JP2020073284A - めっき鋼板のレーザ切断加工方法 - Google Patents

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【課題】めっき鋼板をファイバーレーザによって切断する際、上面の溶融したメッキ層含有金属を切断面へ流動する切断を提供する。【解決手段】めっき鋼板のレーザ切断加工方法であって、波長が1μm帯のレーザ光を、めっき鋼板の上面へ照射してレーザ切断加工を行う際、レーザ光の照射によって溶融及び/又は蒸発された上面のめっき層含有金属を、レーザ切断加工部へ噴出されるアシストガス又は補助ガスによって、めっき鋼板の切断面へ流動して、前記切断面にめっき層含有金属を被覆するために、前記レーザ光は、集光径が0.142mm〜0.206mmの範囲で、レイリー長が1.443mm〜3.228mmの範囲のビームプロファイルのレーザ光である。【選択図】図5

Description

本発明は、波長が1μm帯のレーザ光によるZn系めっき鋼板のレーザ切断加工方法に関する。さらに詳細には、例えばファイバーレーザによってめっき鋼板のレーザ切断加工を行う際に、レーザ光の照射によって溶融及び/又は蒸発された上面のメッキ層含有金属を、アシストガスによって切断面へ流動し、この流動したメッキ層含有金属によって切断面を被覆するレーザ切断加工方法に関する。
従来、Zn系めっき鋼板を切断すると、切断面に地鉄が露出し赤錆(以下、錆と称す)が発生し易いという問題がある。そこで、めっき鋼板の切断加工時に、めっき鋼板の上面におけるめっき層の一部を切断面へ誘導して、切断面に亜鉛付着面を形成して、錆の発生を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、Zn系めっき鋼板を、COレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ等のレーザ光によって切断し、切断面の錆の発生を抑制することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−287082号公報 特開2014−237141号公報
前記特許文献1に記載の構成は、ダイとポンチによってめっき鋼板の切断加工を行う際に、ダイとポンチとの間のクリアランスを調節して、めっき鋼板の表面にめっきされたZnを端面に流入する構成である。したがって、特許文献1の記載は、めっき鋼板におけるめっきの一部を切断面に誘導することにより、錆の発生を抑制できることを示唆している。
しかし、ポンチとダイによるめっき鋼板の切断加工では、例えば、複雑な曲線に沿っての切断加工が難しい。また、切断面の全面をめっきの一部によって被覆することは難しいものである。
前記特許文献2には、Zn系めっき鋼板をレーザ切断加工する際に、アシストガスとして酸素を使用している。そして、めっき鋼板の切断加工時には、前記アシストガスは溶融しためっき鋼板を吹き飛ばす役目と、酸化反応による熱で溶断し易くすると共に、切断端面に酸化被膜を形成して切断面の防錆能力の低下を抑制するものである。
すなわち、特許文献2に記載の構成は、めっき鋼板のレーザ切断加工した切断端面の全域に酸化被膜を形成して、赤錆の発生時期を遅くしようとするものである。したがって、特許文献2は、めっき鋼板のレーザ切断加工時に、上面の溶融しためっきを切断面へ誘導して、切断面をめっきの一部によって被覆しようとする構成ではない。
そこで、本発明は、Zn系めっき鋼板を、例えばファイバーレーザによって切断加工を行う際、表面のめっき層の一部を切断面へ誘導して、切断面をメッキ層含有金属によって被覆することを目的とするものである。
本発明は、Zn系めっき鋼板をファイバーレーザによって切断加工を行う際、表面のめっき層の一部を切断面へ誘導して、切断面をめっき層含有金属によって被覆するための、めっき鋼板のレーザ切断加工方法であって、波長が1μm帯のレーザ光を、めっき鋼板の上面へ照射してレーザ切断加工を行う際、レーザ光の照射によって溶融及び/又は蒸発された上面のめっき層含有金属を、レーザ切断加工部へ噴出されるアシストガス又は補助ガスによって、めっき鋼板の切断面へ流動して、前記切断面にめっき層含有金属を被覆するために、前記レーザ光は、集光径が0.142mm〜0.206mmの範囲で、レイリー長が1.443mm〜3.228mmの範囲のビームプロファイルのレーザ光である。
本発明によれば、波長が1μm帯のレーザ光によってめっき鋼板のレーザ切断加工を行う際、めっき鋼板の上面におけるめっき層の一部を溶融及び/又は蒸発し、アシストガスによってめっき層含有金属を切断面に誘導して、切断面をめっき層の一部によって被覆することができる。
ファイバーレーザの標準加工条件でもってめっき鋼板を切断加工して暴露試験を行った結果と、ファイバーレーザのビームプロファイルを変更してめっき鋼板の切断加工を行い、暴露試験を行った結果とを比較した説明図である。 本発明の実施形態に係るレーザ加工装置の構成を概念的、概略的に示した機能ブロック図である。 レンズ入射ビーム径Dを調節することにより、レーザ光のビームプロファイルを調節できることを示す説明図である。 レーザ光のビームプロファイルを知ることができると、ビームの広がり角θを知ることができる説明図である。 ファイバーレーザのビームプロファイルを変更してめっき鋼板のレーザ切断加工を行い、暴露試験を行った結果を示す説明図である。 ワーク上面とワーク下面でビーム径が異なる説明図である。 レーザビームの形状を示す説明図である。 暴露試験の評価についての説明図である。 ノズル径別による暴露試験の結果を示す説明図である。 ノズル径別による暴露試験の結果を示す説明図である。 ノズル径別による暴露試験の結果を示す説明図である。 図9〜11に示した暴露試験の結果をまとめた説明図である。 アシストガス圧別による暴露試験の結果を示す説明図である。 アシストガス圧別による暴露試験の結果を示す説明図である。 アシストガス圧別による暴露試験の結果を示す説明図である。 図13〜15に示した暴露試験の結果をまとめた説明図である。 ノズルギャップ別による暴露試験の結果を示す説明図である。 ノズルギャップ別による暴露試験の結果を示す説明図である。 ノズルギャップ別による暴露試験の結果を示す説明図である。 図17〜19に示した暴露試験の結果をまとめた説明図である。 焦点位置別による暴露試験の結果を示す説明図である。 焦点位置別による暴露試験の結果を示す説明図である。 焦点位置別による暴露試験の結果を示す説明図である。 図22〜24に示した暴露試験の結果をまとめた説明図である。 焦点位置により切断溝の幅が変化し防錆効果が異なることを示す説明図である。 加工速度別による暴露試験の結果を示す説明図である。 加工速度別による暴露試験の結果を示す説明図である。 加工速度別による暴露試験の結果を示す説明図である。 図26〜28に示した暴露試験の結果をまとめた説明図である。 望ましいレーザ加工ヘッドの構成を概念的、概略的に示した説明図である。
ところで、前記特許文献1では、めっき鋼板の切断加工時に、めっき鋼板における上面のめっき層における一部を切断面へ誘導し、切断面をめっき層の一部によって被覆することにより、切断面における錆の発生を抑制することができる。
そこで、ファイバーレーザによってZn系めっき鋼板のレーザ切断加工を行った場合に、上面のめっき層の一部を切断面へ誘導して、切断面を被覆できるか否かの試験を行った。試験条件は次のとおりである。
レーザ加工機:株式会社アマダ製
FOL−AJ4000
レーザ出力:4KW
材料:アルミニウム6%,マグネシウム3%,残り亜鉛91%のめっきを表面に被覆
しためっき鋼板、板厚t=3.2mm K35(片側めっき付着量175g/

切断サンプル形状:90mm×20mm
標準加工条件(板厚t=3.2mmの鋼板をレーザ切断加工する場合の条件)
・ノズル直径:S2.0(2.0mm)
・切断速度:F7000(7000mm/min)
・アシストガス:窒素ガス
・アシストガス圧:1.7MPa
・ノズルギャップ:0.3mm(めっき鋼板の上面とノズル下端部との間隙)
・焦点位置:0.0mm(ワーク上面を0として、上側を+、下側を−としている)
・集光径0.151mm、レイリー長1.688mm
上記の標準加工条件で、ファイバーレーザによってレーザ切断加工を行った。そして、4週間に亘って暴露試験を行った。暴露試験の結果は、図1(A)に示すとおりであった。図1(A)から明らかなように、2週間後には、切断面に僅かな赤錆の発生が見られた。そして、時間経過と共に赤錆の発生が多くなり、4週間後には、赤錆の発生が多く見られた。
既に理解されるように、ファイバーレーザによってめっき鋼板のレーザ切断加工を行う場合、鋼板のレーザ切断加工を行う標準加工条件の加工条件であっては、上面のめっき層の一部を切断面へ誘導して切断面を被覆して防錆効果が見られた。またさらなる防錆効果を期待されるものである。
そこで、ファイバーレーザにおけるビームプロファイルである集光径及びレイリー長を種々変更してレーザ切断加工を行い、暴露試験を行った。例えば集光径を0.183mm、レイリー長を2.178mmに調節してレーザ切断加工を行い、暴露試験を行った際には、図1(B)に示すように、4週間後でも、赤錆の発生は見られず、標準加工条件よりさらに良い防錆効果が認められた。そこで、集光径とレイリー長を調節することに加え、種々の加工条件を変更することによりさらにめっき鋼板における上面のめっき層の一部を切断面へ誘導して、切断面を被覆し得ることを見出した。
本発明は、上記知見に基づくものである。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図2を参照するに、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1は、板状のワークWを支持するワークテーブル3を備えると共に、前記ワークWにレーザ光LBを照射してワークWのレーザ切断加工を行うためのレーザ加工ヘッド5を備えている。前記ワークテーブル3は、前記レーザ加工ヘッド5に対して相対的にX,Y軸方向へ移動自在に備えられており、このワークテーブル3を相対的にX,Y軸方向へ移動位置決めするためのサーボモータなどのごとき位置決めモータ7が備えられている。さらに、前記ワークWに対して相対的に接近離反する方向(Z軸方向)へ前記レーザ加工ヘッド5を移動位置決めするZ軸モータ9が備えられている。
また、前記レーザ加工装置1には、例えばファイバーレーザ発振器やDDL発振器やディスクレーザ発振器やYAGレーザ発振器などのごとくレーザ光(波長1μm帯のレーザ光)を発振するレーザ発振器11が備えられている。そして、レーザ発振器11とレーザ加工ヘッド5は、伝送ファイバー13によって接続してある。前記レーザ加工ヘッド5には、前記伝送ファイバー13から出射されたレーザ光LBを平行光線化、発散光化、収束光化するためのCFレンズ(コリメートレンズ)15が光軸に沿う方向に移動位置決め自在に備えられている共に、CFレンズ15を光軸方向に移動調節するためのアクチュエータ17が備えられている。
さらに、レーザ加工ヘッド5には、前記CFレンズ15を透過したレーザ光LBを集光レンズ19へ反射するAOミラー(曲率可変ミラー)21が備えられている。このAOミラー21は、エアなどの圧力を加圧手段21Aに付与することによって、反射面の曲率を変更することが可能である。したがって、反射光を、発散光化、平行光線化、収束光化できるものである。
既に理解されるように、前記CFレンズ15の位置及び/又は前記AOミラー21の曲率を調節することにより、集光レンズ19に対するレーザ光LBの入射ビーム径を調節することができる。換言すれば、レーザ光LBのレイリー長や集光径を調節できることになる。
また、前記レーザ加工ヘッド5には、ワークWのレーザ加工位置へアシストガスを噴出するノズル23が備えられている。
ところで、レーザ切断加工位置へアシストガスを噴出する構成としては、レーザ加工ヘッド5にサイドノズルを備え、このサイドノズルからアシストガスをレーザ加工部へ噴出する構成とすることも可能である。
さらに、前記レーザ切断加工装置1には、アシストガス供給装置25が備えられている。窒素ガス供給装置27及びレーザ加工ヘッド5へ供給するアシストガスの圧力を調節するための圧力調節弁33が備えられている。よって、窒素ガス供給装置27、圧力調整弁33を稼働させると窒素ガスをアシストガスとして加工部へ供給することができる。
またこのアシストガス供給装置25は、例えば窒素ガス約97%、酸素ガス約3%の混合ガスを供給することも可能で、窒素ガス供給装置27の窒素ガスと、酸素ガス供給源(空気供給源)29の酸素又は空気を所定量混合して混合ガスを生成するミキサー31が備えられている。よって、ガスミキサー31と圧力調整弁33を稼働させると、所定の濃度の混合ガスをアシストガスとして加工部へ供給することができる。
ところで、窒素ガス約97%、酸素ガス約3%の混合ガスをアシストガスとしてレーザ加工部へ供給する構成としては、前述した構成に限ることなく、別個の構成とすることも可能である。すなわち、例えば特許第3291125号公報に記載されているように、中空糸膜を利用した分離装置によって、供給された圧縮空気中の窒素と酸素とを分離することも可能である。
また、前記レーザ切断加工装置1には、制御装置35が備えられている。この制御装置35は、コンピュータから構成してあって、前記ワークWに対する前記レーザ加工ヘッド5の相対的な移動位置決めの制御を行う機能、前記レーザ発振器11におけるレーザ出力の制御及び前記レーザ加工ヘッド5に対するアシストガスの供給圧力を制御する機能を有するものである。
さらに、制御装置35は、前記CFレンズ15の位置及びAOミラー21における反射面の曲率を調節する機能を有するものである。したがって、前記CFレンズ15の位置及びAOミラー21の曲率を個別に、又は同時に調節することにより、ワークWを切断加工する際の集光径及びレイリー長(ビームプロファイル)を調節することができるものである。
前記構成により、ワークテーブル3上にワークWを載置位置決めした後、ワークWに対してレーザ加工ヘッド5をX,Y,Z軸方向へ相対的に移動位置決めする。また、CFレンズ15の位置及び/又はAOミラー21の曲率を調節し、集光レンズ19に対する入射ビーム径を調節してレーザビームLBのビームプロファイルを調節する。そして、レーザ光LBを集光レンズ19によって集光してワークWへ照射する。さらに、アシストガス供給装置25からレーザ加工ヘッド5に供給されたアシストガスをノズル23からワークWのレーザ加工部へ噴出することにより、ワークWのレーザ切断加工が行われる。
本発明の実施形態は、ファイバーレーザによってめっき鋼板のレーザ切断加工を行う際に、ビームプロファイルを適正なビームプロファイルとすることにより、めっき鋼板の上面のめっき層の溶融及び/又は蒸発を行うことにより、溶融及び/又は蒸発されためっき層含有金属を切断面へ流動することができ、かつ流動しためっき層含有金属によって切断面を被覆することができることを見出したものである。
ところで、レーザ光のビームプロファイルについて、図3に示すように、集光レンズ19に対するレーザ光LBの入射ビーム径をD、集光径(ビームの直径)をdoとすると、ビームが最小に絞られたビームウエスト位置でのビーム径である集光径doは次式で与えられる。
また、図3では、ビームウエスト位置の集光径do(直径)に対してビームが√2×doまで広がる光軸方向の距離がレイリー長Zrの2倍の2Zrであることが示されている。レイリー長Zrは焦点深度ともいい、次式で与えられる。
ただし、λは光の波長、fはレンズの焦点距離、Dは集光レンズ19に対する入射ビーム径、M,BPPはビーム品質である。
式(1)から明らかなように、入射ビーム径Dを調節することにより集光径doを調節することができる。また、集光径doを調節することにより、レイリー長Zrを調節することができる。
ここで、前記CFレンズ15の位置を調節することにより、CFレンズ15を透過したレーザ光LBを、発散光、平行光、集束光にそれぞれ調節することができる。また、前記AOミラー21においては、反射面を凸面に調節することにより、入射された平行光を、発散光として反射することができる。また、反射面を平面、凹面にそれぞれ調節することにより、入射された平行光を、平行光、収束光として反射することができる。
すなわち、前記CFレンズ15の位置を調節すること、又は前記AOミラー21の曲率を調節すること、及びCFレンズ15の位置調節とAOミラー21の曲率調節とを組合せることによって、集光レンズ19に対するレーザ光LBのビーム入射径Dを調節することができる。換言すれば、集光径do及びレイリー長Zrを調節してビームプロファイルを調節することができる。
なお、ビームプロファイルの調整手段はCFレンズ15の位置調節及びAOミラー21における反射面の曲率を調節して使用する例を示したが、これに限らず、他の機構を使って集光径又はレイリー長を調整しても良い。
前述のごとく、レーザ光LBのビームプロファイルを調節して、レーザビームの集光径do及びレイリー長Zrを知ることができると、図4に示すように、レーザ光LBの進行方向に対して直交する方向の側方向から見たビーム形を描画することができる。したがって、図4に示すように、板厚TのワークWの上面WUに焦点位置を合せてレーザ切断加工を行う場合の、ワーク下面WLにおけるビーム径dLを算出することができる。また、描画したビームLBとワーク上面WUとの間の角度、すなわちレーザビームLBの光軸に対するレーザビームLBの一方向への広がり角θを算出することができる。以後、この傾きθを、レーザビームLBの広がり角と称する。
既に理解されるように、前記ビームの広がり角θが小さいと、ワークWにおける下面WLにおける切断面WFの間隔(切断溝の幅)は、上面の間隔よりも僅かに大きくなる。そして、前記ビームの広がり角θが次第に大きくなると、ワークWにおける下面WLの切断面WFの間隔(切断溝幅)は次第に大きくなるものである。
既に理解されるように、レーザビームLBが集光レンズ19に入射されるレンズ入射ビーム径Dを調節すると、集光径doを所望の径とすることができる。そして、集光径doが調節されると、レイリー長Zrが調節される。すなわち、ビームプロファイルが調節されることになる。換言すれば、ビームプロファイルを調節すると、ワーク上面WUに対するレーザビームLBのビームの広がり角θが変化することになる。
そこで、前述の標準加工条件で板厚3.2mmのめっき鋼板をファイバーレーザによって切断加工するに際して使用した、集光径0.151mm、レイリー長1.688mmのビームプロファイルを種々変更してレーザ切断加工を行い、暴露試験を行った。ここで、加工機は、株式会社アマダ製のFOL−AJ4000を使用し、ビームプロファイル(集光径とレイリー長)は、フォーカスモニターで測定した。暴露試験の実施内容は、図5に示すとおりである。なお、焦点位置はワークの上面(±0.0mm)に設定した。
図5(a)より理解されるように、集光径0.135mm、レイリー長1.306mmの場合のサンプルAにおいては、防錆期間としては1週間以内(0週間)であって、良好な防錆効果は認められなかった。集光径0.142mm、レイリー長1.443mmの場合のサンプルBにおいては、防錆期間は1週間であって、防錆効果が認められた。集光径0.151mm、レイリー長1.688mmの場合のサンプルCにおいては、防錆期間としては2週間認められた。集光径0.160mm、レイリー長1.933mmの場合のサンプルDにおいては、防錆期間としては3週間認められた。
また、集光径0.183mm、レイリー長2.178mmの場合のサンプルEにおいては、防錆期間としては4週間認められた。集光径0.198mm、レイリー長2.998mmの場合のサンプルFにおいては、防錆期間としては3週間認められた。集光径0.206mm、レイリー長3.228mmの場合のサンプルGにおいては、防錆期間としては2週間認められた。集光径0.225mm、レイリー長3.994mmの場合のサンプルHにおいては、防錆期間としては1週間以内(0週間)であった。
前記サンプルC〜Gにおいての4週間後の切断面の写真は、図5(c)の(1)〜(5)に示すとおりである。そして、評価したビームプロファイルを示すと、図5(b)に点線で示すとおりである。
前記サンプルA〜Hの切断試験から理解されるように、レーザ光の集光径とレイリー長を種々変更すると、防錆期間がそれぞれ異なるものである。
ここで、前記サンプルAのレーザ切断時のビームプロファイルを誇張して示すと、図7(A)に示すように、ワーク上面の集光径は小さく、レイリー長は短いものである。
また図7(a)に示すように、ワーク上面でのレーザエネルギー密度は高く溶融領域が狭く、溶け込みが深くなり、切断幅近傍にのみ熱が集中することになる。
すなわち、ワーク上面のめっき成分が溶融及び蒸発する範囲が狭い。
このことは、切断面を覆うのに十分な量の溶融しためっき成分が得ることをできないことを示す。
また、ワーク上面の集光径が小さいため、ワーク上面での切断幅も狭くなり、アシストガスも切断面に十分に流れてこない。
すなわち、溶融しためっき成分がアシストガスの流れによって切断面に十分に流れ込まないことを示している。
以上、ワーク上面の溶融しためっき成分が十分でなく、かつアシストガスも切断面に流れにくいため切断面に溶融しためっき成分が十分回り込むことができず、切断面を溶融しためっき成分で十分に覆うことができない為、防錆効果が低い傾向になると考えられる。なお図7(a)および、下記に説明のある図7(b)、図7(c)に示す図は、それぞれサンプルA、サンプルE、サンプルHのビームプロファイルのレーザ光を、同じ出力で同じ極短時間ワークに照射した時の溶け込み状態を表した断面の写真と、写真の上に示す二重丸はワーク上面からみた各サンプルの溶融領域の大きさの違いを示した図である。
サンプルEの場合は、図7(B)に示すように、ワーク上面の集光径はサンプルAの場
合に比較して大きい。またレイリー長はサンプルAの場合より長い。
また図7(b)に示すように、ワーク上面でのレーザエネルギー密度はサンプルAよりも低く、溶融領域が広く、溶け込みが浅くなり切断幅近傍から周辺に広く熱が分散する。
すなわち、ワーク上面のめっき成分の溶融する範囲がサンプルAの場合よりも広くなる。このことは切断面を覆うのに十分なめっき成分が溶融することである。
また、ワーク上面の集光径がサンプルAの場合よりも大きいためワーク上面の切断幅も広くなる。これは、サンプルAの場合よりもアシストガスが十分に切断面に流れ込むことを示す。
すなわち、切断面を覆うのに十分な溶融しためっき成分を確保し、なおかつ溶融しためっき成分を切断面に流し込むのに十分なアシストガスが流れるため切断面を溶融しためっき成分で覆うことができ、十分な防錆効果が得ることができる傾向になると考えられる。
サンプルHの場合は、図7(C)に示すように、ワーク上面の集光径はサンプルA,Eの場合よりも大きい。
すなわち、エネルギー密度もサンプルA,Eの場合よりも低くなり切断を行うには多くのエネルギーを注入する必要がある。また図7(c)に示すように、さらに溶融領域が広く、溶け込みがさらに浅くなり材料表面の温度上昇範囲も広くなりワーク上面のめっき成分も多く溶融し切断面を覆うのには十分な量の溶融しためっき成分を確保することができる。
しかし、ワーク上面の切断幅が広くレイリー長もサンプルA,Eの場合よりも長いためワーク上面WUからワーク下面WLに対してほぼ同一幅を有する。
したがって、ワークW内でのアシストガス流速は、上面から下面に沿って高速を維持された状態であり、溶融しためっき成分が切断面に付着することなく排出されてしまい切断面にめっき成分が十分付着しない。
すなわち、切断面の防錆効果が十分でない状態となる傾向になると考えられる。
よって、めっき鋼板のレーザ切断を行う際に、上面におけるめっきの一部を切断面へ誘導して、誘導された一部のめっきによって切断面を被覆するには、集光径とレイリー長を適正の範囲に設定することが望ましいものである。
前記サンプルA〜Hにおける例えば3.2mmのワークにおける、ワーク上面のビーム径とワーク下面のビーム径との関係を示すと、図6に示すとおりである。同じ集光径の上面ビーム径である曲線A上の点と、下面ビーム径である曲線B上の点とを上下に点線で結んだセットの組合せとなる。
そして、防錆期間が2週間以上の範囲を示すと、図6に示すハッチングの範囲となる。ここで、集光径とレイリー長の関係において防錆効果を表に示すと、前述の通り図5(a)に示すとおりである。そして、防錆効果が期待できるであろうと思われる範囲は、図5(b)に示すように防錆期間を1週間より良い範囲とするとサンプルBからサンプルGの範囲となり、3週間を超える防錆期間とするとサンプルDからサンプルFまでの範囲となる。
また既に理解されるように、めっき鋼板をファイバーレーザによってレーザ切断する場合、サンプルEである集光径0.183mm、レイリー長2.178mmの前後の条件が最も望ましいものである。そこで、集光径を0.183mm、レイリー長を2.178mmに保持してレーザ切断加工を行うに際し、ノズル径、アシストガス圧、ノズルギャップ、焦点位置及び切断速度の影響の試験を行った。
試験機:アマダ製 FOL−AJ4000
レーザ出力:4KW
暴露試験期間:12週間
なお、レーザ出力4KWであるが、出力が変化すると、加工速度範囲も出力に比例して変化する。例えばレーザ出力が高くなると、加工可能な加工速度範囲も速くなる傾向となる。
防錆効果の評価については、図8に示すように、サンプルの切断面における中央部付近の70mmの範囲を20等分し、赤錆の発生している部分(四角で囲った部分)をカウントして評価を行った。図8(A)は錆の発生箇所は1箇所で10%以下、図8(B)は4箇所で20%(25%以下)、図8(C)は9箇所で45%(50%以下)、図8(D)は17箇所で、85%(51%以上)である。そして、本実施形態の場合においては、10%以下の場合を「良品」とした。
次に、板厚t=2.3mm,t=3.2mm,t=4.5mmのみが異なるめっき鋼板を、ノズル径2.0mm〜7.0mmの範囲においてレーザ切断加工を行った。そして、12週間の暴露試験を行った結果は、図9〜図11に示すとおりであった。なお図9〜図11に示すものは、数多くの暴露試験結果の中らから代表的な試験結果を示しており、赤錆の進行の変化も分かるように4週間の暴露試験結果も併せて表示している。図8で説明したように赤錆が発生している部分を四角で囲っている。なお、以下図13〜図15、図17〜図19、図21〜図23及び図26〜図28も同様である。なお、加工条件は、各図における上部に記載したとおりであり、加工する板厚の変化に応じて適正な加工速度(F:10000mm/minなど)およびアシストガス圧にて加工を行った。そして、図9〜図11に示した結果およびその他の暴露試験結果の防錆効果をグラフ化して示すと、図12に示すとおりであった。
図12から明らかなように、ノズル径が大きくなるに従って、錆の発生が10%以下の割合が多くなるものである。
すなわち、板厚t=2.3mmの場合は、ノズル径が2.0mmになると、錆の発生が10%以下の割合が約60%以上となる。そして、ノズル径が2.3mm以上になると、80%以上になる。したがって、ノズル径は大きい方が望ましいものである。同様に、図12から明らかなように、板厚t=3.2mmの場合は、ノズル径が3.8mmになると、錆の発生が10%以下の割合が約60%以上となる。そして、ノズル径が6.2mm以上になると、80%以上になる。板厚t=4.5mmの場合にも、ノズル径が4.8mmになると、錆の発生が10%以下の割合が約60%以上となる。そして、ノズル径が6.9mm以上になると、80%以上になる。ノズル径は大きい方が望ましいものである。
次に、アシストガス圧を0.4MPa〜2.0MPaの範囲においてレーザ切断加工を行い、12週間の暴露試験を行った結果は、図13〜図15に代表的な試験結果を示すとおりであった。なお、加工条件は、各図における上部に記載したとおりであり、加工する板厚の変化に応じて適正な加工速度(F:10000mm/minなど)およびノズル径にて加工を行った。そして、図13〜図15に示した結果およびその他の暴露試験結果の防錆効果をグラフ化して示すと、図16に示すとおりである。
図16より明らかなように、錆の発生が10%以下の割合を60%以上とすると、板厚t=2.3mmの場合には1.5MPa以下、板厚t=3.2mmの場合には、1.75MPa以下、板厚t=4.5mmの場合には、1.98MPa以下であることが望ましいものである。同様に図16から明らかなように、錆の発生が10%以下の割合を80%以上とすると、板厚t=2.3mmの場合には1.13MPa以下、板厚t=3.2mmの場合には、1.47MPa以下、板厚t=4.5mmの場合には、1.78MPa以下であることが望ましいものである。したがって、アシストガス圧は高すぎない方が望ましいものであると考えられる。
次に、ノズルギャップを0.3mm〜1.2mmの範囲においてレーザ切断加工を行い、12週間暴露試験を行った結果は、図17〜図19に代表的な試験結果を示すとおりであった。なお、加工条件は、各図における上部に記載したとおりであり、加工する板厚の変化に応じて適正な加工速度(F:10000mm/minなど)、アシストガス圧、ノズル径にて加工を行った。そして、図17〜図19に示した結果およびその他の暴露試験結果の防錆効果をグラフ化して示すと、図20に示すとおりであった。
図20から明らかなように、錆の発生が10%以下の割合が60%以上になるには、板厚t=2.3mmにおいてのノズルギャップは0.90mm以下、板厚t=3.2mmにおいてのノズルギャップは1.11mm以下、そして、板厚t=4.5mmにおいてのノズルギャップは1.16mm以下である。同様に図20から明らかなように、錆の発生が10%以下の割合を80%以上とすると、板厚t=2.3mmの場合には0.33mm以下、板厚t=3.2mmの場合には、0.36mm以下、板厚t=4.5mmの場合には、0.50mm以下であることが望ましいものである。
したがって、ノズルギャップは、小さい方が望ましいものと考えられる。
次に、焦点位置を+2.0mm〜−2.0mm(+はワーク上面より上側、−はワーク上面より下側、ワーク上面は0.0mmである)の範囲においてレーザ切断加工を行い、12週間の暴露試験を行った結果は、図21〜図23に代表的な試験結果を示すとおりであった。なお、加工条件は、各図における上部に記載したとおりであり、加工する板厚の化に応じて適正な加工速度(F:10000mm/minなど)、アシストガス圧、ノズル径にて加工を行った。そして、図21〜図23に示した結果およびその他の暴露試験結果の防錆効果をグラフ化して示すと、図24に示すとおりであった。
図24より明らかなように、板厚t=2.3mmにおいては、錆の発生が10%以下の割合が60%以上の場合の焦点位置は−1.6mm以上、板厚t=3.2mmの場合においての焦点位置は、−1.8mm以上、そして、板厚t=4.5mmの場合においての焦点位置は−2.0mm以上である。同様に図24から明らかなように、錆の発生が10%以下の割合を80%以上とすると、板厚t=2.3mmの場合には0.5mm以上、板厚t=3.2mmの場合には、0mm以上、板厚t=4.5mmの場合には、−0.5mm以上であることが望ましいものである。
ここで、焦点位置が+2.0mm,±0.0mm,−2.0mmの場合における切断溝と切断面に対するめっきの付着効果を模擬的に示すと、図25(A)〜図25(C)に示すようになる。図25(A)に示すように、焦点位置±0mm(図25(B)の場合)に対して焦点位置をワーク上面から上昇させた場合、ワークに照射されるビーム径が大きくなり、レーザエネルギー密度は小さくなる。よって、切断に必要な母材への入熱量を増やす必要があるため、ワーク上面のめっき成分の溶融する範囲が広くなる。このことは切断面を覆うのに十分なめっき成分が溶融することである。また、ビーム径が大きくなることで切断幅も大きくなるため、アシストガスが十分に切断面に流れ込むことができる。このことはワーク上面で溶融しためっき成分を切断面に十分に流動させることである。
すなわち、切断面を覆うのに十分な溶融しためっき成分を確保し、なおかつ溶融しためっき成分を切断面に流し込むのに十分なアシストガスが流れるため、切断面を溶融しためっき成分で覆うことができ、十分な防錆効果が得ることができる。
図25(B)に示すように、レーザの焦点位置をワーク上面に合わせて加工した場合、図25(A)と比較して、レーザエネルギー密度は高くなり、母材への入熱量が減るため、ワーク上面のめっき成分の溶融する範囲が狭くなる。よって、切断面を覆うのに必要なめっき成分の溶融量を確保しづらくなる。また、ビーム径が小さくなることで切断幅も小さくなるため、アシストガスが切断面に流れ込みづらくなる。よって、ワーク上面で溶融しためっき成分を切断面に流動させづらくなる。
すなわち、図25(A)と比較して、ワーク上面の溶融しためっき成分が減少し、かつアシストガスも切断面に流れづらくなるため、切断面に溶融したメッキ成分が回り込みづらくなり、溶融しためっき成分が切断面を覆いづらくなるため、防錆効果が低くなる。
図25(C)に示すように、焦点位置±0mmに対して焦点位置をワーク上面から下降させた場合、図25(B)と比較して、レーザエネルギー密度は高くなり、母材への入熱量が減るため、ワーク上面のめっき成分の溶融する範囲が狭くなる。よって、切断面を覆うのに必要なめっき成分の溶融量を確保しづらくなる。また、ビーム径が小さくなることで切断幅も小さくなるため、アシストガスが十分に切断面に流れ込みづらくなる。よって、ワーク上面で溶融しためっき成分を切断面に十分に流動させづらくなる。
すなわち、図25(B)と比較して、ワーク上面の溶融しためっき成分が減少し、かつアシストガスも切断面に流れづらくなるため、切断面に溶融したメッキ成分が回り込みづらくなり、切断面を溶融しためっき成分で十分に覆うことができないため、防錆効果がさらに低くなる。
したがって、防錆効果に対しては焦点位置は高目の方が望ましいものと考えられる。
次に、加工速度を500mm/min〜12000mm/minの範囲においてレーザ切断加工を行い、12週間の暴露試験を行った結果は、図26〜図28に代表的な試験結果を示すとおりであった。そして、図26〜図28に示した結果およびその他の暴露試験結果の防錆の効果をグラフ化して示すと、図29に示すとおりである。
図29から明らかなように、錆の発生が10%以下の割合が60%以上の割合になるのは、板厚t=2.3mmにおいては約8000mm/min以上である。また9000mm/minを越えると錆の発生が10%以下の割合が80%以上となる、しかし、10000mm/min以上になると、前記割合が次第に低下する。そして、11000mm/min以上になると、前記割合が80%以下に低下する。したがって、板厚t=2.3mmの場合は、8000mm/min〜12000mm/min以下の範囲で防錆効果が高く、更に9000mm/min〜11000mm/minの範囲がより望ましいものである。
また、板厚t=3.2mmにおいては、図29より明らかなように、3300mm/min〜9000mm/min以下の範囲で防錆効果が高く、更に4500mm/min〜7000mm/minの範囲がより望ましく、板厚t=4.5mmの場合には、700mm/min〜3300mm/min以下の範囲で防錆効果が高く、更に1800mm/min〜3300mm/minの範囲がより望ましいものである。なお、加工速度が大きくなると、ワークに対する入熱が減少して切断不可能になることがある。
図2に示すように、レーザ加工装置1における前記制御装置35はコンピュータから構成して、前記ワークWに対するレーザ加工ヘッド5の相対的な移動位置決めの制御を行う機能、前記レーザ発振器11におけるレーザ出力の制御及び前記レーザ加工ヘッド5に対する圧力ガスの供給圧力を制御する機能を有する。
前記制御装置35は、前記ワークWのレーザ加工を行うための加工プログラムを記憶した加工プログラム記憶部37を備えている。さらに、制御装置35はワークWのレーザ加工を行う際の各種のパラメータを格納したパラメータ記憶部39を備えている。また、前記制御装置35は、例えばレーザ加工位置の画面等を表示するデータを記憶した画面表示データ記憶部41を備えている。
前記制御装置35には、表示部43が接続してある。この表示部43は、制御装置35に備えた画面処理部45と接続してある。さらに、前記制御装置35には入力制御部47が備えられている。この入力制御部47には入力部49が接続してある。この入力部49は、前述した試験結果、プログラムの変更、加工条件の変更、各軸の手動動作等の必要なデータの入力を行うものである。
前記制御装置35には、ワークWのレーザ切断加工を行った際の加工条件を格納した加工条件記憶部51が備えられている。この加工条件記憶部51には、ビームプロファイル(集光径、レイリー長)、加工速度、ノズル径、アシストガス種、アシストガス圧、ノズルギャップ、焦点位置などの加工条件が板厚や材質毎にまた加工条件番号毎に複数記憶されている。
加工を行う際は加工プログラム記憶部37に記憶されている所望の加工プログラムを呼び出し実行されると、加工プログラムに記載の板厚、材質および加工条件番号から加工条件記憶部51に記憶された加工条件の中から、所定の板厚、材質、加工条件番号に対応する加工条件が選択される。
選択された加工条件のビームプロファイルに基づき制御装置35はCFレンズ(コリメーションレンズ)15のアクチュエータ17を制御、あるいはAOミラー21の加圧手段21Aを制御することにより所望のビームプロファイル(集光径、レイリー長)に調節する。
また制御装置35は選択された加工条件の加工速度に基づきXY軸を制御し所望の加工速度を調整する。
同様に制御装置は選択された加工条件のノズルギャップや焦点位置に基づきZ軸を制御することによりノズルギャップや焦点位置を調整し、また選択された加工条件のアシストガス種やアシストガス圧やアシストガスの濃度に基づきアシストガス供給装置25を制御することによりに所望のアシストガス種やアシストガス圧やアシストガスの濃度などに調整することができる。
また制御装置は選択された加工条件のノズル径に基づき図示しないノズル交換装置を制御することにより所望のノズルに交換選択することができる。
よって、加工プログラムに基づき制御装置35の制御により、所望の加工条件でワークをレーザ切断加工ができる。
さらに、加工条件記憶部51に記憶された加工条件ファイル53には溶融亜鉛めっき鋼板用の防錆期間に対応した加工条件のデータファイル55が記憶されている。この溶融亜鉛めっき鋼板用の防錆期間に対応した加工条件は板厚と所望の防錆期間に対応した各加工条件が記憶されている。各加工条件はビームプロファイル(集光径、レイリー長)、加工速度、ノズル径、アシストガス種、アシストガス圧、ノズルギャップ、焦点位置などである。
よって加工プログラムに材質が溶融亜鉛めっき鋼板で、板厚と所望の防錆期間を指定しておくと、制御装置は記憶された、溶融亜鉛めっき鋼板、板厚と所望の防錆期間に基づき、加工条件ファイルから所望の防錆期間に対応できる加工条件を選択し、加工機を制御することで所望の防錆期間を得ることができるワークを加工することができる。
ところで、各データファイル55には、1つの板厚と1つの防錆期間とを対応して関連付けした加工条件が格納されている。しかし、加工条件の幅を持たせるために、例えば、複数の加工速度、複数種のガス圧等を選択可能に格納しておくことも可能である。
なお、この加工条件ファイルは予め記憶装置に記憶しておく。この記憶させる作業は各板厚毎に加工条件を変えながら加工を行って、各加工をしたワークを暴露試験を行い防錆期間毎に対応する加工条件を確認した結果に基づき加工条件ファイルに加工条件を記憶しておくことになる。
なお、加工プログラムには材質と板厚と防錆期間を指定せず、板厚と材質のみを指定し、作業者が加工をする際に加工プログラムを選択するときに所望の防錆期間を制御装置の入力手段から入力し、その入力された防錆期間から加工条件ファイルの所望の加工条件を選択しても良い。
ところで、前記レーザ加工ヘッド5の構成としては、図30に示すごとき構成とすることが望ましい。すなわち、レーザ加工ヘッド5は、めっき鋼板Wのレーザ加工部LWへアシストガスAGを噴出するノズルNZを備え、上記ノズルNZから噴出されたアシストガスAGによって溶融金属を吹き飛ばして形成された切断面CFへ、めっき鋼板の上面において溶融された状態のめっき層含有金属WMを導くための補助ガスSGを噴出する補助ガスノズルSNを備えている。そして、前記補助ガスノズルSNは、レーザ切断加工によって形成される切断溝CGの幅よりも大きな範囲でもってレーザ切断加工後の切断溝に補助ガスSGを噴出する構成である。
したがって、めっき鋼板Wのレーザ切断加工時に、切断溝CGの上縁において溶融された状態のめっき層含有金属の一部は切断溝CG内に誘導されて、切断面CFを効果的に被覆することになるものである。
本件発明では、アシストガスを窒素としたが、窒素ガス96%以上、酸素ガス4%以下の混合ガスとしても良い。
また、本件発明のめっき鋼板の切断加工におけるレーザビームの品質(BPP)は0.34mm・mrad〜20mm・mradのレーザによるものである。
1 レーザ加工装置
3 ワークテーブル
5 レーザ加工ヘッド
11 レーザ発振器
23 ノズル
33 圧力調整弁
35 制御装置
51 加工条件記憶部

Claims (2)

  1. めっき鋼板のレーザ切断加工方法であって、波長が1μm帯のレーザ光を、めっき鋼板の上面へ照射してレーザ切断加工を行う際、レーザ光の照射によって溶融及び/又は蒸発された上面のめっき層含有金属を、レーザ切断加工部へ噴出されるアシストガス又は補助ガスによって、めっき鋼板の切断面へ流動して、前記切断面にめっき層含有金属を被覆するために、前記レーザ光は、集光径が0.142mm〜0.206mmの範囲で、レイリー長が1.443mm〜3.228mmの範囲のビームプロファイルのレーザ光であることを特徴とするめっき鋼板のレーザ切断加工方法。
  2. 請求項1に記載のめっき鋼板のレーザ切断加工方法において、前記めっき鋼板の板厚は、2.3mm〜4.5mmであることを特徴とするめっき鋼板のレーザ切断加工方法。
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