JP2020168086A - 頭蓋内圧推定方法及び頭蓋内圧推定装置 - Google Patents

頭蓋内圧推定方法及び頭蓋内圧推定装置 Download PDF

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徳男 小池
Tokuo Koike
徳男 小池
智志 安本
Satoshi Yasumoto
智志 安本
一博 本郷
Kazuhiro Hongo
一博 本郷
後藤 哲哉
Tetsuya Goto
哲哉 後藤
建治 降旗
Kenji Furuhata
建治 降旗
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Abstract

【課題】簡易な装置を用いて非侵襲的に頭蓋内圧を推定することを可能にする頭蓋内圧推定方法等を提供すること。【解決手段】頭蓋内圧推定方法は、被験者の外耳道圧波形を取得する波形取得工程と、外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出する波形抽出工程と、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとを算出するパワースペクトル算出工程と、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求める周波数決定工程と、固有共振周波数NRFに基づいて、式(ICP=k・(NRF)2、但し、kは定数である)により頭蓋内圧ICPを算出する頭蓋内圧算出工程とを含む。【選択図】図14

Description

本発明は、頭蓋内圧推定方法及び頭蓋内圧推定装置に関する。
頭蓋内圧は、脳損傷、脳卒中、頭蓋内出血等の治療や診断を行う際の指標として使用されている。従来の頭蓋内圧測定方法としては、頭蓋骨の直下に圧電センサーを入れる方法(例えば、特許文献1)と、側脳室に直接チューブを差し込んでそこから立ち上がる水柱の圧を測る方法(例えば、特許文献2)が一般的に知られている。
特表2008−539811号公報 特開平5−300880号公報
しかし、上記の手法はいずれも、頭蓋骨に穿孔し、内部にセンサーやチューブを設置する必要があり、被測定者の侵襲性が高いものであった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な装置を用いて非侵襲的に頭蓋内圧を推定することを可能にする頭蓋内圧推定方法等を提供することにある。
(1)本発明に係る頭蓋内圧推定方法は、被験者の頭蓋内圧を推定する頭蓋内圧推定方法であって、被験者の外耳道圧波形を取得する波形取得工程と、前記外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出する波形抽出工程と、前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとを算出するパワースペクトル算出工程と、前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、当該差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求める周波数決定工程と、前記固有共振周波数NRFに基づいて、式(ICP=k・(NRF)、但し、kは定数である。)により頭蓋内圧ICPを算出する頭蓋内圧算出工程とを含む、頭蓋内圧推定方法である。
また本発明に係る頭蓋内圧推定装置は、被験者の頭蓋内圧を推定する頭蓋内圧推定装置であって、被験者の外耳道圧波形を検出する外耳道圧センサーと、前記外耳道圧波形から頭蓋内圧を推定する演算部とを含み、前記演算部は、前記外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出し、前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとを算出し、前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、前記差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求め、前記固有共振周波数NRFに基づいて、式(ICP=k・(NRF)、但し、kは定数である。)により頭蓋内圧ICPを算出する、頭蓋内圧推定装置である。
本発明によれば、非侵襲的であり、かつ簡便な装置で測定できる外耳道圧波形に基づい
て頭蓋内圧を推定できるので、被験者に負担なく頭蓋内圧を推定することができる。また、外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出し、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求めることで、頭蓋内圧に依存しない周波数成分をキャンセルして頭蓋内圧に依存する固有共振周波数NRFを求めることができ、精度よく頭蓋内圧を推定することが可能となる。
(2)また本発明に係る頭蓋内圧推定方法及び頭蓋内圧推定装置では、前記波形抽出工程では(前記演算部は)、前記外耳道圧波形から、被験者が吸気しているときの第1の波形と被験者が呼気しているときの第2の波形を抽出してもよい。
(3)また本発明に係る頭蓋内圧推定方法及び頭蓋内圧推定装置では、前記固有共振周波数NRFの周波数帯域は、5Hzから50Hzであり、推定可能な前記頭蓋内圧ICPの範囲は、0cmHOから70cmHOであってもよい。
本実施形態に係る頭蓋内圧推定装置の構成例を示す機能ブロック図。 外耳道圧センサーの構成例を示す図。 頸動脈圧波形及び頭蓋内圧脈波形のノイズ除去と切り出しの例を示す図。 頸動脈圧波形からの最大ピーク波形の抽出と、頭蓋内圧脈波形からのICPパルス波形の抽出の例を示す図。 加重平均した頸動脈圧波形と頭蓋内圧脈波形の例を示す図。 頸動脈圧波形から頭蓋内圧脈波形への伝達関数の計算例を示す図。 頭蓋内圧及び固有共振周波数の測定結果をプロットしたグラフ。 脳音響力学モデルを示す図。 等価回路モデルを示す図。 外耳道圧センサーによって測定した外耳道圧波形の例を示す図。 加重平均した第1の波形と第2の波形の例を示す図。 第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルを示す図。 第1の波形のパワースペクトルの包絡線と第2の波形のパワースペクトルの包絡線とのレベル差を示す図。 本実施形態に係る頭蓋内圧推定装置の処理の流れを示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本実施形態に係る頭蓋内圧推定装置の構成例を示す機能ブロック図である。頭蓋内圧推定装置1は、外耳道圧センサー10と、増幅器20(交流増幅器)と、AD変換器30と、演算処理部(プロセッサー)及び記憶部を有する演算部40と、表示部50とを含む。
外耳道圧センサー10は、被験者の外耳道圧波形(EACPW:extra-auditory canal
pressure waveform)を検出する。外耳道圧センサー10が検出した外耳道圧波形(外耳道脈波音圧)は、増幅器20により増幅され、AD変換器30によりデジタルデータに変
換され、演算部40に出力される。外耳道圧センサー10としては、音センサーや圧力センサーを用いることができる。
図2は、外耳道圧センサー10の構成例を示す図である。外耳道圧センサー10は、外耳道を密閉して密閉空間を形成する密閉部11と、密閉空間内の音圧を外耳道脈波音圧として検出するマイクロフォン12と、を含んで構成されている。密閉部11は、略半球状に構成され、マイクロフォン12が有する音孔13と連通する音孔14が設けられている。外耳道圧波形を検出する際には、音孔14は、外耳道と連通するように取付けられる。また、マイクロフォン12の音孔13の先端が密閉部11の音孔14と連通するように、密閉部11とマイクロフォン12とは結合される。密閉部11としては、例えば、樹脂製のイヤーチップや、イヤーチップに可塑性の素材を組み合わせたものを採用してもよい。また、密閉部11に空気孔を設け、外耳道内への挿入が完了した際に密閉する構成としてもよい。マイクロフォン12としては、例えば、コンデンサーエレクトレットマイクロフォンを採用してもよい。
図1に戻り、演算部40は、外耳道圧センサー10で検出された外耳道圧波形の時系列データをデジタル化した外耳道圧波形データ(AD変換器30の出力信号)を解析して、脳の固有共振周波数(NRF:natural resonance frequency)を求め、求めた固有共振周波数に基づいて頭蓋内圧(ICP:intracranial pressure)を算出(推定)する。
表示部50(ディスプレイ)は、外耳道圧波形データや、演算部40による演算結果(頭蓋内圧の推定値)等を表示する。表示部50としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイなどを採用できる。
2.本実施形態の手法
心臓から駆出される血流脈波が頸動脈、椎骨動脈を経由して脳に至り、頭蓋内圧脈波(PWICP:pulse wave of intracranial pressure)を形成する。このため、頸動脈圧波(CCPW:cervical carotid pressure wave)による入力と出力波形である頭蓋内圧脈波は共振関係にある。頭蓋内圧が上昇すると脳のコンプライアンスは低下し、その固有共振周波数は上昇する。本発明者らは、頸動脈圧波形CCPWと頭蓋内圧脈波形PWICPを同時に測定し、頸動脈圧波形CCPWから頭蓋内圧脈波形PWICPへの伝達特性から固有共振周波数NRFを計算した結果、計算された固有共振周波数NRFが測定された頭蓋内圧ICPのみに依存し、頭蓋内圧ICPと固有共振周波数NRFとの関係を単純な二次関数(ICP=k・(NRF)、但し、kは定数である)で表すことができることを発見した。
合計27人の被験者(男性17人、女性10人)から、頭蓋内圧脈波形PWICP及び頸動脈圧波形CCPWを同時に収集した。27人の被験者の年齢は14〜83(平均54)歳、身長は137〜187(平均163)cm、体重は32〜103(平均61)kgであった。また、6人の被験者に外傷、4人に神経膠腫、5人に脳実質外腫瘍、4人に脳内出血、4人に梗塞、1人に脳脊髄液漏出の疾患があった。頭蓋内圧脈波形PWICPは、脳室ドレナージ又はICPセンサーにより測定した。脳室ドレナージは、0cmHOの高さが外耳道のレベルになるように調整し、圧力センサーに接続した。ICPセンサーは、硬膜下腔又は脳実質内に配置した。頸動脈圧波形CCPWは、ソフトバンドによって首の頸動脈部分に取り付けられた高感度マイクロフォンにより測定した。全てのデータは200Hzで同時に収集され保存された。
収集したデータをオフライン状態で分析した。分析前に、被験者のモーションアーチファクトや不適切なセンサー設定によるノイズを全て除去(reject)した。ノイズを除去した後、連続したデータを10.24秒ごとに切り出し、切り出したデータを「列(column)」とした。図3に、頸動脈圧波形CCPW及び頭蓋内圧脈波形PWICPのノイズ除去と切り出しの例を示す。次に、頸動脈圧波形CCPWの各列から、心拍動の最大の正のピークを抽出し、頭蓋内圧脈波形PWICPの各列から、同じ心拍動での1つのICPパルス波形を抽出した。図4に、1つの列における、頸動脈圧波形CCPWからの最大ピーク波形の抽出(図中a)と、同じ心拍数での頭蓋内圧脈波形PWICPからのICPパルス波形の抽出(図中b)の例を示す。次に、各列から抽出した頸動脈圧波形CCPWを加重平均法により平均化し、同様に、各列から抽出した頭蓋内圧脈波形PWICPを加重平均した。図5に、加重平均した頸動脈圧波形CCPWと頭蓋内圧脈波形PWICPの例を示す。
次に、加重平均した頸動脈圧波形CCPWを入力とし、加重平均した頭蓋内圧脈波形PWICPを出力として、伝達関数法により伝達特性を計算した。図6に、頸動脈圧波形CCPWから頭蓋内圧脈波形PWICPへの伝達関数の計算例を示す。計算した伝達関数における最初の負のピーク(first initial negative peak)に対応する周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして判断した。図6に示す例では、伝達関数の最初の負のピークである19.8Hzを固有共振周波数NRFとした。次に、切り出された全ての列全体で頭蓋内圧脈波形PWICPを平均して頭蓋内圧ICPを測定し、測定された頭蓋内圧ICPと計算された固有共振周波数NRFとの関係を調べた。18人の被験者について1回、4人の被験者について2回、3人の被験者について3回、及び2人の被験者について4回測定を行い、27人の被験者から合計43個のデータ(頭蓋内圧ICPと固有共振周波数NRFとの関係)を得た。図7に、43個のデータからの頭蓋内圧ICP及び固有共振周波数NRFをプロットしたグラフを示す。
頭蓋内圧ICPと固有共振周波数NRFとの関係は、単純な脳音響力学モデル(図8参照)によって説明することができる。脳(重量m、単位:kg)は閉じた空間にあり、脳脊髄液は、ショックアブソーバー(脳脊髄容積コンプライアンスC、単位:F)及び粘度(抵抗R、単位:Ω)の効果によって脳の動きを防げる。動脈拍動(力F、単位:N)は脳を動かす。脳の移動速度は速度V(単位:m/s)である。これらの各因子は次式のように説明できる。
これらは等価回路モデル(図9参照)で表すこともできる。動脈拍動をシグモイド曲線で代用できる場合、脳の固有共振周波数NRF(単位:Hz)は、以下の式(1)のように表すことができる。
これによると固有共振周波数NRFは、脳重量mと脳脊髄容積コンプライアンスCにのみ依存している。ここで、脳重量mの平均は1.4kgである。また、脳脊髄容積コンプライアンスCは頭蓋内圧ICPに反比例する。頭蓋内圧ICPが基準ICP=13.33hPaであるとき、脳脊髄容積コンプライアンスC(基準コンプライアンス)は0.0000473で与えられるため、脳脊髄容積コンプライアンスCは、以下の式(2)によって表すことができる。
式(1)、(2)から、頭蓋内圧ICP(単位:hPa)と固有共振周波数NRFとの関係は、以下の式(3)によって表すことができる。
ICP=0.0349・(NRF) …(3)
式(3)の二次関数(理論式)は、図7において点線で示されている。図7にプロットされた測定データの式(3)の理論式に対する当てはまり度を表す決定係数Rは0.9999であり、実測した頭蓋内圧ICPと固有共振周波数NRFは理論値と強く一致した。このことから、固有共振周波数NRFが、頭蓋内圧ICPのみに依存し、被験者の年齢、性別、体重、疾患等に依らないことが分かった。このことは、脳の固有共振周波数NRFを求めることで、式(3)により、頭蓋内圧ICPを予測できることを意味する。
ここで、外耳道圧波形EACPWは、頭蓋内圧波形成分を含んでいる。このため、外耳道圧波形EACPWには固有共振周波数NRFが含まれているはずである。しかしながら、外耳道圧波形EACPWには、外頸動脈やその他の器官からの共振が含まれるため、頭蓋内圧ICPに依存して変動する固有共振周波数NRFは、外耳道圧波形EACPWのパワースペクトルにおいて、いくつも観察されるピークの一つにしかならない。
そこで、本実施形態では、呼吸変動に伴う静脈圧変動が頭蓋内圧ICPに周期的な変動をもたらすことに着目して、外耳道圧波形EACPWから、頭蓋内圧ICPが高いときの波形(第1の波形)と頭蓋内圧ICPが低いときの波形(第2の波形)とを抽出して、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとの差分を計算する。これにより、外耳道圧波形EACPWのパワースペクトルから頭蓋内圧ICPに依存しない周波数特性をキャンセルして、頭蓋内圧ICPに依存する固有共振周波数NRFを求めることができる。以下、この手法について詳細に説明する。
図10に、外耳道圧センサー10によって測定した外耳道圧波形EACPWの例を示す。図10において、振幅の大きい波形が外耳道圧波形EACPWであり、振幅の小さい波形は呼気変動(respiratory fluctuation)である。図10の例では、測定時間は40.96secであり、呼吸回数は10回である。まず、外耳道圧波形EACPWから、少なくとも一呼吸に相当する区間において(局所的に)振幅が最大になるパルス波形(頭蓋内圧ICPが高い状態のときの第1の波形)を区間数分だけ切り出して、切り出した第1の波形を加重平均する。同様に、外耳道圧波形EACPWから、少なくとも一呼吸に相当する区間において振幅が最小になるパルス波形(頭蓋内圧ICPが低い状態のときの第2の波形)を区間数分だけ切り出して、切り出した第2の波形を加重平均する。図11に、加重平均した第1の波形(EACPup)と、加重平均した第2の波形(EACPlow)の例を示す。なお、被験者が自発呼吸をしている場合は、吸気は陰圧であり呼気は陽圧であるから、被験者が吸気しているときに頭蓋内圧ICPは低くなり、呼気しているときに頭蓋内圧ICPは高くなる。また、被験者が呼吸器につながっている場合は、吸気は陽圧であり呼気は大気圧で低くなるから、被験者が吸気しているときに頭蓋内圧ICPは高くなり、呼気しているときに頭蓋内圧ICPは低くなる。
次に、加重平均した第1の波形のパワースペクトルと、加重平均した第2の波形のパワースペクトルを算出する。図12の左側のグラフは、第1の波形のパワースペクトル密度関数PSDとその包絡線(20次のAR(自己回帰)モデルによる包絡線)であり、図12の右側のグラフは、第2の波形のパワースペクトル密度関数PSDとその包絡線である。次に、第1の波形のパワースペクトルの包絡線から第2の波形のパワースペクトルの包絡線を引き算して両者のレベル差(差分スペクトル)を算出する。図13は、第1の波形のパワースペクトルの包絡線と第2の波形のパワースペクトルの包絡線とのレベル差(単位:dB)を示す図である。この引き算により、頭蓋内圧ICPに依存しない周波数特性はキャンセルされるため、図13のレベル差の最大値p(ピーク)に対応する周波数は、頭蓋内圧ICPが最も高いときの固有共振周波数であり、図13のレベル差の最小値d(ディップ)に対応する周波数は、頭蓋内圧ICPが最も低いときの固有共振周波数であるといえる。よって、最大値pに対応する周波数と最小値dに対応する周波数との平均周波数を、固有共振周波数NRFとして求めることができる。図13に示す例では、最大値pに対応する周波数は48.83Hzであり、最小値dに対応する周波数は41.41Hzであるから、その平均周波数である45.12Hzが固有共振周波数NRFとして求められる。そして、求めた固有共振周波数NRFを式(3)の理論式に代入することで、頭蓋内圧ICPを推定することができる。なお、図7に示すように、本実施形態において、求める固有共振周波数NRFの周波数帯域は、5Hzから50Hzであり、推定可能な頭蓋内圧ICPの範囲は、0cmHOから70cmHOとなる。
3.処理
図14は、頭蓋内圧推定装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、演算部40は、外耳道圧センサー10で検出された外耳道圧波形EACPWの時系列データをデジタル化した外耳道圧波形データを取得する(ステップS10)。次に、演算部40は、取得した外耳道圧波形データから、頭蓋内圧が高い状態のとき(例えば、被験者が吸気しているとき)の第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のとき(例えば、被験者が呼気しているとき)の第2の波形を抽出して、それぞれ加重平均する(ステップS11)。
次に、演算部40は、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルを算出し(ステップS12)、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出する(ステップS13)。次に、演算部40は、差分スペクトルにおける、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして算出する(ステップS14)。
次に、演算部40は、算出した固有共振周波数NRFに基づいて、理論式(ICP=k・(NRF)、但し、基準ICP=13.33hPaとしたとき、k=0.0349、基準ICP=13.6cmHOとしたとき、k=0.0356)により頭蓋内圧ICPを算出する(ステップS15)。
本実施形態によれば、非侵襲的であり、かつ簡便な装置で測定できる外耳道圧波形EACPWに基づいて頭蓋内圧ICPを推定できるので、被験者に負担なく頭蓋内圧ICPを推定することができる。また、外耳道圧波形EACPWから、頭蓋内圧ICPが高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧ICPが低い状態のときの第2の波形とを抽出し、第1の波形のパワースペクトルと第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求めることで、頭蓋内圧ICPに依存しない周波数成分をキャンセルして頭蓋内圧ICPに依存する固有共振周波数NRFを求めることができ、精度よく頭蓋内圧ICPを推定することが可能となる。
なお、上記例では、頭蓋内圧ICPが高い状態のときの第1の波形として、被験者が吸
気(或いは、呼気)しているときの波形を抽出し、頭蓋内圧ICPが低い状態のときの第2の波形として、被験者が呼気(或いは、吸気)しているときの波形を抽出する場合について説明したが、頭蓋内圧ICPが高い状態のときの第1の波形として、被験者の頭を寝かせた状態のときの波形を抽出し、頭蓋内圧ICPが低い状態のときの第2の波形として、被験者の頭を所定角度(例えば、30°)上げた状態のときの波形を抽出するようにしてもよい。
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…頭蓋内圧推定装置、10…外耳道圧センサー、11…密閉部、12…マイクロフォン、13…音孔、14…音孔、20…増幅器、30…AD変換器、40…演算部、50…表示部

Claims (4)

  1. 被験者の頭蓋内圧を推定する頭蓋内圧推定方法であって、
    被験者の外耳道圧波形を取得する波形取得工程と、
    前記外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出する波形抽出工程と、
    前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとを算出するパワースペクトル算出工程と、
    前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、当該差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求める周波数決定工程と、
    前記固有共振周波数NRFに基づいて、次式により頭蓋内圧ICPを算出する頭蓋内圧算出工程とを含む、頭蓋内圧推定方法。
    ICP=k・(NRF)
    ここで、kは定数である。
  2. 請求項1において、
    前記波形抽出工程では、
    前記外耳道圧波形から、被験者が吸気しているときの第1の波形と被験者が呼気しているときの第2の波形を抽出する、頭蓋内圧推定方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記固有共振周波数NRFの周波数帯域は、5Hzから50Hzであり、
    推定可能な前記頭蓋内圧ICPの範囲は、0cmHOから70cmHOである、頭蓋内圧推定方法。
  4. 被験者の頭蓋内圧を推定する頭蓋内圧推定装置であって、
    被験者の外耳道圧波形を検出する外耳道圧センサーと、
    前記外耳道圧波形から頭蓋内圧を推定する演算部とを含み、
    前記演算部は、
    前記外耳道圧波形から、頭蓋内圧が高い状態のときの第1の波形と頭蓋内圧が低い状態のときの第2の波形とを抽出し、
    前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとを算出し、
    前記第1の波形のパワースペクトルと前記第2の波形のパワースペクトルとの差分スペクトルを算出し、前記差分スペクトルにおいて、最大値に対応する周波数と最小値に対応する周波数との平均周波数を、脳の固有共振周波数NRFとして求め、
    前記固有共振周波数NRFに基づいて、次式により頭蓋内圧ICPを算出する、頭蓋内圧推定装置。
    ICP=k・(NRF)
    ここで、kは定数である。
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