以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1に示す本実施形態の解析システム1は、複数のデータ収集装置としての記録装置10と、データ解析装置としての解析装置20とを備え、解析装置20によって解析された解析結果データをクライアント端末CLに提供するシステムである。本実施形態の解析システム1は、移動体Vに搭載された記録装置10を活用し、当該記録装置10によって収集される画像データ等に基づいて人物の流動の傾向を解析するものである。そして、本実施形態の解析システム1は、複数の路線を移動する複数の移動体Vにそれぞれ搭載された記録装置10によって収集された解析用データを組み合わせることで、各路線ごとに適正に人物の流動の傾向を解析することができる構成を実現したものである。以下、各図を参照して解析システム1の構成について詳細に説明する。
記録装置10は、移動体Vに搭載され、解析装置20による解析に用いる解析用データを収集するものである。記録装置10によって収集される解析用データは、画像データ、及び、位置データを含むデータである。画像データは、移動体Vの内部の画像を表すデータである。位置データは、当該移動体Vの内部の画像が撮像された位置を表すデータである。記録装置10は、解析用データとして、画像データ、及び、位置データを収集する。解析用データは、解析装置20による人物の流動の傾向の解析に用いられる。
ここで、記録装置10が搭載される移動体Vは、典型的には、予め定められた複数の路線を移動可能に構成された物体である。移動体Vは、典型的には、自家用車、レンタカー、シェアリングカー、ライドシェアカー、バス、タクシー、トラック、輸送車、作業車等の路面を走行する車両である。また、移動体Vは、車両に限らず、例えば、フライングカーやドローン等、空中を飛行する飛行体であってもよい。本実施形態の移動体Vは、一例として、一日の間に予め定められた複数の路線を繰り返し走行する路線バスであるものとして説明する。路線バス等の移動体Vは、例えば、配車の効率化等のために、1台の移動体Vが一日の間に複数の路線を走行しつつ、複数の移動体Vが複数の路線に渡って使い分けられて運行する場合がある。本実施形態の記録装置10は、このように複数の路線を移動する当該複数の移動体Vにそれぞれ搭載される。つまり、本実施形態の解析システム1は、複数の路線を移動する複数の移動体Vにそれぞれ搭載された複数の記録装置10を備え、当該複数の記録装置10から解析用データを収集することが可能である。
具体的には、記録装置10は、内部カメラ11と、位置情報測定器12と、データ入出力部13と、制御部14とを備える。記録装置10は、例えば、移動体Vに搭載されるいわゆるドライブレコーダ等の車載機器を用いることができるがこれに限らない。
内部カメラ11は、移動体Vの内部、すなわち、車内の画像を撮像する内部撮像装置である。内部カメラ11は、当該移動体Vの内部の画像を撮像し、当該移動体Vの内部の画像を表す画像データを収集する。内部カメラ11は、典型的には、移動体Vの内部の動画像を撮像する。内部カメラ11は、解析システム1による解析対象である人物、ここでは、移動体Vの車内の乗客等を撮像可能な画角となるように移動体Vに設置される。内部カメラ11は、移動体Vの内部の人物をより好適に撮像可能なように、移動体Vの内部の天井部等に複数設けられてもよい。内部カメラ11は、単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。また、内部カメラ11が撮像する画像は、モノクロであってもよいしカラーであってもよい。制御部14は、この内部カメラ11と通信可能に接続され、相互に各種信号、データを授受可能である。内部カメラ11は、収集した画像データを制御部14に出力する。
位置情報測定器12は、移動体Vの現在位置を測定する測位器である。位置情報測定器12は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波を受信するGPS受信器等を用いることができる。位置情報測定器12は、GPS衛星から送信される電波を受信し移動体Vの現在位置を表す情報としてGPS情報(緯度経度座標)を取得することで、移動体Vの内部の画像が撮像された位置を表す位置データを収集する。位置情報測定器12は、制御部14と通信可能に接続されており、収集した位置データを制御部14に出力する。
データ入出力部13は、記録装置10とは異なる機器と当該記録装置10との間で各種データを入出力するものである。本実施形態のデータ入出力部13は、記録装置10とは異なる機器である解析装置20に対して、解析用データを出力可能である。データ入出力部13は、例えば、ネットワークを介した通信(有線、無線を問わない)によって、記録装置10とは異なる機器との間でデータを入出力する構成であってもよい。また、データ入出力部13は、例えば、スロット部を有し当該スロット部に差し込まれた記録媒体を介して、記録装置10とは異なる機器との間でデータを入出力する構成であってもよい。ここで、記録媒体は、例えば、スロット部を介して記録装置10に脱着可能なメモリ(リムーバブルメディア)である。記録媒体は、例えば、様々な形式のメモリカード、例えばSDカードなどを用いることができるがこれに限らない。
制御部14は、記録装置10の各部を統括的に制御するものである。制御部14は、解析用データを収集するための種々の演算処理を実行する。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の中央演算処理装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、インターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部14は、内部カメラ11、位置情報測定器12、データ入出力部13等の各部と通信可能に接続され、各部との間で相互に各種信号、データを授受可能である。
より具体的には、制御部14は、記憶部14A、及び、処理部14Bを含んで構成される。記憶部14A、及び、処理部14Bは、各部との間で相互に各種信号、データを授受可能である。記憶部14Aは、処理部14Bでの各種処理に必要な条件や情報、制御部14で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。記憶部14Aは、解析用データを、収集した時刻等と共に記憶することができる。言い換えれば、解析用データは、当該データを収集した時刻を表す時刻データやその他のデータも含む。記憶部14Aは、例えば、処理部14Bによる処理の過程で生成される各種データを一時的に記憶することもできる。記憶部14Aは、処理部14B、データ入出力部13等によってこれらのデータが必要に応じて読み出される。記憶部14Aは、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスクなどの比較的に大容量の記憶装置、あるいは、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。処理部14Bは、各種入力信号等に基づいて、記憶部14Aに記憶されている各種プログラムを実行し、当該プログラムが動作することにより各部に出力信号を出力し各種機能を実現するための種々の処理を実行する。処理部14Bは、内部カメラ11、位置情報測定器12の動作を制御し、画像データ、位置データを含む解析用データを収集する処理を実行する。また、処理部14Bは、データ入出力部13を介したデータの入出力に関わる処理を実行する。処理部14Bは、例えば、解析用データを、データ入出力部13を介して解析装置20に出力する処理を実行する。
解析装置20は、記録装置10によって収集された解析用データを解析し、解析結果を表す解析結果データをクライアント端末CLに提供するものである。解析装置20、及び、クライアント端末CLは、ネットワーク上に実装されるいわゆるクラウドサービス型の装置(クラウドサーバ)を構成してもよいし、ネットワークから切り離されたいわゆるスタンドアローン型の装置を構成してもよい。本実施形態の解析装置20は、複数の記録装置10によって収集された解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとに、複数の移動体Vの乗車人数を計数する。さらに、本実施形態の解析装置20は、複数の記録装置10によって収集された解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとに、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析する。そして、本実施形態の解析装置20は、各路線ごとの移動体Vの乗車人数の計数結果や移動体Vに乗車した人物の属性の解析結果等に基づく解析結果データを生成し、当該解析結果データをクライアント端末CLに提供する。
解析装置20は、解析用データに基づいて、各路線ごとに、複数の移動体Vの乗車人数を計数するための種々の演算処理を実行する。また、解析装置20は、解析用データに基づいて、移動体Vに乗車した人物の属性を解析するための種々の演算処理を実行する。解析装置20は、CPU、GPU等の中央演算処理装置、ROM、RAM、及び、インターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。解析装置20は、既知のPCやワークステーションなどのコンピュータシステムに下記で説明する種々の処理を実現させるアプリケーションをインストールすることで構成することもできる。また、解析装置20は、複数のPCを相互通信可能に組み合わせることで構成されてもよい。
具体的には、解析装置20は、データ入出力部21と、記憶部22と、処理部23とを備える。データ入出力部21、記憶部22、及び、処理部23は、各部との間で相互に各種信号、データを授受可能である。
データ入出力部21は、解析装置20とは異なる機器と当該解析装置20との間で各種データを入出力するものである。本実施形態のデータ入出力部21は、解析装置20とは異なる機器である記録装置10から解析用データを入力可能である。さらに、本実施形態のデータ入出力部21は、解析装置20とは異なる機器であるクライアント端末CLに対して解析結果データを出力可能である。データ入出力部21は、データ入出力部13と同様に、例えば、ネットワークを介した通信(有線、無線を問わない)によって、解析装置20とは異なる機器との間でデータを入出力する構成であってもよい。同様に、データ入出力部21は、例えば、スロット部を有し当該スロット部に差し込まれた記録媒体を介して、解析装置20とは異なる機器との間でデータを入出力する構成であってもよい。
記憶部22は、処理部23での各種処理に必要な条件や情報、処理部23で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。記憶部22は、データ入出力部21によって入力された解析用データを記憶することができる。記憶部22は、例えば、処理部23による処理の過程で生成される各種データを一時的に記憶することもできる。記憶部22は、データ入出力部21、処理部23等によってこれらのデータが必要に応じて読み出される。記憶部22は、例えば、ハードディスク、SSD、光ディスクなどの比較的に大容量の記憶装置、あるいは、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAMなどのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。
より具体的には、記憶部22は、機能概念的に、解析対象データベース(以下、「解析対象DB」と略記する。)22A、解析参照データベース(以下、「解析参照DB」と略記する。)22B、及び、解析結果データベース(以下、「解析結果DB」と略記する。)22Cを含んで構成される。
解析対象DB22Aは、処理部23による解析対象データである解析用データ(画像データ、位置データ、時刻データ等)を蓄積しデータベース化して記憶する部分である。記録装置10からデータ入出力部21に入力された解析用データは、この解析対象DB22Aに記憶される。
解析参照DB22Bは、処理部23による解析用データの解析の際に参照する解析参照データを蓄積しデータベース化して記憶する部分である。解析参照データは、例えば、地図参照データ、属性予測参照データ等を含む。地図参照データは、位置データ等に基づいて移動体Vの位置、言い換えれば、移動体Vの内部の画像が撮像された位置を特定する際に参照する地図を表すデータである。属性予測参照データは、画像データが表す画像に含まれる人物の属性の推定の際等に参照するデータである。属性予測参照データについては、後で詳細に説明する。解析参照データは、処理部23によって解析用データの解析の際に参照される。
解析結果DB22Cは、処理部23による解析用データの解析結果を表す解析結果データを蓄積しデータベース化して記憶する部分である。解析結果データは、例えば、各路線ごとの移動体Vの乗車人数の計数結果(路線別乗車人数データ)や移動体Vに乗車した人物の属性の解析結果(人物属性データ)等に基づくデータである。解析結果データは、処理部23によって所望の形式に加工されて、データ入出力部21からクライアント端末CLに出力、提供される。
なお、解析対象DB22A、解析参照DB22B、解析結果DB22Cに記憶される各種データは、いわゆるビッグデータ(big data)として活用することができる。
処理部23は、各種入力信号等に基づいて、記憶部22に記憶されている各種プログラムを実行し、当該プログラムが動作することにより解析用データを解析するための種々の処理を実行する。また、処理部23は、解析結果データを所望の形式に加工する処理を実行する。また、処理部23は、データ入出力部21を介したデータの入出力に関わる処理を実行する。処理部23は、例えば、所望の形式に加工された解析結果データを、データ入出力部21を介してクライアント端末CLに出力する処理を実行する。
より具体的には、処理部23は、機能概念的に、データ前処理部23A、データ解析処理部23B、及び、データ加工処理部23Cを含んで構成される。
データ前処理部23Aは、解析対象データである解析用データに対して種々の前処理を施す部分である。データ前処理部23Aは、前処理として、例えば、解析対象DB22Aから解析対象データとなる解析用データを読み出し、当該解析用データに含まれる画像データが表す動画像から静止画像を切り出す処理を実行する。また、データ前処理部23Aは、前処理として、例えば、切り出した当該静止画像と、解析対象データとなる解析用データに含まれる位置データが表す位置と、解析対象データとなる解析用データに含まれる時刻データが表す時刻とを紐付する処理を実行する。
データ解析処理部23Bは、データ前処理部23Aによって前処理が施された解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとに、複数の移動体Vの乗車人数を計数する部分である。
典型的には、データ解析処理部23Bは、データ前処理部23Aによって前処理が施された解析用データに含まれる画像データに基づいて、解析対象となる各移動体Vの乗車人数を計数する。ここでは、データ解析処理部23Bは、当該画像データが表す画像に含まれる人物の数に基づいて、各移動体Vの乗車人数を計数する。データ解析処理部23Bは、種々の公知の画像処理技術を用いて、画像データに基づいてデータ前処理部23Aによって切り出された静止画像から人物を検出し抽出する処理を実行する。そして、データ解析処理部23Bは、検出、抽出した人物の数を計数し、当該計数した人物の数を移動体Vの内部の乗車人数として算出する。
なお、データ前処理部23Aは、画像データが表す画像に含まれる人物の検出、抽出を、収集した全ての画像データに対して行ってもよいし、移動体Vを構成する路線バスの扉の開閉時を含む所定期間に収集された画像データに対してのみ行ってもよい。この場合、データ前処理部23Aは、当該画像データが表す画像自体に基づいて、当該所定期間に収集された画像データを特定してもよいし、記録装置10によって画像データを収集する際、路線バスの扉の開閉がなされたことをトリガとして、種々の公知の手法により、当該所定期間に収集された画像データを予め特定しておいてもよい。
データ解析処理部23Bは、画像データが表す画像から人物を検出した場合、解析対象DB22Aから、当該人物が検出された画像データに紐付された位置データ、時刻データを読み出す。そして、データ解析処理部23Bは、読み出した位置データ、時刻データと、解析参照DB22Bに記憶されている地図参照データ(解析参照データ)とに基づいて、当該人物が検出された画像データが収集された際の当該移動体Vの位置、時刻を特定する。そして、データ解析処理部23Bは、移動体Vの内部の画像が撮像された際の当該移動体Vの位置、時刻を特定しこれを時系列で並べ、時刻ごと、位置ごとの移動体Vの内部の乗車人数を特定する。
そして、データ解析処理部23Bは、特定した当該移動体Vの位置、時刻に基づいて、予め定められた複数の路線のうち、乗車人数の計数対象となった当該移動体Vが走行した路線、及び、当該路線を走行した時刻を特定する。そして、データ解析処理部23Bは、乗車人数の計数対象となった当該移動体V、当該移動体Vが走行した路線、当該路線を走行した時刻、及び、特定した路線/時刻における当該移動体Vの乗客人数を特定し、相互に紐付する。
データ解析処理部23Bは、解析用データを解析した解析結果データとして、上述のようにして特定した種々の情報を含む移動体別乗車人数データを生成する。移動体別乗車人数データは、各移動体Vごとの個別の乗車人数に関するデータであり、乗車人数の計数対象となった当該移動体V、時刻ごと/位置ごとの当該移動体Vの乗車人数、当該移動体Vが走行した路線、当該路線を走行した時刻、及び、特定した路線/時刻における当該移動体Vの乗客人数等を表すデータである。そして、データ解析処理部23Bは、生成した移動体別乗車人数データを含む解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させる。
図2は、一例として、データ解析処理部23Bによって生成された移動体別乗車人数データに含まれる移動体V個別の乗車人数であって、図3に示す移動体(路線バス)Vが走行した路線R1における当該移動体Vの乗車人数を表している。図2は、予め任意に設定される単位時間当たりの当該移動体Vの乗車人数を表している。ここでは、図2は、単位時間を24時間、すなわち、1日単位とし、1週間(7日分)分の乗車人数を示し、あわせて週間平均も示している。なお、乗車人数を表す際の単位時間は、1日単位に限らず、任意に設定されればよく、例えば、より短い時間に設定されてもよいし、より長い時間に設定されてもよい(以下の説明でも同様である。)。データ解析処理部23Bは、任意に設定された当該単位時間当たりの乗車人数を計数することができる。
本実施形態のデータ解析処理部23Bは、上記のような移動体Vの内部の乗車人数を計数する処理を、複数の路線を走行する全ての移動体Vごとに行う。そして、データ解析処理部23Bは、複数の路線の各路線ごとに、複数の移動体Vの乗車人数を計数する。すなわち、データ解析処理部23Bは、複数の路線のうち特定の路線を移動した全ての移動体Vの当該特定の路線での乗車人数を集約し、当該特定の路線における全ての移動体Vの合計の乗車人数(延べの乗車人数)を計数する。
より詳細には、本実施形態のデータ解析処理部23Bは、解析用データに含まれる位置データに基づいて、複数の記録装置10によって収集された解析用データから、複数の路線のうち特定の路線を移動した移動体Vの乗車人数を抽出する。この場合、データ解析処理部23Bは、上述した移動体別乗車人数データから、特定の路線を移動した移動体Vの移動体別乗車人数データを抽出し、当該特定の路線を移動した移動体Vの乗車人数を抽出してもよい。また、データ解析処理部23Bは、複数の記録装置10によって収集された解析用データから、特定の路線を移動した移動体Vで収集された解析用データを抽出し、当該特定の路線を移動した移動体Vの乗車人数を抽出してもよい。そして、データ解析処理部23Bは、抽出した特定の路線を移動した全ての移動体Vの乗車人数の当該特定の路線での乗車人数を集約し、当該特定の路線における全ての移動体Vの合計の乗車人数(延べの乗車人数)を計数する。
以下、図4、図5、図6、図7を参照して、データ解析処理部23Bによる特定の路線における複数の移動体Vの乗車人数の計数の具体例について説明する。以下で説明する例は、バスA、バスB、バスC、及び、バスDの合計4台の移動体Vによって、図4に例示する路線R21、路線R22、及び、路線R23の合計3路線を運行する場合を説明する。この例では、図5に示すように、バスA、バスC、及び、バスDは、路線R21、路線R22、及び、路線R23の合計3路線全てを走行し、バスBは、3路線のうち路線R21、及び、路線R22の2路線のみを走行するものとして説明する。
この場合、データ解析処理部23Bは、まず、データ前処理部23Aによって前処理が施された解析用データに含まれる位置データに基づいて、複数の記録装置10によって収集された解析用データから、特定の路線を移動した全ての移動体Vの乗車人数を抽出する。この例では、データ解析処理部23Bは、特定の路線として、路線R21を移動した全ての移動体Vの個別の乗車人数、路線R22を移動した全ての移動体Vの個別の乗車人数、路線R23を移動した全ての移動体Vの個別の乗車人数をそれぞれ抽出する。図5に例示するように、ここでは、データ解析処理部23Bは、路線R21を移動した移動体Vの個別の乗車人数として、バスA、バスB、バスC、及び、バスDの全ての移動体Vの個別の乗車人数を抽出する。同様に、データ解析処理部23Bは、路線R22を移動した移動体Vの個別の乗車人数として、バスA、バスB、バスC、及び、バスDの全ての移動体Vの個別の乗車人数を抽出する。そして、データ解析処理部23Bは、路線R23を移動した移動体Vの個別の乗車人数として、バスBを除く、バスA、バスC、及び、バスDの3台の移動体Vの個別の乗車人数を抽出する。
図5は、抽出した各路線R21、R22、R23における移動体Vの個別の乗車人数の一例を、移動体Vごと、単位時間ごとに表したものである。ここでは、図5は、単位時間を3時間とし、1日の乗車人数を示し、運行開始時刻の6:00から運行終了時刻の18:00までの1営業日分の3時間ごとの各移動体Vごとの乗車人数を示している。なお、図5は、あわせて路線R21、R22、R23を特定しない各移動体Vの合計の乗車人数、及び、路線R21、R22、R23を特定しない各時間帯の合計の乗車人数も示している。
そして、データ解析処理部23Bは、抽出した特定の路線R21、R22、R23を移動した全ての移動体Vの乗車人数の当該各路線R21、R22、R23での乗車人数をそれぞれ集約、合算する。これにより、データ解析処理部23Bは、各路線R21、R22、R23における全ての移動体Vの合計の乗車人数(延べの乗車人数)をそれぞれ計数する。図6は、図5で示す例において、単位時間を1営業日(1日)とした場合の各路線R21、R22、R23における全ての移動体Vの合計の乗車人数を示している。この場合、データ解析処理部23Bは、路線R21の1営業日分の乗車人数として、バスAの「6:00−9:00」の乗車人数、バスBの「9:00−12:00」の乗車人数、バスCの「15:00−18:00」の乗車人数、及び、バスDの「12:00−15:00」の乗車人数を集約、合算することで、当該路線R21における1営業日分の延べの乗車人数を計数することができる(図6の「330」参照)。同様に、データ解析処理部23Bは、路線R22の1営業日分の乗車人数として、バスAの「9:00−12:00」、「12:00−15:00」の乗車人数、バスBの「6:00−9:00」、「12:00−15:00」、「15:00−18:00」の乗車人数、バスCの「6:00−9:00」、「9:00−12:00」の乗車人数、及び、バスDの「15:00−18:00」の乗車人数を集約、合算することで、当該路線R22における1営業日分の延べの乗車人数を計数することができる(図6の「900」参照)。さらに、データ解析処理部23Bは、路線R23の1営業日分の乗車人数として、バスAの「15:00−18:00」の乗車人数、バスCの「12:00−15:00」の乗車人数、及び、バスDの「6:00−9:00」、「9:00−12:00」の乗車人数を集約、合算することで、当該路線R23における1営業日分の延べの乗車人数を計数することができる(図6の「225」参照)。なお、図6は、複数の路線R21、R22、R23における1営業日分の延べの乗車人数を合算した合計の乗車人数も示している。
また、データ解析処理部23Bは、さらに、図7に示すように、1営業日分の各路線R21、R22、R23の乗車人数を複数組み合わせて、各路線R21、R22、R23ごとの乗車人数を計数するようにすることもできる。図7は、図2と同様に、単位時間を24時間、すなわち、1日単位とし、1週間(7日分)分の各路線R21、R22、R23における全ての移動体Vの乗車人数を示している。なお、図7は、あわせて各路線R21、R22、R23における全ての移動体Vの乗車人数の週間平均、及び、路線R21、R22、R23を特定しない各曜日の合計の乗車人数も示している。
データ解析処理部23Bは、解析用データを解析した解析結果データとして、上述のようにして特定した種々の情報を含む路線別乗車人数データを生成する。路線別乗車人数データは、各路線ごとの乗車人数に関するデータであり、乗車人数の計数対象となった路線、当該路線ごとの全ての移動体Vの延べの乗車人数等を表すデータである。そして、データ解析処理部23Bは、生成した路線別乗車人数データを含む解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させる。
また、本実施形態のデータ解析処理部23Bは、データ前処理部23Aによって前処理が施された解析用データに基づいて、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析する部分でもある。
データ解析処理部23Bは、画像データに基づいてデータ前処理部23Aによって切り出された静止画像から検出、抽出された人物の属性を解析する。データ解析処理部23Bは、典型的には、上記の複数の路線の各路線ごとに、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析する。この場合、データ解析処理部23Bは、例えば、複数の記録装置10によって収集された解析用データから、位置データ等に基づいて特定の路線を移動した移動体Vで収集された解析用データを抽出する。そして、データ解析処理部23Bは、抽出した解析用データに基づいて、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析することで、複数の路線の各路線ごとに、各移動体Vに乗車した人物の属性を解析する。図4、図5、図6、図7で説明した例で言えば、データ解析処理部23Bは、路線R21、路線R22、路線R23ごとに、各路線を移動した移動体Vで収集された解析用データに基づいて、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析する。ここでは、データ解析処理部23Bは、例えば、種々の公知の人工知能(Artificial Intelligence)技術や深層学習(Deep Learning)技術を用いて画像データが表す画像に含まれる人物の属性、及び、当該属性が特定された人物の人流を解析する処理を実行可能に構成される。
具体的には、データ解析処理部23Bは、上述のように、データ前処理部23Aによって切り出された静止画像から人物を検出し抽出する処理を実行する。そして、本実施形態のデータ解析処理部23Bは、画像データが表す画像から当該検出、抽出された人物の特徴点を含む画像を抽出する処理を実行する。ここで、当該人物の特徴点とは、画像に含まれる人物において当該人物の属性を特定可能な部位である。当該人物の特徴点とは、例えば、当該人物の表情が現われる顔、しぐさ・ジェスチャが現れる手足、アクセサリ等が装着されやすい傾向にある位置等の部位である。データ解析処理部23Bは、例えば、異なる角度から撮像された多数の画像から、人物の属性特定に用いることができる当該人物の特徴点が写った画像を抽出する。
そして、データ解析処理部23Bは、画像データから抽出した人物の特徴点を含む画像に基づいて、当該画像に含まれる人物の属性を解析する処理を実行する。データ解析処理部23Bは、例えば、解析参照DB22Bに記憶されている属性予測参照データ(解析参照データ)と、画像データから抽出された画像に含まれる人物の特徴点とに基づいて、当該人物の属性を解析する。ここで、属性予測参照データは、人工知能技術や深層学習技術を用いた様々な手法によって、画像に含まれる人物の特徴点等に応じて推定可能な当該人物の属性を学習した結果が反映される情報である。言い換えれば、属性予測参照データは、画像に含まれる人物の特徴点等に基づいて人物の属性を推定するために、人工知能技術や深層学習技術を用いた様々な手法を用いてデータベース化されたデータである。この属性予測参照データは、逐次更新可能である。属性予測参照データは、例えば、データ解析処理部23Bによる解析結果を表す解析結果データ(人物属性データ)自体を学習のためのデータとすることもできる。
データ解析処理部23Bによって解析される人物の属性としては、典型的には、当該人物の外観の特徴点から解析可能な事項、例えば、当該人物の性別、年齢、体格、社会的地位、嗜好、又は、行動志向等を含む。ここで、性別とは、男性、女性の別を表す属性である。年齢とは、生まれてから現在(その時)までの年月の長さを表す属性である。体格とは、身長、体重、各種寸法等を表す属性である。社会的地位とは、職業(自営業、ビジネスマン、警官、学生、無職、アルバイト)、年収、身分、同行者等を表す属性である。嗜好とは、服装・所持品・ファッションの傾向(カジュアル志向、エレガント志向、ブランド志向、高級志向、ファストファッション志向)、趣味(スポーツ/サブカルチャー/アウトドア/美容等)等を表す属性である。行動志向とは、その時点での気分、興味関心(やりたいこと、行きたいところ)等を表す属性である。つまりここでは、データ解析処理部23Bは、人物の属性として、性別、年齢、体格、社会的地位、嗜好、行動志向等を推定する。
データ解析処理部23Bは、属性予測参照データを参照して、画像に含まれる人物の特徴点に対応する属性(性別、年齢、体格、社会的地位、嗜好、又は、行動志向)を抽出し、抽出した属性を当該画像に映り込んだ人物の属性であるものと推定する。データ解析処理部23Bは、例えば、画像に含まれる人物の特徴点である顔の表情、手足のしぐさ・ジェスチャ、装着されているアクセサリや洋服等に応じて、属性予測参照データを参照し、当該特徴点にあう属性をマッチングし、当該人物の性別、年齢、体格、社会的地位、嗜好、行動志向等の属性を推定する。
そしてさらに、データ解析処理部23Bは、人物の属性が特定された画像データに紐付された位置データに基づいて、上記のようにして属性が特定された人物の位置等を解析する処理を実行する。データ解析処理部23Bは、例えば、解析対象DB22Aから、人物の属性が特定された画像データに紐付された位置データを読み出す。そして、データ解析処理部23Bは、解析参照DB22Bに記憶されている地図参照データ(解析参照データ)と、読み出した位置データとに基づいて、当該属性が特定された人物の位置等を解析する。例えば、データ解析処理部23Bは、地図参照データを参照して、当該位置データに基づいて当該画像が撮像された位置を特定する。そして、データ解析処理部23Bは、当該位置データが表す位置に基づいて、属性が特定された人物の位置を特定する。
データ解析処理部23Bは、解析用データを解析した解析結果データとして、上記のように解析した人物の属性を表す人物属性データ、及び、属性が特定された人物の位置を表す属性別位置データを生成する。そして、データ解析処理部23Bは、生成した人物属性データ、及び、属性別位置データを含む解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させる。
なお、本実施形態の記録装置10が搭載された移動体Vは、内部に出力装置ODを搭載している。出力装置ODは、コンテンツを出力可能な装置であり、複数の移動体Vの内部にそれぞれ設けられる。出力装置ODは、ネットワーク上に実装され、様々なコンテンツがネットワークを介して提供されるいわゆるクラウドサービス型の装置を構成してもよいし、ネットワークから切り離されたいわゆるスタンドアローン型の装置を構成してもよい。出力装置ODは、コンテンツに応じた画像を表示可能であるディスプレイ、コンテンツに応じた音・音声を出力可能であるスピーカ等を含んで構成される。出力装置ODが出力するコンテンツとしては、例えば、広告やクーポン等のコンテンツの他、地域情報や所定の施設への道順情報、災害時の避難経路/安全サポート情報等、様々な案内情報を構成するコンテンツを含んでいてもよい。出力装置ODが出力するコンテンツのデータは、ネットワークや記録媒体等を介して逐次更新可能である。
そして、本実施形態のデータ解析処理部23Bは、さらに、解析結果データとして、移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ等に基づく商用利用データを生成する処理も実行可能に構成されてもよい。具体的には、本実施形態のデータ解析処理部23は、各移動体Vの内部に設けられた出力装置ODからのコンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標を算出する。ここで、出力装置ODのコンテンツの受容可能範囲とは、出力装置ODが出力するコンテンツを人物が受容できる空間範囲であり、出力装置ODが表示する画像を人物が視認できる可視範囲、出力装置ODが出力する音・音声を人物が聴き取りできる可聴範囲等に応じて定まる。
データ解析処理部23は、例えば、各路線ごとの乗車人数を表す路線別乗車人数データに基づいて、各路線ごとに、上記受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標を算出する。あわせて、データ解析処理部23は、各移動体Vごとの乗車人数を表す移動体別乗車人数データに基づいて、各移動体Vごとに、上記受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標を算出するようにしてもよい。そして、データ解析処理部23は、当該指標を表す商用利用データを生成し、生成した商用利用データを含む解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させる。
ここで、上述の出力装置ODのコンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数は、当該出力装置ODのコンテンツを受容した人数であるものとみなすることができる。そして、当該受容可能範囲は、出力装置ODが移動体Vの内部に設置された場合においては、典型的には、移動体Vの内部全体とみなすることができる。このため、移動体Vの内部の出力装置ODのコンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数は、当該移動体Vの乗車人数と略同数であるものとみなすることができる。
上記を踏まえて、本実施形態のデータ解析処理部23Bは、移動体Vの乗車人数を、コンテンツの受容可能範囲の通過者人数とする。すなわちここでは、データ解析処理部23Bは、移動体別乗車人数データが表す各移動体Vごとの乗客人数を、各移動体Vごとのコンテンツの受容可能範囲の通過者人数とする。同様に、データ解析処理部23Bは、路線別乗車人数データが表す各路線ごとの乗客人数を、各路線ごとのコンテンツの受容可能範囲の通過者人数とする。
そして、データ解析処理部23Bは、コンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数そのものを当該通過者人数を表す指標としてもよいし、当該通過者人数に基づいて当該通過者人数を表す指標を算出してもよい。データ解析処理部23Bが算出する通過者人数を表す指標としては、例えば、「DEC:Daily Effective Circulation」や「GRP:Gross Rating Point」等が挙げられる。「DEC」、「GRP」は、共に広告の効果を表す指標である。「DEC」は、典型的には、対象の広告の受容可能範囲(可視範囲)を通過する1日の通過者人数である。「DEC」は、例えば、満18歳以上等、所定の年齢制限を満たす人を対象とした通過者人数としてもよいし、年齢制限を設けず全ての人を対象とした通過者人数としてもよい。「GRP」は、典型的には、対象の広告に対して1日に到達可能なエリア内の対象人口における上記受容可能範囲を通過する1日の通過者人数の割合である。「GRP」は、[DEC/対象エリア内の対象人口]で表すことができる。「対象エリア内の対象人口」は、「DEC」の対象に年齢制限を設けた場合には対象エリア内の当該年齢制限を満たす人口となる。
データ解析処理部23Bは、各移動体Vごとのコンテンツの受容可能範囲の通過者人数に基づいて、通過者人数を表す指標として、各移動体Vごとの「DEC」、「GRP」を算出することができる。例えば、上述の図2で説明した各移動体Vごとの1日の乗車人数やその平均値、図5で説明した各移動体Vの合計の乗車人数等が各移動体Vごとの「DEC」に相当する。
同様に、データ解析処理部23Bは、各路線ごとのコンテンツの受容可能範囲の通過者人数に基づいて、通過者人数を表す指標として、各路線ごとの「DEC」、「GRP」を算出することができる。例えば、上述の図6、図7で説明した各路線ごとの1日の乗車人数やその平均値が各路線ごとの「DEC」に相当する。
そして、データ解析処理部23Bは、受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標として、各移動体Vごと、各路線ごとの「DEC」、「GRP」を表す商用利用データを生成し、生成した商用利用データを含む解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させることができる。
データ加工処理部23Cは、データ解析処理部23Bによって解析された解析結果データを所望の形式に加工する処理を実行する部分である。データ加工処理部23Cは、解析結果データに含まれる移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ、人物属性データ、属性別人流データ、商用利用データ等を所望の形式に加工する。データ加工処理部23Cは、例えば、図8に例示するように、移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ、人物属性データ、属性別人流データ、商用利用データを含む解析結果データを、いつ、どの路線のどこに、どんな属性の人が何人いたか、移動体Vごとの「DEC」、「GRP」、路線ごとの「DEC」、「GRP」等を地図上にプロットしたものや各種グラフ、ダイヤグラム等に加工する。そして、処理部23は、データ加工処理部23Cによって所望の形式に加工された解析結果データを、データ入出力部21を介してクライアント端末CLに出力する処理を実行する。クライアント端末CLは、解析装置20から提供された解析結果データを、例えば、商圏調査、マーケティング、広告、広告料を決める際の判断材料、防災・都市計画等の各種用途にて利用可能とする端末である。クライアント端末CLは、例えば、ノート型PC、デスクトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、携帯端末等によって構成される。
次に、図9のフローチャート図を参照し解析システム1における処理の一例を説明する。
まず、複数の移動体Vにそれぞれ搭載された複数の記録装置10は、移動体Vの移動に伴って画像データ、位置データを含む解析用データを収集する(ステップS1)。
次に、記録装置10は、収集した解析用データを、データ入出力部13を介して出力し、解析装置20のデータ入出力部21を介して解析装置20に入力する(ステップS2)。解析装置20に入力された解析用データは、解析対象DB22Aに記憶される。
次に、解析装置20のデータ前処理部23Aは、解析対象DB22Aに記憶されている解析用データに対して、上述したような種々の前処理を施す(ステップS3)。
次に、解析装置20のデータ解析処理部23Bは、データ前処理部23Aによって前処理が施された解析用データに基づいて解析を行い、解析結果データとして、移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ、人物属性データ、属性別人流データ、商用利用データ等を生成する(ステップS4)。
そして、データ解析処理部23Bは、生成した移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ、人物属性データ、属性別人流データ、商用利用データ等の解析結果データを解析結果DB22Cに蓄積しデータベース化して記憶させる(ステップS5)。
次に、解析装置20のデータ加工処理部23Cは、クライアント端末CL等からの要求に応じて、解析結果DB22Cに記憶されている解析結果データ(移動体別乗車人数データ、路線別乗車人数データ、人物属性データ、属性別人流データ、商用利用データ等)を、図8に例示したような所望の形式に加工する(ステップS6)。
そして、解析装置20の処理部23は、データ加工処理部23Cによって所望の形式に加工された解析結果データを、データ入出力部21を介してクライアント端末CLに出力、提供し(ステップS7)、一連の処理を終了する。
以上で説明した解析システム1は、複数の移動体Vにそれぞれ搭載された複数の記録装置10によって、各移動体Vの内部の画像を表す画像データ、及び、位置データを含む解析用データを収集することができる。そして、解析装置20は、複数の記録装置10によって収集された当該解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとに、複数の移動体Vの乗車人数を計数することができる。すなわち、この解析システムは、例えば、配車の効率化等のために、1台の移動体Vが一日の間に複数の路線を走行しつつ、複数の移動体Vが複数の路線に渡って使い分けられて運行するような場合であっても、各移動体Vごとの乗車人数だけでなく、例えば、各路線に紐付いた各路線ごとの延べの乗車人数を適正に計数することができる。この結果、この解析システム1は、複数の移動体Vが移動する複数の路線の各路線ごとに適正に人物の流動の傾向を解析することができる。そして、解析システム1は、上記のように解析した各路線ごとの人物の流動の傾向を、商圏調査、マーケティング、広告、広告料を決める際の判断材料、防災・都市計画等の様々な用途で活用させることができる。
ここでは、以上で説明した解析システム1は、画像データが表す画像に含まれる人物の数に基づいて移動体Vの乗車人数を計数する。これにより、解析システム1は、例えば、目視等により人手で移動体Vの乗車人数を計数するような場合と比較して、計数の作業負荷を低減し、計数自体の頻度を大幅に向上することができる。この結果、解析システム1は、より精度よく人物の流動の傾向を解析することができる。
より詳細には、以上で説明した解析システム1は、複数の記録装置10によって収集された解析用データから特定の路線を移動した移動体Vの乗車人数を抽出し、当該特定の路線を移動した全ての移動体Vごとの当該特定の路線での乗車人数を集約し当該特定の路線における全ての移動体Vの合計の乗車人数を計数する。したがって、解析システム1は、複数の記録装置10によって収集された解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとにおける全ての移動体の合計の乗車人数を適正に計数することができる。
また、以上で説明した解析システム1は、さらに、解析装置20によって解析用データに基づいて、複数の路線の各路線ごとに、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析する。この結果、この解析システム1は、複数の移動体Vが移動する複数の路線の各路線ごとに、人物の流動の傾向として、移動体Vの乗車人数に加えて、移動体Vに乗車した人物の属性も解析することができる。これにより、この解析システム1は、例えば、複数の移動体Vによって運行される各路線ごとの乗車人数だけでなく、当該各路線ごとの乗車者の属性傾向を把握させることができ、逆に、所望の属性傾向の乗車者が多い路線等を容易に特定することができる。この結果、解析システム1は、各路線ごとの人物の流動の傾向を、上記のような様々な用途でより好適に活用させることができる。
一例として、以上で説明した解析システム1は、解析装置20によって、複数の路線の各路線ごとの乗車人数に基づいて、当該各路線ごとに、移動体Vに搭載された出力装置ODのコンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標を算出する。この結果、解析システム1は、各路線ごとの当該指標を、例えば、各路線ごとに、出力装置ODから出力するコンテンツの利用料(広告料等)を決める際の判断材料として好適に活用させることができる。また、解析システム1は、各路線ごとの乗車者の属性傾向を、例えば、各路線ごとに移動体Vの出力装置ODから出力するコンテンツを決める際の判断材料として好適に活用させることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る解析システムは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明した移動体Vは、内部に出力装置ODを搭載しているものとして説明したがこれに限らない。解析装置20は、複数の路線の各路線ごとに、出力装置ODのコンテンツの受容可能範囲を通過した通過者人数を表す指標を算出するものとして説明したがこれに限らない。
また、以上で説明した解析装置20は、複数の路線の各路線ごとに、画像データが表す画像に含まれる人物の属性を解析するものとして説明したがこれに限らない。
以上で説明した制御部14、解析装置20は、各部が別体に構成され、当該各部が各種の電気信号を相互に授受可能に接続されることで構成されてもよく、一部の機能が他の制御装置によって実現されてもよい。また、以上で説明したプログラム、アプリケーション、各種データ等は、適宜、更新されてもよいし、解析システム1に対して任意のネットワークを介して接続されたサーバに記憶されていてもよい。以上で説明したプログラム、アプリケーション、各種データ等は、例えば、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。また、例えば、制御部14、解析装置20が備える処理機能については、その全部又は任意の一部を、例えば、CPU等及び当該CPU等にて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジック等によるハードウェアとして実現してもよい。
例えば、解析システム1は、解析装置20のデータ前処理部23A、データ解析処理部23Bの一部の機能が各記録装置10側に設けられていてもよい。例えば、解析システム1は、各記録装置10側で人物を含む外周画像の切り取り等の1次画像解析を行い、各記録装置10から解析装置20に送信された解析用データに基づくデータに応じて、解析装置20側で、乗車人数の計数、人物属性の解析等の2次画像解析を行うようにしてもよい。また例えば、解析システム1は、各記録装置10側で各移動体Vごとの個別の乗車人数を計数し移動体別乗車人数データを生成し、各記録装置10から解析装置20に送信された解析用データに基づくデータに応じて、解析装置20側で、各路線ごとに複数の移動体Vの乗車人数を計数し路線別乗車人数データを生成してもよい。