以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る洗濯機1の概略構成について説明する。図1は、洗濯機1の全体構成の一例を示す一部断面図である。
図1に示されるように、洗濯機1は、筐体10と、外槽20と、洗濯槽30と、モータ40と、遊星ギヤ50と、貯蔵槽60と、発生装置70と、循環手段80と、を備える。
筐体10は、例えば地面等の所定の載置面に載置されている。筐体10は、載置面に対して垂直な上下方向Zで一方側が開口され、かつ、上下方向Zで他方側が閉鎖された、有底の略角筒状を呈している。以下、上下方向Zで一方側を単に「上側」ともいい、上下方向Zで他方側を単に「下側」ともいう。
外槽20は、筐体10内に配置されている。外槽20と筐体10との間には、洗濯槽30の回転による振動を抑制するための防振装置90が設けられている。外槽20は、有底の略円筒状を呈している。外槽20は、略円筒状の側壁21と、側壁21の中空部を下端側から塞ぐ底壁22と、を有する。側壁21の上端には、開口部21aが形成されている。底壁22は、その一部分が上側に突出している。外槽20の形状の詳細については、図2を参照して後述する。
洗濯槽30は、外槽20内に配置されている。洗濯槽30は、外槽20よりも小さい有底の略円筒状を呈している。洗濯槽30は、軸線Xを略中心として、軸線Xに沿った方向に延在するように配置されており、軸線X周りに回転可能とされている。軸線Xに沿った方向は、上下方向Zすなわち載置面に対して垂直方向に限らず、垂直方向から傾斜した方向も含む。洗濯槽30は、上下方向Zに沿って延在するとは限らず、上下方向Zに対して傾斜していてもよい。
洗濯槽30は、略円筒状の側壁31と、側壁31の中空部を下端側から塞ぐ底壁32と、を有する。側壁31の上端には、開口部31aが形成されている。側壁31と底壁32とによって、洗濯槽30には、内部空間33が形成されており、当該内部空間33に洗濯物Lが収容される。底壁32は、その一部分が上側に突出している。洗濯槽30の形状の詳細については、図2を参照して後述する。
洗濯槽30の側壁31の内面31bには、例えば洗濯物Lを掛けたハンガー等を吊り下げるための吊下部(不図示)が形成されている。当該吊下部に洗濯物Lを掛けたハンガー等が吊り下げられることにより、洗濯物Lが洗濯槽30の側壁31の内面31bに固定され、洗濯槽30と共に回転する。洗濯物Lは、洗濯槽30の回転による遠心力の作用によって、内面31bに押し付けられる。
洗濯槽30の内部空間33には、洗濯物Lを洗濯する洗濯水として電解水が供給される。電解水は、水を電気分解することによって得られる水溶液であって、例えば機能性アルカリ電解水であることが好ましい。機能性アルカリ電解水とは、不純物を含まない高純度の純水に電解補助剤として炭酸カリウムを添加し、電気分解することにより得られる水溶液である。機能性アルカリ電解水は、水分子のクラスターサイズを減少させ界面活性機能を増大させる。また、アルカリイオン水に溶け込んだ水酸化カリウムの作用により、強力な洗浄、脱脂、及び防錆効果を奏する。機能性アルカリ電解水は、例えばpH8.5〜pH13.2程度、好ましくはpH11.5〜pH13.2程度のpH濃度を有する。なお、電解水は、上記の機能性アルカリ電解水に限られず、水を電気分解することによって得られる水溶液であれば、何でもよい。
洗濯槽30の内部空間33に供給される電解水は、微細気泡を含む。微細気泡とは、微細な気泡であって、例えばISO 20480−1:2017で規格された直径100μm以下のファインバブルである。微細気泡は、ファインバブルのうち、直径1μm以上かつ100μm以下のマイクロバブルであってもよく、直径1μm未満のウルトラファインバブルであってもよい。
微細気泡は、直径100μmよりも大きい直径を有する通常の気泡よりも、気泡体積が微細である。このため、微細気泡は、通常の気泡よりも、上昇速度が遅く、水溶液中における滞在時間が長い。また、微細気泡は、負に帯電しているため、微細気泡同士で反発し合う性質を有する。よって、微細気泡同士が結合し難く、一定の気泡濃度を維持することができる。
なお、外槽20の開口部21a及び洗濯槽30の開口部31aは、蓋(不図示)等によって開閉可能とされている。また、洗濯槽30の側壁31及び底壁32には複数の貫通孔(不図示)が形成されており、洗濯槽30に供給された洗濯水は、この貫通孔を通って外槽20と洗濯槽30との間を行き来可能とされている。ただし、底壁32のうち上側に突出する凸部34(図2参照)には、貫通孔が形成されておらず、遊星ギヤ50が配置された部分には洗濯水が行き来しないようにされている。
モータ40は、軸線Xを通る位置において、外槽20の外側に配置されている。モータ40は、外槽20の底壁22に固定されている。モータ40の動力伝達軸41(図2参照)は、外槽20の底壁22を貫通し、遊星ギヤ50を介して洗濯槽30に接続されている。モータ40が駆動されると、動力伝達軸41が回転し、その回転の駆動力が遊星ギヤ50を介して洗濯槽30に伝達される。これにより、洗濯槽30が軸線X周りに回転する。
遊星ギヤ50は、軸線Xを通る位置において、外槽20の底壁22と洗濯槽30の底壁32との間に配置されている。遊星ギヤ50は、モータ40の動力伝達軸41の回転に連動して回転する複数の歯車を有する。遊星ギヤ50は、洗濯槽30の底壁32に固定されており、歯車が回転する駆動力を洗濯槽30に伝達する。これにより、遊星ギヤ50は、モータ40の駆動力を洗濯槽30に伝達する。
貯蔵槽60は、筐体10の外側に配置されている。貯蔵槽60は、例えば地面等の所定の載置面に、上下方向Zに延在するように載置されている。貯蔵槽60は、上側が開口され、かつ、下側が閉鎖された、有底の略角筒状を呈している。貯蔵槽60は、略角筒状の側壁61と、側壁61の中空部を下端側から塞ぐ底壁62と、を有する。側壁61の上端には、開口部61aが形成されている。
貯蔵槽60には、電解水生成装置(不図示)により生成された電解水EWが供給される。これにより、貯蔵槽60は、洗濯槽30に供給する電解水EWを貯蔵する。また、貯蔵槽60には、発生装置70によって発生された微細気泡が供給される。これにより、貯蔵槽60に貯蔵された電解水EW中に、微細気泡が含まれる。
貯蔵槽60は、電解水EWに接触するように配置された電極65を有する。電極65は、例えば白金電極であり、陽極及び陰極を含む。電極65は、電圧が加えられることにより、貯蔵槽60に貯蔵された電解水を電気分解する。
貯蔵槽60は、発生装置70によって発生される微細気泡と電極65による電気分解の作用によって、貯蔵している電解水を浄化する。なお、貯蔵槽60は、貯蔵する電解水の水質を分析するための水質分析機器64を有していてもよい。
発生装置70は、微細気泡を発生させる発生手段である。発生装置70は、例えば、マイクロバブル発生装置である。発生装置70による微細気泡の発生方式は、特に限定されない。微細気泡は、例えば、エジェクター方式、キャビテーション方式、旋回流方式、又は加圧溶解方式等、種々の方式によって発生され得る。
発生装置70は、貯蔵槽60の下方に配置されている。例えば、発生装置70は、貯蔵槽60の底壁62に配管等を介して接続されており、底壁62から貯蔵槽60の内部に微細気泡を送り込む。すなわち、発生装置70は、貯蔵槽60の下方から微細気泡を発生させる。
循環手段80は、外槽20と貯蔵槽60との間に配置されている。循環手段80は、貯蔵槽60に貯蔵された電解水EWを貯蔵槽60から洗濯槽30に供給すると共に、洗濯槽30から排水された電解水EWを貯蔵槽60に供給する。すなわち、循環手段80は、洗濯槽30と貯蔵槽60との間で、電解水EWを循環させる。具体的には、循環手段80は、貯蔵槽60に貯蔵された電解水EWを洗濯槽30に供給する第一供給部81と、洗濯槽30から排水された電解水EWを貯蔵槽60に供給する第二供給部82と、を有する。
第一供給部81は、貯蔵槽60の下部に接続されており、貯蔵槽60の下部側から洗濯槽30に電解水EWを供給する。貯蔵槽60の下部とは、例えば、貯蔵槽60における上下方向Zで中心位置よりも下方の部分である。本実施形態では、貯蔵槽60の下部は、例えば底壁62である。
第一供給部81は、貯蔵槽60の底壁62から洗濯槽30の開口部31a側まで延在する配管83と、配管83の途中部に配置されたポンプ84と、を含む。配管83の一端83aは、貯蔵槽60の下部、例えば底壁62に接続されており、配管83の他端83bは、洗濯槽30の開口部31aの上方に位置している。配管83の他端83bには、電解水EWをシャワー状に噴射するシャワーヘッド83cが形成されている。
貯蔵槽60に貯蔵された電解水EWは、ポンプ84によって汲み上げられ、配管83内を一端83aから他端83bに向かって流れ、配管83の他端83bから洗濯槽30の開口部31aに向かって放出される。これにより、貯蔵槽60に貯蔵された電解水EWが洗濯槽30に供給される。配管83の一端83aが貯蔵槽60の底壁62に接続されているため、洗濯槽30には、貯蔵槽60内の電解水EWのうち、電解水EWの液面よりも底壁62に近い電解水EWが、液面付近の電解水EWよりも優先的に供給される。配管83の他端83bに形成されたシャワーヘッド83cによって、電解水EWは、配管83の他端83bから、洗濯槽30内に収容された洗濯物Lに向かってシャワー状に噴射される。
第二供給部82は、外槽20の底壁22から貯蔵槽60の開口部61a側まで延在する配管85と、配管85の途中部に配置されたポンプ86と、を含む。配管85の一端85aは、外槽20の底壁22に接続されており、配管85の他端85bは、貯蔵槽60の開口部61aの上方に位置して開口されている。なお、配管85は、筐体10を貫通している。
洗濯槽30から排水された電解水EWは、ポンプ86によって汲み上げられ、配管85内を一端85aから他端85bに向かって流れ、配管85の他端85bから貯蔵槽60の開口部61aに向かって放出される。これにより、洗濯槽30から排水された電解水EWが貯蔵槽60に供給される。
以上のように構成された洗濯機1は、不図示の制御装置により、洗い工程及び脱水工程等を含む洗濯運転が制御される。洗い工程では、洗濯水として貯蔵槽60に貯蔵された電解水EWが洗濯槽30の内面31bに向かって供給される。この状態でモータ40が駆動され洗濯槽30が回転すると、洗濯槽30の回転による遠心力が洗濯物L及び電解水EWに作用する。遠心力の作用によって洗濯槽30の側壁31の内面31bに固定された洗濯物Lは、洗濯槽30と共に回転する。この固定された洗濯物Lの繊維を、遠心力が作用した電解水EWが通過することによって、洗濯物Lの汚れが落とされる。洗濯槽30内の電解水EWは、適宜、排水され、循環手段80によって貯蔵槽60に供給され、その洗濯や次回の洗濯に再利用される。
ここで、従来技術の洗濯機では、洗濯槽に供給される洗濯水は、洗い工程が完了すると洗濯槽から排水される。これに対し、本実施形態に係る洗濯機1では、洗い工程が完了すると、洗濯水としての電解水EWが貯蔵槽60に供給されて浄化精製された後、洗濯水として洗濯槽30に供給される。すなわち、本実施形態の洗濯機1では、洗濯水としての電解水EWを洗濯槽30と貯蔵槽60との間で循環させる循環システムを有し、洗濯水としての電解水EWを浄化精製し、洗浄効果を維持しながら再利用する。
本実施形態では、洗濯水として電解水を用いており、洗剤等を使用しないため、洗濯物Lに付着した洗剤等をすすぐためのすすぎ工程を必要としない。よって、洗い工程に続き、脱水工程がおこなわれる。脱水工程では、洗い工程と同様、モータ40が駆動され洗濯槽30が回転する。これにより、洗濯槽30内の洗濯物Lに遠心力が作用する。遠心力の作用によって、洗濯物Lは洗濯槽30の側壁31の内面31bに押し付けられ、洗濯物Lが脱水される。脱水工程によって洗濯物Lから出た電解水EWは、洗濯槽30から排水され、循環手段80によって貯蔵槽60に供給される。
次に、図2を参照して、外槽20及び洗濯槽30の形状について詳細に説明する。図2は、外槽20及び洗濯槽30の断面構成を示す図である。説明のため、図2においては、遊星ギヤ50の図示を省略し、筐体10を二点鎖線で仮想的に示している。なお、外槽20及び洗濯槽30は、例えば金属製であって、一体形成されていてもよく、複数の部材の組み合わせとして構成されていてもよい。
図2に示されるように、外槽20の底壁22は、軸線X周りの中央部分において、軸線Xに沿った方向で上側に上げ底状とされた凸部24を有している。具体的には、底壁22は、軸線Xに沿った方向で側壁21の下端21bと略同じ高さに位置する基準底部22aと、軸線Xに沿った方向で基準底部22aよりも上側に位置する上げ底部22bと、基準底部22aと上げ底部22bとを接続する接続部22cと、を有する。
基準底部22aは、下側から見て、軸線Xよりも側壁21寄りに位置している。基準底部22aは、側壁21の下端21bに接続され、軸線Xに沿った方向に対して略垂直方向に延在している。上げ底部22bは、下側から見て、基準底部22aよりも軸線X寄りに位置している。上げ底部22bは、基準底部22aよりも上側の位置で、軸線Xに沿った方向に対して略垂直方向に延在している。接続部22cは、下側から見て、基準底部22aと上げ底部22bとの間に位置している。接続部22cは、基準底部22aから上げ底部22bまで、軸線Xに沿った方向に延在している。
洗濯槽30は、外槽20と同様の形状を呈している。洗濯槽30の底壁32は、軸線X周りの中央部分において、軸線Xに沿った方向で上側に上げ底状とされた凸部34を有している。凸部34は、軸線Xに沿った方向でモータ40と反対側(上側)に突出する。凸部34は、底壁32のうち、軸線Xに沿った方向から見て、軸線X寄りの部分に形成されている。より具体的には、凸部34は、底壁32における軸線Xを中心とした中央部分に形成されている。
具体的には、底壁32は、軸線Xに沿った方向で側壁31の下端31cと略同じ高さに位置する基準底部32aと、軸線Xに沿った方向で基準底部22aよりも上側に位置する上げ底部32bと、基準底部32aと上げ底部32bとを接続する接続部32cと、を有する。
基準底部32aは、下側から見て、軸線Xよりも側壁31寄りに位置している。基準底部32aは、側壁32の下端31cに接続され、軸線Xに沿った方向に対して略垂直方向に延在している。基準底部32aは、凸部34の周縁に形成され、かつ軸線Xに沿った方向で凸部34よりもモータ40側に位置する周縁部である。上げ底部32bは、下側から見て、基準底部32aよりも軸線X寄りに位置している。上げ底部32bは、基準底部32aよりも上側の位置で、軸線Xに沿った方向に対して略垂直方向に延在している。接続部32cは、下側から見て、基準底部32aと上げ底部32bとの間に位置している。接続部32cは、軸線Xに沿った方向に延在している。
洗濯槽30の底壁32の凸部34によって、凸部34の外側面34aで囲まれた空間35が画成されている。空間35は、軸線Xに沿った方向で、洗濯槽30の底壁32の基準底部32aよりも上方の空間である。空間35には、外槽20の凸部24(上げ底部22b及び接続部22cの一部)が入り込んでいる。
空間35は、前述したモータ40を配置するための空間として機能する。モータ40は、上端側にフランジ42を有しており、当該フランジ42が外槽20の底壁22の上げ底部22bに固定されている。モータ40の動力伝達軸41は、フランジ42の上方に伸びており、外槽20の底壁22の上げ底部22bを貫通する。上げ底部22bを貫通した動力伝達軸41は、外槽20の凸部24と洗濯槽30の凸部34との間に位置する遊星ギヤ50に噛み合わされ、遊星ギヤ50を介して洗濯槽30の底壁32の上げ底部32bに接続されている。
このように、モータ40が空間35に入り込むように配置されているため、軸線Xに沿った方向で、モータ40の大部分が、洗濯槽30の底壁32の基準底部32aの上方に位置している。これにより、例えば洗濯槽30の底壁32の基準底部32aの下方にモータ40の全体が配置される場合よりも、洗濯槽30とモータ40とを含む上下方向Zでの高さを低くすることができる。
ここで、モータ40が空間35に入り込むように配置されているとは、モータ40の少なくとも一部が空間35に位置することをいう。すなわち、モータ40のうち空間35に入り込んでいない部分があってもよく、モータ40の全体が空間35に入り込んでいてもよい。
また、洗濯槽30の底壁32が凸部34を有することによって、洗濯槽30の内部空間33は、軸線Xに沿った方向でモータ40と対向する第一空間33Aと、軸線Xに沿った方向で第一空間33Aよりもモータ40側に突出する第二空間33Bと、を含む。
第一空間33Aは、内部空間33のうち、上側から見て、軸線X周りの中央の空間である。第一空間33Aは、凸部34と軸線Xに沿った方向で対向する空間である。第一空間33Aは、第二空間33Bよりも軸線Xに沿った方向で狭い空間とされている。本実施形態では、第一空間33Aは、洗濯物Lが収容されない空間であり、モータ40を配置する空間35を形成するために省スペース化されている。
第二空間33Bは、内部空間33のうち、上側から見て、軸線Xよりも側壁31寄りの空間である。すなわち、第二空間33Bは、第一空間33Aの周縁の空間である。第二空間33Bは、凸部34の周縁部である基準底部32aと軸線Xに沿った方向で対向する空間である。第二空間33Bは、軸線Xに沿った方向で第一空間33Aよりもモータ40側に突出することにより、第一空間33Aよりも軸線Xに沿った方向で広い空間とされている。これにより、第二空間33Bは、洗濯物Lを適切に収容することが可能である。例えば、第二空間33Bは、ハンガー等に掛けた状態の洗濯物Lを、曲げたり弛ませることなく真っ直ぐ収容することができる。
また、洗濯槽30の底壁32の上げ底部32bと外槽20の底壁22の上げ底部22bとの間には、遊星ギヤ50を配置するための空間としてギヤ室36が画成されている。ギヤ室36は、モータ40を配置するための空間35の中に含まれている。ギヤ室36に配置されることによって、遊星ギヤ50は、洗濯槽30の底壁32の基準底部32aよりも上側に位置している。
ギヤ室36は、洗濯槽30の底壁32の上げ底部32bと、外槽20の底壁22の上げ底部22bと、洗濯槽30の底壁32の接続部32cとによって囲まれた空間である。ギヤ室36を構成する外槽20の底壁22と洗濯槽30の底壁32の接続部32cとは、互いに離間している。ギヤ室36は、密室状態とはされておらず、部分的に開放されている。
次に、図3及び図4を参照して、洗濯機1におけるギヤ室36周辺の構成について詳細に説明する。図3は、ギヤ室36周辺の詳細な構成を示す一部断面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図であって、ギヤ室36周辺の構成を軸線Xに沿った方向から見た図である。なお、説明のため、図3において、遊星ギヤ50は二点鎖線で簡略化して示している。
図3に示されるように、モータ40は、軸線Xに沿った方向で凸部34に対向する位置に配置されている。モータ40は、軸線Xに沿った方向で、ギヤ室36側(すなわち遊星ギヤ50側)の上端部40aと、ギヤ室36と反対側の下端部40bと、を有する。モータ40の上端部40aには、フランジ42が形成されている。
モータ40は、モータ40で発生した熱を冷却する冷却ファン45を有する。冷却ファン45は、モータ40の下端部40b側に配置されている。冷却ファン45は、回転可能な羽根を有しており、羽根を回転させることによって風を発生させる。冷却ファン45は、軸線Xに沿った方向で、モータ40の下端部40bから上端部40aに向かって空気を送風する。
モータ40の上端部40aには、遮蔽板90が固定されている。遮蔽板90は、ギヤ室36の下方において、モータ40と遊星ギヤ50との間に介在している。すなわち、洗濯機1は、モータ40と遊星ギヤ50との間に配置された遮蔽板90を備える。
遮蔽板90は、モータ40から送風される空気がギヤ室36に直接流れ込まないように遮り、モータ40からギヤ室36に流れ込む空気がギヤ室36から適切に排出されるような空気の流れを形成するための板状部材である。遮蔽板90によって形成される空気の流れの詳細については、図5を参照して後述する。
遮蔽板90は、モータ40のフランジ42と固定部材5等によって固定されていると共に、外槽20の底壁22の接続部22cと固定部材7等によって固定されている。これにより、遮蔽板90は、モータ40及び外槽20と固定されている。
遮蔽板90は、モータ40のフランジ42から洗濯槽30の凸部34の外側面34aに向かって鍔状に張り出している。より具体的には、遮蔽板90は、モータ40のフランジ42から、凸部34を構成する底壁32の接続部32cの外側面32dに向かって、軸線Xに沿った方向に対して略垂直方向に延びている。遮蔽板90は、外側面34a(外側面32d)と離間している。
図4に示されるように、遮蔽板90は、軸線Xに沿った方向から見て、内縁91及び外縁92を有する略円環状を呈している。遮蔽板90は、軸線Xに沿った方向から見て、遊星ギヤ50の下方において、遊星ギヤ50の周囲に広がっている。
遮蔽板90の外縁92は、洗濯槽30の凸部34の外側面34a(底壁32の接続部32cの外側面32d)に対して隙間100を有して位置する。この隙間100は、モータ40からの空気を通す空気の通り道として機能する。
遮蔽板90は、外縁92に形成された複数(本実施形態では、4つ)の切り欠き部92aを有する。切り欠き部92aは、軸線Xに沿った方向から見て、略半円形状を呈している。遮蔽板90の外縁92は、切り欠き部92aにより、軸線X側に向かって部分的に窪んでいる。隙間100は、切り欠き部92aに対応する位置で部分的に拡大されている。
本実施形態において、遮蔽板90の外縁92は、第一外縁部93と、第二外縁部94と、を有する。換言すると、外縁92は、仮想線Hを境界として、第一外縁部93と第二外縁部94とに区分けされる。仮想線Hとは、図4の断面上に示されるように、軸線Xと交差し、かつ、遮蔽板90の表面に略平行な直線である。第一外縁部93は、仮想線Hを境界とした外縁92の一方側であり、第二外縁部94は、仮想線Hを境界とした外縁92の多方側である。第一外縁部93と第二外縁部94とは、軸線Xに沿った方向から見て互いに対向する。
切り欠き部92aは、第二外縁部94に複数(本実施形態では、4つ)形成されている。各切り欠き部92aは、第二外縁部94において、互いに所定間隔を有して位置している。切り欠き部92aは、第二外縁部94における、第一外縁部93側の端部94bを除いた中央部94aに形成されている。中央部94aは、第二外縁部94の全体のうち約1/3を占める。このように、複数の切り欠き部92aが、第二外縁部92のうち第一外縁部93に対して離れた箇所に偏って形成されている。
遮蔽板90は、仮想線Hに対して非対称の形状を呈している。軸線Xに沿った方向から見て、遮蔽板90の表面95は、仮想線Hを境界として第一外縁部93側の表面部95aと、仮想線Hを境界として第二外縁部94側の表面部95bとを含む。表面部95bの面積は、切り欠き部92aが形成されている分、表面部95aの面積よりも小さくなっている。
隙間100は、第一隙間101と、第二隙間102と、を含む。第一隙間101は、洗濯槽30の凸部34の外側面34a(底壁32の接続部32cの外側面32d)と、遮蔽板90の外縁92における切り欠き部92aが形成されていない箇所との間の隙間である。第二隙間102は、洗濯槽30の凸部34の外側面34a(底壁32の接続部32cの外側面32d)と、遮蔽板90の外縁92における切り欠き部92aが形成された箇所との間の隙間である。第二隙間102は、切り欠き部92aに対応して、4つ形成されている。
第一隙間101は、軸線Xに沿った方向から見て、例えば7〜10mm程度の略一定の幅を有している。第二隙間102は、軸線Xに沿った方向から見て、例えば、少なくとも7〜10mm程度の幅を有していると共に直径2cm程度の最大幅を有している。ここで、幅とは、洗濯槽30の凸部34の外側面34a(底壁32の接続部32cの外側面32d)に対して略直交する径方向での幅であって、当該外側面34a(外側面32d)と遮蔽板90の外縁92との間の距離である。このように、軸線Xに沿った方向から見て、第二隙間102の幅は、第一隙間101の幅よりも広くされている。これにより、第二隙間102は、第一隙間101よりも低い空気圧を有している。
次に、図5を参照して、冷却ファン45から送風された空気の流れについて説明する。図5は、冷却ファン45から送風された空気の流れを説明するための図である。図5における矢印Aは、冷却ファン45からの空気の流れを示している。なお、図5において遊星ギヤ50の図示は省略している。
図5に示されるように、冷却ファン45からの空気は、モータ40の下端部40bからモータの上端部40aに向かって送風される。そして、モータ40の上端部40aに達した空気は、隙間100を通り抜ける際、隙間100における空気圧が高い方から低い方へと流れる。すなわち、より空気圧が高い第一隙間101から、より空気圧が低い第二隙間102に向かって流れる。この際、第一隙間101から第二隙間102に向かって、ギヤ室36を通るような空気の流れが形成される。ギヤ室36を通った空気は、第二隙間102からギヤ室36外部へ排出される。なお、モータ40の上端部40aに達した空気のうち、第一隙間101よりも第二隙間102付近の空気は、ギヤ室36を通ることなく第二隙間102からそのまま排出されてもよい。
以上、本実施形態に係る洗濯機1によれば、洗濯槽30の底壁32が、洗濯槽30の底壁32側に配置されたモータ40と軸線Xに沿った方向で反対側に突出する凸部34を有する。モータ40は、当該凸部34と、軸線Xに沿った方向で対向する位置に、凸部34の外側面34aで形成された空間35に入り込むように配置されている。これにより、モータ40と洗濯槽30とを含む軸線Xに沿った方向での高さを従来よりも低くすることができる。その結果、洗濯機1が大型化することを抑制し、省スペースを実現することができる。
特に、本実施形態のように洗濯機1が貯蔵槽60、発生装置70、及び循環手段80等の多くの構成を備える場合には、全体として設置スペースが大きくなる傾向があり、設置可能な施設が限られる場合がある。本実施形態によれば、このような多くの構成を備える場合であっても、上記のように省スペースを実現することができる結果、設置可能な施設の制限を減らすことができる。
本実施形態によれば、底壁32が凸部34の周縁に形成された基準底部32aを有することにより、洗濯槽30の内部には、洗濯槽30の凸部34と軸線Xに沿った方向で対向する第一空間33Aと、洗濯槽30の基準底部32aと軸線Xに沿った方向で対向する第二空間33Bと、が形成されることとなる。基準底部32aが凸部34よりもモータ40側に位置することにより、第二空間33Bは、第一空間33Aよりも軸線Xに沿った方向で広い空間とされており、適切に収容することができる。例えば、例えばハンガー等に掛けたまま洗濯物Lを収容して皺等の形成を抑制しながら洗濯することができ、洗濯が完了した後の後工程が容易になる。これに加え、第一空間33Aを形成することでモータ40を配置するための空間35が形成されているため、洗濯物Lを適切に収容するスペースを確保した場合であっても、洗濯槽30とモータ40とを含む上下方向Zでの高さが高くなり過ぎない。その結果、洗濯機1全体として省スペース化を図りつつも、洗濯物Lを適切に収容するスペースを確保することができる。
本実施形態によれば、凸部34が前述したように軸線X寄りの部分に形成されていることにより、軸線Xに沿った方向で当該凸部34に対向する位置に配置されたモータ40も、軸線Xに沿った方向から見て、洗濯槽30の底壁32における軸線X寄りの部分に位置することとなる。よって、洗濯槽30の底壁32側にモータ40を配置した場合に、軸線Xに対してバランスを取りやすくすることができ、洗濯機1の安定した設置が可能となる。
本実施形態によれば、冷却ファン45によって、モータ40の下端部40bからモータの上端部40aに向かって空気が送風される。モータ40の上端部40aに達した空気は、遮蔽板90の外縁92と洗濯槽30の凸部34の外側面34aとの間の隙間100を通り抜ける。この隙間100は、第一隙間101及び第二隙間102を含み、第二隙間102の幅が第一隙間101の幅よりも広いため、第二隙間102での空気圧が、第一隙間101での空気圧よりも低くなっている。これにより、第一隙間101から第二隙間102に向かって、ギヤ室36を通るような空気の流れが形成される。その結果、ギヤ室36の湿度を下げることができ、ギヤ室36に湿気がこもることを抑制することができる。
ここで、前述したように、ギヤ室36には洗濯槽30に供給された洗濯水が行き来しないようにされているが、従来技術の問題点として、ギヤ室36の内側面に結露が生じる結果、ギヤ室に湿気がこもりやすいということがあった。ギヤ室に湿気がこもると、ギヤ室に配置された遊星ギヤに錆等が生じやすくなってしまう。これに対し、本実施形態によれば、モータ40からの空気の流れを利用してギヤ室36に湿気がこもることを抑制することができるため、遊星ギヤ50の錆等を抑制することが可能となる。
本実施形態によれば、遮蔽板90の外縁92に形成された切り欠き部92aによって、隙間100が部分的に広くされている。これにより、上記のように隙間100が第一隙間101及び第二隙間102を含む構成を適切に実現することができる。
本実施形態によれば、複数の切り欠き部92aが形成されていることによって、単数の切り欠き部が形成されている場合よりも、第一隙間101に対して空気圧が低い第二隙間102が多く形成されることになる。これにより、第一隙間101から第二隙間102に向かってより空気を流れやすくすることができる。
本実施形態によれば、遮蔽板90の第二外縁部94に切り欠き部92aが形成されていることによって、第一外縁部93に対して第二外縁部94側に偏って第二隙間102が形成されることとなる。これにより、第一外縁部93側から第二外縁部94側に向かって空気が流れやすくなり、第一外縁部93側からギヤ室36に流れ込むと共にギヤ室36から第二外縁部94側へ排出されるような空気の流れをより適切に形成することができる。
本実施形態によれば、切り欠き部94aが第二外縁部94の中央部94aに複数形成されていることにより、ギヤ室36から排出される空気の通り道となる第二隙間102を中央部94aに集中して形成することができ、ギヤ室36から空気をより適切に排出することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用したものであってもよい。
たとえば、上記実施形態では、洗濯槽30の内部空間33に洗濯物Lがハンガー等に吊り下げられた状態で収容される例について説明したが、これに限られない。例えば、ハンガー等に吊り下げず、洗濯物Lを畳んだ状態又は弛んだ状態等で洗濯槽30の内部空間33に収容してもよい。また、上記実施形態では、洗濯槽30の内部空間33のうち第一空間33Aには洗濯物Lが収容されない例について説明したが、これに限られず、第一空間33Aに洗濯物Lが収容されていてもよい。
上記実施形態では、洗濯機1が貯蔵槽60、発生装置70、及び循環手段80を備える例について説明したが、これらの構成は必ずしも備えていなくてもよい。例えば、発生装置70によって発生した微細気泡を含む洗濯水が循環手段80によって循環供給されずに、貯蔵槽60ではなく外部の供給装置から洗濯槽30に洗濯水が供給されてもよい。
上記実施形態では、洗濯水として洗剤等が含まれない電解水EWを洗濯槽30に供給する例について説明したが、これに限られず、電解水EWには洗剤等が含まれていてもよく、電解水EW以外の洗剤等を含む水が洗濯槽30に供給されてもよい。
切り欠き部92aの形状、箇所、面積、及び個数は上記実施形態に限定されない。切り欠き部92aは軸線X方向から見て略半円形状である例について説明したが、これに限られず、軸線X方向から見て略円形状、略三角形状、略矩形状、スリット状等の種々の形状をとり得る。また、上記実施形態において、切り欠き部92aは、第二外縁部94の中央部94aに形成されている例について説明したが、これに限られず、第二外縁部94における中央部94a以外の第一外縁部93側に形成されていてもよく、第一外縁部93に形成されていてもよい。また、上記実施形態では、切り欠き部92aが4つ形成されている例について説明したが、これに限られず、切り欠き部92aの個数は、単数であってもよく、2以上の何れの数であってもよい。また、第二隙間102の幅が第一隙間101の幅よりも広い場合を説明したが、第二隙間102の幅が第一隙間101の幅と同じであっても、第二隙間102の幅が第一隙間101の幅よりも狭くてもよい。
上記実施形態では、隙間100が第一隙間101及び第二隙間102を含む構成を、切り欠き部92aによって実現する例について説明したが、これに限られない。例えば、第一外縁部93を第二外縁部94よりも突出させることによって、当該構成を実現してもよい。
上記実施形態では、ギヤ室36に遊星ギヤ50が配置されている例について説明したが、ギヤ室36に配置されるギヤは遊星ギヤ50に限られず、モータ40の動力を伝達するギヤであれば何れのギヤであってもよい。
上記実施形態では、貯蔵槽60の下方に発生装置70が配置されている例について説明したが、これに限られない。例えば、発生装置70は、貯蔵槽60の側壁61に対向するように貯蔵槽60に並置されていてもよい。また、貯蔵槽60に並置された発生装置70から貯蔵槽60の底壁62まで延在して当該底壁62に接続された配管等を通して、貯蔵槽60の下方から微細気泡を発生させてもよい。また、発生装置70は、必ずしも貯蔵槽60の下方から微細気泡を発生させなくてもよく、例えば、貯蔵槽60における上下方向Zで中心位置付近から微細気泡を発生させてもよい。
上記実施形態では、発生装置70がマイクロバブル発生装置である例について説明したが、これに限られない。発生装置70は、微細気泡を発生させる以外の機能を備えた装置によって実現されてもよい。例えば、発生装置70は、電解水生成装置であってもよく、電解水生成装置により電解水EWを生成すると共に電解水EW中に微細気泡を発生させてもよい。また、微細気泡を発生させる発生手段は、例えば、装置を用いずに化学反応等によって発生させる手段により実現されてもよい。
洗濯機1による洗濯運転には、上記実施形態で記載の工程だけでなく、すすぎ工程又は乾燥工程等、種々の工程が含まれてもよい。
軸線Xに沿った方向は、上下方向Zに沿った方向に限られず、上下方向Zに交差する左右方向に沿った方向であってもよい。軸線Xに沿った方向が左右方向に沿った方向の場合であっても、モータ40と洗濯槽30とを含む軸線Xに沿った方向での長さを従来よりも短くすることができる結果、洗濯機1が大型化することを抑制し、省スペースを実現することができる。