以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[駅務システム100]
図1は、本発明の実施形態に係る自動改札機1を含む駅務システム100を示すネットワーク図である。図1に示すように、駅務システム100は、自動改札機1、駅サーバ2、センタ装置3、及び、利用者端末4(本発明の携帯端末の一例)によって構成される。図1では、二つの駅8(8A,8B)を示しており、その他の駅についての図示を省略している。各駅8には、複数の自動改札機1、駅サーバ2、券売機(不図示)、精算機(不図示)、及び、駅員が使用する駅員端末(不図示)等の駅務機器が設置されている。これら駅務機器は、LAN等のネットワークN1を介して駅サーバ2に通信可能に接続されている。また、各駅8の駅サーバ2は、専用回線、公衆回線等のネットワークN2を介して、鉄道事業者(鉄道会社)が管理するサーバ装置であるセンタ装置3に通信可能に接続されている。さらに、利用者端末4は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などのネットワークN3を介してセンタ装置3に通信可能に接続されている。駅務システム100は、本発明の通行管理システムの一例である。
自動改札機1は、駅8の改札口に設置されている。図2に示すように、自動改札機1は、間に改札通路6を形成するように入場用の自動改札機1A及び出場用の自動改札機1Bを対面させてセットで用いられる場合がある。一方の自動改札機1Aは、入場時の進行方向(矢印D10の方向)に沿って前記改札口から改札内に入場する利用者に対して改札処理(入場改札処理)を行う入場用自動改札機としての役割を担う。他方の自動改札機1Bは、出場時の進行方向(矢印D11の方向)に沿って前記改札口から前記改札口の外側の改札外へ出場する利用者に対して改札処理(出場改札処理)を行う出場用自動改札機としての役割を担う。
なお、自動改札機1は、自動改札機1A又は自動改札機1Bが単体として用いられて、一方向に通行する利用者に対して改札処理を行うものであってもよい。この場合、自動改札機1は、後述するQRコード読取部17(図2参照)が改札外側に配置されるように設置された場合に、入場用自動改札機として用いられる。また、自動改札機1は、QRコード読取部17が改札内側に配置されるように設置された場合に、出場用自動改札機として用いられる。
本実施形態では、自動改札機1は、改札通路6(図2参照)を通行しようとする利用者が所有する利用者端末4から二次元コードであるQRコード55(図8参照)を乗車券として取得する。以下、乗車券としてのQRコードをQR乗車券55と称する。QR乗車券55は、本発明の情報コードの一例である。自動改札機1は、取得したQR乗車券55が有効であると判定した場合に、QR乗車券55に含まれる乗車券情報に基づく改札処理を行い、取得したQR乗車券55が無効であると判定した場合は、ゲート15を閉鎖して、改札通路6における利用者の通行を禁止する。
ここで、QR乗車券55は、乗車券情報が記録された二値のドットパターンからなる二次元コードであるQRコードであり、乗車券として鉄道事業者から発行されたものである。具体的には、鉄道を利用する利用者の利用者端末4にインストールされた従来周知の乗車券発行アプリケーションにより、利用者端末4が、利用者の識別情報(利用者ID)とともに乗車券の発行要求を鉄道事業者が管理するセンタ装置3に送信する。センタ装置3は、発行要求を取得すると要求内容に応じたQR乗車券55を発行する。なお、本実施形態では、本発明の情報コードの一例としてQRコードを例示するが、自動改札機1において利用可能な乗車券が、バーコードなどの一次元コード、QRコード以外の二次元コード、又はその他の情報コードによって実現されていてもよい。
本実施形態では、センタ装置3単体が本発明に係る入出場管理システムに相当するが、本発明に係る入出場管理システムは、自動改札機1、駅サーバ2、センタ装置3、及び利用者端末4のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、センタ装置3及び利用者端末4の構成要素が協働して後述する各種の入出場管理処理(図13参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る入出場管理システムとして捉えることが可能である。例えば、センタ装置3及び利用者端末4が本発明に係る入出場管理システムを構成してもよい。
以下、駅務システム100を構成する自動改札機1、駅サーバ2、センタ装置3、及び利用者端末4の具体的な構成について説明する。
[センタ装置3]
センタ装置3は、駅8を含む鉄道事業を運営する鉄道事業者が管理する中央監視装置であり、鉄道事業者が運営する全ての駅8の駅サーバ2、自動改札機1、券売機(不図示)などの駅務機器を管理する。
図3に示すように、センタ装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備えている。
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部32には、センタ装置3で実行される後述の入出場管理処理などの各種処理を制御部31に実行させるための入出場管理プログラムなどの制御プログラム、前記各種処理に用いられる各種のデータが記憶されている。また、記憶部32には、利用者に関する情報を示す利用者情報が格納される利用者情報格納部321と、乗車券に関する情報を示す乗車券情報を格納する乗車券情報格納部322と、入場改札処理が行われた際の入場記録(入場履歴)に関する入場情報を格納する入場情報格納部323とが含まれる。
図4には、利用者情報格納部321に格納される利用者情報の一例を示している。利用者情報格納部321には、利用者ごとに、「利用者ID」、「利用者名」、「認証情報」、「口座残高」などの利用者情報が格納(登録)される。前記利用者情報は、利用者端末4において利用者により事前登録される。利用者は、利用者端末4にインストールした乗車券発行アプリケーションを起動させて前記利用者情報を登録してもよいし、鉄道事業者のWEBサイトにアクセスして前記利用者情報を登録してもよい。「利用者ID」は、利用者の識別情報であり、「利用者名」は、利用者の名前である。「認証情報」は、利用者を認証する認証処理(本人確認)に用いられる情報であり、例えば文字列からなるパスワード、生体情報(指紋情報、顔情報など)などである。利用者は任意の認証情報を設定することが可能である。認証情報は、本発明の登録情報の一例である。「口座残高」は、入場駅から出場駅までの利用区間の利用金額(運賃)に対する決済処理に用いられる口座の残高の情報である。口座残高は、電子マネーを利用する場合のチャージ額の残高であってもよいし、クレジットカードを利用する場合の引き落とし口座の残高であってもよい。例えば利用者は、利用者端末4において乗車券発行アプリケーションを起動させて任意の金額を入金して口座残高を増額することができる。
図5には、乗車券情報格納部322に格納される乗車券情報の一例を示している。乗車券情報格納部322には、QR乗車券(QRコード)55ごとに、「乗車券ID」、「利用者ID」、「入場駅ID」、「発行日時」、「入出場ID」などの乗車券情報が格納(登録)される。前記乗車券情報は、利用者の発行要求に基づいてQR乗車券55が発行される度に登録される。「乗車券ID」は、乗車券の識別情報(QRコードID)である。「利用者ID」は、QR乗車券55の発行要求を行った利用者の識別情報である。「入場駅ID」は、利用者が利用する入場駅(乗車駅)の識別情報(駅名コード)であり、前記発行要求に含まれる。「発行日時」は、QR乗車券55を発行した日付及び時刻を示す情報である。「入出場ID」は、QR乗車券55の入出場種別(入場用又は出場用)を示す識別情報である。利用者からの発行要求に基づいて発行されるQR乗車券55は、入場用QR乗車券55(本発明の第1情報コードの一例)であり、この場合、「入出場ID」に「入場」が登録される。また利用者の認証情報(図4参照)に基づいて利用者が認証された場合に発行されるQR乗車券55は、出場用QR乗車券55(本発明の第2情報コードの一例)であり、この場合、「入出場ID」に「出場」が登録される。なお、前記乗車券情報は、利用者が利用する出場駅(降車駅)の識別情報(出場駅ID)、入場駅から出場駅までの運賃の情報などを含んでもよい。
図6には、入場情報格納部323に格納される入場情報の一例を示している。入場情報格納部323には、QR乗車券55ごとに、「乗車券ID」、「利用者ID」、「入場駅ID」、「入場日時」などの入場情報(入場履歴)が格納(登録)される。前記入場情報は、自動改札機1において利用者が提示したQR乗車券55に基づいて適切に入場改札処理が行われる度に登録される。「乗車券ID」は、入場改札処理が行われた入場用QR乗車券55の識別情報(QRコードID)である。「利用者ID」は、入場用QR乗車券55を利用した利用者の識別情報であり、QR乗車券55から読み取られる。「入場駅ID」は、入場改札処理が行われた駅の識別情報(駅名コード)である。「入場日時」は、入場改札処理が行われた日付及び時刻を示す情報である。
通信部33は、センタ装置3を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介して外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。例えば、通信部33は、自動改札機1及び駅サーバ2を有線又は無線でネットワークN2に接続し、ネットワークN2を介して自動改札機1及び駅サーバ2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。また通信部33は、利用者端末4を無線でネットワークN3に接続し、ネットワークN3を介して利用者端末4との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
制御部31は、センタ装置3の各部の動作を制御する。制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりセンタ装置3を制御する。
図3に示すように、制御部31は、発行要求取得部311、入場用コード発行部312、入場情報取得部313、認証情報要求部314、認証情報取得部315、認証処理部316、出場用コード発行部317、決済処理部318などの各処理部を含む。入場用コード発行部312は、本発明の第1情報コード発行部の一例である。入場情報取得部313は、本発明の利用情報取得部の一例である。認証情報要求部314は、本発明の認証情報要求部の一例である。認証情報取得部315は、本発明の認証情報取得部の一例である。認証処理部316は、認証処理部の一例である。出場用コード発行部317は、第2情報コード発行部の一例である。決済処理部318は、本発明の決済処理部の一例である。
制御部31は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。言い換えると、前記CPUは、本実施形態に係る後述の入出場管理処理に応じたプログラム(入出場管理プログラム)を実行することにより、発行要求取得部311、入場用コード発行部312、入場情報取得部313、認証情報要求部314、認証情報取得部315、認証処理部316、出場用コード発行部317、決済処理部318などの処理部として機能する。また、制御部31に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。制御部31又は前記CPUが、入出場管理処理に対応するプログラムを実行するコンピュータの一例である。
発行要求取得部311は、利用者端末4からQR乗車券55の発行要求を取得する。例えば、利用者が利用者端末4において、乗車券発行アプリケーションの乗車発行受付画面(不図示)において、入場駅(乗車駅)など鉄道に乗車するための所定の情報を入力して入場用QR乗車券55の発行要求を送信すると、発行要求取得部311は、利用者端末4から当該発行要求を取得する。前記発行要求に、出場駅、運賃、乗車日などの情報が含まれてもよい。
入場用コード発行部312は、発行要求取得部311により取得された前記発行要求に基づいて入場用QR乗車券55を生成し、利用者端末4に発行(送信)する。例えば、入場用コード発行部312は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場IDなどの乗車券情報を記録したQRコードを生成する。なお、入場用コード発行部312は、入出場IDとして「入場」の情報をQRコードに記録する。入場用コード発行部312は、生成したQRコードを入場用QR乗車券55として利用者端末4に発行する。また入場用コード発行部312は、入場用QR乗車券55に記録した前記各乗車券情報を、乗車券情報格納部322(図5参照)に格納する。
入場情報取得部313は、入場用コード発行部312により発行された入場用QR乗車券55が利用されたことを示す入場情報(本発明の第1利用情報の一例)を取得する。例えば、利用者が改札内に入場する際に自動改札機1に翳したQR乗車券55(図8参照)に基づいて適切に入場改札処理が行われた場合に、入場用QR乗車券55が利用されたことを示す前記入場情報を駅サーバ2から取得する。前記入場情報には、入場用QR乗車券55(QRコード)から読み取られた乗車券ID及び利用者IDと、前記入場改札処理が行われた駅の識別情報(入場駅ID)と、前記入場改札処理が行われた日時を示す入場日時などの情報が含まれる。入場情報取得部313は、前記入場情報を取得すると、前記入場情報を入場情報格納部323(図6参照)に格納する。前記入場改札処理が行われた駅の入場駅IDは、本発明の入場位置情報の一例である。
認証情報要求部314は、利用者の認証情報を要求する。例えば、認証情報要求部314は、利用者端末4の表示部43の表示画面50に図9に示す認証画面を表示させて、利用者から認証情報の入力を受け付ける。また、本実施形態では、認証情報要求部314は、入場情報取得部313により前記入場情報が取得された場合に、利用者端末4に対して利用者の認証情報を要求する。すなわち、認証情報要求部314は、利用者に対する入場改札処理が行われて利用者が改札内に入場した後に、利用者に認証情報を要求する。
認証情報取得部315は、利用者端末4から前記認証情報を取得する。例えば、認証情報取得部315は、利用者が図9に示す認証画面の入力欄K1にパスワードを入力して、認証を依頼する操作キーK2を選択すると、認証情報取得部315は、利用者端末4から前記パスワードを取得する。認証情報取得部315が取得した前記認証情報は、利用者の認証処理に利用される。
ここで、認証情報取得部315は、前記認証情報を取得できない場合には利用者の認証処理を行うことができない。そこで、認証情報取得部315は、例えば、認証情報要求部314が前記認証情報を要求してから所定時間内に利用者端末4から前記認証情報を取得しない場合には、認証情報取得部315は、エラーメッセージなどのエラー情報を利用者端末4に通知してもよい。前記所定時間は、予め設定された固定の時間(例えば、3分)に設定されてもよいし、事前に登録された入場駅から出場駅までの所要時間に設定されてもよい。
認証処理部316は、認証情報取得部315により取得された前記認証情報に基づいて利用者の認証処理を実行する。例えば、認証処理部316は、認証情報取得部315により取得された前記パスワードが、利用者情報格納部321(図4参照)に予め登録された利用者情報に含まれる認証情報(パスワード)(登録情報)と一致する場合に、前記利用者を認証する。認証情報取得部315により取得された前記パスワードが、前記利用者情報に含まれるパスワードと一致しない場合には、認証処理部316は、前記利用者を認証せず、エラーメッセージなどのエラー情報(認証エラー)を利用者端末4に通知してもよい。
本実施形態では、認証処理部316は、利用者に対する入場改札処理が行われて利用者が改札内に入場した後に、認証情報取得部315により取得された前記認証情報に基づいて利用者の認証処理を実行する。
出場用コード発行部317は、認証処理部316により前記利用者が認証された場合に、出場用QR乗車券55を生成して、利用者端末4に発行(送信)する。例えば、出場用コード発行部317は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場IDなどの乗車券情報を記録したQRコードを生成する。なお、出場用コード発行部317は、入場駅IDとして、利用者が入場した駅、すなわち前記入場改札処理が行われた駅の識別情報(駅コード)をQRコードに記録する。また、出場用コード発行部317は、入出場IDとして「出場」の情報をQRコードに記録する。出場用コード発行部317は、生成したQRコードを出場用QR乗車券55として利用者端末4に発行する。また出場用コード発行部317は、出場用QR乗車券55に記録した前記各乗車券情報を、乗車券情報格納部322(図5参照)に格納する。
本実施形態では、出場用コード発行部317は、利用者に対する入場改札処理が行われて利用者が改札内に入場した後に、出場用QR乗車券55を利用者端末4に発行する。
決済処理部318は、利用者が入場した入場駅から利用者が出場した出場駅までの利用区間に応じた利用金額(運賃)に対する決済処理を実行する。具体的には、決済処理部318は、出場用コード発行部317により発行された出場用QR乗車券55が利用されたことを示す出場情報(本発明の第2利用情報の一例)を駅サーバ2から取得した場合に、入場用QR乗車券55が利用された入場駅から出場用QR乗車券55が利用された出場駅までの前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。
前記出場情報には、出場用QR乗車券55(QRコード)から読み取られた乗車券ID及び利用者IDと、前記出場改札処理が行われた駅の識別情報(出場駅ID)と、前記出場改札処理が行われた日時を示す出場日時などの情報が含まれる。すなわち、前記出場情報は、前記出場改札処理が適切に実行された場合に自動改札機1から駅サーバ2を通じてセンタ装置3に送信される。
決済処理部318は、例えば、前記入場情報(図6参照)から前記出場情報の乗車券IDに関連付けられた入場駅IDを取得し、前記出場情報から当該乗車券IDに関連付けられた出場駅IDを取得し、これら入場駅ID及び出場駅IDに基づいて前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。また決済処理部318は、利用者情報格納部321(図4参照)の利用者情報に含まれる口座残高から前記利用金額を引き落とし、当該口座残高を書き替える。
なお、決済処理部318は、前記利用金額が前記口座残高を超える場合には決済エラーを利用者端末4及び駅サーバ2に送信する。また、決済処理部318は、自動改札機1に含まれてもよい。この場合、自動改札機1は、出場改札処理において前記決済処理を実行する。自動改札機1において前記決済処理を行うことにより、自動改札機1及びセンタ装置3のデータ通信頻度を抑えることができるため改札処理の負荷を低減することができる。
また、センタ装置3は、入場改札処理時及び出場改札処理時に利用者が提示する入場用QR乗車券55及び出場用QR乗車券55との照合に必要な券発行情報を生成して、センタ装置3が管轄する全ての駅8(8A,8B)の駅サーバ2に送信する。前記券発行情報は、前記乗車券情報に対応する。
[利用者端末4]
図7は、利用者端末4の構成を示すブロック図である。図8及び図9は、利用者端末4の表示部43の表示画面50に表示される情報の一実施例を示す図である。
図7に示すように、利用者端末4は、制御部41、記憶部42、表示部43、通信部44、操作入力部45などを備える。利用者端末4は、鉄道を利用する利用者が所持する携帯端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末である。
通信部44は、利用者端末4を無線でネットワークN3に接続し、ネットワークN3を介してセンタ装置3などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
操作入力部45は、利用者の操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどのユーザーインターフェースである。利用者は、利用者端末4にインストールされている前記乗車券発行アプリケーションを操作したり、発行済みのQR乗車券(QRコード)55を表示したりする際に、操作入力部45を操作して、所定の指示や情報を入力する。
表示部43は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどディスプレイ装置である。図8に示すように、鉄道を利用する際に必要なQR乗車券55(入場用QR乗車券55、出場用QR乗車券55)が表示部43の表示画面50に表示される。また図9に示すように、利用者の認証情報(パスワードなど)を入力するための認証画面が表示部43の表示画面50に表示される。
記憶部42は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部42には、制御部41に各種処理を実行させるための制御プログラムや、前記乗車券発行アプリケーションのプログラム、発行済みのQR乗車券55などの各種情報が記憶されている。
制御部41は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部41は、前記ROM又は記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより利用者端末4を制御する。
図7に示すように、制御部41は、受付処理部411、表示処理部412、認証情報処理部413などの各種処理部を含む。
なお、制御部41は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部41に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
受付処理部411は、操作入力部45を通じて利用者から各種操作を受け付ける。受付処理部411は、前記CPUが前記乗車券発行アプリケーションのプログラムを実行することにより実現される。受付処理部411は、利用者端末4に前記乗車券発行アプリケーションがインストールされることによって、利用者端末4上で機能する処理部である。前記乗車券発行アプリケーションが利用者端末4上で起動され、ログイン画面において登録済みの利用者ID及びパスワードが入力されると、乗車券発行画面(不図示)が表示される。利用者は、乗車券発行画面において、入場駅(乗車駅)などを含む乗車券情報を入力し、その後、発行要求を選択すると、受付処理部411は、発行要求をセンタ装置3に送信する。その後、センタ装置3から、前記乗車券情報が記録された入場用QR乗車券(QRコード)55が利用者端末4に送信(発行)される。入場用QR乗車券55は、表示処理部412による表示処理が可能なように、記憶部42に記憶される。
表示処理部412は、記憶部42に記憶されているQR乗車券55(図8参照)を表示画面50に表示する処理を行う。具体的には、表示処理部412は、利用者端末4の表示部43の表示画面50にQR乗車券55を表示する。なお、表示処理部412は、入場用QR乗車券55及び出場用QR乗車券55を識別可能な情報を表示画面50に表示させてもよい。また、表示処理部412は、センタ装置3から前記認証情報の要求を取得すると、認証画面(図9参照)を表示画面50に表示する処理を行う。また、表示処理部412は、センタ装置3から各種メッセージ情報(エラー情報など)を取得すると、メッセージ情報を表示画面50に表示する処理を行う。
認証情報処理部413は、図9に示す認証画面において利用者が入力欄K1に認証情報(例えば、パスワード)を入力して、認証を依頼する操作キーK2を選択すると、前記認証情報をセンタ装置3に送信する。その後、センタ装置3において利用者の認証が行われると、センタ装置3から、前記乗車券情報が記録された出場用QR乗車券(QRコード)55が利用者端末4に送信(発行)される。出場用QR乗車券55は、表示処理部412による表示処理が可能なように、記憶部42に記憶される。
利用者は、改札内に入場する際に、利用者端末4に表示される入場用QR乗車券55を入場用の自動改札機1A(図2参照)に翳して入場改札処理を行う。また利用者は、改札外へ出場する際に、利用者端末4に表示される出場用QR乗車券55を出場用の自動改札機1B(図2参照)に翳して出場改札処理を行う。入場用の自動改札機1Aは、本発明の入場ゲート装置の一例であり、出場用の自動改札機1Bは、本発明の出場ゲート装置の一例である。
[自動改札機1]
図10は、自動改札機1の構成を示すブロック図である。自動改札機1は、駅8の改札口に設置されるものであり、前記改札口を通る利用者に対して改札処理を行う。自動改札機1は、図2に示すように、互いに対向するように設置された自動改札機1A及び自動改札機1Bを備える。本実施形態では、自動改札機1は、改札通路6(図2参照)を通行しようとする利用者が所有する利用者端末4から二次元コードであるQRコード(入場用QR乗車券55、出場用QR乗車券55)(図8参照)を乗車券として取得する。
図2及び図10に示すように、自動改札機1は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、通信部14と、ゲート15と、ICカード読取部16(図2参照)と、QRコード読取部17とを備えており、これらが自動改札機1の筐体10(図2参照)に設けられている。QRコード読取部17は、本発明の情報コード読取部の一例である。
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、自動改札機1で実行される各種処理を制御部11に実行させるための制御プログラム、前記各種処理に用いられる各種のデータが記憶されている。また、記憶部12には、駅サーバ2から自動改札機1に送信される券発行情報が記憶されている。この券発行情報は、入場改札処理時及び出場改札処理時に利用者が提示したQR乗車券55の乗車券情報を照合するために用いられる情報であり、センタ装置3から駅サーバ2を介して送信される。
表示部13は、制御部11からの指示に従って、改札通路6を通行する利用者に対してメッセージを表示する。表示部13は、例えば、液晶パネルを有している。図2に示すように、表示部13は、自動改札機1の筐体10の上面に配置されている。詳細には、表示部13は、筐体10の上面において、改札通路6(図2参照)における利用者の進行方向(矢印D10又は矢印D11の方向)の前方側に配置されている。本実施形態では、表示部13は、入場又は出場に用いられるゲート15と概ね同じ位置か、又は、ゲート15よりも前記進行方向の前方側に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部13には、利用者に通行可能であることを示すメッセージが表示される。また、利用者の通行が許可されない場合、表示部13には、利用者に通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。また、QR乗車券55の読取処理が適切に行われなかった場合、表示部13に、読取エラーを示すメッセージ、又は、再度の読取操作を促すメッセージが表示されてもよい。
また、自動改札機1が出場用として用いられる場合は、表示部13に、例えば、運賃が不足していることを示すメッセージが表示されてもよい。また、出場用QR乗車券55に入場駅の情報が含まれる場合には、表示部13に、利用金額(運賃)が表示されてもよい。
通信部14は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークに接続し、ネットワークを介して外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。例えば、通信部14は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して駅サーバ2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。また通信部14は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークN2に接続し、ネットワークN2を介してセンタ装置3との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
ゲート15は、自動改札機1の改札通路6において前記進行方向の前方側の出口の付近に設置される。ゲート15は、例えば開閉可能な扉である。ゲート15が開放されると、利用者は自動改札機1の改札通路6を通過することが可能となり、ゲート15が閉鎖されると、利用者は自動改札機1の改札通路6を通過することが不可能となる。なお、ゲート15は、物理的な扉に限られず、例えば、ホログラムを用いた立体画像で現された扉であってもよい。また、ゲート15は、音声により利用者の通過を許可又は禁止する音声ゲートであってもよい。
QRコード読取部17は、筐体10の上面において、前記出口付近に設けられたゲート15よりも前記進行方向の手前側(自動改札機1の入口側)に設けられている。筐体10の前記進行方向の手前側の端部にはICカード読取部16が設けられており、QRコード読取部17は、ICカード読取部16における読取面上において前記進行方向の前方側(自動改札機1の出口側)に設けられている。
QRコード読取部17は、表示画面50に表示されたQR乗車券55を含む画面画像51(図8参照)を撮像してデジタルの画像データ(読取データ)として出力するデジタルカメラなどの撮像部171を含む。撮像部171は、QRコード読取部17の読取面に翳された表示画面50を連続して撮像し(読み取り)、各撮像によって得られた複数の画面画像51(撮像画像)の画像データ(以下、単に「画面画像51」と称する場合がある。)を制御部11に送信する。また撮像部171は、QRコード(QR乗車券55)が印刷された紙媒体がQRコード読取部17の読取面に翳された場合に、紙媒体を撮像した撮像画像の画像データを制御部11に送信する。制御部11の読取処理部114は、QRコード読取部17から送られてきた撮像画像からQR乗車券(QRコード)55を読み取り、QR乗車券55に記録された乗車券情報を取得する。なお、撮像部171は、表示画面50の全領域の画像を画面画像51として撮像してもよい。
本実施形態では、前記読取面に表示画面50が翳されてから表示画面50が前記読取面から離れるまでの間(所定時間)において、撮像部171が複数枚の画面画像51を撮像する構成を例示するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、撮像部171は、前記所定時間の動画を撮像するものであってもよい。
QRコード読取部17により撮像された複数の画面画像51(図8参照)は、制御部11の判定処理部115(図10参照)による判定処理に用いられる。
なお、自動改札機1には、ICカード読取部16(図2参照)が設けられており、利用者は、ICカード形式の乗車券をICカード読取部16に読み取らせる方法などを用いて、自動改札機1を通行することもできる。本実施形態では、ICカード読取部16の構成、及びICカードの読取処理の説明を省略する。
制御部11は、自動改札機1の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自動改札機1を制御する。
図10に示すように、制御部11は、検出処理部111、撮像処理部113、読取処理部114、判定処理部115、通行制御部116、及びゲート処理部117などの各処理部を含む。通行制御部116は、本発明の通行制御部の一例である。
制御部11は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
検出処理部111は、利用者端末4を検出する。具体的には、利用者端末4が検知センサ(不図示)により検知されると、検出処理部111は、前記検知センサから取得する検知信号に基づいて利用者端末4を検出する。すなわち、検出処理部111は、前記検知信号に基づいて利用者端末4を検出したか否かを判定する。ここで、検知センサは、例えばQRコード読取部17に近接して設けられている。このため、検出処理部111が利用者端末4を検出した時点では、利用者端末4がQRコード読取部17の読取面上に位置していることになる。
撮像処理部113は、検出処理部111により検出される利用者端末4の表示画面50を撮像部171に撮像させる。なお、QRコードの読取精度を向上させるために、撮像処理部113は、表示画面50に光を照射して撮像処理を実行してもよい。撮像部171により撮像された表示画面50の画面画像51(撮像画像)の画像データは、制御部11に送信される。
読取処理部114は、QRコード読取部17から送信されてきた画面画像51からQR乗車券55(QRコード)を読み取り、QR乗車券55に記録されている前記乗車券情報を取得する。例えば、読取処理部114は、画面画像51から、QRコード55に含まれる3つの切り出しシンボル(ファインダパターン)を抽出し、各シンボルによって特定される矩形領域をQRコードの画像と特定する。そして、読取処理部114は、特定したQRコードを文字列に復号して前記乗車券情報を取得する。
判定処理部115は、読取処理部114により読み取られたQR乗車券55の有効性を判定する。具体的には、判定処理部115は、入場改札処理において、QR乗車券55の前記乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいてQR乗車券55の有効性を判定する。例えば、利用者が利用者端末4により入場駅Aの自動改札機1にQR乗車券55を翳した場合に、入場駅Aの駅サーバ2は、QR乗車券55から読み取られた乗車券IDと前記券発行情報に含まれる乗車券IDとが一致するか否かを判定し、判定結果を自動改札機1に送信する。判定処理部115は、駅サーバ2から両者が一致する判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を有効と判定し、駅サーバ2から両者が一致しない判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を無効と判定する。また、判定処理部115は、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場IDなどの情報を用いて前記判定処理を実行してもよい。例えば、入場駅Aの駅サーバ2は、QR乗車券55から読み取られた入出場IDが「入場」であるか否かを判定し、判定結果を自動改札機1に送信する。判定処理部115は、駅サーバ2から入出場IDが「入場」であることを示す判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を有効と判定し、入出場IDが「入場」でない(「出場」である)ことを示す判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を無効と判定する。これにより、例えば、使用済みの出場用QR乗車券55を複製して入場しようとする不正利用を防ぐことができる。
また、判定処理部115は、出場改札処理において、QR乗車券55の前記乗車券情報に登録されている各種の情報に基づいてQR乗車券55の有効性を判定する。例えば、利用者が利用者端末4により出場駅Bの自動改札機1にQR乗車券55を翳した場合に、出場駅Bの駅サーバ2は、QR乗車券55から読み取られた入出場IDが「出場」であるか否かを判定し、判定結果を自動改札機1に送信する。判定処理部115は、駅サーバ2から入出場IDが「出場」であることを示す判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を有効と判定し、入出場IDが「出場」でない(「入場」である)ことを示す判定結果を取得した場合に、QR乗車券55を無効と判定する。また、判定処理部115は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時などの情報を用いて前記判定処理を実行してもよい。これにより、例えば、入場用QR乗車券55を複製して出場しようとする不正利用を防ぐことができる。
また、判定処理部115は、前記利用金額が前記口座残高より高くセンタ装置3から決済エラーを取得した場合、QR乗車券55を無効と判定する。
ここで、自動改札機1が運賃の前記決済処理を実行する場合、判定処理部115は、以下のようにしてQR乗車券55の有効性を判定する。例えば、利用者が利用者端末4により、入場駅Aの自動改札機1にQR乗車券55を翳して入場した後、出場駅Bの自動改札機1にQR乗車券55を翳した場合に、出場駅Bの駅サーバ2は、前記券発行情報に基づいて入場駅Aから出場駅Bまでの利用区間の運賃と、決済に利用する電子マネーの口座残高とを比較し、比較結果を自動改札機1に送信する。判定処理部115は、前記運賃が前記口座残高以下である場合にQR乗車券55を有効と判定し、前記運賃が前記口座残高より高い場合にQR乗車券55を無効と判定する。
また、判定処理部115は、QR乗車券55が不正に複製されたQRコード又は使用後のQRコードである場合、QR乗車券55を無効であると判定してもよい。
判定処理部115によってQR乗車券55が有効であると判定された場合、制御部11は、QR乗車券55に含まれる前記乗車券情報に基づいて改札処理を実行する。
通行制御部116は、判定処理部115による判定結果に基づいて、自動改札機1を利用する利用者の通過を制御する。具体的には、通行制御部116は、QR乗車券55が有効と判定された場合に、利用者が改札通路6を通行することを許可する。また、通行制御部116は、QR乗車券55が無効と判定された場合に、利用者が改札通路6を通行することを禁止する。
ゲート処理部117は、ゲート15の動作(開閉動作)を制御する。例えば、改札通路6における利用者の通行が許可された場合、ゲート処理部117は、ゲート15を開放する。一方、改札通路6における利用者の通行が禁止された場合、ゲート処理部117は、ゲート15を閉鎖する。
[駅サーバ2]
駅サーバ2は、駅務室などに設置されるサーバ装置であり、駅8内に属する自動改札機1などの駅務機器を管理する。駅サーバ2は、有線又は無線によりネットワークN1,N2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1を介して自動改札機1などの駅務機器との間でデータ通信を実行し、ネットワークN2を介してセンタ装置3との間でデータ通信を実行する。センタ装置3から送信された前記券発行情報は、駅8内に属する全ての自動改札機1に送信されて、自動改札機1の記憶部12内に格納される。
[入出場管理処理]
以下、図11のフローチャートを用いて、センタ装置3の制御部31によって実行される入出場管理処理の手順の一例とともに、本発明の入出場管理方法について説明する。図11において、S11,S12,・・・は処理手順の番号(ステップ番号)を示す。なお、以下の入出場管理処理は、利用者が乗車券(入場用QR乗車券55)の発行要求を行った場合に行われる。
なお、本発明は、前記入出場管理処理に含まれる一又は複数のステップを実行する入出場管理方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記入出場管理処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記入出場管理処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部31によって前記入出場管理処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、複数のプロセッサによって前記入出場管理処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
ステップS11において、制御部31は、利用者端末4から入場用QR乗車券55の発行要求を取得したか否かを判定する。制御部31が利用者端末4から入場用QR乗車券55の発行要求を取得した場合(S11:YES)、処理はステップS12に移行する。
ステップS12において、制御部31は、利用者端末4から取得した前記発行要求に基づいて入場用QR乗車券55を生成し、利用者端末4に発行(送信)する。例えば、制御部31は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場IDなどの乗車券情報を記録したQRコードを生成し、生成したQRコードを入場用QR乗車券55として利用者端末4に発行する。また制御部31は、入場用QR乗車券55に記録した前記各乗車券情報を、乗車券情報格納部322(図5参照)に格納する。ステップS12は、本発明の第1情報コード発行ステップの一例である。
次にステップS13において、制御部31は、入場用QR乗車券55が利用されたことを示す入場情報を取得したか否かを判定する。すなわち、制御部31は、利用者が改札内に入場する際に自動改札機1に翳した入場用QR乗車券55(図8参照)に基づいて適切に入場改札処理が行われたか否かを判定する。制御部31が前記入場情報を駅サーバ2から取得した場合(ステップS13:YES)、処理はステップS14に移行する。
一方、制御部31が前記入場情報を駅サーバ2から取得しない場合(ステップS13:NO)、処理はステップS20に移行する。ステップS20では、利用者により入場用QR乗車券55が利用されていないため、制御部31は入場用QR乗車券55を無効化(リセット)するなどのエラー処理を実行し、処理をステップS11に戻す。ステップS13は、本発明の利用情報取得ステップの一例である。
ステップS14において、制御部31は、利用者の認証情報を要求する。制御部31は、利用者端末4の表示部43の表示画面50に認証画面(図9参照)を表示させて、利用者から認証情報の入力を受け付ける。ステップS14は、本発明の認証情報要求ステップの一例である。
次にステップS15において、制御部31は、利用者端末4から前記認証情報を取得したか否かを判定する。例えば、利用者が前記認証画面において認証情報(パスワード)を入力した場合、制御部31は、利用者端末4から前記パスワードを取得する。制御部31が所定時間以内に前記認証情報を取得した場合は(S15:YES)、処理はステップS16に移行する。
一方、制御部31が所定時間以内に前記認証情報を取得しなかった場合(S15:NO、S21:YES)、言い換えると、制御部31が前記認証情報を取得しない状態で所定時間が経過した場合、処理はステップS22に移行する。ステップS22では、制御部31はタイムアウトなどのエラーメッセージを利用者端末4に通知して、処理を終了する。ステップS15は、本発明の認証情報取得ステップの一例である。
ステップS16において、制御部31は、利用者の認証処理を行う。例えば、制御部31は、利用者端末4から取得した前記パスワードと、利用者情報格納部321(図4参照)に予め登録された利用者情報に含まれる認証情報(パスワード)とを比較し、両者が一致する場合に、前記利用者を認証する(S16:YES)。この場合、処理はステップS17に移行する。ステップS16は、本発明の認証ステップの一例である。
一方、前記両者が一致しない場合、制御部31は、前記利用者を認証せず(認証エラー)(S16:NO)、処理をステップS22に移行する。ステップS22では、制御部31は、認証エラーを利用者端末4に通知する。
ステップS17において、制御部31は、出場用QR乗車券55を生成して、利用者端末4に発行(送信)する。例えば、制御部31は、乗車券ID、利用者ID、入場駅ID、発行日時、入出場IDなどの乗車券情報を記録したQRコードを生成し、生成したQRコードを出場用QR乗車券55として利用者端末4に発行する。また制御部31は、出場用QR乗車券55に記録した前記各乗車券情報を、乗車券情報格納部322(図5参照)に格納する。ステップS17は、本発明の第2情報コード発行ステップの一例である。
次にステップS18において、制御部31は、出場用QR乗車券55が利用されたことを示す出場情報を取得したか否かを判定する。例えば、制御部31は、利用者が改札外へ出場する際に自動改札機1に翳した出場用QR乗車券55(図8参照)から読み取られた乗車券IDなどの乗車券情報を駅サーバ2から取得した否かを判定する。制御部31は前記出場情報を駅サーバ2から取得すると(ステップS18:YES)、処理をステップS19に移行する。
ステップS19において、制御部31は、入場用QR乗車券55が利用された入場駅から出場用QR乗車券55が利用された出場駅までの前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。例えば、制御部31は、前記入場情報(図6参照)から前記出場情報の乗車券IDに関連付けられた入場駅IDを取得し、前記出場情報から当該乗車券IDに関連付けられた出場駅IDを取得し、これら入場駅ID及び出場駅IDに基づいて前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。また制御部31は、利用者情報格納部321(図4参照)の利用者情報に含まれる口座残高から前記利用金額を引き落とし、当該口座残高を書き替える。
以上説明したように、本実施形態に係るセンタ装置3は、利用者端末4から取得する入場用QR乗車券55の発行要求に基づいて入場用QR乗車券55を利用者端末4に発行し、入場用QR乗車券55が利用されたことを示す入場情報(第1利用情報)を取得すると、前記利用者の認証情報を要求する。そして、センタ装置3は、利用者端末4から前記認証情報を取得して利用者を認証すると、出場用QR乗車券55を利用者端末4に発行する。このように、センタ装置3は、入場用QR乗車券55により入場改札処理が終了して利用者が改札内に入場した後に、利用者に認証情報を入力させ、利用者が認証された場合に出場用QR乗車券55を利用者端末4に発行する。利用者は、出場時に出場用QR乗車券55を自動改札機1に翳すことにより出場改札処理が行われて改札外へ出場することが可能となる。また、センタ装置3は、利用者が認証されない場合には出場用QR乗車券55を発行しない。このように、利用者が改札内に入場後に出場用QR乗車券55を発行することにより、入場前に出場用QR乗車券55が複製されることを防ぐことができる。
また、不正利用者が入場用QR乗車券55を複製して入場した場合であっても、当該不正利用者の利用者端末4に出場用QR乗車券55が発行されないため、不正利用者は出場時に自動改札機1において通行が禁止される。また、本実施形態に係るセンタ装置3によれば、入場用QR乗車券55の利用時間(有効時間)に制限を設ける必要がないため、利用者の利便性が損なわれることもない。よって、利用者の利便性を損なうことなくQRコードの複製による不正利用を防止することが可能となる。
本発明は上述の実施形態に限定されない。以下、本発明の他の実施形態について説明する。
他の実施形態に係るセンタ装置3は、利用者が改札内に入場する前に利用者の認証処理を行う。すなわち、センタ装置3は、利用者が入場用QR乗車券55を自動改札機1に翳して入場改札処理が行われる前に、利用者端末4に認証情報を要求し、利用者端末4から認証処理を取得すると利用者の認証処理を実行する。そして、センタ装置3は、利用者を認証した場合には、利用者に対する入場改札処理が適切に行われて利用者が改札内に入場したことを条件として出場用QR乗車券55を発行する。この実施形態に係る入出場管理処理の手順の一例を、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、図11に示す入出場管理処理と同一の処理については説明を簡略化又は省略する。
先ず、制御部31は、利用者端末4から入場用QR乗車券55の発行要求を取得すると(S31:YES)、前記発行要求に基づいて入場用QR乗車券55を生成し、利用者端末4に発行(送信)する(S32)。
次にステップS33において、制御部31は、利用者の認証情報を要求する。すなわち、制御部31は、入場用QR乗車券55が発行されてから後述の入場情報が取得されるまでの間に、前記利用者の認証情報を要求する。制御部31は、利用者端末4から前記認証情報(パスワード)を取得すると(S34)、利用者の認証処理を実行する(S35)。制御部31は、利用者を認証すると(S35:YES)、処理をステップS36に移行する。一方、制御部31は、利用者を認証しない場合(S35:NO)、処理をステップS42に移行しエラー処理を実行する。
ステップS36において、制御部31は、入場用QR乗車券55が利用されたことを示す入場情報を取得したか否かを判定する。すなわち、制御部31は、利用者が改札内に入場する際に自動改札機1に翳した入場用QR乗車券55(図8参照)に基づいて適切に入場改札処理が行われたか否かを判定する。制御部31は、前記入場情報を駅サーバ2から取得すると(ステップS36:YES)、処理をステップS37に移行する。なお、制御部31が前記入場情報を駅サーバ2から取得しない場合に、エラー処理を実行してもよい。
ステップS37において、制御部31は、利用者を認証してから前記入場情報を取得するまでの所要時間を取得する。すなわち、制御部31は、利用者を認証してから利用者が入場用QR乗車券55により入場改札処理を行うまでの所要時間を取得する。
ステップS38において、制御部31は、前記所要時間が所定時間以内であるか否かを判定する。前記所要時間が前記所定時間以内である場合(S38:YES)、制御部31は、ステップS39において、出場用QR乗車券55を生成して、利用者端末4に発行する。一方、前記所要時間が前記所定時間を超える場合(S38:NO)、制御部31は、ステップS42において、エラー処理を実行する。ステップS42では、制御部31はタイムアウトなどのエラーメッセージを利用者端末4に通知して、処理を終了する。ステップS40以降の処理は図11に示す処理と同一である。
このように、センタ装置3は、利用者の認証処理を入場改札処理の前に行う。これにより、利用者は入場用QR乗車券55の発行要求と認証処理に関する操作(認諸情報の入力など)とを、入場改札処理の前に一連の操作の中で行うことができる。また、センタ装置3は、利用者を認証した場合には、入場改札処理の後に出場用QR乗車券55を利用者に発行する。このため、入場用QR乗車券55及び出場用QR乗車券55を事前に複製して乗車する不正利用を防止することができる。さらに、センタ装置3は、利用者を認証してから前記入場情報を取得するまでの所要時間が所定時間以内である場合に出場用QR乗車券55を発行し、前記所要時間が前記所定時間を超える場合には出場用QR乗車券55を発行しない。このように、利用者を認証した場合に、改札内に入場可能な有効時間を設定することにより、入場用QR乗車券55の複製など不正行為が行われる可能性を抑えることができる。
本発明に係る入出場管理システムの他の実施形態として、利用者端末4が、利用者の認証処理と、出場用QR乗車券55の発行処理とを実行してもよい。この実施形態に係る入出場管理処理の手順の一例を、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、図11に示す入出場管理処理と同一の処理については説明を簡略化又は省略する。この実施形態では、センタ装置3の制御部31及び利用者端末4の制御部41が協働して入出場管理処理を実行する。
先ず、利用者端末4の制御部41が入場用QR乗車券55の発行要求を送信すると(S51)、センタ装置3の制御部31は、発行要求を取得し(S52)、入場用QR乗車券55を生成して利用者端末4に発行する(S53)。
利用者端末4の制御部41は、入場用QR乗車券55を取得すると(S54)、入場用QR乗車券55を表示画面50(図8参照)に表示させる(S55)。入場用の自動改札機1において入場改札処理が行われると、制御部31は入場情報を取得する(S56)。制御部31(本発明の送信処理部に対応)は、入場情報を取得すると、利用者が改札内に入場したことを示す確認信号を利用者端末4に送信する(S57)。なお、前記入場情報は利用者端末4の記憶部42にも格納される。
利用者端末4の制御部41は、センタ装置3から前記確認信号を受信すると(S58)、利用者に認証情報を要求する(S59)。すなわち、制御部41は、図9に示す認証画面を表示部43に表示させる。
制御部41は、所定時間以内に前記認証情報(パスワード)を取得した場合(S60:YES)、処理はステップS61に移行し、所定時間以内に前記認証情報を取得しなかった場合(S60:NO、S65:YES)、処理はステップS66に移行する。
ステップS61において、制御部41は、利用者の認証処理を行う。例えば、制御部41は、利用者端末4から取得した前記パスワードと、前記利用者情報に含まれる認証情報(パスワード)とを比較し、両者が一致する場合に、前記利用者を認証する(S61:YES)。この場合、処理はステップS62に移行する。なお、ステップS57において、センタ装置3は、前記確認信号とともに前記利用者情報を利用者端末4に送信してもよい。そして、利用者端末4の制御部41は、前記利用者情報を記憶部42に格納し、当該利用者情報を参照して、前記認証処理を実行してもよい。
一方、前記両者が一致しない場合、制御部41は、前記利用者を認証せず(認証エラー)(S61:NO)、処理をステップS66に移行する。ステップS66では、制御部41は、認証エラーを表示画面50に表示させる。
ステップS62において、制御部41は、出場用QR乗車券55を生成して、表示画面50に表示させる。また制御部41は、出場用QR乗車券55に記録した前記各乗車券情報を、記憶部42に格納する。
次にステップS63において、制御部41は、出場用QR乗車券55が利用されたことを示す出場情報を取得したか否かを判定する。例えば、制御部41は、利用者が改札外へ出場する際に自動改札機1に翳した出場用QR乗車券55(図8参照)から読み取られた乗車券IDなどの乗車券情報を駅サーバ2から取得した否かを判定する。制御部41は前記出場情報を駅サーバ2から取得すると(ステップS63:YES)、処理をステップS64に移行する。
ステップS64において、制御部41は、入場用QR乗車券55が利用された入場駅から出場用QR乗車券55が利用された出場駅までの前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。例えば、制御部41は、記憶部42に格納された前記入場情報(図6参照)から前記出場情報の乗車券IDに関連付けられた入場駅IDを取得し、前記出場情報から当該乗車券IDに関連付けられた出場駅IDを取得し、これら入場駅ID及び出場駅IDに基づいて前記利用区間に応じた前記利用金額に対する前記決済処理を実行する。また制御部41は、記憶部42に格納された前記利用者情報に含まれる口座残高から前記利用金額を引き落とし、当該口座残高を書き替える。
このように、利用者端末4は、利用者の認証処理と、出場用QR乗車券55の発行処理とを実行してもよい。これにより、例えば利用者が改札内に入場した後にセンタ装置3において通信障害が生じて利用者端末4がセンタ装置3から出場用QR乗車券55を取得できない場合であっても、利用者端末4において出場用QR乗車券55を発行させることができるため、適切に出場改札処理を実行することができる。また、利用者端末4において決済処理を行うこともできる。なお、利用者端末4において決済処理を行う場合には、センタ装置3の通信が復帰した後に、利用者端末4が決済情報(決済結果)をセンタ装置3に通知してもよい。
ここで、本発明の入出場管理システムは、図11に示す実施形態と図13に示す実施形態とを組み合わせた形態としてもよい。例えば、入出場管理システムは、センタ装置3の通信状態を監視する通信監視部を備え、センタ装置3の通信状態が正常である場合には、センタ装置3が、前記認証処理と、出場用QR乗車券55の発行処理とを実行し、センタ装置3に通信障害が生じるなどセンタ装置3の通信状態が異常である場合には、利用者端末4が、前記認証処理と、出場用QR乗車券55の発行処理とを実行する。なお、前記通信監理部は、センタ装置3が備えてもよいし、駅サーバ2が備えてもよい。利用者端末4は、センタ装置3の異常の通知を取得すると、センタ装置3から前記認証処理及び前記発行処理の権限を取得して、これらの処理を実行する。