JP2020168175A - 内視鏡システム - Google Patents

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真哉 下田代
Shinya Katashiro
真哉 下田代
佳宏 林
Yoshihiro Hayashi
佳宏 林
孝明 東海林
Takaaki Shoji
孝明 東海林
義之 新島
Yoshiyuki Niijima
義之 新島
縁 秋野
Yasu Akino
縁 秋野
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Abstract

【課題】複数の増幅器が付随した撮像素子を備える内視鏡システムにおいて、撮像された画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得る。【解決手段】内視鏡システムは、撮像素子ユニットと、制御部とを備える。撮像素子ユニットは、撮像素子に複数の増幅器が付随し、複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わせることで得られる複数のゲイン値からなる第1群に対してゲイン値の数が第1群に比べて少なくなった第2群の中の第2ゲイン値を選択して撮像信号を調節した調節撮像信号を出力する。制御部は、第2ゲイン値のうち、目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の前記輝度レベルに対する調節撮像信号の輝度レベルの過不足分を小さくするために、撮像素子が受光する受光光量の調節を行う。を備える。【選択図】 図4

Description

本発明は、撮像素子に増幅器が付随した撮像素子ユニットを備える内視鏡システムに関する。
人体内部の生体組織の観察や治療に内視鏡システムが使用されている。内視鏡システムは、生体組織を撮像素子で撮像して撮像画像を内視鏡用プロセッサ(以降、単にプロセッサという)に伝送する内視鏡と、撮像画像の信号を信号処理して表示用画像を生成するプロセッサを備える。表示用画像は、ディスプレイの表示画面に動画として表示される。
ディスプレイに表示される映像の適正な明るさは、一般的には、術者によるプロセッサの操作パネルの操作に応じて設定される。設定された映像の明るさを基準として、例えば、照明光や、撮像素子の露光時間の調節が行われる。また、例えば、撮像素子が出力した撮像信号を、内視鏡の先端部に設けた増幅器を用いて調節することが行われる(特許文献1及び2)。
増幅器を用いて撮像信号を調節する方法では、具体的に、プロセッサが指定したゲイン値を用いて撮像信号は増幅され、撮像信号の輝度レベルが調整される。この方法では、内視鏡の先端部で撮像信号の増幅が行われるので、撮像信号に混入して増幅されるノイズが少なく、通常は画質の高い表示用画像が得られる。
ところで、撮像素子には複数の増幅器が付随して設けられている場合がある。この種の撮像素子ユニットでは、複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わることで得られる複数のゲイン値の中からゲイン値を指定し、種々の調節量で撮像信号の輝度レベルを調節できるようになっている。
特開2016−058763号公報 特開2010−088656号公報
上述した撮像素子ユニットは、増幅器の特性が個体間でばらつくことが多く、指定されたゲイン値によっては、増幅器の特性の悪さに起因して、調節された撮像画像のノイズレベルが高くなる場合がある。このため、ゲイン値を変化させて撮像信号の調節を行うと、調節された撮像画像のノイズレベルが意図せず変動してしまうという問題がある。
本発明は、複数の増幅器が付随した撮像素子を備える内視鏡システムにおいて、撮像された画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、内視鏡システムであって、
被写体を撮像して撮像信号を生成するよう構成された撮像素子に複数の増幅器が付随した撮像素子ユニットであって、前記複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わせることで得られる複数のゲイン値からなる第1群に対して、前記複数の増幅器の一部の使用が制限されることにより、前記使用及び不使用を組み合わせることで得られるゲイン値の数が、前記第1群に比べて少なくなった第2群の中の第2ゲイン値を選択して前記撮像信号を調節した調節撮像信号を出力するよう構成された撮像素子ユニットと、
前記第2ゲイン値のうち、目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の輝度レベルを定める前記第1群の第1ゲイン値に対して過不足のある第2ゲイン値を用いることによって生じる、前記撮像信号の前記輝度レベルに対する前記調節撮像信号の輝度レベルの過不足分を小さくするために、前記調節撮像信号から得られる前記被写体の画像に対し明るさに関するゲイン調整を施すよう構成された画像処理部と、を備えることを特徴とする。
本発明の別の一態様は、内視鏡システムであって、
照明光で照明された被写体を撮像して撮像信号を生成するよう構成された撮像素子に複数の増幅器が付随した撮像素子ユニットであって、前記複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わせることで得られる複数のゲイン値からなる第1群に対して、前記複数の増幅器の一部の使用が制限されることにより、前記使用及び不使用を組み合わせることで得られるゲイン値の数が、前記第1群に比べて少なくなった第2群の中の第2ゲイン値を選択して前記撮像信号を調節した調節撮像信号を出力するよう構成された撮像素子ユニットと、
前記第2ゲイン値のうち、目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の輝度レベルを定める前記第1群の第1ゲイン値に対して過不足のある第2ゲイン値を用いることによって生じる、前記撮像信号の前記輝度レベルに対する前記調節撮像信号の輝度レベルの過不足分を小さくするために、前記撮像素子が受光する受光光量の調節を行うように構成された制御部と、を備えることを特徴とする。
前記内視鏡システムは、前記調節撮像信号の輝度レベルの前記過不足分を小さくするために、前記調節撮像信号から得られる前記被写体の画像に対し明るさに関するゲイン調整を施すよう構成された画像処理部さらに備えることが好ましい。
前記制御部は、前記撮像素子の露光時間を調整することにより前記受光光量が調節されるよう前記撮像素子を制御するよう構成されていることが好ましい。
前記内視鏡システムは、さらに、前記被写体を照明する照明光の強度を調節するよう構成された照明光調節機構を備え、
前記制御部は、前記受光光量が調節されるよう前記照明光調節機構を制御するよう構成されていることが好ましい。
前記選択される前記第2ゲイン値は、前記第2群の中で、前記調節撮像信号の前記輝度レベルが前記目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の前記輝度レベルに最も近くなるゲイン値であることが好ましい。
前記増幅器のうち、前記使用が制限される増幅器は、白画像を前記被写体として前記撮像素子で撮像したときの撮像信号のSN比が所定値未満である増幅器であることが好ましい。
上述の内視鏡システムによれば、撮像された画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。
本実施形態の内視鏡システムの外観斜視図である。 本実施形態の内視鏡システムの主な構成を示すブロック構成図である。 撮像素子ユニットを説明する図である。 (a)は、ゲイン値と撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフであり、(b)は、露光時間と撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。 光量と撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。 デジタルゲインと撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。 (a)は、露光時間と撮像信号の均輝度レベルとの関係を示すグラフであり、(b)は、デジタルゲインと撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。 本実施形態の内視鏡システムの受光光量の調節の例を示すフローチャートである。
(内視鏡システムの構成)
以下、本実施形態の内視鏡システムについて詳細に説明する。図1は、本実施形態の内視鏡システム1の外観斜視図であり、図2は、内視鏡システム1の主な構成を示すブロック構成図である。内視鏡システム1は、プロセッサ2、光源装置3、内視鏡4、ディスプレイ5、を主に備える。光源装置3、内視鏡4、及びディスプレイ5は、それぞれプロセッサ2に接続される。なお、光源装置3とプロセッサ2とは別体で構成されているが、光源装置3がプロセッサ2に設けられて構成されてもよい。
光源装置3は、生体組織を照明する照明光となる光を出射する装置である。光源装置3は、ランプ電源ドライバ306、光源であるランプ308、集光レンズ310、絞り312、モータ314、モータドライバ316、を主に備える。
ランプ308は、ランプ電源ドライバ306から供給される電力によって点灯し、光を放射する。ランプ308には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが適している。また、ランプ308として、LED(Light Emitting Diode)ランプを使用することもできる。ランプ308から放射された出射光は、集光レンズ310によって集光され、絞り312で強度が調整された後、ライトガイド404(図2参照)の入射端に被写体の照射光として入射する。絞り312は、モータドライバ316の制御信号によってモータ314の動作が制御されることにより開度が調節され、照明光の強度を調節することができる。
内視鏡4の先端には、図1に示すように、可撓性を有し、人体内部に挿入するための挿入部420が設けられている。挿入部420の先端近傍には、挿入部420の基端に連結された手元操作部422からの遠隔操作に応じて屈曲する屈曲部424が設けられている。屈曲部424の屈曲機構は、一般的な内視鏡に組み込まれている周知の機構である。屈曲構造は、手元操作部422に設けられた湾曲操作ノブの回転操作に連動した操作ワイヤの牽引によって屈曲部424を屈曲させるものである。屈曲部424の先端には、撮像素子ユニット410を備えた先端部402が連結している。湾曲操作ノブの回転操作による屈曲部424の屈曲動作に応じて先端部402の向きが変わることにより、後述する撮像素子411の撮像視野が変わる。
内視鏡4は、コネクタ部400から先端部402にかけての略全長に渡って配置されたライトガイド404を備えている。ライトガイド404は、光ファイバ束であり、光源装置3から供給された照射光を内視鏡4の先端部402まで導光する。
内視鏡4の先端部402は、図2に示すように、配光レンズ406、対物レンズ408、撮像素子ユニット410を備える。配光レンズ406は、ライトガイド404の先端面と対向して配置され、ライトガイド404の先端面から射出される照射光を発散させて、被写体を照明する。対物レンズ408は、被写体からの散乱光あるいは反射光を集光して、撮像素子411の受光面上で被写体の像を結像させる。
撮像素子ユニット410は、図3に示すように、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子(以降、撮像素子という)411に複数の増幅器412a,412b,412c(以降、まとめて増幅部412ともいう)が付随している。図3は、撮像素子ユニット410を説明する図である。撮像素子ユニット410は、増幅部412によって調節された撮像信号(調節撮像信号)を出力する。撮像素子ユニット410は、例えば、半導体基板が封止されたパッケージとして構成される。
撮像素子411は、照明光で照明された被写体を繰り返し撮像する。撮像素子411は、例えばCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子が好適に用いられる。撮像素子411は、図3に示すように、フォトダイオード等の光電変換素子411aを有する単位画素が例えば格子状に並べて配置された画素アレイを有している。各単位画素は、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷に光電変換し、光電荷を蓄積する。蓄積された光電荷は、所定のタイミングで各単位画素から、列方向に配置された複数の光電変換素子411aと接続された信号線411bを介して画素列ごとに読み出される。
増幅部412は、後述するシステムコントローラ202から出力された、ゲイン値を指定する信号に応じて、撮像画像1フレームごとに、指定されたゲイン値によって撮像信号を調節する。増幅部412は、増幅器412a〜412cの使用及び不使用の組み合わせから得られる複数のゲイン値(アナログゲイン値)で、後述するように撮像信号の調節が可能である。なお、増幅部412に含まれる増幅器の数は、図3において3つであるが、その数は制限されず、例えば、2つ、4つ、5つ、6つ以上である。また、図3に示す例の増幅器412a〜412cは、互いに直列に接続されている。増幅器412a,412b,412cのゲイン値の比は、特に制限されないが、例えば4:2:1である。増幅器412a〜412cを通過した撮像信号は、信号処理部416に向けて出力される。
コネクタ部414は、信号処理部416及びメモリ418を備える。信号処理部416は、撮像素子ユニット410に駆動信号を供給して撮像素子ユニット410を駆動させる。信号処理部416は、上述したゲイン値を指定するシステムコントローラ202からの信号を、撮像素子ユニット410に供給する。また、信号処理部416は、撮像素子ユニット410から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、プロセッサ2に撮像画像の映像信号として送信する。また、信号処理部416は、メモリ418にアクセスして内視鏡4の固有情報を読み出し、プロセッサ2に出力する。メモリ418に記録される内視鏡4の固有情報には、例えば、撮像素子ユニット410の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等を含む。
プロセッサ2は、内視鏡4の撮像素子ユニット410が被写体を撮像することで得られる被写体の撮像画像の映像信号をさらに信号処理してディスプレイ5に供給する装置である。
プロセッサ2には、内視鏡4と接続するためのコネクタ受け部200(図1参照)が設けられている。また、内視鏡4の基端にはプロセッサ2のコネクタ受け部200と接続するためのコネクタ部414が設けられている。コネクタ部414とコネクタ受け部200が機械的に接続されることにより、内視鏡4とプロセッサ2とが電気的に接続され、光源装置3と内視鏡4が光学的に接続される。
プロセッサ2は、メモリ201、システムコントローラ202、操作パネル218、映像信号処理部220を主に備える。
システムコントローラ202は、メモリ201に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、内視鏡システム1全体の動作を制御する。また、システムコントローラ202は、操作パネル218に入力され操作者(術者)による指示に応じて電子内視鏡システム1の各種動作を定め、あるいは予め定めた各種動作のデフォルト設定を変更する。操作パネル218は、ディスプレイ5に表示される映像が適正な明るさとなるよう、術者が輝度調節操作を行えるようになっている。システムコントローラ202は、輝度調節操作に応じて、映像信号の目標輝度レベルを設定し、メモリ201に記憶させる。
システムコントローラ202は、信号処理部416を介して撮像素子ユニット410を制御し、撮像信号の調節を行う。また、システムコントローラ202は、モータドライバ316を制御して照明光の調節を行う。撮像信号の調節及び照明光の調節については後で説明する。
映像信号処理部220は、内視鏡4から供給される撮像画像の映像信号を信号処理して、ディスプレイ5に供給されるビデオフォーマット信号を生成する。映像信号処理部220は、内視鏡4から供給された撮像画像の映像信号に対してホワイトバランス調整、ガンマ補正等の所定の信号処理を施す。変換されたビデオフォーマット信号は、ディスプレイ5に出力される。これにより、被写体の撮像画像がディスプレイ5の表示画面に動画として表示される。
(撮像信号の調節)
上述したように、増幅部412は、増幅器412a〜412cの使用及び不使用の組み合わせから得られる複数のゲイン値で、撮像信号の調節が可能である。ゲイン値の数は、具体的に、増幅器の使用を「0」、不使用を「1」で表したとき、表1に示すように8個である。
Figure 2020168175
表1に示した8個のゲイン値は、それぞれ、上述した目標輝度レベルと対応する撮像信号の輝度レベルを定める際に用いられるゲイン値(第1ゲイン値)であり、第1群を構成する。撮像信号の調節には、第1群に対して、ゲイン値の数が少ない第2群の中の第2ゲイン値が用いられる。第2ゲイン値は、第1ゲイン値の一部と重複している。第2群の第2ゲイン値の数は、複数の増幅器412a〜412cの一部の使用が制限されることにより、第1群に比べて少なくなっている。使用が制限される増幅器とは、例えば、SN比(Signal-to-noise ratio)が所定値未満の増幅器、あるいは、実際に得られるゲイン値が公称のゲイン値と異なる増幅器である。SN比が所定値未満の増幅器を用いて撮像信号を増幅すると、増幅された撮像信号のノイズレベルが高くなる。また、得られるゲイン値が公称のゲイン値と異なる増幅器を用いて撮像信号を増幅すると、撮像信号の輝度レベルを目標輝度レベルと対応する輝度レベルに増幅できない。以降の説明では、使用が制限される増幅器が増幅器412bである場合を例に説明する。増幅器412bは、SN比が所定値未満である。第1群の第1ゲイン値のうち、ゲイン値「2」、「3」、「6」、「7」の4つは増幅器412bを使用したゲイン値であり、これらのゲイン値を用いて撮像信号を増幅すると、表1に示すように、増幅された撮像信号(調節撮像信号)のノイズレベルは高くなる。このため、ゲイン値「2」、「3」、「6」、「7」の4つは、撮像信号の調節に使用されないよう、第2群には含まれない。すなわち、第2群の第2ゲイン値は、ゲイン値「0」、「1」、「4」、「5」の4つである。このように、第2群の第2ゲイン値の数は、第1群の第1ゲイン値に比べて少なくなっている。
各ゲイン値のノイズレベル及び第2ゲイン値となるゲイン値に関する情報は、例えば、ホワイトバランス調整を行う時に取得される。ホワイトバランス調整では、白画像を被写体として撮像素子411が撮像して生成される撮像信号のSN比の測定を行う。SN比は、例えば、ゲイン値「1」、「2」、「4」を用いて測定され、測定値が所定値未満だったゲイン値、すなわち、SN比の小さい増幅器を使用するゲイン値を排除し、その他のゲイン値を第2群の第2ゲイン値とする。ここで排除されるゲイン値は、増幅器412bを用いたゲイン値である。取得された情報は、メモリ201に格納される。取得された情報は、内視鏡4が再度接続されたときに取得しなくても済むよう、内視鏡4がプロセッサ2から取り外された後もメモリ201に格納されていてもよい。
システムコントローラ202は、メモリ201に記憶された目標輝度レベルと対応する撮像信号の輝度レベルを定める第1群の第1ゲイン値(以降、目標第1ゲイン値という)に応じて、第2群の中から第2ゲイン値を選択する。なお、「目標輝度レベルと対応する撮像信号の輝度レベル」とは、目標輝度レベルに達するよう調節された輝度レベルを意味し、目標輝度レベルと等しい、あるいは、目標輝度レベルとの差が所定値未満の輝度レベルをいう。撮像画像の測光方式は、特に制限されず、撮像信号の輝度レベルには、例えば、平均、ピーク、中央重点等、種々の方式で測光した輝度レベルを用いることができる。
ここで、図4(a)を参照して、第2ゲイン値の選択について説明する。図4(a)は、ゲイン値の大きさの順に並べたゲイン値の番号と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。図4(a)において、目標輝度レベルは、左下方と右上方とを結ぶ破線上のいずれかにある。第1ゲイン値は、この破線上の、縦軸のゲイン値「0」〜「7」それぞれと同じ高さの8箇所にある。目標第1ゲイン値とは、第1群の第1ゲイン値のうち、例えば、撮像信号の輝度レベルが目標輝度レベルに最も近いあるいは等しい輝度レベルとなる第1ゲイン値を意味する。なお、目標輝度レベルが、ゲイン値の大きさが隣り合う2つの第1ゲイン値の平均値と等しい場合は、「目標輝度レベルに最も近い輝度レベル」は2つ存在するため、予め定めた一方(例えばゲイン値が小さい方)の第1ゲイン値を、目標第1ゲイン値とする。表1に示す例では、第1ゲイン値に応じて選択される第2ゲイン値は、ゲイン値「0」、「1」、「4」、「5」のいずれかである。選択される第2ゲイン値は、第2群の中で、撮像信号の調節によって輝度レベルが、目標輝度レベルと対応する輝度レベルに最も近くなるゲイン値であることが好ましい。これにより、当該「目標輝度レベルと対応する輝度レベル」に対する調節撮像信号の輝度レベルの過不足分が小さくなり、後述する受光光量の調節あるいは明るさに関するゲイン調整を行ったときの撮像信号に与える影響を最小限に抑えることができる。
(受光光量の調節)
目標第1ゲイン値に対して不足のある(あるいは過剰な)第2ゲイン値を用いて撮像信号の調節をただ行うと、目標第1ゲイン値を用いて得られる輝度レベルに対して、第2ゲイン値を用いて得られる輝度レベルは不足分(あるいは過剰分)を生じる。このため、第2ゲイン値を用いて得られる輝度レベルが目標輝度レベルに対して低くなり(あるいは高くなり)、設定された適正な明るさと比べ、画像が暗くなってしまう(あるいは明るくなってしまう)。内視鏡システム1では、このような過不足分を小さくするために、撮像素子411で撮像する際に撮像素子411が受光する受光光量を調節した上で撮像を行い、得られた撮像信号に対して、目標第1ゲイン値に対して過不足のある第2ゲイン値を用いた調節を行う。これにより、使用が制限される増幅器を含んだ内視鏡4がプロセッサ2に接続された場合であっても、画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。
(露光時間の調整)
受光光量の調節は、例えば、撮像素子411の露光時間を調整することにより行われる。具体的に、システムコントローラ202は、信号処理部416を介して撮像素子411を制御し、撮像素子411の露光時間(電子シャッタのシャッタ速度)を調整する。選択した第2ゲイン値を用いたときの輝度レベルが、目標第1ゲイン値を用いたときの輝度レベルに対して不足している(あるいは過剰である)場合、露光時間は長くなる(短くなる)よう調整される。ここで、図4(b)を参照して、露光時間の調整について説明する。図4(b)は、露光時間(秒)と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。図4(b)に示す輝度レベルは、図4(a)に示す輝度レベルと、横軸上の同じ位置で同じ大きさを表すよう示される。ここで、シャッタ速度が1/240秒に設定されている場合を例に説明する。図4(b)中に示した、1/120等の数値は、撮像素子411のシャッタ速度(秒)を示す。
撮像素子411から出力された撮像信号の輝度レベルが目標輝度レベルに達するためのゲイン値、すなわち、目標第1ゲイン値が、例えばゲイン値「2」である場合、ゲイン値「2」と最も近い第2群の第2ゲイン値であるゲイン値「1」が選択される。なお、図4(a)において、ゲイン値「2」、「3」、「6」、「7」(グラフ中、背景模様を付した領域)は第2群に含まれないので、選択されない。図4(a)に示すように、ゲイン値「1」はゲイン値「2」に対し不足Aがあり、ゲイン値「1」を用いて撮像信号を調節したときの輝度レベルは、ゲイン値「2」を用いたときの輝度レベルに対して不足分Bが生じる。このため、図4(b)に示すように、シャッタ速度を遅くし露光時間を長くする設定変更が行われる。シャッタ速度の調整量は、不足分Bを補償する量、すなわち、目標輝度レベルXに対する、選択された第2ゲイン値を用いたときの輝度レベルYの比Y/Xの逆数X/Yを乗じたシャッタ速度に調整することが好ましい。図4(b)に示す例では、比Y/X=1/2であるため、2倍のシャッタ速度、すなわち、1/120秒に調整される。これにより、ゲイン値の不足Aによって生じた輝度レベルの不足分Bが補償される。すなわち、ゲイン値「2」を用いて撮像信号を調節した場合と同等の輝度レベルを得ることができる。このようにしてシャッタ速度が調節され、撮像信号の輝度レベルが調整される。
また、目標第1ゲイン値がゲイン値「3」である場合、ゲイン値「3」と最も近い第2ゲイン値であるゲイン値「4」が選択される。図4(a)に示すように、ゲイン値「4」はゲイン値「3」に対しC過剰であり、選択されたゲイン値「4」を用いて撮像信号を調節したときの輝度レベルは、ゲイン値「3」を用いたときの輝度レベルに対して過剰分Dが生じる。このため、図4(b)に示すように、シャッタ速度を速くし露光時間を長くする設定変更が行われる。図4(b)に示す例では、比Y/X=4/3であるため、3/4倍のシャッタ速度、すなわち、1/320秒に調整される。これにより、ゲイン値の過剰分Cによって生じた輝度レベルの過剰分Dが補償される。
同様に、図4(a)に示すように、目標第1ゲイン値がゲイン値「6」である場合は、ゲイン値「5」が選択され、比Y/X=5/6であるため、図4(b)に示すように、シャッタ速度は、6/5倍の1/200秒に調整される。また、図4(a)に示すように、目標第1ゲイン値がゲイン値「7」である場合は、ゲイン値「5」が選択され、比Y/X=5/7であるため、図4(b)に示すように、シャッタ速度は、7/5倍の1/171秒に調整される。
なお、選択された第2ゲイン値が目標第1ゲイン値に対して過不足がない場合、すなわち、選択された第2ゲイン値が目標第1ゲイン値と等しい場合は、露光時間の調節はされない。撮像信号を増幅部412のアナログゲインだけを用いて調整することで、ノイズレベルが低く高画質な画像が得られる。
このように、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用することなく、ゲイン値の過不足によって生じる輝度レベルの過不足分を小さくすることで、変化させうるアナログゲイン値の全域で撮像画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。また、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用しないため、調節された撮像画像のノイズレベルの変動が抑制される。
撮像は、調整された露光時間によって行われるとともに、撮像により生成した撮像信号は、輝度レベルの過不足分を生じさせる第2ゲイン値によって調節されるため、アナログゲインを用いた調整と露光時間の調整との時間差がなく、精度の良い輝度調整を行える。
照明光の強度を強くして受光光量を調節すると、内視鏡4の先端部402が高温になる場合があるが、露光時間を調整した場合には、照明光の強度は不変であるため、そのような問題は発生しない。
デジタル信号に変換された撮像信号に対して明るさに関するゲイン調整を行うと、画素のダイナミックレンジが狭くなり、階調による表現力が低下してしまう場合があるが、露光時間を調整した場合は、そのような問題は発生しない。
(照明光の強度の調整)
内視鏡システム1は、被写体を照明する照明光の強度を調節する照明光調節機構を備えることが好ましい。照明光調節機構は、具体的に、上述した、絞り312、モータドライバ316、モータ314を備える。内視鏡システム1は、上述した露光時間の調整に代えて、照明光調節機構を用いた照明光の強度の調節を行うようになっていてもよい。具体的に、システムコントローラ202は、照明光調節機構を制御して、内視鏡4の先端部から出射される照明光の量(出射光量)を調整するよう、照明光の強度を調節する。選択した第2ゲイン値を用いたときの輝度レベルが、目標第1ゲイン値を用いたときの輝度レベルに対して不足している(あるいは過剰である)場合、照明光の強度は強くなる(弱くなる)よう調整される。図5に、出射光量(lx)と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフを示す。図5に示す輝度レベルは、図4(a)に示す輝度レベルと、横軸上の同じ位置で同じ大きさを表すよう示される。ここでは、出射光量が1000lxに設定されている場合を例に説明する。図5中に示した、2000等の数値は、出射光量(lx)を示す。
図4(a)に示すように、ゲイン値「1」のゲイン値「2」に対する不足Aによって生じる、ゲイン値「2」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「1」を用いたときの輝度レベルの不足分Bを小さくするため、図5に示すように、照明光の強度を強め、照明光の出射光量を増大させる設定変更が行われる。出射光量の調整量は、不足分Bを補償する量、すなわち、上記比Y/Xの逆数X/Yを乗じた出射光量に調整することが好ましい。図5に示す例では、比Y/X=1/2であるため、2倍の出射光量、すなわち、2000lxに調整される。これにより、ゲイン値の不足Aによって生じた輝度レベルの不足分Bが補償される。すなわち、ゲイン値「2」を用いて撮像信号を調節した場合と同等の輝度レベルを得ることができる。
また、ゲイン値「4」のゲイン値「3」に対する過剰分Cによって生じる、ゲイン値「3」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「4」を用いたときの輝度レベルの過剰分Dを小さくするため、図5に示すように、照明光の強度を弱め、出射光量を低減させる設定変更が行われる。図5に示す例では、比Y/X=4/3であるため、3/4倍の出射光量、すなわち、750lxに調整される。これにより、ゲイン値の過剰分Cによって生じた輝度レベルの過剰分Dが補償される。
同様に、目標第1ゲイン値がゲイン値「6」である場合は、ゲイン値「5」が選択され、比Y/X=5/6であるため、図5に示すように、出射光量は、6/5倍の1200lxに調整される。また、目標第1ゲイン値がゲイン値「7」である場合は、ゲイン値「5」が選択され、比Y/X=5/7であるため、図5に示すように、出射光量は、7/5倍の電子シャッタ速度1400lxに調整される。
このように、出射光量の調整を行った場合も、露光時間を調整した場合と同様に、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用することなく、ゲイン値の過不足によって生じた輝度レベルの過不足分を小さくすることで、変化させうるアナログゲイン値の全域で撮像画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。また、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用しないため、調節された撮像画像のノイズレベルの変動が抑制される。
露光時間を調整する方法では、露光時間が長くなると、撮像信号の各フレームにおける動き量が大きくなり、静止画像のぶれが発生しやすくなるが、出射光量を調整する方法によれば、露光時間は不変であるため、そのような静止画のぶれの発生を抑制できる。また、一般的な撮像素子では、映像信号のフレームレートより遅いシャッタ速度に調節することや、シャッタ速度を細かく設定することができない場合が多いが、出射光量の調整を行う方法では、そのような制約がない。さらに、露光時間の調整では補償できないような大きさの輝度レベルの過不足分が生じる場合であっても、出射光量の調整は容易に行える。
以上説明した露光時間を調整する方法及び出射光量を調整する方法では、デジタル信号に変換された撮像信号に対し明るさに関するゲイン調整(デジタルゲイン調整)を施した場合に発生しうる、画素のダイナミックレンジが狭くなり、階調による表現力が低下するようなことはない。
照明光調節機構は、上述したように、絞り312、モータドライバ316、モータ314で構成されていてもよいが、一方で、照明光調節機構は、上述したランプ電源ドライバ306で構成されていてもよい。この場合、ランプ308にはLEDが用いられる。ランプ電源ドライバ306は、LEDに印加する電圧を調節して、LEDから出射される照明光の強度を調節する。このような調整方法は、上述した絞り312等を用いて強度の調節を行う場合と比べ、応答性に優れ、フレーム単位で調節を行うことが容易である。
(デジタルゲインによる調整)
以上説明した受光光量の調節に代えて、内視鏡システム1は、映像信号処理部(画像処理部)220が、選択された第2ゲイン値で調節した撮像信号(調節撮像信号)から得られる被写体の画像に対し明るさに関するゲイン調整を施すようになっていてもよい。明るさに関するゲイン調整とは、具体的に、画像のすべての画素値に対し等倍のゲイン調整を施して、画像全体の明るさを調節することを意味する。明るさに関するゲイン調整は、デジタル信号に変換された撮像信号に対しデジタルゲインを用いて施される。具体的に、システムコントローラ202は、映像信号処理部220を制御して、撮像信号に対し明るさに関するゲイン調整を施す。選択した第2ゲイン値を用いたときの輝度レベルが、目標第1ゲイン値を用いたときの輝度レベルに対して不足している(あるいは過剰である)場合、ゲイン調整量を大きくする(小さくする)よう調整される。ここで、図6を参照して、デジタルゲインによる調整について説明する。図6は、デジタルゲインの大きさ(倍率)と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。図6に示す輝度レベルは、図4(a)に示す輝度レベルと、横軸上の同じ位置で同じ大きさを表すよう示される。ここで、デジタルゲインが等倍に設定されている場合を例に説明する。図4(b)中に示した、「×2」等の数値は、選択された第2ゲイン値で調節された撮像信号に施されるデジタルゲインの大きさを示す。
図4(a)に示すように、ゲイン値「1」のゲイン値「2」に対する不足Aによって生じる、ゲイン値「2」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「1」を用いて撮像信号を調節したときの輝度レベルの不足分Bを小さくするため、図6に示すように、撮像信号に施すデジタルゲインを大きくする設定変更が行われる。デジタルゲインの大きさは、過不足分Bを補償する量、すなわち、上記比Y/Xの逆数X/Y倍に調整することが好ましい。図6に示す例では、比Y/X=1/2であるため、2倍の大きさに調整される。これにより、ゲイン値の不足Aによって生じた輝度レベルの不足分Bが補償される。すなわち、ゲイン値「2」を用いてアナログゲインを用いて調節した場合と同等の輝度レベルを得ることができる。
また、ゲイン値「4」のゲイン値「3」に対する過剰分Cによって生じる、ゲイン値「3」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「4」を用いたときの輝度レベルの過剰分Dを小さくするため、図6に示すように、デジタルゲインを小さくする設定変更が行われる。図6に示す例では、比Y/X=4/3であるため、3/4倍、すなわち0.75倍の大きさに調整される。これにより、ゲイン値の過剰分Cによって生じた輝度レベルの過剰分Dが補償される。
同様に、目標第1ゲイン値がゲイン値「6」である場合は、ゲイン値「5」が選択された場合、比Y/X=5/6であるため、図6に示すように、デジタルゲインは、6/5倍、すなわち1.2倍に調整される。また、目標第1ゲイン値がゲイン値「7」である場合は、ゲイン値「5」が選択され、比Y/X=5/7であるため、図6に示すように、出射光量は、7/5倍、すなわち1.4倍に調整される。
このようにデジタルゲインによる調整を行った場合も、上記説明した受光光量を調節した場合と同様に、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用することなく、ゲイン値の過不足によって生じた輝度レベルの過不足分を小さくすることで、変化させうるアナログゲイン値の全域で撮像画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。また、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用しないため、調節された撮像画像のノイズレベルの変動が抑制される。
デジタルゲインを用いて調整する方法では、アナログゲインを用いて調節した撮像信号に対してデジタルゲインを施すことができ、両者の調整の間に時差が発生しない。また、デジタルゲインを用いて調整する方法では、電子シャッタのシャッタ速度は不変であるため、静止画像のぶれの発生を抑制できる。また、デジタルゲインを用いて調整する方法では、照明光の出射光量は変化しないため、内視鏡4の先端部が高温になることがない。また、デジタルゲインを用いて調整する方法では、受光光量を調節する方法と比べ、変化させうるデジタルゲインの大きさの上限及び下限に関し制約が少ない。
(露光時間の調整及びデジタルゲインによる調整の組み合わせ)
露光時間の調整、出射光量の調整、及びデジタルゲインの調整は、上述したように単独で行われてもよく、これらのうちの2つ以上を組み合わせて行われてもよい。ここで、図7を参照して、露光時間の調整とデジタルゲインによる調整の2つを組み合わせて行う方法を例に説明する。図7(a)は、露光時間(秒)と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。図7(b)は、デジタルゲインの大きさ(倍率)と、撮像信号の輝度レベルとの関係を示すグラフである。図7(a),(b)に示す輝度レベルは、図4(a)に示す輝度レベルと、横軸上の同じ位置で同じ大きさを表すよう示される。ここでは、シャッタ速度が1/240秒に設定され、デジタルゲインが等倍に設定されている場合を例に説明する。図7(a)中に示した、1/180等の数値は、調節された露光時間の長さを示す。図7(b)中に示した、1.33等の数値は、調節された撮像素子411のデジタルゲインの大きさを示す。
図4(a)に示すように、ゲイン値「1」のゲイン値「2」に対する不足Aによって生じる、ゲイン値「2」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「1」を用いて撮像信号を調節したときの輝度レベルの不足分Bを小さくするため、図7(a)に示すように、露光時間を長くし、かつ、図7(b)に示すように、撮像信号に施すデジタルゲインを大きくする設定変更が行われる。露光時間の長さ、及び、デジタルゲインの大きさはそれぞれ、例えば、上記比Y/Xの逆数の正の平方根√X/√Y倍に調整することが好ましい。比Y/X=1/2であるため、露光時間は、図7(a)に示す例では、約√2倍の大きさ、すなわち1/170倍に調整され、デジタルゲインは、図7(b)に示す例では、約√2倍の大きさ、すなわち1.4倍に調整される。これにより、ゲイン値の不足Aによって生じた輝度レベルの不足分Bが補償される。すなわち、ゲイン値「2」を用いてアナログゲインを調整した場合と同等の輝度レベルを得ることができる。
また、ゲイン値「4」のゲイン値「3」に対する過剰分Cによって生じる、ゲイン値「3」を用いたときの輝度レベルに対するゲイン値「4」を用いたときの輝度レベルの過剰分Dを小さくするため、図7(a)に示すように、露光時間を短くし、図7(b)に示すように、撮像信号に施すデジタルゲインを小さくする設定変更が行われる。図7(b)に示す例では、比Y/X=4/3であるため、露光時間は、図7(a)に示す例では、約√(3/4)倍の長さ、すなわち1/280秒に調整され、デジタルゲインは、図7(b)に示す例では、約√(3/4)倍の大きさ、すなわち0.87倍に調整される。これにより、ゲイン値の過剰分Cによって生じた輝度レベルの過剰分Dが補償される。
同様に、目標第1ゲイン値がゲイン値「6」である場合は、ゲイン値「5」が選択された場合、比Y/X=5/6であるため、図7(a)に示すように、露光時間は、約√6/√5倍の長さ、すなわち1/220秒に調整され、かつ、図7(b)に示すように、デジタルゲインは、約√6/√5倍、すなわち1.09倍に調整される。また、目標第1ゲイン値がゲイン値「7」である場合は、ゲイン値「5」が選択された場合、比Y/X=5/7であるため、図7(a)に示すように、露光時間は、約√7/√5倍の長さ、すなわち1/205秒に調整され、かつ、図7(b)に示すように、デジタルゲインは、約√7/√5倍、すなわち1.16倍に調整される。
このように露光時間の調整及びデジタルゲインによる調整を組み合わせて行った場合も、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用することなく、ゲイン値の過不足によって生じた輝度レベルの過不足分を小さくすることで、変化させうるアナログゲイン値の全域で撮像画像の画質を低下させることなく、適正な画像の明るさを得ることができる。また、ノイズレベルが高くなるアナログゲイン値を使用しないため、調節された撮像画像のノイズレベルの変動が抑制される。
上述した、露光時間の調整及びデジタルゲインによる調整を組み合わせた方法では、例えば、露光時間を長くする調整を、デジタルゲインを大きくする調整と組み合わせることによって、露光時間を長くする調整だけで輝度レベルの過不足分を補償する場合と比べ、静止画像のぶれが発生し難い。
なお、上述した例では、輝度レベルの過不足分を補償するための各調整方法の調整量(負担率)は、等分されていたが、調節後の撮像信号の輝度レベルが調節前の輝度レベルのX/Y倍になるような負担率であれば、各調整方法の調整量は、等分されていなくてもよい。また、例えば、露光時間の調整、照明光の強度の調整、及びデジタルゲインによる調整の3つを組み合わせて撮像信号の調節を行う場合は、調節後の撮像信号の輝度レベルが調節前の輝度レベルのX/Y倍になるような負担率で分担でき、例えば3√X/3√Yずつ分担することができる。
以上説明した、露光時間の調整、照明光の強度の調整、及びデジタルゲインによる調整を行う場合の調整量は、例えば、選択される第2ゲイン値ごとに対応付けて予め作成した調光用テーブルを、システムコントローラ202が参照することで、決定されるようになっていてもよい。そのような調光用テーブルの情報は、例えばメモリ201に保存される。
(内視鏡システムの動作フロー)
図8は、本実施形態の内視鏡システム1の撮像のフローの例を示すフローチャートである。ここでは、露光時間の調整によって輝度レベルの過不足分を小さくする方法を例に説明する。
まず、内視鏡システム1を立ち上げると、ホワイトバランス調整が行われる(ステップST1)。このとき、白画像を被写体として撮像素子411が撮像して生成される撮像信号のSN比の測定を行う。具体的には、ゲイン値「1」、「2」、「4」を用いて撮像信号の調節を行い、第1ゲイン値のうち、測定値が所定値以上だった増幅器を使用するゲイン値だけを、第2群の第2ゲイン値とする。第2ゲイン値に関する情報は、メモリ201に格納される。
次に、操作パネル218に対する術者の輝度調節操作により設定された輝度、あるいは、デフォルト設定された輝度が、適正な映像の明るさの基準として設定され、目標輝度レベルが設定される(ST2)。
システムコントローラ202は、目標輝度レベルに達するような第1ゲイン値(目標第1ゲイン値)を定め、定めた目標第1ゲイン値との過不足が最も少ない第2ゲイン値を、第2群の中から選択する(ST3)。このとき、システムコントローラ202は、例えば、メモリ201に格納された調光用テーブルを参照して、選択した第2ゲイン値と対応する露光時間を、撮像時の露光時間として決定する(ST3)。調光用テーブルの例を、表2に示す。表2の調光用テーブルは、図4に関して説明した第2ゲイン値と露光時間との関係を基に作成されている。
Figure 2020168175
ステップST3において、例えば、目標第1ゲイン値が第1ゲイン値「2」に定められたとき、第1ゲイン値「2」と最も過不足の少ない第2ゲイン値「1」が選択されるとともに、撮像時の露光時間は、1/120秒に決定される。また、例えば、目標第1ゲイン値が第1ゲイン値「1」に定められたとき、第1ゲイン値「1」と最も過不足の少ない第2ゲイン値「1」が選択されるとともに、撮像時の露光時間は、1/240秒に決定される。すなわち、目標第1ゲイン値と過不足のない第2ゲイン値を選択した場合は、撮像時の露光時間は、予め設定された露光時間と同じ露光時間に決定される。
ステップST4では、ステップST3で決定した露光時間で撮像が行われ、撮像素子411から出力された信号は、増幅部412を通過する際、ステップST3で選択された第2ゲイン値により調節される。調節された信号は、信号処理部416を介してプロセッサ2に出力され、映像信号処理部220において信号処理された後、ディスプレイ5に出力される。
システムコントローラ202は、観察終了の指示があるまで(ST5のNO)、1回の撮像を行うごとに、撮像した画像の輝度レベルを目標輝度レベルと比較する(ST6)。システムコントローラ202は、比較結果に応じて、次の撮像を行う際の目標第1ゲイン値を定め、第2ゲイン値を選択し、撮像時の露光時間を決定する(ST3)。例えば、撮像した画像の輝度レベルが目標輝度レベルよりも低い場合、その画像の撮像前に定めた目標第1ゲイン値よりも大きい第1ゲイン値が新たな目標第1ゲイン値に定められる。
ステップST3、ステップST4、及びステップST6の動作は、観察終了の指示があるまで(ST5のYES)、撮像を行うごとに行われる。
このように、目標輝度レベルと対応する撮像信号の輝度レベルを定める目標第1ゲイン値と過不足のある第2ゲイン値を用いることで生じる、当該輝度レベルに対する調節撮像画像の輝度レベルの過不足分を小さくするために、撮像素子411が受光する受光光量が調節され、調節された受光光量で撮像が行われることにより、撮像信号のノイズレベルの変動を抑制でき、使用が制限される増幅器を含んだ内視鏡4がプロセッサ2に接続された場合であっても、一定以上の画質を維持しつつ、適正な画像の明るさが得られる。
以上、本発明の内視鏡システムについて詳細に説明したが、本発明の内視鏡システムは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 内視鏡システム
2 プロセッサ
3 光源装置
4 内視鏡
5 ディスプレイ
200,400 コネクタ部
201 メモリ
202 システムコントローラ
218操作パネル
220 映像信号処理部
306 ランプ電源ドライバ
308 ランプ
310 集光レンズ
314 モータ
316 モータドライバ
402 先端部
404 ライトガイド
406 配光レンズ
408 対物レンズ
410 撮像素子ユニット
411 撮像素子
412 増幅部
412,412b,412c 増幅器
414 コネクタ部
416 信号処理部
418 メモリ
420 挿入部
422 手元操作部
424 屈曲部

Claims (7)

  1. 被写体を撮像して撮像信号を生成するよう構成された撮像素子に複数の増幅器が付随した撮像素子ユニットであって、前記複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わせることで得られる複数のゲイン値からなる第1群に対して、前記複数の増幅器の一部の使用が制限されることにより、前記使用及び不使用を組み合わせることで得られるゲイン値の数が、前記第1群に比べて少なくなった第2群の中の第2ゲイン値を選択して前記撮像信号を調節した調節撮像信号を出力するよう構成された撮像素子ユニットと、
    前記第2ゲイン値のうち、目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の輝度レベルを定める前記第1群の第1ゲイン値に対して過不足のある第2ゲイン値を用いることによって生じる、前記撮像信号の前記輝度レベルに対する前記調節撮像信号の輝度レベルの過不足分を小さくするために、前記調節撮像信号から得られる前記被写体の画像に対し明るさに関するゲイン調整を施すよう構成された画像処理部と、
    を備えることを特徴とする内視鏡システム。
  2. 照明光で照明された被写体を撮像して撮像信号を生成するよう構成された撮像素子に複数の増幅器が付随した撮像素子ユニットであって、前記複数の増幅器の使用及び不使用を組み合わせることで得られる複数のゲイン値からなる第1群に対して、前記複数の増幅器の一部の使用が制限されることにより、前記使用及び不使用を組み合わせることで得られるゲイン値の数が、前記第1群に比べて少なくなった第2群の中の第2ゲイン値を選択して前記撮像信号を調節した調節撮像信号を出力するよう構成された撮像素子ユニットと、
    前記第2ゲイン値のうち、目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の輝度レベルを定める前記第1群の第1ゲイン値に対して過不足のある第2ゲイン値を用いることによって生じる、前記撮像信号の前記輝度レベルに対する前記調節撮像信号の輝度レベルの過不足分を小さくするために、前記撮像素子が受光する受光光量の調節を行うように構成された制御部と、
    を備えることを特徴とする内視鏡システム。
  3. 前記調節撮像信号の輝度レベルの前記過不足分を小さくするために、前記調節撮像信号から得られる前記被写体の画像に対し明るさに関するゲイン調整を施すよう構成された画像処理部さらに備える、請求項2に記載の内視鏡システム。
  4. 前記制御部は、前記撮像素子の露光時間を調整することにより前記受光光量が調節されるよう前記撮像素子を制御するよう構成されている、請求項2または3に記載の内視鏡システム。
  5. さらに、前記被写体を照明する照明光の強度を調節するよう構成された照明光調節機構を備え、
    前記制御部は、前記受光光量が調整されるよう前記照明光調節機構を制御するよう構成されている、請求項2又は3に記載の内視鏡システム。
  6. 前記選択される前記第2ゲイン値は、前記第2群の中で、前記調節撮像信号の前記輝度レベルが、前記目標輝度レベルと対応する前記撮像信号の前記輝度レベルに最も近くなるゲイン値である、請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
  7. 前記増幅器のうち、前記使用が制限される増幅器は、白画像を前記被写体として前記撮像素子で撮像したときの撮像信号のSN比が所定値未満である増幅器である、請求項1から6のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024142326A1 (ja) * 2022-12-27 2024-07-04 オリンパスメディカルシステムズ株式会社 内視鏡制御処理装置、内視鏡システム、および内視鏡制御処理装置の作動方法

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