本発明は、上記困難を克服することを目的として為されたもので、コンクリート構造物の表面や舗装体表面を研削することができるとともに、研削した面を過不足なく効率良く清掃することができる、研削機能と清掃機能とを併せ持った研削清掃機を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決すべく、鋭意開発努力を重ねる中、本発明者らは、従来から提案されている比較的小型の研削機であっても、これを複数台一つのフレームに取り付けることによって、比較的大型の清掃機とサイズを合わせることができること、しかもフレームに取り付けられた複数台の研削機を当該フレームを介して清掃機と連結することにより、複数台の研削機と1台の清掃機とを無理なく一体化して、研削と清掃を効率良く実行することができることを見出した。
すなわち、本発明は、研削部と清掃部とを進行方向前方から後方に向かってこの順に備える研削清掃機であって、前記研削部は、フレームと、前記フレームに取り付けられた複数の研削ユニットを含み、前記研削ユニットは、下面に研削刃が取り付けられる回転プレートと、前記回転プレートを回転させる回転駆動装置を有し、前記清掃部は、車輪と前記車輪を回転させる駆動装置を含む自走手段と、被研削面近傍に開口するダスト収集口を備えたダストボックスと、前記ダスト収集口に向かって塵埃を掃き込む掃込手段及び/又は前記ダストボックス内を負圧に吸引する吸引手段と、リフトアームと、前記リフトアームを研削モード位置と走行モード位置間で上下に駆動するリフトアーム駆動手段を有しており、さらに、前記研削部の前記フレームと、前記清掃部の前記リフトアームとを着脱自在に連結する連結機構であって、連結時、前記リフトアームの上下動に伴い前記フレームを上下動させる連結機構を備えている研削清掃機を提供することによって上記課題を解決するものである。
上記のとおり、本発明の研削清掃機は、研削部と清掃部とを進行方向前方から後方に向かってこの順に備える研削清掃機である。研削部においては、複数台の研削ユニットがフレームに取り付けられており、これら複数台の研削ユニットは、フレームごと、清掃部が有するリフトアームに連結される。このため、清掃部が自身の自走手段によって走行すると、複数台の研削ユニットも、それらが取り付けられているフレームごと清掃部と共に走行し、被研削面の研削が実行されることになる。清掃部には、被研削面近傍に開口するダスト収集口を備えたダストボックスと、ダストボックスの前記ダスト収集口に向かって塵埃を掃き込む掃込手段及び/又は前記ダストボックス内を負圧に吸引する吸引手段とが備えられているので、複数台の研削ユニットによって研削された被研削面上に存在するレイタンスや膜養生材などの残滓は、研削直後で、被研削面上に再固着する前に、細かく切断された状態のまま、直ちに清掃部のダストボックス内に集塵される。このため、極めて清浄な研削面が得られることになる。
特に、本発明の研削清掃機においては、各研削ユニットがフレームに取り付けられているので、研削ユニットの支持は強固であり、研削時、回転プレートに取り付けられた研削刃が回転しながら被研削面と接触しても、回転する研削刃が受ける反力によって研削ユニットが振り回されることがない。このため、回転プレートの下面に取り付けられている研削刃の全体を被研削面と接触させて研削することができ、片当たりしない均一な研削を実行することができるという優れた利点が得られる。
清掃部は、リフトアームと、リフトアームを研削モード位置と走行モード位置間で上下に駆動するリフトアーム駆動手段を備えており、研削部のフレームとリフトアームとを連結した状態でリフトアームを上下動させることにより、フレームに取り付けられている複数の研削ユニットをフレームごと研削モード位置と走行モード位置間で上下動させることができる。例えば、研削時には、リフトアームを下げて、フレームに取り付けられている複数の研削ユニットの研削刃が被研削面と当接できる研削モード位置にまで研削部のフレームを下げ、研削を実行することができる。また、非研削時には、リフトアームを上げて、フレームに取り付けられている複数台の研削ユニットの研削刃が被研削面から十分に離れる走行モード位置にまで研削部のフレームを持ち上げ、リフトアームに研削部のフレームを連結したまま、清掃部が有する自走手段で研削清掃機を走行させることができる。
本発明の研削清掃機において、研削部と清掃部とは、研削部のフレームと清掃部のリフトアームとを着脱自在な連結機構で連結することによって連結されるので、研削及び清掃実行時には研削部と清掃部とを一体化して使用すれば良く、また、不使用時や搬送時には、連結機構を解除して、研削部と清掃部とを切り離し、別々に格納や搬送を行うことができる。また、本発明の研削清掃機を構成する研削部と清掃部とは、両者を切り離し、別々に使用しても良いことは勿論である。
本発明の研削清掃機は、その好適な一例において、研削部のフレームに取り付けられている複数の研削ユニットが、研削清掃機の進行方向前方からみて隣接する研削ユニット間で研削領域が互いに一部重なるように、研削清掃機の進行方向横方向に沿って、前記進行方向前後に交互に位置をずらして、いわば千鳥状に、配置されている。複数の研削ユニットが、上記のように互いに研削領域が一部重なるように、交互に前後に位置をずらして配置されている場合には、研削清掃機の進行方向前方からみて、複数の研削ユニットによる研削領域が進行方向横方向に連続することになるので、研削清掃機の進行方向横方向において、複数の研削ユニット間に研削残しのない連続した研削を実行することができる。なお、本明細書において、研削ユニットの研削領域とは、当該研削ユニットを同一位置にとどめた状態で、研削刃が取り付けられた回転プレートを回転させたとき、その研削刃によって研削される被研削面の領域をいうものとする。
さらに、本発明の研削清掃機は、その好適な他の一例において、複数の研削ユニットが、研削位置と待機位置及び/又は研削刃交換位置との間で移動可能に、研削部のフレームに取り付けられている。研削位置とは、文字どおり、その位置において研削ユニットによる研削が実行されるか、或いは実行可能な位置であり、通常は、研削ユニットの研削刃が被研削面と当接するか、或いは被研削面と平行に被研削面と近接対向する位置である。一方、待機位置とは、その位置においては、回転プレートを回転させても研削刃が被研削面と接触せず、研削ユニットによる研削が実行されない位置であり、通常は、研削ユニットの研削刃が被研削面と離れ、被研削面と近接対向しない位置である。また、研削刃交換位置とは、その位置において研削ユニットの研削刃を交換することができるか、或いは研削刃の交換に適していると考えられる位置である。研削刃は研削ユニットの底面に位置する回転プレートの下面に取り付けられているので、研削刃交換位置とは、通常は、研削ユニットの底面を見ることができ、研削ユニットの底面と他の部材との間に比較的広い空間が形成される位置である。
なお、本発明の研削清掃機においては、各研削ユニットに研削位置があることは必須であるが、待機位置と研削刃交換位置とは、そのいずれか一方に他方を兼ねさせても良い。したがって、待機位置と研削刃交換位置の両方が設けられていても良いことは勿論であるが、待機位置又は研削刃交換位置のいずれか一方だけを設けるようにしても良い。
複数の研削ユニットの上述した研削位置と待機位置及び/又は研削刃交換位置間の移動は、どのような機構で実現されても良く、例えば、研削ユニットを鉛直方向に移動させるか、或いは直線又は曲線に沿って斜め方向に移動させることによって上記各位置間の移動を実現するようにしても良い。しかし、研削ユニットを水平な回転支持軸の回りに回転させることによって、上記各位置間の移動を行うのが、機構が比較的簡単で、移動に要するエネルギーも小さくて済むので、好ましい。なお、上記水平な回転支持軸は、研削清掃機の進行方向に沿った方向を向いた回転支持軸であっても良いが、複数の研削ユニットを交互に前後に位置をずらして配置する場合には、移動時に各研削ユニットが互いに干渉するのを防ぐため、研削清掃機の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸であるのが好ましい。
因みに、研削ユニットの上述した研削位置と待機位置及び/又は研削刃交換位置間の移動が、研削清掃機の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸の回りに研削ユニットを回転させることによって行われる場合、研削刃交換位置は、間に待機位置を挟んで、研削位置とは回転の反対側に位置することになる。
また、研削ユニットの上述した研削位置と待機位置及び/又は研削刃交換位置間の移動が、研削清掃機の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸の回りに研削ユニットを回転させることによって行われる場合、複数の研削ユニット中、相対的に研削清掃機の進行方向前方に配置されている研削ユニットにおいては、水平な前記回転支持軸が研削ユニットの前記進行方向前方側に位置し、相対的に前記進行方向後方に配置されている研削ユニットにおいては、前記回転支持軸が当該研削ユニットの前記進行方向後方側に位置しているのが好ましい。
各研削ユニットの研削清掃機における相対的な位置と、上記回転支持軸の各研削ユニットにおける位置とが上記のような関係にある場合には、相対的に進行方向前方に配置されている研削ユニットは、前記回転支持軸の回りに回転することによって、研削清掃機の前方側に回転し、反対に、相対的に前記進行方向後方に配置されている研削ユニットは、前記回転支持軸の回りに回転することによって、研削清掃機の後方側に回転することになり、互いに干渉することがない。
また、回転により、相対的に前方に配置されている研削ユニットの底面と、相対的に後方に配置されている研削ユニットの底面との間隔が開くので、待機位置を挟んで研削位置とは回転の反対側になる位置を研削刃交換位置とすることによって、研削刃の交換を容易に行うことができるという利点が得られる。
複数の研削ユニットの上述した研削位置と待機位置及び/又は研削刃交換位置間の移動は、各研削ユニット単位で行っても良いし、2台若しくはそれ以上を組にして組単位で行っても良く、また、相対的に研削清掃機の進行方向の左側に配置されている研削ユニットを左側研削ユニット群、相対的に研削清掃機の進行方向の右側に配置されている研削ユニットを右側研削ユニット群として、群単位で行っても良い。
本発明に係る研削清掃機において、研削部のフレームと清掃部のリフトアームとを着脱自在に連結する連結機構は、リフトアームの上下動に伴って研削部をフレームごと上下動させることができ、かつ、着脱自在であれば、どのような機構の連結機構であっても良い。通常は、研削部のフレームの形状からみて、フレームの清掃部側に面した両端部分のそれぞれに、上下方向に距離をあけて2個ずつ、合計4点の係合部を配置し、これら4点の係合部を清掃部のリフトアームに設けられた被係合部に係合させるのが良いが、係合点は4箇所に限られない。すなわち、係合箇所は少なくとも3点あれば良く、これら3点の内、少なくとも2点が前記進行方向横方向における位置が互いに異なり、少なくとも1点が他の2点とは高さ方向における位置が異なっておれば良い。例えば、研削部のフレームの清掃部側に面した左右両端の上部にそれぞれ1箇所ずつの上部係合部を設けるとともに、前記フレームの清掃部側に面した下部中央に、前記上部係合部とは高さ方向における位置が異なる1箇所の係合部を設け、これら合計3点の係合部で、研削部のフレームと清掃部のリフトアームを係合、連結するようにしても良い。この場合、前記フレームの下部中央に設けられる1箇所の係合部は、前記2つの上部係合部の進行方向横方向におけるほぼ中央に位置しているのが望ましい。
連結機構が上記のような連結機構である場合には、リフトアームを上下動させることによって、それと連結されているフレームを安定的に上下動させることができるという利点が得られる。なお、係合位置が4点、若しくはそれ以上であっても良いことは勿論であり、係合の具体的機構にも、着脱自在である限り、特段の制限がないことは勿論である。
また、本発明に係る研削清掃機は、その好適な一例において、前記連結機構による前記リフトアームに対する前記フレームの連結位置を、研削清掃機の進行方向横方向に移動させる機構を備えている。本発明に係る研削清掃機が、リフトアームに対するフレームの連結位置を進行方向横方向に移動させる機構を備えている場合には、連結状態のまま、フレームを進行方向横方向に移動させて、研削清掃機よりも右側或いは左側を研削することができる。このため、被研削面が不規則な形状である場合や、壁等の障害物があって研削清掃機を幅寄せすることができないような場合にも、必要箇所を確実に研削することができるという利点が得られる。
また、本発明の研削清掃機において、清掃部が、ダストボックスからの塵埃の排出時、ダストボックスを昇降させる排出用昇降アームと、当該排出用昇降アームを駆動する昇降駆動装置を備えている場合には、当該排出用昇降アームを前記リフトアームとしても使用して、リフトアームを兼ねさせるとともに、当該昇降駆動装置を前記リフトアーム駆動手段としても使用して、リフトアーム駆動手段を兼ねさせることができる。
或いは、排出用昇降アームに前記リフトアームを兼ねさせるのではなく、排出用昇降アームとは別にリフトアームを設け、前記排出用昇降アームとリフトアームとを係合離脱自在に連結する連結手段を設けるようにしても良い。この場合、リフトアームを上下動させる必要が生じたときには、前記排出用昇降アームとリフトアームとを前記連結手段によって連結した状態で、排出用昇降アームを駆動する前記昇降駆動装置を作動させて、排出用昇降アームを上下動させれば良い。排出用昇降アームの上下動に伴い、排出用昇降アームと連結されているリフトアームも上下動することになる。なお、この場合においても、排出用昇降アームを駆動する前記昇降駆動装置が前記リフトアーム駆動手段を兼ねているのはいうまでもない。
本発明に係る研削清掃機は自走手段を備えているのが好ましく、有人による運転、遠隔操作による運転、予め定められたプログラム又は人工知能による自動又は半自動運転によって、走行するようにするのが好ましい。
なお、本発明に係る研削清掃機の対象は、比較的浅い研削と、研削面の清掃が必要とされる被研削面であれば良く、基本的に制限はない。主としては、例えば、新設、既設を問わず、橋梁等に用いられるコンクリート床版の表面や、コンクリート舗装、アスファルト舗装の表面などが挙げられるが、これに限られるものではない。また、対象とする被研削面が存在する場所も、橋梁、道路はもとより、それらに限られず、飛行場、駐車場、ビルの屋上、港湾施設などであっても良い。
本発明の研削清掃機によれば、一台の装置によって、研削と、研削面の清掃とを一度に遂行することができ、研削と、研削された面の過不足のない清掃とを効率良く実行することができるという利点が得られる。また、本発明に係る研削清掃機においては、各研削ユニットがフレームに取り付けられているので、研削時、研削ユニットが被研削面からの反力で振り回されることがなく、回転プレートの下面に取り付けられている研削刃の全体を被研削面と接触させて、片当たりのない研削を実行することができるという利点が得られる。また、本発明に係る研削清掃機は自走手段を備えているので、人による有人運転行や遠隔制御による運転はもとより、予め定められたコンピュータプログラムや、自ら学習する人工知能による全自動又は半自動運転に適しているという利点がある。
以下、図面を用いて本発明に係る研削清掃機を説明するが、本発明が図示のものに限られないことはいうまでもない。
図1は本発明に係る研削清掃機の一例を示す側面図であり、図2はその平面図である。図1及び図2において、1は研削清掃機であり、研削清掃機1は、図中矢印で示す進行方向前方から後方に向かって、研削部2と清掃部3とをこの順に備えている。4は、研削部2と清掃部3とを着脱自在に連結する連結機構である。なお、Sは被研削面である路面である。以下、研削部2、清掃部3、及び連結機構4について順次説明する。
<研削部>
研削部2はフレーム5を有しており、フレーム5には、相対的に進行方向前方に配置されている前方第一研削ユニット6f1及び前方第二研削ユニット6f2と、相対的に進行方向後方に配置されている後方第一研削ユニット6b1及び後方第二研削ユニット6b2が設けられている。図2に見られるとおり、前方第二研削ユニット6f2、後方第二研削ユニット6b2、前方第一研削ユニット6f1、及び後方第一研削ユニット6b1は、この順に、研削清掃機1の進行方向横方向に沿って、研削清掃機1の奥側から手前側に向かって、交互に前後に位置をずらして配置されている。
7f1及び7f2は、それぞれ、前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2の台座である。台座7f1及び7f2は、それぞれ、研削清掃機1の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸8f1及び8f2の回りに回転可能に取り付けられており、これにより、前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2は、それぞれ、研削清掃機1の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸8f1及び8f2の回りに回転可能に支持されている。
同様に、7b1、7b2は、それぞれ、後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2の台座である。台座7b1及び7b2は、それぞれ、研削清掃機1の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸8b1及び8b2の回りに回転可能に取り付けられており、これにより、後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2は、それぞれ、研削清掃機1の進行方向横方向に沿った水平な回転支持軸8b1及び8b2の回りに回転可能に支持されている。
なお、図1及び図2に見られるとおり、相対的に進行方向前方に配置されている前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2の回転支持軸8f1及び8f2は、前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2の進行方向前方側(本例においては、前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2よりも進行方向前方)に位置し、相対的に進行方向後方に配置されている後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2の回転支持軸8b1及び8b2は、後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2の進行方向後方側(本例においては、後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2よりも進行方向後方)に位置している。このため、各研削ユニットは、互いに干渉せずに水平な回転支持軸の回りに回転して、研削位置と待機位置、さらには研削刃交換位置との間を移動することができる。
9f1及び9f2は、それぞれ、前方第一及び第二研削ユニット6f1及び6f2の回転プレート、9b1及び9b2は、それぞれ、後方第一及び第二研削ユニット6b1及び6b2の回転プレートであり、各回転プレート9f1及び9f2、9b1及び9b2の下面には、それぞれ研削刃が取り付けられている。
111は、相対的に進行方向左側に位置する前方第一研削ユニット6f1及び後方第一研削ユニット6b1を、研削位置と待機位置との間で移動させる第一移動機構、112は、相対的に進行方向右側に位置する前方第二研削ユニット6f2及び後方第二研削ユニット6b2を、研削位置と待機位置との間で移動させる第二移動機構である。これらの詳細については後述する。Wはフレーム5に取り付けられている車輪である。前方第一、第二研削ユニット6f1、6f2、及び後方第一、第二研削ユニット6b1、6b2の底面が路面Sと当接している状態において、車輪Wは、図1に示すとおり、原則、路面Sから若干浮き上がっており、路面Sとは接触していない。ただし、路面Sの凹凸状態によっては、車輪Wが路面Sと接触することを排除するものではない。なお、La、Lbは、後述する下部可動係合爪42a、42bに連結された可動爪引き上げワイヤ44a、44bを引き上げたり、緩めたりする操作レバーである。
図3及び図4は、説明のため、前方第一研削ユニット6f1だけを取り出して拡大して示す側面図及び平面図であり、これまで説明したのと同じ部材には同じ符号を付してある。
図3において、Bは研削刃であり、回転プレート9f1の下面に取り付けられている。12f1は回転プレート9f1の回転軸、13f1は回転プレート9f1の側面と上面とを覆うカバー部材である。カバー部材13f1には図示しない開口が設けられており、その開口には吸引手段を備えた吸引管が接続されている。研削実行時、この吸引管を介してカバー部材13f1内を負圧に吸引することにより、研削により発生した粉塵を吸引し、むやみに外部に漏らさないようにすることができる。吸引管の先端は、他の研削ユニットにおけるカバー部材に接続されている吸引管とまとめられ、後述する清掃部3の集塵ボックス又は他の適宜の集塵容器に接続されている。
14f1は、回転プレート9f1を回転させる駆動力を発生する回転駆動装置であり、例えば、内燃機関原動機と燃料タンクと、内燃機関原動機が発生する回転力を回転プレート9f1の回転軸12f1に伝えるギアボックス等から構成されている。回転力を発生する原動機は電動機であっても良く、その場合には、回転駆動装置14f1は、電動機と電池と、電動機が発生する回転力を回転プレート9f1の回転軸12f1に伝えるギアボックス等から構成される。この場合、電動機を回転させる電気エネルギーは清掃部3から供給を受けるようにしても良い。さらには、回転力を発生する回転駆動装置は圧縮空気で回転するエアモーターや油圧で回転する油圧モーターであっても良く、これらエアモーター又は油圧モーターを用いる場合には、圧縮空気又は油圧は、研削部2にそれらの供給源を取り付けてそこから供給を受けるようにしても良いし、清掃部3に供給源を取り付けて、そこから供給を受けるようにしても良い。
図3及び図4において、15f1はワイヤであり、その端部は、台座7f1の先端中央上面に取り付けられた取付具16f1に固定されている。ワイヤ15f1は前方第一研削ユニット6f1を上方に引き上げて、回転支持軸8f1の回りに回転させる際に使用されるものである。
なお、以上は、前方第一研削ユニット6f1を例に説明したが、その他の研削ユニットについても同様である。
図5は、第一移動機構111の部分だけを取り出して拡大して示す側面図であり、図6は、第一移動機構111と前方第一研削ユニット6f1の部分だけを取り出して拡大して示す正面図である。図5及び図6に示すとおり、第一移動機構111は、フレーム5に底部が固定されたシリンダ171と、シリンダ171内を摺動するピストン181を含み、ピストン181の先端には、ワイヤ15f1と15b1とが連結されている。ワイヤ15f1の他方の端部は、前述したとおり、取付具16f1を介して前方第一研削ユニット6f1の台座7f1に固定され、図示はしないけれども、ワイヤ15b1の他方の端部も、同様に、取付具16b1を介して後方第一研削ユニット6b1の台座7b1に固定されている。なお、191はワイヤ15f1及び15b1を支承する回転ローラであり、20f1は、ワイヤ15f1を支承する回転ローラである。
シリンダ171とピストン181で構成されるシリンダ機構は、油圧、空気圧等の流体圧で作動するシリンダ機構であっても良いし、電動機の回転力で作動する電動シリンダであっても良い。また、シリンダ171とピストン181で構成される前記シリンダ機構の作動は、シリンダ機構近傍に配置されたスイッチの操作で行っても良いし、清掃部3からの操作、或いは、遠隔操作で行われるようにしても良い。
図6は、前方第一研削ユニット6f1が研削位置にある状態を示しており、回転プレート7f1の下面に取り付けられた研削刃Bは、被研削面である路面Sと当接するか、或いは路面Sと平行に路面Sと近接対向する位置にある。この研削位置から、待機位置へと前方第一研削ユニット6f1を移動させるには、シリンダ171とピストン181とからなるシリンダ機構を作動させ、ピストン181をシリンダ171の内部に所定長さだけ引き込めば良い。ピストン181がシリンダ171内に引き込まれると、それに伴い、前方第一研削ユニット6f1の台座7f1に固定されたワイヤ15f1が引き上げられ、前方第一研削ユニット6f1が回転支持軸8f1の回りに回転する。
図7は、上記シリンダ機構が作動し、前方第一研削ユニット6f1が回転支持軸8f1の回りに回転して、待機位置へと移動した状態を示している。図7に示すとおり、待機位置においては、前方第一研削ユニット6f1の研削刃Bは被研削面である路面Sとは近接対向しておらず、仮に回転プレート9f1が回転しても研削刃Bは路面Sを研削しない。研削位置から待機位置までの前方第一研削ユニット6f1の回転角度には特段の制限はなく、待機位置において、回転プレート9f1の下面に取り付けられた研削刃Bが被研削面と近接対向しない角度であれば何度でも良いが、通常は、5度以上60度以下が望ましく、15度以上45度未満がより望ましい。
なお、同じくピストン181に連結されているワイヤ15b1もシリンダ171内に引き込まれる方向に移動するので、ワイヤ15b1が連結されている後方第一研削ユニット6b1も回転支持軸8b1の回りに回転し、待機位置へと移動する。
図8は、前方第一研削ユニット6f1を回転支持軸8f1の回りに更に回転させ、研削刃交換位置へと移動させた状態を示す図である。この移動は、本例の場合、人力によって行われる。図8に示すとおり、研削刃交換位置において、前方第一研削ユニット6f1の底面に相当する回転プレート9f1の下面は上部から覗ける状態にあり、かつ、回転プレート9f1の下面と他の部材との間には比較的広い空間が形成されるので、この位置において前方第一研削ユニット6f1の研削刃Bを交換することができる。
研削位置から研削刃交換位置までの前方第一研削ユニット6f1の回転角度には特段の制限はなく、研削刃交換位置において、回転プレート9f1の下面に取り付けられた研削刃Bを交換することができる角度であれば何度でも良いが、通常は、60度以上100度以下が望ましい。
なお、研削刃交換位置と研削刃交換位置への移動に関しては、後方第一研削ユニット6b1についても同様であるが、後方第一研削ユニット6b1を大きな角度で回転支持軸8b1の回りに回転させるときは、後述する連結機構4を解除して、研削部2と清掃部3とを切り離しておくのが望ましい。
上述した例においては、研削刃交換位置を待機位置とは別に設けたが、待機位置において研削刃の交換ができる場合には、待機位置と研削刃交換位置とを同じ位置としても良い。
さらに、上述した例においては、ピストン181に連結されているワイヤ15f1、15b1によって前方第一研削ユニット6f1及び後方第一研削ユニット6b1を上方に持ち上げ、回転支持軸8f1、8b1の回りに回転させたが、前方又は後方第一研削ユニット6f1、6b1を回転支持軸8f1、8b1の回りに回転させる手段は、シリンダ機構とワイヤ15f1、15b1に限られない。ワイヤに代えて、チェーンやその他の長尺物を用いても良いことは勿論であり、さらには、ワイヤやその他の長尺物は用いずに、前方又は後方第一研削ユニット6f1、6b1とフレーム5との間に直接シリンダ機構を介在させて、シリンダ機構の動作により、直接、前方又は後方第一研削ユニット6f1、6b1を回転支持軸8f1、8b1の回りに回転させるようにしても良い。
また、上述した例においては、前方第一研削ユニット6f1及び後方第一研削ユニット6b1の研削位置から待機位置へ、さらには研削刃交換位置への移動は、回転支持軸8f1、8b1の回りに研削ユニットを回転させることによって行っているが、ワイヤやシリンダ機構等を用いて、前方第一研削ユニット6f1及び後方第一研削ユニット6b1を例えば上方に持ち上げることによって、研削位置から待機位置へ、さらには研削刃交換位置への移動を実現するようにしても良い。
以上は、前方第一研削ユニット6f1及び後方第一研削ユニット6b1を回転させる第一移動機構111について説明したが、前方第二研削ユニット6f2及び後方第二研削ユニット6b2を回転させる第二移動機構112についても同様である。
図9は、研削部2を構成する各研削ユニットによって研削される領域の大きさとその位置関係を示す平面図である。図中、矢印が研削清掃機1の進行方向であり、図中矢印と直交する方向(図面上は上下方向)が研削清掃機1の進行方向横方向である。
本例の研削清掃機1においては、前方第一、第二研削ユニット6f1、6f2と、後方第一、第二研削ユニット6b1、6b2とは、研削清掃機1の幅方向(進行方向横方向)に沿ってそれぞれ交互に、進行方向前後に位置をずらして配置されている。これにより、前方第一研削ユニット6f1及び前方第二研削ユニット6f2の回転プレート9f1及び9f2の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域の研削清掃機1の進行方向に沿った後端LRは、それぞれが隣接する後方第一、第二研削ユニット6b1、6b2の回転プレート9b1、9b2の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域の研削清掃機1の進行方向に沿った前端LFよりも研削清掃機1の進行方向後方に位置している。換言すれば、隣接する研削ユニット間で、研削領域の後端と研削領域の前端とが上述した関係となるように、前方第一、第二研削ユニット6f1、6f2、及び後方第一、第二研削ユニット6b1、6b2は配置されている。
また、前方第一研削ユニット6f1の回転プレート9f1の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域と、それと隣接する後方第一研削ユニット6b1及び後方第二研削ユニット6b2の回転プレート9b1、9b2の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域とは、研削清掃機1の進行方向前方からみて、図中OV1及びOV2で示すとおり、一部重複している。同様に、前方第二研削ユニット6f2の回転プレート9f2の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域と、それと隣接する後方第二研削ユニット6b2の回転プレート9b2の下面に取り付けられた研削刃の回転によって研削される領域とは、研削清掃機1の進行方向前方からみて、図中OV3で示すとおり、一部重複している。このため、フレーム5に複数の研削ユニットが取り付けられていても、研削清掃機1の進行方向横方向において、研削領域は連続し、削り残しがない。
なお、Kは複数の研削ユニットによって研削される領域の幅方向(研削清掃機1の進行方向横方向)の長さであり、通常、この長さKは、後述する清掃部3におけるダストボックスの被研削面近傍に開口するダスト収集口の幅方向長さよりも小さく選ばれている。このため、研削部2における複数の研削ユニットで研削された被研削面に残存する研削残渣を、清掃部3で十分に収集し、被研削面を清掃することができる。
なお、以上説明した研削部2においては、研削ユニットの数は4個であったが、本発明に係る研削清掃機において、研削部2に装備される研削ユニットの数が4台に限られないことは勿論である。2台若しくは3台であっても良く、5台以上であっても良いことはいうまでもない。
また、図示の例においては、前方研削ユニット群を構成する前方研削ユニット6f1、6f2、及び後方研削ユニット群を構成する後方研削ユニット6b1、6b2は、いずれも同形、同大の研削ユニットであるが、前方研削ユニット群に属する前方研削ユニットと、後方研削ユニット群に属する後方研削ユニットとを、研削清掃機1の幅方向に沿って交互に配置して、互いに隣接する研削ユニット間で研削領域を一部重複させることができる限り、各群を構成する研削ユニットは必ずしも同形、同大でなくても良い。
<清掃部>
図1及び図2に戻って、清掃部3は、タイヤ付車輪tと、タイヤ付車輪tを回転させる図示しない駆動装置を含む自走手段を備えた車両であり、有人運転による走行、又は離隔した位置からの遠隔操作による走行が可能であり、さらには、GPS信号の受信機能を備え、自らの位置を把握しながら予め設定されたコンピュータプログラムに基づく自動走行、人工知能による半自動又は全自動運転走行が可能である。
31は清掃部3を構成する車両の本体、32は本体31内に収容されているダストボックスであり、ダストボックス32は、被研削面である路面Sの近傍に開口するダスト収集口33を有している。34はダスト収集口33の下端に取り付けられたダスト案内板であり、35は路面S上に存在する研削滓をダスト収集口33に向かって掃き込む回転ブラシである。ダストボックス32内は、図示しない吸引装置によって、負圧に吸引されている。回転ブラシ35とダストボックス内を吸引する吸引装置とは、いずれか一方だけが設けられていても良いが、回転ブラシ35は、被研削面上に残存する研削残渣を掻き取るように剥ぎ取ってダストボックス32に掃き込むという機能を有しているので、設けられているのが望ましく、ダストボックス32内を負圧に吸引する吸引装置も併せて設けられているのがより望ましい。
36a、36bはリフトアームであり、回転軸Rの回りに回動自在に本体31に取り付けられている。37a、37bは、ダストボックス32からのダストの排出時、ダストボックス32を昇降させる排出用昇降アームであり、回転軸Rと同軸の内部回転軸RIの回りに回転自在に本体31に取り付けられている。Eは、排出用昇降アーム37a、37bを内部回転軸RIの回りに回動させる昇降駆動装置であり、昇降駆動装置Eと排出用昇降アーム37a、37bとは、動力伝達機構TMによって結合されている。
図10は、清掃部3の前面部分だけを取り出して示す拡大側面図、図11は図10のX−X’断面図である。図10及び図11において、38は左右の排出用昇降アーム37a、37bの先端部を結ぶように取り付けられた前方バーである。前方バー38の内部には係合軸39a、39bがスライド自在に収容されている。40a、40bは、係合軸39a、39bをスライドさせるスライド取手である。
図示の状態では、スライド取手40a、40bは、前方バー38に対して最も外側に位置しており、係合軸39a、39bは左右のリフトアーム36a、36bに形成されている係合穴ha、hb内に挿入され、それぞれ係合穴ha、hbを貫通して、先端が左右のリフトアーム36a、36bよりも外側に突出している。この状態では、排出用昇降アーム37a、37bとリフトアーム36a、36bとはそれぞれ連結状態にあり、昇降駆動装置Eが作動して左右の排出用昇降アーム37a、37bを上下動させると、それに伴い左右のリフトアーム36a、36bも上下動する。この場合、昇降駆動装置Eがリフトアーム駆動手段として機能しており、リフトアーム駆動手段を兼ねていることになる。
排出用昇降アーム37a、37bとリフトアーム36a、36bの係合を解除するには、スライド取手40a、40bを操作して、係合軸39a、39bをスライドさせ、リフトアーム36a、36bの係合穴ha、hbから抜きとれば良い。
図12は、上記のようにして係合軸39a、39bをスライドさせ、リフトアーム36a、36bの係合穴ha、hbから抜きとり、排出用昇降アーム37a、37bとリフトアーム36a、36bの係合が解除された状態を示している。
図12に示す状態で、昇降駆動装置Eを作動させ左右の排出用昇降アーム37a、37bを上下動させると、図13に示すとおり、リフトアーム36a、36bは動かず、左右の排出用昇降アーム37a、37bだけが上下動することになる。
リフトアーム36a、36bと排出用昇降アーム37a、37bとを係合離脱自在に連結する上記のような連結手段を設けることにより、必要時には、排出用昇降アーム37a、37bを上下動させる昇降駆動装置Eによってリフトアーム36a、36bを上下動させ、不要時、或いはダストボックス32からのダスト排出時には、両者の連結を解除して、排出用昇降アーム37a、37bだけを上下動させることが可能である。
上記の例においては、係合軸39a、39bのスライドは、それぞれスライド取手40a、40bを操作することによって別々に行われているが、スライド取手を一つにまとめ、一つのスライド取手の操作によって係合軸39a、39bが互いに反対方向にスライドするように構成しても良い。
<連結機構>
図14は、連結を解除した状態の研削部2の後端部分と、清掃部3の先端部分のみを取り出して示す側面図であり、図15は、その平面図である。
図14及び図15において、41a、41bは、研削部2のフレーム5に取り付けられた上部係合爪、42a、42bは、同じく研削部2のフレーム5に取り付けられた下部可動係合爪、43a、43bは下部固定係合爪である。44a、44bは、下部可動係合爪42a、42bに一端が取り付けられた可動爪引き上げワイヤであり、前述した操作レバーLa、Lbを操作することによって上方に引き上げられたり、緩めたりすることができる。これら上部係合爪41a、41b、下部可動係合爪42a、42b、下部固定係合爪43a、43b、及び可動爪引き上げワイヤ44a、44bが研削部2側の連結機構を構成している。図示の状態は可動爪引き上げワイヤ44a、44bによって下部可動係合爪42a及び42bが上部に引き上げられ、下部可動係合爪42a、42bと下部固定係合爪43a、43bとの間が大きく開かれた状態を示している。
一方、45a、45bは、リフトアーム36a、36bの先端部に取り付けられている固定保持部材、46a、46bは可動保持部材であり、回転軸47a、47bによって、固定保持部材45a、45bに回動自在に取り付けられている。左右の可動保持部材46a、46b間には、上下方向に間隔をあけて、上部丸棒48Uと下部丸棒48Lとが掛け渡されている。49a、49bは、可動保持部材46a、46bの上部丸棒48Uとは反対側に突出した延長部分であり、延長部分49a、49bには、係合用の凹部50a、50bがそれぞれ設けられている。51a、51bは、それぞれ、固定保持部材45a、45bに、回転軸52a、52bによって回動自在に取り付けられた係合部材であり、係合部材51aの先端近傍には可動保持部材46a側に向かって水平方向に突出する係合片53aが、係合部材51bの先端近傍には可動保持部材46b側に向かって水平方向に突出する係合片53bが、それぞれ取り付けられている。54a、54bは、それぞれ係合部材51a、51bを回転軸52a、52bの回りに回転させるためのつまみである。以上の部材が、清掃部3側の連結機構を構成している。
上記のような連結機構4を用いて研削部2と清掃部3とを連結するには、図14及び図15に示す状態から、研削部2と清掃部3とを接近させれば良い。すなわち、図16に示すとおり、可動保持部材46a、46bが回転軸52a、52bの回りに回転して前方に傾いた状態で、研削部2と清掃部3とを相対的に接近させ、上部丸棒48Uを、研削部2のフレーム5に取り付けられている上部係合爪41a、41bの下方から上部係合爪41a、41b内に挿入させる。併せて、下部丸棒48Lを、研削部2のフレーム5に取り付けられている下部可動係合爪42a、42bと、下部固定係合爪43a、43bの間に挿入させる。これにより、まず、上部丸棒48Uが上部係合爪41a、41bの内側と接触し、これに押されて、可動保持部材46a、46bが図中矢印方向に回動する。
図17は、上記のようにして、上部丸棒48Uと下部丸棒48Lとが、それぞれ上部係合爪41a、41bの内側、及び下部可動係合爪42a、42bと下部固定係合爪43a、43bの内側と接触し、かつ、可動保持部材46a、46bが垂直に立ち上がった状態を示している。連結を完成させるには、この状態で、係合部材51a、51bを図中矢印方向に回転させ、係合部材51a、51bの先端近傍に設けられている係合片53a、53bを、可動保持部材46a、46bの延長部分49a、49bに設けられている係合用の凹部50a、50bと、それぞれ係合させれば良い。
図18は、上記のようにして、研削部2と清掃部3とを連結し、係合片53a、53bを凹部50a、50bと、それぞれ係合させるとともに、さらに、操作レバーLa、Lbを操作して、可動爪引き上げワイヤ44a、44bを緩めて、下部可動係合爪42a、42bを落とし、下部固定係合爪43a、43bとの間に下部丸棒48Lをしっかりと挟み込んだ状態を示している。これにより、研削部2と清掃部3との連結は強固に維持される。なお、下部可動係合爪42a、42bは、外力がないときには下方に向かって回転するようにバネ等の弾性手段によって付勢されていても良い。研削部2と清掃部3との連結時、両者の電気系統も併せて接続するようにするのが望ましい。なお、連結機構4による連結を解除するには、上記と逆の手順に従えばよい。
本例の連結機構4においては、フレーム5とリフトアーム36a、36bとが、進行方向横方向の左右に間隔をあけて配置されている上部係合爪41a、41bと上部丸棒48Uとの間、及び、同じく進行方向横方向の左右に間隔をあけて配置されている下部可動係合爪42a、42b及び下部固定係合爪43a、43bと下部丸棒48Lとの間の計4箇所で係合し、かつ、上部丸棒48Uが関与する係合箇所と、下部丸棒48Lが関与する係合箇所とが、上下方向に離れた位置にあるので、リフトアーム36a、36bを研削モード位置と走行モード位置との間で上下動させることにより、リフトアーム36a、36bに連結されたフレーム5を安定して上下動させることができるという利点が得られる。
以上説明した例においては、研削部2のフレーム5と清掃部3のリフトアーム36a、36bとを着脱自在に連結する連結機構4は、図19(a)に示すとおり、フレーム5とリフトアーム36a、36bとを、上下方向及び水平方向に離れた上部係合爪41a、41b、下部可動係合爪42aと下部固定係合爪43a、及び下部可動係合爪42bと下部固定係合爪43bの4箇所の係合部で係合させるものであったが、係合箇所は必ずしも4点でなければならないわけではない。例えば、図19(b)に示すとおり、フレーム5の両端上部にそれぞれ配置された2個の上部係合爪41a、41bと、フレーム5の下部中央に配置された1個の下部可動係合爪42と下部固定係合爪43の少なくとも3点でフレーム5とリフトアーム36a、36bとを係合、連結するようにしても良い。この場合、上部係合爪41a、41bはフレーム5の両端に配置され、研削清掃機1の進行方向横方向における位置が互いに異なっており、下部可動係合爪42と下部固定係合爪43は、上部係合爪41a、41bよりも低く、上部係合爪41a、41bとは高さ方向における位置が異なっている。加えて、下部可動係合爪42と下部固定係合爪43は、上部係合爪41a、41bのほぼ中間に位置しており、下部可動係合爪42及び下部固定係合爪43から上部係合爪41aまでの水平方向距離DLと、下部可動係合爪42及び下部固定係合爪43から上部係合爪41bまでの水平方向距離DRは、ほぼ等しくなるように選ばれている。
このように、フレーム5とリフトアーム36a、36bとの係合は、少なくとも3点で為されれば良く、前記3点の内、少なくとも2点が前記進行方向横方向における位置が互いに異なり、少なくとも1点が他の2点とは高さ方向における位置が異なっているのが望ましい。さらに、その際、他の2点とは高さ方向における位置が異なっている1点は、進行方向横方向における位置が他の2点のほぼ中間に位置しているのが望ましい。
また、上記の例においては、フレーム5側に係合爪があり、リフトフレーム36a、36b側に係合用の丸棒が設けられているが、これらは逆でも良く、リフトフレーム36a、36b側に係合爪を設け、フレーム5側に係合用の丸棒を設けるようにしても良い。さらに、係合の機構も丸棒と係合爪の組み合わせに限られるものではなく、その他、適宜の機構を採用しても良いことは勿論である。
図20は、本発明に係る研削清掃機の連結機構4の他の一態様を示す平面図である。図20に見られるとおり、本例の連結機構4においては、元々上部丸棒48Uが取り付けられていた位置に、上部丸棒48Uよりも小径の上部案内棒55Uが取り付けられ、元々設けられていた上部丸棒48Uは、進行方向横方向の長さが短くされ、かつ、内側空洞部分に上部案内棒55Uが挿通され、上部案内棒55Uに対し、進行方向横方向にスライド可能に取り付けられている。図には示さないけれども、下部丸棒44Lについても同様で、下部案内棒55Lに対し、進行方向横方向にスライド可能に取り付けられている。
これに併せて、フレーム5に対する上部係合爪41a、41b、下部可動係合爪42a、42b、下部固定係合爪43a、43bの位置も、先に述べた例よりも、フレーム5の進行方向横方向の内側に移動している。
このような構成とすることにより、上部丸棒48U及び下部丸棒48Lを、上部案内棒55U及び下部案内棒55Lに沿って、進行方向横方向に移動させると、図中矢印で示すように、フレーム5を研削清掃機1の進行方向横方向に移動させることができる。この上部丸棒48U及び下部丸棒48Lの進行方向横方向への移動は人力によって行っても良いし、適宜の駆動装置を取り付けることによって機械的な動力によって行うようにしても良い。
本発明の研削清掃機1が、上記のように研削部2のフレーム5を横方向に移動させることができるときには、研削部2と清掃部3とを連結した状態のまま、フレーム5を進行方向横方向に移動させて、研削清掃機1よりも右側或いは左側を研削することができる。このため、被研削面が不規則な形状である場合や、壁等の障害物があって研削清掃機1を幅寄せすることができないような場合にも、必要箇所を確実に研削することができるという利点が得られる。
次に、図面を用いて、本発明に係る研削清掃機1の動作について説明する。図21は、前方第一、第二、及び後方第一、第二研削ユニット6f1、6f2、6b1、6b2が全て待機位置にあるとともに、リフトアーム36a、36bが上昇した走行モード位置にあり、研削部2がフレーム5ごと持ち上げられた状態を示している。この状態で、研削清掃機1は走行し、必要とされる適宜の研削開始位置へと移動する。このようにリフトアーム36a、36bが上昇した走行モード位置においては、研削部2がフレーム5ごと十分な高さに持ち上げられているので、走行路中に多少の不陸が存在しても、フレーム5に取り付けられた研削ユニットの研削刃等が路面と接触する恐れがなく、安全に走行させることができる。
研削開始位置への移動が完了すると、研削清掃機1は、図22に示すようにリフトアーム36a、36bを研削モード位置まで下げ、各研削ユニットと被研削面である路面Sとを近接させる。この状態で、全研削ユニットは未だ待機位置にある。このとき、フレーム5に取り付けられている車輪Wは、路面Sと接触している。つまり、全研削ユニットが待機位置にあるとき、フレーム5に取り付けられた車輪Wは路面Sと接触するの、例えば、研削部2が清掃部3と切り離されて単独で存在するときにも、全研削ユニットを待機位置に移動させることによって、研削部2を車輪Wによってスムースに移動させることができる。
次に、全研削ユニットが未だ待機位置にある図22に示す状態で、各研削ユニットを起動し、回転プレートを回転させ、研削刃を回転させる。その後、研削清掃機1は、全研削ユニットを待機位置から研削位置へと移動させる。この待機位置から研削位置への移動中に、各研削ユニットの回転する研削刃と被研削面である路面Sとの接触が始まり、全研削ユニットの研削位置への移動が完了すると、図1に示すとおり、全研削ユニットは、その底面の全体を被研削面と均一に接触させ、研削が実行される。後は、研削清掃機1を進行方向前方に走行させることによって、研削と清掃とが一連の作業として実行されることになる。研削、清掃作業を終了するには、上記と逆の手順に従えばよい。
なお、フレーム5に取り付けられている研削ユニットが研削位置にあるとき、フレーム5に取り付けられている車輪Wは路面Sとは原則として接触しない。つまり、車輪Wは、フレーム5に取り付けられている全研削ユニットが待機位置にあるときには路面Sと接触し、研削位置にあるときには路面Sとは接触しない高さに取り付けられているが、路面Sの凹凸の程度などによっては、研削ユニットが研削位置にあるときにもフレーム5に取り付けられている車輪Wが路面と接触し回転する場合がある。車輪Wと路面Sとの接触が若干であれば、研削ユニットによる研削に何ら影響を及ぼすものではない。
なお、リフトアーム36a、36bの上下動や、各研削ユニットにおける回転プレートの回転の開始及び停止、回転速度の調整、各研削ユニットの待機位置と研削位置間の移動の制御などは、全て清掃部3の運転席に設けられている操作盤か、又は遠隔操作盤を介して行われる。