図1は、本発明の実施例に係る周辺監視システム100が搭載される作業機械(建設機械)としてのショベル(掘削機)の側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。また、上部旋回体3の上部には撮像装置40が取り付けられる。具体的には、上部旋回体3の後端上部、左端上部、右端上部に後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rが取り付けられる。また、キャビン10内にはコントローラ30及び出力装置50が設置される。
図2は、周辺監視システム100の構成例を示す機能ブロック図である。周辺監視システム100は、主に、コントローラ30、撮像装置40、入力装置42、出力装置50、及び機械制御装置51を含む。本実施例では、撮像装置40、入力装置42、出力装置50、及び機械制御装置51は、CANを介してコントローラ30に接続されている。
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。
また、コントローラ30は、各種装置の出力に基づいてショベルの周辺に人が存在するかを判定し、その判定結果に応じて各種装置を制御する。具体的には、コントローラ30は、撮像装置40及び入力装置42の出力を受け、抽出部31、識別部32、追跡部33、及び制御部35のそれぞれに対応するソフトウェアプログラムを実行する。そして、その実行結果に応じて機械制御装置51に制御指令を出力してショベルの駆動制御を実行し、或いは、出力装置50から各種情報を出力させる。なお、コントローラ30は、画像処理専用の制御装置であってもよい。
撮像装置40は、ショベルの周囲の画像を撮像する装置であり、撮像した画像をコントローラ30に対して出力する。本実施例では、撮像装置40は、CCD等の撮像素子を採用するワイドカメラであり、上部旋回体3の上部において光軸が斜め下方を向くように取り付けられる。
入力装置42は操作者の入力を受ける装置である。本実施例では、入力装置42は、操作装置(操作レバー、操作ペダル等)、ゲートロックレバー、操作装置の先端に設置されたボタン、車載ディスプレイに付属のボタン、タッチパネル等を含む。
出力装置50は、各種情報を出力する装置であり、例えば、各種画像情報を表示する車載ディスプレイ、各種音声情報を音声出力する車載スピーカ、警報ブザー、警報ランプ等を含む。本実施例では、出力装置50は、コントローラ30からの制御指令に応じて各種情報を出力する。
機械制御装置51は、ショベルの動きを制御する装置であり、例えば、油圧システムにおける作動油の流れを制御する制御弁、ゲートロック弁、エンジン制御装置等を含む。
抽出部31は、撮像装置40が撮像した撮像画像から識別処理対象画像を抽出する機能要素である。具体的には、抽出部31は、局所的な輝度勾配又はエッジに基づく簡易な特徴、Hough変換等による幾何学的特徴、輝度に基づいて分割された領域の面積又はアスペクト比に関する特徴等を抽出する比較的演算量の少ない画像処理(以下、「前段画像認識処理」とする。)によって識別処理対象画像を抽出する。識別処理対象画像は、後続の画像処理の対象となる画像部分(撮像画像の一部)であり、人候補画像を含む。人候補画像は、人画像である可能性が高いとされる画像部分(撮像画像の一部)である。撮像画像はカラー画像であってもよく、グレースケール画像であってもよい。抽出部31は、カラー画像をグレースケール化する複数種類の機能を備えていてもよい。それぞれの人候補画像は、人らしさの度合い、又はその度合いを示すレベルについて、大小の差異があると考えてもよい。その度合い、又はその度合いを示すレベルは評価値として捉えることもできる。また、抽出部31は、それぞれで複数の絞り込みを行う複数段で構成されてもよい。例えば直列接続された前段の第1抽出部、後段の第2抽出部として構成されてもよい。
識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する機能要素である。具体的には、識別部32は、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いた画像認識処理等の比較的演算量の多い画像処理(以下、「後段画像認識処理」とする。)によって人候補画像が人画像であるかを識別する。識別部32が人候補画像を人画像として識別する割合は、抽出部31による識別処理対象画像の抽出が高精度であるほど高くなる。なお、識別部32は、夜間、悪天候時等の撮像に適さない環境下で所望の品質の撮像画像を得られない場合等においては、人候補画像の全てが人画像であると識別し、抽出部31が抽出した識別処理対象画像における人候補画像の全てを人であると識別してもよい。人の検知漏れを防止するためである。
次に、図3を参照し、後方カメラ40Bが撮像したショベル後方の撮像画像における人画像の見え方について説明する。なお、図3の2つの撮像画像は、後方カメラ40Bの撮像画像の例である。また、図3の点線円は人画像の存在を表し、実際の撮像画像には表示されない。
後方カメラ40Bは、ワイドカメラであり、且つ、人を斜め上から見下ろす高さに取り付けられる。そのため、撮像画像における人画像の見え方は、後方カメラ40Bから見た人の存在方向によって大きく異なる。例えば、撮像画像中の人画像は、撮像画像の左右の端部に近いほど傾いて表示される。これは、ワイドカメラの広角レンズに起因する像倒れによる。また、後方カメラ40Bに近いほど頭部が大きく表示される。また、脚部がショベルの車体の死角に入って見えなくなってしまう。これらは、後方カメラ40Bの設置位置に起因する。そのため、撮像画像に何らの加工を施すことなく画像処理によってその撮像画像に含まれる人画像を識別するのは困難である。
そこで、本発明の実施例に係る周辺監視システム100は、識別処理対象画像を正規化することで、識別処理対象画像に含まれる人画像の識別を促進する。なお、「正規化」は、識別処理対象画像を所定サイズ及び所定形状の画像に変換することを意味する。本実施例では、撮像画像において様々な形状を取り得る識別処理対象画像は射影変換によって所定サイズの長方形画像に変換される。なお、射影変換としては例えば8変数の射影変換行列が用いられる。
ここで、図4〜図6を参照し、周辺監視システム100が識別処理対象画像を正規化する処理(以下、「正規化処理」とする。)の一例について説明する。なお、図4は、抽出部31が撮像画像から識別処理対象画像を切り出す際に用いる幾何学的関係の一例を示す概略図である。
図4のボックスBXは、実空間における仮想立体物であり、本実施例では、8つの頂点A〜Hで定められる仮想直方体である。また、点Prは、識別処理対象画像を参照するために予め設定される参照点である。本実施例では、参照点Prは、人の想定立ち位置として予め設定される点であり、4つの頂点A〜Dで定められる四角形ABCDの中心に位置する。また、ボックスBXのサイズは、人の向き、歩幅、身長等に基づいて設定される。本実施例では、四角形ABCD及び四角形EFGHは正方形であり、一辺の長さは例えば800mmである。また、直方体の高さは例えば1800mmである。すなわち、ボックスBXは、幅800mm×奥行800mm×高さ1800mmの直方体である。
4つの頂点A、B、G、Hで定められる四角形ABGHは、撮像画像における識別処理対象画像の領域に対応する仮想平面領域TRを形成する。また、仮想平面領域TRとしての四角形ABGHは、水平面である仮想地面に対して傾斜する。
なお、本実施例では、参照点Prと仮想平面領域TRとの関係を定めるために仮想直方体としてのボックスBXが採用される。しかしながら、撮像装置40の方向を向き且つ仮想地面に対して傾斜する仮想平面領域TRを任意の参照点Prに関連付けて定めることができるのであれば、他の仮想立体物を用いた関係等の他の幾何学的関係が採用されてもよく、関数、変換テーブル等の他の数学的関係が採用されてもよい。
図5は、ショベル後方の実空間の上面視であり、参照点Pr1、Pr2を用いて仮想平面領域TR1、TR2が参照された場合における後方カメラ40Bと仮想平面領域TR1、TR2との位置関係を示す。なお、本実施例では、参照点Prは、仮想地面上の仮想グリッドの格子点のそれぞれに配置可能である。但し、参照点Prは、仮想地面上に不規則に配置されてもよく、後方カメラ40Bの仮想地面への投影点から放射状に伸びる線分上に等間隔に配置されてもよい。例えば、各線分は1度刻みで放射状に伸び、参照点Prは各線分上に100mm間隔に配置される。
図4及び図5に示すように、四角形ABFE(図4参照。)で定められるボックスBXの第1面は、参照点Pr1を用いて仮想平面領域TR1が参照される場合、後方カメラ40Bに正対するように配置される。すなわち、後方カメラ40Bと参照点Pr1とを結ぶ線分は、参照点Pr1に関連して配置されるボックスBXの第1面と上面視で直交する。同様に、ボックスBXの第1面は、参照点Pr2を用いて仮想平面領域TR2が参照される場合にも、後方カメラ40Bに正対するように配置される。すなわち、後方カメラ40Bと参照点Pr2とを結ぶ線分は、参照点Pr2に関連して配置されるボックスBXの第1面と上面視で直交する。この関係は、参照点Prが何れの格子点上に配置された場合であっても成立する。すなわち、ボックスBXは、その第1面が常に後方カメラ40Bに正対するように配置される。
図6は、撮像画像から正規化画像を生成する処理の流れを示す図である。具体的には、図6(A)は、後方カメラ40Bの撮像画像の一例であり、実空間における参照点Prに関連して配置されるボックスBXを映し出す。また、図6(B)は、撮像画像における識別処理対象画像の領域(以下、「識別処理対象画像領域TRg」とする。)を切り出した図であり、図6(A)の撮像画像に映し出された仮想平面領域TRに対応する。また、図6(C)は、識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を正規化した正規化画像TRgtを示す。
図6(A)に示すように、実空間上で参照点Pr1に関連して配置されるボックスBXは、実空間における仮想平面領域TRの位置を定め、そして、仮想平面領域TRに対応する撮像画像上の識別処理対象画像領域TRgを定める。
このように、実空間における参照点Prの位置が決まれば、実空間における仮想平面領域TRの位置が一意に決まり、撮像画像における識別処理対象画像領域TRgも一意に決まる。そして、抽出部31は、識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を正規化して所定サイズの正規化画像TRgtを生成できる。本実施例では、正規化画像TRgtのサイズは、例えば縦64ピクセル×横32ピクセルである。
図7は、撮像画像と識別処理対象画像領域と正規化画像との関係を示す図である。具体的には、図7(A1)は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg3を示し、図7(A2)は、識別処理対象画像領域TRg3を有する識別処理対象画像の正規化画像TRgt3を示す。また、図7(B1)は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg4を示し、図7(B2)は、識別処理対象画像領域TRg4を有する識別処理対象画像の正規化画像TRgt4を示す。同様に、図7(C1)は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg5を示し、図7(C2)は、識別処理対象画像領域TRg5を有する識別処理対象画像の正規化画像TRgt5を示す。
図7に示すように、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg5は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg4より大きい。識別処理対象画像領域TRg5に対応する仮想平面領域と後方カメラ40Bとの間の距離が、識別処理対象画像領域TRg4に対応する仮想平面領域と後方カメラ40Bとの間の距離より小さいためである。同様に、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg4は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRg3より大きい。識別処理対象画像領域TRg4に対応する仮想平面領域と後方カメラ40Bとの間の距離が、識別処理対象画像領域TRg3に対応する仮想平面領域と後方カメラ40Bとの間の距離より小さいためである。すなわち、撮像画像における識別処理対象画像領域は、対応する仮想平面領域と後方カメラ40Bとの間の距離が大きいほど小さい。その一方で、正規化画像TRgt3、TRgt4、TRgt5は何れも同じサイズの長方形画像である。
このように、抽出部31は、撮像画像において様々な形状及びサイズを取り得る識別処理対象画像を所定サイズの長方形画像に正規化し、人画像を含む人候補画像を正規化できる。具体的には、抽出部31は、正規化画像の所定領域に人候補画像の頭部であると推定される画像部分(以下、「頭部画像部分」とする。)を配置する。また、正規化画像の別の所定領域に人候補画像の胴体部であると推定される画像部分(以下、「胴体部画像部分」とする。)を配置し、正規化画像のさらに別の所定領域に人候補画像の脚部であると推定される画像部分(以下、「脚部画像部分」とする。)を配置する。また、抽出部31は、正規化画像の形状に対する人候補画像の傾斜(像倒れ)を抑えた状態で正規化画像を取得できる。
次に、図8を参照し、識別処理対象画像領域が、人画像の識別に悪影響を与える識別に適さない画像領域(以下、「識別処理不適領域」とする。)を含む場合の正規化処理について説明する。識別処理不適領域は、人画像が存在し得ない既知の領域であり、例えば、ショベルの車体が映り込んだ領域(以下、「車体映り込み領域」とする。)、撮像画像からはみ出た領域(以下、「はみ出し領域」とする。)等を含む。なお、図8は、識別処理対象画像領域と識別処理不適領域との関係を示す図であり、図7(C1)及び図7(C2)に対応する。また、図8左図の右下がりの斜線ハッチング領域は、はみ出し領域R1に対応し、左下がりの斜線ハッチング領域は、車体映り込み領域R2に対応する。
本実施例では、抽出部31は、識別処理対象画像領域TRg5がはみ出し領域R1及び車体映り込み領域R2の一部を含む場合、それらの識別処理不適領域をマスク処理した後で、識別処理対象画像領域TRg5を有する識別処理対象画像の正規化画像TRgt5を生成する。なお、抽出部31は、正規化画像TRgt5を生成した後で、正規化画像TRgt5における識別処理不適領域に対応する部分をマスク処理してもよい。
図8右図は、正規化画像TRgt5を示す。また、図8右図において、右下がりの斜線ハッチング領域は、はみ出し領域R1に対応するマスク領域M1を表し、左下がりの斜線ハッチング領域は、車体映り込み領域R2の一部に対応するマスク領域M2を表す。
このようにして、抽出部31は、識別処理不適領域の画像をマスク処理することで、識別処理不適領域の画像が識別部32による識別処理に影響を及ぼすのを防止する。このマスク処理により、識別部32は、識別処理不適領域の画像の影響を受けることなく、正規化画像におけるマスク領域以外の領域の画像を用いて人画像であるかを識別できる。なお、抽出部31は、マスク処理以外の他の任意の公知方法で、識別処理不適領域の画像が識別部32による識別処理に影響を及ぼさないようにしてもよい。
次に、図9を参照し、抽出部31が生成する正規化画像の特徴について説明する。なお、図9は、正規化画像の例を示す図である。また、図9に示す14枚の正規化画像は、図の左端に近い正規化画像ほど、後方カメラ40Bから近い位置に存在する人候補の画像を含み、図の右端に近い正規化画像ほど、後方カメラ40Bから遠い位置に存在する人候補の画像を含む。
図9に示すように、抽出部31は、実空間における仮想平面領域TRと後方カメラ40Bとの間の後方水平距離(図5に示すY軸方向の水平距離)に関係なく、何れの正規化画像内においてもほぼ同じ割合で頭部画像部分、胴体部画像部分、脚部画像部分等を配置できる。そのため、抽出部31は、識別部32が識別処理を実行する際の演算負荷を低減でき、且つ、その識別結果の信頼性を向上できる。なお、上述の後方水平距離は、実空間における仮想平面領域TRと後方カメラ40Bとの間の位置関係に関する情報の一例であり、抽出部31は、抽出した識別処理対象画像にその情報を付加する。また、上述の位置関係に関する情報は、仮想平面領域TRに対応する参照点Prと後方カメラ40Bとを結ぶ線分の後方カメラ40Bの光軸に対する上面視角度等を含む。
次に、図10を参照し、実空間における仮想平面領域TRと後方カメラ40Bとの間の後方水平距離と、正規化画像における頭部画像部分の大きさとの関係について説明する。なお、図10上図は、後方カメラ40Bからの後方水平距離がそれぞれ異なる3つの参照点Pr10、Pr11、P12のところに人が存在する場合の頭部画像部分の大きさL10、L11、L12を示す図であり、横軸が後方水平距離に対応する。また、図10下図は、後方水平距離と頭部画像部分の大きさの関係を示すグラフであり、縦軸が頭部画像部分の大きさに対応し、横軸が後方水平距離に対応する。なお、図10上図及び図10下図の横軸は共通である。また、本実施例は、カメラ高さを2100mmとし、頭部HDの中心の地面からの高さを1600mmとし、頭部の直径を250mmとする。
図10上図に示すように、参照点Pr10で示す位置に人が存在する場合、頭部画像部分の大きさL10は、後方カメラ40Bから見た頭部HDの仮想平面領域TR10への投影像の大きさに相当する。同様に、参照点Pr11、Pr12で示す位置に人が存在する場合、頭部画像部分の大きさL11、L12は、後方カメラ40Bから見た頭部HDの仮想平面領域TR11、TR12への投影像の大きさに相当する。なお、正規化画像における頭部画像部分の大きさは投影像の大きさに伴って変化する。
そして、図10下図に示すように、正規化画像における頭部画像部分の大きさは、後方水平距離がD1(例えば700mm)以上ではほぼ同じ大きさを維持するが、後方水平距離がD1を下回ったところで急激に増大する。
そこで、識別部32は、後方水平距離に応じて識別処理の内容を変更する。例えば、識別部32は、教師あり学習(機械学習)の手法を用いる場合、所定の後方水平距離(例えば650mm)を境に、識別処理で用いる学習サンプルをグループ分けする。具体的には、近距離用グループと遠距離用グループに学習サンプルを分けるようにする。この構成により、識別部32は、より高精度に人画像を識別できる。
以上の構成により、周辺監視システム100は、撮像装置40の方向を向き且つ水平面である仮想地面に対して傾斜する仮想平面領域TRに対応する識別処理対象画像領域TRgから正規化画像TRgtを生成する。そのため、人の高さ方向及び奥行き方向の見え方を考慮した正規化を実現できる。その結果、人を斜め上から撮像するように建設機械に取り付けられる撮像装置40の撮像画像を用いた場合であっても建設機械の周囲に存在する人をより確実に検知できる。特に、人が撮像装置40に接近した場合であっても、撮像画像上の十分な大きさの領域を占める識別処理対象画像から正規化画像を生成できるため、その人を確実に検知できる。
また、周辺監視システム100は、実空間における仮想直方体であるボックスBXの4つの頂点A、B、G、Hで形成される矩形領域として仮想平面領域TRを定義する。そのため、実空間における参照点Prと仮想平面領域TRとを幾何学的に対応付けることができ、さらには、実空間における仮想平面領域TRと撮像画像における識別処理対象画像領域TRgとを幾何学的に対応付けることができる。
また、抽出部31は、識別処理対象画像領域TRgに含まれる識別処理不適領域の画像をマスク処理する。そのため、識別部32は、車体映り込み領域R2を含む識別処理不適領域の画像の影響を受けることなく、正規化画像におけるマスク領域以外の領域の画像を用いて人画像であるかを識別できる。
また、抽出部31は、識別処理対象画像を抽出した場合、仮想平面領域TRと撮像装置40との位置関係に関する情報として両者間の後方水平距離をその識別処理対象画像に付加する。そして、識別部32は、その後方水平距離に応じて識別処理の内容を変更する。具体的には、識別部32は、所定の後方水平距離(例えば650mm)を境に、識別処理で用いる学習サンプルをグループ分けする。この構成により、識別部32は、より高精度に人画像を識別できる。
また、抽出部31は、参照点Pr毎に識別処理対象画像を抽出可能である。また、識別処理対象画像領域TRgのそれぞれは、対応する仮想平面領域TRを介して、人の想定立ち位置として予め設定される参照点Prの1つに関連付けられる。そのため、周辺監視システム100は、人が存在する可能性が高い参照点Prを任意の方法で抽出することで、人候補画像を含む可能性が高い識別処理対象画像を抽出できる。この場合、人候補画像を含む可能性が低い識別処理対象画像に対して、比較的演算量の多い画像処理による識別処理が施されてしまうのを防止でき、人検知処理の高速化を実現できる。
次に、図11及び図12を参照し、人候補画像を含む可能性が高い識別処理対象画像を抽出部31が抽出する処理の一例について説明する。なお、図11は、抽出部31が撮像画像から識別処理対象画像を切り出す際に用いる幾何学的関係の一例を示す概略図であり、図4に対応する。また、図12は、撮像画像における特徴画像の一例を示す図である。なお、特徴画像は、人の特徴的な部分を表す画像であり、望ましくは、実空間における地面からの高さが変化し難い部分を表す画像である。そのため、特徴画像は、例えば、ヘルメットの画像、肩の画像、頭の画像、人に取り付けられる反射板若しくはマーカの画像等を含む。
本実施例では、抽出部31は、前段画像認識処理によって、撮像画像におけるヘルメット画像(厳密にはヘルメットであると推定できる画像)を見つけ出す。ショベルの周囲で作業する人はヘルメットを着用していると考えられるためである。そして、抽出部31は、見つけ出したヘルメット画像の位置から最も関連性の高い参照点Prを導き出す。その上で、抽出部31は、その参照点Prに対応する識別処理対象画像を抽出する。
具体的には、抽出部31は、図11に示す幾何学的関係を利用し、撮像画像におけるヘルメット画像の位置から関連性の高い参照点Prを導き出す。なお、図11の幾何学的関係は、実空間における仮想頭部位置HPを定める点で図4の幾何学的関係と相違するが、その他の点で共通する。
仮想頭部位置HPは、参照点Pr上に存在すると想定される人の頭部位置を表し、参照点Prの真上に配置される。本実施例では、参照点Pr上の高さ1700mmのところに配置される。そのため、実空間における仮想頭部位置HPが決まれば、実空間における参照点Prの位置が一意に決まり、実空間における仮想平面領域TRの位置も一意に決まる。また、撮像画像における識別処理対象画像領域TRgも一意に決まる。そして、抽出部31は、識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を正規化して所定サイズの正規化画像TRgtを生成できる。
逆に、実空間における参照点Prの位置が決まれば、実空間における仮想頭部位置HPが一意に決まり、実空間における仮想頭部位置HPに対応する撮像画像上の頭部画像位置APも一意に決まる。そのため、頭部画像位置APは、予め設定されている参照点Prのそれぞれに対応付けて予め設定され得る。なお、頭部画像位置APは、参照点Prからリアルタイムに導き出されてもよい。
そこで、抽出部31は、前段画像認識処理により後方カメラ40Bの撮像画像内でヘルメット画像を探索する。図12上図は、抽出部31がヘルメット画像HRgを見つけ出した状態を示す。そして、抽出部31は、ヘルメット画像HRgを見つけ出した場合、その代表位置RPを決定する。なお、代表位置RPは、ヘルメット画像HRgの大きさ、形状等から導き出される位置である。本実施例では、代表位置RPは、ヘルメット画像HRgを含むヘルメット画像領域の中心画素の位置である。図12下図は、図12上図における白線で区切られた矩形画像領域であるヘルメット画像領域の拡大図であり、そのヘルメット画像領域の中心画素の位置が代表位置RPであることを示す。
その後、抽出部31は、例えば最近傍探索アルゴリズムを用いて代表位置RPの最も近傍にある頭部画像位置APを導き出す。図12下図は、代表位置RPの近くに6つの頭部画像位置AP1〜AP6が予め設定されており、そのうちの頭部画像位置AP5が代表位置RPの最も近傍にある頭部画像位置APであることを示す。
そして、抽出部31は、図11に示す幾何学的関係を利用し、導き出した最近傍の頭部画像位置APから、仮想頭部位置HP、参照点Pr、仮想平面領域TRを辿って、対応する識別処理対象画像領域TRgを抽出する。その後、抽出部31は、抽出した識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を正規化して正規化画像TRgtを生成する。
このようにして、抽出部31は、撮像画像における人の特徴画像の位置であるヘルメット画像HRgの代表位置RPと、予め設定された頭部画像位置APの1つ(頭部画像位置AP5)とを対応付けることで識別処理対象画像を抽出する。
なお、抽出部31は、図11に示す幾何学的関係を利用する代わりに、頭部画像位置APと参照点Pr、仮想平面領域TR、又は識別処理対象画像領域TRgとを直接的に対応付ける参照テーブルを利用し、頭部画像位置APに対応する識別処理対象画像を抽出してもよい。
また、抽出部31は、山登り法、Mean-shift法等の最近傍探索アルゴリズム以外の他の公知のアルゴリズムを用いて代表位置RPから参照点Prを導き出してもよい。例えば、山登り法を用いる場合、抽出部31は、代表位置RPの近傍にある複数の頭部画像位置APを導き出し、代表位置RPとそれら複数の頭部画像位置APのそれぞれに対応する参照点Prとを紐付ける。このとき、抽出部31は、代表位置RPと頭部画像位置APが近いほど重みが大きくなるように参照点Prに重みを付ける。そして、複数の参照点Prの重みの分布を山登りし、重みの極大点に最も近い重みを有する参照点Prから識別処理対象画像領域TRgを抽出する。
次に、図13を参照し、コントローラ30の抽出部31が識別処理対象画像を抽出する処理(以下、「画像抽出処理」とする。)の一例について説明する。なお、図13は、画像抽出処理の一例の流れを示すフローチャートである。抽出部31は、例えば、撮像画像を取得する度にこの画像抽出処理を実行する。
最初に、抽出部31は、撮像画像内でヘルメット画像を探索する(ステップST1)。本実施例では、抽出部31は、前段画像認識処理により後方カメラ40Bの撮像画像をラスタスキャンしてヘルメット画像を見つけ出す。
撮像画像でヘルメット画像HRgを見つけ出した場合(ステップST1のYES)、抽出部31は、ヘルメット画像HRgの代表位置RPを取得する(ステップST2)。
その後、抽出部31は、取得した代表位置RPの最近傍にある頭部画像位置APを取得する(ステップST3)。
その後、抽出部31は、取得した頭部画像位置APに対応する識別処理対象画像を抽出する(ステップST4)。本実施例では、抽出部31は、図11に示す幾何学的関係を利用し、撮像画像における頭部画像位置AP、実空間における仮想頭部位置HP、実空間における人の想定立ち位置としての参照点Pr、及び、実空間における仮想平面領域TRの対応関係を辿って識別処理対象画像を抽出する。
なお、抽出部31は、撮像画像でヘルメット画像HRgを見つけ出さなかった場合には(ステップST1のNO)、識別処理対象画像を抽出することなく、処理をステップST5に移行させる。
その後、抽出部31は、撮像画像の全体にわたってヘルメット画像を探索したかを判定する(ステップST5)。
撮像画像の全体を未だ探索していないと判定した場合(ステップST5のNO)、抽出部31は、撮像画像の別の領域に対し、ステップST1〜ステップST4の処理を実行する。
一方、撮像画像の全体にわたるヘルメット画像の探索を完了したと判定した場合(ステップST5のYES)、抽出部31は今回の画像抽出処理を終了させる。
このように、抽出部31は、最初にヘルメット画像HRgを見つけ出し、見つけ出したヘルメット画像HRgの代表位置RPから、頭部画像位置AP、仮想頭部位置HP、参照点(想定立ち位置)Pr、仮想平面領域TRを経て識別処理対象画像領域TRgを特定する。そして、特定した識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を抽出して正規化することで、所定サイズの正規化画像TRgtを生成できる。
次に、図14を参照し、画像抽出処理の別の一例について説明する。なお、図14は、画像抽出処理の別の一例の流れを示すフローチャートである。
最初に、抽出部31は、頭部画像位置APの1つを取得する(ステップST11)。その後、抽出部31は、その頭部画像位置APに対応するヘルメット画像領域を取得する(ステップST12)。本実施例では、ヘルメット画像領域は、頭部画像位置APのそれぞれについて予め設定された所定サイズの画像領域である。
その後、抽出部31は、ヘルメット画像領域内でヘルメット画像を探索する(ステップST13)。本実施例では、抽出部31は、前段画像認識処理によりヘルメット画像領域内をラスタスキャンしてヘルメット画像を見つけ出す。
ヘルメット画像領域内でヘルメット画像HRgを見つけ出した場合(ステップST13のYES)、抽出部31は、そのときの頭部画像位置APに対応する識別処理対象画像を抽出する(ステップST14)。本実施例では、抽出部31は、図11に示す幾何学的関係を利用し、撮像画像における頭部画像位置AP、実空間における仮想頭部位置HP、実空間における人の想定立ち位置としての参照点Pr、及び、実空間における仮想平面領域TRの対応関係を辿って識別処理対象画像を抽出する。
なお、抽出部31は、ヘルメット画像領域内でヘルメット画像HRgを見つけ出さなかった場合には(ステップST13のNO)、識別処理対象画像を抽出することなく、処理をステップST15に移行させる。
その後、抽出部31は、全ての頭部画像位置APを取得したかを判定する(ステップST15)。そして、全ての頭部画像位置APを未だ取得していないと判定した場合(ステップST15のNO)、抽出部31は、未取得の別の頭部画像位置APを取得し、ステップST11〜ステップST14の処理を実行する。一方、全ての頭部画像位置APを取得し終わったと判定した場合(ステップST15のYES)、抽出部31は今回の画像抽出処理を終了させる。
このように、抽出部31は、最初に頭部画像位置APの1つを取得し、取得した頭部画像位置APに対応するヘルメット画像領域でヘルメット画像HRgを見つけ出した場合に、そのときの頭部画像位置APから、仮想頭部位置HP、参照点(想定立ち位置)Pr、仮想平面領域TRを経て、識別処理対象画像領域TRgを特定する。そして、特定した識別処理対象画像領域TRgを有する識別処理対象画像を抽出して正規化することで、所定サイズの正規化画像TRgtを生成できる。
以上の構成により、周辺監視システム100の抽出部31は、撮像画像における特徴画像としてのヘルメット画像を見つけ出し、そのヘルメット画像の代表位置RPと所定画像位置としての頭部画像位置APの1つとを対応付けることで識別処理対象画像を抽出する。そのため、簡易なシステム構成で後段画像認識処理の対象となる画像部分を絞り込むことができる。
なお、抽出部31は、最初に撮像画像からヘルメット画像HRgを見つけ出し、そのヘルメット画像HRgの代表位置RPに対応する頭部画像位置APの1つを導き出し、その頭部画像位置APの1つに対応する識別処理対象画像を抽出してもよい。或いは、抽出部31は、最初に頭部画像位置APの1つを取得し、その頭部画像位置APの1つに対応する特徴画像の位置を含む所定領域であるヘルメット画像領域内にヘルメット画像が存在する場合に、その頭部画像位置APの1つに対応する識別処理対象画像を抽出してもよい。
また、抽出部31は、図11に示すような所定の幾何学的関係を利用し、撮像画像におけるヘルメット画像の代表位置RPから識別処理対象画像を抽出してもよい。この場合、所定の幾何学的関係は、撮像画像における識別処理対象画像領域TRgと、識別処理対象画像領域TRgに対応する実空間における仮想平面領域TRと、仮想平面領域TRに対応する実空間における参照点Pr(人の想定立ち位置)と、参照点Prに対応する仮想頭部位置HP(人の想定立ち位置に対応する人の特徴的な部分の実空間における位置である仮想特徴位置)と、仮想頭部位置HPに対応する撮像画像における頭部画像位置AP(仮想特徴位置に対応する撮像画像における所定画像位置)との幾何学的関係を表す。
次に、図15を参照し、画像抽出処理の更に別の一例について説明する。なお、図15は、画像抽出処理の更に別の一例の流れを示すフローチャートである。図15の画像抽出処理は、正規化画像を生成した後でその正規化画像に特徴画像としてのヘルメット画像が含まれるか否かを判定する点で図13及び図14のそれぞれにおける画像抽出処理と異なる。図13及び図14のそれぞれにおける画像抽出処理はヘルメット画像を見つけた後でそのヘルメット画像を含む画像部分を正規化するためである。
本実施例では、抽出部31は、撮像画像における複数の所定画像部分のそれぞれを正規化して複数の正規化画像を生成し、それら正規化画像のうちヘルメット画像を含む正規化画像を識別処理対象画像として抽出する。複数の所定画像部分は、例えば、撮像画像上に予め定められた複数の識別処理対象画像領域TRgである。識別処理対象画像領域TRg(図6参照。)は、実空間における仮想平面領域TRに対応し、仮想平面領域TRは実空間における参照点Prに対応する。そして、識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する。
最初に、抽出部31は所定画像部分の1つから正規化画像を生成する(ステップST21)。本実施例では、後方カメラ40Bの撮像画像における予め設定された参照点Prの1つに対応する識別処理対象画像領域TRgの1つを所定画像部分とし、その所定画像部分を射影変換によって所定サイズの長方形画像に変換する。
その後、抽出部31は、生成した正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する(ステップST22)。本実施例では、抽出部31は、前段画像認識処理によりその正規化画像をラスタスキャンしてヘルメット画像を見つけ出す。
正規化画像にヘルメット画像が含まれると判定した場合(ステップST22のYES)、抽出部31は、その正規化画像を識別処理対象画像として抽出する(ステップST23)。このとき、識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する。すなわち、識別部32は、抽出部31による次の正規化が行われる前に、ヘルメット画像を含むと判定された正規化画像に対し、その正規化画像に含まれる画像が人画像であるかを識別する。そのため、周辺監視システム100は、1つの正規化画像を記憶できるメモリ容量を有していれば撮像画像全体に対する画像抽出処理及び識別処理を実行できる。但し、識別部32は、抽出部31が複数の正規化画像を識別処理対象画像として抽出した後で、それら複数の識別処理対象画像のそれぞれに含まれる人候補画像が人画像であるかを識別してもよい。
正規化画像にヘルメット画像が含まれないと判定した場合(ステップST22のNO)、抽出部31は、その正規化画像を識別処理対象画像として抽出することなく処理を進める。
その後、抽出部31は、全ての所定画像部分から正規化画像を生成したか否かを判定する(ステップST24)。本実施例では、後方カメラ40Bの撮像画像における参照点Prのそれぞれに対応する識別処理対象画像領域TRgである所定画像部分の全てから正規化画像を生成したか否かを判定する。
全ての所定画像部分から正規化画像を生成していないと判定した場合(ステップST24のNO)、抽出部31は、別の所定画像部分に対し、ステップST21〜ステップST23の処理を実行する。
一方、全ての所定画像部分から正規化画像を生成したと判定した場合(ステップST24のYES)、抽出部31は今回の画像抽出処理を終了させる。
図15の例では、周辺監視システム100は、1つの正規化画像を生成した段階でその正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する。但し、複数の正規化画像を生成した段階でそれら複数の正規化画像のそれぞれにヘルメット画像が含まれるか否かを纏めて判定してもよい。また、全ての正規化画像を生成した段階でそれら全ての正規化画像のそれぞれにヘルメット画像が含まれるか否かを纏めて判定してもよい。
このような画像抽出処理により、周辺監視システム100は、人検知処理の際のメモリアクセス回数を低減させることができる。ヘルメット画像を見つけ出す処理と識別処理対象画像を抽出する処理を同時に実行できるためである。
また、図15の画像抽出処理を採用する周辺監視システム100は、図13又は図14の画像抽出処理を採用する場合に比べ、メモリ容量を低減させることができる。図13又は図14の画像抽出処理は、少なくとも、正規化される前の画像部分(正規化画像より大きい画像)を記憶できるだけのメモリ容量が必要であるが、図15の画像抽出処理は正規化画像を最初に生成するため正規化画像を記憶できるだけのメモリ容量があれば実行可能なためである。
また、図15の画像抽出処理を採用する周辺監視システム100は、正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する。そのため、図13又は図14の画像抽出処理のように正規化される前の画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する構成に比べ、ヘルメット画像が含まれるか否かの判定に要する処理時間を短縮できる。探索対象となるヘルメット画像のサイズ及び歪みのばらつきを小さくできるためである。その結果、識別処理対象画像の抽出に要する時間を短縮できる。また、探索対象となるヘルメット画像のサイズ及び歪みのばらつきを小さくできるため、ヘルメット画像が含まれるか否かの判定の精度を高めることができる。
また、図15の画像抽出処理を採用する周辺監視システム100は、人の足位置に対する頭部位置のバラツキが大きい場合(例えば屈んでいる人の画像が撮像画像に含まれる場合)であっても、より確実な人検知を実現できる。正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する構成を採用しているためである。すなわち、図13又は図14の画像抽出処理のようにヘルメット画像の位置に関連する頭部画像位置を用いて識別処理対象画像領域を特定する構成ではなく、正規化の対象となる所定画像部分としての識別処理対象画像領域が頭部画像位置とは無関係に設定されるためである。
次に、図16を参照し、画像抽出処理の更に別の一例について説明する。なお、図16は画像抽出処理の更に別の一例の流れを示すフローチャートである。図16の画像抽出処理は、所定画像部分の一部を正規化した段階でその部分的に正規化された画像(以下、「部分正規化画像」とする。)に特徴画像としてのヘルメット画像が含まれるか否かを判定する点で図15の画像抽出処理と異なる。図15の画像抽出処理は、1つの所定画像部分の全部を正規化した段階でその正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定するためである。
最初に、抽出部31は、所定画像部分の一部から部分正規化画像を生成する(ステップST31)。そして、抽出部31は、部分正規化画像を生成した段階でその部分正規化画像にヘルメット画像が含まれるか否かを判定する(ステップST32)。本実施例では、抽出部31は、正規化画像の上半分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成した段階で前段画像認識処理によりその部分正規化画像をラスタスキャンしてヘルメット画像を見つけ出す。
部分正規化画像にヘルメット画像が含まれると判定した場合(ステップST32のYES)、抽出部31は、所定画像部分の残りの部分を正規化して正規化画像を生成する(ステップST33)。本実施例では、抽出部31は、正規化画像の下半分に対応する所定画像部分の残りの部分を正規化して正規化画像を生成する。そして、抽出部31は、その正規化画像を識別処理対象画像として抽出する(ステップST34)。このとき、識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する。但し、識別部32は、抽出部31が複数の正規化画像を識別処理対象画像として抽出した後で、それら複数の識別処理対象画像のそれぞれに含まれる人候補画像が人画像であるかを識別してもよい。
部分正規化画像にヘルメット画像が含まれないと判定した場合(ステップST32のNO)、抽出部31は、所定画像部分の残りの部分を正規化して正規化画像を生成することなく処理を進める。
その後、抽出部31は、全ての所定画像部分から部分正規化画像を生成したか否かを判定する(ステップST35)。本実施例では、後方カメラ40Bの撮像画像における参照点Prのそれぞれに対応する識別処理対象画像領域TRgである所定画像部分の全てから部分正規化画像を生成したか否かを判定する。
全ての所定画像部分から部分正規化画像を生成していないと判定した場合(ステップST35のNO)、抽出部31は、別の所定画像部分に対し、ステップST31〜ステップST34の処理を実行する。
一方、全ての所定画像部分から部分正規化画像を生成したと判定した場合(ステップST35のYES)、抽出部31は今回の画像抽出処理を終了させる。
図16の例では、周辺監視システム100は、正規化画像の上半分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成する。ヘルメット画像は正規化画像の上半分(人の上半身に対応する部分)に含まれる蓋然性が高いためである。但し、正規化画像の上半分より小さい部分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成してもよい。例えば、正規化画像の上の1/3にあたる部分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成してもよい。或いは、周辺監視システム100は、正規化画像の別の一部を正規化して部分正規化画像を生成してもよい。例えば、特徴画像としての肩の画像を探索する場合、正規化画像の右半分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成してもよく、特徴画像としてのマーカの画像を探索する場合、正規化画像の中央半分に対応する所定画像部分の一部を正規化して部分正規化画像を生成してもよい。
このような画像抽出処理により、図16の画像抽出処理を採用する周辺監視システム100は、図15の画像抽出処理を採用する場合と同様の効果を実現できる。
また、図16の画像抽出処理を採用する周辺監視システム100は、図15の画像抽出処理を採用する場合に比べ、人検知処理に要する処理時間を更に短縮できる。部分正規化画像にヘルメット画像が含まれないと判定した場合、その所定画像部分の残りの部分を正規化することなく、次の所定画像部分の正規化を開始できるためである。
また、図13〜図16のそれぞれにおける画像抽出処理において、抽出部31は、前段画像認識処理によって、撮像画像の所定画像部分におけるヘルメット画像(厳密にはヘルメットであると推定できる画像)を見つけ出す。そして、抽出部31は、見つけ出したヘルメット画像に対応する識別処理対象画像を抽出する。
しかしながら、背景画像が複雑な場合、抽出部31は、ヘルメットの画像ではない画像をヘルメット画像であると誤って認識してしまうことがある。また、ヘルメットの画像をヘルメット画像として認識できずに見逃してしまうことがある。すなわち、抽出部31は、撮像画像の内容によっては識別処理対象画像の抽出結果の信頼性を低下させてしまう場合がある。ここでのヘルメット画像は、人候補画像として考えることができる。すなわち、人検知結果の信頼性を低下させる場面である。抽出結果の信頼性を低下させてしまう撮像画像は、例えば、夜間環境、逆光環境、日陰環境等で撮像された撮像画像、カメラのレンズが汚れた状態で撮像された撮像画像、フレア、被写体ブレ等のある撮像画像を含む。
そこで、コントローラ30は、抽出部31による識別処理対象画像の抽出結果の信頼性が低い状態を人検知に不適な状態(以下、「人検知不適状態」とする。)として検知できるように構成されてもよい。人検知不適状態の検知に応じて種々の対応をとることができるようにするためである。例えば、人検知不適状態が発生していることをショベルの操作者に通知できるようにするためである。或いは、人検知不適状態が発生しているときの画像特徴等を記録して周辺監視システムの改良に有効なデータを選択的に収集できるようにするためである。或いは、人検知不適状態の検知に応じて周辺監視システム100の動作内容を変更できるようにするためである。周辺監視システム100の動作内容の変更は、例えば、前段画像認識処理で用いられる各種パラメータの変更、後段画像認識処理で用いられる各種パラメータの変更等を含む。
例えば、コントローラ30は、所定の評価式を用いて各所定画像部分に関する評価値を算出し、その評価値の分布に基づいて撮像画像が人検知不適状態であるか否かを判定してもよい。具体的には、コントローラ30は、ヘルメット度の分布に基づいて人検知不適状態が発生しているか否かを判定してもよい。ここでの評価値は、ヘルメット画像、すなわち人候補画像における人らしさの度合い又はその度合いを示すレベルとして捉えることもできる。この評価値には大小の差異があると考えてもよい。
「ヘルメット度」は、評価値の一例であり、撮像画像の所定画像部分における判定対象画像のヘルメットらしさを表す値である。探索対象がヘルメットではなく頭である場合には頭らしさを表す頭度が評価値の別の一例として用いられる。
「判定対象画像」は、特徴画像(ヘルメット画像)であるか否かの判定対象となった画像を意味する。図13〜図16のそれぞれにおける画像抽出処理での「ヘルメット画像」は、判定対象画像のうち、所定の採否判定値(例えばゼロである。)以上のヘルメット度を有するものを意味する。或いは、所定の採否判定値以上のヘルメット度を有する判定対象画像をヘルメット度が大きい順に並べたときの上位の所定数のものであってもよい。なお、判定対象画像は、採否判定値未満のヘルメット度を有する画像(ヘルメット画像以外の画像)を含む。仕様として選択可能な所定ヘルメット度が採否判定値として設定される。採否判定値は、抽出部31が取得した判定対象画像のヘルメット度と比較される。
採否判定値は、判定対象画像をヘルメット画像として採用するか否かを判定するための値である。判定対象画像は、例えば、評価値としてのヘルメット度が採否判定値以上であればヘルメット画像として採用される。採否判定値は、例えば、機械学習、統計分析等により予め設定される。採否判定値は、夜間環境、逆光環境、日陰環境等のショベルの作業環境毎に別々に設定されていてもよい。ショベルの作業環境は、例えば、キャビン10内の入力装置42を用いて入力されてもよい。
ヘルメット度は、例えば、後段画像認識処理で用いられるHOG特徴量の算出よりも低い演算コストで算出される画像特徴量に基づいて導き出される。例えば、ヘルメット度は、HOG特徴量の次元数よりも低い次元数の画像特徴量をランダムフォレスト等の機械学習アルゴリズムに入力して重回帰分析を行うことで導き出される。ヘルメット度は、例えば、−1〜+1の間の実数として導き出され、+1に近いほどヘルメットらしさが強く、−1に近いほどヘルメットらしさが弱いことを表す。「頭画像」に関する頭らしさを表す「頭度」等の他の特徴画像に関する特徴画像らしさを表す評価値についても同様である。
次に図17を参照し、ヘルメット度の分布に基づいて撮像画像が人検知不適状態であるか否かをコントローラ30が判定する処理(以下、「人検知適否判定処理」とする。)について説明する。図17は人検知適否判定処理の一例の流れを示すフローチャートである。
コントローラ30は、各所定画像部分における判定対象画像のヘルメット度を画像抽出処理の際に算出して内部メモリ等に記憶する。ヘルメット度は、例えば、所定順(降順)で並べ替えできるように記憶されてもよい。そして、コントローラ30は、例えば、所定数の所定画像部分における判定対象画像のヘルメット度を記憶した時点で人検知適否判定処理の実行を開始し、その後はヘルメット度を新たに算出する度に人検知適否判定処理の実行を繰り返す。
また、コントローラ30は、画像抽出処理と人検知適否判定処理とを並列的に実行する。画像抽出処理で算出されるヘルメット度を人検知適否判定処理で利用するためである。但し、画像抽出処理が完了した後で人検知適否判定処理を実行してもよい。画像抽出処理は、例えば、図13〜図16に示す画像抽出処理の何れかが採用される。
図17に示すように、コントローラ30はまずn番目に高いヘルメット度を取得する(ステップST41)。コントローラ30は、例えば、内部メモリに記憶されたヘルメット度を参照し、所定順位のヘルメット度であるn番目に高いヘルメット度を取得する。「n」は、適宜設定される1以上の整数であり、例えば、所定画像部分(判定対象画像)の総数の2%に相当する値が採用される。内部メモリには、例えば、判定対象画像のヘルメット度が降順に並べられて記憶されている。
そして、n番目に高いヘルメット度が所定の適否判定値以上であるか否かを判定する(ステップST42)。仕様として選択可能な所定ヘルメット度が適否判定値として設定される。n番目に高いヘルメット度は、適否判定値以上であるか判定される。
適否判定値は、撮像画像が人検知不適状態であるか人検知適合状態であるかを判定するための値である。採否判定値と同様に、適否判定値は、例えば、機械学習、統計分析等により予め設定される。適否判定値は、夜間環境、逆光環境、日陰環境等のショベルの作業環境毎に別々に設定されていてもよい。
n番目に高いヘルメット度が適否判定値以上であると判定した場合(ステップST42のYES)、コントローラ30は、撮像画像が人検知不適状態であると判定する(ステップST43)。適否判定値が採否判定値以上であれば、「n番目に高いヘルメット度が適否判定値以上である」という条件が満たされる状態は、適否判定値以上のヘルメット度を有するヘルメット画像がn個以上存在する状態を意味する。図17の例では、ヘルメット画像がn個以上存在する撮像画像の状態を人検知不適状態と定めている。「n」は、抽出部31から識別部32に送られる人候補画像数の基準と考えることができる。すなわち、識別部32で処理すべき人候補画像が多いか少ないかの判断基準となる。
撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合、コントローラ30は撮像画像が人検知不適状態である旨をショベルの操作者に通知してもよい。例えば、コントローラ30は、出力装置50としての車載ディスプレイに制御指令を出力してその旨を伝えるテキストメッセージを表示させてもよい。或いは、コントローラ30は、出力装置50としての車載スピーカに制御指令を出力してその旨を伝える音声メッセージを音声出力させてもよい。
また、撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合、コントローラ30は、周辺監視システムによる人検知を中止させてもよい。信頼性の低い抽出結果に基づく人検知結果をショベルの操作者に提示しないようにするためである。
また、撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合、コントローラ30は、その撮像画像をNVRAM等に記録してもよい。周辺監視システムの改良に利用できるようにするためである。
n番目に高いヘルメット度が適否判定値未満であると判定した場合(ステップST42のNO)、コントローラ30は、撮像画像が人検知に適した状態(以下、「人検知適合状態」とする。)であると判定する(ステップST44)。適否判定値が採否判定値以上であれば、「n番目に高いヘルメット度が適否判定値未満である」という条件が満たされる状態は、適否判定値以上のヘルメット度を有するヘルメット画像がn個未満である状態を意味する。図17の例から考えると、この場合は人検知不適状態とはならない。識別器で処理すべき人候補画像の数が、基準である「n」未満だからである。
次に図18を参照し、人検知適合状態及び人検知不適状態のそれぞれの特徴について説明する。図18は、ある環境下で撮像された撮像画像における全ての所定画像部分のそれぞれから導き出された−1〜+1の間の実数値を有するヘルメット度の度数分布図(ヒストグラム)である。縦軸の度数は、ヘルメット度に対応する検出数と考えることができる。図18(A)は人検知適合状態のときの度数分布図を示し、図18(B)は人検知不適状態のときの度数分布図を示す。図18(A)及び図18(B)は、明瞭性を維持するため、各ビンの図示を省略して度数曲線のみを示す。度数曲線と横軸とで囲まれた範囲は、撮像画像における所定画像部分の総数を表す。
図18(A)及び図18(B)において、ヘルメット度が+0.5(第1基準)のところに引かれた一点鎖線は適否判定値の位置を示し、ヘルメット度が+0.2(第2基準)のところに引かれた二点鎖線は採否判定値の位置を示す。したがって、ヘルメット度が+0.2以上の判定対象画像はヘルメット画像として採用され、ヘルメット度が+0.2未満の判定対象画像はヘルメット画像として採用されない。以下では、判定対象画像のうちヘルメット画像として採用されなかったものを非ヘルメット画像と称する。なお、第1基準及び第2基準はそれぞれ変更され得る。図18(A)のヒストグラムのうち、+0.2未満のヘルメット度を有する判定対象画像は人候補画像としては抽出されない。+0.2以上のヘルメット度を有する判定対象画像は抽出部31により人候補画像として抽出されたといえる。抽出された人候補画像は、識別部によって処理される識別処理対象画像として取り扱われる。なお、抽出部31による識別処理対象画像の抽出は複数の段階で行われてもよい。そして、識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像の全てに対して画像認識処理を施す。
図18(A)では、n番目に高いヘルメット度は−0.3であり、適否判定値(+0.5)より小さい。すなわち、「n番目に高いヘルメット度が適否判定値未満である」という条件が満たされる。適否判定値より大きいヘルメット度を有するヘルメット画像がn個未満である状態を意味する。基準「n」の観点から考えると、識別部32で処理すべき識別処理対象画像の数が少ない人検知適合状態ということができる。なお、n番目に高いヘルメット度を有する判定対象画像が非ヘルメット画像である場合に人検知適合状態であるということもできる。したがって、コントローラ30は、現に取得した撮像画像が人検知適合状態であると判定する。
このように、図18(A)に示すようなヘルメット度の度数分布をもたらす撮像画像は、見つけ出されたヘルメット画像の数が少なく、非ヘルメット画像の数が多いという特徴を有する。そのため識別部32で処理する処理対象画像は相対的に少ない。
図18(B)では、n番目に高いヘルメット度は+0.6であり、適否判定値(+0.5)より大きい。すなわち、「n番目に高いヘルメット度が適否判定値以上である」という条件が満たされる。適否判定値より大きいヘルメット度を有するヘルメット画像がn個以上である状態を意味する。基準「n」の観点から考えると、識別部32で処理すべき識別処理対象画像の数が多い、人検知不適状態ということができる。なお、n番目に高いヘルメット度を有する判定対象画像がヘルメット画像である場合に人検知不適状態であるということもできる。したがって、コントローラ30は、現に取得した撮像画像が人検知不適状態であると判定する。
このように、図18(B)に示すようなヘルメット度の度数分布をもたらす撮像画像は、見つけ出されたヘルメット画像の数が多く、非ヘルメット画像の数が少ないという特徴を有する。すなわち、誤認識されたヘルメット画像の数が多いという特徴を有する。そのため識別部32で処理する処理対象画像は相対的に多い。
上述の通り、周辺監視システム100は、作業機械の周辺の人を信頼性高く検知できる。また、コントローラ30は、撮像装置40の撮像画像のみに基づいて撮像画像が人検知不適状態であるか人検知適合状態であるかを判定できる。具体的には、抽出部31が抽出した識別処理対象画像の数に基づいて撮像画像が人検知に不適な状態であるか否かを判定できる。この特徴によれば、人検知部は前段(抽出部31)と後段(識別部32)とを含み、後段の演算コストのほうが高いことは後段の負担を減らす契機となる。また、後段の処理に時間が掛かる場面であるかを判断することができる。
また、周辺監視システム100は、撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合にその旨をショベルの操作者に通知することで、現在の人検知結果に過度に依存しないよう注意を喚起できる。
或いは、周辺監視システム100は、撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合に人検知を中止することで、信頼性の低い抽出結果に基づく人検知結果の提示を防止できる。
或いは、周辺監視システム100は、撮像画像が人検知不適状態であると判定した場合にその撮像画像をNVRAM等に記録することで、その撮像画像を周辺監視システムの改良に利用できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、周辺監視システム100は、人の一部を表すヘルメットの画像を特徴画像として利用しながら識別処理対象画像を抽出したが、人の全身の画像を特徴画像として利用しながら識別処理対象画像を抽出してもよい。
また、評価値は、撮像画像の一部が人の画像であるかの指標として広く用いられてもよい。評価値としてのヘルメット度は人らしさを表す値と言うこともできる。
また、上述の実施例では、ショベルの上部旋回体3の上に取り付けられる撮像装置40の撮像画像を用いて人を検知する場合を想定するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。移動式クレーン、固定式クレーン、リフマグ機、フォークリフト等の他の作業機械の本体部に取り付けられる撮像装置の撮像画像を用いる構成にも適用され得る。
また、上述の実施例では、3つのカメラを用いてショベルの死角領域を撮像するが、1つ、2つ、又は4つ以上のカメラを用いてショベルの死角領域を撮像してもよい。
また、上述の実施例では、複数の撮像画像のそれぞれに対して個別に人検知処理が適用されるが、複数の撮像画像から生成される1つの合成画像に対して人検知処理が適用されてもよい。
本発明の別の実施形態に係る作業機械用周辺監視システムは、作業機械に取り付けられる撮像装置の撮像画像を用いて前記作業機械の周辺に存在する人を検知する作業機械用周辺監視システムであって、前記撮像画像から複数の所定画像部分を識別処理対象画像として抽出する抽出部と、前記識別処理対象画像に含まれる画像が人の画像であるかを画像認識処理によって識別する識別部と、を有し、前記抽出部が抽出した前記識別処理対象画像の数が所定の基準より多いときに前記撮像画像が人検知に不適な状態であると判定するように構成されていてもよい。
また、作業機械用周辺監視システムは、前記複数の所定画像部分のそれぞれに関して算出される評価値を高い順に並べ、所定順位の前記評価値が所定の適否判定値以上の場合に前記撮像画像が人検知に不適な状態であると判定するように構成されていてもよい。この場合、前記評価値は、各所定画像部分の画像特徴量に基づいて算出され、且つ、各所定画像部分の人らしさを表していてもよく、前記抽出部は、前記評価値が所定の採否判定値以上の所定画像部分を前記識別処理対象画像として抽出するように構成されていてもよい。また、前記適否判定値は、前記採否判定値以上であってもよい。なお、各所定画像部分の画像特徴量の算出に要する演算コストは、典型的には、前記識別部が実行する画像認識処理で用いる画像特徴量の算出に要する演算コストよりも低い。
また、作業機械用周辺監視システムは、前記撮像画像が人検知に不適な状態であると判定した場合にその旨を通知するように構成されていてもよい。
また、作業機械用周辺監視システムは、前記撮像画像が人検知に不適な状態であると判定した場合に前記撮像画像を記録するように構成されていてもよい。