JP2020085273A - 焼結機 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成される焼結原料の通気抵抗を低減させることができるとともに、返鉱の発生を抑制することが可能な焼結機を提供する。【解決手段】焼結機(1)は、パレット台車(14)と、点火炉(30)と、円板(61)と、を備える。パレット台車(14)には、焼結原料が装入される。パレット台車は、無端軌道(13)上を走行する。点火炉(30)は、パレット台車(14)上の焼結原料に点火する。円板(61)は、パレット台車(14)の走行方向において点火炉(30)の上流に配置される。円板(61)は、回転軸(621)周りに回転する。回転軸(621)は、無端軌道(13)の幅方向に延びる。円板(61)は、外周部(612)を有する。外周部(612)は、パレット台車(14)上の焼結原料に侵入して溝(G)を形成する。外周部(612)は、円板(61)の内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成される。【選択図】図3

Description

本開示は、焼結機に関する。
製銑工程では、鉄鉱石類及びコークスが高炉に装入され、高温下で化学反応することにより、銑鉄が製造される。粉鉱石をそのまま高炉に装入すると高炉で目詰まりが生じるため、高炉に装入する鉄鉱石類として、従来、粉鉱石を塊成化した焼結鉱が用いられている。焼結鉱は、粉鉱石、石灰石、及び粉コークス等からなる配合材料に造粒処理を施して焼結原料を生成し、この焼結原料を焼き固めることで生産される。
焼結鉱の生産には、ドワイトロイド(DL)式焼結機が広く使用されている。DL式焼結機は、複数のパレット台車と、点火炉と、風箱群と、を備える。複数のパレット台車は、焼結原料が供給される給鉱部から、焼結鉱が排出される排鉱部に向かって走行する。点火炉は、パレット台車に装入された焼結原料の表面に点火する。風箱群は、給鉱部から排鉱部へと走行するパレット台車の下方に配置される。風箱群は、パレット台車の上方の空気を吸引して焼結原料中のコークスの燃焼を促進させる。
特許文献1は、DL式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法を開示する。特許文献1の製造方法では、焼結原料に点火した後、スパイクローラにより、焼結層の燃焼帯に達する小孔が設けられる。小孔は、燃焼帯の下面が、焼結層の表面から焼結層高の30%の位置に到達するまでの間に形成され、焼結層の幅方向に散在する。特許文献1によれば、この小孔により、焼きしまりによる張力が分散及び吸収されて大クラックの発生が防止されるとともに、焼結層の層厚が等価的に減少して通気性が改善される。
特許文献2及び3は、焼結原料の装入層の層厚を正確に測定し、通気状態を均一化するためのDL式焼結機を開示する。特許文献2及び3の焼結機では、層厚検出部によって装入層の層厚をパレット台車の幅方向に検出し、要通気増加領域(圧密領域)を抽出する。装入層に圧密領域が存在する場合、圧密領域に対して通気棒が所定の深度まで挿入され、圧密領域の通気性が確保される。
特許文献4の焼結鉱の製造方法では、焼結原料の装入層の幅方向の両端部に、空隙率が高い部分が形成される。空隙率が高い部分は、装入層が点火炉に入る前に、板状体の通気スリット又は棒状体の通気棒を予め装入層に挿入して固定しておくことで、パレット台車の走行に伴って形成される。空隙率が高い部分には、焼結に必要な高温域保持時間を十分に確保するために、気体燃料が導入される。
特許文献5には、焼結機への焼結原料の装入方法が開示されている。特許文献5では、予め位置決めされたスリット形成棒により、パレット台車の幅方向に並ぶ複数のスリット状溝が形成される。特許文献5によれば、これらのスリット状溝に粉コークスを装入することで、焼結原料の装入層の通気性を阻害することなく、カーボン濃度を上昇させることができる。
特開平4−143229号公報 特許第5458780号公報 特開2012−046813号公報 特開2013−076105号公報 特開平2−301525号公報 特許第2927217号公報
特許文献1では、焼結原料への点火後、焼結完了帯が形成され始めた段階で小孔が形成される。しかも、小孔は、スパイクローラの表面から突出するピンを焼結層に突き刺すことで形成される。このため、焼結層の表面が荒れ、返鉱が多く発生する。
ここで、返鉱とは、概ね5mm程度以下の粒径を有する小さな焼結鉱(以下、細粒焼結鉱ともいう)である。細粒焼結鉱が高炉に適量以上投入されると、高炉内の通気性が悪化して、炉内ガスの偏流が発生しやすくなり、炉内吹き抜け等の高炉操業状態の不調を招くおそれがある。このため、高炉への細粒焼結鉱の投入量には、例えば、高炉への焼結鉱全体の装入量の5%以下等といった制限が設けられている。細粒焼結鉱の投入量の制限を守るため、焼結工場内では、焼結鉱を篩いにかけ、細粒焼結鉱を高炉へ送らずに焼結機内へ戻し、再焼結するようになっている。一般に、パレット台車上の焼結層(焼結ベッド)の表面では、焼結原料中のコークスが燃焼したとしても蓄熱がほとんどなく、スラグ成分の十分な溶融には至らない。よって、焼結ベッドの表面部分は、その強度が小さく、搬送過程における落下衝撃等のわずかな外力で簡単に崩壊して細粒となるため、返鉱を生じさせやすい。この焼結ベッドの表面部分の強度を向上させ、返鉱を低減させることが望まれている。従来の焼結工場では、例えば、焼結ベッド上で焼成した焼結鉱の15〜30%という膨大な量の返鉱が発生している。返鉱の量を低減することができれば、焼結生産量が増加することになる。このため、焼結工場では、返鉱発生量に関する改善のニーズが高い。
特許文献2〜5では、棒状体又は板状体を焼結原料に挿入して固定しておくことにより、パレット台車の走行に伴って焼結原料に溝が形成される。この場合、棒状体又は板状体によって押し分けられる焼結原料の粒子は、棒状体又は板状体に接触している間、棒状体又は板状体から上向きの力を受けると考えられる。しかしながら、この焼結原料の粒子は、棒状体又は板状体から離れたときに支えを失って落下する。これにより、溝の内面が崩れて焼結原料の粒子の密度が小さい部分が発生し、焼結操業時に発生する返鉱が増加する。
本開示は、焼成される焼結原料の通気抵抗を低減させることができるとともに、返鉱の発生を抑制することが可能な焼結機を提供することを課題とする。
本開示に係る焼結機は、パレット台車と、点火炉と、円板と、を備える。パレット台車には、焼結原料が装入される。パレット台車は、無端軌道上を走行する。点火炉は、パレット台車上の焼結原料に点火する。円板は、パレット台車の走行方向において点火炉の上流に配置される。円板は、回転軸周りに回転する。回転軸は、無端軌道の幅方向に延びる。円板は、外周部を有する。外周部は、パレット台車上の焼結原料に侵入して溝を形成する。外周部は、円板の内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成される。
本開示に係る焼結機によれば、焼成される焼結原料の通気抵抗を低減させることができるとともに、返鉱の発生を抑制することができる。
図1は、実施形態に係る焼結機の概略を示す側面図である。 図2は、図1に示す焼結機に含まれる冷媒供給装置の正面図である。 図3は、図1に示す焼結機に含まれる溝形成装置の正面図である。 図4は、図3に示す溝形成装置に含まれる円板を拡大した図である。 図5は、図3に示す溝形成装置の側面図である。 図6は、図3及び図4に示す円板の作動状態を示す平面図及び側面図である。 図7は、従来の焼結機で形成される焼結層の縦断面図である。 図8は、図1に示す焼結機で形成される焼結層の縦断面図である。 図9は、図1に示す焼結機で形成される別の焼結層の縦断面図である。
実施形態に係る焼結機は、パレット台車と、点火炉と、円板と、を備える。パレット台車には、焼結原料が装入される。パレット台車は、無端軌道上を走行する。点火炉は、パレット台車上の焼結原料に点火する。円板は、パレット台車の走行方向において点火炉の上流に配置される。円板は、回転軸周りに回転する。回転軸は、無端軌道の幅方向に延びる。円板は、外周部を有する。外周部は、パレット台車上の焼結原料に侵入して溝を形成する。外周部は、円板の内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成される(第1の構成)。
第1の構成では、回転する円板の外周部により、焼結原料に溝が形成される。より詳細には、当該円板の外周部は、パレット台車上の焼結原料に侵入して溝の形成を開始する。焼結原料は、回転する円板の外周部によって押し分けられる。このとき、円板の回転と、内周側から外周側に向かって厚みが小さくなる外周部の表面形状とにより、焼結原料に対して下向きの力が作用する。よって、焼結原料の粒子が円板から離れたときに落下しにくく、焼結原料には内面が平滑な溝が形成される。
円板の外周部は、焼結原料の表面から最下点に到るまで、焼結原料を押し広げて溝を完成させる。その後、円板の外周部は、円板の回転に伴い、完成した溝から抜けていく。ここで、円板の外周部は、内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成されており、厚みが大きい部分から順に溝から抜けていくため、当該抜けていく部分は、既に形成された溝の内面に接触しない。よって、焼結原料に形成した溝の内面を平滑な状態に維持することができる。
このように、第1の構成に係る焼結機によれば、焼成される焼結原料に溝を形成して、焼結原料の通気抵抗を低減させることができる。また、溝の内面を平滑にすることができるため、焼結原料において低密度の部分が生じにくく、返鉱の発生を抑制することができる。
上記外周部は、円板の中心を通り回転軸を含む平面で切断した断面で見て、テーパ状の表面を有することが好ましい(第2の構成)。
第2の構成によれば、外周部は、円板の中心を通り回転軸を含む平面で切断した断面で見てテーパ状の表面によって、焼結原料を均一に押圧することができる。このため、溝の内面をより確実に平滑にすることができ、返鉱の発生をさらに抑制することができる。
上記外周部は、耐摩耗性を向上させるための表面処理が施されていることが好ましい(第3の構成)。
第3の構成によれば、焼結原料に接触する外周部の摩耗を低減することができるため、円板の寿命を向上させることができる。
上記焼結機は、さらに、スクレーパを備えることが好ましい。スクレーパは、パレット台車上の焼結原料の上方において、外周部に沿うように円板の両脇に配置することができる(第4の構成)。
第4の構成によれば、溝の形成時に円板に付着した焼結原料をスクレーパで都度除去することができる。これにより、円板に付着した焼結材料の塊が成長するのを防止することができる。よって、円板によって形成される溝の形状の変化を防止することができ、焼結原料の通気抵抗を均一に維持することができる。
上記焼結機は、さらに、位置調整機構を備えることが好ましい。位置調整機構は、無端軌道の幅方向における円板の位置を調整する(第5の構成)。
第5の構成によれば、通気抵抗のばらつき等を考慮し、パレット台車上の焼結原料に対して望ましい位置に溝を形成することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
<焼結機の構成>
図1は、実施形態に係る焼結機1の側面図である。焼結機1は、焼結原料を焼き固めて焼結鉱を生産する。焼結原料は、粉鉱石、石灰石、及び粉コークス等からなる配合材料に造粒処理を施して生成された、粒状の原料である。
図1に示すように、焼結機1は、焼結機本体10と、装入装置20と、点火炉30と、排ガス循環装置40と、冷媒供給装置50と、溝形成装置60と、を備える。
[焼結機本体]
焼結機本体10は、給鉱部11で供給された焼結原料を排鉱部12に向かって搬送しながら焼成する。焼成後の焼結原料(焼結鉱)は、排鉱部12から排出される。焼結機本体10は、無端軌道13と、複数のパレット台車14と、複数の風箱15と、を含む。
(無端軌道)
無端軌道13は、駆動スプロケットホイール131と、従動スプロケットホイール132と、レール133,134と、を有する。駆動スプロケットホイール131は、給鉱部11側に配置され、駆動装置(図示略)によって回転する。従動スプロケットホイール132は、排鉱部12側に配置される。レール133,134は、駆動スプロケットホイール131と従動スプロケットホイール132との間で水平に延びる。レール134は、レール133の下方に配置されている。なお、従動スプロケットホイール132に代えて、カーブトラックを設けることもできる。
(パレット台車)
複数のパレット台車14は、無端軌道13に沿って配列され、無端軌道13上を走行する。パレット台車14の各々は、駆動スプロケットホイール131が回転駆動されることにより、駆動スプロケットホイール131、レール133、従動スプロケットホイール132、及びレール134を循環走行する。
パレット台車14は、レール133上を給鉱部11側から排鉱部12側へと走行する。パレット台車14は、従動スプロケットホイール132に到達すると、その車軸を従動スプロケットホイール132の歯に引っ掛けることで折り返し、レール134上を排鉱部12側から給鉱部11側へと走行する。パレット台車14は、駆動スプロケットホイール131に到達すると、その車軸を駆動スプロケットホイール131の歯に引っ掛けることで折り返し、再度レール133上を走行する。
パレット台車14には、焼結原料が装入される。パレット台車14は、レール133上を給鉱部11から排鉱部12に向かって走行する。パレット台車14がレール133上を走行している間に、焼結原料の焼成が進行する。
以下、焼成開始前におけるパレット台車14上の焼結原料の層を原料ベッドと称し、焼成開始後におけるパレット台車14上の焼結原料の層を焼結ベッド又は焼結層と称する。焼成途中の焼結ベッドには、焼結完了帯と、燃焼・溶融帯と、湿潤帯と、が含まれる。焼結完了帯は、焼結原料が焼き切られて塊成化が完了した、焼結ベッドの最上層である。燃焼・溶融帯は、焼結完了帯の下方に位置する。燃焼・溶融帯は、焼結原料中のコークスが燃焼し、焼結原料の鉄鉱石が部分的に溶融している層である。湿潤帯は、焼結ベッドの最下層であり、燃焼前の焼結原料のみからなる。
また、レール133上を給鉱部11から排鉱部12に向かうパレット台車14の経路を往路と称し、レール134上を排鉱部12から給鉱部11に向かうパレット台車14の経路を復路と称する。往路において、給鉱部11側を上流、排鉱部12側を下流という。本実施形態の往路には、焼結ベッドの焼成を進行させる焼成ゾーン16と、焼成ゾーン16を通過した後の焼結ベッドを冷却する冷却ゾーン17と、が設けられている。
(風箱)
複数の風箱15は、往路に設けられている。より詳細には、複数の風箱15は、レール133の下方において、レール133に沿って配列されている。各風箱15内の圧力は、大気圧よりも低い圧力(負圧)に設定されている。各風箱15は、往路を走行中のパレット台車14の上方の空気を吸引して、焼結ベッドへの通気を行う。これにより、焼結完了帯が冷却されるとともに、燃焼・溶融帯におけるコークスの燃焼が促進される。
[装入装置]
装入装置20は、往路を走行するパレット台車14に対し、焼結原料を装入する。装入装置20は、焼結機本体10の上方に設けられている。より詳細には、装入装置20は、レール133の上方において、給鉱部11側に設けられている。
装入装置20は、床敷ホッパ21と、サージホッパ22と、を含む。床敷ホッパ21は、パレット台車14上に床敷鉱を供給する。サージホッパ22は、パレット台車14の走行方向において、床敷ホッパ21の下流に配置されている。サージホッパ22は、パレット台車14上に焼結原料を供給する。
[点火炉]
点火炉30は、往路に設けられている。より詳細には、点火炉30は、レール133の上方において、給鉱部11側に設けられている。点火炉30は、パレット台車14の走行方向において、装入装置20の下流に配置されている。点火炉30は、往路を走行するパレット台車14上の原料ベッドに点火する。
[排ガス循環装置]
排ガス循環装置40は、風箱15が吸引した空気の一部を焼結ベッドに循環供給する。排ガス循環装置40は、排風ダクト41と、循環フード42,43と、循環ダクト44と、ボイラ45と、ファン46と、を有する。
排風ダクト41には、冷却ゾーン17に配置された各風箱15が接続されている。循環フード42は、焼成ゾーン16に配置される。循環フード43は、冷却ゾーン17に配置される。循環ダクト44は、ボイラ45及びファン46を介して、排風ダクト41と焼成ゾーン16の循環フード42とを接続する。冷却ゾーン17の風箱15が吸引した空気(排ガス)は、排風ダクト41及び循環ダクト44によって焼成ゾーン16の循環フード42内に供給される。図示を省略するが、冷却ゾーン17の循環フード43内にも、排風ダクト41及び循環ダクト44を介し、風箱15からの排ガスが供給される。
[冷却供給装置]
冷媒供給装置50は、焼結機本体10の上方に設けられている。より詳細には、冷媒供給装置50は、レール133の上方において、循環フード42と循環フード43との間に配置されている。冷媒供給装置50は、循環フード42と循環フード43との間から露出した焼結ベッドに対し、冷媒を供給する。この冷媒として、特に限定されるものではないが、例えば水等を用いることができる。
図2は、冷媒供給装置50の正面である。図2に示すように、冷媒供給装置50は、供給管51と、複数のノズル52と、を有する。供給管51は、パレット台車14の幅方向(無端軌道13の幅方向)に延びている。供給管51には、冷媒が供給される。複数のノズル52は、供給管51から下方に延びている。各ノズル52は、供給管51に供給された冷媒をパレット台車14上の焼結ベッドに向かって放出する。
[溝形成装置]
図1に戻り、溝形成装置60は、パレット台車14上の原料ベッドに溝を形成するための装置である。溝形成装置60は、焼結機本体10の上方に設けられる。溝形成装置60は、パレット台車14の走行方向において、点火炉30の上流に配置されている。溝形成装置60は、装入装置20と点火炉30との間に配置されている。
以下、図3から図5を参照しつつ、溝形成装置60について詳細に説明する。
図3は、溝形成装置60の正面図である。図3に示すように、溝形成装置60は、少なくとも1つの円板61と、軸部材62と、スクレーパ63と、少なくとも1つの位置調整機構64と、を有する。本実施形態において、溝形成装置60は、複数の円板61と、複数の円板61に対応する複数の位置調整機構64と、を有する。
(円板及び軸部材)
複数の円板61は、パレット台車14の幅方向(無端軌道13の幅方向)に沿って並んでいる。円板61の各々は、その厚み方向がパレット台車14の幅方向と一致するように配置されている。円板61の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、鋼である。
円板61は、軸部材62の中心線621周りに回転する。軸部材62の中心線621が円板61の回転軸である。軸部材62は、パレット台車14の幅方向に並ぶ複数の円板61を貫通している。円板61及び軸部材62は、相対回転可能であってもよいし、一体的に回転してもよい。
図4は、図3に示す複数の円板61のうちの1つを拡大した図である。図4に示すように、円板61は、内周部611と、外周部612とを有する。
内周部611は、貫通孔611aを有する。円板61及び軸部材62が相対回転する場合、軸部材62は、貫通孔611aの周縁との間に隙間を空けて、貫通孔611aに挿入される。貫通孔611aの周縁と軸部材62との間には、軸受が設けられていてもよい。円板61及び軸部材62が一体回転する場合、円板61及び軸部材62が一体形成されてもよいが、径方向の凹凸によって円板61及び軸部材62の相対回転を規制してもよい。この場合、円板61は、軸部材62と一体回転する一方、パレット台車14の幅方向において軸部材62と相対移動可能となる。
外周部612は、内周部611の周囲に配置されている。外周部612の厚みは、円板61の内周側から外周側に向かって小さくなる。外周部612は、円板61の縦断面視で、テーパ状の表面612a,612bを有することが好ましい。表面612a,612bは、円板61の外周縁に向かうにつれて互いに近づくように傾斜する傾斜面である。すなわち、外周部612は、円板61の縦断面視で、実質的にV字状をなす。ただし、表面612a,612bは、丸みを有する面であってもよい。円板61の縦断面とは、回転軸621(円板61の軸心)を含む平面で円板61を切断したときの断面である。
円板61の径方向における外周部612の長さは、特に限定されるものではないが、例えば、50mm〜250mm程度とすることができる。円板61の径方向に対して垂直な方向における外周部612の長さ(厚み)は、特に限定されるものではないが、例えば、4mm〜20mm程度とすることができる。外周部612は、内周縁部の厚みよりも外周縁部の厚みが小さくなるように形成されていればよい。
外周部612には、好ましくは、耐摩耗性を向上させるための表面処理が施される。表面処理は、外周部612のみに施されていてもよいし、円板61全体に施されていてもよい。表面処理は、円板61の材質等に応じ、例えば、硬質クロムめっき等のめっき加工、硬化肉盛溶接、焼入れ等から適宜選択することができる。
(スクレーパ)
図4を引き続き参照し、円板61の両脇には、外周部612に沿うようにスクレーパ63が配置されている。各スクレーパ63は、円板61を両側から挟むように配置されている。スクレーパ63は、外周部612の表面612a又は612bのうち、原料ベッドRの上方に位置する部分に接触する。
(位置調整機構)
位置調整機構64は、円板61ごとに設けられている。位置調整機構64は、対応する円板61の位置を、他の円板61から独立して調整する。位置調整機構64は、対応する円板61について、パレット台車14の幅方向における位置を調整する。また、位置調整機構64は、対応する円板61の上下方向の位置を調整することができる。
図4に示すように、位置調整機構64は、位置調整部材641と、支持部材642と、規制部材643と、を有する。
位置調整部材641は、例えば、ボールねじやすべりねじ等の公知の送りねじである。位置調整部材641は、ねじ軸641aと、ナット641bと、を有する。ねじ軸641aは、パレット台車14の幅方向に延びている。ねじ軸641aは、ナット641bに挿入されている。位置調整部材641がボールねじである場合は、ねじ軸641aとナット641bとの間に複数の転動体(図示略)が配置される。
支持部材642は、円板61の両側に配置されている。円板61は、軸部材62の近傍部分で、2つの支持部材642によって挟持されている。これらの支持部材642は、位置調整部材641から垂下している。各支持部材642の上端部は、ナット641bに取り付けられる。2つの支持部材642の間には、スクレーパ63が配置されている。
規制部材643は、位置調整部材641の下方に配置されている。規制部材643は、パレット台車14の幅方向に延び、2つの支持部材642を貫通する。規制部材643は、軸周りに回転しないように固定されている。
上記のような構成により、位置調整機構64は、円板61をパレット台車14の幅方向に適宜移動させることができる。位置調整部材641のねじ軸641aを軸周りに回転させることにより、ねじ軸641aに沿って、ナット641bがパレット台車14の幅方向に移動する。円板61は、支持部材642を介してナット641bと接続されているため、ナット641bとともにパレット台車14の幅方向に移動する。規制部材643は、ねじ軸641aの回転に伴い、ナット641b、支持部材642、及び円板61が連れ回りするのを規制する。
図5は、図3に示す溝形成装置60の側面図である。図5を参照して、複数の円板61に対応して設けられた複数の位置調整機構64は、円板61の周方向に位置をずらして配置されている。このため、複数の位置調整機構64の位置調整部材641及び規制部材643は、互いに干渉しない。
本実施形態では、円板61ごとに規制部材643が設けられているが、2つ以上の円板61に対して共通の規制部材643を設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、円板61ごとにねじ軸641a(図4)を設けて各円板61を個別に移動させているが、2つ以上の円板61に対して共通のねじ軸641aを設け、これらの円板61を同時に移動させてもよい。
位置調整部材641は、その端部の操作によって円板61の位置を調整できるよう、送りねじであることが好ましい。ただし、位置調整部材641の構成は、これに限定されるものではない。例えば、位置調整部材641は、パレット台車14の幅方向に延びるねじ無しのロッドと、このロッドに対して摺動可能に取り付けられたスリーブと、で構成されていてもよい。
(押圧機構)
図5に示すように、溝形成装置60は、さらに、円板61ごとに設けられた押圧機構65を有することができる。押圧機構65は、押圧板651と、案内部材652とを含む。押圧板651の一方面(下面)は、パレット台車14の原料ベッドRの表面に対向する。押圧板651は、パレット台車14の走行方向に延びるスリット(図示略)を有し、このスリットに円板61の外周部612が差し込まれる。案内部材652は、円板61の両側に配置されている。各案内部材652は、概ね逆U字状に形成され、軸部材62に上方から装着される。各案内部材652及び軸部材62は、上下方向に相対移動可能となっている。案内部材652の下端部は、押圧板651の上面に接続されている。
<焼結機の作動>
次に、上記のように構成された焼結機1の作動について説明する。
図1を再度参照して、焼結機1によって焼結鉱を生成する際、無端軌道13の往路を走行するパレット台車14に対して、装入装置20が焼結原料を装入する。具体的には、装入装置20の下方を通過するパレット台車14に対し、床敷ホッパ21が床敷鉱を供給し、この床敷鉱上に、サージホッパ22が焼結原料を供給する。これにより、パレット台車14上に原料ベッドRが形成される。
パレット台車14上の原料ベッドRには、溝形成装置60によって複数条の溝Gが形成される。図3及び図4を参照して、パレット台車14が溝形成装置60を通過するとき、各円板61は、パレット台車14上の原料ベッドRに接触して、回転軸621周りに回転する。本実施形態では、各円板61は、往路を移動する原料ベッドRに接触することのみで、軸部材62の周りに回転する。ただし、軸部材62に接続された駆動装置(図示略)によって軸部材62が回転することで、軸部材62とともに各円板61を回転させてもよい。
回転する各円板61の外周部612が原料ベッドRに侵入し、原料ベッドRに溝Gが形成される。外周部612は、原料ベッドRの焼結原料を押し分けながら溝Gを形成する。外周部612の厚みは、円板61の内周側から外周側に向かって小さくなっているため、原料ベッドRには、下方に向かって幅が小さくなる溝Gが形成される。押圧機構65の押圧板651は、押圧機構65の自重で原料ベッドRの表面に追従し、外周部612が溝Gを形成している間、円板61の両側において原料ベッドRの表面を押圧する。これにより、外周部612に押し分けられた焼結原料が溝Gの両側に隆起するのを抑制することができる。
原料ベッドRに溝Gを形成する際、円板61の表面を水等で湿らせることができる。これにより、焼結原料と円板61との摩擦を低減させ、円板61に対する焼結原料の付着を防止することができる。溝Gが形成された原料ベッドRには、返鉱の発生を抑制するために炭素分を添加してもよい。
ここで、円板61による溝Gの形成状態について、図6を参照しながら説明する。図6は、原料ベッドRに溝Gを形成している円板61の平面図及び側面図である。
図6に示すように、回転する円板61の外周部612は、給鉱部11側から排鉱部12側に搬送されている原料ベッドRに溝Gを形成する。外周部612は、円板61の回転軌跡の最下点Pよりも給鉱部11側で、原料ベッドRに食い込んで焼結原料を円板61の厚み方向に押し広げ、最下点Pで溝Gを完成させる。最下点Pよりも排鉱部12側では、外周部612が完成した溝Gから抜けていく。最下点Pよりも排鉱部12側では、円板61の回転に伴い、先細りの外周部612が上方へ抜けていき、外周部612のうち、溝Gの幅よりも小さい厚みの部分が溝Gを通過するため、既に形成された溝Gの内面に外周部612が接触しない。溝Gから抜けた外周部612に焼結原料が付着している場合、この焼結原料は、スクレーパ63(図3)によって外周部612から掻き落とされる。
図1に戻り、パレット台車14上の焼結原料は、溝形成装置60によって溝Gが形成された後、点火炉30によって点火される。これにより、焼結原料中のコークスが燃焼を開始する。
点火炉30による点火の後、パレット台車14は、焼成ゾーン16を走行する。焼成ゾーン16を走行している間、焼結原料中のコークスが燃焼し、鉄鉱石が部分的に溶融して焼結原料の塊成化が進行する。焼成ゾーン16では、風箱15による吸気により、コークスの燃焼が促進される。また、冷却ゾーン17の風箱15からの排ガスが循環フード42内に供給されることで、コークスの燃焼が促進される。
焼結ベッドを積載して走行するパレット台車14は、循環フード42と循環フード43との間、すなわち焼成ゾーン16と冷却ゾーン17との間で露出する。焼成ゾーン16と冷却ゾーン17との間では、パレット台車14上の焼結ベッドが冷却される。本実施形態では、冷媒供給装置50から、パレット台車14上の焼結ベッドに冷媒が供給される。具体的には、円板61によって形成された溝Gの各々に対し、冷媒供給装置50の各ノズル52(図2)から放出された冷媒が注入される。ノズル52は、溝Gごと、つまり円板61ごとに設けられている。ただし、ノズル52の数及び配置は、これに限定されるものではない。
その後、パレット台車14は、冷却ゾーン17を走行する。冷却ゾーン17では、風箱15による吸気により、焼結ベッドの焼結完了帯及び燃焼・溶融帯が冷却される。冷却ゾーン17の風箱15からの排ガスは、焼結機本体10の排ガス量を低減させるため、上述したように焼成ゾーン16の循環フード42に循環される。パレット台車14が冷却ゾーン17を走行している間に、焼結ベッドの焼結原料が焼き切られる。焼き切った後(焼成完了後)の焼結ベッドを焼結ケーキという。
パレット台車14は、排鉱部12側の従動スプロケットホイール132で折り返して復路を走行する。パレット台車14が折り返すとき、焼結ケーキがパレット台車14から排出される。焼結ケーキは、破砕機70によって破砕され、冷却機80によって冷却される。本実施形態では、焼結機本体10の冷却ゾーン17で焼結ベッドが冷却されているため、冷却機80は簡素なものでよい。
<実施形態の効果>
本実施形態に係る焼結機1では、回転する円板61の外周部612により、パレット台車14上の原料ベッドRに溝Gが形成される。原料ベッドRの焼結原料は、円板61の回転及び外周部612の先細りの表面形状により、下向きの力を受けながら押し分けられる。このため、完成した溝Gから外周部612が離れたときに、溝Gの内面の焼結原料が崩れ落ちるのを抑制することができる。よって、内面が平滑な溝Gを原料ベッドRに形成することができる。
外周部612は、原料ベッドRの表面から円板61の回転軌跡の最下点Pに到るまで、焼結原料を押し広げて溝Gを完成させる。その後、外周部612は、円板61の回転に伴い、完成した溝Gから抜けていく。外周部612は、内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成されており、厚みが大きい部分から順に溝Gから抜けていくため、溝Gの内面に接触しない。よって、原料ベッドRに形成された溝Gの内面を平滑な状態に維持することができる。
このように、本実施形態によれば、内面が平滑な溝Gを原料ベッドRに形成することで、原料ベッドRにおいて焼結原料の密度が小さい部分が発生するのを防止できる。このため、返鉱の発生を抑制することができる。
本実施形態において、円板61の外周部612は、好ましくは、縦断面視でテーパ状の表面612a,612bを有する。この表面612a,612bにより、原料ベッドRの焼結原料を均一に押し広げることができる。よって、原料ベッドRに形成される溝Gの内面をより確実に平滑にすることができ、返鉱の発生がさらに抑制される。
本実施形態において、外周部612は、耐摩耗性を向上させるための表面処理が施されていることが好ましい。これにより、焼結原料との接触による外周部612の摩耗が抑制され、円板61の寿命を向上させることができる。
本実施形態では、外周部612に沿うように円板61の両脇に設けられたスクレーパ63により、円板61の外周部612に付着した焼結原料を都度除去することができる。これにより、外周部612の表面612a,612b上に付着した焼結材料が塊に成長するのを防止することができる。よって、焼結材料の外周部612への付着により、溝Gの形状が変化するのを防止することができる。
本実施形態では、位置調整機構64により、パレット台車14の幅方向(無端軌道13の幅方向)における各円板61の位置を調整することができる。これにより、原料ベッドR又は焼結ベッドの通気状態等に応じ、望ましい位置に溝Gを形成することができる。
本実施形態では、パレット台車14上の原料ベッドRに対し、点火前に溝Gを形成する。よって、点火炉30が原料ベッドRの焼結原料に点火し、パレット台車14が焼成ゾーン16を通過するとき、パレット台車14の周囲の空気は、予め形成されている溝Gから焼結ベッドに流入する。焼結ベッドのうち、溝Gが形成されている部分は、溝Gが形成されていない部分と比較して層高が小さく、通気圧損が小さいため、多くの空気を吸い込むことになる。溝Gに吸い込まれた空気は、焼結ベッド内で溝Gの周囲にも拡散していく。よって、焼結原料に含まれるコークスの燃焼が促進され、焼成速度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る焼結機1では、パレット台車14が焼成ゾーン16を通過した後、このパレット台車14上の焼結ベッドが冷却される。焼結ベッドに溝Gが形成されていることにより、焼結ベッドの冷却を促進することができる。
図7から図9において、点火炉30から排鉱部12まで走行するパレット台車14上の焼結層について、その反応状態を示す。図7は、従来の焼結機で形成される焼結層SLaの縦断面図である。図8及び図9は、本実施形態に係る焼結機1で形成される焼結層SLb,SLcの縦断面図である。図8は、冷媒供給装置50による冷媒供給を実施しない場合の焼結層SLb、図9は、冷媒供給装置50による冷媒供給を実施した場合の焼結層SLcを示す。
図7から図9に示すように、点火炉30によって焼結原料に点火された後、パレット台車14が排鉱部12に向かって走行している間に、焼結層SLa,SLb,SLcの表面からグレート面(パレット台車14のグレートバーの上面)に向かって焼成が進行する。焼成の進行につれて、燃焼・溶融帯が徐々に下方に移動していく。ここで、燃焼・溶融帯の下側の境界線L1がグレート面に到達する点を燃焼前線到達点FFP、燃焼・溶融帯の上側の境界線L2がグレート面に到達する点を焼結完了点BTPと定義する。
従来の焼結機は、溝形成装置60を有しない。このため、従来の焼結機の焼結層SLaに溝Gは存在しない。従来の焼結機(図示略)は、循環フードの中間に大気を吸い込むためのゾーンが存在せず、高温の循環ガスを一様に焼結層に供給するようになっている。このため、冷却ゾーンであっても、200℃程度の高温ガスが焼結層に供給される。よって、燃焼・溶融帯の層高(厚み)が大きくなり、通ガスの圧力損失が高くなっていた。これに対し、本発明者等は、焼成ゾーン16の循環フード42と、冷却ゾーン17の循環フード43との間に、大気を吸い込むためのゾーンを設けた焼結機を上記特許文献6において提案した。図7は、特許文献6で提案された焼結機で形成される焼結層SLaの縦断面図を示したものである。
焼結層SLaにおいて、高温の燃焼・溶融帯の厚みが大きくなると、溶融した部分が閉気孔となり、ガスの通路が閉塞されてしまう。その結果、焼結層SLaにおける通ガスの圧力損失が高くなってしまうという問題があった。よって、燃焼・溶融帯の厚みが適切な厚みよりも大きくならないように、焼結機を操業する必要がある。しかしながら、図7のように、焼結ストランド上で焼結層SLaを冷却するタイプの焼結機では、焼成ゾーン16と冷却ゾーン17とが連続しているため、冷却ゾーン17のみパレット台車14の走行速度を遅くして冷却を促進することができないという問題があった。よって、焼成速度及び冷却速度のうち、どちらか遅い方の速度にパレット台車14の走行速度を合わせて運転せざるを得ず、燃焼・溶融帯の厚みが大きくなったりするため、パレット台車14の走行速度を落として生産能率を落とさざるを得ない操業となっていた。図7に示す焼結層SLaでは、冷却ゾーン17においても燃焼・溶融帯が層高方向に広がっている。そのため、焼結層SLaにおける閉気孔の生成がまだ多い場合、つまり通ガスの圧力損失が高い場合、さらなる冷却促進が必要である。閉気孔が生成されて凝固してしまうと、それ以降、閉気孔の生成部分で温度が下がっても、当該部分の通気抵抗は高いままである。図7において、燃焼・溶融帯より上方の相は、全て凝固した焼結完了帯である。したがって、燃焼・溶融帯の厚みを小さくすることが重要である。
一方、本実施形態に係る焼結機1は、溝形成装置60を有している。このため、図8及び図9に示すように、焼結機1の焼結層SLb,SLcには、予め形成された溝Gが存在する。焼結機1によれば、焼結層SLb,SLcの通気抵抗改善及び冷却促進に関し、溝形成装置60によって溝Gを形成した上で、水等の冷媒を注入するという2段階の対応が可能となる。
図8において、本実施形態に係る焼結機1の焼結層SLbにおける燃焼・溶融帯の境界線L1,L2を実線で、従来の焼結機の焼結層SLaにおける燃焼・溶融帯の境界線L1,L2を破線で示す。図8に示すように、焼結機1の焼結層SLbでは、従来の焼結機の焼結層SLaと比較して、燃焼前線到達点FFP及び焼結完了点BTPが焼成ゾーン16側に移動している。すなわち、焼結機1の場合、冷却ゾーン17における燃焼・溶融帯の層高が従来の焼結機よりも小さくなっている。これは、溝Gを介して大気が燃焼・溶融帯に到達しやすくなった結果、焼成ゾーン16と冷却ゾーン17との間での焼結層の冷却が促進されたことによる。
また、焼結機1の焼結層SLbは、従来の焼結機の焼結層SLaと比較し、焼成ゾーン16における燃焼・溶融帯の層高も減少している。焼成ゾーン16においても、溝Gを介して焼結層SLbに多くの空気が流入し、焼成速度が大きくなったためである。
このように、本実施形態に係る焼結機1は、焼結層SLbに溝Gを形成することにより、燃焼・溶融帯の層高を減少させ、焼結層SLbの通気性を向上させることができる。通気性が向上すると、焼成速度及び冷却速度が大きくなるため、焼結鉱の生産性を向上させることができる。
さらに、焼成ゾーン16と冷却ゾーン17との間で溝Gに水等の冷媒を供給した場合、冷却ゾーン17における燃焼・溶融帯の層高がさらに小さくなる。図9において、本実施形態に係る焼結機1について、冷媒が供給される焼結層SLcの燃焼・溶融帯の境界線L2を実線で、冷媒が供給されない焼結層SLbの燃焼・溶融帯の境界線L2を破線で示す。
図9に示すように、焼結層SLcの焼結完了点BTPは、焼結層SLbと比較して焼成ゾーン16側に移動している。焼結層SLcでは、焼成ゾーン16と冷却ゾーン17との間で冷媒が溝Gに供給された後、燃焼・溶融帯の層高が急激に小さくなり、冷却ゾーン17においては燃焼・溶融帯がほとんど存在しない。これにより、焼結層SLcの通気性がさらに向上して冷却速度が大きくなる。よって、焼結鉱の生産性をより高めることができる。
なお、本実施形態において、溝Gにカルシウム分を供給してもよい。例えば、生石灰や消石灰等の微粉、又はカルシウムを含有するダスト類を気流に乗せて、溝Gに供給することができる。これにより、燃焼・溶融帯の表面の塩濃度が高くなるとともに当該表面が冷却されるため、溶融液の凝固を促進することができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態において、焼結機本体10には、焼成ゾーン16及び冷却ゾーン17が設けられているが、冷却ゾーン17が設けられていなくてもよい。つまり、焼結機本体10は、焼結原料を焼き切って焼結鉱を生成した後、この焼結鉱を冷却することなく排出してもよい。
上記実施形態では、焼結機1が冷媒供給装置50を備えているが、冷媒供給装置50を備えていなくてもよい。上述したように、冷媒供給装置50から溝Gに冷媒を供給しない場合であっても、焼結層において良好な通気性を確保することができる。
上記実施形態では、溝形成装置60は、溝Gを形成しながら原料ベッドの表面を押圧する押圧機構65を有する。しかしながら、溝Gを形成した後で原料ベッドの表面を押圧してもよいし、原料ベッドを押圧するための機構自体が存在しなくてもよい。
1:焼結機
13:無端軌道
14:パレット台車
30:点火炉
61:円板
612:外周部
612a,612b:表面
621:回転軸
63:スクレーパ
64:位置調整機構

Claims (5)

  1. 焼結原料が装入され、無端軌道上を走行するパレット台車と、
    前記パレット台車上の前記焼結原料に点火する点火炉と、
    前記パレット台車の走行方向において前記点火炉の上流に配置され、前記無端軌道の幅方向に延びる回転軸周りに回転する円板と、
    を備え、
    前記円板は、
    前記パレット台車上の前記焼結原料に侵入して溝を形成する外周部であって、前記円板の内周側から外周側に向かって厚みが小さくなるように形成される前記外周部、
    を有する、焼結機。
  2. 請求項1に記載の焼結機であって、
    前記外周部は、前記円板の中心を通り前記回転軸を含む平面で切断した断面で見て、テーパ状の表面を有する、焼結機。
  3. 請求項1又は2に記載の焼結機であって、
    前記外周部は、耐摩耗性を向上させるための表面処理が施されている、焼結機。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の焼結機であって、さらに、
    前記パレット台車上の前記焼結原料の上方において、前記外周部に沿うように前記円板の両脇に配置されるスクレーパ、
    を備える、焼結機。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の焼結機であって、さらに、
    前記無端軌道の前記幅方向における前記円板の位置を調整する位置調整機構、
    を備える、焼結機。
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