JP2020147623A - 硬化物、立体造形物及び硬化物の製造方法 - Google Patents

硬化物、立体造形物及び硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生物学的安全性に優れた硬化物、立体造形物、並びに、立体造形物の製造方法、及び硬化物の製造方法を提供する。【解決手段】硬化性樹脂組成物の硬化物であって、前記硬化物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であることを特徴とする硬化物を用いる。また、DLP方式の光造形システムを用いて得られる硬化物の製造方法であって、前記硬化物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であるものであり、光造形システムの造形条件が、光造形の積層ピッチが0.01〜0.2mmの範囲、照射波長が350〜410nmの範囲、光強度が0.5〜50mW/cm2の範囲、1層当たりの積算光量が1〜100mJ/cm2の範囲であることを特徴とする硬化物の製造方法を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物、立体造形物及び硬化物の製造方法に関する。
近年、樹脂成型品の製造方法として、3次元CAD等の立体デザインシステムにより設計した立体形状データをもとに、硬化性樹脂組成物を紫外線レーザー等の活性エネルギー線によって選択的に重合硬化させることにより、立体造形物を作製する光学的立体造形法(光造形法)が用いられている。この光学的立体造形法は、切削加工では困難な複雑な形状にも対応が可能であり、製造時間も短く、取扱いも容易であることから、樹脂成型品の他、工業製品の試作モデルの製造に幅広く用いられるようになってきている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂にコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザーを上から照射して所定厚みの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ下げることで層上に液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザー光で前記と同様に照射硬化させ積層する、この操作の繰り返しにより立体造形物を得る方法が挙げられる。また、最近では、スポット状の紫外線レーザーを用いる上記の点描方式に加えて、LED等のレーザー以外の光源を用い、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)と呼ばれる面状描画マスクを介して、光硬化性樹脂を入れた透明容器を通して紫外光を下から照射して所定の断面形状パターンの1層を硬化させ、その造形物を1層分だけ上に引き上げて、前記と同様に次の1層を照射硬化させ、順次積層して立体造形物を得る面露光方式が増加している。
前記光学立体造形法に用いられる光硬化性樹脂に対する要求特性としては、粘度が低く、平滑な液面を形成することができること、優れた硬化性を有することなど様々なものが挙げられる。このような光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性化合物を主体とする樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1及び2参照。)、硬化時に反り等の変形が発生するなどの問題があった。また、当該樹脂組成物を用いて、医療用立体造形物を造形した場合、生物学的安全性が良くないなどの問題があった。
そこで、生物学的安全性に優れた硬化物を形成可能な材料が求められていた。
特開平7−228644号公報 特開2008−189782号公報
本発明が解決しようとする課題は、生物学的安全性に優れた硬化物、立体造形物及び前記硬化物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物であって、前記硬化物を特定条件下で抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量消費量が10ml以下であることを特徴とする硬化物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物であって、前記硬化物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であることを特徴とする硬化物、立体造形物、前記硬化物の製造方法に関するものである。
本発明の硬化物は、生物学的安全性に優れることから、医療用材料、コンポジットレジン、ボンディング材、レジンセメント、CAD/CAM用レジンブロック等に用いることができ、前記医療材料の中でも、前記の中でも、歯科治療用のサージカルガイド、仮歯、ブリッジ、歯列矯正器具等の歯科用の硬質レジン材料に好適に用いることができる。
本発明の硬化物は、硬化性樹脂組成物の硬化反応物であり、前記硬化反応物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であることを特徴とする。
ここで、「過マンガン酸カリウム還元性物質量」とは、過マンガン酸カリウム還元性物質量試験における試験液と空試験液の過マンガン酸カリウム液消費量の差を示す。
前記過マンガン酸カリウム還元性物質量試験とは、JIS K0102(2013)工場排水試験法に示される方法に準拠して行い、具体的には、下記の方法にて行う試験である。
[過マンガン酸カリウム還元性物質量試験]
20mm×15mm×2mmの試験片6個(4g)を蒸留水20mlに浸漬した状態で、70℃の定温乾燥機に入れて24時間抽出した後室温まで放冷し、この抽出液を試験液として使用する。別途、蒸留水20mlを70℃の定温乾燥機に入れて24時間抽出した後室温まで放冷したものを空試験液として使用する。前記試験液及び前記空試験液をそれぞれ20mlずつ共栓フラスコにとり、0.002mol/l過マンガン酸カリウム水溶液20.0mlと、0.01mol/l硫酸水溶液1.0mlを加え、3分間煮沸して冷却後、さらに、ヨウ化カリウム0.1gを加えて密栓し、よく振り混ぜて10分間放置した後、0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定(指示薬:デンプン溶液5滴)を行い、前記試験液と前記空試験液との過マンガン酸カリウムの消費量の差(試験液−空試験液)を算出する。
前記硬化性樹脂組成物は、例えば、一分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物を含有するものが挙げられる。
前記一分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物(A)等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
前記(メタ)アクリレート化合物(A)としては、例えば、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)等が挙げられる。
Figure 2020147623
[式(1)中、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、−O−、−SO−、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1〜10の整数であり、nは、0または1〜10の整数であり、m+nは、1〜20の整数である。]
Figure 2020147623
[式(2)中、R、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基である。]
Figure 2020147623
前記(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有量は、前記(メタ)アクリレート化合物(A)中に50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80〜100質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、前記(メタ)アクリレート化合物(A)としては、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)以外のその他の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。
前記その他の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのその他の(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記その他の(メタ)アクリレート化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も用いることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、一般に、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との重縮合によって生成したポリウレタン鎖を有する。このポリウレタン鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基、または(メタ)アクリロイルオキシ基が導入されていてもよい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、イソシアネート基が水酸基よりも過剰となる比率で反応させて分子末端がイソシアネート基であるウレタン樹脂を調製した後、これに水酸基及び(メタ)アクリロイル基(または(メタ)アクリロイルオキシ基)を有するラジカル重合性単量体を反応させる方法により得られるものが挙げられる。
前記ポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物との反応は、ポリオール化合物が有する水酸基(OH)とポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基(NCO)の当量比[(NCO)/(OH)]が、1.5〜2の範囲が好ましい。
前記ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、ハイドロキノンのエチレンオキサイド付加物、ハイドロキノンのプロピレンオキサイド付加物、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、及び1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール等のポリオール類;前記ポリオール類とα,β−不飽和ポリカルボン酸、飽和ポリカルボン酸類またはそれらの酸無水物等とを縮合させて得られるポリエステルポリオール;並びに、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、及びε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記ポリオール類と縮合してポリエステルポリオールを生成するα,β−不飽和ポリカルボン酸及びその酸無水物の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及び塩素化マレイン酸等の種々のα,β−不飽和ポリカルボン酸またはそれらの無水物が挙げられる。前記ポリオール類と縮合してポリエステルポリオールを生成する飽和ポリカルボン酸類及びその酸無水物の例としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、モノクロロフタル酸、ジクロロフタル酸、トリクロロフタル酸、ヘット酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、ピメリン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタン酸、ヘキサヒドロフタル酸、及びテトラブロムフタル酸等の飽和ポリカルボン酸類またはそれらの酸無水物が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、o−トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記ポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物との反応は、必要に応じて、ウレタン化触媒を用いてもよく、前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のホスフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物、オクタン酸錫等の無機錫化合物、無機金属化合物などが挙げられる。これらのウレタン化触媒は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びイソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド付加物、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド付加物、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのテトラメチレングリコール付加物、並びに、前記水酸基含有(メタ)アクリレートのラクトン付加物等が挙げられる。これらの水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。
前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機フィラー、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤等の各種添加剤を含有することもできる。
前記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリレート化合物との反応性に優れ、得られた硬化物中の未反応(メタ)アクリレート化合物が少なく、生物学的安全性に優れた硬化物が得られることから、リン化合物が好ましく、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドが好ましい。また、これらの光重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad−1173」、「Omnirad−184」、「Omnirad−127」、「Omnirad−2959」、「Omnirad−369」、「Omnirad−379」、「Omnirad−907」、「Omnirad−4265」、「Omnirad−1000」、「Omnirad−651」、「Omnirad−TPO」、「Omnirad−819」、「Omnirad−2022」、「Omnirad−2100」、「Omnirad−754」、「Omnirad−784」、「Omnirad−500」、「Omnirad−81」(IGM社製)、「カヤキュア−DETX」、「カヤキュア−MBP」、「カヤキュア−DMBI」、「カヤキュア−EPA」、「カヤキュア−OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア−10」、「バイキュア−55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア−PDO」、「クオンタキュア−ITX」、「クオンタキュア−EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure−1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリレート化合物との反応性に優れ、得られた硬化物中の未反応(メタ)アクリレート化合物が少なく、生物学的安全性に優れた硬化物が得られることから、「Omnirad−TPO」、「Omnirad−819」が好ましい。
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、0.1質量%以上4.5質量%以下で用いることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲で用いることがより好ましい。
また、前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2’−キサンテンカルボキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−o−ニトロベンジロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等が挙げられる。
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
p−スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM−2」、「カヤマーPM−21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP−1M」「ライトエステルP−2M」、「ライトアクリレートP−1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S−23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、セルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の溶剤不溶性物質、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ−ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等の有機ビーズなどが挙げられる。これらの有機フィラーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の無機微粒子などが挙げられる。これらの無機フィラーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記無機機微粒子の平均粒径は、95〜250nmの範囲であることが好ましく、特に100〜180nmの範囲であることがより好ましい。
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM−21」、「カヤマーPM−2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP−2M」等が挙げられる。
前記レオロジーコントロール剤としては、例えば、楠本化成株式会社製「ディスパロン6900」等のアマイド・ワックス類;ビッグ・ケミー社製「BYK410」等の尿素系レオロジーコントロール剤類;楠本化成株式会社製「ディスパロン4200」等のポリエチレン・ワックス;イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製「CAB−381−2」、「CAB 32101」等のセルロース・アセテート・ブチレートなどが挙げられる。
前記脱泡剤としては、例えば、フッ素或いは、硅素原子を含んだオリゴマー、または高級脂肪酸、アクリル重合体等のオリゴマー等が挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。これらの中でも、長時間に渡り、安定した照度が得られることから、LEDを光源とすることが好ましい。
前記活性エネルギー線の波長は、安定した照度が得られることから、350〜410nmの範囲が好ましい。
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、50〜50,000mJ/cmであることが好ましく、300〜50,000mJ/cmであることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
本発明の立体造形物は、公知の光学的立体造形法により作製することができる。
前記光学的立体造形法としては、例えば、ステレオリソグラフィー(SLA)方式、デジタルライトプロセッシング(DLP)方式、インクジェット方式が挙げられる。
前記ステレオリソグラフィー(SLA)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にレーザー光線等の活性エネルギー線を点で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
前記デジタルライトプロセッシング(DLP)方式とは、液状の硬化性樹脂組成物の槽にLED等の活性エネルギー線を面で照射し、造形ステージを移動させながら一層ずつ硬化して立体造形を行う方式である。
前記インクジェット光造形法とは、光造形用硬化性樹脂組成物の微小液滴を、ノズルから所定の形状パターンを描画するよう吐出してから、紫外線を照射して硬化薄膜を形成する方法である。
これらの光学的立体造形法のなかでも、面による高速造形が可能なことからDLP方式が好ましい。
前記DLP方式の立体造形方法としては、DLP方式の光造形システムを用いた方法であれば特に制限されないが、その造形条件としては、立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが0.01〜0.2mmの範囲であり、照射波長が350〜410nmの範囲であり、光強度が0.5〜50mW/cmの範囲であり、1層当たりの積算光量が1〜100mJ/cmの範囲であることを要し、なかでも、より一層立体造形物の造形精度が良好となることから、光造形の積層ピッチが、0.02〜0.1mmの範囲であり、照射波長が、380〜410nmの範囲であり、光強度が、5〜15mW/cmの範囲であり、1層当たりの積算光量が、5〜15mJ/cmの範囲であることが好ましい。
本発明の立体造形物は、例えば、自動車部品、航空・宇宙関連部品、電気電子部品、建材、インテリア、宝飾、医療材料等に用いることができ、生物学的安全性に優れることから、医療材料の用途において好適に用いることができる。
前記医療材料としては、例えば、歯科治療用のサージカルガイド、仮歯、ブリッジ、歯列矯正器具等の歯科用の硬質レジン材料が挙げられる。
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
本発明において、過マンガン酸カリウム還元性物質量は下記の方法で算出したものである。
[過マンガン酸カリウム還元性物質量]
下記実施例及び比較例で得られた20mm×15mm×2mmの硬化物を試験片とし、前記試験片6個(4g)を蒸留水20mlに浸漬した状態で、70℃の定温乾燥機に入れて24時間抽出した後室温まで放冷し、この抽出液を試験液として使用した。別途、蒸留水20mlを70℃の定温乾燥機に入れて24時間抽出した後室温まで放冷したものを空試験液として使用した。前記試験液及び前記空試験液をそれぞれ20mlずつ共栓フラスコにとり、0.002mol/l過マンガン酸カリウム水溶液20.0ml及び0.01mol/l硫酸水溶液1.0mlを加え、3分間煮沸して冷却後、さらにヨウ化カリウム0.1gを加えて密栓し、よく振り混ぜて10分間放置した後、0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定(指示薬:デンプン溶液5滴)した。前記試験液と前記空試験液との過マンガン酸カリウムの消費量の差(試験液−空試験液)を過マンガン酸カリウム還元性物質量とした。
(実施例1:硬化物(1)の作製)
攪拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート(以下、「(メタ)アクリレート化合物(C)」と略記する。)100質量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(IGM社製「Omnirad TPO」、以下、「光重合開始剤(A)」と略記する。)2質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、硬化性樹脂組成物(1)を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物(1)をデジタルライトプロセッシング(DLP)方式の光造形システム(3Delight社製「DLPプリンターVITTRO」)を用いて、硬化物(1’)を作成した。この際、光造形の積層ピッチは0.05〜0.1mm、照射波長380〜390nm、光照射時間は1層当たり2〜6秒とした。前記硬化物(1’)を、エタノール中で超音波洗浄した後、LED光源を備えた後硬化装置を用いて、該立体造形物の表面及び裏面よりそれぞれ10分ずつ光照射を行って後硬化させ、目的とする硬化物(1)を得た。
(実施例2〜8:硬化物(2)〜(8)の作製)
実施例1で用いた(メタ)アクリレート化合物、及び光重合開始剤を表1に示す組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化物(2)〜(8)を得た。
(比較例1〜4:硬化物(C1)〜(C4)の作製)
実施例1で用いた(メタ)アクリレート化合物、及び光重合開始剤を表1に示す組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化物(C1)〜(C4)を得た。
上記の実施例1〜8、及び比較例1〜4で得られた硬化物を用いて、下記の評価を行った。
[生物学的安全性の評価方法]
生物学的安全性は、過マンガン酸カリウム還元性物質量にて下記の基準に従い評価した。
○:過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下
×:過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml超え
実施例1〜8で作製した硬化物(1)〜(8)及び比較例1〜4で作製した硬化物(C1)〜(C4)の組成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2020147623
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(A)」は、ビスフェノールAエポキシジメタクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer PE250」)を示す。
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(B)」は、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(10モル付加)ジメタクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer M2101」)を示す。
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(C)」は、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer M241」)を示す。
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(D)」は、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer M262」)を示す。
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(E)」は、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer M213」)を示す。
表1中、「(メタ)アクリレート化合物(F)」は、フェノキシエチルメタクリレート(Miwon Specialty Chemical社製「Miramer M141」)を示す。
表1中、「光重合開始剤(A)」は、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド(IGM Resins社製「Omnirad TPO−H」)を示す。
表1中、「光重合開始剤(B)」は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Resins社製「Omnirad 819」)を示す。
表1中、「光重合開始剤(C)」は、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(IGM Resins社製「Omnirad 651」)を示す。

Claims (12)

  1. 硬化性樹脂組成物の硬化反応物である硬化物であって、
    前記硬化物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であることを特徴とする硬化物。
  2. 前記硬化性樹脂組成物が、一分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物を含有するものである請求項1記載の硬化物。
  3. 前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を含有するものである請求項1記載の硬化物。
  4. 前記一分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)を含む(メタ)アクリレート化合物(A)である請求項1記載の硬化物。
    Figure 2020147623
    [式(1)中、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。Xは、−O−、−SO−、下記構造式(2)で表される構造、または下記構造式(3)で表される構造であり、mは、0または1〜10の整数であり、nは、0または1〜10の整数であり、m+nは、1〜20の整数である。]
    Figure 2020147623
    [式(2)中、R、Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基である。]
    Figure 2020147623
  5. 前記(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有量が、前記(メタ)アクリレート化合物(A)中に50質量%以上である請求項4記載の硬化物。
  6. 前記光重合開始剤が、リン化合物である請求項3記載の硬化物。
  7. 前記光重合開始剤の含有量が、前記硬化性樹脂組成物中に4.5質量%以下である請求項3記載の硬化物。
  8. LED光源による活性エネルギー線の照射を硬化条件とする請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化物。
  9. 前記活性エネルギー線の波長が、350〜410nmの範囲である請求項8記載の硬化物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の硬化物からなることを特徴とする立体造形物。
  11. デジタルライトプロセッシング方式(DLP方式)により立体造形することを特徴とする請求項10記載の立体造形物の製造方法。
  12. デジタルライトプロセッシング方式(DLP方式)の光造形システムを用いて得られる硬化物の製造方法であって、
    前記硬化物が、硬化性樹脂組成物を硬化反応させて得られるものであり、
    前記硬化物4gにイオン交換水20mlを加え、70℃で24時間抽出した抽出液の過マンガン酸カリウム還元性物質量が10ml以下であるものであり、
    前記光造形システムの造形条件が、光造形の積層ピッチが0.01〜0.2mmの範囲であり、照射波長が350〜410nmの範囲であり、光強度が0.5〜50mW/cmの範囲であり、1層当たりの積算光量が1〜100mJ/cmの範囲であることを特徴とする硬化物の製造方法。
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