JP2020088241A - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品の耐振性を高めること、および電子部品の放熱性を向上させる。【解決手段】中空部を有する磁性体4と、磁性体4の中空部を貫通し、中空部から突出する導体6と、導体6の表面に形成されている誘電体層30と、誘電体層30の表面に形成されている固体電解質層32−2と、固体電解質層32−2に電気的に接続されている引出層と、磁性体4と導体6との間に配置されるとともに磁性体4および導体6に接触する樹脂8を備える。【選択図】図3
Description
本開示の技術は、磁性体とその中空部に配置された導体とを有する電子部品およびその製造方法に関する。
磁性体の中空部に導体が配置されている電子部品では、導体と磁性体が鎖交してインダクタが形成される。このような電子部品に関し、トロイダル形状の磁性コアの中央部に空芯部が設けられ、このトロイダルコアの空芯部内に導体が挿入配置されることが知られている(たとえば特許文献1)。このような電子部品は、たとえばノイズフィルタとして用いられる。
ところで、磁性体の中空部に導体を配置するには、たとえば中空部の径よりも小さな外径を有する導体が、磁性体の中空部に挿入される。そのため、磁性体と導体の間に隙間が生じ、磁性体および導体に振動が加わると、磁性体と導体の間に衝突や摩擦などの相互干渉が生じることになる。
また、電子部品に電流が流れると、電子部品が発熱することになる。この発熱から電子部品や電子部品が設置される回路を保護するために、たとえば電子部品を介して流れる電流が制限されるなどの課題がある。
そこで、本開示の技術は、振動により生じる磁性体と導体の間の相互干渉が抑制されて、電子部品の耐振性を高めることを第1の目的とする。
また、本開示の技術は、電子部品の放熱性を向上させて、電子部品の温度上昇を抑制することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一側面によれば、電子部品は、中空部を有する磁性体と、前記磁性体の前記中空部を貫通し前記中空部から突出する導体と、前記導体の表面に形成されている誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成されている固体電解質層と、前記固体電解質層に電気的に接続されている引出層と、前記磁性体と前記導体との間に配置されるとともに前記磁性体および前記導体に接触する樹脂を備える。
上記電子部品において、前記樹脂は、前記磁性体と前記導体との間に充填されていてもよい。
上記電子部品において、前記磁性体が筒形状を有し、前記導体が筒形状または円柱形状を有し、前記磁性体および前記導体が前記樹脂により同軸上に固定されていてもよい。
上記電子部品において、前記樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または硬化剤により架橋可能な樹脂であってもよい。
上記電子部品において、前記樹脂が伝熱フィラーを含んでいてもよい。
上記目的を達成するため、本開示の他の側面によれば、電子部品の製造方法は、中空部を有する磁性体を形成する工程と、導体の表面に、順に誘電体層、固体電解質層および引出層を形成する工程と、前記誘電体層、前記固体電解質層および前記引出層が形成された前記導体を前記磁性体の前記中空部に挿入して、前記導体を前記中空部内に配置するとともに前記導体の端部を前記中空部から突出させる工程と、前記磁性体と前記導体との間に樹脂を注入して、注入された樹脂を前記磁性体および前記導体に接触させる工程を含む。
本開示の技術によれば、次のような効果が得られる。
(1) 磁性体と導体との間に配置される樹脂が磁性体および導体に接触しているので、樹脂が緩衝材として機能して、磁性体と導体の間の相互干渉が抑制される。その結果、電子部品の耐振性が高められる。
(2) 磁性体および導体に接触している樹脂が導体に生じる熱を磁性体に伝導するので、導体の熱が磁性体の外側表面に達し易く、電子部品の放熱性が高められる。
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態に係る電子部品の一例を示している。図1のBは、電子部品を図1のAに示すIB方向から見た図である。図1のCでは、電子部品の内部を示すために、磁性体4および樹脂8の前面部が省略されている。
電子部品2は、磁性体4、導体6および樹脂8を備えている。磁性体4は、たとえば筒形状を有し、内部に中空部10(図1のC)を有している。中空部10は磁性体4の筒の端部に到達し、磁性体4の内部を貫いている。導体6は、磁性体4の中空部10に配置されるとともに中空部10から突出して、磁性体4の端部で露出している。つまり、導体6は磁性体4の中空部10を貫通している。斯かる構成により、磁性体4が導体6に鎖交して、磁性体4および導体6がインダクタを形成している。電子部品2は、インダクタを有し、たとえばノイズフィルタとして用いられる。電子部品2において、電圧は導体6の二つの端部に印加される。
導体6は、たとえば円柱形状を有し、磁性体4および導体6が同軸上に配置される。つまり、筒形状を有する磁性体4の中心軸が、導体6の中心軸と一致している。そのため、電子部品2の断面において、導体6および磁性体4が、たとえば同心円を形成する。その結果、ノイズなどの信号の減衰に対して効率よくかつ安定したインダクタを得ることができる。また、磁性体4の長さまたは厚さを調整すると、形成されるインダクタのインダクタンスを調整することができる。つまり、電子部品2は、インダクタンスの高い調整機能を有している。また、導体6の表面には誘電体層が形成され、誘電体層の表面にはプレコート層および固体電解質層が形成され、固体電解質層には引出層が電気的に接続され、容量が形成されている。誘電体層、プレコート層、固体電解質層および引出層は、積層部24(図3)を形成する。
磁性体4と導体6の間には、樹脂8が配置されている。樹脂8の端部は、図1のCに示すように、位置的に磁性体4の筒の端部に一致していてもよく、異なっていてもよい。また、樹脂8は、磁性体4および導体6に接触して、導体6を磁性体4に固定すればよく、磁性体4と導体6の間に部分的に配置されていてもよい。樹脂8の配置により、磁性体4と導体6が、たとえば同心円状またはほぼ同心円状に配置および固定される。導体6と磁性体4の間の距離、つまり樹脂8の厚さが一定であると、導体6と磁性体4の間の相互干渉が最も起こりにくい配置になり、かつ導体6で生じた熱が偏りなく磁性体4に伝達される配置になる。
磁性体4は、たとえば磁性を有する箔であり、たとえば帯状の磁性箔を巻くことにより形成される。磁性体4は、珪素鋼、軟磁性結晶材、ナノクリスタル材、アモルファス金属またはアモルファス合金などの磁性材料を含む。磁性体4は、たとえば鉄系アモルファス材料、コバルト系アモルファス材料、鉄系ナノクリスタル材料、鉄−ニッケル系合金、鉄−ケイ素合金などの磁性材料を含む。
鉄系アモルファス材料は、鉄系アモルファス金属または鉄系アモルファス合金の一例であり、磁気飽和しにくい材料である。鉄系アモルファス材料を含む電子部品2は、電流が重畳されている時であってもインダクタンスを有するので、電子部品2は、電流を出力しながらインダクタンスを有することができる。鉄系アモルファス材料を含む電子部品2の最大電流は、たとえば100〜200アンペアであり、電子部品2の周波数は、たとえば0〜100メガヘルツである。
鉄系アモルファス材料を含む磁性箔の厚さは、たとえば20マイクロメートルまたは約20マイクロメートルであり薄いので、鉄系アモルファス材料を含む磁性箔は、磁性箔の巻回に適している。鉄系アモルファス材料を含む磁性箔の透磁率は、熱処理により、たとえば150〜5000[H/m]の広い範囲で制御することができる。鉄系アモルファス材料を含む磁性箔は、優れた入手性およびコストパフォーマンスを有する。
コバルト系アモルファス材料は、アモルファス金属またはアモルファス合金の一例であり、高周波において角型のB−H曲線(磁気ヒステリシス曲線)を有する。コバルト系アモルファス材料を含む電子部品2の最大電流は、たとえば100〜200アンペアであり、電子部品2は、たとえば可飽和コイルに適して、半導体素子のスイッチング時に発生するスパイクノイズの抑制に適している。また、コバルト系アモルファス材料を含む電子部品2は、広い周波数範囲、たとえば0.01〜30メガヘルツで高いインピーダンスを有する。
コバルト系アモルファス材料を含む磁性箔は、磁性箔の巻回に適している。コバルト系アモルファス材料を含む磁性箔では、熱処理により、角型のB−H曲線が得られやすく、磁路に直角方向の磁場熱処理により、平坦なB−H曲線が得られやすい。つまり、コバルト系アモルファス材料を含む磁性箔は、B−H曲線の調整能力が高い。
鉄系ナノクリスタル材料は、ナノクリスタル材の一例であり、高周波において角型のB−H曲線を有し、高い飽和磁束密度を有し、高エネルギーのパルスを吸収することができる。鉄系ナノクリスタル材料を含む電子部品2の最大電流は、たとえば100〜200アンペアであり、電子部品2は、たとえば可飽和コイルに適して、半導体素子のスイッチング時に発生するスパイクノイズの抑制に適している。また、鉄系ナノクリスタル材料を含む電子部品2は、広い周波数、たとえば0.01〜30メガヘルツで高いインピーダンスを有する。
鉄系ナノクリスタル材料を含む磁性箔は、磁性箔の巻回に適している。鉄系ナノクリスタル材料を含む磁性箔では、磁場熱処理により、角型のB−H曲線が得られやすく、磁路に直角方向の磁場熱処理により、平坦なB−H曲線が得られやすい。つまり、鉄系ナノクリスタル材料を含む磁性箔は、B−H曲線の調整能力が高い。鉄系ナノクリスタル材料を含む磁性箔は、良い入手性およびコストパフォーマンスを有している。
鉄−ニッケル系合金は、軟磁性結晶材の一例であり、角型のB−H曲線を有し、高い飽和磁束密度を有し、高エネルギーのパルスを吸収することができる。鉄−ニッケル系合金を含む電子部品2の最大電流は、たとえば100〜200アンペアである。また、鉄−ニッケル系合金を含む電子部品2は、高いインピーダンスを有し、その周波数は、たとえば0.1〜1メガヘルツである。
鉄−ニッケル系合金を含む磁性箔では、磁場熱処理により、角型のB−H曲線が得られやすく、磁路に直角方向の磁場熱処理により、平坦なB−H曲線が得られやすい。つまり、鉄−ニッケル系合金を含む磁性箔は、B−H曲線の調整能力が高い。
鉄−ケイ素合金は珪素鋼の一例であり、鉄−ケイ素合金を含む磁性箔は、市場において広く流通し、優れた入手性およびコストパフォーマンスを有している。
磁性体4は絶縁層を箔の内側表面または外側表面に有し、磁性体4の箔の他の表面では、磁性材料が露出している。絶縁層は、磁性体4の積層された箔間を積層方向において絶縁している。絶縁層は、ノイズ電流により生じる渦電流を、磁性体4の各層に分割し、ノイズを効率的に熱に変換している。絶縁層は、絶縁性を有し、たとえば非磁性の絶縁粉体の集合体である。絶縁層は、たとえば以下の物質、
(1) けい酸ナトリウム、アルミノけい酸アルカリ塩、フィロけい酸アルカリ塩、炭化ケイ素、硫酸カルシウム半水塩、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの天然無機化合物、
(2) 酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、二酸化スズ、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、五酸化二アンチモン、酸化チタンなどの金属酸化物、
(3) ペロブスカイト、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩、チタン酸塩、ニオブ、タンタル、タングステン酸塩などの複酸化物からなるセラミックス、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム焼結体、窒化ホウ素、窒化ホウ素マグネシウム、窒化ホウ素複合体、窒化ケイ素、窒化ケイ素ランタン、サイアロンなどの窒化物、炭化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素アルミニウム、炭化チタンなどの炭化物、二ホウ化チタン、六ホウ化カルシウム、六ホウ化ランタンなどのホウ化物で例示されるセラミックス素材を単一、もしくは複合して形成したセラミックス、
である。絶縁層は、単独の材料でもよく、複数の材料の混合物であってもよい。絶縁層は、好ましくは、たとえば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、五酸化二アンチモン、または酸化チタンの粉末の集合体である。絶縁層は、絶縁粉体の間に空気層を有していてもよい。空気層は、絶縁性を有し、絶縁層の絶縁性を高めることができる。
(1) けい酸ナトリウム、アルミノけい酸アルカリ塩、フィロけい酸アルカリ塩、炭化ケイ素、硫酸カルシウム半水塩、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの天然無機化合物、
(2) 酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、二酸化スズ、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、五酸化二アンチモン、酸化チタンなどの金属酸化物、
(3) ペロブスカイト、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩、チタン酸塩、ニオブ、タンタル、タングステン酸塩などの複酸化物からなるセラミックス、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム焼結体、窒化ホウ素、窒化ホウ素マグネシウム、窒化ホウ素複合体、窒化ケイ素、窒化ケイ素ランタン、サイアロンなどの窒化物、炭化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素アルミニウム、炭化チタンなどの炭化物、二ホウ化チタン、六ホウ化カルシウム、六ホウ化ランタンなどのホウ化物で例示されるセラミックス素材を単一、もしくは複合して形成したセラミックス、
である。絶縁層は、単独の材料でもよく、複数の材料の混合物であってもよい。絶縁層は、好ましくは、たとえば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、五酸化二アンチモン、または酸化チタンの粉末の集合体である。絶縁層は、絶縁粉体の間に空気層を有していてもよい。空気層は、絶縁性を有し、絶縁層の絶縁性を高めることができる。
磁性体4の外周端部では、磁性箔が、スポット溶接または他の溶接などで接続されて、磁性体4の形状が維持されている。
導体6は、導電性を有する線状部材または棒状部材である。導体6は、たとえば、銅、銀などの低抵抗部材の線のもしくは棒であってもよく、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステンなどの弁金属の線または棒であってもよい。導体6は、好ましくは、銅線または棒状の銅である。導体6は、導電性を有する箔であってもよく、帯状の導電性箔を巻くことにより筒状に形成されていてもよい。
樹脂8は、液状態から硬化する樹脂であって、たとえば熱可塑性樹脂、シリコーンエラストマなどの熱硬化性樹脂、または硬化剤により架橋可能な樹脂である。樹脂8は、磁性体4と導体6との間に充填されて、その後硬化される。樹脂8は、磁性体4に対する導体6の相対的な位置を固定する。導体6の位置の固定は、電子部品2の耐振性を向上させるとともに、電子部品2のインピーダンス(たとえばインダクタンス)を安定させる。また、樹脂8の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも高いので、樹脂8は、電流が流れることにより導体6で生じる熱を空気よりも効率的に磁性体4に伝導することができ、電子部品2の放熱性を高めることができる。樹脂8は、銅粉末およびアルミニウム粉末などの金属粉末フィラーを含んでいてもよい。この金属粉末フィラーは、伝熱フィラーの一例であり、樹脂8よりも高い熱伝導率を有する。この金属粉末フィラーが樹脂8内に分散されると、樹脂8の熱伝導率を高めることができ、電子部品2の放熱性を高めることができる。電子部品2では、磁性体4を導体6から電気的に絶縁する必要がない。したがって、金属粉末フィラーの含有量の制限はなく、樹脂8は導電性を有していてもよい。樹脂8に含まれているフィラーは、樹脂8よりも高い熱伝導率を有する非金属伝熱フィラーであってもよい。このような非金属伝熱フィラーは、樹脂8の熱伝導率を高めることができ、電子部品2の放熱性を高めることができる。
〔電子部品の製造手順〕
〔電子部品の製造手順〕
図2は、電子部品の製造手順の一例を示している。電子部品2の内部を示すために、図2のBでは、磁性体4の前面部が省略され、図2のCでは、磁性体4および樹脂8の前面部が省略されている。電子部品の製造手順は、電子部品の製造方法の一例である。電子部品の製造手順は一例であり、これらの手順により本開示の技術が限定されるものではない。
導体の挿入工程では、図2のAに示すように、棒状の導体6の一端を支持台12の支持孔14に差し込み、支持台12に導体6を支持させる。帯状の磁性箔を巻いて、磁性体4を形成し、図2のBに示すように、磁性体4を導体6の周りに配置する。つまり、導体6が磁性体4の中空部10に挿入される。支持台12がたとえば位置決め突部16を備え、磁性体4の配置位置は、この位置決め突部16により調整され、たとえば磁性体4の中心軸が導体6の中心軸と一致するように調整される。
樹脂の充填工程では、図2のCに示すように、磁性体4と導体6の間に樹脂8が充填される。その後、樹脂8が硬化し、磁性体4と導体6および積層部24が接着され、固定される。
導体の挿入工程では、磁性体4を支持台12上に配置し、そして、導体6を磁性体4に挿入して、導体6の一端を支持台12の支持孔14に差し込むようにしてもよい。また、樹脂の充填工程では、磁性体4と導体6の間に樹脂8が部分的に充填されていてもよい。
第1の実施の形態によれば、樹脂8の配置により、耐振性の向上、放熱性の向上などの効果を得ることができる。
第2の実施の形態
第2の実施の形態
図3のAは、第2の実施の形態に係る電子部品の一例を示し、図3のBは、電子部品に含まれる導体および積層部の断面を概念的に示している。図3のAでは、電子部品の内部を示すために、磁性体4および樹脂8の一部が省略されている。図3のBでは、線状または棒状の導体および積層部が、これらの伸びる方向に沿って切断されている。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。図3に示す電子部品は一例であって、斯かる電子部品に本開示の技術が限定されるものではない。
電子部品22は、磁性体4、導体6、樹脂8、積層部24、レジスト層26およびリード導体28を備えている。磁性体4、導体6および樹脂8は第1の実施の形態と同様でありその説明を省略する。電子部品22では、第1の実施の形態と同様に、導体6が磁性体4の中空部10(図4のA、図5のA)に配置されるとともに中空部10から突出している。斯かる構成により、磁性体4が導体6に鎖交して、磁性体4および導体6がインダクタを形成している。
積層部24は、導体6の表面に形成される。積層部24の形成により、積層部24の固体電解質層32−2と導体6の間に容量が形成される。そのため、電子部品22は、インダクタと容量を有するLC電子部品として機能し、たとえばノイズフィルタとして用いられる。つまり、電子部品22がノイズ源の内部インピーダンスとは異なるインピーダンスを有し、インピーダンスの不整合により電子部品22がノイズを遮断する。遮断されたノイズ電流は、リード導体28を通り、接地に向かって流れる。
第1の実施の形態と同様に、磁性体4および導体6が同軸上に配置され、電子部品22の断面において、導体6、積層部24および磁性体4が、たとえば同心円を形成する。その結果、ノイズなどの信号の減衰に対して効率かつ安定したインダクタおよび容量を得ることができる。また、磁性体4の長さまたは厚さを調整すると、形成されるインダクタのインダクタンスを調整することができる。つまり、電子部品22は、インダクタンスの高い調整機能を有している。
導体6は、第1の実施の形態の導体6と同様であるが、好ましくは化成可能な線状部材または棒状部材である。導体6は、たとえば弁金属の線または棒であり、好ましくは、アルミニウム線またはアルミニウム棒である。導体6の側面は、たとえばエッチングされて、導体6の側面の面積が拡大している。
積層部24は、誘電体層30および電極層32を含む。誘電体層30は誘電性を有し、導体6および電極層32の間に配置される。そのため、導体6、誘電体層30および電極層32は容量を形成する。導体6はこの容量の第1の電極を形成し、電極層32はこの容量の第2の電極を形成する。第1の電極は、たとえば陽極であり、陰極であってもよく、第2の電極は、たとえば陰極であり、陽極であってもよい。たとえば積層部24の形成面積、エッチングにより拡大される導体6の表面積、または誘電体層30の内部構造や厚さを調整すると、電子部品22の容量を調整することができる。つまり、電子部品22は、容量の高い調整機能を有している。
誘電体層30は、たとえば導体6の化成処理により形成される。導体6の表面がたとえばアルミニウムであるとき、この誘電体層30は、たとえば酸化アルミニウム膜である。つまり、誘電体層30は、たとえば、導体6の表面に存在する材料の酸化物である。誘電体層30は、導体6と電極層32の間だけでなく、電極層32の外側にも配置されている。しかしながら、本開示では、導体6と電極層32の間に配置されている誘電体層30の一部分が積層部24に含まれるものとする。
電極層32は、導電性を有し、たとえばプレコート層32−1、固体電解質層32−2、カーボン層32−3、および銀層32−4を有する。プレコート層32−1、固体電解質層32−2、カーボン層32−3、および銀層32−4は、誘電体層30側から、プレコート層32−1、固体電解質層32−2、カーボン層32−3、および銀層32−4の順に積層されている。プレコート層32−1および固体電解質層32−2は、たとえば、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))などの導電性高分子を含み、容量の固体電解質層として機能する。カーボン層32−3は、炭素を含み、銀層32−4は銀を含む。カーボン層32−3および銀層32−4によって、引出層(たとえば陰極引出層)が形成される。この引出層は、固体電解質層32−2に電気的に接続して、固体電解質層32−2から電気を引き出す機能を有する。電極層32は、他の層を含んでいてもよく、プレコート層32−1、固体電解質層32−2、カーボン層32−3、および銀層32−4の一部の層で形成されていてもよい。
レジスト層26は、導体6を部分的かつ筒状に覆う被覆層の一例であり、たとえば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂およびアクリル系樹脂などの樹脂である。レジスト層26は、高い抵抗を有し、直流電流の通過を阻止する。レジスト層26は、たとえば導体6上の誘電体層30の表面に形成され、積層部24の両端に接触している。レジスト層26は、たとえば固体電解質層32−2の外側表面と同じ高さを有している。レジスト層26が高い抵抗を有するので、レジスト層26は、誘電体層30とともに、導体6と電極層32が直流的に短絡するのを防止する。誘電体層30の表面に電極層32を形成するときには、レジスト層26は、誘電体層30の表面を保護するとともに電極層32の形成範囲を規制する。
リード導体28は、導電性を有する箔または線であり、たとえば銅箔または銅線である。リード導体28は、一端が積層部24の電極層32の引出層に接続するとともに他端が磁性体4の外側に引き出されている。リード導体28は、たとえば磁性体4と導体6上の積層部24との間であって、磁性体4の内側表面、導体6の側面および積層部24に沿って配置されている。
図4および図5は、電子部品およびその分布定数回路として表した等価回路の一例を示している。図4のAおよび図5のAでは、中空部10内の導体6、積層部24およびレジスト層26を表すため、磁性体4および樹脂8の前面部が省略されている。
図4のAに示す電子部品22では、積層部24はすべて磁性体4の中空部10内に配置されている。つまり、容量の形成位置に関わる固体電解質層32−2は、すべて磁性体4の中空部10内に配置されている。そのため、図4のAにおいて破線で囲われている磁性体4の両端部分では、容量Cの外側にインダクタL1、L2が形成される。図4のBは、この電子部品22の分布定数回路として表した等価回路を示している。磁性体4の両端部分では、インダクタのみが形成されている。そのため、積層部24にリード導体28を接続し、このリード導体28を磁性体4の外側に引き出すと、T型LC回路を形成することができる。
図4のAの電子部品22では、積層部24はすべて磁性体4の中空部10内に配置されているが、図5のAに示すように、積層部24の一部が磁性体4から露出していてもよい。つまり、容量の形成位置に関わる固体電解質層32−2の一部は、磁性体4の外側に配置されている。図5のAにおいて破線で囲われている磁性体4の外側部分では、インダクタLの外側に容量C1、C2が形成される。図5のBは、この電子部品22の分布定数回路として表した等価回路を示している。磁性体4の両端および磁性体4の外側では、インダクタの外側に容量が形成されている。そのため、積層部24の両端にリード導体28−1、28−2を接続し、このリード導体28−1、28−2を引き出すと、π型LC回路を形成することができる。ギガヘルツ領域などの高周波領域では、積層部24の各部位の電圧が、時間と位置とによって変化し、積層部24が高周波的に分割される。その結果、リード導体28−1、28−2が積層部24の両端にそれぞれ接続されていると、回路的に二つの容量を形成することができる。T型LC回路およびπ型LC回路などの回路形態は、たとえば電子部品22が接続されるノイズ源の状況により選択される。電子部品22は、製造過程における積層部24の配置位置、特に誘電体層30および固体電解質層32−2の配置位置の調整により複数の回路形態に対応することができ、ノイズ源のインピーダンスに応じた高い回路選択性を有している。
図4および図5に示すように、積層部24の配置位置、特に誘電体層30および固体電解質層32−2の配置位置を調整することで、電子部品22の回路形態をたとえばT型またはπ型に変更することができる。また、たとえば、積層部24の一端が、図4のAに示すように中空部10内に配置され、積層部24の他端が、図5のAに示すように、磁性体4から露出していると、固体電解質層32−2の一端は中空部10内に配置され、他端は磁性体4から露出する。そのため、図示しないL型LC回路が形成される。たとえば、積層部24の全体が磁性体4から露出していても、L型LC回路が形成される。導体6が中空部10から突出しているので、積層部24、特に誘電体層30または固体電解質層32−2の端部を、中空部10内だけでなく磁性体4から露出する位置に配置することができる。積層部24の配置位置の自由度が高く、電子回路22はLC回路の複数の回路形態に対応できる。
〔電子部品の製造手順〕
〔電子部品の製造手順〕
図6および図7は、電子部品の製造手順の一例を示し、図8および図9は、導体の表面の変化および積層部の形成過程の一例を示している。電子部品の製造手順は、電子部品の製造方法の一例である。電子部品の製造手順、導体の表面の変化および積層部の形成過程は一例であり、これらの手順、変化、過程により本開示の技術が限定されるものではない。
電子部品22の製造手順は、エッチング工程と、誘電体層形成工程と、マスキング工程と、電極層形成工程と、誘電体層修復工程と、レジスト層形成工程と、電極形成工程と、エージング工程とを含む。電極層形成工程は、プレコート層形成工程と、固体電解質層形成工程と、引出層形成工程とを含む。引出層形成工程は、カーボン層形成工程と、銀層形成工程とを含む。電子部品22の製造手順は、第1の実施の形態で既述した導体の挿入工程と樹脂の充填工程をさらに含む。
エッチング工程では、たとえば、導体6が塩化物水溶液に浸される。その後、導体6に直流電流または交流電流が流されて、導体6の表面をエッチングする。このようなエッチング処理により、導体6の表面が、図8のAに示されている表面状態から図8のBに示されている表面状態に変化して、導体6の表面積が拡大する。
誘電体層形成工程では、たとえば、エッチングされた導体6がアジピン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、またはホウ酸アンモニウム水溶液などの化成処理液中に浸される。その後、導体6に所定の電圧を印加して、導体6の表面に酸化皮膜(誘電体層30)を形成する。このような化成処理により、導体6の表面が、図8のBに示されている表面状態から図8のCに示されている表面状態に変化する。
マスキング工程では、図6のAに示すように、導体6の側面に、固体電解質層形成面34を設定する。そして、設定した固体電解質層形成面34の隣接部分において、マスキング部材36を導体6の側面に貼り付ける。マスキング部材36は、固体電解質層形成面34の隣接部分において、導体6の側面を覆い、後の工程で形成される層が固体電解質層形成面34から外側に出るのを抑制する。また、固体電解質層形成面34から外側に出た層は、マスキング部材36を除去することで、導体6の表面から取り除くことができる。マスキング部材36は、たとえば、ポリイミドテープなどの耐薬品性テープである。ポリイミドテープは、耐薬品性に優れるだけでなく、耐熱性にも優れ、加熱および薬品を伴う処理において優れた安定性を有している。
プレコート層形成工程では、図6のBに示すように、プレコート層32−1が導体6の固体電解質層形成面34に形成される。プレコート層形成工程では、マスキング部材36が付された導体6が、化学重合液38に浸される。この化学重合液38は、たとえば第1液としてモノマー溶液と第2液として酸化剤溶液とを有する。マスキング部材36が付された導体6が、たとえばモノマー溶液に浸され、次にたとえば酸化剤溶液に浸される。モノマー溶液および酸化剤溶液が化学重合を発生させて、プレコート層32−1が形成される。モノマー溶液は、EDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などのモノマーと、エタノールなどの溶媒を含む。酸化剤溶液は、p−トルエンスルホン酸鉄などの酸化剤と、エタノールなどの溶媒を含む。溶媒は、モノマーまたは酸化剤を分散させることができる揮発性溶剤であればよく、エタノールに限定されるものではない。また、モノマー溶液および酸化剤溶液は、形成するプレコート層32−1に応じて、適切に選択されてもよい。プレコート層32−1は、図9のAに示すように、誘電体層30上に形成される。なお、プレコート層32−1は、このプレコート層形成工程以外の手法を用いて形成してもよく、導電性高分子の分散液の塗布・乾燥によってプレコート層32−1を形成してもよい。
固体電解質層形成工程では、図6のCに示すように、固体電解質層32−2が固体電解質層形成面34に形成される。固体電解質層形成工程では、導体6および電極42が、電解重合液40に浸されるとともに、直流電源44の正極および負極にそれぞれ接続される。導体6および電極42の間に電位が生じると、固体電解質層32−2が形成される。電解重合液40は、EDOTなどのモノマーと、支持電解質と、水やアセトニトリルなどの溶媒を含む。支持電解質は、たとえばボロジサルチル酸アンモニウムおよびブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含む。電解重合液40は、形成する固体電解質層32−2に応じて、適切に選択されてもよい。固体電解質層32−2は、図9のBに示すように、プレコート層32−1上に形成される。なお、この固体電解質層形成工程では、導体6が直流電源44の正極と接続されているが、直流電源44の接続は斯かる接続に限らない。たとえば、プローブなどの針状の電極によって、プレコート層32−1が直流電源44の正極と接続されてもよい。形成されるプレコート層32−1の導電性は十分に高いことが好ましい。プレコート層32−1の形成条件によっては、プレコート層32−1の導電性が低く、導体6からの直流電流がプレコート層32−1の表面まで通電しない場合があるが、プレコート層32−1に直接正極を接続することで、プレコート層32−1と電極42との間に電位が生じ、固体電解質層32−2が形成され易くなる。
誘電体層修復工程では、たとえば、図6のDに示すように、固体電解質層32−2が形成された導体6が化成処理液46中に浸される。その後、導体6に所定の電圧を印加して、誘電体層30が修復される。この誘電体層修復工程の後、マスキング部材36が導体6から外される。
レジスト層形成工程では、レジストが固体電解質層32−2に隣接している導体6の表面に塗布され、たとえば150[℃]で、15分間乾燥される。レジストの乾燥により、図7のAに示すように、固体電解質層32−2の外側に、レジスト層26が形成される。レジストは、レジスト層26の原料であって、乾燥により固化する液体である。
カーボン層形成工程では、カーボンペーストが固体電解質層32−2上に塗布され、たとえば150[℃]で、15分間乾燥される。カーボンペーストの乾燥により、図7のBに示すように、カーボン層32−3が形成される。カーボン層32−3は、図9のCに示すように、固体電解質層32−2上に形成される。
銀層形成工程では、銀ペーストがカーボン層32−3上に塗布され、たとえば150[℃]で、15分間乾燥される。銀ペーストの乾燥により、図7のCに示すように、銀層32−4が形成される。銀層32−4は、図9のDに示すように、カーボン層32−3上に形成される。
電極形成工程では、図7のDに示すように、リード導体28がたとえば導電性ペーストで銀層32−4に接着される。導電性ペーストは、たとえば150[℃]で、15分間乾燥される。
電極形成工程の後、エージング工程において、誘電体層30の欠陥部に形成された固体電解質層32−2がたとえばエージング処理により絶縁化される。このエージング処理では、導体6とリード導体28の間に、直流電圧が加えられる。直流電圧は、たとえば電子部品22の設定最高電圧以上の電圧である。このエージング処理により、誘電体層30の欠陥部に形成された固体電解質層32−2が絶縁化され、形成される容量の漏れ電流を抑制することができる。
エージング工程の後、第1の実施の形態で既述した導体の挿入工程および樹脂の充填工程を行い、電子部品22が得られる。
〔第2の実施の形態の効果〕
〔第2の実施の形態の効果〕
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で既述した効果の他、以下の効果が得られる。
(1) 磁性体4と導体6がインダクタを形成するが、導体6の表面に容量が形成されるので、容量の形成により部品がほとんど拡大しない。したがって、電子部品22は、配線で接続されたインダクタ素子およびキャパシタ素子を含むLC回路に比べて、小さくすることができる。また、回路基板における電子部品22の設置面積は、インダクタ素子およびキャパシタ素子を含むLC回路に比べて、小さくすることができる。
(2) 導体6が、インダクタの導体部分だけでなく容量の第1の電極として機能するとともに、インダクタと容量を接続するので、インダクタと容量を配線で接続する必要がなく、インダクタと容量との接続負担が軽減される。配線によるインダクタと容量の接続は、配線に生じる寄生容量によって、自己共振周波数特性などの特性の劣化、周辺の電子部品への影響などをもたらす可能性がある。しかしながら、電子部品22では、配線の不存在により、たとえば、特性の劣化が少なく、LC電子部品としてのフィルタ特性の劣化も少なくできる。
(3) 電子部品22は、導体6の端部が磁性体4から突出しているものの、導体6の中央部分は磁性体4内に配置されている。そのため、電子部品22は、たとえば基板と基板上に配置されたインダクタ素子および容量素子とを含むLC回路よりも高い堅牢性を有する。
(4) 磁性体4の長さまたは厚さを調整すると、電子部品22のインダクタンスを調整することができる。また、積層部24の形成面積、エッチングにより拡大される導体6の表面積、または誘電体層30の内部構造や厚さを調整すると、電子部品22の容量を調整することができる。さらに、積層部24の配置位置を調整することで、電子部品22の回路形態を変更することができる。インダクタンス、容量および回路形態の調整の自由度が高く、電子部品22の回路の柔軟性や融通性が高い。また、磁性体4の長さや積層部24の形成面積などの調整により、電子部品22は、たとえばノイズフィルタとして実用的なインダクタンスおよび容量を有することができ、実用性を兼ね備えている。
(5) 固体電解質層32−2を樹脂8で覆うので、固体電解質層32−2が外気と遮断される。容量素子の耐湿性が向上し、安定した容量特性が得られる。また、固体電解質層32−2を樹脂8で覆うので、固体電解質層32−2が保護され、外力による衝撃が電子部品22に加わった場合に固体電解質層32−2の劣化が低減され、安定した容量特性が得られる。
(6) 銀層32−4とリード導体28の接着部分を樹脂で覆うことで、接着強度を向上させることができる。
(7) リード導体28は、たとえば磁性体4と積層部24の間に配置され、磁性体4の外側に引き出されている。そのため、リード導体28が磁性体4の内側表面から外側表面に向けて、磁性体4の径方向に配置されることがなく、リード導体28が磁性体4の磁路を妨げる(つまり磁路を途切れさせる)ことがない。磁路の途切れは、磁気的なギャップを生じさせる。磁気的なギャップは、磁気抵抗の増加、透磁率の低下、インダクタンスの低下、磁束の漏洩、周囲の導電部分における誘導電流の発生、および磁束の漏洩に伴う発熱などの損失要因を発生させる場合がある。磁性体4の発熱は、固体電解質層32−2に熱的影響を与える場合があり、漏洩した磁束は、固体電解質層32−2に誤作動などの磁気的影響を与える場合がある。リード導体28が磁性体4および積層部24に沿って配置されて、磁路の途切れを回避することで、この損失要因、熱的影響、磁気的影響を抑制することができる。また、磁束の漏洩が抑制されているので、漏洩した磁束による過電流損失が抑制され、磁性体4の交流損失が抑制され、電子部品22の等価直列抵抗(ESR)を抑制できる。
第3の実施の形態
第3の実施の形態
図10は、第3の実施の形態に係る電子部品の一例を示している。図10において、図3と同一部分には同一符号を付してある。図10では、電子部品の内部を示すために、磁性体4および樹脂8の前面部が省略されている。
電子部品52は、磁性体4、導体6、樹脂8、複数の積層部24−1、24−2、複数のレジスト層26および複数のリード導体28を備えている。磁性体4、導体6、樹脂8、各積層部24−1、24−2、各レジスト層26および各リード導体28は、それぞれ第2の実施の形態の磁性体4、導体6、樹脂8、積層部24、レジスト層26およびリード導体28と同様である。電子部品52では、二つの積層部24−1、24−2が導体6の表面に形成され、積層部24−1の固体電解質層と導体6の間に第1の容量が形成され、積層部24−2の固体電解質層と導体6の間に第2の容量が形成される。また各リード導体28は、積層部24−1、24−2に形成された引出層の一つに接続する。電子部品52では、二つの積層部24−1、24−2の間に一つのレジスト層26が配置されている。しかしながら、二つの積層部24−1、24−2の間に二つのレジスト層26が配置され、各レジスト層26が積層部24−1、24−2のいずれかの端部に接触していてもよい。
電子部品52では、二つの容量、つまり第1の容量および第2の容量が形成される。積層部24−1、24−2の形成面積、エッチングにより拡大される導体6の表面積、または誘電体層30の内部構造や厚さを調整することにより、二つの容量の容量値を異ならせることができる。電子部品52では、たとえば積層部24−1の形成面積が積層部24−2の形成面積よりも小さく、第1の容量が第2の容量の容量値よりも小さな容量値を有している。
容量の共振周波数は、その容量の容量値により定まる。具体的には、容量値が大きくなると、共振周波数が小さくなる。共振周波数では、容量のインピーダンスが低下して、電流が容量を通過することになる。電子部品22、52などのLC電子部品において、リード導体28を接地に接続して、容量を接地すると、共振周波数を有する電流が容量を介して接地に流れて、導体6を流れる電流から共振周波数を有する電流を除去することができる。
図11のAは、電子部品52に形成される二つの容量の個々のインピーダンス特性の一例を示し、図11のBは、電子部品52に形成される二つの容量全体のインピーダンス特性の一例を示している。
電子部品52に形成される二つの容量の容量値が異なると、図11のAに示すように、二つの容量のインピーダンス特性が異なる。たとえば、第1の容量は周波数f1で共振し、第1の容量のインピーダンス54−1は周波数f1で最も低くなる。第2の容量は周波数f2で共振し、第2の容量のインピーダンス54−2は周波数f2で最も低くなる。周波数f1、f2は、共振周波数の一例である。
電子部品52は第1の容量および第2の容量を有するので、電子部品52の容量に起因するインピーダンスは、図11のBにおいて実線で示されているように、各周波数において、インピーダンス54−1、54−2のうちの低いインピーダンスになる。電子部品52が異なる容量値の容量を有するので、電子部品52が、これらの容量の特性が合成された特性を備えることができる。その結果、電子部品52は、一つの容量を有するLC回路や、容量値が同じである二つの容量を有するLC回路に比べて、広い周波数帯域でノイズなどの信号を減衰させることができる。
この周波数f1は、第1の容量をCFとすると√CFに反比例し、周波数f2は、第2の容量をCSとすると√CSに反比例する。つまり、周波数と容量の間には、一定の関係がある。したがって、周波数f1、f2が、たとえば低減させるノイズの周波数帯域に応じて設定されると、第1の容量および第2の容量の容量値が定まることになる。第1の容量および第2の容量は、たとえば定められた容量値となるように調整される。
電子部品52が、たとえばπ型のLC電子部品となるとき、第1の容量と第2の容量の比は、10以上の違い(つまり1:10以上、または10以上:1)、好ましくは第1の容量と第2の容量の比は、100以上の違いがあると、ノイズなどの信号が減衰する周波数帯域が広がり好ましい。たとえば、第1の容量および第2の容量の一方が0.01〜2.0[μF]であり、他方が1.0〜100[μF]であると、およそ100[kHz]から100[MHz]までの周波数の範囲において、ノイズなどの信号の減衰量を大きくすることができる。
電子部品52において、各積層部24−1、24−2の位置は、適宜調整されてもよい。各積層部24−1、24−2は、磁性体4内に配置されてもよく、各積層部24−1、24−2の一部または全体が磁性体4から露出していてもよい。
電子部品52において、二つの積層部24−1、24−2が形成されているが、三つ以上の積層部が形成されていてもよい。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の効果が得られるほか、第1の容量および第2の容量により、広い周波数帯域でノイズなどの信号を減衰させることができる。
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 導体6は、たとえば低抵抗部材または弁金属の線、棒または平板形状である。導体6は、断面視が円形、角型でもよい。導体6は、アルミニウム線、アルミニウム棒などの単一部材に限定されるものではない。導体6は、銅、銀などの低抵抗部材と、この低抵抗部材の表面に形成された弁金属膜を含み、複数の材質で形成されていてもよい。複数の材質で形成された導体6は、低抵抗部材により低い抵抗値を有するとともに、弁金属膜により化成可能である。導体6の抵抗値が低いので、たとえば大きな直流電流が流れても、導体6における発熱を抑制することができる。
(2) 上記実施の形態では、磁性体4は、帯状の磁性箔を巻くことにより形成されているが、たとえば磁性材料の焼結体であってもよい。磁性体4が磁性を有していれば、電子部品2、22、52がインダクタンスを有することができる。
(3) 上記第2の実施の形態では、マスキング部材36が導体6から外された後に、レジスト層26を形成している。しかしながら、マスキング部材36の取り外しおよびレジスト層26の形成を省略して、マスキング部材36を導体6に付けた状態で、カーボン層32−3および銀層32−4が形成されてもよい。マスキング部材36がプレコート層32−1および固体電解質層32−2に密着していると、カーボン層32−3または銀層32−4の侵入が抑制され、カーボン層32−3または銀層32−4が導体6と短絡することが抑制される。マスキング部材36は、銀層32−4の形成後に取り外しても取り外さなくてもよい。斯かる変形例によれば、レジスト層26が省略され、製造負荷が軽減できる。また、プレコート層形成工程から誘電体層修復工程において、マスキング部材36の代わりにレジスト層26が形成されていてもよい。すなわち、導体6のマスキング部材36を貼り付ける部分にレジスト層26を形成した後にプレコート層32−1、固体電解質層32−2、カーボン層32−3、銀層32−4を形成してもよい。
(4) 上記実施の形態では、電子部品2、22、52が一つの磁性体4および一つの導体6を備えていた。しかしながら、図12に示すように、電子部品62は、複数の磁性体4(たとえば二つの磁性体4)および一つの導体6を備え、複数の電子部品2(たとえば二つの電子部品2)が直列に接続されていてもよい。各電子部品2は、第1の実施の形態で既述した電子部品2と同様である。電子部品62では、複数の電子部品2が一体に形成されており、基板や接続配線が、電子部品2間を接続する必要がない。電子部品62は、各電子部品2に代えて、第2の実施の形態で既述した電子部品22または第3の実施の形態で既述した電子部品52を有していてもよい。電子部品が代えられても、複数の電子部品が一体に形成され、基板や接続配線が電子部品間を接続する必要がない。電子部品が代えられても、電子部品62は、たとえば広い周波数帯域でノイズを除去したり、複数の周波数帯域でノイズを除去したりすることができる。
(5) 上記実施の形態では、図3のBに示すように、レジスト層26は、エッチングおよび化成処理された導体6の表面、つまり誘電体層30の表面に形成されている。しかしながら、レジスト層26は、化成処理前の導体6の表面に形成されていてもよい。つまり、誘電体層30は、積層部24の電極層32と導体6との間のみに形成されて、レジスト層26が導体6の表面に形成されていてもよい。また、レジスト層26は、エッチング前の導体6の表面に形成されていてもよい。抵抗を有するレジスト層26が、積層部24の電極層32と導体6との間を絶縁し、電極層32と導体6との間の短絡を防止することができる。その結果、短絡に注意することなくカーボン層32−3および銀層32−4を導体6の表面に形成することができる。
(6) 上記実施の形態では、図3のBに示すように、レジスト層26は、固体電解質層32−2の外側表面と同じ高さを有している。しかしながら、レジスト層26が導体6と電極層32との間を絶縁できるのであれば、レジスト層26の形状は、自由に設定してもよい。また、カーボン層32−3および銀層32−4は、固体電解質層32−2に電気的に接続すればよく、カーボン層32−3および銀層32−4の位置を、固体電解質層32−2の位置に一致させる必要はない。
(7) 磁性体4の絶縁層は、磁性体4の箔の内側表面および外側表面に形成されていてもよい。絶縁層が両面に形成されると、磁性体4の絶縁性が高められ、ノイズ電流により生じる渦電流を磁性体4の各層に分割しやすくなり、ノイズを効率的に熱に変換しやすくなる。また、磁性体4では、絶縁層が省略されていてもよい。
(8) 上記実施の形態では、磁性体4は、たとえば磁性を有する箔を巻くことにより形成されているが、複数の磁性箔を積層した上で巻回して磁性体4を形成してもよい。複数の磁性箔を積層した上で巻回して磁性体を形成すると、巻回数を少なくでき、生産性が高められる。また、薄い磁性箔で形成した磁性体は、厚い磁性箔で形成した磁性体に比べて、高周波領域において増大する渦電流を抑制して、表皮効果を緩和することができる。そのため、薄い磁性箔で形成した磁性体は、透磁率の低下を抑制して、電子部品2、22、52、62が高周波領域まで高いインピーダンスを得ることができる。したがって、薄い磁性箔を積層した上で巻回して磁性体を形成することで、生産性を向上させつつ、高周波領域おいて高いインピーダンスを持つ電子部品を製造することができる。この場合において、複数の磁性箔の少なくとも一つに絶縁層が形成されていてもよい。
(9) 上記実施の形態では、一種の磁性材料で磁性体4が形成されているが、磁性体4は、上記実施の形態の磁性体4に限らない。異なる磁性材料からなる複数の磁性箔で磁性体4を形成してもよい。磁性体4が異なる磁性材料からなる複数の磁性箔を有すると、それぞれの磁性材料の特性を備える電子部品が得られる。たとえば、コバルト系アモルファス材料のような高透磁率の磁性材料からなる磁性箔と、鉄系アモルファス材料のような磁性材料からなる磁性箔で磁性体を形成すると、大電流・低電流のいずれが流れてもインダクタンスが確保できる。つまり、鉄系アモルファス材料からなる磁性材料によって、大電流が流れた場合のインダクタンスを確保でき、コバルト系アモルファス材料からなる磁性材料によって、低電流が流れた場合に鉄系アモルファス材料のみを用いたコイルよりも高いインダクタンスを確保できる。また、複数の磁性材料が透磁率の周波数特性において異なると、磁性材料がそれぞれ異なる周波数帯においてノイズなどの信号を抑制することができる。異なる磁性材料は、一方の磁性材料からなる磁性箔を巻回して形成した磁性体の外周に、他方の磁性材料からなる磁性箔を巻回して磁性体を形成してもよく、異なる磁性材料からなる磁性箔を積層して、積層された磁性箔を巻回して磁性体を形成してもよい。この場合において、磁性箔の少なくとも片側には絶縁層が形成されていてもよい。磁性体4が複数の箔を有し、この複数の箔の素材がそれぞれ異なると、電子部品2、22、52、62は、複数のインダクタンス特性を有することができ、ノイズカットなどの機能の調整の自由度が高められる。
(10) 磁性体4は、筒形状を有する複数の磁性体を含み、この複数の磁性体が接合または接触されていてもよい。複数の磁性体の磁性材料がそれぞれ異なると、電子部品は、直列に接続された複数のインダクタを有しこの複数のインダクタのインダクタンスが異なることになる。つまり、電子部品は、複数のインダクタンス特性を有することができ、ノイズカットなどの機能の調整の自由度が高められる。この複数の磁性体の磁性材料は、たとえば、既述の変形例(9)で例示されている磁性材料であり、他の磁性材料であってもよい。また、この複数の磁性体を含む電子部品は、図12に示す電子部品62に用いられていてもよい。
(11) 上記第2の実施の形態では、プレコート層32−1と固体電解質層32−2を別々の工程で形成しているが、プレコート層32−1を省略して固体電解質層32−2のみを形成してもよい。また、プレコート層32−1および固体電解質層32−2は、化学重合および電解重合以外の方法で形成してもよい。化学重合および電解重合以外の方法は、たとえば溶媒およびこの溶媒に分散された導電性高分子微粒子または粉末を含む分散液を塗布する方法である。また、導電性高分子層の代わりに、たとえば熱分解法によって、導電性酸化物層が形成されてもよい。また、プレコート層32−1は、化学重合によって形成したが、これに限らず、カーボン等導電性の材料を塗布、塗工する方法によってもよい。
(12) 上記実施の形態では、導体6、積層部24、24−1、24−2および磁性体4が同心円を形成しているが、導体6および積層部24、24−1、24−2が偏り、磁性体4に接触していてもよい。導体6、積層部24、24−1、24−2および磁性体4の接触により伝導熱量が増加し、導体6などで生じた熱の放熱性が高められる。
(13) 上記実施の形態では、導体6の側面にエッチングが施されているが、エッチングが施されずに導体6の表面に誘電体層30が形成されていてもよい。エッチングを施さないことで導体6の表面積は拡大せず、得られる容量は小さくなるが、低抵抗化を図れる。
(14) 上記実施の形態では、各電子部品がたとえば高周波を処理しているが、低周波を処理してもよい。低周波を処理する電子部品の等価回路は、高周波の場合と異なり集中定数回路として表すことができる。しかしながら、電子部品が低周波を処理する場合であっても、高周波の場合と同様に、回路形態の設定自由度を高くすることができる。
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本開示の技術は、たとえばスイッチング電源などのノイズ発生源のノイズの除去に用いることができ、有用である。
2、22、52、62 電子部品
4 磁性体
6 導体
8 樹脂
10 中空部
12 支持台
14 支持孔
16 位置決め突部
24、24−1、24−2 積層部
26 レジスト層
28、28−1、28−2 リード導体
30 誘電体層
32 電極層
32−1 プレコート層
32−2 固体電解質層
32−3 カーボン層
32−4 銀層
34 固体電解質層形成面
36 マスキング部材
38 化学重合液
40 電解重合液
42 電極
44 直流電源
46 化成処理液
4 磁性体
6 導体
8 樹脂
10 中空部
12 支持台
14 支持孔
16 位置決め突部
24、24−1、24−2 積層部
26 レジスト層
28、28−1、28−2 リード導体
30 誘電体層
32 電極層
32−1 プレコート層
32−2 固体電解質層
32−3 カーボン層
32−4 銀層
34 固体電解質層形成面
36 マスキング部材
38 化学重合液
40 電解重合液
42 電極
44 直流電源
46 化成処理液
Claims (6)
- 中空部を有する磁性体と、
前記磁性体の前記中空部を貫通し、前記中空部から突出する導体と、
前記導体の表面に形成されている誘電体層と、
前記誘電体層の表面に形成されている固体電解質層と、
前記固体電解質層に電気的に接続されている引出層と、
前記磁性体と前記導体との間に配置されるとともに前記磁性体および前記導体に接触する樹脂と、
を備えることを特徴とする電子部品。
- 前記樹脂は、前記磁性体と前記導体との間に充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
- 前記磁性体が筒形状を有し、前記導体が筒形状または円柱形状を有し、前記磁性体および前記導体が前記樹脂により同軸上に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品。
- 前記樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または硬化剤により架橋可能な樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品。
- 前記樹脂が伝熱フィラーを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電子部品。
- 中空部を有する磁性体を形成する工程と、
導体の表面に、順に誘電体層、固体電解質層および引出層を形成する工程と、
前記誘電体層、前記固体電解質層および前記引出層が形成された前記導体を前記磁性体の前記中空部に挿入して、前記導体を前記中空部内に配置するとともに前記導体の端部を前記中空部から突出させる工程と、
前記磁性体と前記導体との間に樹脂を注入して、注入された樹脂を前記磁性体および前記導体に接触させる工程と、
を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018222535A JP2020088241A (ja) | 2018-11-28 | 2018-11-28 | 電子部品およびその製造方法 |
PCT/JP2019/046417 WO2020111137A1 (ja) | 2018-11-28 | 2019-11-27 | 電子部品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018222535A JP2020088241A (ja) | 2018-11-28 | 2018-11-28 | 電子部品およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020088241A true JP2020088241A (ja) | 2020-06-04 |
Family
ID=70908917
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018222535A Pending JP2020088241A (ja) | 2018-11-28 | 2018-11-28 | 電子部品およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020088241A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115109440A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-09-27 | 湖北武洲新材料科技有限公司 | 一种具有优良防潮性能的取向硅钢及其制造方法 |
-
2018
- 2018-11-28 JP JP2018222535A patent/JP2020088241A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115109440A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-09-27 | 湖北武洲新材料科技有限公司 | 一种具有优良防潮性能的取向硅钢及其制造方法 |
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