JP2020164912A - 水素吸蔵放出材料及びその製造方法、並びに該水素吸蔵放出材料を用いた水素吸蔵放出方法 - Google Patents

水素吸蔵放出材料及びその製造方法、並びに該水素吸蔵放出材料を用いた水素吸蔵放出方法 Download PDF

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正邦 小澤
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Abstract

【課題】低圧でも水素吸蔵放出を行うことができる水素吸蔵放出材料又は安定性が高く繰り返し使用することができる水素吸蔵放出材料を提供する。【解決手段】水素を吸蔵及び放出することができる水素吸蔵放出材料であって、パラジウムと、パラジウム以外の貴金属とを含むパラジウム含有粒子材料を含有し、粒径が20nm以下の割合が80%以上である、水素吸蔵放出材料。【選択図】図1

Description

本発明は、水素を貯蔵することのできる水素吸蔵放出材料及びその製造方法、並びに該水素吸蔵放出材料を用いた水素吸蔵放出方法に関する。
クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されており、水素を安全に貯蔵及び輸送する技術の開発が重要となるほか、燃料電池、水素センサー等の水素利用デバイスへの応用がある。水素の貯蔵及び放出方法にはいくつかの候補かあるが、デバイスでの応用には、水素を可逆的に吸蔵及び放出することのできる水素吸蔵材料を用いることが好ましい。水素吸蔵放出材料としては、炭素材料、種々の金属水素化物等が知られている。
非特許文献1等に記載されているように比較的大量のマグネシウム系の材料は水素吸蔵放出材料として有望である。しかし、水素以外の酸素等への安定性に欠いており、デバイス用としては、より安定な金属材料が適当である。
金属ナノ粒子は1〜100nmの微小なナノオーダーの金属原子集合体であり、さらに複数種類の金属成分を含むナノ粒子を用いると期待される性能をより有効に発揮させると考えられる。ナノ粒子で金属の種類を増加させると、利用する際の材料の特性が向上し選択肢が拡大すると考えられる。
この点に着目した先駆的な研究があり、例えば、パラジウムナノ粒子や金属ナノ粒子相の特異な水素吸蔵性が見出されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。
一方、コア・シェル型構造を有するナノ粒子の製造法が見出され、コアとなる金属ナノ粒子をアルコール還元法により形成し、次いでこの金属ナノ粒子の表面にシェルとなる金属材であり、これは水素吸蔵性を有する(例えば、特許文献1参照)。
固溶体については、例えば特許文献2では、パラジウムとロジウム又は金との固溶体ナノ粒子が水素吸蔵合金として使用できることが記載されており、特許文献3では、金とイリジウム及び/又はルテニウムが原子レベルで固溶している固溶体ナノ粒子が水素吸蔵性を有するとされている。
水素の貯蔵に対して、パラジウム(Pd)は、水素吸蔵特性を有し、水素透過を利用した分離膜として有用である(非特許文献1)。パラジウムは比較的安定な金属(貴金属)であるためデバイス利用での安定な作動が期待される。
このため、パラジウム及びその合金ナノ粒子がその特異性から注目されているが、パラジウム及びパラジウム基金属ナノ粒子の生成とその水素吸放出性の利用に関しては十分な知見が報告されておらずその製造と水素吸放出特性の開発の試みが少数はあるにすぎない。
特開2005−272970号公報 特開2007−239053号公報 特開2018−141232号公報
大角泰章「新版水素吸蔵合金一その物性と応用−」アグネ技術センター 1999年2月 Yamauchi M, Ikeda R, Kitagawa H & Takata M, 2008, Nanosize Effects on Hydrogen Storage in Palladium. J.Phys.Chem.C 112, 3294-3297. Bardhan R, Hedges L O, Pint C L, Javey A, Whitelam S & Urban J J, 2013, Size-scaling laws for hydriding phase transformations in nanocrystals, Nature Mater. 12, 905-912.
本発明では、低圧でも水素吸蔵放出を行うことができる水素吸蔵放出材料又は安定性が高く繰り返し使用することができる水素吸蔵放出材料を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討を行い、パラジウム及び他の金属成分を含むナノ粒子を用いた水素吸蔵放出材料を製造することに成功した。この際、固溶体ナノ粒子は低圧でも水素吸蔵放出を行うことができ、混合物からなるナノ粒子は安定性が高く繰り返し使用することができる。この水素吸蔵放出材料は、例えば、パラジウム塩、パラジウム以外の貴金属の塩及び保護剤を溶解して溶媒中にパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンが分散する溶液に対して、還元剤を添加することで得ることができる。
即ち、本発明は、以下の水素吸蔵放出材料、水素吸蔵材料コロイド溶液及びそれらの製造方法を包含する。
項1.水素を吸蔵及び放出することができる水素吸蔵放出材料であって、
パラジウムと、パラジウム以外の貴金属とを含むパラジウム含有粒子材料を含有し、
粒径が20nm以下の割合が80%以上である、水素吸蔵放出材料。
項2.前記パラジウム以外の貴金属が、白金、銀、金、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の水素吸蔵放出材料。
項3.パラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在しており、各相粒径が2〜20nmである割合が80%以上である、項1又は2に記載の水素吸蔵放出材料。
項4.前記パラジウム及びパラジウム以外の貴金属の一部又は全部がパラジウム基固溶体を形成しており、前記パラジウム基固溶体相の割合が20質量%以上である、項1又は2に記載の水素吸蔵放出材料。
項5.項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料を含有する、水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
項6.前記水素吸蔵放出材料を保護する少なくとも1種の保護剤を含有し、前記保護剤に含まれる静電性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基、ケイ酸基及びホウ酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項5に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
項7.前記保護剤が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、オレイルアミン、オレイン酸、ポリアクリル酸ナトリウム及びこれらを含む共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項5又は6に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
項8.項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料、又は項5〜7のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液の製造方法であって、
パラジウム塩、前記パラジウム以外の貴金属の塩及び前記保護剤を溶解して溶媒中にパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴イオンが分散する溶液に対して、還元処理を施す工程
を備える、製造方法。
項9.前記還元処理が、水素、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、金属水素化物、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、グリセリン、ポリグリセリン、アルキレングリコール、アミン、アミド、ボラン、不飽和脂肪酸、不飽和炭化水素、可視光、紫外光、γ線及び超音波よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む還元剤を添加する処理である、項8に記載の製造方法。
項10.項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料に対して温度変化を繰り返して行う、水素吸蔵放出方法。
項11.温度範囲が0〜99℃、圧力範囲が1MPa以下で操作し、吸蔵放出操作時間が600秒以下である、項10に記載の水素吸蔵放出方法。
本発明によれば、パラジウム及び他の金属成分を含むナノ粒子を用いた水素吸蔵放出材料を得ることができる。この際、固溶体ナノ粒子は低圧でも水素吸蔵放出を行うことができ、混合物からなるナノ粒子は安定性が高く繰り返し使用することができる。
実施例3で作製したPd0.85Au0.15のPCT測定結果である。 実施例4で作製したPd0.85Au0.15のPCT測定結果である。 試験例1の水素吸蔵放出過程のTCD値の時間変化と温度を示す図である。 試験例1の水素吸蔵過程のTCDデータを示す。 試験例1の水素放出過程の放出ピークを示す。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A〜B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
1.水素吸蔵放出材料
本発明の水素吸蔵放出材料は、水素を吸蔵及び放出することができる水素吸蔵放出材料であって、パラジウムと、パラジウム以外の貴金属とを含むパラジウム含有粒子材料を含有し、粒径が20nm以下の割合が80%以上である。
本発明の水素吸蔵放出材料を構成する金属種としては、パラジウムと、パラジウム以外の貴金属とを含有しており、パラジウム以外の貴金属としては特に限定はないが、本発明に係る貴金属の利用での各種性能を考慮すれば、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。これらのパラジウム以外の貴金属は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
上記したパラジウム以外の貴金属をMとして、Pd−M間の組成は、Pdへの微量添加の組成からMの純物質に近い組成までで、その範囲は固溶体を示すか否かに関わらず、パラジウムのモル比を1−x、パラジウム以外の貴金属M(M=Pt、Ag、Au、Ru、Rh又はIr)のモル比をxとして、xは0.001〜0.99が好ましく、0.01〜0.9がより好ましい。なお、さらに好ましいxの組成範囲は、パラジウム以外の貴金属Mの種類によっても異なり、例えば、MがPt及びAuの場合はxは0.01〜0.8が好ましく、MがAg及びRhの場合はxは0.01〜0.99が好ましく、MがRu及びIrの場合はxは0.01〜0.6が好ましい。また、Mが2種以上の貴金属を含む場合は、上記の組成範囲から適切な範囲を設定することが好ましい。なお、これらの成分が結晶相として複合するか、固溶体であるか、一部は非晶質を含むかどうかを問わない。材料内にパラジウム又はパラジウム以外の貴金属の純物質の状態が混在していてもよいし、さらに、異なる特定組成の複数の相で混在することは構わない。つまり、本発明の水素吸蔵放出材料は、固溶体であってもよいし、複数の相を有する複合材料であってもよいし、これらが混在していてもよい。ただし、本発明の水素吸蔵放出材料には、コア・シェル型構造を有するナノ粒子は包含されない。
なお、これらのパラジウム及びパラジウム以外の貴金属成分については、本発明の効果を損なわない範囲であれば、酸素の結合が認められることがある。すなわち、一部、特に表面は大気中で酸化されている金属微粒子がしばしば存在することがあるが、これは水素吸蔵操作時に除かれるため実質的な繰り返し後の水素吸蔵性には影響しない。
本発明の水素吸蔵放出材料は、100nm以下の粒子のいわゆるナノ粒子を対象としているが、溶液内ではこのような粒子の大きさやナノ粒子の存在を動的光散乱法(DLS)により確認する。一方、溶媒非存在下の乾燥状態では、ナノ粒子の粒径は透過電子顕微鏡法によって確認する。これにより、規定されうる粒径としてあらわされ、本発明では、20nm以下の粒子径をもつ材料を対象とする。また、ナノ粒子が結晶を形成しているときにはX線回折(XRD)により確認する。
上記のように、本発明の水素吸蔵放出材料においては、20nm以下の粒子径をもつ材料を対象としており、特に、粒径が20nm以下(特に2〜20nm)の割合が80%以上である。粒径が10nm以下(特に2〜10nm)の割合が80%以上であっても優れた水素吸蔵放出性能を有することができる。なお、粒径は、パラジウム以外の貴金属Mの種類によっても異なり、例えば、MがPt、Au、Ru、Rh及びIrの場合は20nm以下の割合が80%以上であることが好ましく、MがAgの場合は20nm以下の割合が90%以上であることが好ましい。また、Mが2種以上の貴金属を含む場合は、上記の粒径範囲から適切な範囲を設定することが好ましい。
また、本発明の水素吸蔵放出材料は、上記のとおり、複数の相を有する複合材料とすることができる。具体的には、パラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在した構造とすることができる。この場合、各相の存在割合については、本発明の水素吸蔵放出材料の総量を100質量%として、パラジウム相は1〜99質量%(特に3〜97質量%)が好ましく、パラジウム以外の貴金属相はその残部、1〜99質量%(特に3〜97質量%)が好ましい。各相の存在やその含有割合は、結晶の回折現象を利用する測定方法として、X線回折(XRD)によって確認する。XRDによるパラジウム相の回折線の回折角度から求めた面間隔は、固溶体が形成されている場合は、純粋なパラジウム相に比べて他の金属成分を固溶した量に応じて変化する。この変化は、同一の結晶相を持つ成分間では金属の原子径について組成を按分した割合で変わり、一般にベガード則として知られている。このため、固溶体相が形成されているか否かも含めて、各相の存在割合を求めることができる。このように、パラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在した構造とする場合には、安定性が高く、短時間で微量の水素の吸収放出を繰り返し行うことが可能である。
また、本発明の水素吸蔵放出材料は、上記のとおり、パラジウムとパラジウム以外の貴金属とが固溶体を形成し得る。固溶体とは、結晶相において、また場合により非晶質相において、2成分以上の金属からなる相をなす固体の状態を意味する。固溶体相の存在やその含有割合は、結晶の回折現象を利用する測定方法として、X線回折(XRD)によって確認する。XRDによるパラジウム相の回折線の回折角度から求めた面間隔は、固溶体の形成によって、純粋なパラジウム相に比べて他の金属成分を固溶した量に応じて変化する。この変化は、同一の結晶相を持つ成分間では金属の原子径について組成を按分した割合で変わり、一般にベガード則として知られている。非晶質においては、電子顕微鏡に設置した元素分析装置によって微小な元素分布によって確認する。このように、固溶体を形成している場合には、非常に低圧下においても微量の水素を吸蔵放出を行うことが可能である。
なお、本発明の水素吸蔵放出材料においては、パラジウム及びパラジウム以外の貴金属が固溶体を形成する場合であっても、その全てが固溶している必要はなく、パラジウム及びパラジウム以外の貴金属の一部又は全部がパラジウム基固溶体を形成し得る。具体的には、本発明の水素吸蔵放出材料の総量を100質量%として、固溶体相の割合は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。なお、固溶体相の割合は、パラジウム以外の貴金属Mの種類によっても異なり、例えば、MがPtの場合は30質量%以上が好ましく、MがAgの場合は50質量%以上が好ましく、MがAu、Ru、Rh及びIrの場合は20質量%以上が好ましい。また、Mが2種以上の貴金属を含む場合は、上記の組成範囲から適切な範囲を設定することが好ましい。固溶体を形成する場合、固溶体相の割合は多ければ多いほど好ましく、上限値は100質量%である。
本発明の水素吸蔵放出材料には、上記したパラジウム及びパラジウム以外の貴金属以外にも、保護剤を含むこともできる。保護剤は、後述のように、本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液において、水素吸蔵放出材料同士の凝集を抑制するものであるが、本発明の水素吸蔵放出材料には、その表面に当該保護剤が化学的又は物理的に結合又は吸着する場合も包含する。なお、この保護剤の詳細については後述する。このような保護剤の含有量については特に制限はなく、本発明の水素吸蔵放出材料の総量を100質量%として、例えば、0.1〜100質量%とすることができる。
本発明の水素吸蔵放出材料には、上記したパラジウム及びパラジウム以外の貴金属以外にも、還元剤を含むこともできる。還元剤は、後述の製造方法のように、本発明の水素吸蔵放出材料又は本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を製造するために使用されるものであるが、本発明の水素吸蔵放出材料中に残存していることもある。なお、この還元剤の詳細については後述する。このような還元剤の含有量については特に制限はなく、本発明の水素吸蔵放出材料の総量を100質量%として、例えば、0.1〜5質量%とすることができる。
本発明の水素吸蔵放出材料の水素吸蔵性は、材料を一定温度で異なる水素圧下において圧力変化を測定する、圧力−組成−温度(PCT)特性を調べることによって測定する。なお、PCT曲線の測定範囲は、特に制限はないが、温度範囲は0〜99℃の任意の範囲、圧力範囲は1MPa以下(特に0.1Pa〜1MPa)の任意の範囲で操作し、吸蔵放出操作時間を600秒以下とすることが好ましい。なお、PCT曲線の温度ごとでの測定を行うと、いわゆるファントホッフ式に従うが、本発明では、温度の変化操作において、例えば99℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下で吸蔵水素を敏速に放出する特性を有することができる。本発明では、固溶体を形成している場合には、非常に低圧下(例えば0.001〜0.1MPa)においても微量の水素を吸蔵放出を行うことが可能である。また、本発明では、パラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在した構造とする場合は、600秒以下(特に10〜500秒)という短時間で微量の水素の吸収放出を繰り返し行うことも可能である。
本発明の水素吸蔵放出材料は、水素の関与する反応に対する触媒材料としても有用である。とくに排ガス処理用触媒、例えば自動車排ガス浄化触媒として広く利用できるほか、水素化反応やカップリング反応、シフト反応等の触媒をはじめとして、各種の合成触媒としても利用に有効である。また、本発明の水素吸蔵放出材料のプラズモン吸収を利用した光学材料やそれを応用した各種センサー材にも供することができる。本発明の水素吸蔵放出材料は、水素検出デバイスにおける水素もしくは水素の関与する反応性ガスセンサーの微細なセンサー部、配線用導電材や電極材料等として、またそのための分散したインク材、ペースト材等、さらには融着材素材として微小な接合部に供することもできる。
上記した本発明の水素吸蔵放出材料の形態は特に制限はなく、粉末状態でもよいが、コロイド溶液とすることもできる。具体的には、後述の製造方法によれば、コロイド溶液として得ることができる。
コロイド溶液を採用する場合に使用できる溶媒は、水、アルコール(メタノール、エタノール等)、エーテル(テトラヒドロフラン等)、ケトン(アセトン等)等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
上記した本発明の水素吸蔵放出材料をコロイド溶液とする場合、本発明の水素吸蔵放出材料の濃度は特に制限されず、例えば、0.001〜60質量%、特に0.01〜30質量%とすることができる。
本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液においては本発明の水素吸蔵放出材料が保護剤により保護されているのが好ましい。なお、保護剤とは、本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液中の本発明の水素吸蔵放出材料の表面又は周辺に化学的又は物理的に結合又は吸着する化合物であって、本発明の水素吸蔵放出材料同志の凝集を抑制し独立させ、粒径分布を適性範囲に安定化させるものを意味する。よって、作製した本発明の水素吸蔵放出材料が懸濁した状態をより保持しやすくなる。この保護剤には、特に制限されないが、本発明の水素吸蔵放出材料と相互作用し、かつ溶媒に可溶な高分子量及び低分子量の化学種が好ましい。
このような保護剤は静電性基として、 カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基、ケイ酸基、ホウ酸基等を含むことが好ましい。これらの静電性基は、単独で含まれていてもよく、2種以上が組合せて含まれていてもよい。また、このような保護剤の分子量は、20000以下が好ましく、1000〜20000がより好ましい。なお、本発明において、保護剤が高分子である場合の分子量は、重量平均分子量を意味する。
上記のような保護剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、オレイルアミン、オレイン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ塩化ビニリデン及びこれらを含む共重合体等が特に好ましい。
本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液において、上記した保護剤の濃度は特に制限されず、例えば、本発明の水素吸蔵放出材料100質量部に対して0.1〜50000質量部、特に1〜10000質量部とすることができる。
本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液には、上記した本発明の水素吸蔵放出材料及び保護剤以外にも、還元剤を含むこともできる。還元剤は、後述の製造方法のように、本発明の水素吸蔵放出材料又は本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を製造するために使用されるものであるが、本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液中に残存していることもある。なお、この還元剤の詳細については後述する。このような還元剤の含有量については特に制限はなく、本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液の総量を100質量%として、例えば、0.1〜5質量%とすることができる。
2.製造方法
本発明の製造方法は、特に制限されるわけではないが、例えば、まず溶媒にパラジウム塩、パラジウム以外の貴金属の塩及び保護剤を溶解して溶媒中にパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンが分散する溶液に対して、還元処理を施してパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンを還元して本発明の水素吸蔵放出材料を含む本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を製造することができる。なお、溶液中のパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンの還元については、溶液に電極を挿入し通電することで電気化学的に還元する方法も適用しうるが、還元剤の添加によれば均一な還元処理を行うことができる。
パラジウム塩としては、パラジウムを含む水溶性塩を好ましく使用することができ、具体的には、硝酸パラジウム(Pd(NO)、塩化パラジウム(PdCl)、ジアンミンジニトロパラジウム(Pd(NH(NO)、酢酸パラジウム(Pd(CHCOO))、テトラアンミンパラジウムクロライド(Pd(NHCl)等が挙げられる。これらのパラジウム塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
パラジウム以外の貴金属の塩としては、パラジウム以外の貴金属を含む水溶性塩を好ましく使用することができ、具体的には、白金塩として塩化白金酸(HPtCl)、ジアンミンジニトロ白金(Pt(NH(NO)、塩化白金酸アンモニウム(Pt(NHCl)、テトラアンミン白金硝酸塩(Pt(NO(NH)等が挙げられ、銀塩として硝酸銀(AgNO)、及び各種の水溶性銀塩等が挙げられ、金塩として塩化金酸(HAuCl)、亜硫酸金ナトリウム(NaAu(SO)、各種のシアン化金カリウム(KAu(CN))等が挙げられ、ルテニウム塩として硝酸ルテニウム(Ru(NO)、塩化ルテニウム(RuCl)、ヘキサアンミンルテニウム硝酸塩(Ru(NH(NO)等が挙げられ、ロジウム塩として硝酸ロジウム(Rh(NO)、塩化ロジウム(RhCl)、酢酸ロジウム(Rh(CHCOO))等が挙げられ、イリジウム塩として塩化イリジウム(IrCl)、硝酸イリジウム(Ir(NO)、ヘキサアンミンイリジウム硝酸塩(Ir(NH(NO)等が挙げられる。これらのパラジウム以外の貴金属の塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
溶液中のパラジウム塩及びパラジウム以外の貴金属の塩の含有量としては、特に制限はなく、所望の水素吸蔵放出材料が得やすい観点から、パラジウムとパラジウム以外の貴金属との比率が上記範囲となるように調整することが好ましい。具体的には、パラジウム以外の貴金属の塩の含有量は、パラジウム塩1モルに対して0.001〜100モルが好ましく、0.01〜10モルがより好ましい。なお、パラジウム以外の貴金属の塩の含有量は、パラジウム以外の貴金属Mの種類によっても異なり、例えば、MがPt及びAgの場合はパラジウム塩1モルに対して0.01〜10モルが好ましく、MがAu及びRhの場合はパラジウム塩1モルに対して0.01〜20モルが好ましく、MがRu及びIrの場合はパラジウム塩1モルに対して0.01〜25モルが好ましい。また、Mが2種以上の貴金属を含む場合は、上記の組成範囲から適切な範囲を設定することが好ましい。
保護剤としては、上記したものを採用できる。保護剤の含有量は特に制限されず、例えば、パラジウム塩及びパラジウム以外の貴金属の塩の合計量100質量部に対して1〜10000質量部、特に10〜100質量部とすることができる。なお、保護剤として還元作用を有する物質を使用する場合は、保護剤兼還元剤として機能することができ、別途還元剤を添加しなくとも本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を得ることができ、このような態様も本発明に包含される。
コロイド溶液を採用する場合に使用できる溶媒は、水、アルコール(メタノール、エタノール等)、エーテル(テトラヒドロフラン等)、ケトン(アセトン等)等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なお、溶媒として還元作用を有する溶媒を使用する場合は、溶媒兼還元剤として機能することができ、別途還元剤を添加しなくとも本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を得ることができ、このような態様も本発明に包含される。これら溶媒の使用量は特に制限はなく、溶媒量とすることができ、具体的には、パラジウム塩の濃度が0.0001〜50質量%、特に0.001〜20質量%となるように調整することができる。
還元剤としては、特に制限はなく、パラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンを還元する力を有する、気体、液体又は固体の無機又は有機化合物や、プラズマ、電子等の物理的エネルギーいずれのものも適用できる。具体的には、水素、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、金属水素化物(水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化カルシウム等)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)、カルボン酸(シュウ酸、ギ酸、クエン酸等)、グリセリン、ポリグリセリン、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、アミン(N−メチルピロリドン、ポリビニルピロリドン等)、アミド(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ボラン(ジメチルアミノボラン、ジエチルアミノンボラン等)、不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸等)、不飽和炭化水素、可視光、紫外光、γ線、超音波等が挙げられる。これらの還元剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なお、還元剤が液体である場合は、溶媒としても機能し得る。なお、還元力の強い還元剤を使用すると固溶体が生成されやすく、還元力の弱い還元剤を使用すると多相構造を有する混合粒子が形成されやすい。この傾向は、パラジウム以外の貴金属Mの種類によっても異なり、Mが白金、金、ロジウム等である場合は、水素化ホウ素ナトリウム等の還元力の強い還元剤を使用すると固溶体が生成されやすく、エタノール等の還元力の弱い還元剤を使用すると多相構造を有する混合粒子が生成されやすい。一方、Mが銀等である場合は、水素化ホウ素ナトリウム等の還元力の強い還元剤及びエタノール等の還元力の弱い還元剤のいずれを使用した場合も固溶体が生成されやすい。
還元剤の含有量は特に制限されず、例えば、パラジウム塩及びパラジウム以外の貴金属の塩の合計量100質量部に対して1〜10000質量部、特に10〜1000質量部とすることができる。
なお、上記したパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンの還元処理時には、適度な加熱を行うことが好ましい。この際の加熱温度は特に制限はなく、例えば0℃〜300℃、特に20〜100℃とすることができる。ただし、100℃を超える温度では試料容器を密封状態として加熱することが好ましい。
上記のように、パラジウムイオン及びパラジウム以外の貴金属イオンの還元処理により、本発明の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液を得ることができる。この後、常法により溶媒を除去することで、乾燥状態の本発明の水素吸蔵放出材料を得ることもできる。この際の溶媒除去方法は特に制限はなく、遠心分離法後にろ過する方法、通常の室温から100℃程度で乾燥する操作、あるいは凍結して真空条件に置く操作、他の媒体と置換する操作等を行い固形物とすることができる。このときにいかなる態様でも見かけ上固形物となっていれば、本発明の水素吸蔵放出材料を得ることができる。
3.水素吸蔵放出方法
本発明の水素吸蔵放出方法は、本発明の水素吸蔵放出材料に対して温度変化を繰り返して行う。
本発明の水素吸蔵放出方法においては、本発明の水素吸蔵放出材料に対して、水素吸収過程における温度が0℃以上とすることを特徴としている。また、PCT曲線の温度ごとでの測定を行うと、いわゆるファントホッフ式に従うが、本発明の水素吸蔵放出方法では、温度の変化操作において、例えば99℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下で吸蔵水素を敏速に放出する特性を有する材料を用いることができる。より具体的には、吸蔵時には水素含有雰囲気(水素や水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気等)を用いることができ、放出時には水素非含有雰囲気(不活性ガス雰囲気等)を採用することができる。なお、吸蔵時の雰囲気として水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気を採用する場合は、水素の含有量は、例えば、0.01〜99体積%とすることができるが、安全性等の観点から0.01〜10体積%が好ましい。PCT曲線の測定において、温度範囲は0〜99℃、好ましくは0〜80℃、より好ましくは0〜60℃の任意の範囲、圧力範囲は1MPa以下、好ましくは0.1Pa〜1MPaの任意の範囲で操作し、吸蔵放出操作時間を600秒以下とすることが好ましい。本発明では、温度の変化操作において、例えば99℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下で吸蔵水素を敏速に放出する特性を有することができる。本発明の水素吸蔵放出材料が固溶体を形成している場合には、非常に低圧下(例えば0.001〜0.1MPa)においても微量の水素を吸蔵放出を行うことが可能である。また、本発明の水素吸蔵放出材料がパラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在した構造とする場合は、600秒以下(特に10〜500秒)という短時間で微量の水素の吸収放出を繰り返し行うことも可能である。
水素吸蔵過程及び放出過程での敏速性は、固体内の水素拡散によるため、本発明の水素吸蔵放出材料が微粒子材であることはそのまま敏速性に効果を有する。放出過程の本発明の水素吸蔵放出材料の温度を高温とすることにより、容易に放出させることができるが、デバイスを高温にできない等の場合に特に本発明の水素吸蔵放出材料が優れ、低温で敏速に利用可能な水素として取り出すことが可能となる。
以下に、本発明をさらに説明するために実施例を示すが、この発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3
パラジウム−金固溶体ナノ粒子を以下の手順で作製した。
田中貴金属工業(株)製の硝酸パラジウム水溶液(Pd(NO3)2aq;Pd 50g/L)と田中貴金属工業(株)製の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)結晶を蒸留水に溶解させた水溶液が所定量になるように混合し、さらに東京化成工業(株)製ポリビニルピロリドン(PVP, (C6H9NO)n, 分子量10000)0.112gをそれぞれ水溶液として混合し、金属塩混合溶液を作製した。光を遮断して1000rpmで30分攪拌混合を行った。ここで、出発溶液内のパラジウム塩と金濃度は、それぞれの濃度(PdとAu)が、1.9mMと0.1mM(実施例1)、1.8mMと0.2mM(実施例2)、1.6mMと0.4mM(実施例3)となるように秤量し混合した。富士フイルム和光純薬工業(株)製の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を0.1mol/Lとなるよう秤量し蒸留水に加えて水素化ホウ素ナトリウム水溶液(NaBH4 aq)を調製した。先に調製した金属塩混合溶液へ0.1mol/L NaBH4水溶液1mlをピペットで加え、光を遮断して、液温を90℃に昇温、保持し900rpmで24時間攪拌を行った。PdとAuの組成比の異なる混合溶液を用いてもいずれも同様の操作で作製されたナノ粒子コロイド液から、以下の手順でパラジウム−金固溶体ナノ粒子を回収した。柴田化学(株)製フィルターホルダーに東京理化器械(株)製アスピレーター(A-1000S)を接続して、ミリポア製メンブレンフィルターを設置した上から、作製されたナノ粒子液を加え、吸引ろ過を行った。フィルター上に回収された試料上に蒸留水を加え洗浄した後、室温で24時間乾燥した。
作製された粒子の組成を調査するため(株)日立製作所製M7000電子顕微鏡を用いてEDS(エネルギー分散スペクトル)測定を行い、各元素の検出を示すEDSスペクトル強度からPdとAuの含有量を定量補正により求めた。上記記載順にPd-Au組成はPd0.96Au0.04(実施例1)、Pd0.93Au0.07(実施例2)、Pd0.85Au0.15(実施例3)であった。
作製された粒子の結晶相をリガク製Mimiflex II製X線回折(XRD)装置により分析を行った。金属相(Pd相とAu相)を示す回折線が確認された。ブラッグの式(1)よりPd相(111)面間隔を求めた。
Figure 2020164912
シェラーの式(2)により、40°付近の回折線を用いて粒子の結晶子径τを求めた。
Figure 2020164912
ここでβは回折線の半値幅、θはピーク角度、λは使用X管球(Cu)での波長である。
これらの試料はPd相とAu相とからなっていた。その(111)面間隔及び結晶子径の測定値を表1に示す。結晶の純Pd相(111)面の面間隔は2.2458Å、純Auの(111)面の面間隔は2.3548Åである。出発溶液のAu添加量の増大とともに得られた粒子のPd相の面間隔が増大した。Pd(111)面間隔とAu添加量の関係から、表1の結果は添加されたAuがPdと合金化しナノ粒子結晶が生成したことを示すものである。したがってPdとAuの固溶体ナノ粒子材を含む複合材が得られた。
固溶体相の割合は、上記XRDによって求められるPd相とその他の金属相の回折線強度の測定から求めた相割合によって確認することができる。原理上、成分i番目の相の質量分率Ri は、成分iを含む2種以上の成分jに対して、Sj、Si は成分j及びiの尺度因子、Zj及びZiは単位胞中の成分j及びiの化学式数、Mj及びMiは成分j及びiの化学式量、Vj及びViは成分j及びiの結晶単位胞体積であるとき式(3):
Ri = (Si Zi Mi Vi ) / (ΣSj Zj Mj Vj ) (3)
で求められる。
本発明では、ナノ粒子サイズの回折現象の限界に近い粒子を扱っていることを考慮して、事実上、強度を補正せずに固溶体を形成したPd相の強度割合をもって固溶体相量の測定値としても差し支えない。さらに、簡易には、微粒子であり結晶配向を考慮しなくてもよいため、一般に各結晶相(Pd相とPt相)の(111)回折線強度の総計に対するPd相の(111)回折線強度分率をもって、固溶体相量(質量分率又は%で表示)とすることができる。
XRD強度からこのPd固溶相は全体のPd0.97Au0.03(実施例1)は92質量%、Pd0.93Au0.07(実施例2)は78質量%、Pd0.85Au0.15(実施例3)は74質量%であった。
Figure 2020164912
さらに、実施例1で作製されたナノ粒子を日本電子(株)製JEOL-2100EX透過電子顕微鏡によってSTEM-EDSモードでの分析を行った。測定用試料には組成Pd0.97Au0.03のナノ粒子分散液をマイクログリッド炭素膜上に滴下して乾燥後に観察した。粒径は10 nm以下の粒子が85%存在しており、また元素の分布ではPdとAuが同じ視野から検出されており両者は均一に分布していた。XRD結果と合わせるとパラジウム−金固溶体ナノ粒子が形成されたことが確認された。また、実施例2と3での粒子の観察では、Pd相は小さい粒子よりなりAu相では大きい粒子があったが、粒径が20nm以下の割合は、実施例2で85%、実施例3では90%であった。
次に、水素吸蔵性を調べるため、Pd0.85Au0.15のナノ粒子(実施例3)の圧力−組成−温度(PCT)測定を行った。吸引ろ過により実施例3で作製されたナノ粒子が付着したメンブレンフィルターを反応管に入れ、高圧ガス吸着測定装置(BELSORP-max, Microtrac BEL)に接続した。測定は333Kでの水素前処理の後に、333K、318K、303Kの順で行い、真空度を十分に上げた(0.0001MPa)あとに、純水素ガスを0.1MPaまで導入し各圧力における水素吸着量を測定した。
図1に、実施例3で作製されたPd0.85Au0.15のPCT測定結果を示す。水素の吸蔵がおこり0.1MPaでH/M(Pd0.85Au0.15)= 0.23の量の水素吸蔵性を示すナノ粒子であることがわかる。なお、H/Mは、金属元素と水素元素の原子数の比を意味しており、Hはナノ粒子中に吸蔵された水素原子の数、Mはパラジウム原子及びパラジウム以外の金属原子の総数を意味する。また、圧力が0.001MPa以下の範囲のグラフの傾きから、非常に低圧の領域においても水素を吸蔵放出することが可能であることが示唆されている。同様に、他の組成のPd−Au粒子も水素吸蔵性を示した。
実施例4
パラジウム相と金相とを有する複合混合粒子を以下の手順で作製した。
実施例1〜3における還元剤を水素化ホウ素ナトリウムからエタノールに代え、PdとAuが1.6mMと0.4mMのPd-Au混合溶液からPd0.85Au0.15組成の粒子を作製したこと以外は実施例1〜3と同様の手順で行った。具体的には、エタノール(C2H5OH, 99.5質量%)をホールピペットで10mLを、東京化成工業(株)製ポリビニルピロリドン(PVP, (C6H9NO)n, 分子量10000)0.122gを含むPd-Au混合溶液へ加え、光を遮断して液温60℃で保持し、900rpmで24時間攪拌を行った。得られたエタノール還元試料では、XRDによりパラジウムと金由来のピークが別個に確認され、またパラジウムの(111)面間隔は純Pd相と同じであった。Pd相の結晶子径は9nmであった。さらに、実施例4で作製されたナノ粒子を、実施例3と同様に、透過電子顕微鏡によって分析を行ったところ、10 nm以下の粒子が55%以上、20 nm以下の粒子が85%以上存在しており、また元素の分布ではPdとAuが分離して分布していた。図2に、実施例3と同様にして得られたPd0.85Au0.15試料のPCT測定結果を示す。水素の吸蔵がおこっており、0.1MPaではH/M(Pd0.85Au0.15)で約0.23〜0.25の水素量の吸蔵性を示す混合ナノ粒子が作製されたことがわかる。また、H/Mが0.2以下の領域においてほぼ平坦な領域が実施例3と比較すると長いことから、安定性が高く、繰り返し吸蔵放出が可能であることが示唆されている。このように多相構造のPd-Au複合ナノ粒子においては、Pd固溶相あるいは微小なPd粒子が比較的粗大なAu粒子と複合化する材料が本実施例で得られた。Pdナノ粒子では、その粒径が5nm以下になるとPCT曲線のプラトーが傾きバルク材とは異なった性質を示すようになる。一方、水素吸収放出を敏速に行うナノ粒子材としてプラトー域が平坦でH/Mの大きい値を示すほうがよいが、図2に示される性質は複合材においてはこのようにナノ粒子のみの性質となる特徴があった。
実施例5〜7
パラジウム相と白金相とを有する複合混合粒子を以下の手順で作製した。
田中貴金属工業(株)製の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)結晶の代わりに田中貴金属工業(株)製の塩化白金酸水溶液(H2PtCl6, 200g/L)を原料に用いるほか、実施例4と同様な手順で、エタノールで還元したPd-Ptナノ粒子を作製した。PdとPtの濃度合計が2mmol/Lとなるようにして、東京化成工業(株)製ポリビニルピロリドン(PVP, (C6H9NO)n, 分子量10000)0.122gを含むナスフラスコ内で蒸留水に溶解し1000rpmで30分攪拌した。初期溶液の金属組成比(モル比)はPd: Pt= 9: 1(実施例5)、8: 2(実施例6)、7: 3(実施例7)であり、作製された粒子組成はPd0.7Pt0.3(実施例5)、Pd0.66Pt0.34(実施例6)、Pd0.61Pt0.39(実施例7)であった。得られたエタノール還元試料では、XRDによりパラジウムと白金由来のピークが別個に確認され、またパラジウムの(111)面間隔は純Pd相と同じであった。Pd相の結晶子径は9nm(実施例5)、8nm(実施例6)、9nm(実施例7)であった。さらに、実施例5で作製されたナノ粒子を、実施例3と同様に、透過電子顕微鏡によって分析を行ったところ、粒径は10 nm以下の粒子が82%(実施例5)、89%(実施例6)、85%(実施例7)存在しており、また元素の分布ではPdとPtが分離して分布していた。実施例1〜3と同様にして、得られたこれらの粒子材の水素圧0.1MPaでの水素吸蔵量を測定したところ、それぞれH/M= 0.28(実施例5)、0.27(実施例6)、0.26(実施例7)であり、いずれも水素吸蔵を示す材料であった。
実施例8〜10
パラジウム−ロジウム固溶体ナノ粒子を以下の手順で作製した。
実施例1〜3の金(Au)に代えてロジウム(Rh)を添加するため、田中貴金属工業(株)製の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)結晶ではなく田中貴金属工業(株)製の硝酸ロジウム水溶液(Rh(NO3)3aq;4.5質量%)を用いたこと以外は実施例1〜3と同様の処理を行った。具体的には、田中貴金属工業(株)製の硝酸パラジウム水溶液(Pd(NO3)2 aq;Pd 50g/L)を20 mM、さらにこれに加え、田中貴金属工業(株)製の硝酸ロジウム水溶液(Rh(NO3)3 aq, 4.5質量%)を2mM、5 mM及び10 mMとなるように表2の液量を混合し、さらに東京化成工業(株)製ポリビニルピロリドン(PVP, (C6H9NO)n, 分子量10000)を1.11 g加えて、さらに十分攪拌して混合水溶液を作製した。作製工程では作業は実施例1〜3と同様であるが、0.2M NaBH4水溶液の添加量上記順にそれぞれ11.5ml、13.7ml、17.5 mlとした。
Figure 2020164912
作製された粒子の組成を調査するために元素の検出を示すEDSスペクトルで示されたPdとRhの量を実施例1〜3と同様に定量補正により求めたところ、Pd0.98Rh0.02(実施例8)、Pd0.94Rh0.06(実施例9)、Pd0.88Rh0.12(実施例10)の組成であった。XRD測定からはPd金属相のみの回折線が得られたことから、いずれも固溶体相量は100質量%である。表3に、Pd相(111)面間隔と結晶子径を測定した結果を示す。さらにPd相でRh添加量に依存する回折線シフトが観察されRh量の増加にともない面間隔が減少した。純Rh相の(111)面間隔は、2.1452 nmである。したがって、添加されたRhがパラジウムと合金化したことが確認された。なお、XRDによる各試料結晶子径は約3 nmであった。透過型電子顕微鏡でナノ粒子を観察したところ、20nm以下の粒径の粒子が92%(実施例9)、99%(実施例10)存在していた(図3)。実施例3と同様にして、得られた試料についてPCT測定を行ったところ、水素圧0.1 MPaでの水素吸蔵量はそれぞれH/M= 0.4(実施例9)と0.29(実施例10)であり、いずれも水素吸蔵を示す材料であった。また、実施例3と同様に、圧力が0.001MPa以下の範囲のPCT曲線の傾きから、非常に低圧の領域においても水素を吸蔵放出することが可能であることが示唆された。なお、作製直後と水素吸蔵実験後でXRDの変化はなく本材は作製時に合金を形成していた。
Figure 2020164912
実施例11〜12
パラジウム−銀固溶体ナノ粒子を以下の手順で作製した。金に代えて銀を添加するため、塩化金酸(HAuCl4・4H2O)ではなく富士フイルム和光純薬(株)製の硝酸銀水溶液(AgNO3 aq, Ag 1mol/L)を用いたこと以外は実施例1〜3と同様の手順で行った。
田中貴金属工業(株)製の硝酸パラジウム(II)水溶液(Pd(NO3)2 aq;Pd 50g/L)と富士フイルム和光純薬(株)製の硝酸銀水溶液(AgNO3aq, Ag1mol/L)を、それぞれ0.085 mL と0.16mL(実施例11)、0.213mLと0.1mL(実施例12)となるように加えて混合し、30分攪拌し、金属塩混合溶液を得た。東京化成工業(株)製ポリビニルピロリドン(PVP, (C6H9NO)n, 分子量10000)0.112gを蒸留水に加え、30分攪拌し、上記金属塩混合溶液に混合して30分攪拌した。富士フイルム和光純薬(株)製の水素化ホウ素ナトリウム水溶液(NaBH4 aq, 0.1M)1mLを加え、光を遮断して90℃で24時間攪拌し、パラジウム−銀固溶体ナノ粒子分散液を得た。
上記手順で作製されたナノ粒子コロイド液から実施例1〜3と同様の手順でナノ粒子を分離して分析した。EDSスペクトルの結果より組成を測定したところ、Pd0.35Ag0.65(実施例11)、Pd0.52Ag0.48(実施例12)であった。XRD測定から固溶体相量を算出したところ、96質量%(実施例11)、98質量%(実施例12)であった。表4に示すように、XRD測定の結果、Pd-Ag組成比の変化に伴ってPd相(111)の面間隔の変化がありPdとAgの固溶体が生成した。また、シェラーの式を用いて結晶子径を求めたところ5nm(実施例11)と7nm(実施例12)であった。
Figure 2020164912
あいちシンクロトロン光センターにてXAFS測定を行い、EXAFS領域を解析し動径分布を得た。試料のAg原子からの動径分布関数のデータで、標準試料のAg金属よりも縮小した位置に強度があった。すなわち、Ag原子周囲にはPdが分布することを示唆し粒子内で両者が原子レベルで混合し固溶体を形成していると考えられる。Pd原子の動径分布関数についても固溶体生成を示す結果が得られた。さらに、透過型電子顕微鏡でPd0.52Ag0.48ナノ粒子(実施例12)を観察したところ、10nm以下の粒径の粒子が91%存在していた。
実施例3と同様にして、得られた試料についてPCT測定を行ったところ、水素圧0.1MPaでの水素吸蔵量はそれぞれH/M=0.12(実施例11)と0.06(実施例12)であり、いずれも水素吸蔵を示す材料であった。
試験例1
試料の水素吸放出特性を、熱伝導性検出器(TCD)を付属したガス吸着測定装置(ヘンミ計算尺(株)製)を用いて以下の手順で評価した。作製した試料を石英試験管に入れ、装置のガスラインに接続固定した後に、室温で純Arガスを流量30mL/minで導入し、TCD値が安定するまで流した。次に、Arを流量30mL/minを5%H2/95%Ar(体積%で表示)の混合ガスに切り替えてこれを20分間流しこの間のTCD値変化をモニターした(吸蔵)。その後、再びArガス流に切り替え、大気圧下、流量30mL/minで流してTCD値をモニターしながら100℃まで昇温速度10℃/minで加熱した(放出)。水素の吸収特性について、室温で全圧大気圧での5%水素流すなわち水素分圧0.05MPa下での水素吸収を示すTCD値の時間変化によってモニターした。試料からの水素の放出特性をAr流下での昇温時に水素放出に伴うTCD値変化で調べた。TCD値は、Ar流中の水素ガス濃度に比例した熱伝導性を示し、ガス中水素濃度変化の速度、すなわち放出速度に対応する。図3に、上記操作の全域でのTCD値の時間変化と温度を示す。TCD値は、Ar中の水素濃度ゼロから5体積%までの変化を示して増加したのち一定値を示し、Arに切り替えてゼロとなるが、温度上昇によってピーク形状を示す(放出)。図4に、吸蔵時のTCDデータを示す。ごく初期に吸蔵現象がみられる。一方、図5に放出ピークを示す。これらの測定から、各試料の吸蔵時間(ガス切り替えから一定TCD値となる時間)と放出時間(室温30℃からピーク温度までの時間)を測定した。なお、比較用に、市販パラジウムブラック(粒径0.1μm、田中貴金属工業(株)製)を用いた。
表5に、ガス切り替えを基準とした吸収時間(秒)、放出時間(秒)を各試料について示す。
Figure 2020164912
以上から、実施例のナノ粒子においては、吸蔵した水素を40〜90℃付近まで昇温し、Arや窒素等のガス中や真空下に水素を材料から取り出すことができる。水素吸蔵は、室温付近で水素含有ガスにさらすことによってできる。水素吸蔵放出量は、室温付近での最大吸収量(H/M)によって決まり室温付近でのPCT曲線からわかる。最大放出温度は水素分圧に依存した平衡としてPCT曲線で示される。しかし、無水素下での放出速度は、とくに粒子材料の粒径に依存し、ナノ粒子はとくに敏速な放出ができる。実施例のナノ粒子においては、市販のパラジウムブラックよりも敏速な水素放出が可能になっている。また、吸蔵時にもこの効果はあらわれるので、本発明の水素吸蔵放出材料を用いると、600秒以内の操作で微量の水素の吸収放出操作ができ、水素を必要とする各デバイスに有用である。本発明の水素吸蔵放出材料は、敏速な水素吸放出方法を適用するのに効果的でかつ有効な水素吸蔵放出量が得られている。

Claims (11)

  1. 水素を吸蔵及び放出することができる水素吸蔵放出材料であって、
    パラジウムと、パラジウム以外の貴金属とを含むパラジウム含有粒子材料を含有し、
    粒径が20nm以下の割合が80%以上である、水素吸蔵放出材料。
  2. 前記パラジウム以外の貴金属が、白金、銀、金、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の水素吸蔵放出材料。
  3. パラジウム相とパラジウム以外の貴金属相とが混在しており、各相粒径が2〜20nmである割合が80%以上である、請求項1又は2に記載の水素吸蔵放出材料。
  4. 前記パラジウム及びパラジウム以外の貴金属の一部又は全部がパラジウム基固溶体を形成しており、前記パラジウム基固溶体相の割合が20質量%以上である、請求項1又は2に記載の水素吸蔵放出材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料を含有する、水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
  6. 前記水素吸蔵放出材料を保護する少なくとも1種の保護剤を含有し、前記保護剤に含まれる静電性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基、ケイ酸基及びホウ酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
  7. 前記保護剤が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、オレイルアミン、オレイン酸、ポリアクリル酸ナトリウム及びこれらを含む共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5又は6に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料、又は請求項5〜7のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料含有コロイド溶液の製造方法であって、
    パラジウム塩、前記パラジウム以外の貴金属の塩及び前記保護剤を溶解して溶媒中にパラジウムイオン及びパラジウム以外の貴イオンが分散する溶液に対して、還元処理を施す工程
    を備える、製造方法。
  9. 前記還元処理が、水素、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、金属水素化物、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、グリセリン、ポリグリセリン、アルキレングリコール、アミン、アミド、ボラン、不飽和脂肪酸、不飽和炭化水素、可視光、紫外光、γ線及び超音波よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む還元剤を添加する処理である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出材料に対して温度変化を繰り返して行う、水素吸蔵放出方法。
  11. 温度範囲が0〜99℃、圧力範囲が1MPa以下で操作し、吸蔵放出操作時間が600秒以下である、請求項10に記載の水素吸蔵放出方法。
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