以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、腕時計と、この腕時計に搭載された光電変換装置との特徴的な例について、図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる腕時計及び光電変換装置について図1〜図7に従って説明する。図1は、腕時計の構造示す模式平面図である。図1に示すように、電子機器及び電子時計としての腕時計1はケース2を備えている。ケース2の図中上側と下側にはバンド3が配置されている。ケース2及びバンド3が輪を形成し、腕に設置して輪の大きさを調整することにより腕時計1が腕に固定される。尚、「光電変換装置 」とは、受光面と、電極と、を有し、受光する光の光エネルギーを電気に変換する太陽電池セルのことを指す。
図中中央ではケース2内に円板状の文字盤4が配置されている。文字盤4には同心円状に第1目盛4aが配置されている。文字盤4の中心には時刻を示す時針5、分針6が配置されている。腕時計1はストップウオッチ機能を備え、文字盤の中心には計時用秒針7が配置されている。
文字盤4の図中左上側には時刻表示用秒針8が配置されている。時刻表示用秒針8の周りには時刻表示用秒針8用の目盛である第2目盛4bが同心円状に配置されている。時刻表示用秒針8は現在時刻の秒を示す。
文字盤4の図中下側には第1表示用針9が配置されている。第1表示用針9の周りには第1表示用針9用の目盛である第3目盛4cが同心円状に配置されている。腕時計1は内部に太陽光を受光して発電する光電変換モジュールと2次電池を備えている。第1表示用針9は2次電池の電池残量を示すときに用いられる。
ケース2の図中右側には竜頭10が配置されている。時針5及び分針6が示す時刻を調整するときに竜頭10が用いられる。操作者は竜頭10を引き出して回転することにより時針5及び分針6を回転させることができる。
ケース2の図中右上側、右下側、左上側及び左下側には操作ボタン11が配置されている。操作者は操作ボタン11を操作することにより腕時計1に各種の機能を行わせることができる。例えば、ストップウオッチ機能を行わせるとき、操作者は操作ボタン11を操作してスタート、ストップ、リセット等を腕時計1に行わせる。
ケース2及びバンド3はステンレスやチタン等の剛性のある材料で構成されている。竜頭10、操作ボタン11、第1目盛4a、第2目盛4b及び第3目盛4cは銅合金や鉄合金等の剛性があり加工しやすい材料で構成されている。文字盤4は樹脂やセラミックス等の光透過性のある材料で構成されている。
図2は腕時計の内部構造を示す模式側断面図である。図2に示すように、腕時計1の図中上側には風防板12がケース2に配置されている。風防板12はケース2に固定されている。風防板12はガラス等の光透過性のある材料で構成されている。風防板12の図中下側には文字盤4が配置されている。そして、文字盤4と風防板12との間に時針5、分針6、計時用秒針7、時刻表示用秒針8及び第1表示用針9が配置されている。操作者は風防板12を通して、時針5、分針6、計時用秒針7、時刻表示用秒針8、第1表示用針9及び文字盤4を見ることができる。
文字盤4の図中下側には光電変換モジュール13が配置されている。光電変換モジュール13は室内光や太陽光を受光して発電する。文字盤4は光を透過するので、文字盤4を照射する光の一部は文字盤4を透過して光電変換モジュール13を照射する。
光電変換モジュール13の図中下側には回路基板14が配置されている。回路基板14の図中上側の面には計時部としてのCPU15(Central Processing Unit)の他にメモリー等の各種の電気素子が配置されている。CPU15は時刻を計測する機能を備えている。
回路基板14の図中下側にはムーブメント16及び2次電池17が配置されている。ムーブメント16には複数のモーター及び輪列が配置されている。そして、CPU15がムーブメント16の動作を制御する。図中中央ではムーブメント16の一部が図中上側に突出して文字盤4を貫通している。そして、突出した部分のムーブメント16に時針5、分針6、計時用秒針7、時刻表示用秒針8及び第1表示用針9が配置されている。そして、CPU15はムーブメント16に時針5、分針6、計時用秒針7、時刻表示用秒針8及び第1表示用針9を回転させて各針が目盛を示す位置を制御する。
2次電池17は光電変換モジュール13が発電する電力によって充電される。そして、2次電池17に充電された電気エネルギーは回路基板14及びムーブメント16のモーターに利用される。ムーブメント16及び2次電池17の図中下側には裏蓋18が配置されている。裏蓋18はケース2に固定されている。ケース2、風防板12、裏蓋18により腕時計1の内部が密閉されている。
文字盤4、時針5、分針6、時刻表示用秒針8、計時用秒針7及びムーブメント16等により表示部19が構成されている。表示部19は時刻を表示する。ムーブメント16が、時針5、分針6、時刻表示用秒針8及び計時用秒針7を動かして時刻や時間の推移を表示する。そして、光電変換モジュール13はCPU15及び表示部19等に電力を供給する。
図3は光電変換モジュールの構造を示す模式平面図であり、光電変換モジュール13を文字盤4側から見た図である。図3に示すように、光電変換モジュール13は光電変換装置21及び配線基板22を備えている。そして、配線基板22は光電変換装置21と重なるように設けられている。そして、光電変換装置21と配線基板22とは電気的に接続されている。配線基板22は円形をしており、一部が図中左側に長く伸びた形状になっている。長く伸びた部分は回路基板14と接続されている。配線基板22には配線としての第1基板配線23及び配線としての第2基板配線24が設置され、第1基板配線23及び第2基板配線24は光電変換装置21と回路基板14とを電気的に接続する。また、回路基板14と2次電池17とは電気的に接続され、光電変換モジュール13は光電変換装置21で発電した電気エネルギーを2次電池17に充電する。
1つの光電変換モジュール13には扇形の4つの光電変換装置21が配置されている。そして、4つの光電変換装置21を組み合わせることにより円形の配線基板22と略同じ形になっている。つまり、光電変換装置21は円板または円板の面積を略4等分した形状になっている。4つの光電変換装置21は同じ構造になっている。光電変換装置21の形状はこの形状に限らない。1つの円形または円板の面積を2〜3分割した形状でもよく、5分割以上に分割した形状でも良い。2つの光電変換装置21には時刻表示用秒針8等を配置するための穴21aが配置されている。
図4は光電変換モジュールの構造を示す模式側断面図である。図4に示すように、光電変換モジュール13は図中下側に配置された配線基板22に重ねて光電変換装置21が配置されている。配線基板22は絶縁基板25を備えている。絶縁基板25にはポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板等の各種樹脂基板が用いられる。本実施形態では、例えば、絶縁基板25にポリイミド基板が用いられている。
絶縁基板25上には第1基板配線23及び第2基板配線24が配置されている。第1基板配線23及び第2基板配線24には銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀または銀合金等が用いられる。本実施形態では、例えば、第1基板配線23及び第2基板配線24には銅合金が用いられている。
第1基板配線23の上には導通部としての第1導通部26が配置され、第2基板配線24の上には導通部としての第2導通部27が配置されている。第1導通部26は第1基板配線23と光電変換装置21とを電気的に接続し、第2導通部27は第2基板配線24と光電変換装置21とを電気的に接続する。
第1基板配線23において第1導通部26が配置された場所を第5電極23aとする。第2基板配線24において第2導通部27が配置された場所を第6電極24aとする。配線基板22に設置された端子のうち第1導通部26及び第2導通部27が配置された端子を第2電極28とする。第2電極28は第5電極23a及び第6電極24aを有する。
第1導通部26の周囲には第1導通部26を囲む円環状の封止部としての第3封止部31が配置されている。第2導通部27の周囲には第2導通部27を囲む円環状の封止部としての第4封止部32が配置されている。
第1導通部26、第2導通部27、第3封止部31及び第4封止部32の材料は同一の材料になっている。第1導通部26、第2導通部27、第3封止部31及び第4封止部32には導電ペースト、導電シート、導電性接着剤、金属材料、はんだ、ろう材等が用いられる。本実施形態では、例えば、第1導通部26、第2導通部27、第3封止部31及び第4封止部32に銀を含む導電ペーストが用いられている。
第1導通部26、第2導通部27、第3封止部31及び第4封止部32が配置された場所を除いた場所には絶縁基板25、第1基板配線23及び第2基板配線24上に接着層33を介して被覆層としての第1絶縁膜34が配置されている。接着層33は絶縁基板25と第1絶縁膜34とを接着する。接着層33の材料にはエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤等が用いられる。本実施形態では、例えば、接着層33の材料にエポキシ系接着剤が用いられている。
第1絶縁膜34は第1基板配線23及び第2基板配線24を電気的に絶縁する膜である。第1絶縁膜34の材料にはポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の各種樹脂材料が用いられている。本実施形態では、例えば、第1絶縁膜34の材料にポリイミド樹脂が用いられている。尚、第1絶縁膜34は絶縁フィルムともいう。
光電変換装置21は半導体基板35を備えている。半導体基板35は単結晶シリコンを含む基板である。半導体基板35には単結晶シリコン以外の部分があっても良い。半導体基板35の外周を基板端部35cとする。半導体基板35において配線基板22を向く側の面を第1面35aとする。半導体基板35において第1面35aと反対側の面を受光面としての第2面35bとする。第2面35bは光電変換装置21が受光する面である。そして、第2面35bの法線方向を第1方向35qとする。第1方向35qは受光面の法線方向になっている。第2面35bには反射防止膜36が配置されている。反射防止膜36はシリコン窒化膜及び酸化シリコン膜が積層された膜である。シリコン窒化膜はSiNxで表される膜であり、例えば、Si3N4である。また、酸化シリコン膜はSiOxで表される膜であり、例えば、SiO2である。
反射防止膜36は光の反射を防止する機能と保護膜の機能とを有している。反射防止膜36の屈折率、膜厚を適宜制御することにより、第2面35bにおける光の反射を抑制することができる。反射防止膜36はシリコンの未結合手の数を低減する。未結合手では自由正孔及び自由電子が再結合する確率が高く、光電変換装置21の変換効率が大きく低下する。反射防止膜36は変換効率が大きく低下することを抑制する。
半導体基板35の第2面35bには、凹凸形状のテクスチャー35pが形成されている。テクスチャー35pは、例えば、多数の略ピラミッド状突起で構成される。このようなテクスチャー35pは光の多重反射により、第2面35bにおける外部光の反射損失を抑制し、半導体基板35内に侵入する光量の増大を図ることができる。半導体基板35が例えば(100)面を主面とする基板である場合、(111)面を傾斜面とするピラミッド状突起がテクスチャー35pとして好適に用いられる。
半導体基板35の第1面35aには不活性化膜37が配置されている。不活性化膜37は二酸化シリコン膜である。不活性化膜37が設置されていない状態では半導体基板35の第1面35aにシリコンの未結合手が多く存在する。
不活性化膜37に二酸化シリコン膜が設置されている状態では単結晶シリコンの未結合手に酸素が結合するので未結合手の数が低減される。二酸化シリコン膜は電気を通さないので不活性化膜37は絶縁膜となっている。半導体基板35の絶縁性をより高めるために、さらに不活性化膜37に重ねて第2絶縁膜38が配置されている。第2絶縁膜38は二酸化シリコン膜でも良く、シリコン窒化膜でも良いが、本実施形態では例えば、二酸化シリコン膜になっている。
半導体基板35の第1面35aには第2絶縁膜38に重ねて第1フィンガー電極41と第2電極としての第2フィンガー電極42とが並べて配置されている。第1フィンガー電極41と対向する場所の不活性化膜37には所定の箇所に第1穴37aが配置されている。第2絶縁膜38には第1穴37aと対向する場所に第3穴38aが配置されている。そして、第1穴37aでは第1フィンガー電極41が半導体基板35と接触し、電気的に接続している。第1穴37aが配置された場所では第1面35a側の半導体基板35に第1導電型の第1不純物領域としてのp+不純物領域43が形成されている。p+不純物領域43は半導体基板35にボロン等のIII族の元素が注入されてp型の半導体になっている領域である。
第2フィンガー電極42と対向する場所の不活性化膜37には所定の箇所に第2穴37bが配置されている。第2絶縁膜38には第2穴37bと対向する場所に第4穴38bが配置されている。そして、第2穴37bでは第2フィンガー電極42が半導体基板35と接触し、電気的に接続している。第2穴37bが配置された場所では第1面35a側の半導体基板35に第2導電型の第2不純物領域としてのn+不純物領域44が形成されている。n+不純物領域44は半導体基板35にリンやヒ素等のV族の元素が注入されてn型の半導体になっている領域である。
第1フィンガー電極41と対向する場所の半導体基板35にはp+不純物領域43が間隔をあけて並べて配置されている。第2フィンガー電極42と対向する場所の半導体基板35にはn+不純物領域44が間隔をあけて並べて配置されている。本実施形態では半導体基板35にn−型の半導体を適用しており、p+不純物領域43とn−型の半導体基板35との間でpn接合ダイオードを形成している。
このように、半導体基板35の第1面35aには第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42が配置されている。この第2フィンガー電極42は第1フィンガー電極41と極性の異なる電極である。ここで、半導体基板35の厚み方向とは、第1面35a及び第2面35bの垂線方向を指し、半導体基板35の厚み方向から見るとは、第1面35aまたは第2面35bを平面視する方向を指す。
第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42の図中下側では第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42を覆って第3絶縁膜45が配置されている。第3絶縁膜45に重ねて第1バスバー電極46と第2バスバー電極47とが並べて配置されている。第1フィンガー電極41と第1バスバー電極46とが対向する場所の第3絶縁膜45には所定の箇所に第5穴45aが配置されている。そして、第5穴45aでは第1フィンガー電極41が第1バスバー電極46と電気的に接続されている。
第2フィンガー電極42と第2バスバー電極47とが対向する場所の第3絶縁膜45には所定の箇所に第6穴45bが配置されている。そして、第6穴45bでは第2フィンガー電極42が第2バスバー電極47と電気的に接続されている。第1バスバー電極46と第2バスバー電極47とは電気的に絶縁されている。
第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の図中下側では第3絶縁膜45、第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47を覆って第4絶縁膜48が配置されている。第1導通部26は第1バスバー電極46と対向する場所に配置されている。第1バスバー電極46において第1導通部26が配置された場所を第3電極46aとする。そして、第2導通部27は第2バスバー電極47と対向する場所に配置されている。第2バスバー電極47において第2導通部27が配置された場所を第4電極47aとする。光電変換装置21に設置された電極のうち第1導通部26及び第2導通部27が配置された電極を電極としての第1電極51とする。第1電極51は第3電極46a及び第4電極47aを有する。
受光する光を電気に変換する光電変換装置21は第2面35b及び第1電極51を有する。配線基板22は第1方向35qからの光電変換装置21の平面視において第1電極51と重なる第1基板配線23及び第2基板配線24を有する。他にも、配線基板22は第1基板配線23及び第2基板配線24が露出する開口としての第10開口34a及び第10開口34aを囲む溝としての第10溝34bを有する第1絶縁膜34を有する。第1導通部26及び第2導通部27を導通部52とする。導通部52は第10開口34aに配置され第1電極51と第2電極28とを電気的に接続する。
導通部52は第1導通部26及び第2導通部27を有する。第3電極46aと第5電極23aとが第1導通部26により電気的に接続されている。そして、第4電極47aと第6電極24aとが第2導通部27により電気的に接続されている。
第1電極51はバンプ53を有している。バンプ53の材料は金である。金は金以外の金属との親和性が高い。このため、第1電極51と導通部52とが接合し難いときにも金のバンプ53を介することにより、第1電極51と導通部52とを確実に接合して電気的に接続することができる。そして、導通部52は銀を含む。金と銀とが接合するとき接合面での抵抗が低い。従って、第1電極51から導通部52までの電圧降下を小さくすることができる。
第3絶縁膜45及び第4絶縁膜48の材料には二酸化シリコン膜やシリコン窒化膜を用いることができる。本実施形態では、例えば、第3絶縁膜45及び第4絶縁膜48の材料にシリコン窒化膜を用いている。第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の材料にはアルミニウム、チタン、銅等の金属や合金が用いることができる。本実施形態では、例えば、第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の材料にアルミニウム−銅合金を用いている。
第1導通部26と対向する場所の第4絶縁膜48には所定の箇所に第7穴48aが配置されている。そして、第7穴48aでは第1導通部26が第1バスバー電極46と電気的に接続されている。第2導通部27と対向する場所の第4絶縁膜48には所定の箇所に第8穴48bが配置されている。そして、第8穴48bでは第2導通部27が第2バスバー電極47と電気的に接続されている。
従って、p+不純物領域43は第1フィンガー電極41、第1バスバー電極46、第1導通部26及び第1基板配線23と電気的に接続されている。n+不純物領域44は第2フィンガー電極42、第2バスバー電極47、第2導通部27及び第2基板配線24と電気的に接続されている。
半導体基板35に光54が照射されるとき、半導体基板35内では光を吸収して電子が励起して自由正孔35mと自由電子35nとが生成される。自由正孔は原子から離れて移動可能になった正孔であり、自由電子は原子から離れて移動可能になった電子である。そして、自由正孔と自由電子とが半導体基板内を拡散する。p+不純物領域43とn−型の半導体基板35の間に空乏層が形成される。
空乏層には内蔵電界が形成される。正孔、電子が空乏層に到達すると、電界に沿って正孔、電子が移動する。第1フィンガー電極41に接近する正孔は第1フィンガー電極41に向かって流れ、第1フィンガー電極41は正電極になる。第2フィンガー電極42に接近する電子は第2フィンガー電極42に向かって流れ、第2フィンガー電極42は負電極になる。
不活性化膜37及び第2絶縁膜38の膜厚と屈折率は第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42での反射率が高くなるように設定されている。半導体基板35を通過した光54の一部は第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42で反射して半導体基板35に向かって進行する。このため、半導体基板35は効率よく光54を吸収することができる。
第3封止部31は第1基板配線23と第4絶縁膜48との間に配置されている。そして、第3封止部31は第1基板配線23及び第4絶縁膜48と接合している。同様に、第4封止部32は第2基板配線24と第4絶縁膜48との間に配置されている。そして、第4封止部32は第2基板配線24及び第4絶縁膜48と接合している。
図5は第3封止部の構造を示す要部模式平面図である。図5は第4絶縁膜48側から第1導通部26、第3封止部31及び第1絶縁膜34を見た図である。図5に示すように、第3封止部31は円環状になっている。第3封止部31が囲む内側に水分が侵入することを第3封止部31が抑制する。第1導通部26の光電変換装置21側には第3電極46aが配置されている。第3電極46aの材料はアルミニウム−銅合金であり水分により腐食され易い。しかし、第3封止部31が水分の侵入を抑制するので、第3電極46aが腐食されることを第3封止部31が抑制する。
図6は第4封止部の構造を示す要部模式平面図である。図6は第4絶縁膜48側から第2導通部27、第4封止部32及び第1絶縁膜34を見た図である。図6に示すように、第4封止部32は円環状になっている。第4封止部32が囲む内側に水分が侵入することを第4封止部32が抑制する。第2導通部27の光電変換装置21側には第4電極47aが配置されている。第4電極47aの材料はアルミニウム−銅合金であり水分により腐食され易い。しかし、第4封止部32が水分の侵入を抑制するので、第4電極47aが腐食されることを第4封止部32が抑制する。
このように、第3封止部31及び第4封止部32は第10溝34bに設けられ、光電変換装置21と配線基板22とに接する。第3封止部31及び第4封止部32は第1電極51及び第2電極28を囲み光電変換装置21と配線基板22との間の空間を封止する。
図7は、フィンガー電極及びバスバー電極の構造を示す模式平面図であり、光電変換装置21を第2面35b側から見た図である。図7に示すように、光電変換装置21は円の中心を通る線で四等分にした形状に近い形状になっている。基板端部35cの内円の中心に近い側の基板端部35cを内側端部35dとする。基板端部35cの内円の中心から離れた側の基板端部35cを外側端部35fとする。基板端部35cの内図中左側の基板端部35cを第1対向端部35eとする。基板端部35cの内図中下側の基板端部35cを第2対向端部35gとする。第1対向端部35e及び第2対向端部35gは配線基板22に設置したとき隣り合う光電変換装置21と互いに対向する部分である。
内側端部35dと外側端部35fとは同心円である。内側端部35d及び外側端部35fの中心を端部中心55とする。半導体基板35の第2面35bの面上において端部中心55から離れる方向及び端部中心55に接近する方向を径方向56とする。さらに、端部中心55から離れる方向を+径方向56aとし、端部中心55に接近する方向を−径方向56bとする。
半導体基板35の第2面35bの面上において径方向56と直交する方向を周方向57とする。周方向57は端部中心55を中心とする円の円周に沿う方向である。さらに、周方向57において時計回りの方向を+周方向57aとし、反時計回りの方向を−周方向57bとする。第1対向端部35eに沿う方向及び第2対向端部35gに沿う方向は径方向56である。内側端部35dの接線方向及び外側端部35fに沿う方向は周方向57である。
第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42は径方向56に長い形状をしている。第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42は内側端部35dから外側端部35fに向かって延びた形状になっている。第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42は周方向57に交互に配置されている。
図を見やすくするために、図中には第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42が各2つ配置されている。第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42の本数は特に限定されない。例えば、第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42が約100本配置されても良い。
第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47は周方向57に長い扇形の形状をしている。第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47は第1対向端部35eから第2対向端部35gに向かって延びた形状になっている。
図中には第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47が各1つ配置されている。第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の本数は特に限定されない。第1バスバー電極46が−径方向56b側に配置され、第2バスバー電極47が+径方向56a側に配置されている。
半導体基板35の厚み方向から見て第1フィンガー電極41と第1バスバー電極46とが交差する場所に第5穴45aが配置されている。そして、第5穴45aでは第1フィンガー電極41と第1バスバー電極46とが電気的に接合されている。
同様に、半導体基板35の厚み方向から見て第2フィンガー電極42と第2バスバー電極47とが交差する場所に第6穴45bが配置されている。そして、第6穴45bでは第2フィンガー電極42と第2バスバー電極47とが電気的に接合されている。
半導体基板35の厚み方向から見て第1バスバー電極46と重なる場所に第1導通部26が配置されている。第1導通部26は第1フィンガー電極41や第2フィンガー電極42と重ならない場所に配置されている。同様に、半導体基板35の厚み方向から見て第2バスバー電極47と重なる場所に第2導通部27が配置されている。第2導通部27も第1フィンガー電極41や第2フィンガー電極42と重ならない場所に配置されている。
次に上述した光電変換モジュール13の製造方法について図8〜図15にて説明する。図8は、光電変換モジュールの製造方法のフローチャートであり、図9〜図15は光電変換モジュールの製造方法を説明するための模式図である。図8のフローチャートにおいて、ステップS1はダイオード形成工程である。この工程は、半導体基板35にダイオードを形成する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は配線形成工程である。この工程は、半導体基板35にフィンガー電極及びバスバー電極を形成する工程である。次にステップS3に移行する。
ステップS3はテクスチャー形成工程である。この工程は、半導体基板35の第2面35bにテクスチャー35pを形成する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は基板分割工程である。この工程は、シリコンウエハーを分割して光電変換装置21の形状にする工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は配線基板形成工程である。この工程は、絶縁基板25上に第1基板配線23、第2基板配線24、及び導通部52等を形成する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は基板実装工程である。この工程は、配線基板22に光電変換装置21を実装する工程である。以上の工程により光電変換モジュール13が完成する。
次に、図9〜図15を用いて、図8に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図9はステップS1のダイオード形成工程に対応する図である。図9に示すように、シリコンウエハー58を用意する。シリコンウエハー58は予め所定の厚みに研削され、表面を研磨されている。さらに、表面がエッチングされており、格子欠陥が低減されている。シリコンウエハー58は光電変換装置21が複数形成されるマザー基板である。
シリコンウエハー58は円板状であり対向する2つの平面を有する。2つの平面の一方を第2面58aとし、他方の平面を第1面58bとする。第1面58bに第1保護膜61を成膜する。第1保護膜61はシリコン窒化膜である。第1保護膜61はPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)法を用いて成膜される。
シリコンウエハー58の第2面58a側に第1二酸化シリコン膜62を成膜する。酸化炉を用いた方法、蒸着法、スパッタ法またはCVD(chemical vapor deposition)法のいずれかを用いて第1二酸化シリコン膜62が成膜される。本実施形態では例えば酸化炉を用いて第1二酸化シリコン膜62を成膜した。900℃〜1100℃程度に加熱した石英管の酸化炉の中にシリコンウエハー58を入れ酸素や水素等のガスを導入する。この操作によりシリコンを酸化させることで第1二酸化シリコン膜62を成膜する。
次に、p+不純物領域43を形成する。まず、シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。レジスト膜は感光性の樹脂膜である。スピンコート法やスプレーコート法等を用いて感光性の樹脂を溶解した樹脂溶液が塗布される。次に、樹脂溶液を乾燥させることにより溶媒を除去して樹脂膜を形成する。感光性の樹脂にはネガ型及びポジ型のいずれの材料を採用しても良い。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜にはp+不純物領域43の形状の開口が形成される。このレジスト膜をイオン注入マスクとして用いる。
次に、シリコンウエハー58に対してホウ素をイオン注入する。シリコンウエハー58の厚み方向に対して注入角度を調整してホウ素の注入深さを制御する。また、第1二酸化シリコン膜62を通してイオン注入することによりホウ素を、浅く打ち込むことができる。続いて、レジスト膜を除去する。
レジスト膜の除去は、レジスト膜を溶解・剥離可能な発煙硝酸、硫酸や有機溶剤等を用いたウエットエッチング法、あるいは、酸素プラズマアッシング法等により行うことができる。本実施形態では、例えば、酸素プラズマアッシングでアッシングした後で、さらに、有機剥離液や硫酸を用いてレジスト膜の残渣を除去した。
次に、n+不純物領域44を形成する。シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜にはn+不純物領域44の形状の開口が形成される。このレジスト膜をエッチングマスクとして用いる。
次に、シリコンウエハー58に対してリンをイオン注入する。シリコンウエハー58の厚み方向に対して注入角度を調整してリンの注入深さを制御する。また、第1二酸化シリコン膜62を通してイオン注入することによりリンを、浅く打ち込むことができる。続いて、レジスト膜を剥離する。
次に、シリコンウエハー58を加熱して注入したホウ素及びリンをシリコンと置換させる。シリコンとリン、ホウ素は価数が違うので、余分な電子もしくは正孔濃度が増える。そして、ホウ素及びリンが配置されたシリコンの結晶では電気的性質が変化して半導体から金属に近くなる。このように、シリコンウエハー58にn+不純物領域44と、n+不純物領域44と異なるp+不純物領域43とを形成する。
図10はステップS2の配線形成工程に対応する図である。図10に示すように、ステップS2において、第1二酸化シリコン膜62上に第2絶縁膜38の材料となる第2二酸化シリコン膜を形成する。第2二酸化シリコン膜はCVD法を用いて成膜する。続いて、第1二酸化シリコン膜62に第1穴37a及び第2穴37bを形成する。さらに、第2二酸化シリコン膜に第3穴38a及び第4穴38bを形成する。
第1穴37a及び第2穴37bは不活性化膜37のパターンである。第3穴38a及び第4穴38bは第2絶縁膜38のパターンである。
第1二酸化シリコン膜62及び第2二酸化シリコン膜に重ねて図示しないレジスト膜が成膜される。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光する。そして、レジスト膜を現像する。レジスト膜はエッチングマスクとして機能する。現像されたレジスト膜には第1穴37a、第2穴37b、第3穴38a及び第4穴38bの形状の開口が形成される。
次に、シリコンウエハー58に酸素プラズマを照射し、さらに、シリコンウエハー58をバッファードフッ酸に浸漬して第1穴37a、第2穴37b、第3穴38a及び第4穴38bを形成する。レジスト膜をマスクにして第1二酸化シリコン膜62及び第2二酸化シリコン膜がエッチングされる。続いてレジスト膜を除去する。
第1二酸化シリコン膜62及び第2二酸化シリコン膜は不活性化膜37及び第2絶縁膜38のパターンに形成される。第1二酸化シリコン膜62は所定のパターンに形成されて不活性化膜37になる。第2二酸化シリコン膜も所定のパターンに形成されて第2絶縁膜38になる。従って、第2面58aに不活性化膜37及び第2絶縁膜38が形成される。
次に、第2絶縁膜38上に第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42を形成する。第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42は第1層と第2層との2層構造になっている。第1層の材料はアルミニウム−シリコン合金である。第2層の材料はチタンナイトライドである。第2絶縁膜38上に第1層がスパッタ法にて成膜される。次に、第1層の上に第2層がスパッタ法にて成膜される。
第1層は第2層より反射率が高くなっている。従って、半導体基板35を通過した光54の一部は第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42で高い比率で反射して半導体基板35に向かって進行する。このため、半導体基板35は効率よく光54を吸収することができる。
次に、シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜には第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42の形状が形成される。このレジスト膜をエッチングマスクとして用いる。次に、シリコンウエハー58をエッチング液に浸漬して2層に成膜した金属配線の膜を第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42の形状にする。続いてレジスト膜を剥離する。その結果、第2絶縁膜38上に第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42が形成される。
次に、第2絶縁膜38、第1フィンガー電極41及び第2フィンガー電極42に重ねて第3絶縁膜45を形成する。第3絶縁膜45はシリコン窒化膜である。第3絶縁膜45はCVD法を用いて成膜する。続いて、第3絶縁膜45に第5穴45a及び第6穴45bを形成する。
シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜には第5穴45a及び第6穴45bの形状の開口が形成される。このレジスト膜をエッチングマスクとして用いる。次に、シリコンウエハー58をドライエッチングして第3絶縁膜45に第5穴45a及び第6穴45bを形成する。続いてレジスト膜を剥離する。
次に、第3絶縁膜45上に第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47を形成する。第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の材料はアルミニウム―銅合金である。スパッタ法を用いて第3絶縁膜45上にアルミニウム―銅合金の膜を形成する。続いて、アルミニウム―銅合金の膜から第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47を形成する。
シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜には第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47の形状が形成される。このレジスト膜をエッチングマスクとして用いる。次に、シリコンウエハー58をエッチング液に浸漬してアルミニウム―銅合金の膜から第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47を形成する。続いてレジスト膜を剥離する。その結果、第3絶縁膜45上に第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47が形成される。
次に、第1バスバー電極46及び第2バスバー電極47上に第4絶縁膜48を形成する。第4絶縁膜48の材料はシリコン窒化膜である。第4絶縁膜48はCVD法を用いて成膜する。続いて、第4絶縁膜48に第7穴48a及び第8穴48bを形成する。
シリコンウエハー58の第2面58a側にレジスト膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術を用いてレジスト膜を露光して現像する。現像されたレジスト膜には第7穴48a及び第8穴48bの形状の開口が形成される。このレジスト膜をエッチングマスクとして用いる。次に、シリコンウエハー58をドライエッチングして第7穴48a及び第8穴48bを形成する。続いてレジスト膜を剥離する。
図11〜図12はステップS3のテクスチャー形成工程に対応する図である。図11に示すように、ステップS3において、シリコンウエハー58の第2面58aに第2保護膜63を成膜する。第2保護膜63は樹脂からなる膜である。第2保護膜63の成膜方法はステップS1におけるレジスト膜の成膜方法と同じ成膜方法を用いる。次に、第1保護膜61及びシリコンウエハー58を削る。シリコンウエハー58はグラインダーにて削る。砥石の砥粒を細かくすることにより破砕層を減少することができる。研削後のシリコンウエハー58の厚みは特に限定されないが本実施形態では、例えば、約170μmにしている。
図12に示すように、続いて、シリコンウエハー58の第1面58bにテクスチャー35pを形成する。テクスチャー35pは四角錐の突起が隙間なく配置された面である。テクスチャー35pの形成には、例えばウエットエッチング法が用いられる。ウエットエッチング法は、たとえば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ水溶液にイソプロピルアルコールを添加し、70℃以上80℃以下に加熱した溶液により行われる。
次に、第2保護膜63を除去する。第2保護膜63の除去方法はステップS1におけるレジスト膜の除去方法と同じ除去方法を用いることができる。次に、第1面58bに反射防止膜36を成膜する。反射防止膜36は第1面58bにシリコン窒化膜を成膜する。反射防止膜は、シリコン窒化膜の単層でもよいが、シリコン窒化膜に加えて、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを交互に重ねて多層に形成しても良い。また、他にも、シリコン窒化膜に加えて、シリコン酸化膜と酸化ニオブ膜とを交互に重ねて多層に形成しても良い。
その後、必要に応じて、加熱処理を施す。この加熱処理をシンター処理という。この加熱処理により光電変換装置21の特性を最適化させることができる。
次に、第1バスバー電極46上における第7穴48aの中央の場所にバンプ53を形成する。さらに、第2バスバー電極47上における第8穴48bの中央の場所にバンプ53を形成する。バンプ53の材料は金である。バンプ53はワイヤーボンディング装置を用いて形成される。ワイヤーボンディング装置は金線の先端を保持するキャピラリを備えている。ワイヤーボンディング装置はキャピラリを加熱して金線の先端をボール状にする。さらに、ワイヤーボンディング装置は金線の先端を第1バスバー電極46に接触させる。この状態にてワイヤーボンディング装置はキャピラリを加熱し超音波振動を加えることにより金線の先端を第1バスバー電極46に付着させる。次に、ワイヤーボンディング装置はキャピラリをシリコンウエハー58から離して金線の先端を第1バスバー電極46に残す。その結果、第1バスバー電極46にバンプ53が形成される。同様の方法にてワイヤーボンディング装置は金線の先端を第2バスバー電極47に付着させる。その結果、第2バスバー電極47にバンプ53が形成される。
図13はステップS4の基板分割工程に対応する図である。図13に示すように、シリコンウエハー58を半導体基板35の基板端部35cに沿ってダイシングして分割する。さらに、穴21aに沿ってダイシングする。基板端部35c及び穴21aは曲線で構成されているので、ダイシングにはレーザーダイシング法を用いる。まず、シリコンウエハー58の第1面58bを粘着テープ65に貼り付ける。粘着テープ65の外周部にはダイシングリング66が貼り付けられている。ダイシングリング66は粘着テープ65及びそれに貼り付けたシリコンウエハー58を支持し易くする。
次に、レーザーダイシング装置67を用意する。レーザーダイシング装置67はレーザー光源、XYテーブル及び制御装置を備えている。制御装置はXYテーブルの移動量やレーザー光源の射出を制御する。レーザー光源はシリコンウエハー58を切断するレーザー光68を射出可能であれば良く特に限定されない。本実施形態では、例えば、レーザー光源にYAGレーザー(Yttrium Aluminum Garnet)を用いている。レーザー光源はシリコンウエハー58に355nmの波長のレーザー光68を射出する。レーザー光源にはレーザー光68を集光する光学系とレーザー光68を任意の方向を射出するガルバノミラーを備えている。そして、制御装置はレーザー光68が加工する位置を制御する。尚、レーザー光源としては、波長532nmのNd:YVO4レーザー(ネオジム添加バナジウム酸イットリウム)を用いても良い。
次に、シリコンウエハー58を図示しないXYテーブルに設置する。そして、予め入力された経路に沿ってレーザー光68を照射するように制御装置はガルバノミラーとXYテーブルを制御する。
レーザーダイシング装置67により生産性良くシリコンウエハー58が切断される。そして、シリコンウエハー58から光電変換装置21が切りとられる。粘着テープ65から光電変換装置21を剥すことにより光電変換装置21が取り出される。
図14はステップS5の配線基板形成工程に対応する図である。図14に示すように、ステップS5において、配線基板22が形成される。配線基板22ではポリイミドにて形成された絶縁基板25上に第1基板配線23及び第2基板配線24が形成される。第1基板配線23及び第2基板配線24はアルミニウムを分散媒に分散させた溶液を精密オフセット印刷等にて絶縁基板25上に印刷し、印刷した溶液を乾燥させることで形成される。
第1基板配線23及び第2基板配線24が形成された絶縁基板25上に接着層33及び第1絶縁膜34が配置される。まず、エポキシ系接着剤よりなる接着層33を絶縁基板25に塗布する。接着層33は所定のパターンに塗布される。接着層33の塗布方法には各種の印刷方法を用いることができる。本実施形態では、例えば、スクリーン印刷法を用いて接着層33を塗布している。
接着層33に重ねて第1絶縁膜34を設置してラミネートする。次に、接着層33を加熱して固化することにより、第1絶縁膜34が絶縁基板25に接着固定される。第1絶縁膜34は感光性樹脂により形成されている。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて第1絶縁膜34を露光して現像する。現像されたレジスト膜には導通部52を配置する予定の場所に円形の第10開口34aが形成される。さらに、現像されたレジスト膜には第3封止部31または第4封止部32を配置する予定の場所に円環状の第10溝34bが形成される。第10開口34a及び第10溝34bの接着層33を洗浄して除去する。接着層33が除去されるので、第10開口34aでは第1基板配線23の第2電極28が露出する。第10溝34bでは第2電極28を囲んで第2基板配線24が露出する。
配線基板22は第1基板配線23、第2基板配線24及び第1絶縁膜34を有する。第1絶縁膜34は第1基板配線23または第2基板配線24が露出する第10開口34a及び第10開口34aを囲む第10溝34bを有する。第10開口34a及び第10溝34bに銀ペーストを塗布する。詳しくは、第10開口34aの第2電極28上と第10溝34bの第1基板配線23及び第2基板配線24に銀ペースト71を塗布する。銀ペースト71は熱硬化性樹脂と銀の粒子とを混成したものである。さらに、銀ペースト71は溶媒を加えて粘度を調整してある。銀ペースト71はスクリーン印刷法等の印刷方法を用いて配置される。第2電極28には銀ペースト71が円柱状に配置される。第10溝34bには銀ペースト71が円環状に配置される。
図15はステップS6の基板実装工程に対応する図である。図15に示すように、ステップS6において、光電変換装置21が配線基板22に実装される。
まず、光電変換装置21と配線基板22とを重ね合わせる。第10開口34aに塗布された銀ペースト71と第1電極51とが接するように配線基板22と光電変換装置21とを配置する。そして、銀ペースト71を光電変換装置21と配線基板22とで挟む。その後、光電変換装置21と配線基板22とを押圧して加熱する。銀ペースト71は荷重を受けて変形し、第1電極51と第2電極28との間で広がる。同様に、第10溝34bでも銀ペースト71は荷重を受けて変形し第1基板配線23及び第2基板配線24と第4絶縁膜48との間で広がる。この状態で銀ペースト71が加熱されて固化する。その結果、銀ペースト71が固化して光電変換装置21と配線基板22とが接合される。
銀ペースト71の加圧条件は特に限定されない。0.7N/mm2以上1.1/mm2以下が好ましい。さらに、0.8N/mm2以上1.0/mm2以下が好ましい。さらには、0.74/mm2以上0.94/mm2以下が好ましい。本実施形態では、例えば、25°Cの温度で0.89N/mm2の荷重を1秒間加えている。例えば、1カ所の銀ペースト71の面積が4.5mm2とする。5カ所に銀ペースト71を配置したときに加える荷重は0.89×4.5×5=20.025Nとなる。この条件で加圧するとき、銀ペースト71を適正な範囲に広げることができる。
加熱時に加える荷重は不要であるが、本実施形態では、例えば、0.35ニュートンの荷重を加えている。銀ペースト71の加熱条件も特に限定されない。170°C以上210°C以下が好ましい。さらには、180°C以上200°C以下が好ましい。本実施形態では、例えば、190°Cの温度を30分加えている。この条件で加熱するとき、銀ペースト71を適正な状態に固化することができる。
第1基板配線23の第2電極28である第5電極23aと第1バスバー電極46の第1電極51である第3電極46aとの間の銀ペースト71が第1導通部26になる。第2基板配線24の第2電極28である第6電極24aと第2バスバー電極47の第1電極51である第4電極47aとの間の銀ペースト71が第2導通部27になる。
その結果、図4に示すように、第1導通部26は第1基板配線23と第1バスバー電極46との双方に接触し電気的及び機械的に接続する。第3封止部31は第1導通部26を封止する。同様に、第2導通部27は第2基板配線24と第2バスバー電極47との双方に接触し電気的及び機械的に接続する。第4封止部32は第2導通部27を封止する。
第10開口34aの第2電極28に塗布される銀ペースト71と第2電極28を囲む第10溝34bに塗布される銀ペースト71とは同一材料であり、同一工程で塗布される。第2電極28に塗布されるペーストの材料と第2電極28を囲む第10溝34bに塗布されるペーストの材料が異なるときには第10開口34aの第2電極28にペーストを塗布する工程と第2電極28を囲む第10溝34bにペーストを塗布する工程が別の工程となる。このときに比べて、本方法では1つの工程で第10開口34aの第2電極28と第2電極28を囲む第10溝34bに銀ペースト71を塗布するので生産性良く光電変換モジュール13を製造することができる。以上の工程により光電変換モジュール13が完成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、光電変換モジュール13は光電変換装置21及び配線基板22を備えている。光電変換装置21は受光する光54を電気に変換する。配線基板22は光電変換装置21で生じた電気を伝送する基板である。そして、光電変換装置21には第1電極51が配置され、配線基板22には第1基板配線23及び第2基板配線24が配置されている。第2面35bの第1方向35qからの光電変換装置21の平面視において、第1電極51と第1基板配線23及び第2基板配線24とは一部が重なって配置されている。
配線基板22には第1絶縁膜34が配置されている。第1絶縁膜34は第1基板配線23及び第2基板配線24の一部が露出する第10開口34a及び第10開口34aを囲む第10溝34bを有する。第1電極51と第2電極28との間には導通部52が配置されている。導通部52は第10開口34aに設けられている。導通部52は第1電極51と第1基板配線23または第2基板配線24と電気的に接続する。光電変換装置21が供給する電気は導通部52を介して配線基板22に流れる。
第10溝34bには第3封止部31及び第4封止部32が設けられている。は第3封止部31及び第4封止部32は光電変換装置21と配線基板22とに接する。第3封止部31及び第4封止部32は水分の侵入を防ぐので、第1電極51及び第2電極28が腐食されることを低減することができる。特許文献1のように保護層を配置する構造では、配線基板22の厚み及び光電変換装置21の厚みに保護層の厚みが加わるので光電変換モジュール13が厚くなる。この構造に比べて、光電変換モジュール13は第3封止部31及び第4封止部32が光電変換装置21と配線基板22との間に配置されるので、耐湿性を有し光電変換モジュール13が厚くなることを低減することができる。
(2)本実施形態によれば、導通部52、第3封止部31及び第4封止部32の材料は同一の材料である。従って、導通部52、第3封止部31及び第4封止部32を同じ工程で配置することができる為、生産性良く光電変換モジュール13を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、腕時計1はCPU15、表示部19及び光電変換モジュール13を備えている。CPU15が時刻を計測する。表示部19が時刻を表示する。そして、光電変換モジュール13がCPU15と表示部19とに電力を供給する。従って、腕時計1は受光して時刻を表示することができる。そして、光電変換モジュール13は薄いので、腕時計1を薄くすることができる。
(第2の実施形態)
次に、光電変換モジュールの一実施形態について図16及び図17を用いて説明する。図16は第5封止部の構造を示す要部模式平面図である。図16は第4絶縁膜48側から導通部52、第5封止部及び第5絶縁膜を見た図である。図17は第5封止部の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、2つの導通部を1つの封止部が囲んで封止する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図16及び図17に示すように、光電変換モジュール74は光電変換装置21及び配線基板75を備えている。配線基板75において、第2電極28は第5電極23a及び第6電極24aを有する。光電変換装置21において第1電極51は第3電極46a及び第4電極47aを有する。光電変換装置21と配線基板75との間に導通部52が配置されている。
導通部52は第1導通部26及び第2導通部27を有する。第3電極46aと第5電極23aとが第1導通部26により電気的に接続されている。そして、第4電極47aと第6電極24aとが第2導通部27により電気的に接続されている。
配線基板75では絶縁基板25及び第2基板配線24上に接着層33を介して被覆層としての第5絶縁膜76が配置されている。第5絶縁膜76には第1開口としての第11開口76a及び第2開口としての第12開口76bの2つの開口が配置されている。第11開口76aには第1導通部26が配置されている。第12開口76bには第2導通部27が配置されている。さらに、第5絶縁膜76には第11開口76a及び第12開口76bを囲む長円の溝としての第12溝76cが配置されている。そして、第12溝76cには封止部としての第5封止部77が配置されている。第5封止部77の材料は第1導通部26及び第2導通部27と同じ材料である。このように、第5封止部77は第3電極46a、第4電極47a、第5電極23a及び第6電極24aを囲んでいる。
開口は、第11開口76a及び第12開口76bを有している第11開口76a及び第12開口76bにはそれぞれ導通部52が配置されている。そして、第12溝76cは、第11開口76a及び第12開口76bを囲む。第12溝76cには第5封止部77が配置されている。
このとき、第11開口76aの導通部52を1つの封止部が囲み、第12開口76bの導通部52を1つの封止部が囲むときに比べて、封止部のパターンを簡単な形状にすることができる。封止部を印刷等の方法にて配置するとき、封止部のパターンが簡単な方が複雑な形状のときに比べて品質よく配置することができる。従って、封止部を品質良く配置することができる。
(第3の実施形態)
次に、光電変換モジュールの一実施形態について図18及び図19を用いて説明する。図18は第1封止部及び第2封止部の構造を示す要部模式平面図である。図18は第4絶縁膜48側から導通部52、第1封止部、第2封止部及び第6絶縁膜を見た図である。図19は第1封止部及び第2封止部の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、1つの導通部を2つの封止部が囲んで封止する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図18及び図19に示すように、光電変換モジュール81は光電変換装置21及び配線基板82を備えている。光電変換装置21には第1電極51が配置されている。配線基板82には第2電極28が配置されている。光電変換装置21と配線基板82との間に導通部52が配置されている。第1電極51と第2電極28とが導通部52により電気的に接続されている。
配線基板82では絶縁基板25及び第2基板配線24上に接着層33を介して被覆層としての第6絶縁膜83が配置されている。第6絶縁膜83には開口としての第13開口83a、第1溝としての第13溝83b及び第2溝としての第14溝83cが形成されている。
第13開口83aは円形である。第13開口83aには導通部52が配置されている。第13溝83bは円環状である。第13溝83bは第13開口83aを囲んで配置されている。第13溝83bには封止部としての第1封止部84が配置されている。第14溝83cも円環状である。第14溝83cは第13溝83bを囲んで配置されている。第14溝83cには封止部としての第2封止部85が配置されている。第1封止部84及び第2封止部85の材料は導通部52と同じ材料である。
このように、溝は、第13開口83aを囲む第13溝83bと、第13溝83bを囲む第14溝83cと、を有する。第13溝83bに第1封止部84が配置されている。第14溝83cに第2封止部85が配置されている。このように、封止部は第1封止部84及び第2封止部85を有している。光電変換装置21の厚み方向において導通部52は第1電極51及び第2電極28に挟まれている。そして、第1封止部84は導通部52を囲んでいるので、第1封止部84は第1電極51及び第2電極28を囲んでいる。第2封止部85は第1封止部84を囲んでいる。
光電変換モジュール81の構成では、水分は第2封止部85及び第1封止部84を通過しないと第1電極51及び第2電極28に到達できない。従って、第2封止部85がないときに比べて、水分を第1電極51及び第2電極28に到達し難くすることができる。
(第4の実施形態)
次に、光電変換モジュールの製造方法の一実施形態について図20を用いて説明する。図20は光電変換モジュールの製造方法を説明するための模式図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、銀ペースト71を光電変換装置21に塗布する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、ステップS5の配線基板形成工程において絶縁基板25に銀ペースト71を塗布しない。そして、ステップS6の基板実装工程にて、第1電極51に銀ペースト71を塗布し、第1電極51を囲んで銀ペースト71を塗布する。
配線基板22には第1基板配線23、第2基板配線24及び第1絶縁膜34が配置されている。第1絶縁膜34は第1基板配線23、第2基板配線24が露出する第10開口34a及び第10開口34aを囲む第10溝34bを有する。次に、第1電極51に塗布された銀ペースト71と第10開口34aから露出した第1基板配線23及び第2基板配線24とが接し、第1電極51を囲んで塗布された銀ペースト71と第10溝34bとが接するように光電変換装置21と配線基板22とを配置する。そして、銀ペースト71を光電変換装置21と配線基板22とで挟む。
その後、光電変換装置21と配線基板22とを押圧して加熱する。銀ペースト71は荷重を受けて変形し、第1電極51と第2電極28との間で広がる。同様に、第10溝34bでも銀ペースト71は荷重を受けて変形し第1基板配線23及び第2基板配線24と第4絶縁膜48との間で広がる。この状態で銀ペースト71が加熱されて固化する。その結果、銀ペースト71が固化して光電変換装置21と配線基板22とが接合される。
この方法においても、第1電極51に塗布される銀ペースト71と第1電極51を囲んで塗布される銀ペースト71とは同一材料であり、同一工程で塗布されている。第1電極51に塗布されるペーストの材料と第1電極51を囲んで塗布されるペーストの材料が異なるときには第1電極51にペーストを塗布する工程と第1電極51を囲んでペーストを塗布する工程が別の工程となる。このときに比べて、本方法では1つの工程で第1電極51と第1電極51を囲んで銀ペースト71を塗布するので生産性良く光電変換モジュール13を製造することができる。
(第5の実施形態)
次に、光電変換モジュール13、光電変換モジュール74または光電変換モジュール81を搭載した電子機器の一実施形態について図21を用いて説明する。図21は、スマートフォンの構成を示す概略斜視図である。
図21に示すように、電子機器としてのスマートフォン88はケース89を備えている。スマートフォン88はケース89の内部に光電変換モジュール90、表示部91、操作ボタン92、音声信号出力ソケット93、2次電池94及び制御装置95等を備えている。光電変換モジュール90は受光した光54を電気に変換して発電する。光電変換モジュール90は発電した電力を2次電池94に供給する。2次電池94は光電変換モジュール90から電力を入力して蓄電する。そして、2次電池94は電力を表示部91及び制御装置95等に供給する。
制御装置95はアンテナを備え、携帯電話、無線LAN(Local Area Network)及びブルートゥース(登録商標)の電波を受信する。制御装置95は受信した電波に含まれる信号に画像信号や文字信号が含まれるとき、信号を表示部91に伝送する。また、制御装置95は受信した電波に含まれる信号に音声信号が含まれるとき、信号を音声信号出力ソケット93に出力する。
表示部91にはOLED(Organic Light Emitting Diode)または液晶表示装置が用いられている。表示部91は制御装置95から画像信号や文字信号を入力して表示する。表示部91には位置入力装置が配置されたタッチパネルになっている。操作者は表示部91及び操作ボタン92を操作して制御装置95に操作の指示を入力する。
音声信号出力ソケット93にイヤフォンのプラグが差し込まれる。制御装置95は音声信号出力ソケット93に音声信号を出力する。操作者はイヤフォンから音声を聞くことができる。
光電変換モジュール90には上記の光電変換モジュール13、光電変換モジュール74または光電変換モジュール81が用いられている。上記の光電変換モジュール13、光電変換モジュール74または光電変換モジュール81は薄いので、スマートフォン88が厚くなることを低減できる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第3封止部31及び第4封止部32の形状は円環状であった。第3封止部31及び第4封止部32の形状は多角形や楕円形の他複数の直線や曲線を組み合わせた形状でも良い。配線のレイアウトの自由度を高くすることができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、導通部52に銀ペースト71を用いた。導通部52には銅等の金属や炭素等の導電性物質を用いても良い。入手しやすい導電性物質を用いることで光電変換モジュール13を製造し易くなる。
(変形例3)
前記第5の実施形態では、光電変換モジュール13、光電変換モジュール74または光電変換モジュール81を備えた電子機器の例としてスマートフォン88を示した。他にも、例えば、携帯音楽プレーヤー、ヘッドマウントディスプレイ懐中電灯、携帯型の血圧計、ラジオ、電話、補聴器、等の各種電子機器に光電変換モジュール13、光電変換モジュール74または光電変換モジュール81を設置しても良い。このときにも電子機器が厚くなることを低減できる。
(変形例4)
前記第1の実施形態では、導通部52を第3封止部31や第4封止部32が囲む実装構造を用いた電子デバイスの例として光電変換モジュール13を示した。他にも、例えば、Si−OLED、DMD(Digital Micromirror Device)、インクジェットヘッド、ジャイロセンサー、圧力センサー、加速度センサー、流量センサー等の電子デバイスに導通部52を第3封止部31や第4封止部32が囲む実装構造を用いても良い。電子デバイスを薄くすることができる。
(変形例5)
前記第2の実施形態では、第5封止部77が2つの導通部52を囲んでいる。第5封止部77は3つ以上の導通部52を囲んでも良い。第5封止部77の個数を減らして封止部の形状を簡単な形状にすることができる。
(変形例6)
前記第3の実施形態では、導通部52を第1封止部84及び第2封止部85の2つの封止部で囲んでいる。導通部52を3つ以上の封止部で囲んでも良い。さらに、水分を第1電極51及び第2電極28に到達し難くすることができる。
以下に、実施形態から導きだされる内容を記載する。
光電変換モジュールは、受光面と、電極と、を有し、受光する光の光エネルギーを電気に変換する光電変換装置と、前記受光面の法線方向からの前記光電変換装置の平面視において前記電極と重なる配線と、前記配線が露出する開口及び前記開口を囲む溝を有する被覆層と、を有する配線基板と、前記開口に設けられ、前記電極と前記配線とを電気的に接続する導通部と、前記溝に設けられ、前記光電変換装置と前記配線基板とに接する封止部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、光電変換モジュールは光電変換装置及び配線基板を備えている。光電変換装置は受光面で受光する光を電気に変換する。配線基板は光電変換装置で生じた電気を伝送する基板である。そして、光電変換装置には電極が配置され、配線基板には配線が配置されている。受光面の法線方向からの光電変換装置の平面視において電極と配線とは一部が重なって配置されている。
配線基板には被覆層が配置されている。被覆層は配線が露出する開口及び開口を囲む溝を有する。電極と配線との間には導通部が配置されている。導通部は開口に設けられている。導通部は電極と配線とを電気的に接続する。光電変換装置が供給する電気は導通部を介して配線基板に流れる。
溝には封止部が設けられている。封止部は光電変換装置と配線基板とに接する。封止部は水分の侵入を防ぐので、電極が腐食されることを低減することができる。特許文献1のように保護層を配置する構造では、配線基板の厚み及び光電変換装置の厚みに保護層の厚みが加わるので光電変換モジュールが厚くなる。この構造に比べて、本光電変換モジュールは封止部が光電変換装置と配線基板との間に配置されるので、耐湿性を有し光電変換モジュールが厚くなることを低減することができる。
上記の光電変換モジュールでは、前記導通部及び前記封止部は、同一の材料であることが好ましい。
この構成によれば、導通部の材料及び封止部の材料は同じ材料である。従って、導通部と封止部とを同じ工程で配置することができる為、生産性良く光電変換モジュールを製造することができる。
上記の光電変換モジュールでは、前記電極は金のバンプを有し、前記導通部は銀を含むことが好ましい。
この構成によれば、電極は金のバンプを有している。金は金以外の金属との親和性が高い。このため、電極と導通部とが接合し難いときにも金のバンプを介することにより、電極と導通部とを確実に接合して電気的に接続することができる。そして、導通部は銀を含む。金と銀とが接合するとき接合面での抵抗が低い。従って、電極から導通部までの電圧降下を小さくすることができる。
上記の光電変換モジュールでは、前記開口は、第1開口及び第2開口を有し、前記溝は、前記第1開口及び前記第2開口を囲むことが好ましい。
この構成によれば、開口は、第1開口及び第2開口を有している。第1開口及び第2開口にはそれぞれ導通部が配置されている。そして、溝は、第1開口及び第2開口を囲む。溝には封止部は配置されている。
このとき、第1開口の導通部を1つの封止部が囲み、第2開口の導通部を1つの封止部が囲むときに比べて、封止部のパターンを簡単な形状にすることができる。封止部を印刷等の方法にて配置するとき、封止部のパターンが簡単な方が複雑な形状のときに比べて品質よく配置することができる。従って、封止部を品質良く配置することができる。
上記の光電変換モジュールでは、前記溝は、前記開口を囲む第1溝と、前記第1溝を囲む第2溝と、を有することが好ましい。
この構成によれば、溝は開口を囲む第1溝と、第1溝を囲む第2溝と、を有している。第1溝及び第2溝には封止部が配置されている。第1溝の封止部は電極及び配線を囲む。第2溝の封止部は第1溝の封止部を囲む。水分は第2溝の封止部及び第1溝の封止部を通過しないと電極及び配線に到達できない。従って、第2溝の封止部がないときに比べて、水分を電極及び配線に到達し難くすることができる。
電子時計は、時刻を計測する計時部と、時刻を表示する表示部と、前記計時部と前記表示部とに電力を供給する光電変換モジュールと、を備え、前記光電変換モジュールに上記に記載の光電変換モジュールが用いられていることを特徴とする。
この構成によれば、電子時計は計時部、表示部及び光電変換モジュールを備えている。計時部が時刻を計測する。表示部が時刻を表示する。そして、光電変換モジュールが計時部と表示部とに電力を供給する。従って、電子時計は受光して時刻を表示することができる。そして、光電変換モジュールに上記の光電変換モジュールが用いられている。上記の光電変換モジュールは薄いので、電子時計を薄くすることができる。
電子機器は、電力を供給する光電変換モジュールを備え、前記光電変換モジュールに上記に記載の光電変換モジュールが用いられていることを特徴とする。
この構成によれば、電子機器は光電変換モジュールを備えている。光電変換モジュールが電力を供給する。そして、光電変換モジュールに上記の光電変換モジュールが用いられている。上記の光電変換モジュールは薄いので、電子機器が厚くなることを低減できる。
光電変換モジュールの製造方法は、受光面と、電極と、を有する光電変換装置において、前記電極に銀ペーストを塗布し、前記電極を囲んで銀ペーストを塗布する工程と、配線と、前記配線が露出する開口及び前記開口を囲む溝を有する被覆層と、を有する配線基板において、前記電極に塗布された銀ペーストと前記開口から露出した前記配線とが接し、前記電極を囲んで塗布された銀ペーストと前記溝とが接するように前記光電変換装置と前記配線基板とを配置し、前記銀ペーストを前記光電変換装置と前記配線基板とで挟む工程と、前記銀ペーストを加熱し固化させて前記光電変換装置と前記配線基板とを接合する工程と、を備えることを特徴とする。
この方法によれば、光電変換装置に配置された電極上と電極を囲む場所とに銀ペーストを塗布する。そして、配線基板に配置された配線と光電変換装置の電極とを対向させて配置する。このとき、電極に塗布された銀ペーストと開口から露出した配線とが接する。さらに、電極を囲んで塗布された銀ペーストと溝とが接する。次に、銀ペーストを光電変換装置と配線基板とで挟む。そして、銀ペーストを加熱し固化して光電変換装置と配線基板とを接合している。
このとき、銀ペーストは電極と配線とに挟まれる。そして、銀ペーストを加熱し固化させている。銀ペーストは固化するときに収縮するので、固化した銀ペーストは導電性を有する。このため、電極と配線とは固化した銀ペーストにより電気的に接続される。
さらに、銀ペーストは電極を囲んで塗布される。そして、銀ペーストは固化される。固化した銀ペーストは電極の周囲で光電変換装置と配線基板とを接合するので、電極を封止する。
電極に塗布される銀ペーストと電極を囲んで塗布される銀ペーストとは同一材料であり、同一工程で塗布されている。電極に塗布されるペーストの材料と電極を囲んで塗布されるペーストの材料が異なるときには電極にペーストを塗布する工程と電極を囲んでペーストを塗布する工程が別の工程となる。このときに比べて、本方法では1つの工程で電極と電極を囲んで銀ペーストを塗布するので生産性良く光電変換モジュールを製造することができる。
光電変換モジュールの製造方法は、配線と、前記配線が露出する開口及び前記開口を囲む溝を有する被覆層と、を有する配線基板において、前記開口及び前記溝に銀ペーストを塗布する工程と、受光面と、電極と、を有する光電変換装置において、前記開口に塗布された銀ペーストと前記電極とが接するように前記配線基板と前記光電変換装置とを配置し、前記銀ペーストを前記光電変換装置と前記配線基板とで挟む工程と、前記銀ペーストを加熱し固化させて前記光電変換装置と前記配線基板とを接合する工程と、を備えることを特徴とする。
この方法によれば、配線基板は配線と被覆層とを有する。被覆層は配線が露出する開口及び開口を囲む溝を有する。そして、開口及び溝に銀ペーストを塗布する。光電変換装置は受光面と、電極と、を有する。そして、開口に塗布された銀ペーストと電極とが接するように配線基板と光電変換装置とを配置する。次に、銀ペーストを光電変換装置と配線基板とで挟む。そして、銀ペーストを加熱し固化させて光電変換装置と前記配線基板とを接合している。
このとき、銀ペーストは電極と配線とに挟まれる。そして、銀ペーストを加熱し固化させている。銀ペーストは固化するときに収縮するので、銀ペーストは導電性を有する。このため、電極と配線とは固化した銀ペーストにより電気的に接続される。
さらに、銀ペーストは配線を囲んだ溝に塗布される。そして、銀ペーストは固化される。固化した銀ペーストは電極及び配線の周囲で光電変換装置と配線基板とを接合するので、電極及び配線を封止する。
配線が露出する開口に塗布される銀ペーストと配線を囲んだ溝に塗布される銀ペーストとは同一材料であり、同一工程で塗布される。配線が露出する開口に塗布されるペーストの材料と配線を囲んだ溝に塗布されるペーストの材料が異なるときには配線が露出する開口にペーストを塗布する工程と配線を囲んだ溝にペーストを塗布する工程が別の工程となる。このときに比べて、本方法では1つの工程で配線が露出する開口と配線を囲んだ溝とに銀ペーストを塗布するので生産性良く光電変換モジュールを製造することができる。