JP2020141725A - 体液採取デバイス - Google Patents

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裕之 金子
Hiroyuki Kaneko
裕之 金子
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Abstract

【課題】熟練者でなくても、体液の採取量を臨機応変に変更して対応することができ、手間を掛けることなく採取した体液の取り出しができ、また、体液の繰り返し採取が可能な体液採取デバイスを提供する。【解決手段】体液採取部と、流路形成部と、送液部とを備えており、体液採取部は、弾性薄板と微小針とケーシング部と空隙部を備えており、空隙部はケーシング部に設けられた穴と穴の上方に固定された弾性薄板とによって形成されており、流路形成部は、流路の少なくとも一部に可撓性の円弧形状部が形成されており、送液部は、円弧形状部を押圧するローラーを有するローターとローターを回転駆動させる駆動部とを備えており、ローターが回転する際に、ローターに保持されたローラーが円弧形状部を押圧して潰すことにより、体液採取部によって体液を採取すると共に、採取された体液を出口まで搬送するように構成されている体液採取デバイス。【選択図】図2

Description

本発明は、人体から血液などの体液を採取する体液採取デバイス、より詳しくは、小型で、被検者自身が痛みをほぼ感じることなく体液を採取することができる体液採取デバイスに関する。
医療の現場においては、被検者の人体から血液などの体液を、血液採取デバイスなどの体液採取デバイス(以下、単に「デバイス」ともいう)を用いて採取し、体液に関する情報を取得することが行われており、血液採取デバイスとしては、採取する血液の量によって真空採血管、ランセットなどがよく知られている。
しかしながら、上記したデバイスでは、針を人体に刺すプロセスが必須であるため、痛みを感じる、針が刺されることに恐怖を感じるなど、被検者にとっては身体的・精神的負担が大きい。また、被検者自身では使用することができないため、病院などに出向いて専門のスタッフに作業してもらう必要があるなど、時間や手間が掛かる。
そこで、このような問題点の解決を図る方法として、マイクロニードル(微小針)と真空チャンバ―を用いた小型デバイスが開発されている(例えば、特許文献1)。
特表2014−516645号公報
しかしながら、上記した技術においても、未だ、解決できていない問題点が多く残っている。具体的には、採血量は真空チャンバ―の容積に依存するために、採血量を臨機応変に変更して対応することは熟練を要し容易なことではない。そして、採血した血液を真空チャンバ―から抜き出すためには、注射器などが必要になるため、やはり熟練を要し、手間が掛かる。また、皮膚とデバイスとの密着が不十分で採血がうまくいかなかった場合には、真空チャンバ―内の圧力が大気圧と同じになるため、繰り返して採血することができない。
上記したような問題点は、採血デバイスに限られず、血漿やリンパ液、腹水、胸水などの組織液(細胞を取り囲んでいる液体)を採取する場合にも、同様に発生しており、体液採取デバイスとしてさらなる改良が望まれている。
そこで、本発明は、熟練者でなくても、体液の採取量を臨機応変に変更して対応することができ、手間を掛けることなく採取した体液の取り出しができ、また、体液の繰り返し採取が可能な体液採取デバイスを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
被検者から体液を採取するために使用される体液採取デバイスであって、
体液を採取する体液採取部と、採取された体液を搬送する流路が形成された流路形成部と、前記流路内の体液を下流側に向けて送液する送液部とを備えており、
前記体液採取部は、弾性薄板と、前記弾性薄板に固定された微小針と、ケーシング部と、前記ケーシング部に設けられた空隙部を備えており、
前記空隙部は、前記ケーシング部に設けられた穴と、前記穴の上方に固定された前記弾性薄板とによって形成されており、
前記流路形成部は、前記流路の少なくとも一部に、可撓性の円弧形状部が形成されており、
前記送液部は、前記円弧形状部を押圧するローラーを有するローターと、前記ローターを回転駆動させる駆動部とを備えており、
前記ローターが前記駆動部により回転する際に、前記ローターに保持されたローラーが前記円弧形状部を押圧して潰すことにより、前記体液採取部によって体液を採取すると共に、採取された体液を前記流路を通じて出口まで搬送するように構成されていることを特徴とする体液採取デバイスである。
請求項2に記載の発明は、
前記ローターが回転して前記円弧形状部を前記ローラーが押圧して潰すことにより、前記流路内の空気が排気されて、前記空隙部および前記流路内が減圧され、
前記空隙部の減圧に伴って、前記弾性薄板が前記空隙部の内方に引き込まれるように変形することにより、前記弾性薄板に固定された前記微小針が皮膚内部に挿入されて、体液が前記空隙部へ採取され、
さらに、前記ローターの回転に合わせて、前記円弧形状部の押し潰し位置が下流側に移動することにより、採取された体液を前記流路の出口まで搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の体液採取デバイスである。
請求項3に記載の発明は、
前記流路形成部に形成された前記流路の前記円弧形状部の上流側に、採取された体液を一時溜めておくリザーバーが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体液採取デバイスである。
請求項4に記載の発明は、
前記微小針が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリεカプロラクトン、乳酸とグリコール酸との共重合体、乳酸とεカプロラクトンとの共重合体のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項5に記載の発明は、
前記微小針の直径が、0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項6に記載の発明は、
前記弾性薄板が、ステンレス、コバルトクロム合金、チタン、チタン合金のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項7に記載の発明は、
前記ケーシング部が、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項8に記載の発明は、
前記流路形成部が、シリコーンゴムまたは熱可塑性エラストマーを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項9に記載の発明は、
前記シリコーンゴムまたは熱可塑性エラストマーのショアA硬度が、30〜80であることを特徴とする請求項8に記載の体液採取デバイスである。
請求項10に記載の発明は、
前記流路形成部に形成された前記流路の前記円弧形状部の径が、5〜20mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
請求項11に記載の発明は、
前記体液採取部および前記流路形成部が、前記送液部と分離可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の体液採取デバイスである。
本発明によれば、熟練者でなくても、体液の採取量を臨機応変に変更して対応することができ、手間を掛けることなく採取した体液の取り出しができ、また、体液の繰り返し採取が可能な体液採取デバイスを提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る体液採取デバイスの全体構成を模式的に示す上面図であり、(a)は組立前における体液採取部および送液部、(b)は組立前における流路形成部、(c)は体液採取部、送液部、流路形成部が一体に組み立てられたデバイスを示している。 本発明の一実施の形態に係る体液採取デバイスにおける採血のメカニズムを説明する模式図であり、(a)が採血前、(b)が採血中における体液採取部の様子を示している。 本発明の一実施の形態に係る体液採取デバイスにおいて形成されている流路を説明する模式図である。 本発明の一実施の形態に係る体液採取デバイスにおける流路形成部の作製を説明する断面図であり、(a)は流路形成部作製用の2つの部品を、(b)は2つの部品を一体に接合した状態を示しており、(c)は流路の位置によって流路形成部の厚みが異なることを示している。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。なお、以下では、具体的な体液採取デバイスとして、血液を採取する血液採取デバイスを例に挙げて説明するが、血液以外の体液の採取においても同様に考えることができる。
1.本実施の形態に係る体液採取デバイスの全体構成
最初に、本実施の形態に係る体液採取デバイスの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る体液採取デバイスの全体構成を模式的に示す上面図であり、(a)は組立前における体液採取部および送液部、(b)は組立前における流路形成部、(c)は体液採取部、送液部、流路形成部が一体に組み立てられたデバイスを示している。
体液採取部1は、図1(a)に示すように、ケーシング部12の中央部付近に設けられた穴を、上方に固定された弾性薄板(図示せず)で覆うことにより形成された空隙部11を備えている。なお、図1には記載していないが、弾性薄板の中央部内側には、血液採取用の微小針が固定されている。
流路形成部2は、図1(b)に示すように、内部に流路23が形成されており、流路23の少なくとも一部に、可撓性の円弧形状部21が形成されている。なお、図1(b)において、22は採取された血液を一時溜めておくために、円弧形状部21の上流側に形成されたリザーバーである。
送液部3は、図1(a)に示すように、一方の側の上面にローラー32を有するローター31を備えている。そして、他方の側の内部には、ローター31を回転駆動させるためのモーターやギアなどの駆動部(図示せず)が収納されている。
本実施の形態に係るデバイスは、図1(c)に示すように、上記した体液採取部1および送液部3に流路形成部2を重ねて一体に組み立てられることにより作製されている。なお、組立に際しては、ローター31と円弧形状部21とが重なるように組み立て、流路23の先端と空隙部11とを接続させる。これにより、ローター31を回転駆動させた際、ローラー32が円弧形状部21を押圧して潰すため、この箇所で蠕動ポンプ部としての機能を発揮させることができ、後述するように、自動的に血液を採取すると共に、採取した血液を出口まで送ることができる。この結果、熟練者でなくても容易に採血を行うことができる。
2.具体的な構成とその動作
次に、上記した体液採取部1、流路形成部2、送液部3のそれぞれについて、詳細に説明する。
(1)体液採取部
図2は、本実施の形態に係る体液採取デバイスにおける採血のメカニズムを説明する模式図であり、(a)が採血前、(b)が採血中における体液採取部1の様子を示している。なお、図2において、13は微小針(マイクロニードル)、14は弾性薄板であり、微小針13は弾性薄板14の中央部に固定されている。そして、ケーシング部12の中央部付近に設けられた穴を、上方に固定された弾性薄板14で覆うことにより、空隙部11が形成されている。なお、Bは採取された血液、Sは被検者の皮膚である。
採血に際しては、まず、図2(a)に示すように、被検者の皮膚Sの表面にケーシング部12の底が接するように、体液採取部1を載置する。このとき、空隙部11は外部と同じ圧力に保たれている。
次に、図1に示すように、ローター31を回転させて、ローラー32により円弧形状部21を押圧する。これにより、ローラー32と円弧形状部21とが、蠕動ポンプ部として機能するため、流路23内および流路23に接続された空隙部11内が減圧され、体液採取部1が皮膚Sに密着すると共に、弾性薄板14が皮膚S側に向けて変形する。そして、この弾性薄板14の変形に合わせて、微小針13が皮膚S側に向けて移動し、図2(b)に示すように、微小針13が皮膚Sに刺さる。その後、さらに弾性薄板14の変形が大きくなると、微小針13はさらに皮膚Sの内部まで入り、血管に微小針13が突き刺さる。この結果、血管から血液Bが空隙部11内に導入され、その後、流路23内を搬送されていく。
なお、本実施の形態において、微小針13の材質は、金属、セラミックなどの無機材料、樹脂などの有機材料など、特に限定されないが、被検者に悪影響を与える恐れがないことを考慮すると、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリεカプロラクトン、乳酸とグリコール酸との共重合体、乳酸とεカプロラクトンとの共重合体など、生体適合性のある高分子材料が好ましい。
そして、微小針13の直径は、特に限定されないが、皮膚Sに刺さる際に痛みを感じることを低減するという観点から、1mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であるとより好ましい。一方、微小針の折れを防止することや折れた微小針が皮膚S下に残留することなどを防止するという観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であるとより好ましい。
そして、弾性薄板14の材質は、空隙部11の減圧時には変形できる弾性を有する一方、常圧時には元の形状に戻って微小針13を所定の位置に保持できる剛性を有しており、採取された血液Bと接触した際、過剰な金属イオンや低分子成分が溶出しないものであれば特に限定されないが、ステンレス、コバルトクロム合金、チタン、チタン合金などが好ましい。
また、ケーシング部12の材質は、外部からの衝撃に対して流路23の変形を防止できる剛性、およびデバイス全体を保護することができる耐衝撃性を有していれば、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂などが好ましい。
(2)流路形成部
図3は、本実施の形態に係る体液採取デバイスにおいて形成されている流路を説明する模式図である。図3に示すように、流路23は空隙部11(図1)との接続部から出口25まで延びて形成されており、送液部のローター31と接する箇所には可撓性の円弧形状部21が形成されている。なお、円弧形状部21の上流側には、前記したように、採取された血液を一時溜めておくためのリザーバー22が形成されている。
前記したように、ローター31を回転させて、ローラー32で円弧形状部21を押圧することにより、円弧形状部21が押し潰される。これにより、蠕動ポンプ部としての機能が発揮される。具体的には、まず、ローラー32によって押し潰された円弧形状部21の位置が、ローター31の回転に合わせて、流路23の下流側に向けて移動していくため、押し潰し位置よりも上流側の流路23内および空隙部11内が減圧される。これに合わせて、前記したように、微小針13が皮膚に刺さり、空隙部11内に血液が導入される(図2参照)。空隙部11内に溜まった血液は、その後、ローター31の回転に合わせて、ローラー32が順次円弧形状部21を押圧していくことによりさらに減圧された流路23内を、リザーバー22まで搬送されて、リザーバー22内に一時的に溜められる。その後、リザーバー22内に溜められた血液は、ローター31の回転に合わせて、円弧形状部21を経由して、出口25まで搬送されて、取り出される。
なお、本実施の形態において、流路は、流路形成部を以下のようにして作製することにより形成される。図4は、本実施の形態に係る体液採取デバイスにおける流路形成部の作製を説明する断面図であり、(a)は流路形成部作製用の2つの部品を、(b)は2つの部品を一体に接合した状態を、(c)は流路の位置によって流路形成部の厚みが異なることを示している。
まず、図4(a)に示すように、シリコーンゴムのような可撓性を有する材料を射出成形などの方法により成形して、基板となる平板部品212と流路となる空間を中央部に有する流路形成部品211のそれぞれを作製する。
次いで、作製された2つの部品211および212を、プラズマ処理して圧着したり、接着剤を用いて接着したりなどして、図4(b)に示すように、一体に接合する。これにより、図4(c)に示すように、流路形成部の内部に流路が形成される。
なお、この流路の形成にあたって、円弧形状部以外のローターとの接触がない箇所については流路の押し潰しを考慮しなくてよいため、図4(c)の左側に示すように、厚みについて考慮する必要はない。一方、ローターにより押圧される箇所、即ち、円弧形状部については、押し潰しによる流路の十分な変形を考慮して、図4(c)の右側に示すように、厚みを薄く成形することが好ましい。
本実施の形態において流路形成部2の材質は、可撓性を有し、ローラー32の押圧の有無に合わせて円弧形状部が十分に変形、即ち、押圧が掛かると潰れ、押圧が解除されると復元することができる限り、特に限定されず、具体的には、シリコーンゴムや、例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン重合体、水添ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体などのスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。
そして、上記したシリコーンゴムや熱可塑性エラストマーなどのショアA硬度は、30〜80が好ましく、35から70であるとより好ましく、40〜65であるとさらに好ましい。硬度が低すぎると、円弧形状部21が押し潰されて変形した際に流路の壁面同士が付着しやすくなり、血液の搬送に支障が出る恐れがある。一方、硬度が高すぎると、円弧形状部21を押し潰そうとしても十分に変形させることができず、血液の搬送に支障が出る恐れがある。
そして、円弧形状部21の径としては、特に制約はないが、ローター31やローラー32の径を小型化する際の制約、および本デバイスの小型化を考慮すると、5〜20mm程度であることが好ましい。
(3)送液部
送液部3は、図1(a)に示すように、一方の側(図では左側)の上面にローラー32を有するローター31を備えている。なお、図1(a)においては、ローター31に設けられたローラー32を3個としているが限定されず、1個でもよい。また、2個以上の場合には、周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。
送液部3を上記のような構成とし、流路形成部2を上に重ねて、流路形成部2における円弧形状部21を、回転するローター31のローラー32によって押圧できる位置に配置する(図1(c)参照)ことにより、ローター31を回転駆動させた場合、図3に示すように、ローラー32と接触した円弧形状部21が押圧されて押し潰され、円弧形状部21の流路が閉塞される。この流路の閉塞は、ローター31がさらに回転して、ローラー32との接触がなくなるまで維持された状態で、ローター31の回転に合わせて移動していくため、ローラー32よりも上流側において流路23が減圧されることになり、前記した通り、血液の採取が行われると共に、採取されて空隙部に溜められた血液を、下流側に向けて移動させて搬送することができる。
その後、さらに回転したローラー32と円弧形状部21との接触がなくなると、円弧形状部21における流路の閉塞状態が解除されて、復元力によって流路が元の形状に戻り、開放される。このとき、上流側で、次のローラーが円弧形状部21を押圧しているため、開放された流路23内にある血液は、さらに下流側に送られて出口25まで搬送される。
3.本実施の形態の効果
上記したように、本実施の形態においては、体液採取部を皮膚に接触させた後、ローターを回転させるだけで、ローターに保持されたローラーが流路の円弧形状部を押し潰すため、微小針の駆動および被検者の体内から体外への体液の引き抜きに必要な空隙部における減圧の形成や、採取された体液のデバイス外への送液の駆動力の付与を容易に行うことができる。また、微小針を使用しているため、体液の採取に際して、殆ど、痛みを感じることがない。そして、皮膚とデバイスとの密着が不十分で体液の採取がうまくいかなかった場合でも、再度、デバイスを密着させてローターを回転させることにより、空隙部を減圧させることができるため、容易に、体液の採取を繰り返すことができる。
この結果、熟練者ではない被検者自ら、採取体液量をコントロールした採取を容易に行うことができ、デバイスからの採取体液の取り出しも容易に行うことができるため、被検者にとって身体的・精神的負担が発生せず、また、時間や手間が掛かることもない。そして、体液の採取から取り出しまでを、1つのデバイスで行うことができるため、デバイスの小型化を図ることができる。
また、本実施の形態においては、体液採取部や流路形成部を送液部と分離可能に形成することができるため、繰り返し使用することが好ましくない体液採取部や流路形成部を使い捨てとして、容易に交換して、体液の採取を繰り返すことができる。即ち、デバイスの一部(体液採取部や流路形成部)をディスポーザブル(使い捨て)として、デバイスを繰り返し使用することが可能となるため、デバイスの有効活用を図って、被検者の費用負担を軽減させることができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 体液採取部
2 流路形成部
3 送液部
11 空隙部
12 ケーシング部
13 微小針
14 弾性薄板
21 円弧形状部
22 リザーバー
23 流路
25 出口
31 ローター
32 ローラー
211 流路形成部品
212 平板部品
B 血液
S 皮膚

Claims (11)

  1. 被検者から体液を採取するために使用される体液採取デバイスであって、
    体液を採取する体液採取部と、採取された体液を搬送する流路が形成された流路形成部と、前記流路内の体液を下流側に向けて送液する送液部とを備えており、
    前記体液採取部は、弾性薄板と、前記弾性薄板に固定された微小針と、ケーシング部と、前記ケーシング部に設けられた空隙部を備えており、
    前記空隙部は、前記ケーシング部に設けられた穴と、前記穴の上方に固定された前記弾性薄板とによって形成されており、
    前記流路形成部は、前記流路の少なくとも一部に、可撓性の円弧形状部が形成されており、
    前記送液部は、前記円弧形状部を押圧するローラーを有するローターと、前記ローターを回転駆動させる駆動部とを備えており、
    前記ローターが前記駆動部により回転する際に、前記ローターに保持されたローラーが前記円弧形状部を押圧して潰すことにより、前記体液採取部によって体液を採取すると共に、採取された体液を前記流路を通じて出口まで搬送するように構成されていることを特徴とする体液採取デバイス。
  2. 前記ローターが回転して前記円弧形状部を前記ローラーが押圧して潰すことにより、前記流路内の空気が排気されて、前記空隙部および前記流路内が減圧され、
    前記空隙部の減圧に伴って、前記弾性薄板が前記空隙部の内方に引き込まれるように変形することにより、前記弾性薄板に固定された前記微小針が皮膚内部に挿入されて、体液が前記空隙部へ採取され、
    さらに、前記ローターの回転に合わせて、前記円弧形状部の押し潰し位置が下流側に移動することにより、採取された体液を前記流路の出口まで搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の体液採取デバイス。
  3. 前記流路形成部に形成された前記流路の前記円弧形状部の上流側に、採取された体液を一時溜めておくリザーバーが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体液採取デバイス。
  4. 前記微小針が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリεカプロラクトン、乳酸とグリコール酸との共重合体、乳酸とεカプロラクトンとの共重合体のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  5. 前記微小針の直径が、0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  6. 前記弾性薄板が、ステンレス、コバルトクロム合金、チタン、チタン合金のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  7. 前記ケーシング部が、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  8. 前記流路形成部が、シリコーンゴムまたは熱可塑性エラストマーを用いて作製されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  9. 前記シリコーンゴムまたは熱可塑性エラストマーのショアA硬度が、30〜80であることを特徴とする請求項8に記載の体液採取デバイス。
  10. 前記流路形成部に形成された前記流路の前記円弧形状部の径が、5〜20mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
  11. 前記体液採取部および前記流路形成部が、前記送液部と分離可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の体液採取デバイス。
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