JP2020155434A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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和海 犬伏
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Abstract

【課題】磁気抵抗効果が大きい磁気抵抗効果素子を提供する。【解決手段】本発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁化固定層としての第一の強磁性層と、磁化自由層としての第二の強磁性層と、第一の強磁性層と第二の強磁性層との間に設けられた非磁性スペーサ層と、を備え、非磁性スペーサ層は、一般式(1)で表されるCr合金を含み、それにより非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間の格子不整合は、非磁性スペーサ層がCrからなるときの格子不整合に比べて小さくなる。CrγX1−γ…(1)式中、Xは、Be、C、N、Al、Si、Ti、V、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素を表し、γは、0.5<γ<1である。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に関する。
非特許文献1には、強磁性層(CoMnSi)と非磁性スペーサ層(Cr)について、第一原理計算により伝導特性について開示さている。
PHYSICAL REVIEW B 84, 134432 (2011)
非特許文献1に記載の磁気抵抗効果素子では、強磁性層がホイスラー合金から成るため、当該強磁性層と、Crから成る非磁性金属体層(非磁性スペーサ層)との間の格子不整合が大きい。このように磁気抵抗層における強磁性層と非磁性金属体層(非磁性スペーサ層)との間の格子不整合が大きい磁気抵抗効果素子では、これらの層の結晶性を向上させることが難しいので、磁気抵抗効果を十分に向上させることは困難である。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、磁気抵抗効果が大きい磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁化固定層としての第一の強磁性層と、磁化自由層としての第二の強磁性層と、第一の強磁性層と第二の強磁性層との間に設けられた非磁性スペーサ層と、を備え、非磁性スペーサ層は、一般式(1)で表わされるCr合金を含み、それにより非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間の格子不整合は、非磁性スペーサ層がCrからなるときの格子不整合に比べて小さくなる、磁気抵抗効果素子。
Crγ1−γ …(1)
式中、Xは、Be、C、N、Al、Si、Ti、V、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素を表し、γは、0.5<γ<1である。
この磁気抵抗効果素子によれば、非磁性スペーサ層は、当該非磁性スペーサ層がCrからなるときに比べて当該非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間の格子不整合が小さくなるように、一般式(1)で表わされるCr合金を含む。そのため、この磁気抵抗効果素子によれば、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層の結晶性が向上するので、大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、非磁性スペーサ層は、Crからなる非磁性金属層と、当該非磁性金属層の下面に設けられる第一の非磁性挿入層及び当該非磁性金属層の上面に設けられる第二の非磁性挿入層の少なくとも一つとを有し、第一の非磁性挿入層または第二の非磁性挿入層が、一般式(1)で表されるCr合金を含んでもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、非磁性スペーサ層は、当該非磁性スペーサ層全体がCrからなるときに比べて、当該非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間の格子不整合が小さくなるように、一般式(1)で表わされるCr合金を含む第一の非磁性挿入層及び第二の非磁性挿入層の少なくとも一つとを有する。そのため、この磁気抵抗効果素子によれば、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層の結晶性が向上するので、大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、一般式(1)において、0.75<γ<1であってもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、非磁性スペーサ層は、当該非磁性スペーサ層がCrからなるときに比べて当該非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間の格子不整合をより小さくできる。そのため、この磁気抵抗効果素子によれば、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層の結晶性が向上するので、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、第一の強磁性層及び第二の強磁性層の少なくとも一つは、一般式(2)で表されるホイスラー合金を含んでもよい。
Coαβ…(2)
式中、Lは、Mn、Fe及びCrの少なくとも一以上の元素であり、Mは、Si、Al、Ga、Ge、及びSnからなる群より選択される一以上の元素を表し、0.7<α<1.6であり、0.65<β<1.35である。
この磁気抵抗効果素子によれば、0.7<α<1.6かつ0.65<β<1.35であるので、第一の強磁性層及び第二の強磁性層のホイスラー合金は、化学量論的組成を有する場合に近い格子定数を有する。その結果、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層との間の格子不整合をより低減できる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、一般式(1)において、Xは、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であってもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、一般式(1)におけるXが、イットリウム以上の原子番号を有する重金属元素であるため重く、動き難い。そのため、これら重金属元素を含んだ一般式(1)で表わされるCr合金は、第一の強磁性層及び第二の強磁性層を構成する元素が拡散してくるの阻害する。よって、第一の強磁性層及び第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層との間において、それらに含まれる元素の拡散が抑制される。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、一般式(1)において、Xは、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であってもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、第一の強磁性層及び第二の強磁性層に含まれる元素と、非磁性スペーサ層に含まれる元素とが、互いに、元素の周期表において同じ族及び/又は周期に属さない。そのため、第一の強磁性層及び第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層との間において、それらに含まれる元素の拡散が抑制される。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、一般式(2)において、2<α+β<2.6であってもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、第一の強磁性層及び第二の強磁性層に含まれるホイスラー合金が、ハーフメタル特性を維持し易くなる。
本発明に係る磁気抵抗効果素子では、第一の非磁性挿入層の厚さをt1としたとき、0.2nm<t1<10nmであり、第二の非磁性挿入層の厚さをt2としたとき、0.2nm<t2<10nmであってもよい。
この磁気抵抗効果素子によれば、t1<10nm及び/又はt2<10nmのときには、第一の強磁性層から第二の強磁性層に移動する電子においてスピン散乱がより減少する。また、0.2nm<t1及び/又は0.2nm<t2のときには、非磁性スペーサ層と、第一の強磁性層及び/又は第二の強磁性層との間において格子不整合がより低減する。その結果、磁気抵抗効果が特に大きくなる。
本発明によれば、磁気抵抗効果が大きい磁気抵抗効果素子を提供することができる。
実施形態に係る磁気抵抗効果素子1の断面を示す図である。 実施形態に係る磁気抵抗効果素子1aの断面を示す図である。 実施例に係る磁気抵抗デバイスを示す図である。 αと規格化MR比との関係を示す図である。 βと規格化MR比との関係を示す図である。 α+βと規格化MR比との関係を示す図である。 実施例に係る第一の非磁性挿入層の厚さt1又は第二の非磁性挿入層の厚さt2と、規格化MR比との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図1は、実施形態に係る磁気抵抗効果素子1の断面を示す図である。磁気抵抗効果素子1は、基板10、結晶配向層15、下地層20、磁気抵抗層30、及びキャップ層40をこの順に備える。磁気抵抗層30は、磁化自由層としての第一の強磁性層31、磁化固定層としての第二の強磁性層32、第一の強磁性層31と第二の強磁性層32との間に設けられた非磁性スペーサ層33、及び反強磁性体層34を有する。第二の強磁性層32は、非磁性スペーサ層33の上に設けられ、反強磁性体層34は、第二の強磁性層32の上に設けられる。磁気抵抗効果素子1は、例えば、スパッタ法、蒸着法といった製造方法によって基板10上に結晶配向層15からキャップ層40までの各層を積層することにより作製される。磁気抵抗効果素子1は、積層方向(各層の膜面に垂直な方向)に沿って検出用電流が流されるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子である。
この磁気抵抗効果素子1において、非磁性スペーサ層33は、当該非磁性スペーサ層33がCrからなるときに比べて当該非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合が小さくなるように、一般式(1)で表わされるCr合金を含む。そのため、この磁気抵抗効果素子1によれば、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33の結晶性が向上するので、大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
また、図2に示す通り、非磁性スペーサ層33は、Crからなる非磁性金属層35と、非磁性金属層35の下面に設けられる第一の非磁性挿入層36及び非磁性金属層35の上面に設けられる第二の非磁性挿入層37を有する構造とすることもできる。これにより、非磁性スペーサ層33は、非磁性スペーサ層33全体がCrからなるときに比べて、非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合が小さくなるように、一般式(1)で表わされるCr合金を含む第一の非磁性挿入層36及び第二の非磁性挿入層37の少なくとも一つとを有する。そのため、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33の結晶性が向上するので、大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
基板10は、例えば、金属酸化物単結晶、シリコン単結晶、熱酸化膜付シリコン単結晶、サファイア単結晶、セラミック、石英、及びガラスを含む。基板10に含まれる材料は、適度な機械的強度を有し、且つ熱処理や微細加工に適した材料であれば、特に限定されない。金属酸化物単結晶としては、例えば、MgO単結晶が挙げられ、MgO単結晶を含む基板によれば、容易にエピタキシャル成長膜が形成される。このエピタキシャル成長膜は、大きな磁気抵抗特性を示すことができる。
下地層20は、検出用電流を流すための電極となることができて、例えば、Ag、Au、Cu、Cr、V、Al、W、及びPtの少なくとも一つの金属元素を含む。下地層20は、これらの金属元素の合金、又はこれら金属元素の2種類以上からなる材料の積層体を含んでもよい。金属元素の合金には、例えば、立方晶系のAgZn合金、AgMg合金及びNiAl合金が含まれる。
また、下地層20と基板10との間に、上部の層の結晶配向を制御するための結晶配向層15が設けられてもよい。結晶配向層15は、例えば、Ag、Au、Cu、Cr、V、Al、W、及びPtの少なくとも一つの金属元素や、MgO、TiN及びNiTa合金、及び強磁性材料であるCoFe合金などの少なくとも一種類を含む。
非磁性スペーサ層33は、一般式(1)で表わされるCr合金を含む。
Crγ1−γ …(1)
この一般式(1)において、Xは、Be、C、N、Al、Si、Ti、V、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であり、γは、0.5<γ<1である。非磁性スペーサ層33の厚さは、例えば、1nm以上、10nm以下である。
また、非磁性スペーサ層33は、Crからなる非磁性金属層35と、非磁性金属層35の下面に設けられる第一の非磁性挿入層36及び非磁性金属層35の上面に設けられる第二の非磁性挿入層37を有する構造とすることもできる。この時、第一の非磁性挿入層36及び第二の非磁性挿入層37は一般式(1)で表されるCr合金を含む。この一般式(1)において、Xは、Be、C、N、Al、Si、Ti、V、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であり、γは、0.5<γ<1である。非磁性金属層35の厚さは、例えば、1nm以上、10nm以下である。
なお、上述の第一の非磁性挿入層36の厚さをt1としたとき、0.2nm<t1<10nmであり、第二の非磁性挿入層37の厚さをt2としたとき、0.2nm<t2<10nmであることが、以下のような理由に基づき好ましい。即ち、第一の非磁性挿入層36及び第二の非磁性挿入層37に含まれるCr合金は、純金属であるCrに比べてスピン拡散長が短い。そのため、t1<10nm及び/又はt2<10nmのときには、第一の強磁性層31と第二の強磁性層32との間を移動する電子が、その移動中に第一の非磁性挿入層36及び/又は第二の非磁性挿入層37においてスピン散乱されることを十分に抑制できるので、磁気抵抗効果が特に大きくなる。さらに、0.2nm<t1及び/又は0.2nm<t2のときには、第一の非磁性挿入層36及び第二の非磁性挿入層37の厚さが十分に大きくなるので、非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間における格子不整合を十分に低減させることができる。その結果、非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32とが高い結晶品質で積層されるので、磁気抵抗効果が特に大きくなる。
磁化自由層として機能する第一の強磁性層31は、軟磁性材料で構成され、磁化方向が実質的に固定されていない。そのため、測定対象に外部磁界が印加されると、その方向に磁化方向が容易に変化する。磁化固定層として機能する第二の強磁性層32の磁化方向は、外部磁界に対して第一の強磁性層31の磁化方向よりも変化し難い。好ましくは、第二の強磁性層32の磁化方向は、測定対象の外部磁界に対して実質的に固定されており、測定対象の外部磁界に対して実質的に変化しない。磁気抵抗層30に外部磁場が印加され、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の相対的な磁化方向が変化することによって、磁気抵抗層30の抵抗値が変化して磁気抵抗効果を発揮する。
反強磁性体層34は、第二の強磁性層32の非磁性スペーサ層33側とは反対側の面上に設けられている。反強磁性体層34は、第二の強磁性層32と交換結合し、第二の強磁性層32に一方向異方性を付与することによって、第二の強磁性層32の磁化の方向を実質的に固定させるために使用される。反強磁性体層34の材料としては、例えば、FeMn合金、PtMn合金、PtCrMn合金、NiMn合金、IrMn合金、NiO、Feが挙げられる。第一の強磁性層31の厚さは、1nm〜20nmであり、第二の強磁性層32の厚さは、1nm〜20nmである。反強磁性体層34の厚さは、5nm〜15nmである。第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32について、例えば、それらの層の厚さを変えるなどの手法によって、第二の強磁性層32の保磁力が、第一の強磁性層31の保磁力より大きく、かつ、第二の強磁性層32の磁化方向が測定対象の外部磁場に対して実質的に固定される程度の大きさを有するときは、必ずしも反強磁性体層34は設けられなくてもよい。
磁気抵抗層30では、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の一方が磁化自由層であり、他方が磁化固定層であればよいため、第一の強磁性層31が磁化固定層であり、第二の強磁性層32が、磁化自由層であってもよい。この場合、反強磁性体層34は、第一の強磁性層31の非磁性スペーサ層33側とは反対側の面上に設けられる。
第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の少なくとも一つは、一般式(2)で表されるホイスラー合金を含むことができ、好ましくは実質的に当該ホイスラー合金からなる。
Coαβ …(2)
一般式(2)において、Lは、Mn、Fe及びCrの少なくとも一以上の元素であり、Mは、Si、Al、Ga、Ge、及びSnからなる群より選択される一以上の元素である。また、0.7<α<1.6であり、0.65<β<1.35である。
一般式(2)で表されるホイスラー合金は、高いスピン分極率を有するので、磁気抵抗効果素子1(1a)が大きな磁気抵抗効果を発揮できて好ましい。また、0.7<α<1.6かつ0.65<β<1.35という条件が満たされるため、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32のホイスラー合金は、化学量論的組成を有する場合に近い格子定数を有する。そのため、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33との間の格子不整合が小さくなるという後述の効果が特に顕著となる。ただし、当該ホイスラー合金においては、0.7<α<1.6かつ0.65<β<1.35という条件が満たされなくてもよい。
当該ホイスラー合金の結晶構造は、A2構造、B2構造、又はL2構造を有することができる。B2構造のホイスラー合金は、A2構造のホイスラー合金よりも高いスピン分極率を有するので好ましく、L2構造のホイスラー合金は、B2構造のホイスラー合金よりも高いスピン分極率を有するので更に好ましい。
表1は、一般式(2)を満たすいくつかのホイスラー合金、Fe及びCoのスピン分極率Pの文献値を示す表である。一般式(2)を満たすホイスラー合金のスピン分極率Pは、Feのスピン分極率46%及びCoのスピン分極率45%よりも大きいことが示される。
Figure 2020155434
第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32は、CoVAl、CoCrIn、CoCrSn等のホイスラー合金又は、Fe、CrO、CoFeB等の強磁性材料を含むことができ、又は実質的に当該強磁性材料から成ることができる。
キャップ層40は、磁気抵抗層30を保護するために設けられる。キャップ層40は、例えば、Ru、Ag、Al、Cu、Au、Cr、Mo、Pt、W、Ta、Pd、及びIrの一以上の金属元素、これら金属元素の合金、又は、これら金属元素の2種類以上からなる材料の積層体を含んでよい。
磁気抵抗効果素子1(1a)の作製工程では、必要に応じて、熱処理が行われる。また、必要に応じて、磁場印加処理が行われ、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32に対して一軸磁気異方性といった磁気異方性が付与される。磁場印加処理は、熱処理と共に行われてもよい。
上述のような本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)では、非磁性スペーサ層33は、一般式(1)で表わされるCr合金を含み、それにより非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合は、非磁性スペーサ層33がCrからなると想定した場合の格子不整合に比べて小さい。例えば、一般式(1)を満たすCrγZn1−γからなる非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合は、Crからなると想定された非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の想定される格子不整合に比べて小さい。そのため、本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)によれば、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33との結晶性が向上するので、大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。
上述の本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)において、非磁性スペーサ層33に含まれるCr合金では、0.75<γ<1であってもよい。これにより、非磁性スペーサ層33は、非磁性スペーサ層33がCrからなるときに比べて非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合をより小さくできる。そのため、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33の結晶性が向上するので、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮することができる。ただし、非磁性スペーサ層33のCr合金においては、0.75<γ<1が満たされなくてもよい。
また、上述の本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)において、非磁性スペーサ層33に含まれるCr合金では、γ≦0.98であることが好ましく、γ≦0.96であることがより好ましい。さらには、γ≦0.94であることが好ましく、γ≦0.90であることがより好ましい。Cr合金においてγがこれらの値を有することにより、非磁性スペーサ層33に含まれるCrの割合が低減される。Crの割合が低減された非磁性スペーサ層33は、Crからなる非磁性スペーサ層33に比べて、非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間の格子不整合を特に小さくできる。
上述の本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)では、一般式(1)において、Xは、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であってもよい。この場合、一般式(1)におけるXが、イットリウム以上の原子番号を有する重金属元素であるため重く、動き難い。そのため、これら重金属元素を含んだ一般式(1)で表わされるCr合金は、第一の強磁性層及び第二の強磁性層を構成する元素が拡散してくるの阻害する。よって、第一の強磁性層及び第二の強磁性層と、非磁性スペーサ層との間において、それらに含まれる元素の拡散が抑制される。この拡散の抑制は、磁気抵抗効果を増大させる。
上述の本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)では、一般式(1)において、Xは、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素であってよい。この場合、元素の周期表において、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32に含まれる元素が属する周期と、非磁性スペーサ層33に含まれる元素が属する周期とが、互いに、2周期以上ずれている。そのため、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33との間において、それらに含まれる元素の拡散が更に抑制される。この拡散の抑制は、磁気抵抗効果をさらに増大させる。
一般式(2)において、2<α+β<2.6であってよい。一般式(2)で表されるホイスラー合金では、CoがL、Mサイトに置換されるとスピン分極率が低下するが、L、Mサイトの元素がCoサイトに置換された場合は、スピン分極率への影響は少ないことが理論的に示されている。そのため、2<α+βであれば、CoがL、Mサイトに置換されることが抑制されるので、元素置換に起因するスピン分極率の低下が抑制される。一方、2.6≦α+βのときには、ホイスラー合金の磁化量が低下する。そのため、当該ホイスラー合金において、2<α+β<2.6の条件が満たされると、ハーフメタル特性が維持され易くなって、より大きな磁気抵抗効果が得られる。ただし、当該ホイスラー合金においては、2<α+β<2.6の条件が満たされなくてもよい。
表2〜表4は、磁気抵抗効果素子の格子不整合の例を示すための表である。具体的には、表2は、本実施形態の非磁性スペーサ層33、又は第一の非磁性挿入層36及び第二の非磁性挿入層37を構成し得る材料の例(第1例〜第17例)及びCr(第18例)の格子定数の文献値を示す表である。表3は、本実施形態の第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32を構成し得る材料の例(合金A〜合金J)と、それらの材料の格子定数の文献値を示す表である。
表4は、表2に示す第1例〜第18例のそれぞれに対する、表3に示す合金A〜合金Jのそれぞれの格子不整合率を示す表である。表4における格子不整合率は、百分率で示され、下記の式(3)又は式(4)によって求められる。第1例〜第18例のそれぞれの(001)面の[110]方向と、合金A〜合金Jのそれぞれの(001)面の[100]方向とが格子整合する場合は式(3)により格子不整合率が求められる。第1例〜第18例のそれぞれの(001)面の[100]方向と、合金A〜合金Jのそれぞれの(001)面の[100]方向とが格子整合する場合は式(4)により格子不整合率が求められる。また、式(3)又は式(4)において、aは、表2に示す第1例〜第18例の格子定数、bは、表3に示す合金A〜合金Jの格子定数を示す。また、√2は、2の平方根を意味する。
格子不整合率(%)=((a×√2−b)/b)×100(%) …(3)
格子不整合率(%)=((2×a−b)/b)×100(%) …(4)
Figure 2020155434
Figure 2020155434
Figure 2020155434
表4には、第1例〜第17例の評価結果も示されている。表4では、第1例〜第17例のうち、合金A〜合金Jの6つ以上に対して、第18例における格子不整合率よりも小さい格子不整合率を示す例について、「極めて良好」を意味する「AA」と評価している。また、第1例〜第17例のうち、合金A〜合金Jの3つ以上に対して、第18例における格子不整合率よりも小さい格子不整合率を示す例について、「非常に良好」を意味する「A」と評価している。さらに、第1例〜第17例のうち、合金A〜合金Jの1つ以上2つ以下において、第18例における格子不整合率よりも小さい格子不整合率を示す例について、「良好」を意味する「B」と評価している。
表4に示すように、Cr合金(Crγ1−γ)のγが0.5≦γ<1であるときの例(第1例〜第17例)では、「AA」が4つ、「A」が9つ、「B」が4つと評価されている。また、γが0.5<γ<1であるときの例(第1例、第4例〜第5例、第8例〜第10例、第12例〜第13例、及び第15例〜第16例)では、「AA」が3つ、「A」が6つ、「B」が1つと評価されている。また、γが0.75<γ<1であるときの例(第1例、第5例、第8例〜第10例、第12例〜第13例、及び第15例〜第16例)では、「AA」が3つ、「A」が5つと評価されている。評価Bの例の材料を本実施形態の非磁性スペーサ層33、及び第一の非磁性挿入層36、第二の非磁性挿入層37として用いれば、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33の結晶性が向上し、大きな磁気抵抗効果を発揮すると考えられ、評価Aの例の材料を本実施形態の非磁性スペーサ層33、及び第一の非磁性挿入層36、第二の非磁性挿入層37として用いれば、当該結晶性がさらに向上し、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮すると考えられ、評価AAの例の材料を本実施形態の非磁性スペーサ層33、及び第一の非磁性挿入層36、第二の非磁性挿入層37として用いれば、当該結晶性がさらに向上し、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮すると考えられる。
また、表4に示す評価結果に加え、本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)では、一般式(1)において、Xは、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素とすることにより、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32に含まれる元素と、非磁性スペーサ層33に含まれる元素とが、互いに、元素の周期表において同じ族及び/又は周期に属さない。そして、一般式(1)におけるXが、イットリウム以上の原子番号を有する重金属元素であるため重く動き難く、これら重金属元素を含んだ一般式(1)で表わされるCr合金は、第一の強磁性層及び第二の強磁性層を構成する元素が拡散してくるの阻害する。そのため、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33との間において、それらに含まれる元素の拡散が抑制される。この拡散の抑制は、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮すると考えられる。
また、表4に示す評価結果に加え、本実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)では、一般式(1)において、Xは、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素とすることにより、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32に含まれる元素が属する周期と、非磁性スペーサ層33に含まれる元素が属する周期とが、互いに、2周期以上離れる。そのため、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32と、非磁性スペーサ層33との間において、それらに含まれる元素の拡散が更に抑制される。この拡散の抑制は、さらに大きな磁気抵抗効果を発揮すると考えられる。
以下、本発明の実施例および比較例により、さらに磁気抵抗効果素子について説明するが、本発明は下記例に制限されない。
表5は、後述のように作成した実施例1〜26及び比較例1に係る磁気抵抗効果素子における非磁性スペーサ層のCr合金、第一の強磁性層及び第二の強磁性層のホイスラー合金(Coαβ)における、α、β、α+βの値、及び規格化MR比をまとめて示す表である。
表6は、後述のように作成した実施例27〜36及び比較例1に係る磁気抵抗効果素子における非磁性スペーサ層の非磁性金属層、第一の非磁性挿入層及び第二の非磁性挿入層のCr合金、第一の非磁性挿入層の厚さt1、第二の非磁性挿入層の厚さt2、第一の強磁性層及び第二の強磁性層のホイスラー合金(Coαβ)、及び規格化MR比をまとめて示す表である。
磁気抵抗効果素子における磁気抵抗比(MR比)は、測定された磁気抵抗の大きさから見積もられる。MR比は、百分率で示され、下記の式(5)によって求められる。
MR比(%)=((RAP−R)/R)×100(%) …(5)
この式(5)において、RAPは、第一の強磁性層の磁化の向きと第二の強磁性層の磁化の向きとが反平行であるときの磁気抵抗効果素子の抵抗の大きさである。また、Rは、第一の強磁性層の磁化の向きと第二の強磁性層の磁化の向きとが平行であるときの磁気抵抗効果素子の抵抗の大きさである。
表5及び表6において、上述の定義に従って測定した各実施例及び比較例1のMR比から求めた、各実施例及び比較例1の規格化MR比を示している。規格化MR比とは、各実施例及び比較例1におけるMR比を、比較例1におけるMR比で割ることによって算出した値を意味する。
図3は、磁気抵抗効果素子のMR比を評価可能な、磁気抵抗デバイスを示す図である。磁気抵抗デバイス50は、第1電極層51と、当該第1電極層51と共に磁気抵抗効果素子1(1a)を挟む第2電極層52とを備える。磁気抵抗効果素子1(1a)は、磁気抵抗特性の測定に適する形状に微細加工されている。第1電極層51が磁気抵抗効果素子1(1a)の基板10上に積層された下地層20に接続され、第2電極層52が磁気抵抗効果素子1(1a)のキャップ層40に接続されている。磁気抵抗デバイスは、電源53と電圧計54とを更に備え、電源53及び電圧計54が、共に、第1電極層51及び第2電極層52に接続されている。電源53によって磁気抵抗効果素子1(1a)に積層方向に電流を印加し、この際の磁気抵抗効果素子1(1a)への印加電圧を電圧計54によってモニターすることができる。磁気抵抗効果素子1(1a)に積層方向に一定電流を流した状態で、外部から磁気抵抗効果素子1(1a)に磁場を掃引しながら磁気抵抗効果素子1(1a)への印加電圧を電圧計54によってモニターすることにより、磁気抵抗効果素子1(1a)の抵抗変化を測定することができる。そして、この抵抗変化の測定結果から、磁気抵抗効果素子1(1a)のMR比を算出することができる。このような磁気抵抗デバイス50によって、後述のように作成した実施例1〜36及び比較例1のMR比の測定を行った。
[実施例1]
実施例1の磁気抵抗効果素子を以下のように作成した。非磁性スペーサ層33の材料にCr合金であるCr0.6Zn0.4を用い、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の材料に共にFeを用いて上記実施形態の磁気抵抗効果素子1に対応する磁気抵抗効果素子を作製した。非磁性スペーサ層33の厚さは、5nmとした。第一の強磁性層31の厚さは、3nmとし、第二の強磁性層32の厚さは、3nmとした。基板10にはMgO単結晶を用い、下地層20にはAgを用い、厚さは100nmとした。また、結晶配向層15にはCrを用い、厚さは20nmとした。反強磁性体層34にはIrMnを用い、厚さは10nmとした。キャップ層40にはRuを用い、厚さを5nmとした。基板上の各層の作製は、スパッタ法により行った。この磁気抵抗効果素子の形成後に磁場中熱処理を行い、磁気抵抗効果素子1の膜面内方向に一軸磁気異方性を付与した。この磁場中熱処理における熱処理温度を300℃とし、印加磁場の強度を5kOeとした。
[実施例2〜26]
表5に示すように、実施例1に対して、非磁性スペーサ層33の材料、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の材料を変更した上で、実施例1と同様の作製及び見積もり手順によって、磁気抵抗効果素子の作製及びMR比の見積もりを行った。第一の強磁性層及び第二の強磁性層の材料は同一とした。
[実施例27〜36]
実施例27〜36の磁気抵抗効果素子を以下のように作成した。非磁性スペーサ層33は、Crからなる非磁性金属層35と、Cr0.95Ta0.05からなる非磁性挿入層36及び非磁性挿入層37を用いた構成とした。また、第一の非磁性挿入層36の厚さ(t1)と第二の非磁性挿入層37の厚さ(t2)を同じとし、0.1nm〜15nmまで変えて作製した。第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の材料は、共にCoMn1.3Sn0.95を用いて上記実施形態の磁気抵抗効果素子1aに対応する磁気抵抗効果素子を作製した。非磁性金属層35の厚さは、5nmとした。第一の強磁性層31の厚さは、3nmとし、第二の強磁性層32の厚さは、3nmとした。基板にはMgO単結晶を用い、下地層20にはAgを用い、厚さは100nmとした。また、結晶配向層15にはCrを用い、厚さは20nmとした。反強磁性体層34にはIrMnを用い、厚さは10nmとした。キャップ層40にはRuを用い、厚さを5nmとした。基板上の各層の作製は、スパッタ法により行った。この磁気抵抗効果素子の形成後に磁場中熱処理を行い、磁気抵抗効果素子1aに一軸磁気異方性を付与した。この磁場中熱処理における熱処理温度を300℃とし、印加磁場の強度を5kOeとした。
[比較例1]
表5、表6に示すように、非磁性スペーサ層の材料にCrを用い、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32の材料に共にFeを用いた以外は、実施例1と同様の作製及び見積もり手順によって、磁気抵抗効果素子の作製及びMR比の見積もりを行った。
Figure 2020155434
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図4は、実施例6〜実施例16におけるαと規格化MR比との関係を示す図である。実施例6〜実施例16では、βを0.95に固定し、αを0.4〜1.7の間で変化させている。図4では、0.7<α<1.6であるときの規格化MR比が破線で囲まれている。
図5は、実施例17〜実施例26におけるβと規格化MR比との関係を示す図である。実施例17〜実施例26では、αを1.3に固定し、βを0.55〜1.45の間で変化させている。図5では、0.65<β<1.35であるときの規格化MR比が破線で囲まれている。
図6は、実施例6〜実施例16と実施例17〜実施例26とにおけるα+βと規格化MR比との関係を示す図である。実施例6〜実施例16では、α+βを1.35〜2.65の間で変化させており、実施例17〜実施例26では、α+βを1.85〜2.75の間で変化させている。図6では、2<α+β<2.6であるときの規格化MR比が破線で囲まれている。
図4〜図6に示されるように、全ての実施例に係る磁気抵抗効果素子は、比較例に係る磁気抵抗効果素子より大きな規格化MR比を有している。
また、図4及び図5に示されるように、0.7<α<1.6かつ0.65<β<1.35であるとき、実施例に係る磁気抵抗効果素子は、より大きな規格化MR比を有しており、具体的には、実施例に係る磁気抵抗効果素子の規格化MR比は5を超えている。これは、第一の強磁性層31及び第二の強磁性層32のホイスラー合金は、0.7<α<1.6かつ0.65<β<1.35であるとき、化学量論的組成に近い格子定数を有し、非磁性スペーサ層33に含まれるCr合金(Crγ1−γ、0.75<γ<1)との格子不整合が特に小さくなることを示している。このような場合の磁気抵抗効果素子は、良質な第一の強磁性層31、非磁性スペーサ層33及び第二の強磁性層32を備え、大きな磁気抵抗効果を発揮する。
また、図6に示されるように、2<α+β<2.6であるとき、実施例に係る磁気抵抗効果素子は6を超える規格化MR比を有することができる。この大きな規格化MR比は、ホイスラー合金は、2<α+β<2.6であるとき、ハーフメタル特性を有し易くなり、このハーフメタル特性を有するホイスラー合金が、大きな磁気抵抗効果を示した結果である。
図7は、実施例27〜実施例36における第一の非磁性挿入層36の厚さt1又は第二の非磁性挿入層37の厚さt2と規格化MR比との関係を示す図である。実施例27〜実施例36では、t1とt2とが互いに等しく、t1(t2)を0.1nm〜15nmの間で変化させている。図7では、0.2nm<t1(t2)<10nmであるときの規格化MR比が破線で囲まれている。
図7に示されるように、0.2nm<t1(t2)<10nmであるとき、実施例に係る磁気抵抗効果素子1aは8を超える規格化MR比を有することができる。この大きな規格化MR比は、非磁性スペーサ層33と、第一の強磁性層31及び/又は第二の強磁性層32との間において格子不整合が低減し、また、第一の強磁性層31から第二の強磁性層32に移動する電子においてスピン散乱が減少した結果である。
以上、実施形態及び実施例によって本発明を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、上記実施形態の磁気抵抗効果素子1(1a)は、CPP構造ではなく、積層面方向に沿って検出用電流が流されるCIP(Current In Plane)構造を有することができる。
また、本実施形態を満たす磁気抵抗効果素子によれば、高いMR比を得ることができ、上記の磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッド、センサ、高周波フィルタ又は発振素子は、磁気抵抗効果が大きいため、これに起因する優れた特性を発揮することができる。
1(1a)…磁気抵抗効果素子、10…基板、20…下地層、30…磁気抵抗層、31…第一の強磁性層、32…第二の強磁性層、33…非磁性スペーサ層、34…反強磁性体層、35…非磁性金属層、36…第一の非磁性挿入層、37…第二の非磁性挿入層、40…キャップ層。

Claims (8)

  1. 磁化固定層としての第一の強磁性層と、
    磁化自由層としての第二の強磁性層と、
    前記第一の強磁性層と前記第二の強磁性層との間に設けられた非磁性スペーサ層と、
    を備え、
    前記非磁性スペーサ層は、一般式(1)で表されるCr合金を含み、それにより前記非磁性スペーサ層と、前記第一の強磁性層及び/又は前記第二の強磁性層との間の格子不整合は、前記非磁性スペーサ層がCrからなるときの格子不整合に比べて小さくなる、磁気抵抗効果素子。
    Crγ1−γ …(1)
    [式中、Xは、Be、C、N、Al、Si、Ti、V、Zn、Ge、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素を表し、γは、0.5<γ<1である。]
  2. 前記非磁性スペーサ層は、
    Crからなる非磁性金属層と、当該非磁性金属層の下面に設けられる第一の非磁性挿入層及び当該非磁性金属層の上面に設けられる第二の非磁性挿入層の少なくとも一つとを有し、前記第一の非磁性挿入層または前記第二の非磁性挿入層が、一般式(1)で表されるCr合金を含むことを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記一般式(1)において、0.75<γ<1である、請求項1から2のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第一の強磁性層及び前記第二の強磁性層の少なくとも一つは、一般式(2)で表されるホイスラー合金を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
    Coαβ…(2)
    [式中、Lは、Mn、Fe及びCrの少なくとも一以上の元素であり、Mは、Si、Al、Ga、Ge、及びSnからなる群より選択される一以上の元素を表し、0.7<α<1.6であり、0.65<β<1.35である。]
  5. 前記一般式(1)において、前記Xは、Nb、Mo、Ru、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素である請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記一般式(1)において、Xは、Ta、W、Re、Os、Ptからなる群より選択される一の元素である請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記一般式(2)において、2<α+β<2.6である請求項4から6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第一の非磁性挿入層の厚さをt1としたとき、0.2nm<t1<10nmであり、前記第二の非磁性挿入層の厚さをt2としたとき、0.2nm<t2<10nmである、請求項2から7のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
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