JP2020085783A - 歩行者用測位装置、歩行者用測位システム及び歩行者用測位方法 - Google Patents

歩行者用測位装置、歩行者用測位システム及び歩行者用測位方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歩行者の位置や行動を高精度で検出する歩行者用測位装置、システム及び方法を提供する。【解決手段】歩行者用測位装置11においては、歩行者の動作を検出可能なセンサユニット13と、該センサユニット13の検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニット21とを有し、屋内で使用する。他の歩行者用測位装置11においては、測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測する受信ユニット12と、歩行者の動作を検出可能なセンサユニット13と、前記受信ユニット12が計測した現在位置、前記センサユニット13の検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニット21とを有し、屋外で使用する。【選択図】図1

Description

本開示は、歩行者用測位装置、歩行者用測位システム及び歩行者用測位方法に関するものである。
従来、可搬型ナビゲーション装置、スマートフォン、タブレット端末等の可搬装置においては、GPS受信器を含む位置検出装置を備え、地球を周回するGPS衛星からの信号を受信し、現在位置を検出して表示画面等に出力するようになっているが、可搬装置を携帯する歩行者が百貨店やショッピングモールのような屋内商業施設内を通行する際には、GPS衛星が発信する電波が遮蔽されるので、位置検出装置は、正確な現在位置を検出することができなくなる。しかし、屋内商業施設内の通行に際しても、正確な現在位置を検出して表示画面等に出力することに対する要望は、近年強まっている。
屋内測位に関しては、種々の方法が提案されている。例えば、Wi−Fi、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、超広帯域無線通信(Ultra−Wide Band:UWB)、RFID(Radio Frequency Identification)等の無線通信設備を使用する屋内測位の方法が多数提案されている(例えば、非特許文献1〜5参照。)。Wi−Fi通信は、多くの屋内環境で広く採用され、2種類のWi−Fiを使用する測位方法、すなわち、三辺測量に基づく方法及びフィンガープリント(指紋)に基づく方法がある。三辺測量に基づく方法は、Wi−Fiアクセスポイント(AP)の正確な場所を必要とし、環境における障害物が電波の伝播時間及び信号強度に影響を及ぼすので、LOS(Line−of−Sight)環境であることを好む。Wi−Fiフィンガープリントは、Wi−Fi信号属性に対応し、異なる場所の正確な位置を含むフィンガープリントデータベースの作成を必要とする。しかし、正確な電波地図を人手によって作成するには、時間と人的資源とが必要である。
歩行者自律航法(Pedestrian Dead Reckoning:PDR)は、外部の装置を必要としない独立型の方法である(例えば、非特許文献6参照。)。PDRは慣性測位システムであると考えることもできる。通常、PDRシステムには、ステップ方向、ステップ長、及び、機首方向の3つの要素がある。歩行者のステップは、垂直加速度からのピーク検出を用いて検出される。ステップ長は、同様に、垂直加速度に基づいて推定される。加速度に結合された磁場は機首方向を算出するために用いられる。PDRは時間の経過に伴って誤差を蓄積するので、蓄積された誤差を修正するために、屋内測位方法はPDRを他の方法と結合させている(例えば、非特許文献7〜9参照。)。
マップマッチングは、PDRの蓄積された誤差を修正するための代表的な方法である。マップマッチング法は、地図からランドマーク及びトポロジー情報を取得することによってPDRの位置精度を向上させる可能性を示している。近年では、2.5D地図のような多層建物のフロア地図が、グーグルマップ(登録商標)のような一般位置情報サービスで利用することができる。なお、2.5D地図は、1つの方向から観て立体的に表現された奥行情報を有していない地図であって、例えば、ウェブサイト等で見かける駅構内の階層のつながり、各階毎の施設、乗り換え経路等を立体的に表現した地図である。このような屋内地図情報の使用を考慮して統合された屋内測位方法を開発することが、実際的である。マップマッチングに基づく位置決め方法は、シーケンスに基づくマップマッチング、及び、パーティクルフィルタに基づくマップマッチングの2つのタイプに分類することができる(例えば、非特許文献10及び11参照。)。
前者の方法では、モーションセンサ及びビジョンセンサから、エスカレータ及びコーナを検出する。そして、検出されたランドマーク及び動作は、隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model:HMM)を用いてフロア地図上の最も可能性の高い軌跡を算出するために、観測されたシーケンスとして、用いられる。ある方法(例えば、非特許文献12参照。)では、観測値データは、スマートフォンから取得された画像内で検出されたランドマークを含んでいる。オフィス環境において、この方法は、画像認識技術を用いて観測値として検出された消火器、階段、ドア等を単純に使用することによって位置を推測可能な独立型の方法であるが、ショッピングモールのような商業施設において、ランドマークは買い物客によって覆われて検出困難であることが多い。また、他の方法(例えば、非特許文献13及び14参照。)では、観測値データは、センサ値からの検出活動によって構築される。さらに、更に他の方法(例えば、非特許文献15参照。)では、状態シーケンスはフロア内のランドマーク(エスカレータ、エレベータ、階段、転換点)を含み、PDRの誤差はシーケンスラベルに応じて修正される。また、後者のパーティクルフィルターに基づく方法(例えば、非特許文献16参照。)では、例えば、壁を通り抜けることができない、などの歩行者の動きについての制限を地図から取得することによって、不可能な動きをフィルタリングする。従来の研究では、コンテキストマップマッチングが屋内測位の精度を向上させるために有効な方法であることが分かった。さらに、例えば、エスカレータ、コーナ等の、位置認識動作がマップマッチングにおいて考慮された。
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しかしながら、前記従来の技術は、十分なものではなかった。大型のショッピングモールのような屋内商業施設内での歩行者の位置や行動を高精度で検出することが、前記従来の技術では、できなかった。
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、歩行者の位置や行動を高精度で検出することができる歩行者用測位装置、歩行者用測位システム及び歩行者用測位方法を提供することを目的とする。
そのために、歩行者用測位装置においては、歩行者の動作を検出可能なセンサユニットと、該センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットとを有し、屋内で使用する。
他の歩行者用測位装置においては、測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測する受信ユニットと、歩行者の動作を検出可能なセンサユニットと、前記受信ユニットが計測した現在位置、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットとを有し、屋外で使用する。
更に他の歩行者用測位装置においては、さらに、前記測位ユニットは、前記センサユニットの検出値に基づいて歩行者の動作の認識及び自律航法を行い、前記歩行者の動作のうちで特定の位置を認識するのに寄与する位置認識動作と、前記自律航法によって得られた軌跡と、地図情報とを隠れマルコフモデル内で統合して現在位置を決定する。
更に他の歩行者用測位装置においては、さらに、前記位置認識動作は、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、ショッピング、地下鉄の出入口への出入り、又は、交信号灯器での待機である。
更に他の歩行者用測位装置においては、さらに、前記地図情報はインドアの座標情報を含むフロア地図の地図情報であり、前記測位ユニットは屋内環境における現在位置を決定する。
更に他の歩行者用測位装置においては、さらに、前記測位ユニットは、店舗に置かれた測位ノードによって現在位置が店舗内であると決定する。
歩行者用測位システムにおいては、歩行者の動作を検出可能なセンサユニットとを備え、屋内で使用する歩行者用測位装置と、該歩行者用測位装置と通信可能に接続されたサーバとを有する歩行者用測位システムであって、前記サーバは、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットを備え、決定した現在位置を前記歩行者用測位装置に送信する。
他の歩行者用測位システムにおいては、測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測する受信ユニットと、歩行者の動作を検出可能なセンサユニットとを備え、屋外で使用する歩行者用測位装置と、該歩行者用測位装置と通信可能に接続されたサーバとを有する歩行者用測位システムであって、前記サーバは、前記受信ユニットが計測した現在位置、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットを備え、決定した現在位置を前記歩行者用測位装置に送信する。
歩行者用測位方法においては、歩行者の動作を検出し、前記歩行者の動作、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って屋内での現在位置を決定する。
他の歩行者用測位方法においては、測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測し、歩行者の動作を検出し、前記衛星信号に基づいて計測された現在位置、前記歩行者の動作、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って屋外での現在位置を決定する。
本開示によれば、歩行者の位置や行動を高精度で検出することができる。
第1の実施の形態における歩行者用測位システムの構成を示す図である。 第1の実施の形態における歩行者の移動に伴う気圧の変化を示す図である。 第1の実施の形態におけるショッピングと店舗外の歩行との加速度の差を示す図である。 第1の実施の形態におけるマップマッチングの概要を説明する図である。 第1の実施の形態におけるHMMを説明する図である。 第1の実施の形態における角度及び距離の違いを説明する図である。 第1の実施の形態における屋内の道路ネットワークの定義を説明する図である。 第1の実施の形態における建物内の地下1階での測位結果を示す図である。 第1の実施の形態における建物内の3階での測位結果を示す図である。 第1の実施の形態における建物内の4階での測位結果を示す図である。 第2の実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングを説明する図である。 第2の実施の形態における鉄道乗車時と歩行時とでのセンサユニットの検出値を示す図である。 第2の実施の形態における各移動モードでのセンサユニットの検出値を示す図である。 第2の実施の形態におけるHMMに基づくマップマッチングの例を示す図である。 第2の実施の形態における屋外測位でのセンサユニットの検出値を示す図である。 第2の実施の形態における屋外測位によって検出された軌跡を示す図である。 第3の実施の形態における歩行者用測位システムの構成を示す図である。
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態における歩行者用測位システムの構成を示す図である。
図において、11は本実施の形態における歩行者用測位システムの歩行者用測位装置であり、歩行者用測位システムのサーバとしての情報提供サーバ31と通信可能に接続されている。該情報提供サーバ31は、例えば、地図情報、道路情報、天気情報等の各種情報を配信する図示されない情報センタに配設されたサーバであって、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶装置、通信インターフェイス等を備えるコンピュータである。
そして、前記歩行者用測位装置11は、人物が携帯して搬送することが可能な可搬装置であって、図示されない測位衛星からの信号を受信し、現在位置を検出して表示装置の表示画面等に出力することができる装置であれば、いかなる種類の装置であってもよく、例えば、携帯電話機やスマートフォンであるが、タブレット端末、PDA、小型パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、携帯ゲーム機、携帯用ナビゲーション装置等いかなるものであってもよい。なお、前記歩行者用測位装置11は、一種のコンピュータであって、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ等の記憶装置、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、CRT等の表示装置、キーボード、ジョイスティック、十字キー、押しボタン、タッチパネル等の入力装置、前記表示装置を制御する表示制御装置、各種のセンサ、及び、通信インターフェイス等の送受信装置を備える。
また、前記歩行者用測位装置11は、機能の観点から、図に示されるように、受信ユニット12、センサユニット13、測位ユニット21及び通信部17を備える。
前記受信ユニット12は、例えば、市販されているGPS受信器と同様のものであり、測位衛星から送信された衛星信号を受信する受信部12aと、該受信部12aが受信したすべての測位衛星からの衛星信号に基づき、歩行者用測位装置11の現在位置を計測して出力する計測部12bと、測位衛星から送信された衛星信号を受信するためのアンテナ12cとを含んでいる。なお、前記測位衛星は、具体的には、地球を周回するGPS衛星であるが、中国のCOMPASSシステム、欧州のGALILEOシステム、日本のQuasi−Zenith衛星システム等の測位衛星を含んでいてもよい。また、前記受信ユニット12は、受信部12aが受信した測位衛星の位置等の情報及び計測部12bが計測した情報を所定の時間間隔(例えば、1秒毎)で出力する。
前記センサユニット13は、歩行者用測位装置11の加速度を検出する加速度センサ(Accelerometer)13aと、歩行者用測位装置11の角度(姿勢)や角速度又は角加速度を検出するジャイロスコープ(Gyrometer)13bと、歩行者用測位装置11の周辺環境の気圧を検出する気圧センサ(Barometer)13cと、歩行者用測位装置11の周辺環境の磁気を検出する磁気センサ(Magnetometer)13dとを含んでいる。前記センサユニット13によって、歩行者用測位装置11及び該歩行者用測位装置11を携帯する歩行者の動作や周辺環境を検出することができる。
前記測位ユニット21は、歩行者用測位装置11の初期位置を算出する初期位置算出部22と、前記センサユニット13の出力に基づいて歩行者用測位装置11を携帯する歩行者の移動動作認識を行う動作認識部23と、前記初期位置算出部22の算出した初期位置、前記動作認識部23が認識した歩行者の移動動作及び地図情報に基づいてマップマッチングを行うマップマッチング部24と、該マップマッチング部24が行ったマップマッチングの結果に基づいて歩行者用測位装置11の現在位置を決定して出力する現在位置決定部としての出力決定部25と、駅や多層建物のフロア地図として、インドアの座標情報を含むフロア地図である2.5D地図の情報を含む地図情報を記憶して格納する地図データベース26とを含んでいる。
具体的には、前記初期位置算出部22は、受信ユニット12の出力を用いて歩行者用測位装置11の初期位置を算出する。そして、前記動作認識部23は、センサユニット13が検出した歩行者の動作や周辺環境に基づいて、例えば、エレベータを使用して上のフロアに移動した、同じフロアを歩行している等の動作を認識する。また、前記マップマッチング部24は、初期位置算出部22の算出した初期位置や前記動作認識部23が認識した歩行者の動作等に基づいて、歩行者が移動した地図上の通路等の位置を特定する。さらに、前記出力決定部25は、マップマッチング部24が特定した歩行者の位置に基づいて歩行者用測位装置11の現在位置を決定して出力する。なお、前記地図データベース26が格納する2.5D地図の情報としては、例えば、グーグルマップ(登録商標)のような一般位置情報サービスで提供されているものを利用することができる。
前記通信部17は、例えば、市販されている通信モジュールと同様のものであり、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、携帯電話回線網、インターネット等の通信回線網を通して、情報提供サーバ31と通信を行う。また、前記通信部17は、Wi−Fi、ブルートゥース(登録商標)、超広帯域無線通信、RFID等の無線通信設備との通信を行うこともできる。そして、歩行者用測位装置11は、前記通信部17を介して情報提供サーバ31と通信を行うことによって、例えば、歩行者用測位装置11の位置を含む地域乃至所望の地域の2次元地図情報、3次元地図情報、2.5D地図情報等の地図情報や、道路情報、天気情報等の各種情報を取得することができる。したがって、前記地図データベース26には、多量の地図情報を格納しておく必要はなく、必要な地域の地図情報のみを随時情報提供サーバ31から取得して格納しておけばよい。なお、情報提供サーバ31との通信速度が十分に速い場合には、地図データベース26を省略することもできる。また、測位ユニット21が出力した歩行者用測位装置11の現在位置を情報提供サーバ31に送信することもできる。もっとも、必要がなければ、情報提供サーバ31を省略することもできる。
次に、前記構成の歩行者用測位装置11の動作について説明する。なお、本実施の形態においては、歩行者用測位装置11を携帯する歩行者が百貨店やショッピングモールのような屋内商業施設内を通行する場合について説明する。この場合、歩行者の動作のうちで特定の位置を認識するのに寄与する位置認識動作には、エスカレータやエレベータを利用したフロア間の移動動作、回転のような同じフロア上での動作、店舗の外側の歩行、及び、店舗内でのショッピングが含まれる。特に、本実施の形態では、リカレントニューラルネットワークの一種であるLSTM(Long Short−Term Memory)ネットワークを使用し、センサユニット13の出力から、ショッピング動作を認識する。また、本実施の形態においては、これらの位置認識動作と、PDRによって得られた軌跡と、2.5D地図の地図情報とを隠れマルコフモデル内で統合して正確な屋内測位を行う。2.5D地図の地図情報が、エスカレータ、エレベータ、コーナ及び各店舗の位置並びに対応する動作情報を含んでいるので、これらの建物施設の位置は、コンテキストに基づいたマップマッチングを実行するための補助情報として使用される。特に、ショッピング動作は、隠れマルコフモデル内において、店舗領域に入る買い物客の軌跡を束縛するために使用される。
次に、動作認識について説明する。
図2は第1の実施の形態における歩行者の移動に伴う気圧の変化を示す図、図3は第1の実施の形態におけるショッピングと店舗外の歩行との加速度の差を示す図である。なお、図2において、(a)はエレベータで下降するときの変化を示す図、(b)はエレベータで上昇するときの変化を示す図、(c)はエスカレータで下降するときの変化を示す図、(d)はエスカレータで上昇するときの変化を示す図、(e)は同じフロアにいるときの変化を示す図である。
ここでは、階層制のLSTMネットワークに基づく動作モデルによって、まず、フロア間の移動動作を認識し、次いで、同じフロア上での異なる動作を識別するものとする。
まず、フロア間の移動動作の認識について説明する。
移動動作は、フロアレベルの推定のために使用される。通常、屋内環境においては、次の7つのフロア移動動作がある。すなわち、階段を上昇、階段を下降、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、及び、同じフロア、である。ショッピングモールのような大型の建物では、顧客は、通常、階段の代わりに、エスカレータ及びエレベータを使用する。そこで、ここでは、フロア移動動作を、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、及び、同じフロア、の5つに限定する。フロア移動動作を検出するツールとして、気圧センサ13cは、加速度センサ13aよりもロバストなツールである。気圧の絶対値は、標高、天候、湿度及び他の要因によって変化するので、フロアレベルを直接的に算出するためには適していない。
LSTMネットワーク及びその変種は、種々のシーケンス問題の取組において、非常に有効である。LSTMネットワークは、有用な特徴を自動的に抽出することができる。特に、「多対1(Many to One)」モデルは、シーケンスデータ処理において広い範囲で使用される。ここでは、気圧センサ13cの圧力データから移動動作を認識し、加速度データの助力を得て、フロアレベルの変化を推測するために、「多対1」モデルLSTMネットワークを使用する。
フロア移動動作のためのLSTMモデルにおいては、図2に示されるようなエスカレータ及びエレベータを使用するときの気圧変化の違いに注目する。時間tの動作を推測するときには、時間tの前8秒の気圧データをLSTMモデルの入力として使用する。フロア移動動作のためのLSTMモデルの出力は、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、及び、同じフロア、の5つの状態になる。フロアの変化は、加速度データに対する単純な閾値に基づくアプローチで推測し得る。エスカレータを使用して2以上のフロアを連続して移動するときには、1つのエスカレータから次のエスカレータに乗り継ぐ際の遷移領域で行われる歩行動作を検出することによって、エスカレータ動作を2つのセグメントに分割することができる。独立したセグメントの数を数えることによって、フロアの変化を推測することができる。さらに、エレベータ動作におけるフロアの変化は、あらかじめ調査したフロアの変化と気圧の変化との関係を参照することによって、推測することができる。
次に、ショッピング動作の認識について説明する。
ショッピング動作の認識のための第2のLSTMモデルにおいては、通路における通常の歩行動作からショッピング動作を識別するために、加速度センサ13a及びジャイロスコープ13bのデータを使用する。図3には、これら2つの動作における加速度の違いが示されている。我々が通路を歩くときには、ステップの周波数は一定である。一方、店舗内において明確な目的なしに見て回ったり観察したりするためには、買い物客はゆっくり動くので、垂直方向の加速度が通路を歩くときよりも平均的に小さい。ショッピング動作の認識のためのLSTMモデルにおいては、5秒の加速度センサ13a及びジャイロスコープ13bのデータを入力として使用する。出力は、歩行及びショッピングのうちの1つである。ショッピング動作を次のステップにおける測位精度の向上に使用することができる。
次に、動作情報を使用したコンテキストに基づくマップマッチングについて説明する。
図4は第1の実施の形態におけるマップマッチングの概要を説明する図、図5は第1の実施の形態におけるHMMを説明する図、図6は第1の実施の形態における角度及び距離の違いを説明する図、図7は第1の実施の形態における屋内の道路ネットワークの定義を説明する図である。なお、図5において、(a)はHMMの構成を示す模式図、(b)はマップマッチングの結果を示す図である。
図4には、本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングの概要が示されている。まず、加速度センサ13a、ジャイロスコープ13b及び気圧センサ13cのデータを用いて屋内動作を分類することによって、フロアレベルを推定し、フロア上におけるエスカレータ、エレベータ、歩行及びショッピングを検出する。次に、これら位置認識動作、PDR軌跡、及び、地図としての2.5D屋内地図の情報が、隠れマルコフモデル内で統合され、高精度の屋内測位が実行される。
意味論的位置シーケンスのための隠れマルコフモデル(HMM)について説明する。
HMMは、確率的なシーケンスモデルであり、複数のユニットのシーケンスを仮定すると、ラベルの可能なシーケンスについての確率分散を計算し、最善のラベルシーケンスを結果として選択する。本実施の形態においては、位置認識動作を地図データベース26にあらかじめ格納されたフロア地図にマッチングさせるために、HMMを使用するものとする。また、本実施の形態においては、回転、エスカレータ、エレベータ及びショッピング動作は、位置認識動作として考えられ、コーナ、エスカレータ、エレベータ及び店舗の位置はフロア地図内に存在する。観測値は、関連する移動測定値Oを使用する動作シーケンスである。HMMは、フロア地図内の測位ノードの可能なシーケンスについての確率分散を自動的に計算し、次の式(1)による結果として、最善にマッチングされた測位シーケンスSを選択する。
ここで、λはHMMにおけるパラメータ、aj-1,j は遷移確率、bj,k は出力確率を表している。
図5(a)に示されるように、HMMには、初期状態(Initial State)、隠れ状態(Hidden State)及び観測値(Observation)の3つの部分が含まれている。次に、これらの部分及びパラメータについて説明する。
まず、隠れ状態について説明する。
各フロアについて、回転、エスカレータ、エレベータ及びショッピングが動作として検出され、フロア上の動作に対応する隠れ状態が設定される。回転の数がN、エレベータの数がM、エスカレータの数がQ、ショッピングの数がRであるフロアについて、隠れ状態は、次の式(2)で表される。なお、図5(b)に示される例においては、回転が2、エレベータがゼロ、ショッピングがゼロである。
次に、初期状態について説明する。
初期状態は、最初に検出された動作によって決定される。最初の動作がエスカレータ動作であるとすると、初期の確率は、次の式(3)で表される。
初期状態の定義は、最初の動作のタイプに応じて異なる。
次に、遷移確率について説明する。
HMMにおける2つの隠れ状態間の遷移確率をAとすると、A={ai,j }、ai,j =p(sj |si )、1≦i、j≦(N+M+Q+R)であり、aは状態iから状態jへ移動する確率を表す。遷移確率は、歩行者は隣接するコンテキスト間を移動することができるだけである、という単純な考え方に基づいて定義される。したがって、地図上においてsj とsi とが接続されていなければ、ai,j の値はゼロである。
次に、観測値について説明する。
観測値には、連続する2つの動作間で歩行者が歩いた距離、連続する2つの動作間で歩く方向、及び、動作のタイプの3つの部分が含まれている。最初に検出された動作である場合には、動作のタイプのみが考慮される。
次に、出力確率について説明する。
出力確率は、B={bj,k }、bj,k =p(ok |sj-1 、sj )であって、これは、観測状態ok の場合に隠れ状態sj-1 及びsj が機能する確率を意味する。なお、HMMが状態sj であるとき、直近の過去の状態sj-1 は既に選択されている。出力確率が状態sj によってのみ規定される通常のHMMとは異なり、本実施の形態におけるHMMでは、出力確率が現在の隠れ状態及び直近の過去の隠れ状態によって規定されるように変更されている。これにより、次の式(4)で表される距離差d、及び、次の式(5)で表される角度差θを、距離及び方向情報を含む各観測値と比較することができる。
本実施の形態においては、所与の隠れ状態の距離差及び角度差の出力確率をモデル化するため、次の式(6)及び(7)で表されるように、ガウス分布を使用している。
出力確率の計算は、次の式(8)で表されるように、まとめられる。
HMMのマッチング問題は、ビタビ(Viterbi)アルゴリズムを用いることによって、解決することができる。
次に、マップマッチングのために店舗内に置かれた測位ノードである店舗ノードについて説明する。
測位性能を向上させるために、2.5D屋内地図における店舗ノードを画定することが望ましい。店舗ノードは、図7に示されるように、店舗の入口に設定される。ここでは、店舗の入口に1つのノードを画定するものとする。店舗ノードの画定方法は、店舗のレイアウトには依存しない。通常、店舗に入る前の買い物客の歩行動作は、センサユニット13からの信号に基づいて容易に検出される。店舗内のスペースが限定され、ショッピングの際の歩行パターンであるので、店舗内における買い物客の動作は、通路を歩行中の動作よりも比較的小さくなる。ショッピング動作の時間を推測することによって、HMMにおいて、店舗領域内での買い物客の位置を限定することができる。
ショッピング動作が検出されると、該ショッピング動作はHMMの観測値として使用される。さらに、短時間(2秒未満)の動作検出の不正確さを解消するために、単純Moving−Window閾値手法を用いて、誤検出をフィルタリングする。
次に、本実施の形態による歩行者用測位装置11を使用して発明者が行った実験の結果を説明する。
まず、動作認識の評価について説明する。
動作認識のための2つのLSTMネットワークを作成するために、実験用のデータセットが構築された。エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、ショッピング及び歩行を含む実験用データが収集された。具体的は、東京都の丸ノ内ビルディングにおける発明者のオフィス及び複数階のショッピングモールのデータが収集された。収集されたデータの長さは、次の表1に示されている。同一フロアの実験用データは、ショッピング及び通路の歩行の2つのタイプのデータから成る。データは、実験者の腰のポケットに収容されたスマートフォンを使用して収集され、実験用データとして収集されたデータには、手作業によって、ラベルが付与された。フロア間の移動動作を認識するためのLSTMネットワークは、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降及び同一フロアのラベルを備えるデータを使用することによって実験され、ショッピング動作を認識するためのLSTMネットワークは、ショッピング及び歩行のデータを使用して実験された。
2つのLSTMネットワークの評価用のデータも、実験用のデータと同様の方法で作成された。次の表2には、フロア間の移動動作の認識精度が示され、次の表3には、ショッピング動作認識の結果が示されている。ショッピング動作認識の結果における誤り率(Error Rate)は、次の式(9)に基づいて算出される。
2つのLSTMネットワークが異なる動作を高い率で認識し得ることが分かる。平均的に、本実施の形態における歩行者用測位方法では、ショッピング動作認識の補正率が97.2〔%〕である。2.8〔%〕の誤りには2つの理由がある。1つは、買い物客が店舗に出入りする瞬間に行動を正確に分類することが困難なことである。もう1つは、動作を認識するために5秒間のデータを使用しているので、認識結果に1又は2秒の分解能を備えることが困難なことである。
次に、屋内測位の評価について説明する。
図8は第1の実施の形態における建物内の地下1階での測位結果を示す図、図9は第1の実施の形態における建物内の3階での測位結果を示す図、図10は第1の実施の形態における建物内の4階での測位結果を示す図である。なお、図8〜10において、(a)は実際の歩行経路を示す図、(b)はPDRによる測位結果を示す図、(c)は回転、エスカレータ及びエレベータを位置認識動作とするHMMを用いて得た軌跡を示す図、(d)は回転、エスカレータ、エレベータ及びショッピングを位置認識動作とするHMMを用いて得た軌跡を示す図である。
本実施の形態における歩行者用測位システム全体の実際のショッピングモール環境での性能を評価するために、東京都の丸ノ内ビルディングにおいて実験が行われた。丸ノ内ビルディングは複数階のショッピングモールを備え、そのフロア地図はグーグルマップ(登録商標)の位置情報サービスから取得された。実験者は、丸ノ内ビルディング内を、図8(a)〜10(a)に示されるような歩行経路に沿って歩行し、かつ、ショッピングのために店舗内に入った。
図8〜10には、従来の測位方法及び本実施の形態における歩行者用測位方法による測位結果が示されている。ここでは、PDRによる測位結果とHMMに基づくマップマッチングよる測位結果とを比較する。さらに、測位におけるショッピング動作の重要性を示すために、ここでは、マップマッチングに基づく2つのHMMを比較する。第1は、回転、エスカレータ及びエレベータを動作として考慮するHMMに基づくマップマッチングである。第2は、回転、エスカレータ、エレベータ及びショッピングを動作として考慮するHMMに基づくマップマッチングである。図8〜10に示される実験結果は、HMMに基づくマップマッチングは、単なるPDRによる測位よりも、相当に良好な性能を示している。また、ショッピング動作を考慮するHMMは、ショッピング動作を考慮しないHMMよりも、良い性能を示している。ほとんどの場合において、買い物客は店舗内にいることが正確に測位され得る。これは、HMMにおいて、ショッピング動作が買い物客の軌跡を店舗内に束縛するために使用されるからである。
さらに、次の式(10)を使用して、測位結果の量的評価が行われた。
ここで、peiは歩行ステップiの推測位置、pgiは歩行ステップiの実際の位置、Nはステップ数である。
各方法による測位の誤差は、次の表4に示されている。平均的に、本実施の形態における歩行者用測位方法では、実験において2.21〔m〕の測位誤差を達成した。
このように、本実施の形態における歩行者用測位方法では、コンテキストに基づいたマップマッチングによって、屋内の測位精度を向上させるようになっている。第1に、認識モデルに基づくディープラーニングを用いてフロア間の移動動作を検出し、気圧及び加速度からフロアの変化を推測する。第2に、ショッピング動作を識別して各フロアでの測位性能を向上させる。第3に、位置認識動作、PDRによって得られた軌跡、及び、2.5Dの屋内地図を隠れマルコフモデル内で統合して正確な屋内測位を行う。本実施の形態における歩行者用測位システムは、2.21〔m〕の測位誤差を達成することができる。また、本実施の形態における歩行者用測位システムは、PDRを凌駕する。さらに、ショッピング動作は、屋内の測位精度を向上させるために非常に重要である。
このように、本実施の形態において、歩行者用測位装置11は、歩行者の動作を検出可能なセンサユニット13と、センサユニット13の検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニット21とを有し、屋内で使用する。
これにより、測位衛星からの衛星信号が複雑な影響を受ける屋内であっても、歩行者の位置や行動を高精度で検出することができる。
また、測位ユニット21は、センサユニット13の検出値に基づいて歩行者の動作の認識及び自律航法を行い、歩行者の動作のうちで特定の位置を認識するのに寄与する位置認識動作と、自律航法によって得られた軌跡と、地図情報とを隠れマルコフモデル内で統合して現在位置を決定する。さらに、位置認識動作は、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、ショッピング、地下鉄の出入口への出入り、又は、交信号灯器での待機である。さらに、地図情報はインドアの座標情報を含むフロア地図の地図情報であり、測位ユニット21は屋内環境における現在位置を決定する。さらに、測位ユニット21は、店舗に置かれた測位ノードによって現在位置が店舗内であると決定する。
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は第2の実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングを説明する図、図12は第2の実施の形態における鉄道乗車時と歩行時とでのセンサユニットの検出値を示す図、図13は第2の実施の形態における各移動モードでのセンサユニットの検出値を示す図、図14は第2の実施の形態におけるHMMに基づくマップマッチングの例を示す図である。なお、図11において、(a)は従来の方法によるマップマッチングの例を示す図、(b)は位置認識動作の例を示す図であり、図14において、(a−1)は軌跡の第1の例を示す図、(b−1)はHMMのシーケンスの第1の例を示す図、(a−2)は軌跡の第2の例を示す図、(b−2)はHMMのシーケンスの第2の例を示す図である。
前記第1の実施の形態においては、歩行者用測位装置11を携帯する歩行者が屋内を通行する場合の動作について説明したが、本実施の形態においては、歩行者用測位装置11を携帯する歩行者が都市部の屋外を通行する場合の動作について説明する。
大都市の中心地のように高層建築物が林立している地域では、測位衛星が発信する電波が複雑な影響を受けるので、受信ユニット12の出力のみに基づいて正確な現在位置を検出することは困難である。そこで、従来からPDRによって得られた軌跡を利用するようになっている。そして、例えば、図11(a)に示されるように、回転動作が検出されたときは、コーナを曲がったと考えられるので、PDRによって得られた軌跡を地図にマッチングさせるマップマッチングが行われている。しかし、大都市の中心地のような地域の通路はより複雑であり、図11(b)において□で示されるコーナの他にも、例えば、○で示される地下鉄の出入口や、△で示される交信号灯器が存在する。そこで、本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングでは、地下鉄の出入口での停止や、交信号灯器での待機も、位置認識動作として考えることとする。
地下鉄の出入口での動作は、移動モード及び階段歩行動作によって推測される。そして、階段歩行動作は、気圧変化から検出される。図12に示されるように、GPS受信器である受信ユニット12の出力は、地下鉄に乗車中及び駅構内の歩行中はオフであり、階段を上昇して地下鉄の出入口に到達するとオンとなる。また、加速度センサ13aの出力は、地下鉄に乗車中はオフであり、駅構内及び階段を歩行中は垂直方向の加速度が検出されていることを示す。さらに、磁気センサ13dの出力は、地下鉄に乗車中は磁気が検出されていることを示し、駅構内及び階段を歩行中はオフである。さらに、気圧センサ13cは、階段を上昇すると気圧の低下が検出されていることを示す。したがって、これらの出力を参照することによって、地下鉄の駅への出入りを推測することができる。
図13には、加速度センサ13a及び磁気センサ13dの出力と、各種の移動モード、すなわち、地下鉄/鉄道、バス/自動車、歩行、静止及び走行の各モードとの対応関係が示されている。
本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングでは、前記第1の実施の形態と同様に、位置認識動作、PDR軌跡及び地図が、隠れマルコフモデル(HMM)内で統合され、高精度の屋外測位が実行される。なお、本実施の形態においては、前記第1の実施の形態のような屋内測位ではなく、屋外測位なので、地図は、必ずしも2.5D地図である必要はなく、通常の2次元地図であってもよい。
図14(a−1)に示される例において、PDRによって得られた軌跡は、点線で示されている。しかし、歩行者用測位装置11を携帯する実験者が地下鉄の出入口から出て来た動作、交信号灯器で待機した動作、コーナを右に曲がった動作、及び、コーナを左に曲がった動作が推測されるので、これらの動作を位置認識動作として、HMM内でPDR軌跡及び地図と統合すると、図14(a−1)において実線で示されるようなマップマッチングされた結果を得ることができる。なお、HMMのシーケンスは、図14(b−1)に示されるようになる。
また、図14(a−2)に示される例において、PDRによって得られた軌跡は、点線で示されている。しかし、歩行者用測位装置11を携帯する実験者が地下鉄の出入口から出て来た動作、コーナを右に曲がった動作、さらに、コーナを右に曲がった動作が推測されるので、これらの動作を位置認識動作として、HMM内でPDR軌跡及び地図と統合すると、図14(a−2)において実線で示されるようなマップマッチングされた結果を得ることができる。なお、HMMのシーケンスは、図14(b−2)に示されるようになる。
次に、本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングによる屋外測位の結果について説明する。
図15は第2の実施の形態における屋外測位でのセンサユニットの検出値を示す図、図16は第2の実施の形態における屋外測位によって検出された軌跡を示す図である。
図16には、歩行者用測位装置11を携帯する実験者が、地下鉄の出入口から出て、直線状の大通りの片側の歩道を直進した後、交信号灯器のある横断歩道で前記大通りを横断し、続いて、該大通りの反対側の歩道を前記地下鉄の出入口の方向に向かって直進して戻るように歩行したときの屋外測位の結果が示されている。図16において、矢印は実際の歩行軌跡を示し、最も濃度の高い○はGPS受信器である受信ユニット12の出力に基づく軌跡を示し、より濃度の低い○はPDRによって得られた軌跡を示し、最も濃度の低い○は本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングによって得られた軌跡を示している。そして、受信ユニット12の出力に基づく軌跡の誤差は33.76〔m〕、PDRによって得られた軌跡の誤差は27.70〔m〕、本実施の形態におけるコンテキストに基づくマップマッチングによって得られた軌跡の誤差は3.05〔m〕であった。また、図15には、屋外測位の際に検出された受信ユニット12、加速度センサ13a、磁気センサ13d、ジャイロスコープ13b及び気圧センサ13cの出力の時間変化が示されている。さらに、図15には、各出力と、地下鉄の出入口から出て来た動作、交信号灯器で待機した動作、及び、コーナを曲がった動作との対応関係が示されている。
このように、本実施の形態における歩行者用測位方法では、コンテキストに基づいたマップマッチングによって、屋外の測位精度も向上させることができる。
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図17は第3の実施の形態における歩行者用測位システムの構成を示す図である。
本実施の形態の歩行者用測位システムにおいて、歩行者用測位装置11は、図に示されるように、機能部としての測位ユニット21を備えておらず、該測位ユニット21に代えて、受信ユニット12の出力を用いて初期位置を算出する測位計算部28を備える。一方、情報提供サーバ31は、歩行者用測位装置11の初期位置を算出する初期位置算出部22と、センサユニット13が検出した歩行者の動作や周辺環境に基づいて、動作を認識する動作認識部23と、初期位置算出部22の算出した初期位置や前記動作認識部23が認識した歩行者の動作に基づいて、歩行者が移動した地図上の通路等の位置を特定するマップマッチング部24と、該マップマッチング部24が特定した歩行者の位置に基づいて歩行者用測位装置11の現在位置を決定して出力する出力決定部25と、2.5D地図を含む地図情報を記憶して格納する地図データベース26とを含む測位ユニット21を備える。
そして、歩行者用測位装置11は、受信ユニット12が出力した測位衛星の位置、擬似距離、信号受信強度等、及び、測位計算部28が算出した初期位置を含む情報、並びに、センサユニット13が出力した歩行者用測位装置11及び該歩行者用測位装置11を携帯する歩行者の動作や周辺環境を含む情報を、通信部17を介して情報提供サーバ31に送信する。すると、該情報提供サーバ31は、歩行者用測位装置11から受信した情報に基づき、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って測位した現在位置を決定して出力し、出力された現在位置を歩行者用測位装置11に返信する。
このように、本実施の形態の歩行者用測位システムにおいては、機能部としての測位ユニット21が歩行者用測位装置11に備えられておらず、情報提供サーバ31に備えられているので、歩行者用測位装置11の演算負荷及び記憶負荷を低減することができる。したがって、歩行者用測位装置11が、例えば、携帯電話機やスマートフォンのように、演算能力及び記憶能力が比較的低く、バッテリ等の電源の容量が比較的小さな装置であっても、正確な現在位置の出力を長時間に亘って継続することができる。
また、情報提供サーバ31に多数の歩行者用測位装置11を通信可能に接続することによって、各歩行者用測位装置11から受信した情報を、いわゆるプローブデータとして、情報提供サーバ31に蓄積して利用することができる。
なお、本実施の形態においては、測位ユニット21の機能のすべてを歩行者用測位装置11から情報提供サーバ31に移した例について説明したが、測位ユニット21の機能の一部、例えば、地図データベース26等、のみを情報提供サーバ31に移し、残りを歩行者用測位装置11に残すこともできる。また、情報提供サーバ31及び歩行者用測位装置11の両方が測位ユニット21の機能の全部を備えるようにすることもできる。
さらに、情報提供サーバ31が算出した現在位置等の情報を歩行者用測位装置11に返信するか否かは、ケースバイケースで適宜選択することができる。例えば、プローブデータの蓄積が目的である場合には、算出した情報を歩行者用測位装置11に返信する必要はない。
なお、歩行者用測位装置11及び情報提供サーバ31のその他の点の構成及び動作については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することによって、当然に考え付くことである。
本開示は、歩行者用測位装置、歩行者用測位システム及び歩行者用測位方法に適用することができる。
11 歩行者用測位装置
12 受信ユニット
13 センサユニット
21 測位ユニット
31 情報提供サーバ

Claims (10)

  1. 歩行者の動作を検出可能なセンサユニットと、
    該センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットとを有し、屋内で使用することを特徴とする歩行者用測位装置。
  2. 測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測する受信ユニットと、
    歩行者の動作を検出可能なセンサユニットと、
    前記受信ユニットが計測した現在位置、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットとを有し、屋外で使用することを特徴とする歩行者用測位装置。
  3. 前記測位ユニットは、前記センサユニットの検出値に基づいて歩行者の動作の認識及び自律航法を行い、前記歩行者の動作のうちで特定の位置を認識するのに寄与する位置認識動作と、前記自律航法によって得られた軌跡と、地図情報とを隠れマルコフモデル内で統合して現在位置を決定する請求項1又は2に記載の歩行者用測位装置。
  4. 前記位置認識動作は、エスカレータで上昇、エスカレータで下降、エレベータで上昇、エレベータで下降、ショッピング、地下鉄の出入口への出入り、又は、交信号灯器での待機である請求項3に記載の歩行者用測位装置。
  5. 前記地図情報はインドアの座標情報を含むフロア地図の地図情報であり、前記測位ユニットは屋内環境における現在位置を決定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の歩行者用測位装置。
  6. 前記測位ユニットは、店舗に置かれた測位ノードによって現在位置が店舗内であると決定する請求項5に記載の歩行者用測位装置。
  7. 歩行者の動作を検出可能なセンサユニットとを備え、屋内で使用する歩行者用測位装置と、
    該歩行者用測位装置と通信可能に接続されたサーバとを有する歩行者用測位システムであって、
    前記サーバは、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットを備え、決定した現在位置を前記歩行者用測位装置に送信することを特徴とする歩行者用測位システム。
  8. 測位衛星からの衛星信号を受信し、該衛星信号に基づいて現在位置を計測する受信ユニットと、歩行者の動作を検出可能なセンサユニットとを備え、屋外で使用する歩行者用測位装置と、
    該歩行者用測位装置と通信可能に接続されたサーバとを有する歩行者用測位システムであって、
    前記サーバは、前記受信ユニットが計測した現在位置、前記センサユニットの検出値、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って現在位置を決定する測位ユニットを備え、決定した現在位置を前記歩行者用測位装置に送信することを特徴とする歩行者用測位システム。
  9. 歩行者の動作を検出し、
    前記歩行者の動作、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って屋内での現在位置を決定することを特徴とする歩行者用測位方法。
  10. 測位衛星からの衛星信号を受信し、
    該衛星信号に基づいて現在位置を計測し、
    歩行者の動作を検出し、
    前記衛星信号に基づいて計測された現在位置、前記歩行者の動作、及び、地図情報を用い、コンテキストに基づいたマップマッチングを行って屋外での現在位置を決定することを特徴とする歩行者用測位方法。
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