JP2020085751A - 多孔体の構造評価方法、構造評価装置、および構造評価プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
下記の条件の下で交点の圧と枝の流量を求める。
(1)交点における入出する流量の和は0である。
本実施形態における多孔体の構造評価方法はそのための装置(システム)によって実施されるが、その多孔体の構造評価装置は、多孔体の構造評価プログラムを実行する装置であり、装置形態としては汎用のコンピュータでよい。また、プログラムは、コンピュータで実行できればよく、各種オペレーションシステム(OS)上で動作するアプリケーションプログラムでよい。このようなアプリケーションプログラムは、DVDなどの形態で提供されても、ネットワークを介してダウンロードすることで提供されてもよいし、コンピュータに予めインストールしておいてもよい。
種々の方法で生成された3次元の多孔体構造物が評価対象となり得る。このような多孔体は、例えばガスフィルター、液体フィルタ、燃料電池の電極材料、建築材料として利用される。
本実施形態では、X線CT像からモデルを作成する。多孔体における細孔の形状などを表現できれば、他のデータに基づいてモデルを形成してもよい。例えば、FIB SEM(Focused Ion Beam Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscopy)の3次元画像からのモデル作成も可能である。
母材に比し、細孔は空気等密度小の物質で充填されていることから、CT値を用いて細孔を抽出する。図1は多孔体の細孔を示す図であり、(a)はCT値画像。本画像を用いて細孔を抽出する。(b)は細孔を抽出し2値化したものである。ここで、図1(a)では黒が細孔(気孔)を示しており、図1(b)では白が細孔を示している。
図2は、細孔の最大直径、骨格線の求め方を示す説明図である。このように、細孔内に球を詰め、細孔径を細孔内に含まれる球の最大直径として求める。また、球の中心点の軌跡を細孔の骨格線とする。
骨格線が求められた場合には、これを接続して、連通孔ネットワークを求める。図3は、骨格線のネットワークを示す図である。まず、多孔体の一領域(例えば、多角形の一面)を入口領域とし、他の一領域を出口領域とし、ここに位置する骨格線の端部を入口In,出口Out(Ct)と定義する。さらに、骨格線の交点をノードNode(Nd)、ノードNdでない端点を終端Tmとする。Nd:Nd、Nd:Tm、Nd:In、Nd:Out等を枝と呼ぶ。そして、枝の端点間の長さをLとする。
このように、各枝について、楕円柱が定義できた場合には、これら枝についての流路抵抗を特定する。本実施形態では、Poiseuille Flowを実現する抵抗である断面積の2乗に反比例する抵抗(流路抵抗モデル)とする。
Rf=8πμL/S2
となる。ここでS:断面積、L:パイプの長さ、μ:粘性率(Pa・s)である。なお、Sは、L方向において変化する。
細孔(枝)を電気伝導物質で満たされていると仮定し、構造体内の細孔の断面積、長さを反映した抵抗を定義し、細孔ネットワークから電気回路網を作成する。すなわち、1つの枝を1つの電気抵抗に置き換え、ノードにおいて電気抵抗を接続して電気回路網とする。入口、出口に電位差を与えネットワーク上の各点の電圧、電流を求める。流れの持つ性質を弱め、細孔の形状とつながりを重視したシミュレーションを行う。
RE=ρ・L/S
ここで、S:断面積、L:長さ、ρ:体積抵抗率(Ω・m)である。
その他の主な流路構造評価指標として、「スターボリューム」、「ループ数(一次元ベッチ数)」などがあげられる。
ここで、CT画像からの細孔の抽出によって、細孔からなる流路(連通孔ネットワーク)の形態についての情報(構造指標)が得られる。従って、次のような多孔体の構造指標が得られる。
また、流路抵抗の計算結果に応じて、次のような流れの指標が各枝について得られる。
「圧力(Pa)、圧力損(Pa)」、「流速(m/sec)」、「流量(m3/sec)(=流速×断面積)」、「消費エネルギー(N/(sec/m))」、「粘性抵抗(Pa/(m3/sec))」
また、定義した入口から出口を1つの流路と考えた場合での流量、流速、圧損なども計算することができる。
空孔の抵抗と入口と出口と圧力差を与えることにより、入口から出口に至るひとつながりの流路を抽出することができる。これを貫通パスと呼ぶ。貫通パスにより多孔体の特徴を表現することが可能である。
入口から出口に至るひとつながりの流路を貫通パスと呼ぶ。入口から出口に至るあらゆるパスをサーチし、流体が流れるのに最適なパスの順に選択する。パスの本数は無数に多いためパスを構成する枝のパワー(消費エネルギー)の和をパスのパワーと定義し、パワーが大きい順に取り出す。
・形態特徴量:貫通パス本数、最小細孔径、曲路率
・流れの指標:粘性抵抗合計、パワー合計、平均流速、平均流量
貫通パスの合計が全多孔体をカバーする割合を求める。なお、得られた割合は、100を乗算して%表示とした。
・空孔体積割合={Σ[貫通パス構成枝](枝長さ×断面積)/(Σ[全枝](枝長さ×断面積))
流量割合は、貫通パスについての流量の合計を入口から出口に流れる全流量の合計で除算した値である。
パワー割合は、貫通パスの流れについてのパワー(消費エネルギー)の合計を入口から出口に流れる全流れについてのパワーの合計で除算した値である。
透過性が比較的大きい多孔体(建築材料)を用い、本実施形態に係る流路抵抗モデル、電気回路モデルでの流れ解析、および流体シミュレーションを行った。
上述のようにして、貫通パスを選定し、その貫通パスについて流路抵抗モデルによる解析を行った。図8は貫通パス選定の手順を示す図であり、(a)は多孔体のCT像、(b)は多孔体の空孔、(c)は空孔の骨格線、(d)貫通パス毎のパワー、(e)はパワーの大きな貫通パス、を示す。
図9(a)は、透水性小のSample1の貫通パスを示す図である。ここでは、パワーの大きいものとして選択された貫通パスを示してあり、緑(うすい灰色)は電気回路モデルの選択経路、赤(濃い灰色)は流路抵抗モデルの選択経路、黄色(白)は両者共通の経路を示す。
(b)は、貫通パスの最小断面積をパワー大→小の順に表示した図である。流路抵抗モデル(赤:流)は電気回路モデル(緑:電)に比べ最小断面積大となる経路を選択している。
(c)は、貫通パスの曲路率についての図である。電気回路モデル(緑:電)は、流路抵抗モデル(赤:流)は比較的曲路率小の経路を選択している。
(d)は、流路抵抗モデルにおける貫通パス流量と最小断面積の関係を示した図である。両者は(R2=0.52, p<0.00)で正に相関している。
(e)は、流路抵抗モデルにおける流量と曲路率の関係を示す図である。流路抵抗モデル流量は曲路率とは相関しない。
(f)は、電気回路モデル電流と最小断面積の相関を示す図である。両者は(R2=0.58, p<0.00)で正に相関している。
(g)は、電気回路モデルにおける流量の曲路率依存性を示す図である。電流と曲路率は負に相関した(R2=0.39, p<0.00)。
(d)〜(g)より、流路抵抗流れはパスの最小断面積に依存し、曲路率への依存は小さく、電気回路モデルの流れは、最小断面積及び曲路率両方への依存性を示すことがわかる。
透水性の弱いS1と透水性大のSample2についての解析結果の比較を表2に示す。
表3は、流路抵抗モデルで算出した流れの指標である。流れの指標からは流量等流れやすいことを示す多くの指標において、Sample2がSample1に比べ著しく大きい。すなわち、Sample2がSample1より抵抗は小さく、流れが良いことがわかる。
図15は電気回路モデルによる等ポテンシャル面、電流、流路上の消費電力を示す図であり、(a),(b),(c)は電気回路モデルによるSample1の等ポテンシャル面、電流、流路上の消費電力、(d),(e),(f)はSample2の等ポテンシャル面、電流、流路上の消費電力を示す。元図はカラー表示であるが、図においては白黒表示であり、明度によって相違がわかる。これより、Sample2はSample1に比べ、等ポテンシャル面が平行でない、Sample1は一様な流れであり、Sample2は場所により変化のある流れであることがわかる。電流(b)(e)、消費電力(c)(f)はいずれもSample1が小さく、Sample2が大きい傾向を示した。Sample2がストレートな細孔ネットワークで連結されていることの反映と考えられる。なお、図15(c)(f)では、パワー0.2mW以上のパスを選択して表示している。
図16は、本実施形態に係る構造評価のコンピュータによる処理を示すフローチャートである。まず、対象となる多孔体についてのCT画像を取得する(S11)。上述したように、必ずしもCT画像に限定されないが、実際の多孔体についての評価を行う場合、CT画像が適当な画像である。取得したCT画像から細孔を検出する(S12)。通常、母材は固体であって細孔は空気であり、CT値から細孔を検出することができる。細孔の中心を結ぶことによって骨格線を検出する(S13)。骨格線の連続により骨格線ネットワークが得られる。
本実施形態では、まず数nm〜数100μm径を持つ多孔体試料を対象に、X線CTで描出可能な細孔を計測した。次にX線CT画像から画像コントラストをしきい値で判別し細孔構造を抽出、構造指標を算出した。実際の細孔構造をパイプで近似し圧、流れのシミュレーションを行った。
Claims (7)
- CT画像を用い多孔体の構造を評価する多孔体の構造評価方法であって、
CT画像から細孔を検出し、
検出された細孔について、楕円柱が連結されたモデルに近似し、
各楕円柱について、断面積の2乗に反比例する流路抵抗を計算し、
計算された流路抵抗に基づいて多孔体の構造を評価する、
多孔体の構造評価方法。 - 請求項1に記載の多孔体の構造評価方法であって、
多孔体は、入口領域と、出口領域を有し、
入口領域と出口領域に圧力差を与え、各楕円柱における流体の流量、流速、またはパワーを含む流れ指標を求める、
多孔体の構造評価方法。 - 請求項2に記載の多孔体の構造評価方法であって、
検出された細孔の中で、入口領域から出口領域に至る貫通パスを抽出し、
抽出した貫通パスについて流量、流速、またはパワーのいずれかを含む流れ指標を求める、
多孔体の構造評価方法。 - 請求項3に記載の多孔体の構造評価方法であって、
抽出した貫通パスを多孔体中の3次元位置として表示するとともに、
求められた流れ指標の中の1つを選択し、選択された流れ指標の大きさを、表示する貫通パスの表示属性を対応させて表示する、
多孔体の構造評価方法。 - 請求項4に記載の多孔体の構造評価方法であって、
抽出した貫通パスについて、選択された流れ指標の大きいものを選択し、選択された貫通パスのみを表示する、
多孔体の構造評価方法。 - CT画像を用い多孔体の構造を評価する多孔体の構造評価装置であって、
CT画像から細孔を検出し、
検出された細孔について、楕円柱が連結されたモデルに近似し、
各楕円柱について、断面積の2乗に反比例する流路抵抗を計算し、
計算された流路抵抗に基づいて多孔体の構造を評価する、
多孔体の構造評価装置。 - コンピュータにCT画像を用い多孔体の構造を評価させる多孔体の構造評価プログラムであって、
コンピュータに、
CT画像から細孔を検出させ、
検出された細孔について、楕円柱が連結されたモデルに近似させ、
各楕円柱について、断面積の2乗に反比例する流路抵抗を計算させ、
計算された流路抵抗に基づいて多孔体の構造を評価させる、
多孔体の構造評価プログラム。
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CN112666462A (zh) * | 2020-12-16 | 2021-04-16 | 上海电气集团股份有限公司 | 评估质子交换膜燃料电池pemfc性能的方法及装置 |
CN112964616A (zh) * | 2021-02-05 | 2021-06-15 | 福州大学 | 一种确定水泥基材料不同尺度孔隙连通性的方法 |
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2018
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