<<第1実施形態>>
[全体構成]
まず、第1の実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。プリンタ100は、図1に示すように、装置本体100Aと、装置本体100Aに対して開閉可能に支持される前ドア31と、を有している。なお、プリンタ100の説明に関して、以下のように方向を規定する。すなわち、プリンタ100の前ドア31が設けられている側を前側(又は正面側)、その反対側を後側(又は背面側)とし、後側から前側に向かう方向並びに前側から後側に向かう方向を前後方向とする。
また、プリンタ100を前側から視た状態を基準として、左側(又は非駆動側)及び右側(又は駆動側)並びに上側及び下側を規定する。そして、右側から左側に向かう方向並びに左側から右側に向かう方向を左右方向とし、下側から上側に向かう方向並びに上側から下側に向かう方向を上下方向とする。
プリンタ100は、図2に示すように、シートSに画像を形成する画像形成ユニット10と、シート給送部18と、定着装置23と、排出ローラ対24と、制御部200と、を有している。プリンタ100は、外部ホスト装置400から出力されてインターフェース部300を介して制御部200に入力される電気的画像信号に基づいて、シート状の記録媒体(以下、シートSとする)にフルカラー画像あるいはモノクロ画像を形成することができる。外部ホスト装置400は、例えばパーソナルコンピュータ、イメージリーダ及びファクシミリ等である。
制御部200は、プリンタ100の電子写真画像形成プロセスを制御する制御手段であり、外部ホスト装置400と各種の電気的情報の授受をする。また各種のプロセス機器やセンサから入力される電気的情報の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の画像形成プロセスのシーケンス制御等を司る。
シート給送部18は、プリンタ100の下部に設けられ、シートSを収容するカセット19と、シートSを昇降可能に支持する中板21と、ピックアップローラ20aと、分離ローラ対20bと、を有している。カセット19は、装置本体100Aに対して前側から引き出し及び装着可能に構成されている。中板21に積載されたシートSは、ピックアップローラ20aによって給送され、分離ローラ対20bによって1枚ずつに分離される。なお、分離ローラ対20bは、トルクリミッタ方式やリタードローラ方式を適用可能であり、分離ローラ対20bの一方のローラに代えて、分離パッドを適用してもよい。
定着装置23は、ヒータによって加熱される定着フィルム23aと、定着フィルム23aに圧接する加圧ローラ23bと、を有し、定着フィルム23a及び加圧ローラ23bによって定着ニップQが形成されている。排出ローラ対24は、排出駆動ローラ24a及び排出駆動ローラ24aに従動回転する排出従動ローラ24bを有している。
画像形成部としての画像形成ユニット10は、カートリッジトレイ40と、4つのプロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKと、スキャナユニット11と、転写ユニット12と、クリーニングユニット26と、を有している。転写ユニット12は、駆動ローラ14と、補助ローラ15と、テンションローラ16と、中間転写ベルト13と、を有している。中間転写ベルト13は、駆動ローラ14、補助ローラ15及びテンションローラ16に張架され、誘電体から構成されると共に可撓性を有している。
中間転写ベルト13の内側には、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKの各感光ドラムに対向する1次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kが設けられている。中間転写ベルト13を挟んで駆動ローラ14の反対側には、2次転写ローラ27が設けられている。中間転写ベルト13及び2次転写ローラ27によって、2次転写ニップT2が形成されている。
4つのプロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する。なお、4つのプロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジPPYの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジPPM,PPC,PPKの説明は省略する。
プロセスカートリッジPPYは、図2及び図3に示すように、ドラムユニットOPと、現像ユニットDPと、が一体となってユニット化されている。ユニットとしてのドラムユニットOPは、トナー像を担持可能な感光体としての感光ドラム1を有している。ユニットとしての現像ユニットDPは、感光ドラム1に形成された潜像をトナー像として現像する現像ローラ3と、現像剤を収納する収納部3bと、を有している。感光ドラム1及び現像ローラ3の長手方向における駆動側(右側)には、それぞれドラムカップリング1c及び現像カップリング3cが設けられており、装置本体100Aの不図示の駆動源から駆動が伝達される。また、現像ローラ3の長手方向における被駆動側(左側)には、接点2が設けられており、接点2は、装置本体100Aに設けられた接点38(図12(b)参照)に接触した状態で現像バイアスが印加される。感光ドラム1の長手方向における被駆動側には、接地電位に接続するための接点1bが設けられている。
プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、カートリッジトレイ40に保持されており、前ドア31をユーザが開くことで、カートリッジトレイ40にアクセス可能となる。そして、ユーザは、カートリッジトレイ40を前側に引き出すことで、各プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKを交換することができる。
[画像形成動作]
次に、このように構成されたプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ100の制御部200が、インターフェース部300からジョブ信号を受け取ると、装置本体100Aに設けられた不図示の現像離間機構が前後方向に移動する。現像離間機構によって現像ローラ3が感光ドラム1と当接する。
なお、モノクロ画像を形成するジョブでは、プロセスカートリッジPPKの感光ドラムのみが現像ローラと当接し、フルカラー画像を形成するジョブでは、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKの各感光ドラムが各現像ローラに当接する。そして、各感光体、各現像ローラ及び中間転写ベルト13が不図示の駆動源によって駆動される。
スキャナユニット11は、画像信号に対応したレーザ光をプロセスカートリッジPPYの感光ドラム1上に照射する。このとき感光ドラム1は、帯電ローラ5により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット11からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像ローラ3により現像され、感光ドラム1上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
なお、カートリッジトレイ40には、前露光手段としてのライトガイド57(図5(b)参照)が設けられている。ライトガイド57は、例えば透明なアクリル等で成形されている。そして、帯電ローラ5による感光ドラム1の表面の帯電前に、不図示の光源から光が発せられ、この光がライトガイド57によって長手方向に均一に分散された状態で感光ドラム1の表面に照射される。これにより、感光ドラム1の表面の電位が安定化し、良好なトナー像を形成することができる。
同様にして、プロセスカートリッジPPM,PPC,PPKの各感光ドラムにもスキャナユニット11からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kに印加される1次転写バイアスによって中間転写ベルト13に転写される。中間転写ベルト13に転写されたフルカラーのトナー像は、駆動ローラ14によって回転する中間転写ベルト13により2次転写ニップT2まで搬送される。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト13上に1次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。
この画像形成プロセスに並行して、シート給送部18によって送り出されたシートSは、レジストレーションローラ対22によって斜行が補正される。更にレジストレーションローラ対22は、中間転写ベルト13によって搬送されるトナー像に合わせてシートSを2次転写ローラ27へ向けて搬送する。シートSは、2次転写ローラ27に印加された2次転写バイアスによって、2次転写ニップT2において中間転写ベルト13上のフルカラーのトナー像が転写される。また、トナー像転写後、中間転写ベルト13の表面に残ったトナーはクリーニングユニット26によって除去され、不図示の廃トナー回収容器へと回収される。
トナー像が転写されたシートSは、定着装置23の定着ニップQにおいて所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融し、その後固着することで、シートSに画像が定着する。定着装置23を通過したシートSは、排出ローラ対24によって排出トレイ25に排出される。
[カートリッジトレイ]
次に、引き出し部としてのカートリッジトレイ40の構成について説明する。カートリッジトレイ40は、図4(a)(b)に示すように、左右方向に間隙を空けて配置されたトレイ側板41L,41Rと、トレイ側板41L,41Rを連結する連結部材42,43,44,45,46と、ガイド部材47L,47Rと、を有している。なお、以下の説明において、左右1対に設けられる部材については、参照符号の末尾に「L」又は「R」を付記することで左右の区別を行う。
連結部材42,43,44,45,46は、樹脂材料からなり、前側から後側に順に並んでいる。連結部材42,43,44,45には、上述したライトガイド57がそれぞれ設けられている。トレイ側板41L,41Rは、金属材料からなり、ガイド部材47Lはトレイ側板41Lに支持され、ガイド部材47Rはトレイ側板41Rに支持されている。ガイド部材47L,47Rは、ホルダ52L,52R(図11(a)〜図12(b)参照)に設けられる複数のコロ56L,56Rに対してそれぞれ摺動可能である。更に、ガイド部材47L,47Rには、それぞれガイド溝47aL,47aRが形成されており、ガイド溝47aL,47aRは、カートリッジトレイ40を装置本体100Aに対して引き出し方向及び装着方向に案内する。また、ガイド溝47aL,47aRは、装置本体100Aに設けられた不図示のストッパに係合することで、カートリッジトレイ40が所定の位置よりも引き出されることを規制する。
連結部材42は、受け部42b,42bと、把持部42dと、を有しており、把持部42dをユーザが把持して引き出すことで、カートリッジトレイ40を装置本体100Aから引き出すことができる。また、受け部42b,42bは、前ドア31が閉じられた状態でプリンタ100に前方向への衝撃がかかった際に、前ドア31に当たることでプリンタ100の内部部品の破損を防いでいる。同様にして、連結部材46は、受け部46a,46aを有しており、受け部46a,46aは、プリンタ100に後方向への衝撃がかかった際に、定着ステー35(図6参照)に当たることでプリンタ100の内部部品の破損を防いでいる。
トレイ側板41L,41Rは、下部に比べて上部が外側に絞られた形状をしており、トレイ側板41L,41Rとの間の左右方向における距離は、上部が広く下部が狭くなっている。これにより、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKの挿抜性を損なうことなく、カートリッジトレイ40の左右幅を小さくすることができ、プリンタ100の小型化に貢献している。
更に、トレイ側板41L,41Rは、下側がL字に折曲されており、強度を確保している。トレイ側板41L,41Rと各連結部材42,43,44,45,46は、それぞれビスで締結されているが、これに限らず、熱カシメ等を用いてもよい。また、連結部材42,46のみをトレイ側板41L,41Rに対して締結し、連結部材43,44,45はトレイ側板41L,41Rに締結しなくてもよい。
トレイ側板41Rには、図4(a)乃至図5(b)に示すように、カートリッジ係合部41gR,41hR,41iR,41jRが設けられており、カートリッジ係合部41gR,41hR,41iR,41jRは、それぞれ略V字状に形成されている。具体的には、カートリッジ係合部41gR,41hR,41iR,41jRは、引き出し方向に対して前側の斜面が65°、後側の斜面が45°となるように形成されている。
そして、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKのドラムフランジ1a(図3(a)参照)は、カートリッジ係合部41gR,41hR,41iR,41jRに係合する。これにより、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、自重若しくは押圧ユニット33,34(図11(a)参照)で下方向に押圧されることによってカートリッジトレイ40に対して位置決めされる。第2押圧ユニットとしての押圧ユニット33,34は、画像形成時において各プロセスカートリッジを下方向に押圧することで、各プロセスカートリッジ及び各プロセスカートリッジと一体のカートリッジトレイ40を装置本体100Aに位置決めする。なお、トレイ側板41Lにも同様に不図示のカートリッジ係合部が形成されており、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKはトレイ側板41Lに対しても位置決めされる。
また、連結部材42,43,44,45には、左端部にボス部42aL,43aL,44aL,45aLがそれぞれ形成され、右端部にボス部42aR,43aR,44aR,45aRがそれぞれ形成されている。なお、各色のプロセスカートリッジには、図3(a)(b)に示すように、左右端部に溝部1d,1dが形成されている。そして、各プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKの溝部1d,1dが、左端部側でボス部42aL,43aL,44aL,45aLに係合し、右端部側でボス部42aR,43aR,44aR,45aRに係合する。これにより、各プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKがカートリッジトレイ40に対して回転止めされる。
このようにして、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、カートリッジトレイ40に対して装着され、各プロセスカートリッジは、ガイド部材47Lに設けられた線材(ドラムアース)48を介して接地される。
[カートリッジトレイの位置決め構成]
次に、カートリッジトレイ40の位置決め構成について説明する。なお、装置本体100A及びカートリッジトレイ40は、位置決め装置を構成する。装置本体100A(図1参照)は、図6に示すように左右1対の本体側板36L,36Rと、本体側板36L,36Rを連結すると共にプロセス領域と定着領域とを区画する定着ステー35と、を有している。プロセス領域は、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKが収容される領域であり、定着領域は、定着装置23が収容される領域である。本体側板36L,36R及び定着ステー35は、金属材料から構成されている。
本体側板36L,36Rは、装置奥側にそれぞれ軸支部50aL,50aRを有しており、これら軸支部50aL,50aRには、第1係合部としての位置決め軸50が支持されている。なお、位置決め軸50は、軸支部50aL,50aRに対して移動不能に固定されているが、前後方向及び上下方向に移動不能であれば、回転可能に支持されていてもよい。
また、本体側板36L,36Rは、装置手前側にそれぞれ位置決め溝36aL,36aRを有している。図7に示すように、カートリッジトレイ40のトレイ側板41L,41Rの手前側には、それぞれ軸支部41dL,41dRが形成されている。軸支部41dL,41dRには、第2被係合部としての位置決め軸49が支持されている。位置決め軸49は、トレイ側板41L,41Rを貫通しており、位置決め軸49の左側の端部49aと右側の端部(不図示)がトレイ側板41L,41Rの外側に突出している。なお、位置決め軸49は、軸支部41dL,41dRに対して移動不能に固定されているが、前後方向及び上下方向に移動不能であれば、回転可能に支持されていてもよい。また、位置決め軸49,50は、左右方向に延びて断面円形の丸棒状の軸から構成されるが、その形状は限定されない。
そして、連結部材42には、位置決め軸49の軸方向における略中央部を下支えする軸接触部42cが形成されており、軸接触部42cは、位置決め軸49の下方向の撓みを規制する。なお、軸接触部42cは、位置決め軸49の軸方向における略中央部に限らず、位置決め軸49の他の位置を下支えしてもよいが、位置決め軸49の下方向の撓みは位置決め軸49の中央部で規制すると好適である。また、軸接触部42cを軸方向に長大に形成してもよい。
図8(d)に示すように、本体側板36Rの第2係合部としての位置決め溝36aRは、カートリッジトレイ40の装着方向Y1に沿って形成されており、奥側に形成される嵌合溝37aRと、手前側に形成される案内溝37bRと、を有している。
嵌合溝37aRは、位置決め軸49の外径と同じ又は僅かに小さい幅を有しており、カートリッジトレイ40が装着位置に位置する際に位置決め軸49の端部49aに嵌合する。案内溝37bRは、位置決め軸49の外径よりも大きい幅を有しており、カートリッジトレイ40を装置本体100Aに装着する際に位置決め軸49の端部49aを嵌合溝37aRに案内する。なお、案内溝及び嵌合溝は、本体側板36Lにも同様に形成されており、位置決め軸49の左側の端部を案内又は係合する。
図5(b)に示すように、トレイ側板41L,41Rには、奥側にそれぞれ位置決め溝41bL,41bRが形成されており、位置決め溝41bL,41bRは、位置決め軸49に係合することでカートリッジトレイ40を位置決めする。図8(a)乃至図8(c)は、位置決め溝41bLを示す拡大図である。なお、位置決め溝41bL,41bRは同様の構成であるため、位置決め溝41bRのみを説明し、位置決め溝41bLの説明は省略する。
図8(a)乃至図8(c)に示すように、第1被係合部としての位置決め溝41bRは、傾斜面41fと、傾斜面41fに連続して形成される位置決め面41eと、を有している。位置決め面41eは、カートリッジトレイ40の装着方向Y1に対して略垂直な方向に延びており、位置決め軸50に突き当たることでカートリッジトレイ40を装着方向に位置決めする。傾斜面41fは、装着方向Y1に向かうに従って下方に傾斜している。また、カートリッジトレイ40の連結部材46には、摺動面46d(図5(b)参照)が形成されており、摺動面46dは、傾斜面41fから手前側に連続するように形成されている。
図8(a)に示すように、カートリッジトレイ40が装着されている際には、カートリッジトレイ40の自重及び押圧ユニット33,34(図11(a)参照)によって下方に力がかかることで、傾斜面41fは、位置決め軸50からの反力F1を受ける。反力F1は、装着方向Y1の分力F2を有しているため、この分力F2によってカートリッジトレイ40は装着方向Y1に引き込まれる。これにより、位置決め面41eは位置決め軸50に対して押し当てられ、カートリッジトレイ40を装置本体100Aに対して精度良く位置決めすることができる。このように、傾斜面41fは、カートリッジトレイ40に対して装着方向Y1に向かう力である分力F2を発生させるように形成されている。
位置決め軸50は、図9に示すように、本体側板36L,36Rの軸支部50aL,50aRによって軸支されている。カートリッジトレイ40が装置本体100Aに装着されている状態では、位置決め溝41bL,41bRは軸支部50aL,50aRよりも軸方向内側に位置する。このため位置決め軸50の中央部は、カートリッジトレイ40の自重及び押圧ユニット33,34(図11(a)参照)によって下方向に力がかかり、下方向(図の白抜き矢印の方向)に撓む虞がある。
そこで、本実施の形態では、連結部材46の軸方向(左右方向)における略中央部にリブ46bを形成している。リブ46bは、位置決め軸50の軸方向における略中央部に当接して下支えすることで、位置決め軸50の下方向の撓みを規制する。なお、リブ46bは、位置決め軸50の軸方向における略中央部に限らず、位置決め軸50の他の位置を下支えしてもよいが、位置決め軸50の下方向の撓みは位置決め軸50の中央部で規制すると好適である。また、リブ46bを軸方向に長大に形成したり、リブ46bを軸方向に複数設けたりしてもよい。また、本実施の形態では、位置決め軸50が重力方向の力を受けるために下方への撓みを規制しているが、位置決め軸50の撓み方向への力を受けて位置決め軸50の撓みを規制するのであれば、位置決め軸50の下部に接触しなくてもよい。
また、連結部材46には、図9及び図10に示すように、定着ステー35に係止可能な係止部46c,46cが形成されている。係止部46c,46cは、定着ステー35に係止することで、連結部材46を含むカートリッジトレイ40の下方向の撓みを規制することができる。カートリッジトレイ40の下方向の撓みを抑えることで、カートリッジトレイ40の位置決め溝41bL,41bRにおける変形も抑えられ、カートリッジトレイ40を位置決め軸50に対して精度良く位置決めすることができる。なお、係止部46c,46cは、カートリッジトレイ40の装着動作を阻害することが無く、1つのみ設けられても3つ以上設けられてもよい。また、1つの係止部46cを軸方向(左右方向)に長大に形成してもよい。
[カートリッジトレイの引き出し及び装着動作]
次に、カートリッジトレイ40の引き出し及び装着動作について説明する。各プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは購入したユーザにとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、プロセスカートリッジとしての商品価値が喪失する。
そこで、例えば、個々のプロセスカートリッジの現像剤残量を検知する手段(不図示)を具備させて、制御部200において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較してもよい。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったプロセスカートリッジについては、表示部(不図示)に、そのプロセスカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させ、ユーザにプロセスカートリッジの交換を促す。そしてユーザはプリンタ100の前ドア31を開け、カートリッジトレイ40を装置外まで引き出し、各プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKを交換する。以下では、カートリッジトレイ40の引き出し及び装着動作を詳述する。
ドア部材としての前ドア31は、図11(a)乃至図12(b)に示すように、装置本体100Aに対して開閉可能に支持されており、前ドア31と装置本体100Aとの間に連結されるドアリンク32L,32Rによって開状態で保持可能となっている。
ユーザによって前ドア31が開かれると、ドアリンク32L,32Rを介して不図示の複数のリンク部材が連動して、転写ユニット12が駆動ローラ14を中心に1°程度回転する。これにより、図13(c)に示すように、各プロセスカートリッジの感光ドラム1が中間転写ベルト13から離間する。
次に、図12(b)に示すように、装置本体100Aの左側(非駆動側)に設けられた接点38が各現像ローラ3の接点2(図3(b)参照)から退避すると共に、押圧ユニット33,34の押圧が解除される。次に、各プロセスカートリッジの駆動側のドラムカップリング1c及び現像カップリング3c(図3(a))の係合が解除されると共に、図11(b)及び図13(b)に示すように、トレイ押圧ユニット51によるカートリッジトレイ40の押圧が解除される。その結果、カートリッジトレイ40を装置本体100Aの外部に取り出せる状態となる。
ここで、第1押圧ユニットとしてのトレイ押圧ユニット51は、本体側板36L,36Rに支持されるホルダ52L,52Rにそれぞれ設けられ、画像形成時においてカートリッジトレイ40を後側から前側に押圧している。トレイ押圧ユニット51は、図13(a)(b)に示すように、トレイ押圧レバー53と、トレイ押圧リンク54と、付勢バネ55と、を有している。
トレイ押圧レバー53は、図13(a)に示すように、前ドア31が閉じた状態において、付勢バネ55によって付勢されるトレイ押圧リンク54によって押圧されている。これにより、トレイ押圧レバー53は、カートリッジトレイ40のトレイ側板41Rに形成される被押圧部41cを後側に押圧する。
前ドア31が開かれると、図13(b)に示すように、ドアリンク32L,32R及び不図示のリンク部材によってトレイ押圧レバー53は下方に退避される。これにより、トレイ押圧レバー53によるカートリッジトレイ40の後側への押圧が解除され、カートリッジトレイ40を装置本体100Aの外部に取り出し可能となる。
次に、図8(a)乃至図8(f)を用いて、位置決め軸49,50の周辺の動きについて説明するが、位置決め軸49,50におけるカートリッジトレイ40の位置決め構成は左右で同一なため、装置右側のみを説明し、装置左側の説明は省略する。図8(a)乃至図8(f)に示すように、カートリッジトレイ40が引き出され始めると、傾斜面41fが位置決め軸50に摺動するため、カートリッジトレイ40の奥側が僅かに持ちあがる。そして、カートリッジトレイ40の連結部材46に設けられた摺動面46dが位置決め軸50に摺動しながら引き出し方向Y2にカートリッジトレイ40が移動する。
同時に、カートリッジトレイ40の位置決め軸49の端部49aは、位置決め溝36aRの嵌合溝37aRから抜け出し、案内溝37bRに受け渡される。カートリッジトレイ40は、位置決め軸49の端部49aが案内溝37bRに案内されながら、引き出し方向Y2に引き出される。図8(a)(d)は、カートリッジトレイ40が装着位置に位置する状態を示す。図8(b)(e)は、カートリッジトレイ40が装着位置から3mm程度引き出された状態を示す。図8(c)(f)は、カートリッジトレイ40が装着位置から10mm程度引き出された状態を示す。
ある程度までカートリッジトレイ40が引き出されると、カートリッジトレイ40のガイド部材47L,47Rは、図11(b)及び図12(b)に示すように、コロ56L,56Rに乗って案内される。そして、カートリッジトレイ40は、装置本体100Aの外部に引き出される。なお、画像形成時においては、カートリッジトレイ40とコロ56L,56Rは接触しておらず、0.5mm程度のクリアランスを確保している。
カートリッジトレイ40が引き出され、プロセスカートリッジが交換されると、カートリッジトレイ40は装置本体100Aに装着される。カートリッジトレイ40を装置本体100Aに装着する際の装着動作は、引出し動作とは逆になる。この時、まず位置決め軸50に摺動面46dが摺動し始め、図8(b)(e)に示すように、位置決め軸50が摺動面46dを超えた後に、位置決め軸49の端部49aが案内溝37bRから嵌合溝37aRに受け渡される。
案内溝37bRと嵌合溝37aRとの境界部分は、上り傾斜となっており、かつ嵌合溝37aRでは位置決め軸49の端部49aが嵌合されるため、カートリッジトレイ40を装着する際のユーザの操作力が大きくなる。しかしながら、摺動面46dが位置決め軸50を超えた後に位置決め軸49が嵌合溝37aRに進入するため、ユーザの操作力が大きくなるタイミングが集中せず、操作力を低減できる。なお、カートリッジトレイ40が装着位置まで所定の距離まで挿入されると、後述の引き込み装置によってカートリッジトレイ40が自動的に装着位置まで引き込まれるように構成されている。
カートリッジトレイ40が装着位置まで挿入され、前ドア31が閉じられると、図11(a)、図12(a)及び図13(a)に示すように、トレイ押圧ユニット51がカートリッジトレイ40を奥側に押圧する。そして、各プロセスカートリッジの駆動側のドラムカップリング1c及び現像カップリング3c(図3(a)参照)が係合し、押圧ユニット33,34が各プロセスカートリッジを上方から押圧する。更に、接点38が各現像ローラ3の接点2(図3(b)参照)に接触し、転写ユニット12が駆動ローラ14を中心に上方に回転する。これにより、各プロセスカートリッジの感光ドラム1が中間転写ベルト13に当接する。
以上のように、前ドア31が閉じられてプリンタ100が画像形成可能な状態では、カートリッジトレイ40の前側においては、位置決め軸50と位置決め溝41bL,41bRとが係合する。このとき、位置決め溝41bL,41bRには傾斜面41fが設けられているため、カートリッジトレイ40の自重及び押圧ユニット33,34による下方向の力に基づき、カートリッジトレイ40は装着方向Y1に引き込まれる。これにより、位置決め面41eが位置決め軸50に押し当てられ、カートリッジトレイ40を装着方向Y1に精度良く位置決めすることができる。
また、カートリッジトレイ40の後側においては、位置決め軸49と位置決め溝36aL,36aRとが係合する。このとき、位置決め軸49の端部49aが位置決め溝36aL,36aRの嵌合溝に嵌合するので、装着方向Y1に直交する方向、すなわち位置決め軸50を中心とするカートリッジトレイ40の回り止めを行うことができる。
これら装置本体100Aに設けられる位置決め軸50及び位置決め溝36aL,36aR並びにカートリッジトレイ40に設けられる位置決め溝41bL,41bR及び位置決め軸50は、位置決め機構60(図8(a)(d)参照)を構成する。位置決め機構60は、カートリッジトレイ40を装置本体100Aに位置決めしている。
更に、カートリッジトレイ40の連結部材46に設けられたリブ46bにより、位置決め軸50が下支えされるため、位置決め軸50の下方への撓みが規制される。また、連結部材46に設けられた係止部46c,46cにより、カートリッジトレイ40自体の変形が抑えられる。また、カートリッジトレイ40の後側の位置決め軸50も、軸接触部42cによって下支えされるため、位置決め軸49の下方への撓みが規制される。このように構成することで、位置決め軸49,50の軸径を小さくしたり、安価な樹脂材料から構成したりすることができ、コストダウン及び小型化することができる。
これらにより、カートリッジトレイ40を装着位置において精度良く装置本体100Aに位置決めすることができる。特に、画像形成時にはカートリッジトレイ40に保持された各プロセスカートリッジが押圧ユニット33,34によって上側から押圧されるが、カートリッジトレイ40の位置決め精度に影響することはない。従って、カートリッジトレイ40に保持される各プロセスカートリッジ、具体的には感光ドラム1と中間転写ベルト13との位置精度が向上し、高品位な画像を形成することができる。
また、カートリッジトレイ40の前側での傾斜面41fによる作用と後側でのトレイ押圧ユニット51による押圧により、カートリッジトレイ40は装着位置において前側へ付勢されている。このため、画像形成時の振動等によってカートリッジトレイ40が位置ズレすることを低減できる。また、カートリッジトレイ40の前後で押込み力を発生させることで、押込み力を分散し、トレイ押圧ユニット51の付勢バネ55を弾性力の小さなものにすることができる。これにより、トレイ押圧ユニット51を小型化及びコストダウンすることができる。
なお、位置決め機構60に含まれる位置決め軸50及び位置決め溝41bL,41bRは、それぞれ装置本体100A及びカートリッジトレイ40のいずれか一方と他方に分けて配置されれば入れ替えて構成してもよい。また、位置決め機構60に含まれる位置決め溝36aL,36aR及び位置決め軸50は、それぞれ装置本体100A及びカートリッジトレイ40のいずれか一方と他方に分けて配置されれば入れ替えて構成してもよい。
また、位置決め軸49は、カートリッジトレイ40の左右方向全長に亘る通し軸でなくてもよく、カートリッジトレイ40の両側方に突出するように形成される2つの凸部があればよい。
また、各プロセスカートリッジは、ドラムユニットOPと現像ユニットDPとが一体になって形成されているが、別体に構成されてもよい。そして、例えば、カートリッジトレイ40は、ドラムユニットOPのみを保持してもよいし、現像ユニットDPのみを保持してもよい。
[引き込み装置]
以下、本実施形態の引き込み装置90について説明する。図14及び図15に示すように、引き込み装置90は、装置本体から引き出し可能なユニットの例であるカートリッジトレイ40を装置本体の所定位置(本実施形態では図15の装着位置)に引き込む機能を有する。
図14では、引き込み装置90がカートリッジトレイ40を引き込む前の様子を、上から見た状態を図示している。引き込み装置90は、装置本体側に配置されるホルダ91、アーム92、アームバネ93、及び後述のロック部材94と、カートリッジトレイ側に設けられた第1作動部46s1及び第2作動部46s2と、を備えている。アーム92は本実施形態のアーム部材であり、ロック部材94は本実施形態の規制部材であり、アームバネ93は本実施形態の付勢手段である。また、第1作動部46s1は本実施形態の第1当接部であり、第2作動部46s2は本実施形態の第2当接部である。
ホルダ91は装置本体の定着ステー35に固定されており、回動支点部91oによってアーム92を回動可能に保持する。アーム92はアームバネ93によって、常に図中時計回り方向に付勢されている。この付勢力によってアーム92が第1作動部46s1を引き込んでカートリッジトレイ40を装置の後方に向かって移動させることで、図15に示す引き込み状態となる。引き込み状態においては、上述のトレイ位置決め部41bが位置決め軸50と係合し、トレイ位置決め軸49が本体位置決め部36a,37aと係合することで、カートリッジトレイ40が位置決めされる。なお、図14に示す待機状態(カートリッジトレイ40がプロセスカートリッジPPの着脱を行う位置まで引き出された状態)では、後述のロック機構によってアーム92の回動が規制されている。
アームバネ93がアーム92に加える付勢力は、プロセスカートリッジPPを含むカートリッジトレイ40の全体の重量に応じて調整される。本実施形態を適用した構成例ではアーム92の付勢力を2kg重に設定すると良好な操作性が得られた。この値は、カートリッジトレイ40を装着方向に引き込む力に換算すると1kg重〜1.5kg重程度の大きさとなる。これは、上述のトレイ押圧ユニット51や位置決め軸49と傾斜面41fとの接触によって発生する同方向の力に比べて小さく設定されている。一方、このアームバネ93の付勢力の大きさは、上述の摺動面46d(図8)と位置決め軸50との摺動抵抗に打ち克ってカートリッジトレイ40を装着位置まで引き込めるように設定される。
図16は、引き込み装置90の装置本体側の構成をそれぞれ上方(a)、水平方向(b)、下方(c)から見た様子を表している。図中、画像形成装置の左右方向をX軸方向とし、前後方向(カートリッジトレイ40の装着方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直な鉛直方向をZ軸方向としている。
アーム92はZ軸方向に延びる回動支点部91oを中心にして、図14及び図16に示す待機状態の位置と、図15に示す引き込み状態の位置との間で回動可能である。つまり、本実施形態におけるアーム92の回動軸線の方向は鉛直方向に略一致する。以下、待機状態におけるアーム92の位置を「待機位置」とし、引き込み状態のアーム92の位置を「引き込み位置」とする。また、待機位置から引き込み位置に向かうアーム92の回動方向(第1方向)を「引き込み方向」とし、引き込み位置から待機位置に向かうアーム92の回動方向(第2方向)を「戻り方向」とする。
待機位置において、アーム92は定着ステー35の前側壁面35aに設けられた開口部35o(図14)を通して、画像形成装置の前側に向かって突出している。引き込み位置に移動すると、アーム92は第1作動部46s1及び第2作動部46s2と共に開口部35oに対して画像形成装置の後方側に退避する(図15)。また、本実施形態のアームバネ93は、待機位置から引き込み位置までの範囲全体でアーム92を引き込み方向R1に付勢するように構成される。
図16(a)〜(c)に示すように、アーム92には第1作動部46s1に当接する第1係合面92s及び第2係合面92dが設けられている。第1係合面92sは、ロック機構のロックを解除するために引き込み動作の初期段階で第1作動部46s1に当接する部分である。第2係合面92dは、アームバネ93の付勢力によって回動するアーム92からカートリッジトレイ40を引き込む力を受け取るために、ロック機構のロック解除後に第1作動部46s1に当接する部分である。
図17はアーム92及び94の分解図である。アーム92は本実施形態の第1部分であるアーム上部92aと本実施形態の第2部分であるアーム下部92bとを、ビス等の締結具及び弾性を有する爪部92mと穴部92nの係合によって一体化したものである。ロック部材94はアーム上部92aとアーム下部92bとの間に保持される。また、ロック部材94は、カートリッジトレイ40の挿入時に第2作動部46s2によって押圧される押圧部94sと、ホルダ91に設けられた(つまり装置本体に対して固定されている)被当接部911(図18)に当接する当接部941と、を有する。
ロック部材94及びロックバネ95は、カートリッジトレイ40の引き出し状態においてアーム92を待機位置にロックするロック機構を構成している。以下、当接部941が被当接部911に対向してアーム92の回動を規制する位置をロック部材94の「ロック位置」とし、当接部941が被当接部911から離間してアーム92の回動を許容する位置をロック部材94の「ロック解除位置」とする。
ロック部材94は、アーム92により回動支点92oを中心に回動可能に支持されており、ロックバネ95によって常に図中反時計周り方向に付勢されている。ロックバネ95の付勢力は、アーム92に対するロック部材94の自由な回動を制限できればよく、アームバネ93に比べて弱い荷重に設定される。本実施形態を適用した構成例では、アームバネ93の付勢力を50g重に設定すると好適であった。
図16(b)に示すように、板状部材であるロック部材94は、Z軸方向に対して垂直に交差する姿勢で、2枚の板状部材であるアーム上部92aとアーム下部92bとの間に挟まれている。つまり、ロック部材94の厚さは、Z軸方向におけるアーム上部92aとアーム下部92bの間隔z1よりも小さい。間隔z1は、人間の指先が入らない大きさに設定され、例えば5mm以下に設定される。
待機位置のアーム92における装着方向Y1の上流側の端部には、カートリッジトレイ側の第2作動部46s2を案内するための案内形状として、アーム上部92a及びアーム下部92bの斜面92a1,92b1が設けられている。斜面92a1,92b1は、Z軸方向に互いに対向し、かつ、装着方向Y1の下流へ向かうほどZ軸方向の間隔が狭くなるように、それぞれXY平面に対して傾斜している。また、斜面92a1,92b1は、X軸方向に関して第2作動部46s2がロック部材94に最初に当接する位置p1と重なる範囲に形成されている。
図14及び図18(a)に示すように、第1作動部46s1及び第2作動部46s2はカートリッジトレイ40の最も後方側の連結部材46に設けられている。本実施形態の第1作動部46s1及び第2作動部46s2は、樹脂材料によって一体成型された樹脂成形品46sであり、連結部材46からカートリッジトレイ40の装着方向の下流側に突出している。第1作動部46s1はZ軸方向に延びる円柱状であり、第2作動部46s2はZ軸方向に対して垂直に交差する板状である。第2作動部46s2の厚さは、前述のアーム上部92aとアーム下部92bとの間隔z1より小さな値に設定される。
[引き込み装置の動作]
以下、引き込み装置90の動作について、図18〜図21を用いて説明する。図18はカートリッジトレイ40が装置本体から引き出された待機状態、図19は1段階目のロック解除動作、図20は2段階目のロック解除動作、図21はカートリッジトレイ40が装着位置まで引き込まれた引き込み状態に対応する。また、各図の(a)は引き込み装置90を上方から見た図であり、(b)は(a)からアーム上部92aの一部を不可視にした透視図である。
図18(a)、(b)に示す待機状態において、第1作動部46s1及び第2作動部46s2はアーム92から離間しており、アーム92は待機位置にある。(なお、図18では説明のためにカートリッジトレイ40を図示しているが、プロセスカートリッジの着脱を行う場合、カートリッジトレイ40はアーム92から図18の範囲より下方に位置する。)待機状態において、図18(b)に示すようにロック部材94はホルダ91に係合しており、アーム92は引き込み方向R1に回動することを規制されたロック状態になっている。即ち、アーム92はアームバネ93によって図中時計回り方向の付勢力を受けているが、アーム92に枢支されたロック部材94が当接部941においてホルダ91の被当接部911に当接している。そのため、ロック部材94の回動支点92oがアーム92の回動支点部91oに対して引き込み方向R1に移動できず、アーム92は引き込み方向に回動しない。
また、待機状態ではロック部材94が被当接部911からの反力によって図中反時計回り方向(r1)に押圧されているが、被当接部911に隣接する壁面912(図20(b)も参照)に当接する。そのため、待機状態においてロック部材94が反時計回り方向に回動することが規制され、ロック部材94はロック位置に維持される。
図19(a)、(b)は、カートリッジトレイ40が装置本体に挿入される過程で、アーム92のロックが解除されるロック解除動作の第1段階の様子を表している。カートリッジトレイ40がトレイの装着方向Y1に向かってアーム92に接近すると、まず、第1作動部46s1がアーム92の第1係合面92sに当接する。アーム92が待機位置にあるとき、第1係合面92sは、装着方向Y1の下流に向かってX軸方向における第1作動部46s1の範囲の外側から内側に侵入するように(つまり図中上方に向かって左側に)傾斜している。そのため、カートリッジトレイ40の挿入に伴って第1作動部46s1が第1係合面92sを図中左方に押圧し、アームバネ93の付勢力に抗してアーム92を戻り方向R2に回動させる。
すると、図19(b)に示すようにロック部材94の当接部941がホルダ91の被当接部911から離間して隙間gが形成され、ロック部材94がアーム92に対して移動可能(図中時計回り方向に回動可能)な状態となる。ただし、この状態でもロック部材94はロックバネ95の付勢力によって図中時計回り方向(r1)に付勢され、ホルダ91の壁面912に当接する。そのため、ロック部材94はロック位置に留まっており、アーム92のロック状態は解除されていない。つまり、仮に図19の状態から、カートリッジトレイ40を動かさずに人為的にアーム92を引き込み方向R1に回動させようとしても、ロック部材94の当接部941がホルダ91の被当接部911に再び当接してアーム92の回動が規制される。
図20(a)、(b)は、カートリッジトレイ40がさらに装置本体に挿入されることで、ロック解除動作の第2段階に進んだ様子を表している。この段階では、カートリッジトレイ40の第1作動部46s1がアーム92を待機位置から戻り方向R2に回動させた状態で、第2作動部46s2がロック部材94の押圧部94sを押圧する。これにより、ロック部材94がロックバネ95の付勢力に抗して図中時計回り方向(r2)に回動し、ロック部材94は当接部941がホルダ91の被当接部911に対向しないロック解除位置まで離間する。
ロック部材94がロック位置からロック解除位置まで回動する間、アーム92は待機位置から戻り方向R2に回動させられた状態で維持される。言い換えると、第1係合面92sの形状は、ロック部材94が被当接部911と干渉せずにロック解除位置まで回動できるようなアーム92の回動量を確保するように設計される。例えば、第2作動部46s2がロック部材94に当接してから当接部941が被当接部911から離間するまでの間、ロック部材94の回動支点92oから被当接部911までの最短距離が、回動支点92oに対する当接部941の回動半径より小さければよい。
第2作動部46s2がロック部材94をロック解除位置に移動させることで、アーム92の引き込み方向R1への回動がロック部材94によって妨げられない状態(ロック解除状態)となる。つまり、仮に図20の状態からアーム92及びロック部材94の位置を保ったままカートリッジトレイ40を消失させると、アームバネ93の付勢力によってアーム92は引き込み方向R1に回動する。
アーム92の第2係合面92sは、第2作動部46s2によってアーム92のロックが解除された状態で第1作動部46s1に係合する。第2係合面92sが第1作動部46s1に係合した時点で、アームバネ93の付勢力によってアーム92からカートリッジトレイ40に対して装着方向Y1の引き込み力が作用し始める。言い換えると、第2係合面92sは、第1作動部46s1に当接するアーム92の表面領域の中で、カートリッジトレイ40を挿入する過程で、法線ベクトルがY軸方向の正の成分を含む向きで第1作動部46s1に当接し始める。
図21(a)、(b)に示すように、アーム92がアームバネ93の付勢力によってカートリッジトレイ40を装着方向Y1に引き込みながら、待機位置から所定角度(本実施形態では45°程度)回動すると、引き込み位置に到達する。これにより、カートリッジトレイ40は装置本体の装着位置に装着された状態となる。
カートリッジトレイ40を装置本体から引き出すときは、引き込み装置90は以上の引き込み動作を逆にたどって図21に示す引き込み状態から図18に示す待機状態まで変化する。即ち、ユーザ等がカートリッジトレイ40を装着方向Y1とは反対の引き出し方向に引っ張ることで、第1作動部46s1が引き出し方向にアーム92の第2係合面92dを押圧する。これによってアーム92が戻り方向R2に回動し、図21の状態から図20の状態に遷移する。ロック部材94は、ロックバネ95の付勢力により、押圧部94sが第2作動部46s2に接触した状態を維持しながら図中反時計回り方向に回動し、図19(b)に示すようにロック位置に復帰する。
さらにカートリッジトレイ40が引き出されると、第2作動部46s2はロック部材94の押圧部94sから離間する。また、第1作動部46s1はアーム92を戻り方向R2に待機位置を超えた位置まで回動させる。その後、アーム92が第1係合面92sにおいて第1作動部46s1に摺接しながら待機位置まで引き込み方向R1に回動し、ロック部材94の当接部941がホルダ91の被当接部911に当接することで、引き込み装置90は図18に示す待機状態となる。
[引き込み装置のまとめ]
本実施形態の引き込み装置90は、待機状態においてアーム92の回動がロックされる構成において、アーム92のロック解除を行うために(1)アーム92の戻り方向R2への回動と、(2)ロック部材94の回動という2種類の作用を必要とする。つまり、上記(1)及び(2)が引き込み装置90に対してこの順番に作用しない場合、基本的にはアーム92のロックが解除されることはない。これにより、図18のようなロックを解除する前の待機状態において、引き込み装置90の高い安定性を実現させることができる。ここでは安定性の高さの定義を、ユーザが指で待機状態の引き込み装置90に接触した場合等に、アーム92のロックが偶発的に解除されて勝手に回動してしまう状況の生じ難さとする。
さらに、本実施形態では、ロック部材94が2つの部分に分かれているアーム92の隙間に保持されており、ロック部材94を移動させるためにはこの隙間にアクセスする必要がある構成となっている。仮に、アーム92が待機位置にある状態でロック部材94をロック解除位置に移動させる1種類の作用でロック解除を行おうとすると、図22に示すように、ロック部材94を図22の矢印方向に強く押圧する必要がある。しかし、待機状態ではアームバネ93の付勢力によってロック部材94がホルダ91の被当接部911に押し付けられており、ロック部材94を図中時計回り方向に回動させるためには大きな力が必要となる。そのため、アーム上部とアーム下部の間隔z1(図16(b))よりも薄く、かつ、剛性のある定規のような物体をアーム92の隙間に挿し込んで強く押圧する動作が必要とされるが、このような動作が偶発的に生じることは非現実的である。一方、アーム92を戻り方向R2に回動させた後、定規のような物体をアーム92の隙間に挿し込むことでロック部材94を回動させるという2段階の動作が偶発的に行われることも考えにくい。
従って、ロック部材94がアーム92に囲われて守られるような形で保持される本実施形態の構成により、引き込み装置90の安定性をさらに向上可能である。なお、本実施形態では第2当接部として板状の第2作動部46s2を使用し、第2作動部46s2の厚さをアーム92の間隔z1より小さくすることで、アーム92の間隔z1に第2作動部46s2以外の物体が入り込みにくいようにしている。これに代えて、板状でない第2当接部を用いる場合であっても、複数の部分に分かれたアーム部材の間に第2当接部を配置すれば本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態の引き込み装置90において、少なくともアームバネ93及びアーム92の回動支点部91oは定着ステー35の前側壁面35a(図14)よりも後方側に配置されている。このようにカートリッジトレイ40が収容される空間に向かって、待機状態において突出する部材が少ない構成により、引き込み装置90への偶発的な接触を低減して、一層の安定性向上を図ることができる。なお、図16(c)に示すように、待機状態においてY軸方向から見てロックバネ95の少なくとも一部を覆う囲い部92kをアーム92に設け、待機状態におけるロック部材94に鉛直方向に視て重なる囲い部91kをホルダ91に設けると好適である。これらの構成もロックバネ95やロック部材94への不用意な接触を防ぐことで引き込み装置90の安定性向上に寄与する。また、定着ステー35に限らず、他の板金フレームやホルダ91を用いてアーム92以外の可動部を覆う囲いを設けてもよい。
また、本実施形態では、アームバネ93が待機位置から引き込み位置までの範囲全体でアーム92を引き込み方向R1に付勢するように構成される。従って、所謂トグル式の引き込み装置に用いられる、待機位置から引き込み位置までの範囲の途中でバネ部材によるアームの付勢方向が変化する構成に比べて、アーム92がカートリッジトレイ40を引き込み可能な距離を長く設定することができる。トグル式の引き込み装置の場合、アームが中立位置を超えた後に引き込み作用が発生するが、中立位置の付近では引き込み作用が弱く、中立位置を超える前はむしろカートリッジトレイを押し戻す方向の力が加わる。これに対し、本実施形態の場合は、引き込み作用が発生し始める図20の段階で、アームバネ93の付勢力がカートリッジトレイ40を装着方向Y1に移動させる力として効率的に伝わる。結果として、トグル式の引き込み装置に比べて、引き込み装置の大型化を避けつつ、十分な引き込み力を発揮できる距離を長くすることができる。
また、本実施形態には、収納性が良いという特徴もある。引き込み装置90がカートリッジトレイ40を装着位置まで引き込んだ状態(図21)において、引き込み装置90が占める装着方向Y1の範囲は、待機状態(図18)に比べて約半分になっている。また、待機状態においてアーム92が占有していた空間の少なくとも一部には、引き込み状態においてカートリッジトレイ40が存在する。これらの特徴は、画像形成装置の筐体を大型化することなくカートリッジトレイ40の収容空間を確保することを可能とするため、結果として装置の小型化に貢献する。
なお、本実施形態の引き込み装置90は、ロック解除動作及び引き込み動作の過程でカートリッジトレイ40がアーム92から受ける力に、X軸方向の一方(図20の左方)に向かう成分が含まれる構成となっている。引き込み装置90は、図示された構成をX軸方向に関して反転させた状態で配置することも可能であるが、本実施形態では、X軸方向の力の成分が右側板37から左側板36に向かう方向となるような配置を採用している(図14参照)。
ここで、本実施形態では、カートリッジトレイ40が装置本体に装着された後に画像形成動作を行う際の感光ドラムの長手方向の位置決めを、感光ドラムを左方に押圧することによって行う。具体的には、装置本体に設けられた駆動カップリングが、感光ドラムと同軸上に設けられたドラムカップリング1c(図3(a))を左方に押圧する。
このような構成において、本実施形態の引き込み装置90は、引き込み動作の過程でカートリッジトレイ40に対して装着方向に垂直な方向に作用する力の成分が、トレイ装着後の状態で感光ドラムが長手方向に押圧される方向と一致するように配置されている。仮にこれらが反対向きであると、カートリッジトレイ40の挿入時にトレイの左右方向の位置を規制するガイド形状と、トレイ装着後に感光ドラムを介してトレイが受ける力を受け止めてトレイの位置を規制するガイド形状とを、別個に設ける必要が生じる。ガイド形状とは、例えば、カートリッジトレイ40のガイド部材47Lに対して左右方向から対向する壁面を指す。一方、本実施形態ではこれらの力の方向が一致しているため、カートリッジトレイ40の挿入時の位置規制機能と装着後の位置規制機能とを共通のガイド形状によって実現することができ、装置の構成を簡素化することが可能となる。
また、図14に示すように、カートリッジトレイ40には感光ドラムを接地電位に接続するための接点t1が設けられ、装置本体には接地電位に接続された線バネt2が設けられている。接点t1は、カートリッジトレイ40に取り付けられた線材48(図5)を介して、カートリッジトレイ40に装着された各プロセスカートリッジPPの接点1b(図3(b))と電気的に接続されている。カートリッジトレイ40を装置本体の装着位置に装着されると、線バネt2が接点t1に圧接し、感光ドラムが接地される。
接点t1及び線バネt2はカートリッジトレイ40の左側の端部に設けられ、右側には設けられていない。このような構成において、カートリッジトレイ40の装着状態においてアーム92が第1作動部46s1をカートリッジの装着方向に押圧する位置は、X軸方向におけるカートリッジトレイ40の中央位置に対して左側にオフセットしている。従って、接点t1を介してカートリッジトレイ40が線バネt2に押圧される力と、引き込み装置90からカートリッジトレイ40が受ける力とが相殺され、カートリッジトレイ40の傾きが抑制される。
また、上記で説明したように、プロセスカートリッジPPY,PPM,PPC,PPKは、画像形成装置本体ではなく、カートリッジトレイ40に対して位置決めされる。このような場合、ユーザの挿抜操作によりカートリッジトレイ40の本体に対する最終位置決めを行わせると、その位置決め精度が低下し得る。カートリッジトレイ40の本体に対する位置決め精度が良くないと、感光ドラム1表面へのレーザ光照射位置が理想位置からずれ、結果シート上での画像位置がずれてしまう。これに対して、上記実施形態では、アームバネ93等の付勢力によりカートリッジトレイ40の本体に対する位置決めが行われるので、そのような不具合をより防ぐことができる。
[変形例]
本実施形態では、カートリッジトレイ40を引き込み装置90に挿入する過程で第1作動部46s1がアーム92の第1係合面92sに摩擦接触する(図20)。そのため、第1作動部46s1及び第1係合面92sの材料や湿度等の条件によっては摩擦力によってカートリッジトレイ40を挿入する操作の負荷が大きくなることも考えられる。その対策として、本実施形態の第1作動部46s1に代えて、第1作動部46s1と同じく円柱形状を有し、かつ、カートリッジトレイ40によって回動可能に支持された回転部材を用いてもよい。また、本実施形態では、第1作動部46s1がロック解除動作の初期段階においてアーム92に働きかける部分と、ロック解除後にアーム92から引き込み力を受ける部分とを兼ねているが、これらの部分を別部材として配置してもよい。
また、アーム92の第1係合面92sの形状に関しては、カートリッジトレイ40の引き込みが開始される位置までカートリッジトレイ40を挿入する操作の負荷の変動が小さくするものが好ましい。例えば、第1係合面92sをZ軸方向から見たとき、アーム92の回動支点部91oからある程度離れた位置を中心とする円弧形状にすると好適である。また、本実施形態ではバネ(93,95)以外のすべての部品を樹脂部品で構成しているが、アーム92など強い力を受ける部品を金属部品で構成することも考えられる。また、バネは引っ張りバネではなくねじりコイルバネや圧縮バネで代用することも考えられる。
また、アーム92及びロック部材94をカートリッジトレイ40に配置し、第1作動部46s1及び第2作動部46s2を装置本体に配置しても、本実施形態と同様の引き込み動作が実現される。即ち、アーム部材及び規制部材を装置本体及びユニットのいずれか一方に配置し、第1当接部及び第2当接部を置本体及びユニットの他方に配置することができる。ただし、本実施形態のように可動部材であるアーム92及びロック部材94を装置本体に配置した方が、カートリッジトレイ40の重量及びサイズを抑え、かつ、部材の破損を低減する上で有利である。
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る引き込み装置について説明する。第1実施形態ではアーム92を1つだけ配置していたため、カートリッジトレイ40を装置本体に挿入する際にカートリッジトレイ40がアーム92から左右方向のいずれかに向かって押圧され、装置本体との間に摩擦力が発生する要因の1つになっていた。
本実施形態では、図23に示すように2つのアーム92L,92Rを左右対称に配置する。また、アーム92L,92Rに対応して、ロック部材94L,94Rを含む第1実施形態と同様のロック機構を左右対称に配置する。従って、カートリッジトレイ40を引き込む際の右側のアーム92Rの回動方向R3(第3方向)は、左側のアーム92Lの引き込み方向R1とは反対の回転方向となる。また、アーム92L,92Rは、共通の付勢手段であるアームバネ93の両端部に接続されて付勢力を受け取っている。左側のアーム92L及びロック部材94Lを第1のアーム部材及び第1の規制部材とするとき、右側のアーム92R及びロック部材94Rは第2のアーム部材及び第2の規制部材である。
本実施形態において、各アーム92L,92R及び各ロック部材94L,94Rの詳細な構成及びカートリッジトレイ挿入時の動作は、第1実施形態のアーム92L及びロック部材94と同様である。従って、本実施形態の構成によっても、よりロックが誤って解除されることを防ぐことが可能な引き込み装置を提供することができる。
加えて、本実施形態の構成では、2つのアーム92L,92Rが2つの第1作動部46s1,46s1に対して与える力の内、カートリッジトレイ40の装着方向に垂直なX軸方向の成分が互いに打ち消し合う。これにより、カートリッジトレイ40と装置本体との間の摩擦を低減して操作負荷を低減することができる。また、カートリッジトレイ40が引き込み装置90から受ける力によって、挿入動作の途中で上方から見て傾くことを防ぐことができる。また、アームバネ93として第1実施形態と同じバネ部材を用いたとすると、アームバネ93の張力がバネの両端部に接続されたアーム92L,92Rを介してカートリッジトレイ40に作用するため、トレイが受ける装着方向の力は約2倍となる。結果として、第1実施形態より弱いバネ部材を用いたとしても必要な引き込み力を確保することができるため、アームバネ93に関するコストを低減可能である。
<<第3実施形態>>
第2実施形態に係る引き込み装置について説明する。第1実施形態ではアーム92がロック部材94を保持していたが、図24に示すように、本実施形態ではロック部材94Aがホルダ91によって回動可能に保持されている。つまり、本実施形態の規制部材は、アーム部材とは別に装置本体によって回動可能に支持されている。
待機状態においてはアーム92の係合部92eがロック部材94Aに当接することで、アーム92の引き込み方向R1への回動が規制されている。カートリッジトレイ40が挿入されると、図24に示すように、トレイに設けられた第1作動部46s1がアーム92の第1係合面92sを押圧して、アームバネ93に抗してアーム92を待機位置から戻り方向R2に回動させる。これにより、アーム92の係合部92eがロック部材94Aから離脱するため、ロック部材94Aは図中時計回り方向に回動可能な状態となる。ただし、図24に示す状態ではロックバネ95の付勢力によってロック部材94Aの姿勢が維持されるため、アーム92のロックは解除されていない。
カートリッジトレイ40がさらに挿入されると、図25に示すように、第2作動部46s2がロック部材94Aに当接し、ロックバネ95に抗してロック部材94Aを図中時計回り方向に回動させる。これにより、ロック部材94Aによるアーム92のロックが解除される。そして、アーム92の第2係合面92dが第1作動部46s1に当接している状態で、アーム92がアームバネ93の付勢力に従って引き込み方向R1に回動することで、最終的にカートリッジトレイ40は図26の位置まで引き込まれる。
本実施形態においても、アーム92のロック解除を行うためには(1)アーム92の戻り方向R2への回動と、(2)ロック部材94Aの回動という2種類の作用を必要とする。従って、本実施形態の構成によっても、よりロックが誤って解除されることを防ぐことが可能な引き込み装置を提供することができる。
[他の実施形態]
上記第1実施形態〜第3実施形態ではカートリッジトレイ40を装置本体に引き込む引き込み装置90について説明したが、この引き込み装置90は、装置本体から引き出し可能なユニットを備えた任意の装置に適用可能である。例えば、記録媒体として用いられるシートを収納するシート収納部の例であるカセット19(図2)を装置本体に引き込む構成に適用することができる。また、カートリッジトレイ40の位置決め機構は、カセット19等の他の引き出し部に適用してもよい。
また、例えば画像形成装置の装置本体と、装置本体に対して着脱可能なシート処理装置(綴じ処理等の処理をシートに施す装置)やオプションフィーダ(シートを装置本体に供給する装置)を装置本体に引き込む構成に適用することができる。また、画像形成装置に限らず、例えばオフィス用デスクの引き出しや収納家具の引き出しを装置本体(筐体)に引き込む構成にも適用可能である。
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ100を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。