JP2020111553A - 医薬用組成物、及びがんの治療剤のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、医薬用組成物、及びがんの治療剤のスクリーニング方法を提供する。【解決手段】STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に用いられる、医薬用組成物、及び被験物質をSTAP2タンパク質と接触させ、前記被験物質が前記STAP2タンパク質と結合した場合に、前記被験物質をメラノーマ又はグリオーマの治療剤の候補物質として選抜する、がんの治療剤のスクリーニング方法。【選択図】なし
Description
本発明は、がんの治療又は予防に用いられる医薬用組成物、及びがんの治療剤をスクリーニングする方法に関する。
細胞の増殖や機能分化は、細胞間で情報を伝達するシグナル分子と呼ばれる分子の緻密な相互作用のもとに成り立っており、細胞の増殖や機能分化メカニズムの異常は細胞のがん化につながる。また、転移などのがんの悪性化にも、シグナル分子の異常が深く関わっている。シグナル分子のなかでもキナーゼ等酵素群の異常はがん化と密接に関与しており、多くのがん治療薬がキナーゼ等酵素群を標的としている。キナーゼ等酵素群を標的とするがん治療薬の多くは、酵素活性中心やその近傍、又は分子内の酵素活性調節領域に対する低分子阻害剤である。しかし、キナーゼの酵素中心は非常に相同性が高いため、特異性の高い低分子阻害剤獲得は難しく、限界もある。
近年、種々の細胞内シグナル伝達系の詳細な解析により、キナーゼ等酵素群の特異的アダプタータンパク質が同定されている。特異的アダプタータンパク質に対する低分子阻害剤、酵素群とアダプタータンパク質の相互作用を標的とした低分子化合物等々が、新たな疾患治療薬の標的として注目されている。
例えば、STAP(Signal transducing adaptor protein)ファミリーは、リン脂質結合性を持つPH(Pleckstrin homology)ドメインと、リン酸化チロシン結合領域であるSH2(Src homology 2)ドメインを持つアダプタータンパク質である。STAPファミリーは、STAP1とSTAP2が存在する。生体内におけるSTAPファミリーの機能は未だ明らかになっていないが、他のアダプタータンパク質と同様に、様々なシグナル伝達経路に関与していると推定されている。STAP2は、N末端側からPHドメイン、SH2ドメインを含有し、さらにC末端側に、SH3ドメイン含有タンパク質との結合に関与するプロリンリッチ領域を有するアダプタータンパク質である。STAP2は、これまでに、乳がん特異的チロシンキナーゼBrkと相互作用し、STAT3の活性化に寄与しており、STAP2の遺伝子ノックダウンにより乳がん細胞の増殖が抑制されることや(非特許文献1参照。)、慢性骨髄性白血病(CML)の原因遺伝子であるBCR−ABLチロシンキナーゼの活性を亢進してBCL−ABL依存的な細胞増殖を増強したり、STAP2の遺伝子ノックダウンによりヒトCMLがん細胞の腫瘍形成が抑制されること(非特許文献2参照。)が報告されている。また、STAP2は、がん細胞表面の上皮成長因子受容体(EGFR)のタンパク質量を調節して前立腺がん細胞の増殖を誘導することや(非特許文献3参照。)、チロシナーゼの量的変化を制御してメラノーマがん細胞の転移を調節すること(非特許文献4参照。)も報告されている。ただし、メラノーマがん細胞の細胞増殖とSTAP2との関係についての報告は未だなされていない。
Ikeda, et al., Journal of Biological Chemistry, 2010, vol.285, p.38093-38103.
Sekine,et al.,Oncogene,2012,vol.31,p.4384-4396.
Kitai, et al., Journal of Biological Chemistry, 2017, vol.292, p.19392-19399.
Sekine, et al., Journal of Biological Chemistry, 2015, vol.290, p.17462-17473.
本発明は、がん、特にメラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に用いられる医薬用組成物、及びメラノーマ又はグリオーマの治療剤をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、STAP2がメラノーマ又はグリオーマに由来する細胞株で高発現していること、STAP2の発現を抑制することによってメラノーマ又はグリオーマに由来するがん細胞の増殖が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の医薬用組成物、及びがんの治療剤のスクリーニング方法を提供するものである。
[1] STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に用いられる、医薬用組成物。
[2] 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、前記STAP2遺伝子の発現を抑制する物質である、前記[1]の医薬用組成物。
[3] 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、STAP2タンパク質と結合する物質である、前記[1]の医薬用組成物。
[4] 被験物質をSTAP2タンパク質と接触させ、前記被験物質が前記STAP2タンパク質と結合した場合に、前記被験物質をメラノーマ又はグリオーマの治療剤の候補物質として選抜する、がんの治療剤のスクリーニング方法。
[1] STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に用いられる、医薬用組成物。
[2] 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、前記STAP2遺伝子の発現を抑制する物質である、前記[1]の医薬用組成物。
[3] 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、STAP2タンパク質と結合する物質である、前記[1]の医薬用組成物。
[4] 被験物質をSTAP2タンパク質と接触させ、前記被験物質が前記STAP2タンパク質と結合した場合に、前記被験物質をメラノーマ又はグリオーマの治療剤の候補物質として選抜する、がんの治療剤のスクリーニング方法。
本発明により、メラノーマ又はグリオーマに対する抗がん作用を備える、STAP2を標的とした新規な医薬用組成物を提供できる。
また、本発明により、メラノーマ又はグリオーマの予防若しくは治療のための医薬品の有効成分となり得る候補物質をスクリーニングすることができる。
また、本発明により、メラノーマ又はグリオーマの予防若しくは治療のための医薬品の有効成分となり得る候補物質をスクリーニングすることができる。
<医薬用組成物>
本発明に係る医薬用組成物は、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質(以下、まとめて「STAP2阻害物質」という。)を有効成分とする。後記実施例に示す通り、STAP2は、メラノーマ及びグリオーマのがん細胞において高発現しており、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害することにより、メラノーマ及びグリオーマに対して抗がん効果が得られる。また、STAP欠損マウス自身では大きな異常が認められないことから、STAP阻害物質の副作用は軽微であることが予想される。このため、本発明に係る医薬用組成物は、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に有用である。
本発明に係る医薬用組成物は、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質(以下、まとめて「STAP2阻害物質」という。)を有効成分とする。後記実施例に示す通り、STAP2は、メラノーマ及びグリオーマのがん細胞において高発現しており、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害することにより、メラノーマ及びグリオーマに対して抗がん効果が得られる。また、STAP欠損マウス自身では大きな異常が認められないことから、STAP阻害物質の副作用は軽微であることが予想される。このため、本発明に係る医薬用組成物は、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に有用である。
STAP阻害物質としては、STAP2遺伝子の発現を抑制又は阻害する物質であってもよい。当該物質としては、STAP2遺伝子のcDNAの部分領域のアンチセンス鎖や、RNA干渉を引き起こす核酸等が挙げられる。RNA干渉を引き起こす核酸としては、具体的には、STAP2遺伝子のcDNAの部分領域(RNAi(RNA干渉)標的領域)のセンス鎖とアンチセンス鎖からなる二本鎖構造を有するsiRNA、shRNA又はmiRNAが挙げられる。また、標的であるがん細胞の細胞内において、siRNA等を生産させることができるRNAi誘導ベクターであってもよい。siRNA、shRNA、miRNA、及びRNAi誘導ベクターの作製は、標的とするSTAP2遺伝子のcDNAの塩基配列情報から、常法により設計し製造することができる。また、RNAi誘導ベクターは、市販の各種RNAiベクターの塩基配列に、RNAi標的領域の塩基配列を挿入することによって作製することもできる。
STAP阻害物質としては、STAP2タンパク質と結合する物質であってもよい。当該物質としては、核酸、ペプチド、タンパク質、脂質、糖質、低分子化合物、又はこれらの複合物質等のいずれであってもよい。STAP2タンパク質と結合する核酸、ペプチド、低分子化合物は、例えば、核酸、ペプチド、低分子化合物等のライブラリーに対して、SSTAP2の全長タンパク質又は部分タンパク質と結合する物質をスクリーニングすることによって取得できる。スクリーニングを行う核酸、ペプチド、低分子化合物等のライブラリーは、公知の様々なライブラリーを用いることができる。例えば核酸やペプチドの場合には、SELEX法を用いることによって、STAP2タンパク質と特異的に結合するアプタマーを取得できる。
STAP阻害物質としては、例えば、STAP2タンパク質と特異的に結合する抗体(抗STAP2抗体)であってもよい。当該抗体としては、モノクローナル抗体でもよく、ポリクローナル抗体でもよい。また、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体等の人工的に合成された抗体であってもよい。これらの抗体は、常法により製造することができる。
STAP阻害物質としては、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する対象の細胞に、STAP2遺伝子のドミナントネガティブ体を発現させることができる発現ベクターであってもよい。細胞内に存在するドミナントネガティブ体により、STAP2による正常なシグナル伝達が阻害される結果、STAP2遺伝子の機能が抑制又は阻害される。当該ドミナントネガティブ体としては、PHドメイン、SH2ドメイン、プロリンリッチ領域などのSTAP2中の機能ドメインの部分欠失体やSTAP2機能に重要なリン酸化部位のチロシン残基を他のアミノ酸残基に変換した変異体が挙げられる。当該変異体としては、例えば、当該チロシン残基をフェニルアラニンに変換したYF変異体が挙げられる。STAP2遺伝子のドミナントネガティブ体の発現ベクターは、例えば、市販の各種細胞発現用ベクターに、STAP2遺伝子のドミナントネガティブ体をコードする塩基配列からなるDNA断片を挿入することによって作製することができる。
本発明に係る医薬用組成物は、STAP阻害物質の作用を損なわない限り、その他の有効成分を含有していてもよい。その他の有効成分としては、例えば、STAP2遺伝子以外を標的とする抗がん剤等のように、メラノーマ又はグリオーマに対する治療効果が期待される物質が挙げられる。
本発明に係る医薬用組成物の投与経路は特に限定されるものではなく、標的とする細胞及びそれを含む組織に応じて適宜決定される。例えば、本発明に係る医薬用組成物の投与経路としては、経口投与、関節への直接投与、経皮投与、経静脈投与、腹腔内投与、注腸投与等が挙げられる。
本発明に係る医薬用組成物は、通常の方法によって、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤、徐放剤などの経口用固形剤、溶液剤、シロップ剤などの経口用液剤、注射剤、注腸剤、スプレー剤、貼付剤、軟膏剤などに製剤化することができる。製剤化は、製剤上の必要に応じて、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、流動化剤、溶剤、溶解補助剤、緩衝剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、着色剤等を配合して常法により行うことができる。
本発明に係る医薬用組成物をヒトやヒト以外の動物に投与し、STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害することにより、メラノーマ細胞及びグリオーマ細胞の細胞増殖を抑制することができる。当該動物としては、特に限定されるものではなく、ヒトであってもよく、ヒト以外の動物であってもよい。非ヒト動物としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等の哺乳動物や、ニワトリ、ウズラ、カモ等の鳥類等が挙げられる。
<メラノーマ又はグリオーマにおけるSTAP2遺伝子発現量>
メラノーマ又はグリオーマにおけるSTAP2遺伝子の発現量は、正常細胞に比べて多い。このため、STAP2遺伝子の発現量は、メラノーマ又はグリオーマを検出するための診断マーカーとして有用である。例えば、被検動物から採取された細胞又は組織中のSTAP2遺伝子の発現量が、予め設定された所定の閾値以上である場合には、当該被検動物がメラノーマ又はグリオーマを発症している可能性が高いと評価することができる。逆に、STAP2遺伝子の発現量が予め設定された所定の閾値よりも少ない場合には、当該被検動物はメラノーマ又はグリオーマを発症している可能性が低い、と評価することができる。
メラノーマ又はグリオーマにおけるSTAP2遺伝子の発現量は、正常細胞に比べて多い。このため、STAP2遺伝子の発現量は、メラノーマ又はグリオーマを検出するための診断マーカーとして有用である。例えば、被検動物から採取された細胞又は組織中のSTAP2遺伝子の発現量が、予め設定された所定の閾値以上である場合には、当該被検動物がメラノーマ又はグリオーマを発症している可能性が高いと評価することができる。逆に、STAP2遺伝子の発現量が予め設定された所定の閾値よりも少ない場合には、当該被検動物はメラノーマ又はグリオーマを発症している可能性が低い、と評価することができる。
当該閾値は、STAP2遺伝子の発現量の測定方法の種類等を考慮して、また必要な予備検査等を行うことにより、適宜設定することができる。例えば、その他の検査方法の結果から、メラノーマ又はグリオーマを発症していないことが確認されている被検動物から採取された細胞又は組織のSTAP2遺伝子の発現量の測定値と、メラノーマ又はグリオーマを発症していることが確認されている被検動物から採取された細胞又は組織のSTAP2遺伝子の発現量の測定値とを比較することにより、メラノーマ又はグリオーマを発症している群と発症していない群とを識別するための閾値を適宜設定することができる。
STAP2遺伝子の発現量は、mRNAレベルで測定してもよく、タンパク質レベルで測定してもよい。STAP2遺伝子の発現量の測定方法としては、細胞中の標的タンパク質量又は標的のmRNA量を定量的又は半定量的に測定可能な方法であれば特に限定されるものではなく、検体中のmRNAやタンパク質の検出に用いられる公知の方法の中から、適宜選択して用いることができる。各方法は常法により行うことができる。
STAP2遺伝子の発現量を、メラノーマ又はグリオーマを検出するための診断マーカーとして用いる対象の被検動物としては、特に限定されるものではなく、ヒトであってもよく、ヒト以外の動物であってもよい。非ヒト動物としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等の哺乳動物や、ニワトリ、ウズラ、カモ等の鳥類等が挙げられる。
<メラノーマ又はグリオーマの治療剤のスクリーニング方法>
一般的に、タンパク質の機能は、当該タンパク質に他の分子が結合することにより、当該タンパク質と本来のパートナー分子との相互作用が阻害される結果、低下又は阻害される。すなわち、STAP2タンパク質と結合する分子の中には、STAP2タンパク質の機能を阻害することにより、メラノーマ又はグリオーマの細胞増殖を抑制できるものがある。このため、被験物質のSTAP2タンパク質との結合能を指標として、メラノーマ又はグリオーマの治療剤をスクリーニングすることができる。
一般的に、タンパク質の機能は、当該タンパク質に他の分子が結合することにより、当該タンパク質と本来のパートナー分子との相互作用が阻害される結果、低下又は阻害される。すなわち、STAP2タンパク質と結合する分子の中には、STAP2タンパク質の機能を阻害することにより、メラノーマ又はグリオーマの細胞増殖を抑制できるものがある。このため、被験物質のSTAP2タンパク質との結合能を指標として、メラノーマ又はグリオーマの治療剤をスクリーニングすることができる。
具体的には、被験物質をSTAP2タンパク質と接触させ、当該被験物質がSTAP2タンパク質と結合した場合に、当該被験物質をメラノーマ又はグリオーマの治療剤の候補物質として選抜する。これにより、メラノーマ又はグリオーマの治療剤のスクリーニングを行うことができる。
被験物質とSTAP2タンパク質とを接触させる方法は特に限定されるものではない。例えば、精製した又は粗精製したSTAP2タンパク質と被験物質とを適当な溶媒に共に混合した反応液を調製し、当該反応液から両者の結合体を各種の方法で検出することができる。当該方法の場合、予めSTAP2タンパク質にペプチドタグを付加しておき、当該ペプチドタグに対する抗体を利用した免疫沈降法を利用して被験物質とSTAP2タンパク質との結合の有無を調べることができる。ペプチドタグに代えてビオチンを用い、アビジン又はストレプトアビジンで修飾されたビーズを用いることにより、STAP2タンパク質と結合した被験物質を回収することができる。
被験物質としては、特に限定されるものではなく、例えば、核酸であってもよく、ペプチドであってもよく、タンパク質であってもよく、低分子化合物であってもよい。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<細胞培養>
以降の実験で用いたヒトグリオーマ細胞株(U251細胞)、ヒトメラノーマ細胞株(G361細胞)、ヒト前立腺がん細胞(DU145細胞)、ヒト乳がん細胞(MCF7細胞)、ヒト急性単球性白血病細胞(THP1細胞)、ヒト子宮頸がん細胞(HeLa細胞)、及びヒト肺胞基底上皮腺がん細胞(A549細胞)は10%ウシ胎児血清(FCS)含有DMEMを用いて、ヒト前立腺がん細胞(LNCaP細胞)は10%FCS含有RPMIを用いて、それぞれ37℃、5容量%CO2の条件下で継代培養した。
以降の実験で用いたヒトグリオーマ細胞株(U251細胞)、ヒトメラノーマ細胞株(G361細胞)、ヒト前立腺がん細胞(DU145細胞)、ヒト乳がん細胞(MCF7細胞)、ヒト急性単球性白血病細胞(THP1細胞)、ヒト子宮頸がん細胞(HeLa細胞)、及びヒト肺胞基底上皮腺がん細胞(A549細胞)は10%ウシ胎児血清(FCS)含有DMEMを用いて、ヒト前立腺がん細胞(LNCaP細胞)は10%FCS含有RPMIを用いて、それぞれ37℃、5容量%CO2の条件下で継代培養した。
<siRNAのトランスフェクション>
以降の実験において、各種細胞へのsiRNAのトランスフェクションは、市販のトランスフェクション用試薬(製品名:Lipofectamine(登録商標)2000、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて行った。具体的には、siRNA-Lipofectamine2000複合体を、6ウェルプレートで70%コンフルエントとなった細胞に滴下して48時間培養した後、解析に用いた。
以降の実験において、各種細胞へのsiRNAのトランスフェクションは、市販のトランスフェクション用試薬(製品名:Lipofectamine(登録商標)2000、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて行った。具体的には、siRNA-Lipofectamine2000複合体を、6ウェルプレートで70%コンフルエントとなった細胞に滴下して48時間培養した後、解析に用いた。
<細胞増殖/生存の測定>
以降の実験において、細胞増殖/生存の測定の測定は、市販の細胞係数用キット(製品名:Cell Counting Kit-8、同仁化学社製)を用いて行った。具体的には、まず、各種細胞に前記の方法でsiRNAを導入し、24時間後にそれらを96ウェルプレートに10,000細胞/ウェルの割合で播き直した。その後、所定時間培養した後、各ウェルに生存する細胞の数を、前記市販キットを用いて計測した。
以降の実験において、細胞増殖/生存の測定の測定は、市販の細胞係数用キット(製品名:Cell Counting Kit-8、同仁化学社製)を用いて行った。具体的には、まず、各種細胞に前記の方法でsiRNAを導入し、24時間後にそれらを96ウェルプレートに10,000細胞/ウェルの割合で播き直した。その後、所定時間培養した後、各ウェルに生存する細胞の数を、前記市販キットを用いて計測した。
<リアルタイムPCR法>
以降の実験において、各細胞における各遺伝子の発現量のmRNAレベルでの測定は、次の通りにして行った。まず、各細胞を細胞溶解用試薬(製品名:「TRI Reagent」、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて溶解させた後、RNAを精製した。得られたRNAと逆転写酵素(製品名:「ReverTra Ace」、TOYOBO社製)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを調製した。次に、調製したcDNAを用いて定量的PCR(quantitative real-time PCR)を行い、標的遺伝子の相対的な発現量を定量した。
以降の実験において、各細胞における各遺伝子の発現量のmRNAレベルでの測定は、次の通りにして行った。まず、各細胞を細胞溶解用試薬(製品名:「TRI Reagent」、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて溶解させた後、RNAを精製した。得られたRNAと逆転写酵素(製品名:「ReverTra Ace」、TOYOBO社製)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを調製した。次に、調製したcDNAを用いて定量的PCR(quantitative real-time PCR)を行い、標的遺伝子の相対的な発現量を定量した。
<ウェスタンブロット解析>
以降の実験において、各細胞における各遺伝子の発現量のタンパク質レベルでの測定は、次の通りにして行った。まず、各細胞を細胞溶解液にて処理して細胞可溶化液(total cell lysate sample)を調製した。得られた細胞可溶化液に対してSDS−PAGEを行い、タンパク質を分離した後、PVDF膜に転写した。この転写膜を、各一次抗体液と反応させた後にHRP標識二次抗体と反応させ、化学発光用試薬(製品名:「Immobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate」、Millipore社製)を用いて化学発光させ、タンパク質バンドとして検出した。
以降の実験において、各細胞における各遺伝子の発現量のタンパク質レベルでの測定は、次の通りにして行った。まず、各細胞を細胞溶解液にて処理して細胞可溶化液(total cell lysate sample)を調製した。得られた細胞可溶化液に対してSDS−PAGEを行い、タンパク質を分離した後、PVDF膜に転写した。この転写膜を、各一次抗体液と反応させた後にHRP標識二次抗体と反応させ、化学発光用試薬(製品名:「Immobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate」、Millipore社製)を用いて化学発光させ、タンパク質バンドとして検出した。
[実施例1]
グリオーマ細胞及びメラノーマ細胞におけるSTAP2の働きを証明するために、まず、これらの細胞においてSTAP2が発現しているかどうかを、定量的PCR法によって調べた。
グリオーマ細胞及びメラノーマ細胞におけるSTAP2の働きを証明するために、まず、これらの細胞においてSTAP2が発現しているかどうかを、定量的PCR法によって調べた。
具体的には、ヒトグリオーマ由来U251細胞、ヒトメラノーマ由来G361細胞、ヒト前立腺がん由来LNCaP細胞、ヒト前立腺がん由来DU145細胞、ヒト乳がん由来MCF7細胞、ヒト急性単球性白血病由来THP1細胞、ヒト子宮頸がん由来HeLa細胞、及びヒト肺胞基底上皮腺がん由来A549細胞を培養し、各がん細胞におけるヒトSTAP2(NCBIアクセッション番号:NM_001013841)の発現量を測定した。測定結果を図1に示す。U251細胞及びG361細胞においては、これまでSTAP2の高発現が報告されている乳がん細胞や前立腺がん細胞と同様に、STAP2の高発現が観察された。
さらに、STAP2発現がヒトグリオーマ及びヒトメラノーマの細胞増殖に関与しているかどうかを、U251細胞、G361細胞、HeLa細胞、及びA549細胞にSTAP2特異的なsiRNA(siSTAP2)をトランスフェクションして内因性STAP2発現を低下させることにより検討した。対照として、内因性遺伝子発現に影響しないコントロールsiRNA(siScramble)をトランスフェクションした。
図2に、siRNAのトランスフェクション後、3日間培養した細胞におけるSTAP2の相対発現量(siScramble導入細胞のSTAP2発現量を1とする)を測定した結果を示す。siSTAP2の導入により、内因性のSTAP2遺伝子の発現量は0.5以下にまで低下したことが確認された。
次いで、各細胞について、siSTAP2又はsiScrambleを導入した後、3日間培養し、細胞数を経時的に測定した。測定結果を図3に示す。STAP2発現低下ヒトグリオーマがん細胞(siSTAP2を導入したU251細胞)では、コントロールグリオーマ細胞(siScrambleを導入したU251細胞)に比べて、有意に細胞増殖の低下が観察された(図3(A))。同様に、STAP2発現低下ヒトメラノーマがん細胞(siSTAP2を導入したG361細胞)においても、コントロールメラノーマ細胞(siScrambleを導入したG361細胞)に比べて有意に細胞増殖の低下が観察された(図3(B))。一方、STAP2発現低下ヒト子宮頸がん細胞(siSTAP2を導入したHeLa細胞)及びSTAP2発現低下ヒト肺胞基底上皮腺がん細胞(siSTAP2を導入したA549細胞)においては、コントロールヒト子宮頸がん細胞及びコントロールヒト肺胞基底上皮腺がん細胞と比べて細胞増殖の低下は観察されなかった(図3(C)及び(D))。
また、グリオーマ及びメラノーマの増悪化に関与することが報告されている転写因子STAT3の活性化への影響を、コントロール細胞(siScramble導入細胞)とSTAP2発現低下細胞(siSTAP2導入細胞)とで比較検討したところ、U251細胞及びG361細胞のどちらの細胞でも、STAP2発現低下によってSTAT3の活性化の指標となるSTAT3チロシンリン酸化の低下が観察された(図4)。
以上の結果から、STAP2は、グリオーマ及びメラノーマの細胞増殖及び増悪化因子であるSTAT3活性化を正に調節する分子であることがわかった。STAP2は、グリオーマ患者及びメラノーマ患者のための新しい抗がん剤開発の重要な標的である。また、STAP2を標的とした分子標的治療薬は、既存の抗がん薬との併用によりグリオーマ又はヒトメラノーマ治療の有力な武器になりうる。
Claims (4)
- STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、メラノーマ又はグリオーマの治療又は予防に用いられる、医薬用組成物。
- 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、前記STAP2遺伝子の発現を抑制する物質である、請求項1に記載の医薬用組成物。
- 前記STAP2遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、STAP2タンパク質と結合する物質である、請求項1に記載の医薬用組成物。
- 被験物質をSTAP2タンパク質と接触させ、前記被験物質が前記STAP2タンパク質と結合した場合に、前記被験物質をメラノーマ又はグリオーマの治療剤の候補物質として選抜する、がんの治療剤のスクリーニング方法。
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- 2019-01-16 JP JP2019005229A patent/JP2020111553A/ja active Pending
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