JP2020131280A - テーラードブランク材の製造方法 - Google Patents

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直之 枝
悠介 松本
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悠介 松本
哲司 江川
Tetsuji Egawa
哲司 江川
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Abstract

【課題】より生産性が高い、テーラードブランク材の製造方法を提供する。【解決手段】金属板2上面の所定箇所に目標厚みの肉盛部3が形成されたテーラードブランク材の製造方法であって、金属板2上面の前記所定箇所にビード31を溶着して肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を備え、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)では、隣接するビード31同士が重なり合うラップ部32の体積が肉盛部3の前記目標厚み面とビード31の上面とが成す部分の空間33の体積に相当するように、ビード31を設定し、肉盛部3は、金属板2上面から肉盛部3上面に向かって、金属板2上面に平行な方向に切断した際における断面積が小さくなる形状を有する、テーラードブランク材の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、テーラードブランク材の製造方法に関する。
テーラードブランク材は、特性の異なる金属材同士を溶接して製造される。
例えば特許文献1には、金属板に開口を形成し、当該開口に補強板を嵌め込んで突合せ溶接する、テーラードブランク材の製造方法が開示されている。
特開2018−075612号公報
発明者らは、テーラードブランク材の製造方法に関し、下記の課題を見出した。
特許文献1に開示されている技術では、開口が形成された金属板と補強板とを突合せ溶接している。しかしながら、突合せ溶接は、溶接狙い位置等の管理を厳密に行う必要があり、生産性を高めることが困難であった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、より生産性が高い、テーラードブランク材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一態様は、金属板上面の所定箇所に目標厚みの肉盛部が形成されたテーラードブランク材の製造方法であって、前記金属板上面の前記所定箇所にビードを溶着して前記肉盛部を形成する工程を備え、前記肉盛部を形成する工程では、隣接するビード同士が重なり合うラップ部の体積が前記肉盛部の前記目標厚み面と前記ビードの上面とが成す部分の空間の体積に相当するように、前記ビードを設定し、前記肉盛部は、前記金属板上面から前記肉盛部上面に向かって、前記金属板上面に平行な方向に切断した際における断面積が小さくなる形状を有する。
本発明に係るテーラードブランク材の製造方法は、肉盛部を形成する工程では、隣接するビード同士が重なり合うラップ部の体積が肉盛部の目標厚み面とビードの上面とが成す部分の空間の体積に相当するように、ビードを設定し、肉盛部は、金属板上面から前記肉盛部上面に向かって、金属板上面に平行な方向に切断した際における断面積が小さくなる形状を有する。したがって、溶接狙い位置等の管理を厳密に行う必要がない。
本発明によれば、より生産性が高い、テーラードブランク材の製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係るテーラードブランク材の斜視図である。 本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法を示すフローチャートである。 金属板の斜視図である。 本実施の形態に係るテーラードブランク材の斜視図である。 ビードの断面図である。 突合せ溶接の溶接時間と肉盛溶接の溶接時間とを比較する表である。 肉盛溶接後の、実施例1における金属板の写真である。 仕上げ後の、実施例1における金属板の写真である。 肉盛溶接後の、実施例2における金属板の写真である。 実施例2における断面厚み測定結果を示す図である。 実施例2における断面硬度分布測定結果を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法によって製造されたテーラードブランク材の構成について説明する。図1に示すように、テーラードブランク材1は、金属板2、及び肉盛部3を備える。
金属板2は、鋼製の板状部材である。金属板2の両面のうち一方を上面とする。金属板2上面の所定箇所には、肉盛部3が形成されている。詳細は後述するが、肉盛部3は、肉盛溶接によって、金属板2上面の所定箇所に形成される。金属板2は、肉盛部3の近傍が熱影響部(Heat-Affected Zone, HAZ)となっている。金属板2は、引張強度が980MPa以下であることが好ましい。金属板2の引張強度が980MPa以下であると、熱影響部の軟化を抑制することができる。
金属板2上面に垂直な方向を厚み方向とする。肉盛部3は、金属板2上面に均一な厚みで形成された板状部材である。肉盛部3は、図1に示す例では、金属板2上面に平行な方向に切断した際における断面が矩形状である。しかしながら、肉盛部3の形状は、適宜変更可能である。肉盛部3は、例えば、金属板2上面に平行な方向に切断した際における断面が円形状であってもよい。
肉盛部3は、金属板2上面から肉盛部3上面に向かって、金属板2上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる形状を有する。テーラードブランク材1は、肉盛部3が金属板2上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる形状を有するため、肉盛部3の上面側の縁に応力が集中しにくい。
次に、図1〜5を参照して、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法について説明する。図2は、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法を示すフローチャートである。図3は、金属板の斜視図である。図4は、本実施の形態に係るテーラードブランク材の斜視図である。図5は、ビードの断面図である。
図2に示すように、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法は、少なくとも肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を備え、さらに、上面を仕上げる工程(ステップS2)及び角を丸める又は切り落とす工程(ステップS3)等の各工程を備えていてもよいものとする。
本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法は、まず、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を行う。肉盛部3を形成する工程(ステップS1)では、図3に示す金属板2上面の所定箇所に肉盛溶接を行う。肉盛溶接では、図4に示すように、金属板2上面の所定箇所にビード31を溶着し、肉盛部3を形成する。ビード31は、筋状に溶着される。複数のビード31を隣り合うように溶着することによって、金属板2上面の所定箇所全体に肉盛部3を形成することができる。
肉盛部3を形成する工程(ステップS1)において行われる肉盛溶接は、肉盛部3を形成可能な溶接方法であれば、どのような方法で行われてもよい。肉盛部3を形成する方法は、例えば、アーク溶接、レーザー溶接、及びガス溶接等の種々の方法から選択される。アーク溶接によって肉盛部3を形成すると、ガス溶接に比較して、溶接時間を短縮することができ、好ましい。
アーク溶接では、レーザー溶接を行う場合に用いるレーザー発振器を用意する必要がない。一般的に、レーザー発振器は高価であるため、レーザー発振器を備える設備は、設備のコストが増大する。そのため、アーク溶接によって肉盛部3を形成すると、レーザー溶接に比較して、溶接に要する設備コストを抑制可能であり、好ましい。
図5は、ビード31の断面図である。図5に示すように、ビード31は、断面半円状である。ビード31は、図5に示すように、隣り合ったビード31同士が一部重なり合うように金属板2上面に溶着される。したがって、隣り合ったビード31同士が成す上面は、図5に示すように、断面谷状である。ラップ部32は、隣り合うビード31同士が重なり合う部分である。
図5に示すように、ビード31の最も厚い部分の厚みが肉盛部3の目標厚みとなるようにビード31の大きさを設定する。金属板2上面よりも目標厚み分高く、かつ、金属板2上面に平行な面を、目標厚み面とする。空間33は、隣り合ったビード31同士が成す上面と目標厚み面との間に形成された空間である。隣り合うビード31の間隔は、ラップ部32の体積が空間33の体積に相当するように設定される。
ビード31は、溶接材を溶融して成る溶融金属である。肉盛部3を形成する工程(ステップS1)では、ビード31を溶着した後に、当該ビード31に隣り合うように次なるビード31を溶着する。次なるビード31のラップ部32に相当する溶融金属は、空間33に流れ込んで溶着する。したがって、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を行うと、上面が略平坦な肉盛部3を形成することができる。
肉盛部3は、ビード31の延伸方向に平行な一対の端部が、ビード31の丸みを有する部分である。したがって、肉盛部3は、金属板2上面から肉盛部3上面に向かって、金属板2上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる。このように、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を行うことによって、目標厚みであり、かつ、前記金属板上面から前記肉盛部上面に向かって、金属板上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる形状を有する肉盛部3を形成することができる。
肉盛部3を形成する工程(ステップS1)では、1種の溶接材を用いて肉盛部3を形成してもよいし、2種以上の溶接材を用いて肉盛部3を形成してもよい。2種以上の溶接材を用いて肉盛部3を形成することによって、肉盛部3の一部分に肉盛部3の他の部分とは異なる特性を与えることができる。
図2に示すように、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法では、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)を行った後に、上面を仕上げる工程(ステップS2)及び角を丸める又は切り落とす工程(ステップS3)等の各工程を行ってもよい。図2に示す例では、ステップS2を行った後にステップS3を行っている。しかしながら、ステップS2を行う前にステップS3を行ってもよく、ステップS2及びステップS3を並行して行ってもよい。また、ステップS2を行わずにステップS3を行ってもよく、ステップS3を行わずにステップS3を行ってもよい。
上面を仕上げる工程(ステップS2)では、ステップS1において形成された肉盛部3上面に機械加工を行い、肉盛部3上面を仕上げる。上面を仕上げる工程(ステップS2)を行うと、肉盛部3上面の平坦度を向上させることができる。角を丸める又は切り落とす工程(ステップS3)では、ステップS1において形成された肉盛部3側面に機械加工を行い、肉盛部3側面の上側の角を丸める、又は、切り落とす。角を丸める又は切り落とす工程(ステップS3)を行うと、ステップS3を行う前に比較して、肉盛部3側面の傾斜がなだらかになる。
金属板2の厚みは、2.0mm以上であることが好ましい。金属板2の厚みが2.0mm以上である場合、肉盛部3を形成する工程(ステップS1)において、金属板2が熱変形すること、及び、金属板2が溶け落ちることを抑制することができる。したがって、テーラードブランク材1は、金属板2の抜け落ちや熱変形に起因する応力の集中が起こりにくい。そのため、テーラードブランク材1は、金属板に形成された開口に補強材を嵌め込んで突合せ溶接されたテーラードブランク材に比較して、疲労強度が高い。
図6は、突合せ溶接の溶接時間と肉盛溶接の溶接時間とを比較する表である。図6に示す例では、下面が正方形状である肉盛部3を金属板2の上面に形成する場合について比較している。Aは、肉盛部3下面の一辺の長さである。Pは、肉盛溶接における溶接ピッチである。Vは、突合せ溶接における溶接速度である。Vは、肉盛溶接における溶接速度である。突合せ溶接と肉盛溶接とのコスト比を、C:1とする。
突合せ溶接では、肉盛部3下面の縁に沿って溶接を行う。したがって、突合せ溶接における溶接長は、肉盛部3下面の四辺の長さを合計して計算される。肉盛溶接では、肉盛部3下面に相当する部分全体に溶接を行う。したがって、肉盛溶接における溶接長は、肉盛部3下面の面積を溶接ピッチで除して計算される。
肉盛溶接におけるコストを加味した溶接速度は、突合せ溶接と肉盛溶接とのコスト比がC:1であるため、溶接速度Vにコスト比Cを乗じて計算される。コストを加味した溶接時間は、溶接長を、コストを加味した溶接速度で除して計算される。したがって、突合せ溶接におけるコストを加味した溶接時間は、下記の式(1)で表される。肉盛溶接におけりコストを加味した溶接時間は、下記の式(2)で表される。
4A/V ・・・式(1)
/PVC ・・・式(2)
肉盛溶接におけるコストを加味した溶接時間が突合せ溶接におけるコストを加味した溶接時間よりも短い場合、肉盛溶接を行うことによって、突合せ溶接に比較して少ないコストで溶接を行うことができる。すなわち、肉盛部3下面の一辺の長さAが下記の式(3)を満たす場合、本実施の形態に係るテーラードブランク材の製造方法は、突合せ溶接に比較してより高い生産性でテーラードブランク材を製造することができる。
A<4PVC/V ・・・式(3)
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
[実施例1]
実施例1では、金属板の所定箇所にレーザー肉盛によって肉盛部を形成した。金属板の引張強度は、440MPaであった。金属板の厚みは、3.8mmであった。実施例1において肉盛部を形成した後の写真を図7に示す。肉盛部を形成した後に、肉盛部の上面に機械加工を行い、肉盛部上面を略平坦にした。さらに、肉盛部の側面に機械加工を行い、肉盛部上面の角を切り落とした。
実施例1において機械加工を行った後の写真を図8に示す。図7及び図8に示すように、実施例1では、金属板上面から肉盛部上面に向かって、金属板上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる形状を有し、かつ、厚みが略均一である肉盛部が形成されたテーラードブランク材を製造することができた。
[実施例2]
実施例2では、金属板の所定箇所にアーク肉盛によって肉盛部を形成した。金属板の引張強度は、590MPaであった。金属板の厚みは、2.9mmであった。実施例2において肉盛部を形成した後の写真を図9に示す。実施例2では、図9に示す一点鎖線と直角を成す方向に、ビードを溶着している。
(肉盛部の断面形状)
実施例2において形成された肉盛部の形状を計測した。図10は、図9の一点鎖線に沿う断面の計測結果を示す。図10に示すように、肉盛部は、下面に比較して上面の幅が短かった。また、肉盛部は、最高厚み1.40mm、最低厚み1.18mmであった。このことから、実施例2において形成された肉盛部は、金属板上面から肉盛部上面に向かって、金属板上面に平行な方向に切断した断面積が小さくなる形状を有し、かつ、厚みが略均一であることが確認された。
(金属板の硬度分布)
次に、実施例2において肉盛部が形成された金属板の硬度分布を計測した。図11は、図10に示す断面の硬度分布を計測した結果を示す。図11上段に示す点線は、硬度を計測した部分を示す線である。図11下段に示すように、金属板の硬度は、おおよそ200HV程度であり、熱影響部の一部において、250HV程度であった。このことから、実施例2において肉盛部が形成された金属板は、硬度のばらつきが小さく、応力の集中が置きにくいことが確認された。
以上で説明した本実施の形態に係る発明により、より生産性が高い、テーラードブランク材の製造方法を提供することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 テーラードブランク材
2 金属板
3 肉盛部
31 ビード
32 ラップ部
33 空間

Claims (1)

  1. 金属板上面の所定箇所に目標厚みの肉盛部が形成されたテーラードブランク材の製造方法であって、
    前記金属板上面の前記所定箇所にビードを溶着して前記肉盛部を形成する工程を備え、
    前記肉盛部を形成する工程では、隣接するビード同士が重なり合うラップ部の体積が前記肉盛部の前記目標厚み面と前記ビードの上面とが成す部分の空間の体積に相当するように、前記ビードを設定し、
    前記肉盛部は、前記金属板上面から前記肉盛部上面に向かって、前記金属板上面に平行な方向に切断した際における断面積が小さくなる形状を有する、
    テーラードブランク材の製造方法。
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