JP2020113729A - ウェーハの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質を低下させることなくデバイスチップを形成する。【解決手段】複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画された表面の各領域に形成されたウェーハを個々のデバイスチップに分割するウェーハの加工方法であって、ウェーハを収容する開口を有するフレームの該開口内にウェーハを位置付け、ウェーハの裏面とフレームの外周とにポリオレフィン系シートを配設するポリオレフィン系シート配設工程と、該ポリオレフィン系シートに熱風を当てて加熱しウェーハと該フレームとを該ポリオレフィン系シートを介して一体化する一体化工程と、該ウェーハに対して吸収性を有する波長のレーザービームを該分割予定ラインに沿って照射し、分割溝を形成して該ウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割工程と、該ポリオレフィン系シートを冷却し、デバイスチップを突き上げ、該デバイスチップをピックアップするピックアップ工程と、を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画された表面の各領域に形成されたウェーハを個々のデバイスチップに分割するウェーハの加工方法に関する。
携帯電話やパソコン等の電子機器に使用されるデバイスチップの製造工程では、まず、半導体等の材料からなるウェーハの表面に複数の交差する分割予定ライン(ストリート)を設定する。そして、該分割予定ラインで区画される各領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large-Scale Integrated circuit)、LED(Light Emitting Diode)等のデバイスを形成する。
その後、開口を有する環状のフレームに該開口を塞ぐように貼られたダイシングテープと呼ばれる粘着テープを該ウェーハの裏面に貼着し、ウェーハと、粘着テープと、環状のフレームと、が一体となったフレームユニットを形成する。そして、フレームユニットに含まれるウェーハを該分割予定ラインに沿って加工して分割すると、個々のデバイスチップが形成される。
ウェーハの分割には、例えば、レーザー加工装置が使用される(特許文献1参照)。レーザー加工装置は、粘着テープを介してウェーハを保持するチャックテーブル、及びウェーハに対して吸収性を有する波長のレーザービームを該ウェーハに照射するレーザー加工ユニットを備える。
ウェーハを分割する際には、チャックテーブルの上にフレームユニットを載せ、粘着テープを介してチャックテーブルにウェーハを保持させる。そして、チャックテーブルと、レーザー加工ユニットと、をチャックテーブルの上面に平行な方向に沿って相対移動させながら該レーザー加工ユニットからウェーハに該レーザービームを照射する。レーザービームが照射されるとアブレーションにより各分割予定ラインに沿ってウェーハに分割溝が形成され、ウェーハが分割される。
その後、レーザー加工装置からフレームユニットを搬出し、粘着テープに紫外線を照射する等の処理を施して粘着テープの粘着力を低下させ、デバイスチップをピックアップする。デバイスチップの生産効率が高い加工装置として、ウェーハの分割と、粘着テープへの紫外線の照射と、を一つの装置で連続して実施できる加工装置が知られている(特許文献2参照)。粘着テープ上からピックアップされたデバイスチップは、所定の配線基板等に実装される。
粘着テープは、例えば、塩化ビニールシート等で形成された基材層と、該基材層上に配設された糊層と、を含む。レーザー加工装置では、アブレーション加工によりウェーハを確実に分割するために、ウェーハの表面から裏面に至る分割溝を確実に形成できる条件でレーザービームがウェーハに照射される。そのため、形成された分割溝の下方やその周囲では、レーザービームの照射による熱的な影響により粘着テープの糊層が溶融し、ウェーハから形成されたデバイスチップの裏面側に糊層の一部が固着する。
この場合、粘着テープからデバイスチップをピックアップする際に粘着テープに紫外線を照射する等の処理を実施しても、ピックアップされたデバイスチップの裏面側には糊層の該一部が残存してしまう。そのため、デバイスチップの品質の低下が問題となる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、形成されるデバイスチップの裏面側に糊層が付着せず、デバイスチップに糊層の付着に由来する品質の低下が生じないウェーハの加工方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画された表面の各領域に形成されたウェーハを個々のデバイスチップに分割するウェーハの加工方法であって、ウェーハを収容する開口を有するフレームの該開口内にウェーハを位置付け、該ウェーハの裏面と該フレームの外周とにポリオレフィン系シートを配設するポリオレフィン系シート配設工程と、該ポリオレフィン系シートに熱風を当てて該ポリオレフィン系シートを加熱し該ウェーハと該フレームとを該ポリオレフィン系シートを介して一体化する一体化工程と、該ウェーハに対して吸収性を有する波長のレーザービームを該分割予定ラインに沿って該ウェーハに照射し、分割溝を形成して該ウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割工程と、該ポリオレフィン系シートの各デバイスチップに対応する個々の領域において、該ポリオレフィン系シートを冷却し、該ポリオレフィン系シート側から該デバイスチップを突き上げ、該ポリオレフィン系シートから該デバイスチップをピックアップするピックアップ工程と、を備えることを特徴とするウェーハの加工方法が提供される。
また、好ましくは、該一体化工程において、一体化を実施した後、該フレームの外周からはみ出したポリオレフィン系シートを除去する。
また、好ましくは、該ピックアップ工程では、該ポリオレフィン系シートを拡張して各デバイスチップ間の間隔を広げる。
また、好ましくは、該ポリオレフィン系シートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートのいずれかである。
さらに、好ましくは、該一体化工程において、該ポリオレフィン系シートが該ポリエチレンシートである場合に加熱温度は120℃〜140℃であり、該ポリオレフィン系シートが該ポリプロピレンシートである場合に加熱温度は160℃〜180℃であり、該ポリオレフィン系シートが該ポリスチレンシートである場合に加熱温度は220℃〜240℃である。
また、好ましくは、該ウェーハは、Si、GaN、GaAs、ガラスのいずれかで構成される。
本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、フレームユニットを形成する際に、糊層を有する粘着テープを使用せず、糊層を備えないポリオレフィン系シートを用いてフレームと、ウェーハと、を一体化する。ポリオレフィン系シートを介してフレームと、ウェーハと、を一体化させる一体化工程は、該ポリオレフィン系シートに熱風を当てて実現される。
一体化工程を実施した後は、ウェーハに対して吸収性を有する波長のレーザービームをウェーハに照射し、アブレーションにより分割予定ラインに沿った分割溝を形成して該ウェーハを分割する。その後、ポリオレフィン系シートの各デバイスチップに対応する個々の領域において、該ポリオレフィン系シートを冷却し、該ポリオレフィン系シート側から該デバイスチップを突き上げ、ポリオレフィン系シートからデバイスチップをピックアップする。ピックアップされたデバイスチップは、それぞれ、所定の実装対象に実装される。なお、ピックアップの際にポリオレフィン系シートを冷却すると、ポリオレフィン系シートが収縮してポリオレフィン系シートの剥離が容易となるためデバイスチップにかかる負荷を軽減できる。
ウェーハにアブレーション加工を実施すると、レーザービームの照射により生じる熱が分割溝の下方やその近傍においてポリオレフィン系シートに伝わる。しかしながら、ポリオレフィン系シートは糊層を備えないため、該糊層が溶融してデバイスチップの裏面側に固着することがない。
すなわち、本発明の一態様によると、糊層を備えないポリオレフィン系シートを用いてフレームユニットを形成できるため、糊層を備えた粘着テープが不要であり、結果として糊層の付着に起因するデバイスチップの品質低下が生じない。
したがって、本発明の一態様によると、形成されるデバイスチップの裏面側に糊層が付着せず、デバイスチップに糊層の付着に由来する品質の低下が生じないウェーハの加工方法が提供される。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るウェーハの加工方法で加工されるウェーハについて説明する。図1は、ウェーハ1を模式的に示す斜視図である。
ウェーハ1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。
ウェーハ1の表面1aは格子状に配列された複数の分割予定ライン3で区画される。また、ウェーハ1の表面1aの分割予定ライン3で区画された各領域にはICやLSI、LED等のデバイス5が形成される。本実施形態に係るウェーハ1の加工方法では、アブレーション加工により分割予定ライン3に沿った分割溝をウェーハ1に形成してウェーハ1を分割し、個々のデバイスチップを形成する。
アブレーション加工が実施されるレーザー加工装置8(図6参照)にウェーハ1を搬入する前に、ウェーハ1と、ポリオレフィン系シートと、フレームと、が一体化され、フレームユニットが形成される。ウェーハ1は、フレームユニットの状態でレーザー加工装置に搬入され、加工される。形成された個々のデバイスチップはポリオレフィン系シートに支持される。その後、ポリオレフィン系シートを拡張することでデバイスチップ間の間隔を広げ、ピックアップ装置によりデバイスチップをピックアップする。
環状のフレーム7(図2等参照)は、例えば、金属等の材料で形成され、ウェーハ1の径よりも大きい径の開口7aを備える。フレームユニットを形成する際は、ウェーハ1は、フレーム7の開口7a内に位置付けられ、開口7aに収容される。
ポリオレフィン系シート9(図3等参照)は、柔軟性を有する樹脂系シートであり、表裏面が平坦である。そして、ポリオレフィン系シート9は、フレーム7の外径よりも大きい径を有し、糊層を備えない。ポリオレフィン系シート9は、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、または、ポリスチレンシート等の可視光に対して透明または半透明なシートである。ただし、ポリオレフィン系シート9はこれに限定されず、不透明でもよい。
ポリオレフィン系シート9は、粘着性を備えないため室温ではウェーハ1及びフレーム7に貼着できない。しかしながら、ポリオレフィン系シート9は熱可塑性を有するため、所定の圧力を印加しながらウェーハ1及びフレーム7と接合させた状態で融点近傍の温度まで加熱すると、部分的に溶融してウェーハ1及びフレーム7に接着できる。そこで、本実施形態に係るウェーハ1の加工方法では以上のような加熱により、ウェーハ1と、フレーム7と、ポリオレフィン系シート9と、を一体化してフレームユニットを形成する。
次に、本実施形態に係るウェーハ1の加工方法の各工程について説明する。まず、ウェーハ1と、ポリオレフィン系シート9と、フレーム7と、を一体化させる準備のために、ポリオレフィン系シート配設工程を実施する。図2は、チャックテーブル2の保持面2a上にウェーハ1及びフレーム7を位置付ける様子を模式的に示す斜視図である。図2に示す通り、ポリオレフィン系シート配設工程は、上部に保持面2aを備えるチャックテーブル2上で実施される。
チャックテーブル2は、上部中央にフレーム7の外径よりも大きな径の多孔質部材を備える。該多孔質部材の上面は、チャックテーブル2の保持面2aとなる。チャックテーブル2は、図3に示す如く一端が該多孔質部材に通じた排気路を内部に有し、該排気路の他端側には吸引源2bが配設される。排気路には、連通状態と、切断状態と、を切り替える切り替え部2cが配設され、切り替え部2cが連通状態であると保持面2aに置かれた被保持物に吸引源2bにより生じた負圧が作用し、被保持物がチャックテーブル2に吸引保持される。
ポリオレフィン系シート配設工程では、まず、図2に示す通り、チャックテーブル2の保持面2a上にウェーハ1と、フレーム7と、を載せる。この際、ウェーハ1の表面1a側を下方に向け、フレーム7の開口7a内にウェーハ1を位置付ける。次に、ウェーハ1の裏面1bと、フレーム7の外周と、にポリオレフィン系シート9を配設する。図3は、ポリオレフィン系シート配設工程を模式的に示す斜視図である。図3に示す通り、ウェーハ1と、フレーム7と、を覆うように両者の上にポリオレフィン系シート9を配設する。
なお、ポリオレフィン系シート配設工程では、チャックテーブル2の保持面2aよりも大きな径のポリオレフィン系シート9が使用される。後に実施される一体化工程でチャックテーブル2による負圧をポリオレフィン系シート9に作用させる際に、保持面2aの全体がポリオレフィン系シート9により覆われていなければ、負圧が隙間から漏れてしまい、ポリオレフィン系シート9に適切に圧力を印加できないためである。
本実施形態に係るウェーハ1の加工方法では、次に、ポリオレフィン系シート9に熱風を当ててポリオレフィン系シート9を加熱し、ウェーハ1と該フレーム7とを該ポリオレフィン系シート9を介して一体化する一体化工程を実施する。図4は、一体化工程の一例を模式的に示す斜視図である。図4では、可視光に対して透明または半透明であるポリオレフィン系シート9を通して視認できるものを破線で示す。
一体化工程では、まず、チャックテーブル2の切り替え部2cを作動させて吸引源2bをチャックテーブル2の上部の多孔質部材に接続する連通状態とし、吸引源2bによる負圧をポリオレフィン系シート9に作用させる。すると、大気圧によりポリオレフィン系シート9がウェーハ1及びフレーム7に対して密着する。
次に、吸引源2bによりポリオレフィン系シート9を吸引しながらポリオレフィン系シート9を加熱する。ポリオレフィン系シート9の加熱は、例えば、図4に示す通り、チャックテーブル2の上方に配設されるヒートガン4により実施される。
ヒートガン4は、電熱線等の加熱手段と、ファン等の送風機構と、を内部に備え、空気を加熱し噴射できる。負圧をポリオレフィン系シート9に作用させながらヒートガン4によりポリオレフィン系シート9に上面から熱風4aを供給し、ポリオレフィン系シート9を所定の温度に加熱すると、ポリオレフィン系シート9がウェーハ1及びフレーム7に熱圧着される。
ポリオレフィン系シート9を熱圧着した後は、切り替え部2cを作動させてチャックテーブル2の多孔質部材と、吸引源2bと、の連通状態を解除し、チャックテーブル2による吸着を解除する。
次に、フレーム7の外周からはみ出したポリオレフィン系シート9を切断して除去する。図5(A)は、ポリオレフィン系シート9を切断する様子を模式的に示す斜視図である。切断には、図5(A)に示す通り、円環状のカッター6が使用される。該カッター6は、貫通孔を備え、該貫通孔に突き通された回転軸の回りに回転可能である。
まず、円環状のカッター6をフレーム7の上方に位置付ける。このとき、カッター6の回転軸をチャックテーブル2の径方向に合わせる。次に、カッター6を下降させてフレーム7と、カッター6と、でポリオレフィン系シート9を挟み込み、ポリオレフィン系シート9を切断する。すると、ポリオレフィン系シート9に切断痕9aが形成される。
さらに、カッター6をフレーム7に沿ってフレーム7の開口7aの周りを一周させ、切断痕9aによりポリオレフィン系シート9の所定の領域を囲む。そして、ポリオレフィン系シート9の該領域を残すように切断痕9aの外周側の領域のポリオレフィン系シート9を除去する。すると、フレーム7の外周からはみ出した領域を含めポリオレフィン系シート9の不要な部分を除去できる。
なお、ポリオレフィン系シートの切断には超音波カッターを使用してもよく、上述の円環状のカッター6を超音波帯の周波数で振動させる振動源を該カッター6に接続してもよい。また、ポリオレフィン系シート9を切断する際は、切断を容易にするために該ポリオレフィン系シート9を冷却して硬化させてもよい。以上により、ウェーハ1とフレーム7とがポリオレフィン系シート9を介して一体化されたフレームユニット11が形成される。図5(B)は、形成されたフレームユニット11を模式的に示す斜視図である。
なお、一体化工程を実施する際にポリオレフィン系シート9は、好ましくは、その融点以下の温度に加熱される。加熱温度が融点を超えると、ポリオレフィン系シート9が溶解してシートの形状を維持できなくなる場合があるためである。また、ポリオレフィン系シート9は、好ましくは、その軟化点以上の温度に加熱される。加熱温度が軟化点に達していなければ一体化工程を適切に実施できないためである。すなわち、ポリオレフィン系シート9は、その軟化点以上でかつその融点以下の温度に加熱されるのが好ましい。
さらに、一部のポリオレフィン系シート9は、明確な軟化点を有しない場合もある。そこで、一体化工程を実施する際にポリオレフィン系シート9は、好ましくは、その融点よりも20℃低い温度以上でかつその融点以下の温度に加熱される。
また、ポリオレフィン系シート9がポリエチレンシートである場合、加熱温度は120℃〜140℃とされるのが好ましい。また、該ポリオレフィン系シート9がポリプロピレンシートである場合、加熱温度は160℃〜180℃とされるのが好ましい。さらに、ポリオレフィン系シート9がポリスチレンシートである場合、加熱温度は220℃〜240℃とされるのが好ましい。
ここで、加熱温度とは、一体化工程を実施する際のポリオレフィン系シート9の温度をいう。例えば、ヒートガン4等の熱源では出力温度を設定できる機種が実用に供されているが、該熱源を使用してポリオレフィン系シート9を加熱しても、ポリオレフィン系シート9の温度が設定された該出力温度にまで達しない場合もある。そこで、ポリオレフィン系シート9を所定の温度に加熱するために、熱源の出力温度をポリオレフィン系シート9の融点よりも高く設定してもよい。
次に、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、フレームユニット11の状態となったウェーハ1をアブレーション加工して、分割予定ライン3に沿った分割溝を形成して該ウェーハ1を分割する分割工程を実施する。分割工程は、例えば、図6に示すレーザー加工装置で実施される。図6は、分割工程を模式的に示す斜視図である。
レーザー加工装置8は、ウェーハ1をアブレーション加工するレーザー加工ユニット10と、ウェーハ1を保持するチャックテーブル(不図示)と、を備える。レーザー加工ユニット10は、レーザーを発振できるレーザー発振器(不図示)を備え、ウェーハ1に対して吸収性を有する波長の(ウェーハ1が吸収できる波長の)レーザービーム12を出射できる。該チャックテーブルは、上面に平行な方向に沿って移動(加工送り)できる。
レーザー加工ユニット10は、該レーザー発振器から出射されたレーザービーム12を該チャックテーブルに保持されたウェーハ1に照射する。レーザー加工ユニット10が備える加工ヘッド10aは、レーザービーム12をウェーハ1の所定の高さ位置に集光する機構を有する。
ウェーハ1をアブレーション加工する際には、チャックテーブルの上にフレームユニット11を載せ、ポリオレフィン系シート9を介してチャックテーブルにウェーハ1を保持させる。そして、チャックテーブルを回転させウェーハ1の分割予定ライン3をレーザー加工装置8の加工送り方向に合わせる。また、分割予定ライン3の延長線の上方に加工ヘッド10aが配設されるように、チャックテーブル及びレーザー加工ユニット10の相対位置を調整する。
次に、レーザー加工ユニット10からウェーハ1にレーザービーム12を照射しながらチャックテーブルと、レーザー加工ユニット10と、をチャックテーブルの上面に平行な加工送り方向に沿って相対移動させる。すると、分割予定ライン3に沿ってレーザービーム12がウェーハ1に照射され、アブレーションにより分割予定ライン3に沿った分割溝3aがウェーハ1に形成される。
分割工程におけるレーザービーム12の照射条件は、例えば、以下のように設定される。ただし、レーザービーム12の照射条件は、これに限定されない。
波長 :355nm
繰り返し周波数:50kHz
平均出力 :5W
送り速度 :200mm/秒
波長 :355nm
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送り速度 :200mm/秒
一つの分割予定ライン3に沿ってアブレーション加工を実施した後、チャックテーブル及びレーザー加工ユニット10を加工送り方向とは垂直な割り出し送り方向に相対的に移動させ、他の分割予定ライン3に沿って同様にウェーハ1のアブレーション加工を実施する。一つの方向に沿った全ての分割予定ライン3に沿って分割溝3aを形成した後、チャックテーブルを保持面に垂直な軸の回りに回転させ、他の方向に沿った分割予定ライン3に沿って同様にウェーハ1をアブレーション加工する。
ウェーハ1のすべての分割予定ライン3に沿ってウェーハ1がアブレーション加工されると、分割工程が完了する。分割工程が完了し、すべての分割予定ライン3に沿って表面1aから裏面1bに至る分割溝3aがウェーハ1に形成されると、ウェーハ1が分割され個々のデバイスチップが形成される。
レーザー加工ユニット10によりウェーハ1にアブレーション加工を実施すると、レーザービーム12の被照射箇所からウェーハ1に由来する加工屑が発生し、該加工屑が該被照射箇所の周囲に飛散してウェーハ1の表面1aに付着する。ウェーハ1にアブレーション加工を実施した後、ウェーハ1の表面1aを後述の洗浄ユニットにより洗浄しても、付着した加工屑を完全に除去するのは容易ではない。ウェーハ1から形成されるデバイスチップに該加工屑が残存すると、デバイスチップの品質が低下する。
そこで、レーザー加工装置8でアブレーション加工されるウェーハ1の表面1aには、予め、ウェーハ1の表面1aを保護する保護膜として機能する水溶性の液状樹脂が塗布されていてもよい。該液状樹脂がウェーハ1の表面1aに塗布されていると、アブレーション加工を実施する際に飛散する加工屑が該液状樹脂の上面に付着するため、加工屑はウェーハ1の表面1aに直接付着しない。そして、次に説明する洗浄ユニットにより、該加工屑は該液状樹脂ごと除去される。
レーザー加工装置8は、洗浄ユニット(不図示)を備えてもよい。この場合、レーザー加工ユニット10によりアブレーション加工されたウェーハ1は、該洗浄ユニットに搬送され、該洗浄ユニットにより洗浄される。例えば、洗浄ユニットはフレームユニット11を保持する洗浄テーブルと、フレームユニット11の上方を往復移動できる洗浄水供給ノズルと、を備える。
洗浄テーブルを保持面に垂直な軸の回りに回転させ、洗浄水供給ノズルから純水等の洗浄液をウェーハ1に供給しながら、洗浄水供給ノズルを該保持面の中央の上方を通る経路で水平方向に往復移動させると、ウェーハ1の表面1a側を洗浄できる。
本実施形態に係るウェーハ1の加工方法では、次に、ポリオレフィン系シート9から個々の該デバイスチップをピックアップするピックアップ工程を実施する。ピックアップ工程では、図7下部に示すピックアップ装置14を使用する。図7は、ピックアップ装置14へのフレームユニット11の搬入を模式的に示す斜視図である。
ピックアップ装置14は、ウェーハ1の径よりも大きい径を有する円筒状のドラム16と、フレーム支持台22を含むフレーム保持ユニット18と、を備える。フレーム保持ユニット18のフレーム支持台22は、該ドラム16の径よりも大きい径の開口を備え、該ドラム16の上端部と同様の高さに配設され、該ドラム16の上端部を外周側から囲む。
フレーム支持台22の外周側には、クランプ20が配設される。フレーム支持台22の上にフレームユニット11を載せ、クランプ20によりフレームユニット11のフレーム7を把持させると、フレームユニット11がフレーム支持台22に固定される。
フレーム支持台22は、鉛直方向に沿って伸長する複数のロッド24により支持され、各ロッド24の下端部には、該ロッド24を昇降させるエアシリンダ26が配設される。複数のエアシリンダ26は、円板状のベース28に支持される。各エアシリンダ26を作動させると、フレーム支持台22がドラム16に対して引き下げられる。
ドラム16の内部には、ポリオレフィン系シート9に支持されたデバイスチップを下方から突き上げる突き上げ機構30が配設される。突き上げ機構30は、ペルチェ素子等の冷却機構を内包する冷却部30aを上端に備える。また、ドラム16の上方には、デバイスチップを吸引保持できるコレット32(図8(B)参照)が配設される。突き上げ機構30及びコレット32は、フレーム支持台22の上面に沿った水平方向に移動可能である。また、コレット32は、切り替え部32b(図8(B)参照)を介して吸引源32a(図8(B)参照)に接続される。
ピックアップ工程では、まず、ピックアップ装置14のドラム16の上端の高さと、フレーム支持台22の上面の高さと、が一致するように、エアシリンダ26を作動させてフレーム支持台22の高さを調節する。次に、レーザー加工装置8から搬出されたフレームユニット11をピックアップ装置14のドラム16及びフレーム支持台22の上に載せる。
その後、クランプ20によりフレーム支持台22の上にフレームユニット11のフレーム7を固定する。図8(A)は、フレーム支持台22の上に固定されたフレームユニット11を模式的に示す断面図である。ウェーハ1には、分割工程により分割溝3aが形成され分割されている。
次に、エアシリンダ26を作動させてフレーム保持ユニット18のフレーム支持台22をドラム16に対して引き下げる。すると、図8(B)に示す通り、ポリオレフィン系シート9が外周方向に拡張される。図8(B)は、ピックアップ工程を模式的に示す断面図である。
ポリオレフィン系シート9が外周方向に拡張されると、ポリオレフィン系シート9に支持された各デバイスチップ1cの間隔が広げられる。すると、デバイスチップ1c同士が接触しにくくなり、個々のデバイスチップ1cのピックアップが容易となる。そして、ピックアップの対象となるデバイスチップ1cを決め、該デバイスチップ1cの下方に突き上げ機構30を移動させ、該デバイスチップ1cの上方にコレット32を移動させる。
その後、冷却部30aを作動させて温度を低下させ、冷却部30aをポリオレフィン系シート9の該デバイスチップ1cに対応する領域に接触させて該領域を冷却する。さらに、突き上げ機構30を作動させてポリオレフィン系シート9側から該デバイスチップ1cを突き上げる。そして、切り替え部32bを作動させてコレット32を吸引源32aに連通させる。すると、コレット32により該デバイスチップ1cが吸引保持され、デバイスチップ1cがポリオレフィン系シート9からピックアップされる。ピックアップされた個々のデバイスチップ1cは、その後、所定の配線基板等に実装されて使用される。
なお、ポリオレフィン系シート9の該領域を冷却部30aにより冷却すると、ポリオレフィン系シート9が収縮してポリオレフィン系シート9と、デバイスチップと、の界面に大きな応力が生じ、剥離が容易となる。そのため、ポリオレフィン系シート9からの剥離時にデバイスチップにかかる負荷が軽減される。
例えば、粘着テープを使用してフレームユニット11を形成する場合、分割工程においてレーザービーム12の照射により生じる熱が該粘着テープに伝わり、粘着テープの糊層が溶融してデバイスチップの裏面側に固着する。そして、糊層の付着によるデバイスチップの品質の低下が問題となる。
これに対して、本実施形態に係るウェーハの加工方法によると、熱圧着により糊層を備えないポリオレフィン系シートを用いたフレームユニットの形成が可能となるため、糊層を備えた粘着テープが不要である。結果として裏面側への糊層の付着によるデバイスチップの品質低下が生じない。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、ポリオレフィン系シート9が、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、または、ポリスチレンシートである場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、ポリオレフィン系シートは、他の材料が使用されてもよく、プロピレンとエチレンとのコポリマーや、オレフィン系エラストマー等でもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
1 ウェーハ
1a 表面
1b 裏面
3 分割予定ライン
3a 分割溝
5 デバイス
7 フレーム
7a 開口
9 ポリオレフィン系シート
9a 切断痕
11 フレームユニット
2 チャックテーブル
2a 保持面
2b,32a 吸引源
2c,32b 切り替え部
4 ヒートガン
4a 熱風
6 カッター
8 レーザー加工装置
10 レーザー加工ユニット
10a 加工ヘッド
12 レーザービーム
14 ピックアップ装置
16 ドラム
18 フレーム保持ユニット
20 クランプ
22 フレーム支持台
24 ロッド
26 エアシリンダ
28 ベース
30 突き上げ機構
30a 冷却部
32 コレット
1a 表面
1b 裏面
3 分割予定ライン
3a 分割溝
5 デバイス
7 フレーム
7a 開口
9 ポリオレフィン系シート
9a 切断痕
11 フレームユニット
2 チャックテーブル
2a 保持面
2b,32a 吸引源
2c,32b 切り替え部
4 ヒートガン
4a 熱風
6 カッター
8 レーザー加工装置
10 レーザー加工ユニット
10a 加工ヘッド
12 レーザービーム
14 ピックアップ装置
16 ドラム
18 フレーム保持ユニット
20 クランプ
22 フレーム支持台
24 ロッド
26 エアシリンダ
28 ベース
30 突き上げ機構
30a 冷却部
32 コレット
Claims (6)
- 複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画された表面の各領域に形成されたウェーハを個々のデバイスチップに分割するウェーハの加工方法であって、
ウェーハを収容する開口を有するフレームの該開口内にウェーハを位置付け、該ウェーハの裏面と該フレームの外周とにポリオレフィン系シートを配設するポリオレフィン系シート配設工程と、
該ポリオレフィン系シートに熱風を当てて該ポリオレフィン系シートを加熱し該ウェーハと該フレームとを該ポリオレフィン系シートを介して一体化する一体化工程と、
該ウェーハに対して吸収性を有する波長のレーザービームを該分割予定ラインに沿って該ウェーハに照射し、分割溝を形成して該ウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割工程と、
該ポリオレフィン系シートの各デバイスチップに対応する個々の領域において、該ポリオレフィン系シートを冷却し、該ポリオレフィン系シート側から該デバイスチップを突き上げ、該ポリオレフィン系シートから該デバイスチップをピックアップするピックアップ工程と、
を備えることを特徴とするウェーハの加工方法。 - 該一体化工程において、一体化を実施した後、該フレームの外周からはみ出したポリオレフィン系シートを除去することを特徴とする請求項1記載のウェーハの加工方法。
- 該ピックアップ工程では、該ポリオレフィン系シートを拡張して各デバイスチップ間の間隔を広げることを特徴とする請求項1記載のウェーハの加工方法。
- 該ポリオレフィン系シートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のウェーハの加工方法。
- 該一体化工程において、該ポリオレフィン系シートが該ポリエチレンシートである場合に加熱温度は120℃〜140℃であり、該ポリオレフィン系シートが該ポリプロピレンシートである場合に加熱温度は160℃〜180℃であり、該ポリオレフィン系シートが該ポリスチレンシートである場合に加熱温度は220℃〜240℃であることを特徴とする請求項4記載のウェーハの加工方法。
- 該ウェーハは、Si、GaN、GaAs、ガラスのいずれかで構成されることを特徴とする請求項1記載のウェーハの加工方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019005768A JP2020113729A (ja) | 2019-01-17 | 2019-01-17 | ウェーハの加工方法 |
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-
2019
- 2019-01-17 JP JP2019005768A patent/JP2020113729A/ja not_active Abandoned
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