JP2020091419A - 表示装置 - Google Patents

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一郎 藤枝
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Abstract

【課題】高精細な画像を表示することが可能でさらに薄型化された、改良された発電機能を有する表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10Aは、光を吸収する蛍光体6から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体7と、導光体7の端面に配置され、導光体7の内部を伝搬する蛍光を光電変換する光電変換部8と、液晶層を含む偏光制御部3Aであって、導光体7の外光が入射する一方の面側に配置され、蛍光体6から放射され液晶層を透過する蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部3Aと、を備え、蛍光体6から放射される一部の蛍光により画素を表示し、一部の蛍光により発電する。
【選択図】図1

Description

本発明は表示装置に関し、より詳細には、発電機能を有する表示装置に関する。
発電機能を有する従来の表示装置としては、例えば図14および図15に例示する特許文献1に記載の表示装置が挙げられる。
図14に示す表示装置では、Luminescent Solar Concentrator (LSC)に光源95aを正対させる。LSCは、2枚の透明基板92の間に蛍光体層93が配置され、端面に太陽電池94が配置されて構成されている。光源95aから放射された光が蛍光体層93内の蛍光体を励起し、蛍光体が蛍光を放射する。したがって、図14に示す構成は照明装置として機能する。また、外光Lextが入射すると蛍光が放射され、その一部は透明基板92の内部を伝搬して太陽電池94に至り、光電変換される。したがって、図14に示す構成は発電装置として機能する。
一方で、図14に示す構成では、高精細な画像を表示することが困難である。仮に、例えばLEDを2次元に配列して個々のLEDを独立して点灯可能な構成を光源95aとして用いれば、簡単な画像を表示することができる。しかしながら、高精細な画像を表示するためには、LEDを高密度に配列する必要がある。例えば、スマートフォン用のディスプレイのような大きさの画像を表示するためには、製造コストが増加するため、このような構成は実用的ではない。
高精細な画像を表示するためには、図15に示すように、外部の光源95bから強度を変調した励起光LBをLSC上で走査するとよい。あるいは、Digital Micro-mirror Device (DMD)のような空間光変調器を用いて面状の励起光パターンを入射してもよい。いずれの場合も、励起光の強度に応じた強度の蛍光が放射されるため、高精細な画像が表示される。また、蛍光の一部は太陽電池94に至って光電変換されるため、図15の構成は発電装置として機能する。
特開2017−183720号公報
しかしながら、図15に示す構成では、光を投射する距離が必要となるため、装置が大型化する。装置が大型化すると、スマートフォン等の携帯機器に搭載することは困難となる。発電機能を有する従来の表示装置には、さらなる改良が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高精細な画像を表示することが可能でさらに薄型化された、改良された発電機能を有する表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
(項1)
光を吸収する蛍光体(6,6R,6G,15,16,37,37R,37G)から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体(7,4)と、
前記導光体(7,4)の端面に配置され、前記導光体(7,4)の内部を伝搬する前記蛍光を光電変換する光電変換部(8)と、
液晶層(33A,33B,33C)を含む偏光制御部であって、前記導光体(7,4)の外光が入射する一方の面側に配置され、前記蛍光体(6,6R,6G,15,16,37,37R,37G)から放射され前記液晶層(33A,33B,33C)を透過する前記蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部(3A,3B,3C)と、
を備え、
前記蛍光体(6,6R,6G,15,16,37,37R,37G)から放射される一部の前記蛍光により前記画素を表示し、一部の前記蛍光により発電する、表示装置。
(項2)
前記偏光制御部(3A)は、前記導光体(7,4)の前記一方の面側に、空気層(11)を介して配置されている、項1に記載の表示装置。
(項3)
前記偏光制御部(3A)は、前記導光体(7,4)の前記一方の面側に、誘電体層(9)を介して配置されている、項1に記載の表示装置。
(項4)
前記蛍光体(6,6R,6G,15,16)は、前記導光体(7,4)の表面または内部に配置されている、項1または2に記載の表示装置。
(項5)
前記蛍光体(37,37R,37G)は、前記光の吸収および前記蛍光の発光に異方性を有し、前記液晶層(33B,33C)内に混合されている、項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
(項6)
前記導光体(7,4)の他方の面側に配置される面状の光源(13)をさらに備える、項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
(項7)
複数の前記画素のそれぞれの位置において、前記液晶層(33A,33C)の外光が入射する一方の面側に配置される上部帯域透過フィルタ(41R,41G)をさらに備え、
前記蛍光体(6R,6G,37R,37G)は、複数の種類の蛍光材料を含み、
複数の種類の前記蛍光材料のそれぞれについて、前記上部帯域透過フィルタ(41R,41G)は、当該蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる、項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
(項8)
前記導光体(7,4)の他方の面側に配置される面状の光源(13)と、
複数の前記画素のそれぞれの位置において、前記液晶層(33A,33C)の他方の面側に配置される下部帯域透過フィルタ(41R,41G)と、
をさらに備え、
複数の種類の前記蛍光材料のそれぞれについて、前記下部帯域透過フィルタ(41R,41G)は、当該蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる、項7に記載の表示装置。
(項9)
光拡散層(14)をさらに備え、
当該光拡散層(14)は、前記導光体(7,4)の他方の面側に配置されている、または、前記導光体(7,4)の前記一方の面側の、前記導光体(7,4)と前記偏光制御部(3A,3B,3C)との間に配置されている、項1から8のいずれか一項に記載の表示装置。
(項10)
前記蛍光体(15,16,37,37R,37G)は、前記光の吸収および前記蛍光の発光に異方性を有し、
前記導光体(7,4)の他方の面側に配置される偏光板(5,17)をさらに備える、項1から5および7のいずれか一項に記載の表示装置。
本発明によると、高精細な画像を表示することが可能でさらに薄型化された、改良された発電機能を有する表示装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。 第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。 第2の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。 第3の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。 発電機能を有する従来の表示装置の模式図である。 発電機能を有する従来の表示装置の模式図である。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
また、以下の説明では、或る構成要素と他の構成要素との位置関係を説明する際の表現として、「垂直」、「平行」および「直交」等の表現を用いているが、これらの表現は、厳密に「垂直」、「平行」、「直交」であることのみを意味するのではなく、概ね「垂直」、「平行」、「直交」であることを含む意味として説明する。
[第1の実施形態]
(概要)
本発明の第1の実施形態では、表示装置(10A,10B,10C,10D,10E)は、
光を吸収する蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体(7)と、
導光体(7)の端面に配置され、導光体(7)の内部を伝搬する蛍光を光電変換する光電変換部(8)と、
液晶層(33A)を含む偏光制御部であって、導光体(7)の外光が入射する一方の面側に配置され、蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射され液晶層(33A)を透過する蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部(3A)と、
を備え、蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射される一部の蛍光により画素を表示し、一部の蛍光により発電する。
蛍光体(6,6R,6G,15,16)は、導光体(7)の表面または内部に配置されている。偏光制御部(3A)は、導光体(7)の一方の面側に、空気層(11)を介して配置されている。空気層(11)は、偏光制御部(3A)と蛍光体(6,6R,6G,15,16)との間に配置されている。蛍光体(6,6R,6G,15,16)は、偏光制御部(3A)と導光体(7)の一方の面側との間に配置されている。蛍光体(6,6R,6G,16)は層状に形成されていてもよい。
第1の実施形態に係る表示装置10Aによると、高精細な画像を表示することが可能でさらに薄型化された、改良された発電機能を有する表示装置を提供することができる。
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
第1の実施形態に係る表示装置10Aは、上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部透明基板4と、下部偏光板5と、蛍光体層6と、導光体7と、光電変換部8と、を備える。第1の実施形態に係る表示装置10Aは、蛍光体層6から放射される蛍光FLのON/OFFを、偏光制御部3Aにより切り替えることにより、画像の表示を行う。
上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部透明基板4と、下部偏光板5とは積層されて、液晶パネルを構成している。上部偏光板1の透過軸は図中y軸に沿った方向とし、下部偏光板5の透過軸は図中x軸に沿った方向とする。上部偏光板1の透過軸と下部偏光板5の透過軸とは直交している。例示的には、液晶パネルには、twisted nematic (TN)パネルを用いることができる。
本実施形態では、蛍光体層6と導光体7とは積層されて、液晶パネルを構成している下部偏光板5の下方に、空気層11を介して配置されている。第1の実施形態に係る表示装置10Aは、蛍光体層6が液晶パネルに積層された積層構造と呼ぶことができる。
本実施形態では、蛍光体層6と導光体7と光電変換部8とがLSC(Luminescent Solar Concentrator)を構成している。本実施形態では、発光材料を含む蛍光体の層を蛍光体層6として用い、導光体7の表面に蛍光体層6を配置した構成のLSCを用いる。これに代えて、導光体7の内部に蛍光体を一様に分散させた構成のLSCを用いてもよい。あるいは、導光体7内に蛍光体層6を介装した構成のLSCとしてもよい。発光材料に含まれている蛍光体は、外光Lext等の光を吸収して蛍光FLを放射する。放射される蛍光FLは、可視光域の蛍光が好ましい。本実施形態において用いる蛍光体には、等方性または異方性を有する種々の蛍光体材料を用いることができる。
光電変換部8は、本実施形態では導光体7の端面に配置されており、導光体7の内部を伝搬する蛍光FLを光電変換する。光電変換により得られた電力は、図示しない二次電池等の蓄電池に蓄えられる。蓄電池は、表示装置10Aが備えていてもよいし、電力線に接続されて表示装置10Aとは別体に構成されていてもよい。光電変換部8には、例えば太陽電池を用いることができる。光電変換部8は、導光体7の端面に密着させて配置することが好ましい。
本実施形態では、液晶パネルを構成する下部偏光板5とLSCを構成する蛍光体層6との間に、空気層11が存在する。あるいは、空気層11に代えて、低屈折率の透明な誘電材料を介して下部偏光板5と蛍光体層6とを接着してもよい。例えば、旭硝子株式会社(AGC Inc.)の製品「サイトップ」(登録商標)の屈折率は1.33であり、水と同等である。この値は標準的な樹脂やガラス材料の屈折率1.5より低いため、蛍光FLが全反射により導光体7の内部に閉じ込められ易くなる。ここで重要なのは、誘電材料の屈折率の値そのものではなく、導光体7との屈折率の差を大きくすることである。これにより2つの材料の界面での全反射の臨界角が大きくなり、蛍光FLが光電変換部8に至る確率が増加する。例えば、導光体7として標準的な屈折率1.5程度の樹脂やガラス材料ではなく、屈折率1.8程度のガラス材料を使うことが発電量の増加に有効である。
偏光制御部3Aは、共通電極31と、上部配向膜32と、液晶層33Aと、下部配向膜34と、画素電極35と、を含む。液晶層33Aは液晶分子36を含み、上部配向膜32および下部配向膜34間に介装されている。共通電極31は上部配向膜32上に配置されており、画素電極35は下部配向膜34下の下部透明基板4上に配置されている。共通電極31および画素電極35は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等により、一様な透明電極として形成されている。
図2を参照して、第1の実施形態に係る表示装置10Aの断面構造を説明する。図2に示す断面図の上部は、例示的なTN形式の液晶パネルの隣り合う画素間の境界領域の構成を示している。即ち、下部透明基板4上の画素電極35は、画素毎に分離されており、図示していない薄膜トランジスタ(TFT)などにより電位が設定される。TFTを駆動するために、金属材料を用いて下部透明基板4の表面に配線38が形成されている。上部透明基板2の下方には、共通電極31が配置されている。配線38、共通電極31および画素電極35上には、液晶パネルの略全面にわたって上部配向膜32または下部配向膜34が形成されており、液晶分子36を配向する。配向方向は、上部配向膜32では図中y軸方向であり、下部配向膜34では図中x軸方向である。電圧を印加しない(V=0)場合には、図の左側に示すように、液晶分子36は90°ねじれている。液晶分子36の駆動に十分な電圧が印加されると、図の右側に示すように、液晶分子36は電気力線に平行に配向する。画素間の境界には、光吸収体層39(ブラックマトリクス)が格子状に形成されており、光吸収体層39が形成されている領域では光の透過が防止される。
なお、例示的な寸法として、上部透明基板2、下部透明基板4および導光体7は、それぞれ約0.5mm程度の厚さを有しており、上部配向膜32、下部配向膜34、共通電極31、画素電極35および液晶層33A等の、液晶パネルを構成する他の構成要素に比べてはるかに厚い。
(動作)
図2を参照して、第1の実施形態に係る表示装置10Aの動作を説明する。外光Lextが上部偏光板1に入射すると、上部偏光板1の透過軸に平行な偏光成分(図中y軸方向)が透過して、液晶層33Aに入射する。
液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、外光Lextは、偏光制御部3Aにおいて偏光面が進行方向に垂直な面内で90°回転されて、蛍光体層6に至る。外光Lextの偏光面と下部偏光板5の偏光軸とは平行となっており、外光Lextは下部偏光板5を透過することができる。この状態は、液晶パネルが光を透過させる、液晶シャッターが「ON」の状態である。蛍光体層6に至った外光Lextは蛍光体に効率よく吸収されて、蛍光体は蛍光FLを放射する。また、液晶シャッターが「ON」の状態では、蛍光体層6において放射された蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して上方へ伝搬し、外部へ放射される。これにより、この領域では「白」が表示される。ここで、液晶シャッターの透過率は連続して設定できるので、「白」という表現は中間調を含む。
蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して外部へ放射されるものの、大部分の蛍光FLは導光体7内に閉じ込められる。例示的には、導光体7の材料が約1.5の標準的な屈折率を有する場合、全反射の臨界角は約42°となり、約75%の蛍光FLが導光体7内に閉じ込められる。導光体7内に閉じ込められた蛍光FLは、全反射を繰り返して導光体7の内部を伝搬し、導光体7の端面に配置された光電変換部8に至る。光電変換部8に到達した蛍光FLは、光電変換により電力に変換され、図示しない蓄電池に蓄えられる。
液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、外光Lextは液晶層33Aを透過するが、液晶層33Aにおいて偏光面は回転されない。外光Lextの偏光面と下部偏光板5の偏光軸とは垂直となっており、外光Lextは下部偏光板5を透過することができない。この状態は、液晶パネルが光を透過させない、液晶シャッターが「OFF」の状態である。外光Lextは蛍光体層6に至ることができず、蛍光FLは放射されない。これにより、この領域では「黒」が表示される。以上に説明した通り、画素毎に「白」(中間調)と「黒」の表示を設定することにより、外光を利用して画像表示と発電とが実現される。
(発電機能)
以下、第1の実施形態に係る表示装置10Aの構成を一例として、本発明に係る表示装置の発電機能について説明する。
一般に、太陽電池の発電機能を定量的に比較するためには、パワー変換効率ηPCE(PCE: Power Conversion Efficiency)が用いられる。パワー変換効率ηPCEは、入射光のパワーと出力される電力との比として定義される。太陽光のスペクトルは場所や時刻や天気などで変化し、また、太陽電池には多くの種類があり、変換効率も様々である。このため、LSCのパワー変換効率ηPCEを評価する際には、使用する太陽電池の特性を特定し、標準の太陽光スペクトルの下で出力電力を測定する。例えば、GaAs太陽電池を用いたLSC(入射面の面積は5cm×5cmで厚さは0.5cm)では、標準の太陽光スペクトル“AM1.5G”(放射照度100mW/cmに相当)の条件下で、パワー変換効率ηPCEが最大で約7%になることが報告されている。(参考文献:L. H. Slooff, et al., phys. stat. sol. (RRL) 2, No. 6, 257-259, 2008.)
本実施形態では、液晶パネルを透過した外光が蛍光体に入射する。外光は太陽光に限定されないが、まずは非表示状態の装置に太陽光が入射して発電する場合について説明する。以下の数値例では、様々な条件を仮定しながら発電効率を求める。透過率が0.10の液晶パネルを用いると、AM1.5Gの太陽光の場合では、蛍光体層6での放射照度は10mW/cmとなる。蛍光体の量子効率(入射した光子がそれより低エネルギーの光子に変換される確率)を0.8とすると、このときに蛍光体が放射する蛍光のパワー密度は8mW/cmである。導光体7の外寸が5cm×5cm×1cmとすると、放射される蛍光のパワーは8mW/cm×25cm=200mWとなる。ここで、蛍光が等方的に放射される場合には、標準的な屈折率1.5の導光体7に蛍光が閉じ込められる確率は約0.75である。さらに、導光体7の内部に閉じ込められた蛍光が伝搬するときの損失が無いと仮定すると、導光体7の4つの端面に設置された太陽電池8の表面には、200mW×0.75=150mWのパワーの蛍光が到達する。結晶シリコンの太陽電池8を導光体7の4つの端面に配置すると仮定し、標準的なパワー変換効率ηPCEを15%と仮定する。この場合には、装置の発電量は、150mW×0.15=22.5mWとなる。
以上の説明では、装置の入力面が太陽光によって一様に照射されることが前提となっている。しかし、本発明では次の点において従来のLSCとは前提条件が異なっている。第一に、装置に入射する光は太陽光に限定されない。第二に、入射光の一部は液晶パネルで吸収または反射され、透過した一部の光が蛍光体を励起する。第三に、一般的な使用状態では、装置の全面に一様に光が入射するとは限らない。特に、画像を表示する際には、蛍光体に入射する光の強度分布は不均一になる。そこで、以下では、これらの条件の下で入射光のパワーが電力に変換される過程を解析する。
前述のように、本発明の装置の一般的な使用状態では、入射光の強度分布は一様ではない。このため、装置の表面の1点に光が入射したときに導光体の端面に蛍光が到達する場合の光学的な効率を、解析に用いるのが合理的である。この効率ηoptは次式で定義される。
Figure 2020091419
ここで、Pinは装置の表面の1点に入射する光のパワー、Pedgeは導光体の端面に到達する蛍光のパワーである。Pedgeは入射点の座標に依存するため、ηoptもその関数になる。仮に、ηoptが全ての入射点の座標(x,y)の関数として既知であれば、任意の強度分布Pin(x,y)の光が装置に入射するときの、導光体の端面に到達する蛍光のパワーPoutは次式で求められる。
Figure 2020091419
ηoptは、発電機能を解析するうえで特徴的なパラメータであるので、さらに詳細に説明する。ηoptは、装置の表面の1点に光が入射し、蛍光材料によって光が吸収されて蛍光が発生し、発生した蛍光が太陽電池に至る、という各過程の確率の積として求められる。即ち、光が液晶パネルを透過する確率をT、透過した光を蛍光材料が吸収する確率をηα、蛍光材料の量子効率をηQE、放射された蛍光が導光体の内部を伝搬して太陽電池へ到達する確率をηtrapとすると、次式が成り立つ。
Figure 2020091419
上式の右辺のT、ηα、ηQEは、装置を構成する要素の材料の選択や光学設計により制御することができる。したがって、効率ηtrapを知ることが重要になる。一例として、米国Sigma-Aldrich社から購入した蛍光材料Coumarin6を用いて、外寸が5.0cm×5.0cm×1.0cmのLSCを試作し、装置の1点に波長が約450nmのレーザー光を入射させて、効率ηoptを測定した。測定結果は、励起点とLSCの端面との距離に応じて変化したが、端面から5mm以上離れた場合にはほぼ一定の値になった。この値ηoptは、LSCの端面の処理に依存した。4つの端面のうち3つに黒い塗料を塗り、ほぼ完全に光が吸収される処理を施した場合には、この値ηoptは約0.16となり、3つの端面に反射率67%の反射シートを設置すると、値ηoptは約0.3に増加した。これらの値を用いると、本発明に係る表示装置の発電効率は、式(2)で求められる。このように、効率ηtrapの値を設定することにより、様々な特性(ηopt)を有する装置の設計が可能になる。
次に、本発明の装置では、外光Lextを利用して表示する画像のコントラストは、外光の強度に依存せず一定の値になる。この理由を以下に説明する。
図2において液晶パネルに上方から入射する外光Lextの強度をIα、液晶パネルの上面での反射率をRとする。液晶パネルに黒を表示するとき(図2の右側)、観察者の目には強度RIαの光が届く。白表示の画素(図2の左側)では、液晶パネルの透過率をTとすると、蛍光体に到達する外光の強度はTαである。蛍光材料の量子効率をηQEとすると、放射される蛍光の強度はηQEαとなり、その一部が液晶パネルを透過して観察者に至る。その割合をfとすると、観察者に至る蛍光の強度はfηQE αと表すことができる。以上より、表示画像のコントラスト比CRは、以下の通りに求められる。
Figure 2020091419
透過型液晶ディスプレイのコントラストについても同様に考察する。黒表示の場合には、表面での反射光が観察者に届く。したがって、黒表示の光の強度はRIαである。白表示の場合には、バックライトから放射された光の一部が液晶パネルを透過して観察者に至る。バックライトが放射する光の強度をIBLU、上方へ放射される割合をfとすると、観察者に至る蛍光の強度は、fTBLUと表すことができる。したがって、表示画像のコントラスト比CRは、以下のように表すことができる。
Figure 2020091419
式(5)においてIα→∞とすると、コントラスト比CRは1に近づいて、画像の表示は不可能になる。一方で、式(4)では、コントラスト比CRは1より大きな定数である。したがって、本発明の実施形態に係る表示装置による表示画像は、従来の透過型液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに比べて、明所での視認性に優れていることが分かる。
なお、本実施形態では、等方的に蛍光が放射される蛍光体を用いたため、一般的な屈折率1.5の導光体内に蛍光が閉じ込められる確率は、約0.75となる。発光に異方性を有する蛍光体を導光体に垂直に配向すると、この確率を約0.91に改善することができる。さらに、屈折率1.7の導光体を用いると、確率は約0.94にまで増加する。一方で、発光に異方性を有する蛍光体を導光体に水平に配向すると、屈折率1.5の導光体では、導光体内に蛍光が閉じ込められる確率は、約0.66まで減少する。このように、発光に異方性を有する蛍光体を配向することにより、発電効率と表示の明るさとのどちらを優先するかを選択することができる。
このように、本実施形態に係る表示装置によると、外光のパワーを利用して画像を表示すると共に、発電を行うことができる。外光を利用して画像を表示する技術としては、反射型液晶ディスプレイが従来から知られている。反射型ディスプレイは、TNなどの液晶パネルの下面に反射体を接着して構成されている。したがって、仮に、反射型ディスプレイの反射体を取り除いて代わりにLSCを配置すれば、図1に示す本実施形態に係る表示装置に類似した構成となる。ここで、本実施形態では、液晶パネルとLSCとを単に接着するのではなく、両者の間に空気層または低屈折率の誘電体層を介在させる点が特徴である。即ち、本実施形態では、液晶パネルとLSCとの間に、空気層または低屈折率の誘電体層を介在させることにより、LSCを構成する導光体から上方へ蛍光が漏れる確率を減少させて、発電量が低下することを防いでいる。
さらに、反射型液晶ディスプレイでは、反射層によって反射された外光が液晶パネルを透過して観察者に至るので、眼に入る光のスペクトルは外光に依存する。したがって、外光のスペクトルの変化に応じて表示画像の色が変化する。これに対し、本実施形態では、外光を蛍光に変換して画像を表示するため、外光のスペクトルが変化しても、同じ色の画像を安定して表示することができる。さらに、人の知覚には、狭いスペクトルの光は明るく感じるという特徴があり、これはHelmholtz-Kohlrausch effectと呼ばれている。本実施形態では、蛍光体が放射する光は一般の外光よりスペクトルが狭いので、この現象を利用して明るい表示を実現することができる。
(効果)
以上、第1の実施形態に係る表示装置10Aによると、高精細な画像を表示することが可能でさらに薄型化された、改良された発電機能を有する表示装置を提供することができる。
また、表示装置10Aによると、薄型ディスプレイで外光を利用して画像表示と発電とを実現することができる。さらに、外光を蛍光に変換することにより、色再現域が外光に依存しないため、従来の反射型液晶ディスプレイに比べて、鮮やかな色を表現することができる。そのうえ、外光の強度に比例した強度の蛍光が放射されるため、従来の透過型液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに比べて、明所での優れた視認性を提供することができる。
[第1の実施形態の変形例]
以下において説明する第1の実施形態の変形例に係る表示装置10B〜10Eの構成は、特に言及しない限り、第1の実施形態に係る表示装置10Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(変形例その1:バックライト)
図3は、第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置10Bは、LSCを構成する導光体7の下方に面状光源13をさらに備える点において、第1の実施形態に係る表示装置10Aと異なっている。面状光源13には、例えばLED等で構成される公知のバックライトを用いることができる。
導光体7と面状光源13との間には、さらなる空気層12が存在してもよい。あるいは、さらなる空気層12に代えて、第1の実施形態に係る表示装置10Aと同様の低屈折率の誘電材料が存在してもよい。
表示装置10Bによると、暗所でも画像を表示することができる。また、暗所での使用時において、光源が放出する光のパワーの一部を回収することができる。
図3を参照して、第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置10Bの動作を説明する。暗所でも画像を表示するには、図3に示すように、LSCを構成する導光体7の下方に面状光源13を配置して蛍光体を励起すればよい。即ち、蛍光体を励起する励起光Lsrcは図中の下方から蛍光体層6に至り、蛍光体層6から蛍光FLが放射される。蛍光体層6から放射された蛍光FLの一部は、下部偏光板5の透過軸に平行な偏光成分(図中x軸方向)が透過して、液晶層33Aに至る。
液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、蛍光FLは液晶層33Aにおいて偏光面が90°回転されて上方へ伝搬し、液晶層33Aを離れる時には偏光面が図中y軸方向になる。したがって、蛍光FLは上部偏光板1を透過し外部へ放射される。これに対し、液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、蛍光FLは液晶層33Aにおいて偏光面が回転されず上部偏光板1を透過することができない。このように、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aに印加する電圧印加の有無により、液晶シャッターのON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。
一方で、蛍光FLの一部は、LSCを構成する導光体7内に閉じ込められ、全反射を繰り返して導光体7の内部を伝搬し、導光体7の端面において光電変換部8に至ることにより、発電に寄与する。これにより、面状光源13に投入した電力の一部を回収することができる。
(変形例その2:光拡散反射層)
図4は、第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置10Cは、LSCを構成する導光体7の下方に光拡散反射層14をさらに備える点において、第1の実施形態に係る表示装置10Aと異なっている。光拡散反射層14には、例えば液晶ディスプレイで用いられている公知の光拡散フィルムまたは光拡散反射フィルムを用いることができる。
導光体7と光拡散反射層14との間には、さらなる空気層12が存在してもよい。あるいは、さらなる空気層12に代えて、第1の実施形態に係る表示装置10Aと同様の低屈折率の誘電材料が存在してもよい。
表示装置10Cによると、蛍光FLの利用効率を向上させることができる。
図4を参照して、第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置10Cの動作を説明する。蛍光FLの一部は、LSCを構成する導光体7内に閉じ込められ、全反射を繰り返して導光体7の内部を伝搬し、導光体7の端面において光電変換部8に至るものの、一定の量の蛍光FLは、導光体7の下方へも放射される。図4に示すように、導光体7の下方に光拡散反射層14を配置して、導光体7の下方から外部へ放射されようとする蛍光FLを上方へ反射することにより、蛍光FLの利用効率が向上する。
なお、導光体7の下方に光拡散反射層14を配置することに代えて、LSCを構成する蛍光体層6および導光体7の上方にまたは蛍光体層6および導光体7の間に光拡散層を配置することにより、蛍光FLの利用効率を向上させてもよい。あるいは、光拡散反射層14および光拡散層の両方を配置してもよい。
(変形例その3:異方性を有する蛍光体を用いたシースルー化)
図5は、第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置10Dは、蛍光体層6に代えて、異方性蛍光体15を含む異方性蛍光体層16を備える点と、下部偏光板5に代えて、異方性蛍光体15の配向方向に略垂直な透過軸を有する偏光板17を導光体7の下面に備える点とにおいて、第1の実施形態に係る表示装置10Aと異なっている。
すなわち、第3の変形例に係る表示装置10Dでは、蛍光体15,16は、光の吸収および蛍光の発光に異方性を有している。表示装置10Dは、導光体7の他方の面側に配置される偏光板17をさらに備えている。偏光板17の透過軸は、蛍光体15,16の配向方向に略垂直である。
表示装置10Dによると、表示装置をシースルー化することができる。これは、第1の実施形態に係る表示装置10Aにおいて、使用する蛍光体材料を適切に選択して構成を修正することにより実現する。具体的には、図5に示すように、光の吸収と発光に異方性がある蛍光体15を図中x軸に沿って配向し、TNパネルの下面に配置されている下部偏光板5を取り除き、LSCを構成する導光体7の下面に新たに偏光板17を追加する。偏光板17の透過軸は、蛍光体15の配向方向に垂直(図中y軸方向)である。
図5を参照して、第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置10Dの動作を説明する。
まず、図中の上方から下方へ伝搬する外光について説明する。液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、外光Lextは、偏光制御部3Aにおいて偏光面が進行方向に垂直な面内で90°回転されて、異方性蛍光体層16に至る。液晶層33Aを透過した外光Lextの偏光方向と異方性蛍光体15の配向方向とは略一致しているため、外光Lextはよく吸収され、異方性蛍光体層16において蛍光FLが放射される。この蛍光FLには異方性蛍光体15の配向方向に沿った偏光成分が多く含まれる。液晶シャッターが「ON」の状態では、この蛍光FLの偏光状態も同様に、液晶層33Aにより偏光面が90°回転されて、上部偏光板1を透過し外部へ放射される。これにより、「白」が表示される。
蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して外部へ放射されるものの、一部の蛍光FLは導光体7内に閉じ込められる。導光体7内に閉じ込められた蛍光FLは、全反射を繰り返して導光体7の内部を伝搬し、導光体7の端面に配置された光電変換部8に至る。光電変換部8に到達した蛍光FLは、光電変換により電力に変換され、図示しない蓄電池に蓄えられる。
これに対し、液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、外光Lextは異方性蛍光体層16に至るものの、偏光制御部3Aにおいて偏光面が進行方向に垂直な面内で90°回転されない。よって、液晶層33Aを透過した外光Lextの偏光方向と、異方性蛍光体15の配向方向とは略垂直なため一致せず、外光Lextは異方性蛍光体15において吸収されることなく、蛍光FLを放射することなく異方性蛍光体層16を透過する。これにより、「黒」が表示される。
このように、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aに印加する電圧印加の有無により、異方性蛍光体15の励起のON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。
さらに、図中の下方から上方へ伝搬する外光は、LSCを構成する導光体7の下面に配置されている偏光板17により、異方性蛍光体15の配向方向に垂直な成分(図中y軸方向)だけが異方性蛍光体15に至る。このような、異方性蛍光体15の配向方向に垂直な成分の外光は、異方性蛍光体15において吸収されることなく異方性蛍光体層16を透過し、液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、さらに液晶層33Aおよび上部偏光板1の順に透過する。したがって、第3の変形例に係る表示装置10Dはシースルーになる。
(変形例その4:カラー化)
図6は、第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置10Eは、画素を構成するサブ画素のそれぞれの位置において、液晶層33Aを介装する一対の帯域透過フィルタ(Band Pass Filter: BPF)41R,41R,41G,41Gをさらに備える点と、各色用の複数の蛍光体層6R,6Gを蛍光体層6に用いる点とにおいて、第1の実施形態に係る表示装置10Aと異なっている。複数の種類の蛍光材料を含む各色用の複数の蛍光体層6R,6Gのそれぞれについて、一対の帯域透過フィルタ41R,41Rは、蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる。
第4の変形例に係る表示装置10Eによると、カラー表示を実現することができる。表示装置10Eによると、色再現域が外光Lextに依存しない表示装置を提供することができる。
図6には、隣り合うサブ画素間の境界領域の断面として、赤色用のサブ画素と緑色用のサブ画素との間の境界領域を示している。図6には図示していないが、三原色の加法混色によるカラー表示を実現するために、第4の変形例に係る表示装置10Eは、青色用のサブ画素についても、以下に説明する赤色用のサブ画素および緑色用のサブ画素と同様の構成を備えている。
なお、第4の変形例に係る表示装置10Eの分解斜視図は、図1に示す第1の実施形態に係る表示装置10Aの分解斜視図において、偏光制御部3Aを、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと偏光制御部3Aと下部帯域透過フィルタ41R,41Gとの積層構造に入れ替え、蛍光体層6を、各色用の複数の蛍光体層6R,6Gに入れ替えたものに相当するため、図示を省略する。
第4の第4の変形例に係る表示装置10Eは、上部偏光板1と、上部透明基板2と、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部帯域透過フィルタ41R,41Gと、下部透明基板4と、下部偏光板5と、各色用の複数の蛍光体層6R,6Gと、導光体7と、光電変換部8と、を備える。
上部偏光板1と、上部透明基板2と、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部帯域透過フィルタ41R,41Gと、下部透明基板4と、下部偏光板5とは積層されて、液晶パネルを構成している。
なお、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、これまでの実施例の変形実施例で説明したように、暗所での視認性を確保するための光源を図6の下方へ備える構成において必須となる。外光のみを用いて表示および発電をする構成においては、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは省略することができる。
光電変換部8は、本実施形態では導光体7の端面に配置されており、導光体7の内部を伝搬する蛍光FL,FLを光電変換する。
各色用の複数の蛍光体層6R,6Gは、それぞれが互いに異なる種類の蛍光材料を含む。本実施形態では、赤色用の蛍光体層6Rは赤色の蛍光FLを放射し、緑色用の蛍光体層6Gは緑色の蛍光FLを放射する。蛍光体層6R,6Gのそれぞれの発光波長の範囲は、光の三原色に対応しているのが好ましい。
上部帯域透過フィルタ41R,41Gは、本実施形態では、上部透明基板2と共通電極31との間に介装されている。下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、本実施形態では、画素電極35と下部透明基板4との間に介装されている。赤色用のサブ画素に対応する位置において、赤色用の上部帯域透過フィルタ41Rと赤色用の下部帯域透過フィルタ41Rとは、赤色用の帯域透過フィルタの組を構成している。同様に、緑色用のサブ画素に対応する位置において、緑色用の上部帯域透過フィルタ41Gと緑色用の下部帯域透過フィルタ41Gとは、緑色用の帯域透過フィルタの組を構成している。
赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの組は、赤色の光を透過するだけではなく、赤色用の蛍光体層6Rを励起するための光を透過させる。一般に、蛍光材料の吸収スペクトルと発光スペクトルとの間には、重なる波長領域が存在する。したがって、赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの波長透過特性を、一般的な液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタの赤色の波長領域と、それよりもやや短波長側の波長領域との両方を透過するような特性とする。同様に、緑色用の帯域透過フィルタ41G,41Gの組は、緑色の光を透過するだけではなく、緑色用の蛍光体層6Gを励起するための光を透過させる。
なお、赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの組と、緑色用の帯域透過フィルタ41G,41Gの組との間で、透過する波長領域は互いに重ならないようにすることが好ましい。
図6を参照して、第4の変形例に係る表示装置10Eの動作を説明する。なお、図6に示す例では、赤色を表示する左側のサブ画素については、液晶層33Aに電圧が印加されていない状態であり、緑色を表示する右側のサブ画素については、液晶層33Aに電圧が印加されている状態である。
外光Lextが上部偏光板1に入射すると、透過軸に平行な偏光成分(図中y軸方向)が透過して、偏光制御部3Aに入射する。
図の左側に示す、赤色を表示するサブ画素に入射する外光Lextは、赤色用の帯域透過フィルタ41Rにより、透過する波長範囲が狭められる。赤色を表示する左側のサブ画素では、液晶層33Aに電圧が印加されていない。よって、赤色用の蛍光体層6Rは、赤色用の帯域透過フィルタ41Rを透過した外光Lextを吸収することができ、赤色の蛍光FLを放射する。
図の右側に示す、緑色を表示するサブ画素に入射する外光Lextについても同様に、緑色用の帯域透過フィルタ41Gにより、透過する波長範囲が狭められる。しかし、液晶層33Aに入射する光には、緑色用の蛍光体層6Gを励起するための光が含まれているものの、緑色を表示する右側のサブ画素では、液晶層33Aに電圧が印加されている。よって、緑色用の蛍光体層6Gは、緑色用の帯域透過フィルタ41Gを透過した外光Lextを吸収することができず、緑色の蛍光FLは放射されない。
このように、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aに印加する電圧印加の有無により、液晶シャッターのON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。図示していない、青色用のサブ画素についても同様である。このように、3つのサブ画素に印加する電圧を調整することにより、サブ画素毎に各色の放射量を制御することができ、三原色の加法混色によりカラー表示を実現することができる。
[第2の実施形態]
以下において説明する第2の実施形態に係る表示装置20Aの構成は、特に言及しない限り、第1の実施形態に係る表示装置10Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(概要)
本発明の第2の実施形態では、表示装置(20A,20B)は、
光を吸収する蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体(4)と、
導光体(4)の端面に配置され、導光体(4)の内部を伝搬する蛍光を光電変換する光電変換部(8)と、
液晶層(33A)を含む偏光制御部であって、導光体(4)の外光が入射する一方の面側に配置され、蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射され液晶層(33A)を透過する蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部(3A)と、
を備え、蛍光体(6,6R,6G,15,16)から放射される一部の蛍光により画素を表示し、一部の蛍光により発電する。
蛍光体(6,6R,6G,15,16)は、導光体(4)の表面または内部に配置されている。偏光制御部(3A)は、導光体(4)の一方の面側に、誘電体層(9)を介して配置されている。誘電体層(9)は、偏光制御部(3A)と蛍光体(6,6R,6G,15,16)との間に配置されている。蛍光体(6,6R,6G,15,16)は、偏光制御部(3A)と導光体(4)の一方の面側との間に配置されている。蛍光体(6,6R,6G,16)は層状に形成されていてもよい。
第1の実施形態に係る表示装置10Aの構成では、液晶層33Aと蛍光体層6との間に、液晶パネルを構成する下部透明基板4の厚さに主に対応した一定の距離が存在する。第2の実施形態に係る表示装置20Aでは、この距離に起因して生じる以下の2つの問題を解決する。
第一に、仮にこの距離が画素の配列の周期に比べて大きい場合には、視差の問題が発生する。即ち、表示装置10Aを斜めから観察した場合に、本来は白表示とすべき画素の領域を、隣接する画素に対応する位置の蛍光体から放射された蛍光が通過し、表示画像に乱れが生じる。したがって、表示される画像の精細さが低下する。第二に、携帯機器向けの表示装置にはさらなる薄型化が求められている。しかし、第1の実施形態に係る表示装置10Aでは、LSCを構成する蛍光体層6および導光体7の厚さだけ、表示専用の従来の表示装置に比べて厚くなる。
第2の実施形態に係る表示装置20Aによると、表示装置をさらに薄型化し、視差による影響を低下させて、より高精細な画像を表示することができる。
(構成)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。図8は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
第2の実施形態に係る表示装置20Aは、上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部偏光板5と、誘電体層9と、蛍光体層6と、下部透明基板4と、光電変換部8と、を備える。上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aと、下部透明基板4と、下部偏光板5とは積層されて、液晶パネルを構成している。
本実施形態では、誘電体層9と蛍光体層6とは積層されて、液晶パネルを構成している下部偏光板5と下部透明基板4との間に介装されている。第2の実施形態に係る表示装置20Aは、蛍光体層6が液晶パネル内に配置されたIn-cell構造と呼ぶことができる。本実施形態では、蛍光体層6と、液晶パネルを構成している下部透明基板4と、光電変換部8とがLSCとして機能している。
光電変換部8は、本実施形態では導光体として機能する下部透明基板4の端面に配置されており、下部透明基板4の内部を伝搬する蛍光FLを光電変換する。
誘電体層9は、低屈折率の透明な誘電材料の層である。誘電体層9の材料には、例えば、旭硝子株式会社(AGC Inc.)の製品「サイトップ」(登録商標)を用いることができる。「サイトップ」の屈折率は1.33であり、水と同等である。この値は標準的な樹脂やガラス材料の屈折率1.5より低いため、蛍光FLが全反射により下部透明基板4の内部に閉じ込められ易くなる。ここで重要なのは、誘電材料の屈折率の値そのものではなく、下部透明基板4との屈折率の差を大きくすることである。これにより2つの材料の界面での全反射の臨界角が大きくなり、蛍光FLが光電変換部8に至る確率が増加する。例えば、下部透明基板4として標準的な屈折率1.5程度の樹脂やガラス材料ではなく、屈折率1.8程度のガラス材料を使うことが発電量の増加に有効である。
図8を参照して、第2の実施形態に係る表示装置20Aの断面構造を説明する。蛍光体層6および下部偏光板5は、下部透明基板4の液晶層33A側に配置されている。上部偏光板1の透過軸は図中y軸に沿った方向とし、下部偏光板5の透過軸は図中x軸に沿った方向とする。上部偏光板1の透過軸と下部偏光板5の透過軸とは直交している。液晶分子36の駆動方式として、本実施形態でもTN方式を採用する。即ち、図7および図8中の偏光制御部3Aに示すように、上部配向膜32および下部配向膜34により、液晶分子36の配向方向は直交している。また、下部偏光板5と蛍光体層6との間には、低屈折率の誘電体層9が存在している。導光体として機能する下部透明基板4の4つの端面には、太陽電池として機能する光電変換部8が配置されている。
(動作)
図8を参照して、第2の実施形態に係る表示装置20Aの動作を説明する。外光Lextが上部偏光板1に入射すると、透過軸に平行な偏光成分(図中y軸方向)が透過して、液晶層33Aに入射する。
液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、外光Lextは、液晶層33Aを透過する際に偏光面が90°回転されて、蛍光体層6に至る。外光Lextの偏光面と下部偏光板5の偏光軸とは平行となっており、外光Lextは下部偏光板5を透過することができる。この状態は、液晶パネルが光を透過させる、液晶シャッターが「ON」の状態である。蛍光体層6に至った外光Lextは蛍光体に効率よく吸収されて、蛍光体は蛍光FLを放射する。また、液晶シャッターが「ON」の状態では、蛍光体層6において放射された蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して上方へ伝搬し、外部へ放射される。これにより、画像が表示される。
蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して外部へ放射されるものの、一部の蛍光FLは下部透明基板4内に閉じ込められる。下部透明基板4内に閉じ込められた蛍光FLは、全反射を繰り返して下部透明基板4の内部を伝搬し、下部透明基板4の端面に配置された光電変換部8に至る。光電変換部8に到達した蛍光FLは、光電変換により電力に変換され、図示しない蓄電池に蓄えられる。
液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、外光Lextの中の上部偏光板1を透過した偏光成分が液晶層33Aを透過するが、液晶層33Aにおいて偏光面は回転されない。外光Lextの偏光面と下部偏光板5の偏光軸とは垂直となっており、外光Lextは下部偏光板5を透過することができない。この状態は、液晶パネルが光を透過させない、液晶シャッターが「OFF」の状態である。外光Lextは蛍光体層6に至ることができず、蛍光FLは放射されない。これにより、「黒」が表示される。以上に説明した通り、外光を利用して画像表示と発電とが実現される。
(効果)
以上、第2の実施形態に係る表示装置20Aによると、誘電体層9と蛍光体層6とを積層した構成を、液晶パネルを構成している下部偏光板5と下部透明基板4との間に介装することにより、LSCを構成するための導光体7を別途積層することなく、発電機能を有する表示装置を実現することができる。これにより、第2の実施形態に係る表示装置20Aによると、表示装置をさらに薄型化し、視差による影響を低下させて、より高精細な画像を表示することができる。
[第2の実施形態の変形例]
以下において説明する第2の実施形態の変形例に係る表示装置20Bの構成は、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る表示装置20Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(変形例その1:バックライト)
図9は、第2の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第2の実施形態の第1の変形例に係る表示装置20Bは、液晶パネルおよびLSCを構成し導光体として機能する下部透明基板4の下方に面状光源13をさらに備える点において、第2の実施形態に係る表示装置20Aと異なっている。面状光源13には、例えばLED等で構成される公知のバックライトを用いることができる。
下部透明基板4と面状光源13との間には、さらなる空気層12が存在してもよい。あるいは、さらなる空気層12に代えて、第2の実施形態に係る表示装置20Aと同様の低屈折率の誘電材料が存在してもよい。
表示装置20Bによると、暗所でも画像を表示することができる。また、暗所での使用時において、光源が放出する光のパワーの一部を回収することができる。
図9を参照して、第2の実施形態の第1の変形例に係る表示装置20Bの動作を説明する。暗所でも画像を表示するには、図9に示すように、液晶パネルおよびLSCを構成する下部透明基板4の下方に面状光源13を配置して蛍光体を励起すればよい。即ち、蛍光体を励起する励起光Lsrcは図中の下方から蛍光体層6に至り、蛍光体層6から蛍光FLが放射される。蛍光体層6から放射された蛍光FLの一部は、下部偏光板5の透過軸に平行な偏光成分(図中x軸方向)が透過して、液晶層33Aに至る。
液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、蛍光FLは液晶層33Aにおいて偏光面が90°回転されて上方へ伝搬し、液晶層33Aを離れる時には偏光面が図中y軸方向になる。したがって、蛍光FLは上部偏光板1を透過し外部へ放射される。これに対し、液晶層33Aに電圧が印加されている図中右側の領域では、蛍光FLは液晶層33Aにおいて偏光面が回転されず上部偏光板1を透過することができない。このように、液晶層33Aを含む偏光制御部3Aに印加する電圧印加の有無により、液晶シャッターのON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。
一方で、蛍光FLの一部は、LSCを構成する下部透明基板4内に閉じ込められ、全反射を繰り返して下部透明基板4の内部を伝搬し、下部透明基板4の端面において光電変換部8に至ることにより、発電に寄与する。これにより、面状光源13に投入した電力の一部を回収することができる。
[第3の実施形態]
以下において説明する第3の実施形態に係る表示装置30Aの構成は、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る表示装置20Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(概要)
本発明の第3の実施形態では、表示装置(30A,30B)は、
光を吸収する蛍光体(37)から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体(4)と、
導光体(4)の端面に配置され、導光体(4)の内部を伝搬する蛍光を光電変換する光電変換部(8)と、
液晶層(33B)を含む偏光制御部であって、導光体(4)の外光が入射する一方の面側に配置され、蛍光体(37)から放射され液晶層(33B)を透過する蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部(3B)と、
を備え、蛍光体(37)から放射される一部の蛍光により画素を表示し、一部の蛍光により発電する。
蛍光体(37)は、光の吸収および蛍光の発光に異方性を有し、液晶層(33B)内に混合されている。表示装置(30A,30B)は、導光体(4)の他方の面側に配置される偏光板(5)をさらに備えることができる。
第1の実施形態に係る表示装置10Aおよび第2の実施形態に係る表示装置20Aでは、蛍光体を含む蛍光体層6を液晶層33Aに近接して配置している。第3の実施形態に係る表示装置30Aでは、蛍光体37を液晶層33Bに混合する。液晶層33Bに混合する蛍光体37は、光の吸収と発光に異方性を有している。
第3の実施形態に係る表示装置30Aによると、表示装置をさらに薄型化し、視差による影響を低下させて、より高精細な画像を表示することができる。
(構成)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。図11は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
第3の実施形態に係る表示装置30Aは、上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Bを含む偏光制御部3Bと、下部透明基板4と、下部偏光板5と、光電変換部8と、を備える。上部偏光板1と、上部透明基板2と、液晶層33Bを含む偏光制御部3Bと、下部透明基板4と、下部偏光板5とは積層されて、液晶パネルを構成している。
光電変換部8は、本実施形態では導光体として機能する下部透明基板4の端面に配置されており、下部透明基板4の内部を伝搬する蛍光FLを光電変換する。
偏光制御部3Bは、共通電極31と、上部配向膜32と、液晶層33Bと、下部配向膜34と、画素電極35と、を含む。液晶層33Bは、液晶分子36と、異方性蛍光体37とを含み、上部配向膜32および下部配向膜34間に介装されている。
異方性蛍光体37は、光の吸収と発光に異方性を有する蛍光体である。液晶層33Bに電場が印加されると、異方性蛍光体37は、液晶分子36と共に電場の方向に沿って整列される。これはGuest-Host (GH) 技術と呼ばれている。第3の実施形態に係る表示装置30Aは、異方性蛍光体37が液晶分子36と共に整列するGuest-Host構成と呼ぶことができる。
図11を参照して、第3の実施形態に係る表示装置30Aの断面構造を説明する。偏光制御部3Bの液晶層33Bには、液晶分子36に加えて、光の吸収と発光に異方性を有する蛍光体37が混入されている。液晶層33Bを含む偏光制御部3Bは、上部透明基板2と下部透明基板4との間に介装されている。上部透明基板2の上面には上部偏光板1が配置され、下部透明基板4の下面には下部偏光板5が配置されている。上部偏光板1の透過軸は図中y軸に沿った方向とし、下部偏光板5の透過軸は図中x軸に沿った方向とする。上部偏光板1の透過軸と下部偏光板5の透過軸とは直交している。液晶分子36の駆動方式として、本実施形態でもTN方式を採用する。即ち、図10および図11中の偏光制御部3Bに示すように、上部配向膜32および下部配向膜34により、液晶分子36の配向方向は直交している。導光体として機能する下部透明基板4の4つの側面には、太陽電池として機能する光電変換部8が配置されている。
(動作)
図11を参照して、第3の実施形態に係る表示装置30Aの動作を説明する。外光Lextが上部偏光板1に入射すると、透過軸に平行な偏光成分(図中y軸方向)が透過して、液晶層33Bに入射する。
液晶層33Bに電圧が印加されていない図中左側の領域では、外光Lextは、液晶層33Bを透過する際に偏光面が90°回転される。異方性蛍光体37も液晶分子36と同じ方向を向いており、外光Lextの偏光方向と異方性蛍光体37の配向方向とは略一致しているため、外光Lextはよく吸収され、異方性蛍光体37から蛍光FLが放射される。この放射される蛍光FLの偏光面も、液晶分子36の配向方向と概ね一致している。したがって、蛍光FLの一部はその偏光面を回転させながら液晶層33Bを図の上方へ伝搬し、液晶層33Bを離れ上部透明基板2に到達するときには偏光面は図中y軸方向になる。したがって、蛍光FLは上部偏光板1を透過して外部へ放射される。これにより、「白」が表示される。
蛍光FLの一部は、液晶パネルを透過して外部へ放射されるものの、大部分の蛍光FLは下部透明基板4内に閉じ込められる。例示的には、下部透明基板4の材料が約1.5の標準的な屈折率を有する場合、約75%の蛍光FLが下部透明基板4内に閉じ込められる。下部透明基板4内に閉じ込められた蛍光FLは、全反射を繰り返して下部透明基板4の内部を伝搬し、光電変換部8に至る。光電変換部8に到達した蛍光FLは、光電変換により電力に変換され、図示しない蓄電池に蓄えられる。
液晶層33Bに電圧が印加されている図中右側の領域では、外光Lextは液晶層33Bを透過するが、液晶層33Bにおいて偏光面は回転されない。したがって、外光Lextは、液晶層33Bと下部透明基板4とを透過する。蛍光体37は励起されないので、液晶層33Bからは蛍光FLは放射されない。これにより、「黒」が表示される。以上に説明した通り、外光を利用して画像表示と発電とが実現される。
(効果)
以上、第3の実施形態に係る表示装置30Aによると、液晶層33Bに異方性蛍光体37を混合することにより、LSCを構成するための層を別途積層することなく、発電機能を有する表示装置を実現することができる。これにより、第3の実施形態に係る表示装置30Aによると、表示装置をさらに薄型化し、視差による影響を低下させて、より高精細な画像を表示することができる。
[第3の実施形態の変形例]
以下において説明する第3の実施形態の変形例に係る表示装置30Bの構成は、特に言及しない限り、第3の実施形態に係る表示装置30Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(変形例その1:バックライト)
図12は、第3の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の模式的な断面図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る表示装置30Bは、液晶パネルを構成し導光体として機能する下部透明基板4の下方に面状光源13をさらに備える点において、第3の実施形態に係る表示装置30Aと異なっている。面状光源13には、例えばLED等で構成される公知のバックライトを用いることができる。
下部透明基板4と面状光源13との間には、さらなる空気層12が存在してもよい。あるいは、さらなる空気層12に代えて、低屈折率の誘電材料が存在してもよい。
表示装置30Bによると、暗所でも画像を表示することができる。また、暗所での使用時において、光源が放出する光のパワーの一部を回収することができる。
図12を参照して、第3の実施形態の第1の変形例に係る表示装置30Bの動作を説明する。暗所でも画像を表示するには、図12に示すように、液晶パネルを構成する下部透明基板4の下方に面状光源13を配置して、液晶層33B内の異方性蛍光体37を励起すればよい。
即ち、異方性蛍光体37を励起する励起光Lsrcは、図中の下方から下部偏光板5に至り、下部偏光板5の透過軸に平行な偏光成分(図中x軸方向)が下部偏光板5を透過する。液晶層33Aに電圧が印加されていない図中左側の領域では、励起光Lsrcは液晶層33Bにおいて偏光面が90°回転されながら異方性蛍光体37に至り、異方性蛍光体37から蛍光FLが放射される。蛍光FLの一部はその偏光面を回転させながら液晶層33Bを上方へ伝搬し、液晶層33Bを離れ上部透明基板2に到達するときには偏光面は図中y軸方向になる。したがって、蛍光FLは上部偏光板1を透過して外部へ放射される。
これに対し、液晶層33Bに電圧が印加されている図中右側の領域では、励起光Lsrcは液晶層33Bを透過するが、液晶層33Bにおいて偏光面は回転されない。したがって、液晶層33Bからは蛍光FLは放射されない。また、励起光Lsrcの偏光面は液晶層33Bにおいて回転されないため、励起光Lsrcは上部偏光板1を透過することができない。このように、液晶層33Bを含む偏光制御部3Bに印加する電圧印加の有無により、液晶シャッターのON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。
一方で、蛍光FLの一部は下部透明基板4内に閉じ込められ、全反射を繰り返して下部透明基板4の内部を伝搬し、下部透明基板4の端面において光電変換部8に至ることにより、発電に寄与する。これにより、面状光源13に投入した電力の一部を回収することができる。
[第4の実施形態]
以下において説明する第4の実施形態に係る表示装置40Aの構成は、特に言及しない限り、第3の実施形態に係る表示装置30Aと同様であるので、重複する説明は省略する。
(概要)
本発明の第4の実施形態では、表示装置(40A)は、
光を吸収する蛍光体(37R,37G)から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体(4)と、
導光体(4)の端面に配置され、導光体(4)の内部を伝搬する蛍光を光電変換する光電変換部(8)と、
液晶層(33C)を含む偏光制御部であって、導光体(4)の外光が入射する一方の面側に配置され、蛍光体(37R,37G)から放射され液晶層(33C)を透過する蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部(3C)と、
を備え、蛍光体(37R,37G)から放射される一部の蛍光により画素を表示し、一部の蛍光により発電する。
蛍光体(37R,37G)は、光の吸収および蛍光の発光に異方性を有し、液晶層(33C)内に混合されている。表示装置(40A)は、導光体(4)の他方の面側に配置される偏光板(5)をさらに備えることができる。
表示装置(40A)は、複数の画素のそれぞれの位置において、液晶層(33C)を介装する一対の帯域透過フィルタ(41R,41R,41G,41G)をさらに備える。蛍光体(37R,37G)は、複数の種類の蛍光材料を含む。複数の種類の蛍光材料のそれぞれについて、一対の帯域透過フィルタ(41R,41R,41G,41G)は、蛍光材料を励起する波長範囲の光と、蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる。なお、外光のみを用いて表示および発電をする図示する構成においては、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは省略することができる。
第3の実施形態に係る表示装置30Aでは、光の吸収と発光に異方性を有する異方性蛍光体37を、液晶層33Bに混合している。第4の実施形態に係る表示装置40Aでは、複数の種類の蛍光材料を含む複数の異方性蛍光体37R,37Gを、液晶層33Cに混合する。画素を構成するサブ画素のそれぞれの位置には、液晶層33Cを介装する一対の帯域透過フィルタ(Band Pass Filter: BPF)41R,41R,41G,41Gを配置する。複数の種類の蛍光材料のそれぞれについて、一対の帯域透過フィルタ41R,41Rは、蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる。
第4の実施形態に係る表示装置40Aによると、カラー表示を実現することができる。
(構成)
図13は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。図13には、隣り合うサブ画素間の境界領域の断面として、赤色用のサブ画素と緑色用のサブ画素との間の境界領域を示している。図13には図示していないが、三原色の加法混色によるカラー表示を実現するために、第4の実施形態に係る表示装置40Aは、青色用のサブ画素についても、以下に説明する赤色用のサブ画素および緑色用のサブ画素と同様の構成を備えている。
なお、第4の実施形態に係る表示装置40Aの分解斜視図は、図10に示す第3の実施形態に係る表示装置30Aの分解斜視図において、偏光制御部3Bを、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと偏光制御部3Cと下部帯域透過フィルタ41R,41Gとの積層構造に入れ替えたものに相当するため、図示を省略する。
第4の実施形態に係る表示装置40Aは、上部偏光板1と、上部透明基板2と、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと、液晶層33Cを含む偏光制御部3Cと、下部帯域透過フィルタ41R,41Gと、下部透明基板4と、下部偏光板5と、光電変換部8と、を備える。上部偏光板1と、上部透明基板2と、上部帯域透過フィルタ41R,41Gと、液晶層33Cを含む偏光制御部3Cと、下部帯域透過フィルタ41R,41Gと、下部透明基板4と、下部偏光板5とは積層されて、液晶パネルを構成している。
なお、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、これまでの実施例の変形実施例で説明したように、暗所での視認性を確保するための光源を図13の下方へ備える構成において必須となる。外光のみを用いて表示および発電をする構成においては、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは省略することができる。
光電変換部8は、本実施形態では導光体として機能する下部透明基板4の端面に配置されており、下部透明基板4の内部を伝搬する蛍光FL,FLを光電変換する。
偏光制御部3Cは、共通電極31と、上部配向膜32と、液晶層33Cと、下部配向膜34と、画素電極35と、を含む。液晶層33Cは、液晶分子36と、複数の種類の蛍光材料を含む異方性蛍光体37R,37Gとを含み、上部配向膜32および下部配向膜34間に介装されている。
複数の異方性蛍光体37R,37Gは、それぞれが互いに異なる種類の蛍光材料を含み、それぞれが光の吸収と発光に異方性を有する蛍光体である。これらの蛍光体は、液晶層33Cの内部に均一に分布している。液晶層33Cに電場が印加されると、異方性蛍光体37R,37Gは、Guest-Host (GH) 技術の原理により、液晶分子36と共に電場の方向に沿って整列される。本実施形態では、赤色用の異方性蛍光体37Rは赤色の蛍光FLを放射し、緑色用の異方性蛍光体37Gは緑色の蛍光FLを放射する。異方性蛍光体37R,37Gのそれぞれの発光波長の範囲は、光の三原色に対応しているのが好ましい。
上部帯域透過フィルタ41R,41Gは、本実施形態では、上部透明基板2と共通電極31との間に介装されている。下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、本実施形態では、画素電極35と下部透明基板4との間に介装されている。赤色用のサブ画素に対応する位置において、赤色用の上部帯域透過フィルタ41Rと赤色用の下部帯域透過フィルタ41Rとは、赤色用の帯域透過フィルタの組を構成している。同様に、緑色用のサブ画素に対応する位置において、緑色用の上部帯域透過フィルタ41Gと緑色用の下部帯域透過フィルタ41Gとは、緑色用の帯域透過フィルタの組を構成している。
赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの組は、赤色の光を透過するだけではなく、赤色用の異方性蛍光体37Rを励起するための光を透過させる。一般に、蛍光材料の吸収スペクトルと発光スペクトルとの間には、重なる波長領域が存在する。したがって、赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの波長透過特性を、一般的な液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタの赤色の波長領域と、それよりもやや短波長側の波長領域との両方を透過するような特性とする。同様に、緑色用の帯域透過フィルタ41G,41Gの組は、緑色の光を透過するだけではなく、緑色用の異方性蛍光体37Gを励起するための光を透過させる。
なお、赤色用の帯域透過フィルタ41R,41Rの組と、緑色用の帯域透過フィルタ41G,41Gの組との間で、透過する波長領域は互いに重ならないようにすることが好ましい。
(動作)
図13を参照して、第4の実施形態に係る表示装置40Aの動作を説明する。なお、図13に示す例では、赤色を表示する左側のサブ画素については、液晶層33Cに電圧が印加されていない状態であり、緑色を表示する右側のサブ画素については、液晶層33Cに電圧が印加されている状態である。
外光Lextが上部偏光板1に入射すると、透過軸に平行な偏光成分(図中y軸方向)が透過して、偏光制御部3Cに入射する。
図の左側に示す、赤色を表示するサブ画素に入射する外光Lextは、赤色用の帯域透過フィルタ41Rにより、透過する波長範囲が狭められる。赤色を表示する左側のサブ画素では、液晶層33Cに電圧が印加されていない。よって、複数の異方性蛍光体37R,37Gのうち、赤色用の異方性蛍光体37Rのみが、赤色用の帯域透過フィルタ41Rを透過した外光Lextを吸収することができ、赤色の蛍光FLを放射する。
図の右側に示す、緑色を表示するサブ画素に入射する外光Lextについても同様に、緑色用の帯域透過フィルタ41Gにより、透過する波長範囲が狭められる。しかし、液晶層33Cに入射する光には、緑色用の異方性蛍光体37Gを励起するための光が含まれているものの、緑色を表示する右側のサブ画素では、液晶層33Cに電圧が印加されている。よって、複数の異方性蛍光体37R,37Gの何れも、緑色用の帯域透過フィルタ41Gを透過した外光Lextを吸収することができず、緑色の蛍光FLは放射されない。
このように、液晶層33Cを含む偏光制御部3Cに印加する電圧印加の有無により、液晶シャッターのON状態/OFF状態を切り替えて、表示のON/OFFを制御することができる。図示していない、青色用のサブ画素についても同様である。このように、3つのサブ画素に印加する電圧を調整することにより、サブ画素毎に各色の放射量を制御することができ、三原色の加法混色によりカラー表示を実現することができる。
(効果)
以上、第4の実施形態に係る表示装置40Aによると、複数の異方性蛍光体37R,37Gを液晶層33Cに混合し、画素を構成するサブ画素のそれぞれの位置に帯域透過フィルタ41R,41R,41G,41Gを配置することにより、発電機能を有する表示装置において、カラー表示を実現することができる。
また、本実施形態に係る表示装置40Aによると、色再現域が外光Lextに依存しない表示装置を提供することができる。即ち、従来の反射型の液晶ディスプレイでは、外光の一部を反射して画像を表示するため、その色再現域は外光のスペクトルに依存する。これに対し、本実施形態に係る表示装置40Aでは、赤色用の蛍光体37R,緑色用の蛍光体37G,図示していない青色用の蛍光体37Bがそれぞれ蛍光FL,FL,FLを放射して画像を表示するため、色再現域は蛍光体37R,37G,37Bによって決定される。即ち、外光のスペクトルが変化しても表示画像の色は変わらない。さらに、例えば量子ドットや量子ロッドのような発光スペクトルが狭い蛍光材料を使用することにより、液晶ディスプレイの色再現域を広げることができる。本発明に係る表示装置においてもこれらの材料を使用することで、従来の反射型の液晶ディスプレイに比べて、画像表示の色再現域を格段に広げることができる。
なお、本実施形態では、3種類の蛍光体とそれらに対応する帯域透過フィルタとを用いてサブ画素を構成しているが、仮にこれらを4種類にすると色再現域は四角形となる。このような、用いる原色の数を増やすことにより色再現域を拡張する技術は、プロジェクタや液晶ディスプレイの分野において知られており、本発明にもこのような技術を適用することができる。
[その他の形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
上記した第1から第4の実施形態では、蛍光FLの透過を画素ごとに制御するための液晶の配向技術としてTNモードを用いたが、用いる液晶の駆動モードはTNモードに限らず、種々な駆動モードを用いることができる。例えば、TNパネルに代えて、Vertical Alignment (VA)、In-Plane Switching (IPS)、Fringe Field Switching (FFS)、等の既知の液晶モードに基づく液晶パネルを用いてもよい。また、下部偏光板5を、反射型偏光板(DBEF: Double Brightness Enhancement Film)等に適宜置き換えてもよい。
上記した第1の実施形態の第4の変形例および第4の実施形態では、表示装置10E,40Aのカラー表示を実現しているが、カラー表示を実現する表示装置の構成はこれらに限定されない。第1の実施形態の第1および第2の変形例、第2の実施形態の第1および第2の変形例等についても同様に、表示装置10B,10C,20A,20Bのカラー表示を実現することができる。この場合、カラー表示化された表示装置10B,10C,20A,20Bは、画素を構成するサブ画素のそれぞれの位置において、液晶層33Aを介装する一対の帯域透過フィルタ41R,41R,41G,41Gをさらに備え、各色用の複数の蛍光体層6R,6Gを蛍光体層6に用いるとよい。異方性蛍光体層16を用いる第1の実施形態の第3の変形例についても同様である。
上記した第1から第3の実施形態では、第1の変形例において、表示装置10B,20B,30Bは面状光源13をさらに備えている。カラー表示を実現した第4の実施形態に係る表示装置40Aおよび第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置10Eについてもこれらと同様に、面状光源13をさらに備えることにより、暗所での画像表示を可能にしてもよい。なおこの場合、表示装置40A,10Eは下部帯域透過フィルタ41R,41Gをさらに備える。
上記した第1の実施形態では、第2の変形例において、表示装置10Cは光拡散反射層14をさらに備えている。第2から第4の実施形態に係る表示装置20A,30A,40Aについてもこれと同様に、光拡散反射層14をさらに備えることにより、または光拡散層を配置することにより、蛍光FLの利用効率を向上させてもよい。あるいは、光拡散反射層14および光拡散層の両方を配置してもよい。カラー表示を実現した表示装置40A,10Eについてもこれらと同様である。
上記した第1の実施形態では、第3の変形例において、表示装置10Dは異方性蛍光体37を用いてシースルー化されている。第2の実施形態に係る表示装置20Aについてもこれと同様に、異方性蛍光体37を用いてシースルー化されてもよい。
カラー表示を実現した上記した第4の実施形態では、上部帯域透過フィルタ41R,41Gは上部透明基板2と共通電極31との間に介装されており、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは画素電極35と下部透明基板4との間に介装されているが、これら帯域透過フィルタ41R,41G,41R,41Gの配置はこれに限定されない。上部帯域透過フィルタ41R,41Gは、液晶層33Cの、外光Lextが入射する側の面に配置されていればよく、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、液晶層33Cと下部偏光板5との間に配置されていればよい。カラー表示を実現した第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置10Eについてもこれと同様に、上部帯域透過フィルタ41R,41Gは、液晶層33Aの、外光Lextが入射する側の面に配置されていればよく、下部帯域透過フィルタ41R,41Gは、液晶層33Aと下部偏光板5との間に配置されていればよい。
上記した第3の実施形態では、Guest-Host技術による表示装置30A,30Bの構成が示されているが、表示装置30A,30Bの構成はこれに限定されない。表示装置30A,30Bにおいて、偏光制御部3Bは、導光体4の外光Lextが入射する一方の面側に、空気層11を介して配置されていてもよい。同様に、偏光制御部3Bは、導光体4の外光Lextが入射する一方の面側に、誘電体層9を介して配置されていてもよい。
10A〜10E,20A,20B,30A,30B,40A 表示装置
1 上部偏光板
2 上部透明基板
3A〜3C 偏光制御部
4 下部透明基板(導光体)
5 下部偏光板
6,6R,6G 蛍光体層
7 透明基板(導光体)
8 光電変換部(太陽電池)
9 誘電体層
11 空気層
12 空気層
13 面状光源(バックライト)
14 光拡散反射層
15 異方性蛍光体
16 異方性蛍光体層
17 偏光板
31 共通電極
32 上部配向膜
33A〜33C 液晶層
34 下部配向膜
35 画素電極
36 液晶分子
37,37R,37G 異方性蛍光体
38 配線
39 光吸収体層(ブラックマトリクス)
41R,41R,41G,41G 帯域透過フィルタ
91 導光体
92 透明基板
93 蛍光体層
94 太陽電池
95a,95b 光源
FL,FL,FL 蛍光
LB 励起光
Lext 外光
Lsrc 励起光

Claims (10)

  1. 光を吸収する蛍光体から放射される蛍光が内部を伝搬する導光体と、
    前記導光体の端面に配置され、前記導光体の内部を伝搬する前記蛍光を光電変換する光電変換部と、
    液晶層を含む偏光制御部であって、前記導光体の外光が入射する一方の面側に配置され、前記蛍光体から放射され前記液晶層を透過する前記蛍光の偏光状態を制御することにより、画素の表示を切り替える偏光制御部と、
    を備え、
    前記蛍光体から放射される一部の前記蛍光により前記画素を表示し、一部の前記蛍光により発電する、表示装置。
  2. 前記偏光制御部は、前記導光体の前記一方の面側に、空気層を介して配置されている、請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記偏光制御部は、前記導光体の前記一方の面側に、誘電体層を介して配置されている、請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記蛍光体は、前記導光体の表面または内部に配置されている、請求項1または2に記載の表示装置。
  5. 前記蛍光体は、前記光の吸収および前記蛍光の発光に異方性を有し、前記液晶層内に混合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
  6. 前記導光体の他方の面側に配置される面状の光源をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
  7. 複数の前記画素のそれぞれの位置において、前記液晶層の外光が入射する一方の面側に配置される上部帯域透過フィルタをさらに備え、
    前記蛍光体は、複数の種類の蛍光材料を含み、
    複数の種類の前記蛍光材料のそれぞれについて、前記上部帯域透過フィルタは、当該蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
  8. 前記導光体の他方の面側に配置される面状の光源と、
    複数の前記画素のそれぞれの位置において、前記液晶層の他方の面側に配置される下部帯域透過フィルタと、
    をさらに備え、
    複数の種類の前記蛍光材料のそれぞれについて、前記下部帯域透過フィルタは、当該蛍光材料を励起する波長範囲の光と、当該蛍光材料が放射する波長範囲の光とを透過させる、請求項7に記載の表示装置。
  9. 光拡散層をさらに備え、
    当該光拡散層は、前記導光体の他方の面側に配置されている、または、前記導光体の前記一方の面側の、前記導光体と前記偏光制御部との間に配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の表示装置。
  10. 前記蛍光体は、前記光の吸収および前記蛍光の発光に異方性を有し、
    前記導光体の他方の面側に配置される偏光板をさらに備える、請求項1から5および7のいずれか一項に記載の表示装置。
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