本実施形態のトレーニング方法は、ユーザに装着された筋肉電気刺激装置によりユーザに電気刺激を印加した状態であって、内部に流動体を含む運動用具を把持した状態のユーザによってなされる運動の方法である。以下、筋肉電気刺激装置の例と、運動用具の例について説明した後で、トレーニング方法について説明する。
<筋肉電気刺激装置>
図1は、電気刺激装置10の構成を示す表面図である。図2は、電気刺激装置10の構成を示す裏面図である。図3は、電気刺激装置10の使用状態を示す説明図である。図3(a)は身体の前側から見た図であり、図3(b)は身体を後側から見た図である。
電気刺激装置10は、第1取付具12と、第2取付具14L、14Rと、接続部材16と、コントローラ18と、を備える。本実施形態の第2取付具14L、14Rには、ユーザの左半身に対応する左側第2取付具14Lと、その右半身に対応する右側第2取付具14Rとが含まれる。ここでのユーザは、たとえば、電気刺激装置10が販売、貸与等される国における標準体型であるものとする。
第1取付具12は、ユーザの身体に取り付けられる第1本体20を有する。第2取付具14L、14Rは、第1取付具12とは別の個所で身体に取り付けられる第2本体22を有する。本実施形態において、第1本体20は腰に取り付けられ、左側第2取付具14Lの第2本体22は左膝に取り付けられ、右側第2取付具14Rの第2本体22は右膝に取り付けられる。
本体20、22は、可とう性を持つ面状構造体である。本実施形態の本体20、22は伸縮性も持っている。以下、特に言及しない限り、本体20、22を平面的に展開した状態を基準に説明する。本実施形態の本体20、22は、その厚み方向(図1、2の紙面直交方向)から見て、第1方向Pax(以下、長手方向Paxという)に長尺なベルト状をなし、身体に巻き付けられる。本体20、22の長手方向Paxの両端部には互いに着脱可能に接続するための接続構造24が設けられる。本実施形態の接続構造24は、面ファスナーであるが、特に限定されず、スナップボタン等でもよい。本実施形態の接続構造24は、本体20の表面部の一端部と、その裏面部の他端部に設けられる。
接続部材16は、第1本体20と第2本体22を接続する。接続部材16は、複数の第2本体22に対応して個別に設けられ、その対応する第2本体22と第1本体20を接続する。第1取付具12、第2取付具14L、14Rのそれぞれは、筋肉に電気刺激を付与するための電極30A〜30Hを有する。第1取付具12の電極30A〜30Dには、左半身を通電経路Pb1(後述する)とする電流を流すための第1左前電極30Aおよび第1左後電極30Bが含まれる。第1左前電極30Aは左半身の腰の前側に配置され、第1左後電極30Bはその腰の後側に配置される。この電極30A〜30Dには、この他に、右半身を通電経路Pb2(後述する)とする電流を流すための第1右前電極30Cおよび第1右後電極30Dが含まれる。第1右前電極30Cは右半身の腰の前側に配置され、第1右後電極30Dはその腰の後側に配置される。
左側第2取付具14Lの電極30E、30Fには、左半身を通電経路Pb1とする電流を流すための第2左前電極30Eおよび第2左後電極30Fが含まれる。第2左前電極30Eは左脚(左膝)の前側に配置され、第2左後電極30Fは左脚の後側に配置される。右側第2取付具14Rの電極30G、30Hには、右半身を通電経路Pb2とする電流を流すための第2右前電極30Gおよび第2右後電極30Hが含まれる。第2右前電極30Gは右脚(右膝)の前側に配置され、第2右後電極30Hは、右脚の後側に配置される。
第1本体20や第2本体22の裏面部には粘着部48A〜48Hが設けられる。本体20、22は粘着部48A〜48Hを介して身体に取り付けられる。粘着部48A〜48Hは電極30A〜30Hのそれぞれに対応して個別に設けられる。粘着部48A〜48Hは、身体に着脱可能に貼り付けられる。本実施形態の粘着部48A〜48Hは導電性を有し、導電性接着剤等により導電部46に導通された状態で設けられる。電極30A〜30Hの粘着部48A〜48Hを身体に貼り付けたとき、その粘着部48A〜48Hを介して導電部46と身体の肌面が導通される。粘着部48A〜48Hは粘着性ゲルで構成される。
第1本体20の粘着部48A〜48Dには、第1左前電極30Aに設けられ、左半身に前側から貼り付けられる第1左前粘着部48Aと、第1左後電極30Bに設けられ、左半身に後側から貼り付けられる第1左後粘着部48Bとが含まれる。第1本体20の粘着部48A〜48Dには、第1右前電極30Cに設けられ、右半身に前側から貼り付けられる第1右前粘着部48Cと、第1右後電極30Dに設けられ、右半身に後側から貼り付けられる第1右後粘着部48Dとが含まれる。
本実施形態の第1左前粘着部48Aや第1左後粘着部48Bは、第1本体20の長手方向Paxの中央部より一端側の一端側部分20aに設けられる。本実施形態の第1右前粘着部48Cや第1右後粘着部48Dは、第1本体20の長手方向Paxの中央部より他端側の他端側部分20bに設けられる。第1本体20の一端側部分20aには少なくとも一つの粘着部48A、48Bが設けられ、その他端側部分20bにも少なくとも一つの粘着部48C、48Dが設けられることになる。
左側第2取付具14の第2本体22の粘着部48E、48Fには、第2左前電極30Eに設けられ、左半身に前側から貼り付けられる第2左前粘着部48Eと、第2左後電極30Fに設けられ、左半身に後側から貼り付けられる第2左後粘着部48Fとが含まれる。
右側第2取付具14の第2本体22の粘着部48G、48Hには、第2右前電極30Gに設けられ、右半身に前側から貼り付けられる第2右前粘着部48Gと、第2右後電極30Hに設けられ、右半身に後側から貼り付けられる第2右後粘着部48Hとが含まれる。
本実施形態の第2左前粘着部48Eや第2右前粘着部48Gは、第2本体22の長手方向Paxの中央部より一端側の一端側部分22aに設けられる。本実施形態の第2左後粘着部48Fや第2右後粘着部48Hは、第2本体22の中央部より他端側の他端側部分22bに設けられる。これら粘着部48A〜48Hの位置関係は、粘着部48A〜48Hが設けられた電極30A〜30Hにも同様のことがいえる。
図4は、電気刺激装置10の配線系統を示す配線図である。電気刺激装置10は、コントローラ18と、複数の電極30A〜30Hのそれぞれとを電気的に接続する複数の配線32A、32Bを有する。複数の配線32A、32Bには、コントローラ18と第1取付具12の電極30A〜30Dとを電気的に接続する第1配線32Aと、コントローラ18と第2取付具14L、14Rの電極30E〜30Hとを電気的に接続する第2配線32Bとが含まれる。電極30A〜30Hに対応する一つの被固定部52は、配線32A、32Bを介してコントローラ18の制御部38に電気的に接続される。被固定部52と固定部50A、50Bは導電性材料により構成される。これらを用いて電極30A〜30Hが本体20、22に固定された状態にあるとき、コントローラ18の制御部38と電極30A〜30Hの導電部46が電気的に接続される。
図5は、コントローラ18を示す。図5(a)はコントローラ18の筐体34の正面図であり、図5(b)はコントローラ18の機能を示すブロック図である。コントローラ18は、第1本体20の表面部に着脱可能に設けられる(図1参照)。コントローラ18は、筐体34と、電源部36と、制御部38と、複数の操作部40A〜40Dと、を有する。筐体34は、電源部36や制御部38を収容する。
電源部36は、リチウムイオン電池等の二次電池であるが、マンガン電池等の交換可能な一次電池でもよい。電源部36は、制御部38に電気的に接続され、制御部38を介して複数の電極30A〜30Hに電力を供給する。
制御部38は、電源部36から複数の電極30A〜30Hに供給される電力を制御する。詳しくは、制御部38は、複数の電極30A〜30Hに刺激電圧を印加する電気刺激制御を行う。電気刺激制御では、予め設定された設定動作時間(たとえば、10分)、予め設定された周波数(たとえば、20Hz)で、複数の電極30A〜30Hに交流電圧を印加する。制御部38は、電源部36から供給される電力を用いて刺激電圧を生成し、その生成した刺激電圧を複数の電極30A〜30Hに印加することで電気刺激制御を行う。
操作部40A〜40Dは、電気刺激装置10の動作態様の変更に用いられ、筐体34の外面部に設けられる。本実施形態の操作部40A〜40Dは押圧操作を受けて動作する。本実施形態の操作部40A〜40Dには、刺激電圧の電圧レベルの変更に用いられるレベル操作部40A、40Bが含まれる。レベル操作部40A、40Bには、電圧レベルを小さくするための第1レベル操作部40Aと、電圧レベルを大きくするための第2レベル操作部40Bとが含まれる。ここでの刺激電圧とは、電気刺激の付与のために複数の電極30A〜30Hに印加される電圧をいう。
レベル操作部40A、40Bは、ユーザの意図しない誤操作を避ける観点から、筐体34の外面部に設けられる窪み部が構成する。操作部40A、40Bの外面には操作部40A、40Bを特定するための「+」や「−」の記号42が印字されている。記号42は、ユーザの触覚により知覚可能な態様で印字されている。この態様として、本実施形態の記号42は、操作部40A、40Bの外面に凸部として設けられるが、そのような凹部として設けられてもよい。
図3を参照する。本実施形態では、第1左前電極30Aおよび第1左後電極30Bを正極および負極のうちの第1極とし、第2左前電極30Eおよび第2左後電極30Fを正極および負極のうちの第2極として、刺激電圧が印加される。これにより、左半身の臀部や上腿部を通電経路Pb1とする電流が流れる。また、本実施形態では、第1右前電極30Cおよび第1右後電極30Dを第1極とし、第2右前電極30Gおよび第2右後電極30Hを第2極として、刺激電圧が印加される。これにより、右半身の臀部や上腿部を通電経路Pb2とする電流が流れる。本実施形態では、この経路上を流れる電流により、大臀筋、ハムストリング、大腿四頭筋等の運動が促される。通電経路Pb1と通電経路Pb2は身体の異なる箇所を辿る経路となる。
以上の電気刺激装置10の利用シーンの一例を説明する。まず、ユーザの身体に第1取付具12の第1本体20や第2取付具14L、14Rの第2本体22を取り付ける。本実施形態では、第1本体20や第2本体22の巻き付けによって、身体の肌面に粘着部48A〜48Hが押し当てられ、その粘着部48A〜48Hの肌面に対する密着度が増している。
次に、電気刺激装置10の操作部40A、40Bに対する操作を通じて、制御部38によって、複数の電極30A〜30Hに刺激電圧を印加する。この刺激電圧によって、身体の一部を通電経路とする電流が流れ、その経路上の筋肉に電気刺激が付与される。これに伴い、この筋肉の収縮および弛緩を伴う運動が促され、その筋肉を鍛えるトレーニング効果を得られる。
図6は、筋肉電気刺激装置の他の例を示す。筋肉電気刺激装置として電気刺激装置10a〜fのいずれかを利用してもよい。電気刺激装置10には、ユーザの腹筋と脇腹に装着されるタイプの電気刺激装置10a、腹筋に装着されるタイプの電気刺激装置10b、腕に装着されるタイプの電気刺激装置10c、脚に装着されるタイプの電気刺激装置10dがある。また、電気刺激装置10には、任意の部位に装着されるタイプの電気刺激装置10eと、ユーザが両足を載せるタイプの電気刺激装置10fと、ユーザが全身に着用するフィットネスウェアタイプの電気刺激装置10gもある。電気刺激装置10a〜gは、ユーザの筋肉に微弱な電流による電気刺激を与える。
電気刺激装置10gは、上下1セットのウェアおよび一対のアームバンドで構成され、ユーザは上下1セットのインナーウェアの上にこれらを着用する。電気刺激装置10gとしてのフィットネスウェアの内面には、複数の電気刺激モジュールが装着されており、それら電気刺激モジュールが筋肉電気刺激装置として機能する。電気刺激モジュールは、例えばユーザの腹筋、脇腹、胸筋、背筋、腕、脚、臀部などの各身体部位を対象として電気刺激を与えられるようにフィットネスウェアの各箇所に装着される。電気刺激装置10gは、主にフィットネスジムのスタジオで複数人に同時利用されることを前提とし、各電気刺激モジュールがBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により運動制御装置と通信して情報を送受信し、制御される。運動制御装置は、複数ユーザ分のフィットネスウェアに装着された複数の電気刺激モジュールと通信し、各モジュールを同期制御しながら運動プログラムの内容を表示装置に表示させることで、例えば7人までのユーザに同時に運動プログラムを提供する。
図7は、ユーザの腹筋および脇腹、腕、脚のそれぞれに電気刺激装置10を装着した状態を示す。ユーザの腹筋および脇腹には電気刺激装置10aが装着される。ユーザの腕には電気刺激装置10cが装着される。ユーザの脚には電気刺激装置10dが装着される。図7はユーザの身体2を正面から視た状態を示す。筋肉電気刺激装置10aはユーザの腹部3に装着され、腹直筋および腹斜筋に電気刺激を与える。筋肉電気刺激装置10aは、本体部20と、ベルト部材50と、を含む。本体部20は、腹部3の正面側を回り、ベルト部材50は本体部20の一端から腹部3の背面側を周方向に回って本体部20の他端に連結される。ベルト部材50は、本体部20を被装着部である腹部3側に引寄せる引寄部材である。本体部20は、正面部22と、一対の延出部26と、制御ユニット30と、を含む。ユーザは、図示する箇所以外にも電気刺激装置10a〜fを装着して同時使用してもよい。これらの電気刺激装置10a〜fおよび図1〜5の電気刺激装置10は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信の機能を有してもよく、その場合、運動器具制御装置としての情報端末と通信して同時に制御されるように構成してもよい。
例えば運動器具制御システムは、運動器具としての複数の筋肉電気刺激装置10a〜fおよび図1〜5の電気刺激装置10と、運動器具制御装置としての情報端末と、情報を管理する情報管理サーバと、を備えて構成される。運動器具制御装置において実行される運動器具制御プログラムが、複数の電気刺激装置と通信してそれぞれの設定および動作を制御する。運動器具制御装置は、ユーザにより操作される種々の情報端末であり、例えばスマートフォンなどの携帯電話端末やタブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。運動器具制御装置は、複数の電気刺激装置とその電気刺激装置を使用する身体部位の対応関係を設定し、電気刺激装置ごとの強度設定や操作を制御する。
<運動用具>
本実施形態の運動用具は、円筒状の中空バッグの内部に水と空気を充填した用具であって、その外面に複数のハンドルが設けられている。ユーザはそのハンドルを把持するなどして運動用具を動かし、内部の水を揺動させることで重心を変化させる。ユーザはこの運動用具を利用することで、効果的かつ効率的に筋力トレーニングを実施できる。
図8は、運動用具の外観を示す。図9は、ユーザが運動用具を順手で把持した状態を示す。図10は、ユーザが運動用具を逆手で把持した状態を示す。
運動用具60は、所定の重量をもった本体部62と、本体部62を持ち上げる際に手で握るハンドル部70とを備えている。ハンドル部70は、両手がそれぞれのハンドル部70を握るように一対ずつ設けられている。一対のハンドル部70は、標準体型の人の肩幅と同程度の間隔をあけて配置されている。本体部62は、全体として柱状をなし、本体部62の長さ寸法(軸方向の寸法)は、標準的な体型の人の胴体の幅(人を正面から見たときの左右方向の幅)より大きい寸法とされている。本体部62は、断面円形状をなし、幅寸法(径方向の寸法)は、手のひらを広げたくらいの寸法とされている。
本体部62は、中空な袋体64と、袋体64の内部に収容された負荷付与物体Gと、を備えている。負荷付与物体Gは、袋体64の向きが変えられることにより流動する流動体であり、本実施形態では液体(水)とされている。袋体64は、負荷付与物体Gと空気とで円柱状に膨らんでいる。袋体64は、中が透けて見える透明なビニールシート等のシート材からなり、負荷付与物体Gは着色されている。負荷付与物体Gの量を調整することで、本体部62の重量を変更することができる。本体部62の軸方向における両端面のうち一方の端面には、給水栓80が備えられている。給水栓80は、逆止弁付きの給水栓であり、空気および負荷付与物体Gの充填完了後、給水栓80を閉じるまでの間の空気漏れを効果的に防ぐことができる。
ハンドル部70は、ユーザが手で握ることができ、自然に握った手のひらの内側に形成される空間に合うような幅および厚さを有する棒状部材である。ハンドル部70は、アーチ状をなすように緩やかに湾曲し、軸方向における両端部が本体部62に固定されている。ハンドル部70と本体部62の周面との間には、手を入れることができる把持空間が形成される。一対のハンドル部70は、本体部62の外面(外の方向に向いた面)から同方向に突出して設けられた一組のハンドル部70からなる。ハンドル部70は、本体部62の軸線に対して傾いている。このハンドル部70は、手首を曲げていない自然な状態で握った手のひらの内側に形成される空間(手のひらと曲げられた4本の指との間に形成される空間)の傾きに沿う向きで傾いている。一対のハンドル部70は、本体部62の軸方向に対して逆向きに傾斜している。一対のハンドル部70は、本体部62の軸方向における中心を基準に対称な形状(対称な配置)となっている。運動用具60は、傾斜角度が異なる2組(2対)のハンドル部70を備えている。2組のハンドル部70(以後、一方の組のハンドル部70を第1ハンドル部70F、他方の組のハンドル部70を第2ハンドル部70Sと称する)は、異なる方向に突出している。本実施形態では、第1ハンドル部70Fは本体部62の左側に突出し、第2ハンドル部70Sは本体部62の右側に突出している。第1ハンドル部70Fと第2ハンドル部70Sとは、本体部62において180度反対側の位置に設けられている。すなわち第1ハンドル部70Fを手前側に向けると、第2ハンドル部70Sは反対側を向くようになっている。第1ハンドル部70Fは、本体部62の軸線に対して直角に近い角度で配置されている。第2ハンドル部70Sは、本体部62の軸線に対して第1ハンドル部70Fよりも倒れた(平行に近い)角度で配置されている。
運動用具60を使用する際には、本体部62に負荷付与物体Gおよび空気を充填する。給水栓80の蓋を外して負荷付与物体Gおよび空気を袋体64に送り込む。負荷付与物体Gおよび空気の充填完了後、蓋を取り付けて給水栓80を閉じる。
次に、運動用具60を使用した運動パターンの一例を説明する。運動用具60を使用すれば、多種類の運動をすることができ、負荷を与える部位を様々に変えることができる。具体的には、ハンドル部70の握り方を変えること、ハンドル部70の向きを変えること、また、2組のハンドル部70から把持するハンドル部70を選択する(ハンドル部70の角度を選択する)ことにより、多種の異なる運動をすることができる。
ハンドル部70の握り方は、図9に示すように、手の甲を上にして握る握り方(順手握り)と、図10に示すように、手のひらを上にして握る握り方(逆手握り)とがある。順手握りでは、ハンドル部70を上から持ち、逆手握りでは、ハンドル部70を下から持つ。順手握りでハンドル部70を持った場合には、両手を自然に下して運動用具60を下げた状態で、両脇が開き、肘を曲げて運動用具60を持ち上げた状態では、さらに両脇が開き、両肘が胴体から大きく離れる。一方、逆手握りでハンドルを持った場合には、両手を自然に下して運動用具60を下げた状態で、両脇が閉まり、肘を曲げて運動用具60を持ち上げた状態では、さらに脇が閉まるとともに両肘が胴体に密着する。すなわち、ハンドル部70の握り方を変えることで、脇を開ける運動と脇を閉める運動との2パターンの運動をすることができる。加えて、運動用具60は、把持するハンドル部70を選択することができるから、より多様な運動をすることができる。また、運動によって本体部62の負荷付与物体Gが揺れること(本体部62の重心の変化)に対してバランスを取る必要があるため、効果的にトレーニングを実施できる。
<トレーニング方法>
本実施形態のトレーニング方法は、上述のような筋肉電気刺激装置の電気刺激により不随意運動を起こした上で、上述のような運動用具を用いた随意運動を重ねるハイブリッドトレーニングである。このトレーニングにおける各動作による基本的な効果は以下の通りである。まず、電気刺激が付与されて強縮が生じる部位以外の部位を動かす場合は、強縮が生じる部位が収縮状態で固定される分、全体のフォームが安定しやすい。強縮が生じる部位を動かす場合は、不随意運動に抵抗するように随意運動をすることとなり、高い負荷を得ることができる。電気刺激により単収縮が生じる間に運動する場合は、体のバランスを崩した状態での運動となるため、体幹が鍛えられる。本実施形態では、8種類の動きについて、運動用具60を使用して動くパターンA+〜H+と、それぞれ運動用具60を使用しないで同じ動きをするパターンA〜Hと、の計16種類の運動パターンを例示する。これら16種類の運動パターンを、筋肉電気刺激装置による電気刺激のパターンに組み合わせて繰り返す2種類の運動プログラムを後述する。
図11は、キャリーツイストおよびヒップサークルを模式的に示す。図11(a)は運動用具60を抱きかかえて実施するキャリーツイスト(パターンA+)を示す。ユーザは水平の運動用具60をその下方から両腕で抱きかかえた状態で、左右交互に肩と腕を後方に引くように上半身を水平回転させる動きである。図11(b)は運動用具60を用いない状態で実施するキャリーツイスト(パターンA)を示す。動きとしてはパターンA+とほぼ同じであり、運動用具60を水平に両腕で抱きかかえているかのような姿勢で左右交互に肩と腕を後方に引くように上半身を水平回転させる動きである。これらの動きにより、特に腹直筋と内外腹斜筋を鍛えることができる。
図11(c)は運動用具60を抱きかかえて実施するヒップサークル(パターンB+)を示す。ユーザは水平の運動用具60をその下方から両腕で抱きかかえた状態で、腰を水平面で右回転と左回転を交互にする動きである。図11(d)は運動用具60を用いない状態で実施するヒップサークル(パターンB)を示す。動きとしてはパターンB+とほぼ同じであり、運動用具60を水平に両腕で抱きかかえているかのような姿勢で腰を水平面で右回転と左回転を交互にする動きである。これらの動きにより、特に腹直筋、内外腹斜筋、腰方形筋、広背筋、殿筋群を鍛えることができる。
図12は、サイドベンドおよびスクワットツイストを模式的に示す。図12(a)は運動用具60を抱きかかえて実施するサイドベンド(パターンC+)を示す。ユーザは水平の運動用具60をその下方から両腕で抱きかかえた状態で、上半身を左右交互に横方向に傾ける動きである。図12(b)は運動用具60を用いない状態で実施するサイドベンド(パターンC)を示す。動きとしてはパターンC+とほぼ同じであり、運動用具60を水平に両腕で抱きかかえているかのような姿勢で上半身を左右交互に横方向に傾ける動きである。これらの動きにより、特に内外腹斜筋を鍛えることができる。
図12(c)は運動用具60を把持して実施するスクワットツイスト(パターンD+)を示す。ユーザは水平の運動用具60のハンドルを上から両手で把持した状態で、腰を落としながら右回転し、正面向きに戻りながら腰を上げ、腰を落としながら左回転し、正面向きに戻りながら腰を上げる、を交互にする動きである。パターンAのツイストとスクワットを同時に行うような動きである。図12(d)は運動用具60を用いない状態で実施するスクワットツイスト(パターンD)を示す。動きとしてはパターンD+とほぼ同じであり、水平の運動用具60のハンドルを上から両手で把持しているかのような姿勢で腰を落としながら右回転し、正面向きに戻りながら腰を上げ、腰を落としながら左回転し、正面向きに戻りながら腰を上げる、を交互にする動きである。これらの動きにより、特に内外腹斜筋、殿筋群、ハムストリング、大腿四頭筋を鍛えることができる。
図13は、サイドベンド+バッククロスおよびフロントランジ+アームリーチを模式的に示す。図13(a)は運動用具60を抱きかかえて実施するサイドベンド+バッククロス(パターンE+)を示す。ユーザは水平の運動用具60をその下方から両腕で抱きかかえた状態で、上半身を左右交互に横方向に傾けるとともに、傾ける方向と逆の脚を後方に引いてクロスさせる動きである。図13(b)は運動用具60を用いない状態で実施するサイドベンド+バッククロス(パターンE)を示す。動きとしてはパターンE+とほぼ同じであり、運動用具60を水平に両腕で抱きかかえているかのような姿勢で上半身を左右交互に横方向に傾けるとともに、傾ける方向と逆の脚を後方に引いてクロスさせる動きである。これらの動きにより、特に内外腹斜筋、内転筋群、殿筋群、ハムストリング、大腿四頭筋を鍛えることができる。
図13(c)は運動用具60を把持して実施するフロントランジ+アームリーチ(パターンF+)を示す。ユーザは水平の運動用具60のハンドルを上から両手で把持した状態で、腰を落としながら片足を前に出して両腕と運動用具60を足の前に垂らす動きを右脚と左脚で交互に実施する動きである。図13(d)は運動用具60を用いない状態で実施するフロントランジ+アームリーチ(パターンF)を示す。動きとしてはパターンF+とほぼ同じであり、水平の運動用具60のハンドルを上から両手で把持しているかのような姿勢で腰を落としながら片足を前に出して両腕と運動用具60を足の前に垂らす動きを右脚と左脚で交互に実施する動きである。これらの動きにより、特に殿筋群、ハムストリング、大腿四頭筋、広背筋、三角筋を鍛えることができる。
図14は、スクワットニードルおよびスクワット+オーバーヘッドクロスを模式的に示す。図14(a)は運動用具60を把持して実施するスクワットニードル(パターンE+)を示す。ユーザは運動用具60を把持して体の前方で垂直にした状態と、両脚を広げて腰を落としながら両脚の間に運動用具60を通す状態とを交互に繰り返す動きである。図13(b)は運動用具60を用いない状態で実施するスクワットニードル(パターンE)を示す。動きとしてはパターンE+とほぼ同じであり、運動用具60を体の前方で垂直に把持するかのような状態と、両脚を広げて腰を落としながら両脚の間に運動用具60を通すかのような状態とを交互に繰り返す動きである。これらの動きにより、特に殿筋群、ハムストリング、大腿四頭筋、三角筋を鍛えることができる。
図14(c)は運動用具60を把持して実施するスクワット+オーバーヘッドクロス(パターンF+)を示す。ユーザは水平の運動用具60のハンドルを両手で把持して頭上に両腕で持ち上げる動作と、腰を落としながら両脚の前に下ろす動作を交互に繰り返す動きである。図14(d)は運動用具60を用いない状態で実施するスクワット+オーバーヘッドクロス(パターンF)を示す。動きとしてはパターンF+とほぼ同じであり、水平の運動用具60のハンドルを頭上に両腕で持ち上げるかのような動作と、腰を落としながら両脚の前に下ろすかのような動作を交互に繰り返す動きである。これらの動きにより、特に殿筋群、ハムストリング、大腿四頭筋、体幹(広背筋、腹筋群)、上腕三頭筋、三角筋を鍛えることができる。
以上の16種類の運動パターンを電気刺激パターンに組み合わせて構成される2種類の運動プログラムを以下説明する。第1のプログラムは、足腰に筋肉電気刺激装置を装着した状態のユーザを想定し、足腰の動きを中心とするシンプルな運動である。転倒予防のため、足の動きは最小限としている。第2のプログラムは、主に腹筋に筋肉電気刺激装置を装着した状態のユーザを想定し、全身をダイナミックに動かすことによりカロリー消費が期待できる運動である。いずれのプログラムも全体で23分を想定するが、その全過程において運動用具60を使用するとユーザへの負荷が過大となるおそれがあるため、運動用具60を使用するメニューと使用しないメニューとを交互に繰り返すようプログラムが構成される。
また、プログラムの全過程において強縮を起こさせる所定周波数、例えば不完全強縮を起こさせる20Hzの電気刺激を印加し続けると筋肉の収縮が過大となりすぎるおそれがあるため、強縮を起こさせる周波数の印加期間と単収縮を起こさせる周波数、例えば4Hzの印加期間とを交互に繰り返すよう構成される。または、強縮を起こさせる周波数の電気刺激を印加する期間と印加しない期間とを交互に繰り返すよう構成されてもよい。
電気刺激が印加された状態で、運動用具60を両手で把持または両腕で抱きかかえるユーザが第1の方向へ体を動かすと、運動用具60の内部に含まれる流動体、例えば水などの液体が慣性により第1の方向へ揺動するとともに、その水の跳ね返りによる不規則な動きが生じる。続いて第1の方向とは異なる第2の方向に体を動かすことで、運動用具60の流動体がさらに揺動するとともに不規則な動きが生じる。そうした予測が難しい重心の変化に対してユーザは無意識に体勢を立て直そうとする反射運動が起きることで、体幹を中心とする筋肉に負荷を与えることができ、筋肉電気刺激装置による負荷と相俟って、より効果的に、かつ、効率的にトレーニングをすることができる。
図15は、第1のプログラムにおける運動メニューを示す。図示する表には、上から下へ時系列的に各メニューが記載されている。
まず、トレーニングの開始準備や準備運動のための期間である「Warm up」では、単収縮を起こさせる2Hzから15Hzまでの周波数を1分間かけて出力電圧とともに上げていく期間である。第1項目としては60秒間の「動きなし」であるが、電気刺激により繰り返し生じる単収縮で筋肉を動かして温める。
第1のトレーニング期間である「Training 1」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を3秒間印加する第1の期間と、電気刺激を2秒間停止する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第2〜6項目を実施する。
第2項目として60秒間の「パターンA」の「キャリーツイスト」を実施した後、第3項目として60秒間の「パターンB」の「ヒップサークル」を実施する。次に第4項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第5項目として60秒間の「パターンA+」の「キャリーツイスト」を実施する。第5項目の「パターンA+」は、第2項目の「パターンA」と同じ動きをする「キャリーツイスト」であるが、「パターンA」は運動用具60を利用せずに「キャリーツイスト」をするのに対し、「パターンA+」は運動用具60を把持ないし抱きかかえた状態で「キャリーツイスト」をする点で相違する。第5項目の後、第6項目として60秒間の「パターンB+」の「ヒップサークル」を実施する。第6項目の「パターンB+」は、第3項目の「パターンB」と同じ動きをする「ヒップサークル」であるが、「パターンB」は運動用具60を利用せずに「ヒップサークル」をするのに対し、「パターンB+」は運動用具60を把持ないし抱きかかえた状態で「ヒップサークル」をする点で相違する。
例えば、図3等の足腰に巻くタイプの電気刺激装置10を使用した状態でのトレーニング効果として、パターンAのキャリーツイストでは意識して下半身姿勢を維持するうえ、電気刺激により筋肉が収縮状態で固定されるため、全体のフォームが安定する。また、その際に水の反動で下半身がぶれて動く場合には、より大きな負荷を得ることができる。パターンBのヒップサークルでは、積極的に下半身を動かすため、電気刺激で収縮中の筋肉が伸ばす動きの妨げとなり、より大きな負荷を得ることができる。例えば、腹筋に装着するタイプの電気刺激装置10a,bを使用した状態でのトレーニング効果として、パターンAのキャリーツイストでは上半身の水平回転運動の負荷が増大するだけでなく、腹筋が収縮状態で固定されるため下半身を動かす際に上体が安定する。例えば、腕に装着するタイプの電気刺激装置10cを使用した状態でのトレーニング効果としては、腕の筋肉が収縮状態で固定されるため、水の反動で動く際の腕の負荷が増大する。例えば、脚に装着するタイプの電気刺激装置10dを使用した状態でのトレーニング効果としては、左右でのレベルをそれぞれ調整することで、左右のバランスを整えることができる。例えば、フィットネスウェアタイプの電気刺激装置10gを使用した状態でのトレーニング効果としては、上述の効果をすべて一度に得ることができる。
第2のトレーニング期間である「Training 2」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を3秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第7〜11項目を実施する。「Training 2」の第1の期間は「Training 1」の第1の期間と周波数(20Hz)と印加時間(3秒間)が同じである。一方、「Training 2」の第2の期間では電気刺激の印加を停止するのに対し、「Training 1」の第2の期間では4Hzの電気刺激を印加する点で異なる。
第7項目として60秒間の「パターンC」の「サイドベンド」を実施した後、第8項目として60秒間の「パターンD」の「スクワットツイスト」を実施する。次に第9項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第10項目として60秒間の「パターンC+」の「サイドベンド」を実施する。第10項目の「パターンC+」は、第7項目の「パターンC」と同じ動きをする「サイドベンド」であるが、「パターンC」は運動用具60を利用せずに「サイドベンド」をするのに対し、「パターンC+」は運動用具60を把持ないし抱きかかえた状態で「サイドベンド」をする点で相違する。第10項目の後、第11項目として60秒間の「パターンD+」の「スクワットツイスト」を実施する。第11項目の「パターンD+」は、第8項目の「パターンD」と同じ動きをする「スクワットツイスト」であるが、「パターンD」は運動用具60を利用せずに「スクワットツイスト」をするのに対し、「パターンD+」は運動用具60を把持ないし抱きかかえた状態で「スクワットツイスト」をする点で相違する。
20Hzの電気刺激で不完全強縮を生じさせる効果は、第1のトレーニング期間である「Training 1」と同様であるが、「Training 2」ではさらに単収縮を生じさせることで筋収縮により積極的に身体をぶれさせることができるため、バランスを取ろうとすることで体幹が刺激される。例えば、体を捻る動きの場合、不完全強縮中の3秒で動ききり、単収縮時に動き切った位置にあるとよい。単収縮が終わった際に、反対方向に動き始める。これにより、不完全強縮という抵抗が生じた状態で随意運動のストロークを最大にとることができる。
次の「Conditioning」の期間では、第12項目として30秒間の「動きなし(休憩)」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解す。
第3のトレーニング期間である「Training 3」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を4秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第13〜17項目を実施する。「Training 3」の第2の期間は「Training 3」の第2の期間と周波数(4Hz)と印加時間(2秒間)が同じである。一方、「Training 2」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を3秒間印加するのに対し、「Training 3」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を4秒間印加する点で異なる。
第13項目として60秒間の「パターンA」の「キャリーツイスト」を実施した後、第14項目として60秒間の「パターンB」の「ヒップサークル」を実施する。次に第15項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第16項目として60秒間の「パターンA+」の「キャリーツイスト」を実施し、第17項目として60秒間の「パターンB+」の「ヒップサークル」を実施する。
次の「Conditioning」の期間では、第18項目として30秒間の「動きなし(休憩)」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解す。
第4のトレーニング期間である「Training 4」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を5秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第19〜23項目を実施する。「Training 4」の第2の期間は「Training 3」の第2の期間と周波数(4Hz)と印加時間(2秒間)が同じである。一方、「Training 3」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を4秒間印加するのに対し、「Training 4」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を5秒間印加する点で異なる。
第19項目として60秒間の「パターンC」の「サイドベンド」を実施した後、第20項目として60秒間の「パターンD」の「スクワットツイスト」を実施する。次に第21項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第22項目として60秒間の「パターンC+」の「サイドベンド」を実施し、第23項目として60秒間の「パターンD+」の「スクワットツイスト」を実施する。
最後の「Cool Down」の期間では、第24項目として60秒間の「動きなし」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解して、第1のプログラムを終了する。以上の第1〜24項目の合計で23分間(1380秒間)のプログラムとなる。
図16は、第2のプログラムにおける運動メニューを示す。図示する表には、上から下へ時系列的に各メニューが記載されている。第2のプログラムにおいても、第1のプログラムと同様に「Warm up」「Training 1」「Training 2」「Conditioning」「Training 3」「Conditioning」「Training 4」「Cool Down」の順に期間が設けられる。それぞれの期間の長さと、各期間における電気刺激の周波数や印加期間も第1のプログラムと同じであり、各項目の動きが以下の通り異なる。
まず、トレーニングの開始準備や準備運動のための期間である「Warm up」では、単収縮を起こさせる2Hzから15Hzまでの周波数を1分間かけて出力電圧とともに上げていく期間である。第1項目としては60秒間の「動きなし」であるが、電気刺激により繰り返し生じる単収縮で筋肉を動かして温める。
第1のトレーニング期間である「Training 1」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を3秒間印加する第1の期間と、電気刺激を2秒間停止する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第2〜6項目を実施する。
第2項目として60秒間の「パターンE」の「サイドベンド+バッククロス」を実施した後、第3項目として60秒間の「パターンF」の「フロントランジ+アームリーチ」を実施する。次に第4項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第5項目として60秒間の「パターンE+」の「サイドベンド+バッククロス」を実施する。第5項目の「パターンE+」は、第2項目の「パターンE」と同じ動きをする「サイドベンド+バッククロス」であるが、「パターンE」は運動用具60を利用せずに「サイドベンド+バッククロス」をするのに対し、「パターンE+」は運動用具60を把持ないし抱きかかえた状態で「サイドベンド+バッククロス」をする点で相違する。第5項目の後、第6項目として60秒間の「パターンF+」の「フロントランジ+アームリーチ」を実施する。第6項目の「パターンF+」は、第3項目の「パターンF」と同じ動きをする「フロントランジ+アームリーチ」であるが、「パターンF」は運動用具60を利用せずに「フロントランジ+アームリーチ」をするのに対し、「パターンF+」は運動用具60を把持した状態で「フロントランジ+アームリーチ」をする点で相違する。
第2のトレーニング期間である「Training 2」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を3秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第7〜11項目を実施する。「Training 2」の第1の期間は「Training 1」の第1の期間と周波数(20Hz)と印加時間(3秒間)が同じである。一方、「Training 2」の第2の期間では電気刺激の印加を停止するのに対し、「Training 1」の第2の期間では4Hzの電気刺激を印加する点で異なる。
第7項目として60秒間の「パターンG」の「スクワットニードル」を実施した後、第8項目として60秒間の「パターンH」の「スクワット+オーバーヘッドプレス」を実施する。次に第9項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第10項目として60秒間の「パターンG+」の「スクワットニードル」を実施する。第10項目の「パターンG+」は、第7項目の「パターンG」と同じ動きをする「スクワットニードル」であるが、「パターンG」は運動用具60を利用せずに「スクワットニードル」をするのに対し、「パターンG+」は運動用具60を把持した状態で「スクワットニードル」をする点で相違する。第10項目の後、第11項目として60秒間の「パターンH+」の「スクワット+オーバーヘッドプレス」を実施する。第11項目の「パターンH+」は、第8項目の「パターンH」と同じ動きをする「スクワット+オーバーヘッドプレス」であるが、「パターンH」は運動用具60を利用せずに「スクワット+オーバーヘッドプレス」をするのに対し、「パターンH+」は運動用具60を把持した状態で「スクワット+オーバーヘッドプレス」をする点で相違する。
次の「Conditioning」の期間では、第12項目として30秒間の「動きなし(休憩)」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解す。
第3のトレーニング期間である「Training 3」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を4秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第13〜17項目を実施する。「Training 3」の第2の期間は「Training 2」の第2の期間と周波数(4Hz)と印加時間(2秒間)が同じである。一方、「Training 2」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を3秒間印加するのに対し、「Training 3」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を4秒間印加する点で異なる。
第13項目として60秒間の「パターンE」の「サイドベンド+バッククロス」を実施した後、第14項目として60秒間の「パターンF」の「フロントランジ+アームリーチ」を実施する。次に第15項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第16項目として60秒間の「パターンE+」の「サイドベンド+バッククロス」を実施し、第17項目として60秒間の「パターンF+」の「フロントランジ+アームリーチ」を実施する。
次の「Conditioning」の期間では、第18項目として30秒間の「動きなし(休憩)」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解す。
第4のトレーニング期間である「Training 4」では、不完全強縮を起こさせ得る周波数である20Hzで電気刺激を5秒間印加する第1の期間と、単収縮を起こさせる周波数である4Hzで電気刺激を2秒間印加する第2の期間とを5分間にわたって交互に繰り返す間に、以下の第19〜23項目を実施する。「Training 4」の第2の期間は「Training 3」の第2の期間と周波数(4Hz)と印加時間(2秒間)が同じである。一方、「Training 3」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を4秒間印加するのに対し、「Training 4」の第1の期間では電気刺激(20Hz)を5秒間印加する点で異なる。
第19項目として60秒間の「パターンG」の「スクワットニードル」を実施した後、第20項目として60秒間の「パターンH」の「スクワット+オーバーヘッドプレス」を実施する。次に第21項目として60秒間の「動きなし(休憩)」を挟んだ後、第22項目として60秒間の「パターンG+」の「スクワットニードル」を実施し、第23項目として60秒間の「パターンH+」の「スクワット+オーバーヘッドプレス」を実施する。
最後の「Cool Down」の期間では、第24項目として60秒間の「動きなし」を実施するとともに、2Hzから15Hzまで順次に周波数を上げて単収縮を繰り返し生じさせることで筋肉を解して、第2のプログラムを終了する。以上の第1〜24項目の合計で23分間(1380秒間)のプログラムとなる。
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。以下、変形例を説明する。
上記の実施形態においては、強縮を生じさせる期間と単収縮を生じさせる期間を秒数などの時間で区切って切り替える仕様を説明した。変形例においては、加速度センサなどのセンサで身体部位の位置や姿勢を測定し、その動きや回数などで区切って切り替える仕様としてもよい。
上記の実施形態においては、運動用具60に入れる流動体として水を用いる例を説明した。変形例においては、例えば水以外の液体や砂などの流動体など、袋体64の内部で変位し得る物質を用いる仕様であってもよい。また、流体の動きが外部から見えていれば、動きを予測してフォームを安定させられるが、袋体64を不透明にして外部から見えなくし、動きの不規則性ないし非予測性を高めてさらに体幹を鍛えられるようにしてもよい。また別の変形例として、袋体64に流動体を入れた運動用具60のように動きが不規則な用具を使う代わりに、ダンベル等の運動器具を用いて実施してもよい。その場合、不規則性ないし非予測性による体幹強化以外の効果を奏する。