以下に、本発明の一実施形態に係るパチンコ機1について、図面を参照しながら説明する。
<パチンコ機の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機の正面図である。また、図2以降には、図1に示したパチンコ機1について、他方向から見た様子や分解した様子等が示されている。図2は、パチンコ機の右側面図であり、図3は、パチンコ機を前方から見た斜視図であり、また、図4は、前枠からガラス枠を開放させるとともに、外枠から前枠を開放させた状態のパチンコ機を前方から見た斜視図であり、図5は、ガラス枠、遊技盤、前枠、及び外枠に分解したパチンコ機を前方から見た分解斜視図であり、図6は、ガラス枠、遊技盤、前枠、及び外枠に分解したパチンコ機を後方から見た分解斜視図である。
パチンコ機1は、遊技ホールの島設備に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面を開閉可能に閉鎖するガラス枠(扉枠)3と、ガラス枠3を開閉可能に支持し、外枠2に開閉可能に取付けられている前枠4と、前枠4に前から着脱可能に取付けられ、ガラス枠3を通して視認され、遊技球が打込まれる遊技領域5aを有する遊技盤5と、を備えている。
外枠2は、上下で左右に延びるフレーム2a,2bと、左右で上下に延びるフレーム2c,2dとを組み合わせた方形状からなり、そして、正面から左側縁上下のヒンジ部材2e,2fを備え、ヒンジ部材によって、前枠4及びガラス枠3とを、横開き開閉及び着脱自在に支持している。
前枠4の前面側には、ガラス枠3が正面向かって左側縁部のヒンジ機構3a,3bによって横開き開閉及び着脱可能に取り付けられている。ガラス枠3は、施錠装置3cを用いて、その前面を覆っているガラス板によって閉鎖状態に保持されている。ガラス枠3の背後に位置する前枠4の上半分には、遊技盤5が前枠4の正面側から着脱可能に装着されており、上述のように閉鎖保持されているガラス枠3の複層ガラスを通して遊技盤5の正面の遊技領域5aが視認可能になっている。
ガラス枠3は、四角形で前後に貫通している貫通口3dを有するベースユニット3eと、その前面下方において遊技球を貯留する皿ユニット3fと、皿ユニット3fに貯留された遊技球を遊技盤5の遊技領域内へ打込むために遊技者が操作可能なハンドル4aを収容する領域3gとを備えている。そして、ガラス枠3の前面側には、遊技の進行状況に応じて発光する枠ランプ(LEDランプ)3h、及び、遊技の進行状況に応じて音を出力するスピーカ3iが設けられている。皿ユニット3fの正面中央には、遊技者によって押圧操作される演出ボタン3jが設けられている。また、演出ボタン3jの基部は、手前側(遊技者側)に所定角まで傾けることが可能なレバー構造となっており、遊技者によって引寄操作される第2演出ボタン3kとして機能する。なお、第2演出ボタン3kは、常に引寄操作が可能な構造としてもよいが、演出ボタン3jの操作性等を考慮すると、通常はロック機構等によってOFF側に固定され、特定の演出実行時にロックが解除されて引寄操作(ON操作)を可能にするほうが好ましい。
前枠4は、外枠2の枠内に挿入可能とされ、遊技盤5の外周を支持する枠体4bと、枠体4bの正面視左側の上下に外枠2のヒンジと、扉枠3のヒンジとが回転可能に取付けられるヒンジ4c,4dと、枠体4bの前面下部に取付けられており遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球を打込むための球発射装置4eと、枠体4bの正面視右側面に取付けられており、外枠2と前枠4、及び、ガラス枠3との間を施錠する施錠ユニット4fと、枠体4bの後面下部に取付けられている基板ユニット4gと、枠体4bの後側で、枠体4bに取付けられた遊技盤5の後側を覆う裏カバー4hと、を備えている。基板ユニット4gは、スピーカユニットと、電源基板と、インターフェイス制御基板と、遊技球の払出しを制御する払出制御基板とを収容する。
本実施形態のパチンコ機1は、遊技者が遊技球の発射装置4aを回転操作すると、その角度に応じた強さで遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、入賞口(入球口)に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出される。この遊技球の払出しによって遊技者の興趣を高めることができる。
<遊技盤>
次に、遊技盤5を図5〜図8を参照して説明する。図5および図6は遊技盤の主要なユニットを分解した斜視図、図7は遊技盤の正面図、図8は遊技盤の背面図である。
遊技盤5は、遊技球が打込まれる遊技領域5aを有する。遊技盤5は、表ユニット100m、裏ユニット200m、液晶ベース300m、液晶表示装置(演出表示装置)70を組み合わせて構成される。表ユニット100mは、遊技領域5aの外周を区画し外形が正面視略四角形状とされた前部材100aと、前部材100aの後側に取付けられ、遊技領域5aの後端を区画する板状の遊技パネル100bと、を備え、遊技パネル100bの前面において遊技領域5a内となるところに、複数の障害釘が所定の配列で植設されている。
前部材100aは、右下隅に主制御ユニット5b(遊技全般の制御を行う主制御基板100)からの制御信号に基づいて遊技状況を遊技者に視認可能にする機能表示ユニット100cを備える。液晶表示装置70は、遊技領域5aの中央に配置され所定の演出画像を表示する。液晶表示装置70の背面に、周辺制御ユニット5c(演出全般の制御を行う演出制御基板200)が取り付けられている。液晶ベース300mは、裏ユニット200m側が開放され、裏ユニット200mを収容するとともに、液晶ベース300mの背面に液晶表示装置70が取付けられる。
遊技パネル100bは外周の形態が前部材100aとほぼ同じで、透明な平板状のパネル板からなり、前部材100aの後側に取付けられ、さらに後面に裏ユニット200mが取付けられるホルダとを備える。前部材100aは、遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能に常時開口する複数の一般入賞口66と、一般入賞口とは遊技領域5a内の異なる位置で遊技球を受入可能に常時開口している第1始動口61と、遊技領域5a内の所定位置に取付けられており遊技球の通過を検知するゲート63(後述のアタッカユニット500に一体形成)と、遊技球がゲートを通過することにより抽選される普通図柄抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第2始動口62(後述のアタッカユニット500に一体形成)と、第1始動口61への遊技球の受入れにより抽選される第1特別抽選結果又は第2始動口への遊技球の受入れにより抽選される第2特別抽選結果に応じて遊技球の受入れが何れかにおいて可能となる大入賞口64(後述のアタッカユニット500に一体形成)を備える。なお、ゲート63、第2始動口62と大入賞口64とはアタッカユニット500内にあるため、ここでは図示されていない。
第2始動口には、可動片で構成される普通電動役物と、この普通電動役物を開閉駆動させるための普通電動役物ソレノイドとが設けられている。普通電動役物は、この普通電動役物ソレノイドの通電状態に応じて、第2始動口へ遊技球が入球し難い閉鎖状態と、当該閉鎖状態よりも遊技球が入球し易い開放状態とが交互に可変可能である。第2始動口は、普通電動役物が開放状態とされなければ遊技球が入球し難い一方、普通電動役物が開放状態とされると遊技球が入球し易い構成となる。前部材100aは、左右方向中央の第1始動口61の直下に第1のアウト口29を備える。アタッカユニット500は、表部材100aの右下にある。アタッカユニット500は、大入賞口64を開閉する、特別電動役物642としての可動片を主として備え、合わせて複数のパーツが一体化されたユニットである。
また、表ユニット100mは、後方の液晶表示画面を視認するための開口100hを有する。表ユニット100mの背面には、一般入賞口66、第1始動口61等に受入れられた遊技球を検知するセンサと、遊技球を排出するための通路を備える。
裏ユニット200mは、遊技盤の後方かつ液晶表示画面の前方において演出的な動作を行う構造体である可動役物(可動演出装置)や演出ランプ25がユニット化されて構成されている。
前部材100aは、正面視の外形が略正方形とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域5aの外周を区画している。この前部材100aは、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール100f、外レール100fに略沿って前部材100aの内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール100dと、内レール100dの下端の正面視右側で遊技領域5aの最も低くなった位置に形成され後方へ向かって低くなるように傾斜しているアウト誘導路100eと、を備えている。
遊技パネル100bは、前部材100aの開口と同一形状の開口の周りに、前部材100a側に突出するセンター飾り22を備える。遊技パネル100bを前部材100aに固定すると、センター飾り22が前部材100aの開口の形状に合致するように開口に嵌入して、表ユニット100mの開口100hの回りを飾る。遊技者は、開口100hを介して、演出画面や、演出装置の挙動を認識することができる。センター飾り22は装飾体の一種であり、遊技盤5の中心で演出表示装置70の画面等を補助する装飾機能を発揮する。センター飾り22には、遊技の進行状況に応じた演出動作を実行する可動役物(可動演出装置)が設けられてよい。可動役物は、ステッピングモータやソレノイドなどの駆動源によって作動する。センター飾り22には、遊技の進行状況に応じて発光するランプが設けられてもよい。
主制御ユニット5b(図6参照)は、液晶表示装置70の背面で、周辺制御ユニット5cの下方に取付けられる。主制御ユニット5bは、遊技内容及び遊技球の払出し等を制御する主制御基板100と、主制御基板100を収容する主制御基板ケース100nを備える(図10参照)。主制御ユニット5bは、遊技内容及び遊技球の賞球等を制御する。
機能表示ユニット100cは、遊技状態を表示する一つのLEDからなる状態表示器と、ゲート63に対する遊技球の通過により抽選される普通図柄抽選結果に基づいて二つのLEDを点滅制御することにより普通図柄を変動表示した後にこれら二つのLEDを普通図柄抽選結果に応じた点灯態様で表示させる普通図柄表示器と、ゲート63に対する遊技球の通過に係る普通図柄の変動表示のうち未だ変動表示の開始条件が成立していない変動表示の個数である保留数を表示する二つのLEDからなる普通保留表示器と、第1始動口61への遊技球の受入れ(始動入賞の発生)により抽選された第1特別抽選結果に基づいて八つのLEDを点滅制御することにより第1特別図柄を変動表示した後にこれら八つのLEDを第1特別抽選結果に応じた点灯態様で表示させる第1特別図柄表示器と、第1始動口61への遊技球の受入れに係る第1特別図柄の変動表示のうち未だ変動表示の開始条件が成立していない変動表示の個数である保留数を表示する二つのLEDからなる第1特別保留数表示器と、第2始動口への遊技球の受入れ(始動入賞の発生)により抽選された第2特別抽選結果に基づいて八つのLEDを点滅制御することにより第2特別図柄を変動表示した後にこれら八つのLEDを第2特別抽選結果に応じた点灯態様で表示させる第2特別図柄表示器と、第2始動口への遊技球の受入れに係る第2特別図柄の変動表示のうち未だ変動表示の開始条件が成立していない変動表示の個数である保留数を表示する二つのLEDからなる第2特別保留数表示器と、第1特別抽選結果又は第2特別抽選結果が「大当り」等の時に、大入賞口の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示する四つのLEDからなるラウンド表示器とを備える。機能表示ユニット100cはLEDを、適宜、点灯、消灯、及び、点滅、等させることにより、保留数や図柄等を表示することができる。
周辺制御ユニット5cは、液晶表示装置70の後面に取付けられ、主制御基板100からの制御信号に基づいて遊技者に提示する演出(発光演出、サウンド演出、及び可動演出等)を制御する演出制御基板200、並びに、遊技展開に応じた画像表示及び音出力の制御を行う画像制御基板300を備える(図41参照)。液晶表示装置70は、遊技領域5aの中央に位置し、裏ユニット200mを収容する液晶ベース300mの略中央の後面に着脱可能に取付けられている。液晶表示装置70は、遊技盤5を組立てた状態で、枠状のセンター飾り22の枠内を通して、前面から視認できる。液晶表示装置70は、白色LEDをバックライトとしたフルカラーの表示装置であり、静止画像や動画を表示する。なお、本実施形態では、演出制御基板200と画像制御基板300を2枚の基板に分けて構成したものを記載しているが、それぞれの基板のCPUの機能構成について上記したものに限らず、適宜変更可能(例えば演出制御基板のCPUで音制御を行うなど)としたり、1枚の基板上のCPUで演出全てを制御したりするものであってもよい。
液晶表示装置70は、主として、第1特別図柄又は第2特別図柄と連動して変動表示・停止する装飾図柄や予告演出を含む演出画像を表示するとともに、第1特別図柄及び第2特別図柄の保留表示を行う。具体的には、演出表示装置70の画面上に、装飾図柄の変動表示や予告演出表示などが実行される装飾図柄表示部と、第1特図保留ランプと同期して第1特別図柄の保留表示が実行される第1特図保留表示部と、第2特図保留ランプと同期して第2特別図柄の保留表示が実行される第2特図保留表示部と、が設けられている。
液晶表示画面の装飾図柄表示部には、所定の有効ライン上に、装飾図柄の変動表示領域となる三列の表示領域(左表示領域、中表示領域、右表示領域)が設けられており、左表示領域に対応して装飾図柄の左図柄、中表示領域に対応して装飾図柄の中図柄、右表示領域に対応して装飾図柄の右図柄がそれぞれ停止表示される。特図保留表示部には、通常の表示態様では、特別図柄の作動保留球が生じると白丸印の保留画像が表示される一方、当該作動保留球が消化されると対応する保留画像が消失される。この保留画像は、特別図柄の作動保留球の種類や発生順(入球順)など、あらかじめ定められた順番に表示されており、各特図保留表示部に最大で4個ずつ表示が可能である。
<設定変更>
本実施形態に係るパチンコ機1は、複数段階の設定値によって遊技の遊技者に対する有利度合いを変更する設定変更機能を備えることができるとする。ここで、設定値とは、遊技の遊技者に対する有利度合いを指定するための値であって、主制御基板100(図41参照)によって管理される。本例では、有利度合いが低い方から順に、「設定1」、「設定2」、・・・、「設定5」、「設定6」の6段階の設定値が用意されているとする。各設定値によって遊技の遊技者に対する有利度合いを異ならせるためには、例えば、設定値ごとに特別図柄抽選の大当り確率や確率変動性能に差異を設ける等が考えられる。主制御基板100は、設定値に基づいて遊技の進行を制御し、後述する設定変更操作によって設定値が変更された場合には、変更後の設定値に基づいて遊技の進行を制御する。
そこで以下では、設定変更機能を備える際の本実施形態に係るパチンコ機1について説明する。なお、以降の説明では、設定値を変更/設定することを「設定変更」と称し、設定変更に関する一連の操作を「設定変更操作」と称する。
パチンコ機1における設定変更操作では、まず、主制御基板100(主制御CPU101)によって制御される内部状態を、設定値を変更可能な「設定変更状態」に移行させるための操作が行われ、その後、設定変更状態に制御されているときに、所望の設定値を選択・設定する操作(従来の遊技機における既知の操作方法を利用可能であり、詳細な説明は省略する)が行われることにより、設定値を変更することができる。
そして、上記の設定変更状態に移行させるための操作は、前枠4を開放する第1の手順(枠開放)と、設定キースイッチをオン状態にする第2の手順(設定キースイッチオン)と、初期化スイッチに対して初期化操作を行う第3の手順(RAMクリアスイッチオン)と、電源スイッチに対して電源ON操作を行う第4の手順(電源スイッチオン)と、から構成される。但し、第3の手順と第4の手順は並行して操作されなければならない。
ここで、第1の手順は、外枠右下下部に設けられたドア開センサ2pにて、前枠4の背面に設けられたドア開検知用部材3pが検知されなくなる状態とすることによって達成され(図12参照)、第2の手順は、主制御基板100の背面に設けられた設定キースイッチ100qに所定の設定キーを差し込み回転操作することによって達成される(図11参照)。
そして、第3の手順は、払出制御基板400(払出制御ユニット)の背面に設けられたRAMクリアスイッチ400qを押下する(後述の第4の手順が達成されるまで押下し続ける)ことで達成され、第4の手順は電源基板600(電源ユニット)の背面に設けられた電源スイッチ600qを操作することによって達成される(図11参照)。
なお、本実施の形態に係るパチンコ機1では、上記した設定変更状態に移行させるための第1〜第4の手順のうち、第1の手順(枠開放)及び第2の手順(設定キースイッチオン)が省略されて実行された場合には初期化操作となり、第3の手順(RAMクリアスイッチオン)が省略されて実行された場合には、現在の遊技設定(設定値)を確認する設定確認状態に移行する。
以下の説明で、同種の要素を区別して説明する場合には、「xxx10a」〜「xxx10n」、「xxx11A1」〜「xxx11An」、「xxx12−1」〜「xxx12−n」のように枝番号を付加した参照符号を使用する。同種の要素を区別しないで説明する場合には、「xxx10」、「xxx11A」、「xxx12」のように参照符号のうちの共通部分のみを使用する。
<盤面構成>
以下、図13〜図14を参照して、本実施形態に好適な盤面構成について説明する。図13は、本実施形態に好適な盤面構成を有する遊技盤の正面図である。図14は、本実施形態に好適な盤面構成を有する遊技盤の分解斜視図である。
図13〜図14に示した遊技盤5Aは、本実施形態に好適な盤面構成を形成する遊技盤の一例である。そこで、以降の本実施形態では、これまで本実施形態に係るパチンコ機1の遊技盤として用いてきた遊技盤5(図7など参照)を図13〜図14に示す遊技盤5Aに置き換えて説明を続ける。なお、遊技盤5と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13によれば、遊技盤5Aは、センター飾り22の上方部分に、情報を表示するタイトル導光板6を有する。また、遊技盤5Aは、センター飾り22の右側部分に演出装置79を有する。また、遊技盤5Aは、演出装置79の下方に、アタッカユニット500Aを有する。
また、図13〜図14に示すように、遊技盤5Aは、表ユニット100mと液晶ベース300mとの間に、裏ユニット200m´を構成する大花役物ユニット800、シャッター役物ユニット850、及び下側演出装置80を有する。
<シャッター役物ユニット>
以下、図15〜図16を参照して、シャッター役物ユニット850について説明する。図15は、シャッター役物が「初期位置」にある状態のシャッター役物ユニットの正面図である。図16は、シャッター役物が「可動位置」にある状態のシャッター役物ユニットの正面図である。
図15〜図16に示すように、シャッター役物ユニット850は、シャッター役物870がシャッター役物取付ベース860に取付けられて構成される。本実施形態では、演出制御手段(演出制御基板200の演出制御CPU201等)による制御に従って、可動役物24の1種であるシャッター役物870を用いた演出(シャッター役物演出)を実行することができる。以下に、シャッター役物ユニット850の構造及びシャッター役物演出について説明する。
シャッター役物870は、開口100hの周囲を囲うような枠部材であるシャッター役物取付ベース860に支持され、シャッター役物取付ベース860の内周側の「初期位置」と、シャッター役物取付ベース860の中央側の「可動位置」との間を移動可能な6つのシャッター役物870a〜870fを含む。
シャッター役物870a〜870fは、駆動モータ871a〜871bにより駆動機構(不図示)を介して駆動されることにより、これら6つのシャッター役物870a〜870fが連動して「初期位置」から「可動位置」に進出する動作(「シャッター進出動作」)及び「可動位置」から「初期位置」に収納する動作(「シャッター収納動作」と呼ぶ)を実行可能な可動役物である。なお、シャッター役物870a〜870cが駆動モータ871aにより駆動され、シャッター役物870d〜870fが駆動モータ871bにより駆動される。
シャッター役物870a〜870fについて、図15に示すように通常時の収納されているときの位置が「初期位置」であり、このとき、図13に示すように、シャッター役物870の一部が遊技者から視認可能に露出するだけであり、大部分が隠れた状態にある。一方、図16に示すように、シャッター役物演出の実行時に、シャッター役物870a〜870fが、シャッター役物取付ベース860の内周中央方向に進出したときの位置が「可動位置」であり、このとき、図17に示すように、シャッター役物870a〜870fの略全てが遊技者から視認可能に露出する。図17は、シャッター役物が「可動位置」にある状態の遊技盤の正面図である。
シャッター役物870a〜870fは、それぞれに光源として複数のLED8721が設けられている。シャッター役物演出の実行時に、「可動位置」にあるシャッター役物870a〜870fの複数のLED8721は、演出制御基板200の演出制御CPU201及びランプ接続基板91の制御により発光する。この光がシャッター役物870a〜870fの前面側の発光面から出射され、後述の「可動位置」に位置している大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eのそれぞれを、背面側から照射する(「シャッター照射動作」と呼ぶ)。
なお、シャッター役物870a〜870fの発光面において、星形等の幾何形状のレンズカット部872a〜872fが形成されており、また部分的(図中のシャッター役物870a〜870fにおける黒塗り領域)にローレット加工が施されている。レンズカット部872a〜872fおよびローレット加工面から、シャッター役物870a〜870fのLED8721からの光を出射することにより、拡散構造の種類が異なることにより、例えば部分的に強い光となるように光源からの光の強さ(指向性、拡散度合い)に強弱を付け、この強弱を付けた光を後述の大花回転役物823の分光シート8233a〜8233eで分光することで、分光された光に強い箇所と弱い箇所とを設けることで、分光による光色(例えば虹色)を強調することができる。
また、シャッター役物870a〜870fの「シャッター照射動作」は、シャッター役物を「可動位置」に固定する以外にも、「可動位置」近傍で揺動動作を行うことにより、大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eのそれぞれにて分光される光が一様でなくなるよう動作させる場合があってもよい。
<大花役物ユニット>
以下、図18〜図20を参照して、大花役物ユニット800について説明する。図18は、大花昇降役物が「初期位置」にある状態の大花役物ユニットの斜視図である。図19は、大花昇降役物が「可動位置」にある状態の大花役物ユニットの斜視図である。図20は、大花回転役物が「可動位置」にある状態の大花役物ユニットの斜視図である。
図18〜図20に示すように、大花役物ユニット800は、大花役物820が、開口100hの周囲を囲うような枠部材である大花役物取付ベース810に取付けられて構成される。本実施形態では、演出制御手段(演出制御基板200の演出制御CPU201等)による制御に従って、可動役物24の1種である大花役物820を用いた一連の演出(大花役物回転演出)を実行することができる。以下に、大花役物ユニット800の構造及び大花役物回転演出について説明する。
大花役物820は、上端側が大花役物取付ベース810に支持され、上下に昇降可能な大花昇降役物821と、大花昇降役物821の下端側に支持され、花弁を模した5つの可動片である花弁可動片8231(8231a〜8231e)を回転可能な大花回転役物823とを備える。なお、図19〜図20に示すように、大花回転役物823は、支持部材822a〜822bにも支持される。
大花昇降役物821は、駆動モータ8211に駆動されることにより、上方の「初期位置」から下方の「可動位置」に下降する動作(「下降動作」と呼ぶ)と、「可動位置」から「初期位置」に上昇する動作(「上昇動作」と呼ぶ)とを行う可動役物である。大花回転役物823は、通常時は「初期位置」に配置され、このとき、図13に示すように、大花昇降役物821はタイトル導光板6によって覆われており、大花昇降役物821の下端部に取付けられた大花回転役物823の一部が、タイトル導光板6の下方に露出する。なお、タイトル導光板6は透明(半透明)な樹脂材料にて構成されているため、大花昇降役物821が「初期位置」である場合においても大花回転役物823は遊技者に視認可能である。
一方、大花役物回転演出の実行時は、大花昇降役物821は「可動位置」に進出し、このとき、大花昇降役物821の一部、及び大花回転役物823の花弁可動片8231が遊技者の正面位置に露出する。
大花回転役物823は、駆動モータ(不図示)に駆動されることにより、3つの花弁可動片8231a(8231cが一体動作)、8231d、8231e(8231bが一体動作)を連動して展開する動作(「展開動作」と呼ぶ)あるいは3つの花弁可動片8231a〜8231eを前後方向に重ねて収納する動作(「収納動作」と呼ぶ)と、5つの全ての花弁可動片8231a〜8231eを回転させる動作(「回転動作」と呼ぶ)とを実行可能な可動役物である。特定の3つの花弁可動片8231a、8231d、8231eについて、通常時の収納されているときの位置を「初期位置」と呼び、展開したときの位置を「可動位置」と呼ぶ。
この大花回転役物823において、花弁可動片8231a〜8231eのそれぞれは、花弁装飾部材8232a〜8232e、分光シート8233a〜8233e、取付部材8234a〜8234eから構成される。さらに、大花回転役物823の最前面には、中央装飾部材8235が設けられている。
花弁装飾部材8232a〜8232eは、透光性を有する樹脂で形成されており、その前面側の発光面の一部がシールの貼着や塗装等で被覆されて非透光領域(透過率が低い領域であれば多少の光を透光するものであってもよい)とされている。分光シート8233a〜8233eは、シャッター役物870のLED8721から出射された光を分光して花弁装飾部材8232a〜8232e側に出射する。取付部材8234a〜8234eは、透明あるいは半透明な樹脂部材であり、大花回転役物823の回転に伴って大花回転役物823の回転外周に沿って移動する。
花弁可動片8231a〜8231eのそれぞれは、花弁装飾部材8232a〜8232e及び分光シート8233a〜8233eが重ね合わされて取付部材8234a〜8234eに取付けられることで構成される。例えば、図20に例示するように、花弁可動片8231cは、花弁装飾部材8232c及び分光シート8233cが重ね合わされて取付部材8234cに取付けられることで構成される。
なお、花弁装飾部材8232aと分光シート8233aとの間、花弁装飾部材8232bと分光シート8233bとの間、花弁装飾部材8232cと分光シート8233cとの間、花弁装飾部材8232dと分光シート8233dとの間、花弁装飾部材8232eと分光シート8233eとの間のそれぞれに拡散シートを設けてもよい。それぞれの分光シート8233で分光された光を拡散シートでさらに拡散させることで、大花役物回転演出を実行する際に、花弁装飾部材8232の発光面から出射する光が点光源状に光るといった発光ムラを低減することができる。
大花回転役物823は、5つの花弁可動片8231a〜8231eは、奥行き3層の構造で構成されている。大花回転役物823の駆動モータ(不図示)は、第3層の花弁可動片8231dに対して、時計回り/反時計回り方向で切替可能な回転駆動力を提供する。
大花回転役物823において、第1層は、回転方向を反転するギアで第3層と接続されることで、第3層の花弁可動片8231dが回転するときに、第1層の花弁可動片8231a,8231cは、同一の回転角で逆回転の動作を行って「展開動作」を行う。さらに、第1層は、第3層が可動位置を超えた段階でトルクリミッタによって展開状態を維持し、その後は、第1層が第3層に連れまわり、同方向に「回転動作」を行う。また、第2層の花弁可動片8231b,8231eは、第3層の花弁可動片8231dが一定量展開するまでは、初期位置に留まり、第3層の花弁可動片8231dが一定量展開した以降は、第3層に連れまわり、同方向に「回転動作」を行う。
大花回転役物823は、「収納動作」の際には、「回転動作」が終了すると、駆動モータ(不図示)の駆動により、花弁可動片8231a〜8231eを図20及び図21に示すような位置に復帰させ、その後、上述の「展開動作」とは逆の動作を行う。
このような構成により、図19に示す状態で、演出制御基板200の演出制御CPU201及びモータドライバ92により制御される大花回転役物823の駆動モータ(不図示)の駆動により、花弁可動片8231dが大花回転役物823を回転中心として時計回りに回転すると同時に、花弁可動片8231a〜8231cがそれらの相対的位置関係を保ちながら大花回転役物823を回転中心として反時計回りに回転して、図20に示すように花弁可動片8231a〜8231eが拡開して花冠を形成した状態となることができる。さらに、花弁可動片8231a〜8231eは、花冠を形成した状態を保ちながら、大花回転役物823を回転中心として時計回りに回転できる。
<大花役物回転演出>
以下、大花役物820による大花役物回転演出について説明する。なお、本実施形態の大花役物回転演出には、連動するシャッター役物演出が含まれているとする。
大花役物回転演出の説明に先立って、大花役物820の状態を、大花昇降役物821の位置と、大花回転役物823の位置もしくは動作と、シャッター役物870a〜870fの位置との組合せにより、次のように定義する。
(状態1:待機状態)大花昇降役物821、大花回転役物823、及びシャッター役物870が共に「初期位置」に位置するとき、大花役物820は「待機状態」であるとする。
(状態2:進出状態)大花昇降役物821が「可動位置」に位置し、大花回転役物823が「初期位置」に位置し、シャッター役物870が「初期位置」に位置するとき、大花役物820は「進出状態」であるとする。
(状態3:展開状態)大花昇降役物821、大花回転役物823、及びシャッター役物870が共に「可動位置」に位置するとき、大花役物820は「展開状態」であるとする。
(状態4:回転状態)大花昇降役物821が「可動位置」に位置し、大花回転役物823が「回転動作」を行い、シャッター役物870が「可動位置」に位置するとき、大花役物820は「回転状態」であるとする。
大花役物回転演出には、以下の(A)演出第一動作、(B)演出第二動作、(C)演出第三動作、(D)演出第四動作、(E)演出第五動作が含まれる。以下、上述で定義した状態を引用しつつ、(A)演出第一動作〜(E)演出第五動作について説明する。
(A)演出第一動作は、大花役物820の状態が「状態1:待機状態」から「状態2:進出状態」へと遷移する動作である。
(B)演出第二動作は、大花役物820の状態が「状態2:進出状態」から「状態3:展開状態」へと遷移する動作である。演出第二動作においては、シャッター役物870a〜870fが「初期位置」から「可動位置」への「シャッター進出動作」を行う。演出第二動作の終了後の遊技盤5Aは、図21に示すとおりである。
(C)演出第三動作は、大花役物820の状態が「状態3:展開状態」から「状態4:回転状態」へと遷移する動作である。演出第三動作においては、シャッター役物870a〜870fが「可動位置」において「シャッター照射動作」を行う。演出第三動作の開始直後の遊技盤5Aは、大花役物820の状態が「状態3:展開状態」であるため、シャッター役物870a〜870fの「シャッター照射動作」を除いて、演出第二動作の終了時と同様の図21に示すとおりである。
(D)演出第四動作は、大花役物820の状態が「状態3:展開状態」から「状態2:進出状態」へと遷移する動作である。演出第四動作においては、シャッター役物870a〜870fが「可動位置」から「初期位置」への「シャッター収納動作」を行う。
(E)演出第五動作は、大花役物820の状態が「状態2:進出状態」から「状態1:待機状態」へと遷移する動作である。
なお、大花役物回転演出は、示唆する期待度に応じて、段階的な演出態様で実行されるようにしてもよい。例えば、「花弁可動片8231a〜8231eが展開するが回転せず、発光もしない」の場合を「低期待度」とし、「花弁可動片8231a〜8231eが回転するが発光はしない」の場合を「高期待度」とし、「花弁可動片8231a〜8231eが回転し、かつ、発光する」の場合を「超高期待度又は当り確定」として、期待度に応じた演出態様で大花役物回転演出を行ってもよい。
また、「花弁可動片8231a〜8231eが回転し、かつ、発光する」の場合の大花役物回転演出は、「当り確定」の状況で実行される演出であってもよい。例えば、液晶で図柄揃いになった直後や、図柄揃いの直前などで実行されてもよい。
<大花回転役物の発光態様>
以下、図21〜図23を参照して、上述の大花役物回転演出の演出第三動作における大花回転役物823の発光態様を説明する。図21は、大花回転役物及びシャッター役物が共に「可動位置」にある状態の遊技盤の正面図である。図22は、図21に示す遊技盤のA−A断面図である。図23は、遊技盤における分光を説明するための図である。なお、図22(b)は、図22(a)の遊技盤5AのA−A断面の丸囲み部分を拡大した図である。また、図21では、タイトル導光板6を非表示としている。
以下では、説明の便宜上、大花回転役物823の発光態様を、演出第三動作において大花役物820の状態が「状態3:展開状態」にある遊技盤5Aを示す図21〜図23を用いて説明する。しかし、演出第三動作において大花役物820の状態が「状態4:回転状態」に遷移した場合でも、シャッター役物870a〜870fと花弁可動片8231a〜8231eとの位置関係が大花回転役物823の回転運動に伴って変化する点が異なるのみである。そして、シャッター役物870a〜870fの複数のLED8721から出射された光が拡散及び分光されて花弁可動片8231a〜8231eの発光面から出射する態様は同様である。
なお、演出第三動作において大花役物820の状態が「状態4:回転状態」に遷移し、大花回転役物823が回転運動すると、シャッター役物870a〜870fと花弁可動片8231a〜8231eとの位置関係が継続的に変化する。即ち、花弁可動片8231a〜8231eの発光面の同一領域から出射される光の光源が、回転運動に伴って、異なるLED8721となる。よって、花弁可動片8231a〜8231eの発光面から出射する光が、花弁可動片8231a〜8231eの回転範囲全体で虹色となる。
図21に示すように、シャッター役物870a〜870fと、展開状態にある大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eとが、遊技盤5Aの前後方向に部分的に重なると、図22に示すように、シャッター役物870a〜870fが備えるLED8721と、花弁可動片8231a〜8231eの背面側の分光シート8233a〜8233eとの間に一定の距離が確保されることになる。図22では、シャッター役物870cと、花弁可動片8231cとが、遊技盤5Aの前後方向に部分的に重なった状態を示す。
上述したように、大花回転役物823は、「初期位置」で遊技盤5Aの前後方向に花弁可動片8231a,8231e,8231dを重畳させ、花弁可動片8231c,8231bを重畳させて収納し、「可動位置」で花弁可動片8231a〜8231eを拡開する構成である。このため、重畳させた花弁可動片8231には厚みがあるため、遊技盤5Aにおいて、花弁可動片8231の背後の花弁可動片8231との距離を確保した位置にLEDを設けるスペースがない。
また、図22(b)から分かるように、花弁可動片8231それぞれには厚みがないため、花弁可動片8231a〜8231e自体にLEDを設けると、LEDから分光シート8233a〜8233eまで十分に距離を取ることができない。
なお、花弁可動片8231の横方向からLEDの照射光を入射することも考えられるが、分光シートまで十分に距離を確保することが難しく、また、大花回転役物823が回転することを考えると、複数の横方向にLEDを設けることが必要となり、製造コストも嵩む。
このように大花回転役物823において光源配置に制約があると、光源であるLEDから分光シート8233a〜8233eまで十分に距離を取って、LEDからの光を、花弁可動片8231a〜8231eが有する分光シート8233a〜8233eに到達するまでに十分に拡散させることができない。
この十分に拡散されていない光を分光シート8233a〜8233eで分光して花弁可動片8231a〜8231eの発光面から出射させても、多彩な光(虹色などの光スペクトル)とはならず、個別の点光源がそれぞれの色で光っているといった発光ムラが生じ、花弁可動片8231a〜8231eの発光面を光らせる大花回転役物823の発光演出の効果に乏しいという問題がある。
そこで本実施形態では、大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eの発光面を光らせるための光源として、大花回転役物823の背面側に位置するシャッター役物870a〜870fに設けられた複数のLED8721を用いる。よって、シャッター役物870a〜870fに設けられた複数のLED8721から花弁可動片8231a〜8231eが有する分光シート8233a〜8233eまでの距離を、光を十分に拡散可能な程度に確保し、複数のLED8721からの光を、分光シート8233a〜8233eに到達するまでに十分に拡散させた上で分光して花弁可動片8231a〜8231eの発光面から出射させることができる。このように、LEDを設けるための厚みを花弁可動片8231a〜8231eに持たせることなく、多彩な光(虹色などの光スペクトル)で花弁可動片8231a〜8231eの発光面を光らせることができる。
図23を参照して、図22(b)の遊技盤5Aの状態において、シャッター役物870a〜870fに設けられた複数のLED8721から出射された光が、大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eのそれぞれの分光シート8233a〜8233eに到達するまでに十分に拡散され、各分光シートで分光されて大花回転役物823の花弁可動片8231a〜8231eそれぞれの発光面から出射される様子を説明する。なお、図23では、シャッター役物870c及び花弁可動片8231cを例に説明するが、シャッター役物870a及び花弁可動片8231a、シャッター役物870b及び花弁可動片8231b、シャッター役物870d及び花弁可動片8231d、シャッター役物870e及び花弁可動片8231eについても同様である。また、図23では、1つのLED8721について光の拡散及び分光を説明するが、他のLED8721についても同様である。また、図23は、あくまで、分光シート8233での分光の一例を概略的に示すに過ぎない。
シャッター役物870cは、シャッター役物870a〜870b,870d〜870eと同様に、複数のLED8721を備える。シャッター役物870cが備える複数のLED8721のそれぞれは、白色光を出射する。図23に例示すように、シャッター役物870cが備えるLED8721から出射された光は、花弁可動片8231cの背面側の分光シート8233cに到達するまでに、図23の矢印A11及びA12で示すように拡散する。分光シート8233cに入射したLED8721からの光は、入射箇所それぞれにおいてスペクトルに分光される。そして、分光シート8233cで分光された各色の光は、一例として図23の矢印B11,B12,B13で示すように、花弁可動片8231cを透過して発光面から出射され拡散していくので、複数の光色の光で大花回転役物823の花弁可動片8231cの発光面を多彩に光らせることができる。
なお、シャッター役物870cのLED8721の発光色は、均等に虹色に分光するためには白色光を使用することが最適ではあるが、色味を調整するために白色光以外の光色に制御されてもよい。例えば、LED8721の発光色を紫色、青色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色とシャッター役物870a〜870f毎に、あるいはそれぞれ順番に発光させて、分光される光を虹色の各発光色に寄せた色にて順番に発光させる手法なども採用可能である。この場合でも、大花回転役物823の花弁可動片8231cの発光面を、単色ではない複数の光色で光らせることができる。
本実施形態によれば、パチンコ機1は、初期位置では前後方向に複数の花弁可動片8231a〜8231fを配置し、演出可動位置では複数の花弁可動片8231a〜8231fを展開して演出動作を行う大花役物ユニット800と、大花役物ユニット800の演出可動位置における背面側に進出して演出動作を行うシャッター役物ユニット850、を有する。シャッター役物ユニット850は、大花役物ユニット800の複数の花弁可動片8231に向けて光を出射しうる光源としてLED8721を有し、複数の花弁可動片8231a〜8231fは、大花役物ユニット800が演出動作を行う際に、LED8721から出射された光を分光する分光シート8233a〜8233eと、分光シート8233a〜8233eで分光された光を透光させる花弁装飾部材8232a〜8232eとから構成される。
このようなパチンコ機1の構成において、シャッター役物ユニット850のシャッター役物870が備える複数のLED8721のから出射された光は、大花回転役物823の花弁可動片8231の背面側の分光シート8233に到達するまでに十分拡散した後に、分光シート8233に入射して分光された各光が、花弁可動片8231の発光面から出射され拡散していくので、単色ではない複数の光色を含む多彩な光で花弁可動片8231の発光面を光らせ、発光演出の効果を高めることができる。
<ガイド部材>
以下、図24〜図28を参照して、シャッター役物ユニット850に備えられ、シャッター役物取付ベース860に沿って取り回される(配回される)ケーブルハーネスをガイドするガイド部材880について説明する。
図24は、シャッター役物ユニットに取付けられたガイド部材の周辺を拡大して示す斜視図である。図24に示すように、シャッター役物取付ベース860には、シャッター役物870a〜870fと、駆動モータ871a〜871bとが支持されている。また、シャッター役物取付ベース860の右側の柱状部分には、ソケット861が備えられている。
ソケット861には、シャッター役物870a〜870fや駆動モータ871a〜871bと、演出制御基板200や中継基板(不図示)とを電気的に接続するケーブルハーネスのコネクタが接続される。
シャッター役物ユニット850に備えられるガイド部材880は、ソケット861周辺の前面側からシャッター役物取付ベース860に取付けられる略U字状の部材であり、シャッター役物取付ベース860に沿って取り回すケーブルハーネスを目的位置で位置決めしてガイドするための一体成形された部材である。
ガイド部材880は、シャッター役物取付ベース860に取付けられた際に、ソケット861をブリッジ状に跨いで、ソケット861にコネクタを接続するための空間部880Sを形成する。なお、ガイド部材880は、シャッター役物取付ベース860において、ソケット861を跨がない位置に取付けられてもよい。
以下、図25〜図27を参照して、ガイド部材880の詳細について説明する。図25は、ガイド部材を示す斜視図である。図26は、ガイド部材にケーブルハーネスを通す態様を示す斜視図である。図25(a)は、ガイド部材880を右前上方から見た斜視図であり、図25(b)は、ガイド部材880を左後下方から見た斜視図である。
図27は、ガイド部材を示す六面図である。図27(a)は、ガイド部材880を図25の前方向から見た図である。図27(b)は、ガイド部材880を図25の右方向から見た図である。図27(c)は、ガイド部材880を図25の左方向から見た図である。図27(d)は、ガイド部材880を図25の後方向から見た図である。図27(e)は、ガイド部材880を図25の上方向から見た図である。図27(f)は、ガイド部材880を図25の下方向から見た図である。
図25〜図27に示すように、ガイド部材880は、湾曲部881と、固定部882a〜882bとを備える。固定部882a〜882bは、湾曲部881の上下の端部に設けられ、シャッター役物取付ベース860に対する取付面を備える。ガイド部材880は、固定部882a〜882bがシャッター役物取付ベース860にネジ等により固定されることで、シャッター役物取付ベース860に取付けられる。
湾曲部881は、略U字状に湾曲して形成され、シャッター役物取付ベース860上に沿って取り回すケーブルハーネスを通すための溝状のガイド溝8811と、ガイド溝8811と固定部882a〜882bとを接続する脚部8816a〜8816bとを備える。なお、湾曲部881は、便宜上「湾曲」と表現しているが、円弧の弓形のみに限定されず、図25に示すように、直線的な部分を含んだ略コ字形状のものなど、中央位置が膨らんだ形状を含むものである。即ち、湾曲部881の形状は、空間部880Sを形成し得る、直線的な部分及び/又は曲線的な部分を適宜組合せて構成された種々の形状を含みうるものである。
ガイド溝8811は、ガイド溝底部8812と、側壁部8814(8814a〜8814b)と、押さえ部材8815(8815a〜8815c)とから構成される。
ガイド溝底部8812は、ガイド溝8811の底面をなし、底部開口部8813a〜8813cが設けられている。側壁部8814a〜8814bは、ガイド溝底部8812の左右にガイド溝底部8812に対して略垂直に設けられ、ガイド溝8811のリブとして両側壁をなし、ガイド溝底部8812と共にガイド溝8811の内側を形成する。
押さえ部材8815a〜8815cは、ガイド溝底部8812から最も離れた側壁部8814a〜8814bの辺から、ガイド溝底部8812に対して略平行に突出するように設けられている。押さえ部材8815a〜8815cは、図26の破線で示すように、ガイド溝8811の内側を通されるケーブルハーネスをガイド溝底部8812方向へ押さえ込む。押さえ部材8815a〜8815cは、ガイド溝8811の内側を通されているケーブルハーネスを保護すると共に、ケーブルハーネスがガイド溝8811から抜けてしまうことを防止する。
また、押さえ部材8815a〜8815cは、図25(a)から分かるように、側壁部8814aから押さえ部材8815aが突出し、側壁部8814bから押さえ部材8815bが突出し、側壁部8814aから押さえ部材8815cが突出するように、側壁部8814a〜8814bから交互に押さえ部材8815a〜8815cが突出するように設けられている。交互に突出するように設けられた押さえ部材8815a〜8815cによって、組み付け動作時の引っ掛かりや、遊技動作中の振動などに基づいて、ガイド溝8811の内側を通されているケーブルハーネスがガイド溝8811から抜けてしまうことの防止効果をさらに高めることができる。
また、固定部882aに形成された押さえ部材8821aと固定部882bに形成された押さえ部材8821bは、ケーブルハーネスを取り回す経路上に配置される、ケーブルハーネスの押さえ部材となっている。特に、押さえ部材8821a〜8821bは、ケーブルハーネスの撓みによる取り回し領域からのはみ出しが生じやすい湾曲部881において、ケーブルハーネスを押さえ、取り回し領域からはみ出すことなく正常に取り回すことを可能としている。
ガイド溝底部8812に設けられた3つの底部開口部8813a〜8813cと、3つの押さえ部材8815a〜8815cのそれぞれとは、図25(a)及び図27(a)から分かるように、前後方向で重なる位置に形成されている。例えば、ガイド溝8811を通るケーブルハーネスをソケット861に接続するために、底部開口部8813a〜8813cを経由して空間部880Sへケーブルハーネスを取り回すこともできる。
なお、ガイド溝8811を通るケーブルハーネスは、脚部8816aの外側面に沿って固定部882a方向に取り回されて押さえ部材により固定部882a側に押さえられ、脚部8816bの外側面に沿って固定部882b方向に取り回されて押さえ部材により固定部882b側に押さえられる。
なお、底部開口部8813a〜8813c、押さえ部材8815a〜8815c等のように、複数備えられてガイド部材880を構成する各要素の数は、上述の数に限られず、ガイド部材880の目的を達成する範囲内で、適宜設計変更可能である。
<裏ユニットの組付け態様>
図28は、シャッター役物ユニットを含む裏ユニットを液晶ベースに組付ける態様を示す図である。シャッター役物ユニット850は、2つの駆動モータ871a〜871bが取り付けられており、さらに図28に示すように、大花役物ユニット800と下側演出装置80が組付けられて一体化した裏ユニット200m´に含まれるように一体構成される。シャッター役物ユニット850、大花役物ユニット800、及び下側演出装置80が一体構成された裏ユニット200m´は、重量が重く、例えば液晶ベース300mへの組付け作業に困難を伴う。
しかし、本実施形態のように構成された裏ユニット200m´は、例えば図28に示すように、裏ユニット200m´の一辺と液晶ベース300mの一辺とを合わせ、この合わせた辺を軸として図28中に示す矢印の方向に移動させることで、液晶ベース300mに組付けることができる。このとき、例えば、作業員は、組付け作業の際に、空間部880Sに親指以外の指を差し込み、親指で押さえ部材8815を押さえてガイド部材880を把持することで、裏ユニット200´を保持する。空間部880Sは、作業員が空間部880Sに指を差し込んで裏ユニット200´を保持できる程度に十分な容量である。
このように、作業員は、シャッター役物ユニット850に備えられるガイド部材880に形成された空間部880Sに差し込んで裏ユニット200m´を液晶ベース300mに組付けることで、ガイド部材880を持ち手として用いて、ガイド溝8811の内側を通されているケーブルハーネスに触れることなく、効率的に組付け作業を行うことができる。ケーブルハーネスに触れずに裏ユニット200m´を液晶ベース300mに組付けることで、ケーブルハーネスを意図せず指に引っ掛けてケーブルハーネスをソケット861から引き抜いてしまうことを防止できる。また、シャッター役物ユニット850に確実に持つことができる箇所を設けることによって、組付け作業時に、誤って裏ユニット200m´を落とす等によって部品を破壊してしまう事故を防止できる。
また、作業員は、組付け作業の際に、空間部880Sに親指以外の指を差し込み、親指で押さえ部材8815側からガイド部材880を押さえてガイド部材880を把持することで、ガイド溝8811の内側を通されているケーブルハーネスに触れることなく、裏ユニット200m´を保持することができる。
なお、図24に示すガイド部材880の取付位置は、図28に示すように、裏ユニット200m´への裏ユニット200´のはめ込み箇所に向かい合う位置が組付け作業の効率性の観点から好ましい。しかし、ガイド部材880は、図24(a)に図示の位置に限られず、シャッター役物ユニット850上に沿ってケーブルハーネスが取り回される何れの位置に取付けられてもよい。また、ガイド部材880は、図24(a)に示すようにシャッター役物取付ベース860の前側に取付けられることに限られず、後側に取付けられてもよいし、前側及び後側の両方に取付けられてもよい。また、シャッター役物ユニット850に取付けられるガイド部材880の数は、2つ以上であってもよい。
また、本実施形態のガイド部材880は、シャッター役物ユニット850に限らず、遊技機の筐体内部に備えられた種々のユニットのガイド部材に適用可能である。
本実施形態によれば、パチンコ機1は、所定の演出動作を行うシャッター役物870a〜870fと、シャッター役物870a〜870fを支持するシャッター役物取付ベース860と、シャッター役物870a〜870fの作動を制御する演出制御基板200と、シャッター役物870a〜870fと演出制御基板200とを電気的に接続するケーブルをシャッター役物取付ベース860上に沿って取り回すためのガイド部材880と、備える。ガイド部材880は、シャッター役物取付ベース860に固定される固定部882a〜882bと、シャッター役物取付ベース860から離間するように固定部882a〜882bから湾曲し、シャッター役物取付ベース860との間に所定量の空間部880Sを形成する湾曲部881と、を有する。
このようなパチンコ機1の構成において、裏ユニット200m´の組付けの際、作業員が、ガイド部材880の空間部880Sに指を掛けることで、シャッター役物ユニット850上に沿って取り回されているケーブルハーネスに指が絡んでケーブルハーネスをソケット861から引き抜いてしまうことを防止しつつ、組付け作業しやすい位置でシャッター役物ユニット850を持つことができるので、裏ユニット200m´の組付け作業の効率が向上する。
<アタッカユニット>
次に、本実施形態に好適なアタッカユニット500Aについてさらに説明する。アタッカユニット500Aは遊技パネル100bとガラス枠3との間の限られた狭い空間に存在し、そして、アタッカユニット500Aには、大入賞口を開閉するスライダ等の複数のパーツが存在することから、アタッカユニット500Aに導光板を付設しようにも、アタッカユニットの前後方向にその余裕がない。したがって、従来のアタッカユニットには、意匠シールを貼付する程度の極めて単純な演出に留まらざるを得なかった。
以下に、説明するアタッカユニット500Aは、アタッカユニット500Aの前後方向の厚さに制約があっても、アタッカユニット500Aを構成するパーツに導光板による発光演出機能を一体化させたものである。
アタッカユニット500Aは、遊技パネル100bの表面からガラス枠3に向けて突出するように対向して、遊技パネル100bに固定されている。図29は、アタッカユニット500Aの正面を右上斜から見下ろすように描いた、アタッカユニット500Aの全体斜視図であり、図30は、アタッカユニット500Aの背面を左上斜から見下ろすように描いた、アタッカユニット500Aの全体斜視図であり、図31は、アタッカユニット500Aの正面を右上斜から見下ろすように描いた、アタッカユニット500Aを主要構成パーツに分解した斜視図である。
アタッカユニット500Aは、当該アタッカユニットのメインフレームを構成するベース7012を有する。ベース7012の遊技者側に臨む前面に前飾り7004が組み付けられている。さらに、ベース7012の背面からは前面に向けて、アタッカサブユニット(入賞口装置)7020が、ベース7012に嵌入するように組み付けられている。
アタッカサブユニット7020は、アタッカ(大入賞口)64を開閉するために、前後方向に進退する可動片7018を備える上部サブユニット7021と、大入賞口64を通過した遊技球を流下させて遊技パネル100bの背面に導出させる流路を形成する下部サブユニット7015とからなる。なお、符号7011は一般入賞口であり、符号7014は大入賞口64を通過する遊技媒体としての遊技球のセンサであり、符号7022は可動片7018を前後に進退させるためのソレノイドである。
図32は、前飾り7004の正面を右斜め上から見た斜視図である。図33は、前飾り7004の背面を右斜め下から見た斜視図である。前飾り7004は透明な導光性を備える透光性樹脂(アクリル、ポリカーボネイト等)から成形される。透光性樹脂は、透明、或いは、半透明であってもよい。前飾り7004の平面部7052の正面には、所定の模様が印刷されたシール7002が貼付される(図29,図31)。前飾り7004の平面部7052には、背面方向に凹状にへこんだ略花弁状の凹状模様7050が複数形成されている。前飾りの平面部7052の下端から入射された光は、前飾り7004内で反射を繰り返して、図34(前飾りの平面部の断面図)に示す様に、光7053は、凹状模様のエッジ51で反射(或いは、拡散)して遊技者側に出射される。なお、前飾り7004の平面部7052にシールを貼付しない場合には、一例としての略花弁状の模様(光反射部)を凸状に構成してもよい。
凹状模様7050の前後方向の深さ、エッジの角度等によって、前飾り7004の前面側に出射される光のパターン(範囲、光量、鮮明度等)が調整可能である。凹状模様7050をシール7002の模様に対応する位置に設けてもよい。例えば、シール7002の花弁模様7100(花弁)の周りを囲むように、凹状模様7050から出射された発光演出模様7102を淡く形成することができる。図35は、前飾りに貼付したシールの模様と、前飾りのから出射された発光模様とを重ねたパターンを示す図である。
前飾り7004の平面部の下端には、発光基板7006が、前飾り7004の前後方向に沿ってベース7012に固定されている(図31,図32)。発光基板7006は、複数の光源(発光素子:LED)7030を備える。複数の光源7030は、前飾り7004の平面部7052の下端傍を一列状に並んで、当該下端に臨んでいる。
前飾りの7004の前面の位置に合わせて、複数の光源7030を配置しようとすると、発光基板7006の先端が前飾り7004の前面から突出せざるを得ず、遊技者からそれが視認されてしまうと、遊技者の興趣を損なうおそれある。そして、そもそも、前飾り7004は、ガラス枠3に近接しているので、発光基板7006がガラス枠3に触れないようにすることも困難である。
そこで、前飾りの平面部7052の端部(下端)近傍の領域7104(図36)を発光基板7006の光源7030の位置に向けて、前飾りの背面側に湾曲させて後退させるようにした。図36は、前飾りの平面部の下端近傍の領域の断面図(前飾りの厚さ方向)である。前飾りの平面部7052の下端の7004Aは、発光基板7006上で平坦状に形成されたLED7030光源の形態に相対するように、当該下端の対向面は平坦に形成されている。
このようにすることによって、前飾り7004の前面がガラス枠3に近接していても、発光基板7006がガラス枠に触れないようにしながら、前飾りの平面部に光を入射させることができる。前飾りの平面部7052の下端7004Aから入射された光は、領域7104内を反射しながら、平面部7052の上方に向けて伝播されていく。
平面部7052の下端7004A近傍が、前飾りの背面側に向かって湾曲することによって、前飾りの前面から背面に向かって平面部が存在しない凹領域7031(図32,図36)が形成され、この凹領域7031を介して発光基板7006が遊技者に視認できてしまうおそれがあるが、シール7002を前飾りの平面部7052を完全に覆うように貼付することによって、凹領域7031を遊技者から隠すことができる(図36)。
図33に示す様に、前飾りの平面部7052の背面にも、その前面と同様に、光を反射させて、遊技者側に出射させる立体模様7200が形成されている。図37は、前飾りの平面部の背面に形成された立体模様の拡大図である。この立体模様7200は、前飾りの平面部7052の背面から、ベース7012に向かって突出する、例えば、凸状の花弁状模様であってよい。前飾りの平面部の断面図である、図38に示す様に、前飾りの平面部7052内を反射しながら伝播する光は、立体模様7200のエッジで反射して、遊技者側に出光される。
立体模様7200のエッジの角度、突出量等のパラメータを変えるとによって、遊技者側に出射される発光演出模様7202の光量、鮮明度等の特性を変更することできる。例えば、前飾りの平面部7052の前面の凹状模様7050(図32)のへこみサイズよりも、凸状模様の突出量を大きくすることにより、凹状模様7050に基づく発光演出模様よりもより光量が大きい鮮明な演出模様を前飾り正面に形成することができる。図39は、前飾り7004(表面部材)の背面の凸状部によって形成された発光演出模様の正面図である。凹状模様7050に基づく鮮明な発光演出模様7204をシールの花弁模様7100(図35)とは対応しないように、例えば、シールの花弁模様7100とは重ならないよう離間した位置に形成することにより、シールの花弁模様7100が、あたかも増殖したかのような印象を遊技者に与えることができる。なお、前飾り7004の背面の光反射部を、前面側にへこむ凹状に形成してもよいし、凹状部と凸状部とを混合させてもよい。
シールの花弁模様7100と、前飾り7004の正面の凹状模様7050に基づく発光演出模様7102と、前飾り7004の背面の立体模様7200に基づく発光演出模様7204と、によって(図35、図39)、遊技者に対して、光の像の奥行き方向に距離の差がある演出を実現できるために、遊技者は、立体感のある表示、模様、映像等を体感することができる。演出制御基板200は、特定の遊技状態、例えば、スライダが大入賞口を複数ラウンド開放する大当たり遊技状態の際に、発光基板7006の光源7030を点灯させることによって、遊技者は立体感のある表示を経て特別な遊技状態を享受することができる。
前飾りの平面部7052の背面に凹状部7004B(図36)を形成し、当該凹状部7004Bが形成されている、平面部7052の背面に、反射シート7008,7010(図36)を貼付し、前飾りの平面部7052内を反射して伝播する光が、当該凹状部7004Bで前飾り7004の背面方向にも反射されるようにしてもよい。当該背面方向に反射された光が反射シート7008,7010で再度反射して前飾りの正面に出射される。反射シートで反射した光によって形成される模様も遊技者が視認できるため、立体模様7200で遊技者側に出射された光と凹状部7004Bを経て反射シート7008,7010によって遊技者側に反射した光とで奥行き方向に違いがある、立体的な光演出像を形成することができる。
入賞口ユニットとして、大入賞口を有するアタッカユニットを説明したが、入賞口ユニットは、一般入賞口を有する一般入賞口ユニット、又は、始動口を有する始動口ユニットでもよい。さらに、遊技パネルの前面にある構造物であって、ガラス枠に近く、導光板を挿入する厚みの余裕がない、例えば、センターフレームに本発明を適用することもできる。
以上説明した入賞口ユニットは、導光板を付加しないながらも、前飾り(構成パーツ)の厚み方向を利用して、複数の発光演出模様に距離感の違いを持たせながら、統合した発光演出を実現する手段を提供する。さらに、入賞口ユニットは、導光板を新たに利用しないため、部品点数の増加を避けることができる。
既述の実施形態では、前飾り7004の平面部7052の下端から光を入射させたが、その側端から光を入射させるようにしてもよい。前飾り7004の表裏面の凹凸は、上下(第一)方向ないし左右(第二)方向の光の入射方向に応じて発光演出の態様を異ならせることができる。例えば、入賞口前飾りの凹凸について、第一方向(側端)からの光の入射によって、「ABCD」、「EFGH」、「IJKL」、「MNOP」の夫々のタイトルを上下に並行になるように発光させ、第二方向(下端)からの光の入射によって、これらのうち、斜めの読みできる「AFKP」をより強調して発光させることができる。「AFKP」が、例えば、「チャンス」であれば、遊技者に所定の有利遊技を期待させる、発光演出を実現することができる。
<演出装置>
次に、既述のアタッカユニット500Aに基づく発光演出と同様に導光板を用いた演出装置の変形例について説明する。この変形例は、既述の演出装置79に適用されるものであるため、以下に、演出装置の構造を説明する。演出装置79は、アタッカユニット500Aと異なり、内部に遊技球の流路構成部材、可動片等の複数のパーツを備えないために、前飾りとは別に導光板を組み込むようにしてもよい。
図40は、演出装置79を主要な構成パーツに分解した、演出装置79を右上から俯瞰した斜視図である。演出装置79は、正面側から、透光性樹脂の成型体からなる前飾り7900と、導光板7902と、所定の模様が印刷された、透光性シート7904と、ベース7906とが一体に組み付けられ構造物である。
前飾り7900は、第1のパーツ7900Aに第2のパーツ7900Bを組付けて構成されている。符号7912は模様が付されたシールであって、第1のパーツ7900Aに貼付される。前飾り7900の背面の導光板7902の側端部7916には、発光基板7910が臨んでおり、発光基板7910のLEDから光が、側端部7916から導光板7902内に射出される。符号7914は、第2のパーツ7900Bの円形開口であり、遊技者は円形開口内の導光板を直接視認することができる。
導光板7902とベース7906との間には、既述のとおり、透光性シート7904が配されており、ベース7906の透光性シート7904側の内面には、複数の光源(LED)7908が、透光性シート7904の全面を照らすことができるように、配置されている。
演出制御基板は、通常遊技状態では、発光基板7910の光源を点灯させて導光板7902のほぼ全体を発光させ、これによって、遊技者には、透光性シート7904の模様が視認できないようにしている。演出制御基板は、所定の遊技状態の際に、発光基板7910の光源を消灯させて、ベース7906のLEDの発光に基づく、透光性シート7904の模様による発光演出が、導光板7902と前飾り7900とを介して、遊技者に視認できるようにしている。遊技者には、突然、導光板7902が透明になって、背景の発光演出模様が提供されるため、格別な興趣感を抱くことができる。なお、演出制御基板は、光源の強度を漸減させることによって、背景の発光演出模様の明度を漸増させることができる。
導光板7902は、インクジェット導光板を採用するものであり、プリンタ(たとえば、インクジェットプリンタ)によって、光を反射させるパターンが表面に印刷されたタイプのものであってよい。例えば、ハーフ蒸着のシート材を反射パターンとして導光板に付設する構成では、導光板に、ハーフ蒸着のシート材を皺にならないように、貼り付けたり、挟持させたりする手間があるが、本タイプの導光板によれば、ハーフ蒸着のシート材を必要としないため、このような手間を省くことが出来る。そして、プリンタによって反射のパターンが形成される導光板では、レーザや型を用いた成形等とは異なり、反射のパターンを印刷の態様を変更するだけで導光板に形成することができるために、発光態様の変更にも容易に対応することができる。
<遊技機の制御構成>
図41は、本実施形態に係る遊技機の制御構成の一例を示す制御ブロック図である。
<主制御基板>
図41に示すように主制御基板100は、主制御CPU101、主制御ROM102、主制御RAM103及びI/Oポート回路104等を備える。主制御CPU101は、主制御プログラムの動作を制御して遊技に関する各種の演算処理を実行する。主制御ROM102は、この主制御プログラム及び各種データなどが不揮発的に記憶されている。主制御RAM103は、一時的な記憶領域(テンポラリ領域)として利用されるワークエリア及びバッファメモリとして機能する。I/Oポート回路104は、主制御CPU101の制御によって演出制御基板200や払出制御基板400などの周辺の基板や各デバイスとの間の信号を入出力する。
主制御CPU101は、主制御ROM102から主制御プログラムを読み出して主制御RAM103上で各命令を実行することにより、主制御プログラムの各命令に従った遊技動作を制御する。
その他にも、主制御基板100には、図示省略するが、クロック回路、WDT回路、CTC回路及び乱数生成回路等を備える。
クロック回路は、水晶発振器からのクロック信号を分周して内部システムクロックを生成する。WDT回路は、主制御CPU101が誤動作または暴走状態となったときにリセットをかけて正常な状態に復帰させる。CTC回路は、リアルタイム割込みを発生したり時間を計測する。乱数生成回路は、主制御CPU101によるプログラム処理(ソフトウェア乱数)とは別系統として動作して所定の乱数(内蔵乱数)を生成する。これらは、内部バス(図示せず)を介して互いに電気的に接続されている。
主制御CPU101は、各スイッチ161などからの検出情報などに基づき、主制御ROM102に格納された主制御プログラムを読み出して演算処理を実行することで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。
さらに主制御CPU101は、遊技の主制御に伴う演出動作を実行させるための演出制御コマンドを演出制御基板200に出力するための演出コマンド出力ポートの他にも、遊技球の払出動作を実行させるための払出コマンドを出力するための払出コマンド出力ポートを備え、さらには、それら送信コマンドを各々対象基板に受け取らせるタイミングを図るためのストローブ信号を出力する際に用いられるストローブ信号出力ポートを備えている。なお、主制御CPU101は、その他にも様々な出力ポートを備えており、ストローブ信号出力ポート101Bも実際には、他の出力データと合わせた複数のデータを出力するポートとして存在している。
主制御RAM103は、電源基板600において生成されるバックアップ電源によって少なくとも一部の領域がバックアップされる揮発性記憶手段である。主制御RAM103のバックアップ領域は、電源の遮断(以下「電源断」と称する)が生じた場合、当該電源断時に保持していたスタックポインタ及び各レジスタなどのデータの記憶を保持しておくべきエリアとなっており、電源投入時(電源断復帰時)には当該バックアップ領域の情報に基づいて遊技機の状態が電源断前の状態に復帰される。
主制御基板100は、設定値を変更するための設定キースイッチ100q、第1始動口61に設けられた第1始動口スイッチ161、第2始動口62に設けられた第2始動口スイッチ162、ゲート63に設けられた作動ゲートスイッチ163、大入賞口64に設けられた大入賞口スイッチ164、及び、一般入賞口66に設けられた一般入賞口スイッチ166などの各種スイッチと電気的に接続されている。主制御基板100では、これら各種スイッチからの検出信号がI/Oポート回路104を介して主制御CPU101に入力される。
さらに主制御基板100は、第1特別図柄表示装置171、第2特別図柄表示装置172、第1特図保留ランプ173、第2特図保留ランプ174、普通図柄表示装置175、及び普図保留ランプ176などの各種表示手段に電気的に接続されている。この主制御基板100は、普通電動役物622を作動させる普通電動役物ソレノイド123、及び、特別電動役物642を作動させる特別電動役物ソレノイド124などの各種ソレノイドに電気的に接続されており、主制御CPU101からの制御信号をI/Oポート回路104を介してこれら各種表示手段及び各種ソレノイドに送信する。
主制御基板100と演出制御基板200との間は、例えば、8本のパラレル信号線及び1本のストローブ信号線で接続されており、主制御基板100から演出制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能とされている。すなわち、主制御基板100から演出制御基板200へ各種の演出制御コマンドを送信することが許容されている一方、演出制御基板200から主制御基板100へコマンドやデータを送信することは許容されていない。
I/Oポート回路104は、主制御基板100において主制御CPU101と演出制御基板接続コネクタ109との間に設けられている。主制御CPU101と演出制御基板接続コネクタ109との間は、8本のデータ線で構成されるデータバス111の他にも、ストローブ信号線で構成されるストローブ信号バス112によって接続されている。I/Oポート回路104より送信されるコマンドデータは、後述するように主制御CPU101の制御によって、演出制御基板接続コネクタ109を介して演出制御基板200によって受け取られる。
<演出制御基板>
一方、図41に示すように演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を実行する演出制御CPU201と、演出制御プログラムや各種データなどを記憶した演出制御ROM202と、一時的な作業領域(テンポラリ領域)としてのワークエリア及びバッファメモリとして機能する演出制御RAM203と、主制御基板100や画像制御基板300などの周辺の基板及び各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート回路204とを備える。
演出制御CPU201は、演出制御ROM202に記憶された演出制御プログラムを読み出して演出制御RAM203上で実行することにより、この演出制御プログラムに従って遊技の進行に伴う演出動作を制御する。その他、演出制御基板200には、図示省略するが、水晶発振器からのクロック信号を分周して内部システムクロックを生成するクロック回路、演出制御CPU201が誤動作や暴走状態となったときにリセットをかけて正常な状態に復帰させるWDT回路、システムクロックに基づき各種信号を出力するTPU回路、レジスタ設定及びCTC回路からの信号などに基づきタイマ割込みなどの各種割込みを発生させる割込みコントローラ、シリアルデータを入出力するためのシリアル通信回路、及び、計時機能を備えるリアルタイムクロック回路(以下「RTC回路」と称する)などが搭載されており、これらが内部バスを介して互いに接続されている。
演出制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに応じた演出制御処理において、画像制御基板300へ画像及び音の出力を指示する画像制御コマンドを生成したり、その他にも、ランプ接続基板91を制御するためのランプ制御信号(ランプデータ)、及び、モータドライバ92を制御するための駆動制御信号(駆動データ)などを生成したりする。演出制御基板200は、画像制御基板300との間で双方向通信が可能に接続されている。画像及び音に関する画像制御コマンドは、演出制御基板200から画像制御基板300に対して送信される一方、その応答として、この画像制御コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(いわゆるACKコマンド)が画像制御基板300から演出制御基板200に対して送信される。
演出制御基板200は、音声を出力するスピーカ11に接続されており、演出制御CPU201が画像制御基板300で生成された音データをスピーカ11に出力する制御を行う。
演出制御基板200は、複数のLEDドライバを搭載したランプ接続基板91と電気的に接続されており、シリアル通信回路を介して、ランプ接続基板91を制御するためのランプ制御信号(ランプデータ)を送信する。なお、本実施形態では、演出制御基板200及びランプ接続基板91では、クロック同期式のシリアル通信が採用されており、ランプデータ伝送用のデータ線とは別の信号線(クロック線)で送信されるクロック信号に同期して、ランプ制御信号が当該データ線を介して1ビットずつ送信される。
ランプ接続基板91は、演出制御基板200から送信されるLED駆動用のランプ制御信号を受けて機能するLEDドライバを内蔵している。ランプ接続基板91は、ランプ制御信号に基づき回路内のスイッチをオン/オフ切り替えることにより、演出ランプ10,25に対して駆動電流を供給又は遮断して、演出ランプ10,25を点灯させたり消灯させたりする制御を行う。
さらに演出制御基板200は、複数のモータドライバ92と電気的に接続されており、I/Oポート回路204を介して、役物駆動用の駆動制御信号(駆動データ)をモータドライバ92に対して出力する。モータドライバ92は、演出制御基板200から送信される役物駆動用の駆動制御信号に基づいて回路内のスイッチをオン/オフ切り替えることにより、各可動役物のステッピングモータに対して駆動電流を供給したり遮断したりし、各可動役物を動作させる。なお、モータドライバ92へのデータ送信はパラレル通信方式が採用されている。なお、本実施形態に限らず、役物の駆動源として、ステッピングモータ以外の駆動源を有するものであれば、モータドライバ92の代わりに、駆動源に対応したドライバICに対して、制御信号や制御データが送信される。
画像制御基板300は、画像制御CPU301、ROM304、RAM305及びI/Oポート回路306を備える。画像制御CPU301は、演出制御基板200からの画像制御コマンドに基づいて画像演出に関する各種の演算処理を実行する。ROM304は、画像制御プログラムや各種データなどが記憶されている。RAM305は、一時的に記憶領域(テンポラリ領域)としてのワークエリアやバッファメモリとして機能する。I/Oポート回路306は、周辺の基板や各デバイスとの間の信号を入出力する。
画像制御CPU301は、ROM304から画像制御プログラムを読み出してRAM305にロードして実行することにより、この画像制御プログラムに従って演出に係る画像表示動作を制御する。なお、このROM304は、演出制御ROM基板上のROMに相当する。
さらに、画像制御基板300には、画像制御CPU301から取得した制御信号に基づき演出内容に沿った画像データを生成するVDP302と、画像制御CPU301から取得した制御信号に基づき演出内容に沿った音データを生成する音源IC303とを搭載している。VDP302は、いわゆるグラフィックプロセッサであり、画像制御CPU301からの指示に応じて画像ROM(図示せず)に記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した映像信号を演出表示装置70に対して出力する。このVDP302には、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAM(図示せず)が接続されている。音源IC303は、画像制御CPU301からの指示に応じて音声ROM(図示せず)に記憶された音データを読み込み、これを合成処理して音データを生成する。生成された音データは、演出制御基板200を経由して、増幅器を介してスピーカ11に出力される。
<払出制御基板>
払出制御基板400は、払出制御CPU401、払出制御ROM402及び払出制御RAM403を備える。払出制御基板400は、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて賞球払出ユニット34を駆動させて遊技球の払出動作(賞球動作)を制御する一方、発射ハンドル12の操作量に応じて球送り機構13と発射機構14とを同期して駆動させて遊技球の発射動作を制御する。
<電源基板>
電源基板600は、通常電源回路、バックアップ電源回路及び電源断監視回路を備える。通常電源回路は、遊技機島の電源設備から供給される一次電源を基に、各制御基板で使用される通常時の電源を生成する。バックアップ電源回路はバックアップ電源を生成する。電源断監視回路は、電圧低下による電源断を監視する機能を有する。
電源基板600は、各制御基板や遊技用機器などの電子・電気部品に必要な電源電圧を生成して供給する。電源基板600には、電源回路を起動させるための電源スイッチ600qが接続されており、遊技機島の電源装置から一次電源が供給されている状態で電源スイッチ600qがオンになると、電源基板600の通常電源回路から各制御基板などに所定の電源が供給される。
電源基板600は、遊技機島の電源装置からの電源供給が遮断されたこと(以下「電源断」とも称する)を検出する機能を有し、電源断の検出時にはその旨を報知する電源断信号(NMI信号)を、主制御基板100、演出制御基板200及び払出制御基板400に対して送信する。なお、バックアップ電源回路は、遊技機島の電源装置から遊技機に電源が供給されている間に充電される構成となっている。電源基板600には、RAMクリアスイッチ400q及びドア開センサ2qが接続されている。RAMクリアスイッチ400qは、遊技機の電源投入時に主制御基板100の主制御RAM103の一時的に記憶内容を一旦消去して初期値を設定するためのスイッチである。ドア開センサ2qは、外枠2に対する前枠4の開閉状態を検知するセンサである。なお、RAMクリアスイッチ400q及びドア開センサ2qは、電源基板600の代わりに、例えば、主制御基板100などその他の基板に接続されていてもよい。
<遊技機の基本的な動作例>
以上のように構成された遊技機は、上球皿8に遊技球が貯留されている状態で遊技が開始される。まず、発射ハンドル12が回動操作されると、上球皿8に貯留された遊技球が、ガラス枠3の背面側に設けられている球送り機構13によって1球ずつ発射機構14に送り出され、発射ハンドル12の操作量に応じた発射強度にて発射機構14により遊技領域5aに発射される。
遊技領域5aを転動流下する遊技球が一般入賞口66、第1始動口61、第2始動口62及び大入賞口64のいずれかに入球すると、この検出信号が主制御基板100に入力される。主制御基板100では、主制御CPU101がその入賞口の種別に応じた賞球動作を指示する払出制御コマンドを払出制御基板400に送信することにより、これを受けた払出制御基板400の制御によって貯留タンク31の遊技球が賞球払出ユニット34により上球皿8又は下球皿9に払い出される。
一方、遊技球が第1始動口61又は第2始動口62に入球すると、この検出信号が主制御基板100に入力される。主制御基板100では、主制御CPU101が、第1始動口61又は第2始動口62に対する入球を検出した際に特別図柄の抽選乱数値を取得し、当該乱数値を、所定の上限個数まで特別図柄の保留球として一時的に記憶する。主制御CPU101は、所定の変動開始条件が成立すると、その後、記憶したタイミングが最先の保留球に係る抽選乱数値に対して特別図柄の当否判定及び図柄判定を実行するとともに、変動パターンを選択する変動パターン判定を実行し、この判定結果に応じた態様で第1特別図柄表示装置171又は第2特別図柄表示装置172を用いて特別図柄を変動表示させる。これに併せて、主制御CPU101は、演出制御コマンドを演出制御基板200に対して送信することにより画像制御基板300に演出表示装置70に装飾図柄の変動表示及び変動演出の表示を実行させる。特別図柄及び装飾図柄の変動表示は、選択された変動パターンに応じた変動時間の経過後に同期的に停止表示される。ここで、第1始動口61や第2始動口62に対して入球があり各種の抽選乱数値を取得することや、さらには、取得された乱数値が保留され、変動開始条件を満たした際に、特別図柄表示装置により特別図柄遊技を行うことについて、結果的に特別図柄遊技の実行がなされることになる処理のことを「始動条件(が成立する)」と称する。
第1特別図柄表示装置171又は第2特別図柄表示装置172において第1特別図柄又は第2特別図柄が大当りを示す停止態様で確定表示された場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、特別電動役物642の作動に応じて大入賞口64の開閉動作が開始される。一方、演出表示装置70における大当りを示す装飾図柄の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する態様である。本実施形態では、特別遊技として、ラウンド遊技が10回(10ラウンド)に設定された10R特別遊技と、ラウンド遊技が5回(5ラウンド)に設定された5R特別遊技と、ラウンド遊技が2回(2ラウンド)に設定された2R特別遊技とが用意されている。
本実施形態では、10R特別遊技、5R特別遊技及び2R特別遊技のいずれに移行されたとしても、特別遊技の終了後から特別図柄の変動回数が所定の終期回数(「ST回数」とも称する)に達するまでの期間(「ST期間とも称する」)に亘って、特別図柄の確率変動機能(「確変」とも称する)が作動する。すなわち、本実施形態では、特別図柄の確率変動機能が、次の大当りの発生まで継続するのではなく、上記ST回数に達するまでに限定されている。このように特別図柄の確率変動機能が作動した場合には、特別図柄抽選の大当り確率が低確率状態から高確率状態へ移行するため、比較的早期に新たな大当りに至る確率が高くなる。
一方、特別遊技が終了した後、主制御CPU101は、特別図柄の確率変動機能と付随して又は別途、特別図柄の変動時間短縮機能(以下「時短」ともいう)を作動させる場合がある。特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、特別図柄(及び装飾図柄)の平均的な変動時間が通常よりも短縮される傾向となり、単位時間あたりの特別図柄抽選回数が向上し、前回の大当り終了より短期間で次の大当りを獲得し易くなる。
さらに主制御CPU101は、特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、併せて、いわゆる電チューサポート機能(普通電動役物サポート機能)を作動させる。電チューサポート機能では、普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能、及び普通電動役物622の開放延長機能のいずれかの機能または組み合わせの機能が作動する。普通図柄の確率変動機能が作動すると、普通図柄の当選確率が通常状態よりも高まる状態となる。普通図柄の変動時間短縮機能が作動すると、普通図柄の変動時間が短縮される状態となり、普通電動役物622の開放態様が通常遊技状態時(電チューサポート機能の非作動時)のものと変更される(例えば普通電動役物622の開放時間が通常よりも延長される)ことによって第2始動口62へ遊技球が入球し易くなる状態(「入球容易状態」とも称する)となる。普通電動役物622の開放時間延長機能が作動すると、普通電動役物622の開放時間が通常状態よりも延長された状態となる。この入球容易状態においては、普通図柄の変動時間短縮機能の作動により一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、普通電動役物622の開放時間の開放時間延長機能の作動により第2始動口62への入球容易性も向上するため、第2始動口62への入球数が増加する可能性が高くなる。従って、特別図柄の変動時間短縮機能及び電チューサポート機能の作動により、その期間中は第2始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加し、その結果、遊技者は、持ち球を通常遊技状態時に比して減らし難い状態で遊技を継続することが可能となる。
<遊技機の主要な機能構成例>
本実施形態に係る遊技機の遊技動作の概要は以上のようであり、次に、本実施形態に係る遊技機の主要な機能について詳細に説明する。図42は、本実施形態に係る遊技機に搭載された主制御基板100の機能の一例を示すブロック図である。
主制御基板100は、入球判定手段110、遊技抽選乱数発生手段120、保留制御手段130、事前判定手段135、特別図柄抽選処理手段140、普通図柄抽選処理手段145、特別遊技制御手段150、図柄表示制御手段155、電動役物制御手段160、遊技状態制御手段169、エラー監視制御手段170、メイン情報記憶手段180、コマンド送受信手段190、を含む。なお、主制御基板100における上述の各手段は、主制御基板100上に設けられた主制御CPU101、主制御ROM102、主制御RAM103、電子回路などのハードウェア及び主制御ROM102などに格納された主制御プログラムなどのソフトウェアにより構成されるが、ここでは機能的なブロックとして表現している。
入球判定手段110は、第1始動口スイッチ161、第2始動口スイッチ162、作動ゲートスイッチ163、大入賞口スイッチ164、一般入賞口スイッチ166、及びアウト球検出スイッチ167などからの各検出信号に基づき、各入賞口等への遊技球の入球を判定する。
遊技抽選乱数発生手段120は、前述した乱数生成回路において生成された内蔵乱数を取り込み、これに後述の特別図柄当りソフト乱数を加算することで、特別図柄の当否抽選に使用される特別図柄当り乱数を生成する。遊技抽選乱数発生手段120は、主制御CPU101のプログラム処理によって各種のソフトウェア乱数を生成するための乱数カウンタを備えている。これらの乱数カウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として機能する。
このソフトウェア乱数としては、前述の内蔵乱数に加算されて特別図柄当り乱数を構成する特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当りソフト乱数の初期値及び終了値を決定するための特別図柄当りソフト初期値乱数、特別図柄の停止図柄として当り図柄(条件装置を作動させることとなる図柄の組合せ、はずれ図柄の組み合わせなど)の決定に使用する特別図柄当り図柄乱数、特別図柄当り図柄乱数の初期値及び終了値を決定するための特別図柄当り図柄初期値乱数、特別図柄の変動パターンの選択に使用するための特別図柄変動パターン乱数、普通図柄の当否抽選に使用するための普通図柄当り乱数、普通図柄当り乱数の初期値及び終了値を決定するための普通図柄当り初期値乱数、普通図柄の変動パターンの選択に使用するための普通図柄変動パターン乱数などが含まれる。なお、上述した当り図柄とは、当選した図柄を意味する。
これらのソフトウェア乱数の更新時期としては、タイマ割込み処理が発生する毎に1回更新し、初期値乱数についてはタイマ割込み処理を実行していない間(ループ処理中)も割込み周期の残余時間を利用して更新する。
保留制御手段130は、特別図柄保留制御手段131及び普通図柄保留制御手段132を含む。特別図柄保留制御手段131は、第1始動口61又は第2始動口62への遊技球の入球を契機として、特別図柄遊技に係る抽選乱数値である、特別図柄当り乱数値、特別図柄当り図柄乱数値、特別図柄変動パターン乱数値を取得して、当該乱数値を第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球情報として管理する。特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球情報をそれぞれ所定の上限個数(例えば4個)まで、当該保留球の入球順序と結合するようにメイン情報記憶手段180の第1特別図柄保留格納領域又は第2特別図柄保留格納領域に一時的に記憶する。
第1特別図柄保留格納領域及び第2特別図柄保留格納領域には、各始動口61,62への入球順に、保留1記憶領域(1個目の保留記憶領域)、保留2記憶領域(2個目の保留記憶領域)、保留3記憶領域(3個目の保留記憶領域)、保留4記憶領域(4個目の保留記憶領域)、がそれぞれ設けられている。各保留記憶領域は、作動保留球情報として、特別図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、特別図柄変動パターン乱数を1組セットとしてそれぞれ記憶可能である。作動保留球情報は、保留1記憶領域、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域の順に格納される一方、保留1記憶領域、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域の順にいわゆる先入れ先出しの原則に従って消化される。保留1記憶領域の保留球情報が消化されると、保留2記憶領域、保留3記憶領域、保留4記憶領域に格納された保留球情報を下位の番号の記憶領域にそれぞれシフトするとともに、保留4記憶領域の内容をゼロクリアする。
特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄の作動保留球数をカウントするための第1特別図柄保留球数カウンタ、第2特別図柄の作動保留球数をカウントするための第2特別図柄保留球数カウンタ、を有している。特別図柄保留制御手段131は、特別図柄の作動保留球数の更新処理として、特別図柄の作動保留球を1個取得するごとに対応するカウンタを1加算し、作動保留球が1個消化されるごとに対応するカウンタを1減算する。
特別図柄保留制御手段131は、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数を更新(加算又は減算)したとき、当該保留球数の更新情報を含む演出制御コマンド(「図柄記憶数コマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に一時的に記憶する。この1コマンドには、第1特別図柄の作動保留球数と第2特別図柄の作動保留球数との両方の情報が含まれる。なお、原則として、各特別図柄の作動保留球は入球した順番に消化されることになるが、本実施形態では、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示を優先的に実行する、いわゆる優先消化を採用するため、第2特別図柄遊技に係る作動保留球が存在する間は、第1特別図柄遊技に係る作動保留球の存在に関係なく、第2特別図柄遊技に係る作動保留球を優先的に消化するように構成されている。なお、この優先消化の下では、第2特別図柄の作動保留球が存在する場合は、第1特別図柄の作動保留球が存在していたとしても、第1特別図柄の作動保留球の消化が保留されることになる。
普通図柄保留制御手段132は、遊技領域5aを転動流下する遊技球がゲート63を通過したことを契機として、普通図柄遊技に係る抽選乱数値である、普通図柄当り乱数値、普通図柄当り図柄乱数値、普通図柄変動パターン乱数値、を取得して、当該乱数値を普通図柄の作動保留球情報として管理する。普通図柄保留制御手段132は、普通図柄の作動保留球情報を所定の上限個数(例えば4個)まで、当該保留球の入球順序と結合するようにメイン情報記憶手段180の普通図柄保留格納領域に一時的に記憶する。普通図柄保留制御手段132は、普通図柄の作動保留球数をカウントするための普通図柄保留球数カウンタを有している。普通図柄保留制御手段132は、作動普通図柄の保留球数の更新処理として、普通図柄の作動保留球を1個取得するごとに対応するカウンタを1加算し、作動保留球が1個消化されるごとに対応するカウンタを1減算する。
事前判定手段135は、所定の事前判定タイミングにて特別図柄の作動保留球を取得した場合、当該作動保留球を対象として先読み予告のための事前判定を実行する。事前判定タイミングの一例としては、(1)当り待ち中、かつ、電チューサポート機能が未作動中に第1特別図柄の作動保留球を取得した場合、(2)当り待ち中、かつ、電チューサポート機能が作動中に第2特別図柄の作動保留球を取得した場合、(3)大当り中又は小当り中に第2特別図柄の作動保留球を取得した場合、のうちのいずれかの条件を満足するときである。なお、主制御基板100では、どのタイミングで作動保留球を取得した場合であっても事前判定を実行して情報を演出制御基板200へ送信し、先読み予告の実行可否に関してすべて演出制御基板200で決定することも可能である。
具体的には、事前判定手段135は、今回取得した作動保留球に対応する乱数値をメイン情報記憶手段180の第1特別図柄保留格納領域又は第2特別図柄保留格納領域から読み出して、当否抽選の事前判定(当否事前判定)、図柄抽選の事前判定(図柄事前判定)、変動パターン抽選の事前判定(変動パターン事前判定)を順次実行する。各事前判定で用いられる事前判定テーブルは、図示省略するが、後述の抽選テーブル(特別図柄当否抽選テーブル、特別図柄当り図柄テーブル、変動パターンテーブル)と同様の区切り方で、乱数の総数に相当する領域が複数の領域に区画されており、この領域(判定値数)ごとに、抽選IDが割り当てられている。なお、事前判定手段135による事前判定は、実際に変動が開始される際に抽選に使用される乱数値に対応するものであれば、第1特別図柄保留格納領域又は第2特別図柄保留格納領域に記憶されたデータではなく、RAMやCPUのレジスタに一時的に保持しているデータを事前判定するものであってもよい。
この抽選IDとしては、事前判定の結果を示す番号(「事前判定番号」とも称する)が設定されている。事前判定手段135は、事前判定結果(事前判定番号)の情報を含む演出制御コマンド(「事前判定コマンド」と称する)を順に生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。なお、本実施形態のように、事前判定結果をどの乱数値範囲に属するかの情報(抽選ID)として送信する場合に限らず、実際に変動を開始する際に使用する当否抽選テーブル等を使って事前に抽選した結果を送信するものであってもよい。
特別図柄抽選処理手段140は、特別図柄当否判定手段141、特別図柄停止図柄判定手段142及び特別図柄変動パターン判定手段143を含む。特別図柄抽選処理手段140は、特別図柄の変動開始条件が成立すると、メイン情報記憶手段180における特別図柄保留格納領域の最先の記憶領域(保留1記憶領域)に格納された特別図柄当り乱数値、特別図柄当り図柄乱数値、特別図柄変動パターン乱数値を読み出し、これをメイン情報記憶手段180の特別図柄当否判定領域、特別図柄判定領域及び特別図柄変動パターン判定領域にそれぞれ格納する。ここで、「特別図柄の変動開始条件が成立する」とは、例えば本実施形態のように第2特別図柄の優先制御を採用する場合には、(1)大当り又は小当り中ではないこと、(2)第1特別図柄及び第2特別図柄のいずれも変動待機中であること、(3)第1特別図柄及び第2特別図柄の少なくとも一方に作動保留球が存在すること、の全ての条件を満足することをいう。それら全ての条件を満足すると、特別図柄が変動開始可能な状態であると判断される。
特別図柄当否判定手段141は、メイン情報記憶手段180の特別図柄当否判定領域から特別図柄当り乱数値を読み出して当否判定を実行し、当該判定結果が大当り、小当り及びはずれのいずれに該当するかを決定する。この当否判定の結果は、メイン情報記憶手段180の特別図柄判定フラグに一時的に記憶され(例えば、大当りデータ(例えば「55H」)、小当りデータ(例えば「33H」)、及びはずれデータ(例えば「00H」)、以降の処理で使用された後、特別図柄の変動停止時にクリアされる。特別図柄当否判定手段141は、この当否判定の際に、特別図柄当否抽選テーブルを参照する。なお、上記各データの後に示す「H」は、「Hexadecimal(16進数)」の頭文字であり、データが16進数であらわされていることを意味している。例えば、「55H」であれば、1バイトデータとして「01010101B(「B」は2進数)」であることを示している。特に10進数表記する場合は、記号を付加しないか、あるいは「D」を付して説明するものとする。
図44(A)は、いわゆる低確率状態としての通常状態において参照される特別図柄当否抽選テーブルの一例を示す図であり、図44(B)は、いわゆる高確率状態としての確変状態において参照される特別図柄当否抽選テーブルの一例を示す図である。
この特別図柄当否抽選テーブルでは、特別図柄当り乱数値と、大当り、小当り及びはずれの判定結果とが対応付けられている。このように対応付けられた乱数範囲に応じて大当り及び小当りの当選確率が定まる。これら図44(A)及び図44(B)からも分かるように、特別図柄遊技の当否抽選において、通常状態(低確率状態)では乱数値が「0〜219」の範囲に該当したときのみ大当りとなる。一方、確変状態(高確率状態)では大当りの範囲が拡大されており、乱数値が「0〜219」の範囲に該当する場合だけでなく、「220〜2184」の範囲に該当する場合にも大当りとなる。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、大当りの抽選確率が低確率状態(約1/300)から高確率状態(約1/30)に変動する。
このように大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化するが、第1特別図柄の当否抽選と第2特別図柄の当否抽選とで大当りの当選確率は等しい。ここで、特別図柄当り乱数値が大当りの範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当する場合には小当りとなる。本実施形態では、第1特別図柄の当否抽選のみ小当りが存在するように構成しているが、例えば、第2特別図柄の当否抽選にも小当りを用意して、第2特別図柄の当否抽選の方が第1特別図柄の当否抽選よりも高い確率で小当りとなるように構成したり、第2特別図柄の当否抽選のみに小当りを用意したりするものであってもよい。
なお、前述したように、本実施形態に係るパチンコ機1は、複数段階の設定値によって遊技の遊技者に対する有利度合いを変更する設定変更機能を備えることができる。このようなパチンコ機1において設定変更を行うと、設定(設定値)に応じて大当りとなる乱数値範囲が変更される。したがって、設定値に応じて大当り範囲が異なる特別図柄当否抽選テーブルが用意される。但し、パチンコ機1では、低確率状態における大当り抽選確率と高確率状態における大当り抽選確率との比率は、設定値によらず一定とされる。具体的には例えば、設定値が「1」であるときの大当り抽選確率について、低確率状態が1/300かつ高確率状態が1/30(低確率状態の10倍)であるとすれば、設定値が「6」であるときの大当り抽選確率は、低確率状態が1/250であるとき、高確率状態が1/25(低確率状態の10倍)となる。
特別図柄停止図柄判定手段142は、第1特別図柄又は第2特別図柄の当否抽選の結果に基づいて、第1特別図柄又は第2特別図柄の停止図柄、及び当該停止図柄の属する図柄群を決定する。特別図柄停止図柄判定手段142は、当否抽選の結果が大当りである場合に、第1特別図柄及び第2特別図柄の停止図柄及び図柄群を決定する際に参照される第1特別図柄当り図柄テーブル及び第2特別図柄当り図柄テーブルを有する。
第1特別図柄当り図柄テーブルには、図45(A)に示すように、特別図柄当り図柄乱数値に対して、停止図柄、図柄群、大当りの内容(特別図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能の作動回数、大入賞口64の作動パターン)がそれぞれ対応付けられている。なお、括弧内の数値「100」は、特別図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能の作動回数、すなわち、ST回数を意味する。このテーブルでは、第1特別図柄の停止図柄「1」〜「8」が、大当りの種別に応じて、2種類の図柄群A,Bに分類されている。なお、本実施形態においては、当否抽選がはずれ、小当りである場合の当り図柄テーブルを示していないが、はずれや小当りが全て単一動作である場合には、当り図柄テーブルを使用することなく、一義的にはずれ図柄、小当り図柄を決定するものとし、はずれや小当りに種類を持たせて、変動パターンを変更させたり、特別電動役物の制御態様を変更させたりしたい場合には、はずれ、小当りの場合にも当り図柄テーブルを使用して図柄を決定するものであってもよい。
具体的には、図柄「1」,「2」,「3」,「4」には、図柄群A(10R特定時短有図柄)が、図柄「5」,「6」には、図柄群B(5R特定時短有図柄)が、図柄「7」,「8」には、図柄群C(2R特定時短有図柄)がそれぞれ対応付けられている。なお、本実施形態において、「特定図柄」とは、特別遊技の終了後に確率変動機能を作動させることとなる図柄である一方、「通常図柄」とは、特別遊技の終了後に確率変動機能を作動させることのない図柄である(後述する第2特別図柄についても同様である)。
図柄群A,Bは、特別遊技の終了後の遊技状態を確変状態(高確率状態)に移行させる、いわゆる「確変当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、或いは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間において限定して、特別図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能並びに電チューサポート機能が付与される。図柄群Aについては、特別遊技の規定ラウンド数は10ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口64の最大開放時間は約30秒である。一方、図柄群Bについては、特別遊技の規定ラウンド数は5ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口64の最大開放時間は約30秒である。
図柄群Cは、上記の「確変当り」と比較して大入賞口64の開放回数及び開放時間が異なるものの、特別遊技終了後の遊技状態を特別図柄の確変状態(高確率状態)に移行させる、いわゆる「突然確変当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、或いは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間に限定して、特別図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに電チューサポート機能が付与されることになる。特別遊技の規定ラウンド数は2ラウンドであり、1回のラウンド遊技における大入賞口64の最大開放時間は、約1.8秒である。
一方、当否抽選の結果が小当りである場合には、上記特別図柄当り乱数による図柄判定を省略して、停止図柄として図柄「9」が一義的に割り当てられる。この図柄「9」には、図柄群F(特電作動図柄1)が対応付けられている。なお、小当りの場合には、遊技状態(確率変動機能、変動時間短縮機能、電チューサポート機能)及び変動パターン選択状態の変更の契機とはならず、当否抽選の前後で当該遊技状態が維持される。当否抽選の結果がはずれの場合には、停止図柄として図柄「0」が一義的に割り当てられる。
一方、前述した第2特別図柄当り図柄テーブルには、図45(B)に示すように、特別図柄当り図柄乱数値に対して、停止図柄、図柄群、大当りの内容(特別図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能の作動回数、特別電動役物642の作動パターンがそれぞれ対応付けられている。この第2特別図柄当り図柄テーブルでは、第2特別図柄の停止図柄「11」〜「18」が、大当りの種別に応じて、2種類の図柄群D,Eに分類されている。具体的には、図柄「11」,「12」,「13」,「14」には、図柄群D(10R特定時短有図柄)が、図柄「15」,「16」,「17」,「18」には、図柄群E(5R特定時短有図柄)がそれぞれ対応付けられている。
図柄群D,Eは、特別遊技の終了後の遊技状態を確変状態(高確率状態)に移行させる、いわゆる「確変当り」を示す特定図柄であり、特別図柄の変動回数がST回数内で大当りを発生させることなく終了するまでの間、或いは、ST回数内で次回の大当りが発生するまでの間に限定して、特別図柄の確率変動機能、変動時間短縮機能及び電チューサポート機能が付与されうる。図柄群Dについては、特別遊技の規定ラウンド数は10ラウンドで、1回のラウンド遊技における大入賞口64の最大開放時間は約30秒である。図柄群Eについては、特別遊技の規定ラウンド数は5ラウンドであり、1回のラウンド遊技における大入賞口64の最大開放時間は、約30秒である。
一方、当否抽選の結果が小当りである場合には、上記特別図柄当り乱数による図柄判定を省略して、停止図柄として図柄「19」が一義的に割り当てられる。この図柄「19」には、図柄群G(特電作動図柄2)が対応付けられている。なお、小当りの場合には、遊技状態(確率変動機能、変動時間短縮機能、電チューサポート機能)及び変動パターン選択状態の変更の契機とはならず、当否抽選の前後で当選結果がはずれである場合と同様に確率変動機能等の遊技状態の終了条件を満たしていないかを判定し、終了条件を満たしていない場合において、小当りと判定された際の遊技状態が維持される。当否抽選の結果がはずれの場合には、停止図柄として図柄「0」が一義的に割り当てられる。
上述したように本実施形態では、大当り種別として、10R大当り(10R特定時短有図柄)、5R大当り(5R特定時短有図柄)及び2R大当り(2R特定時短有図柄)の3種類が用意されている。特別遊技における賞球獲得の期待値(賞球獲得期待値)は、10R大当り>5R大当り>2R大当りの順となっている。そこで、以下では、10R大当りを、賞球獲得期待値の最も高い「高利益大当り」とも称し、2R大当りを、賞球獲得期待値の最も低い「低利益大当り」とも称する。なお、同一の実行ラウンド数でも、長開放ラウンド遊技(30秒)と短開放ラウンド遊技(1.8秒)とが混在するような場合には、長開放ラウンド遊技が多く存在する大当りが「高利益大当り」となる。
具体的には、特別遊技に実行ラウンド数を10ラウンドに統一するなど、共通の実行ラウンド数を有するものの、所定ラウンドにてラウンド遊技の態様が異なるように変化する特別遊技を含めてもよく、その場合には、大入賞口64の開放時間が相対的に短い短開放ラウンド遊技のみからなる種類の特別遊技と、所定回数の実行ラウンド以降において大入賞口64の開放時間が相対的に長い長開放ラウンド遊技に切り替わる種類の特別遊技とを含めてもよく、後者が「高利益大当り」を構成する。同一の実行ラウンド数の大当りでも、大入賞口開放パターンの差異によって実質的な利益、すなわち、賞球獲得期待値が異なるように構成してもよい。
ここで、前述した説明からも分かるように、第1特別図柄の当否抽選で大当りになった場合には、50%の確率で10R大当りが選択されるのに対して、第2特別図柄の当否抽選で大当りになった場合には、75%の確率で10R大当りが選択される。これにより、遊技球を第1始動口61に入球するよりも第2始動口62に入球した方が、より多くの出玉を獲得できる可能性が高い点で遊技者にとって有利である。なお、カウント数(規定カウント数)とは、ラウンド遊技における大入賞口64への遊技球の最大入球可能数である。
図42に示す特別図柄変動パターン判定手段143は、特別図柄変動パターン乱数値に基づき、特別図柄の変動パターンを決定する。ここで、特別図柄変動パターン判定手段143は、後述する図46及び図47に例示するような、特別図柄の変動パターンを選択する際に参照される複数種の変動パターンテーブルを有する。特別図柄変動パターン判定手段143は、現在の変動パターン選択状態と当否抽選の結果とに基づき、これら複数種の変動パターンテーブルの中からいずれかの変動パターンテーブルを選択する。なお、変動パターン選択状態と変動パターンテーブルとの関係については後述する。各変動パターンテーブルには、複数種の変動パターンが規定されている。なお、各図中では、説明を分かり易くするため、「選択率」を表記しているが、実際には特別図柄変動パターン乱数値に応じて、変動パターンを決定するための判定値(乱数値の範囲)が設定されており、変動パターン乱数値がいずれの判定値に属するかに基づき、変動パターンが決定される。各種の変動パターンは、その図柄変動の終了条件として当該変動パターンごとに変動時間が定められており、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。なお、本実施形態では、説明の便宜上、複数種の変動パターンのみを例に挙げて説明するが、実際にはさらに多数の変動パターンが存在する。
図46は、大当り・小当り用の変動パターンテーブルの一例を示す図である。上段の(A1)は通常変動パターンテーブルであり、中段の(A2)は確変変動パターンテーブルであり、下段の(A3)は特殊変動パターンテーブルである。本実施形態では、変動パターン選択状態に応じて、または同じ変動パターン選択状態であっても大当り種別に応じて、選択される変動パターンが異なるように設定されている。
通常変動パターンテーブル(A1)では、大当り種別が10R大当りである場合に、変動パターンPX2(ノーマルリーチA)又は変動パターンPX3(スーパーリーチA)が選択されており、5R大当りである場合に、変動パターンPY2(ノーマルリーチA)又は変動パターンPY3(スーパーリーチA)が選択される。一方、2R大当り又は小当りである場合には、変動パターンPZ2(ノーマルリーチA)若しくは変動パターンPZ4(スーパーリーチD)が選択される。この大当り・小当り用の通常変動パターンテーブルでは、非リーチ態様の変動パターンが選択されることはなく、通常状態で大当り又は小当りになった場合には、リーチ態様の変動パターンのみが選択され得る。
確変変動パターンテーブル(A2)では、大当り種別が10R大当り又は5R大当りである場合に、変動パターンPX7(スーパーリーチB)のみが選択される。一方、2R大当り又は小当りである場合には、変動パターンPZ6(ノーマルリーチB)、変動パターンPZ8(スーパーリーチD)のいずれかが選択される。この大当り・小当り用の確変変動パターンテーブルでは、非リーチ態様の変動パターンが選択されることはなく、特別図柄の確変状態で大当り又は小当りになった場合には、リーチ態様の変動パターンのみが選択され得る。
特殊変動パターンテーブル(A3)では、大当り種別が10R大当りである場合に、変動パターンPX9(非リーチC)のみが選択されており、5R大当りである場合に、変動パターンPY10(スーパーリーチC)のみが選択される。一方、2R大当り又は小当りである場合には、変動パターンPZ10(スーパーリーチC)のみが選択される。ここで、非リーチC態様の変動パターンPX9は超短縮の変動時間(2秒)として構成される一方、スーパーリーチC態様の変動パターンPY10,PZ10は相対的に長い変動時間(120秒)として構成される。
図47は、はずれ用の変動パターンテーブルの一例を示す図である。上段の(B1)は通常変動パターンテーブル、中段の(B2)は確変変動パターンテーブル、下段の(B3)は特殊変動パターンテーブルである。本実施形態では、変動パターン選択状態、及び特別図柄の作動保留球数に応じて、選択される変動パターンが異なるように設定されている。
通常変動パターンテーブル(B1)は、第1特別図柄の変動パターンを選択することを想定している(通常遊技状態においては、第1特別図柄の変動が主体となるため)。通常変動パターンテーブル(B1)では、非リーチAに対応する変動パターンPH1−1,PH1−2,PH1−3、非リーチBに対応する変動パターンPH1−4,PH1−5、ノーマルリーチA(NリーチA)に対応するPH2、スーパーリーチA(SPリーチA)に対応するPH3、またはスーパーリーチD(SPリーチD)に対応するPH4のいずれかが選択される。通常変動パターンテーブル(B1)において、非リーチAの変動は先読みの対象外とし、非リーチA以外の変動は先読み対象とする。
なお、通常変動パターンテーブル(B1)において、非リーチBに対応する変動パターンPH1−4,PH1−5は、保留数によって選択率を変えてもよい。また、リーチ領域(NリーチA,SPリーチA,SPリーチD)に対応する変動パターンは、基本的に保留数に応じて選択率を変えないようにしている。但し、NリーチAのように、低期待度のリーチ種別の場合は、保留数に応じて選択率を変更してもよい。例えば、保留数が少ない場合に、非リーチAや非リーチBの選択率を下げてNリーチAの選択率を高めることにより、変動時間が長くなるため、変動表示が行われない状況を回避する効果が得られ、興趣低下を抑制することができる。
確変変動パターンテーブル(B2)は、第2特別図柄の変動パターンを選択することを想定している(確率変動状態においては、第2特別図柄の変動が主体となるため)。確変変動パターンテーブル(B2)では、非リーチBに対応する変動パターンPH5−1,PH5−2、ノーマルリーチB(NリーチB)に対応するPH6、スーパーリーチB(SPリーチB)に対応するPH7、またはスーパーリーチD(SPリーチD)に対応するPH8のいずれかが選択される。確変変動パターンテーブル(B2)において、非リーチBの変動は先読みの対象外とし、非リーチB以外の変動は先読み対象とする。
特殊変動パターンテーブル(B3)では、非リーチCに対応する変動パターンPH9のみが選択される。ここで、非リーチC態様の変動パターンPH9は、超短縮の変動時間(2秒)として構成される。特殊変動パターンテーブル(B3)では全てを先読みの対象外としている。
なお、図47に例示したように、当否抽選の結果がはずれとなったときは、特別図柄の作動保留球数(0〜4)に応じて異なる変動パターンテーブルが選択されるように設定することができる。つまり、特別図柄の作動保留球数に応じた変動パターンテーブルを用いることで、作動保留球数が多いほど相対的に短い変動時間が選択される割合を高くして、逆に作動保留数が少ないほど相対的に長い変動時間が選択される割合を高くすることができる。また、変動パターンテーブルとして、特別図柄の種類別に分けることも可能である。例えば、確率変動状態などの電チューサポート機能が作動している状態においては、第2特別図柄の変動表示が容易な状態であり、図45にも示したように第2特別図柄の大当りの方が有利となる場合には、第1特別図柄の変動時間を長時間とすることで、優先して変動制御されることになる第2特別図柄の保留を溜めさせるための時間を創出させることができる。
例えば、図47の場合、第2特別図柄の変動パターンを選択することを想定している確変変動パターンテーブル(B2)において、非リーチB全体(変動パターンPH5−1,PH5−2)の選択率は、保留数に拘わらず一定の750/1000である。しかし、保留数による変動パターンPH5−1,PH5−2の振分をみると、保留が溜まっている状況(「保留数2→1」、「保留数3→2」、「保留数4→3」)では、変動時間が短い変動パターンPH5−1(5秒)が選ばれやすいのに対し、保留が溜まっていない状況(「保留数1→0」)では、変動時間が長い変動パターンPH5−2(10秒)が選ばれやすい。このように振分によれば、第2特別図柄が優先消化される確変状態において第2特別図柄の保留が少なくなった場合に、長めの変動時間が選ばれやすくなるため、第2特別図柄の保留追加に期待し易くなり、第2特別図柄の全保留が消化されて第1特別図柄の保留消化が開始されるといった不利な状況を抑制することができる。
特別図柄変動パターン判定手段143は、特別図柄の変動パターンを選択した後、演出制御基板200に対して装飾図柄の変動開始を指示するため、特別図柄の変動パターン情報を含む演出制御コマンド(「変動パターン指定コマンド」と称する)、特別図柄(図柄群)及び遊技状態の情報を含む演出制御コマンド(「図柄指定コマンド」と称する)、変動開始後の保留数の情報を含む演出コマンド(「図柄記憶数コマンド」)などを生成して(以降、これらの演出制御コマンドを纏めて「変動開始コマンド」と称する)、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
普通図柄抽選処理手段145は、普通図柄当否判定手段146と、普通図柄停止図柄判定手段147と、普通図柄変動パターン判定手段148と、を有する。普通図柄抽選処理手段145は、普通図柄の変動開始条件が充足したとき、普通図柄保留格納領域における最先の記憶領域に格納された普通図柄当り乱数値、普通図柄変動パターン乱数値を読み出して、メイン情報記憶手段180の普通図柄当否判定領域、普通図柄変動パターン判定領域にそれぞれ格納する。
普通図柄当否判定手段146は、メイン情報記憶手段180の普通図柄当否判定領域から普通図柄当り乱数値を読み出して当否判定を実行し、当該判定結果が、当り及びはずれのいずれに該当するかを決定する。この当否抽選の結果は、メイン情報記憶手段180の普通図柄判定フラグとして一時的に記憶されており、以降の処理で使用された後、普通図柄の変動停止時にクリアされる。普通図柄当否判定手段146は、この当否抽選の際に参照される普通図柄当否抽選テーブルを保持している。この普通図柄当否判定手段146は、通常状態(低確率状態)においては、例えば「160/283」の確率で当りとなる普通図柄当否抽選テーブルを参照する一方、普通図柄の確変状態(高確率状態)においては、例えば「282/283」の確率で当りとなる普通図柄当否抽選テーブルを参照することにより、普通図柄の当否抽選を実行する。
本実施形態では、普通図柄停止図柄判定手段147は、図柄抽選テーブルを参照して、当否抽選の結果が当りである場合には所定の当り図柄を選択する一方、はずれである場合には所定のはずれ図柄を選択する。なお、普通電動役物の制御パターンを複数有したい場合においては、普通図柄の図柄抽選テーブルの抽選結果を複数有するように設計すればよい。また、当選した普通図柄が同一であっても、遊技状態が普通電動役物の開放延長機能の作動中であるか否かで、普通電動役物の制御パターンを異ならせることもできる。
普通図柄変動パターン判定手段148は、メイン情報記憶手段180の普通図柄変動パターン判定領域から普通図柄変動パターン乱数値を読み出すとともに、普通図柄変動パターンテーブルを参照して、通常状態における普通図柄の変動表示においては、相対的に長い変動時間を選択する(例えば「4秒・5秒・6秒・7秒・8秒・9秒・10秒」の7種類をそれぞれ均一的に選択する)。一方、普通図柄の時短状態(入球容易状態)では相対的に短い変動時間(例えば「0.5秒」)を選択する。
特別遊技制御手段150は、当否抽選の結果が大当りである場合、前記決定された大当りの種別に応じて、特別遊技中に演出表示装置70などに表示される開始デモ演出及び終了デモ演出に係るデモ演出時間を決定する。特別遊技制御手段150は、演出制御基板200側に対して、開始デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「大当り開始デモコマンド」と称する)と、終了デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「大当り終了デモコマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。なお、大当り開始デモコマンドは、演出制御基板200側において、特別遊技中に展開される一連の大当り演出(開始デモ演出、ラウンド演出、終了デモ演出)の内容を決定するための契機ともなる。なお、本実施形態に限らず、特別遊技制御手段150において決定されるデモ演出時間は、大当り種別以外にも大当りとなった際の遊技状態を基準として決定することも可能である。
特別遊技制御手段150は、特別遊技中の各ラウンド遊技において、各ラウンド遊技に対応したラウンド演出の開始を指示するための演出制御コマンド(「ラウンド演出指定コマンド」と称する)を生成すると、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。このラウンド演出指定コマンドには、ラウンドの開始時に送信される現在のラウンド数の情報を含んだラウンド開始コマンド、及びラウンド遊技中に大入賞口スイッチ164の検出に基づく入賞演出を実行させるための大入賞口有効入賞コマンドが含まれている。
特別遊技制御手段150は、当否抽選の結果が小当りの場合、小当り遊技中に演出表示装置70などに表示される小当り開始デモ演出及び小当り終了デモ演出に係るデモ演出時間を決定する。特別遊技制御手段150は、小当り開始デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「小当り開始デモコマンド」)と、小当り終了デモ演出の実行を指示する演出制御コマンド(「小当り終了デモコマンド」)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。
図柄表示制御手段155は、特別図柄表示制御手段156及び普通図柄表示制御手段157を含む。特別図柄表示制御手段156は、第1特別図柄の変動パターン(変動時間)に従って、第1特別図柄を第1特別図柄表示装置171に変動表示させるとともに、この変動表示が終了した後に第1特別図柄を確定表示させる。特別図柄表示制御手段156は、第2特別図柄の変動パターン(変動時間)に従って、第2特別図柄を第2特別図柄表示装置172に変動表示させるとともに、該変動表示後に第2特別図柄を確定表示させる。特別図柄表示制御手段156は、第1特別図柄及び第2特別図柄の表示に係る時間(変動時間、確定表示時間)を管理するための特別図柄遊技タイマを有する。第1特別図柄表示装置171及び第2特別図柄表示装置172の動作状態は、メイン情報記憶手段180の特別図柄遊技ステータスに基づき監視される。特別図柄表示制御手段156は、特別図柄の変動停止の際に(すなわち、特別図柄遊技タイマが変動時間を管理しているときであって、その値が「0」となるタイミングで)、演出制御基板200に対して装飾図柄の確定表示を要求するための演出制御コマンド(「変動停止コマンド」と称する)を生成する。
一方、普通図柄表示制御手段157は、普通図柄の変動パターン(変動時間)に従って、普通図柄を普通図柄表示装置175に変動表示させるとともに、該変動表示後に普通図柄を確定表示させる。普通図柄表示制御手段157は、普通図柄の表示に係る時間(変動時間、確定表示時間)を管理するための普通図柄遊技タイマを有している。普通図柄表示装置175の動作状態は、メイン情報記憶手段180の普通図柄遊技ステータスに基づき監視される。
電動役物制御手段160は、特別図柄の当否抽選の結果が大当りとなった場合、特別図柄の確定表示後に、特別遊技処理として、特別電動役物ソレノイド124に制御信号を出力し、特別電動役物642を所定の作動パターンに従って開放させる。特別遊技は、特別電動役物642の1回の開閉動作を1回のラウンド遊技とし、当該ラウンド遊技を規定ラウンド数(本実施形態では、10R,5R,2R)だけ連続して実行する。電動役物制御手段160は、特別電動役物642の作動回数(すなわち、実行中のラウンド数)を格納するための大入賞口開放カウンタを保持する。ここで、大当り種別がいわゆる10R大当り(図柄群A,D)又は5R大当り(図柄群B,E)である場合には、1回のラウンド遊技において大入賞口64を最大で約30秒間開放させる。一方、大当り種別がいわゆる2R大当り(図柄群C)である場合には、1回のラウンド遊技において大入賞口64を最大で約1.8秒間開放させる。ここで、特別遊技における大入賞口64の閉鎖条件(ラウンド遊技の終了条件)とは、規定カウント数の遊技球の入賞又は規定秒数の開放可能期間の経過である。
電動役物制御手段160は、特別図柄の当否抽選の結果が小当りとなった場合、特別図柄の確定表示後に、小当り遊技処理として、特別電動役物ソレノイド124に制御信号を出力し、特別電動役物642を短期間だけ開放させる。小当り遊技は1回のラウンド遊技で構成される特別遊技であり、複数回のラウンド遊技で構成される特別遊技の大当り遊技とは区別される。特に、小当り遊技、大当り遊技はともに特別電動役物642の作動に基づいて出玉の獲得が容易な遊技である特別遊技であるが、特別電動役物642の連続作動を可能とするための役物連続作動装置が動作しているか否かで切り分けられるものである。
電動役物制御手段160は、普通図柄の当否抽選に当選した場合、普通電動役物ソレノイド123に制御信号を出力して、所定の開放時間だけ普通電動役物622を開放させる。ここで、電動役物制御手段160は、通常状態では普通電動役物622を極短時間(例えば0.2秒間)だけ開放させるのに対し、入球容易状態(電チューサポート状態)では普通電動役物622を通常状態と比較して相対的に長い時間(例えば4秒間)に亘り開放させる。
遊技状態制御手段169は、特別図柄の当否抽選の結果が大当りである場合に、当該大当りに係る図柄群の種類に基づき、特別遊技の終了後の遊技状態を決定するとともに、特別遊技の終了後の遊技状態を切り替える。以下では、前述した特別図柄及び普通図柄に関する諸機能のうち、1)特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能及び電チューサポート機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、2)特別図柄の変動時間短縮機能及び電チューサポート機能のみが作動する遊技状態を「時短状態」と称し、3)特別図柄の確率変動機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態」と称し、4)全ての機能が作動していない状態を「通常状態」と称する。なお、「確変状態」、「時短状態」、「潜伏確変状態」は、いずれも「通常状態」と比べて、遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
以下では、各遊技状態を、特別図柄遊技の作動状態(高確率/低確率)と普通図柄遊技の作動状態(電チューサポート機能作動あり/電チューサポート機能作動なし)との組み合わせにより、(1)確変状態を「高確率/高ベース」、(2)時短状態を「低確率/高ベース」、(3)潜伏確変状態を「高確率/低ベース」、(4)通常状態を「低確率/低ベース」、と呼称することもある(「ベース」は発射球数あたりの賞球数を指すものであり、電チューサポート機能作動中は、普通電動役物の作動により賞球獲得可能性が高い「高ベース」と称する)。本実施形態では、一例として、特別遊技の終了後の遊技状態は、特別図柄の変動回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終期回数(すなわち前述のST回数)に到達するまでの間に亘って確変状態が継続する(但し、ST回数内で次回の大当りが発生した場合には当該変動にて確変状態は終了し、大当り遊技の終了時に再度大当り種別、大当り図柄に基づいて対応する遊技状態へ移行する)。なお、ST期間中に小当りとなった場合には、ST回数が0リセットされることはなく、小当り発生の前後でST回数は継続してカウントされている。本実施形態では、ST回数は一例として100回に設定されているが、他の回数に設定されてもよい。なお、確変状態へ移行した場合は、特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能及び電チューサポート機能が同時に作動し、確変状態が継続する限り各機能も継続することになる。
特別図柄の当否抽選の結果が大当りである場合には、当該大当り前の遊技状態が通常状態及び確変状態のいずれであっても、特別遊技中は通常状態でありかつ特別遊技後はST回数を限度として一律に確変状態となる。一方、特別図柄の当否抽選の結果が小当りである場合には、当該小当り前の遊技状態が通常状態であった場合、小当り遊技中及び小当り遊技後の遊技状態も通常状態となる。当該小当り前の遊技状態が特別図柄の確変状態であった場合には、小当り遊技中及び小当り遊技後の遊技状態も特別図柄の確変状態となる。
遊技状態制御手段169は、当否抽選の結果が大当りである場合に、当該大当りの種別(図柄群A〜Eの種類)に基づき、特別遊技後の変動パターン選択状態を決定するとともに、特別遊技後の変動パターン選択状態を切り替える。変動パターン選択状態とは、前述の変動パターンテーブルを選択する際に参照される条件の一つである。変動パターン選択状態の切り替え時期は、特別遊技の終了時又は変動パターン選択状態の終期回数を満了したときである。本実施形態では、変動パターン選択状態として、「低確率通常変動状態α」、「高確率短縮変動状態β」、「高確率特殊変動状態γ」などの3種類が存在する。ここで、低確率通常変動状態αとは、遊技状態が通常状態(低確率状態)のときに選択される通常変動パターンテーブル(図46のA1及び図47のB1)を参照して特別図柄の変動パターンを決定する状態である。高確率短縮変動状態βとは、遊技状態が特別図柄の確変状態(後述の限定期間を除く)のときに選択される確変変動パターンテーブル(図46のA2及び図47のB2)を参照して特別図柄の変動パターンを決定する状態である。高確率特殊変動状態γとは、遊技状態が特別図柄の確変状態であって特別遊技の終了直後の一定期間(第2特別図柄の作動保留球の最大数(4個)に対応した図柄変動回数(4回)の変動表示に亘る期間:「限定期間」と称する)のみ選択が許容される特殊変動パターンテーブル(図46のA3及び図47のB3)を参照して特別図柄の変動パターンを決定する状態である。本実施形態では、図柄群A〜Dのいずれが選択された場合でも、変動パターン選択状態は、(1)特別遊技の終了直後、図柄変動回数4回の限定期間のみ高確率特殊変動状態γに滞在し、(2)限定期間の終了後、かつ、その実行回数がST回数(100回)内にあるときは高確率短縮変動状態βに滞在し、(3)ST回数の終了後、すなわち、実行回数として101回目以降は低確率通常変動状態αに滞在する。無論、初当たりが発生するまでの期間は、低確率通常変動状態αに滞在することになる。なお、遊技状態制御手段169は、現在の遊技状態情報及び変動パターン選択状態情報を含む演出制御コマンド(「遊技状態指定コマンド」と称する)を生成して、これをメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納する。また、本実施形態に限らず、特殊変動状態γを複数有して、1回の変動時間短縮遊技状態の期間の異なるタイミングで、異なる特殊変動状態を参照可能とするものであってもよい(例えば、大当り終了後の4回に特殊変動状態γ1に滞在し、さらに短縮変動状態βに95回滞在したのち1回の特別図柄遊技で滞在する特殊変動状態γ2を設けるなど)。
エラー監視制御手段170は、I/Oポート回路104の入力情報を監視し、磁気センサによる磁気検知信号、断線短絡電源異常信号、電波センサによる電波検知信号、扉・枠開放信号などを検査して、遊技機がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態である場合には、演出制御基板200にエラー状態演出を指示すべく、当該エラー情報を含む演出制御コマンド(「エラー演出指定コマンド」)を要求する。なお、図41において全ては図示しないが、扉開放スイッチはガラス枠3が開放されているか否かを検出する検出手段であり、枠開放スイッチ(ドア開センサ2p)は前枠4が開放されているか否かを検出する検出手段であり、裏セット開放スイッチは裏セット盤が開放されているか否かを検出する検出手段である。磁気センサ及び電波センサは不正行為(いわゆるゴト行為)を発見するための検出手段である。
メイン情報記憶手段180は、特別図柄遊技及び普通図柄遊技にて取得した乱数値情報、特別図柄及び普通図柄の作動保留球情報、特別図柄遊技及び普通図柄遊技に関する遊技状態(確変状態、時短状態、入球容易状態)の情報、変動パターン選択状態に関する情報、当否抽選の結果情報(大当り、小当り、はずれ)、特別図柄や普通図柄に係る停止図柄及び変動パターンの情報、特別遊技に関する情報(ラウンド数、開放時間、開放態様(1ラウンド遊技あたりの開放回数)など)、特別図柄表示装置171,172の動作状態を示すステータス情報、特別電動役物642の動作状態を示すステータス情報、演出制御コマンドデータの情報など遊技の進行の制御に必要な情報を一時的に記憶するように構成されており、各情報を記憶するための所定の記憶領域を備えている。
コマンド送受信手段190は、コマンド送信要求があった場合に、メイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納された各種の演出制御コマンドデータをパラレル伝送方式にて演出制御基板200に送信するように構成されている。なお、各演出制御コマンドは、1バイトのMODEデータと、1バイトのEVENTデータとを含んだ2バイト構成となっており、MODEデータとEVENTデータを区別するために、MODEデータの第7ビットは「1」、EVENTデータの第7ビットは「0」としている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、MODEデータ及びEVENTデータの各々に対してストローブ信号が出力される。
演出制御基板200は、このように出力されたストローブ信号を受け取ったことを契機として、MODEデータ及びEVENTデータをそれぞれ受け取ることができる。各処理で発生した演出制御コマンドは、原則として、メイン情報記憶手段180のコマンド格納領域にセットされた順番に従って、割込み周期毎に1コマンドずつMODEデータ及びEVENTデータそれぞれ送信される。
設定変更手段195は、遊技設定を変更するための「設定変更処理」を実行する。設定変更手段195は、前枠4が開放状態(ドア開センサ2pがドア開を検知)で、設定キースイッチ100qがオン状態のときに、RAMクリアスイッチ400qを押しながら電源スイッチ600qがオンにされた場合に、上述した設定変更状態に移行させる。
設定変更手段195は、設定変更状態に移行された場合、設定メモリ(例えば、主制御RAM103が提供するRAM記憶領域の一部)に記憶される設定値を設定表示部197に表示させる。設定表示部197は、例えば主制御基板100上に設けられた7セグメント表示器によって設定値を表示する。このとき、設定変更手段195は、所定の設定変更ボタンの押下に応じて、設定表示部197に表示される設定値を「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「1」→・・・のように順番に変更し、設定メモリに記憶される設定値を設定表示部197における表示と同じ値に更新する。本例では、設定変更ボタンとしてRAMクリアスイッチ400qを用いるとするが、他のボタンを利用してもよいし、専用のボタンを設けてもよい。そして、設定変更手段195は、設定キースイッチ100qがオフ状態にされた場合に、設定変更状態を終了させ、設定表示部197を消灯させる。
設定確認手段196は、遊技設定を確認するための「設定確認処理」を実行する。設定確認手段196は、前枠4が開放状態(ドア開センサ2pがドア開を検知)で、設定キースイッチ100qがオン状態のときに、RAMクリアスイッチ400qが押されずに電源スイッチ600qがオンにされた場合に、上述した設定確認状態に移行させる。
設定確認手段196は、設定確認状態に移行された場合、設定メモリに記憶される設定値を設定表示部197に表示させる。但し、上述した設定変更手段195とは異なり、設定確認手段196は、設定変更ボタン(例えばRAMクリアスイッチ400q)が押下されたとしても、設定表示部197に表示される設置値を変更せず、また、設定メモリに記憶される設定値も変更しない。そして、設定確認手段196は、設定キースイッチ100qがオフ状態にされた場合に、設定確認状態を終了させ、設定表示部197を消灯させる。
なお、設定メモリで管理する設定値データは「1」〜「6」の数値ではなく、代わりに「0」〜「5」の数値を用いてもよい。この場合、設定値「0」が設定1に対応し、設定値「1」が設定2に対応し、設定値「2」が設定3に対応し、設定値「3」が設定4に対応し、設定値「4」が設定5に対応し、設定値「5」が設定6に対応してもよい。設定値データの正常値として「0」を用いることにより、RAM異常時にRAMクリア処理をして設定値データを初期値「0」にセットしたときに異常判定されなくなるため、異常時のRAMクリア処理を簡易化できる。また、設定値データを利用して何らかの抽選を実行する場合、例えば、先読み処理において設定値毎に異なるテーブルやデータを選択する場合に、その選択のためのオフセット処理を簡略化できるという利点もある。例えば、設定値データとして「1」〜「6」を用いる場合、テーブルやデータ選択のオフセットデータとしてこれらの値をそのまま使用する際には開始アドレスを−1する等の追加処理が必要となる。一方、設定値データとして「0」〜「5」を用いる場合には、設定値データの数値をそのままオフセットデータとして使用できる。なお、設定値データとして「0」〜「5」の数値を用いる場合、設定変更手段195及び設定確認手段196は、設定値データの数値をそのまま設定表示部197に表示させてもよいし、設定値データの数値に+1を加えた数値を設定表示部197に表示させてもよい。後者の場合、「0」〜「5」の数値データが遊技設定における設定1〜設定6の数値に変換されて表示されるため、遊技機の管理者にとって分かりやすい表示とすることができる。
図43は、本実施形態に係る遊技機における演出制御基板200の機能の一例を示す機能ブロック図である。演出制御基板200は、演出抽選乱数発生手段210、演出統括手段220、ランプ演出制御手段230、役物演出制御手段240、エラー演出制御手段250、演出制御情報記憶手段260及びコマンド送受信手段270を含む。なお、演出制御基板200における上述の各手段は、演出制御基板200上に配された演出制御CPU201、演出制御ROM202、演出制御RAM203、電子回路などのハードウェア及び演出制御ROM202に格納された制御プログラムなどのソフトウェアにより構成されるものを機能的に表現したものである。
演出抽選乱数発生手段210は、演出制御CPU201のプログラム処理によって各種のソフトウェア乱数(演出抽選乱数)を生成するための乱数カウンタを備えている。これらの乱数カウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を担っている。このソフトウェア乱数としては、先読み予告演出の実行可否の抽選に使用する先読み予告抽選乱数、先読み予告パターンの選択に使用する先読み予告パターン乱数、装飾図柄の停止図柄の選択に使用する装飾図柄乱数、装飾図柄の変動演出パターンの選択に使用する変動演出パターン乱数、予告演出パターンの選択に使用する予告演出パターン乱数、大当り演出パターンの選択に使用する大当り演出パターン乱数、保留内連荘演出の実行可否の抽選に使用する連荘演出抽選乱数、保留内連荘演出の連荘演出パターンの選択に使用する連荘演出パターン乱数などが含まれる。これらの乱数の更新時期としては、後述の演出制御側メイン処理内でコマンド解析が行われなかった場合の残余時間を利用して更新する。なお、便宜的に各抽選に使用する乱数に名称を付けてはいるが、共通に使用される乱数を有するものであってもよい。
演出統括手段220は、演出モード制御手段221、保留情報表示制御手段222、先読み予告制御手段223、装飾図柄決定手段224、変動演出決定手段225、予告演出決定手段226及び大当り演出決定手段227を含む。
保留情報表示制御手段222は、第1特別図柄の作動保留球数をカウントするための第1保留球数カウンタ、第2特別図柄の作動保留球数をカウントするための第2保留球数カウンタを有している。保留情報表示制御手段222は、主制御基板100からの図柄記憶数コマンドを受信すると、この図柄記憶数コマンドに含まれる作動保留球数の情報に基づき、第1保留球数カウンタ及び第2保留球数カウンタの値を更新する。そして、パチンコ機1が遊技盤に図7等に示した遊技盤5を用いる場合、保留情報表示制御手段222は、第1保留球数カウンタ及び第2保留球数カウンタの値に基づいて、演出表示装置70の保留表示部に、第1特別図柄の作動保留球数に対応する数の保留画像と、第2特別図柄の作動保留球数に対応する数の保留画像とを表示する制御を行う。通常の表示態様では、特別図柄の作動保留球が生じると白色表示の保留画像が表示される一方、次述する保留変化先読み予告演出が実行された場合には、先読み予告の対象となった保留画像が通常の表示態様(表示色)の「白色」から特殊な表示態様(表示色)として「青色」、「緑色」、「赤色」及び「虹色」のうちのいずれかを取り得る。上記4種類の特殊な表示態様は、抽選結果が大当りとなる信頼度(「大当り信頼度」と称する)と関係しており、「青色」、「緑色」、「赤色」、「虹色」の順に1段階ずつ大当り信頼度が高くなるように設定されている。本実施形態では、保留画像が「虹色」に変化した場合には、当該先読み対象の作動保留球において大当りが確定的となる。なお、保留変化先読み予告演出において、保留画像の表示態様の変化を表示色ではなく、形状や模様などで表現してもよい。
先読み予告制御手段223は、主制御基板100から事前判定コマンドを受信したことを契機として、先読み予告の実行可否を抽選にて決定する。先読み予告制御手段223は、第1特別図柄の事前判定結果の情報と第2特別図柄の事前判定結果の情報とを区別して、それぞれ所定の上限個数(4個)まで、作動保留球の入球順序と結合するように演出制御情報記憶手段260の先読み情報格納領域に一時的に記憶する。この先読み情報格納領域は、主制御基板100の保留記憶領域と同様の構成となっており、各始動口61,62への入球順に、保留1記憶領域(1個目の保留記憶領域)、保留2記憶領域(2個目の保留記憶領域)、保留3記憶領域(3個目の保留記憶領域)、保留4記憶領域(4個目の保留記憶領域)がそれぞれ設けられている。各保留記憶領域は、当否事前判定結果の情報、図柄事前判定結果の情報、変動パターン事前判定結果の情報を1組セットとしてそれぞれ記憶可能である。
先読み予告制御手段223は、先読み予告の実行可否を判定するとき、主制御基板100による事前判定結果に基づき、この先読み予告の対象となる作動保留球に対して先読み的な判定(「先読み判定」とも称する)を実行する。本実施形態では、先読み予告には、前述した保留変化先読み予告の他に、装飾図柄の連続的な複数回の変動表示に亘って大当り当選又はリーチ演出発生の可能性を予告するいわゆる連続予告演出を有する。先読み予告演出(連続予告演出)を実行可と判定した場合は、主制御基板100からの事前判定コマンドの情報(事前判定の結果)及び図柄記憶数コマンドの情報(現存する作動保留球数)を解析して、今回の先読み予告演出の発生契機となる作動保留球(「トリガ保留」と称する)を対象として連続的な複数回の変動表示に亘る先読み予告演出パターンが抽選で決定される。なお、先読み予告には、保留変化先読み予告演出、チャンス目先読み予告演出、背景変化先読み予告演出など各種のバリエーションが存在する。また別の種類の先読みとして、大当り遊技中や大当り当選となる変動が実行されている時に大当りとなる作動保留球が存在する可能性を示唆又は報知する保留内連荘演出を有する。
図48は、変動パターン先読み判定テーブルの一例を示す図である。図48に例示した変動パターン先読み判定テーブルは、先読み予告制御手段223による先読み判定で用いられる判定テーブルであって、図47等に示した特別図柄変動パターンテーブルを用いて決定された各変動の変動パターンに基づいて、先読みの種別(A〜D)が選択される。
図48によれば、先読み種別A(非先読み)は、先読みの対象外の変動パターン(図47によれば変動パターンPH1−1,PH1−2,PH1−3,PH5−1,PH5−2)から選択される。先読み種別Aが選択された場合、当該変動を対象とする先読み演出は実行されない。
ここで、図47の通常変動パターンテーブル(B1)において先読み対象外とされる非リーチAの選択率は、変動パターンPH1−1,PH1−2,PH1−3を合計すると、保留数に拘わらず750/1000であり、図48の先読み種別Aの選択率と一致する。すなわち、本例では、通常時(第1特別図柄)に非リーチAの変動パターンが決定された場合、当該変動に対する先読み演出は常に実行されず、先読み判定結果は全てID=0となる。また、図47の通常変動パターンテーブル(B1)では、非リーチAだけが保留数によって変動パターンの選択率が変動するように設定されている。このことから、本例では、保留数に選択率が依存する変動パターンが選ばれる乱数値の範囲においては、先読み判定結果は全てID=0となる、とも言える。
先読み種別B(弱先読み)は、通常時の先読み対象の非リーチ(変動パターンPH1−4,PH1−5)、あるいは、確変時のNリーチ(変動パターンPH6)に決定された変動パターンから選択される。先読み種別Bが選択された場合、当該変動を対象として、低い期待度を有する所定の(あるいは任意の)先読み演出が実行される。
先読み種別C(中先読み)は、通常時のNリーチ(変動パターンPH2)、あるいは、確変時のNリーチBまたはSPリーチB(変動パターンPH6,PH7)に決定された変動パターンから選択される。先読み種別Cが選択された場合、当該変動を対象として、中程度の期待度を有する所定の(あるいは任意の)先読み演出が実行される。
先読み種別D(強先読み)は、通常時のSPリーチ以上(変動パターンPH3,PH4)、あるいは、確変時のSPリーチD(変動パターンPH8)に決定された変動パターンから選択される。先読み種別Dが選択された場合、当該変動を対象として、高い期待度を有する所定の(あるいは任意の)先読み演出が実行される。なお、先読み種別B,C,Dによって期待度の異なる先読み演出が実行されるように構成することは、主制御基板100における先読み判定結果のIDに応じて、先読み演出の抽選テーブルを異ならせることや、同一のテーブルを使用した結果に対して当選した先読み演出よりも上位の先読み演出に変更することによって実行し得る。
なお、上記例では通常時用と確変時用の共通テーブルとして図48の変動パターン先読み判定テーブルを示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、通常時用と確変時用とで異なるテーブルを用意してもよく、また、第1特別図柄用と第2特別図柄用とで異なるテーブルを用意してもよい。
演出モード制御手段221は、主制御基板100からの遊技状態指定コマンドに基づき、主制御基板100側で管理された遊技状態及び変動パターン選択状態との整合性をとるように演出モードの移行制御を実行する。本実施形態では、3種類の演出モードとして、通常演出モードα、確変演出モードβ、特殊演出モードγが含まれており、主制御基板100から指示された特別図柄の変動パターンが同一であっても、演出モード毎に図柄変動演出の具体的内容を特定する変動演出パターン(詳細後述)が異なるように設定されている。演出表示装置70には、現在滞在中の演出モードに対応した演出モード報知画像(本実施形態では、装飾図柄の背面表示となる背景画像)が表示されており、この背景画像は演出モード毎に互いに異なるよう設定されているため、背景画像の種類から、現在滞在中の演出モードがいずれであるかを遊技者が認識し得る。
各演出モードについて概説する。まず、通常演出モードαは、主制御基板100側の変動パターン選択状態として、低確率通常変動状態αが選択されている場合に設定されており、その背景画像として「通常背景」が表示される。確変演出モードβは、主制御基板100側の変動パターン選択状態として、高確率短縮変動状態βが選択されている場合に設定されており、その背景画像として「確変背景」が表示される。特殊演出モードγは、主制御基板100側の変動パターン選択状態として、高確率特殊変動状態γが選択されている場合に設定される。この特殊演出モードは、特別遊技の終了直後の4回に亘る期間(限定期間)を限度として滞在し、この限定期間を超えると、確変演出モードβに遷移する。特別遊技中に保留内連荘演出が発生した場合、背景画像として「特殊背景」を表示する。一方、特別遊技中に保留内連荘演出が発生しなかった場合、すなわち、連続変動演出が実行されていない場合には、背景画像として確変演出モードと共通の「確変背景」を表示する。
装飾図柄決定手段224は、主制御基板100からの変動開始コマンドに含まれる情報(変動パターン情報、キャラクタ演出番号情報)に基づき、装飾図柄の最終的な停止図柄の組み合わせ(左図柄・中図柄・右図柄)を抽選により決定する。本実施形態では、複数種類の装飾図柄を含む3つの図柄列が構成される。この装飾図柄は、例えば、数字又は文字からなる識別要素により形成されている。本実施形態では、識別要素として、「1」〜「9」の数字、「S」の文字などの全10種類が設定されている。各装飾図柄は、図柄列の配列に従って「1」→「2」→「3」→・・・→「8」→「9」→「S」の順序で、左表示領域、中表示領域及び右表示領域においてそれぞれ巡回表示される。
装飾図柄決定手段224は、装飾図柄の停止図柄の組合せ(「停止図柄パターン」ともいう)を抽選で決定する際に参照される複数種の停止図柄パターンテーブルを保持している。この複数種のテーブルとしては、大当り用の停止図柄パターンテーブル、小当り用の停止図柄パターンテーブル、リーチはずれ用の停止図柄パターンテーブル、非リーチはずれ用の停止図柄パターンテーブルなどがある。装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組み合わせとして形成されており、「大当りを示す停止図柄(大当り図柄)」と、「はずれを示す停止図柄(はずれ図柄)」とを含む。特定大当り(確変大当り)を示す大当り図柄は、同一の奇数数字の図柄が3つ揃った停止態様の組合せ(例えば「7・7・7」)となる。通常大当り(非確変大当り)を示す大当り図柄は、同一の偶数数字の図柄が3つ揃った停止態様の組合せ(例えば、「2・2・2」)となる。はずれ図柄は、3つの図柄のうちの少なくとも1つが他の数字と異なる数字の図柄となる停止態様の組合せ(例えば「1・3・8」)となる。ここで、はずれ図柄のうちリーチはずれ図柄は、左図柄と右図柄とが一致している状態で中図柄のみが前後に数コマずれた停止態様の組合せ(例えば「3・1・3」)となる。なお、「小当りを示す停止図柄(小当り図柄)」や、大当り図柄であっても2R大当り図柄などの場合は、例えば「3・5・7」のような所定の停止態様の組み合わせとなる場合がある。なお、本実施形態では、保留内連荘を確定的に報知するための特殊の大当り図柄として「S・S・S」が設けられている。装飾図柄決定手段224は、保留内連荘演出を実行することが決定された場合に、連荘演出パターンPA2が選択されているときは、通常の大当り図柄(「3・3・3」など)を、特殊の大当り図柄(「S・S・S」)に差し替える。
変動演出決定手段225は、主制御基板100からの変動開始コマンドに含まれる情報(変動パターン情報)に基づき、装飾図柄の変動表示における変動開始から停止までの変動過程(演出過程)を規定した変動演出パターンを決定する。本実施形態では、リーチ表示後に行われる図柄変動演出(リーチ演出)として、演出内容が単純なリーチ演出(ノーマルリーチ演出)と、演出内容が途中で発展するリーチ演出(スーパーリーチ演出)とが含まれる。変動演出決定手段225は、変動演出パターンを選択する際に参照される複数種の変動演出パターンテーブルを保持しており、これら複数種の変動演出パターンテーブルの中から特別図柄の変動パターン(変動時間)に対応した変動演出パターンテーブルを選択する。変動演出パターンテーブルでは、特別図柄の変動パターン抽選の結果(すなわち、リーチ種別)に応じて、変動演出パターン乱数値と変動演出パターンとが対応付けられている。ここで、主制御基板100側では変動パターンとして図柄変動の基本パターン(例えば、「ノーマルリーチA」、「スーパーリーチA」など)が定まるのに対して、演出制御基板200側では変動演出パターンとして当該基本パターンを基に演出表示過程のシナリオを詳細に規定した図柄変動の詳細パターン(例えば、「ノーマルリーチA1,A2,A3…」、「スーパーリーチA1,A2,A3…」など)が定まる。このように装飾図柄の変動演出パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち、装飾図柄の変動開始から変動終了までの一連の演出表示過程のシナリオが定義されており、当該表示過程中の各段階において予告演出を発生させるタイミングなどもタイムスケジュールとして規定されている。なお、装飾図柄を停止させるための停止順序は、変動演出パターン毎にあらかじめ定められており、本実施形態では原則として、左図柄→右図柄→中図柄の順に停止させる。但し、変動時間の短い変動演出パターンである場合には、左図柄・中図柄・右図柄をほぼ同時に停止させ、特定の変動演出パターンである場合には、左図柄→中図柄→右図柄の順に停止させることもできる。このとき、上記原則の停止順序(左図柄→右図柄→中図柄)でない場合は、大当り期待度が相対的に高くなる傾向となる。
予告演出決定手段226は、上述した変動演出パターンのシナリオに沿って装飾図柄の変動過程の各段階で実行される予告演出の内容を規定した予告演出パターンを決定する。予告演出パターンには、特定のキャラクタの画像、アニメーションなどを一時的又は段階的に画像表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターン、可動役物を動作させる演出パターンなどが含まれる。予告演出は、装飾図柄の変動表示と並行して実行されており、その図柄変動が大当り態様にて停止する大当り信頼度が高いことを予告的に示唆するものである。予告演出には、装飾図柄の変動過程においてリーチ状態が発生する前(リーチ発生時を含む)に実行される予告演出と、リーチ状態が発生した後に実行される予告演出とがある。予告演出はそれぞれ大当り信頼度が異なるものとなっており、基本的には、リーチ発生前に表示される予告演出よりも、リーチ発生後に表示される予告演出の方が相対的に大当り信頼度は高くなっている。予告演出決定手段226は、予告演出パターンを選択する際に参照される予告演出パターンテーブルを予告演出の種類別に保持しており、変動演出パターンのシナリオに沿って発生する予告演出の種類に応じた予告演出パターンテーブルを選択する。予告演出決定手段226は、上記で選択された予告演出パターンテーブルを参照して、演出抽選乱数発生手段210から取得した予告演出パターン乱数値に基づき、抽選によって、複数種の予告演出パターンの中からいずれかを選択する。なお、具体的な予告演出パターンの種類としては、コメント予告演出パターン、背景予告演出パターン、SU(ステップアップ)予告演出パターン、群予告演出パターン、カットイン予告演出パターン、役物可動予告演出パターン、などが用意されている。この予告演出は、基本的には、演出表示装置70での装飾図柄の変動表示に合わせて、1又は複数の予告演出を実行することによって行われる。そのため、同一の変動演出パターンによる装飾図柄の変動表示であっても、1又は複数の予告演出との組み合わせによって多彩な演出態様を発生させることが可能となる。
大当り演出決定手段227は、特別遊技中であることを報知する大当り演出の内容(大当り演出パターン)を決定する。大当り演出は、特別遊技の開始を報知する開始デモ演出と、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出と、特別遊技の終了を報知する終了デモ演出とを含む。大当り演出決定手段227は、主制御基板100から大当り開始デモコマンドを受信した場合、演出制御情報記憶手段260に格納された大当り種別の情報などに基づき、大当り演出パターン(開始デモ演出パターン、ラウンド演出パターン、終了デモ演出パターン)を決定する。この大当り演出パターンには、大当り種別に応じて、大当り開始デモ演出時間とラウンド演出時間(大入賞口64の開放パターンに応じた演出時間)と大当り終了デモ演出時間とが設定されるとともに、その時間軸に沿って一連の演出内容が設定されている。大当り演出決定手段227は、大当り演出パターンに従って、主制御基板100から大当り開始デモコマンドを受信したことを契機として開始デモ演出を実行し、ラウンド演出指定コマンドを受信したことを契機として各ラウンド演出を実行し、大当り終了デモコマンドを受信したことを契機として終了デモ演出を実行する。
ここで、通常の大当り開始デモ演出では、例えば画面上に「大当り開始」という文字が表示されて、特別遊技の開始が告げられる。通常のラウンド演出では、例えば画面上の現在実行中のラウンド数や獲得賞球数が表示されるとともに、特別遊技を盛り上げる各種画像(アニメーション画像など)が表示される。通常の大当り終了デモ演出では、例えば画面上に「大当り終了」という文字が表示されて、特別遊技の終了が告げられる。
以上、演出統括手段220は、前記決定された演出内容(先読み演出パターン、連荘演出パターン、変動演出パターン、予告演出パターン、停止図柄パターン、大当り演出パターンなど)に基づき画像及び音に関する画像制御コマンドを生成して、これを演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に格納する。
ランプ演出制御手段230は、演出統括手段220にて設定された演出内容に従って演出ランプの点灯や発光色などを制御する。ランプ演出制御手段230は、演出ランプ10,25(枠ランプ10、盤ランプ25)を点灯制御するための複数種のランプデータ(ランプパターンデータ)を保持しており、前記決定した演出パターンに応じたランプデータを読み出して、このランプ制御信号(ランプデータ)をランプ接続基板91に送信する。
役物演出制御手段240は、演出統括手段220にて設定された演出内容に従って各可動役物の駆動を制御する。役物演出制御手段240は、可動役物を駆動制御するための複数種の駆動データを保持しており、前記決定した演出パターンに応じた駆動制御信号(駆動データ)をモータドライバ92に送信する。
エラー演出制御手段250は、主制御基板100からエラー演出指定コマンドを受信した場合にエラー演出パターンを決定し、遊技機にエラー状態が発生したことを当該エラー演出パターンに従って報知するように構成されている。
演出制御情報記憶手段260は、装飾図柄の情報、変動演出パターンの情報、予告演出パターンの情報、制御コマンドの情報などを一時的に記憶するように構成されており、各情報を記憶するための所定の記憶領域を備えている。例えば、コマンド格納領域には、主制御基板100からの演出制御コマンドを格納するための演出制御コマンドバッファ、画像制御基板300への画像制御コマンドを格納するための画像制御コマンドバッファ、画像制御基板300からのACKコマンドを格納するためのACKコマンドバッファを含む。各コマンドバッファはそれぞれリングバッファから構成されており、所定数の演出制御コマンド、画像制御コマンド及びACKコマンドをそれぞれ格納することができる。
コマンド送受信手段270は、主制御基板100から送信された演出制御コマンドを、併せて出力されるストローブ信号の受け取りを契機として受信し、この演出制御コマンドを演出制御コマンドバッファに格納するように構成されている。具体的には、コマンド送受信手段270は、主制御基板100からのストローブ信号が入力されたことを契機として発生した割込みに応じて演出制御コマンドの受信割込み処理を実行し、この受信割込み処理において各種の演出制御コマンドを取得する。この演出制御コマンドの受信割込み処理の詳細については後述する。なお、コマンド送受信手段270は、ストローブ信号を受信した場合には、この演出制御コマンドの受信割込み処理を他の割込み処理よりも優先的に実行する。
コマンド送受信手段270は、演出統括手段220にて設定された演出内容(変動演出パターン情報、予告演出パターン情報、装飾図柄情報など)の実行を指示するため、演出制御情報記憶手段260に格納された画像制御コマンドを、一例としてシリアル通信方式を用いて画像制御基板300に対して送信する。画像制御コマンドは、原則として、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域にセットされた順番に従って所定の周期(本実施形態では500μs)毎に送信される。
これにより、画像制御基板300は、演出制御基板200から送信された各種の画像制御コマンドを解析し、変動演出パターンのシナリオに沿って演出表示装置70に装飾図柄を含む演出画像を変動表示させるとともに、変動表示過程の各段階で図柄変動の演出に重畳させて予告演出を表示させる。さらに、コマンド送受信手段270は、画像制御基板300から送信されたACKコマンドを受信し、このACKコマンドをACKコマンドバッファに格納する。
<主制御基板側の処理>
図49〜図55は、主制御基板100における動作処理の手順の一例を示すフローチャートである。主制御基板100側の動作処理は、主として主制御側メイン処理及び主制御側タイマ割込み処理を含む。
<主制御側メイン処理>
図49、図50及び図51は、それぞれ、主制御基板100において実行される主制御側メイン処理の一例を示すフローチャートである。この主制御側メイン処理では、電源投入時のリセットにより主制御CPU101のセキュリティチェックが行われた後に主制御プログラムが起動され、この主制御プログラムによって処理が実行される。なお、以下の説明では、適宜、各処理の主体を省略する場合がある。
まず、電源投入時に必要な初期設定として、スタックポインタにスタック領域の初期値として先頭アドレスを設定するとともに(ステップS1)、主制御RAM103のアクセス許可を行う(ステップS2)。次に、タイマ割込みが発生した場合に処理する主制御プログラムの先頭アドレスが格納されたベクタテーブルを設定し(ステップS3)、主制御CPU101の内蔵レジスタに初期値を設定する(ステップS4)。
次に、主制御CPU101は、設定キースイッチ100qの操作状態を確認し(ステップS5)、設定キースイッチ100qがオン状態であれば(ステップS5のYES)、RAMクリアスイッチ400qの操作状態を確認する(ステップS6)。ステップS6においてRAMクリアスイッチ400qがオン状態であれば(ステップS6のYES)、設定変更処理を実行する(ステップS7)。設定変更処理の詳細は図52を参照しながら後述するが、設定変更処理の終了後はステップS13に進む。一方、ステップS6においてRAMクリアスイッチ400qがオフ状態であれば(ステップS6のNO)、設定確認処理を実行する(ステップS8)。設定確認処理の詳細は図53を参照しながら後述するが、設定確認処理の終了後はステップS10に進む。
なお、ステップS5において設定キースイッチ100qがオフ状態であった場合は(ステップS5のNO)、主制御CPU101はRAMクリアスイッチ400qの操作状態を確認する(ステップS9)。ステップS9においてRAMクリアスイッチ400qがオン状態であれば(ステップS9のYES)、設定変更を伴わない通常のRAMクリア処理を行うため、ステップS13に進む。一方、ステップS9においてRAMクリアスイッチ400qがオフ状態であれば(ステップS6のNO)、特段の処理を行わずにステップS10に進む。
ステップS10では、主制御CPU101は、電源断情報フラグの値を読み込んで、電源断正常の情報が保存されているか否かを判定する(ステップS10)。
ここで、電源断正常の情報が保存されている場合、主制御RAM103の所定領域を対象としてチェックサムを算出する(ステップS11)。このチェックサムが0であるか否か、すなわち、チェックサムが正常であるか否かを判定する(ステップS12)。なお、ここで算出される電源投入時のチェックサムには、後述の電源断時処理で算出されるチェックサムの補数が含まれているため、正常にバックアップされていれば、電源投入時のチェックサムは「0」となる。このように、電源断前に主制御RAM103に記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源投入時に判断する。
ステップS12においてチェックサムが正常である場合には(ステップS12のYES)、電源断前の状態に復帰すべく、後述するステップS16に移行する。他方、ステップS12においてチェックサムが異常である場合(ステップS12のNO)、または、ステップS7における設定変更処理の終了後は、初期化処理の対象とされる主制御RAM103の全領域をゼロクリアする(ステップS13)。なお、ステップS13の初期化処理では、特定のRAM記憶領域はゼロクリアしない。例えば、設定メモリに記憶される設定値はクリアされず、ステップS7の設定変更処理で設定された設定値がそのまま保持される。
次に、主制御RAM103に電源投入時の初期化データを設定する(ステップS14)。次に、演出表示装置70の初期化、演出ランプ10,25の初期化などを行うため、演出制御基板200への演出制御コマンド(「演出初期コマンド」)を要求する(ステップS15)。
次に、電源断復帰設定処理において、主制御RAM103における、電源投入正常情報の設定、各種エラーの初期設定、払出制御基板400との通信初期設定を順に実行する(ステップS16)。ここで、電源投入正常情報の設定としては、電源投入が正しく行われたことを保存するため、電源断情報フラグに電源投入正常データを格納するとともに、電源断発生の情報を初期化するため、電源断確認フラグをオフにする。次に、データ転送元アドレス、データ転送先アドレス及び転送バイト数をセットして、転送バイト数分のデータを転送する(ステップS17)。電源断時における特別図柄遊技ステータスの値を読み込んで、特別図柄遊技に係る電源断復帰処理を実行する(ステップS18)。
次に、主制御基板100と演出制御基板200との電源断復帰時の演出制御コマンド(「電源断復帰コマンド」)の送信要求を行う(ステップS19)。この電源断復帰コマンドには、通信線の検査、特別図柄の作動状態、確率変動回数、時短回数、入球容易状態回数、変動パターン選択状態、エラー状態に関する情報が含まれている。なお、電源断前の未送信分のコマンド要求はクリアされる。次に、図柄記憶数コマンド要求処理において、電源断時の第1特別図柄及び第2特別図柄の作動保留球数の情報を読み込み、この作動保留球数の情報を含む演出制御コマンドを要求する(ステップS20)。
次に、普通電動役物622を電源断前の状態(例えば、第2始動口62を開放状態)に戻すための復帰設定を行う(ステップS21)。さらに、特別電動役物642を電源断前の状態(例えば、大入賞口64を開放状態)に戻すための復帰設定を行う(ステップS22)。次に、特別図柄モードフラグの値を読み込み、電源断時における特別図柄の確率変動機能の作動状態を設定する(ステップS23)。なお、特別図柄モードフラグとは、特別図柄遊技の作動確率(高確率又は低確率)を設定するためのフラグである。次に、タイマ割込みを起動させるため、上記CTC回路の初期設定として、所定のカウント値を設定して、タイマ割込みを4ms毎に発生させる(ステップS24)。次に、タイマ割込み処理の発生を禁止すべく割込み禁止を設定する(ステップS25)。ウォッチドッグタイマのリスタート準備として、クリアワード1(「55H」)を設定する(ステップS26)。
次に、電源断の発生を判定するため、電源断確認フラグの値を読み込み、電源断が発生しているか否かを判定する(ステップS27)。電源断が発生していない場合には、初期値乱数更新処理を実行する(ステップS28)。この初期値乱数更新処理では、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当りソフト初期値乱数及び特別図柄当り図柄初期値乱数を更新する。具体的には、各カウンタの数値を1加算して、数値が各乱数毎に定められた最大値を超えた場合には最小値である「0」に戻す。
次に、タイマ割込み処理の発生を許可すべく割込み許可を設定して(ステップS29)、上述の割込みを禁止する処理(ステップS25)に戻り、ステップS25〜S29に亘るループ処理を繰り返し実行する。ここで、タイマ割込み処理は所定の周期ごとに定期的に実行されるが、前回の割込み処理が完了してから次回の割込み処理が発生するまでの間の残余時間を利用して、ステップS25〜S29までの処理を繰り返す。割込み禁止状態において割込み要求があった場合には、ステップS29において割込み許可となったときにタイマ割込み処理が起動することとなる。一方、ステップS27において電源断確認フラグがオンとなっている場合、すなわち、電源断が発生している場合には、ステップS30に移行して、次述する電源断時処理を実行する。
次に、電源断時処理(ステップS30〜S36)として、まず、ウォッチドッグタイマをリスタートさせるべく、クリアワード2(「AAH」)を設定する(ステップS30)。次に、電源断情報フラグの内容が電源投入正常データであるか否かを判定する(ステップS31)。電源投入正常情報である場合、電源断情報フラグに電源断正常データを設定する(ステップS32)。他方、電源投入正常情報でない場合、電源断情報フラグに電源断異常データを設定して(ステップS33)、ステップS36に移行する。
次に、主制御RAM103の所定領域(チェックサム領域を除く)に対してチェックサムを算出する(ステップS34)。チェックサムデータに対する補数を算出し、この補数の結果値を主制御RAM103のチェックサム領域に設定する(ステップS35)。次に、主制御RAM103のアクセス禁止設定を実施し(ステップS36)、電源が遮断されるまで処理を繰り返し実行する。
<設定変更処理>
図52は、設定変更処理の一例を示すフローチャートである。図52に例示した一連の処理は、図49におけるステップS7の設定変更処理を詳細に示したものであり、主制御CPU101(主制御プログラム)によって実行される。
図52によればまず、主制御CPU101は、遊技設定の設定値が記憶されるべき設定メモリの値が正常であるか否かを確認する(ステップS101)。ステップS101において設定メモリ値が正常でなければ(S101のNO)、設定値を初期化して初期値にする(S102)。具体的には例えば、設定値データとして「1」〜「6」を用いる場合、初期値として「1」をセットし、設定値データとして「0」〜「5」を用いる場合、初期値として「0」をセットする。ステップS102の処理後はステップS103に進む。一方、ステップS101において設定メモリ値が正常であれば(S101のYES)、ステップS102の処理をスキップしてステップS103に進む。
ステップS103では、設定変更状態に移行する。そして、設定メモリに記憶された設定値を設定表示部197に表示させる(ステップS104)。
次に、設定変更ボタン(例えばRAMクリアスイッチ400q)による変更操作の有無を確認する(ステップS105)。設定変更ボタンによる変更操作がある場合は(ステップS105のYES)、設定表示部197に表示される設定値を更新するとともに、設定メモリに記憶される設定値を更新する(ステップS106)。設定変更ボタンによる変更操作がない場合は(ステップS105のNO)、ステップS106の処理をスキップする。
次に、設定キースイッチ100qの操作状態がオフ状態であるか否か確認する(ステップS107)。図49のステップS5でNOと判定してから設定キースイッチ100qがオン状態のままであれば(ステップS107のNO)、ステップS104に戻って処理を繰り返す。一方、設定キーが元に戻されて設定キースイッチ100qがオフ状態になった場合は(ステップS107のYES)、設定表示部197を消灯させて設定値が視認できない状態(非表示)にし(ステップS108)、リターンする。前述したように、リターン後は、図49のステップS13の処理を行う。
<設定確認処理>
図53は、設定確認処理の一例を示すフローチャートである。図53に例示した一連の処理は、図49におけるステップS8の設定確認処理を詳細に示したものであり、主制御CPU101(主制御プログラム)によって実行される。
図53によればまず、主制御CPU101は、設定メモリに記憶された設定値を設定表示部197に表示させる(ステップS111)。
その後、主制御CPU101は、設定キースイッチ100qの操作状態がオフ状態であるか否か確認する(ステップS112)。図49のステップS5でNOと判定してから設定キースイッチ100qがオン状態のままであれば(ステップS112のNO)、ステップS111に戻って処理を繰り返し、設定値の表示を継続する。一方、設定キーが元に戻されて設定キースイッチ100qがオフ状態になった場合は(ステップS112のYES)、設定表示部197を消灯させて設定値が視認できない状態(非表示)にし(ステップS113)、リターンする。前述したように、リターン後は、図49のステップS10の処理を行う。
なお、本実施形態の遊技機においては、前述の設定変更処理及び設定確認処理への移行条件として、セキュリティ性を高めるために第1の手順である枠開放を有している。そのため、図49には不図示であるが、ステップS5の設定キースイッチ100qの操作状態の判定においてオン状態(ステップ5のYES)と判定する際は、枠開放スイッチ(ドア開センサ2p)の状態も合わせて確認し、枠が開放状態(ドア開)である場合のみステップS6に移行する。ステップS5の判定時に設定キースイッチ100qがオン状態であっても、枠が開放状態ではない(ドア閉)である場合には、不正や異常が疑われる状態であることから、設定変更処理(ステップS7)または設定確認処理(ステップS8)に進むステップS6には移行せず、設定キースイッチ100qがオフ状態になるまで待機し、オフ状態に切り替わった場合にはステップS9に移行する。
<主制御側タイマ割込み処理>
次に、主制御タイマ割込み処理を説明するための各図の関係について説明する。まず、図54及び図55は、それぞれ、主制御基板100において実行されるタイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。
まず、図54に示すタイマ割込み処理は、前述したCTC回路からの一定時間(例えば4ms)毎のクロックパルスに応じてタイマ割込みが発生したことを契機として、主制御側メイン処理に割り込んで実行される。なお、以下使用する「条件装置」及び「役物連続作動装置」という用語は概念上の制御機器を意味している。「条件装置」とは、特別図柄遊技で大当りが発生した場合に作動し、「役物連続作動装置」とは、「特別電動役物」を連続して複数回作動させることができる。
まず、このタイマ割込みが発生すると、主制御CPU101内のレジスタの内容(主制御側メイン処理の処理中に使用していたデータ)を主制御RAM103のスタック領域に退避させた後、割込み動作条件を設定する(ステップS51)。次に、割込み動作条件設定値が割込み制御レジスタにセットされる(ステップS52)。次に、クリアワード2がセットされる(ステップS53)。
次に、ウォッチドッグタイマをリスタートさせるべく、クリアワード2(「AAH」)を設定する(ステップS54)。このとき、あらかじめ設定されたタイムアウト時間内に、主制御CPU101のWDTクリアレジスタに、クリアワード1、クリアワード2が順に書き込まれることで、ウォッチドッグタイマがクリアされてリスタートされる。すなわち、主制御CPU101が主制御プログラムを正常に実行しているときは、定期的にクリアワード1,2が設定されることにより、ウォッチドッグタイマがタイムアウトする前にクリア及びリスタートされることとなる。他方、ウォッチドッグタイマがタイムアウトすると、ユーザリセットが発生する。
次に、入力処理を実行する(ステップS55)。この入力処理では、主制御基板100に接続されている各種スイッチとして、RAMクリアスイッチ以外のスイッチの情報が読み込まれる。すなわち、第1始動口スイッチ161、第2始動口スイッチ162、作動ゲートスイッチ163、大入賞口スイッチ164、及びアウト球検出スイッチ167、並びに、図示しない扉開放スイッチ、枠開放スイッチ、裏セット開放スイッチ、磁気センサ及び電波センサなどの入力情報を読み込み、それらの状態判定を行ったうえで、これらの検出情報を格納する。
次に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS56)。この各種乱数更新処理では、初期値乱数を使用しない普通図柄変動パターン乱数及び特別図柄変動パターン乱数を更新する。普通図柄変動パターン乱数については、乱数カウンタの数値を1加算して、数値が最大値を超えた場合には最小値である「0」に戻す。他方、特別図柄変動パターン乱数については、前回の乱数から所定値(例えば3511)を減算する。なお、減算した結果が0未満の場合には、減算した結果に所定値(例えば50000)を加算する。
次に、初期値更新型乱数更新処理を実行する(ステップS57)。この初期値更新型乱数更新処理では、普通図柄当り乱数、特別図柄当りソフト乱数及び特別図柄当り図柄乱数を更新する。具体的には、各乱数カウンタの数値を1加算して、数値が最大値を超えた場合には最小値である「0」に戻す。カウンタの数値が1周した場合(初期値として設定した値となった場合)には、当該タイミングにおいてカウンタの数値が1周した乱数値と対応する初期値乱数の値を新たな初期値として設定する。
次に、初期値乱数更新処理を実行する(ステップS58)。この初期値乱数更新処理では、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当りソフト初期値乱数及び特別図柄当り図柄初期値乱数を更新する。具体的には、各乱数カウンタの数値を1加算して、数値が各乱数毎にあらかじめ定められた最大値を超えた場合には最小値である「0」に戻す。
次に、タイマ減算処理を実行する(ステップS59)。このタイマ減算処理では、遊技機の遊技動作制御に用いる各種タイマの値を減算更新する。なお、各種タイマには、特別図柄表示装置171,172に係る時間(変動時間、確定表示時間)を管理するための特別図柄遊技タイマ、特別電動役物642の動作パターンを制御するためのタイマや、普通図柄、普通電動役物など各種制御に使用するタイマなどが含まれる。
次に、第2始動口有効期間設定処理を実行する(ステップS60)。この第2始動口有効期間設定処理では、第2始動口62の入賞有効期間及び入賞無効期間を判定し、この判定結果として、第2始動口62の有効期間データ又は無効期間データを設定する。
次に、入賞監視処理を実行する(ステップS61)。この入賞監視処理では、前述した入力処理(ステップS55)での第1始動口スイッチ161、第2始動口スイッチ162、作動ゲートスイッチ163、大入賞口スイッチ164、一般入賞口スイッチ166、及びアウト球検出スイッチ167の検出情報に基づき、遊技球のスイッチ通過検査を行い、その結果、遊技球が各スイッチを通過したと判断した場合、遊技球が各スイッチを通過したことを示す情報を含む演出制御コマンドの送信要求などを行う。
次に、賞球制御処理を実行する(ステップS62)。この賞球制御処理では、入賞が有効であるか無効であるかを判定し、入賞の種別に対応する賞球個数の指示をすべく払出制御コマンドを払出制御基板400に送信するとともに、払出制御基板400からの受信データを監視して払出制御基板400との通信検査を行う。
次に、普通図柄作動ゲート監視処理を実行する(ステップS63)。この普通図柄作動ゲート監視処理では、遊技球のゲート63への通過を監視し、ゲート63を通過していると判断した場合、普通図柄抽選に係る乱数を作動保留球情報として取得して、最大4個を限度として作動保留球数の更新を行うとともに、普通図柄抽選に係る乱数の記憶を行う。
次に、普通図柄制御処理を実行する(ステップS64)。この普通図柄制御処理では、普通図柄表示装置175又は普通電動役物622に係る一連の処理を実行するため、普通図柄遊技ステータスの値に応じて、普通図柄変動中処理、普通図柄停止図柄表示中処理、普通電動役物作動中処理、普通電動役物作動終了デモ中処理、などを実行する。なお、普通図柄変動中処理では、普通図柄を変動表示又は確定表示させるべく、普通図柄の表示パターン番号データを作成(更新)する。
次に、普通図柄変動開始監視処理を実行する(ステップS65)。この普通図柄変動開始監視処理では、普通図柄の作動状態を監視して、普通図柄の変動開始条件を充足していると判断したとき、普通図柄作動保留球数を1個消化して、普通図柄の当否判定、図柄の判定、変動パターンの判定、変動時間の設定、などを順に行う。
次に、始動口監視制御処理を実行する(ステップS66)。この始動口監視制御処理では、遊技球の第1始動口61及び第2始動口62への入球を監視して、遊技球が入球したことが検出された場合、例えば、保留球数の更新、特別図柄抽選に係る乱数記憶、先読み予告のための事前判定及び図柄記憶数等のような演出制御基板200に必要な情報を含むコマンドのコマンド要求を順に行う。
次に、特別図柄制御処理を実行する(ステップS67)。この特別図柄制御処理では、特別図柄表示装置171,172に係る一連の処理として、特別図柄遊技ステータスの値に応じて、例えば、特別図柄変動開始処理、特別図柄変動中処理及び特別図柄停止図柄表示中処理を実行することで特別図柄の抽選処理および変動表示に関する制御を行う。
次に、特別電動役物制御処理を実行する(ステップS68)。この処理では、特別図柄の抽選結果が「大当り」又は「小当り」となった場合に、特別電動役物642に係る動作処理として、特別電動役物642の作動開始及び作動終了の設定、大入賞口64の開放時間及び開放回数の更新、確率変動機能の作動開始設定、変動時間短縮機能の作動開始設定、変動パターン選択状態の設定、などを順に実行する。
次に、大入賞口有効期間設定処理を実行する(ステップS69)。この大入賞口有効期間設定処理では、大入賞口64の入賞有効期間及び入賞無効期間を判定し、この判定結果として大入賞口64の有効期間データ又は無効期間データを設定する。
次に、特別図柄変動開始監視制御処理を実行する(ステップS70)。この特別図柄変動開始監視制御処理では、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球が存在する場合、保留球数を1個消化して、図柄記憶数のコマンド要求、特別図柄の当否判定、特別図柄の図柄判定、確率変動機能の判定、時間短縮機能の判定、特別電動役物の作動パターンの設定、デモ演出時間の設定、などを順に行う。
次に、異常検知処理を実行する(ステップS71)。この異常検知処理では、前述した入力処理(ステップS55)での入力情報に基づき、磁気センサによる磁気検知信号、断線短絡電源異常信号、電波センサによる電波検知信号、扉・枠開放信号などを順に検査して、遊技機がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態である場合には、演出制御基板200にエラー表示を要求すべく、当該エラー情報を含む演出制御コマンド(「エラー演出指定コマンド」)を生成する。
次に、入球通過時間異常検出処理を実行する(ステップS72)。この入球通過時間異常検出処理では、入賞検出スイッチのオン信号が連続して所定時間以上検出された場合に、入球通過時間異常を設定して、当該エラー情報を含む演出制御コマンド(「エラー演出指定コマンド」)の要求を行うとともに、外部端子へ出力するためのセキュリティ信号の出力要求を行う。
次に、遊技状態表示処理を実行する(ステップS73)。この遊技状態表示処理では、特別電動役物642が連続して作動する回数(規定ラウンド数)、普通図柄及び特別図柄の作動保留球数などの表示データを作成する。前述した異常検知処理で検出したエラー状態の情報を主制御基板100の状態表示灯に表示させるための表示データを作成する。
次に、ハンドル状態信号検査処理を実行する(ステップS74)。このハンドル状態信号検査処理では、ハンドル状態信号を検査する。
次に、LED出力処理を実行する(ステップS75)。このLED出力処理では、特別図柄及び普通図柄の表示、保留球数の表示、特別電動役物が連続して作動する回数、エラーの表示などを行うべく、前述した特別図柄制御処理(ステップS85)、異常検知処理(ステップS89)、遊技状態表示処理(ステップS73)などで作成された表示データを、各特別図柄表示装置171,172、普通図柄表示装置175、各特図保留ランプ173,174、普図保留ランプ176、主制御基板100の状態表示灯などに出力するとともに、これら各種表示装置における表示の初期化を行う。
次に、発射制御信号出力処理を実行する(ステップS76)。この発射制御信号出力処理では、払出制御基板400との通信異常又は断線短絡電源異常が検出されていない場合には、払出制御基板400に対して発射許可の信号を出力して遊技球の発射を許可する一方、払出制御基板400との通信異常又は断線短絡電源異常が検出されている場合には、払出制御基板400に対して発射禁止の信号を出力して遊技球の発射を禁止する。
次に、試験信号出力処理を実行する(ステップS77)。この試験信号出力処理では、各種の試験データを作成した後にエラー検査処理を実施し、この結果、エラーが検出された場合、各種の試験データを各試験信号出力ポートへ出力する。
次に、ソレノイド出力処理を実行する(ステップS78)。このソレノイド出力処理では、普通電動役物622,特別電動役物642を作動させるべく、普通図柄制御処理(ステップS82)及び特別電動役物制御処理(ステップS86)において取得した制御データに基づき、各電動役物ソレノイド123,124に対して励磁信号を出力する。
次に、演出制御コマンド送信処理を実行する(ステップS79)。この演出制御コマンド送信処理では、前述したようにメイン情報記憶手段180のコマンド格納領域に格納された演出制御コマンドのうちからポインタで指定されたリングバッファに格納されている演出制御コマンドをMODEデータ及びEVENTデータごとにそれぞれ読み出し、後述するように演出制御基板200に対してそれぞれ送信する。
次に、外部情報出力処理を実行する(ステップS80)。この外部情報出力処理では、外部端子板を介して、遊技機の動作状態情報を外部情報としてホールコンピュータやデータカウンタなどの外部装置に出力する。
次に、退避していたレジスタの内容を復帰させて、主制御CPU101について割込み許可状態に設定する(ステップS81)。これにより、主制御側タイマ割込み処理を終了して上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を実行する。
なお、主制御側メイン処理中又は割込み処理中に、主制御基板100が電源断(所定の閾値に基づき供給電圧の低下)を検出すると、ノンマスカブル割込みを発生させて、電源断確認フラグをオンにする。元の処理に戻ったうえで、前述の電源断時処理(ステップS27〜S33)を実行することとなる。
<演出制御基板側の処理>
次に、図56〜図60を参照しながら、演出制御基板200側の処理の手順について説明する。なお、以下では、主として演出制御プログラムが主体であるが、適宜主体を省略して記載する。演出制御基板200側の処理は、電源投入後など演出制御CPU201がリセットされると実行されるリセット開始処理(演出制御側メイン処理を含む)と、一定周期毎に起動される演出制御側タイマ割込み処理と、主制御基板100からのストローブ信号を受け取ったことを契機として実行される演出制御コマンドの受信割込み処理と、変動演出パターンのタイムスケジュールに規定された所定の発生時期の到来を契機として起動されるランプ演出割込み処理と、一定周期毎に起動される画像制御コマンドの送信割込み処理とを含んでいる。
各割込み処理(例外処理)には、複数の割込み処理が同時に発生した際における優先度を示す優先レベルが設定されている。本実施形態では、「電源リセットによるリセット開始処理(図56):最優先」、「各種異常時によるリセット開始処理(図56):最優先」→「演出制御コマンドの受信割込み処理(図60):レベル7」→「WDT(暴走検知時)によるリセット開始処理(図56):レベル3」→「画像制御コマンドの送信割込み処理(図57):レベル2」→「演出制御側タイマ割込み処理(図59):レベル1」などの順に、優先レベルの順位付けがされている。なお、「各種異常時によるリセット開始処理」は、例えば、演出制御CPU201が不正な命令を実行したとき、演出制御CPU201が不正な領域又は不正な方法にてアクセスしようとしたとき、DMA(Direct Memory Access)転送中のエラーが発生したときなどに起動する。本実施形態では、上記の複数種の割込み処理を例示しているが、実際にはその他の割込み処理も存在する。
演出制御側メイン処理では、基本的に、全割込み禁止又は演出制御コマンド受信割込み以外の割込み禁止のいずれかの状態に設定したうえで処理が進められる。その上で、演出制御側メイン処理が割込み許可状態となった場合に、当該メイン処理を中断させて各割込み処理が実行される。各割込み処理では、当該割込み処理の実行中に他の割込み処理の要求があった(多重割込みが発生した)ときは、実行中の割込み処理よりも優先レベルの高い割込み処理であれば、原則的に、当該割込み要求が許可される一方、実行中の割込み処理よりも優先レベルの低い又は優先レベルの同じ割込み処理である場合には当該割込み要求が禁止される。すなわち、各割込み処理は、優先レベルの同じ又は優先レベルの低い他の割込みを禁止した状態で処理が進められる。各割込み処理から演出制御側メイン処理へは、全割込み許可の状態で戻ってくる。なお、このような割込み要因の優先順位(優先レベル)は、前述した割込みコントローラのレジスタ設定によって規定される。
<リセット開始処理>
図56は、演出制御基板200のリセット開始処理の一例を示すフローチャートである。このリセット開始処理では、電源投入時のリセット、各種異常時を起因としたリセット、WDT(暴走検知時)を起因としたリセットのいずれかにより起動し、演出制御CPU201のセキュリティチェックが行われた後、プログラムがスタートして、ステップS801以降の処理が開始される。
まず、電源投入時に必要な初期設定として、スタックポインタにスタック領域の初期値として先頭アドレスを設定する(ステップS801)。各種初期設定が完了するまで全ての割込み処理を禁止する(ステップS802)。
次に、ハードウェアに関する基本的な設定として、演出制御CPU201内に設けられている内蔵レジスタに初期値を設定するとともに、I/Oポート回路204を初期化する(ステップS803)。さらに、演出制御RAM203内のメモリ領域を初期化する(ステップS804)。ここでは、初期値付きの変数には初期値を設定し、初期値なしの変数には0クリアによる初期化を行う。演出制御CPU201が演出制御ROM202に記憶された制御プログラムを演出制御RAM203に適宜展開する。
次に、演出制御コマンドの受信割込み処理以外の割込みを禁止する(ステップS805)。次に、あらかじめ各機種共通で設定された各種のエラーのうち、当該機種で有効とすべきエラーの種別を設定する処理を実行する(ステップS806)。さらに、演出ランプ10,25(枠ランプ10、盤ランプ25)を全消灯状態とするため消灯リクエストを行う(ステップS807)。演出制御CPU201の暴走を監視するためウォッチドッグタイマを起動する(ステップS808)。
次に、演出制御側メイン処理を実行する(ステップS809)。この演出制御側メイン処理の詳細について図57を用いて説明する。なお、前述のステップS809において演出制御側メイン処理へ移行すると、当該リセット開始処理へ復帰することは通常はあり得ないが、プログラムのバグなどの発生によって、万が一、このリセット開始処理へ復帰してきた場合には、消費電力が通常作動時よりも低減された小消費電力モード(スリープモード)へ遷移する。
<演出制御側メイン処理>
図57は、図56に示す演出制御側メイン処理(ステップS809)の詳細を示すフローチャートである。
まず、演出制御側メイン処理内で演出制御プログラムが演出制御RAM203で正確に展開されているか否かのチェックを開始するためのアドレス(演出制御プログラムが展開された先頭アドレス)を取得する(ステップS811)。次に、全ての割込みを許可、すなわち、各種の割込み処理の起動を許可する(ステップS812)。
次に、デバイスの初期化動作を実行する(ステップS813)。この初期化動作は、遊技機の電源投入時(リセット開始時)に1度だけ実行される動作態様のことであり、モータ、ソレノイドなどのデバイスによって可動役物の動作を制御するために必要となる位置情報を確認することを目的として実行される。なお、初期化動作の終了時には、可動役物はあらかじめ設定された初期位置(基準位置)に復帰する。
次に、ウォッチドッグタイマをリスタートさせるべく、ウォッチドッグタイマをクリアする(ステップS814)。このとき、演出制御CPU201が演出プログラムを正常に実行しているときは、あらかじめ設定されたタイムアウト時間内に、演出制御CPU201のWDTクリアレジスタに、所定のクリアワードが書き込まれることで、ウォッチドッグタイマがクリアされてリスタートされる。他方、ウォッチドッグタイマがタイムアウトすると、ユーザリセットが発生する。
次に、入力ポートチェック処理を実行する(ステップS815)。この入力ポートチェック処理では、後述する演出制御側タイマ割込み処理(図59参照)におけるポート入出力処理(ステップS1112)で、割込みが発生する度にI/Oポート回路204(入力ポート)の読み込みを監視し、複数回(例えば4回)監視した結果、入力ポートの状態が全て「1」の場合には信号レベルを「1(Hレベル)」に変化させ、入力ポートの状態が全て「0」の場合には信号レベルを「0(Lレベル)」に変化させ、入力ポートの状態がそれ以外の場合は信号レベルを変化させない(これにより入力信号が確定される)。
次に、エラー演出管理処理を実行する(ステップS816)。このエラー演出管理処理では、後続のコマンド解析処理(ステップS820)で設定されるエラー演出パターンに基づき、各種デバイスによるエラー演出を開始させる。さらに、エラー演出管理処理では、エラー管理タイマに初期値(エラー演出時間)を設定して、エラー演出の進行を管理する。このエラー管理タイマは、演出制御側タイマ割込み処理のエラー管理タイマ更新処理(ステップS1120)にて16ms周期で減算更新される。エラー管理タイマがタイムアウトした場合は、当該エラー演出を終了させる。
次に、演出ボタン監視制御処理を実行する(ステップS817)。この演出ボタン監視制御処理では、図柄変動中にボタン予告演出を組み込んでいる場合に、操作有効時間内における演出ボタン15の入力状態を監視して、当該ボタン予告演出に応じてあらかじめ設定された複数種の演出内容の中から、演出ボタン15の入力状態に応じた演出の内容を決定する。なお、遊技者によるボタンの入力操作自体は、後述する演出制御側タイマ割込み処理におけるポート入力処理(ステップS1112)において監視し、当該演出ボタン監視制御処理では、ボタン有効操作とみなすフラグや、演出切替のためのフラグが成立しているかどうかを判定してボタン押下に基づく演出の実行制御を行う。
次に、予告抽選管理処理を実行する(ステップS818)。この予告抽選管理処理では、後続のコマンド解析処理(ステップS820)で選択される変動演出パターンのシナリオに沿って、装飾図柄の変動過程の各段階で発生する予告演出の内容を定めた予告演出パターン(予告演出番号)を抽選で決定する。ここで決定された予告演出番号は、演出制御情報記憶手段260の予告演出番号格納領域に一時的に記憶される。この予告演出番号を画像制御基板300側へ指定するための画像制御コマンドを生成して、これを演出制御情報記憶手段260の画像制御コマンドバッファに設定する。このとき、予告演出パターンとして、役物予告演出パターン(役物予告演出番号)が選択された場合には、役物リクエストが発生し、後続のデバイス管理処理(ステップS819)にて、可動役物の駆動パターンが特定される。なお、本実施形態では、装飾図柄の一変動内で発生する複数種の予告演出(予告演出パターン)の全てを、1回のメインループ処理内で抽選するのではなく、当該メインループ処理効率を向上させるため、予告演出の発生時期(例えば、変動開始段階、リーチ発生段階、変動停止段階、演出ボタン15の有効操作時)毎に分けて、複数回のメインループ処理に跨って抽選する構成となっている。その際、装飾図柄の変動開始段階で発生する予告演出については、装飾図柄の変動開始と同期をとる(画像制御コマンドを早急に送信する)必要があるので、前述したメインループ処理内において抽選を実行する。
次に、デバイス管理処理を実行する(ステップS819)。このデバイス管理処理では、後述のコマンド解析処理(ステップS820)にて各種デバイスの動作要求(ランプリクエスト、役物リクエスト)があった場合、演出制御ROM202に記憶された複数種のパターンデータ(ランプパターン、駆動パターン)の中から、演出番号(ランプ演出番号、役物予告演出番号)に対応したパターンデータを特定して、対象デバイスの制御を開始する。演出ランプ10,25のランプパターンデータには、1フレーム時間(画像フレームを1回更新するのに要する時間:16ms)毎に対応付けられたランプデータがスケジュールデータとして格納されている。なお、本実施形態において、1フレーム時間は、演出表示装置70において毎秒約60フレーム(=約60fps)で描画などする場合の1フレームの描画処理に要する時間と対応するものになっている。同様に、可動役物の駆動パターンデータには、割込み周期(1ms)毎に対応付けられた駆動データがスケジュールデータとして格納されている。これにより、後述する演出制御側タイマ割込み処理にて、各制御データ(ランプデータ、駆動データなど)が対象デバイスに対して一定周期毎に出力されており、対象デバイスの動作が開始されることになる。一方、後述の演出制御側タイマ割込み処理において、一連の制御データ(ランプデータ、駆動データ)の出力が全て完了した場合は、演出ランプ10,25を消灯させ、又は、可動役物の動作を停止させ、対象デバイスの制御を終了する。
次に、コマンド解析処理(ステップS820)を実行する。このコマンド解析処理では、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されている場合にはこの演出制御コマンドを読み出してこの演出制御コマンドの種別に対応した演出制御処理を実行する。このコマンド解析処理の詳細については、後述する図58を用いて説明する。
今回の周期の演出メイン処理のループ処理中において、演出制御コマンドに関して解析(以下「コマンド解析」と称する)を実行したか否かを判定する(ステップS821)。コマンド解析を実行している場合、ステップS814に戻り、ステップS814〜ステップS821を繰り返し実行する。一方、コマンド解析を実行しなかった場合、演出抽選乱数更新処理を実行する(ステップS822)。この演出抽選乱数更新処理では、先読み予告抽選乱数、装飾図柄乱数、変動演出パターン乱数、予告演出パターン乱数などの演出抽選乱数を更新する。具体的には、各乱数カウンタの数値を1加算して、数値が最大値を超えた場合には最小値に戻す。
<コマンド解析処理>
図58は、図57に示すコマンド解析処理(ステップS820)の詳細を示すフローチャートである。このコマンド解析処理では、主制御基板100において出力ポートに保持された演出制御コマンドが以下に示すように演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に取り込まれているか否かを監視し、演出制御コマンドが取り込まれて格納されている場合、この演出制御コマンドの種別に対応した演出制御処理を実行する。
まず、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に遊技状態指定コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS831)。遊技状態指定コマンドが格納されている場合、演出状態移行処理(ステップS832)へ移行する。この演出状態移行処理では、遊技状態指定コマンドに含まれる変動パターン選択状態情報に基づき、演出モードを遷移する処理を実行する。
次に、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に保留関連コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS833)。ここで、保留関連コマンドには、図柄記憶数コマンド、事前判定コマンドが含まれる。この保留関連コマンドが格納されている場合、保留情報管理処理(ステップS834)へ移行する。この保留情報管理処理では、演出制御情報記憶手段260から図柄記憶数コマンド又は事前判定コマンドを読み出して、事前判定結果の情報に基づき先読み判定を実行するとともに、演出表示装置70の保留表示部(図示せず)に表示される保留画像の表示個数及び表示態様(表示色など)を更新するための処理を実行する。
次に、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に図柄変動関連コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS835)。ここで、図柄変動関連コマンドには、変動開始コマンド、変動停止コマンドが含まれる。図柄変動関連コマンドが格納されている場合、変動演出内容決定処理(ステップS836)へ移行する。この変動演出内容決定処理では、受信した図柄変動関連コマンドが変動開始コマンドである場合には図柄変動演出を開始させるための処理を実行し、受信した図柄変動関連コマンドが変動停止コマンドである場合には実行中の図柄変動演出を終了させるための処理を実行する。
次に、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に大当り演出関連コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS837)。ここで、大当り演出関連コマンドには、大当り開始デモ演出コマンド、ラウンド演出指定コマンド、大当り終了デモ演出コマンドを含む。大当り演出関連コマンドが格納されている場合、大当り演出内容決定処理(ステップS838)へ移行する。この大当り演出内容決定処理では、開始デモ演出、ラウンド演出、終了デモ演出を実行するための処理を実行する。
次に、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に小当り演出関連コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS839)。ここで、小当り演出関連コマンドには、小当り開始デモ演出コマンド、小当り終了デモ演出コマンドを含む。小当り演出関連コマンドが格納されている場合、小当り演出内容決定処理(ステップS840)へ移行する。この小当り演出内容決定処理では、小当り開始デモ演出、小当り終了デモ演出を実行するための処理を実行する。
次に、演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域にエラー演出指定コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS841)。このエラー演出指定コマンドが格納されている場合、エラー演出内容決定処理(ステップS842)へ移行する。このエラー演出内容決定処理では、演出制御情報記憶手段260からエラー演出指定コマンドを読み出して、演出表示装置70の画像表示や演出ランプ10,25の発光態様などによってエラー状態を報知するためのエラー演出パターンを決定する。
なお、ステップS831,S833,S835,S837,S839,S841において演出制御情報記憶手段260のコマンド格納領域に演出制御コマンドが格納されていない場合は、コマンド解析処理を終了する。なお、演出制御側メイン処理のループ処理(ステップS814〜ステップS822)は、画像制御CPU301の画像表示周期(1フレーム=16ms)と同期するため、ステップS821のコマンド解析処理や、ステップS822の演出抽選乱数更新処理を繰り返し実行し、16msを超える場合には、処理をステップS814へ復帰させる。
<演出制御側タイマ割込み処理>
図59は、演出制御側タイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。このタイマ割込み処理は、一定時間毎のクロックパルスにより起動されており、上述した演出制御側メイン処理に割り込むように実行される。
タイマ割込みが発生すると、演出制御CPU201内のレジスタの内容を演出制御RAM203のスタック領域に退避させた後、ステップS1111以降の処理を順次実行する。このタイマ割込み処理内では、主制御基板100からの演出制御コマンド受信割込み、ウォッチドッグタイマ割込みなど、優先レベル2以上の割込みを許可する(ステップS1111)。
次に、ポート入出力処理を実行する(ステップS1112)。このポート入出力処理では、I/Oポート回路204を用いて入力データの入力処理及び出力データの出力処理を実行する。入力処理では、I/Oポート回路204に入力されている各種信号を読み取り、これを入力情報として記憶する。一方、出力処理では、演出制御情報記憶手段260に一時的に記憶されている各種制御信号(モータ制御信号)を読み出して、I/Oポート回路204から出力する。
次に、デバイス制御データ出力処理を実行する(ステップS1113)。このデバイス制御データ出力処理では、前述したデバイス管理処理(ステップS819)で特定した駆動パターンデータから所定時間分の駆動データを読み出して演出制御情報記憶手段260の駆動データ記憶領域に設定する。この処理で設定される駆動データは、割込み周期に対応した1ms間の制御を示すデータである。この処理で駆動データが設定されると、次回のタイマ割込み処理にて、当該駆動データがI/Oポート回路204からモータドライバ92へ出力される。従って、このデバイス制御データ出力処理では、駆動パターンデータに従って駆動データが割込み周期(1ms)毎に切り替えられることとなる。
次に、演出用タイマ更新処理を実行する(ステップS1114)。この演出タイマ更新処理では、演出動作制御に用いる各種の演出用タイマの値を割込み周期(例えば1ms)ずつ減算更新する。演出用タイマには、装飾図柄の変動時間を管理するためのタイマ、及び、予告演出の発生タイミングを管理するためのタイマなどが含まれる。この演出用タイマによって、変動演出パターンにおけるタイムスケジュールが管理されており、その時間軸上で可動役物の駆動タイミングや演出ランプ10,25の点灯タイミングなどの時間管理がされている。なお、演出用タイマは、この演出制御用タイマ割込み処理内のデバイス制御データ出力処理(ステップS1113)やランプデータ更新処理(ステップS1118)などにおいても利用される。
次に、ボタン制御タイマ更新処理を実行する(ステップS1115)。演出ボタン15の操作有効時間を管理するための有効時間管理タイマの値を割込み周期(本実施形態では1ms)減算更新する。なお、操作有効時間とは、演出ボタン15の操作入力が有効となる時間である。
次に、タスク制御カウンタ更新処理を実行する(ステップS1117)。このタスク制御カウンタ更新処理では、タイマ割込み毎にタスクカウンタの値(「0」〜「15」)を更新する。具体的には、タスクカウンタの値が「0」〜「14」であれば1加算し、タスクカウンタの値が「15」である場合には「0」に戻す。すなわち、このタスクカウンタは16msの循環周期を取り得る。今回更新されたタスクカウンタの値に対応して各種のタスク(タスク処理)が割り当てられており、当該タスクカウンタの値に応じて、ランプ制御タスク(ステップS1118のランプデータ更新処理)、暴走監視タスク(ステップS1119の画像CPU暴走監視処理)、エラー管理タスク(ステップS1120のエラー管理タイマ更新処理)などの各処理を実行する。本実施形態では、タスクカウンタの値(「0」〜「15」)のうち、ある1つの値がランプ制御タスクに割り当てられ、他の2つの値(互いに8ms間隔となる値)が暴走監視用タスクに割り当てられ、他の1つの値がエラー管理タスクに割り当てられている(その他のタスクの説明は省略する)。なお、前述のように、タスクカウンタの循環周期を16msに設定しているのは、演出ランプ10,25の切り換え制御の最小単位16msと一致させるためである。この演出ランプ10,25の切り換え制御の最小単位は画像フレームの1フレーム時間と対応し、画像演出とランプ演出との同期を実現している。
次に、ランプデータ更新処理を実行する(ステップS1118)。このランプデータ更新処理では、前述したデバイス管理処理(ステップS819)などで特定したランプパターンデータから所定時間分のランプデータを読み出して設定する。この処理で設定されるランプデータは、演出ランプ10,25の切り換え制御の最小単位となる16ms間の点灯制御を示すデータである。ランプデータが設定されると、当該ランプデータが出力ポート(シリアルポート)からシリアル転送にてランプ接続基板91へ自動的に出力される。このランプデータの出力処理は、シリアル通信割込み処理として構成されており、シリアル通信回路の送信バッファにランプデータを順次書き込むことで実現される。シリアル通信回路は、送信バッファのランプデータを1バイト単位でシリアル変換して、シリアルクロックと同期した態様で、1ビット毎にランプ接続基板91に対して出力する。この処理では、送信バッファが空になるまで繰り返されており、これにより送信バッファに格納された全てのランプデータ(全バイト)が出力される。従って、このランプデータ更新処理では、ランプパターンに従ってランプデータが1フレーム時間(16ms)毎に切り替えられるとともに、このランプデータがランプ接続基板91に対してシリアル転送にて出力される。なお、このランプデータ更新処理は、前述したタスク制御カウンタ更新処理(ステップS1117)でタスクカウンタの値が所定値(ランプ制御タスクを示す値)となった場合に実行される処理(つまり16ms周期で実行される処理)となっている。
次に、画像CPU暴走監視処理を実行する(ステップS1119)。この画像CPU暴走監視処理では、画像制御基板300から入力されるトグル信号を監視して、当該トグル信号が800〜1600ms(50〜100フレーム程度)の間、連続して変化しない場合に、画像制御基板300の画像制御CPU301が暴走していると判定し、演出制御基板200から画像制御基板300に対してリセット信号を送信する。これにより、画像制御基板300側は画像制御CPU301のリセット状態の発生によって、所定のリセット処理を実行する。なお、トグル信号とは、1フレーム時間毎にHレベル/Lレベルが交互に繰り返される波形の信号のことである。なお、この画像CPU暴走監視処理は、前述したタスク制御カウンタ更新処理(ステップS1117)でタスクカウンタの値が所定値(画像監視タスクを示す値)となった場合に実行される処理となっている。
次に、エラー管理タイマ処理を実行する(ステップS1120)。このエラー管理タイマ処理では、前述したエラー演出管理処理(ステップS817)でセットされたエラー演出時間を管理するためのエラー演出タイマの値を減算更新する。なお、このエラー管理タイマ処理は、前述したタスク制御カウンタ更新処理(ステップS1117)でタスクカウンタの値が所定値(エラー管理タスクを示す値)となった場合に実行される処理となっている。全ての割込みを許可した状態にするとともに、退避していたレジスタの内容を復帰させた後、演出制御側タイマ割込み処理を終了して、割込み発生前の元の処理に戻る。
<画像制御コマンドの送信割込み処理>
図60は、画像制御コマンドの送信割込み処理の一例を示すフローチャートである。この画像制御コマンドの送信割込み処理は、あらかじめ設定された一定間隔(500μs)毎に発生する。
この画像制御コマンドの送信割込み処理では、まず、演出制御情報記憶手段260の画像制御コマンドバッファをチェックする(ステップS1131)。次に、画像制御コマンドバッファにおいてリードポインタを取得し(ステップS1132)、画像制御コマンドバッファに画像制御コマンドが格納されているか否かを判定する(ステップS1133)。画像制御コマンドが格納されているか否かは、例えば、リードポインタ及びライトポインタによって確認することができる。リードポインタとライトポインタとが一致している場合には、画像制御コマンドが格納されていないことになる。画像制御コマンドが格納されている場合(ステップS1133)には、リードポインタが指す領域から画像制御コマンドを読み出す(ステップS1134)。この読み出した画像制御コマンドを、出力先として指定されたシリアル通信回路(図示せず)の出力バッファにセットする(ステップS1135)。これによりシリアルポートから画像制御コマンドが画像制御基板300に対してシリアル送信される。次に、コマンドデータ(前述したステップS1135で格納したコマンドデータ)をクリアする(ステップS1136)。次に、リードポインタを1加算して更新する(ステップS1137)。当該画像コマンドの送信割込み処理を終了して、割込み前の元の処理へ復帰する。
<大花役物の初期化動作>
前述したように本実施形態に係る大花役物820は、大花役物回転演出において、大花昇降役物821が初期位置から可動位置に進出する演出第一動作と、大花回転役物823の花弁可動片8231(より具体的には、花弁可動片8231a,8231c,8231d)が初期位置から可動位置に展開する演出第二動作と、大花回転役物823の全ての花弁可動片8231a〜8231eが回転する演出第三動作と、を順次実行することにより、通常は遊技者から見えない位置に配置されている花弁可動片8231を展開・回転させる演出態様を実現させることができる。また、上記演出態様の実行期間が終了した後は、演出第二動作及び演出第三動作で展開・回転した花弁可動片8231が初期位置に収納される演出第四動作と、大花昇降役物821が可動位置から初期位置に戻る演出第五動作とを順次実行することにより、大花役物820を通常位置(初期位置)に戻すことができる。大花役物820におけるこれらの各動作は、演出制御基板200によって制御される。
ところで、パチンコ機1では、電源投入時や、可動役物の動作中に電源断やエラーが発生した後の復帰時等には、演出制御基板200による制御に従って、可動役物の初期化動作が実行される。初期化動作は、可動役物を所定の初期位置に復帰させる初期位置復帰動作と、初期位置に復帰した可動役物を所定の動作範囲で動かして正常動作が可能であることを確認する正常動作確認動作とに分けることができ、特に可動役物の初期化動作においては、まず第一に液晶表示装置70の視認性を確保することを優先として、可動位置方向にむけて動作している可動役物24をそれぞれの初期位置に復帰させる初期位置復帰動作が必ず実行される。しかし、初期位置復帰動作においては、誤った動作制御によって可動役物が衝突等して故障・破損することがないように、開始時の可動役物の態様(状態)を正確に認識することが重要となる。
以下では、本実施形態における大花役物820の初期化動作について説明するが、まずは、大花役物820を構成する大花昇降役物821及び大花回転役物823について、それぞれの位置センサの検出仕様や各役物の動作仕様を、具体例を挙げて説明する。その後に、大花役物820の初期化動作の処理を説明する。
図61は、進出状態にある大花役物の正面図である。図61に示したように、本実施形態では、大花役物820の位置センサとして、大花昇降役物821の位置を検出するための昇降初期位置センサ8212及び昇降可動位置センサ8213(以後、両センサを総称する場合は昇降位置センサと称する)と、大花回転役物823(より厳密には特定の花弁可動片8231d)の位置を検出するための回転初期位置センサ8236及び回転戻り位置センサ8237(以後、両センサを総称する場合は回転位置センサと称する)とが設置されている。なお、簡略のため、後述する図62の表中では、昇降初期位置センサ8212を「初期位置センサ」、昇降可動位置センサ8213を「可動位置センサ」と記載している。また同様に、後述する図65及び図66の表中では、回転初期位置センサ8236を「初期位置センサ」、回転戻り位置センサ8237を「戻り位置センサ」と記載している。
<大花昇降役物の動作仕様>
まず、大花昇降役物821の動作仕様について説明する前に、図61に示した大花昇降役物821の昇降位置センサ(昇降初期位置センサ8212,昇降可動位置センサ8213)について詳しく説明する。
図61に示した昇降初期位置センサ8212は、大花昇降役物821が初期位置にあることを検出するための位置センサであり、昇降可動位置センサ8213は、大花昇降役物821が可動位置にあることを検出するための位置センサである。これらの昇降位置センサは、大花昇降役物821の昇降動作に連動して往復移動する部材(具体的には、大花役物取付ベース810側に取付けられた支持部材822b)を検出対象とし、それぞれ、センサの受光時をセンサのOFF状態とし、センサの遮光時をセンサのON状態とする。
より具体的には、検出対象部材は、大花昇降役物821の昇降動作に伴って所定区間(初期位置〜可動位置)を往復するガイドに連結され、当該区間の両端には検出対象部材の移動を抑止するメカストッパ(不図示)が設けられている。そして、大花昇降役物821が初期位置にあるときの検出対象部材によって遮光状態とされる位置(図62の「初期位置」に相当)に、昇降初期位置センサ8212が配置され、大花昇降役物821が可動位置にあるときの検出対象部材によって遮光状態とされる位置(図62の「可動位置」に相当)に、昇降可動位置センサ8213が配置される。
上記の昇降位置センサによる詳細な検出仕様の一例を補足する。まず、センサ検出はエッジで行う。そして、連続する2回の演出制御側タイマ割込み(2ms)の間、検出値が同一データであった場合に、入力ポートデータが確定する。また、チャタリング検出は3回行う。より具体的には、ポートデータを最大3回までスキャンし、2回連続で一致した場合にデータを確定する。
次に、大花昇降役物821の動作仕様について詳しく説明する。
図62は、大花昇降役物の動作仕様の一例を説明するための図である。大花昇降役物821の昇降動作(大花昇降動作)は、演出制御基板200からモータドライバ92に、大花昇降役物821の駆動モータ8211(ステッピングモータとする)を動作させるために変動演出中の役物動作パターンを規定したリクエストに基づく電気信号(駆動パルス等)を送り、モータドライバ92が当該電気信号に従って駆動モータ8211を制御することによって実現される。リクエストには、制御方向(CW/CCW)、動作速度、及び動作量が含まれ、各リクエストがID化されて管理されてもよい。また、リクエストの動作量では、具体的なステップ数の他、「所定位置に到達するまで」のような諸条件を指定することができる。
本例では、図62に示したように、大花昇降役物821を下降させる際の制御方向を「CW」としており、このとき正転(CW:ClockWise)パルスの電気信号が送られる。また、大花昇降役物821を上昇させる際の制御方向を「CCW」としており、このとき逆転(CCW:Counter-ClockWise)パルスの電気信号が送られる。また、詳細は後述する初期化動作処理でも説明するが、本実施形態では、可動役物に対する動作制御情報(リクエスト情報)のうち、少なくとも最後に実行したリクエスト情報が、演出制御RAM203において正規のラムクリアでは消去されない非消去領域に記憶される。
図62の表には、区間1〜6に分けて、大花昇降役物821の駆動モータ8211への動作パターンテーブルの内容がまとめられており(動作速度は省略)、以下の説明では、各動作パターンテーブルを「区間N(N:1〜6の整数)」で表現する。なお、当表には設計値としてのステップ数が記載されているが、実際の動作パターンテーブルで指示するステップ数は設計値に限定されるものではなく、設計値のステップ数よりも所定ステップ数だけ多く指示するようにしてもよい。具体的には例えば、大花昇降役物821の初期位置のメカストッパ(セルフロック機構)がCCW方向で初期位置センサ8212の遮光開始点から60ステップ動かした位置で掛かるように構成されているとき、可動位置センサ8213遮光後の動作(区間3)において、大花昇降役物821を確実に可動位置のセルフロック機構まで動かすために、設計値の60ステップよりも5ステップ多く動かすように指示する。同様に、初期位置センサ8212遮光後の動作(区間6)において、大花昇降役物821を確実に初期位置のセルフロック機構まで動かすために、設計値の60ステップよりも5ステップ多く動かすように指示する。また、本例のリクエストでは、ステップ数(駆動パルスの出力回数)と動作範囲(初期位置センサ、可動位置センサ等の位置検出用センサで検出するまで)の何れかを満たすことを動作量の充足条件として指示することができる。
また、大花昇降役物821の駆動制御に関して他の変形例として、大花昇降役物821の重量に基づく駆動モータ8211の脱調を考慮して、下降動作(CW)と上昇動作(CCW)とで、同一の距離を駆動する場合であっても上昇動作の方の駆動ステップ数を多く構成したり、駆動モータ8211のトルクを増すため1ステップ毎のパルス出力間隔を大きくすることなどが挙げられる。なお、1ステップ毎のパルス出力間隔(前述の動作速度)は「PPS(Pulse Per Seconds)」として表記され、1秒当たりのパルス出力数の値として表記される場合がある。
図62に示された動作仕様に基づいて、通常時における大花昇降役物821の具体的な動作制御について説明する。
通常時に大花昇降役物821を初期位置から可動位置に進出する場合(すなわち、大花役物回転演出の演出第一動作)には、演出制御基板200からモータドライバ92に対し、演出第一動作の動作リクエストを行う。演出第一動作のリクエストが実施されると、まず、大花昇降役物821が初期位置にあるときに、「CW」方向に、「初期位置センサ8212の受光が開始されるまで」または「60ステップに到達するまで」の移動を指示する区間1の動作パターンテーブルでの駆動が実行される。次に、「CW」方向に、「可動位置センサ8213の遮光が開始されるまで」または「171ステップに到達するまで」の移動を指示する区間2の動作パターンテーブルでの駆動が実行される。そして最後に、「CW」方向に、「可動位置を検出するまで」または「60ステップに到達するまで」の移動を指示する区間3の動作パターンでの駆動が実行される。なお、以下の説明では、上記のように1の動作リクエストにて複数の動作パターンでの駆動を順次実行する際は、動作パターンテーブルの実行順に記号「+」で繋いで表記する。具体的には、上記の演出第一動作の動作リクエストの場合は「区間1+区間2+区間3のリクエストを実行する」と表記することもできる。
また、通常時に大花昇降役物821を可動位置から初期位置に戻す場合(すなわち、大花役物回転演出の演出第五動作)には、演出第五動作の動作リクエスト(具体的な動作パターンで表現すると区間4+区間5+区間6のリクエスト)が実行される。
また、上述した大花昇降役物821の通常時の動作仕様に対する補足として、各動作(各リクエスト)の動作速度の制御として、必ず、加速/減速/保持制御処理を行うことが好ましい。加速処理は、動作リクエストの初期段階であり、可動役物の重量や慣性に対向して高いトルクで駆動するため、PPS値(1秒当たりのパルス出力回数)を低い駆動パターンテーブルから徐々に高いPPS値の駆動パターンテーブルに遷移して動作させる処理であり、減速処理は、加速処理とは逆で、可動役物の動作終了地点近傍にて、徐々にPPSを低い値として、ブレーキをかける処理である。そして保持制御処理は、目標とする停止位置より、可動役物内のギアなどの駆動伝達系のバックラッシなどの反動による戻りを防止するため、駆動モータに対して同一の励磁相に一定期間の励磁を継続して固定する処理である。
また、本例では具体的な説明を省略するが、大花昇降役物821に対して短周期で繰り返し昇降させる「ガタ動作」を行う場合には、初期位置から所定ステップ数以内(例えば85ステップ以内)で動作させることが好ましい。さらに、上記の「ガタ動作」を行う場合は、CWとCCWとの切替時に、ステッピングモータの駆動を停止する保持励磁(保持制御処理)を所定時間以上(例えば少なくとも50ms以上)挟むことが好ましい。このような保持励磁を行うことにより、制御方向の切替の繰り返しによって位置ずれが生じることを防止できる。
また、大花昇降役物821の特性に基づいて、初期位置センサ8212受光後は大花昇降役物821を確実にセルフロック機構(メカストッパ)まで動かすために、設計値よりも所定ステップ数(本例では5ステップとする)多く動かすように制御することが好ましい。また、大花昇降役物821が初期位置または可動位置以外で停止する動作は許可せず、初期位置または可動位置以外で停止した場合はエラーと判定することが好ましい。
ここで、可動位置以外で停止したことを検出する方法の例を説明する。演出制御基板200は、前述した演出制御側タイマ割込み処理において、駆動モータに対し駆動パルスを出力するよう構成されているが、駆動パルスの出力を行うたびに、駆動対象となっている可動役物のソフト上の位置情報を更新し、可動役物が初期位置センサや可動位置センサによって物理的に初期位置ないし可動位置に移動したことを検出する前に、更新した位置情報の値がエラー判定となる閾値を超えたとき、初期位置または可動位置以外に停止したものと判定するよう構成する(後述するステップオーバーエラー)。前述したように、可動役物に対する動作のリクエストは、センサが検出するまでという条件で動作パターンテーブルの動作条件が設定される場合があるが、この場合についても、ステップ数オーバーエラーを判定するための仮の閾値となるステップ数が設定されている。
なお、大花昇降役物821の通常時以外の動作(具体的には、電源立上げ時の初期化動作やエラー発生時の復帰動作等)については、後述する大花役物の初期化動作制御の説明のなかで詳述する。
<大花回転役物の動作仕様>
まず、大花回転役物823の動作仕様について説明する前に、図61に示した大花回転役物823の回転位置センサ(回転初期位置センサ8236,回転戻り位置センサ8237)について詳しく説明する。
図61に示した回転初期位置センサ8236は、大花回転役物823の花弁可動片8231dが初期位置にあることを検出するための位置センサであり、回転戻り位置センサ8237は、大花回転役物823の花弁可動片8231dが戻り位置にあることを検出するための位置センサである。回転初期位置センサ8236及び回転戻り位置センサ8237(総称して回転位置センサ)は、大花回転役物823(厳密には花弁可動片8231d)の展開・収納動作に連動して回転する部材(具体的には、図63等に示す回転部材8241)を検出対象とし、それぞれ、センサの遮光時をセンサのOFF状態とし、センサの受光時をセンサのON状態とする。
ここで、大花回転役物823の態様(状態)を検出するために、回転位置センサによって花弁可動片8231dの位置を検出する理由について詳しく説明する。
図18〜図20に示したように、大花回転役物823の5つの花弁可動片8231a〜8231eは、奥行き3層の構造で形成されている。詳しくは、花弁可動片8231a,8231cは、第1層(前側)に同一部材によって相対的な位置関係を固定して形成されており、花弁可動片8231b,8231eは、第2層(中側)に同一部材によって相対的な位置関係を固定して形成されており、花弁可動片8231dは、第3層(後側)に形成されている。また、大花回転役物823の駆動モータ(不図示)は、第3層の花弁可動片8231dに対して、正転(CW)/逆転(CCW)方向で切替可能な回転駆動力を提供する。
そして、第1層は、回転方向を反転するギアで第3層と接続されることで、第3層の花弁可動片8231dが初期位置から可動位置まで展開するときに、第1層の花弁可動片8231a,8231cは、同一の回転角で逆回転の動作を行って展開する。さらに、第1層は、第3層が可動位置を超えた段階でトルクリミッタによって展開状態を維持し、その後は、第3層に連れまわり、同方向に回転する。また、第2層には、第3層の花弁可動片8231dが一定量展開するための溝(不図示)が設けられており、第3層の花弁可動片8231dが展開動作を行ったとき、溝の端部に到達するまでは、第2層の花弁可動片8231b,8231eは初期位置に留まる。そして、第3層の花弁可動片8231dが溝の端部に到達した以降は、第3層に連れまわり、同方向に回転する。
このような構造を有することにより、大花回転役物823は、5つの花弁可動片8231a〜8231eが2箇所に収納された状態(図19参照)から、第3層の花弁可動片8231dをCW方向に可動位置に展開させたとき、第1層の花弁可動片8231a,8231cも同時にCCW方向に展開するため、最短のステップ数で5つの花弁可動片8231a〜8231eによって花冠を形成した状態(図20参照)を現出させることができる。さらに、その後は、花冠を形成した状態を維持したまま、5つの花弁可動片8231a〜8231eを回転させることができる。すなわち、大花回転役物823は、1つの駆動モータによって第3層の花弁可動片8231dを動作させるだけで、第1層及び第2層の他の花弁可動片8231a〜8231c,8231eも連動させることができ、花弁可動片8231の展開・収納動作や、回転動作を実現することができる。
以上のことを考慮して、本実施形態では、大花回転役物823の態様(状態)を検出するための必要最低限の個数の位置センサとして、花弁可動片8231dの所定位置(初期位置及び戻り位置)を検出するための2個の回転位置センサ(回転初期位置センサ8236及び回転戻り位置センサ8237)が設けられる。なお、戻り位置は、正転(CW)方向の動作中に逆転(CCW)方向への動作変更を規制するための基準点であって、CW方向で可動位置よりも先に設定される。具体的な規制の内容は、図65,図66を参照しながら後述する。
図63は、回転位置センサユニットの分解斜視図である。図63に示したように、回転位置センサユニット8240は、大花回転役物823の回転位置センサを有するユニットであって、花弁可動片8231dの動作に連動して回転する回転部材8241と、回転初期位置センサ8236及び回転戻り位置センサ8237が設けられたセンサ部材8242と、回転部材8241及びセンサ部材8242を支持する支持部材8243とを備えて構成される。
図64は、回転位置センサユニットの回転部材及びセンサ部材の拡大図である。図64に示したように、回転部材8241の側面には切欠部8244が形成され、センサ部材8242に設けられた溝部8245に、切欠部8244が移動可能に嵌合される。このような構造により、回転部材8241の回転に伴って切欠部8244が溝部8245を移動することで、回転初期位置センサ8236及び回転戻り位置センサ8237のそれぞれにおける受光/遮光の状態が変化する。具体的には、切欠部8244が回転初期位置センサ8236の検出位置にある場合、回転初期位置センサ8236は受光してON状態となり、切欠部8244が回転戻り位置センサ8237の検出位置にある場合、回転戻り位置センサ8237は受光してON状態となる。また、回転初期位置センサ8236の中心位置には、1方向の回転動作を許容するラチェット式のメカストッパ8246が設けられている。
上記の回転位置センサによる詳細な検出仕様の一例を補足する。まず、センサ検出はエッジで行う。そして、連続する2msの間、検出値が同一データであった場合に、入力ポートデータが確定する。また、チャタリング検出は3回行う。より具体的には、ポートデータを最大3回までスキャンし、2回連続で一致した場合にデータを確定する。
次に、大花回転役物823の動作仕様について詳しく説明する。
図65,図66は、大花回転役物の回転動作時の動作仕様の一例を説明するための図(その1,その2)である。図65には、花弁可動片8231を展開または回転する動作(大花回転動作)における大花回転役物823の動作仕様の一例が示されており、大花回転動作における全ての動作パターンテーブルはCW方向で指示され、このとき花弁可動片8231dは時計回りに回転する。一方、図66には、花弁可動片8231を収納する動作(大花収納動作)における大花回転役物823の動作仕様の一例が示されており、図66に示したように、大花収納動作における全ての動作パターンテーブルはCCW方向で指示され、このとき花弁可動片8231dは反時計回りに回転する。
但し、厳密には、図66に示したCCW方向の動作パターンテーブルは、大花収納動作がリクエストされたときにおける中心的な動作を担う動作パターンテーブルに過ぎず、実際の大花収納動作では、状況に応じて、図65に示した一部のCW方向の動作パターンテーブルを使用した動作も適宜実行される。これらの詳細については、後述する具体例のなかで明らかにされる。
また、本実施形態では、図66に示したCCW方向の動作を行うリクエストの制約として、CW方向の動作中、図65に示す区間6または区間7以外の位置からCCW方向に動作させることは禁止されるとする。
大花回転役物823による大花回転動作及び大花収納動作は、演出制御基板200からモータドライバ92に、大花回転役物823の駆動モータ(ステッピングモータとする)を動作させるための電気信号を送り、モータドライバ92が当該電気信号に従って、大花収納動作に対応するリクエストに含まれる動作パターンテーブルを順次切り替えながら駆動モータを制御することによって実現される。前述した大花昇降役物821の動作仕様の場合と同様に、上記リクエストには、制御方向(CW/CCW)、動作速度、及び動作量が規定された1ないし複数の動作パターンテーブルが含まれ、各リクエストがID化されて管理されてもよい。動作パターンテーブルの動作量では、具体的なステップ数の他、「所定位置に到達するまで」のような諸条件を指定することができる。
また、図65,図66には、大花昇降役物821の動作仕様で参照した図62と同様に、区間に分けて、大花回転役物823の駆動モータへの動作リクエストを構成し得る動作パターンテーブル要素の内容が表にまとめられている。なお、図62の場合と同様に、表には設計値としてのステップ数が記載されているが、実際のリクエストで動作パターンテーブルを呼び出し指示するステップ数は設計値に限定されるものではなく、設計値のステップ数よりも所定ステップ数だけ多く指示するようにしてもよい。また、本例のリクエストでは、動作内容に基づいてステップ数と動作範囲の何れかを満たすことを動作量の充足条件として適宜組み合わせて指示することができる。
なお、本例では、大花回転役物823の初期位置は、初期位置センサ8236に対する受光領域の中心とし、具体的には例えば、CCW方向で初期位置センサ8236による受光開始点からCCW方向に6ステップ動かした点とする(CW方向で初期位置センサ8236による受光開始点からCW方向に6ステップ動かした点ともいえる)。また、大花回転役物823の戻り位置は、戻り位置センサ8237に対する受光領域の中心とし、具体的には例えば、CW方向で戻り位置センサ8237による受光開始点からCW方向に6ステップ動かした点とする。
図65,図66に示された動作仕様に基づいて、通常時における大花回転役物823の具体的な動作制御について説明する。
通常時に大花回転役物823(花弁可動片8231d)を初期位置から可動位置に展開させる場合(すなわち、大花役物回転演出の演出第二動作)には、区間1+区間3のリクエストが実行される(図65参照)。なお、厳密には、区間3よりもステップ数の少ない区間2を用いたリクエストを実行することによって(すなわち、区間1+区間2のリクエスト)、花弁可動片8231dを初期位置から可動位置に展開させることができる。しかし、本実施形態では、敢えて区間1+区間3のリクエストを実行することによって、可動位置よりも先の戻り位置の手前(戻り位置センサ8237受光開始)まで花弁可動片8231dを移動させ、確実に可動位置を超えられるように余裕を持たせている。具体的なステップ数で言えば、区間1と区間2のステップ数(設計値)の合計は104ステップであるのに対し、区間1と区間3のステップ数(設計値)の合計は118ステップであることから、14ステップ分の余裕を持たせることができる。また、区間1+区間3のリクエストを用いると、戻り位置センサ8237の受光状態に切り替わることを検出可能であり、物理的に確実に移動したことが検出され動作の確実性も向上する。
また、通常時に大花回転役物823を回転させる場合(すなわち、大花役物回転演出の演出第三動作)には、区間4の動作パターンテーブルが回転数分だけ繰り返されるリクエストが実行される(図65参照)。このとき大花回転役物823の回転を行うたびに初期位置センサ8236にて通過を検出されることとなり、初期位置センサ8236にて検出される毎に区間4の動作パターンテーブルを繰り返し呼び出すよう構成される。
また、通常時に回転後の大花回転役物823を初期位置に収納する場合(すなわち、大花役物回転演出の演出第四動作)には、前述したCCW方向のリクエストの制約を考慮して、次のような2通りの動作制御が行われる。
第1に、収納開始時(回転後)の花弁可動片8231dの位置が、CW方向で見て初期位置から戻り位置までの間であった場合、すなわち、図65に示した区間1、区間3、または区間5の範囲であった場合には、まず、CW方向のリクエストを実行して、花弁可動片8231dをCW方向で戻り位置に移動させる調整動作を行う。具体的には例えば、初期位置センサ8236遮光開始後で戻り位置センサ8237受光開始前(区間3に相当)であれば、区間3+区間5のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dは戻り位置に移動する(リクエスト時に花弁可動片8231dが区間3に存在していた場合であっても、区間3の動作パターンテーブルは、戻り位置センサ8237の受光開始、すなわちセンサの検出状態の変化があった立ち上がり/立ち下がりタイミングにて、区間5の動作パターンテーブル制御へ移行する)。そして、戻り位置に移動した後は、図66の区間9+区間10+区間11のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dはCCW方向で初期位置に移動し、メカストッパ8246で停止する。
第2に、収納開始時(回転後)の花弁可動片8231dの位置が、CW方向で見て戻り位置を超えて初期位置に到達するまでの間であった場合、すなわち、図65に示した区間6または区間7の範囲であった場合には、花弁可動片8231dの位置に応じてCW方向のリクエストを実行することで、花弁可動片8231dをCW方向で戻り位置に移動させることができる。具体的には例えば、戻り位置を超えて戻り位置センサ8237遮光開始前(区間6に相当)であれば、区間6+区間7+区間8のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dは初期位置に移動できる。また例えば、戻り位置センサ8237遮光開始後で初期位置センサ8236受光前(区間7に相当)であれば、区間7+区間8のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dは初期位置に移動できる。
第2の状況において、初期位置までCW方向で花弁可動片8231dが復帰した後は、再度CW方向に区間1+区間3+区間5のリクエストを実行し、戻り位置に移動させた後、図66の区間9+区間10+区間11のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dはCCW方向で初期位置に移動し、メカストッパ8246で停止する。
このように、大花役物回転演出の演出第四動作では、収納開始時の花弁可動片8231dの位置に応じて、CW/CCW方向のリクエストの実行パターンを変えることにより、収納開始前の複数の花弁可動片8231がどのような位置にあったとしても、確実かつ安全に、回転後の全ての花弁可動片8231a〜8231eを初期位置に収納することが可能となる。
また、上述した大花回転役物823の通常時の動作仕様に対する補足として、各動作(各リクエスト)の動作速度の制御として、必ず、加速/減速/保持制御処理を行うことが好ましい。また、動作方向をCWからCCWに切り替える場合も、保持制御処理を行うことが好ましい。
また、大花回転役物823の特性に基づいて、大花収納動作において、初期位置センサ8236受光後は大花回転役物823(花弁可動片8231)を確実にロック状態で停止させるために、設計値よりも所定ステップ数(本例では10ステップとする)多く動かすように制御することが好ましい。
ここまで述べたように、大花回転役物823は、初期位置センサ8236を検出する状況として、非動作時、演出第三動作(回転動作)中の一部、演出第四動作の完了後、が存在し、中でも演出第三動作中にて初期位置センサ8236が初期位置を検出している状況では、花弁可動片8231a〜8231eが展開状態となっている。そのため、大花回転役物823の通常時以外の動作(具体的には、電源立上げ時の初期化動作やエラー発生時の復帰動作等)については特殊な動作制御が必要となるが、特殊な動作に係る説明は後述する大花役物の初期化動作の説明のなかで詳述する。
<大花役物の初期化動作処理>
ここでは、上述した大花昇降役物821及び大花回転役物823の動作仕様を用いて、大花役物820の初期化動作における具体的な処理内容について詳しく説明する。前述したように、初期化動作は、可動役物を所定の初期位置に復帰させる初期位置復帰動作と、初期位置に復帰した可動役物を所定の動作範囲で動かして正常動作が可能であることを確認する正常動作確認動作とに分けることができ、特に可動役物の初期化動作においては、初期位置復帰動作が必ず実行される。これらの各動作は、演出制御基板200によって制御される。
本実施形態に係るパチンコ機1において、可動役物の初期化動作が行われる通常時とは異なる特定の状況として、例えば、以下のような状況が挙げられる。
第1例として、電源復帰時には、可動役物の初期化動作として初期位置復帰動作及び正常動作確認動作が順次実行される。この電源復帰時には、通常の電源OFF/ONによるパチンコ機1の電源復帰時の他、停電等による突然の電源断からの電源復帰時も含まれる。
第2に、可動役物におけるステップ数オーバー時には、エラー判定となり、当該エラーからの復帰処理において、当該可動役物に関連のある可動役物(より具体的には、同時に可動する場合の動作制限の有無を示す同時可動制限表(不図示)において禁則関係にある可動役物)の初期化動作として初期位置復帰動作及び正常動作確認動作が順次実行される。
ここで、ステップ数オーバーとは、リクエストに従って動作した可動役物が、当該リクエスト(動作パターンテーブル)で指示されたステップ数に対応して定める閾値を超えても所定のセンサによる検知が行われなかった状態を意味する。ステップ数オーバーによるエラーを判定したとき、演出制御基板200は、関連する役物の動作処理を停止し、それ以降は可動役物の遊技動作リクエストを受け付けないようにする。但し、液晶表示装置70の表示面を隠してしまうような可動役物については、遊技の進行に対する可視性を保つため、特に大当りであるか否かを識別可能とする装飾図柄の停止表示の可視性を保つために、可及的に当該可動役物を初期位置に戻すリクエストを実行した上で、以降の遊技動作のリクエストを受け付けないようにしてもよい。
第3に、可動役物のポジションチェックの結果がエラー判定となったときには、当該エラーからの復帰処理において、当該可動役物の初期化動作として初期位置復帰動作が実行され、初期位置に戻される。ここで、ポジションチェックとは、遊技の節目でセンサの入力確認を行い、初期位置にいない場合にエラー判定する処理である。また、遊技の節目とは、例えば、デモ演出の開始時/終了時、大当りの開始時/終了時、変動開始時/変動停止時等である。なお、可動役物および遊技状態(あるいは演出モード)によっては「可動位置」が、「初期位置」として扱われる場合もある。
第4に、時間監視チェックの結果がエラー判定となったときには、当該エラーからの復帰処理において、当該可動役物の初期化動作として初期位置復帰動作が実行され、初期位置に戻される。ここで、時間監視チェックとは、可動役物が初期位置にいるはずの状況で所定時間(例えば5秒)以上、当該可動役物に対応する初期位置センサ8212,8236のOFF状態を検知した場合にエラーと判定する処理である。なお、時間監視チェックによるチェック対象は、初期位置だけに限定されず、他の所定位置を対象としてチェックを行ってもよい。
以下では、図67及び図68を参照しながら、本実施形態の大花役物820における初期位置復帰動作及び正常動作確認動作の処理を説明する。なお、本実施形態の大花役物回転演出では、大花役物820に連動してシャッター役物870も動作することから、大花役物820の初期化動作においてシャッター役物870の初期化動作も併せて行われるとしている。
図67は、本実施形態に係るパチンコ機の初期位置復帰動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るパチンコ機1の初期位置復帰動作では、大花役物820に含まれる2つの可動役物(大花昇降役物821、大花回転役物823)とシャッター役物870とを、それぞれの初期位置に復帰させる動作制御が行われる。
図67によればまず、ステップS1011において、演出制御基板200は、昇降初期位置センサ8212及び回転初期位置センサ8236の検出状態に基づいて、大花昇降役物821が初期位置にあり、かつ、大花回転役物823が初期位置にあるか否かを判定する。ステップS1011において肯定結果が得られた場合には(ステップS1011のYES)、両可動役物は何れも初期位置にあることから、ステップS1016に進む。一方、ステップS1011において否定結果が得られた場合には(ステップS1011のNO)、ステップS1012に進む。
ステップS1012では、演出制御基板200は、大花回転役物823が初期位置にあり、かつ、前回の大花回転役物823の動作パターン(リクエスト)が、「戻り位置」から「初期位置」までの区間でCCW方向に動作させるものであったか否かを判定する。具体的には、図66に示した区間9+区間10+区間11のリクエスト(すなわち収納動作のリクエスト)であったか否かを判定する。
ここで、本実施形態に係るパチンコ機1は、演出制御基板200は、可動役物に対する動作制御情報(リクエスト情報)を、演出制御RAM203のうちの、正規のラムクリア処理ではクリアされない領域(以後、非消去領域とも称する)に記憶するよう構成される。ここでいう正規のラムクリア処理とは、電源OFF/ONやRAMクリアスイッチの操作等を契機として、演出制御基板200の演出制御RAM203に対して実行されるメモリ領域の初期化に相当する。なお、非消去領域には、必ずしも過去の全てのリクエスト情報を記憶しなくてもよく、少なくとも最後に実行(送信)したリクエスト情報が保持されればよい。
したがって、本実施形態に係るパチンコ機1では、上記の非消去領域に記憶されたリクエスト情報は、電源断や通常のRAMクリアが行われても、演出制御RAM203に保持され、当該リクエスト情報を参照することにより、演出制御基板200(特に演出制御CPU201)は、前回の動作パターンを確認することができ、具体的には動作方向(CW/CCW)や動作区間を識別することができる。
但し、チェックサム異常等のように演出制御RAM203の全記憶領域をクリアする必要がある状況では、上記の非消去領域もクリアされる。全記憶領域がクリアされた場合は、ステップS1012の判定を行うことはできないが、このとき、演出制御基板200は、図67に示す処理手順で初期位置復帰動作を行わずに、通常の演出動作制御(大花役物回転演出)と同様の制御手順で、可動役物に一連の動作を実行させる。この結果、演出制御RAM203の全記憶領域がクリアされた場合であっても、確実に可動役物を初期位置に移動させることができる。
図67の説明に戻る。上述したように非消去領域に前回のリクエスト情報が保持されることから、ステップS1012において、演出制御基板200は、非消去領域に記憶された前回のリクエスト情報を参照することにより、大花回転役物823(花弁可動片8231d)の前回の動作パターンを識別することができる。具体的には、前回のリクエストが図66の区間9+区間10+区間11のリクエストから構成されていた場合、戻り位置から初期位置に向けたCCW方向の動作、すなわち、花弁可動片8231a〜8231eの収納動作が行われていたことが分かる。そして、収納動作が行われ、かつ回転初期位置センサ8236がON状態であれば、収納動作が完了していたことを意味する。なお、花弁可動片8231dが初期位置まで移動して収納動作が完了した場合には、連れまわりにより、他の花弁可動片8231も展開前の初期位置に収納されている。したがって、ステップS1012で肯定判定が得られた場合には(ステップS1012のYES)、大花回転役物823は全ての花弁可動片8231a〜8231eが収納完了した状態であると識別できる。この状態では、大花回転役物823に対する初期位置復帰動作は不要であるため、ステップS1013〜S1015の処理を行うことなく、ステップS1016に進む。
一方、大花回転役物823が初期位置にない(回転初期位置センサ8236がOFF状態)場合は、前回の動作が収納動作であったか展開動作や回転動作であったかに拘わらず、大花回転役物823の全ての花弁可動片8231が収納状態とはなっていないことを意味する。また、前記のリクエストが図66の区間9+区間10+区間11の収納動作に係るリクエスト以外のリクエストであった場合には、花弁可動片8231dに対してCW方向の動作(展開動作または回転動作)が行われていた可能性が高いことを意味するため、仮に回転初期位置センサ8236がON状態であったとしても、花弁可動片8231d以外の花弁可動片8231が収納状態にないケースが想定される。以上のことから、ステップS1012で否定判定が得られた場合には(ステップS1012のNO)、大花回転役物823は全ての花弁可動片8231a〜8231eが収納完了した状態ではないと識別できる。このような状態では、大花回転役物823に対する初期位置復帰動作として、一旦、花弁可動片8231dをCW方向で戻り位置まで移動させた後に、CCW方向で初期位置に移動させる必要がある。そこで、ステップS1013〜S1015の処理が行われる。
ステップS1013では、演出制御基板200は、大花昇降役物821を可動位置に移動させる。ステップS1013における具体的な制御としては、図62の区間1+区間2+区間3のリクエストを実行すればよい。このステップにより、大花昇降役物821が可動位置に移動することから、大花回転役物823の花弁可動片8231に対する動作制御を実行しても、花弁可動片8231が周囲に衝突等しない安全を確保できる。
次いで、ステップS1014では、演出制御基板200は、通常の演出動作時と同様のCW方向の動作制御によって、大花回転役物823(より具体的には、花弁可動片8231d)を戻り位置に移動させる。ステップS1014における具体的な制御としては、例えば、回転初期位置センサ8236がON状態であれば、図65の区間5のリクエストを実行すればよい。またS1013の処理のとき、例えば、回転戻り位置センサ8237がON状態であれば、図65の区間6+区間7+区間8のリクエストを実行後に、図65の区間1+区間3+区間5のリクエストを実行すればよい。何れの場合も、通常の演出動作(大花回転演出の第二演出動作や第三演出動作)と同様のCW方向で動作させる。このステップにより、全ての花弁可動片8231a〜8231eは、初期位置への収納動作を開始可能な状態となる。
次に、ステップS1015において、演出制御基板200は、ステップS1014で戻り位置に移動させた大花回転役物823(花弁可動片8231d)を初期位置に移動させる。ステップS1015における具体的な制御としては、図66の区間9+区間10+区間11のリクエストを実行すればよい。このステップが実行されると、連れまわりによって、花弁可動片8231d以外の花弁可動片8231も展開前の収納状態となる。ステップS1015が完了すると、ステップS1016の処理が行われる。
ステップS1016では、演出制御基板200は、大花昇降役物821を初期位置に移動させる。ステップS1016における具体的な制御としては、図62の区間4+区間5+区間6のリクエストを実行すればよい。ステップS1016までの処理が完了した時点で、大花昇降役物821及び大花回転役物823は初期位置に復帰することになる。
そして最後に、ステップS1017において、演出制御基板200は、シャッター役物870を初期位置に移動させ、初期位置復帰動作を終了する。
なお、図67に示した各ステップの処理において、対象の可動役物が既に当該ステップにおける処理の移動先にあった場合(例えば、ステップS1016において、大花昇降役物821が既に初期位置にいた場合等)には、当該ステップにおける動作制御は実行しなくてもよい(無視してよい)。
以上、図67に示した初期位置復帰動作が行われることにより、大花役物820(大花昇降役物821及び大花回転役物823)とシャッター役物870とを初期位置に復帰させることができる。
このような図67の初期位置復帰動作では、大花回転役物823の初期位置復帰動作について、前回の動作方向(動作パターン)を記憶しておくことにより、回転初期位置センサ8236と記憶している動作方向との組合せが、収納完了状態を意味する復帰許可態様(ステップS1012)であるかを確認することが特徴的である。ここで復帰許可態様の確認ができなかった場合には、回転初期位置センサ8236が検出している状態であっても、以降の復帰動作(正常動作確認動作)に進むことは許可されず、一旦、演出動作パターン(CW方向のリクエスト)によって回転戻り位置センサ8237が検出するまで動作させ、逆方向(CCW)の動作パターンで改めて回転初期位置センサ8236に検出させる(ステップS1014〜S1015)。なお、非消去領域における記憶情報が壊れる等して、前回の動作方向が特定できなかった場合も、復帰許可態様の確認ができなかった場合と同様の動作制御を行うことで、確実に収納完了状態とすることができる。
図68は、本実施形態に係るパチンコ機の正常動作確認動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るパチンコ機1の正常動作確認動作では、それぞれが初期位置にある大花役物820(大花昇降役物821、大花回転役物823)とシャッター役物870とについて、それぞれの可動位置まで動作させた後に改めて初期位置に戻す動作(初期化順序動作)を実施することにより、各可動役物が正常動作を可能であることを確認する。
図68によればまず、ステップS1021において、演出制御基板200は、大花昇降役物821を可動位置に移動させる。ステップS1021における具体的な制御としては、図62の区間1+区間2+区間3のリクエストを実行すればよい。ステップS1021の処理が完了すると、ステップS1022に進む。
ステップS1022では、演出制御基板200は、大花回転役物823の初期化順序動作を実施する。大花回転役物823の初期化順序動作の具体的な制御としては、大花役物回転演出の演出第二動作、演出第三動作、及び演出第四動作で大花回転役物823に対して行われる動作制御を順次実行すればよい(詳細な制御内容は前述しているため省略する)。ステップS1022の処理が完了すると、ステップS1023に進む。
ステップS1023では、演出制御基板200は、大花昇降役物821を初期位置に戻す。ステップS1023における具体的な制御としては、図62の区間4+区間5+区間6のリクエストを実行すればよい。
そして最後に、ステップS1024において、演出制御基板200は、シャッター役物870の初期化順序動作を実施し、正常動作確認動作を終了する。シャッター役物870の初期化順序動作の詳細は省略するが、シャッター役物870を可動位置に移動させた後に、初期位置に戻すだけであってもよいし、可動位置に移動させた後にLEDを用いた発光演出を確認するようにしてもよい。
以上、図68に示した正常動作確認動作が行われることにより、大花役物820(大花昇降役物821及び大花回転役物823)とシャッター役物870が正常動作可能なことを確認することができる。
なお、図67に示した初期位置復帰動作におけるステップS1013〜S1016の処理は、正常動作確認動作における大花昇降役物821及び大花回転役物823の初期化順序動作(図68のステップS1021〜S1023)と同様の処理である。そこで、本実施形態の初期化動作では、図67に示した初期位置復帰動作においてステップS1012のNOを経てステップS1013〜S1015の処理が行われた場合は、正常動作確認動作においてステップS1021〜S1023の処理を省略してもよい。このように動作の繰り返しを省略することにより、初期化動作の全体的な所要時間を短縮することができる。
<まとめ>
本実施形態ではここまで、大花役物820を、実行可能な動作態様の違いによって、直線的な動作(昇降)を可能な大花昇降役物821と、回転的な動作(展開/収納、回転)を可能な大花回転役物823とに分けて説明したが、演出制御基板200によって一連の演出動作が制御される可動役物としてみると、大花役物820を1つの可動役物とすることができる。このとき大花役物820は、一連の大花回転演出において、大花役物820を昇降する1段階目の動作(演出第一動作)、大花役物820を展開する2段階目の動作(演出第二動作)、そして大花役物820を回転する3段階目の動作(演出第三動作)という、それぞれ動作態様が異なる3段階動作を連続的に実行することができる可動役物といえる。また、大花役物820は、大花昇降役物821及び大花回転役物823のためにそれぞれ少なくとも1つの駆動源(駆動モータ)を必要とすることから、少なくとも2つの駆動源を有する。
次に、大花役物820に含まれる大花回転役物823は、回転可能な5つの花弁可動片8231a〜8231eが連結して3層に積層された構造となっており、演出動作時には、そのうちの第3層(花弁可動片8231d)のCW方向の回転に伴って、第1層(花弁可動片8231a,8231c)がCCW方向に所定量だけ展開し、その後は、第1層及び第2層(花弁可動片8231b,8231e)が第3層と連れまわってCW方向に回転するため、これらを初期位置に収納するためには、所定の収納条件を満たすように、第3層(花弁可動片8231d)を演出動作時とは逆のCCW方向に回転させて、第1層及び第2層を初期位置に戻す動作制御が必要となる。
また、このような大花役物820では、一連の演出動作過程で、より具体的には、演出第二動作における花弁可動片8231dの展開開始時や、演出第四動作における花弁可動片8231dの収納完了時だけでなく、演出第三動作における花弁可動片8231dの回転動作時に、大花回転役物823に関する回転初期位置センサ8236(第1のセンサ)が度々ON状態を検出する構造となっている。また、花弁可動片8231dの動きに伴って他の複数の花弁可動片8231が連れまわる仕様である。このため大花役物820は、回転初期位置センサ8236の検出状態で複数の役物状態が存在し得る可動役物であり、回転初期位置センサ8236が検出していることだけでは大花役物820(特に大花回転役物823)の状態を特定することはできない。具体的には例えば、花弁可動片8231dの回転制御における駆動方向(CW/CCW)の差によって、複数の異なる動作形態(例えば、花弁可動片8231の展開時、回転時、または収納時)が存在する。すなわち、本実施形態に係る大花役物820は、大花回転演出という一連の演出動作によって、多様な動作形態を有する演出動作を実現可能な可動役物であり、その結果、単調な演出動作を組み合わせた可動役物では実現できない、高い演出効果を奏することができる。
前段落で述べたように、本実施形態の大花役物820は、演出動作時に回転初期位置センサ8236が何度も花弁可動片8231dを検出する仕様であり、回転初期位置センサ8236の検出状態で複数の役物状態が存在し得る可動役物である。したがって、演出動作後(あるいは演出動作中)に電源断やエラーが発生する等して、復帰時に大花役物820の初期化動作を実施しようとしたとき、回転初期位置センサ8236が検出状態であったとしても、大花回転役物823が収納状態にある(言い換えれば、複数の花弁可動片8231の全てが収納状態にある)とは限らない。そこで、大花役物820の初期化動作において初期位置復帰動作を安全に実施可能にするために、以下のような工夫がなされている。
具体的には、大花回転役物823において、第1のセンサ(回転初期位置センサ8236)とは異なる位置、より具体的には、第3層に連れまわされて同方向に第1層及び第2層がCW方向に回転動作を開始する位置よりも先の戻り位置に第2のセンサ(回転戻り位置センサ8237)を設けている。また、大花役物820の各段階の動作制御情報(リクエスト情報)を、通常では消去されない記憶領域(演出制御RAM203の非消去領域)に保持するようにしている。
そして本実施形態の大花役物820は、上記のように構成されることにより、大花役物820の初期化動作において大花役物820の初期位置復帰動作を実行する場合に、演出制御基板200が、第1のセンサによる検出状況と、上記記憶領域(非消去領域)に保持された動作制御情報(リクエスト情報)との組合せに基づいて、初期位置復帰動作に伴う大花役物820の動作を異なる動作制御パターンで制御することができる。
具体的には、図67に示した初期位置復帰動作のように、例えば、大花昇降役物821の初期位置センサ8212及び大花回転役物823の初期位置センサ8236が何れもON状態であった場合は(ステップS1011のYES)、大花昇降役物821及び大花回転役物823がともに初期位置にある状態と識別し、収納動作を省略する。また例えば、大花回転役物823の初期位置センサ8236がON状態で、かつ、前回の大花回転役物823に対する動作制御がCCW方向で戻り位置から初期位置に移動させるものであった場合には(ステップS1012のYES)、大花回転役物823の収納動作が完了している状態と識別し、収納動作を省略する。これらの組合せの場合、不要な収納動作を省略することにより、より速やかに初期化動作を実現することができる。また例えば、大花回転役物823の初期位置センサ8236がON状態でないか、または、前回の大花回転役物823に対する動作制御がCW方向で移動させるものであった場合には(ステップS1012のNO)、大花回転役物823が収納不能な状態であると識別することができるため、大花回転役物823の複数の花弁可動片8231を確実に収納状態にするための処理(ステップS1013〜S1015)を実施するように制御する。
以上のように、本実施形態に係るパチンコ機1によれば、センサの設置個数が必要最低限に抑えられたなかで、各初期位置センサ(昇降初期位置センサ8212、回転初期位置センサ8236)による検出状況と非消去領域に保持されたリクエスト情報(特に動作方向が重要)との組合せに基づいて、演出制御基板200が、大花役物820の状態を的確に特定することができるため、無駄な動作制御を排除しながら、安全に大花役物820の初期化動作を実行することができる。
なお、本実施形態の大花役物820の初期化動作に関するその他の特徴について以下に補足する。
本実施形態に係る大花役物820では、大花回転役物823において第1のセンサ(回転初期位置センサ8236)とは異なる位置に第2のセンサ(回転戻り位置センサ8237)を設け、初期位置復帰動作において、第2のセンサが検出した状態から復帰用の所定の動作制御(復帰第一動作制御)を実行することにより、確実かつ安全に、大花回転役物823(連れまわる複数の花弁可動片8231)を安全かつ確実に初期位置に収納することができる。この復帰第一動作制御は、通常時に大花回転役物823を展開する動作制御(大花役物回転演出の演出第二動作の制御)とは異なる動作態様を有し、大花役物回転演出の演出第四動作における制御に相当する。具体的には、図66を参照しながら前述したように、戻り位置にある花弁可動片8231dに対して区間9+区間10+区間11のリクエストを実行することにより、花弁可動片8231dは、通常の演出動作時の回転方向(CW)とは逆のCCW方向で初期位置に移動し、メカストッパ8246で停止することができる。
また、大花役物820に関する本実施形態の変形例として、第2のセンサ(回転戻り位置センサ8237)を設けないように構成し、初期位置センサから移動させたステップ数によって管理するよう構成してもよい。このように構成する場合、大花回転役物823を収納しようとする際には、第1のセンサ(回転初期位置センサ8236)による検出位置から、通常の演出動作時と同じCW方向で「所定量(所定ステップ数)」を動かした後に、CCWで第1のセンサが検出するまで戻す動作制御を行うことにより、大花回転役物823を収納状態にすることが期待できる。このとき、センサの設置個数を更に抑えることができる。但し、戻り位置と同様またはそれ以上の位置に「所定量」を設定したとしても、モータの不具合などの影響で、実際に「所定量」の分だけ駆動した後に戻り動作が行われたかは確認できないため、第2のセンサを設けた場合の動作制御に比べると、安全性や確実性が低下する。
また、本実施形態に係るパチンコ機1は、上述した大花役物820における特徴的な構造や動作制御を適宜採用した他の可動役物を備えてもよい。さらに、このような可動役物によって実行可能な演出動作は回転動作に限定されず、揺動動作や往復動作等を行うものであってもよい。具体的には例えば、大花回転役物823に相当する可動役物の連結ギア等にセンサ検出片を設け、リンク機構等を用いて、駆動される回転運動を往復運動に変換する等が考えられる。
以上、本発明の遊技機の一実施形態としてパチンコ機で説明したが、本発明はパチンコ機に限定されることはない。すなわち、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシンや、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機や、遊技球や遊技メダル等を要さない管理遊技機(封入式遊技機、メダルレス遊技機)や、カジノマシン等であっても本発明を適用することができる。