以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電力変換回路の異常検出装置が適用される電動車両のパワーコントロールユニットを示すブロック図である。図1に示す本実施形態のパワーコントロールユニット1は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等の電動車両に搭載される。
本実施形態のパワーコントロールユニット1は、電動車両に搭載された高電圧バッテリHBの充放電に関する要素と、同じく電動車両に搭載された低電圧バッテリLBの充電に関する要素とを集約したものである。
そして、パワーコントロールユニット1は、外部機器等の接続ポートとして、高電圧バッテリポートHBP、低電圧バッテリポートLBP、信号ポートSP、電源ポートPP、急速充電ポートQP及び商用電源ポートCPを有している。
高電圧バッテリポートHBPには、メインリレー(M/R)3(コンタクタに相当)を介して高電圧バッテリHBが接続される。したがって、高電圧バッテリポートHBPと高電圧バッテリHBとは、メインリレー3のオンオフによって接続、遮断される。メインリレー3がオンされると、高電圧バッテリHBは高電圧バッテリポートHBPに、高電圧の電力(例えば、直流400V)を供給する。高電圧バッテリHBが供給する高電圧の電力は、電動車両の推進用モータMの駆動に用いられる。
なお、高電圧バッテリHBは、端子電圧を測定する不図示のセンサを有している。センサが測定した高電圧バッテリHBの端子電圧は、後述する電動車両の車両統合コントローラ(VCM)5に入力される。
低電圧バッテリポートLBPには、低電圧バッテリLBが接続される。低電圧バッテリLBは、電動車両の補機(車載の計器、ランプ等の電装品類)ACCに、動作用の低電圧の電力(例えば、直流12V)を供給する。
電動車両の補機ACCは、上述した車両統合コントローラ5と、後述するパワーコントロールユニット1のコントローラ27とを含んでいる。このため、車両統合コントローラ5及びコントローラ27は、低電圧バッテリLBから供給される低電圧の直流電力で動作する。
車両統合コントローラ5は、例えば、電動車両に複数搭載されたECU(Electronic Control Unit 又はEngine Control Unit )のうちの1つで構成することができる。このため、車両統合コントローラ5は、例えば、ECU同士の通信に用いる電動車両のLANを利用して、高電圧バッテリHBのセンサが接続された他のECUから、センサが測定した高電圧バッテリHBの端子電圧を取得することができる。
そして、車両統合コントローラ5は、取得した高電圧バッテリHBの端子電圧により、高電圧バッテリHBの充電状態(例えば、SOC:State of Charge )を検出する。さらに、車両統合コントローラ5は、検出した高電圧バッテリHBの充電状態に応じて、急速充電時のメインリレー3のオンオフを制御することができる。
また、車両統合コントローラ5は、不図示のセンサが検出した電動車両のアクセル操作量を取得する。車両統合コントローラ5は、例えば、アクセル操作量を検出する不図示のセンサが接続された他のECUから、電動車両のLANを介してアクセル操作量を取得することができる。そして、車両統合コントローラ5は、取得したアクセル操作量に応じて、推進用モータMに対するトルク指令値を決定することができる。
信号ポートSPには、車両統合コントローラ5が接続されている。車両統合コントローラ5は、決定したトルク指令値を信号ポートSPに出力する。
電源ポートPPには、車両統合コントローラ5の外部電源出力ポート(図示せず)接続されている。車両統合コントローラ5は、低電圧バッテリLBから供給された低電圧の電力(例えば、直流12V)から生成した電源電圧VCCを、電源ポートPPに出力する。
急速充電ポートQPには、急速充電器QCの充電ケーブル7のコネクタ9が接続される。充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、充電ケーブル7を介して急速充電器QCから急速充電ポートQPに、高電圧バッテリHBの急速充電用の直流電力(例えば、最大直流600V)が供給される。
また、充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、急速充電器QCの通信線がパワーコントロールユニット1内のLANに接続される。このLANには、上述したように、コントローラ27が接続されている。したがって、充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、急速充電器QCとコントローラ27とが通信可能に接続される。
商用電源ポートCPには、普通充電用の充電ケーブル11のコネクタ13が接続される。充電ケーブル11は、コネクタ13の反対側にプラグ15を有している。充電ケーブル11のプラグ15は、商用電源の普通充電用コンセント(図示せず)に接続される。商用電源に接続された充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、商用電源の交流電力(例えば、単相交流200V)が、充電ケーブル11を介して商用電源ポートCPに供給される。
また、充電ケーブル11は、コントロールボックス17を有している。コントロールボックス17には、充電ケーブル11の通信線が接続されている。充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、充電ケーブル11の通信線がパワーコントロールユニット1内のLANに接続される。したがって、充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、コントローラ27がコントロールボックス17と通信可能に接続される。
上述した外部機器等が接続されたパワーコントロールユニット1は、ジャンクションボックス(J/B)19、プラグイン用充電器CHG、DCDCコンバータ21、インバータユニット23、放電回路25及び上述したコントローラ27を内部に有している。
ジャンクションボックス19は、不図示のQCリレーを有している。QCリレーは、急速充電ポートQPと高電圧バッテリポートHBPとの接続をオンオフする。QCリレーのオンオフにより、急速充電ポートQPから入力される急速充電用の直流電力の、高電圧バッテリポートHBPから高電圧バッテリHBへの出力が、許容、禁止される。
プラグイン用充電器CHGは、コントローラ27から供給される電源電圧VCCによって動作する。プラグイン用充電器CHGは、商用電源ポートCPから入力される商用電源の交流電力を、高電圧バッテリHBの普通充電用の直流電力(例えば、最大直流400V)に変換する。そして、変換した直流電力を、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28を経て、高電圧バッテリポートHBPから高電圧バッテリHBに出力する。
プラグイン用充電器CHGには、例えば、商用電源の交流電力を直流に変換する整流回路(図示せず)と、整流した直流電力を昇圧するDCDCコンバータ(図示せず)とを用いることができる。整流回路は、例えば、ダイオードブリッジ回路で構成することができる。また、DCDCコンバータは、例えば、絶縁トランスとパワー半導体スイッチング素子とを有する絶縁型DCDCコンバータで構成することができる。
なお、プラグイン用充電器CHGのパワー半導体スイッチング素子には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いることができる。また、プラグイン用充電器CHGには、整流回路の前段(商用電源ポートCP側)にDCリンク用コンデンサ(図示せず)を設けることができる。
DCDCコンバータ21は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28上の高電圧の直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力(例えば、直流12V)に変換する。
即ち、DCDCコンバータ21は、高電圧バッテリポートHBPから入力される高電圧バッテリHBの直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換し、低電圧バッテリポートLBPから低電圧バッテリLBに出力する。また、DCDCコンバータ21は、プラグイン用充電器CHGが出力する高電圧バッテリHBの普通充電用の直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換し、低電圧バッテリポートLBPから低電圧バッテリLBに出力する。
DCDCコンバータ21には、例えば、非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータを用いることができる。非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータは、絶縁トランスの一次側にLLC回路を有しており、二次側に整流回路を有している。
この非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータでは、一次側のLLC回路におけるパワー半導体スイッチング素子のオンオフ動作により、高電圧バッテリHB又はプラグイン用充電器CHGからの直流電力の一部が交流に変換される。そして、トランスにおいて一次側コイルと二次側コイルとの巻数比に応じて降圧された交流電力が、整流回路で低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換される。
なお、DCDCコンバータ21のパワー半導体スイッチング素子にも、プラグイン用充電器CHGと同じく、例えば、IGBTを用いることができる。
インバータユニット23は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28に接続されている。インバータユニット23は、車両統合コントローラ5から電源ポートPPを介して供給される電源電圧VCCによって動作する。
インバータユニット23は、平滑コンデンサ29、パワーモジュール(PM)31(請求項中の電力変換回路、インバータ回路に相当)、モータコントローラ(MC)33、ドライブ回路(DR)35及び異常検出部37を有している。
平滑コンデンサ29は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28を流れる高電圧の直流電力の電流を平滑化する。
即ち、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28を流れる高電圧の直流電力には、スイッチングノイズが重畳される。このスイッチングノイズは、プラグイン用充電器CHG又はDCDCコンバータ21のパワー半導体スイッチング素子がオンオフ動作することで発生する。平滑コンデンサ29は、パワー半導体スイッチング素子のスイッチングノイズが重畳された高電圧の直流電力の電流を平滑化する。そして、平滑コンデンサ29は、平滑化した高電圧の直流電力を、DCDCコンバータ21に供給される一部を除いて、UVWの各相に分けてパワーモジュール31に出力する。
パワーモジュール31は、UVW各相の上アーム及び下アームにパワー半導体スイッチング素子(図示せず)をそれぞれ有する三相交流のインバータ回路である。パワーモジュール31では、各パワー半導体スイッチング素子のオンオフ動作により、平滑コンデンサ29で平滑化された高電圧バッテリHBの直流電力が三相交流電力に変換される。パワー半導体スイッチング素子には、例えば、IGBTを用いることができる。変換された三相交流電力は、推進用モータMのUVWの各相のコイルにそれぞれ供給される。
図2はパワーモジュール31の詳細な構成を示す回路図である。図2に示すように、インバータユニット23のパワーモジュール31は、推進用モータMの各相のコイル(図示せず)に対応する上アーム及び下アームのパワー半導体スイッチング素子を有している。本実施形態のパワーモジュール31は、パワー半導体スイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)Q1〜Q6(請求項中の半導体スイッチング素子に相当)を用いている。
各相の上アームのIGBTQ1〜Q3と下アームのIGBTQ4〜Q6とは、正極(P極)ライン31Pと負極(N極)ライン31Nとの間に推進用モータMへの出力線31U,31V,31Wを挟んで直列に接続されている。正極(P極)ライン31P及び負極(N極)ライン31Nには、メインリレー3、電力経路28の正極(P極)ライン28P及び負極(N極)ライン28N、平滑コンデンサ29を介して、高電圧バッテリHBからの高電圧の直流電力が供給される。
なお、図1のブロック図では、平滑コンデンサ29につながるパワーモジュール31の正極(P極)ライン31P及び負極(N極)ライン31Nを、UVWの3相に分けてそれぞれ記載している。しかし、図2の回路図では、UVWの各相の正極(P極)ライン31P及び負極(N極)ライン31Nを、模式的に1本の線でそれぞれ示している。
推進用モータMは、インバータユニット23のパワーモジュール31からUVWの各相のコイルに供給される交流電力によって回転する。推進用モータMが回転することで、電動車両が走行する。
モータコントローラ33は、パワーコントロールユニット1内のLANを介して、信号ポートSP及びコントローラ27に接続されている。モータコントローラ33には、信号ポートSPに接続された車両統合コントローラ5からのトルク指令値が入力される。モータコントローラ33は、入力されたトルク指令値に応じたデューティー比のパルス信号を、ドライブ回路35に出力する。
ドライブ回路35は、モータコントローラ33から入力されたパルス信号に基づいてゲート駆動信号(請求項中の制御信号に相当)を生成し、パワーモジュール31の各IGBTQ1〜Q6のゲートに出力する。このゲート駆動信号によりドライブ回路35は、パワーモジュール31の各IGBTQ1〜Q6をオンオフ動作させる。
ドライブ回路35からゲートに入力されるゲート駆動信号により、パワーモジュール31の各IGBTQ1〜Q6は、車両統合コントローラ5からのトルク指令値に応じたトルクを推進用モータMに出力させるパターンでオンオフ動作する。
図3はドライブ回路35の詳細な構成を模式的に示すブロック図である。図3に示すように、ドライブ回路35は、6つのスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WN(請求項中の駆動回路に相当)を有している。各スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNは、車両統合コントローラ5からインバータユニット23に供給される電源電圧VCC(例えば、直流12V)によって動作する。
スイッチング駆動回路35UP,35VP,35WPは、図2のパワーモジュール31の上アームのIGBTQ1〜Q3のゲートに、制御信号としてのゲート駆動信号を出力する。スイッチング駆動回路35UN,35VN,35WNは、図2のパワーモジュール31の下アームのIGBTQ4〜Q6のゲートに、制御信号としてのゲート駆動信号を出力する。
各スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNは、パワーモジュール31の対応するIGBTQ1,Q4,Q2,Q5,Q3,Q6を、ゲート駆動信号によりオンオフ動作させる。
なお、各スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNが対応するIGBTQ1,Q4,Q2,Q5,Q3,Q6に出力するゲート駆動信号は、位相のずれを除いて波形パターンが同じパルス信号である。したがって、各スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNがゲート駆動信号の出力のために消費する電力(電流)は、互いに同じである。
また、ドライブ回路35は、シャント抵抗39UP,39UN,39VP,39VN,39WP,39WNを有している。各シャント抵抗39UP,39UN,39VP,39VN,39WP,39WNは、各スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNに電源電圧VCCをそれぞれ供給する電源線に並列接続されている。
シャント抵抗39UP,39UNは、パワーモジュール31のU相のIGBTQ1,Q4に対応するスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNを測定するために使用される。同様に、シャント抵抗39VP,39VNは、パワーモジュール31のV相のIGBTQ2,Q5に対応するスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNを測定するために使用される。また、シャント抵抗39WP,39WNは、パワーモジュール31のW相のIGBTQ3,Q6に対応するスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNを測定するために使用される。
なお、インバータユニット23は、直流電力を三相以上の多相交流電力に変換するものであってもよい(その場合のインバータの構成の説明は省略する)。また、インバータユニット23の異常検出部37の構成については後述する。
放電回路25は、平滑コンデンサ29の残留電荷を放電させる回路で、例えば、放電抵抗41と不図示の放電スイッチとの直列回路を含む構成とすることができる。この直列回路は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28上の、インバータユニット23とジャンクションボックス19との間に設けられる。
放電抵抗41と放電スイッチとの直列回路は、電力経路28の正極(P極)ライン28Pと負極(N極)ライン28Nとの間に跨がって接続されている。不図示の放電スイッチは、通常はオフ(開放)されている。平滑コンデンサ29の残留電荷を放電回路25で放電させるときには、不図示の放電スイッチが、コントローラ27の制御によってオン(閉成)される。
コントローラ27は、低電圧バッテリLBから低電圧バッテリポートLBPを経て供給される低電圧の直流電力で動作する。コントローラ27は、信号ポートSP及びインバータユニット23のモータコントローラ33の他、DCDCコンバータ21及びプラグイン用充電器CHGにも、パワーコントロールユニット1内のLANを介して接続されている。
コントローラ27は、急速充電ポートQPに急速充電器QCの充電ケーブル7が接続されて急速充電器QCとの通信が確立すると、ジャンクションボックス19のQCリレーをオンさせる。これにより、急速充電ポートQPと高電圧バッテリポートHBPとが電力経路28を介して接続されて、高電圧バッテリHBの急速充電が可能な状態となる。
また、コントローラ27は、商用電源に接続された普通充電用の充電ケーブル11が商用電源ポートCPに接続されて、充電ケーブル11のコントロールボックス17から接続確認の信号を受信すると、ジャンクションボックス19のQCリレーをオフさせる。これにより、急速充電ポートQPが電力経路28から切り離されると共に、プラグイン用充電器CHGと高電圧バッテリポートHBPとが電力経路28を介して接続されて、高電圧バッテリHBの普通充電が可能な状態となる。
なお、高電圧バッテリHBの急速充電及び普通充電のどちらが可能な状態においても、高電圧バッテリHBの充電と並行して、DCDCコンバータ21により変換された低電圧の直流電力による低電圧バッテリLBの充電が可能となる。
また、インバータユニット23により三相交流電力に変換された高電圧バッテリHBの高電圧の直流電力で推進用モータMが動作される電動車両の走行時には、コントローラ27は、ジャンクションボックス19のQCリレーをオフさせる。そして、コントローラ27は、インバータユニット23の駆動等を開始させる。
さらに、コントローラ27は、高電圧バッテリHBの端子電圧に応じて、普通充電時の充電電流の目標値を決定し、プラグイン用充電器CHGに通知することができる。高電圧バッテリHBの端子電圧は、例えば、高電圧バッテリHBに設けた電圧センサの測定値を、車両統合コントローラ5から取得することができる。あるいは、高電圧バッテリHBの急速充電及び推進用モータMの回転が行われていないときに、パワーコントロールユニット1内に設けた電圧センサ(図示せず)で測定した高電圧バッテリポートHBPの電圧を、高電圧バッテリHBの端子電圧として取得してもよい。
また、コントローラ27は、取得した高電圧バッテリHBの端子電圧により、インバータユニット23の平滑コンデンサ29の端子間電圧(インバータのDC入力間電圧)を監視する。そして、監視したDC入力間電圧の高さに応じて、プラグイン用充電器CHGの動作を制御する。さらに、コントローラ27は、放電回路25の不図示の放電スイッチのオンオフによる平滑コンデンサ29の蓄積電荷の放電動作を制御する。
さらに、コントローラ27は、急速充電用又は普通充電用の充電ケーブル7,11の急速充電ポートQP又は商用電源ポートCPに対する接続を検出すると、その旨を、信号ポートSPに接続された車両統合コントローラ5に通知することができる。
なお、パワーコントロールユニット1内のLANは、例えば、CAN(Controller Area Network )等の通信プロトコルを用いる車載ネットワークによって構成することができる。
以上のように構成された本実施形態のパワーコントロールユニット1では、車両統合コントローラ5によりメインリレー3がオンされると、高電圧バッテリHBの高電圧の直流電力がメインリレー3を介して高電圧バッテリポートHBPに入力される。高電圧バッテリポートHBPに入力された高電圧の直流電力の一部はDCDCコンバータ21に供給され、残りは全てインバータユニット23に供給される。
DCDCコンバータ21に供給された高電圧の直流電力は、低電圧の直流電力に変換され、低電圧バッテリLBの充電用電力として低電圧バッテリポートLBPに出力される。インバータユニット23に供給された高電圧の直流電力は、インバータユニット23により三相交流電力に変換され、推進用モータMのUVWの各相のコイルにそれぞれ供給される。三相交流電力が供給された推進用モータMは、車両統合コントローラ5がアクセルの操作量に応じて決定したトルク指令値に応じた速度で回転される。
また、パワーコントロールユニット1では、電動車両の駐車中に、急速充電用の充電ケーブル7の急速充電ポートQPに対する接続をコントローラ27が検出すると、ジャンクションボックス19のQCリレーがコントローラ27によってオンされる。また、コントローラ27から通知された車両統合コントローラ5によりメインリレー3がオンされる。
QCリレーがONされると、急速充電器QCからの高電圧の直流電力が急速充電ポートQPに入力される。急速充電ポートQPに入力された高電圧の直流電力の一部はDCDCコンバータ21に供給され、残りは全て高電圧バッテリポートHBPに供給される。
DCDCコンバータ21に供給された高電圧の直流電力は、低電圧の直流電力に変換され、低電圧バッテリLBの充電用電力として低電圧バッテリポートLBPに出力される。高電圧バッテリポートHBPに供給された高電圧の直流電力は、高電圧バッテリHBの急速充電用の電力として、メインリレー3を介して高電圧バッテリHBに出力される。
さらに、パワーコントロールユニット1では、電動車両の駐車中に、商用電源に接続された普通充電用の充電ケーブル11の商用電源ポートCPに対する接続をコントローラ27が検出すると、商用電源の交流電力が商用電源ポートCPに入力される。商用電源ポートCPに入力された商用電源の交流電力は、プラグイン用充電器CHGで高電圧の直流電力に変換される。変換された高電圧の直流電力は高電圧バッテリポートHBPに供給される。高電圧バッテリポートHBPに供給された高電圧の直流電力は、高電圧バッテリHBの普通充電用の電力として、メインリレー3を介して高電圧バッテリHBに出力される。
ところで、パワーモジュール31のIGBTQ1〜Q6に異常が発生すると、高電圧バッテリHBの高電圧の直流電力をパワーモジュール31により交流に変換する動作に影響する可能性がある。そこで、本実施形態のパワーコントロールユニット1では、パワーモジュール31のIGBTQ1〜Q6に異常が発生したらそれを検出できる構成とした。本実施形態では、IGBTQ1〜Q6の異常検出を、インバータユニット23の異常検出部37を用いて実現する構成とした。
そこで、インバータユニット23の異常検出部37の構成について、図4を参照して説明する。
図4は異常検出部37の要部の構成を示すもので、(a)は相別の異常検出モジュール37Aの回路図、(b)はアーム別の異常検出モジュール37Bの回路図である。なお、図4(a),(b)では、IGBTQ1〜Q6の異常発生時に、対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの消費電流IUP,IUN,IVP,IVN,IWP,IWNが低下する場合の構成を説明する。
図4(a)に示すように、相別の異常検出モジュール37Aは、3つの比較器COMU,COMV,COMW(請求項中の比較部に相当)と、検出抵抗RU1,RV1,RW1と、電源電圧VCCが供給されるプルアップ抵抗R1とを有している。
相別の異常検出モジュール37Aでは、UVWの各相を異常検出対象の1単位としている。そして、比較器COMUにおいて、U相のスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNをV相のスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNと比較する。また、比較器COMVにおいて、V相のスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNをW相のスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNと比較する。さらに、比較器COMWにおいて、W相のスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNをU相のスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNと比較する。
そのために、比較器COMUの「+」側の入力端子には、U相消費電流IUに相当する電圧が入力される。U相消費電流IUは、パワーモジュール31のU相のIGBTQ1,Q4に対応するスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNを合計したものである。比較器COMUの「−」側の入力端子には、V相消費電流IVの0.9倍に相当する電圧が入力される。V相消費電流IVは、パワーモジュール31のV相のIGBTQ2,Q5に対応するスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNを合計したものである。
なお、図3のU相のスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNに相当する電圧は、U相の各シャント抵抗39UP,39UNの両端に現れる電位差によって取得することができる。V相のスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNに相当する電圧も、V相の各シャント抵抗39VP,39VNの両端に現れる電位差によって取得することができる。
V相消費電流IVの0.9倍に相当する電圧は、消費電流IVP,IVNに相当する電圧を足し合わせた電圧を、1:9の抵抗比の抵抗RV2,RG1で分圧することで取得することができる。
また、図4(a)に示すように、比較器COMVの「+」側の入力端子には、V相消費電流IVに相当する電圧が入力される。比較器COMUの「−」側の入力端子には、W相消費電流IWの0.9倍に相当する電圧が入力される。W相消費電流IWは、パワーモジュール31のW相のIGBTQ3,Q6に対応するスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNを合計したものである。
なお、図3のW相のスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNに相当する電圧は、W相の各シャント抵抗39WP,39WNの両端に現れる電位差によって取得することができる。W相消費電流IWの0.9倍に相当する電圧は、消費電流IWP,IWNに相当する電圧を足し合わせた電圧を、1:9の抵抗比の抵抗RW2,RG2で分圧することで取得することができる。
さらに、図4(a)に示すように、比較器COMWの「+」側の入力端子には、W相消費電流IWに相当する電圧が入力される。比較器COMWの「−」側の入力端子には、U相消費電流IUの0.9倍に相当する電圧が入力される。
U相消費電流IUの0.9倍に相当する電圧は、消費電流IUP,IUNに相当する電圧を足し合わせた電圧を、1:9の抵抗比の抵抗RU2,RG3で分圧することで取得することができる。
ここで、各比較器COMU,COMV,COMWの「−」側の入力端子に、V相消費電流IV、W相消費電流IW、U相消費電流IUにそれぞれ相当する電圧の0.9倍としたのは、IGBTQ1〜Q6が正常であるときの各消費電流の変動幅を考慮したためである。したがって、各比較器COMU,COMV,COMWの「−」側の入力端子にそれぞれ入力する電圧を、V相消費電流IV、W相消費電流IW、U相消費電流IUにそれぞれ相当する電圧の何倍にするかは、異常検出の精度によって任意に決定することができる。
なお、IGBTQ1〜Q6の異常発生時に、対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの消費電流IUP,IUN,IVP,IVN,IWP,IWNが増加する場合は、1よりも大きい倍数に決定してもよい。
そして、各比較器COMU,COMV,COMWの「−」側の入力端子にそれぞれ入力される電圧の値は、1以外の係数により重み付けされた他の異常検出対象の駆動回路の消費電力(消費電流)に相当する。
検出抵抗RU1,RV1,RW1の一端は、各比較器COMU,COMV,COMWの出力端子に直列に接続されている。検出抵抗RU1,RV1,RW1の他端は、プルアップ抵抗R1の接地側の端子に並列接続されている。各検出抵抗RU1,RV1,RW1は、それぞれ異なる抵抗値を有している。
上述した相別の異常検出モジュール37Aでは、U相のIGBTQ1,Q4に異常が発生すると、対応するスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNが低下する。そして、比較器COMUの「+」側の入力端子に入力されるU相消費電流IUに相当する電圧が、比較器COMUの「−」側の入力端子に入力されるV相消費電流IVの0.9倍に相当する電圧以下となって、比較器COMUの出力が反転する。
このため、異常検出モジュール37Aにおけるプルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1とによる電源電圧VCCの分圧比が、検出抵抗RU1について変化する。そして、プルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1との接続点S1に現れる電圧OUT1に、検出抵抗RU1の抵抗値に応じた変化が発生する。
同様に、V相のIGBTQ2,Q5に異常が発生すると、対応するスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVNが低下する。そして、比較器COMVの「+」側の入力端子に入力されるV相消費電流IVに相当する電圧が、比較器COMVの「−」側の入力端子に入力されるW相消費電流IWの0.9倍に相当する電圧以下となって、比較器COMVの出力が反転する。
このため、異常検出モジュール37Aにおけるプルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1とによる電源電圧VCCの分圧比が、検出抵抗RV1について変化する。そして、プルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1との接続点S1に現れる電圧OUT1に、検出抵抗RV1の抵抗値に応じた変化が発生する。
また、W相のIGBTQ3,Q6に異常が発生すると、対応するスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNが低下する。そして、比較器COMWの「+」側の入力端子に入力されるW相消費電流IWに相当する電圧が、比較器COMWの「−」側の入力端子に入力されるU相消費電流IUの0.9倍に相当する電圧以下となって、比較器COMWの出力が反転する。
このため、異常検出モジュール37Aにおけるプルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1とによる電源電圧VCCの分圧比が、検出抵抗RW1について変化する。そして、プルアップ抵抗R1と検出抵抗RU1,RV1,RW1との接続点S1に現れる電圧OUT1に、検出抵抗RW1の抵抗値に応じた変化が発生する。
なお、異常検出モジュール37Aの接続点S1に現れる電圧OUT1の値は、モータコントローラ33によって検出される。
図4(b)に示すように、アーム別の異常検出モジュール37Bは、2つの比較器COMP,COMN(請求項中の比較部に相当)と、検出抵抗RP1,RN1と、電源電圧VCCが供給されるプルアップ抵抗R2とを有している。
比較器COMPの「+」側の入力端子には、上アーム消費電流IPに相当する電圧が入力される。上アーム消費電流IPは、パワーモジュール31の上アームのIGBTQ1〜Q3に対応するスイッチング駆動回路35UP,35VP,35WPの消費電流IUP,IVP,IWPを合計したものである。比較器COMPの「−」側の入力端子には、下アーム消費電流INの0.9倍に相当する電圧が入力される。下アーム消費電流INは、パワーモジュール31の下アームのIGBTQ4〜Q6に対応するスイッチング駆動回路35UN,35VN,35WNの消費電流IUN,IVN,IWNを合計したものである。
なお、図3の上アームのスイッチング駆動回路35UP,35VP,35WPの消費電流IUP,IVP,IWPに相当する電圧は、上アームの各シャント抵抗39UP,39VP,39WPの両端に現れる電位差によって取得することができる。下アームのスイッチング駆動回路35UN,35VN,35WNの消費電流IUN,IVN,IWNに相当する電圧も、下アームの各シャント抵抗39UN,39VN,39WNの両端に現れる電位差によって取得することができる。
下アーム消費電流INの0.9倍に相当する電圧は、消費電流IUN,IVN,IWNに相当する電圧を足し合わせた電圧を、1:9の抵抗比の抵抗RN2,RG4で分圧することで取得することができる。
図4(b)に示すように、比較器COMNの「+」側の入力端子には、下アーム消費電流INに相当する電圧が入力される。比較器COMNの「−」側の入力端子には、上アーム消費電流IPの0.9倍に相当する電圧が入力される。
上アーム消費電流IPの0.9倍に相当する電圧は、消費電流IUP,IVP,IWPに相当する電圧を足し合わせた電圧を、1:9の抵抗比の抵抗RP2,RG5で分圧することで取得することができる。
ここで、各比較器COMP,COMNの「−」側の入力端子に、下アーム消費電流IN、上アーム消費電流IPにそれぞれ相当する電圧の0.9倍としたのは、IGBTQ1〜Q6が正常であるときの各消費電流の変動幅を考慮したためである。したがって、各比較器COMP,COMNの「−」側の入力端子にそれぞれ入力する電圧を、下アーム消費電流IN、上アーム消費電流IPにそれぞれ相当する電圧の何倍にするかは、異常検出の精度によって任意に決定することができる。
なお、IGBTQ1〜Q6の異常発生時に、対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの消費電流IUP,IUN,IVP,IVN,IWP,IWNが増加する場合は、1よりも大きい倍数に決定してもよい。
そして、各比較器COMP,COMNの「−」側の入力端子にそれぞれ入力される電圧の値は、1以外の係数により重み付けされた他の異常検出対象の駆動回路の消費電力(消費電流)に相当する。
検出抵抗RP1,RN1の一端は、各比較器COMP,COMNの出力端子に直列に接続されている。検出抵抗RP1,RN1の他端は、プルアップ抵抗R1の接地側の端子に並列接続されている。各検出抵抗RP1,RN1は、それぞれ異なる抵抗値を有している。
上述したアーム別の異常検出モジュール37Bでは、上アームのIGBTQ1〜Q3に異常が発生すると、対応するスイッチング駆動回路35UP,35VP,35WPの消費電流IUP,IVP,IWPが低下する。そして、比較器COMPの「+」側の入力端子に入力される上アーム消費電流IPに相当する電圧が、比較器COMPの「−」側の入力端子に入力される下アーム消費電流INの0.9倍に相当する電圧以下となって、比較器COMPの出力が反転する。
このため、異常検出モジュール37Bにおけるプルアップ抵抗R2と検出抵抗RP1,RN1とによる電源電圧VCCの分圧比が、検出抵抗RP1について変化する。そして、プルアップ抵抗R1と検出抵抗RP1,RN1との接続点S2に現れる電圧OUT2に、検出抵抗RP1の抵抗値に応じた変化が発生する。
同様に、下アームのIGBTQ4〜Q6に異常が発生すると、対応するスイッチング駆動回路35UN,35VN,35WNの消費電流IUN,IVN,IWNが低下する。そして、比較器COMNの「+」側の入力端子に入力される下アーム消費電流INに相当する電圧が、比較器COMNの「−」側の入力端子に入力される上アーム消費電流IPの0.9倍に相当する電圧以下となって、比較器COMNの出力が反転する。
このため、異常検出モジュール37Bにおけるプルアップ抵抗R2と検出抵抗RP1,RN1とによる電源電圧VCCの分圧比が、検出抵抗RP1について変化する。そして、プルアップ抵抗R2と検出抵抗RP1,RN1との接続点S2に現れる電圧OUT2に、検出抵抗RN1の抵抗値に応じた変化が発生する。
なお、異常検出モジュール37Bの接続点S2に現れる電圧OUT2の値は、モータコントローラ33によって検出される。
図3のモータコントローラ33は、図4(a),(b)の各異常検出モジュール37A,37Bの接続点S1,S2に現れる電圧OUT1,OUT2の値から、異常が発生したIGBTQ1〜Q6の有無の確認及び異常が発生したIGBTQ1〜Q6の特定を行う。
次に、モータコントローラ33がプログラムにしたがって実行するIGBTQ1〜Q6の異常検出に関する制御の手順の一例を、図5のフローチャートを参照して説明する。モータコントローラ33は、図5のフローチャートに示す手順を、周期的に繰り返し実行する。
まず、モータコントローラ33は、異常検出モジュール37A,37Bの接続点S1,S2に現れる電圧OUT1,OUT2の値から、パワーモジュール31のIGBTQ1〜Q6に異常が発生したか否かを確認する(ステップS1)。いずれかのIGBTQ1〜Q6に異常が発生した場合は(ステップS1でYES)、モータコントローラ33は、異常が発生したIGBTQ1〜Q6を特定する(ステップS3)。
パワーモジュール31のどの相のIGBTQ1〜Q6に異常が発生したかは、異常検出モジュール37Aの接続点S1に現れる電圧OUT1の値によって特定することができる。また、パワーモジュール31の上アーム及び下アームのどちらのIGBTQ1〜Q6に異常が発生したかは、異常検出モジュール37Bの接続点S2に現れる電圧OUT2の値によって特定することができる。これにより、モータコントローラ33は、どのIGBTQ1〜Q6に異常が発生したかを特定することができる。
そして、モータコントローラ33は、異常が発生したものと特定したIGBTQ1〜Q6に対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの駆動制限処理を行った後(ステップS5)、一連の処理を終了する。
駆動制限処理は、例えば、異常が発生したIGBTQ1〜Q6に対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNが出力するゲート駆動信号の、信号レベルを下げ、あるいは、デューティー比を下げる内容でもよい。また、信号レベルを0としたり、デューティー比を0%として、実質的にゲート駆動信号の出力を禁止する内容としてもよい。
また、ステップS1でIGBTQ1〜Q6に異常が発生していない場合(NO)は、モータコントローラ33は、駆動制限処理を実行中のスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの有無を確認する(ステップS7)。
駆動制限処理を実行中のスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNがある場合は(ステップS7でYES)、実行中の駆動制限処理を終了した後(ステップS9)、一連の処理を終了する。また、駆動制限処理を実行中のスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNがない場合は(ステップS7でNO)、一連の処理を終了する。
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図5のフローチャートにおけるステップS3が、請求項中の特定部に対応する処理となっている。また、本実施形態では、図5中のステップS5が、請求項中の禁止部及び制限部に対応する処理となっている。
このように、本実施形態では、インバータユニット23のIGBTQ1〜Q6のスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNを、UVWの相又はパワーモジュール31の上下のアームを異常検出対象の単位に分けた。そして、各異常検出対象の単位で、スイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの消費電流に相当する電圧を、異常検出部37の比較器COMN,COMP,COMU,COMV,COMWで比較した。そして、比較した結果から、異常なIGBTQ1〜Q6が存在する異常検出対象(相、アーム)をモータコントローラ33で特定するようにした。
このため、絶縁素子のような高価で寿命の長さに問題がある素子を使わず、消費電流の検出と比較のための安価で寿命の長い素子によって、異常が発生したIGBTQ1〜Q6を特定することができる。
なお、異常が発生したIGBTQ1〜Q6に対応するスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの駆動制限処理を行うための構成は、省略してもよい。また、異常が発生したIGBTQ1〜Q6の属するアームを特定する異常検出モジュール37Bを省略し、異常検出部37を、異常が発生したIGBTQ1〜Q6の属する相を特定する異常検出モジュール37Aのみで構成してもよい。
その場合、ドライブ回路35でスイッチング駆動回路35UP,35UN,35VP,35VN,35WP,35WNの消費電流を測定する構成を、図6のブロック図に別例として示す構成とすることができる。この構成では、U相のスイッチング駆動回路35UP,35UNの消費電流IUP,IUNを合計したU相消費電流IUを、1つのシャント抵抗39Uで測定することができる。また、V相のスイッチング駆動回路35VP,35VNの消費電流IVP,IVN、W相のスイッチング駆動回路35WP,35WNの消費電流IWP,IWNも、それぞれ1つのシャント抵抗39V,39Wでそれぞれ測定することができる。
このため、上アームと下アームのどちらのIGBTQ1〜Q6で異常が発生したかを特定できないものの、シャント抵抗39U,39V,39W及び電流検出回路の数を半分の3つに減らして、低コストでの異常検出を実現させることができる。
さらに、異常検出部37は、インバータユニット23の外に設けてもよい。また、異常検出部37の接続点S1,S2の電圧OUT1,OUT2の値から異常の発生したIGBTQ1〜Q6を特定する処理を、モータコントローラ33以外の例えばコントローラ27で行うように構成してもよい。
また、本実施形態では、電動車両の高電圧バッテリHBの直流電力を交流に変換して推進用モータMに出力するパワーモジュール31(インバータ回路)の、IGBTQ1〜Q6の異常を検出する場合について説明した。しかし、本発明は、電動車両以外で用いられるインバータ回路の半導体スイッチング素子の異常を検出する場合にも、適用可能である。
さらに、本実施形態では、電力変換回路がインバータ(パワーモジュール31)である場合について説明した。しかし、本発明は、例えばフルブリッジ回路を有するDCDCコンバータ等、インバータ回路以外の電力変換回路にも適用可能である。詳しくは、複数の駆動回路がそれぞれ出力する位相以外の要素の内容が少なくとも同じ制御信号で、各駆動回路にそれぞれ対応する各半導体スイッチング素子を駆動する電力変換回路にも、広く適用することができる。