JP2020137146A - 振動発電装置 - Google Patents

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小林 秀和
Hidekazu Kobayashi
秀和 小林
慎 木内
Shin Kiuchi
慎 木内
増田 新
Arata Masuda
新 増田
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Abstract

【課題】非線形振動子を加振するか否かを判定するための閾値を、容易且つ適切に設定できるようにすること。【解決手段】振動発電装置は、非線形ばね特性を有し、振動源の振動に伴って振動する非線形振動子と、非線形振動子の振動に伴って発電する発電手段と、非線形振動子の応答の時間波形を検出する第1波形検出手段と、振動源から入力される加振力の時間波形を検出する第2波形検出手段と、非線形振動子の応答の時間波形と、振動源から入力される加振力の時間波形から、振動源から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子の変位応答の時間波形の位相遅れおよび当該位相遅れの時間微分を算出する算出部と、算出された位相遅れおよび位相遅れの時間微分に基づいて、非線形振動子を加振するか否かを判定するための閾値を決定する決定部と、検出された非線形振動子の振幅が閾値未満である場合、非線形振動子を加振する加振手段とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、振動発電装置に関する。
従来、質量要素およびばね要素を有する振動子を備え、この振動子を振動源と共振させて、振動子の運動エネルギを電気的エネルギに変換することにより、電力を生成することが可能な振動発電装置が利用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
また、下記特許文献1に開示されているように、このような振動発生装置において、振幅と共にばね定数が増大する特性(以下、「ハードニング特性」と示す)を有する振動子(以下、「非線形振動子」と示す)を用いることにより、当該非線形振動子の周波数応答特性において、共振周波数帯域における波形を高周波側に折れ曲がった形状とすることができ、よって、共振周波数帯域幅を拡大できることが知られている。
このような周波数応答特性では、共振周波数帯域に2つの安定解(大振幅応答解および小振幅応答解)を有する。共振周波数帯域において、2つの安定解のうちのいずれに収束するかは、振動の初期条件や外乱影響等に依存して決定される。振動発生装置によって効率的に電力を発生するためには、非線形振動子を大振幅応答解で振動させる必要がある。
下記特許文献1の技術では、非線形振動子の振幅を監視し、非線形振動子の振幅が所定の閾値未満となった場合に、非線形振動子が大振幅応答解で振動するように、非線形振動子を加振することにより、小振幅応答解に落ち込もうとする非線形振動子の応答を、大振幅応答解へ励起する技術が用いられている。
特開2012−60864号公報
従来技術では、非線形振動子が確実に大振幅応答解で振動するように、非線形振動子を加振するか否かを判定するための閾値に対し、大振幅応答解に応じた適切な値(例えば、大振幅解の大振幅応答解の95%の値)を予め設定しておく必要がある。
しかしながら、大振幅応答解の振幅は、振動源の加速度、振動発電装置の発電特性(例えば、ばねの非線形性、機械・電気減衰比等に依存する)、設置環境等の各種変動要因により、大きく変化する。このため、従来技術では、これらの各種変動要因を事前に把握する必要があり、さらにそのうえで、これらの各種変動要因を考慮して、適切な閾値を求める必要があった。
また、これらの変動要因を事前に把握していたとしても、振動発電装置の振動特性は、振動源の構造等によって変化する場合があり、この場合、振動発電装置を振動源に設置した後に、試験によって振動発電装置の振動特性を把握したうえで、適切な閾値を決定しなければならない。
このように、従来技術では、非線形振動子を加振するか否かを判定するための閾値を、容易且つ適切に設定することができなかった。
一実施形態の振動発電装置は、非線形ばね特性を有し、振動源の振動に伴って振動する非線形振動子と、非線形振動子の振動に伴って発電する発電手段と、非線形振動子の応答の時間波形を検出する第1波形検出手段と、振動源から入力される加振力の時間波形を検出する第2波形検出手段と、非線形振動子の応答の時間波形と、振動源から入力される加振力の時間波形から、振動源から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子の変位応答の時間波形の位相遅れおよび当該位相遅れの時間微分を算出する算出部と、算出部によって算出された位相遅れおよび位相遅れの時間微分に基づいて、非線形振動子を加振するか否かを判定するための、非線形振動子の振幅の閾値を決定する決定部と、第1波形検出手段によって検出された非線形振動子の振幅が閾値未満である場合、非線形振動子を加振する加振手段とを備える。
一実施形態によれば、非線形振動子を加振するか否かを判定するための閾値を、容易且つ適切に設定できる。
本発明の一実施形態に係る振動発電装置の構成を示す図 本発明の一実施形態に係る非線形振動子の非線形周波数特性を示す図 本発明の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図 本発明の一実施形態に係る制御装置の機能構成を示す図 変位に対して5次の依存性を保つ非線形復元力を有する系を線形固有振動数の1.25倍の振動数で加振した場合の流れ場を示す図 本発明の一実施形態に係る制御装置による処理の手順を示すフローチャート 本発明の一実施形態に係る振動発電装置による閾値の適用調整例を表す図 本発明の一実施形態に係る振動発電装置による閾値の適用調整例を表す図 本発明の一実施形態に係る振動発電装置による閾値の適用調整例を表す図
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
(振動発電装置100の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る振動発電装置100の構成を示す図である。図1に示す振動発電装置100は、振動源20(例えば、橋、道路、建物、水面等)に設けられた非線形振動子112が、振動源20の振動に伴って振動することにより、非線形振動子112を有する発電装置110によって電力を発生する装置である。
図1に示すように、振動発電装置100は、発電装置110、充電回路122、蓄電装置124、電圧検出回路132、振動センサ134、制御装置140、および加振手段150を備える。
発電装置110は、「発電手段」の一例である。発電装置110は、筒体111、非線形振動子112、コイル114、永久磁石115、永久磁石116、およびコイル117を備える。筒体111は、非線形振動子112を振動させる方向(以下、「筒体111の軸方向」と示す)に延在する筒状を有している。永久磁石115は、筒体111の軸方向における一端に設けられている。永久磁石116は、筒体111の軸方向における他端に設けられている。筒体111の内部において、永久磁石115と永久磁石116との間には、非線形振動子112が設けられている。非線形振動子112の永久磁石115側の磁極(S極)は、永久磁石115の非線形振動子112側の磁極(S極)と同極である。非線形振動子112の永久磁石116側の磁極(N極)は、永久磁石116の非線形振動子112側の磁極(N極)と同極である。非線形振動子112、永久磁石115、および永久磁石116は、ハードニング特性を持つ磁気ばねを構成する。非線形振動子112は、振動源20の振動に伴って、筒体111の軸方向に沿って、筒体111の内部で振動する。非線形振動子112としては、永久磁石が用いられる。コイル114およびコイル117は、筒体111の外側において、筒体111の軸方向に並べて配置されている。コイル114およびコイル117は、非線形振動子112の外側を取り囲む形状を有する。コイル114,117は、当該コイル114,117の筒内部を、非線形振動子112(すなわち、永久磁石)が振動することで、電磁誘導作用によって電力を発生する。コイル114によって発生された電力は、蓄電装置124の充電用に、充電回路122へ供給される。コイル117によって発生された電力は、非線形振動子112の振幅を表す電圧値の検出用に、電圧検出回路132へ供給される。
充電回路122は、コイル114によって発生された電力を、蓄電装置124に出力する。蓄電装置124としては、各種二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池等)やコンデンサ等が用いられる。例えば、充電回路122は、整流器、平滑器、PFC(Power Factor Correction)、DC−DCコンバータ等を備えて構成される。
電圧検出回路132は、「第1波形検出手段」の一例である。電圧検出回路132は、コイル117によって発生された起電力における電圧値を検出し、当該電圧値を表す電圧値信号を出力する。コイル117によって発生された起電力における電圧値は、非線形振動子112の速度応答に比例するものである。したがって、電圧検出回路132によって検出される電圧値は、非線形振動子112の速度応答と同位相の時間波形となる。なお、「第1波形検出手段」はこれに限らず、例えば、非線形振動子112の変位を検出する検出手段を用いて、非線形振動子112の変位と同位相の信号を検出しても良い。
振動センサ134は、「第2波形検出手段」の一例である。振動センサ134は、振動源20の振動における加速度を表す情報を検出し、当該加速度を表す加速度信号を出力する。振動源20の振動における加速度は、振動源20から非線形振動子112に入力される加振力に負号を付したものに比例するものである。したがって、振動センサ134によって検出される加速度信号は、振動源20から非線形振動子112に入力される加振力と逆位相の時間波形となる。例えば、振動センサ134としては、圧電シート、加速度センサ等を用いることができる。
制御装置140は、加振手段150による非線形振動子112の加振を制御する。例えば、制御装置140は、電圧検出回路132によって検出された電圧値に基づく非線形振動子112の速度応答の時間波形と、振動センサ134によって検出された振動源20の加速度に基づく非線形振動子112への加振力の時間波形とに基づいて、非線形振動子112の振幅の閾値αthを決定する。そして、制御装置140は、電圧検出回路132によって検出された電圧値に基づく非線形振動子112の振幅が、閾値αth未満の場合、加振手段150を駆動することにより、非線形振動子112を加振する。発電装置110においては、非線形振動子112が加振されることによって、非線形振動子112の振幅が増大し、よって、当該発電装置110において発生する電力が高められる。制御装置140としては、例えば、マイコン等が用いられる。
加振手段150は、制御装置140の制御によって駆動することにより、非線形振動子112を加振する。具体的には、加振手段150は、蓄電装置124に蓄積された電力を用いて、コイル114へ電力を供給することにより、非線形振動子112を加振する。例えば、加振手段150は、特許文献1に開示されているように、蓄電装置124と発電装置110との間に設けられた、負性インピーダンス変換回路およびスイッチによって構成される。この場合、非線形振動子112の振幅が閾値αth未満の場合には、スイッチが閉じることにより、負性インピーダンス変換回路が発電装置110に接続された状態になる。このとき、負性インピーダンス変換回路の負性抵抗値は、発電装置110から見た出力側の等価抵抗値が負の値になるように設定される。これにより、蓄電装置124から発電装置110にエネルギが還流され、非線形振動子112が加振されることとなる。
(非線形振動子112の非線形周波数特性)
図2は、本発明の一実施形態に係る非線形振動子112の非線形周波数特性を示す図である。図2に示すように、本実施形態の振動発電装置100は、ハードニング特性を有する非線形振動子112を用いているため、当該非線形振動子112の周波数応答特性において、共振周波数帯域における波形が高周波側に折れ曲がった形状となり、よって、共振周波数帯域幅が拡大されたものとなっている。
図2に示すように、非線形振動子112の周波数応答特性は、共振周波数帯域に2つの安定解(大振幅応答解および小振幅応答解)を有する。なお、図2において、実線は安定解を示し、点線は不安定解を示す。
共振周波数帯域において、2つの安定解のうちのいずれに収束するかは、振動の初期条件や外乱影響等に依存して決定される。振動発生装置によって効率的に電力を発生するためには、非線形振動子112を大振幅応答解で振動させる必要がある。
このためには、非線形振動子112の振幅が閾値αth未満である場合に、非線形振動子112を加振した際に、非線形振動子112が確実に大振幅応答解で振動するように、閾値αthを適切に設定する必要がある。
(制御装置140のハードウェア構成)
図3は、本発明の一実施形態に係る制御装置140のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、および外部I/F(Inter face)304を備える。各ハードウェアは、バス305を介して相互に接続されている。
CPU301は、ROM302に記憶されている各種プログラムを実行することにより、制御装置140の動作を制御する。ROM302は、不揮発性メモリである。例えば、ROM302は、CPU301により実行されるプログラム、CPU301がプログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM303は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。例えば、RAM303は、CPU301がプログラムを実行する際に利用する作業領域として機能する。外部I/F304は、電圧検出回路132、振動センサ134、および加振手段150に対するデータの入出力を制御する。
(制御装置140の機能構成)
図4は、本発明の一実施形態に係る制御装置140の機能構成を示す図である。図4に示すように、制御装置140は、取得部141、算出部142、決定部143、判定部144、および制御部145を備える。
取得部141は、電圧検出回路132から出力された電圧値信号を取得する。また、取得部141は、振動センサ134から出力された加速度信号を取得する。
算出部142は、取得部141によって取得された電圧値信号(すなわち、電圧検出回路132によって検出された電圧値)に基づく非線形振動子112の速度応答の時間波形と、取得部141によって取得された加速度信号(すなわち、振動センサ134によって検出された振動源20の加速度)に基づく振動源20の加振力の時間波形から、振動源20から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子112の変位応答の時間波形の位相遅れ、およびその時間微分を算出する。
決定部143は、算出部142によって算出された、振動源20から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子112の変位応答の時間波形の位相遅れおよびその時間微分に基づいて、非線形振動子112を加振するか否かを判定するための、非線形振動子112の振幅の閾値αthを決定する。なお、決定部143が閾値αthを決定する際に適用する制御側については、後述する。
判定部144は、電圧検出回路132によって検出された電圧値の振幅(すなわち、非線形振動子112の振幅)が、決定部143によって決定された閾値αth未満である場合、非線形振動子112を加振すると判定する。一方、判定部144は、電圧検出回路132によって検出された電圧値の振幅(すなわち、非線形振動子112の振幅)が、決定部143によって決定された閾値αth以上である場合、非線形振動子112を加振しないと判定する。
制御部145は、判定部144によって非線形振動子112を加振すると判定された場合、加振手段150に制御信号を送信することによって、加振手段150を駆動することにより、非線形振動子112を加振する。
なお、図4に示す制御装置140の各機能は、例えば、制御装置140において、ROM302に記憶されたプログラムを、CPU301が実行することにより実現される。このプログラムは、予め制御装置140に導入された状態で提供されてもよく、外部から提供されて制御装置140に導入されるようにしてもよい。後者の場合、このプログラムは、外部記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、CD−ROM等)によって提供されてもよく、ネットワーク(例えば、インターネット等)上のサーバからダウンロードすることによって提供されるようにしてもよい。
(振動発電装置100が適用する制御側)
以下では、本実施形態の振動発電装置100(決定部143)が適用する閾値αthを決定する制御側を説明する。
ここで、非線形振動子112を角周波数ωの正弦波振動源で加振したとき、非線形振動子112の応答振幅αと、振動源20からの加振力に対する位相遅れ(以下、「位相遅れ」と示す)φの時間発展は、下記数式(1),(2)に従う。
上記下記数式(1),(2)において、mは、非線形振動子112の質量を示す。また、Ceqは、非線形振動子112の等価減衰係数を示す。また、Keqは、非線形振動子112の等価ばね定数を示す。また、Rは、負荷抵抗を示す。また、Rは、誘導コイルの内部抵抗を示す。また、Φeqは、等価力係数を示す。また、uは、振動源の加振加速度振幅を示す。
横軸を応答振幅α、縦軸を位相遅れφとする相平面上の一点は、ある瞬間の解の瞬時振幅と瞬時位相遅れであり、上記数式(1),(2)の各々の左辺を要素とする速度ベクトル場は、相平面上での解軌道の流れ場を与える。すなわち、適当な初期振幅と初期位相遅れを与えたときの解軌道は、初期点から出発して速度ベクトルを積分した流線にあたる。そして、その流線の行き着く先、上記数式(1),(2)の各々の左辺が同時にゼロになる平衡点が正弦波加振に対する定常応答解に相当する。上記数式(1),(2)が表す流れ場は、加振振動数および加振振幅に依存して構造が変化し、それによって解の動的な振る舞いが変化する。
図5は、変位に対して5次の依存性を保つ非線形復元力を有する系を線形固有振動数の1.25倍の振動数で加振した場合の流れ場を示す図である。図5に示す相平面において、横軸は位相遅れφを示し、縦軸は、非線形振動子112の応答振幅αを示す。図5に示す相平面上において、共振周波数帯域における2つの安定解は、四角形のドットで示された、大振幅応答解F1および小振幅応答解F2である。大振幅応答解F1は、{0<(modφ,2π)<π/2}の範囲に存在する。小振幅応答解F2は、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲に存在する。また、図5に示す相平面上においては、大振幅応答解F1と小振幅応答解F2の間に挟まれるように、三角形のドットで示された平衡点Sが、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲に存在する。平衡点Sは、不安定な鞍点である。平衡点Sを通過する曲線のうち、実線は、平衡点Sに流入する安定多様体を表しており、点線は、平衡点Sから流出する不安定多様体を表している。図5において実線で示された安定多様体は、セパラトリクスと呼ばれ、大振幅応答解F1に吸引される領域と、小振幅応答解F2に吸引される領域とを分割する境界線を構成する。
本実施形態の振動発電装置100は、下記数式(3)に基づき、非線形振動子112の応答振幅αが、閾値αth未満の場合、負荷抵抗(すなわち、加振手段150が備える負性インピーダンス変換回路の負性抵抗値を、発電装置110から見た出力側の等価抵抗値)が負の値になるように切り替える。これにより、振動発電装置100は、非線形振動子112を加振する。
但し、上記数式(3)において、負抵抗Rnegの値は、上記数式(1)右辺の括弧内が負になるように選択する。これにより、上記数式(1)から明らかなように、負荷抵抗が負の値になっている区間で、流れ場は振幅が増加する方向に変化する。その結果、解は上方に押し上げられる。
ここで、本実施形態の振動発電装置100は、閾値αthを、流れ場に関する事前知識に依らず、非線形振動子112の応答振幅αの瞬時値と、位相遅れφとに基づいて、適応的に定めることができる。これにより、本実施形態の振動発電装置100は、相平面上のいかなる初期点から出発しても、解軌道が必ず大振幅応答解F1点に収束するように閾値αthを設定することができ、したがって、非線形振動子112を確実に大振幅応答解で振動させることができる。
また、本実施形態の振動発電装置100は、閾値αthを位相遅れφの関数として変化させることができる。これにより、本実施形態の振動発電装置100は、非線形振動子112を不必要に加振してしまうことを抑制することができ、したがって、蓄電装置124に蓄積された電力の消費を抑制することができる。
(振動発電装置100が適用する制御側の具体例)
以下では、本実施形態の振動発電装置100(決定部143)が適用する閾値αthを決定する制御側の具体例を説明する。本実施形態の振動発電装置100は、閾値αthの適応調整則として、下記数式(4)を用いる。
すなわち、上記数式(4)は、非線形振動子112の応答振幅αの瞬時値、および、非線形振動子112の応答振幅αの時間発展を用いて、位相遅れφに依存する閾値αthの時間発展を定める制御則である。
ここで、図5に例示したように、相平面上に二つの安定平衡点F1,F2および一つの鞍点Sが共存する場合において、安定平衡点F1を唯一の安定解とするためには、小振幅応答解に相当する安定平衡点F2を不安定化し、且つ鞍点である平衡点Sを消滅させればよい。安定平衡点F2および平衡点Sは、いずれも{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲に存在するため、少なくともこの範囲において、閾値αthを適応的に定める必要がある。
そこで、本実施形態の決定部143は、閾値αthを変化させる位相遅れφの関数を、下記数式(5)によって定める。
そして、決定部143は、下記数式(6)により、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲(すなわち、安定平衡点F2および平衡点Sが存在する範囲)における閾値αthを適応的に定める。
なお、上記数式(6)において、K(但し、K>0)はゲインを示す。
また、上記数式(6)において、pは、閾値αthの上限および下限を定めるペナルティ項であり、K(但し、K>0)をペナルティゲインとして、下記数式(7)により定める。
また、上記数式(6)において、dは、解が大振幅応答解に収束したときに再び閾値αthを引き下げるための減少率を示すものであり、下記数式(8)により定める。
決定部143は、上記数式(6)を用いて、閾値αthを変化させつつ位相遅れの時間微分dφ/dtが0となる閾値αthを探索する。例えば、決定部143は、探索された位相遅れの時間微分dφ/dtが0よりも大きい場合、閾値αthを高める。一方、決定部143は、探索された位相遅れの時間微分dφ/dtが0よりも小さい場合、閾値αthを低める。そして、決定部143は、探索された位相遅れの時間微分dφ/dtが0となったとき、そのときの閾値αthを、非線形振動子112を加振するか否かを判定するために用いる閾値αthとして決定する。
上記した制御側により、閾値αthは、位相遅れφが増加するとき増加し、位相遅れφが減少するとき減少する。また、図5に例示したように、相平面上においては、平衡点Sの上側で流れ場は右向き、下側で左向きになる。このため、上記した制御則により、相平面上において、閾値αthは、概ね平衡点Sの高さまで上昇する。その結果、安定平衡点F2が不安定化され、且つ、平衡点Sが消滅することとなり、よって、安定平衡点F1を唯一の安定解とすることができる。
振動発電装置100の判定部144は、以上のように適応的に定められた閾値αthを用いて、負荷抵抗を上記数式(3)に従って切り替える。これにより、上記数式(1)から明らかなように、負荷抵抗が負値になっている区間で、流れ場は振幅が増加する向きに変化する。したがって、解は上方に押し上げられる。
(制御装置140による処理の手順)
図6は、本発明の一実施形態に係る制御装置140による処理の手順を示すフローチャートである。
まず、取得部141が、電圧検出回路132から出力された電圧値信号を取得する(ステップS601)。また、取得部141が、振動センサ134から出力された加速度信号を取得する(ステップS602)。
次に、算出部142が、ステップS601で取得された電圧値信号に基づく非線形振動子112の速度応答の時間波形と、ステップS602で取得された加速度信号に基づく振動源20の加振力の時間波形から、振動源20から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子112の変位応答の時間波形の位相遅れφと位相遅れの時間微分dφ/dtを算出する(ステップS603)。
次に、決定部143が、ステップS603で算出された位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」であるか否かを判断する(ステップS604)。
ステップS604において、位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」ではないと判断された場合(ステップS604:NO)、決定部143が、ステップS603で算出された位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」より大きいか否かを判断する(ステップS605)。
ステップS605において、位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」より大きいと判断された場合(ステップS605:YES)、決定部143が、閾値αthを高める(ステップS606)。そして、制御装置140は、ステップS608へ処理を進める。
ステップS605において、位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」より大きくないと判断された場合(ステップS605:NO)、決定部143が、閾値αthを低める(ステップS607)。そして、制御装置140は、ステップS608へ処理を進める。
一方、ステップS604において、位相遅れの時間微分dφ/dtが「0」であると判断された場合(ステップS604:YES)、決定部143が、そのときに位相遅れの時間微分dφ/dtの算出に用いた閾値αthを、非線形振動子112を加振するか否かを判定するために用いる閾値αthとして決定する(ステップS608)。
その後、判定部144が、非線形振動子112の振幅(すなわち、電圧検出回路132によって検出された電圧値の振幅)が、ステップS608で決定された閾値αth未満であるか否かを判断する(ステップS609)。
ステップS609において、非線形振動子112の振幅が閾値αth未満であると判断された場合(ステップS609:YES)、制御部145が、加振手段150に制御信号を送信することによって、加振手段150を駆動することにより、非線形振動子112を加振する(ステップS610)。そして、制御装置140は、ステップS601へ処理を戻す。
一方、ステップS609において、非線形振動子112の振幅が閾値αth未満ではないと判断された場合(ステップS609:NO)、制御装置140は、ステップS601へ処理を戻す。
本実施形態の振動発電装置100は、図6に示す一連の処理により、振動源20から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子112の変位応答の時間波形の位相遅れの時間微分dφ/dtに応じて、適切な閾値αthを適応的に定めることができる。そして、本実施形態の振動発電装置100は、非線形振動子112の振幅が閾値αth未満の場合、非線形振動子112を加振することができる。これにより、本実施形態の振動発電装置100は、振動源の加速度、振動発電装置の発電特性、設置環境等の各種変動要因に依らず、共振周波数帯域において、非線形振動子112を確実に大振幅応答解で振動させることができ、よって、効率的に電力を発生することができる。
なお、加振振動数が共振ピーク先端より高くなった場合には、大振幅応答解が存在しなくなるため、{0<(modφ,2π)<π/2}の範囲で解を収束させることができない。この場合、例えば、振動発電装置100は、所定の事象(例えば、解が一定時間収束せず位相遅れφが増加し続けること、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲で解の更新が止まること、等)が生じたことをもって解を収束させることができないと判断し、閾値αthを0に引き下げて制御を終了するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の振動発電装置100は、振動源20から入力される加振力の時間波形に対する非線形振動子112の変位応答の時間波形の位相遅れの時間微分dφ/dtを算出し、当該位相遅れの時間微分dφ/dtに基づいて、非線形振動子112を加振するか否かを判定するための閾値αthを決定する。
特に、本実施形態の振動発電装置100は、非線形振動子112の周波数応答特性における、大振幅応答解および小振幅応答解を有する共振周波数帯域において、非線形振動子112の応答振幅αを大振幅応答解に収束させる閾値αthを決定する。
そして、本実施形態の振動発電装置100は、非線形振動子112の応答振幅αが、決定された閾値αth未満である場合、非線形振動子112を加振する。
これにより、本実施形態の振動発電装置100は、非線形振動子112の応答の動的な振る舞い(流れ場)に関する詳細な事前知識なしに、適切な閾値αthを適応的に定めることができ、応答振幅αを大振幅応答解に収束させることができる。
すなわち、本実施形態の振動発電装置100は、位相遅れφに基づいて、閾値αthを自動的に調整することによって、振動源20の加速度や、発電装置110の発電特性に関する事前知識に依らず、大振幅応答解を安定に維持するように、負荷抵抗を切り替えることができる。
また、本実施形態の振動発電装置100は、位相遅れφに依存した負荷抵抗の切り替えを行うことによって、非線形振動子112に対して無駄にエネルギが投入されてしまうことを抑制し、効率よく非線形振動子112の応答を安定化することができる。
したがって、本実施形態の振動発電装置100によれば、非線形振動子112を加振するか否かを判定するための閾値αthを、容易且つ適切に設定することができる。
なお、上記実施形態の振動発電装置100において、上記数式(3)の代わりに、下記数式(9),(10)に従って、負荷抵抗の切り替えを行うようにしてもよい。
上式数式(9),(10)は、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲における解の振幅αと閾値αthとの大小関係によって、負荷抵抗の値をリレー動作的に切り替えることを意味する。これにより、解軌道は、平衡点Sを迂回して上側に回り込み、効率よく大振幅応答解F1に接近することができる。
図7〜図9は、本発明の一実施形態に係る振動発電装置100による閾値αthの適用調整例を表す図である。図7〜図9は、いずれも、上記数式(9),(10)に従って負荷抵抗の切り替えを行ったときの、閾値αthの適用調整例を表す。但し、図7では、加振振動数を線形固有振動数の1.25倍としている。また、図8では、加振振動数を線形固有振動数の1.75倍としている。また、図9では、加振振動数を線形固有振動数の2.25倍としている。
図7〜図9において、(a)は、解の振幅および閾値αthの時間推移を示す図であり、実線は振幅の時間推移を、破線は閾値αthの時間推移を表す。但し、実線における太線部分は、負荷抵抗の値が負になっている区間である。また、図7〜図9において、(b)は、解軌道を示す図であり、実線は相平面上での解の推移を表す。但し、実線における太線部分は、負荷抵抗の値が負になっている区間である。
図7〜図9に示すように、本実施形態の振動発電装置100は、これまでに説明した制御側を適用して閾値αthを決定し、当該閾値αthを用いて、上記数式(9),(10)に従って負荷抵抗の切り替えを行うことにより、加振振動数を線形固有振動数の1.25倍,1.75倍,2.25倍のいずれとした場合であっても、解を大振幅応答解F1点に収束することができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
例えば、発電装置は、実施形態で説明した構成を有するものに限らず、少なくとも非線形振動子の振動により発電可能なものであれば、如何なる構成を有するものであってもよい。また、非線形振動子は、少なくともハードニング特性を有するものであれば、磁気ばねを構成するものに限らない。
20 振動源
100 振動発電装置
110 発電装置(発電手段)
111 筒体
112 非線形振動子
114 コイル
115 永久磁石
116 永久磁石
117 コイル
122 充電回路
124 蓄電装置
132 電圧検出回路(第1波形検出手段)
134 振動センサ(第2波形検出手段)
140 制御装置
141 取得部
142 算出部
143 決定部
144 判定部
145 制御部
150 加振手段

Claims (4)

  1. 非線形ばね特性を有し、振動源の振動に伴って振動する非線形振動子と、
    前記非線形振動子の振動に伴って発電する発電手段と、
    前記非線形振動子の応答の時間波形を検出する第1波形検出手段と、
    前記振動源から入力される加振力の時間波形を検出する第2波形検出手段と、
    前記非線形振動子の応答の時間波形と、前記振動源から入力される加振力の時間波形から、前記振動源から入力される加振力の時間波形に対する前記非線形振動子の変位応答の時間波形の位相遅れおよび当該位相遅れの時間微分を算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された前記位相遅れおよび前記位相遅れの時間微分に基づいて、前記非線形振動子を加振するか否かを判定するための、前記非線形振動子の振幅の閾値を決定する決定部と、
    前記第1波形検出手段によって検出された非線形振動子の振幅が前記閾値未満である場合、前記非線形振動子を加振する加振手段と
    を備えることを特徴とする振動発電装置。
  2. 前記決定部は、
    前記非線形振動子の周波数応答特性における、大振幅応答解および小振幅応答解を有する共振周波数帯域において、前記非線形振動子の応答振幅を大振幅応答解に収束させる前記閾値を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動発電装置。
  3. 前記決定部は、
    前記閾値を変化させつつ前記位相遅れの時間微分が0となる前記閾値を探索し、探索された前記位相遅れの時間微分が0となる前記閾値を、前記非線形振動子を加振するか否かを判定するために用いる前記閾値として決定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の振動発電装置。
  4. 前記決定部は、
    前記位相遅れをφとした場合、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲内において、前記位相遅れの時間微分に基づいて前記閾値を決定し、{π/2<(modφ,2π)<π}の範囲外において、前記閾値を0に決定する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の振動発電装置。
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