JP2020075030A - 開創器 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性の高い部位または大きな臓器の近傍に術野を展開する場合であっても、十分な術野の確保が可能な開創器を提供する。【解決手段】筒状のシート部材11と、第一の環状フレーム部材12と、第二の環状フレーム部材13とを備え、前記第一の環状フレーム部材12が、前記筒状のシート部材11の一方の開口部の全周縁部に固定されており、前記第二の環状フレーム部材13が、一部を欠損した開環状に形成され、前記筒状のシート部材11の他方の開口部の周縁部に、間隙を設けて固定されているか、または、前記第二の環状フレーム部材13が、主部と湾曲屈曲部からなる閉環状に形成され、前記筒状のシート部材11の他方の開口部の全周縁部に固定されていることを特徴とする開創器10。【選択図】図1
Description
本発明は、手術時の開創部を開いた状態に保持し、良好な術野領域を確保するための開創器に関する。
開腹手術や内視鏡手術といった切開創手術では、術者が目的とする臓器に対して任意に開創位置を決定し、施術を行う。この際、手術対象部位以外の臓器などは、術野領域外に移動させておくことが望まれる。
また、近年、体腔内外を生理食塩水等の液体で潅流しながら腹腔鏡を用いて手術を行う体腔内潅流液充填下手術も行われているが、この場合、対象外の臓器などの術野領域外への移動に加え、手術の妨げとなる術野領域外からの浮遊物の侵入の防止も望まれる。
また、近年、体腔内外を生理食塩水等の液体で潅流しながら腹腔鏡を用いて手術を行う体腔内潅流液充填下手術も行われているが、この場合、対象外の臓器などの術野領域外への移動に加え、手術の妨げとなる術野領域外からの浮遊物の侵入の防止も望まれる。
従来より、手術時に開創部を開いた状態に保持し、良好な体腔内空間や術野領域を確保するための開創器として、可撓性を有する筒状のスリーブと、前記スリーブの一端側を開口状態に保持するように前記一端側開口部の周縁が固定されている体内側環状部材と、前記スリーブの他端側を開口状態に保持するように前記他端側開口部の周縁が固定されている体外側環状部材とを備える開創器(特許文献1)や、流体導入により膨張した円環状体とされ、この円環状体の内側に体腔内の術野を確保する術野確保部材(特許文献2)が知られている。
しかしながら、従来の開創器は、骨盤、恥骨、横隔膜などの剛性の高い部位の近傍または肝臓などの大きな臓器の下側に術野を展開する際に、開創器が骨などに接する部位で滑って所望の位置に固定できなかったり、骨や臓器による圧迫を受けて開創器が変形し、十分な体腔内空間や術野の確保が困難であるという問題があった。これにより、切開創の位置の制限や、術野不良による手技効率の悪化が生じていた。したがって、本発明は、剛性の高い部位または大きな臓器の近傍に術野を展開する場合であっても、十分な術野の確保が可能な開創器を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行った結果、筒状のシート部材と、第一の環状フレーム部材と、第二の環状フレーム部材とを備える開創器において、前記第一の環状フレーム部材を、前記筒状のシート部材の一方の開口部の全周縁部に固定し、前記第二の環状フレーム部材を、一部を欠損した開環状に形成し、前記筒状のシート部材の他方の開口部の周縁部に、環状フレーム部材の両端点間に間隙を設けて固定するか、または、前記第二の環状フレーム部材を、主部と湾曲屈曲部からなる閉環状に形成し、前記筒状のシート部材の他方の開口部の全周縁部に固定すれば、開創器を用いた際に、前記筒状のシート部材の他方の開口部の周縁部上の第二の環状フレーム部材間隙部、または、前記第二の環状フレーム部材の湾曲屈曲部が、体内で剛性の高い骨や臓器に密着する形または大きな臓器を持ち上げる形で留置され、開創器が所望の位置に固定されて、十分な術野を確保できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、筒状のシート部材と、第一の環状フレーム部材と、第二の環状フレーム部材とを備え、前記第一の環状フレーム部材が、前記筒状のシート部材の一方の開口部の全周縁部に固定されており、前記第二の環状フレーム部材が、一部を欠損した開環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の周縁部に、環状フレーム部材の両端点間に間隙を設けて固定されているか、または、前記第二の環状フレーム部材が、主部と湾曲屈曲部からなる閉環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の全周縁部に固定されていることを特徴とする開創器により、上記課題を解決したものである。
本発明によれば、開腹手術や内視鏡手術を含む切開創を介する外科手術において、骨などの剛性の高い部位または大きな臓器の近傍に術野を展開する場合であっても、開創器の筒状のシート部材の周縁部上の第二の環状フレーム部材間隙部または第二の環状フレーム部材の湾曲屈曲部が、体内で剛性の高い骨や臓器に密着する形または大きな臓器を持ち上げる形で留置され、開創器の他の部位が該骨や臓器の圧迫を受けにくくなるので、開創器が所望の位置にずれずに固定されて、十分な術野の確保が可能となる。また、本発明の開創器を用いることで、術野確保や臓器圧排に関連した器具の数を削減でき、術者の負担を軽減し、手術時間の短縮や小切開での術野確保が可能になることにより、患者に対する低侵襲度をより高めることができる。さらには、本発明の開創器により開創部や周囲組織を覆うことで、手術器具などによる手術箇所の汚染などの危険性を減ずることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る開創器10を示すもので、開創器は、筒状のシート部材11と、第一の環状フレーム部材12と、第二の環状フレーム部材13とを備えている。開創器10の使用時には、第一の環状フレーム部材12が体外に、第二の環状フレーム部材13が体内に配置され、筒状のシート部材11の外面が開創部を押し広げる。
筒状のシート部材11は、変形自在な薄い軟質シート材料から形成することができる。このようなシート材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂などの樹脂が挙げられる。また、手術中に圧排したシート部材周辺の体壁や臓器の様子を確認できることから、シート材料は透明であることが好ましい。
筒状のシート部材11の内径は、内視鏡やメスなどの手術器具を挿入できる大きさであればよく、一定であってもなくてもよい。例えば、筒状のシート部材11は、一定の内径を有する中空の円筒形であってもよいが、内径が開口部に向かって太くまたは細くなる、テーパーのついた中空の円筒形であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。筒状のシート部材11の内径は、一方の開口部において第一の環状フレーム部材12の内径とほぼ等しく、他方の開口部において第二の環状フレーム部材13の内径とほぼ等しい。
筒状のシート部材11の内径は、内視鏡やメスなどの手術器具を挿入できる大きさであればよく、一定であってもなくてもよい。例えば、筒状のシート部材11は、一定の内径を有する中空の円筒形であってもよいが、内径が開口部に向かって太くまたは細くなる、テーパーのついた中空の円筒形であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。筒状のシート部材11の内径は、一方の開口部において第一の環状フレーム部材12の内径とほぼ等しく、他方の開口部において第二の環状フレーム部材13の内径とほぼ等しい。
第一の環状フレーム部材12は、筒状のシート部材11の一方の開口部の全周縁部に沿って、筒状のシート部材11の開口状態を保持するように固定されている。第一の環状フレーム部材12は、閉環状に形成されていてもよいし、開環状に形成されていてもよいが、開創器の取り扱い性や開創保持力の観点から、閉環状に形成されていることが好ましい。
第一の環状フレーム部材12は、弾性変形可能な材料で形成するのが好ましく、手や器具による外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では略円形となる。弾性変形可能な材料としては、塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、イソプレンゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム、ポリウレタン、エラストマーなどの樹脂が挙げられる。特に、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリウレタンが、高い安定性と生体適合性を有するため好適である。あるいは、第一の環状フレーム部材12は、塑性変形可能な材料で形成することもできる。その場合には、外力の負荷により変形させても反発力は生じないので、第一の環状フレーム部材12に外力を負荷して所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。塑性変形可能な材料としては、ステンレス、チタン、チタン合金、形状記憶合金などの金属ワイヤ、樹脂被覆金属ワイヤなどが挙げられる。塑性変形可能な材料としては、人の手で塑性変形可能な材料が好ましく、長さ10cmの材料の端部をそれぞれ手で持ったときに、中央部を塑性変形できるものがより好ましい。
第一の環状フレーム部材12は、弾性変形可能な材料で形成するのが好ましく、手や器具による外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では略円形となる。弾性変形可能な材料としては、塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、イソプレンゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム、ポリウレタン、エラストマーなどの樹脂が挙げられる。特に、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリウレタンが、高い安定性と生体適合性を有するため好適である。あるいは、第一の環状フレーム部材12は、塑性変形可能な材料で形成することもできる。その場合には、外力の負荷により変形させても反発力は生じないので、第一の環状フレーム部材12に外力を負荷して所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。塑性変形可能な材料としては、ステンレス、チタン、チタン合金、形状記憶合金などの金属ワイヤ、樹脂被覆金属ワイヤなどが挙げられる。塑性変形可能な材料としては、人の手で塑性変形可能な材料が好ましく、長さ10cmの材料の端部をそれぞれ手で持ったときに、中央部を塑性変形できるものがより好ましい。
第二の環状フレーム部材の第一の形態である第二の環状フレーム部材13は、図2に示すように、一部を欠損した開環状に形成されている。第二の環状フレーム部材13は、筒状のシート部材11の他方の開口部の周縁部に沿って、環状フレーム部材の両端点間に間隙を設け、筒状のシート部材11の開口状態を保持するように固定されている。すなわち、筒状のシート部材11の他方の開口部の周縁部上には、固定された第二の環状フレーム部材の両端点間の間隙に相当する第二の環状フレーム部材間隙部が存在する。第二の環状フレーム部材間隙部では、筒状のシート部材11のみが存在するため、変形自在であり、骨などの剛性の高い部位または臓器に容易に密着させることができる。第二の環状フレーム部材13の両端点間の間隙の大きさは、特に限定されず、手術の目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、筒状のシート部材11の第二の環状フレーム部材間隙部を変形させて剛性の高い骨または臓器に沿わせるとともに、十分な術野を確保する観点から、第二の環状フレーム部材の両端点間の間隙の大きさは、筒状のシート部材11の他方の開口部の全周縁部の1/8以上が好ましく、また、1/2以下が好ましく、1/4以下がより好ましく、1/6以下がさらに好ましい。
第二の環状フレーム部材13は、塑性変形可能な材料で形成するのが好ましく、外力を負荷してフレーム部材を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。このとき、第二の環状フレーム部材13は、一部を弾性変形可能な材料で形成してもよい。あるいは、第二の環状フレーム部材13は、弾性変形可能な材料で形成することもできる。この場合、外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では一部を欠いた略円形となる。このとき、第二の環状フレーム部材13は、一部を塑性変形可能な材料で形成してもよい。弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料としては、第一の環状フレーム部材12を形成する材料と同じものが例示される。なお、第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13は、同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。
第二の環状フレーム部材13は、塑性変形可能な材料で形成するのが好ましく、外力を負荷してフレーム部材を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。このとき、第二の環状フレーム部材13は、一部を弾性変形可能な材料で形成してもよい。あるいは、第二の環状フレーム部材13は、弾性変形可能な材料で形成することもできる。この場合、外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では一部を欠いた略円形となる。このとき、第二の環状フレーム部材13は、一部を塑性変形可能な材料で形成してもよい。弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料としては、第一の環状フレーム部材12を形成する材料と同じものが例示される。なお、第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13は、同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。
第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13は、それぞれ、中空であっても中実であってもよく、その断面形状としては、略円形、略楕円形、略矩形などが例示される。第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13の外径は、切開創の径より大きいことが好ましく、その内径は、手術器具を挿入できる大きさであることが好ましい。また、第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13は、同じ大きさあっても異なる大きさであってもよい。
第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13は、それぞれ、筒状のシート部材11の開口状態を保持するように固定されている。固定の方法は、特に制限されず、フレーム部材をシート部材に直接接着してもよいし、シート部材でフレーム部材を覆い、シート部材端部をシート部材に接着してもよい。接着の方法としては、溶着、接着剤を用いた接着が挙げられる。
このような実施形態によれば、開創器10の筒状のシート部材11の第二の環状フレーム部材間隙部が、体内で剛性の高い骨や臓器に密着する形または大きな臓器に密着してこれを持ち上げる形で留置され、開創器の他の部位が該骨や臓器の圧迫を受けにくくなるので、開創器が所望の位置にずれずに固定されて、十分な術野の確保が可能となる。
図3は、本発明の別の実施形態である開創器20を示すもので、開創器は、筒状のシート部材21と、第一の環状フレーム部材22と、第二の環状フレーム部材23とを備えている。開創器20の使用時には、第一の環状フレーム部材22が体外に、第二の環状フレーム部材23が体内に配置され、筒状のシート部材21の外面が開創部を押し広げる。
筒状のシート部材21および第一の環状フレーム部材22については、それぞれ、上述の筒状のシート部材11および第一の環状フレーム部材12と同様である。
第二の環状フレーム部材の第二の形態である第二の環状フレーム部材23は、図4に示すように、主部24と湾曲屈曲部25とからなる閉環状に形成されている。具体的には、主部24の一端と湾曲屈曲部25の一端が接続され、主部24の他端と湾曲屈曲部25の他端が接続されている。主部24と湾曲屈曲部25とは、各端部で接着または溶着により接続すればよい。あるいは、主部24と湾曲屈曲部25とを、樹脂などで被覆して閉環状としてもよい。第二の環状フレーム部材23は、筒状のシート部材21の他方の開口部の全周縁部に沿って、筒状のシート部材21の開口状態を保持するように固定されている。第二の環状フレーム部材23における主部24と湾曲屈曲部25の大きさは、特に限定されず、手術の目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、湾曲屈曲部25を剛性の高い骨または臓器に沿わせて変形させ、十分な術野を確保する観点から、湾曲屈曲部25の大きさは、第二の環状フレーム部材23の1/8以上が好ましく、また、1/2以下が好ましく、1/4以下がより好ましく、1/6以下がさらに好ましく、残部を主部24とすればよい。
第二の環状フレーム部材23の主部24は、弾性変形可能な材料で形成することが好ましく、外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では略円形となる。あるいは、第二の環状フレーム部材23の主部24は、塑性変形可能な材料で形成することもできる。その場合には、外力により変形させても反発力は生じない。よって、外力を負荷して主部24を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。一方、第二の環状フレーム部材23の湾曲屈曲部25は、塑性変形可能な材料で形成するのが好ましく、外力を負荷して湾曲屈曲部25を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。なお、第一の環状フレーム部材22および第二の環状フレーム部材23の主部24は、同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料としては、上述した弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料と同じものが例示される。
第二の環状フレーム部材23の主部24は、弾性変形可能な材料で形成することが好ましく、外力の負荷により容易に変形させることができ、また、外力の負荷が無い状態では略円形となる。あるいは、第二の環状フレーム部材23の主部24は、塑性変形可能な材料で形成することもできる。その場合には、外力により変形させても反発力は生じない。よって、外力を負荷して主部24を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。一方、第二の環状フレーム部材23の湾曲屈曲部25は、塑性変形可能な材料で形成するのが好ましく、外力を負荷して湾曲屈曲部25を所望の形状に変形させ、変形後の形状を維持することができる。なお、第一の環状フレーム部材22および第二の環状フレーム部材23の主部24は、同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料としては、上述した弾性変形可能な材料および塑性変形可能な材料と同じものが例示される。
第二の環状フレーム部材23は、中空であっても中実であってもよく、その断面形状としては、略円形、略楕円形、略矩形などが例示される。第二の環状フレーム部材23の外径は、切開創の径より大きいことが好ましく、その内径は、手術器具を挿入できる大きさであることが好ましい。また、第一の環状フレーム部材22および第二の環状フレーム部材23は、同じ大きさあっても異なる大きさであってもよい。
第二の環状フレーム部材23は、筒状のシート部材21の開口状態を保持するように固定されている。固定の方法は、特に限定されず、フレーム部材をシート部材に直接接着してもよいし、シート部材によりフレーム部材を覆い、シート部材端部をシート部材に接着してもよい。接着の方法としては、溶着、接着剤を用いた接着が挙げられる。
このような実施形態によれば、開創器20の第二の環状フレーム部材23の湾曲屈曲部25が、変形されて、体内で剛性の高い骨や臓器に密着する形または大きな臓器を持ち上げる形で留置され、湾曲屈曲部25の形状維持力により開創器の他の部位が該骨や臓器の圧迫を受けにくくなるので、開創器が所望の位置にずれずに固定されて、十分な術野の確保が可能となる。
次に、本発明の開創器10の使用例を、図5を用いて説明する。
まず、図5に示すように、手術対象部位を考慮して、被験者の体壁30の適当な位置に切開創31を形成する。その後、開創器10の第二の環状フレーム部材13を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32の手術対象部位の近傍に挿入する。第二の環状フレーム部材13が塑性変形可能なフレーム部材である場合、体腔32内で、第二の環状フレーム部材13を所望の形状に変形させて所望の位置に配置する。一方、第二の環状フレーム部材13が弾性変形可能なフレーム部材である場合、第二の環状フレーム部材13を所望の位置に配置して手を放すと、弾性回復力により、体腔32内で元の一部を欠いた略円形に戻る。この開創器の内部および体内側開口部下部が、術野領域となる。第二の環状フレーム部材13の配置場所は、開創器10により手術対象外の臓器などを術野外に移動させ、手術対象部位を手術しやすく露出できる場所であればよく、筒状のシート部材11の第二の環状フレーム部材間隙部が、術野確保の障壁になると予想される剛性の高い部位または大きな臓器に沿うように、第二の環状フレーム部材13を配置すればよい。例えば、仰臥位の被験者において、恥骨の近傍に術野を展開したい場合には、筒状のシート部材11の第二の環状フレーム部材間隙部のシートが恥骨に下からひっかかるように、第二の環状フレーム部材13を略U字状にして両端点部を恥骨下に挿入すればよい。あるいは、例えば、仰臥位の被験者において、肝臓の下側に術野を展開したい場合には、筒状のシート11の第二の環状フレーム部材間隙部のシートを肝臓の下側に密着させ、該シート部により肝臓を持ち上げるように、第二の環状フレーム部材13を挿入すればよい。第一の環状フレーム部材12は、体壁30の体外側の切開創31の周囲に配置される。そして、筒状のシート部材11が第一の環状フレーム部材12および第二の環状フレーム部材13に引っ張られ、切開創31が円形に押し広げられるとともに、術野が確保される。なお、筒状のシート部材11の円筒の高さ方向の長さが長い場合には、第一の環状フレーム部材12の周りに余分な筒状のシート11を巻き込むなどして長さを調節すればよい。
このように配置された開創器10の筒状のシート部材11の内部を通して、内視鏡やメスなどの手術器具を挿入し、開創器の体内側開口部に露出された手術対象部位を手術したり観察したりする。
手術後には、開創器10の第二の環状フレーム部材13を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32から開創器10を排出する。
手術後には、開創器10の第二の環状フレーム部材13を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32から開創器10を排出する。
さらに、本発明の開創器20の使用例を説明する。
図5に示す開創器10の場合と同様に、まず、手術対象部位を考慮して、被験者の体壁30の適当な位置に切開創31を形成する。その後、開創器20の第二の環状フレーム部材23を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32の手術対象部位の近傍に挿入する。第二の環状フレーム部材23の主部24が弾性変形可能なフレーム部材である場合、主部24を所望の位置に配置して手を放すと、主部24は、弾性回復力により、体腔32内で元の略円形に戻る。このとき、湾曲屈曲部25は、所望の形状に変形させて所望の位置に配置する。一方、第二の環状フレーム部材23の主部24が塑性変形可能なフレーム部材である場合、体腔32内で、第二の環状フレーム部材23の主部24および湾曲屈曲部25を所望の形状に変形させて所望の位置に配置する。この開創器の内部および体内側開口部下部が、術野領域となる。第二の環状フレーム部材23の配置場所は、開創器20により手術対象外の臓器などを術野外に移動させ、手術対象部位を手術しやすく露出できる場所であればよく、第二の環状フレーム部材23の湾曲屈曲部25が、術野確保の障壁になると予想される剛性の高い部位または大きな臓器に沿うように、第二の環状フレーム部材23を配置すればよい。例えば、仰臥位の被験者において、恥骨の近傍に術野を展開したい場合には、湾曲屈曲部25を変形させて恥骨下に挿入すればよい。あるいは、例えば、仰臥位の患者において、肝臓の下側に術野を展開したい場合には、湾曲屈曲部25を肝臓の下側に接するように挿入し、湾曲屈曲部25により肝臓を持ち上げればよい。第一の環状フレーム部材22は、体壁30の体外側の切開創31の周囲に配置される。そして、筒状のシート部材21が第一の環状フレーム部材22および第二の環状フレーム部材23に引っ張られ、切開創31が円形に押し広げられるとともに、術野が確保される。なお、筒状のシート部材21の円筒の高さ方法の長さが長い場合には、第一の環状フレーム部材22の周りに余分な筒状のシート部材21を巻き込むなどして長さを調節すればよい。
このように配置された開創器20の筒状のシート部材21の内部を通して、内視鏡やメスなどの手術器具を挿入し、開創器の体内側開口部に露出された手術対象部位を手術したり観察したりする。
手術後には、開創器20の第二の環状フレーム部材23を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32から開創器20を排出する。
手術後には、開創器20の第二の環状フレーム部材23を手や器具で力を加えることで変形させ、切開創31を介して体腔32から開創器20を排出する。
本発明の開創器によれば、体腔内への挿入、体腔内での展開および体腔外への取り出しを容易にすることができる。
本発明の開創器は、体腔内潅流液充填下手術に利用することもできる。この場合、本発明の開創器は、体腔内に配置される体内側シート部材、体外に配置される貯水部材などと適宜組み合わせて使用すればよい。体腔内潅流液充填下手術では、術中の超音波診断が可能となっており、開創器を構成する各部材は、超音波の透過性が高い材料で形成することが好ましい。
以上、本発明に係るいくつかの実施形態を例示したが、本発明はこれら実施形態にのみ限定されるものではない。本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、それぞれの実施形態で示されたものの組み合わせや、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
10:開創器
11:筒状のシート部材
12:第一の環状フレーム部材
13:第二の環状フレーム部材
20:開創器
21:筒状のシート部材
22:第一の環状フレーム部材
23:第二の環状フレーム部材
24:第二の環状フレーム部材の主部
25:第二の環状フレーム部材の湾曲屈曲部
30:体壁
31:切開創
32:体腔
33:手術対象外の臓器
11:筒状のシート部材
12:第一の環状フレーム部材
13:第二の環状フレーム部材
20:開創器
21:筒状のシート部材
22:第一の環状フレーム部材
23:第二の環状フレーム部材
24:第二の環状フレーム部材の主部
25:第二の環状フレーム部材の湾曲屈曲部
30:体壁
31:切開創
32:体腔
33:手術対象外の臓器
Claims (8)
- 筒状のシート部材と、第一の環状フレーム部材と、第二の環状フレーム部材とを備え、前記第一の環状フレーム部材が、前記筒状のシート部材の一方の開口部の全周縁部に固定されており、前記第二の環状フレーム部材が、一部を欠損した開環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の周縁部に、環状フレーム部材の両端点間に間隙を設けて固定されているか、または、前記第二の環状フレーム部材が、主部と湾曲屈曲部からなる閉環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の全周縁部に固定されていることを特徴とする開創器。
- 前記第二の環状フレーム部材が、一部を欠損した開環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の周縁部に、環状フレーム部材の両端点間に間隙を設けて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の開創器。
- 前記第二の環状フレーム部材が、塑性変形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の開創器。
- 前記間隙が、前記筒状のシート部材の他方の開口部の全周縁部の1/8以上1/2以下の大きさであることを特徴とする請求項2または3に記載の開創器。
- 前記第二の環状フレーム部材が、主部と湾曲屈曲部からなる閉環状に形成され、前記筒状のシート部材の他方の開口部の全周縁部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の開創器。
- 前記湾曲屈曲部が、塑性変形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の開創器。
- 前記湾曲屈曲部が、前記第二の環状フレーム部材の1/8以上1/2以下の大きさであることを特徴とする請求項5または6に記載の開創器。
- 前記筒状のシート部材が、軟質のシート材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の開創器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018211449A JP2020075030A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 開創器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018211449A JP2020075030A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 開創器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020075030A true JP2020075030A (ja) | 2020-05-21 |
Family
ID=70723057
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018211449A Pending JP2020075030A (ja) | 2018-11-09 | 2018-11-09 | 開創器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020075030A (ja) |
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2018
- 2018-11-09 JP JP2018211449A patent/JP2020075030A/ja active Pending
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