本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例示として説明される。添付の図面は、概要であって、縮尺を合わせて図示することを意図していない。図面において、図示した同一又はほとんど同一の各構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明瞭さを目的として、当業者が本発明を理解できるようにするために図解が不要である場合には、すべての図のすべての構成要素にラベルが付与されるわけではなく、また、本発明の各実施形態のすべての構成要素が図示されるわけではない。
上で議論したように、前立腺癌の確率及び/又は前立腺容積の予測のための多数の従来技術は、患者の臨床検査(例えば直腸指診又はDRE)を少なくとも部分的に基礎としている。本明細書で説明したいくつかの実施形態は、臨床の精密検査を必要とせず、血液マーカーのパネルを少なくとも部分的に基礎として、前立腺癌の確率及び/又は前立腺容積の予測値を決定するための方法及び装置に関する。以下でさらに詳細に議論するように、生検における前立腺癌の確率及び/又は前立腺容積について提供されたる予測値は、前立腺生検に関連する決定を支援するのに有用となりうる、信頼できる測定基準である。
いくつかの実施形態は、前立腺癌のリスクを評価するようにプログラミングされた少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータシステムに関するものであり、前立腺癌のリスクは、複数の血液マーカーの値を少なくとも部分的に基礎として決定される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書で説明する血液マーカーのうちの1つ以上の値を決定する1つ以上の検出器を有する総合システム(例えば、アナライザ及び/又はチップ/カセット上のシステム)として実装されてもよい。他の実施形態では、コンピュータシステムは、1つ以上の検出器から遠隔に位置したコンピュータを含んでもよく、本明細書で説明した血液マーカーのうちの1つ以上の値は、ユーザインターフェースを用いて手動で入力されてもよく、及び/又は、上記値は、ネットワーク(例えばインターネット)に通信可能に接続されたネットワークインターフェースを介して受信されてもよい。コンピュータシステム内の少なくとも1つのプロセッサは、以下でより詳細に議論するように、生検時に前立腺癌のリスクを評価するために、受信された入力に1つ以上のモデルを適用するようにプログラミングされてもよい。
本発明のいくつかの実施形態に係る使用されるモデルは、複数の入力ファクタの情報を統合することを支援する。例えば、入力ファクタは、PSA、総PSAに対する遊離型PSAの比、及び/又は直腸指診(DRE)状態であってもよい。この例では、第1の患者は、3ng/mlのPSA、15%の総PSAに対する遊離型PSAの比、及び陰性のDREを有し、第2の患者は、9.5ng/mlのPSA、50%の総PSAに対する遊離型PSAの比、及び陰性のDREを有し、第3の患者は、1.5ng/mlのPSA、29%の総PSAに対する遊離型PSAの比、及び陽性のDREを有してもよい。第1の患者について、PSAが中程度であり、かつDREが陰性である場合、泌尿器科医は、総PSAに対する遊離型PSAの比が低いとき(しかし極端に低くないとき)、生検を行うことが十分に正当か否かについて検討してもよい。第2の患者について、高いPSA値は、通常、即時の生検を行うことを正当化するが、非常に高い総PSAに対する遊離型PSAの比は、PSAの上昇が良性であることを示す強い指標となりうる。第3の患者について、陽性のDREは、通常、非常に気がかりな徴候であるが、PSAが低く、かつ及び総PSAに対する遊離型PSAの比が通常値である場合には、生検が必要であることを示す証拠としては不十分である可能性がある。以上の説明から認識されるように、医師にこれらのファクタが別個に提示されるとき、どのような場合に生検が必要であるかを決定することは困難となる可能性がある。さらに、入力ファクタの個数が増加するとき、さまざまな入力ファクタの数値情報に基づいて生検を行うか否かを決定することは、ずっと複雑になる。
患者及び臨床医の両方は、生検のリスク、害、及び不自由さに比較して癌の早期発見を彼らがどの程度重視しているかということに関する差に依存する、彼らが生検を選ぶ傾向に関して変動する。多くの場合、厳密な決定ルール(例えば、PSAが4ng/mlより高いとき又は総PSAに対する遊離型PSAの比が15%より引くとき、生検を行う)を用いて、又は、リスクスコア(例えば、前立腺健常インデックス(prostate health index:PHI)スコアが29であるとき)を用いて、そのような選好を組み込むことは非実用的である。例えば、ある男性が医療処置を嫌っている場合、PSA及び/又はPHIスコアがどれだけ高いと生検を正当化するために「十分に高い」といえるのかを決定することは困難である可能性がある。
厳密な決定ルールを用いるのではなく、いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、1つ以上の統計モデルを用いて複数の入力を処理することで前立腺の生検に関する決定をガイドするようにプログラミングされる。統計モデルへの入力は、前立腺癌の生検が陽性になる確率を決定するための、血液マーカー値、患者の特性(例えば年齢)、及び他の適切な情報を含んでもよいが、これらに限定されない。そのような確率は、患者と及び臨床医の選好を考慮して生検の決定をガイドするために使用されてもよい、解釈可能な尺度を表す。
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る処理のフローチャートを示す。動作110において、血液マーカーの1つ以上の値が、本明細書で説明する技術のうちの1つ以上を用いて処理するために、少なくとも1つのプロセッサによって受信される。以下でさらに詳細に説明するように、1つ以上の血液マーカー値は任意の適切な方法で受信されてもよく、受信方法は、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、又は他の入力装置のようなローカル入力インターフェースを介して受信すること、又は、1つ以上のプロセッサから遠隔に位置した装置から1つ以上の値を受診する、ネットワーク接続されたインターフェースから受信すること、又は、(例えば、1つ以上の検出器を含む測定装置に1つ以上のプロセッサが統合されている実装では)1つ以上の血液マーカー値を測定する1つ以上の検出器から直接に受信することを含むが、これらに限定されない。
1つ以上の血液マーカー値の受信に応じて、処理は動作120に進み、ここで、少なくとも1つのロジスティック回帰モデルが評価されて、前立腺癌の生検が陽性になる確率が決定され、確率は、受信された1つ以上の血液マーカー値を少なくとも部分的に基礎とする。さらに詳細に以下で説明するように、受信された血液マーカー値以外の情報(例えば、年齢、癌の悪性度、など)は、オプションで、使用する特定のモデルを決定する際のファクタとして使用されてもよく、又は、選択されたモデルを評価するための入力ファクタとして使用されてもよい。
癌の生検が陽性になる確率を決定した後に、処理は動作130に進み、ここで、生検が必要か否かについての決定処理をガイドするために、確率がユーザ(例えば、医師、患者)に出力される。確率は任意の適切な方法で出力されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、確率は、当該確率を表す数値を装置の表示画面上に表示することで出力されてもよい。他の実施形態では、確率は、装置上の1つ以上の光源又は他の視覚インジケータを用いて出力されてもよい。さらに他の実施形態において、確率は、音声出力、触覚出力、又は、音声、触覚、及び視覚出力のうちの1つの以上の組み合わせを用いて提供されてもよい。いくつかの実施形態では、確率を出力することは、決定された確率をユーザに通知するために、ネットワーク接続された装置へ情報を送信することを含む。例えば、確率は、遠隔の場所に位置した1つ以上のプロセッサによって決定されてもよく、確率の表示は、遠隔の場所における確率の決定に応じて、1つ以上のネットワークを用いてユーザ(例えば医師)の電子機器に送られてもよい。本明細書で説明する技術によりユーザに出力を提供する電子機器は、ラップトップ、デスクトップ、又はタブレットコンピュータ、スマートフォン、ページャ、携帯情報端末、及び電子ディスプレイを含み、これらに限定されない、任意の適切な装置であってもよい。
上で議論したように、いくつかの実施形態は、ロジスティック回帰モデルを用いて、ある男性の前立腺癌のリスク及び/又は前立腺容積を予測するために、あるイベントの確率を取得するための方法に関するものである。
いくつかの実施形態では、
本方法は、1つ以上のカリクレインマーカー、すなわち、総前立腺特異抗原(total prostate-specific antigen :tPSA)、遊離型PSA(free PSA:fPSA)、未変化PSA(intact PSA:iPSA)、及びヒトカリクレイン2(human kallikrein 2:hK2)からの情報を包含することを含む。
任意の適切なロジスティック回帰モデルが使用されてもよく、本明細書で説明する技術はこの点で限定しない。
いくつかの実施形態では、
イベントの確率は次式(I)により決定される。
logit(L)は、複数のロジスティック回帰モデルのうちの任意のものを用いて決定される。本明細書で説明する技術により使用可能な9つの異なるタイプのロジスティック回帰モデルの非限定的な例は、次のものを含む。
1. 単純モデル(tPSAのみ)
2. 総PSAに対する遊離型PSAの比を用いる4分析物モデル
このモデルでは、総PSAに対する遊離型PSAの比が遊離型PSA項の代わりに用いられる。
3. 対数(tPSA)及び総PSAに対する遊離型PSAの比を用いる4分析物モデル
このモデルでは、この予測ファクタの寄与分の増大の原因となるtPSA項にtPSAの対数が代入される。
4. 多項式モデル
このモデルでは、tPSA及びfPSAに関する追加の非線形項が含まれている。以下に提示する例示的な式では、tPSA項と前立腺癌のリスクとの間の直接的関係を強調するためにtPSAの2乗が使用され、また、総PSAに対する遊離型PSAの比の項とリスクとの負の関連付けを反映するために、総PSAに対する遊離型PSAの比の項の平方根が使用される。しかしながら、いくつかの実施形態では、多項式の高次の項(例えば3乗)も含まれている可能性があるということは認識されるべきである。
5. 4つの分析物すべてに関する線形スプライン
このモデルでは、メジアン値において単一の節点を有するように、線形スプラインが追加される。スプラインは、モデルが次式:
を用いて表されるとき、次式を用いて決定されてもよい。
6. tPSA及びfPSAに関する線形スプライン
このモデルでは、変数の個数を減らしてモデルを簡単化するために、tPSA及びfPSAに関してのみ線形スプラインが含まれている。
7. 4つの分析物すべてに関する3次スプライン
このモデルにおいて、各項に関して3次スプラインが含まれている。以下で提示する例では、4つの節点を有する3次スプラインが説明される。しかしながら、代替として、5つの節点、6つの節点、7つの節点、及び8つの節点を含むが、これらに限定されない任意の適切な個数の節点を用いる3次スプラインが使用されてもよいということは認識されるべきである。スプラインは次式を用いて決定されてもよい。
ここで、knot1及びknot4は3次スプラインの外部節点であり、knot2及びknot3は3次スプラインの内部節点である。いくつかの実施形態では、内部節点は、tPSAの場合には約2〜約5の間及び約5〜約8の間の範囲内に、fPSAの場合には約0.25〜約1の間及び約1.0〜約2.0の間の範囲内に、iPSAの場合には約0.2〜約0.5の間及び約0.4〜約0.8の間の範囲内に、hK2の場合には約0.02〜約0.04の間及び約0.04〜約0.08の間の範囲内に指定されている。例えば、ある実装では、tPSAの内部節点として3.89及び5.54の値が使用され、fPSAの内部節点として0.81及び1.19の値が使用され、iPSAの内部節点として0.3及び0.51の値が使用され、及びkK2の内部節点として0.036及び0.056の値が使用される。
ある実施形態では、tPSAに関する1つ以上の内部節点が、約3〜約5の間の範囲内、約3〜約6の間の範囲内、約2.5〜約6の間の範囲内、約2.5〜約6.5の間の範囲内、約5〜約8の間の範囲内、約5.5〜約8の間の範囲内、約5〜約9の間の範囲内、約5〜約10の間の範囲内、約1〜約5の間の範囲内、約1〜約4の間の範囲内、及び、約1〜約3の間の範囲内に独立して存在してもよい。他の範囲もまた可能である。
ある実施形態では、fPSAに関する1つ以上の内部節点が、約0.1〜約1.0の間の範囲内、約0.1〜約1.2の間の範囲内、約0.3〜約0.8の間の範囲内、約0.4〜約0.9の間の範囲内、約0.5〜約1.2の間の範囲内、約0.7〜約1.4の間の範囲内、約0.7〜約0.9の間の範囲内、約1.1〜約1.6の間の範囲内、約1.1〜約1.2の間の範囲内、及び、約1.1〜約2の間の範囲内に独立して存在してもよい。他の範囲もまた可能である。
ある実施形態では、iPSAに関する1つ以上の内部節点が、約0.05〜約0.5の間の範囲内、約0.1〜約0.5の間の範囲内、約0.2〜約0.5の間の範囲内、約0.1〜約0.8の間の範囲内、約0.2〜約0.8の間の範囲内、約0.4〜約0.8の間の範囲内、約0.4〜約1.0の間の範囲内、約0.3〜約0.6の間の範囲内、約0.5〜約1.0の間の範囲内、及び、約0.6〜約0.8の間の範囲内に独立して存在してもよい。他の範囲もまた可能である。
ある実施形態では、hK2に関する1つ以上の内部節点が、約0.01〜約0.03の間の範囲内、約0.01〜約0.04の間の範囲内、約0.01〜約0.05の間の範囲内、約0.02〜約0.05の間の範囲内、約0.02〜約0.06の間の範囲内、約0.03〜約0.05の間の範囲内、約0.4〜約0.07の間の範囲内、約0.04〜約1.0の間の範囲内、約0.5〜約1.0の間の範囲内、及び、約0.6〜約1.0の間の範囲内に独立して存在してもよい。他の範囲もまた可能である。
上で議論したように、任意の適切な個数の内部節点(例えば、3つ、4つ、5つ、6つの内部節点)を組み込んだ3次スプラインが使用されてもよく、2つの内部節点を含む3次スプラインの例は、限定ではなく、単に例示として提示されている。2つを超える内部節点を含む実施形態において、節点は、上で議論した範囲のうちの1つ以上の範囲内に、又は他のある適切な範囲中で配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、隣接する一対の節点の間のスプラインのセグメントの長さが本質的に等しくなるように、節点は指定されてもよい。
モデルは次式で表されてもよい。
8. tPSA及びfPSAに関する3次スプライン
このモデルでは、変数の個数を減らしてモデルを簡単化するために、tPSA及びfPSAのみに関する3次スプラインが含まれている。
ある実施形態では、tPSA及びfPSAに関する内部節点は、4つの分析量すべてに関する3次スプラインモデルに関して上述した範囲のうちの1つ以上を用いて指定される。例えば、内部節点は、tPSAの場合には約2〜約5の間及び約5〜約8の間の範囲内に、fPSAの場合には約0.5〜約1の間及び約1.0〜約1.5の間の範囲内に指定されてもよい。例えば、ある実装において、3.89及び5.54の値はtPSAに関する内部節点に用いられ、0.81及び1.19の値はfPSAに関する内部節点に用いられる。しかしながら、代替として、他の値及び/又は範囲が使用されてもよいことは認識されるべきである。さらに、4つの分析物すべてに関する3次スプラインモデルに関して上で議論したように、いくつかの実施形態では、任意個数の節点(例えば4つ以外の節点)が代替として使用されてもよいことは認識されるべきである。
モデルは次式のように表されてもよい。
9. 年齢で階層化され、tPSA及びfPSAに関する3次スプライン
このモデルでは、特定の年齢(例えば年齢65)未満又はより高い/等しい年齢を有する患者について使用するための異なる係数(β)を生成するために、データセットの2つの部分に3次スプラインが適用される。従って、このモデルでは、両方のグループの患者に同様の表現が(異なる係数値を用いて)使用される。このモデルとともに使用可能な異なる係数の例は、以下の表1に提示される。
モデルは次式で表されてもよい。
上述のロジスティック回帰モデルの各々は、年齢と、総PSA(tPSA)、遊離型PSA(fPSA)、未変化PSA(iPSA)、及びヒトカリクレイン2(hK2)のうちの1つ以上に関する血液マーカー値とを含む、複数の入力ファクタを含む。いくつかの場合には、血液マーカー値は、患者のサンプルにおける血液マーカーの濃度である。上述のロジスティック回帰モデルのうちのいくつかにおいて、非線形項に関する線形又は3次スプラインが決定される。より高次のスプラインが代替として使用されてもよく、本明細書で説明した技術はこの点で限定されるものではないことは認識されるべきである。
上述のロジスティック回帰モデルに関して、各項には対応する係数値(β)が乗算される。係数は任意の適切な方法で決定されてもよい。例えば、モデルの各々は、患者の情報、血清分析結果及び生検結果を含むデータセットに供給されてもよい。本明細書で説明した技術により、各モデルのうち、癌を予測するデータセット中の情報に最も適合するモデルが決定されてもよく、また、最も適合する結果に対応する係数が使用されてもよい。以下の表1に、上述したモデルのそれぞれについて決定された係数の例示的なテーブルを示す。これらのモデルに関して、年齢は年を単位として入力され、各分析結果はng/mLを単位として測定される。
表1:上に議論した9つの線形回帰モデルのそれぞれについての例示的な係数(β)。係数は、1420人の個人からの情報を含むデータセットに対して各モデルについて最も適合するものに基づいて決定された。
表1中の値は単に例示としてのみ提供しているので、本明細書で説明した技術の実装において使用される特定の係数は、表1に記載されたものとは異なってもよいことが認識されるべきである。さらに、いくつかの実施形態では、異なる係数は、異なる患者集団に関して使用されてもよく、及び/又は、異なる結果の確率を決定するために使用されてもよい。例えば、異なる係数は、年齢で階層化された3次スプラインモデルに関して上述したように、異なる年齢範囲の患者に関して使用されてもよい。異なる係数は、異なる悪性度の癌に関する生検が陽性になる確率を決定するために使用されてもよい。例えば、高悪性度の癌(例えばグリーソンスコア≧7)で生検が陽性になる確率を決定するために使用される実施形態では、上記モデルのうちの1つ以上に関して、低悪性度癌で生検が陽性になる確率を決定するために使用される実施形態とは異なる係数を使用してもよい。さらに、血液マーカー値のうちの1つ以上が血清又は血漿から決定されたか否かを少なくとも部分的に基礎として、異なる係数が使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、マーカーのうちの1つ以上の値が所定しきい値より高い場合、第1のロジスティック回帰モデルが使用されてもよく、上記値が上記しきい値未満である場合、第2のロジスティック回帰モデルが使用されてもよい。図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る、しきい値に基づいてロジスティック回帰モデルを選択する処理を示す。動作210において、血液マーカーである総PSA(tPSA)の値が受信される。図2の例示的な処理は、どのロジスティック回帰モデルを使用するのかを決定するために血液マーカー値としてtPSAを使用しているが、他の任意の血液マーカー値、複数の血液マーカー値の組み合わせ、又は他の任意の適切な情報が代替として使用されてもよいことは認識されるべきである。従って、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、1つ以上の入力値を少なくとも部分的に基礎として複数のモデルから実装して選択するようにプログラミングされてもよい。
tPSAの値を受信した後に処理は動作212に進み、ここで、受信されたtPSA値を少なくとも部分的に基礎としてロジスティック回帰モデルが選択される。例えば、1つの実装において、tPSAの値が15ng/ml以上であり、好ましくは20のng/ml以上であり、最も好ましくは25ng/ml以上である場合、ロジスティック回帰モデルはtPSAのみに基づいてもよい(例えば、上述した「単純モデル(tPSAのみ)」のモデルが使用されてもよい)。この実装では、tPSA値が特定のしきい値未満(例えば15ng/ml未満)である場合、他のロジスティック回帰モデルのうちの1つ以上が選択されてもよい。
図2の処理を継続し、モデルが選択された後、処理は動作214に進み、ここで、選択されたモデルが完全モデル(例えば、4つのカリクレインマーカーのすべてを含む)であるか、それとも、カリクレインパネル中のすべてのマーカーより少ない個数のマーカーを含む部分モデルであるかが決定される。選択されたモデルが完全モデルでないと決定された場合、処理は動作216に進み、ここで、癌の確率は、上述したように、受信されたtPSA値のみに基づいて決定される。選択されたモデルが完全モデルでないと決定された場合、処理は動作218に進み、ここで、癌の確率は、選択されたモデルに基づいて、複数の血液マーカーを用いて決定される。選択されている特定のモデルにかかわらず、癌の確率が決定された後、処理は動作220に進み、ここで、図1に関して上で議論したように、癌の確率が出力される。
本発明のいくつかの実施形態では、上記確率が得られる上記イベントは、無症候性の男性又は下部尿路症状を有する男性から得られた前立腺の生検における前立腺癌の証拠である。
本発明のいくつかの実施形態では、上記確率が得られる上記イベントは、無症候性の男性又は下部尿路症状を有する男性から得られた前立腺の生検における高悪性度、すなわちグリーソンスコア7以上の前立腺癌の証拠である。典型的には、前立腺癌の進行又は前立腺癌の状態は、(i)グリーソンスコア7以上、(ii)グリーソングレード4+3以上、又は(iii)グリーソンスコア8以上として定義される。
多くの好ましい実施形態において、多数の男性のデータは、生検の理由、生検の年、生検コアの個数、陽性コアの個数、各コアにおける陽性の割合、及びそれらの任意の可能な組み合わせからなるグループから選ばれた1つ以上の生検データを含む。
上で議論したように、多くの好ましい実施形態において、血液マーカーは、少なくとも1つの血液マーカーに関する高々2つの非線形項を使用するロジスティック回帰モデルに含まれている。ある実施形態では、血液マーカーは、少なくとも1つの血液マーカーに関する高々3つの非線形項を使用するロジスティック回帰モデルに含まれている。ある実施形態では、血液マーカーは、少なくとも1つの血液マーカーに関する高々4つの非線形項を使用するロジスティック回帰モデルに含まれている。ある実施形態では、血液マーカーは、少なくとも1つの血液マーカーに関する高々5つの非線形項を使用するロジスティック回帰モデルに含まれている。
いくつかの実施形態では、イベントの確率を取得しようとしている男性を表す目標母集団において予想されるイベントレートが、ロジスティック回帰モデルを得るために使用されたデータに係る多数の男性のイベントレートとは異なる場合、ロジスティック回帰モデルは、式(II)〜式(IV)を定義し、式(V)により構成された確率を取得することにより、再較正されてもよい。
ここで、pは、上記多数の男性の上記データにおけるイベントレートであり、Pは、上記目標母集団における予想されるイベントレートである。
ここで、πは、モデルからの元の確率である。
πrecalibratedは、上記イベントの確率である。
いくつかの実施形態は、線形回帰モデルを用いて前立腺容積を予測するための方法及び装置に関するものであり、上記方法は、動作a)多数の男性のデータの線形回帰を使用することで得られた線形回帰モデルを提供することを含む。上記データは、上記多数の男性のうちの各男性について、(i)前立腺容積に関するデータと、(ii)前立腺容積に関するデータに先行するデータであって、年齢を含むデータと、上記男性の血液サンプルから得られた、tPSA、fPSA、iPSA、及びオプションでhK2を含む血液マーカーを決定することとを含む。上記線形回帰モデルは次式(VI)を用いて生成されてもよい。
ここで、Vは前立腺容積であり、βiは、上記線形回帰モデルを得るための、年齢、tPSA、fPSA、iPSA、及びオプションでhK2をそれぞれ含むj個の変数である変数xiの係数である。上記方法は、動作b)〜d)をさらに含む。b)男性の年齢を、年を単位として提供すること。c)上記男性の血液サンプルからそれぞれ得られた上記血液マーカー、すなわち、tPSA、fPSA、iPSA、及びオプションでhK2を決定すること。d)ステップb)の上記提供された年齢と、ステップc)の上記決定された血液マーカーとを用いて、上記線形回帰モデルを使用して、上記男性の上記予測された前立腺容積を取得すること。いくつかの実施形態では、統計モデルによれば、tPSAが15ng/ml以上であり、好ましくは20ng/ml以上であり、最も好ましくは25ng/ml以上である場合、上記癌のリスクはtPSAのみに基づくものである。
生検時に前立腺癌の確率を決定するための上述したモデルを含むが、それに限定されない任意の適切なロジスティック回帰モデルが、前立腺容積を決定するための本発明の実施形態とともに使用可能であるということが認識されるべきである。
いくつかの実施形態では、ロジスティック回帰モデル又は線形回帰モデルを提供して、上記男性の血液マーカーを決定するためのステップa)(ii)のデータは、ヒトカリクレイン2を含む。
本発明の方法の多くの好ましい実施形態において、前立腺容積が予測された前立腺容積である場合、予測された前立腺容積は、経直腸超音波によって定義されるように提供される。
本発明の方法の多くの好ましい実施形態では、ロジスティック回帰モデル又は線形回帰モデルを提供するための上記多数の男性のうちの各男性に関するデータは、直腸指診(DRE)の結果をさらに含み、従って、当該男性についてDREが実行され、得られた結果は、ロジスティック回帰モデル又は線形回帰モデルをそれぞれ用いて上記確率を得る際に用いられる。好ましくは、DREの結果は2進値で表され、すなわち、正常な場合には0であり、結節が存在する場合には1であり、後者では、推定容積を表す第2の値、すなわち小=0、中=1、及び大=2を付加してもよい。
本発明の方法に係るいくつかの好ましい実施形態では、モデルを得るための多数の男性のデータは、年齢特異的なメジアン以上として定義された、増大したレベルのtPSAを有する男性のデータのみを含み、従って、イベント又は予測された前立腺容積の確率は、上記増大したレベルのtPSAを有する男性に関してのみ得られる。
本発明の方法の好ましい実施形態では、モデルを得るための多数の男性のうちの各男性に関する血液マーカーと、従って、確率又は予測された前立腺容積を得るために決定された血液マーカーとの決定は、血清又は血漿の血液サンプル、好ましくは抗凝血性であり、新鮮及び冷凍のいずれかの血液サンプルから決定される。好ましくは、すべてのサンプルは同じ種類のものであり、すなわち、血清及び血漿のいずれかであり、新鮮及び冷凍のいずれかである。
本発明の方法に係るいくつかの好ましい実施形態では、ロジスティック回帰モデル又は線形回帰モデルは、40〜75歳の多数の男性のデータを使用して提供され、従って、イベントの確率又は予測された前立腺容積は、40〜75歳の男性について得られる。
本発明の方法に係るいくつかの好ましい実施形態では、ロジスティック回帰モデル又は線形回帰モデルは、年齢中上位3分の1以上、年齢中上位4分の1以上、年齢中上位5分の1以上、又は年齢中上位10分の1以上の、血液中のtPSAを有する多数の男性のデータを使用して提供され、従って、イベントの確率又は予測された前立腺容積は、年齢中上位3分の1以上、年齢中上位4分の1以上、年齢中上位5分の1以上、又は年齢中上位10分の1以上の、血液中のtPSAを有する男性について得られる。一例として、60歳の男性について、対応する総PSA値は、年齢中上位3分の1以上について1.5ng/mlであり、年齢中上位4分の1以上について1.9ng/mlであり、年齢中上位5分の1以上について2.1ng/mlであり、年齢中上位10分の1以上について3ng/mlであってもよい。
例示的なコンピュータシステム
図3に、本明細書で説明した技術及び/又はユーザ対話処理のうちの一部又はすべてが実装されてもよいコンピュータシステム300の例示的実装を示す。コンピュータシステム300は、1つ以上のプロセッサ310及び1つ以上のコンピュータ可読な非一時的記憶媒体(例えば、メモリ320及び1つ以上の不揮発性記憶メディア330)を含んでもよい。1つ以上のプロセッサ310は、メモリ320及び不揮発性記憶素子330へのデータの書き込み及びデータの読み出しを任意の適切な方法で制御してもよいが、本明細書で説明する本発明の態様はこの点で限定しない。
本明細書で説明した機能のうちの任意のものを実行するために、1つ以上のプロセッサ310は、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ320)に格納された、プログラムモジュールなどの1つ以上の命令を実行してもよく、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ310により実行するために命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として動作してもよい。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造、などを含む。実施形態は、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔の処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実装されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカル及び遠隔の両方のコンピュータ記憶媒体に位置してもよい。
コンピュータ300は、1つ以上の遠隔のコンピュータへの論理的接続を用いて、ネットワーク化された環境において動作してもよい。1つ以上の遠隔のコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードを含んでもよく、典型的には、コンピュータ300に関連して上述した要素の多数又はすべてを含んでもよい。コンピュータ300と1つ以上の遠隔のコンピュータとの間の論理的接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び広域ネットワーク(WAN)を含むが、これらに限定されず、他のネットワークを含んでもよい。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づいてもよく、任意の適切なプロトコルに従って動作してもよく、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバーネットワークを含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、及びインターネットにおいて一般的である。
LANネットワーキング環境において用いられる場合、コンピュータ300は、ネットワークインターフェース又はアダプタを介してLANに接続されていてもよい。WANネットワーキング環境において用いられる場合、コンピュータ300は、典型的には、モデム、又はインターネットなどのWANを介して通信を確立するための他の手段を含む。ネットワーク化された環境において、プログラムモジュール又はその部分は、遠隔のメモリ記憶装置に格納されてもよい。
前立腺癌のリスクの評価及び/又は前立腺容積の決定を行うための、本明細書で説明したさまざまな入力は、当該入力に関連付けられたデータを格納する1つ以上の遠隔のコンピュータ又は装置から、ネットワーク(例えば、LAN、WAN、又は他の何らかのネットワーク)を介してコンピュータ300によって受信されてもよい。遠隔のコンピュータ/装置のうちの1つ以上は、コンピュータ300への入力データとして解析結果を送信する前に、遠隔に記憶されたデータの分析を行ってもよい。代替として、遠隔に記憶されたデータは、いかなる遠隔の分析を行うこともなく遠隔に格納されたままで、コンピュータ300に送られてもよい。さらに、コンピュータ300の構成要素として組み込まれてもよい多数の入力インターフェースのうちの任意のもの(例えば入力インターフェース340)を用いて、コンピュータ300のユーザから直接に入力が受信されてもよい。
前立腺癌のリスクの確率及び/又は前立腺容積の出力を含む、本明細書で説明したさまざまな出力は、コンピュータ300に直接的に接続された出力装置(例えばディスプレイ)上に視覚的に提供されてもよく、又は、当該1つ以上の出力は1つ以上の有線又は無線ネットワークを介してコンピュータ300に接続された遠隔に位置した出力装置に提供されてもよく、本発明の実施形態はこの点で限定しない。本明細書で説明した出力は、追加的又は代替的に、視覚的な提示を用いること以外の方法で提供されてもよい。例えば、コンピュータ300、又は出力が提供される遠隔のコンピュータは、スピーカ、及び出力の表示を提供するための震動出力インターフェースを含むが、これらに限定されない1つ以上の出力インターフェースを含んでもよい。
図3ではコンピュータ300は単一の装置として示しているが、いくつかの実施形態では、コンピュータ300は、本明細書で説明した機能の一部又はすべてを行うために通信可能に接続された複数の装置を備えてもよく、コンピュータ300は、本発明の実施形態によって使用可能であるコンピュータの1つの例示的実装にすぎないことは認識されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ300は、図5に示すシステムと統合されてもよく、及び/又は、当該システムと電子的に通信してもよい。
上述したように、いくつかの実施形態では、コンピュータ300は、ネットワーク化された環境に含まれていてもよく、ここで、前立腺癌の確率及び/又は前立腺容積を決定するために用いられる1つ以上の血液マーカーに関する情報は、本明細書で説明した技術のうちの1つ以上を用いて分析を行うために外部ソースからコンピュータ300に送られる。図4に、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的なネットワーク化された環境400を示す。ネットワーク化された環境400において、コンピュータ300は、ネットワーク410を介して検出器420に接続されている。上で議論したように、ネットワーク410は、任意の適切なタイプの有線又は無線ネットワークであってもよく、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、又はインターネットなどの広域ネットワーク(WAN)を含んでもよい。
検出器420は、本明細書で説明した技術のうちの1つ以上により、前立腺癌の確率及び/又は前立腺容積を決するために使用される血液マーカーのうちの1つ以上の値を決定するように構成されてもよい。図4hでは検出器420は単一の検出器として示しているが、検出器420は本明細書で説明された技術の1つ以上により使用される血液マーカー値のうちの1つ以上を決定するようにそれぞれ構成された、複数の検出器として実装されてもよいことが認識されるべきである。検出器及び検出システムの追加の例を、以下でさらに詳細に提示する(例えば図12)。
いくつかの実施形態では、検出器420から決定された血液マーカーの値に対応する情報は、当該値をコンピュータ300に送信する前に格納されてもよい。そのような実施形態において、値に対応する情報は、検出器420に通信可能に接続されたローカルな記憶装置420にローカルに記憶されてもよく、及び/又は、ネットワーク接続された中央記憶装置440に記憶されてもよい。従って、血液マーカーに対応する値が、本明細書で説明した技術のうちの1つ以上に従ってコンピュータ300によって受信される場合、値のうちの少なくとも一部は、検出器420から直接に受信されてもよく、又は、値を格納した1つ以上の記憶装置(例えば、ローカル記憶装置430、中央記憶装置440)から受信されてもよいが、なお、値がどこから受信されているかに基づいては実施形態は限定されないということが認識されるべきである。
他のシステム及び構成要素
本明細書で説明したように、いくつかの実施形態では、システムは、前立腺癌(例えば、前立腺癌のリスク及び/又は前立腺容積)に関連付けられたイベントの確率を決定するためのアナライザと電子的に通信してロジスティック回帰モデルを評価するようにプログラミングされたプロセッサ又はコンピュータを含んでもよい。アナライザは、ロジスティック回帰モデルに入力するための血液マーカーの1つ以上の特性を決定するように適合されて構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アナライザは微小流体サンプルアナライザであり、例えば、アナライザは、微小流体装置/カセット内で処理されたサンプルを決定するように適合されて構成されてもよい。しかしながら、他のタイプのアナライザが用いられてもよく(例えば微小ウェルELISA型分析のためのアナライザ)、本明細書で説明したシステムがこの点で限定されないことは認識されるべきである。
そのようなシステムの一例は、一組の実施形態において、微小流体サンプルアナライザは、筐体と、上記筐体の開口部であって、少なくとも1つの微小流体チャネルを有するカセットを収容するように構成された開口部とを備え、上記筐体は、上記カセット上の嵌合部品とインターフェースをとって上記筐体内の上記カセットを検出するように構成された構成要素を含む。上記アナライザは、上記筐体内に配置された圧力制御システムであって、上記カセットの上記少なくとも1つの微小流体チャネルに加圧して上記少なくとも1つの微小流体チャネルを介してサンプルを移動させるように構成された圧力制御システムをさらに含んでもよい。上記システムは、上記筐体内に配置された光学系であって、少なくとも1つの光源を含み、上記光源から離隔した少なくとも1つの検出器を含む光学系をさらに含んでもよい。上記光源は、上記カセットが上記サンプルアナライザへ挿入されるとき、上記カセットに光が透過するように構成され、上記検出器は、上記光源の反対側に配置され、上記カセットを透過する光量を検出し、上記システムは、少なくとも、ある人物の年齢及び/又は上記線形回帰モデルに入力するための他の情報を入力するための、上記筐体に関連付けられたユーザインターフェースをさらに含んでもよい。
ある実施形態では、上記プロセッサは、上記微小流体サンプルアナライザと電子的に通信する(又は電子的に通信するように適合される)。いくつかの場合には、上記プロセッサは上記アナライザの筐体内にある。しかしながら、他の実施形態では、上記プロセッサは、上記アナライザの筐体内に含まれず、本明細書で説明するような電子的手段によってアクセスされてもよい。上記プロセッサは、上記少なくとも1つの検出器から受信された情報を少なくとも部分的に基礎としてロジスティックス回帰モデルを評価することで、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定するようにプログラミングされてもよく、上記ロジスティック回帰モデルを評価することは、複数の変数のそれぞれを異なる係数値によってスケーリングし、スケーリングされた変数を生成することと、上記スケーリングされた変数の値を合計したものを用いて、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を生成することとを含み、上記複数の変数は、年齢と、上記検出器から受信された情報に含まれた少なくとも2つの変数とを含み、fPSA、iPSA、及びtPSAからなるグループから選択される。
ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定するための方法は、例えば、微小流体サンプルアナライザを提供することを含んでもよい。上記微小流体サンプルアナライザは、筐体と、上記筐体の開口部であって、少なくとも1つの微小流体チャネルを有するカセットを収容するように構成された開口部とを備えてもよい。上記筐体は、上記カセット上の嵌合部品とインターフェースをとって上記筐体内の上記カセットを検出するように構成された構成要素を含む。上記アナライザは、上記筐体内に配置された圧力制御システムであって、上記カセットの上記少なくとも1つの微小流体チャネルに加圧して上記少なくとも1つの微小流体チャネルを介してサンプルを移動させるように構成された圧力制御システムを含んでもよい。上記アナライザは、上記筐体内に配置された光学系であって、少なくとも1つの光源を含み、上記光源から離隔した少なくとも1つの検出器を含む光学系を含んでもよい。上記光源は、上記カセットが上記サンプルアナライザへ挿入されるとき、上記カセットに光が透過するように構成され、上記検出器は、上記光源の反対側に配置され、上記カセットを透過する光量を検出する。アナライザは、少なくともある人物の年齢を入力するための、上記筐体に関連付けられたユーザインターフェースをさらに含んでもよい。上記方法は、上記微小流体サンプルアナライザを用いて複数の血液マーカーの情報を決定することを含んでもよい。上記複数の血液マーカーの情報は、fPSA値、ipsa値、tPSA値、及びオプションでhK2値を含む。上記方法は、少なくとも1つのプロセッサを用いて、上記情報を少なくとも部分的に基礎としてロジスティックス回帰モデルを評価することで、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定することを含んでもよく、上記ロジスティック回帰モデルを評価することは、複数の変数のそれぞれを異なる係数値によってスケーリングし、スケーリングされた変数を生成することと、上記スケーリングされた変数の値を合計したものを用いて、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を生成することとを含み、上記複数の変数は、年齢と、上記検出器から受信された情報に含まれた少なくとも2つの変数とを含み、fPSA、iPSA、及びtPSAからなるグループから選択される。
システムの別の例は、一組の実施形態において、装置(例えば微小流体カセット)を含み、上記装置は、第1の結合パートナーを備える第1の分析領域と、第2の結合パートナーを備える第2の分析領域と上記第1の結合パートナーは、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの少なくとも1つと結合するように適合され、上記第2の結合パートナーは、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの少なくとも他の1つと結合するように適合される。いくつかの実施形態では、上記装置は、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの第3のものと結合するように適合された第3の結合パートナーを含む第3の分析領域を含む。オプションで、上記装置は、hK2と結合するように適合された第4の結合パートナーを含む第4の分析領域を含んでもよい。上記システムは、上記第1及び第2の分析領域に関連付けられた検出器と、上記検出器から受信された情報を少なくとも部分的に基礎としてロジスティックス回帰モデルを評価することで、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定するようにプログラミングされたプロセッサとを含む。上記ロジスティック回帰モデルを評価することは、複数の変数のそれぞれを異なる係数値によってスケーリングし、スケーリングされた変数を生成することと、上記スケーリングされた変数の値を合計したものを用いて、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を生成することとを含み、上記複数の変数は、年齢と、上記検出器から受信された情報に含まれた少なくとも2つの変数とを含み、fPSA、iPSA、及びtPSAからなるグループから選択される。
そのようなシステムにおいて前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定するための方法は、例えば、サンプルを装置(例えば微小流体カセット)に導入する動作を含んでもよく、上記装置は、第1の結合パートナーを備える第1の分析領域と、第2の結合パートナーを備える第2の分析領域とを備える。上記第1の結合パートナーは、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの少なくとも1つと結合するように適合され、上記第2の結合パートナーは、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの少なくとも他の1つと結合するように適合される。いくつかの実施形態では、上記装置は、fPSA、iPSA、及びtPSAのうちの第3のものと結合するように適合された第3の結合パートナーを含む第3の分析領域を含む。オプションで、上記装置は、hK2と結合するように適合された第4の結合パートナーを含む第4の分析領域を含んでもよい。上記方法は、上記サンプルからのfPSA、iPSA、及び/又はtPSAのうちの任意のものが、少なくとも、上記第1及び第2分析領域における上記第1及び/又は第2の結合パートナーと結合することを可能にすることと、上記第1及び第2の分析領域に関連付けられた1つ以上の検出器を用いて、fPSA、iPSA、及び/又はtPSAの特性を決定することとを含んでいてもよい。上記方法は、少なくとも1つの検出器から受信された情報を少なくとも部分的に基礎としてロジスティック回帰モデルを評価することで、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を決定するようにプログラムされたプロセッサに、上記fPSA、iPSA、及び/又はtPSAの特性を入力することを含み、上記ロジスティック回帰モデルを評価することは、複数の変数のそれぞれを異なる係数値によってスケーリングし、スケーリングされた変数を生成することと、上記スケーリングされた変数の値を合計したものを用いて、ある人物の前立腺癌に関連付けられたイベントの確率を生成することとを含み、上記複数の変数は、年齢と、上記検出器から受信された情報に含まれた少なくとも2つの変数とを含み、fPSA、iPSA、及びtPSAからなるグループから選択される。従って、前立腺癌に関連付けられたイベントの確率が決定されてもよい。
ある実施形態では、血液マーカー(例えば、fPSA、iPSA、tPSA、及び/又はhK2)を決定するための装置が提供される。いくつかの場合には、上記装置は、例えば単一のカセットにおける、複数の血液マーカーを同時に決定可能であってもよい。上記装置は微小流体システムを含んでもよく、上記微小流体システムは、少なくとも1つの入口及び1つの出口を含む第1の微小流体チャネルと、上記第1の微小流体チャネルに貯蔵された第1の試薬と、上記第1の微小流体チャネルに上記第1の試薬を貯蔵するように上記第1の微小流体チャネルの入口をカバーする封止及び上記第1の微小流体チャネルの出口をカバーする封止とを備える。上記装置は、少なくとも1つの入口及び1つの出口、第1の分析領域、第2の分析領域、及び第3の分析領域を含む、第2の微小流体チャネルをさらに含んでもよい。上記分析領域の各々は、抗iPSA特異捕捉抗体、抗fPSA特異捕捉抗体、及び抗tPSA特異捕捉抗体(及びオプションでhK2特異捕捉抗体)のうちの1つを含んでもよい。上記第1、第2、及び第3の分析領域のうちの1つ以上は、上記第2の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能である。上記装置は、上記微小流体システムに接続可能な流体コネクタをさらに含み、上記流体コネクタは、流体経路入口及び流体経路出口を含む流体経路を備え、接続時に、上記流体経路入口は、上記第1の微小流体チャネルの出口に接続して、上記流体経路及び上記第1の微小流体チャネルの間の流体の伝達を可能にし、上記流体経路出口は、上記第2の微小流体チャネルの入口に接続して、上記流体経路及び上記第2の微小流体チャネルの間の流体の伝達を可能にする。上記第1及び第2の微小流体チャネルは、上記流体コネクタを介する接続をもたず、互いに流体を伝達しない。上記装置は、オプションで、抗PSAに結合する抗体に結合した金属コロイドのソースを含んでもよい。
本明細書で説明した装置に関するいくつかの実施形態では、上記第1、第2、及び第3の分析領域のうちの少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)は、上記第2の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能である。ある場合には、上記第1、第2、及び第3の分析領域(オプションで第4の分析領域)の各々が、上記第2の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能である。いくつかの例において、上記第1の分析領域は上記第2の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能であり、上記第2の分析領域は上記第3の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能である。上記第2及び第3の分析領域(及びさらに上記第2及び第3の微小流体チャネル)は、例えば、同じ基板層上に形成されてもよく、又は本明細書で説明するように異なる基板層上に形成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、上記第3の分析領域は上記第4の微小流体チャネルとの間で流体を伝達可能である、上記第3及び第4の分析領域(及びさらに上記第3及び第4の微小流体チャネル)は、例えば、同じ基板層上に形成されてもよく、又は本明細書で説明するように異なる基板層上に形成されてもよい。いくつかの場合には、上記第1、第2、及び第3の分析領域(オプションで第4の分析領域)の各々が、異なる基板層に形成される。他の実施形態において、上記第4の分析領域(例えば、それは抗hK2特異捕捉抗体を含んでもよい)は、上記第1、第2、及び第3の分析領域の少なくとも1つを含む基板層とは異なる基板層に形成される。いくつかのそのような実施形態において、上記第1、第2、及び第3の分析領域は、同じ基板層に形成される。
上記分析領域が異なる基板層に形成されるか、それとも同じ基板層に形成されるかにかかわらず、いくつかの実施形態では、例えば上記装置の使用前に、上記第1、第2、及び/又は第3の分析領域(オプションで第4の分析領域)に試薬が貯蔵されて封止されてもよい。上記試薬は、例えば、抗iPSA特異捕捉抗体、抗fPSA特異捕捉抗体、及び抗tPSA特異捕捉抗体(オプションでhK2特異捕捉抗体)を含んでもよい。上記装置の使用時に(例えば、上記微小流体システムに流体コネクタを接続する際に)、上記第1の微小流体チャネルは、第1、第2、及び第3の分析領域(オプションで第4の分析領域)の1つ以上との間で流体を伝達可能であるように配置されてもよい。例えば、上記流体コネクタは、上記微小流体システムへの接続時に、第2、第3、及び/又は第4の微小流体チャネルの1つ以上入口に接続されてもよい。装置構成の例は以下でさらに詳細に説明される。
本明細書で説明したある装置では、分析は、iPSA、fPSA、tPSA、及びhK2のうちの1つよりも多くを認識する検出抗体を使用することを含む。例えば、検出抗体はPSA及びhK2の両方を認識してもよく、次に、遮断薬を用いて、hK2だけが検出されるようにPSAを妨げることができる。例えば、1つの特定の実施形態において、分析領域は、抗hK2捕捉抗体(これは、例えば5〜10%のtPSAを捕捉してもよく、本明細書で説明するように使用される前に分析領域に貯蔵されてもよい)と、tPSAを遮断する遮断薬抗体とを含んでもよい。抗hK2検出器抗体(これはtPSAをさらに検出してもよい)は、hK2の結合の量を検出するために使用可能である。異なる分析領域は、例えば、fPSA及びtPSAの両方を捕捉する抗tPSA捕捉抗体(これは、本明細書で説明するように使用される前に分析領域に貯蔵されてもよい)を含んでもよい。2つの異なる検出器抗体、例えば、ある波長に関する蛍光タグを有する抗tPSA検出器抗体と、異なる波長に関する蛍光タグを有する抗fPSA検出器抗体とが、検出のために使用されてもよい。異なる分析領域は、例えば、抗fPSA捕捉抗体を含んでもよく、オプションで抗iPSA捕捉抗体を含んでもよい。2つの異なる検出器抗体、例えば、ある波長に関する蛍光タグを有する抗fPSA検出器抗体と、異なる波長に関する蛍光タグを有する抗iPSA検出器抗体とが、検出のために使用されてもよい。
しかしながら、他の実施形態において、特異捕捉抗体は種の検出のために使用されてもよい。複数の特異捕捉抗体の各々は、本明細書で説明するように、異なる分析領域に配置してもよい。優位点として、特異捕捉抗体を使用することにより、及び/又は、異なる分析領域に捕捉抗体を配置することにより、種のそれぞれを検出するために同じ検出抗体を使用することができる。いくつかのそのような実施形態において、種のそれぞれを決定するために同じ波長が使用されてもよい。これは、簡単化された検出器及び/又は検出のための光学的構成要素の使用を可能にしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、検出は、以下でさらに詳細に説明するように、特定の波長において決定可能な不透明な材料を異なる分析領域に蓄積することを含む。
例えば、一組の実施形態において、抗iPSA特異捕捉抗体、抗fPSA特異捕捉抗体、及び抗tPSA特異捕捉抗体(オプションでhK2特異捕捉抗体)は、オプションで陰性及び陽性の対照とともに、本明細書で説明するような異なる分析領域に含まれてもよい。金で標識された抗PSA及び抗hK2抗体などの検出抗体は、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のそれぞれを検出するために使用されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、金で標識された抗hK2抗体、金で標識された抗PSA抗体、及び/又は金で標識された抗iPSA抗体など、金で標識された複数の抗体の混合物が、検出のために使用されてもよい。そのようなシステムにおいて、種のそれぞれを決定するために同じ波長が使用されてもよく、これは、簡単化された検出器及び/又は検出のための光学的構成要素を使用できるようにする可能性がある。
本明細書で提示する実施形態と組み合わせて使用可能な特定のシステム、装置、及びアナライザの例がここで説明される。
図5は、微小流体システムと、一組の実施形態に含まれる可能性があるさまざまな構成要素とのブロック図510を示す。微小流体システムは、例えば、カセット520を含んでもよく、カセット520は、(例えば、カセットへ1つ以上の流体を導入するための、及び/又は、流体フローのレートを制御するための)ポンプ等の流体フロー源540のような1つ以上の構成要素に機能的に関連付けられ、オプションで、(例えば、1つ以上の流体をカセット内で移動させる/カセットから除去するための、及び/又は、流体フローのレートを制御するための)陽圧又は真空の両方のどちらかを印加するように構成されてもよいポンプ又は真空などの流体フロー源540のような1つ以上の構成要素に機能的に関連付けられる。微小流体システムは、(例えば、1つ以上のバルブを動作させるための)バルブ調節システム528、(例えば、1つ以上の流体及び/又は処理を検出するための)検出システム534、及び/又は、(例えば、カセットの1つ以上の領域を加熱及び/又は冷却するための)温度調整システム541をさらに含んでもよい。上記構成要素は、微小流体装置の外部にあっても内部にあってもよく、オプションで、当該構成要素又は複数の構成要素のシステムを制御するための1つ以上のプロセッサを含んでもよい。ある実施形態では、1つ以上のそのような構成要素及び/又はプロセッサは、カセットに含まれていたサンプルの処理及び/又は分析を行うように構成されたサンプルアナライザ547と関連付けられる。プロセッサは、オプションで、本明細書で説明するような線形回帰モデルを評価するようにプログラミングされてもよい。
概して、本明細書での用法によれば、1つ以上の他の構成要素と「機能的に関連付けられた」構成要素とは、そのような構成要素が、互いに接続されたり取り付けられたりすることなく直接の物理接触で互いに直接的に接続されているか、又は、互いに直接的に接続されても互いに接触してもいないが、そのように関連付けられた構成要素がそれらの意図された機能を実行できるようにするために、機械的に、電気的に(空間を介して送信された電磁気信号を用いることを含む)、又は(例えば、管などのチャネルを介して)流体伝達可能であるように、そのような構成要素が相互接続されていることを示す。
図5に例示的に示した構成要素とともに、本明細書で説明するもののような他のオプションの構成要素もまた、制御システム550と機能的に関連付けられていてもよい。いくつかの実施形態では、制御システムは、微小流体システムで行なわれる1つ以上のイベントからのフィードバックを用いることによって、流体の制御及び/又は品質管理の実行のために使用されてもよい。例えば、制御システムは、各種パラメータの計算及び/又は制御を行うために、1つ以上の信号又は複数の信号のパターンを制御システムへ予めプログラミングされた信号と比較するために、及び/又は、流体フローの変調及び/又は微小流体システムの動作の制御を行うための1つ以上の構成要素に信号を送るために、1つ以上の構成要素から入力信号を受信するように構成されてもよい。制御システムは、以下でさらに詳細に説明するように、オプションで、ユーザインターフェース554、識別システム556、外部通信装置558(例えばUSB)、及び/又は他の構成要素などの、他の構成要素とさらに関連付けられもよい。
カセット(例えば微小流体装置)520は、チャネル及び/又は所望の分析を行うための構成要素の任意の適切な構成も有してもよい。一組の実施形態において、カセット520は、例えば本明細書でさらに詳細に説明するように、化学的及び/又は生物学的反応(例えば免疫測定)を行うために使用可能な、貯蔵された試薬を含んでいる。カセットは、例えば、オプションの試薬貯蔵エリア564との間で流体を伝達可能なオプションの試薬入口562を含んでもよい。貯蔵エリアは、例えば、1つ以上のチャネル及び/又は貯蔵器を含んでもよく、チャネル及び/又は貯蔵器は、いくつかの実施形態では、流体(例えば、本明細書でさらに詳細に説明するように、試薬溶液及び洗浄溶液などの非混和性の試薬を含み液体及び気体であって、オプションで非混和性の流体によって分離された液体及び気体)で部分的に又は完全に充填されてもよい。カセットは、試薬貯蔵エリア564をオプションの分析領域568に接続するために使用可能な流体コネクタのような、オプションのサンプル又は試薬の装填エリア566をさらに含んでもよい。分析領域は、サンプル(例えば分析領域)中の1つの成分を検出するための1つ以上のエリアを含んでもよく、分析領域は、オプションの廃棄エリア570との間で流体を伝達可能であるように、出口572に接続されていてもよい。いくつかの場合には、そのような装置機能及び他の装置機能が、本明細書でさらに詳細に説明するように、カセットの異なる構成要素又は層上に、又はその内部に形成されてもよい。従って、カセットが単一の構成要素を含んでもよく、又は、カセットが、ある物品と本明細書で説明するような取り付けられた流体コネクタとの組み合わせなど、使用中に取り付けられる複数の構成要素を含んでもよいことは認識されるべきである。一組の実施形態において、流体は、図に示す矢印の向きに流れてもよい。本明細書では、そのような構成要素及び他の構成要素の別の説明及び例が提供される。
いくつかの実施形態では、サンプルをカセットに導入する前は、カセットのセクション571及び577は互いに流体を伝達可能ではない。いくつかの場合には、カセットを最初に使用する前は、セクション571及び577は互いに流体を伝達可能ではなく、最初に使用したとき、これらのセクションは互いに流体を伝達可能になる。しかしながら、他の実施形態では、セクション571及び577は、最初に使用する前、及び/又は、サンプルをカセットに導入する前に、互いに流体を伝達可能である。カセットの他の構成もまた可能である。
図5の例示的な実施形態で示すように、ポンプ、真空、又は他の圧力制御システムなどの1つ以上の流体フロー源540、バルブ調節システム528、検出システム534、温度調整システム541、及び/又は他の構成要素は、カセット520の試薬入口562、試薬貯蔵エリア564、サンプル又は試薬の装填エリア566、反応エリア568、廃棄エリア570、出口572、及び/又は他の領域のうちの1つ以上と機能的に関連付けられてもよい。カセットの1つ以上の領域における処理又はイベントの検出は、制御システム550に送信可能な1つの信号又は複数の信号のパターンを生成することができる。制御システムによって受信された信号に基づいて、このフィードバックは、例えば、ポンプ、真空、バルブ調節システム、検出システム、温度調整システム、及び/又は他の構成要素のうちの1つ以上を制御することによって、微小流体装置のこれらの各領域内及び/又は各領域間で流体を操作するために使用可能である。
図6では、微小流体サンプルアナライザ600の1つの実施形態を示す。図6に示す例示的な実施形態に示すように、アナライザは、以下でより詳細に議論するアナライザの構成要素をカバーするか保持するように構成された筐体601を含む。筐体の開口620は、カセット520を収容するように構成される。以下でより詳細に説明するように、アナライザ600は、筐体内に位置したユーザインターフェース650であって、ユーザがサンプルアナライザに情報を入力するように構成されたユーザインターフェース650をさらに含んでもよい。この特定の実施形態では、ユーザインターフェース650はタッチスクリーンを含むが、以下で議論するように、ユーザインターフェースは異なる構成を有してもよい。
いくつかの実施形態では、アナライザは、カセットに加圧するように構成された流体フロー源(例えば真空システム)、カセットに関連付けられた情報を読み出すように構成された識別リーダー、及びカセットとインターフェースをとって筐体内のカセットを検出するように構成された構成要素を含む機械的サブシステムとを含んでもよい。上述のように、筐体の開口は、カセットを収容するように構成される。開口620は長方形スロットとして構成されてもよい。開口は、この方法で構成されて、実質的にカード形のカセットを収容してもよい。本発明はそのように限定されず、他の実施形態では開口は異なる形状及び構成を有してもよいことが認識されるべきである。
上述のように、微小流体サンプルアナライザ600は、さまざまなタイプのカセット520(例えば微小流体装置)を収容するように構成されてもよい。図7〜図11Fは、アナライザ600とともに用いるためのカセット520のさまざまな例示的な実施形態を示す。図示するように、カセットは、実質的に硬い板状構造を有する、実質的にカード形(すなわち、カードキーに類似したもの)であってもよい。
カセット520は、カセットの一端に向かってスナップ動作で折り曲げ可能な、流体コネクタ720を含むように構成されてもよい。ある実施形態では、流体コネクタは、1つ以上の流体(例えばサンプル又は試薬)をカセットへ導入するために使用可能である。
一組の実施形態において、流体コネクタは、最初に使用する前には接続されていないチャネルである、カセットの2つ(又はより多く)のチャネルを最初の使用時に流体伝達可能であるように接続するために使用される。例えば、カセットは、カセットを最初に使用する前に流体を伝達可能でない2つのチャネルを含んでもよい。互いに非接続の複数のチャネルは、各チャネルに異なる試薬を貯蔵するような場合には有利になる可能性がある。例えば、第1のチャネルは乾燥した試薬を貯蔵するために使用されてもよく、第2のチャネルは水分を含む試薬を貯蔵するために使用されてもよい。複数のチャネルを互いに物理的に離隔させることは、例えば、乾燥形式で貯蔵された1つ以上の試薬を、湿潤形式で貯蔵された1つ以上の試薬から生じる可能性がある水分から保護し続けることによって、各チャネルに貯蔵された試薬の長期間の安定性を向上させることができる。最初の使用時に、チャネルは、カセットのチャネル間で流体を伝達可能にするために流体コネクタを介して接続されてもよい。例えば、流体接続されたものは、カセットの入口及び/又は出口をカバーする封止に穴をあけてもよく、流体コネクタをカセットに挿入することを可能にする。
本明細書の用法によれば、「カセットを最初に使用する前」とは、カセットが商業的販売の後に意図されたユーザによって最初に用いられる前の1つ以上の時を意味する。最初の使用は、ユーザによる装置の操作を必要とする1つ以上の任意のステップを含んでもよい。例えば、最初の使用は、封止された入口に穴を開けて試薬をカセットに導入すること、2つ以上のチャネルを接続してチャネル間で流体を伝達可能にすること、サンプルの分析前に装置を準備すること(例えば、装置に試薬を装填すること)、装置にサンプルを装填すること、装置の領域においてサンプルを準備すること、サンプルと反応させること、サンプルを検出すること、などのステップのうちの1つ以上を含んでもよい。第1の使用は、このコンテキストでは、製造を含まず、カセットの製造業者によって行われる他の準備ステップ又は品質管理ステップも含まない。当業者は、このコンテキストにおける最初の使用の意味をよく認識し、本発明のカセットが最初の使用の状態にあるか否かを容易に決定することができるだろう。一組の実施形態において、本発明のカセットは最初の使用の後(例えば、分析の完了後)に使い捨て可能であり、最初の使用の後に(例えば第2の分析を行うために)装置を用いることは典型的にはまったく非実用的であるので、そのような装置が最初に使用されたのがいつなのかは特に明白である。
図8に示す例示的な実施形態で示すように、流体コネクタ720は、実質的にU字型のチャネル722を含んでもよく、又は、カセットに接続される前に流体及び/又は試薬(例えば、流体サンプル及び/又は1つ以上の検出抗体)を保持することができる、他の任意の適切な形状を有するチャネルを含んでもよい。722は、コネクタ720を形成する2つのシェル構成要素間に収容されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタは、流体コネクタがカセットに接続される前に患者からサンプルを集めるために使用されてもよい。例えば、指先の血液サンプルを得るためにランセット又は他の適切な機器が使用可能であり、この血液サンプルは、その後、流体コネクタ720によって集められ、毛管作用によってチャネル722に装填されてもよい。他の実施形態では、流体コネクタ720は、患者の指を刺してチャネル722においてサンプルを集めるように構成されてもよい。ある実施形態では、流体コネクタ720は、カセットに接続される前にはサンプル(あるいは試薬)を含んでいないが、接続時にカセットの2つ以上のチャネル間で流体を伝達可能にする。1つの実施形態では、U字型のチャネルから毛管が形成される。流体コネクタは、他のチャネル構成を含むこともでき、いくつかの実施形態では、流体伝達可能であるように互いに接続されてもよく、接続されていなくてもよい、1つよりも多くのチャネルを含んでもよい。
図9〜図11Fは、カセット520のさまざまな例示的な実施形態をより詳細に示す。図9の分解図に例示的に示すように、カセット520は、サンプル又は試薬を受けるように構成された少なくとも1つのチャネル706であって、当該チャネル706を介してサンプル又は試薬が流れてもよいものを含むカセット本体704を含んでもよい。カセット本体704は、一端に配置されたラッチ708であって、スナップ動作で嵌合するための流体コネクタ整列構成要素702と連結するラッチ708をさらに含んでもよい。
カセット520は、上カバー710及び下カバー712を含んでもよく、これらのカバーは、例えば透明材料からなっていてもよい。いくつかの実施形態では、カバーは、生物学的適合性を有する接着剤の形態であってもよく、例えば、ポリマー(例えば、ポリエチレン(PE)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC))又は無機材料からなっていてもよい。いくつかの場合には、1つ以上のカバーは、粘着性フィルム(例えばテープ)の形態を有する。いくつかの用途では、カバーの材料及び寸法は、カバーが水蒸気を実質的に通さないように選択される。他の実施形態では、カバーは、非接着剤であってもよいが、熱、レーザーエネルギー、又は超音波エネルギーを直接的に加えることによって微小流体基板に熱的に結合してもよい。カセットのチャネルの任意の1つ以上の入口及び/又は1つ以上の出口は、1つ以上のカバーを用いて(例えば、1つ以上の入口及び/又は1つ以上の出口にわたって接着剤を配置することによって)封止することができる。いくつかの場合には、カバーは、カセットにおける1つ以上の貯蔵された試薬を実質的に封止する。
図示したように、カセット本体704は、カセット本体704内のチャネル706に接続された1つ以上のポート714を含んでもよい。これらのポート714は、流体コネクタ720がカセット520に接続される場合に、カセット本体704内のチャネル706を流体コネクタ720中のチャネル722と流体伝達可能であるように接続するために、流体コネクタ720におけるの実質的にU字型のチャネル722と整列するように構成可能である。ある実施形態では、実質的にU字型のチャネル722は、流体伝達可能であるようにチャネル707と接続され、これによりチャネル706及び707を接続することができる。図示するように、カバー716はポート714上に設けられてもよく、カバー716は、(例えば、コネクタ720又は他の手段によって)継ぎ合わされるかさもなければ開かれて、2つのチャネル706及び722を流体伝達可能であるように接続するように構成されてもよい。さらに、カバー718は、カセット本体704においてポート719(例えば真空ポート)をカバーするように設けられてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、ポート719は、流体伝達可能であるように流体フロー源540をチャネル706と接続し、カセットを通ってサンプルを移動させるように構成されてもよい。ポート719上のカバー718は、貫通されるかさもなければ開かれて、流体伝達可能であるようにチャネル706を流体フロー源540と接続するように構成されてもよい。
カセット本体704は、オプションで、吸収材料717を含む廃棄エリア(例えば廃棄パッド)のような液体封じ込め領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、液体封じ込め領域は、カセットに流れる1つ以上の液体を捕捉する領域を含み、この領域を介してカセット内の気体又は他の流体を通過させている間に当該捕捉を行う。これは、いくつかの実施形態では、液体を吸収するために液体封じ込め領域に1つ以上の吸収材料を配置することによって達成されてもよい。この構成は、流体の流れから気泡を除去するために、及び/又は、親水性の液体から疎水性の液体を分離するために、有用となりうる。ある実施形態では、液体封じ込め領域は、液体が当該領域を通過することを防ぐ。いくつかのそのような場合において、液体封じ込め領域は、カセット内の液体の実質的にすべてを捕捉することで廃棄エリアとして作用してもよく、これにより、(例えば、カセットの出口から気体を漏出させている間に)液体がカセットから出ることを防止する。例えば、廃棄エリアは、サンプルの分析中にサンプル及び/又は試薬がチャネル706を通過した後、サンプル及び/又は試薬をカセットに貯蔵するために使用されてもよい。カセットが診断ツールとして使用される場合、カセット内の潜在的に有害な流体にユーザがさらされることを液体封じ込め領域が防止してもよいので、これらの構成及び他の構成は有用となりうる。
図10に示すカセット520の概略図は、カセット520が、第1のチャネル706と、第1のチャネル706から離隔した第2のチャネル707を含む場合に係る1つの実施形態を示す。1つの実施形態では、チャネル706及び707は、最大横断面寸法について約50マイクロメーターから約500マイクロメーターまでの範囲を有するが、以下でさらに詳細に説明するように、他のチャネルサイズ及び構成が用いられてもよい。
第1のチャネル706は、サンプルを分析するために使用される1つ以上の分析領域709を含んでもよい。例えば、1つの例示的の実施形態では、チャネル706は、サンプル分析の間に利用される(例えば、直列又は並列に接続された)4つの分析領域709を含む。本明細書で説明するように、分析領域のそれぞれは、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のうちの1つ以上を検出するように適合してもよい。
ある実施形態では、1つ以上の分析領域は、メアンダ領域(例えば、メアンダチャネルを含む領域)の形態を有する。メアンダ領域は、例えば、少なくとも0.25mm2、少なくとも0.5mm2、少なくとも0.75mm2,又は少なくとも1.0mm2のエリアによって定義されてもよく、メアンダ領域のエリアの少なくとも25%、50%、又は75%は、光学的検出経路を備える。メアンダ領域の1つより多くの隣接セグメントを通る単一信号の測定を可能にする検出器、メアンダ領域に隣接して配置されてもよい。いくつかの場合には、チャネル706は、直列に接続された少なくとも2つのメアンダ領域に流体伝達可能であるように接続される。
本明細書で説明するように、第1のチャネル706及び/又は第2のチャネル707は、カセットの最初の使用前にサンプルの処理及び分析を行うために使用される1つ以上の試薬(例えば、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2に関する抗体)を貯蔵するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、乾燥した試薬は、カセットの1つのチャネル又はセクションに貯蔵され、水分を含む試薬は、カセットの第2のチャネル又はセクションに貯蔵される。代替として、カセットの2つの別個のセクション又はチャネルは、乾燥した試薬及び/又は水分を含む試薬の両方を含んでもよい。試薬は、例えば、液体、気体、ゲル、複数の粒子、又はフィルムとして、貯蔵及び/又は配置することができる。試薬は、チャネル内、貯蔵器、表面上、及び膜又は膜上を含むが、これらに限定されない、カセットの任意の適切な部分に配置されてもよく、これらの部分は、オプションで、試薬貯蔵エリアの一部であってもよい。試薬は、任意の適切な方法でカセット(あるいはカセットの構成要素)と関連付けられてもよい。例えば、試薬は、カセット内の表面上に、(例えば、共有結合あるいはイオン結合で)架橋されるか、吸収されるか、(物理吸着で)吸着されてもよい。1つの特定の実施形態では、チャネルのすべて又は一部(流体コネクタの流体経路又はカセットのチャネルなど)は、抗凝血剤(例えばヘパリン)でコーティングされる。いくつかの場合には、液体は、最初の使用前及び/又はサンプルをカセットに導入する前に、カセットのチャネル又は貯蔵器内に含まれている。
いくつかの実施形態では、貯蔵された試薬は、使用中に複数の流体が分析領域に流れるときそれらが予め決められたシーケンスで配送されるように、線形順序で配置された複数の流体プラグを含んでもよい。分析を行うように設計されたカセットは、例えば、リンス流体、標識された抗体の流体、リンス流体、及び増幅流体を直列的に含み、これらのすべてはそこに貯蔵されてもよい。複数の流体が貯蔵されている間、それらは、通常は接触時に互いに反応する流体試薬が共通チャネルに貯蔵されてもよいように、実質的に非混和性の分離流体(例えば、空気などの気体)によって分離された状態で維持されてもよい。
試薬は、さまざまな長さの時間にわたってカセットに貯蔵可能である。例えば、試薬は、1時間より長い時間、6時間より長い時間、12時間より長い時間、1日より長い時間、1週間より長い時間、1か月より長い時間、3か月より長い時間、6か月より長い時間、1年より長い時間、又は2年より長い時間にわたって格納されてもよい。オプションで、カセットは、貯蔵器を延長するために適切な方法で処理されてもよい。例えば、内部に含まれていた試薬を貯蔵したカセットは、真空で封止されてもよく、暗環境で貯蔵されてもよく、及び/又は、低温(例えば0度C未満)で貯蔵されてもよい。記憶装置の長さは、使用される特定の試薬、貯蔵された試薬の形態(例えば、水分を含むか乾燥しているか)、基板及び1つ以上のカバー層を形成するために使用された寸法及び材料、基板及び1つ以上のカバー層を接着する方法、及び、カセットが全体としてどのように処理又は貯蔵されるか、などの1つ以上のファクタに依存する。チャネルに試薬(例えば、液体又は乾燥した試薬)を貯蔵することは、最初の使用前に、又は装置の梱包中に、チャネルの1つ以上の入口及び1つ以上の出口を封止することを含んでもよい。
図10、図11A〜図11Fに示す例示的な実施形態に示すように、流体コネクタ720がカセット520に接続されるまでは、チャネル706及び707は互いに流体を伝達可能でなくてもよい。言いかえれば、いくつかの実施形態では、2つのチャネルは、最初に使用する前、及び/又は、サンプルをカセットに導入する前に、互いに流体を伝達可能ではない。特に、図示したように、第2のチャネル707内の試薬がU字型のチャネル522を通過することができ、かつ、第1のチャネル706における分析領域709へ選択的に移動することができるように、コネクタ720の実質的にU字型のチャネル722は、第1及び第2のチャネル706及び707を流体伝達可能であるように接続してもよい。他の実施形態では、2つのチャネル706及び707は、最初に使用する前、及び/又は、サンプルをカセットに導入する前に、互いに流体を伝達可能であるが、流体コネクタは、最初の使用時に2つのチャネルを(例えば閉ループ系を形成するように)さらに接続する。
いくつかの実施形態では、本明細書で説明したカセットは、さらに1つの微小流体チャネルを含んでもよいが、そのようなカセットは、微小流体システムに限定されず、他のタイプの流体系に関連してもよい。微小流体を伝達可能なカセット、デバイス、装置、又はシステムは、例えば、1mm未満の最大横断面寸法と、少なくとも3:1の最大横断面寸法に対する長さの比とを有する、少なくとも1つの流体チャネルを含んでもよい。
チャネルの横断面寸法(例えば直径)は、流体フローの方向に垂直に測定される。本明細書で説明したカセットの構成要素における大部分の流体は、2mm未満の最大横断面寸法を有し、いくつかの場合には1mm未満の最大横断面寸法を有する。一組の実施形態において、カセットのすべての流体は、微小流体を伝達可能であるか、又は高々2mm又は1mm以下のの最大横断面寸法を有する。他の一組の実施形態において、1つ以上のチャネルの最大横断面寸法は、500ミクロン未満、200ミクロン未満、100ミクロン未満、50ミクロン未満、又は25ミクロン未満である。いくつかの場合には、チャネルの寸法は、流体が物品又は基板を自由に流れることができるように選択されてもよい。チャネルの寸法は、例えば、チャネル内の流体について所定の容積測定値又は線形流量を見込んで選択されてもよい。当然ながら、チャネルの個数及びチャネルの形は、当業者に既知の任意の適切な方法によって変化可能である。いくつかの場合には、1つよりも多くのチャネル又は毛管が使用されてもよい。
チャネルは、少なくとも部分的に流体のフローの方向を決定する物品(例えばカセット)上の、又はその内部の特徴部分を含んでもよい。チャネルは、任意の適切な横断面形状(円形、楕円形、三角形、不規則形状、正方形、又は長方形、など)を有してもよく、カバーされていても、カバーなしでもよい。完全にカバーされる場合の実施形態において、チャネルの少なくとも1つの部分は、完全に包囲される横断面を有してもよく、又は、チャネル全体は、その1つ以上の入口及び1つ以上の出口を例外として、その全長に沿って完全に包囲されてもよい。チャネルは、少なくとも2:1、より典型的には少なくとも3:1、5:1、又は10:1、又はそれより大きな縦横比(平均横断面寸法に対する長さ)を有してもよい。
本明細書で説明されたカセットは、カセットの1つ又は2つの面(あるいはカセットの基板層)に位置した複数のチャネル又は複数のチャネルセグメントを含んでもよい。いくつかの場合には、チャネルがカセットの表面に形成される。複数のチャネルセグメントは、カセットを通過するように設けられた、介在するチャネルによって接続されてもよい。いくつかの実施形態では、チャネルセグメントは、エンドユーザによる最初の使用前に装置に試薬を貯蔵するために使用される。チャネルセグメントの特定の幾何学的形状、及びカセット内のチャネルセグメントの位置は、カセットの輸送中などカセットの日常的な取り扱い中であっても、また、カセットが物理的衝撃又は振動にさらされるときであっても、複数の流体試薬を混合することなく長期間にわたって貯蔵することを可能にできる。
ある実施形態では、カセットは、一連の流体チャネルの反対側にあるカセットの一面上に形成された光学素子を含む。「光学素子」は、当該素子がないときに物品又はカセット上に入射する光に対して入射電磁放射の方向(例えば屈折又は反射によって)、焦点、偏波、及び/又は他の特性を変更するために設けられて使用される物品又はカセット上に、又はその内部に形成又は配置される特徴部分を示すために使用される。例えば、光学素子は、レンズ(例えば、凹面あるいは凸面)、鏡、回折格子、溝、又はカセット内もしくはカセット上に形成もしくは配置された他の特徴部分を備えてもよい。しかしながら、固有の特徴部分をもたないカセット自体は、入射光の1つ以上の特性がカセットとの相互作用により変化する可能性があっても、光学素子を構成しない。光学素子は、カセットを通過する入射光をガイドして、これにより、カセットの特定領域、例えば流体チャネル間の介在する部分などから光のほとんどを散乱させてもよい。これらの介在する部分に入射する光の量を減少させることによって、所定の光検出システムを用いる場合の検出信号中のノイズの量を減少させることができる。いくつかの実施形態では、光学素子は、カセットの表面上又は当該表面内に形成された三角形の溝を備える。三角形溝の抜け勾配は、カセットの表面に垂直な入射光の方向が外部媒体(例えば空気)及びカセット材料の屈折率に依存する角度で変化するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光学素子は、分析領域のメアンダ領域の隣接セグメント間に配置される。
カセット又はその部分は、チャネル又は他の構成要素を形成するのに適した任意の材料から製造することができる。材料の非限定的な例は、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリ(ジメチルシロキサン)、PVC、PTFE、PET、及びシクロオレフィン共重合体、ガラス、石英、及びシリコンを含む。カセット及び任意の関連付けられた構成要素(例えばカバー)を形成する材料は、硬いものであっても柔軟なものであってもよい。当業者は、例えば、その硬さ、通過する流体に対するその不活性性(例えば、通過する流体によって劣化しないこと)、特定の装置が使用される温度におけるその頑健さ、(例えば紫外領域及び可視領域における)光に対するその透明性/不透明性、及び/又は、材料中に特徴部分を形成するために使用される方法に基づいて、1つ以上の適切な材料を容易に選択することができる。例えば、射出成型された物品又は他の押し出し成形された物品に関して、用いられる材料は、熱可塑性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ナイロン6)、エラストマー(例えば、ポリイソプレン、イソブテン−イソプレン、ニトリル、ネオプレン、エチレン−プロピレン、ハイパロン、シリコーン)、熱硬化性材料(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂)、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。以下でさらに詳細に説明するように、例えば本明細書で上述したファクタに基づいて、各構成要素の主要な1つ以上の機能に合わせて当該構成要素を調製するように、2つ以上の構成要素又は層を含むカセットは、複数の異なる材質から形成されてもよい。
いくつかの実施形態では、カセット及び/又はカバーの材料及び寸法(例えば厚さ)は、実質的に水蒸気を通さないように選択される。例えば、最初の使用前に1つ以上の流体を内部に貯蔵するように設計されたカセットは、金属フォイル、所定のポリマー、所定のセラミック、及びそれらの組み合わせなど、強い蒸気バリアを提供することが知られた材料を備えるカバーを含んでもよい。低い水蒸気透過性を有する材料の例を以下に提示する。他の場合では、材料は、カセットの形状及び/又は構成を少なくとも部分的に基礎として選択される。例えば、ある材料は、平坦な装置を形成するために使用可能であり、一方、他の材料は、曲がっているか不規則に形成される装置を形成ことにより適している。
いくつかの例では、カセットは、上に列挙したもののような2つ以上の材料の組み合わせから構成される。例えば、カセットのチャネルは、ポリスチレン又は他のポリマーで(例えば射出成形により)形成されてもよく、チャネルを封止するために生物学的適合性を有するテープが使用されてもよい。生物学的適合性を有するテープ又は可撓材料は、蒸気バリア特性を改善することが知られている材料(例えば、金属フォイル、ポリマー、又は強い蒸気バリアを有することが知られている他の材料)を含んでもよく、オプションで、テープに穴をあけるか又は剥がさないことで入口及び出口へのアクセスを可能にしてもよい。微小流体チャネル又はチャネルの部分を封止するために、あるいは、接着剤の使用、粘着性テープの使用、接着、結合、材料の積層、又は機械的方法(例えば、クランプ機構、スナップ機構、など)を含むが、これらに限定されない複数の方法で装置の複数の層を結合するために、さまざまな方法が使用可能である。
いくつかの例では、カセットは、ともにマウントされた2つ以上の別個の構成要素(例えば層又はカセット)の組み合わせを備える。最初の使用前に内部に貯蔵された試薬をオプションで含んでもよい、独立したチャネルネットワーク(図5のセクション571及び577など)は、カセットの異なる構成要素上に、又はその内部に含まれていてもよい。別個の構成要素は、ともにマウントされてもよく、さもなければ、例えば単一の(組み立て物の)カセットを形成するように、本明細書で説明した方法など、任意の適切な手段によって互いに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のチャネルネットワークは、カセットの異なる構成要素又は層に配置され、最初の使用前には流体伝達可能であるように接続されていないが、最初の使用時に、例えば流体コネクタを用いて、流体伝達可能であるように接続される。他の実施形態では、2つ以上のチャネルネットワークは、最初の使用前に流体伝達可能であるように接続されている。
優位点として、組み立て物のカセットを形成する異なる構成要素又は層のそれぞれは、当該構成要素又は層の設計された1つ以上の機能に個々に依存して特別に調整されてもよい。例えば、一組の実施形態において、組み立て物のカセットの1つの構成要素は、水分を含む試薬を貯蔵するように調整されてもよい。一部のそのような実施形態では、構成要素は、比較的に小さな蒸気透過性を有する材料で形成されてもよい。追加的又は代替的に、例えば、貯蔵される流体の量に依存して、当該カセットの1つ以上の記憶領域は、液体の貯蔵に使用されない他の構成要素のチャネル又は領域よりも大きな横断面寸法を有して作成されてもよい。カセットを形成するために使用された材料は、より大きな横断面寸法を形成することに適した製造技術に適合したものであってもよい。対照的に、分析物の検出に合わせて調製されてもよい第2の構成要素は、いくつかの実施形態では、より小さな横断面寸法を有するチャネル部分を含んでもよい。より小さな横断面寸法は、例えば、ある実施形態では、与えられた容積の流体のもとで、チャネルに流れる流体(例えば試薬溶液又は洗浄流体)と、チャネルの表面に結合された分析物との間の接触時間をより長くするために有用となりうる。追加的又は代替的に、第2の構成要素のチャネル部分では、他の構成要素のチャネル部分に比較して、表面の粗さ(例えば、検出中に信号対雑音比を増加させる)は、より少なくなっていてもよい。第2の構成要素のチャネル部分のより小さな横断面寸法又はより少ない表面の粗さは、ある実施形態では、カセットの異なる構成要素を形成するために使用されるものとは異なる所定製造技術又は製造ツールを必要としてもよい。さらに、いくつかの特定の実施形態では、第2の構成要素に使用される材料は、タンパク質の付着及び検出に関してよく特徴づけられてもよい。そのため、カセットの異なる構成要素において異なる目的に使用される複数の異なるチャネル部分であって、その後、意図されたユーザによって使用される前にともに結合される複数の異なるチャネル部分を形成することは、優位点となりうる。以下に、他の優位点、構成要素の特徴部分、及び例を提示する。
図11B〜図11Eは、単一のカセットを形成するように組み合わされる複数の構成要素又は層520B及び520Cを含んでもよい装置を示す。これらの例示の実施形態で示したように、構成要素の520Bは、第1の面521A及び第2の面521Bを含んでもよい。構成要素520Cは、第1の面522A及び第2の面522Bを含んでもよい。チャネル又は他のエンティティのような、本明細書で説明した装置の構成要素又は部分は、構成要素の第1の面及び/又は構成要素の第2の面に、又はその上に、又はその内部に、及び/又は、いくつかの実施形態では構成要素を通過するように、形成されてもよい。例えば、図11Cに例示的に示すように、構成要素520Cは、入口及び出口を有するチャネル706を含んでもよく、第1の材料で形成されてもよい。706は、本明細書で説明するような任意の適切な構成を有してもよく、例えば、1つ以上の試薬貯蔵領域、分析領域、液体封じ込め領域、混合領域、などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、チャネル706は、構成要素の520Bの厚さ方向の全体にわたっては形成されない。すなわち、チャネルは、構成要素の1つの面において、又はその面内に形成されてもよい。706は、オプションで、テープ(図示せず)、カセットの別の構成要素もしくは層、又は他の適切な構成要素のような、本明細書で説明するようなカバーによって包囲されてもよい。他の実施形態では、チャネル706は、構成要素の520Bの厚さ方向の全体にわたって形成され、チャネルを包囲するためにカセットの両方の面においてカバーが必要とされる。本明細書で説明するように、複数の異なる層又は構成要素は、サンプル内の種を決定するための複数の異なる分析領域を含んでもよい。例えば、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2に関する捕捉抗体は、複数の異なる分析領域に配置されてもよく、オプションで、図示したようなカセットの複数の異なる構成要素又は層に配置されてもよい。
構成要素の520Bは、入口及び出口を有するチャネル707を含んでもよく、第1の材料と同じであっても異なっていてもよい第2の材料で形成されてもよい。チャネル707もまた、本明細書で説明するような任意の適切な構成を有してもよく、構成要素520Cの厚さ方向の全体にわたって形成されるても形成されなくてもよい。チャネル707は、1つ以上のカバーによって包囲されてもよい。いくつかの場合では、カバーは、構成要素520Cなどの1つ以上の流体チャネルを含む構成要素ではない。例えば、カバーは、構成要素520B及び520Cの間に配置された生物学的適合性を有するテープ又は他の面であってもよい。他の実施形態では、チャネル707は、構成要素520Cによって実質的に包囲されてもよい。すなわち、構成要素520B及び520Cが互いに直接的に隣接して位置しているとき、構成要素520Cの表面の522Aはチャネル707の一部を形成してもよい。
図11D及び図11Eに例示的に示すように、構成要素520B及び520Cは、実質的に平面であってもよく、互いの上に位置していてもよい。しかしながら、概して、カセットを形成する2つ以上の構成要素は、互いに関して任意の適切な構成で位置することができる。いくつかの場合では、複数の構成要素は互いに隣接して位置する(例えば、並んで、積み重ねて位置する)。複数の第1の構成要素が完全に重ね合わされてもよく、又は、構成要素の部分だけが重ね合わされてもよい。例えば、図11D及び図11Eに例示的に示すように、構成要素520Cは、構成要素520Cの一部が構成要素520Bと重複したり構成要素520Bによってカバーされたりしないように、構成要素520Bよりもさらに延在してもよい。いくつかの場合では、構成要素520Cが、実質的に透明であり、構成要素の一部(例えば、反応エリア、分析領域、又は検出領域)を介して伝搬する光を必要とするとき、かつ、構成要素520Bが不透明であるか構成要素520Cよりも低い透明度を有するとき、この構成は有利となりうる。
さらに、第1及び第2の構成要素は任意の適切な形状及び/又は構成を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の構成要素は、第1及び第2の構成要素の間の非流体伝達可能な接続を形成するように、第2の構成要素の特徴部分に相補的な特徴部分を含む。相補的な特徴部分は、例えば、組み立て中に第1及び第2の構成要素の整列を支援してもよい。
第1及び第2の構成要素は、いくつかの実施形態では互いに一体的に接続されてもよい。本明細書の用法によれば、2つ以上の物体に言及する場合の用語「一体的に接続される」とは、通常の使用中に互いに分離されない物体、例えば手で分離できない物体を意味し、このとき、分離するには、少なくとも道具の使用を必要とし、及び/又は、構成要素の少なくとも1つに損傷をもたらすこと、例えば、接着剤又は道具によって互いに固定された構成要素の破壊、剥離、又は分離を必要とする。一体的に接続される構成要素は、通所の使用中に互いに不可逆的に取り付けられてもよい。例えば、構成要素520B及び520Cは、接着剤の使用又は他の結合方法によって一体的に接続されてもよい。他の実施形態では、カセットの2つ以上の構成要素は、互いに可逆的に取り付けられてもよい。
本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、組み立て物のカセットを形成する少なくとも第1の構成要素及び第2の構成要素は、異なる材料で形成されてもよい。システムは、第1の構成要素が当該第1の構成要素の1つ以上の機能を支援するか向上させる第1の材料を含むように設計されてもよい。例えば、第1の構成要素がユーザによる最初の使用前に(例えば、少なくとも1日、1週間、1か月、又は一年にわたって)液体試薬を(例えば構成要素のチャネル内に)貯蔵するように設計される場合、貯蔵された液体が経時的に蒸発する量を削減するために、第1の材料は、比較的に小さな蒸気透過性を有するように選択されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、カセットの複数の構成要素(例えば層)に同じ材料が使用されてもよいことは理解されるべきである。例えば、カセットの第1及び第2の構成要素の両方は、小さな蒸気透過性を有する材料で形成されてもよい。
ある実施形態では、カセットの第1及び第2の構成要素は、異なる光学的透明度を有する。例えば、第1の構成要素は実質的に不透明であってもよく、第2の構成要素は実質的に透明であってもよい。実質的に透明な構成要素は、構成要素内に含まれたサンプル又は分析物の光学的検出に適する可能性がある。
一組の実施形態において、カセットの構成要素(例えば、第1又は第2の構成要素)を形成するために使用される材料は、400及び800nmの間の波長の光(例えば可視範囲中の光)で90%より高い光透過率を有する。光透過率は、例えば約2mm(又は他の実施形態では、約1mm又は約0.1mm)の厚さを有する材料を介して測定されてもよい。いくつかの例において、光透過率は、400及び800nmの間の波長の光で、80%より高いか、85%より高いか、88%より高いか、92%より高いか、94%より高いか、又は96%より高い。装置の他の構成要素は、400及び800nmの間の波長の光で、96%未満、94%未満、92%未満、90%未満、85%未満、80%未満、50%未満、30%未満、又は10%未満の光透過率を有する材料で形成されてもよい。
本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、カセットの第1の構成要素のチャネルは、ユーザによる最初の使用前にカセットの第2の構成要素のチャネルとの流体を伝達可能ではない。例えば、図11Dで例示的に示すように2つの構成要素を嵌合させた後であっても、チャネル706及び707は互いとの流体を伝達可能ではない。しかしながら、カセットは、第1及び/又は第2の構成要素520B及び520C又はカセットの他の部分に取り付け可能な、流体コネクタ整列構成要素702などの(図11E)他の部分又は構成要素をさらに含んでもよい。本明細書で説明するように、流体コネクタ整列構成要素は、第1及び第2の構成要素のチャネル706及び707の間で流体の伝達を可能にする流体コネクタ720を収容して嵌合するように構成されてもよい。例えば、流体コネクタは、流体経路入口及び流体経路出口を含む流体経路を含んでもよく、流体経路入口は、チャネル706の出口に流体伝達可能であるように接続可能であり、流体経路出口は、チャネル707の入口に流体伝達可能であるように接続可能である(又はその逆に接続可能である)。流体コネクタの流体経路は、チャネルを接続するために、任意の適切な長さ(例えば、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも5cm)も有してもよい。流体コネクタは、カセットとともにキットの一部であってもよく、当該流体コネクタが接続流路706及び707を流体伝達可能であるように接続しないようにパッケージ化されていてもよい。
流体コネクタは、カセットに関して、又はカセットの構成要素に関して、任意の適切な構成を有してもよい。図11Eに例示的に示すように、流体コネクタをカセットに接続する際に、流体コネクタは、ある構成要素(例えば構成要素の520B)の一方の面であって、他の構成要素(例えば構成要素520C)とは逆の面に配置されてもよい。他の実施形態では、流体コネクタは、カセットの2つの構成要素間に配置することができる。例えば、流体コネクタは、カセットの2つの構成要素間に配置された(例えば、間にはさまれた)構成要素又は層であってもよい。他の構成もまた可能である。
本明細書の説明の多くは、チャネルネットワークを含む1つ以上の構成要素又は層を有するカセットに関するものであるが、他の実施形態では、カセットは、2個より多く、3個より多く、又は4個より多くのそのような構成要素又は層を含んでもよい。例えば、図11Fに例示的に示すように、カセットは、少なくとも1つのチャネル、又は複数のチャネルのネットワークをそれぞれ含む構成要素520B、520C、520D、及び520Eを含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上の構成要素(例えば、2つ、3つ、又はすべての構成要素)の1つ以上のチャネルは、最初の使用前に流体伝達可能であるように接続されていなくてもよいが、最初の使用時に、例えば流体コネクタを用いて、流体伝達可能であるように接続されてもよい。他の実施形態では、1つ以上の構成要素(例えば、2つ、3つ、又はすべての構成要素)の1つ以上のチャネルは、最初の使用前に流体伝達可能であるように接続されている。
本明細書で説明するように、カセットの構成要素又は層のそれぞれは、カセットの他の構成要素の機能とは異なる特定の機能を有するように設計されてもよい。他の実施形態では、2つ以上の構成要素は同じ機能を有してもよい。例えば、図11Fの例示の実施形態に示すように、各構成要素520C、520D、及び520Eは、直列に接続された1つ又は複数の分析領域709を有してもよい。流体コネクタ722を組み立て物のカセットに接続する際に、1つ(又は複数)のサンプルの部分は、複数の分析を行うために、構成要素520C、520D、及び520Eのそれぞれのチャネルネットワークへ導入されてもよい。例えば、分析領域のそれぞれは、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のうちのの1つ以上を検出するための結合パートナー(例えば、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2に関する捕捉抗体)を含んでもよい。本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、特異捕捉抗体を使用することにより、及び/又は、複数の捕捉抗体を異なる分析領域で分離することにより、種のそれぞれを検出するために同じ検出抗体を使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、種のそれぞれを決定するために同じ波長が使用されてもよい。これは、簡単化された検出器及び/又は検出のための光学的構成要素の使用を可能にしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、検出は、特定の波長において決定可能な不透明な材料を異なる分析領域に蓄積することを含む。
いくつかの実施形態では、カセットの少なくとも第1及び第2の構成要素は、特定の化学的又は生物学的状態を決定するために使用される装置又はキットの一部であってもよい。装置又はキットは、例えば、第1の材料中の第1のチャネルを備える第1の構成要素を含んでもよく、第1のチャネルは、入口と、出口と、第1の入口及び出口の間における、200ミクロンよりも大きな横断面寸法を有する少なくとも1つの部分とを含む。装置又はキットは、第2の材料中の第2のチャネルを備える第2の構成要素をさらに含んでもよく、第2のチャネルは、入口と、出口と、第2の入口及び出口の間における、200ミクロン未満の横断面寸法を有する少なくとも1つの部分とを含む。ある場合には、装置又はキットは、第1及び第2の構成要素が互いに接続されるようにパッケージ化される。例えば、第1及び第2の構成要素は、互いに一体的に接続されてもよい。他の実施形態では、第1及び第2の構成要素は、互いに可逆的に取り付けられる。装置又はキットは、第1及び第2のチャネルを流体伝達可能であるように接続するための流体コネクタをさらに含んでもよく、流体コネクタは、流体経路入口及び流体経路出口を含む流体経路を備え、流体経路入口は、第1のチャネルの出口に流体伝達可能であるように接続可能であり、流体経路出口は、第2のチャネルの入口に流体伝達可能であるように接続可能であるその接続可能である。いくつかの実施形態では、流体コネクタがパッケージ中の第1及び第2のチャネルを流体伝達可能であるように接続しないように、装置又はキットがパッケージ化される。意図されたユーザが装置を最初に使用する際に、流体コネクタを用いて、第1及び第2のチャネルが互いに流体を伝達可能になるようにすることができる。
本明細書で説明したカセットは、化学的及び/又は生物学的反応又は他の処理などの分析を実行するための、任意の適切な容積を有してもよい。カセットの容積全体は、例えば、任意の試薬貯蔵エリア、分析領域、液体封じ込め領域、廃棄エリアと、任意の流体コネクタと、それらに関連付けられた流体チャネルとを含む。いくつかの実施形態では、少量の試薬及びサンプルが使用され、流体装置の容積全体は、例えば、10mL、5mL、1mL、500μL、250μL、100μL、50μL、25μL、10μL、5μL、又は1μL未満である。
本明細書で説明したカセットは、携帯型であってもよく、いくつかの実施形態では、ハンドヘルド型であってもよい。カセットの長さ及び/又は幅は、例えば、20cm、15cm、10cm、8cm、6cm、又は5cm以下であってもよい。カセットの厚さは、例えば、5cm、3cm、2cm、1cm、8mm、5mm、3mm、2mm、又は1mm以下であってもよい。優位点として、携帯型装置は、ポイントオブケア設定で使用することに適する可能性がある。
本明細書で説明したカセット及びそれらの各構成要素は例示的であり、他の構成及び/又はタイプのカセット及び構成要素もまた本明細書で説明したシステム及び方法で使用可能であることが理解されるべきである。
本明細書で説明した方法及びシステムは、さまざまな異なるタイプの分析を含んでもよく、さまざまな異なるサンプルを決定するために使用可能である。いくつかの場合では、分析は、化学的及び/又は生物学的反応を含む。いくつかの実施形態では、化学的及び/又は生物学的反応は結合を含む。異なるタイプの結合が本明細書で説明したカセットにおいて生じてもよい。結合は、対応する一対の分子(例えば結合パートナー)間の相互作用を含んでもよく、この相互作用は、相互の親和力又は結合能力を示し、典型的には特異又は非特異結合又は相互作用であり、生化学的、生理学的、及び/又は薬学的相互作用を含む。生物学的結合は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモン、などを含む、一対の分子(例えば結合パートナー)間に生じる一種の相互作用を定義する。特定の例は、抗体/抗原、抗体断片/抗原、抗体/ハプテン、抗体断片/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、レセプタ/ホルモン、レセプタ/エフェクタ、核酸の相補鎖、タンパク質/核酸、リプレッサ/インデューサ、リガンド/細胞表面のレセプタ、ウィルス/リガンド、などを含む。結合は、タンパク質又は他の成分とセルとの間に生じてもよい。さらに、本明細書で説明した装置は、成分、濃度などの検出のような、他の流体分析(結合及び/又は反応を含んでいても含んでいなくてもよい)に使用されてもよい。
いくつかの場合では、カセット内において不均一反応(又は分析)が行われてもよく、例えば、結合パートナーはチャネルの表面に関連付けられてもよく、相補的な結合パートナーは流体相にあってもよい。タンパク質もしくは他の生体分子(例えば、DNA、RNA、炭水化物)、又は自然に生じることがない分子の間の親和力反応を含む他の固体相分析が実行されてもよい。カセットにおいて実行可能な典型的な反応の非限定的な例は、化学反応、酵素反応、免疫に基づく反応(例えば、抗原−抗体)、及び細胞に基づく反応を含む。
典型的なサンプル流体は、人間又は動物の全血、血清、血漿、精液、涙、尿、汗、唾液、髄液、膣液などの生理的に生じる流体、研究中に使用される生体外の流体、又は、分析物によって汚染されている疑いがある水系液体などの環境内の流体を含む。
いくつかの実施形態では、サンプルの分析物を決定するために使用可能な1つ以上の試薬(例えば、決定される分析物の結合パートナー)は、特定の検査又は分析を行うために、最初の使用前にカセットのチャネル又は室に貯蔵される。抗原が分析対象である場合には、対応する抗体又はアプタマーは、微小流体チャネルの表面に関連付けられた結合パートナーであってもよい。抗体が分析物である場合、適切な抗原又はアプタマーは、表面に関連付けられた結合パートナーであってもよい。疾患の状態を決定しているとき、表面上に抗原を配置することと、被験者において生成された抗体を検査することとが好ましいかもしれない。本明細書では抗体について言及しているが、抗体と組み合わせて、又は抗体の代わりに、抗体断片が使用されてもよいことが認識されるべきである。
いくつかの実施形態では、カセットは,微小流体チャネルのある領域上に不透明材料を蓄積すること、当該領域を光に感光させること、及び、不透明材料を介する光の透過を決定することを含む分析を実行するように適合されて構成される。不透明材料は、1つ以上の波長において光の透過率を妨げる物質を含んでもよい。不透明材料は、光を屈折させるだけでなく、例えば光を吸収するか反射することによって、材料を介する透過量を減少させる。異なる不透明材料又は異なる量の不透明材料は、不透明材料を照射する光の、例えば、90、80、70、60、50、40、30、20、10、又は1パーセント未満の透過率を可能にしてもよい。不透明材料の例は、金属(例えば金属単体)の分子層、セラミックス層、ポリマー層、及び不透明物質(例えば染料)の層を含む。不透明材料は、いくつかの場合には、無電解的に堆積可能な金属であってもよい。これらの金属は、例えば、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、及びプラチナを含んでもよい。
チャネルを形成する不透明材料は、ともに不透明層を形成する一連の不連続な独立した粒子を含んでもよいが、しかし1つの実施形態では、概して平面形状を有する連続材料である。不透明材料は、例えば、1ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロンより長い、25ミクロン以上、あるいは50ミクロン以上の寸法(例えば幅の長さ)を有してもよい。いくつかの場合では、不透明材料は、不透明材料を含むチャネル(例えば分析領域)の幅にわたって延在する。不透明層の厚さは、例えば、10ミクロン以下、5ミクロン以下、1ミクロン以下、100ナノメートル以下、又は10ナノメートル以下であってもよい。これらの小さな厚さにおいても、検知可能な透過率の変化を得ることができる。不透明層を形成しない技術と比較した場合、不透明層は、分析感度の増大をもたらす可能性がある。
一組の実施形態において、本明細書で説明したカセットは、免疫測定を実行するために(例えば、tPSA、iPSA、fPSA、及び/又はhK2を決定するために)使用され、オプションで、信号増幅のために銀の増強を使用する。そのような免疫測定では、分析領域において検出される血液マーカーを含むサンプルを配送した後、血液マーカーと対応する結合パートナーとの間の結合が生じうる。1つ以上の試薬は、オプションで使用前に装置のチャネルに貯蔵されてもよく、次いで、この結合ペア複合体上に流れることができる。貯蔵された試薬のうちの1つは、検出すべき抗原に結合している1つ以上の金属コロイドを含む溶液を含んでもよい。例えば、抗PSA及び抗hK2である抗体金で標識された抗体は、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のそれぞれを検出するために使用されてもよい。他の例では、金で標識された抗hK2抗体、金で標識された抗PSA抗体、及び/又は金で標識された抗iPSA抗体など、金で標識された複数の抗体の混合物が、検出のために使用されてもよい。そのような試薬は、例えば使用前に、カセットに貯蔵されてもよい。金属コロイドは、1つ以上の分析領域の表面において、金属(例えば銀)の層などの不透明材料の堆積物に触媒表面を提供することができる。金属の層は、2成分系、すなわち、金属前駆体(例えば銀塩の溶液)及び還元剤(例えば、ヒドロキノン、クロロヒドロキノン、ピロガロール、メトール、4−アミノフェノール、及びフェニドン)を用いることで形成可能であり、金属前駆体及び還元剤は、オプションで、使用前に複数の異なるチャネルに貯蔵することができる。
正又は負の差異又は圧力差がシステムに印加されるとき、銀塩及び還元溶液は混合し(例えば、チャネルの交差において合流し)、次いで、分析領域上に流れることができる。従って、分析領域において抗体−抗原の結合が生じる場合、領域を通る金属前駆体溶液の流れは、抗体−抗原の複合体に関連付けられた触媒金属コロイドの存在に起因して、結果として、銀の層などの不透明層の形成をもたらすことが可能である。不透明層は、1つ以上の波長において光の透過率を妨げる物質を含んでもよい。チャネルにおいて形成される不透明層は、例えば、抗体又は抗原を含まないエリアの一部と比較して、分析領域の一部(例えば、曲がりくねったチャンネル領域)を介する光透過率の減少を測定することで、光学的に検出することができる。代替として、分析領域においてフィルムが形成されている場合、信号は、光透過率の変動を時間の関数として測定することで取得可能である。不透明層を形成しない技術と比較した場合、不透明層は、分析感度の増大をもたらす可能性がある。さらに、検出器による信号の検出を可能にするために、光信号(例えば、吸光度、蛍光、グロー又はフラッシュの化学ルミネセンス、電気化学ルミネセンス)、電気信号(例えば、無電解処理によって生成された金属構造物の抵抗又は導電率)、又は磁気信号(例えば磁気ビーズ)を生成するさまざまな増幅化学反応を使用可能である。
さまざまな種類の流体が本明細書で説明したカセットとともに使用可能である。本明細書で説明するように、流体は、最初の使用時にカセットへ導入されてもよく、及び/又は、最初の使用前にカセット内に貯蔵されてもよい。流体は、溶媒、溶液、及び懸濁液などの液体を含む。流体は、気体と、気体の混合物とをさらに含む。複数の流体がカセットに含まれている場合、当該複数の流体は、他の流体によって分離されてもよく、当該他の流体は、好ましくは、最初の2つの流体のそれぞれにおいて実質的に非混和性である。例えば、チャネルが2つの異なる水溶液を含んでいる場合、第3の流体の分離プラグは、両方の水溶液において実質的に非混和性であってもよい。複数の水溶液が分離された状態で維持されるべきである場合、セパレータとして使用可能な実質的に非混和性の流体は、空気又は窒素などの気体、又は水系流体と実質的に非混和性である疎水性の流体を含んでもよい。流体は、当該流体と隣接した流体との反応性に基づいて選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、窒素などの不活性気体が使用されてもよく、任意の隣接した流体の保存及び/又は安定化を支援してもよい。分離水溶液としての実質的に非混和性液の一例は、ペルフルオロデカリンである。セパレータ流体の選択は、同様に他のファクタに基づいて行われてもよく、他のファクタは、隣接した流体プラグの表面張力に対してセパレータ流体が有する可能性がある任意の影響を含む。振動、ショック、及び気温変動のような変動する環境条件下では、任意の流体プラグ内の表面張力を最大化して流体プラグを単一の連続的なユニットとして保持することを促進することが好ましい可能性がある。セパレータ流体は、流体が供給される分析領域に対して不活性であってもよい。例えば、分析領域が生物学的な結合パートナーを含む場合、空気又は窒素のようなセパレータ流体は、結合パートナーに対する影響をほとんど又はまったく持たない。装置に含まれていた液体が温度などの変化(凝固を含む)又は圧力の変動に起因して膨張又は収縮する場合、セパレータ流体としての気体(例えば空気)を使用することで、流体装置のチャネル内の膨張のための空間を提供してもよい。
微小流体サンプルアナライザは、流体フロー源(例えば圧力制御システム)を含んでもよく、流体フロー源は、チャネルに加圧してサンプル及び/又は他の試薬をチャネルを介して移動させるために、チャネル706、707、722に流体伝達可能であるように接続されてもよい。特に、流体フロー源は、サンプル及び/又は試薬を、最初の位置である実質的にU字型のチャネル722から第1のチャネル706へ移動させるように構成されてもよい。流体フロー源は、第2のチャネル707における試薬を、実質的にU字型のチャネル722を通って第1のチャネル706へ移動させるために使用されてもよい。サンプル及び試薬が分析領域709を通過して分析された後、流体フロー源540は、流体をカセットの吸収材料717へ移動させるように構成されてもよい。1つの実施形態では、流体フロー源は真空システムである。しかしながら、バルブ、ポンプ、及び/又は他の構成要素のような他の流体フロー源が使用可能であることは理解されるべきである。
本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、真空源は、流体フローを駆動するために使用されてもよい。真空源は、ソレノイド動作する膜ポンプなどのポンプを含んでもよい。他の実施形態では、流体フローは、他のタイプのポンプ又は流体フロー源を用いることで駆動/制御されてもよい。例えば、1つの実施形態では、シリンジのプランジャを外向きに引くことで真空を作るために、シリンジポンプが使用されてもよい。他の実施形態では、カセットの1つ以上の入口に陽圧を印加することで、流体フロー源が提供される。
いくつかの実施形態では、カセットの入口及び出口にわたって実質的に一定の非ゼロの圧力降下(すなわちΔP)を印加する間に、流体フローが発生する。一組の実施形態において、カセットの入口及び出口にわたって実質的に一定の非ゼロの圧力降下(すなわちΔP)を印加する間に、全分析が行われる。実質的に一定の非ゼロの圧力降下は、例えば、入口において陽圧を印加することにより、又は出口において減少した圧力(例えば真空)を印加することで達成可能である。いくつかの場合には、毛細管力によって、及び/又は、作動バルブを使用することなしに(例えば、カセットの流体経路のチャネルの横断面積を変更することなしに)、支配的な流体フローが発生しない場合には、実質的に一定の非ゼロの圧力降下が達成される。いくつかの実施形態では、カセットにおいて行なわれる分析の本質的に全体において、例えば、分析領域への入口(これは流体コネクタに接続されていてもよい)と、分析領域の下流の出口(例えば、液体封じ込め領域の下流の出口)との間にわたって、実質的に一定の非ゼロの圧力降下が存在してもよい。
1つの実施形態では、真空源は、約−60kPa(約2/3気圧)でチャネルを加圧するように構成される。他の実施形態では、真空源は、約−30kPaでチャネルを加圧するように構成される。ある実施形態では、真空源は、例えば、−100kPa及び−70kPaの間、−70kPa及び−50kPaの間、−50kPa及び−20kPaの間、あるいは−20kPa及び−1kPaの間で、チャネルを加圧するように構成される。
いったんカセットがアナライザ内に配置されると、流体フロー源は、流体を通さない接続を保証するようにカセットに接続されてもよい。上述のように、カセットは、チャネル706(706に流体伝達可能であるように接続されている場合には、さらにチャネル707)を流体フロー源と接続するように構成されたポートを含んでもよい。1つの実施形態では、封止又はo−リングがポートの周囲に配置され、また、カセット本体に対してo−リングを押しつけて封止するためにo−リング上にリニアソレノイドが配置されてもよい。例えば、図11Aに示した例示の実施形態に示すように、ポート719に加えて、2つのベントポート715及び混合ポート713があってもよい。各ポート及び多岐管の間のインターフェースは独立であってもよい(例えば、多岐管の内部には流体接続はなくてもよい)。
1つの実施形態では、流体フロー源が起動されたとき、カセット中のチャネル706及び707は(例えば約−30kPaに)加圧されてもよく、これにより、チャネル内の流体(流体サンプル及び試薬の両方)を出口に向かって駆動する。ベントポート715及び混合ポート713を含む実施形態では、多岐管を介してポート713に接続されたベントバルブは最初に開かれていてもよく、これにより、混合ポート713の下流にある試薬のすべてを出口に向かって移動させながら、混合ポート713の上流にある試薬を移動させないことができる。いったんベントバルブが閉じると、混合ポート713の上流の試薬は、混合ポートに向かって移動し、その後出口に向かって移動してもよい。例えば、複数の流体は、混合ポートの上流のチャネルに直列的に貯蔵することができ、また、チャネルに沿って位置したベントバルブを閉じた後に、流体は、チャネル出口に向かって逐次的に流れることができる。ある場合には、流体は、別個の互いに交差する複数のチャネルに格納することができ、ベントバルブを閉じた後に流体は交点に向かってともに流れる。この一組の実施形態は、複数の流体がともに流れるとき、例えば、これらの流体を制御可能に混合するために使用可能である。配送のタイミング及び配送された流体の容積は、例えば、ベントバルブを作動させるタイミングによって制御可能である。
優位点として、従来技術に係る所定のバルブでは、当該バルブが動作させる微小流体チャネルの横断面を収縮させる可能性があったが、ベントバルブは、それらが動作させる微小流体チャネルの横断面を収縮させずに動作可能である。そのような動作モードは、バルブにわたる漏れの防止において有効となりうる。さらに、ベントバルブを使用可能であるので、本明細書で説明したいくつかのシステム及び方法は、ある内部バルブの使用を必要としない。内部バルブの使用は、例えば、それらの高い費用、製造上の複雑さ、こわれやすさ、気体及び液体の混合システムとの限られた互換性、及び/又は微小流体システムにおける低信頼性に起因して問題となりうる。
ベントバルブが説明されたが、本明細書で説明したシステム及び方法とともに他のタイプのバルブ調節メカニズムを使用可能であることが理解されるべきである。バルブと機能的に関連付けられる可能性があるバルブ調節メカニズムの非限定的な例は、ダイアフラムバルブ、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブ、グローブバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ、ポペットバルブ、又はピンチバルブを含む。バルブ調節メカニズムは、ソレノイド、モータ、手動、電子的作動、又は液圧/気圧を含む、任意の適切な手段によって作動させられてもよい。
前述のように、カセット内の液体(サンプル及び試薬)のすべては、液体封じ込めエリアへ移動してもよく、液体封じ込めエリアは吸収材料717を含んでもよい。1つの実施形態では、気体が出口を通ってカセットの外部へ流れてもよいように、吸収材料は液体だけを吸収する。
さまざまな決定(例えば、測定、定量化、検出、及び定性化)技術は、例えば、サンプル成分、又は本明細書で説明した微小流体システム又はカセットに関連付けられた他の成分又は状態を分析するために使用されてもよい。決定技術は、光透過、光吸収、光散乱、光反射、及び視覚的技術などの、光に基づく技術を含んでもよい。決定技術は、フォトルミネッセンス(例えば蛍光)、化学ルミネセンス、生物発光、電気化学ルミネセンスなどのルミネセンス技術をさらに含んでもよい。他の実施形態では、決定技術は導電率又は抵抗を測定してもよい。そのため、アナライザは、そのような検出システム及び他の適切な検出システムを含むように構成されてもよい。
異なる光学的検出技術は、反応(例えば分析)結果を決定するための多数のオプションを提供する。いくつかの実施形態では、透過率又は吸光率の測定は、光が光源から放射されたときと同じ波長で光を検出できることを意味する。光源は単一波長で放射する狭帯域源であってもよいが、多数の不透明材料が広範囲の波長を有効に阻止できる場合には、光源は、所定範囲の波長にわたって放射する広スペクトル源であってもよい。いくつかの実施形態では、システムは、最低限の光学デバイス(例えば、簡単化された光検知器)で動作させられてもよい。例えば、決定装置は、光電子増倍管をもたなくてもよく、回折格子、プリズム、もしくはフィルタなどの波長セレクタをもたなくてもよく、コルミネータ(columinator)などの、光を方向づけたりコルミネート処理したりする装置をもたなくてもよく、拡大光学装置(例えばレンズ)をもたなくてもよい。これらの機能の除去又は削減は、より安価であり、より頑健な装置をもたらすことができる。
図12は、アナライザの筐体に配置されてもよい、例示的な光学系800を示す。この実施形態に例示的に示すように、光学系は、少なくとも、第1の光源882と、第1の光源から離隔した検出器884とを含む。第1の光源882は、カセットがアナライザへ挿入されるとき、カセットの第1の分析領域に光が通過するように構成されてもよい。第1の検出器884は、第1の光源882の反対側に配置され、カセット520の第1の分析領域を通過する光量を検出してもよい。本発明はそのように限定されず、他の実施形態では、光源及び検出器の個数が変動してもよいことが認識されるべきである。上述のように、カセット520は複数の分析領域709を含んでもよく、カセット520は、各分析領域が光源及び対応する検出器と整列するようにアナライザ内に位置してもよい。いくつかの実施形態では、光源は、光源からカセットの分析領域内の特定領域に光を方向付けることを支援可能な光開口を含む。
1つの実施形態では、光源は発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードである。例えば、654nmにおいて放射するInGaAlP赤色半導体レーザダイオードが使用されてもよい。他の光源も使用可能である。光源は、入れ子部分又は筐体の内部に位置してもよい。入れ子部分又は筐体は、光を平行化することを支援できる狭い開口又は細い管を含んでもよい。光源は、当該光源の下方にあるカセットの上面に照射するように、カセットがアナライザへ挿入される場所の上方に位置してもよい。カセットに関しての光源の他の適切な構成も可能である。
本発明はそのように限定されず、光源の波長が変動してもよいことが認識されるべきである。例えば、1つの実施形態では、光源の波長は約670nmであり、他の実施形態では、光源の波長は約650nmである。1つの実施形態において、カセットの各分析領域が異なる光波長を受けるように、各光源の波長が異なっていてもよいことが認識されるべきである。しかしながら、他の実施形態では、カセットの各分析領域が同じ光波長を受けるように、各光源の波長は同じであってもよい。同じ及び異なる波長の光源の組み合わせもまた可能である。
上述のように、検出器884は、カセットを通過する光量を検出するために、光源882から離隔して光源882の下方に位置してもよい。1つの実施形態では、検出器のうちの1つ以上は、光検出器(例えばフォトダイオード)である。ある実施形態では、光検出器は、光源によって放射される光の透過を検出することができる任意の適切な装置であってもよい。1つのタイプの光検出器は、700nmにおいてピーク感度を有するフォトダイオード、増幅器、及び電圧レギュレータを含む光集積回路(IC)である。検出器は、分析領域709の中心からの光だけが検出器884において測定されることを保証するために狭い開口又は細い管を含んでもよい、入れ子部分又は筐体の内部に位置してもよい。光源が変調されたパルスである場合、光検出器は、選択された周波数以外の光の影響を除去するためのフィルタを含んでもよい。複数の互いに隣接する信号が同時に検出される場合、各分析領域(例えば検出領域)について使用される光源は、その隣接信号の光源の周波数から十分に異なる周波数において変調可能である。この構成では、各検出器は、その属性で決まる光源として選択し、これにより、干渉する光の形式の隣接する光学的ペアを防止するように(例えば、ソフトウェアを用いて)構成可能である。
出願人は、カセットの分析領域を透過した光量が、サンプルに関する情報だけでなく、カセットの流体システムに生じる特定の過程(例えば、試薬の混合、流量、など)に関する情報も決定するために使用可能であることを認識した。いくつかの場合には、ある領域を通る光の測定は、システムにおける流体フローを制御するためのフィードバックとして使用可能である。ある実施形態では、カセットの動作における品質管理又は異常を決定することができる。例えば、分析領域から制御システムまでのフィードバックは、微小流体システムで生じた異常を決定するために使用可能であり、制御システムは、1つ以上の構成要素に信号を送ってシステムのすべて又は部分をシャットダウンさせてもよい。従って、微小流体システムで実行されている処理の品質を、本明細書で説明したシステム及び方法を使用して管理することができる。
澄んた液体(水など)は、光源882から分析領域709を通って検出器884まで大きな光量を透過させることが認識されるべきである。分析領域709内に存在する空気は、澄んた液体が存在する場合よりも多くの光がチャネル内で散乱する可能性があるので、分析領域709を透過する光の減少をもたらす可能性がある。分析領域709に血液サンプルがある場合、血球による光の散乱に起因して、さらに吸光に起因して、検出器884まで通過する光量が非常に少なくなる可能性がある。1つの実施形態では、銀は分析領域内の表面に結合されたサンプル成分と連結し、また、銀は分析領域内で蓄積するので、分析領域709を透過する光はますます少なくなる。
各検出器884において検出される光量を測定することは、特定の時点において特定の分析領域709にどの試薬が存在するのかをユーザが決定できるようにすることが認識される。各検出器884で検出される光量を測定することによって、各分析領域709に堆積された銀の量を測定できることも認識される。この量は、サンプル中の分析物の濃度の尺度をこのように提供してもよい反応の間に捕捉される分析物の量に対応してもよい。
上に注意したように、出願人は、さまざまな品質管理の理由で光学系880が使用されてもよいことを認識した。まず、分析領域を通過する光を光学系が検出する場所である分析領域にサンプルが到着するまでにかかる時間が、システムにおける漏れ又は障害物の有無を決定するために使用されてもよい。さらに、サンプルが所定容積(例えば約10マイクロリットル)であると期待される場合、チャネル及び分析領域を通過するサンプルに関連付けられる期待フロー時間が存在する。サンプルがその期待フロー時間の範囲外になる場合、それは、分析を行なうのに十分なサンプルがないこと、及び/又は、間違ったタイプのサンプルがアナライザに装填されたことを示す可能性がある。さらに、期待される結果の範囲は、サンプルのタイプ(例えば、血清、血液、尿など)に基づいて決定されてもよく、また、サンプルが期待される範囲の外部にある場合、それはエラーであることを示す可能性がある。
1つの実施形態では、アナライザは、筐体内に位置した温度調整システムを含み、温度調整システムは、アナライザ内の温度を調整するように構成されてもよい。あるサンプルの分析のために、当該サンプルを所定温度範囲内に維持するることを必要としてもよい。例えば、1つの実施形態では、アナライザ内の温度を約37°Cに保持することが望ましい。従って、1つの実施形態では、温度調整システムは、カセットを加熱するように構成されたヒータを含む。1つの実施形態では、ヒータは抵抗ヒータであり、これは、アナライザ内でカセットが配置される場所の下方に位置してもよい。1つの実施形態では、温度調整システムは、カセットの温度を測定するためのサーミスターをさらに含み、また、温度を制御するためにコントローラ回路が設けられてもよい。
1つの実施形態では、アナライザ内の空気の受動的なフローは、必要な場合にアナライザ内の空気を冷やすように作用してもよい。オプションで、アナライザ内の温度を低下させるためにアナライザ内にファンが設けられてもよい。いくつかの実施形態では、温度調整システムは、アナライザ内に、ペルティエ素子の熱電気ヒータ及び/又はクーラーを含んでもよい。
ある実施形態では、1つ以上の識別子を含む識別システムが使用されて、カセット及び/又はアナライザに関連付けられた1つ以上の構成要素又は材料と関連付けられる。「識別子」は、以下でより詳細に説明するように、識別子を含む構成要素に関する情報を当該識別子自体に符号化していてもよい(すなわち、無線周波識別(RFID)タグ又はバーコードのような、情報の伝送、記憶、生成、又は運搬のための装置を使用することによって、情報を伝送するか含んでいてもよい)。「識別子」は、構成要素に関する情報を当該識別子自体に符号化していなくてもよく、代わりに、例えば、コンピュータ又はコンピュータ可読媒体上のデータベースに含まれていてもよい情報(例えば、ユーザに関する情報及び/又は分析すべきサンプル)のみと関連付けられていてもよい。後者の例において、そのような識別子を検出することは、データベースから、関連付けられた情報の検索及び使用をトリガすることができる。
構成要素に関する情報で「符号化された」識別子は、必ずしも、構成要素に関する情報の完全なセットで符号化される必要はない。例えば、ある実施形態では、識別子は、カセットの一意的な識別を可能にするのに十分な情報(例えば、シリアル番号、部品番号などに関する情報)のみで符号化されてもよく、一方、カセットに関する追加情報(例えば、タイプ、用途(例えば、分析のタイプ)、所有権、場所、位置、接続性、内容、など)は、遠隔に格納されて、識別子のみと関連付けられてもよい。
カセット、材料、もしくは構成要素などに「関する情報」又は「関連付けられた情報」は、カセット、材料、もしくは構成要素の識別情報、位置、もしくは場所に関する情報、又は、カセット、材料、もしくは構成要素の内容の識別情報、位置、もしくは場所に関する情報であり、カセット、材料、構成要素、又は内容の性質、状態、又は構成に関する情報をさらに含んでもよい。カセット、材料、もしくは構成要素、又はその内容に「関する情報」又は「関連付けられた情報」は、カセット、材料、もしくは構成要素、又はその内容を識別する情報であって、カセット、材料、構成要素、又はその内容を他のものから区別する情報を含むことができる。例えば、カセット、材料、もしくは構成要素、又はその内容に「関する情報」又は「関連付けられた情報」は、タイプを示す情報又はカセット、材料、又は構成要素、又はその内容が何であるのかを示す情報、それがどこに位置しているのか又は位置すべきなのか、それがどのように位置しているのか又は位置すべきなのか、カセット、材料、もしくは構成要素、又はその内容の機能もしくは目的、カセット、材料、もしくは構成要素、又はその内容はシステムの他の構成要素とどのように接続されるか、ロット番号、送達元、較正情報、使用期限、宛先、カセットの製造業者又は所有権、材料もしくは構成要素又はその内容、カセットでは行われる分析/検査のタイプ、カセットが使用/分析されたか否かに関する情報、などを示してもよい。
本発明のコンテキストで使用可能な識別子の非限定的な例は、とりわけ、無線周波識別(RFID)タグ、バーコード、シリアル番号、カラータグ、蛍光又は光学タグ(例えば、量子ドットを使用したもの)、化合物、無線タグ、磁気タグを含む。
1つの実施形態では、識別リーダーは、カセットに関連付けられたRFID識別子を読み取るように構成されたRFIDリーダーである。例えば、1つの実施形態では、アナライザは、アナライザに挿入されたカセットから情報を読み出すように構成されたRFIDモジュール及びアンテナを含む。別の実施形態では、識別リーダーは、カセットに関連付けられたバーコードを読み出すように構成されたバーコードリーダーである。いったんカセットがアナライザへ挿入されると、識別リーダーはカセットから情報を読み出してもよい。カセット上の識別子は、カセットのタイプ、行われる分析/検査のタイプ、ロット番号、カセットが使用/分析されたか否かに関する情報、及び本明細書で説明した他の情報のような、複数のタイプの情報のうちの1つ以上を含んでもよい。リーダーは、例えば、較正情報、使用期限、及びそのロットに固有の任意の追加情報を含むがこれらに限定されない、1箱のカセットのような1群のカセットとともに提供された情報を読み出すようにさらに構成されてもよい。例えば、正しいカセット及び/又は実行されている分析のタイプを確認するために、オプションで、識別された情報はユーザに表示されてもよい。
いくつかの場合には、識別リーダーは、通信経路を介して制御システムに統合されてもよい。識別リーダー及び制御システムの間の通信は、がハードワイヤードのネットワークで行われてもよく、又は無線伝送されてもよい。1つの実施形態では、カセットが特定タイプのアナライザ内に適切に接続又は挿入されたことを示すように、(例えば、カセットのタイプ、製造業者、実行すべき分析、などに関する情報に関連付けられたカセットの)特定の識別子を認識するように制御システムプログラミングすることができる。
1つの実施形態では、カセットの識別子は、特定の目的、ユーザ、又は製品のためのシステム又はカセットの使用に関するデータベースに含まれる予め決められた情報又はプログラミングされた情報に関連付けられるか、又は、特定の反応条件、サンプルタイプ、試薬、ユーザなどに関連付けられる。不一致が検出されるか、識別子が非活性化された場合、処理は停止されてもよく、又は、ユーザに通知されるまで、もしくはユーザからの肯定応答を受信するまで、システムは非動作状態にされてもよい。
識別子からの情報又は識別子に関連付けられた情報は、いくつかの実施形態では、将来の参照及び記録保持の目的で、例えばコンピュータメモリ又はコンピュータ可読媒体に格納される。例えば、ある制御システムは、特定の分析、日付、時刻、及び使用継続時間、使用条件、などで、どの構成要素(例えばカセット)又はどのカセットのタイプが使用されたかを識別するために、識別子からの情報又は識別子と関連付けられた情報を使用してもよい。そのような情報は、例えば、アナライザの1つ以上の構成要素が清掃又は交換されるべきか否かを決定するために使用されてもよい。オプションで、制御システム又は他の任意の適切なシステムは、識別子で符号化された情報又は識別子に関連付けられた情報を含む、収集された情報からレポートを生成してもよく、このレポートは、規定の標準の遵守又は品質管理の検証の証明を提供するために使用されてもよい。
識別子で符号化された情報又は識別子に関連付けられた情報は、例えば、識別子に関連付けられた構成要素(例えばカセット)が本物であるかそれとも偽造品であるかを決定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、偽造品の構成要素が存在すると決定されると、システムロックアウトを生じさせる。一例において、識別子は一意の識別コードを含んでいてもよい。この例では、無関係又は不一致の識別コード(あるいは識別コードなし)が検出された場合、プロセス制御ソフトウェア又はアナライザは、システムのスタートアップを許可しない(例えば、システムは非動作状態にされてもよい)。
ある実施形態では、識別子から得られた情報又は識別子に関連付けられた情報は、カセット及び/又はアナライザを販売する相手である顧客、又は、生物学的、化学的、もしくは薬学的の処理を実行する対象である顧客の識別情報を検証するために使用可能である。いくつかの場合には、識別子から得られた情報又は識別子に関連付けられた情報は、システムのトラブルシュートのためのデータを収集する処理の一部として使用される。識別子は、とりわけ、バッチ履歴、組立工程及び計装図(assembly process and instrumentation diagrams; P and IDs)、トラブルシュート履歴のような情報をさらに含むか、当該情報に関連付けられていてもよい。システムのトラブルシュートは、いくつかの場合には遠隔アクセスを介して達成されてもよく、又は診断ソフトウェアの使用を含んでもよい。
1つの実施形態では、アナライザはユーザインターフェースを含み、ユーザインターフェースは、筐体内に位置し、ユーザがサンプルアナライザに情報を入力するように構成されてもよい。1つの実施形態では、ユーザインターフェースはタッチスクリーンである。
タッチスクリーンは、アナライザを使用するためのテキスト及び/又はグラフィックの命令を提供して、アナライザの動作を介してユーザをガイドしてもよい。タッチスクリーンのユーザインターフェースは、例えば、アナライザにカセットを挿入するようにユーザをガイドしてもよい。その後、それは、患者の名前又は他の患者の識別ソース/番号(例えば、年齢、DRE検査の結果、など)をアナライザに入力するようにユーザをガイドしてもよい。患者を識別するために、名前、生年月日、及び/又は患者ID番号のような患者情報がタッチスクリーンのユーザインターフェースに入力されてもよいことが認識されるべきである。タッチスクリーンは、サンプルの分析を完了するまでの残り時間の長さ表を示してもよい。次いで、タッチスクリーンのユーザインターフェースは、サンプル分析の結果を患者の名前又は他の識別情報ととも表示してもよい。
他の実施形態では、ユーザインターフェースは、LCDディスプレイ及び単一のボタンスクロールスルーメニューなどを用いて、異なる形態で構成されてもよい。他の実施形態では、ユーザインターフェースは、単に、アナライザを起動するためのスタートボタンを含んでもよい。他の実施形態では、アナライザとインターフェースをとるために、別個の独立した複数の装置(スマートフォン又はモバイルコンピュータなど)からのユーザインターフェースが使用可能である。
上述のアナライザは、アナライザ内に配置されたサンプルの処理及び分析を行うさまざまな方法で使用されてもよい。1つの特定の実施形態において、カセットとのインターフェースをとるように構成された機構構成要素が、カセットがアナライザに適切に装填されたことをいったん示すと、識別リーダーは、カセットに関連付けられた情報を読み出して識別する。アナライザは、この特定のサンプルに関する較正情報を有することを保証するために、制御システムに格納されたデータに対して情報を比較するように構成されてもよい。アナライザが適正な較正情報をもたない場合、アナライザは、必要な特定の情報をアップロードするためにユーザに要求を出力してもよい。アナライザは、カセットに関連付けられた使用期限情報を調べて、使用期限が経過している場合には分析を取り消すように構成されてもよい。
1つの実施形態では、カセットが分析されてもよいとアナライザがいったん決定すると、真空多岐管などの流体フロー源は、真空ポート及びベントポートのまわりの気密シールを保証するためにカセットと連絡をとるように構成されてもよい。1つの実施形態では、光学系は、基準読み取り値を得るために初期測定を行ってもよい。そのような基準読み取り値は、活性化された光源及び非活性化された光源の両方を用いて取得されてもよい。
サンプルの移動を開始するために、真空システムは活性化されてもよく、それは、1つ以上のチャネル内の圧力を急速に変化させてもよい(例えば、約−30kPaまで減少させる)。このチャネル内の圧力の減少は、サンプルをチャネル内で駆動し、さらに各分析領域709A〜709D(図10を参照)を介して駆動することができる。サンプルが最後の分析領域709Dに達した後、サンプルは液体封じ込め領域717に流れ込み続けてもよい。
特定の一組の実施形態おいて、微小流体サンプルアナライザは、血液サンプルにおけるiPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のレベルを測定するために使用される。いくつかの実施形態では、サンプルを分析するために、3つ、4つの、5個、6個、又はそれよりも多くの分析領域(例えば分析領域709A〜709D)が利用されてもよい。例えば、第1の分析領域において、分析領域の壁に結合する血液サンプル中のタンパク質がほとんど又はまったく存在しないように(場合によっては、洗浄によって除去されるかもしれない何らかの非特異結合を除く)、チャネルの壁は、遮断タンパク質(ウシ血清アルブミンなど)で遮断されてもよい。この第1の分析領域は陰性の対照として作用してもよい。
第2の分析領域において、チャネルの壁は、ハイレベル又は陽性の対照として作用するために、予め決められた大量の前立腺特異性抗原(PSA)でコーティングされてもよい。血液サンプルが第2の分析領域を通過するとき、チャネルの壁に結合した血液中のPSAタンパク質は、ほとんど又はまったく存在しなくてもよい。サンプル中の、金が結合した検出抗体は、流体コネクタ管722の内部から溶かされてもよく、あるいは他の適切な場所から流されてもよい。これらの抗体は、サンプル中のPSAにまだ結合されなくてもよく、従って、それらは、ハイレベル又は陽性の対照として作用するために、チャネルの壁上のPSAに結合してもよい。
第3の分析領域において、チャネルの壁は、iPSAに関する捕捉抗体(例えば抗iPSA抗体)でコーティングされてもよく、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、PSAタンパク質上のエピトープに結合してもよい。血液サンプルが第3の分析領域を流れるとき、血液サンプル中のiPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗iPSA抗体に結合してもよい。
第4の分析領域において、チャネルの壁は、fPSAに関する捕捉抗体(例えば抗fPSA抗体)でコーティングされてもよく、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、PSAタンパク質上のエピトープに結合してもよい。血液サンプルが第4の分析領域を流れるとき、血液サンプル中のfPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗fPSA抗体に結合してもよい。
第5の分析領域において、チャネルの壁は、tPSAに関する捕捉抗体(例えば抗tPSA抗体)でコーティングされてもよく、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、PSAタンパク質上のエピトープに結合してもよい。血液サンプルが第5の分析領域を流れるとき、血液サンプル中のtPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗tPSA抗体に結合してもよい。
オプションで、第6の分析領域において、チャネルの壁は、hK2に関する捕捉抗体(例えば抗hK2抗体)でコーティングされてもよく、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、タンパク質上のエピトープに結合してもよい。血液サンプルが第6の分析領域を流れるとき、血液サンプル中のhK2タンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗hK2抗体に結合してもよい。
金で標識された抗PSA及び抗hK2抗体などの検出抗体は、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2のそれぞれを検出するために使用されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、金で標識された抗hK2抗体、金で標識された抗PSA抗体、及び/又は金で標識された抗iPSA抗体など、金で標識された複数の抗体の混合物が、検出のために使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、サンプル中の、金が結合した検出抗体は、流体コネクタ管722の内部から溶かされてもよく、あるいは他の適切な場所から流されてもよい。いくつかの例では、分析する領域から測定値は、サンプル中の分析物の濃度を決定するためだけでなく、対照としても使用することができる。例えば、しきい値の測定値は、増幅の初期のフェーズにおいて確立することができる。この値より高い測定値(又はこの値未満の測定値)は、分析物の濃度が所望の検査範囲の外にあることを示してもよい。この技術は、例えば、分析中に高用量フック効果が生じているか否か、すなわち、非常に高い濃度の分析物が見かけ上の非常に低い読み取り値をもたらす場合を識別するために使用されてもよい。
他の実施形態では、異なる個数の分析領域を提供することができ、また、分析は、オプションで、実際にサンプルを検査する1つより多くの分析領域を含んでもよい。システムが単一のサンプルで同時に多重の分析を行うことができるように、追加の分析物を測定するために追加の分析領域を使用可能である。
1つの特定の実施形態において、10マイクロリットルの血液サンプルが4つの分析領域を流れるために、約8分かかる。チャネル内の圧力が約−30kPaである場合、この分析の開始が計算されてもよい。この間に、光学系は、各分析領域の光透過率を測定している。1つの実施形態において、このデータは約0.1秒ごとに制御システムに送信されてもよい。基準値を用いて、これらの測定値は次式を用いて変換されてもよい。
透過率=(l−ld)/(lr−ld) (1)
l=与えられた時点における分析領域を通る透過光の強度
ld=光源をオフしたときの分析領域を通る透過光の強度
lr=基準強度(すなわち、光源を活性化したときの、空気だけがチャネルにある場合の分析開始前の、分析領域における透過光の強度)
光学密度=−log(透過率) (2)
従って、これらの式を用いて、分析領域における光学密度が計算されてもよい。
図13は、制御システム550(図12を参照)が、1つの実施形態に係るさまざまな異なる構成要素とどのように機能的に関連付けられてもよいかを示すブロック図900である。本明細書で説明した制御システムは、上述した機能又は上述したものの任意の適切な組み合わせを実行するためのマイクロコード又はソフトウェアを用いてプログラミングされるプロセッサを使用して、専用ハードウェア又はファームウェアを用いることなど、多数の方法で実装することができる。制御システムは、単一の分析(例えば、生物学的、生化学的、又は化学的な反応に関する)又は複数の(別個の、又は相互に関連した)分析に係る1つ以上の動作を制御してもよい。例えば、制御システムは、アナライザの筐体内に位置してもよく、カセット内のサンプルを分析するために、識別リーダー、ユーザインターフェース、流体フロー源、光学系、及び/又は温度調整システムと通信するように構成されてもよい。
1つの実施形態では、制御システムは、カセットと直接的にインターフェースをとるすべてのサブシステムを制御してモニタする実時間プロセッサを含む、少なくとも2つのプロセッサを含む。1つの実施形態では、特定の時間間隔(例えば0.1秒ごと)において、このプロセッサは、ユーザインターフェースを介してユーザと通信する第2の上位プロセッサ及び/又は通信サブシステム(以下で議論する)と通信し、アナライザの動作を指示する(例えば、いつサンプルの分析を開始するのかを決定し、結果を解釈する)。1つの実施形態では、これらの2つのプロセッサ間の通信は、シリアル通信バスを介して行われる。本発明はそのように限定されず、他の実施形態では、アナライザは1つのプロセッサのみ又は2つより多くのプロセッサを含んでもよいことが認識されるべきである。
1つの実施形態では、アナライザは、外部装置とインターフェースをとることができ、例えば、1つ以上の外部通信ユニットと接続するためのポートを含んでもよい。外部通信は、例えばUSB通信を介して達成されてもよい。例えば、図13に示すように、アナライザは、USBプリンタ901又はコンピュータ902にサンプル分析の結果を出力してもよい。さらに、実時間プロセッサによって生成されたデータストリームは、コンピュータ又はUSBメモリースティック904に出力されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータは、USB接続を介する場合にも同様にアナライザを直接的に制御可能であってもよい。さらに、他のタイプの通信オプションも利用可能であり、本発明はこの点で限定されない。例えば、イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、及び/又はWI−FIによるアナライザとの通信が、プロセッサを介して確立されてもよい。
本明細書で説明した計算方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、及びシステム構成要素は、以下に説明するコンピュータで実装したシステムのさまざまな実施形態のような、コンピュータで実装した制御システムを用いて実現されてもよい。本明細書で説明した方法、ステップ、システム、及びシステム構成要素は、その実装を、本明細書で説明した任意の特定のコンピュータシステムに限定せず、他の多くの異なるマシンが使用されてもよい。
コンピュータで実装した制御システムは、サンプルアナライザの部分であってもよく、あるいはサンプルアナライザと機能的に関連付けられるように接続されていてもよく、いくつかの実施形態では、上述したように、値の分析及び計算を行うことに加えて、サンプルアナライザの動作パラメータの制御及び調節を行うように構成及び/又はプログラミングされてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータで実装した制御システムは、サンプルアナライザの動作パラメータ及びオプションで他のシステム装置の動作パラメータの設定及び/又は制御を行うために基準信号の送信及び受信を行うことができる。他の実施形態では、コンピュータで実装した制御システムは、サンプルアナライザとは別個に設けられてもよく、及び/又は、サンプルアナライザから遠隔して位置してもよく、また、1つ以上の遠隔のサンプルアナライザ装置から、間接的及び/又はポータブルな手段を介して、例えば、磁気ディスクなどのポータブルな電子データ記憶装置を介して、又はインターネットもしくはローカルイントラネットなどのコンピュータネットワーク上の通信を介して、データを受信するように構成されてもよい。
コンピュータで実装した制御システムは、処理装置(すなわちプロセッサ)、メモリシステム、入出力装置及びインターフェース(例えば相互接続メカニズム)を含み、さらに、トランスポート回路(例えば1つ以上のバス)、ビデオ及びオーディオデータ入力/出力(I/O)サブシステム、専用ハードウェアなどの他の構成要素を含み、さらに、以下でさらに詳細に説明する他の構成要素及び回路を含む、いくつかの既知の構成要素及び回路を含んでもよい。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサーコンピュータシステムであってもよく、又は、コンピュータネットワークを介して接続された複数のコンピュータを含んでもよい。
コンピュータで実装した制御システムは、例えば、インテルから入手可能なx86シリーズのCeleron(登録商標)及びPentium(登録商標)プロセッサ、AMD及びサイリックスからの同様のデバイス、モトローラから利用可能な680X0シリーズのマイクロプロセッサ、IBMからのPowerPC(登録商標)マイクロプロセッサ、及びARMプロセッサのうちの1つのような市販のプロセッサなどのプロセッサを含んでもよい。他の多くのプロセッサが利用可能であり、また、コンピュータシステムは特定のプロセッサに限定されない。
プロセッサは、典型的にはオペレーティングシステムと呼ばれるプログラムを実行し、Windows(登録商標) NT、Windows 95又は98、Windows 7、Windows 8、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、DOS、VMS、MacOS及びOSX(登録商標)、及びiOSはオペレーティングシステムの例であり、オペレーティングシステムは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッギング、入出力制御、アカウンティング、コンパイル、記憶装置の割り当て、データ管理及びメモリ管理、通信制御及び関連サービスを提供する。プロセッサ及びオペレーティングシステムはともに、高レベルのプログラミング言語のアプリケーションプログラムが記述される対象であるコンピュータプラットフォームを定義する。コンピュータで実装した制御システムは、特定のコンピュータプラットフォームに限定されない。
コンピュータで実装した制御システムは、メモリシステムを含んでもよく、これは、典型的には、コンピュータが読み出し可能かつ書き込み可能な不揮発性記録媒体を含み、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及びテープはその例である。そのような記録媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、読み出し/書き込みCD、又はメモリースティックのように着脱可能であってもよく、あるいは、例えばハードドライブのように永続的であってもよい。
そのような記録媒体は、典型的には2進形式(すなわち、1及び0のシーケンスとして解釈される形式)で、信号を格納する。ディスク(例えば、磁気又は光)は多数のトラックを有し、これらのトラック上に、そのような信号が典型的には2進形式、すなわち1及び0のシーケンスとして解釈される形式で格納されてもよい。そのような信号は、マイクロプロセッサによって実行される例えばアプリケーションプログラムなどのソフトウェアプログラムを定義し、又はアプリケーションプログラムによって処理される情報を定義してもよい。
コンピュータで実装した制御システムのメモリシステムは、集積回路メモリ素子を含んでもよく、それは典型的には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)又はスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性のランダムアクセスメモリである。典型的には、動作時に、プロセッサは、不揮発性記録媒体から集積回路メモリ素子にプログラム及びデータを読み出させ、集積回路メモリ素子は、典型的には、不揮発性記録媒体の場合よりも、プロセッサによるプログラム命令及びデータへのより高速なアクセスを可能にする。
プロセッサは、概して、プログラム命令に従って集積回路メモリ素子内のデータを操作し、次に、処理が完了した後、操作されたデータを不揮発性記録媒体にコピーする。不揮発性記録媒体及び集積回路メモリ素子の間のデータ移動を管理するためのさまざまなメカニズムが既知であり、また、コンピュータで実装した制御システムであって、図13に関して上述した方法、ステップ、システム、及びシステム構成要素を実装するシステムは、それに限定されない。コンピュータで実装した制御システムは、特定のメモリシステムに限定されない。
上述したそのようなメモリシステムの少なくとも一部は、上述した1つ以上のデータ構造(例えばルックアップテーブル)又は式を格納するために使用可能である。例えば、不揮発性記録媒体の少なくとも一部は、そのようなデータ構造の1つ以上を含むデータベースの少なくとも一部を格納してもよい。そのようなデータベースは、さまざまなタイプのデータベースのいずれであってもよく、例えば、データがデリミタによって分離されたデータ単位に組織化される1つ以上のフラットファイルデータ構造を含むファイルシステム、データがテーブルに格納されたデータ単位に組織化されるリレーショナルデータベース、データがオブジェクトとして格納されたデータ単位に組織化されるオブジェクト指向データベース、他のタイプのデータベース、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
コンピュータで実装した制御システムは、ビデオ及びオーディオデータI/Oサブシステムを含んでもよい。このサブシステムのオーディオ部分は、アナログオーディオ情報を受信してそれをディジタル情報に変換するアナログ/ディジタル(A/D)変換器を含んでもよい。ディジタル情報は、別の時に使用するためにハードディスク上に格納するために、既知の圧縮システムを用いて圧縮されてもよい。I/Oサブシステムの典型的なビデオ部分は、当該技術において多数のものが既知であるビデオ画像コンプレッサ/デコンプレッサを含んでもよい。そのようなコンプレッサ/デコンプレッサは、アナログビデオ情報を圧縮されたディジタル情報に変換し、さらに逆の処理を実行する。圧縮されたディジタル情報は、後の使用のためにハードディスク上に格納されてもよい。
コンピュータで実装した制御システムはの1つ以上の出力装置を含んでもよい。例示的な出力装置は、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)及び他のビデオ出力装置、プリンタ、モデム又はネットワークインターフェースのような通信装置、ディスク又はテープのような記憶装置、及びスピーカのようなオーディオ出力装置を含む。
コンピュータで実装した制御システムは、1つ以上の入力装置を含んでもよい。例示的な入力装置は、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペン、及びタブレット、上述したような通信装置、ならびに、オーディオ及びビデオキャプチャ装置及びセンサのようなデータ入力装置を含む。コンピュータで実装した制御システムは、本明細書で説明した特定の入力又は出力装置に限定されない。
本明細書で説明したさまざまな実施形態を実装するために、任意のタイプのコンピュータで実装した制御システムのうちの1つ以上が使用されてもよいことが認識されるべきである。本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。コンピュータで実装した制御システムは、特別にプログラミングされた専用ハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。そのような専用ハードウェアは、上述したコンピュータで実装した制御システムの一部として、又は独立した構成要素として上述した方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、及びシステム構成要素の1つ以上を実装するように構成されてもよい。
コンピュータで実装した制御システム及びその構成要素は、さまざまな1つ以上の適切なコンピュータプログラミング言語のうちの任意のものを用いてプログラミングされてもよい。そのような言語は、C、Pascal、Fortran、及びBASICなどの手続き型プログラミング言語、C++、Java(登録商標)、Eiffelなどのオブジェクト指向言語、スクリプト言語又はアセンブリ言語などの他の言語を含んでもよい。
方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、及びシステム構成要素は、手続き型プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、他の言語、及びそれらの組み合わせを含み、そのようなコンピュータシステムによって実行されてもよい、さまざまな適切なプログラミング言語のうちの任意のものを用いて実装されてもよい。そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、及びシステム構成要素は、コンピュータプログラムの別個のモジュールとして実装されてもよく、又は別個のコンピュータプログラムとして個々に実装されてもよい。
そのようなモジュール及びプログラムは、複数の別個のコンピュータ上で実行可能である。
そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、及びシステム構成要素は、個々に、又は組み合わせとして、コンピュータ可読媒体上の、例えば、不揮発性記録媒体、集積回路メモリ素子、又はそれらの組み合わせ上のコンピュータ可読信号として具体化されたコンピュータプログラム製品として実装されてもよい。そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、又はシステム構成要素のそれぞれについて、そのようなコンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータ可読信号であって、コンピュータによって実行される結果、方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム、又はシステム構成要素を実行するようにコンピュータに命令する、例えば1つ以上のプログラムの一部である命令を定義するコンピュータ可読信号を備えてもよい。
さまざまな実施形態は上述の機能のうちの1つ以上を備えて形成されてもよいことが認識されるべきである。上述の複数の態様及び複数の機能は、任意の適切な組み合わせで使用されてもよく、本発明はこの点で限定されない。図面はさまざまな実施形態に組み込まれてもよいさまざまな構成要素及び機能を示していることも認識されるべきである。簡単化のために、図面のうちのいくつかは1つより多くのオプションの機能又は構成要素を示している可能性がある。しかしながら、本発明は図面中で開示した特定の実施形態に限定されない。本発明が、いずれか1つの図面に示した構成要素の一部だけを含んでいつかもしれない実施形態を包含すること、及び/又は、複数の異なる図面に示した構成要素を組み合わせた実施形態を包含してもよいことが認識されるべきである。
他の好ましい実施形態
本発明の方法をさまざまな実施形態の形態で具体化することができ、それらの少数だけが本明細書で開示されていることは認識されるだろう。他の実施形態が存在し、本発明の精神から外れないことは、当業者には明らかであろう。従って、説明した実施形態は例示であり、限定的なものとして解釈されるべきでない。
研究
統計モデルを使用する合計7個の別個の研究が行なわれた。研究は、増大したPSA及び2270の癌を有する合計7647人の男性を含み、5つの研究は外部検証を構成する。さらに、研究は、広範囲の臨床シナリオをカバーするように系統的に設計された。おそらくは最も重要なこととして、研究のうちの1つは自然経過アプローチを含むものだった。生検結果が代替エンドポイントであるので、重要なことは、ある男性が前立腺癌を有するか否かではなく、彼が彼の生活に影響する前立腺癌のリスクを有するか否かであり、理想的な研究は、患者から血液を取得し、その後、さらなるスクリーニングを行うことなく患者を数年にわたって追跡し、前立腺癌の結果を決定することである。我々は、十分に幸運にもそのような研究を行なうことができた(Vickers, A.J., et al., Cancer Epidemiol Biomarkers Prey, 2011. 20(2): p. 255-61)。
マルメの食事及び癌のコホートは、癌死亡率における食事のリスクファクタを識別するための大規模な集団ベースの研究の一部であり、1923年及び1945年の間に生まれ、スウェーデンのマルメ市において生活していた11063人の男性が、1996〜1991にEDTA抗凝結血液サンプルを提供した。結果の確認はスウェーデン癌レジストリを介して行われた。マーカー値は、アーカイブされた血液サンプルから取得され、これは、2008年に分析され、保存血液から正確なカリクレイン測定値を得るものとして以前に検証された(Ulmert, D., et al., Clin. Chem., 2006. 52(2): p. 235-9)。臨床的に診断されたほとんどすべての場合で、PSA検査のレートは非常に低かった。そのため、研究は、増大したPSAを有する男性について前立腺癌の「自然経過」を追跡する。ベースラインにおいて3ng/mlのPSAを有した792人の男性のうち、474人はその後に前立腺癌であると診断された。追跡期間中央値は11年間であった。重要なことには、4カリクレインパネル統計モデルの予測上な識別力は、任意の癌、及び確実に致死的となる進行癌(ステージT3もしくはT4、又は転移)の両方の予測について、PSAよりもすぐれていた。従来の研究でわかるように、モデルによれば、男性の約50%は、20%未満の前立腺癌のリスクを有していた。我々は、増大したPSAを有する1000人当たり13人の男性だけが、モデルから20%未満のリスクを有し、さらに5年以内に癌であると診断され、1人の男性だけが進行癌であると診断されると推定した。
マルメコホートは、我々の予測モデルのいくつかの重要な機能を実証する。第1に、それは外部検証を構成する。第2に、それは、モデルが、臨床的に診断された癌であって、定義によって過剰診断を構成しないものを予測することを示す。第3に、研究は、モデルによって見逃された癌が、過剰診断とみなされるものであることを示唆し、我々の生検研究からのデータは、パネルが、生検で検知できる癌にかかっている1000人当たり約60人の男性を低リスクとして分類することを示し、マルメコホートデータは、これらのうちの4つにおける1つ未満が、5年間の追跡調査の後に臨床的に明らかになることを示唆する。第4に、それは、モデルが、男性の寿命を短くするある種の高悪性度の癌である可能性が非常に高いと予測することを実証する。最後に、1000人当たり1人だけがモデルによれば低リスクの前立腺癌を有するが、その後、進行癌を有すると診断されるので、データは、モデルの臨床使用が、遅れた診断に関する深刻な害をもたらさないことを示す。我々のモデルに関する我々の研究の概要を表2に示す。
要するに、我々の予備的研究は以下のように要約することができる。
1. 血液中の複数のカリクレイン形式、すなわち、総PSA、遊離型PSA、未変化PSA、及びhK2は、増大した総PSAを有する男性における前立腺生検の結果を予測することができる。
2. 4つのカリクレインに基づいた統計的予測モデルは、単一のトレーニング集合を用いて構築された。
3. これは、予測された癌の確率を与えるために、新規のマーカーから情報に臨床検査を統合する。
4. 合計で、パネルは、2250近くの癌を含む、診断された7500人を超える男性に適用され、5つの別個の研究が外部検証を構成した。
5. モデルは、前立腺癌に関して高い識別力を有し、標準的な予測値(総PSA、年齢、及び直腸指診)のみに基づいた統計モデルよりもずっと高いAUCを有する。
6. 前立腺生検の参照を決定する4カリクレイン統計的予測モデルの使用は、決定分析によれば、すべての男性に生検を行うことのような代替方法と比較して臨床上の結果を改善するだろう。
7. モデルは、所定範囲の異なる臨床設定値内の値を有し、先のスクリーニングを行うか否か、先の生検を行うか否か、生検を参照する前に臨床の精密検査を行うか否かを含む。
8. アーカイブされた男性の血液にモデルを適用し、スクリーニングせずに長期的に追跡することは、増大したPSAを有するが統計モデルによれば低リスクを有する男性において、後の5〜10年にわたって高悪性度の癌が進行する可能性がほとんどないことを実証した。反対に、臨床的に診断された高悪性度の癌は、モデルにより高リスクであるとされた男性において一般的だった。
この例で使用される例示のモデル
Age:年を単位として年齢を入力する
tPSA:ng/mlを単位として総PSAを入力する
fPSA:ng/mlを単位として遊離型PSAを入力する
iPSA:ng/mlを単位として未変化PSAを入力する
hK2:ng/mlを単位としてhK2を入力する
tPSA≧25である場合、次式を用いる。
L=0.0733628×tPSA−1.377984
前立腺癌のリスク=exp(L)/[1+exp(L)]
tPSA<25である場合、下記の2つの式、一方は臨床情報を含み、他方は含まない式のうちの一方を使用する。
3次スプライン変数は次式のように決定される。
Spline1_tPSA=−(162−4.4503)/(162−3)×(tPSA−3)^3+max(tPSA−4.4503,0)^3
Spline2_tPSA=−(162−6.4406)/(162−3)×(tPSA−3)^3+max(tPSA−6.4406,0)^3
fPSA<11.8である場合:
Spline1_fPSA=−(11.8−0.84)/(11.8−0.25)×(fPSA−0.25)^3+max(fPSA−0.84,0)^3
fPSA>11.8である場合:
Spline1_fPSA=(11.8−0.84)×(0.84−0.25)×(11.8+0.84+0.25−3×fPSA)
fPSA<11.8である場合:
Spline2_fPSA=−(11.8−1.29)/(11.8−0.25)×(fPSA−0.25)^3+max(fPSA−1.29,0)^3
fPSA>11.8である場合:
Spline2_fPSA=(11.8−1.29)×(1.29−0.25)×(11.8+1.29+0.25−3×fPSA)
実験室モデルの場合
次式を定義する。
x1=0.0846726×tPSA+−0.0211959×Spline1_tPSA+0.0092731×Spline2_tPSA
x2=−3.717517×fPSA−0.6000171×Spline1_fPSA+0.275367×Spline2_fPSA
x3=3.968052×iPSA
x4=4.508231×hK2
この場合、
L=−1.735529+0.0172287×Age+x1+x2+x3+x4
前立腺癌のリスク=exp(L)/[1+exp(L)]
これは、いかなる臨床情報もない状態での前立腺癌のリスクを与える。我々は、このリスクが高い場合には、臨床の精密検査及び直腸指診を受けるように臨床医が患者に依頼するだろうと考える。その後、次のモデルを0又は1としてコード化されたDREを用いて2度実行し、DREが正常であるかそれとも異常であるかに依存してリスクをそれぞれ与える。
次式を定義する。
x1=0.0637121×tPSA−0.0199247×Spline1_PSA+0.0087081×Spline2_tPSA
x2=−3.460508×fPSA−0.4361686×Spline1_fPSA+0.1801519×Spline2_fPSA
x3=4.014925×iPSA
x4=3.523849×hK2
DREが陽性である場合、リスクは次式で得られる。
L=−1.373544+0.9661025+0.0070077×Age+x1+x2+x3+x4
DREが陰性である場合、リスクは次式で得られる。
L=−1.373544+0.0070077×Age+x1+x2+x3+x4
リスクを次式により決定する。
前立腺癌のリスク=exp(L)/[1+exp(L)]
再較正の場合
再較正は、先の陰性の生検を有する男性について使用されてもよいが、再較正は、イベントレートが(予めスクリーニングされていない)ロッテルダムコホートで観察されたイベントレート(29%)から有意に異なっている他の状況でも使用可能である。
次式を定義する。
癌の見込み=Pr(癌)/(1−(Pr(癌))
予測された見込み=予測された癌のリスク/(1−予測された癌のリスク)
この場合、
ベイズファクタ=癌の見込み/予測された見込み
y_adj=y+log(ベイズファクタ)
再較正された前立腺癌のリスク=exp(y_adj)/[1+exp(y_adj)
(予言的実施例)
これは、サンプルと関連付けられた金の粒子上に無電解に銀を堆積することで、サンプルにおけるiPSA、fPSA、tPSA、及びhK2を発見する分析を行うためのカセット及びアナライザの使用を説明する予言的実施例である。図14は、この例で使用されるカセットの微小流体システム1500の概略的な例示を含む。カセットは、図7に示すカセット520を同様の形状を有するものであった。
微小流体システムは、分析領域1510A〜1510F、廃棄封じ込め領域1512、及び出口1514を含むものであった。分析領域は、深さ50ミクロン及び幅120ミクロンと、175mmの合計長さとを有する微小流体チャネルを含むものであった。微小流体システムは、微小流体チャネル1516、チャネル分岐1518及び1520(それぞれ入口1519及び1521を有する)をさらに含むものであった。チャネル分岐1518及び1520は、深さ350ミクロン及び幅500ミクロンを有するものであった。チャネル1516は複数のサブチャネル1515から形成され、各サブチャネル1515は、深さ350ミクロン及び幅500ミクロンを有し、カセットの両面に交互に配置され、約500ミクロンの直径を有するスルーホール1517によって接続されていた。図14は、試薬がカセットの単一の面上に貯蔵されたことを示すが、他の実施形態において、試薬はカセットの両方の面上に貯蔵された。チャネル1516は合計で390mmの長さを有し、分岐1518及び1520は長さ360mmの長さをそれぞれ有していた。チャネルを封止する前に、抗PSA及び抗hK2捕捉抗体は、以下でさらに詳細に説明するように、分析領域1510及び1511の複数のセグメントにおいて微小流体システムの表面に結合された。
最初の使用前に、カセットに貯蔵された液体試薬が微小流体システムに装填された。一連の7つの洗浄プラグ1523〜1529(水、緩衝液のいずれか、それぞれ約2マイクロリットル)は、ピペットを用いて、チャネル1516のサブチャネル1515へスルーホールを用いて装填された。洗浄プラグのそれぞれは、空気のプラグによって分離された。銀塩の溶液を含む流体1528は、ピペットを用いて、ポート1519を通って分岐チャネルに装填された。還元液を含む流体1530は、ポート1521を通って分岐チャネル1520に装填された。示した各液体は、空気のプラグによって他の液体から分離された。ポート1514、1519、1521、1536、1539、及び1540は、容易に除去又は貫通可能な接着テープで封止された。このように、液体は最初の使用前に微小流体システムに貯蔵された。
最初の使用時に、ポート1514、1519、1521、1536、1539、及び1540の封止は、ポートの開口をカバーするテープをユーザがはがすことによって除去された。10マイクロリットルのサンプル血液(1522)が追加されている、コロイド状の金で標識された凍結乾燥された抗PSA及び抗hK2抗体を含んでいる管1544が、ポート1539及び1540に接続された。管は、図7に示す形状及び構成を有する流体コネクタの一部であった。これは、分析領域1510及びチャネル1516の間の流体接続を生成した。これらは、さもなければ非接続状態にあり、最初の使用前には互いに流体を伝達可能ではない。
微小流体システム1500を含むカセットが、アナライザの開口へ挿入された。アナライザの筐体は、筐体内に位置したアームであって、カセット上のカム動作する面と係合するように構成されたアームを含むものであった。アームは、筐体の開口まで少なくとも部分的に延在し、これにより、カセットが開口へ挿入されたとき、アームが開口から第2の位置へ押しのけられて、カセットが開口に侵入可能になる。いったんアームがカセットの内側にカム動作する面と係合すると、カセットは、アナライザの筐体内に配置されて保持され、また、バネのバイアスは、カセットがアナライザの外部に脱落することを防止した。アナライザは、位置センサによりカセットの挿入を検出する。
アナライザの筐体内に位置した識別リーダー(RFIDリーダー)は、ロット識別情報を含むカセット上のRFIDタグを読み取るために使用された。アナライザは、この識別子を用いて、アナライザに格納されたロット情報(例えば、較正情報、カセットの使用期限、カセットが新品であることを示す検証情報、及びカセットにおいて行われる分析/検査のタイプ)と一致するか否かを調べた。ユーザは、タッチスクリーンを用いて、(サンプルを取得した)患者に関する情報をアナライザに入力するように促された。カセットに関する情報がユーザによって検証された後、制御システムは分析を開始した。
制御システムは、分析を行うためのプログラミングされた命令を含むものであった。分析を開始するために、真空システムを制御する電子回路に信号が送信された。この電子回路は、アナライザの一部であり、流体フローを提供するために使用された。o−リングを有する多岐管は、ソレノイドによってカセット表面に対して押しつけられた。多岐管上の1つのポートは、カセットの微小流体システムのポート1536に(o−リングによって)封止された。多岐管上のこのポートは、管によって、大気に開かれた簡単な電磁弁に接続された。多岐管上の別個の真空ポートは、カセットの微小流体システムのポート1514に(o−リングによって)封止された。約−30kPaの真空がポート1514に印加された。分析全体にわたって、ポート1540及び1514の間に位置した分析領域1510を含むチャネルは、約−30kPaの実質的に一定の非ゼロの圧力降下を有していた。サンプル1522は、分析領域1510A〜1510Hのそれぞれにおいて、矢印538の方向に流された。流体が分析領域を通過したとき、サンプル1522中のPSA及びhK2タンパク質は、以下でさらに詳細に説明するように、分析領域の壁に固定された抗PSA及び抗hK2抗体によって捕捉された。サンプルは、分析領域を通過するために約7〜8分かかり、その後、残りのサンプルは、廃棄封じ込め領域1512において捕捉された。
分析の開始は、検出を開始するために、各分析領域1510に隣接する光検知器に制御システムが信号を送ることをさらに含むものであった。分析領域に関連付けられた検出器のそれぞれは、分析領域のチャネルを通った光の透過率を記録した。サンプルが各分析領域を通過したとき、ピークが生成された。検出器によって測定されたピーク(及び底)は、制御システムに送られる信号(又は変換された信号)であり、制御システムは、測定された信号を、制御システムへ予めプログラミングされた基準信号又は値と比較した。制御システムは、信号/値の比較を少なくとも部分的に基礎として微小流体システムへのフィードバックを提供するための、予めプログラミングされた一組の命令を含むものであった。
図14の装置1500の第1の分析領域1510−Aにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、最初の使用前(例えば装置を封止する前)に、遮断タンパク質(ウシ血清アルブミン)で遮断された。分析領域1510−Aの壁に結合された血液サンプル中のタンパク質は、ほとんど又はまったく存在しない(場合によっては、洗浄によって除去されるかもしれない何らかの非特異結合を除く)。この第1の分析領域は陰性の対照として作用した。
第2の分析領域1510−Bにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、ハイレベル又は陽性の対照として作用するために、最初の使用前(例えば装置を封止する前)に、予め決められた大量の前立腺特異性抗原(PSA)でコーティングされた。血液サンプルが第2の分析領域1510−Bを通過したときチャネルの壁に結合した血液中のPSAタンパク質は、ほとんど又はまったく存在しなかった。サンプル中の金が結合した信号抗体は、サンプル中のPSAにまだ結合されなくてもよく、従って、それらは、ハイレベル又は陽性の対照として作用するために、チャネルの壁上のPSAに結合してもよい。
第3の分析領域1510−Cにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、捕捉抗体、すなわち抗iPSA抗体でコーティングされ、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、iPSAタンパク質上のエピトープに結合した。壁は、最初の使用前(例えば装置を封止する前)にコーティングされた。使用中に血液サンプルが第4の分析領域を流れたとき、血液サンプル中のiPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗iPSA抗体に結合した。iPSAを含むサンプルが、iPSAに結合された、金で標識された抗iPSA抗体をさらに含んでいたので、分析領域の壁に捕捉されたiPSAはサンドイッチ免疫複合体を形成した。
第4の分析領域1510−Dにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、捕捉抗体、すなわち抗fPSA抗体でコーティングされ、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、fPSAタンパク質上のエピトープに結合した。壁は、最初の使用前(例えば装置を封止する前)にコーティングされた。使用中に血液サンプルが第4の分析領域を流れたとき、血液サンプル中のfPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗fPSA抗体に結合した。fPSAを含むサンプルが、fPSAに結合された、金で標識された抗fPSA抗体をさらに含んでいたので、分析領域の壁に捕捉されたfPSAはサンドイッチ免疫複合体を形成した。
第5の分析領域1510−Eにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、捕捉抗体、すなわち抗tPSA抗体でコーティングされ、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、tPSAタンパク質上のエピトープに結合した。壁は、最初の使用前(例えば装置を封止する前)にコーティングされた。使用中に血液サンプルが第5の分析領域を流れたとき、血液サンプル中のtPSAタンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗tPSA抗体に結合した。tPSAを含むサンプルが、tPSAに結合された、金で標識された抗tPSA抗体をさらに含んでいたので、分析領域の壁に捕捉されたtPSAはサンドイッチ免疫複合体を形成した。
金で標識された抗iPSA、抗fPSA、及び抗tPSA抗体を使用可能であるが、他の実施形態では、検出のために、任意のPSAのタンパク質に結合する、金で標識された抗PSA抗体をは使用可能である。
第1、第2、第3、第4、及び第5の分析領域は、単一の基板層の上に形成された。第6(1510−F)、第7(1510−G)、及び第8(1510−H)の分析領域は、別個の基板層(1511)の上に形成された。
第6の分析領域1510−Fにおいて、この分析領域のチャネルの壁は、捕捉抗体、すなわち抗hK2抗体でコーティングされ、それは、金が結合した信号抗体のものとは異なる、hK2タンパク質上のエピトープに結合した。壁は、最初の使用前(例えば装置を封止する前)にコーティングされた。使用中に血液サンプルが第6の分析領域を流れたとき、血液サンプル中のhK2タンパク質は、血液中のこれらのタンパク質の濃度に比例するように、抗hK2抗体に結合した。hK2を含むサンプルが、hK2に結合された、金で標識された抗hK2抗体をさらに含んでいたので、分析領域の壁に捕捉されたhK2はサンドイッチ免疫複合体を形成した。
分析領域1510−Aに関して上述したように、陰性の対照として第7の分析領域1510−Gが使用されてもよい。分析領域1510−Bに関して上述したように、ハイレベル又は陽性の対照として第8の分析領域1510−Hが使用されてもよい。
オプションで、ローレベルの対照として第9の分析領域(図示せず)を使用可能である。そのような実施形態では、この分析領域のチャネルの壁は、ローレベルの対照として作用するために、最初の使用前(例えば装置を封止する前)に、予め決められた小量のPSAでコーティングされてもよい。血液サンプルがこの分析領域を流れたとき、チャネルの壁に結合したサンプル中のPSAタンパク質は、ほとんど又はまったく存在しない。サンプル中の金が結合した信号抗体は、ローレベルの対照として作用するために、チャネルの壁上のPSAに結合してもよい。
洗浄流体1523〜1529は、サンプルを、分析領域1510を通って廃棄封じ込め領域1512に向かって矢印1538の方向に追跡した。洗浄流体が分析領域を通って通過したとき、それらは、残りの結合していないるサンプル成分を洗浄して除去した。各洗浄プラグは、分析領域のチャネルを掃除し、次第により完全に掃除された状態にする。最後の洗浄流体1529(水)は、銀塩(例えば塩化物、リン酸塩、アジ化物)と反応する可能性がある塩類を洗浄して除去した。
図15に示すプロットに示すように、洗浄流体が分析領域を流れていた間に、分析領域に関連付けられた検出器のそれぞれは、パターン1620のピーク及び底を測定する。底は洗浄プラグに対応するものであった(それらは澄んだ液体であり、従って最大の光透過をもたらす)。各プラグ間のピークは、澄んだ液体の各プラグ間の空気を表す。検査が7つの洗浄プラグを含んでいたので、プロット1600には7つの底及び7つのピークがある。第1の洗浄プラグがチャネルに残った血球をしばしば捕捉し、従って完全には澄んでいないので、概して、第1の底1622は他の底1624ほど深くない。
空気の最後のピーク1628は、後続の洗浄プラグがなかったので、前のピークよりもずっと長い。検出器がこの空気のピークの長さを検出するとき、1つ以上の信号が制御システムに送られ、制御システムは、このピークの時間長を、予め設定された基準信号又は特定の長さを有する入力値と比較する。測定されたピークの時間長が基準信号に比較して十分に長い場合、制御システムは、バルブを動作させて流体1528及び1530の混合を開始するようにベントバルブ1536を制御する電子回路に信号を送る。(空気のピーク1628の信号が、1)ピークの強度、2)このピークが時間の関数として存在している位置、及び/又は、3)特定の強度の一連のピーク1620が既に生じたことを示す1つ以上の信号、のどれを示す信号と組み合わされてもよいことに注意する。このように、制御システムは、例えば信号のパターンを用いて、空気のピーク1628を、サンプルからのピーク1610のような長時間の他のピークから区別する。)
図14を再び参照して、混合を開始するために、多岐管によってベントポート1536に接続されたソレノイドは閉じられる。真空が維持され、ベントバルブ1536を通って空気が入ることはできないので、空気はポート1519及び1521(それらは開いている)を通って装置に入る。これにより、ベントバルブ1536の上流にある2つの貯蔵チャネルにおける2つの流体1528及び1530は、実質的に同時に出口1514に向かって移動させられる。これらの試薬はチャネルの交差部において混合し、約1×10−3Pa・sの粘性を有する増幅試薬(反応性銀液)を形成する。流体1528及び1530の容積の比は約1:1であった。増幅試薬は、下流の貯蔵チャネルを通って、管1544を通って、分析領域1510を通って、廃棄封じ込め領域1512まで続く。設定された時間長(12秒)の後、アナライザは、(ベントポートの代わりに)ベントバルブ1536を介して空気が流れるように、ベントバルブ1536を再び開いた。これにより、装置上の上流の貯蔵チャネル1518及び1520の後に所定量の試薬が残された。これは、さらに、混合された増幅試薬の単一のプラグをもたらす。ベントバルブを12秒間にわたって閉じることは、約50μLの増幅プラグをもたらす。(簡単なタイミングを用いる代わりに、ベントバルブを再び開くことをトリガするための別の方法は、増幅試薬を、分析領域に最初に入るときに検出することであろう。)
混合された増幅試薬が安定しているのは数分のみ(通常10分未満)であるので、混合は、分析領域1510において使用する前1分未満に行われた。増幅試薬は澄んだ液体であり、従って、それが分析領域に入るとき、光学密度はその最低値にある。増幅試薬が分析領域にわたって通過したとき、信号を増幅するコロイドのサイズを増加させるために、捕捉された金の粒子上に銀が堆積された。(上に注意したように、検査分析領域において、金の粒子は、ローレベル及びハイレベルの陽性の対照の分析領域内において存在してもよく、かつ、サンプル中にPSA及びhK2が存在していた程度に存在してもよい。)その後、銀は、既に堆積された銀の上に堆積され、分析領域にますます銀が堆積されてもよい。結局、堆積された銀は、分析領域を通る光の透過率を削減する。透過光の減少は、堆積した銀の量に比例し、また、チャンネルの壁に捕捉された金のコロイドの量に関連してもよい。銀が堆積されない分析領域(例えば、陰性の対照、又はサンプルが標的タンパク質を含んでいない場合の検査領域)には、光学密度は増加しない(又は最小値にならない)。有意な銀の堆積を有する分析領域において、光学密度を増加させるパターンの傾き及び最終レベルは、高くなる。サンプル中の分析物の濃度を決定するために、アナライザは、検査領域において増幅中にこの光学密度のパターンをモニタする。1つのバージョンの検査において、増幅の最初の3分間以内にパターンがモニタされる。各分析領域における時間の関数としての光学密度が記録され、図14に曲線1640〜1647として示される。これらの曲線は、分析領域で生成された信号に対応した。3分間の増幅の後、アナライザは検査を止める。これ以上の光学測定は記録されず、また、多岐管は装置から取り外される。
曲線から、血液マーカー(例えばiPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2)の値(例えば濃度)が、(例えばアナライザ内の)コンピュータを用いて決定される。値は、(アナライザと電子的に通信している)プロセッサに送られ、プロセッサは、受信された値を(少なくとも部分的に)基礎としてロジスティック回帰モデル(例えば本明細書で説明するもの)を評価し、患者の前立腺癌のリスクの確率、推定された前立腺容積の表示、及び/又は、患者における前立腺癌の生検が陽性になる可能性の表示を決定するようにプログラミングされている。
検査結果は、アナライザの画面上に表示され、プリンタ、コンピュータ、あるいはユーザが選択した任意の出力に伝達される。ユーザはアナライザから装置を除去し、それを廃棄してもよい。検査で使用されるサンプル及びすべての試薬は装置内に残る。アナライザは別のテストを行う準備ができている。
この予言的実施例は、カセットにおける流体フローを制御するアナライザを用いることによって、及び、1つ以上の測定信号からのフィードバックを用いて流体を変調することによって、iPSA、fPSA、tPSA、及び/又はhK2を含んでいるサンプルの分析を単一の微小流体システムにおいて実行可能であることを示す。この予言的実施例は、そのような分析の結果が、患者の前立腺癌のリスクの確率、推定された前立腺容積の表示、及び/又は、患者における前立腺癌の生検が陽性になる可能性の表示を決定するために使用可能であることをさらに示す。