以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して表すなど適宜縮尺を変更して表現している。図1は、採寸システム1の概略構成を示す図である。図2は、撮像装置10の一例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、採寸システム1は、撮像装置10と、物品支持部20と、採寸処理装置30(物品寸法情報処理装置)と、を備える。採寸システム1は、例えば、衣類Wを販売する販売者側で用いられる。本実施形態において、撮像装置10で撮像した衣類(物品)の採寸を、採寸処理装置30で行う。
撮像装置10は、例えば、手動又は自動で視野を変更可能なカメラでもよいし、携帯可能な情報端末(例、スマートフォン、タブレット、カメラ付き携帯電話)でもよい。撮像装置10は、後述する物品支持部20の物品支持面(表面)22に対向して配置される。撮像装置10は、三脚19、机、テーブル等の支持具上で支持しても良いし、作業者が手持ちで保持してもよい。図2に示すように、撮像装置10は、例えば、撮像部11と、操作入力部12と、制御部13と、データ記憶部14と、画像データ出力部15と、本体部16(図1参照)と、を少なくとも備える。
撮像部11は、結像光学系(図示無し)及び撮像素子(図示無し)を備える。結像光学系(図示無し)は、視野内の像を形成する。図1に示すように、撮像部11の結像光学系(図示無し)は、例えば鏡筒内に保持され、鏡筒とともに本体部16に取り付けられる。結像光学系及び鏡筒は、例えば交換レンズであり、本体部16から取り外し可能である。結像光学系(図示無し)及び鏡筒は、内蔵レンズでもよく、例えば鏡筒は、本体部16の一部でもよいし、本体部16から取り外し不能でもよい。なお、結像光学系(図示無し)の光軸は、撮像部11の撮像光軸AXである。図1において、撮像光軸AXは、水平方向に向けて設定されているが、水平方向以外であってもよい。また、図1に示すように、物品支持面22の法線Hに対して、撮像部11の撮像光軸AXは角度θ1に傾斜している。
撮像素子(図示無し)は、例えば、複数の画素が二次元的に配列されたCMOSイメージセンサ、あるいはCCDイメージセンサである。撮像素子(図示無し)は、例えば本体部16に収容される。撮像素子は、結像光学系が形成した像を撮像する。撮像素子の撮像結果は、例えば、各画素の色ごとの階調値の情報(例、RGBデータ)又は輝度情報(例グレースケール)を含む。撮像素子(図示無し)は、例えば、撮像結果である撮像画像IaのデータD1を出力する。操作入力部12は、作業者又は外部装置から、撮像装置10を操作するための入力を受け付ける。操作入力部12は、例えば、シャッターボタン、リモートコントローラ等から操作信号を受け付ける。
制御部13は、例えば、作業者又は外部装置から操作入力部12への入力に基づいて、撮像装置10の各部を制御する。制御部13は、例えば、撮像部11に撮像処理を実行させる。制御部13は、例えば、撮像部11の撮像素子(図示無し)から出力される撮像画像IaのデータD1を、データ記憶部14に記憶させる。制御部13は、例えば、データ記憶部14に記憶された撮像画像IaのデータD1を、画像データ出力部15から外部に出力させる。
データ記憶部14は、制御部13内に含まれる形態であってもよいし、制御部13外に配置される形態であってもよい。データ記憶部14は、例えば、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリ、メモリカードなどの不揮発性メモリであってもよい。また、データ記憶部14は、撮像装置10に内蔵される記憶デバイスを含んでいてもよいし、撮像装置10からリリース可能な記憶デバイスを接続可能なポートを含んでいてもよい。データ記憶部14は、例えば、撮像部11の撮像結果である撮像画像IaのデータD1、各種設定情報、及び処理を実行させるプログラム等を記憶する。
画像データ出力部15は、データ記憶部14に記憶された撮像画像IaのデータD1を、外部の採寸処理装置30に出力する。画像データ出力部15は、例えば、USBポート、LAN(ローカルエリアネットワーク)ポートなどのI/O(入出力)ポート、電波又は赤外線による無線通信を行う通信器のうち少なくとも一つを含む。画像データ出力部15は、制御部13に制御され、データ記憶部14に記憶されている情報を読み出し、読み出した情報を採寸処理装置30に出力する。画像データ出力部15は、データ記憶部14に記憶されている情報を読み出し、読み出した情報を、USBメモリ、メモリカードなどの不揮発性メモリに書き込む機能を有した、いわゆるメモリスロットであってもよい。
図3は、物品支持部20、及び撮像装置10の配置の一例を示す斜視図である。図1、図3に示すように、物品支持部20は、支持部本体21と、物品支持面22と、を備える。支持部本体21は、床、机等の設置面F上に設置される。支持部本体21は、物品支持面22を支持する。図1に示すように、物品支持面22は、水平面Sh、及び鉛直面Svに対して交差して設けられている。本実施形態において、物品支持面22は、鉛直面Svに対する傾斜角度θが、5°以上80°以下となるように設けられている。傾斜角度θのより好ましい範囲は、10°以上60°以下、さらに好ましい範囲は、20°以上30°以下である。なお、鉛直面Svに対する物品支持面22の傾斜角度θは、0°を含む。すなわち、傾斜角度θは、0°以上とすることができる。
物品支持面22には、撮像装置10の撮像対象となる衣類Wが沿わせて配置される。衣類Wは、ハンガー等の吊り下げ部材101に吊り下げて支持される。物品支持面22には、吊り下げ部材101を掛ける掛け具23が設けられている。衣類Wは、吊り下げ部材101を掛け具23に掛けた状態で、物品支持面22に沿って斜め下方に延びるように配置される。物品支持面22には、衣類Wとの間の摩擦係数が高くなるように、摩擦係数の高い素材、例えば布等を貼り付けたり、摩擦係数を高める微少な凹凸等を形成してもよい。
また、物品支持面22には、衣類Wの重量を計測するための重量検出器24が備えられる。重量検出器24としては、例えば、バネばかり24aを用いることができる。吊り下げ部材101及び衣類Wは、バネばかり24aからなる重量検出器24を介して掛け具23に吊り下げる。すると、バネばかり24aは、衣類W及び吊り下げ部材101の重量に応じて上下方向に伸びる。バネばかり24aの伸びが、後述する採寸処理装置30により検出されることで、衣類Wの重量が検出される。
図4は、バネばかり24aに吊す物体の重さと、バネばかり24aの上下方向の長さとの相関を示すデータの一例である。図4に示すような、バネばかり24aに吊した物体の重さと、バネばかり24aの上下方向の長さとの相関データは、予め、後述の記憶部32に記憶されている。この相関データは、物品支持面22の傾斜角度θに応じて、設定するのが好ましい。図4では、傾斜角度θに基づく、バネばかり24の長さ(伸び)と、物体の重さとの相関について示しているが、傾斜角度θの大きさ、物品支持面22と衣類Wとの間の摩擦係数の大きさによって両者の相関が変化する。図4に示す相関データは、このような傾斜角度θや摩擦係数を考慮して設定されてもよい。
例えば、摩擦係数を考慮する場合、
バネばかり24aの伸び=((物体の重さ×cosθ)−摩擦係数×物体の重さ×sinθ )/バネ定数
、によって物体の重さとバネばかり24aの長さとの相関データが設定されてもよい。なお、重量検出器24としては、バネばかり24aに限らず、電気式の重量計(図示無し)を用いてもよい。その場合、重量計の検出値を、有線又は無線による通信によって、採寸処理装置30に送信してもよい。
図3に示すように、物品支持面22には、基準マーク(傾斜補正マーク)25が設けられる。基準マーク25は、例えば、正方形、長方形をはじめとする各種多角形、円形、楕円形、星型等をなしている。本実施形態では、基準マーク25は、例えば、長方形をなしている。基準マーク25は、両面粘着テープ、片面粘着テープ、画鋲等の係止手段(図示無し)により、物品支持面22に貼り付けられる。物品支持面22が磁性材料を含んで形成されている場合、基準マーク25は、マグネットにより物品支持面22に貼り付けてもよい。また、物品支持面22に、予め、基準マーク25を印刷、塗装等によって形成しておいてもよい。
基準マーク25は、その外形寸法が、予め定められた寸法とされている。例えば、正方形の基準マーク25は、その四辺の長さが、定められた寸法で形成されている。基準マークの四辺の寸法のデータD2は、後述する採寸処理装置30の記憶部32に記憶されている。基準マーク25は、物品支持面22に、3つ以上設けられる。本実施形態において、基準マーク25は、物品支持面22に、例えば4つ設けられている。これら複数の基準マーク25は、衣類Wの外側に、互いに間隔をあけて配置されている。
図5は、採寸処理装置30の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、採寸処理装置30は、撮像装置10で撮像された衣類Wを含む撮像画像に基づき、衣類Wの各部の寸法を採寸する。採寸処理装置30は、作業者のパーソナルコンピュータや、携帯可能な情報端末(例、スマートフォン、タブレット、カメラ付き携帯電話)、あるいは専用のワークステーションやサーバ等の処理装置等からなる。採寸処理装置30は、CPU、メモリ等のハードウェアを備える。採寸処理装置30は、CPUやメモリ等と、メモリや記憶装置に記憶された処理プログラムとが協働して所定の処理を実行することで、以下に示すような構成を機能的に有する。
採寸処理装置30は、画像データ取得部31と、記憶部32と、傾斜補正部33と、輪郭抽出部34と、テンプレート処理部35と、寸法線調整部36と、寸法処理部37と、画像処理部38と、画像データ出力部39と、を備えている。採寸処理装置30には、表示部40と、入力部50(入力受付部)と、が接続されている。
画像データ取得部31は、外部の撮像装置10から、撮像装置10で撮像された衣類Wを含む撮像画像IaのデータD1を取得する。画像データ取得部31は、例えば、USBポート、LANポートなどのI/Oポート、電波又は赤外線の無線通信を行う通信器のうち少なくとも一つを含む。画像データ取得部31は、USBケーブル、LANケーブル等の通信ケーブルを介した有線通信、電波又は赤外線による無線通信により、外部の撮像装置10の画像データ出力部15から出力されたデータを受信する。
ここで、画像データ取得部31は、LAN、インターネット等の外部ネットワークを介し、外部の撮像装置10から撮像画像IaのデータD1を受信するようにしてもよい。また、画像データ取得部31は、USBメモリ、メモリカードなどの不揮発性メモリからデータを読み取る機能を有した、いわゆるメモリスロット(メモリリーダ)であってもよい。この場合、画像データ取得部31は、不揮発性メモリから、撮像装置10で撮像された衣類Wを含む撮像画像IaのデータD1を読み込む。画像データ取得部31は、取得された衣類Wを含む撮像画像IaのデータD1を、記憶部32に記憶させる。
記憶部32は、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶装置、USBメモリ、メモリカードなどの不揮発性メモリからなる。記憶部32には、採寸処理装置30の処理プログラム、各種の設定値、後述するテンプレートTのデータD5等の各種データが記憶(登録)されている。また、記憶部32は、処理プラグに基づいた処理を行うに際して、各種のデータを一時的に記憶する一時記憶領域を含む。
図6は、記憶部32の一例を示す機能ブロック図である。図6に示すように、記憶部32には、撮像画像IaのデータD1、基準マーク25の寸法のデータD2、補正画像Ibのデータ(物品画像データ)D3、衣類Wの輪郭100RのデータD4、テンプレートTのデータD5,特徴ポイントPcの位置座標のデータD6、採寸ポイントPsの位置座標のデータD7、寸法線LのデータD8、出力画像IcのデータD9、等が記憶される。
図7は、物品支持部20と撮像部11との位置関係を示し、(A)は側方(左右方向)から見た図、(B)は上方から見た図である。物品支持部20における物品支持面22の法線Hと、撮像部11の撮像光軸AXとは、角度θ1で傾斜している(図1参照)。法線Hと撮像光軸AXとの関係を見ると、図7(A)に示すように、側方(左右方向)から見て、法線Hと撮像光軸AXとは角度θ1Aで傾斜している。また、図7(B)に示すように、上方から見て、法線Hと撮像光軸AXとは角度θ1Bで傾斜している。図5に示す傾斜補正部33は、このような角度θ1A及び角度θ1Bに基づく、撮像画像Iaにおける衣類Wの傾斜(すなわち角度θ1の傾斜)を補正する。傾斜補正部33は、撮像画像Iaにおいて、物品支持面22に沿わせて配置された衣類Wの傾斜側方から見た角度θ1Aの傾斜、及び上方から見た角度θ1Bの傾斜)をそれぞれ補正する。
図8は、撮像装置10で撮像された撮像画像Iaの一例を示す図である。例えば、撮像装置10と物品支持部20の物品支持面22とを結ぶ方向に直交する鉛直面Svに対し、物品支持面22が傾斜していると、図8に示すように、撮像画像Ia中において、物品支持面22に沿わせて配置された衣類Wの像は、物品支持面22の傾斜方向に応じて歪む。傾斜補正部33は、外形寸法が既知である基準マーク25に基づいて、撮像画像Iaにおける衣類Wの傾斜を補正する。例えば、撮像画像Ia中における衣類Wの周囲に配した複数の基準マーク25の寸法が、同一となるようにすれば傾斜が補正される。
図9は、傾斜補正部33で傾斜が補正された補正画像Ibの一例を示す図である。傾斜補正部33は、図9に示すような、撮像画像Iaに対して傾斜を補正した画像を補正画像Ibとし、そのデータD3を記憶部32(図6参照)に記憶させる。図5に示す輪郭抽出部34は、補正画像Ibに含まれる衣類Wの像の輪郭100Rを、画像処理により抽出する。抽出された輪郭100RのデータD4は、記憶部32(図6参照)に記憶される。
図10は、採寸システム1で用いる複数種のテンプレートTの一例を示す図である。採寸処理装置30では、図10に示すような、衣類Wの形状に応じて設定されたテンプレートTを用い、採寸処理を実行する。テンプレートTのデータD5は、記憶部(テンプレート記憶部)32(図6参照)に予め記憶されている。テンプレートTは、衣類Wの種類毎に設定されている。具体的には、テンプレートTは、例えば、TシャツのテンプレートTA、スカートのテンプレートTA、パンツのテンプレートTC、ワンピースのテンプレートTD等、衣類Wの種類毎に設定されている。テンプレートTは、これ以外にも、例えば、ブラウス、セーター、ショートパンツ、タンクトップ、コート、ジャケット等、様々な衣類Wの種類に応じて設定することができる。
図11は、衣類Wの種類毎に複数個が設定されたテンプレートTの一例を示す図である。テンプレートTは、衣類Wの種類毎に、複数個が設定されている。これら複数個のテンプレートTは、衣類Wの種類毎に、互いに形状が異なる。例えば、図11に示すように、TシャツのテンプレートTAには、互いに形状が異なる複数個のTシャツのテンプレートTAa、TAb、・・・が設定されている。
図12は、テンプレートTに設定された特徴ポイントPcの一例を示す図である。図12に示すように、各テンプレートTは、その形状における複数の特徴ポイントPcが設定されている。特徴ポイントPcは、例えば、テンプレートTで示される衣類形状の角部等に、予め設定されている。各テンプレートTにおける特徴ポイントPcの位置座標のデータD6は、各テンプレートTのデータD5に関連付けて記憶部32(図6参照)に記憶されている。
図13は、テンプレートTに設定された採寸ポイントPs、及び寸法線Lの一例を示す図である。図13に示すように、各テンプレートTには、衣類Wの各部の寸法を検出するための採寸ポイントPsが複数設定されている。例えば、TシャツのテンプレートTAの場合、肩部の採寸ポイントPsa、脇部の採寸ポイントPsb等が設定されている。各テンプレートTにおける採寸ポイントPsの位置座標のデータD7は、各テンプレートTのデータD5に関連付けて記憶部32(図6参照)に記憶されている。
各テンプレートTには、衣類Wの各部の寸法を示す寸法線Lが設定されている。各寸法線Lは、その両側の端部Lx、Lyが、テンプレートTに設定された複数の採寸ポイントPsのうちの二つの採寸ポイントPsに設定されている。換言すると、各寸法線Lは、二つの採寸ポイントPs同士を結ぶように形成される。例えば、TシャツのテンプレートTAの場合、テンプレートTの両肩部に設定された一対の採寸ポイントPsa同士を結ぶ寸法線Lsが、「肩幅」として設定されている。
また、テンプレートTAにおいて、肩部に設定された採寸ポイントPsaと、袖の先端に設定された採寸ポイントPsdとを結ぶ寸法線Ltが、「袖丈」として設定されている。テンプレートTAにおいて、両側の脇部に設定された採寸ポイントPsb同士を結ぶ寸法線Lbが、「身幅」として設定されている。テンプレートTAにおいて、幅方向中央部の上端に設定された採寸ポイントPseと、幅方向中央部の下端に設定された採寸ポイントPsfとを結ぶ寸法線Luが、「身丈」として設定されている。このように二つの採寸ポイントPs同士を結ぶように設定された寸法線Lを示すための両側の端部Lx、Lyの位置座標が、寸法線Lのデータ(寸法線データ)D8として、各テンプレートTのデータD5に関連付けて記憶部32(図6参照)に記憶されている。
図5に示すように、テンプレート処理部35は、上記テンプレートTを、補正画像Ibに含まれる衣類Wの形状に近づくように変形させる。テンプレート処理部35は、テンプレート特定部35bと、テンプレート変形部35cと、テンプレート選択部35dと、を備えている。
テンプレート特定部35bは、補正画像Ibに基づき、記憶部32に記憶された複数種のテンプレートTの中から、衣類Wが属する種類のテンプレートTを特定する。これには、輪郭抽出部34によって補正画像Ibから抽出された衣類Wの輪郭100R(図9参照)と、複数種のテンプレートT(図10参照)とを比較し、最も近いテンプレートTを特定する。例えば、衣類Wの輪郭100RがTシャツを示しているであれば、TシャツのテンプレートTAを特定する。
テンプレート変形部35cは、テンプレートTの複数の特徴ポイントPcを、衣類Wの輪郭100Rに合わせて移動させることで、テンプレートTを、衣類Wの輪郭100Rに近づくように変形させる。これには、作業者が入力部50を操作することで、各特徴ポイントPc(図12参照)を、衣類Wの輪郭100Rに近づけるように移動させる。この場合、テンプレート変形部35cは、作業者が移動させた特徴ポイントPcの位置座標のデータD6を記憶部32(図6参照)に記憶させる。また、テンプレート変形部35cは、テンプレートTを輪郭100Rに近づける処理は、処理プログラムに基づいたテンプレート変形部35cの処理により、自動的に行ってもよい。
テンプレート選択部35dは、テンプレート特定部35bで特定された衣類Wの種類に応じた複数個のテンプレートTのうち、補正画像Ib中の衣類Wの形状に最も近いテンプレートTを選択する。テンプレートTの形状によっては、テンプレート変形部35cで特徴ポイントPcを衣類Wの輪郭100Rに近づけるように移動させても、テンプレートTを、輪郭100Rに完全に合致させることができるとは限らない。そこで、テンプレート選択部35dでは、衣類Wの形状に最も近いテンプレートTを選択するのが有効である。
寸法線調整部36は、寸法処理部37で衣類Wの各部の寸法を検出するに先立ち、必要に応じて、寸法線Lの端部Lx、Lyの位置を調整する。寸法線調整部36は、テンプレート変形部35cで変形されたテンプレートTに基づいて表示される寸法線Lの位置を調整する。寸法線調整部36は、寸法線表示部36aと、寸法線特定部36bと、寸法線制御部36cと、を備える。
寸法線表示部36aは、テンプレートTに関連付けられた衣類Wの各部の寸法を示す寸法線Lを表示部40に表示させる。テンプレート変形部35cでテンプレートTが変形されると、このテンプレートTに設定された採寸ポイントPsも移動し、その位置座標が変わる。これにより、寸法線Lの位置や長さも変わる。寸法線表示部36aは、変形後のテンプレートTにおける採寸ポイントPsの位置座標に応じて、各寸法線Lを表示部40に表示させる。寸法線表示部36aは、寸法線Lとともに、補正画像Ibを表示部40に表示させる。これにより、表示部40には、補正画像Ibに含まれる衣類Wの画像(衣類画像Iw)上に、複数の寸法線Lが表示される。
寸法線特定部36bは、表示部40に表示された複数の寸法線Lのうち、作業者により入力部50になされた所定の操作によって指定された1以上の寸法線Lを特定する。寸法線特定部36bは、入力部50において、表示部40に表示された衣類画像Iw上で任意の位置を指定する入力を受け付けた場合、指定された位置の近傍に位置する寸法線Lを特定する。本実施形態において、指定された位置の近傍に寸法線Lが複数存在する場合、寸法線特定部36bは、これら複数の寸法線Lを同時に選択する。
寸法線制御部36cは、寸法線特定部36bで特定された複数の寸法線Lの端部Lx又はLyを、入力部50に対する外部からの入力に応じて移動させる。寸法線制御部36cは、移動された寸法線Lの端部Lx又はLyの位置座標を、記憶部32(図6参照)に記憶させる。これにより、寸法線LのデータD8が更新される。
ここで、図13に示すように、例えば、身幅を示す寸法線Lbや、肩幅を示す寸法線Lsは、テンプレートTAの幅方向において左右対称である。このように左右対称の寸法線Lが寸法線特定部36bで特定された場合、寸法線制御部36cは、端部Lx及びLyの一方の位置が移動されると、端部Lx及びLyの他方の位置を左右対称な位置に移動させる。すなわち、寸法線制御部36cは、寸法線Lの端部Lx又はLyを移動させる場合、左右対称な寸法線Lについて、互いに関連付けられた第一の端部Lxと第二の端部Lyとを連動して移動させる。寸法線特定部36bで特定された複数の寸法線Lに、左右対称な寸法線Lが含まれる場合、寸法線制御部36cは、左右対称な寸法線Lについて、互いに関連付けられた第一の端部Lxと第二の端部Lyとを連動して左右対称に移動させる。
図5に示すように、寸法処理部37は、寸法検出部(寸法算出部)37aと、重量検出部37bと、寸法データ出力部37cと、を備える。寸法検出部37aは、傾斜補正部33で傾斜が補正された補正画像Ib(図9参照)に基づき、衣類Wの各部の寸法を検出する。寸法検出部37aは、テンプレート変形部35cで変形されたテンプレートTに関連付けられた寸法線LのデータD8に基づき、寸法線Lで示される部分の衣類Wの寸法を検出する。寸法検出部37aは、補正画像Ibにおける基準マーク25の寸法と、補正画像Ibにおける衣類Wの寸法との比に基づき、実際の衣類Wにおいて寸法線Lで示される各部の寸法(実寸)を検出する。寸法検出部37aは、テンプレートTにおける複数の採寸ポイントPs間の寸法(寸法線Lの長さ)を、基準マーク25との比に基づいて検出する。
重量検出部37bは、補正画像Ibに基づき、衣類Wの重量を検出する。重量検出部37bは、補正画像Ibにおける重量検出器24としてのバネばかり24aの長さと、補正画像Ibにおける基準マーク25の寸法と、の比に基づき、バネばかり24aの実際の長さを算出する。重量検出部37bは、予め登録されたバネばかり24aの実際の長さと、バネばかり24aによる重力計測値との相関データ(図4参照)に基づいて、衣類Wの重量を検出する。ここで、衣類Wは、吊り下げ部材101に掛けられているので、バネばかり24aで検出される重量には、吊り下げ部材101の重量が含まれる。重量検出部37bは、予め登録された吊り下げ部材101の重量を、バネばかり24aで検出された重量から除算することで、衣類Wの重量を検出する。なお、バネばかり24aによる重力計測値(物体の重さの値)は、傾斜角度θの大きさ、物品支持面22と衣類Wとの間の摩擦係数の大きさによって変化する。このような場合、予め、傾斜角度θや摩擦係数を考慮した相関データを用いることで、衣類Wの重量を検出してもよい。
寸法データ出力部37cは、寸法検出部37aで検出された衣類Wの寸法線LのデータD8を出力する。寸法データ出力部37cは、寸法線LのデータD8に基づく衣類Wの各部の寸法(実寸)を、衣類画像Iwとともに、例えば表示部40に表示させる。また、寸法データ出力部37cは、衣類画像Iwとともに、重量検出部37bで検出された衣類Wの重量の情報を、表示部40に表示させるようにしてもよい。
画像処理部38は、吊り下げ部材消去部38aと、マーク消去部38bと、画像データ生成部38cと、を備える。吊り下げ部材消去部38aは、補正画像Ib中に衣類Wとともに写っている吊り下げ部材101を消去する。マーク消去部38bは、傾斜補正部33で補正画像Ibにおける衣類Wの傾斜を補正するのに用いた基準マーク25を補正画像Ibから消去する。画像データ生成部38cは、画像データ出力部39で出力する出力画像IcのデータD9を生成する。画像データ生成部38cは、補正画像Ibから吊り下げ部材101及び基準マーク25を消去した衣類Wの画像と、寸法検出部37aで検出された衣類Wの各部の寸法を示す寸法情報と、を関連付けた画像データを生成する。
画像データ出力部39は、画像データ生成部38cで生成された出力画像IcのデータD9を出力する。表示部40は、モニタ等からなる。表示部40は、採寸処理装置30から出力されるデータに基づく情報を表示する。表示部40は、採寸処理装置30から出力されたデータに基づく情報を表示させるための表示制御部41を有する。
入力部50は、作業者が外部から採寸処理装置30に対する各種の入力を受け付ける。入力部50は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力機、タッチ型ペンなどの少なくとも一つを含む。入力部50は、採寸処理装置30と接続される。入力部50は、は、作業者から情報の入力を受け付け、入力された情報を採寸処理装置30に供給する。入力部50は、例えば、液晶ディスプレイ又はタッチパネル型ディスプレイを含み、採寸処理装置30と接続されている。
次に、上記したような採寸システム1における衣類採寸方法について説明する。本明細書において、衣類採寸方法は、物品採寸方法の一例である。以下に示す衣類採寸方法において、採寸処理装置30が実行する各処理は、採寸処理装置30に予め記憶されたプログラムに基づいて、採寸処理装置30が実行する。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例、非一時的な記録媒体、non-transitory tangible media)に記録されて提供されてもよい。
図14は、実施形態に係る衣類採寸方法の流れを示すフローチャートである。この図14に示すように、ステップS1〜S3は、作業者が撮像装置10を用いて実行する。ステップS1において、作業者は、図1、図3に示すように、物品支持部20の物品支持面22に衣類Wをセットする。衣類Wは、ハンガー等の吊り下げ部材101に吊り下げ、掛け具23に掛ける。このとき、吊り下げ部材101は、重量検出器24としてのバネばかり24aを介して掛け具23に掛ける。衣類Wは、所定の傾斜角度θで傾斜した物品支持面22に沿う。物品支持面22が傾斜しているので、衣類Wをシワ等が生じないように、物品支持面22に沿って容易に延ばすことができる。
また、衣類Wは、物品支持面22との間に生じる摩擦力により、シワ等を延ばした状態を維持する。また、バネばかり24aは、衣類W及び吊り下げ部材101の重量に応じて伸びる。また、ステップS1において、物品支持面22には、衣類Wの周囲に複数の基準マーク25を配置しておく。これらの基準マーク25は、作業者が物品支持面22に貼り付けてもよいし、物品支持面22に予め装着又は形成されていてもよい。
ステップS2において、作業者は、撮像装置10で衣類Wを撮像する。撮像装置10は、物品支持面22に対して対向する側に、物品支持面22から適宜の距離をおいて配置する。撮像装置10では、必ずしも、物品支持面22の表面に直交した方向から撮像を行わなくてもよい。撮像装置10では、物品支持面22の表面に直交した方向に対して傾斜した方向から撮像を行ってもよい。つまり、物品支持面22に対して対向する側の任意の位置、方向に撮像装置10を配置すればよい。
撮像装置10で撮像を行うには、作業者は、衣類Wを撮像部11の視野角内に、衣類W、及びその周囲の複数の基準マーク25を収めた状態で、操作入力部12により、所定の撮像操作を行う。すると、撮像装置10の制御部13は、操作入力部12でなされた入力操作に基づいて、撮像部11に撮像処理を実行させる。撮像装置10で衣類Wを撮像すると、図8に示す撮像画像Iaのように、衣類Wと、衣類Wの周囲の物品支持面22と、物品支持面22に設けられた複数の基準マーク25とが撮像される。撮像装置10による撮像画像IaのデータD1は、データ記憶部14に記憶される。
ステップS3において、撮像装置10から採寸処理装置30に、撮像画像IaのデータD1を出力する。これには、撮像装置10の画像データ出力部15が、データ記憶部14に記憶された撮像画像IaのデータD1を出力する。画像データ出力部15は、USBメモリ、メモリカード等の可搬性を有する不揮発性メモリにデータを書き込むようにしてもよい。この場合、作業者は、撮像画像IaのデータD1が書き込まれた不揮発性メモリを画像データ出力部15から取り出し、採寸処理装置30の画像データ取得部31で撮像画像IaのデータD1を読み込ませる。また、撮像画像IaのデータD1は、有線又は無線による通信を介して、画像データ出力部15から画像データ取得部31に転送してもよい。
図14に示すように、ステップS4以降は、採寸処理装置30で実行される処理である。ステップS4において、採寸処理装置30の画像データ取得部31は、撮像装置10から、衣類Wが撮像された撮像画像Iaを取得する。画像データ取得部31は、取得した撮像画像IaのデータD1を記憶部32に記憶させる。ステップS5において、採寸処理装置30の傾斜補正部33は、撮像画像Iaにおける衣類Wの傾斜を補正する。
図15は、図14におけるステップS5の詳細な流れを示すフローチャートである。図15に示すように、ステップS51において、傾斜補正部33は、撮像画像Iaから、適宜の既知の画像処理により、複数の基準マーク25を検出する。ステップS52において、傾斜補正部33は、適宜の既知の画像処理により、撮像画像IaのデータD1上における、各基準マーク25の四隅の位置座標を取得する。さらに、ステップS52において、傾斜補正部33は、各基準マーク25の四隅の位置座標に基づいて、撮像画像Iaにおける各基準マーク25の外形寸法を検出する。
ステップS53において、傾斜補正部33は、撮像画像Iaにおける複数の基準マーク25それぞれの外形寸法と、記憶部32に予め記憶された基準マーク25の外形寸法との比を算出する。さらに、傾斜補正部33は、撮像画像Iaにおける複数の基準マーク25それぞれの外形寸法と、記憶部32にデータD2が記憶された基準マーク25の外形寸法との比から、各基準マーク25と、撮像装置10との距離の比を算出する。
ステップS54において、傾斜補正部33は、各基準マーク25と、撮像装置10との距離の比が、同一となるように射影変換を行う。これにより、撮像装置10に対して傾斜していた撮像画像Iaは、撮像装置10に対して正対した補正画像Ibに補正される。この補正により、補正画像Ib中において衣類Wの周囲に配した複数の基準マーク25の寸法が、同一となる。傾斜補正部33は、衣類支持部20の物品支持面22の法線H(図7参照)に対する撮像部11の撮像光軸AX(図7参照)の傾斜に基づいて、撮像画像Iaにおける衣類W(及び物品支持面22)の傾斜を補正する。これにより、図9に示す補正画像Ibのように、衣類W、及び複数の基準マーク25は、物品支持面22の表面に対して直交する方向(正対方向)から撮像装置10で撮像したように補正される。
ステップS55において、傾斜補正部33は、撮像画像Iaが補正されることで生成された画像のデータを、補正画像IbのデータD3として記憶部32に記憶させる。これにより、図14におけるステップS5の一連の処理が完了する。
ステップS6において、寸法検出部37aは、補正画像Ibに基づき、衣類Wの各部の寸法を検出する。図16は、図14におけるステップS6の詳細な流れを示すフローチャートである。図16に示すように、ステップS61において、寸法検出部37aは、補正画像Ib中における各基準マーク25の外形寸法と、記憶部32に記憶されたデータD2が記憶された基準マーク25の外形寸法との比に基づき、補正画像Ibにおける1ピクセルあたりの実空間上での寸法を算出する。
ステップS62において、輪郭抽出部34は、図9に示す補正画像Ibに含まれる衣類Wの像の輪郭100Rを、画像処理により抽出する。輪郭抽出部34で、衣類Wの像の輪郭100Rを抽出するには、例えば、任意の空間周波数の強調度合い(Gamma調整,Un Sharp Mask, Bilateral Filter, etc...の組み合わせ)、輪郭検出の強さ(Canny Edge)、輪郭の連結の強さ(Closing, 独自の方向フィルタ, etc...の組み合わせ)といった設定値を変更しながら画像処理を実行する。抽出された輪郭100RのデータD4は、記憶部32に記憶される。
ステップS63において、テンプレート処理部35のテンプレート特定部35bは、補正画像Ibに基づき、記憶部32に記憶された複数種のテンプレートT(図10参照)の中から、衣類Wが属する種類のテンプレートTを特定する。これには、輪郭抽出部34によって補正画像Ibから抽出された衣類Wの輪郭100Rと、複数種のテンプレートTとを比較し、最も近いテンプレートTを特定する。例えば、衣類Wの輪郭100RがTシャツであれば、TシャツのテンプレートTAを特定する。
ステップS63における衣類Wに応じたテンプレートTの特定は、例えば、作業者の判断により行うことができる。この場合、テンプレート特定部35bは、表示部40に、候補となる複数種類のテンプレートTを表示する。作業者は、表示部40に表示された候補の中から、衣類Wの種類に対応したテンプレートT(例えばTシャツのテンプレートTA)を、入力部50で所定の操作を行うことで選択する。テンプレート特定部35bは、入力部50でなされた操作内容に応じて、作業者が選択したテンプレートT(例えばTシャツのテンプレートTA)の種類を、記憶部32に記憶させる。
また、衣類Wに応じたテンプレートTの種類の特定は、処理プログラムに基づいたテンプレート特定部35bの処理により自動的に行ってもよい。この場合、テンプレート特定部35bは、輪郭抽出部34で抽出された衣類Wの輪郭100Rと、記憶部32に記憶された複数の種類の衣類のテンプレートTとを、適宜設定した判断基準に基づいて比較する。例えば、テンプレート特定部35bは、袖等、それぞれの衣類の種類の特徴的な形状の有無等により、衣類Wの輪郭100Rに近い種類のテンプレートT(例えばTシャツのテンプレートTA)を特定し、記憶部32に記憶させる。
ステップS64においては、テンプレート変形部35cは、ステップS63で特定された種類のテンプレートTを、記憶部32にデータが記憶された、補正画像Ibにおける衣類Wの輪郭100Rに近づけるように変形させる。ここで、本実施形態では、前述したように、テンプレートTは、衣類Wの種類毎に、複数個が設定されている。例えば、図11に示すように、TシャツのテンプレートTAには、互いに形状が異なる複数個のTシャツのテンプレートTAa、TAb、・・・が設定されている。
ステップS64においては、ステップS63で特定された衣類Wの種類に応じた複数個のテンプレートT(例えば、TシャツのテンプレートTAa、TAb、・・・)のそれぞれについて、衣類Wの輪郭100Rに近づけるように変形させる。ステップS64において、テンプレート変形部35cは、テンプレートTの複数の特徴ポイントPcを、衣類Wの輪郭100Rに合わせて移動させることで、テンプレートTを、衣類Wの輪郭100Rに近づくように変形させる。
図17は、図16のステップS64において、テンプレートを衣類の形状に近づけるように変形させる前の状態を示す図である。図18は、図16のステップS64において、テンプレートを衣類の形状に近づけるように変形させた後の状態を示す図である。ステップS64では、各特徴ポイントPcは、作業者が、衣類Wの輪郭100Rに合わせて手動で移動させることができる。この場合、図17に示すように、テンプレート変形部35cは、変形対象となるテンプレートTと、記憶部32に記憶された衣類Wの輪郭100Rとを、表示部40に表示させる。表示部40に表示されるテンプレートTには、複数の特徴ポイントPcも表示される。
図18に示すように、作業者は、入力部50で、表示部40に表示されたテンプレートTの各特徴ポイントPcを衣類Wの輪郭100Rに近づけるように移動させる。テンプレート変形部35cは、入力部50によって作業者が移動させた後の特徴ポイントPcの位置座標を、記憶部32に記憶させる。また、テンプレート変形部35cは、作業者が移動させる前の各特徴ポイントPcの位置座標と、作業者が移動させた後の位置座標とに基づき、各特徴ポイントPcの移動量を算出する。テンプレート変形部35cは、算出した各特徴ポイントPcの移動量のデータを、記憶部32に記憶させる。
また、ステップS64では、テンプレート変形部35cは、テンプレートTを輪郭100Rに近づける処理は、処理プログラムに基づいたテンプレート変形部35cの処理により、自動的に行ってもよい。この場合も、テンプレート変形部35cは、移動前の各特徴ポイントPcの位置座標と、作業者が移動させた後の位置座標とに基づき、各特徴ポイントPcの移動量を算出する。テンプレート変形部35cは、算出した各特徴ポイントPcの移動量のデータを、記憶部32に記憶させる。また、ステップS64において、テンプレート変形部35cは、特徴ポイントPcが移動された場合、互いに隣り合う二つの特徴ポイントPcの間を線302で連結することで、テンプレートTを衣類Wの輪郭100Rに合わせて変形させる。
ステップS65において、テンプレート選択部35dは、ステップS64で変形させた複数個のテンプレートTの中から、補正画像Ib中の衣類Wの形状に最も近いテンプレートTを選択する。テンプレート選択部35dは、複数個のテンプレートTの中から、衣類Wの輪郭100Rに最もマッチング度の高いテンプレートTを選択する。例えば、テンプレート特定部35bで特定された衣類Wの種類がTシャツである場合、TシャツのテンプレートTAa、TAb、・・・の中から、衣類Wの輪郭100Rに最も近いテンプレートTを選択する。これには、ステップS64で変形させた各テンプレートTにおける特徴ポイントPcの移動量が最も少ないテンプレートTを、衣類Wの形状に最も近いテンプレートTとして選択することができる。
ステップS66において、寸法線調整部36は、変形されたテンプレートT上の採寸ポイントPsを調整する。このとき、例えばテンプレートTは不要であり、テンプレートTの採寸ポイントPsのみを用いる。図19は、図14におけるステップS66の詳細な流れを示すフローチャートである。図20は、衣類Wを含む衣類画像Iwとともに、各寸法線Lを、表示部40に表示させた状態を示す図である。図19に示すステップS661において、寸法線表示部36aは、テンプレートTに関連付けられた衣類Wの各部の採寸ポイントPsと、寸法を示す2つの採寸ポイントPs間の寸法線Lを表示部40に表示させる。寸法線表示部36aは、衣類Wの像を含む補正画像IbのデータD3と、寸法線L(採寸ポイントPsを含む)のデータD8とを表示制御部41に出力する。表示制御部41は、衣類Wの像を含む補正画像IbのデータD3と、寸法線LのデータD8とに基づき、図20に示すように、衣類Wを含む衣類画像Iwとともに、各寸法線L(採寸ポイントPsを含む)を、表示部40に表示させる。
ステップS662において、寸法線特定部36bは、入力部50への所定の操作、例えばマウスのクリック操作等によって、表示部40の画面上の任意の位置の指定がなされたか否かを判定する。ステップS662において、表示部40の画面上の任意の位置の指定がなされていない場合、所定の時間間隔毎に、ステップS662を繰り返す。ステップS662において、表示部40の画面上の任意の位置の指定がなされたと判定された場合、ステップS663に進む。
ステップS663において、寸法線特定部36bは、表示部40の画面上の任意の位置Pが指定された場合、指定された位置Pを含む所定の範囲Apを設定する。ここで設定する範囲Apは、位置Pを中心として、所定のピクセル数を半径とする範囲であってもよい。また、位置Pを中心とする所定の大きさの正方形や長方形の範囲であってもよい。ステップS664において、寸法線特定部36bは、設定した範囲Ap内に、寸法線Lの端部Lx又はLy(採寸ポイントPs)が存在するか否かを判定する。ステップS664において、範囲Ap内に寸法線Lの端部Lx又はLyが存在しない場合、所定の時間間隔毎に、ステップS662に戻る。ステップS664において、範囲Ap内に寸法線Lの端部Lx又はLyが存在すると判定された場合、ステップS665に進む。
ステップS665において、寸法線特定部36bは、範囲Ap内に端部Lx又はLyが存在する寸法線Lを特定する。このとき、範囲Ap内には、採寸ポイントPsも含まれる。範囲Ap内に、端部Lx又はLyが存在する寸法線Lが複数存在する場合、寸法線特定部36bは、これら複数の寸法線Lを同時に選択する。また、寸法線特定部36bは、範囲Ap内の互いに異なる複数の位置に端部Lx又はLyが存在する場合、指定された位置Pに最も近くに端部Lx又はLyが位置する寸法線Lを特定(選択)する。ステップS666において、寸法線制御部36cは、ステップS665で特定された1つ又は複数の寸法線Lの端部Lx又はLyを、表示部40の画面上で移動可能なアクティブ状態に設定する。
ステップS667において、寸法線制御部36cは、作業者による入力部50への所定の操作、例えばマウスのドラッグ操作等により、範囲Ap内の端部Lx又はLyを移動させる操作がなされたか否か(採寸ポイントPsが調整されたか否か)を判定する。ステップS667において、範囲Ap内の端部Lx又はLyを移動させる操作がなされていない場合、所定の時間間隔毎に、ステップS667を繰り返す。ステップS667において、範囲Ap内の端部Lx又はLyを移動させる操作(採寸ポイントPsを調整する操作)がなされたと判定された場合、ステップS668に進む。
ステップS668において、寸法線制御部36cは、入力部50に対する外部からの操作(指令)の入力に応じて、範囲Ap内の端部Lx又はLy(採寸ポイントPs)を、表示部40の画面に表示された衣類画像Iw上で、輪郭100Rに沿って移動させる。衣類画像Iw上において採寸ポイントPsの移動は、採寸ポイントPsの調整に相当する。範囲Ap内に左右対称の寸法線Lの端部Lx又はLyが含まれる場合、寸法線制御部36cは、範囲Ap内に位置する端部Lx及びLyの一方の位置の移動量に応じて、端部Lx及びLyの他方の位置を、左右反対方向に同じ移動量で移動させる。この処理により、ステップS665で特定された1つ又は複数の寸法線Lの長さが変わる。また、寸法線制御部36cは、範囲Ap内に位置する端部Lx及びLyの一方の位置の移動量に応じて、端部Lx及びLyの他方の位置を、同一方向に同じ移動量で移動させてもよい。この場合、ステップS665で特定された寸法線Lの長さは変化しない。また、寸法線制御部36cは、範囲Ap内に位置する端部Lx及びLyを移動させる場合(採寸ポイントPsを調整する場合)、端部Lx又はLyの他方の位置を固定させてもよい。この場合、ステップS665で特定された1つ又は複数の寸法線Lの長さが変わる。
ステップS669において、寸法線制御部36cは、ステップS667で移動された寸法線Lの端部Lx又はLyの位置座標を検出し、記憶部32に記憶させる。この処理により、寸法線LのデータD8が、移動後の位置、長さに更新される。この処理により、ステップS66の一連の処理が完了する。なお、このステップS66の処理は、寸法線Lの位置調整(採寸ポイントPsの調整)が不要であれば省略することができる。また、上記したステップS667、S668では、作業者による入力部50への所定の操作により範囲Ap内の端部Lx又はLy(採寸ポイントPs)を移動させているが、この処理に限定されない。例えば、予め用意された処理プログラムによりステップS667、S668の処理が自動化されてもよい。このような自動化された処理において、例えば、衣類Wが長袖のジャケットで袖が開いておらず、身幅(両脇間の距離)の端部が不明瞭な場合は、袖と胴との境界を採寸ポイントPsとして画像処理により検出して、身幅の寸法線Lの端部を検出した個所に移動させることで採寸ポイントPsの調整を行ってもよい。
図16に示すステップS67において、寸法検出部37aは、上記したステップS66で調整された採寸ポイントPsに基づいて、衣類Wの各部の寸法データを算出する。寸法検出部37aは、ステップS66で調整された複数の採寸ポイントPsのうち、互いに関連付けられた二つの採寸ポイントPs間の補正画像1b上におけるピクセル数を算出する。
例えば、TシャツのテンプレートTAが用いられた場合、両肩部分に左右対称に設定された採寸ポイントPsa同士の間のピクセル数を、寸法線Lsで示される衣類Wの「肩幅」に相当する寸法データとして検出する。また、テンプレートTAの場合、幅方向中央部の上端に設定された採寸ポイントPseと、幅方向中央部の下端に設定された採寸ポイントPsfとの間のピクセル数を、寸法線Luで示される衣類Wの「身丈」に相当する寸法データとして検出する。
また、ステップS67において、寸法検出部37aは、各寸法線Lで示される2つの採寸ポイントPs同士の間隔を、実際の衣類Wの各部の寸法に変換する。寸法検出部37aは、ステップS61で算出した1ピクセルあたりの実空間上での寸法に基づき、テンプレートTにおける採寸ポイントPsの間隔から、実際の衣類Wの各部の寸法を算出する。寸法検出部37aは、算出された衣類Wの各部の寸法線LのデータD8を、テンプレートTに関連付けて記憶部32に記憶させる。
ステップS68において、画像処理部38の画像データ生成部38cは、寸法検出部37aにおいて検出された、寸法線LのデータD8を、採寸した衣類Wの補正画像1bに関連付けた出力画像を生成する。この出力画像は、例えば、衣類Wの補正画像1b上に、全部又は一部の寸法線Lと、その寸法線Lの実寸法(例、mm単位、cm単位)とを表示した画像である。ただし、画像データ生成部38cが生成する出力画像は任意の形態とすることができる。以上により、図14におけるステップS6の一連の処理が完了する。
ステップS7において、寸法処理部37の重量検出部37bは、補正画像Ibに基づき、衣類Wの重量を検出する。図21は、図14におけるステップS7の詳細な流れを示すフローチャートである。図22は、ステップS71で補正画像Ibから抽出されたバネばかり24aの画像を示す図である。図21に示すように、ステップS71において、重量検出部37bは、補正画像Ibから、バネばかり24aを、既知の画像処理方法で抽出する。
ステップS72において、重量検出部37bは、図22に示すように、抽出されたバネばかり24aの画像Ikから、バネばかり24aの幅寸法Aを取得する。ステップS73において、重量検出部37bは、画像Ikにおけるバネばかり24aの幅寸法Aが、記憶部32に記憶されたバネばかり24aの幅寸法と一致するように、画像Ikを、縦横比を保ったまま拡大又は縮小する。ステップS74において、重量検出部37bは、拡大又は縮小したバネばかり24aの画像から、バネばかり24aの上下方向の長さHを検出する。ステップS75において、重量検出部37bは、検出したバネばかり24aの長さに応じた重量を、記憶部32に記憶されたバネばかり24の相関データ(図4参照)に基づいて取得する。
ステップS76において、重量検出部37bは、ステップS75で取得した、バネばかり24aにおける重量から、衣類Wの重量を算出する。これには、重量検出部37bは、ステップS75で取得した、バネばかり24aにおける検出重量から、記憶部32に記憶された吊り下げ部材101の重量を除算し、衣類Wの重量を算出する。重量検出部37bは、算出した衣類Wの重量のデータを、テンプレートTのデータに関連付けて記憶部32に記憶させる。
図14に示すステップS8において、画像処理部38は、画像データ出力部39で出力する出力画像IcのデータD9を生成する。図23は、図14におけるステップS8の詳細な流れを示すフローチャートである。図23に示すように、ステップS81において、画像処理部38の吊り下げ部材消去部38aは、補正画像1b中に衣類Wとともに写っている吊り下げ部材101を消去する。吊り下げ部材消去部38aで、補正画像Ibから吊り下げ部材101を消去するには、例えば、まず、補正画像Ibを、色情報を元にした領域分割、又は輝度情報を元にした領域分割を行う。領域分割には、例えば、MeanShiftFiltering, CannyEdge, Labeling, etc...の手法を組み合わせて使用する。
次いで、吊り下げ部材消去部38aは、補正画像Ib中で、吊り下げ部材101であると想定される領域を、領域の座標, 面積, 形状, etc...から選出する。さらに、吊り下げ部材消去部38aは、吊り下げ部材101と衣類Wとの間の空間を、領域の座標, 面積, 色, etc...から判別/選出する。さらに、吊り下げ部材消去部38aは、吊り下げ部材101と衣類Wとの境界を、曲線に近似する。その後、 近似曲線より、平滑化を行い、吊り下げ部材101を除いた衣類Wの輪郭100Rを得る。
ステップS82において、マーク消去部38bは、傾斜補正部33で補正画像1bにおける衣類Wの傾斜を補正するのに用いた基準マーク25を消去する。マーク消去部38bは、ステップS52で四隅の位置座標が検出された基準マーク25を、補正画像1bから、適宜の既知の画像処理により消去する。ステップS83において、画像データ生成部38cは、画像データ出力部39で出力する出力画像IcのデータD9を生成する。画像データ生成部38cは、補正画像1bから吊り下げ部材101及び基準マーク25が除去された衣類Wの画像のデータと、ステップS67で得た衣類Wの各部の寸法線LのデータD8と、ステップS76で得た衣類Wの重量のデータとを、互いに関連付け、出力画像IcのデータD9を生成する。画像データ生成部38cは、出力画像IcのデータD9を、記憶部32に記憶させる。以上により、ステップS8の一連の処理が完了する。
ステップS9において、画像データ出力部39は、画像データ生成部38cで生成された出力画像IcのデータD9を出力する。画像データ出力部39は、例えば、インターネット等の外部ネットワークを介して、出力画像IcのデータD9を、外部のサーバ(図示無し)に出力する。外部のサーバは、採寸処理装置30の画像データ出力部39から出力された出力画像IcのデータD9を、外部からのアクセスに応じて出力可能に記憶する。
図24は、出力画像Icの一例を示す図である。このようにして、採寸システム1において、衣類Wを撮像し、衣類Wを含む衣類画像Iw、衣類Wの各部の寸法線L、及び重量を含む出力画像IcのデータD9を出力する。衣類Wの購入を検討する購入者は、購入者側で利用するパーソナルコンピュータ、各種情報端末(例、スマートフォン、タブレット)等の表示画面に、図24に示すような、出力画像IcのデータD9に基づく出力画像Icを視認することができる。購入者は、衣類画像Iw、寸法線Lで示される衣類Wの各部の寸法、及び衣類Wの重量を見て、購入を検討することができる。
上述したような採寸システム1によれば、衣類Wの形状を示す衣類画像Iwと、衣類Wの各部の寸法を示す寸法線Lとを、容易かつ効率的に得ることが可能となる。なお、採寸システム1は、撮像装置10と、物品支持部20と、採寸処理装置30と、を備えるが、撮像装置10及び物品支持部20と、採寸処理装置30とは、互いに異なる場所に設置する形態でもよい。また、クラウド上に採寸処理装置30を設置して作動させ、通信回線を介してユーザー側からの各種画像データや数値データ、および作業者による各種入力を受け付け、所定の処理を行った後の画像データや数値データをユーザー側に返信する、クラウドシステムを構成する形態でもよい。また、上記採寸システム1では、衣類Wの採寸を行うようにしたが、対象となる物品は、バッグ等の携行品等であってもよい。
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、本明細書で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。