JP2020079953A - 偏光解消板、それを用いた光学機器及び液晶表示装置、並びに偏光解消板の製造方法 - Google Patents

偏光解消板、それを用いた光学機器及び液晶表示装置、並びに偏光解消板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の偏光解消板よりも偏光解消度に優れた偏光解消板を提供する。【解決手段】本発明の偏光解消板は、透光基板の表層部に、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、所定の偏光状態の光を入射した際に、その偏光を解消することのできる偏光解消板、それを用いた光学機器及び液晶表示装置、並びに偏光解消板の製造方法に関する。
分光器、増幅器及び測定器等の光学機器に偏光依存性がある場合、これら光学機器に入射する光が所定の偏光状態にあると偏光依存性により出力低下等が発生し、光学機器の機能を十分に果たすことができない。そこで、偏光依存性のある光学機器に光が入射する前に、偏光状態を解消できる偏光解消板が利用されている。
従来の偏光解消板では、複屈折性結晶の厚みを入射面内で変化させ、それにより面内でリタデーション量を変化させる偏光解消板が用いられてきた。ここで、複屈折性結晶を使用して偏光解消板を作製する場合には、作製可能な偏光解消板のサイズが結晶サイズに依存してしまう。また、複屈折層の厚みに変化があると、光の屈折による入射光の方向変化も不可避である。そこで、フォトリソグラフによるパターニングで入射面内の領域を分割させた偏光解消板が用いられるようになってきた。
例えば、特許文献1には、基板の表層部に光の波長よりも短い周期で屈折率の異なる2種類の媒質を交互にストライプ状に設けることにより構造複屈折を呈するようにした複数の構造物をその光学軸が同一面内の異なる方向に向くように平面状に配置した偏光解消素子が開示されている。特許文献1によれば、斯かる偏光解消板を用いることで、入射光が特定の方向に偏光されたものであっても、入射光が各構造物を通過することにより出射光は各構造物の光学軸の向きに応じた異なる方向に偏光されたものが混在した状態となり、結果的に偏光が解消された状態となる。
特開2004−341453号公報
しかしながら、特許文献1に記載の偏光解消板では、同一面内の異なる方向に光学軸が向くようにストライプ状に設けた構造物を複数配置しており、各構造物が分割領域となるため、分割領域内での位相差は同じであり、偏光を十分に解消することができない。また、偏光をより解消するために分割領域(構造物)を小さくしようとすると、パターン形成も難しくなるし、各構造物をランダムに配置したとしても一定程度の規則性が残るため、限界がある。さらに、特許文献1に記載の偏光解消板では分割領域が直線状のラインによって形成されているため、ラインのピッチによっては回折光が生じて光学特性に悪影響を及ぼすことも懸念される。また、斯かる偏光解消板を液晶表示装置に用いた場合にはモアレや回折が生じる可能性があり、画質の低下を招きかねない。
そこで、本発明は、従来の偏光解消板よりも偏光解消度に優れた偏光解消板を提供することを目的とする。また、本発明は、この偏光解消板を用いた光学機器及び液晶表示装置、並びにこの偏光解消板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記諸目的を達成すべく鋭意検討を行った。偏光解消板の面内の領域を分割するのでは、パターン形成技術の限界もあり、面内全体でランダムな微細パターンを形成することは難しい。そこで、構造複屈折を呈するよう、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを偏光解消板の面内全体に設ければ、偏光解消度をより改善できることを本発明者らは知見し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記諸課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 透光基板の表層部に光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈することを特徴とする偏光解消板である。
該<1>に記載の偏光解消板は、面内全体にランダムな微細パターンが設けられているので、偏光解消度に優れた偏光解消板を提供することができる。
<2> 前記透光基板の表層部が保護膜によって覆われる、前記<1>に記載の偏光解消板。
<3> 透光基板と、
該透光基板表面に設けられた、前記透光基板と屈折率の異なる材料からなる薄膜と、を有し、
前記透光基板の表層部及び前記薄膜のうち、少なくとも前記薄膜に、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈することを特徴とする偏光解消板である。
該<3>に記載の偏光解消板は、面内全体にランダムな微細パターンが設けられているので、偏光解消度に優れた偏光解消板を提供することができる。
<4> 前記微細パターンが前記薄膜のみに設けられる、前記<3>に記載の偏光解消板である。
<5> 前記微細パターンが前記薄膜及び前記透光基板の表層部に設けられる、前記<3>に記載の偏光解消板である。
<6> 前記薄膜が斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成される、前記<3>〜<5>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<7> 前記薄膜が無機酸化物からなる、前記<3>〜<6>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<8> 前記薄膜がSi、Al、Ta、Ti、Nbのいずれかを含む、前記<3>〜<7>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<9> 前記薄膜が保護膜によって覆われる、前記<3>〜<8>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<10> 前記保護膜がSiO2、Ta25、TiO2、Al23、Nb25、LaO及びMgF2からなる群より選択された少なくとも1種を含む、前記<2>又は<9>に記載の偏光解消板である。
<11> 前記複数の曲線のうち、少なくとも一つの曲線がU字型の曲線部を含む、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<12> 前記複数の曲線のうち、少なくとも一つの曲線が分岐する、前記<1>〜<11>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<13> 前記構造複屈折によるリタデーションが、前記光の最大波長の1/4以上である、前記<1>〜<12>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<14> 前記リタデーションが前記透光基板の面内で連続的に変化する領域を少なくとも含む、前記<13>に記載の偏光解消板である。
<15> 前記微細パターンがブロックコポリマーのパターン転写により形成される、前記<1>〜<14>のいずれかに記載の偏光解消板である。
<16> 前記<1>〜<15>のいずれかに記載の偏光解消板を搭載することを特徴とする光学機器である。
該<16>に記載の光学機器によれば、光学特性に優れた光学機器を提供することができる。
<17> 前記<1>〜<15>のいずれかに記載の偏光解消板を搭載することを特徴とする液晶表示装置である。
該<17>に記載の液晶表示装置によれば、表示特性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
<18> 透光基板上に中性層を設ける工程と、
前記中性層表面にパターン形成層を設ける工程と、
前記パターン形成層を相分離して、前記透光基板の表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程と、
前記中性層及び前記パターン形成層を除去すると共に、前記透光基板の表層部に前記微細パターンを転写する工程と、
を含むことを特徴とする偏光解消板の製造方法である。
該<18>に記載の製造方法によれば、偏光解消度に優れた偏光解消板を簡易に製造することのできる方法を提供することができる。
<19> 前記中性層を設ける工程に先立ち、前記透光基板表面にエッチングマスク層を設ける工程を更に含み、
前記転写する工程では、前記エッチングマスク層を更に前記除去する、前記<18>に記載の偏光解消板の製造方法である。
<20> 透光基板表面に、該透光基板と屈折率の異なる材料からなる薄膜を形成する工程と、
前記薄膜上に中性層を設ける工程と、
前記中性層表面にパターン形成層を設ける工程と、
前記パターン形成層を相分離して、前記透光基板表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程と、
前記中性層及び前記パターン形成層を除去すると共に、前記透光基板の表層部及び前記薄膜のうち、少なくとも前記薄膜に、前記微細パターンを転写する工程と、
を含むことを特徴とする偏光解消板の製造方法である。
該<20>に記載の製造方法によれば、偏光解消度に優れた偏光解消板を簡易に製造することのできる方法を提供することができる。
<21> 前記転写する工程において、前記薄膜のみに前記微細パターンを形成する、前記<20>に記載の偏光解消板の製造方法である。
<22> 前記転写する工程において、前記透光基板の表層部に、前記薄膜を貫通して前記透光基板の表層部及び前記薄膜に前記微細パターンを形成する、前記<20>に記載の偏光解消板の製造方法である。
<23> 前記中性層を設ける工程に先立ち、前記薄膜表面にエッチングマスク層を設ける工程を更に含み、
前記転写する工程では、前記エッチングマスク層を更に前記除去する、前記<20>〜<22>のいずれかに記載の偏光解消板の製造方法である。
<24> 前記微細パターンがブロックコポリマーにより形成される、前記<18>〜<23>のいずれかに記載の偏光解消板の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、従来の偏光解消板よりも偏光解消度に優れた偏光解消板、それを用いた光学機器及び液晶表示装置、並びに偏光解消板の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に従う偏光解消板の模式図であり、(A)は偏光解消板の微細パターンが設けられた側から見た上面図であり、(B)は(A)におけるI−I断面図である。 本発明に従う微細パターンの具体例を示すSEM像であり、(A)は上面写真であり、(B)はその断面写真である。 本発明の好適な実施形態に従う偏光解消板の模式図であり、(A)及び(B)は薄膜が設けられた実施形態のそれぞれの模式断面図であり、(C)及び(D)は(A)の実施形態に更に保護膜が設けられた実施形態のそれぞれの模式断面図である。 本発明の一実施形態に従う偏光解消板の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の好適な実施形態に従う偏光解消板の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の別の好適な実施形態に従う偏光解消板の製造方法を示すフローチャートである。 実施例におけるブロックコポリマーによる微細パターンを示すAFM像であり、(A)は実施例1のAFM像であり、(B)は実施例2のAFM像であり、(C)は実施例3のAFM像であり、(D)は実施例4のAFM像である。 実施例2の断面図を示すSEM像である。 参考実験例1におけるDuty比を示すSEM像であり、(A)は参考実験例1−1のSEM像であり、(B)は参考実験例1−2のSEM像であり、(C)は参考実験例1−3のSEM像である。 参考実験例2における平均周期長を示すSEM像であり、(A)は参考実験例2−1のSEM像であり、(B)は参考実験例2−2のSEM像である。
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。なお、図1及び図3〜図6では説明の便宜上、実際の各構成のサイズ並びに微細パターンのピッチ幅及び深さとは異なり、それらを誇張して示す。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
(偏光解消板)
本発明に従う偏光解消板は、透光基板の表層部に微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈する偏光解消板であり、さらに必要に応じて、その他の構成を含む。
<偏光解消板>
図1(A)に示すように、本発明の一実施形態に従う偏光解消板100は、透光基板10の表層部に微細パターン10aが設けられ、さらに、必要に応じて、その他の構成を含む。
ここで、前記微細パターン10aは、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含み、構造複屈折を呈する。
<<透光基板>>
前記透光基板10は、偏光解消する光を透過することのできる材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。係る透光基板の材料としては、石英、ガラス、水晶、サファイア、などが挙げられる。
<<微細パターン>>
ここで、図1(A)は偏光解消板100の微細パターン10aが設けられた側から見た上面図の模式図であり、図1(B)は図1(A)におけるI−I断面図である。図1(A)、(B)に示すように、微細パターン10aは、透光基板10の表層部に設けられ、光の波長以下のピッチPで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含むことで、構造複屈折を呈することができる。なお、本明細書で言う曲線とは、線の一部に一次曲線(直線)が含まれていてもよく、線の全てが直線又は折れ線で構成されていないものを指す。また、図1(B)に示すとおり、微細パターン10aの凸状のランドの幅をL、隣接する凸間の空気層からなる凹部の溝の幅をSとすると、P=L+Sである。ただし、ランダムな曲線であるため、すべてのピッチPが一定になる訳ではない。なお、dは溝の深さである。
ここで、図1(A)に示すように、前記微細パターン10aに含まれる前記複数の曲線のうち、任意の曲線がU字型の曲線部Uを含んでもよい。また、図1(A)に示すように、前記複数の曲線のうち、任意の曲線が分岐していてもよい。このような分岐点を分岐Bとして図1(A)に示す。さらに、前記微細パターン10aは、曲線以外に点状の部分Dを含んでいてもよい。前記微細パターン10aが透光基板10の表層部の面内全域でランダムに設けられることにより、偏光解消板100に入射する偏光した光の偏光を解消することができる。
前記微細パターン10aの一具体例を説明する。図2(A)に示すSEM像は、ブロックコポリマーのパターンの上面写真であり、(B)はその断面写真である。製造方法の実施形態において詳細を後述するが、例えば透光基板10上に設けたブロックコポリマーのパターンを透光基板10の表層部にパターン転写することで、前記微細パターン10aを形成することができる。斯かる微細パターン10aであれば、面内全域で光学軸がランダムになるため、入射光の偏光を解消することができるのである。斯かる微細パターン10aの形成手段については、製造方法の実施形態に後述する。
本発明による偏光解消板は、無機材料のみから構成されるため、従来の偏光解消板に比べ、耐熱、耐光性が求められるLCDプロジェクター等の強い輝度の用途に供して好適である。また、基板面内でのリタデーションが連続的に変化するため、界面散乱等を防止することもできる。
また、偏光解消板100の構造複屈折によるリタデーションは、入射光の最大波長の1/4以上であることが好ましく、リタデーションが透光基板10の面内で連続的に変化する領域を少なくとも含むように微細パターン10aを設けることが好ましく、面内で連続的に変化する領域が支配的となることがより好ましい。リタデーション量は、微細パターンの溝深さ、ピッチP及び透光基板材料を適宜選択することにより調整することができる。また、リタデーションの面内での連続変化は、後述の微細パターンを形成時における下地層(中性層)の選択、アニール条件、分子量、などを変化させることで調整することができる。
なお、本実施形態に従う偏光解消板のサイズ、微細パターン10aのピッチP、溝深さd等は、所望の入射光の偏光を解消できる限りは何ら制限されるものではなく、光学機器及び液晶表示装置、などへの適用にあたり適宜設計すべき事項である。なお、溝深さdはリタデーション量を確保するために数100nm程度とすることが一般的であるが、透光基板10の材料を適宜選択して、所望の偏光解消度で偏光を解消できる限りは任意である。
<<薄膜>>
ここで、本発明に従う別の実施形態に従う偏光解消板200は、図3(A)に示すように、前記透光基板10の表面に透光基板10と異なる材料の薄膜20'(薄膜由来部と称してもよい)を更に有していてもよい。すなわち、この実施形態に従う偏光解消板200は、透光基板10と、該透光基板表面に設けられた、前記透光基板と屈折率の異なる材料からなる薄膜20'と、を有し、前記透光基板10の表層部及び前記薄膜20'のうち、少なくとも前記薄膜20'に、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈するのである。なお、ここで言う微細パターンは、既述の偏光解消板100と同様の形状を意味する。
前記微細パターンは、前記薄膜20’及び前記透光基板10の表層部10aの両方に設けられてもよい(図3(A))し、前記薄膜20’のみに設けられても(図3(B))、いずれでもよい。いずれの偏光解消板200、210も、既述の偏光解消板100と同様に偏光を解消することができる。なお、前述の偏光解消板100に比べて、本実施形態の方が薄膜20'の厚みや材料などによって屈折率を調整し、リタデーション量を制御することができる点では好ましい。さらに、必要となるリタデーション量Rを実現するための膜厚を薄くすることもでき、好ましい。なお、図3(B)に示す偏光解消板210の薄膜20'形状は、後述の転写する工程において、透光基板10及び薄膜20、並びにエッチング液等を適宜選択し、透光基板10をいわゆるエッチングストップ層として機能させればよい。この場合、リタデーション量を正確に制御することができる点で好ましい。
リタデーション量Rに関し、R>170nmであれば、可視光のうち最も波長の長い赤色光の直線偏光の少なくとも一部を円偏光に変換することができる。屈折率1.46程度のシリコン酸化物を薄膜材料として用いた場合の一例を用いて、薄膜20'の厚みを具体的に説明する。この薄膜と、微細パターンの曲線間による溝に相当する空気層(屈折率1)との2種類の異種媒質の繰り返し構造を構造複屈折とした場合、複屈折量Δnは0.08程度となるため、その場合の必要な薄膜の厚さは2.0μm程度である。入射光の波長及び所望のリタデーション量Rに応じて、薄膜の材料及び厚さを適宜選択すればよい。
なお、前記薄膜20’は、透光基板10と屈折率が異なり、該透光基板10よりも高屈折率の材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。斯かる薄膜は無機酸化物からなることが好ましく、Si、Al、Ta、Ti、Nbのいずれかを含むことがより好ましく、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、などとすることができる。
一方、別の好適実施形態として、偏光解消板300が前記薄膜20’を有し、この薄膜20’は斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成されることも好ましい。斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成された薄膜は複屈折を呈し、高い複屈折を得るために高多孔質構造となる。また、この薄膜は低密度の柱状組織からなり、体積比にして20〜30%の空隙を有する。そのため、この薄膜は大気中の水分が吸着しやすく、透過率及び位相差などの光学特性が変動しやすくなる。斯かる薄膜の形成直後の空隙部は、空気(屈折率1.0)が主成分であるが、室温で大気中の水分(屈折率1.3)を取り込んで光学特性が変動する。また、100℃以上の雰囲気に曝すと取り込んだ水分が蒸発して、再び空気が主成分となる。このように、温度によって斜め蒸着法または斜めスパッタ法により形成された薄膜中の水分量が変化すると、空隙部の屈折率が変化し、結果として複屈折も変化し、透過率及び位相差が変動する。そこで、図3(C)に示すように、斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成された薄膜の上面及び側面は、緻密性の高い保護膜30で覆うことが特に好ましい。保護膜30を成膜することで、薄膜への大気中の水分の出入りを防止することができ、耐湿性を向上することができる。
かかる保護膜30の材料としては、湿度透過性の低いSiO2、Ta25、TiO2、Al23、Nb25、LaO及びMgF2、などの無機化合物を用いることができ、これらの中から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、これらのうちのいずれかであることが好ましい。なお、保護膜30を成膜するには、これら無機化合物を高密度に形成することで低湿度透過性の保護膜を成膜することが可能な方法を採用すればよく、例えば、化学蒸着法(CVD)を挙げることができる。CVD法により保護膜を成膜する場合には、大気圧〜中真空(100〜10-1Pa)とした容器内に複屈折層が形成された基板を設置し、保護膜の材料であるガス状の無機化合物をこの容器内に送り込み、熱、プラズマ、光等のエネルギーを与えてガス状の無機化合物と複屈折層とを化学反応させればよい。斯かるCVD法によれば、複屈折層上に無機化合物を高密度に形成して、低湿度透過性の保護膜を形成することができる。なお、保護膜の成膜方法は、上記CVD法に替えて、例えばプラズマアシスト蒸着法、スパッタ法等、無機化合物を高密度に形成することが可能な任意の方法を用いてもよい。
なお、上記保護膜30は、薄膜20’が斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成される場合に限らず、任意の方法により形成された場合にも適用して好適である。このような保護膜30としては、トリエトキシカプリリルシラン(例えば大東化成工業株式会社(株)より市販のOTS)、フルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)、などの撥水膜が適用可能である。さらに、図3(D)の偏光解消板310に示すように、SiO2、Al23などの透明材料からなる保護膜30を蓋状に成膜して薄膜20’を覆うこともできる。また、偏光解消板300では薄膜20’が保護膜30によって覆われているが、これに替えて、前述の偏光解消板100において、透光基板10の表層部が保護膜30によって(薄膜20’等を介さずに)直接覆われることも好ましい。水分等の入り込みによる光学特性変化を防止することができるためである。
(光学機器)
本発明の光学機器は、少なくとも、本発明に従う偏光解消板を搭載し、さらに必要に応じて、その他の構成を有する。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、少なくとも、本発明に従う偏光解消板を搭載し、さらに必要に応じて、その他の構成を有する。
(偏光解消板の製造方法)
次に、本発明に従う偏光解消板の製造方法の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明に従う偏光解消板を製造するための方法の一実施形態に過ぎず、他の実施形態により本発明に従う偏光解消板が製造されてもよい。
図4を用いて、本発明に従う偏光解消板の製造方法の一実施形態を説明する。本実施形態は、中性層を設ける工程(図4(A)〜(B))と、パターン形成層を設ける工程(図4(B)〜(C))と、微細パターンを形成する工程と(図4(C)〜(D))、転写する工程(図4(D)〜(F))とを含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
<中性層を設ける工程>
前記中性層を設ける工程(図4(B))は、透光基板10上に中性層50を設ける工程である。なお、既述の透光基板10を予め用意しておく(図4(A))。
<<中性層>>
前記中性層50は、詳細を後述する微細パターンを形成する工程において、パターン形成層に垂直配向ラメラ構造を形成するための層となれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中性層50は、パターン形成層の材料にも依存するが、例えばポリスチレン(PS)と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のランダム重合体であるPS−r−PMMAとすることができる。例えば、0.5〜3.0質量%のトルエン溶液等の有機溶媒でPS−r−PMMAを希釈し、透光基板10表面にスピンキャストして塗布し、熱アニールを行うことで、中性層50を形成することができる。有機溶媒はトルエンに何ら限定されるものではなく、他に例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、などを用いてもよい。また、中性層50を形成する際の各条件は特に限定されないが、スピンキャスト条件は3000〜6000rpm程度、15〜60秒間程度とすることができ、熱アニール条件は10kPa以下の真空条件、150〜200℃の温度範囲、6〜18時間程度の処理時間である。なお、形成された中性層50は数nm程度の厚みとなる。また、透光基板10との密着性を向上させるため、PS−r−PMMAにヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)もしくはグリシジルメタクリレート(GMA)を数mol%添加したものを用いると、さらに好ましい。なお、透光基板と架橋反応しなかった残溶液については、熱アニール後にトルエン超音波洗浄等により除去すればよい。また、中性層としては、上記PS−r−PMMAの熱架橋性分子層の他にも、例えば自己組織化単分子膜、カーボンなどを用いることができる。
<パターン形成層を設ける工程>
前記パターン形成層60を設ける工程は、前記中性層50を設ける工程の後、前記中性層50表面にパターン形成層60を設ける工程である。
<<パターン形成層>>
パターン形成層60は、例えば、PSと、PMMAとのブロックコポリマーであるPS−b−PMMAとすることができ、トルエン等の有機溶媒に希釈して、スピンキャスト等により前記中性層50表面に塗布する。後述の垂直配向ラメラ構造を形成できる限りは、上記PS−b−PMMAに何ら限定されるものではなく、任意の材料を用いることができる。
本工程におけるスピンキャスト条件は、先の工程と同様であり、同一条件としてもよいし、異なる条件としてもよい。有機溶媒の濃度、スピンキャスト条件等を調整することで、パターン形成層60の膜厚を調整することができるが、パターン形成層60の厚さをブロックコポリマーの分子量に応じて調整することが好ましい。例えば分子量160,000程度のPS−b−PMMAは、周期長が約80nmであり、その周期長の半分程度である約40nmもしくは周期長の整数倍に相当する80nm、160nmとすることが好ましい。分子量に依存して、ブロックコポリマーの周期長は変化するなるため、適宜パターン形成層60の厚さを調整すればよい。なお、パターン形成層60にPS−b−PMMAを用いる場合、その分子量を50,000〜1,000,000程度とすることが好ましい。
<微細パターンを形成する工程>
前記微細パターンを形成する工程は、前記パターン形成層60を設ける工程の後、前記パターン形成層60を相分離して、前記透光基板10の表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程である。
<<相分離構造形成条件>>
相分離構造を形成する条件は、前記パターン形成層60から、垂直配向ラメラ構造を形成できる限りは特に限定されず、任意であるが、例えば10kPa以下程度の真空下で、200〜400℃、6〜18時間程度の熱アニールを行なえばよい。熱アニールを行うことでパターン形成層60は垂直配向ラメラ構造となり、パターン形成層60を部分60aと部分60bとに分離することができる。パターン形成層60がPS−b−PMMAである場合、上記熱アニールを行うことで、PMMA(60a)と、PS(60b)とに相分離される。実施例において後述するが、このときのパターン形成層60が部分60aと部分60bとに分離されたときの上面視したときの図は、例えば図7(A)〜(D)に示されたようになり、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンとなる。
<転写する工程>
前記転写する工程は、前記微細パターンを形成する工程の後、前記中性層50及び前記パターン形成層60を除去すると共に、前記透光基板10の表層部に前記微細パターンを転写する工程である。
<<部分60aの除去>>
まず、相分離した後のパターン形成層60の部分60aをエッチング等により除去する(図4(E))。部分60aがPMMAである場合には、例えばO2エッチングによるPMMAの選択的除去を行えばよい。O2エッチングにあたっては、パターン形成層60の厚さによっても異なるが、反応性プラズマエッチング装置に基板を投入し、O2流量50〜200sccm程度、ガス圧1〜10Pa程度、エッチング時間を適時調整してエッチングを行えばよい。
<<透光基板への転写>>
最後に、パターン形成層60への選択的エッチングにより残った部分60bの微細パターンを透光基板10に転写すれば、微細パターン10aが透光基板10の表層部に形成され、その結果偏光解消板100を得ることができる(図4(F))。なお、転写にあたっては、CF4/Arエッチング等により行うことができ、CF4流量10〜100sccm程度、Ar流量2〜25sccm程度、ガス圧0.5〜5Pa程度、エッチング時間を適時調整してエッチングを行えばよい。
なお、前述のとおり、偏光解消板のリタデーション量は、微細パターン10aにおける凸部のランド幅Lと、凹部の空隙幅Sとの比であるDuty比によって定まる。このDuty比を調整することで、偏光解消板のリタデーション量を調整することができ、リタデーション量を最大にするためには、Duty比を1:1とすることが最も好ましい。また、Duty比は、透光基板への転写の際のエッチング時間によって調整することができる(後述の参考実験例1を参照)。
以上の工程を経て製造された偏光解消板100は、従来の偏光解消板に比べて優れた偏光解消度を有することができる。また、露光用マスクを用いずにパターン形成することができるため、作製可能な大きさに自由度がある。また、パターン形状、透光基板及びその上に堆積する薄膜等の無機材料により光学特性を調整できるため、その調整幅も大きい。
<エッチングマスク層を設ける工程>
本実施形態は、エッチングマスク層を設ける工程を更に含むことも好ましい。本工程は、前記中性層50を設ける工程に先立ち、前記透光基板10表面にエッチングマスク層を設ける工程である(図5(A)〜(B))。なお、図4及び図5に関して、図4(A)が図5(A)に相当し、図4(B)が図5(C)に相当し、図4(C)が図5(D)に相当し、図4(D)が図5(E)に相当し、図4(E)が図5(F)に相当し、図4(F)が図5(H)に相当するため、重複する説明については省略する。
<<エッチングマスク層>>
エッチングマスク層40を設けることで、パターン形成層60の部分60bによって形成される前記微細パターンを透光基板10に転写する際に、部分60bが転写されたエッチングマスク層40と、透光基板10とのエッチング選択比を高めることができる。そのため、転写後の微細パターン10aの溝深さdをより大きくすることができ、偏光解消板のリタデーション量をより大きくすることができる。このようなエッチングマスク層としては、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)などを用いることができる。なお、エッチングマスク層の種類、厚みによって、パターン形成層60により形成される微細パターンも変化し、それに伴いDuty比も変化するため、種別及び厚さを適宜選択することが好ましい。なお、エッチングマスク層40はスパッタリング法など、常法に従い形成することができる。
エッチングマスク層40を設ける場合には、パターン形成層60の部分60bによる微細パターンを一旦エッチングマスク層に転写し(図5(F)〜(G))、次いでエッチングマスク層40に形成された微細パターンを透光基板10の表層部に転写する。エッチングマスク層40がAlである場合には、Cl2/BCl3エッチング等を行えばよく、エッチングマスク層の材料に応じて適宜ガス種類を選択すればよい。
また、既述の偏光解消板200を作成する実施形態として、前記薄膜20を透光基板10表面に設ける工程を更に含むことも好ましい(図6)。すなわち、透光基板10表面に、該透光基板10と屈折率の異なる材料からなる薄膜20を形成する工程と、前記薄膜20上に中性層50を設ける工程と、前記中性層50表面にパターン形成層60を設ける工程と、前記パターン形成層60を相分離して、前記透光基板10表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程と、前記中性層50及び前記パターン形成層60を除去すると共に、前記透光基板10の表層部及び前記薄膜20のうち、少なくとも前記薄膜20に、前記微細パターンを転写する工程(転写後に、薄膜20は薄膜20’となる)と、を含む偏光解消板200の製造方法である。なお、図4及び図6に関して、図4(A)が図6(A)に相当し、図4(B)が図6(C)に相当し、図4(C)が図6(D)に相当し、図4(D)が図6(E)に相当し、図4(E)が図6(F)に相当し、図4(F)が図6(H)に相当するため、重複する説明については省略する。
この場合、前記透光基板10の表層部に、前記薄膜20を貫通して前記透光基板の表層部10a及び前記薄膜20'に前記微細パターンを形成してもよいし、前記薄膜20のみに前記微細パターンを形成してもよい。後者の場合、前記転写する工程において、透光基板10及び薄膜20、並びにエッチング液等を適宜選択し、透光基板10をいわゆるエッチングストップ層として機能させれば、前述の偏光解消板210を得ることもできる(図6(I))。また、図4、5を用いて既述の実施形態と同様、薄膜を設ける工程を行ってもよい。前述のとおり、屈折率の異なる材料を透光基板10表面に形成することで、リタデーション量を調整することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下のとおり、本発明に従う偏光解消板として実施例1、2を作製し、微細パターンの形状を確認するため参考例1、2も作製した。
(実施例1)
石英基板を用意し、以下のポリマーを1.0質量%のトルエン溶液で希釈し、以下の条件でスピンキャスト塗布した後、熱アニールを行い、未反応溶液は10分間のトルエン超音波洗浄により除去して中性層を形成した。
ポリマー
Polymer Source社より市販のP6413F2−SMMAHEMAranを用いた。ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなるランダム重合体である。
数平均分子量(Mn)が35600、分散度(Mw/Mn)が1.28、組成比がPS:57%、HEMA:2%(mol%)である。
スピンキャスト条件
回転数:4000rpm
回転時間:30秒間
熱アニール条件
真空度:0.8kPa
温度:170℃
アニール時間:12時間
次いで、以下のポリマーを0.91質量%のトルエン溶液に希釈して、以下の条件で中性層表面にスピンキャスト塗布した。
ポリマー
Polymer Source社より市販のP5539F2−SMMAを用いた。ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるブロック重合体である。
数平均分子量(Mn)が160000(PS:80000-PMMA:80000)、分散度(Mw/Mn)が1.09である。
スピンキャスト条件
回転数:4000rpm
回転時間:30秒間
次に、以下の条件で熱アニールを行い、PS−b−PMMAを垂直配向ラメラ構造に相分離した。
熱アニール条件
真空度:0.8kPa
温度:240℃
アニール時間:12時間
相分離後のPSによる微細パターンをAFMにより観察したところ、図7(A)に示すとおりであった。
その後、プラズマエッチング装置に基板を投入し、O2エッチングによりPMMAを選択的除去した。エッチング条件は以下のとおりである。
2エッチング条件
放電パワー:150W
バイアスパワー:0W
2流量:100sccm
ガス圧:2Pa
エッチング時間:100秒間
最後に、CF4/ArエッチングによりPSを除去するとともに、石英基板にPMMAの微細パターンを転写し、実施例1に係る偏光解消板を作製した。エッチング条件は以下のとおりである。
エッチング条件
放電パワー:200W
バイアスパワー:60W
CF4流量:20sccm
Ar流量:5sccm
ガス圧:2.0Pa
エッチング時間:100秒間
(実施例2)
実施例1において、中性層を形成するに先立ち、厚さ60nmのAlからなるエッチングマスク層を形成した。エッチングマスク層の形成にあたっては、スパッタリング法により形成した。相分離後のPSによる微細パターンをAFMにより観察したところ、図7(B)に示すとおりであった。
また、PMMAエッチングの後、石英基板に微細パターンを転写する前に、Cl2/BCl3エッチングを行った。
このときのエッチング条件は以下のとおりである。
エッチング条件
放電パワー:300W
バイアスパワー:60W
Cl2流量:10sccm
BCl3流量:5sccm
ガス圧:0.4Pa
エッチング時間:16秒間
その他の条件は、実施例1と同様にして、実施例2に係る偏光解消板を作製した。
(参考例1)
実施例1において、中性層を形成するに先立ち、厚さ35nmのTiからなるエッチングマスク層を形成した。エッチングマスク層の形成にあたっては、スパッタリング法により形成した。その他の条件は、実施例1と同様にして相分離まで行い、相分離後のPSによる微細パターンをAFMにより観察したところ、図7(C)に示すとおりであった。
(参考例2)
実施例1において、中性層を形成するに先立ち、厚さ50nmのCrからなるエッチングマスク層を形成した。エッチングマスク層の形成にあたっては、スパッタリング法により形成した。その他の条件は、実施例1と同様にして相分離まで行い、相分離後のPSによる微細パターンをAFMにより観察したところ、図7(D)に示すとおりであった。
代表例として、実施例2の石英基板の表層部に微細パターンを転写する途中状態の断面図のSEM像を図8に示す。図8に示すとおり、この状態ではエッチングマスク層であるAlが40nm残っている。このときの石英基板表層部の微細パターンの溝部の深さdは平均150nmであり、ピッチPは78nmであり、凸部間の空隙幅Sと、石英基板による凸部の幅Lとの比(Duty比)は1:1であった。なお、この状態でからAlを除去すると、リタデーション量Rは16nmとなる。
図7,8からも明らかなように、実施例1、2の偏光解消板は面内全域にわたり、微細パターンがランダムに形成されているため、従来よりも偏光解消板ではステップ的なリタデーションの変化であったものを、より連続的に滑らかにすることができる。参考例1、2についても、実施例1、2と同様に、ランダムな微細パターンを形成可能なことが確認できた。
なお、実施例1、2及び参考例1、2において、中性層形成前の表面粗さRaは順に0.302nm、0.852nm、1.368nm、0.475nmであった。図7(A)〜(D)と対比すると、相分離構造への影響は、表面粗度よりも材料物性に依存するものと考えられる。すなわち、融点が高く、熱膨張係数が低い(基板に近い)材料をエッチングマスク材料に用いることによって、熱アニールによる膜の変質や応力変化といった影響を小さくすることができ、理想的な相分離構造が得られると考えられる。
(参考実験例1)
実施例1において、石英基板表層部への微細パターンの転写時におけるエッチング時間を100秒間、200秒間、300秒間とし、それぞれ参考実験例1−1〜1−3とした。参考実験例1−1〜1−3の微細パターンのSEM像を図9(A)〜(C)にそれぞれ示す。
図9(A)〜(C)から明らかなように、エッチング時間を制御することで、Duty比を、ひいてはリタデーション量Rを調整できることが確認された。
なお、参考実験例1−1〜1−3のDuty比、ピッチP、リタデーション量Rの測定結果を下記の表1に示す。
(参考実験例2)
実施例1において、分子量66,000、152,000のPS−b−PMMAを用い、その他の条件を同一にして、それぞれ参考実験例2−1、2−2とした。参考実験例2−1、2−2における相分離後の断面図のSEM像を図10(A)、(B)にそれぞれ示す。参考実験例2−1、2−2の平均周期長はそれぞれ48nm、80nmであり、Sang Ouk Kim,NANOLETTERS 2009,Vol.9,No.6,2300-2305及びDu Yeol Ryu,ACSNANO 2010, Vol.4,No.9,5181-5186に記載の周期長と同様の傾向が見られることが確認された。
本発明によれば、偏光解消度に優れた偏光解消板、それを用いた光学機器及び液晶表示装置、並びに偏光解消板の製造方法を提供することができる。
10・・・透光基板
10a・・・微細パターン
20・・・薄膜
20’・・・薄膜(微細パターン形成後)
30・・・保護膜
40・・・エッチングマスク層
50・・・中性層
60・・・パターン形成層
60a,60b・・・パターン形成層の相分離後の部分
100,200,300・・・偏光解消板

Claims (24)

  1. 透光基板の表層部に、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈することを特徴とする偏光解消板。
  2. 前記透光基板の表層部が保護膜によって覆われる、請求項1に記載の偏光解消板。
  3. 透光基板と、
    該透光基板表面に設けられた、前記透光基板と屈折率の異なる材料からなる薄膜と、を有し、
    前記透光基板の表層部及び前記薄膜のうち、少なくとも前記薄膜に、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンが設けられ、構造複屈折を呈することを特徴とする偏光解消板。
  4. 前記微細パターンが前記薄膜のみに設けられる、請求項3に記載の偏光解消板。
  5. 前記微細パターンが前記薄膜及び前記透光基板の表層部に設けられる、請求項3に記載の偏光解消板。
  6. 前記薄膜が斜め蒸着法又は斜めスパッタ法により形成される、請求項3〜5のいずれかに記載の偏光解消板。
  7. 前記薄膜が無機酸化物からなる、請求項3〜6のいずれかに記載の偏光解消板。
  8. 前記薄膜がSi、Al、Ta、Ti、Nbのいずれかを含む、請求項3〜7のいずれかに記載の偏光解消板。
  9. 前記薄膜が保護膜によって覆われる、請求項3〜8のいずれかに記載の偏光解消板。
  10. 前記保護膜がSiO2、Ta25、TiO2、Al23、Nb25、LaO及びMgF2からなる群より選択された少なくとも1種を含む、請求項2又は9に記載の偏光解消板。
  11. 前記複数の曲線のうち、少なくとも一つの曲線がU字型の曲線部を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の偏光解消板。
  12. 前記複数の曲線のうち、少なくとも一つの曲線が分岐する、請求項1〜11のいずれかに記載の偏光解消板。
  13. 前記構造複屈折によるリタデーションが、前記光の最大波長の1/4以上である、請求項1〜12のいずれかに記載の偏光解消板。
  14. 前記リタデーションが前記透光基板の面内で連続的に変化する領域を少なくとも含む、請求項13に記載の偏光解消板。
  15. 前記微細パターンがブロックコポリマーのパターン転写により形成される、請求項1〜14のいずれかに記載の偏光解消板。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の偏光解消板を搭載することを特徴とする光学機器。
  17. 請求項1〜15のいずれかに記載の偏光解消板を搭載することを特徴とする液晶表示装置。
  18. 透光基板上に中性層を設ける工程と、
    前記中性層表面にパターン形成層を設ける工程と、
    前記パターン形成層を相分離して、前記透光基板の表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程と、
    前記中性層及び前記パターン形成層を除去すると共に、前記透光基板の表層部に前記微細パターンを転写する工程と、
    を含むことを特徴とする偏光解消板の製造方法。
  19. 前記中性層を設ける工程に先立ち、前記透光基板表面にエッチングマスク層を設ける工程を更に含み、
    前記転写する工程では、前記エッチングマスク層を更に前記除去する、請求項18に記載の偏光解消板の製造方法。
  20. 透光基板表面に、該透光基板と屈折率の異なる材料からなる薄膜を形成する工程と、
    前記薄膜上に中性層を設ける工程と、
    前記中性層表面にパターン形成層を設ける工程と、
    前記パターン形成層を相分離して、前記透光基板表面に対して垂直配向ラメラ構造の、光の波長以下のピッチで配置され、且つ、ランダムに配置された複数の曲線を含む微細パターンを形成する工程と、
    前記中性層及び前記パターン形成層を除去すると共に、前記透光基板の表層部及び前記薄膜のうち、少なくとも前記薄膜に、前記微細パターンを転写する工程と、
    を含むことを特徴とする偏光解消板の製造方法。
  21. 前記転写する工程において、前記薄膜のみに前記微細パターンを形成する、請求項20に記載の偏光解消板の製造方法。
  22. 前記転写する工程において、前記透光基板の表層部に、前記薄膜を貫通して前記透光基板の表層部及び前記薄膜に前記微細パターンを形成する、請求項20に記載の偏光解消板の製造方法。
  23. 前記中性層を設ける工程に先立ち、前記薄膜表面にエッチングマスク層を設ける工程を更に含み、
    前記転写する工程では、前記エッチングマスク層を更に前記除去する、請求項20〜22のいずれかに記載の偏光解消板の製造方法。
  24. 前記微細パターンがブロックコポリマーにより形成される、請求項18〜23のいずれかに記載の偏光解消板の製造方法。
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