動可能に設けられている。
搬送部14は、搬送方向Yにおける支持台12の上流に配置される上流搬送ローラー対18と、支持台12の下流に配置される下流搬送ローラー対19と、を備える。搬送部14は、搬送方向Yにおける下流搬送ローラー対19の下流に配置されて媒体13を支持しながら案内する案内板20を備えている。上流搬送ローラー対18及び下流搬送ローラー対19は、搬送モーター21に駆動されて、図示しないロールから巻き出された媒体13を挟持しながら回転することで、支持台12の表面及び案内板20の表面に沿って媒体13を搬送方向Yに搬送する。上流搬送ローラー対18と下流搬送ローラー対19のうち、媒体13の印刷面とは反対の裏面と接触する駆動ローラーは、表面がゴムで形成されている。一方、上流搬送ローラー対18と下流搬送ローラー対19のうち、媒体13の印刷面と接触する従動ローラーは、フッ素性またはフッ素加工された表面を有している。
なお、媒体13を巻き重ねたロールと上流搬送ローラー対18との間の搬送経路には、媒体13の裏面に接触して媒体13をガイドする、例えば、ステンレス製の図示しない上流側媒体支持部が設けられている。上流側媒体支持部は、加熱装置を備えており、裏側から媒体13を所定温度に加熱する。
印刷部15は、走査方向Xに沿って延設された第1ガイド軸22及び第2ガイド軸23と、その第1ガイド軸22及び第2ガイド軸23に案内されて走査方向X及び走査方向Xとは反対の方向に移動可能なキャリッジ25と、を備えている。キャリッジ25は、キャリッジモーター24の駆動に伴い走査方向X及び走査方向Xとは反対の方向に移動する。
キャリッジ25の下端部には、ノズル26を有する液体噴射部27が少なくとも1つ取り付けられている。本実施形態の液体噴射装置11は、2つの液体噴射部27を備える。液体噴射部27は、ノズル26から液体を噴射する。
すなわち、液体噴射部27は、ノズル26が形成されるノズル形成面61が、鉛直方向Zにおいて支持台12と所定の間隔を置いて対向する姿勢でキャリッジ25に取り付けられる。液体噴射部27は、キャリッジモーター24の駆動に伴いキャリッジ25と共に走査方向X及び走査方向Xと反対の方向に移動する。また、液体噴射部27と支持台12との距離、すなわち、ノズル形成面61と媒体13との間隔は、図示しない間隔変更装置によって変更可能である。液体噴射部27同士は、走査方向Xに所定の距離だけ離れ、且つ搬送方向Yに所定の距離だけずれるように配置されている。
液体噴射装置11は、液体供給源30から液体噴射部27へ液体を供給する供給機構31を備える。供給機構31の一部は、キャリッジ25の上側に取り付けられている。供給機構31は、液体供給源30が装着される装着部32側となる上流側から液体噴射部27側となる下流側に向かう供給方向Aに沿って液体を流動させる。供給機構31と装着部32は、液体の種類ごとに少なくとも1組設けられている。
本実施形態の液体噴射装置11は、供給機構31と装着部32とを複数備える。液体供給源30は、対応する装着部32にそれぞれ着脱自在に装着され、それぞれ異なる種類の液体を収容している。種類の異なる液体としては、顔料や染料などの着色剤の種類や色の異なるインク、着色剤を含まない保湿液や洗浄液などがある。インクの色は、一例としてシアン、マゼンタ、イエロー、黒、白、ライトマゼンタ、ライトシアン、ライトイエロー、灰、オレンジがある。液体噴射装置11は、各液体供給源30から供給される複数色のインクを液体噴射部27から噴射して媒体13にカラー印刷をしてもよい。濃色の媒体13に印刷をする場合、白インクによって下地印刷を行った後、その上にカラーインクによって印刷すると、発色よく印刷できる。液体噴射装置11は、1色のインクでモノクロ印刷をしてもよい。
供給機構31は、液体供給源30から供給される液体を液体噴射部27に供給可能に設けられる供給経路33を備えている。供給経路33には、上流側から順に、供給方向Aに液体を流動させる供給ポンプ34、液体中の気泡や異物を捕捉するフィルターユニット35、供給経路33を流れる液体の流れを変化させて液体を撹拌するスタティックミキサー36、液体を貯留する液体貯留室37、及び液体の圧力を調整する液室ユニットの一例である圧力調整弁38が設けられている。
供給ポンプ34は、ポンプ室の容積が可変のダイヤフラムポンプ40と、ダイヤフラムポンプ40よりも上流側に配置された吸入弁41と、ダイヤフラムポンプ40よりも下流側に配置された吐出弁42とを有している。吸入弁41及び吐出弁42は、下流側への液体の流れを許容する一方、上流側への液体の流れを阻害する一方向弁によって構成されている。
このため、供給ポンプ34は、ダイヤフラムポンプ40のポンプ室の容積が増大するのに伴って液体供給源30側から吸入弁41を介して液体を吸引し、ポンプ室の容積が減少するのに伴って液体噴射部27側へ吐出弁42を介して液体を吐出する。また、フィルターユニット35は、プリンター本体16のカバー17と対応する位置に配置され、供給経路33に対して着脱可能に装着されている。そして、フィルターユニット35は、カバー17を開くことで交換可能になっている。
液体噴射装置11は、液体噴射装置11における各機構の駆動を統括的に制御する制御部39を備える。制御部39は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成される。制御部39は、メモリーに記憶されたプログラムに従って液体噴射装置11で実行される各種動作を制御する。具体的には、制御部39は、搬送モーター21、キャリッジモーター24、及び供給ポンプ34などの駆動制御や、液体噴射部27の各ノズル26からの液体の噴射制御、ノズル形成面61と媒体13との間隔を変更する間隔変更装置の駆動制御などを行う。そして、液体噴射部27は、キャリッジモーター24の駆動に伴いキャリッジ25と共に走査方向X及び走査方向Xと反対の方向に交互に移動しながら各ノズル26から支持台12上を搬送される媒体13に対して液体を噴射することで印刷を行う。
図2に示すように、液体噴射装置11は、走査方向Xにおいて支持台12と隣り合う位置に、液体噴射部27のメンテナンスを行うためのメンテナンス部43を有している。本実施形態において、液体噴射部27が印刷のために媒体13に対して液体を噴射する領域であって、媒体13が搬送される可能性のある領域は、搬送領域PAとされている。この場合、メンテナンス部43は、走査方向Xにおけるキャリッジ25の移動範囲内であって搬送領域PAの外側に配置される。
メンテナンス部43は、走査方向Xにおいて搬送領域PAに近い位置から順に並ぶように配置された、液体受容部144を有したフラッシングユニット45、ワイパーユニット46、及び上端が開口した有底四角箱状の2つのキャップ部47を有したキャップユニット48を備えている。
キャリッジ25及び液体噴射部27は、印刷を行わないときや電源オフ時などに、キャップユニット48が配置されたホーム位置HPで待機する。すなわち、液体噴射部27は、走査方向Xにおいて、搬送領域PAとホーム位置HPとの間を移動可能になっている。
2つの液体噴射部27がホーム位置HPに移動されたときには、2つのキャップ部47が2つの液体噴射部27と鉛直方向Zでそれぞれ対向する。各キャップ部47は、キャッピングモーター49の駆動によって、各液体噴射部27に接触可能な位置と、各液体噴射部27から離れる位置との間で昇降される。
各キャップ部47は、複数のノズル26を囲むように各液体噴射部27に接触することによって各液体噴射部27との間に閉空間を形成するキャッピングを行う。各キャップ部47は、キャッピングにより各ノズル26内の液体の乾燥を抑制する。各液体噴射部27は、印刷を行わないときなどに、ホーム位置HPにおいて各キャップ部47によってキャッピングされる。キャップ部47は、ノズル形成面61に接触するため電気的に接地してもよい。
各キャップ部47内は、各キャップ部47に一端側が接続された図示しない吸引チューブを介して吸引ポンプ50によって吸引可能になっている。吸引ポンプ50は、各液体噴射部27を各キャップ部47がキャッピングした状態で駆動することにより、各キャップ部47内を吸引する吸引クリーニングを行う。吸引クリーニングでは、各ノズル26から各液体噴射部27内の増粘液体や気泡などが各キャップ部47内に排出される。各キャップ部47内の排出物は、図示しない廃液体タンクに排出される。なお、キャッピングモーター49及び吸引ポンプ50は、制御部39によって駆動制御される。
ワイパーユニット46は、液体噴射部27のノズル形成面61に接触して液体を吸収可能な布シート51を搭載したワイパーカセット52と、ワイパーカセット52が着脱自在に装着される上端が開口した有底四角箱状のワイパーホルダー53とを備えている。ワイパーユニット46は、一対のレール部54により、搬送方向Y及び搬送方向Yとは反対の方向に移動可能に案内されるようになっている。
また、フラッシングユニット45は、各ノズル26の目詰まりなどを予防または解消する目的のメンテナンス動作として、印刷とは無関係に各ノズル26から液体を噴射する、所謂フラッシングにより噴射される液体を液体受容部144で受容する。なお、フラッシングユニット45とワイパーユニット46は、搬送方向Yの上流に位置する液体噴射部27がワイパーユニット46の上方に位置するときに、搬送方向Yの下流に位置する液体噴射部27が液体受容部144の上方に位置するように、配置されている。
次に、液体噴射部27を含んで構成されるヘッドユニット55について説明する。
図3に示すように、1つのヘッドユニット55は、1つの液体噴射部27を含んで構成される。そのため、2つの液体噴射部27を備える本実施形態の液体噴射装置11は、2つのヘッドユニット55を備える。2つのヘッドユニット55は、同じ構成であるため、以下では、1つのヘッドユニット55について説明する。
図3に示すように、1つのヘッドユニット55は、1つの液体噴射部27を含んで構成される。そのため、2つの液体噴射部27を備える本実施形態の液体噴射装置11は、2つのヘッドユニット55を備える。2つのヘッドユニット55は、同じ構成であるため、以下では、1つのヘッドユニット55について説明する。
ヘッドユニット55は、キャリッジ25の下面部に取り付けられるもので、キャリッジ25に取り付けるためのブラケット部56と、ブラケット部56から下方へ突出する直方体状の液体噴射部27とを含む。
液体噴射部27は、ブラケット部56から下方へ突出する直方体状の流路形成部57と、流路形成部57の下側に固定された矩形板状のヘッド本体58とを備えている。ヘッド本体58における鉛直下方のノズル形成面61には、複数列のノズル列59が形成されている。本実施形態のヘッド本体58には、10列のノズル列59が形成されている。
図4に示すように、ヘッド本体58の下面側には、複数の貫通孔60aを有する板状のカバー部材60が、ノズル列59を構成する各ノズル26が開口するノズル形成面61の一部を覆うように取り付けられている。カバー部材60は、一例として、ステンレス材で形成されている。複数のノズル列59は、1つの貫通孔60aに所定列数ずつ露出している。本実施形態のカバー部材60は、5つの貫通孔60aを有し、1つの貫通孔60aは、ノズル列59を2列ずつ露出させる。
ノズル形成面61のうち貫通孔60aにより露出する領域がノズル周辺領域62となる。つまり、貫通孔60aは、ノズル周辺領域62を露出させる。ノズル形成面61は、ノズル周辺領域62と対応する部分に貫通孔60aを有したカバー部材60によって覆われている。なお、ノズル周辺領域62には、ノズル26の開口領域が含まれている。
図4及び図5に示すように、カバー部材60は、ノズル形成面61のうち貫通孔60aにより露出させたノズル周辺領域62以外の部分を覆う状態で、係止等の固定構造により液体噴射部27に固定されている。そして、図3に示すように、液体噴射部27の底面全体が、ワイパーユニット46の払拭の対象となるノズル面63となっている。ノズル面63は、ノズル周辺領域62と、ノズル周辺領域62よりもカバー部材60の厚み分だけ突出している突出面64とを備えている。カバー部材60の厚みは、例えば0.1mmである。
したがって、ノズル周辺領域62と突出面64との間には、段差65が存在する。すなわち、ノズル面63は、ノズル周辺領域62の部分で凹部となるとともに突出面64の部分で凸部となる凹凸面によって構成されている。なお、カバー部材60は、例えばステンレス鋼等の金属によって構成される。
図4に示すように、ノズル列59は、搬送方向Yに沿って一定ピッチで配置された多数個のノズル26からなる。1つのノズル列59は、例えば180個または360個のノズル26により構成される。1つのノズル列59を構成する複数のノズル26は、同じ種類の液体をそれぞれ噴射する。複数のノズル列59中には、液体の噴射されない不使用ノズル列が存在してもよい。
また、ノズル形成面61には、液体をはじき易い撥液処理が施されており、その表面には撥液膜66が成膜されている。
本実施形態で用いられる液体は有機溶剤を主要な溶媒とする非水系液体であり、分散媒である溶媒の中に多数の顔料の粒子が分散している。なお、液体の主成分の詳細については後述する。
本実施形態で用いられる液体は有機溶剤を主要な溶媒とする非水系液体であり、分散媒である溶媒の中に多数の顔料の粒子が分散している。なお、液体の主成分の詳細については後述する。
本実施形態では、撥液膜66を、インクをはじく機能をもつ撥水膜としている。撥液膜66は、例えばアルキル基を含むポリオルガノシロキサンを主材料とする薄膜下地層とフッ素を含む長鎖高分子基を有する金属アルコキシドからなる撥液膜層とから構成してもよい。撥液膜66はノズル形成面61に対する布シート51による払拭が繰り返し行われることで徐々に摩耗し、撥液膜66が一定以上摩耗すると、その撥液性が低下する。なお、撥液膜66は、撥液コーティング膜でもよいし、撥液性の単分子膜でもよく、その膜厚及び撥液処理方法は任意に選択できる。
撥液膜66の撥液性が低下した状態では、ノズル周辺領域62に対するインクミスト等の液体の濡れ角が小さくなる。濡れ角とは、ノズル形成面61に付着した液滴の接線と、ノズル形成面61とのなす接触角である。撥液性が低下すると、ノズル周辺領域62に付着した複数のインクミストは濡れ広がって、比較的広い1つの付着液体に成長し易い。このため、こうした付着液体は、ノズル26の近傍に存在したり、一部のノズル26の開口を塞いだり、さらにノズル26内へ流れ込んだりする虞もある。
また、ノズル26の近傍に付着液体が存在した状態でノズル26から液滴を噴射すると、その噴射された液滴が付着液体と接触し、液滴の飛翔曲がりを誘発する。こうした液滴の飛翔曲がりは、媒体13上への液滴の着弾位置が想定位置からずれる原因になる。液滴の着弾位置がずれると、印刷画像を表現するドットが形成される位置がずれ、印刷画質の低下を招く。このような理由から、払拭による撥液膜66の摩耗はなるべく抑える必要がある。
一方、カバー部材60は金属プレートを所定形状に加工して製造され、カバー部材60の表面には撥液処理が施されていない。このため、突出面64は、ノズル周辺領域62よりも撥液性が低くなっている。つまり、突出面64に対する液体の濡れ角が、ノズル周辺領域62に対する液体の濡れ角よりも小さくなっている。
図5に示すように、液体噴射部27は、走査方向Xに一定ピッチで並列に配列された複数個の記録ヘッド67を有している。本実施形態の液体噴射部27は、5個の記録ヘッド67を有する。記録ヘッド67の下面となるノズル形成面61の周縁部はカバー部材60により覆われ、2列分のノズル26を含むノズル周辺領域62が、カバー部材60に穿孔された貫通孔60aから露出している。
ノズル26は流路形成部57内を通る液体流路57aと連通し、液体流路57aは図示しない流路を通じて流路形成部57の上面から上方へ突出する接続部55aに連通している。液体噴射部27は、複数の液体流路57aと、複数の接続部55aと、を備えてもよい。接続部55aは、略針状の形状を有し、キャリッジ25上に搭載された圧力調整弁38と接続される。
次に、圧力調整弁38の一実施形態について説明する。
複数の圧力調整弁38は、その構成が同じであるため、以下では、1つの圧力調整弁38について説明する。
複数の圧力調整弁38は、その構成が同じであるため、以下では、1つの圧力調整弁38について説明する。
図6に示すように、圧力調整弁38は、ベース部材70と、可撓膜部材の一例である第1可撓膜部材71と、第2可撓膜部材72と、を備える。第1可撓膜部材71及び第2可撓膜部材72は、ベース部材70に溶着してもよいし、ベース部材70に接着してもよい。
圧力調整弁38は、液体噴射部27に供給される液体を貯留可能な液室74と、連通孔75を介して液室74と連通する液体供給室76と、有する。圧力調整弁38は、液体供給室76に接続され液体供給室76を介して液室74内に液体を流入させる流入部77と、液室74に接続され液室74内の液体を液体噴射部27に向かって流出させる流出部78と、を有する。
圧力調整弁38は、第1可撓膜部材71の変形に対応して変位する変位部材79と、流入部77からの液体の流入を調整する弁80と、を備える。弁80は、変位部材79の変位に対応して開く。圧力調整弁38は、液室74の容積を拡大させる方向に変位部材79を押す第1コイルばね81と、液体供給室76内に設けられて連通孔75を塞ぐように弁80を押す第2コイルばね82と、を備える。
ベース部材70は、表面に形成される凹部の一例である第1凹部83と、表面とは反対側の裏面に形成される第2凹部84と、を有する。連通孔75は、第1凹部83の底と第2凹部84の底とに開口する。
第1可撓膜部材71は、第1凹部83の開口部を覆うようにベース部材70に接合されて第1凹部83との間に液室74を形成する。第1可撓膜部材71は、撓んだ状態でベース部材70に接合される。第1可撓膜部材71の内面には、液室74に貯留される液体の圧力が作用する。第1可撓膜部材71の外面には、大気の圧力が作用する。第1可撓膜部材71は、内面に作用する圧力と、外面に作用する圧力と、の差圧により変形する。
圧力調整弁38は、第2凹部84の開口部を塞ぐばね受け座86を備えてもよい。第2可撓膜部材72は、ばね受け座86と第2凹部84とを覆うようにベース部材70に接合してもよい。第2可撓膜部材72を設けると、第2凹部84とばね受け座86との隙間がシールされ、液体供給室76から液体が漏れる虞を低減できる。
弁80は、略円板状の板部88と、板部88の中央に設けられるロッド89と、ロッド89の根元部を囲むように板部88に設けられる円環状のシール部材90と、を含む。ロッド89は、連通孔75に挿通される。ロッド89において、板部88とは反対の先端部分が液室74内に位置する。連通孔75の内径は、ロッド89の外径よりも大きい。ロッド89と連通孔75との間には、液体が流動可能な隙間が形成されている。
第2コイルばね82に押される弁80は、シール部材90が第2凹部84の底面に接触して連通孔75を塞ぐ。この状態では、圧力調整弁38は、液体供給室76から液室74への液体の流入が制限される閉弁状態になる。閉弁状態では、ロッド89の先端が変位部材79から離れていてもよい。
図7に示すように、第1可撓膜部材71は、複数枚のフィルムを積層した積層構造を有している。第1可撓膜部材71は、内側フィルム層71aと、外側フィルム層71bと、を含む。第1可撓膜部材71は、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとを接合するための接合層71cを含んでもよい。内側フィルム層71aは、ベース部材70に接合されて液室74に貯留される液体と接する。外側フィルム層71bは、内側フィルム層71aに対して液室74とは反対側の面に接着される。
図6,図7に示すように、変位部材79は、円板状の接合部92と、円環状のばね受け部93と、を有する。変位部材79は、液室74内に位置する接合部92が内側フィルム層71aに接合される。第1可撓膜部材71において変位部材79が接合される接合領域Ab内には、外側フィルム層71bを積層方向Dsに貫通する貫通部94が設けられている。貫通部94は、外側フィルム層71bのみを貫通してもよいし、外側フィルム層71b及び接合層71cを貫通してもよい。
接合領域Abの端から離れて接合領域Ab内に位置する貫通部94は、第1可撓膜部材71を積層方向Dsに貫通してもよい。すなわち、貫通部94は、外側フィルム層71b、接合層71c、及び内側フィルム層71aを貫通してもよい。
変位部材79において貫通部94に対応する位置には、内側フィルム層71aに接合されない窪み95を設けてもよい。換言すると、貫通部94は、第1可撓膜部材71において、窪み95を覆う部分に、形成してもよい。貫通部94は、1つの窪み95に対応して1つ形成してもよいし、1つの窪み95に対して複数形成してもよい。
図8に示すように、例えば窪み95は、円環状に形成してもよい。
図9に示すように、第1可撓膜部材71には、窪み95の形状に沿って穴状の貫通部94を複数形成してもよい。貫通部94は、積層方向Dsに垂直な面に沿う第1方向D1及び第2方向D2の大きさが、積層方向Dsの大きさよりも小さくてもよい。貫通部94は、第1方向D1もしくは第2方向D2の大きさが、積層方向Dsの大きさとほぼ同じであってもよい。
図9に示すように、第1可撓膜部材71には、窪み95の形状に沿って穴状の貫通部94を複数形成してもよい。貫通部94は、積層方向Dsに垂直な面に沿う第1方向D1及び第2方向D2の大きさが、積層方向Dsの大きさよりも小さくてもよい。貫通部94は、第1方向D1もしくは第2方向D2の大きさが、積層方向Dsの大きさとほぼ同じであってもよい。
ベース部材70、内側フィルム層71a、及び変位部材79は、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成される。ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン(polypropylene、略号PP)又は、ポリエチレン(polyethylene、略号PE)である。外側フィルム層71bは、ポリエステル(polyester、略号PEs)又はポリアミド(polyamide、略号PA)を主成分とする。
本実施形態においては、内側フィルム層71aの材料として、ベース部材70と同材質のポリプロピレンを用いる。そのため、内側フィルム層71aは、内側フィルム層71aと同材質のベース部材70に対してヒートツールで押圧して熱溶着されたシール部を形成することにより液室74を形成している。
内側フィルム層71aは一例として10〜50μmの範囲内の厚さを有し、外側フィルム層71bは一例として5〜30μmの範囲内の厚さを有している。また、接合層71cは、一例として1〜10μmの範囲内の厚さを有している。もちろん、これらの厚さに限定されることなく、第1可撓膜部材71の用途、必要な機能及び必要な強度、さらには使用する接合方法などに応じて適宜変更される。
本実施形態において、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bを構成する各樹脂材料は、溶解度パラメーター(Solubility Parameter、SP値)を用いて、次の条件を満たすように選定されている。ここで、溶解度パラメーター(Solubility Parameter、SP値)は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,PolymerEngineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MJ/m3)1/2であり、25℃における値を指す。
本実施形態においては、耐溶剤性が良好な樹脂材料として、ポリオレフィンを主成分とする材料、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレン(polyethylene、PE)(SP値=16.4)を用いて内側フィルム層71aを構成した。また、ガスバリア性及び熱溶着時のフィルム部材とヒートツールの固着防止の観点から外側フィルム層71bの樹脂材料の一例として、ポリエステルを用いた。ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(Poly-Ethylene-Terephthalate、PET)(SP値=21.8)が好ましい。
また、接合層71cは、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとを接合することにより接合部分にできた層であり、その材質や厚みは接合方法に依存する。接合方法には、接着剤を用いる接着法、ラミネート法、溶着法などが挙げられる。ラミネート法には、押出しラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、サーマルラミネート法、ホットメルトラミネート法、インフレーション法などが挙げられる。また、溶着法には、熱溶着法、振動溶着法などが挙げられる。
本実施形態では、例えば、接着法を採用しており、接着剤として、ウレタン樹脂系接着剤、特殊ウレタン樹脂系接着剤などを使用した。この場合、接合層71cの樹脂材料の一例として、ウレタン樹脂、特殊ウレタン樹脂などが用いられる。なお、押出しラミネート法を採用する場合、基材にアンカーコート剤を塗布されている場合、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとの間に形成されたアンカー層が、接合層71cになる。
本実施形態の液体噴射装置11では、非水系液体を用いて媒体13に画像の記録を行う。本実施形態において「非水系液体」とは、有機溶剤を主要な溶媒として、水を主要な溶媒としない液体である。好ましくは、液体中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しない液体としてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。非水系液体中の有機溶剤の含有量は、色材や樹脂などの溶媒以外の他の成分を非水系液体組成物が含む場合は、当該他の成分を除く残りの残量とすることができ、例えば、70質量%以上、さらには80質量%以上とすることができ、含有量の上限は、100質量%以下、さらには、99質量%以下とすることができる。
非水系液体は、有機溶剤を主溶媒としていることから、耐水性に優れる、及び、低吸収性の記録媒体に付着した際の乾燥性に優れるという利点がある。
以下、非水系液体に含まれる成分および含まれ得る成分について、詳細に説明する。
以下、非水系液体に含まれる成分および含まれ得る成分について、詳細に説明する。
<有機溶剤>
非水系液体は、有機溶剤として、グリコールエーテル類を含有することが好ましい。グリコールエーテル類は、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御して、記録される画像のムラ等を抑制することができる。
非水系液体は、有機溶剤として、グリコールエーテル類を含有することが好ましい。グリコールエーテル類は、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御して、記録される画像のムラ等を抑制することができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
非水系液体に含まれるグリコールエーテル類の含有量は、非水系液体の全質量である100質量%に対して、その下限値が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらにより好ましい。また、上限値は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがより一層好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることが特に好ましい。含有量が20質量%以上であることで、液滴の濡れ拡がり性が向上して、平滑性に優れた良好な画像を形成できる。また、グリコールエーテル系溶剤の含有量が95質量%以下であることで、過剰な濡れ拡がりによる凝集ムラなどを抑制できる場合がある。
本実施形態に係る非水系液体は、有機溶剤として、ラクトンを含有することが好ましい。ラクトンは、例えば塩化ビニル系樹脂を含む媒体13の記録面の一部を溶解して媒体13の内部に非水系液体を浸透させて、媒体13に対する非水系液体の密着性を高めることができる。本発明において「ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示したラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ラクトンを含有する場合には、その含有量は、非水系液体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ラクトンの含有量が5質量%以上であることで、画像の耐擦性が一層向上する傾向にある。その含有量は75質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。75質量%以下であることで、画像の光沢性が向上する傾向にある。
具体的に、本実施形態の液体噴射装置11においては、非水系液体中の水溶性有機溶剤のうち最も多く含有する水溶性有機溶剤は、そのSP値が16.5以上24.6未満の条件を満たすものであって、液体全質量の30質量%以上含まれている。本例では、最も多く含有する水溶性有機溶剤が、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルで、そのSP値は17.0(MJ/m3)1/2である。
<その他の有機溶剤>
非水系液体は、上記以外のその他の有機溶剤として、エステル類、炭化水素類、アルコール類を上述の有機溶剤に加えてあるいは代えて含有してもよい。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
非水系液体は、上記以外のその他の有機溶剤として、エステル類、炭化水素類、アルコール類を上述の有機溶剤に加えてあるいは代えて含有してもよい。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
炭化水素類としては、脂肪族炭化水素(例えば、パラフィン、イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等)等が挙げられる。このような炭化水素類としては、市販品を用いてもよく、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLX(以上全て出光興産株式会社製の商品名)、Isopar(アイソパー)G、Isopar L、Isopar H、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140(以上全て、Exxon社製の商品名)、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200、NSクリーン220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)等の脂肪族炭化水素系溶剤または脂環式炭化水素系溶剤や、ソルベッソ200(Exxon社製の商品名)等の芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2ペンタノール、アリルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール等が挙げられる。上記のその他の有機溶剤は1つまたは2つ以上を用いもよく、それらの1つ以上の含有量は、非水系液体の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
本実施形態に用いる非水系液体は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、皮膜を形成して非水系液体により得られた画像を保護する樹脂、画像の液体塗膜の密着性を向上させるための樹脂、画像の液体塗膜の光沢度を調整するための樹脂、その他、画像の液体塗膜の品質を向上させるための樹脂が挙げられる。このうち、皮膜を形成して、非水系液体により得られた画像を保護する機能を少なくとも有する樹脂が記録物の摩擦堅牢性などの点で好ましく、本発明の実施形態が特に有用である。当該樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
本実施形態に用いる非水系液体は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、皮膜を形成して非水系液体により得られた画像を保護する樹脂、画像の液体塗膜の密着性を向上させるための樹脂、画像の液体塗膜の光沢度を調整するための樹脂、その他、画像の液体塗膜の品質を向上させるための樹脂が挙げられる。このうち、皮膜を形成して、非水系液体により得られた画像を保護する機能を少なくとも有する樹脂が記録物の摩擦堅牢性などの点で好ましく、本発明の実施形態が特に有用である。当該樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂など)、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂など)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記の樹脂の中でも、画像の耐擦性を一層向上させるという観点から、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸の何れかを含むものであり、塩化ビニル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものである。
上記の(メタ)アクリル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
上記の塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、カネビニールS−400、HM515(商品名、株式会社カネカ製)、ソルバインC(商品名、日信化学株式会社)等が挙げられる。
非水系液体に含まれる樹脂には、固形状、溶液状、エマルジョン状態としたもの等、いずれのタイプの樹脂を用いてもよいが、液体中で溶解するもの(液体に溶解している樹脂)を用いることが好ましい。
樹脂の固形分換算における含有量は、非水系液体の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂の含有量を0.5質量%以上とすることで、画像の耐擦性が一層良好となる傾向にある。また、樹脂の含有量を10質量%以下とすることで、非水系液体の粘度を液体ジェット記録に適した範囲に容易に設定することができる。
<色材>
本実施形態に係る非水系液体は、色材を含有してもよい。色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料および有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る非水系液体は、色材を含有してもよい。色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料および有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
色材の含有量は、所望に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではないが、通常、非水系液体の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤を含有してもよく、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、非水系液体中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤を含有してもよく、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、非水系液体中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
<その他の成分>
本実施形態に係る非水系液体は、界面活性剤(例えば、シリコン系界面活性、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
本実施形態に係る非水系液体は、界面活性剤(例えば、シリコン系界面活性、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
<非水系液体の調製方法>
本実施形態に係る非水系液体は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態に係る非水系液体は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
<非水系液体の物性>
本実施形態に係る非水系液体は、記録品質と液体ジェット記録用の液体としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを液体で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係る非水系液体は、記録品質と液体ジェット記録用の液体としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを液体で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、非水系液体の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本実施形態の作用について説明する。
図10に示すように、液体噴射部27で液体が消費されると、液室74内の液体は、流出部78を介して液体噴射部27に供給される。液室74内の液体が減少すると、液室74内の圧力が低下する。外側に大気圧を受ける第1可撓膜部材71は、液室74の容積を小さくするように変形する。変位部材79は、第1可撓膜部材71の変形に伴って弁80に近づくように変位し、弁80が有するロッド89の先端に当たる。弁80は、第1可撓膜部材71の内面にかかる圧力が外面にかかる圧力より低く、且つ内面にかかる圧力と外面にかかる圧力との差が所定値以上になると、閉弁状態から開弁状態になる。
図10に示すように、液体噴射部27で液体が消費されると、液室74内の液体は、流出部78を介して液体噴射部27に供給される。液室74内の液体が減少すると、液室74内の圧力が低下する。外側に大気圧を受ける第1可撓膜部材71は、液室74の容積を小さくするように変形する。変位部材79は、第1可撓膜部材71の変形に伴って弁80に近づくように変位し、弁80が有するロッド89の先端に当たる。弁80は、第1可撓膜部材71の内面にかかる圧力が外面にかかる圧力より低く、且つ内面にかかる圧力と外面にかかる圧力との差が所定値以上になると、閉弁状態から開弁状態になる。
所定値は、第1コイルばね81と第2コイルばね82との押付力、第1可撓膜部材71を変位させるために必要な力、弁80によって連通孔75を遮断するために必要な押付力であるシール荷重、弁80の表面に作用する液体供給室76内の圧力、及び液室74内の圧力に応じて決まる値である。所定値とは、例えば1kPaである。第1コイルばね81と第2コイルばね82の押付力が大きいほど、閉弁状態から開弁状態になるための所定値も大きくなる。
開弁状態では、シール部材90が第2凹部84の底から離れ、液体供給室76と液室74とが連通孔75を介して連通する。開弁状態になると、液体供給室76内の液体が連通孔75を介して液室74内に流入し、液室74内の圧力が上昇する。そのため、第1可撓膜部材71は、液室74の容積を大きくするように変形する。第1コイルばね81に押される変位部材79は、第1凹部83の底から離れる方向に変位する。弁80は、第2コイルばね82の付勢力によって第2凹部84の底に接触する。圧力調整弁38は、閉弁状態になる。
図11に示すように、第1可撓膜部材71には、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとの間に液溜まり96ができることがある。これは、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとを形成する原料の違いによるものと考えられる。
具体的には、ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層71aは、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層71bより、液室74に貯留される液体に含まれる溶剤を透過しやすい。外側フィルム層71bは、内側フィルム層71aより水蒸気を透過しやすい。内側フィルム層71aを透過した溶剤は、接合層71cを構成する接着剤を溶かし、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとを剥離させる場合がある。
そのため、内側フィルム層71aを透過した気体状態の溶剤は、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとの間に溜まり、液体状態となって液溜まり96を形成することがある。本実施形態では、液溜まり96に溜まった液体を貯留液という。貯留液は、時間の経過とともに増えることがある。貯留液の量が増え、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとを剥離させつつ、液溜まり96が第1方向D1もしくは第2方向D2に大きくなることを液溜まり96が成長するという。貯留液が保湿性を有する場合、大気中の水蒸気が外側フィルム層71bを透過して引き込まれ、液溜まり96が成長することもある。
成長した液溜まり96は、変位部材79を第1凹部83の底に向けて押し、弁80を開弁させてしまうことがある。特に、液溜まり96が接合領域Abに位置する場合、弁80を開弁させやすい。本実施形態の第1可撓膜部材71は、接合領域Abに設けられる貫通部94を有する。そのため、成長した液溜まり96が貫通部94に差し掛かると、液溜まり96内の貯留液が貫通部94を介して排出される。そのため、変位部材79が弁80を押す前に、液溜まり96の成長を妨げることができる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)液体に含まれる溶剤は、ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層71aを透過しやすいのに対し、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層71bを透過しにくい。そのため、内側フィルム層71aを透過した気体状態の溶剤が内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとの間に溜まり、第1可撓膜部材71に液溜まり96ができることがある。その点、第1可撓膜部材71には、外側フィルム層71bを貫通する貫通部94が設けられている。貫通部94は、接合領域Abに設けられるため、第1可撓膜部材71が貫通部94から裂ける虞を低減できる。第1可撓膜部材71にできる液溜まり96が時間と共に成長して貫通部94に差し掛かると、液溜まり96内の溶剤が貫通部94を介して排出される。したがって、液溜まり96の成長を制限でき、第1可撓膜部材71が撓みにくくなる虞を低減できる。
(1)液体に含まれる溶剤は、ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層71aを透過しやすいのに対し、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層71bを透過しにくい。そのため、内側フィルム層71aを透過した気体状態の溶剤が内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとの間に溜まり、第1可撓膜部材71に液溜まり96ができることがある。その点、第1可撓膜部材71には、外側フィルム層71bを貫通する貫通部94が設けられている。貫通部94は、接合領域Abに設けられるため、第1可撓膜部材71が貫通部94から裂ける虞を低減できる。第1可撓膜部材71にできる液溜まり96が時間と共に成長して貫通部94に差し掛かると、液溜まり96内の溶剤が貫通部94を介して排出される。したがって、液溜まり96の成長を制限でき、第1可撓膜部材71が撓みにくくなる虞を低減できる。
(2)変位部材79は、接合領域Abにおいて第1可撓膜部材71に接合される。変位部材79と第1可撓膜部材71は、接合領域Abの境界で液密とされる。そのため、接合領域Ab内では、貫通部94が内側フィルム層71aまで貫通しても、貫通部94と液室74とは非連通となる。変位部材79には、貫通部94に対応する位置に窪み95が設けられるため、内側フィルム層71aまで貫通するように貫通部94を形成してもよく、外側フィルム層71bを貫通する貫通部94を容易に形成できる。
(3)ポリオレフィンを主成分とする材料は、融点以上に加熱した材料を押し当てた状態で冷却して接合する、所謂、熱溶着が可能である。変位部材79と、変位部材79が接合される内側フィルム層71aは、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成される。したがって、変位部材79と内側フィルム層71aとを熱溶着により容易に接合できる。
(4)ポリオレフィンとしてポリプロピレン又はポリエチレンを用いることにより、液室74を形成する材料として好適に採用できる。
(5)第1可撓膜部材71にできた液溜まり96が成長すると、変位部材79が液溜まり96に押されるように変位し、弁80が開いたままとなって液体の流入を調整できなくなる虞がある。その点、第1可撓膜部材71は、貫通部94により液溜まり96の成長が制限される。したがって、弁80によって液室74に流入する液体を調整することができ、液体噴射部27に向かって流出する液体の圧力を調整できる。
(5)第1可撓膜部材71にできた液溜まり96が成長すると、変位部材79が液溜まり96に押されるように変位し、弁80が開いたままとなって液体の流入を調整できなくなる虞がある。その点、第1可撓膜部材71は、貫通部94により液溜まり96の成長が制限される。したがって、弁80によって液室74に流入する液体を調整することができ、液体噴射部27に向かって流出する液体の圧力を調整できる。
(6)液室74が30質量%以上のジエチレングリコールエチルメチルエーテルを含有する液体を貯留する場合でも、第1可撓膜部材71における液溜まり96の成長を制限できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・図12に示すように、貫通部94は、第1凹部83の縁よりも外側の領域に形成されてもよい。液溜まり96は、第1可撓膜部材71において、液室74内の液体と接触する接触領域において生じやすい。第1凹部83の縁よりも外側の領域に貫通部94を形成すると、接触領域において生じた液溜まり96が第1凹部83の縁に向かって成長した場合でも、貫通部94から貯留液を排出して液溜まり96の成長を制限できる。第1凹部83の外側の領域に形成される貫通部94は、1つでもよいし、複数でもよい。
・図12に示すように、貫通部94は、第1凹部83の縁よりも外側の領域に形成されてもよい。液溜まり96は、第1可撓膜部材71において、液室74内の液体と接触する接触領域において生じやすい。第1凹部83の縁よりも外側の領域に貫通部94を形成すると、接触領域において生じた液溜まり96が第1凹部83の縁に向かって成長した場合でも、貫通部94から貯留液を排出して液溜まり96の成長を制限できる。第1凹部83の外側の領域に形成される貫通部94は、1つでもよいし、複数でもよい。
・図12に示すように、第1可撓膜部材71は、液室74の形状に合わせて例えば円形であってもよい。第1可撓膜部材71は、ベース部材70に接合された後、ベース部材70に接合される部分よりも外側の部分が切り取られてもよい。
・図12に示すように、貫通部94は、スリット状に形成されてもよい。スリット状の貫通部94は、例えば、カッターやレーザーにより形成されてもよい。貫通部94は、窪み95とは関係なく形成されてもよい。接合領域Abに複数の貫通部94を形成する場合、貫通部94同士が交差してもよい。
・図12に示すように、スリット状の貫通部94は、直線状に形成されてもよい。
・図13に示すように、スリット状の貫通部94は、曲線状に形成されてもよい。接合領域Abには、異なる形状の貫通部94を複数形成してもよい。貫通部94は、接合領域Abの縁に沿うように円弧状に形成されてもよい。
・図13に示すように、スリット状の貫通部94は、曲線状に形成されてもよい。接合領域Abには、異なる形状の貫通部94を複数形成してもよい。貫通部94は、接合領域Abの縁に沿うように円弧状に形成されてもよい。
・図14〜図17に示すように、外側フィルム層71bを貫通する貫通部94は、環状に形成されてもよい。図14に示すように、貫通部94は、積層方向Dsから見て円形に形成されてもよい。図15に示すように、貫通部94は、積層方向Dsから見て矩形に形成されてもよい。図16に示すように、貫通部94は、複数のスリット状の貫通部94を重ねて形成されることにより、積層方向Dsから見て環状をなす部分があってもよい。図17に示すように、貫通部94は、波状のスリットにより形成されてもよい。貫通部94は、楕円状、多角形状に形成されてもよい。貫通部94は、内側フィルム層71a、接合層71c、及び外側フィルム層71bを貫通してもよい。すなわち、貫通部94は、第1可撓膜部材71において、接合領域Abに位置する一部を切り取って形成されてもよい。
・図18に示すように、液体噴射装置11は、液室ユニットの一例であるダンパー98を備えてもよい。ダンパー98は、供給経路33に設けられる。ダンパー98は、液室74に流入部77と流出部78とを接続し、液室74の圧力の変化に応じて第1可撓膜部材71が変形することにより、液体の圧力変動を低減してもよい。
・図19に示すように、ダンパー98は、連通孔75を介して連通する複数の液室74を有してもよい。ダンパー98が2つの液室74を備える場合、第1可撓膜部材71は、ベース部材70に形成される第1凹部83と第2凹部84との開口部を覆うようにベース部材70に接合され、2つの液室74を形成してもよい。貫通部94は、第1可撓膜部材71において、2つの液室74を仕切る仕切り壁99に接合される領域内に設けてもよい。仕切り壁99には、貫通部94に対応する位置に窪み95を設けてもよい。
・図20に示すように、液体噴射装置11は、ベース部材70と第1可撓膜部材71との間に液体を貯留可能な液室ユニットの一例であるサブタンク101を備えてもよい。サブタンク101は、供給経路33に設けられる。サブタンク101は、流入部77から流入した液体を液室74に一時的に貯留し、流出部78を介して液体噴射部27に液体を供給する。サブタンク101は、液室74内を大気に開放する大気開放部102を有してもよい。液室74内には、リブ103を形成してもよい。貫通部94は、第1可撓膜部材71において、リブ103に接合される領域に形成してもよい。リブ103には窪み95を形成し、貫通部94は、第1可撓膜部材71において、窪み95を覆う部分に形成してもよい。
・貫通部94は、第1可撓膜部材71がベース部材70に接合された後で形成されてもよい。
・ベース部材70には、予め貫通部94が形成された第1可撓膜部材71が接合されてもよい。第1可撓膜部材71は、予め貫通部94が形成された外側フィルム層71bと、内側フィルム層71aと、を接合して形成してもよい。貫通部94は、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとが接着された後、内側フィルム層71aがベース部材70に接合される前に形成されてもよい。貫通部94は、接合領域Abの外側に位置してもよい。
・ベース部材70には、予め貫通部94が形成された第1可撓膜部材71が接合されてもよい。第1可撓膜部材71は、予め貫通部94が形成された外側フィルム層71bと、内側フィルム層71aと、を接合して形成してもよい。貫通部94は、内側フィルム層71aと外側フィルム層71bとが接着された後、内側フィルム層71aがベース部材70に接合される前に形成されてもよい。貫通部94は、接合領域Abの外側に位置してもよい。
・第1可撓膜部材71にガスバリア層を設けてもよい。ガスバリア層は、外側フィルム層71bにおける接合層71c側の面に二酸化ケイ素(SiO2)やアルミナ(Al2O3)等の無機材料や金属材料を蒸着して形成してもよい。この場合、ガスバリア層の厚みを、外側フィルム層71bがガスバリア層を挟んで内側フィルム層71aと接合層71cで接合されるように20Å〜2μmの範囲内の値としてもよい。
・液体噴射装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体噴射装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体噴射装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液室ユニットは、液体を噴射する液体噴射部に供給される前記液体を貯留可能な液室を有する液室ユニットであって、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成され、凹部を有するベース部材と、前記ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層と、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層と、を含み、前記凹部の開口部を覆うように前記ベース部材に接合されて前記凹部との間に前記液室を形成する可撓膜部材と、前記液室内に位置する接合部が前記内側フィルム層に接合されて、前記可撓膜部材の変形に対応して変位する変位部材と、を備え、前記内側フィルム層は、前記ベース部材に接合されて前記液室に貯留される前記液体と接し、前記外側フィルム層は、前記内側フィルム層に対して前記液室とは反対側の面に接着され、前記可撓膜部材において前記変位部材が接合される接合領域内には、前記外側フィルム層を積層方向に貫通する貫通部が設けられている。
(A)液室ユニットは、液体を噴射する液体噴射部に供給される前記液体を貯留可能な液室を有する液室ユニットであって、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成され、凹部を有するベース部材と、前記ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層と、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層と、を含み、前記凹部の開口部を覆うように前記ベース部材に接合されて前記凹部との間に前記液室を形成する可撓膜部材と、前記液室内に位置する接合部が前記内側フィルム層に接合されて、前記可撓膜部材の変形に対応して変位する変位部材と、を備え、前記内側フィルム層は、前記ベース部材に接合されて前記液室に貯留される前記液体と接し、前記外側フィルム層は、前記内側フィルム層に対して前記液室とは反対側の面に接着され、前記可撓膜部材において前記変位部材が接合される接合領域内には、前記外側フィルム層を積層方向に貫通する貫通部が設けられている。
液体に含まれる溶剤は、ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層を透過しやすいのに対し、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層を透過しにくい。そのため、内側フィルム層を透過した溶剤が内側フィルム層と外側フィルム層との間に溜まり、可撓膜部材に液溜まりができることがある。その点、この構成によれば、可撓膜部材には、外側フィルム層を貫通する貫通部が設けられている。貫通部は、接合領域に設けられるため、可撓膜部材が貫通部から裂ける虞を低減できる。可撓膜部材にできる液溜まりが時間と共に成長して貫通部に差し掛かると、液溜まり内の溶剤が貫通部を介して排出される。したがって、液溜まりの成長を制限でき、可撓膜部材が撓みにくくなる虞を低減できる。
(B)液室ユニットは、前記変位部材において前記貫通部に対応する位置には、前記内側フィルム層に接合されない窪みが設けられていてもよい。
変位部材は、接合領域において可撓膜部材に接合される。変位部材と可撓膜部材は、接合領域の境界で液密とされる。そのため、接合領域内では、貫通部が内側フィルム層まで貫通しても、貫通部と液室とは非連通となる。この構成によれば、変位部材には、貫通部に対応する位置に窪みが設けられるため、内側フィルム層まで貫通するように貫通部を形成してもよく、外側フィルム層を貫通する貫通部を容易に形成できる。
変位部材は、接合領域において可撓膜部材に接合される。変位部材と可撓膜部材は、接合領域の境界で液密とされる。そのため、接合領域内では、貫通部が内側フィルム層まで貫通しても、貫通部と液室とは非連通となる。この構成によれば、変位部材には、貫通部に対応する位置に窪みが設けられるため、内側フィルム層まで貫通するように貫通部を形成してもよく、外側フィルム層を貫通する貫通部を容易に形成できる。
(C)液室ユニットは、前記変位部材が前記ポリオレフィンを主成分とする材料で構成されていてもよい。
ポリオレフィンを主成分とする材料は、融点以上に加熱した材料を押し当てた状態で冷却して接合する、所謂、熱溶着が可能である。この構成によれば、変位部材と、変位部材が接合される内側フィルム層は、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成される。したがって、変位部材と内側フィルム層とを熱溶着により容易に接合できる。
ポリオレフィンを主成分とする材料は、融点以上に加熱した材料を押し当てた状態で冷却して接合する、所謂、熱溶着が可能である。この構成によれば、変位部材と、変位部材が接合される内側フィルム層は、ポリオレフィンを主成分とする材料で構成される。したがって、変位部材と内側フィルム層とを熱溶着により容易に接合できる。
(D)液室ユニットにおいて、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン又はポリエチレンであってもよい。
この構成によれば、ポリオレフィンとしてポリプロピレン又はポリエチレンを用いることにより、液室を形成する材料として好適に採用できる。
この構成によれば、ポリオレフィンとしてポリプロピレン又はポリエチレンを用いることにより、液室を形成する材料として好適に採用できる。
(E)液室ユニットは、前記液室内に前記液体を流入させる流入部と、前記液室内の前記液体を前記液体噴射部に向かって流出させる流出部と、前記変位部材の変位に対応して開き、前記流入部からの前記液体の流入を調整する弁と、を備えてもよい。
可撓膜部材にできた液溜まりが成長すると、変位部材が液溜まりに押されるように変位し、弁が開いたままとなって液体の流入を調整できなくなる虞がある。その点、この構成によれば、可撓膜部材は、貫通部により液溜まりの成長が制限される。したがって、弁によって液室に流入する液体を調整することができ、液体噴射部に向かって流出する液体の圧力を調整できる。
(F)液体噴射装置は、水溶性有機溶剤を含む液体を噴射する液体噴射部と、液体供給源から供給される前記液体を前記液体噴射部に供給可能に設けられる供給経路と、を備え、液室ユニットが、前記供給経路に設けられてもよい。この構成によれば、上記液室ユニットと同様の効果を奏することができる。
(G)液体噴射装置において、前記水溶性有機溶剤は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルであり、該ジエチレングリコールエチルメチルエーテルの含有量が、前記液体の質量の30質量%以上であってもよい。
この構成によれば、液室が30質量%以上のジエチレングリコールエチルメチルエーテルを含有する液体を貯留する場合でも、可撓膜部材における液溜まりの成長を制限できる。
11…液体噴射装置、12…支持台、12A…防止部材、13…媒体、14…搬送部、15…印刷部、16…プリンター本体、17…カバー、18…上流搬送ローラー対、19…下流搬送ローラー対、20…案内板、21…搬送モーター、22…第1ガイド軸、23…第2ガイド軸、24…キャリッジモーター、25…キャリッジ、26…ノズル、27…液体噴射部、30…液体供給源、31…供給機構、32…装着部、33…供給経路、34…供給ポンプ、35…フィルターユニット、36…スタティックミキサー、37…液体貯留室、38…液室ユニットの一例である圧力調整弁、39…制御部、40…ダイヤフラムポンプ、41…吸入弁、42…吐出弁、43…メンテナンス部、45…フラッシングユニット、46…ワイパーユニット、47…キャップ部、48…キャップユニット、49…キャッピングモーター、50…吸引ポンプ、51…布シート、52…ワイパーカセット、53…ワイパーホルダー、54…レール部、55…ヘッドユニット、55a…接続部、56…ブラケット部、57…流路形成部、57a…液体流路、58…ヘッド本体、59…ノズル列、60…カバー部材、60a…貫通孔、61…ノズル形成面、62…ノズル周辺領域、63…ノズル面、64…突出面、65…段差、66…撥液膜、67…記録ヘッド、70…ベース部材、71…第1可撓膜部材、71a…内側フィルム層、71b…外側フィルム層、71c…接合層、72…第2可撓膜部材、74…液室、75…連通孔、76…液体供給室、77…流入部、78…流出部、79…変位部材、80…弁、81…第1コイルばね、82…第2コイルばね、83…第1凹部、84…第2凹部、86…ばね受け座、88…板部、89…ロッド、90…シール部材、92…接合部、93…ばね受け部、94…貫通部、95…窪み、96…液溜まり、98…液室ユニットの一例であるダンパー、99…仕切り壁、101…液室ユニットの一例であるサブタンク、102…大気開放部、103…リブ、144…液体受容部、A…供給方向、Ab…接合領域、D1…第1方向、D2…第2方向、Ds…積層方向、HP…ホーム位置、PA…搬送領域、X…走査方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。
Claims (7)
- 液体を噴射する液体噴射部に供給される前記液体を貯留可能な液室を有する液室ユニットであって、
ポリオレフィンを主成分とする材料で構成され、凹部を有するベース部材と、
前記ポリオレフィンを主成分とする内側フィルム層と、ポリエステル又はポリアミドを主成分とする外側フィルム層と、を含み、前記凹部の開口部を覆うように前記ベース部材に接合されて前記凹部との間に前記液室を形成する可撓膜部材と、
前記液室内に位置する接合部が前記内側フィルム層に接合されて、前記可撓膜部材の変形に対応して変位する変位部材と、
を備え、
前記内側フィルム層は、前記ベース部材に接合されて前記液室に貯留される前記液体と接し、
前記外側フィルム層は、前記内側フィルム層に対して前記液室とは反対側の面に接着され、
前記可撓膜部材において前記変位部材が接合される接合領域内には、前記外側フィルム層を積層方向に貫通する貫通部が設けられていることを特徴とする液室ユニット。 - 前記変位部材において前記貫通部に対応する位置には、前記内側フィルム層に接合されない窪みが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液室ユニット。
- 前記変位部材が前記ポリオレフィンを主成分とする材料で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液室ユニット。
- 前記ポリオレフィンは、ポリプロピレン又はポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液室ユニット。
- 前記液室内に前記液体を流入させる流入部と、
前記液室内の前記液体を前記液体噴射部に向かって流出させる流出部と、
前記変位部材の変位に対応して開き、前記流入部からの前記液体の流入を調整する弁と、
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液室ユニット。 - 水溶性有機溶剤を含む液体を噴射する液体噴射部と、
液体供給源から供給される前記液体を前記液体噴射部に供給可能に設けられる供給経路と、
を備え、
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液室ユニットが、前記供給経路に設けられることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記水溶性有機溶剤は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルであり、該ジエチレングリコールエチルメチルエーテルの含有量が、前記液体の質量の30質量%以上であることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
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JP2019079115A JP2020175582A (ja) | 2019-04-18 | 2019-04-18 | 液室ユニット、液体噴射装置 |
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2019
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