JP2020147721A - 潜熱蓄熱機能を有するウレタンフォーム - Google Patents

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Abstract

【課題】温度が26℃以上の就寝環境において、十分なひんやり感を感じ、就寝環境を好適にし、寝心地のよい寝具を提供することを課題とする。【解決手段】潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームであって、前記潜熱蓄熱材料は、少なくとも、バインダーと、炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBとを含み、前記マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下であり、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下であることを特徴とする潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームとする。【選択図】なし

Description

本発明は、潜熱蓄熱機能を有するウレタンフォームに関する。
マットレス、枕、ソファーや座椅子、クッション、衣類等の多種の分野(以下、寝具等)において、クッション性に優れていることから、これまでに軟質ポリウレタンフォームが多く用いられてきた。
軟質ポリウレタンフォームは、クッション性を持つ一方、その表面、及び内部に多数のセルを有し、空気層を持つことから、断熱効果があった。そのため、軟質ポリウレタンフォームに身体が接触した際に、暖かく感じやすく、また、熱が内部にこもりやすいことから、蒸れてしまうことがあった。そこで、軟質ポリウレタンフォームに溝加工等を施すことで、通気性を向上させ、寝床内温湿度が上がり過ぎないように、調整する方法が検討されてきた。
一方、近年、夏場の就寝時の温度が26℃を超える、いわゆる熱帯夜となる日数が多くなっている。そのため、前記溝加工等の調整では、快適な就寝環境とはならず、不十分であった。
このような要求に応じて、従来、融点が−5.5℃〜61.4℃のパラフィン系炭化水素のマイクロスフィアをポリウレタン等の発泡樹脂に浸透させた発泡樹脂体(特許文献1)が提案されている。
特許文献1に記載の技術は、炭素数18のパラフィン系炭化水素をマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材料をウレタンフォームに塗工しているが、夏場において一度身体に触れて前記パラフィン系炭化水素が融解すると再度凝固するのに時間がかかり、繰り返し使用が難しかった。
特開平10−305507号公報
本発明は、上記従来技術の諸問題を解決し、特に温度が26℃以上の熱帯夜において、身体に十分なひんやり感を感じ、就寝環境を好適にし、寝心地のよい寝具を提供することを課題とする。
本発明は、このような知見のもとでなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームであって、
前記潜熱蓄熱材料は、少なくとも、バインダーと、炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBとを含み、
前記マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下であり、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下であることを特徴とする潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム。
(2)前記マイクロカプセルBが、炭素数20のパラフィン系炭化水素を内包していることを特徴とする上記(1)に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム
(3)前記マイクロカプセルの総量100質量部に対し、マイクロカプセルAは60質量部以上90質量部以下、マイクロカプセルBは10質量部以上40質量部以下である、ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム。
(4)単位面積当たりの融解潜熱量が6000J/m2以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム
本発明の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームによれば、温度が26℃以上の就寝環境において、前記潜熱蓄熱材料は、少なくとも、バインダーと炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBとを含み、前記マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下であり、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下とすることで、身体が軟質ポリウレタンフォームに触れた際に、マイクロカプセル内のパラフィン系炭化水素が溶解し、身体にひんやり感を感じることができ、さらに、軟質ポリウレタンフォームが身体から離れると、外気温によりマイクロカプセル内のパラフィン系炭化水素の一部が凝固しやすく、再度身体が軟質ポリウレタンフォームに接触した際にも身体にひんやり感を感じることができる軟質ポリウレタンフォームを提供することができる。
本発明の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームは、潜熱蓄熱材料として、少なくとも、バインダーと炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBとを含み、前記マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下であり、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下であることを特徴とする。
前記潜熱蓄熱材料に使用されるマイクロカプセルは、少なくとも、炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包するマイクロカプセルAと炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包するマイクロカプセルBとからなる。
前記パラフィン系炭化水素の融解ピーク温度は、26℃以上36℃以下で、好ましくは、27℃以上35℃以下である。前記融解ピーク温度が26℃未満では、夏場の就寝環境でほとんどが融解しており、求めるひんやり感を感じることができない。また、前記融解ピーク温度が36℃を超えると体温で融解されない恐れがあるため、36℃以下である。
前記パラフィン系炭化水素の凝固ピーク温度は、23℃以上36℃以下で、好ましくは、23℃以上32℃以下である。前記凝固ピーク温度が23℃未満では、夏場の就寝環境で一度融解したパラフィン系炭化水素が凝固することが難しくなる。
パラフィン系炭化水素の炭素数18以下では、身体にひんやり感を感じられるが、融解ピーク温度が28℃以下、凝固ピーク温度22℃以下と低いため、温度が26℃以上の就寝環境では一度パラフィン系炭化水素が融解してしまうと、凝固しづらく、繰り返し、ひんやり感を感じることができない。そのため、本発明では、炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素が内包したマイクロカプセルBを組み合わせて使用される。また、前記パラフィン系炭化水素の炭素数が21以上では、融解ピーク温度が40℃以上であり、体温によって前記パラフィン系炭化水素が融解されず、身体に触れてもひんやり感を感じることができない。効率的な効果を持続させるためには、単位質量当たりの融解潜熱量は、50J/g以上が好ましく、さらに好ましくは、100J/g以上である。前記マイクロカプセルBは、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルを単独で使用してもよく、また、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルを2種以上組み合わせて使用することができる。
軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量は、軟質ポリウレタンフォームの表面部において30g/m2以上200g/m2以下とし、好ましくは、60g/m2以上150g/m2以下である。潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2より少ないと、身体にひんやり感を感じられず、200g/m2を超えると、ひんやり感は感じられるが、軟質ポリウレタンフォームンの表面部が硬くなり寝心地が悪くなってしまう。さらに、塗膜が割れやすく脱落しやすくなってしまう。
また、マイクロカプセルBに内包するパラフィン系炭化水素として好ましくは、炭素数20のパラフィン系炭化水素である。
前記炭素数が19のパラフィン系炭化水素では、融解ピーク温度が32℃で、前記炭素数が18のパラフィン系炭化水素、または、融解ピーク温度が36℃の炭素数20のパラフィン系炭化水素よりも融解潜熱量が低いため、ひんやり感を感じる効果時間が短くなってしまう。
前記マイクロカプセルの総量100質量部に対し、マイクロカプセルAは50質量部以上90質量部以下、マイクロカプセルBは10質量部以上50質量部以下である。さらに、マイクロカプセルAは60質量部以上90質量部以下、マイクロカプセルBは10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。融解ピーク温度の異なるマイクロカプセルを組み合わせることで、融解ピーク温度は低い温度に移行する。前記マイクロカプセルAの配合量が50質量部未満では、温度が26℃以上の就寝環境において、身体に触った際に十分なひんやり感を感じることができない。また、マイクロカプセルAの配合量が90質量部を超えると、身体に触った際に十分なひんやり感を感じることはできるが、就寝環境温度が高いため、一度マイクロカプセル内のパラフィン系炭化水素が融解すると、再度パラフィン系炭化水素が凝固するのが難しく、繰り返しの効果が得られにくい。
前記パラフィン系炭化水素を内包するマイクロカプセルとしては、特に限定されないが、たんぱく質や、植物ガム、セルロース、縮合系ポリマー、コポリマー、ホモポリマー、硬化型ポリマー等が挙げられる。具体的には、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、フィブリノーゲン、ヘモグロビン、ポリアミノ酸、アラビアゴム、寒天、アルギン酸ソーダ、カラゲナン、コンニャクマンナン、デキストラン硫酸塩、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ブチルセルロース、無水マレイン酸系共重合体[エチレン、ビニルエーテル等]、アクリル酸、メタクリル酸系の共重合体、ポリ塩化ビニル、サラン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニールアセタール、ポリアクリルアマイド、ポリビニルベンゼンスルホン酸、ポリビニルアルコール、合成ゴム、エポキシ樹脂、ニトロパラフィン、ポリスチレンのニトロ化体等が挙げられる。また、前記マイクロカプセルには前記パラフィン系炭化水素に加え、必要に応じて核材(過冷却防止剤)を混合してもよい。核材としては、使用するパラフィン系炭化水素よりも高融点で、相溶性が良好なものが好ましい。
内包される前記パラフィン系炭化水素は、前記マイクロカプセルを100質量部として、50質量部以上70質量部以下であることが好ましい。前記パラフィン系炭化水素が50質量部未満では、潜熱蓄熱効果を十分に発揮することができず、70質量部を超えるとマイクロカプセルの強度を保つことができず、前記パラフィン系炭化水素が流出してしまう可能性がある。
前記潜熱蓄熱材料のバインダー成分としては、特に限定されず、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ゴム系樹脂等が挙げられ、使用用途により適宜、上記の樹脂を1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、柔軟性があり、使用するマイクロカプセルの分散性、軟質ポリウレタンフォームとの接着力からウレタン系樹脂やアクリル系樹脂であることが好ましい。
ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル型ウレタン樹脂、ポリエステル型ウレタン樹脂、ポリカーボネート型ウレタン樹脂などが挙げられる。アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル・スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂、EVA・アクリル共重合樹脂、ポリアクリル酸エステル、アクリルウレタン樹脂、シリコーン・アクリル共重合体樹脂が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記バインダーの配合量は、マイクロカプセルの総量を100質量部として、40質量部以上100質量部以下であり、好ましくは、40質量部以上80質量部以下である。バインダーの配合量が40質量部未満では、十分な密着性が得られず、また、100質量部を超えると、マイクロカプセルの割合が少なくなり、十分なひんやり感を感じられなくなってしまう。
前記潜熱蓄熱材料を軟質ポリウレタンフォームに塗工する方法としては、潜熱蓄熱材料であるバインダーとスリラー状、または、パウダー状のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルに希釈剤を加え、潜熱蓄熱塗料としたものを塗工する。
潜熱蓄熱材料の希釈剤としては、水溶性溶剤が用いられる。具体的には、水、炭素数1〜5程度の低級アルコール類、炭素数2〜10程度のグリコール類、グリセリン、アセチレン類(モノアセチレン、ジアセチレン、トリアセチレン)の1種または、2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、前記水溶性溶剤に前記マイクロカプセルと前記バインダーを懸濁させ、これに必要に応じて界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤等を配合した塗料が好ましく用いられる。
前記潜熱蓄熱塗料の塗工方法としては、スプレー法、ロールコーター法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ナイフコーター法、刷毛塗り法、カーテンコート法、含浸法など一般的な塗工方法が挙げられる。特に軟質ポリウレタンフォームの表面部に十分な量の潜熱蓄熱材料を均一に塗工するためには、スプレー法、ロールコーター法、スクリーン印刷法、ナイフコーター法などが好ましい。
前記潜熱蓄熱塗料の塗工量は、特に限定されず、上記塗工法で軟質ポリウレタンフォームの表面に塗工し、希釈剤を乾燥後、前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下となればいい。30g/m2未満では十分なひんやり感がえられず、200g/m2を超えると、塗膜が厚すぎて、塗膜が脱落、または、人体に接触する部分が硬くなってしまうため、200g/m2以下とする。
前記潜熱蓄熱材料を含有する軟質ポリウレタンフォームの単位面積当たりの融解潜熱量(J/m2)は特に限定されないが、3000J/m2以上であるとよく、好ましくは、6000J/m2以上であり、より好ましくは、7500J/m2以上である。単位面積当たりの融解潜熱量が3000J/m2未満では触った直後のひんやり感を感じられるが、効果の持続時間が短くなってしまう。前記単位面積当たりの融解潜熱量(J/m2)は、前記潜熱蓄熱材料の単位質量当たりの融解潜熱量(J/g)と軟質ポリウレタンフォームに塗工された前記潜熱蓄熱材料の塗工量(g/m2)の積により求められる。また、潜熱蓄熱材料を含有する軟質ポリウレタンフォームのDSC測定により得られた単位質量当たりの融解潜熱量(J/g)と測定したサンプル重量(g)の積と、測定したサンプル面積(m2)から単位面積当たりの融解潜熱量(J/m2)を算出することもできる。
前記効果の持続時間は、国立健康・栄養研究所のMETs値を用いた消費カロリーの計算式により消費カロリー(J/m2)=1.05×4186.8×METs値×運動時間(hour)×体重(kg)/体表面積(m2)による運動時間と同等とされ、前記運動時間を効果の持続時間とすることができる。前記消費カロリーは、人が対外に放出する熱量と同等であるといえることから、人体に作用する潜熱蓄熱材料の単位面積当たりの融解潜熱量と一致すると考えることができる。
ここで、METs値とは、運動強度を測定した単位で、消費カロリー試算の指標であり、入眠のための不活動、安定〜安定に近い低強度活動では、METs値は1となる。人体モデルは、平成24年厚生労働省統計値の平均体重59kg、平均身長160.8cmから、藤本式体表面積算出式により、平均体表面積を1.582023m2とした。前記消費カロリー計算式により、単位面積当たりの融解潜熱量が3000J/m2であれば、前記人体モデルにおいて蓄熱だけで1分の温度上昇遅延効果がみられ、6000J/m2であれば、2分の温度上昇遅延効果がみられる。
本発明における軟質ポリウレタンフォームは、一般的な軟質ポリウレタンフォームを使用することができる。例えば、JIS規格において、40%圧縮硬さが30〜130N、密度が30〜90kg/m3のものが好ましく使用できる。
本発明では、人が寝た、または、座った状態で、沈み込みが大きいため人との接触面積が大きくなり、夏場の蒸れ感が強くなる低硬度の軟質ポリウレタンフォームを使用しても潜熱蓄熱材料により、ひんやり感を繰り返し持続させることができる。
軟質ポリウレタンフォームの密度が大きすぎると潜熱蓄熱材料を含有する浸透層が軟質ポリウレタンフォームの深部にまで到達することが困難になり、潜熱蓄熱材料が軟質ポリウレタンフォームの表面部にとどまってしまい、表面部が硬くなってしまう可能性がある。また、逆に密度が小さすぎると、潜熱蓄熱材料がウレタン骨格上に保持されず、ひんやり感を感じることができなくなってしまう。
また、上記のポリウレタン発泡体は、上記の物性と共に、セル数がJIS K6400の付属書で5〜60ケ/25mmのものが適している。
セル数が多すぎると、前記潜熱蓄熱材料を含む潜熱蓄熱塗料が浸透せず軟質ポリウレタンフォームの深部にまで到達することが困難になり、潜熱蓄熱材料の膜が軟質ポリウレタンフォームの表面部にのみ形成されることとなり、表面部が硬くなり、寝心地が悪くなってしまう可能性や、潜熱蓄熱材料の塗膜が、ひび割れ脱落してしまうおそれがある。また、セル数が少なすぎると、潜熱蓄熱材料の塗膜がウレタンフォームのリブ骨格周辺にしか形成されず、人体と潜熱蓄熱材料との接触部分が著しく減少してしまうため、十分なひんやり感を感じることができない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試料]
<マイクロカプセル>
マイクロカプセルA :炭素数18のパラフィン系炭化水素を含むマイクロカプセルの40%希釈液(三木理研工業社製“リケンレジンAMC28”)
マイクロカプセルB1:炭素数20のパラフィン系炭化水素を含むマイクロカプセルの40%希釈液(三木理研工業社製“リケンレジンAMC36”)
マイクロカプセルB2:炭素数19相当のパラフィン系炭化水素を含むマイクロカプセルの40%希釈液(三木理研工業社製“リケンレジンAMC32”)
<バインダー>
バインダー:アクリル・スチレン共重合樹脂バインダーの55%希釈液(ジャパンコーティングレジン社製“ES-33”)
<希釈剤>
希釈剤: 水(イオン交換水)
〔実施例1〕
マイクロカプセルとして、三木理研工業社製“リケンレジンAMC28”を175gと、三木理研工業社製“リケンレジンAMC32を75gと、バインダーとして、ジャパンコーティングレジン社製“ES-33”を98g混合することで、潜熱蓄熱材料として、マイクロカプセルの固形分総量100質量部に対し、マイクロカプセルAを70質量部、マイクロカプセルB2を30質量部、アクリル・スチレン共重合樹脂バインダーを54質量部とし、水で潜熱蓄熱材料が35%になるように希釈調整し潜熱蓄熱塗料とした。得られた潜熱蓄熱塗料をスプレーコートによりウレタンフォーム(密度65kg/m、40%圧縮硬さ90N、サイズ2m×2m×20mm)の表面に塗工し、120℃で30分間、加熱・乾燥させて、潜熱蓄熱材料の固形分量が40g/m2となるように試料を作製した。
〔実施例2〜16・比較例1〜7〕
表1の組成となるように、潜熱蓄熱材料を調整し、実施例1と同様に水で潜熱蓄熱材料が35%になるように希釈調整し潜熱蓄熱塗料とした。得られた潜熱蓄熱塗料をスプレーコートによりウレタンフォーム(密度65kg/m、40%圧縮硬さ90N、サイズ2m×2m×20mm)の表面に塗工し、120℃で30分間、加熱・乾燥させて、表1の潜熱蓄熱材料の固形分量となるように試料を作製した。
〔表1〕
〔DSC測定〕
表面の凹凸のシボ付の離型紙の上に実施例、比較例で調整した潜熱蓄熱塗料を滴下し、ガラス棒で延ばしたあと、120℃で30分の間、加熱・乾燥させ、離型紙から剥がしたフィルム状の潜熱蓄熱材料をφ4mmに打ち抜いたものを試験体とした。
示差走査熱量計(DSC7020 日立ハイテクサイエンス社製)を用いて−10℃に冷却した試験体を加熱速度10℃/minで50℃まで加熱した際のDSCの融解ピーク温度と、50℃に加熱した試験体を冷却速度10℃/minで−10℃まで冷却した際のDSCの凝固ピーク温度を測定し、融解ピーク温度付近の融解潜熱量を測定した。測定方法は、JIS K7121: 2012に準拠した。
〔26℃環境下での冷感官能性試験〕
潜熱蓄熱材料が塗工された軟質ポリウレタンフォームを温度26℃の環境下に12時間静置し、軟質ポリウレタンフォームの潜熱蓄熱材料の塗工面の上にポリエステルネット生地(目付け166g/m2)を敷き、10人の試験者が手でポリエステルネット生地に触れた直後の感触を、潜熱蓄熱材料を塗工していない軟質ポリウレタンフォームと比較し評価した。
◎:10人がひんやり感を感じた。
○:7〜9人がひんやり感を感じた。
△:4〜6人がひんやり感を感じた。
×:1〜3人がひんやり感を感じた。
××:ひんやり感じた試験者はいなかった。
〔密着性試験〕
潜熱蓄熱材料が塗工された軟質ポリウレタンフォームの両端から折り曲げた際の塗膜の状態を評価した。
○:塗膜が軟質ポリウレタンフォームから脱落しなかった。
×:塗膜が軟質ポリウレタンフォームから脱落した。
表1に示すとおり、実施例1〜16では、潜熱蓄熱材料に炭素数18のパラフィン系炭化水素が内包されたマイクロカプセルAと、炭素数19または、炭素数20のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBを、マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下とし、さらに、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量を30g/m2以上200g/m2以下とすることで、融解ピーク温度が27℃から34℃であり、26℃環境下での冷感能性試験で△以上の評価となった。また、凝固ピーク温度は、13℃から31℃となり、26℃の就寝環境よりも高い温度に凝固ピーク温度があり、一度融解したパラフィン系炭化水素が再度、凝固することが可能であった。
さらに実施例9から、炭素数20のパラフィン系炭化水素が内包されたマイクロカプセルB1を使用することで、炭素数19のパラフィン系炭化水素が内包されたマイクロカプセルB2と同配合量であっても、潜熱蓄熱材料の融解潜熱量が多いことがわかった。
実施例4〜12、14〜16では、前記マイクロカプセルの総量100質量部に対し、マイクロカプセルAは60質量部以上90質量部以下、マイクロカプセルBは10質量部以上40質量部以下とすることで、26℃環境下での冷感能性試験で○以上の評価であった。
実施例4〜6、10〜12、15、16では、26℃環境下での冷感能性試験で◎の評価で、かつ、塗工品の単位面積当たりの融解潜熱量が6000J以上で十分な効果の持続時間があった。
比較例1は、前記マイクロカプセルAのみのため、凝固ピーク温度が22℃であり、一度融解したパラフィン系炭化水素が凝固することが困難であった。比較例2は、炭素数19のパラフィン系炭化水素のため、単位面積当たりの融解潜熱量が少なく、十分な時間ひんやり感を得ることができなかった。比較例3は、炭素数20のパラフィン系炭化水素のみのため、融解ピーク温度が35℃と高く、十分なひんやり感を感じることができなかった。比較例4は、潜熱蓄熱材料の固形分量が15g/m2と少なく、ひんやり感を感じることができなかった。比較例5は、潜熱蓄熱材料の固形分量が250g/m2と多く、ひんやり感を感じることができたが、潜熱蓄熱材料の表面部が厚く、密着性試験で塗膜のひび割れ、脱落があった。比較例6は、潜熱蓄熱材料中のバインダーの比率が高く、ひんやり感を感じることができなかった。比較例7は、潜熱蓄熱材料中のバインダーの比率が低く、塗膜のひび割れ、脱落があった。
このように、本発明の潜熱蓄熱材料が塗工された軟質ポリウレタンフォームは、温度が26℃以上の就寝環境において、十分なひんやり感を感じ、就寝環境を好適にし、寝心地のよい寝具等を提供することができる。

Claims (4)

  1. 潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォームであって、
    前記潜熱蓄熱材料は、少なくとも、バインダーと、炭素数18のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルAと、炭素数19以上のパラフィン系炭化水素を内包したマイクロカプセルBとを含み、
    前記マイクロカプセルの総量を100質量部として、前記バインダーが40質量部以上100質量部以下であり、前記軟質ポリウレタンフォーム中の前記潜熱蓄熱材料の固形分量が30g/m2以上200g/m2以下であることを特徴とする潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム。
  2. 前記マイクロカプセルBは、炭素数20のパラフィン系炭化水素を内包していることを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム
  3. 前記マイクロカプセルの総量100質量部に対し、マイクロカプセルAは60質量部以上90質量部以下、マイクロカプセルBは10質量部以上40質量部以下である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム。
  4. 単位面積当たりの融解潜熱量が6000J/m2以上であることを特徴とする請求項1から3に記載の潜熱蓄熱材料を有する軟質ポリウレタンフォーム
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