JP2020085301A - 車載用の蓄熱器、及び、自動車用の蓄熱システム - Google Patents

車載用の蓄熱器、及び、自動車用の蓄熱システム Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に熱を回収又は貯蔵することのできる車載用の蓄熱器とそれを用いた自動車用の蓄熱システムを提供すること。【解決手段】カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、上記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、上記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする蓄熱器。【選択図】 図1

Description

本発明は、車載用の蓄熱器、及び、自動車用の蓄熱システムに関する。
内燃機関を有する自動車では、燃焼から発生した熱エネルギーを廃熱回収技術により回収して、車室内の空調やエンジンの暖機等に利用している。
この廃熱回収技術の一例として、相変化物質である蓄熱材を含んだ部材に熱エネルギーを回収し、空調の温度調整に用いることが開示されている。
特許文献1には、蓄熱材が充填された蓄熱タンクと、水を流通させて蓄熱材と水との間で熱交換を行わせる熱交換パイプと、を用いた蓄熱装置を用いて、蓄熱した熱を車両用空調に利用することが開示されている。
特許文献2には、第1相変化物質と、その構造が第1相変化物質の支持マトリックスを形成する第2物質とを有する複合相変化物質を用いた蓄熱手段を有する装置により、自動車の気流の温度調整を行うことが開示されている。
特許文献3には、多孔質の隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造体に熱の授受を行うことができる固体材料で形成された蓄熱部材により、空調温度調節を行うことが開示されている。なお、固体材料の主成分がVOであることも開示されている。
特開2010−243118号公報 特開2015−110412号公報 特開2016−69609号公報
自動車の技術進化に伴い、自動車部品をコンパクト化すること、軽量化することが要望されている。この要望に対して、蓄熱部材をコンパクト化もしくは軽量化させると、従来の蓄熱部材よりも総蓄熱量が減少してしまうことが想定されるので、より効率的に熱を回収又は貯蔵できることが必要となってくる。
また、蓄熱部材を自動車部品のコンパクト化、軽量化に対応させるためには、設計の自由度を高めることができる材料および構造にすることが求められている。
また、蓄熱部材は、内燃機関を有する自動車への適用だけでなく、HEV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV等のモーターを動力源とする電気自動車にも適用できることが求められている。特に、電気自動車における廃熱量は、内燃機関を有する自動車と比べ、著しく低いので、蓄熱部材を用いた廃熱回収を行うためには、より効率的に熱を回収又は貯蔵できることが必要である。
さらに、蓄熱部材は、より広い温度領域での使用や高湿度での使用というより厳しい環境条件下でも熱を回収又は貯蔵できることが必要となっている。
特許文献1の技術では、蓄熱タンク内に蓄熱材を充填し、熱交換パイプにより熱交換を行っているが、蓄熱タンク内での蓄熱材では、熱を貯蔵する際の固相から液相への相変化が均一に行われないため、熱貯蔵量が想定よりも小さくなり、必要な蓄熱量が得られないことがある。そのため、必要な蓄熱量を得るために蓄熱タンクを大きくすることが必要となる。そのため、設計の自由度が低い構造であるといえる。
特許文献2の技術において、第1相変化物質と第1相変化物質の支持マトリックスを形成する第2物質からなる複合相変化物質である蓄熱部材は、露出された状態であり、蓄熱部材から熱放出を引き起こしてしまう。そのため、熱貯蔵量が目減りしてしまうし、効率的に熱を回収又は貯蔵することができない。
また、高温下になると、第1相変化物質が染み出すことがあり、高湿度になると、湿度の影響で第1相変化物質が変質することがあるため、蓄熱部材としての機能を果たせないことが想定される。また、特許文献2の複合相変化物質は、2つの物質が均一になりにくいため、蓄熱部材の設計の自由度が低くなると想定される。
特許文献3の技術における、多孔質の隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造体での蓄熱部材は、露出された状態であり、蓄熱部材から熱放出を引き起こしてしまう。そのため、熱貯蔵量が目減りしてしまうし、効率的に熱を回収又は貯蔵することができない。
また、蓄熱部材にセラミックを用いていることから、軽量化、コンパクト化をさせることが難しい。また、蓄熱部材の材料自体がセラミックであり、蓄熱部材の成形条件が制限されるので、蓄熱部材の設計の自由度が低くなると想定される。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明は、効率的に熱を回収又は貯蔵することのできる車載用の蓄熱器とそれを用いた自動車用の蓄熱システムを提供することを目的とする。さらに、コンパクト化、軽量化を行うことができ、設計の自由度を高めることができる車載用の蓄熱器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の車載用の蓄熱器は、
カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、上記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、
上記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする。
本発明の蓄熱器は、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体を有する。蓄熱構造体の形状は、樹脂を射出成形等により成形する際の形状の制御により定めることができるので、設計の自由度が高い。
また、蓄熱構造体が、熱媒体が流れる流路を有するハニカム構造体又はフィン構造体であるので、熱媒体と蓄熱構造体の接触面積が大きく、効率的に熱を回収又は貯蔵することができる。
さらに、蓄熱構造体の外周を覆う外周部材を設けることによって蓄熱構造体から放出される熱の拡散を抑制することができるので、熱貯蔵量を高めることができる。
また、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子を使用しているため、広い温度領域や高湿度での適用が可能になる。
本発明の蓄熱器は、上記蓄熱構造体が複数単位配設されていることが好ましい。
蓄熱構造体を複数単位配設することにより、熱媒体が流れる流路を長くすることや、蓄熱構造体ごとに異なる相転移温度の蓄熱材を配置することができる。そのため、様々な特性の蓄熱器を設計することができる。
本発明の蓄熱器は、上記外周部材が樹脂又は金属であることが好ましい。
本発明の蓄熱器では、上記外周部材にも、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子が含まれていることが好ましい。
外周部材にも蓄熱材粒子を含ませることによって、外周部材においても熱の蓄積を行うことができ、蓄熱器全体での蓄熱量を高くすることができる。
本発明の蓄熱器では、上記外周部材の外周にさらに断熱材が設けられていることが好ましい。
外周部材の外周にさらに断熱材を設けることによって蓄熱構造体から放出される熱の拡散をより抑制することができるので、熱貯蔵量をより高めることができる。
本発明の自動車用の蓄熱システムは、
カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、
上記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、上記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする車載用の蓄熱器と、
上記熱媒体を上記蓄熱構造体に供給する自動車内の熱源と、
上記蓄熱構造体からの熱を受ける自動車内の被加熱部材又は被冷却部材とからなることを特徴とする。
本発明の蓄熱システムでは、自動車内の熱源からの熱を蓄熱構造体に蓄熱し、蓄熱構造体に蓄熱した熱を利用して自動車内の被加熱部材の加熱又は被冷却部材の冷却を行うことができる。
なお、本明細書における熱源は、周囲に比べ高温である加熱源の場合と、周囲に比べ低温である冷却源の場合の両方を含む概念である。
また、「熱」には「熱い熱」と「冷たい熱」の両方の概念が含まれる。
また、「熱媒体」には「熱い熱」を媒介する熱風や熱い液体である場合と、「冷たい熱」を媒介する冷媒(冷風や冷たい液体)である場合が含まれる。
本発明の蓄熱システムでは、熱源は自動車内の熱源である。
上記自動車内の熱源は、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の蓄熱システムでは、被加熱部材又は被冷却部材は自動車内の被加熱部材又は被冷却部材である。
上記被加熱部材又は被冷却部材は、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
図1は、本発明の蓄熱器の一例と、蓄熱構造体としてのハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、蓄熱構造体としてハニカム構造体を用いた蓄熱器の一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、蓄熱構造体としてフィン構造体を用いた蓄熱器の一例を模式的に示す斜視図である。 図4(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の一例を模式的に示す上面図である。 図5(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図5(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す上面図である。 図6(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す上面図である。 図7は、断熱材が設けられた蓄熱器の例を模式的に示す斜視図である。 図8は、熱源が空調である自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。 図9は、熱源が内燃機関である自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。 図10は、熱源がバッテリーである自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。 図11は、蓄熱器に50℃の熱媒体を流入させた際の流出口での熱媒体の温度変化を示すグラフである。 図12は、蓄熱器に10℃の熱媒体を流入させた際の流出口での熱媒体の温度変化を示すグラフである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の車載用の蓄熱器(以下、単に本発明の蓄熱器ともいう)について詳細に説明する。
本発明の車載用の蓄熱器は、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、上記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、上記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする。
本発明の蓄熱器は蓄熱構造体と、蓄熱構造体の外周を覆う外周部材とからなる。
蓄熱構造体はハニカム構造体又はフィン構造体であるが、はじめに蓄熱構造体がハニカム構造体である場合について説明する。
ハニカム構造体は、熱媒体の流路である複数のセルが隔壁を隔てて長手方向に並設された形状の構造体である。セルに熱媒体を流通させることによって、熱媒体と蓄熱構造体の間で熱交換を行うことができる。
ハニカム構造体の外形は、円柱、角柱のいずれかでもよい。
熱媒体としては、特に限定されず、液体であっても気体であっても良い。
液体であれば、水、アルコール等が好ましく、気体であれば空気であることが好ましい。また、熱媒体としては、空気であることがより好ましい。
ハニカム構造体は熱媒体の流路である複数のセルを有するので、熱媒体と、蓄熱構造体との接触度合いを増加させることができる。熱媒体と蓄熱構造体との熱交換効率はこれらの接触度合いの大きさに依存するので、蓄熱構造体が複数のセルを有すると、効率よく熱交換をすることができる。
蓄熱構造体がハニカム構造体であると、セルの形状の組み合わせにより用途及び使用の自由度が上がる。また、ハニカム構造体であると、蓄熱構造体の強度を充分に強くすることができる。さらに、流体と蓄熱構造体との接触度合いを増加させることができる。
ハニカム構造体の(見掛け)体積は、特に限定されないが、400cm以上であることが好ましい。
また、ハニカム構造体のセルの断面形状は、特に限定されないが、三角形、四角形、五角形、六角形、又はそれ以上の多角形を用いることができる。ハニカム構造体のセルの断面形状が同一であってもよいし、断面形状が異なるセルを組み合わせてもよい。
ハニカム構造体のセルの断面形状の面積は、特に限定されないが、セルの断面形状の面積が0.04cm以上であることが望ましい。
ハニカム構造体の隔壁の厚みは、特に限定されないが、隔壁の厚みが0.04cm以上であることが望ましい。
フィン構造体は、熱媒体の流路であるセルと、セルの外周に位置する外周壁と、外周壁に設けられた突起状であるフィンからなる形状の構造体である。
セルに熱媒体を流通させることによって、熱媒体と蓄熱構造体の間で熱交換を行うことができる。
フィン構造体の外形は、円柱、角柱のいずれかでもよい。
熱媒体としては、特に限定されず、液体であっても気体であっても良いが、気体であることが好ましい。また、熱媒体としては、空気であることがより好ましい。
フィン構造体は熱媒体の流路に突起状のフィンを有するので、熱媒体と、蓄熱構造体との接触度合いを増加させることができる。熱媒体と蓄熱構造体との熱交換効率はこれらの接触度合いの大きさに依存するので、蓄熱構造体がフィンを有すると、効率よく熱交換をすることができる。
フィン構造体の(見掛け)体積は、特に限定されないが、400cm以上であることが好ましい。
フィン構造体のフィンの断面形状は、特に限定されないが、三角形、四角形、円形を用いることが好ましい。
フィン構造体のフィンの断面積は、特に限定されないが、断面形状の面積が0.01cm以上であることが好ましい。
フィン構造体のフィンは、外周壁一辺に対して、1以上のフィンを形成させることができる。外周壁一辺に対して、2以上のフィンを形成させる場合、同一の断面形状のフィンを用いてもよいし、異なる断面形状のフィンを組み合わせてもよい。
蓄熱構造体は、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなる。
蓄熱材粒子は、有機材料又は無機材料からなるカプセル内に蓄熱物質が封入された複合物である。
蓄熱物質は、パラフィン、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物等の無機水和塩、エリスリトール等の糖アルコール及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの物質は、容易に融点を制御することができるので蓄熱物質として好適に用いることができる。さらに、用途や使用に対しての設計の自由度や温度選択の範囲があり、取り扱いやすさにおいて、蓄熱物質にパラフィンを用いることが好ましい。
蓄熱物質の相転移温度は、−5〜80℃であることが好ましい。また、相転移温度が5〜75℃であることがより好ましく、30〜70℃であることがさらに好ましい。
また、蓄熱物質の種類は限定されるものではないが、上記温度範囲での蓄熱物質の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすく、そのような特性を有する蓄熱物質が好ましく用いられる。
蓄熱構造体に用いる蓄熱物質は、相転移温度が同一の物だけを用いてもよいし、異なる相転移温度を有する複数種類の蓄熱物質を混在させて用いてもよい。相転移温度の異なる2種類以上の蓄熱物質を用いる場合、これらの蓄熱物質は、同一のカプセル内に封入されていてもよく、蓄熱物質ごとに別のカプセル内に封入されていてもよい。
カプセルの材料は、有機材料もしくは無機材料である。また、カプセルの材料には蓄熱物質の相転移温度に対して耐久性のある材料を用いることが好ましい。
有機材料として、特に限定されないが、ジエン系樹脂、 アクリル樹脂、オレフィン熱可塑エラストマー等の熱可塑性エラストマーや熱硬化性樹脂も用いることが好ましい。
有機材料が熱硬化性樹脂であると、熱交換の際に、熱によりカプセル壁が破壊されることを防止することができる。
熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド及びポリアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが好ましい。
無機材料としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ及びカーボンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの無機材料は、熱に対する寸法変化が小さく、蓄熱物質の相転移による蓄熱又は放熱での熱の移動を阻害しないため好ましい。
蓄熱材粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜500μmであることが好ましく、20〜300μmであることがより好ましい。
蓄熱材粒子の平均粒子径が10μm以上であると、蓄熱材粒子に封入される蓄熱物質の量が充分な量となり、蓄熱材粒子の量に対する、蓄熱構造体の熱交換効率が充分に高くなる。
蓄熱材粒子の平均粒子径が500μm以下であると、蓄熱構造体を成形するために使用される樹脂ペレットを成形する時の成形性が良好になる。
また、異なる平均粒子径を有する蓄熱材粒子を併用してもよい。
蓄熱材粒子としては、三菱製紙株式会社製の商品名:サーモメモリー、三木理研株式会社製の蓄熱用マイクロカプセル 商品名:リケンレヂン、及び、JSR株式会社製の商品名:CALGRIP等の市販されているものを用いることができる。
蓄熱構造体を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれかを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエーテルエステルエラストマー等)、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中では、耐熱性を加味し、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などを用いることができる。
また、光硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂を用いることができる。
樹脂には、安定剤、酸化還元剤、成形補助剤、分解抑制剤、潤滑剤、離型剤、顔料等の着色剤、可塑剤などが含まれていてもよい。
蓄熱構造体中における蓄熱材粒子の含有量は、蓄熱構造体の全重量に対して30〜80重量%であることが好ましく、35〜70重量%であることがより好ましい。
蓄熱材粒子の含有量が上記範囲であると、蓄熱材粒子による蓄熱あるいは放熱の効果が好適に得られる。また、蓄熱構造体が硬くなり過ぎたり脆くなったりすることが防止される。
蓄熱構造体においてカプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子を使用していると、温度や湿度の影響が抑制されるので、蓄熱器を広い温度領域や高湿度で適用することが可能になる。
本発明の蓄熱器においては、蓄熱構造体が複数単位配設されていることが好ましい。
蓄熱構造体を複数単位配設することにより、熱媒体が流れる流路を長くすることや、蓄熱構造体ごとに異なる相転移温度の蓄熱材粒子を配置することができる。そのため、様々な特性の蓄熱器を設計することができる。
蓄熱構造体が複数単位配設される場合に熱媒体が流れる流路としては、蓄熱器に流入した熱媒体が蓄熱構造体の1単位を通って流出する形態でもよく、蓄熱器に流入した熱媒体が蓄熱構造体の複数単位を通って蓄熱器から流出する形態でもいい。
蓄熱器に流入した熱媒体が蓄熱構造体の複数単位を通る場合、蓄熱構造体が長手方向に複数(2つ以上)配置されており、熱媒体が2つ以上の蓄熱構造体を通って蓄熱器から流出する形態でもよい。
この場合、長手方向に複数配置された各蓄熱構造体が有する蓄熱材粒子の相転移温度が異なるようにしてもよい。
また、蓄熱器に流入した熱媒体が、蓄熱器を構成する全ての蓄熱構造体を通って蓄熱器から流出する形態でもよい。
この場合、熱媒体が通る各蓄熱構造体が有する蓄熱材粒子の相転移温度が異なるようにしてもよい。
各蓄熱構造体が有する蓄熱材粒子の相転移温度が異なる場合は、流入口側に配置される蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度が、流出口側に配置される蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度よりも高いことが好ましい。
蓄熱器内を熱媒体が通る流路の具体的な例については、後に図面を用いて説明する。
蓄熱器には、蓄熱構造体の外周を覆う外周部材が形成されている。
外周部材は、樹脂又は金属で形成されていることが好ましい。
また、外周部材は、蓄熱構造体に接触するようになっていてもよく、蓄熱構造体に対して一定の距離を離間するように形成されていてもよい。
外周部材の厚みは、特に限定されないが、1mm以上の厚みであることが好ましい。
また、外周部材にも、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子が含まれていることが好ましい。
外周部材にも蓄熱材粒子を含ませることによって、外周部材においても熱の蓄積を行うことができ、蓄熱器全体での蓄熱量を高くすることができる。
とくに外周部材が樹脂で形成されている場合において、外周部材に蓄熱材粒子が含まれることが好ましい。
外周部材には熱媒体が蓄熱器に流入するための流入口と熱媒体が蓄熱器から流出するための流出口が設けられることが好ましい。
流入口と流出口は、蓄熱器の同じ面にあって隣り合うようになっていてもよいし、蓄熱器の対向する面にあってもよい。
外周部材は、蓄熱構造体を収容できる箱型であることが好ましい。外周部材による上記箱型が、容器部と蓋部に分かれていることも好ましい。容器部に蓄熱構造体を配置し、蓋部を容器部に固定することにより、外周部材内に蓄熱構造体の位置を固定して配置することができる。
また、蓄熱器の中で、外周部材と蓄熱構造体の間において、複数の蓄熱構造体の流路同士を繋ぐ連結管が設けられていてもよい。連結管が設けられた場合、一の蓄熱構造体から流出した熱媒体が連結管を通り他の蓄熱構造体に流入することができる。このようにすることで蓄熱器内での熱媒体の流路を長くとることができる。
なお、外周部材の一部が連結管の役割を果たす形状となっていてもよい。
蓄熱器には、外周部材の外周にさらに断熱材が設けられていることが好ましい。
外周部材の外周にさらに断熱材を設けることによって蓄熱構造体から放出される熱の拡散をより抑制することができるので、熱貯蔵量をより高めることができる。
断熱材としては、無機材料又は発泡樹脂を用いることができる。
具体的には、グラスウール、ロックウール等の無機繊維からなる無機材料や、ビーズ法から得られる発泡樹脂、ウレタン樹脂等の軟質発泡樹脂もしくは硬質発泡樹脂等が挙げられる。
外周部材の熱媒体の流入口及び流出口を除く全体部分に断熱材を設けてもよく、外周部材の特定の面等、外周部材の外周の一部のみに断熱材を設けてもよい。
本発明の蓄熱器は、例えば以下のように製造することができる。
蓄熱構造体は、樹脂が熱可塑性樹脂である場合は、熱可塑性樹脂と蓄熱材粒子を含む樹脂組成物を樹脂ペレットとして成形し、樹脂ペレットを加熱し、射出成形、押出成形等の成形加工を行うことにより作製することができる。
樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、熱硬化性樹脂と蓄熱材粒子を含む樹脂組成物を予熱し、金型に入れ、加圧し、金型温度を上げて、硬化させることにより作製することができる。あるいは、熱硬化性樹脂と蓄熱材粒子を含む樹脂組成物を硬化した硬化物を作製し、切削等で流路を形成することによっても蓄熱構造体を作製することができる。
樹脂が光硬化性樹脂である場合、3Dプリンターを用いて蓄熱構造体を作製してもよい。
外周部材は、外周部材を構成する樹脂や金属等の材料に応じた加工や成型により、所定の形状として作製する。
外周部材が、蓄熱構造体を収容できる、容器部と蓋部からなる箱型である場合、容器部に蓄熱構造体を配置し、蓋部を容器部に固定することにより、外周部材内に蓄熱構造体の位置を固定して配置することができる。
また、必要に応じて複数の蓄熱構造体の流路同士を繋ぐ連結管を設けてもよい。
上記工程によって本発明の蓄熱器を製造することができる。
さらに、必要に応じて、蓄熱器の外周部材の外周に断熱材を巻き付けたり、外周部材を覆ったりして断熱材を配置することによって、蓄熱器の外周部材の外周にさらに断熱材を設けてもよい。
本発明の蓄熱器は、車載用の蓄熱器である。
本発明の蓄熱器を車載用の蓄熱器として使用するための例については、後述する自動車用の蓄熱システムの説明において記述する。
以下に、本発明の蓄熱器の実施形態の一例について、図面を使用してさらに詳述する。
図1は、本発明の蓄熱器の一例と、蓄熱構造体としてのハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す蓄熱器1は、蓄熱構造体10を2つ備えている。
蓄熱構造体10はハニカム構造体であり、熱媒体の流路である複数のセル11が隔壁12を隔てて長手方向に並設された形状となっている。
蓄熱器1は、蓄熱構造体10の外周を覆う外周部材30を備えている。外周部材30は容器部31と蓋部32からなり、容器部31と蓋部32からなる箱内に蓄熱構造体10が2つ(蓄熱構造体10a及び蓄熱構造体10b)収容されている。
外周部材30は熱媒体が流入するための流入口33と熱媒体が流出するための流出口34とを備えている。
流入口33と流出口34は、蓄熱器1の同じ面にあって左右に隣り合うようになっている。
熱媒体が流入口に流入する方向及び流出口から流出する方向を矢印で示している。
蓄熱器1には、流入口33から熱媒体が流入して蓄熱構造体10aの流路であるセル11に入る。蓄熱構造体10aから流出した熱媒体は、外周部材の一部で連結管となる部分35を経て蓄熱構造体10bに流入する。そして、熱媒体は流出口34から蓄熱器1の外へ流出する。
熱媒体がこのように流れる過程で、蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子と熱媒体の間で熱交換が行われ、蓄熱器への蓄熱が行われる。
図2は、蓄熱構造体としてハニカム構造体を用いた蓄熱器の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す蓄熱器2は、蓄熱構造体10としてハニカム構造体を6つ備えている。
各ハニカム構造体は熱媒体の流路である複数のセル11が隔壁12を隔てて長手方向に並設された形状となっており、蓄熱器2において縦2列、横3列に並べて配置されている。
図3は、蓄熱構造体としてフィン構造体を用いた蓄熱器の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示す蓄熱器3は、蓄熱構造体20としてフィン構造体を6つ備えている。
各フィン構造体は、熱媒体の流路であるセル21と、セル21の外周に位置する外周壁22と、外周壁22に設けられた突起であるフィン23からなる形状の構造体である。
フィン構造体は蓄熱器3において縦2列、横3列に並べて配置されている。
図4(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の一例を模式的に示す上面図である。
図4(a)及び図4(b)には、蓄熱構造体が複数単位配設される場合に、蓄熱器に流入した熱媒体が蓄熱構造体の1単位を通って流出する形態の例を示している。
図4(a)及び図4(b)においては、矢印が熱媒体の流れを示しており、以下の図面でも同様である。
図4(a)に示す蓄熱器4は、蓄熱構造体10を6つ備えており、上段に蓄熱構造体10a、10b、10cが配置され、下段に蓄熱構造体10d、10e、10fが配置されている。
図4(b)には、蓄熱構造体として図4(a)の上段に位置している蓄熱構造体10a、10b、10cを示している。
また、外周部材30は熱媒体が流入するための流入口33と熱媒体が流出するための流出口34とを、対向する面に1つずつ備えている。
この場合、図4(b)に示すように、熱媒体は流入口33から蓄熱器4に流入し、熱媒体は蓄熱構造体10a、10b、10cのいずれか1単位を通って流出口34に達し、流出口34から流出する。なお、図4(b)には示していないが熱媒体は蓄熱構造体10d、10e、10fのいずれか1単位を通ってもよい。
図5(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図5(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す上面図である。
図5(a)及び図5(b)には、蓄熱構造体が複数単位配設される場合に、蓄熱構造体が長手方向に2つ配置されており、また、長手方向に配置された蓄熱構造体が有する蓄熱材粒子の相転移温度が異なる形態の例を示している。
図5(a)に示す蓄熱器5は、蓄熱構造体10を12個備えている。
蓄熱構造体10が長手方向に2つ配置されており、上段に蓄熱構造体10a、10b、10c及び蓄熱構造体10A、10B、10Cが配置されている。
また、下段に蓄熱構造体10d、10e、10f及び蓄熱構造体10D、10E、10Fが配置されている。
参照符号の末尾を小文字で示した蓄熱構造体10a、10b、10c、10d、10e、10fと、参照符号の末尾を大文字で示した蓄熱構造体10A、10B、10C、10D、10E、10Fは、蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度が異なる。
流入口側に配置される蓄熱構造体10a、10b、10c、10d、10e、10fが備える蓄熱材粒子の相転移温度が、流出口側に配置される蓄熱構造体10A、10B、10C、10D、10E、10Fが備える蓄熱材粒子の相転移温度より高いことが好ましい。
図5(b)には、蓄熱構造体として図5(a)の上段に位置している蓄熱構造体10a、10b、10c及び10A、10B、10Cを示している。
また、外周部材30は熱媒体が流入するための流入口33と熱媒体が流出するための流出口34とを、対向する面に1つずつ備えている。
この場合、図5(b)に示すように、熱媒体は流入口33から蓄熱器5に流入し、熱媒体は蓄熱構造体10a、10b、10cのいずれか1単位を通った後、蓄熱構造体10A、10B、10Cのいずれか1単位を通って流出口34に達し、流出口34から流出する。なお、図5(b)には示していないが熱媒体は蓄熱構造体10d及び10D、10e及び10E、10f及び10Fのいずれかを通ってもよい。
図6(a)は、蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は蓄熱器内を流れる熱媒体の流路の別の一例を模式的に示す上面図である。
図6(a)及び図6(b)には、熱媒体が蓄熱器を構成する全ての蓄熱構造体を通って蓄熱器から流出する形態の例を示している。
図6(a)に示す蓄熱器6は、蓄熱構造体10を6個備えており、上段に蓄熱構造体10a、10b、10cが配置され、下段に蓄熱構造体10d、10e、10fが配置されている。
各蓄熱構造体10は、熱媒体が流入する端面である流入側端面13及び流出側端面14を有している。そして、図6(a)には各蓄熱構造体の流路同士を繋ぐ連結管の位置をU字の矢印で示している。
蓄熱構造体10aの流出側端面14aと蓄熱構造体10bの流入側端面13bが連結管35aで連結されている。同様に、蓄熱構造体10bの流出側端面14bと蓄熱構造体10cの流入側端面13cが連結管35bで連結されている。
また、蓄熱構造体10cの流出側端面14cと蓄熱構造体10fの流入側端面13fは上下方向の連結管35cで連結されている。
さらに、蓄熱構造体10fの流出側端面14fと蓄熱構造体10eの流入側端面13eは連結管35dで連結されている。
さらに、蓄熱構造体10eの流出側端面と蓄熱構造体10dの流入側端面を連結する連結管は図示していないが、その連結の態様は連結管35a、35b及び35dと同様である。
図6(b)に示すように、蓄熱器6の流入口33から流入した熱媒体は、蓄熱構造体10aの流入側端面13aから流入し、流出側端面14aから流出する。
蓄熱構造体10aの流出側端面14aから流出した熱媒体は連結管35aを通って蓄熱構造体10bの流入側端面13bに流入する。
以後、熱媒体は連結管35bを通って蓄熱構造体10cの流入側端面13cに流入し、流出側端面14cから流出する。
続けて、熱媒体は連結管35cを通って蓄熱構造体10fの流入側端面13fに流入し、流出側端面14fから流出する。
さらに、熱媒体は連結管35dを通って蓄熱構造体10eの流入側端面13eに流入し、蓄熱構造体10eの流出側端面(図示しない)から流出する。
最後に、図示しない連結管を通って蓄熱構造体10dの流入側端面(図示しない)に流入し、流出側端面14dから流出する。
そして、蓄熱器6の流出口から熱媒体が流出する。
このようにして、熱媒体が蓄熱器を構成する全ての蓄熱構造体を通って蓄熱器から流出することとなる。
なお、蓄熱器6においては、流入口33と流出口(図示しない)は、蓄熱器6の同じ面にあって上下に隣り合うように配置されている。
また、蓄熱器6においては、各蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度が異なるようにしてもよい。
流入口側に配置される蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度が、流出口側に配置される蓄熱構造体が備える蓄熱材粒子の相転移温度よりも高いことが好ましい。
図7は、断熱材が設けられた蓄熱器の例を模式的に示す斜視図である。
図7には、図1に示す蓄熱器1の外周にさらに断熱材40が設けられた例を示している。
断熱材40は、外周部材30の熱媒体の流入口33及び流出口34を除く全体部分に設けられている。
続いて、本発明の自動車用の蓄熱システムについて説明する。
本発明の自動車用の蓄熱システムは、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、
上記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、上記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする車載用の蓄熱器と、
上記熱媒体を上記蓄熱構造体に供給する自動車内の熱源と、
上記蓄熱構造体からの熱を受ける自動車内の被加熱部材又は被冷却部材とからなることを特徴とする。
本発明の自動車用の蓄熱システムでは、自動車内の熱源からの熱を蓄熱構造体に蓄熱し、蓄熱構造体に蓄熱した熱を利用して自動車内の被加熱部材の加熱又は被冷却部材の冷却を行うことができる。
本発明の自動車用の蓄熱システムでは、蓄熱器として本発明の蓄熱器を備えることが好ましい。
本発明の自動車用の蓄熱システムが備える蓄熱器では、蓄熱構造体が複数単位配設されていることが好ましい。
また、本発明の自動車用の蓄熱システムが備える蓄熱器では、外周部材が樹脂又は金属であることが好ましい。
また、本発明の自動車用の蓄熱システムが備える蓄熱器では、外周部材にも、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子が含まれていることが好ましい。
また、本発明の自動車用の蓄熱システムが備える蓄熱器では、外周部材の外周にさらに断熱材が設けられていることが好ましい。
自動車内の熱源としては、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの熱源では排熱が生じるので、排熱を熱媒体を介して蓄熱器内の蓄熱構造体に蓄熱させるような循環経路を設けておき、熱源からの熱を蓄熱構造体に蓄熱する。
空調においては冷風が生じることもあり、冷風を熱媒体として「冷たい熱」としての「排熱」として利用することができる。
熱媒体を蓄熱構造体へ供給する方法は、循環設備等による強制的な供給、自然供給のいずれでもよい。
熱源が空調である場合、熱源としての空調には、エアコン及び熱交換器を含むことが好ましい。
熱源が空調である場合には、熱交換器に暖かい熱媒体が存在する状態でエアコンのスイッチが切られた場合又は温度設定や風量設定が変更になった場合に、熱交換器に暖かい熱媒体が存在したままでいると排熱が生じるので、蓄熱器側の循環経路に暖かい熱媒体を流して、蓄熱構造体に熱媒体からの熱を蓄熱させる。
また、熱交換器に冷たい熱媒体が存在する場合においては、蓄熱器側の循環経路に冷たい熱媒体を流して、蓄熱構造体に熱媒体からの冷たい熱を蓄熱させる。
熱源としての内燃機関には、エンジンを含む。内燃機関は排気管及び/又は冷却器をさらに含むことが好ましい。
熱源が内燃機関である場合、内燃機関に含まれるエンジンは高温となるため、排熱が多く生じる。そのため、エンジンの周囲に熱媒体が流れる流路を設けておき、熱媒体が蓄熱器に流れるようにしておくことで、エンジンで生じた排熱を蓄熱器に流入させて蓄熱構造体に熱を蓄熱させる。
また、内燃機関に含まれる排気管からの排熱を合わせて蓄熱させてもよい。
熱源としてのバッテリーには、電池を含む。バッテリーはモーター、インバーターを含んでもよい。電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車等の場合は、バッテリーがモーターを含み、駆動系として機能する。
電池としては、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、燃料電池等が挙げられるが、その種類は特に限定されるものではない。
熱源がバッテリーである場合、自動車の走行時において、電池からは発熱が生じる。
そのため、電池の周囲に熱媒体が流れる流路を設けておき、熱媒体が蓄熱器に流れるようにしておくことで、電池で生じた排熱を蓄熱器に流入させて蓄熱構造体に熱を蓄熱させることができる。
また、バッテリーに含まれるモーター及びインバーターからの排熱を合わせて蓄熱させてもよい。
被加熱部材又は被冷却部材においては、蓄熱器に蓄熱した熱を利用する。
自動車内の被加熱部材又は被冷却部材としては、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
被加熱部材又は被冷却部材が空調である場合、空調には、エアコン及び熱交換器を含むことが好ましい。
被加熱部材又は被冷却部材が空調である場合の熱の利用としては、エンジン始動時にエアコンから吹き出す空気の加熱及び冷却が挙げられる。
例えば、温度が低い環境下でエンジン停止後(又はエアコンが長時間停止していた後)に蓄熱構造体には熱が蓄熱されており、熱交換器周辺の熱媒体(空気)の温度が低い場合が想定される。
この場合、エンジン始動直後(又はエアコンの稼働直後)において熱交換器周辺の冷たい空気が車室内に供給される前に、蓄熱器の流出口から暖かい空気を流出させ、暖かい空気を車室内へ供給する態様が考えられる。
このようにすると、エンジン始動直後に冷たい空気が車室内に供給されることが防止され、エンジン始動直後であっても暖かい空気を車室内に供給することができる。
逆の例として、温度が高い環境下でエンジン停止後(又はエアコンが長時間停止していた後)に蓄熱構造体には冷たい熱が蓄熱されており、熱交換器周辺の熱媒体(空気)の温度が高い場合が想定される。
この場合、エンジン始動直後(又はエアコンの稼働直後)においてエアコンからの暖かい空気が車室内に供給される前に、蓄熱器の流出口から冷たい空気を流出させ、冷たい空気を車室内へ供給する態様が考えられる。
このようにすると、エンジン始動直後に暖かい空気が車室内に供給されることが防止され、エンジン始動直後であっても冷たい空気を車室内に供給することができる。
被加熱部材又は被冷却部材が内燃機関である場合、内燃機関はエンジンを含む。内燃機関は排気管及び/又は冷却器をさらに含むことが好ましい。
被加熱部材又は被冷却部材が内燃機関である場合の熱の利用としては、低温時のエンジン停止後にエンジンの温度が低くなっており蓄熱構造体には熱が蓄熱されている場合が想定される。
この場合、蓄熱構造体に蓄熱された熱によりエンジンを加熱することによってエンジンの始動をスムーズに行わせることができる。
また、エンジンの冷却水やエンジンオイルの加熱及び冷却を行うこともできる。
被加熱部材又は被冷却部材がバッテリーである場合、バッテリーは電池を含む。バッテリーはモーター、インバーターをさらに含むことが好ましい。
被加熱部材又は被冷却部材がバッテリーである場合の熱の利用としては、バッテリーに含まれる電池につき、低温時に電池の温度が低くなっており蓄熱構造体には熱が蓄熱されている場合が想定される。
電池の温度が低すぎると、電池の性能が充分に発揮されないので、電池の適正使用温度になるように電池を加熱することが好ましい。
この場合、蓄熱構造体に蓄熱された熱により電池を加熱することによって電池の性能を充分に発揮させることができる。
続いて、自動車内の熱源ごとに、蓄熱器として、本発明の蓄熱器を使用する本発明の自動車用の蓄熱システムの例を説明する。
以下には、熱源から暖かい熱媒体が供給されて蓄熱構造体が加熱され、蓄熱構造体に蓄熱された熱で被加熱部材を加熱する場合の例を示す。
なお、熱源から冷たい熱媒体が供給されて蓄熱構造体が冷却され、蓄熱構造体に蓄熱された冷熱で被冷却部材を冷却する場合についても、同様のプロセスで本発明の自動車用の蓄熱システムを使用することができる。
図8は、熱源が空調である自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。
まず、熱源から蓄熱構造体への蓄熱過程について説明する。
図8に示す蓄熱システム100では、点線で囲んだ領域が熱源150であり、熱源150は自動車内の空調である。
熱源150としての空調は、エアコン151と熱交換器152を備える。
空調は熱媒体としての空気が熱交換器を通って車室内に入る経路(車室は図示しない)を含んで循環するメイン循環を有する。
このメイン循環とは別の循環として、蓄熱器1を循環経路に含むサブ循環を有する。
サブ循環はメイン循環から分岐しており、メイン循環に暖かい熱媒体が流れている場合、サブ循環に繋がるバルブを開くことによってメイン循環からの暖かい熱媒体をサブ循環に流すことができる。
サブ循環を流れる暖かい熱媒体が流入口33から蓄熱器1に入り、蓄熱構造体10を経て流出口34から流出する。熱媒体が蓄熱構造体10との間で熱交換を行うことにより、蓄熱構造体10に熱が蓄熱される。
サブ循環に熱媒体を流すタイミングとしては、熱交換器に暖かい熱媒体が存在する状態でエアコンのスイッチが切られた場合又は温度設定や風量設定が変更になってメイン循環へ暖かい熱媒体を流す必要がなくなった場合が想定される。
メイン循環に暖かい熱媒体を流す必要がない場合(むしろメイン循環に暖かい熱媒体を流してはいけない場合)に熱交換器に暖かい熱媒体が存在したままでいると排熱が生じるので、サブ循環に暖かい熱媒体を流して、蓄熱構造体に熱媒体からの熱を蓄熱させる。
蓄熱器1の流出口34側にはポンプ170が設けられていてもよい。ポンプ170を設けることで蓄熱器1への熱媒体の流入及び流出を促すことができる。
蓄熱器1の流出口34から流出した熱媒体は、サブ循環を経て再度熱源150側に戻すことができる。
このようにして熱源150から蓄熱構造体10への蓄熱を行うことができる。
続いて、蓄熱構造体に蓄熱された熱で被加熱部材を加熱する過程について説明する。
蓄熱器1の流出口34側に設けたポンプ170の先のバルブの開閉を調整し、蓄熱器1の流出口34から流出した熱媒体が被加熱部材160(バッテリー、空調、内燃機関のいずれか)に流れる状態とする。
また、蓄熱器1の流入口33側に設けたバルブの開閉を調整し、熱媒体が被加熱部材160側から蓄熱器1の流入口33に流入する状態とする。
蓄熱構造体10に蓄熱された熱で被加熱部材160を加熱する場合、蓄熱器1の流入口33から蓄熱構造体10に冷たい熱媒体が入る。そして、熱媒体と蓄熱構造体10の間で熱交換が行われ、蓄熱器1の流出口34から暖かい熱媒体が流出する。
そして、暖かい熱媒体からの熱を被加熱部材160が受けることによって被加熱部材160が加熱される。
被加熱部材160に熱を伝達させた熱媒体の温度は低下して冷たい熱媒体となり、蓄熱器1の流入口33に向かって冷たい熱媒体が流れることとなる。
被加熱部材160が空調である場合、内燃機関である場合、バッテリーである場合のそれぞれの適用例は、上述の通りとすることができる。
なお、被加熱部材160として「空調」を示しているが、ここに示す「空調」は、熱源150としての空調と同じものであってよい。
図9は、熱源が内燃機関である自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。
図8に示した蓄熱システム100と図9に示す蓄熱システム200とが異なる点は熱源の構成及び熱源から蓄熱構造体への蓄熱過程であるので、それらを中心にして説明する。
図9に示す蓄熱システム200では、点線で囲んだ領域が熱源250であり、熱源250は自動車内の内燃機関である。
熱源250としての内燃機関は、エンジン251、排気管252、冷却器253を備える。
自動車の走行時においてエンジン251や排気管252は高温となるため、排熱が多く生じる。そのため、エンジン251や排気管252の周囲に熱媒体が流れる流路を設けておき、熱媒体が蓄熱器1に流れるようにしておくことで、エンジン251や排気管252で生じた排熱を蓄熱器1に流入させて蓄熱構造体10に熱を蓄熱させる。
図9に示す蓄熱システム200では、被加熱部材260として空調、内燃機関、バッテリーのいずれかを使用することができる。
被加熱部材260が空調である場合、内燃機関である場合、バッテリーである場合のそれぞれの適用例は、先に説明した蓄熱システム100と同様にすることができる。
なお、図9には被加熱部材260として「内燃機関」を示しているが、ここに示す「内燃機関」は、熱源250としての内燃機関と同じものであってよい。
図10は、熱源がバッテリーである自動車用の蓄熱システムの例を示すブロック線図である。
熱源がバッテリーである自動車用の蓄熱システムを備える自動車としては、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車等のモーター駆動系を有する自動車が挙げられる。
図9に示した蓄熱システム200と図10に示す蓄熱システム300とが異なる点は熱源の構成及び熱源から蓄熱構造体への蓄熱過程であるので、それらを中心にして説明する。
図10に示す蓄熱システム300では、点線で囲んだ領域が熱源350であり、熱源350は自動車内のバッテリーである。
熱源350としてのバッテリーは、電池351、モーター352、インバーター353、冷却器354を備える。
モーター駆動系を有する自動車の走行時において、電池351、モーター352及びインバーター353からは発熱が生じる。
そのため、電池351、モーター352及びインバーター353の周囲に熱媒体が流れる流路を設けておき、熱媒体が蓄熱器1に流れるようにしておくことで、電池351、モーター352及びインバーター353で生じた排熱を蓄熱器1に流入させて蓄熱構造体10に熱を蓄熱させることができる。
図10に示す蓄熱システム300では、被加熱部材360として空調、内燃機関、バッテリーのいずれかを使用することができる。
被加熱部材360が空調である場合、内燃機関である場合、バッテリーである場合のそれぞれの適用例は、先に説明した蓄熱システム100と同様にすることができる。
なお、図10には被加熱部材360として「バッテリー」を示しているが、ここに示す「バッテリー」は、熱源350としてのバッテリーと同じものであってよい。
また、自動車の種類が電気自動車や燃料電池車の場合は被加熱部材360としての内燃機関は備えていない。自動車の種類がハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の場合は被加熱部材360としての内燃機関を備えている。
(実施例)
以下、本発明を具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
蓄熱器の製造において、実施例及び比較例で使用した材料は以下の通りである。
(1)蓄熱構造体を製造するための熱可塑性樹脂
樹脂A ポリプロピレン樹脂 (ノバテックPP MG05ES ノバテック社製)
樹脂B ポリエーテルエステル樹脂 (ハイトレル 3046 デュポン社製)
(2)蓄熱構造体を製造するための蓄熱材粒子(カプセルの平均粒子径:300μm)
蓄熱材粒子A カプセル壁:メラミン樹脂 蓄熱物質:パラフィン(相変化温度30℃)
蓄熱材粒子B カプセル壁:メラミン樹脂 蓄熱物質:パラフィン(相変化温度50℃)
蓄熱材粒子C カプセル壁:メラミン樹脂 蓄熱物質:パラフィン(相変化温度10℃)
(3)外周部材の材料
樹脂C ポリプロピレン樹脂
(実施例1−1)
樹脂組成物として、樹脂A(30wt%)と蓄熱材粒子A(70wt%)からなる樹脂ペレットを作製し、この樹脂ペレットから射出成形によりハニカム構造体である蓄熱構造体A1を作製した。このとき、ハニカム構造体である蓄熱構造体A1は、以下の大きさで作製した。
蓄熱構造体A1の大きさ 縦:2.2cm×横:3.6cm×長さ10cm
セルの大きさ 縦:0.38cm×横:0.38cm
隔壁の厚み :0.085cm
蓄熱構造体A1を並列に2つ組付けたサイズに対し、蓄熱構造体A1から0.5cm離間し、樹脂厚み0.05cmとなるような寸法の外周部材を樹脂Cを使用して作製した。
この外周部材に蓄熱構造体A1を並列に2つ組付けて収納した。
さらに、外周部材の外周をさらに断熱材(グラスウール 厚み1cm)で覆うことで、蓄熱器を得た。
このとき、蓄熱器に対する熱媒体の流入口と熱媒体の流出口は、蓄熱器の対向する面に設けた。
(実施例1−2)
蓄熱材粒子Aを蓄熱材粒子Bに変更した他は実施例1−1と同様にしてハニカム構造体である蓄熱構造体A2を作製した。
蓄熱構造体A2を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−3)
樹脂Aを樹脂Bに変更した他は実施例1−1と同様にしてハニカム構造体である蓄熱構造体A3を作製した。
蓄熱構造体A3を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−4)
樹脂Aを樹脂Bに変更し、蓄熱材粒子Aを蓄熱材粒子Bに変更した他は実施例1−1と同様にしてハニカム構造体である蓄熱構造体A4を作製した。
蓄熱構造体A4を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−5)
蓄熱材粒子Aを蓄熱材粒子Cに変更した他は実施例1−1と同様にしてハニカム構造体である蓄熱構造体A5を作製した。
蓄熱構造体A5を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−6)
樹脂Aを樹脂Bに変更し、蓄熱材粒子Aを蓄熱材粒子Cに変更した他は実施例1−1と同様にしてハニカム構造体である蓄熱構造体A6を作製した。
蓄熱構造体A6を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−7)
樹脂組成物として、樹脂A(30wt%)と蓄熱材粒子A(35wt%)、蓄熱材粒子B(35wt%)からなる樹脂ペレットを作製して、この樹脂ペレットから射出成形によりハニカム構造体である蓄熱構造体A7を作製した。蓄熱構造体A7の大きさは蓄熱構造体A1と同様である。
蓄熱構造体A7を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−8)
樹脂組成物として、樹脂A(30wt%)と蓄熱材粒子A(35wt%)、蓄熱材粒子C(35wt%)からなる樹脂ペレットを作製して、この樹脂ペレットから射出成形によりハニカム構造体である蓄熱構造体A8を作製した。蓄熱構造体A8の大きさは蓄熱構造体A1と同様である。
蓄熱構造体A8を使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
(実施例1−9)
蓄熱構造体A1と蓄熱構造体A2を並列に1個づつ、計2つ組み付けて使用した。
蓄熱器に対する熱媒体の流入口と熱媒体の流出口は、蓄熱器の同じ面にあって左右に隣り合うように設けた。そして、熱媒体の流入口側に蓄熱構造体A2が設けられ、熱媒体の流出口側に蓄熱構造体A1が設けられるようにした。
上記以外の点は実施例1と同様にした。
(実施例1−10)
蓄熱構造体A1と蓄熱構造体A5を並列に1個づつ、計2つ組み付けて使用した。
蓄熱器に対する熱媒体の流入口と熱媒体の流出口は、蓄熱器の同じ面にあって左右に隣り合うように設けた。そして、熱媒体の流入口側に蓄熱構造体A5が設けられ、熱媒体の流出口側に蓄熱構造体A1が設けられるようにした。
上記以外の点は実施例1と同様にした。
(実施例1−11)
蓄熱構造体A7と蓄熱構造体A8を並列に1個づつ、計2つ組み付けて使用した。
蓄熱器に対する熱媒体の流入口と熱媒体の流出口は、蓄熱器の同じ面にあって左右に隣り合うように設けた。そして、熱媒体の流入口側に蓄熱構造体A7が設けられ、熱媒体の流出口側に蓄熱構造体A8が設けられるようにした。
上記以外の点は実施例1と同様にした。
(実施例2−1)
樹脂組成物として、樹脂A(30wt%)と蓄熱材粒子A(70wt%)からなる樹脂ペレットを作製し、この樹脂ペレットから射出成形によりフィン構造体である蓄熱構造体B1を作製した。このとき、フィン構造体である蓄熱構造体B1は、以下の大きさで作製した。
蓄熱構造体B1の大きさ 縦:2.2cm×横:3.6cm×長さ10cm
外周壁の厚み :0.085cm
フィンの大きさ 縦:0.085cm×横:0.38cm
蓄熱構造体の外周壁1辺当たりのフィンの数 縦:5個×横:8個
蓄熱構造体B1を並列に2個組付けたサイズに対し、蓄熱構造体B1から0.5cm離間し、樹脂厚み0.05cmとなるような寸法の外周部材を樹脂Cを使用して作製した。
この外周部材に蓄熱構造体B1を並列に4つ組付けて収納した。
さらに、外周部材の外周をさらに断熱材(グラスウール 厚み1cm)で覆うことで、蓄熱器を得た。
このとき、蓄熱器に対する熱媒体の流入口と熱媒体の流出口は、蓄熱器の対向する面に設けた。
(比較例1)
実施例1−1で作製した外周部材と同じ寸法の蓄熱タンクを用いて、螺旋状で直径1cmのパイプを配置して、蓄熱物質(パラフィン)をタンクの容量の75%の量入れた蓄熱器Xを得た。
(比較例2)
樹脂組成物として、樹脂A(30wt%)と蓄熱物質としてのパラフィン(70wt%)を混合し、樹脂ペレットを作製し、この樹脂ペレットから射出成形によりハニカム構造体である蓄熱構造体Yを作製した。
蓄熱構造体Yを使用した他は実施例1−1と同様にして蓄熱器を得た。
<蓄熱評価>
蓄熱評価として、初期温度:15℃である蓄熱器の流入口から50℃に熱した熱媒体としての水を流入させ、流出口での熱媒体の温度を測定した。このとき、熱媒体の流入開始から、熱媒体の流出口において熱媒体の温度が50℃に達するまでの時間を測定した。
なお、比較例1では、パイプより50℃に熱した熱媒体としての水を流入させ、パイプから排出された熱媒体の温度を測定した。
図11は、蓄熱器に50℃の熱媒体を流入させた際の流出口での熱媒体の温度変化を示すグラフである。
流出口において熱媒体の温度が50℃に達するまでの時間を測定したところ、実施例1−1では180秒であり、比較例2では240秒であり、比較例1では、800秒であった。
また、実施例1−1、比較例1および比較例2について、10℃の冷却水を、先の実験で蓄熱器に蓄熱した際の流れとは逆方向に流入させ、流出口から排出される熱媒体としての水の温度を測定し、水の温度が10℃になるまでの時間を測定した。
図12は、蓄熱器に10℃の熱媒体を流入させた際の流出口での熱媒体の温度変化を示すグラフである。
流出口において熱媒体の温度が10℃に達するまでの時間を測定したところ、実施例1−1では180秒であり、比較例2では220秒であり、比較例1では700秒であった。
この結果から、実施例1−1の蓄熱器は蓄熱速度が速く、効率的に熱を回収又は貯蔵することができることがわかる。
実施例1−2〜1−11及び実施例2−1の蓄熱器でも、実施例1−1と同様に、初期温度:15℃である蓄熱器の流入口から50℃に熱した熱媒体としての水を流入させ、流出口での熱媒体の温度を測定した。このとき、熱媒体の流入開始から、熱媒体の流出口において熱媒体の温度が50℃に達するまでの時間を測定した。
各実施例および比較例の熱媒体の流出口において熱媒体の温度が50℃に達するまでの時間の結果を以下に示した。
実施例1−1:180秒
実施例1−2:160秒
実施例1−3:180秒
実施例1−4:160秒
実施例1−5:200秒
実施例1−6:200秒
実施例1−7:170秒
実施例1−8:190秒
実施例1−9:180秒
実施例1−10:200秒
実施例1−11:180秒
実施例2−1:180秒
比較例1:800秒
比較例2:240秒
以上の結果より、各実施例の蓄熱器は、各比較例の蓄熱器に比べ、熱媒体の排出口における熱媒体の温度が50℃に達するまでの時間が短いことから、蓄熱効率が向上されているといえる。
本発明の蓄熱器は、蓄熱効率が向上されており、熱の回収や貯蔵に優れているといえるし、蓄熱器のコンパクト化、軽量化をしても蓄熱器としての役目を果たすと推定される。
1、2、3、4、5、6 蓄熱器
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10A、10B、10C、10D、10E、10F、20 蓄熱構造体
11、21 セル
12 隔壁
13、13a、13b、13c、13e、13f 流入側端面
14、14a、14b、14c、14d、14f 流出側端面
22 外周壁
23 フィン
30 外周部材
31 容器部
32 蓋部
33 流入口
34 流出口
35、35a、35b、35c、35d 連結管
40 断熱材
100、200、300 蓄熱システム
150、250、350 熱源
151 エアコン
152 熱交換器
160、260、360 被加熱部材
170 ポンプ
251 エンジン
252 排気管
253、354 冷却器
351 電池
352 モーター
353 インバーター

Claims (8)

  1. カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、前記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、
    前記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする車載用の蓄熱器。
  2. 前記蓄熱構造体が複数単位配設されている請求項1に記載の蓄熱器。
  3. 前記外周部材が樹脂又は金属である請求項1又は2に記載の蓄熱器。
  4. 前記外周部材にも、カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子が含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱器。
  5. 前記外周部材の外周にさらに断熱材が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱器。
  6. カプセル内に蓄熱物質が封入された蓄熱材粒子と樹脂とからなり熱媒体が流れる流路を有する蓄熱構造体と、
    前記蓄熱構造体の外周を覆う外周部材と、からなる蓄熱器であって、前記蓄熱構造体は、ハニカム構造体又はフィン構造体であることを特徴とする車載用の蓄熱器と、
    前記熱媒体を前記蓄熱構造体に供給する自動車内の熱源と、
    前記蓄熱構造体からの熱を受ける自動車内の被加熱部材又は被冷却部材とからなることを特徴とする自動車用の蓄熱システム。
  7. 前記熱源が、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種である請求項6に記載の蓄熱システム。
  8. 前記被加熱部材又は被冷却部材が、空調、内燃機関及びバッテリーからなる群から選択された少なくとも1種である請求項6又は7に記載の蓄熱システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102528736B1 (ko) * 2022-07-05 2023-05-03 엄재용 지중열교환기 부하를 경감하는 열교환 기능을 갖는 한 쌍의 유체헤더

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