JP2020070969A - 熱システムの設計方法及び改造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態に係る熱システムの設計方法について説明する。本発明の熱システムの設計方法は熱システムの設計支援システム(以下、設計支援システム10という)によって実行される。図1は設計支援システム10の概略構成を示している。設計支援システム10は各種データが記憶される記憶手段11(記録媒体)と、各種データを入力する入力手段12(キーボード、マウス等)と、記憶手段11に記憶されたデータ及び入力手段12から入力されたデータに基づき各種演算と判定を行う演算手段13(CPU)と、演算結果や判定結果を表示する表示手段14(ディスプレイ)と、を有している。これらの手段はパーソナルコンピュータが備える一般的な機能によって実現することができる。
図4に、記憶手段11に記憶されている被加熱設備A1〜A5と被除熱設備B1〜B5の位置情報の例を示す。X座標とY座標は熱システム1の平面図上で予め定められた原点を基準に定義される。位置情報は熱システム1の平面図と、平面図上における被加熱設備A1〜A5及び被除熱設備B1〜B5の位置座標と、を含んでいる。各被加熱流体の温度及び流量に関する情報、並びに各被除熱流体の温度及び流量に関する情報も記憶手段11に記憶される。温度に関する情報は、被加熱流体の加熱前後の温度(加熱装置H1〜H5の入口温度及び出口温度)、被除熱流体の除熱前後の温度(除熱装置C1〜C5の入口温度及び出口温度)を含む。さらに、記憶手段11には被加熱設備A1〜A5と被除熱設備B1〜Bの稼働時間に関する情報も記憶される。稼働時間に関する情報は1日当たりの稼動時間(例えばAM9時〜PM5時)、月ごとの稼働率(例えば5〜10月はフル稼働)などを含む。被加熱設備A1〜A5と被除熱設備B1〜B5の位置情報はコンピュータの表示手段14(ディスプレイ)に表示可能であることが好ましく、位置情報に加えて各被加熱流体の温度及び流量に関する情報、並びに各被除熱流体の温度及び流量に関する情報も表示手段14に表示可能であることがさらに好ましい。これによって、熱システム1に存在する被加熱設備A1〜A5及び被除熱設備B1〜B5(並びに各被加熱流体と各被除熱流体の温度及び流量に関する情報)を表示手段14上で一覧できるため、設計者は最適な第1の熱システム100を効率的に見出すことができる。
被加熱設備A1〜A5のいずれかと被除熱設備B1〜B5のいずれかを組み合わせることにより、複数の(この場合は25通りの)第1の熱システムから一つの第1の熱システムを選択する。選択の方法は特に限定されないが、例えば、互いに近接する被加熱設備と被除熱設備の組み合わせを選択することができる。被加熱設備と被除熱設備との間の距離は、被加熱設備及び被除熱設備の位置情報から容易に算出することができる。あるいは、流量の近い被加熱設備と被除熱設備の組み合わせを選択してもよい。各被加熱流体と各被除熱流体の流量は記憶手段11に記憶されているため、流量の近い組み合わせを検索するのは容易である。これらの方法を組み合わせることもできる。例えば、互いに近接する被加熱設備と被除熱設備の組み合わせを上述の方法に従い複数組抽出し、それらの中から流量の近い組み合わせを選択するようにしてもよい。被加熱設備と被除熱設備の組み合わせは演算部13が自動抽出してもよいし、表示手段14に表示されたマップに基づき設計者が選択して、選択結果を入力手段12によって設計支援システム10に入力してもよい。他の方法として、ランダムに組み合わせを選択することもできる。この方法はすべての組み合わせを検討することが前提となるが、被加熱設備と被除熱設備の数が少ない場合には大きなデメリットとならない。さらに、組み合わせの選択に当たり種々の絞り込み条件を設けることもできる。その一例として図4に示す稼働時間についての情報を利用することができる。例えば、被加熱流体と被除熱流体が1日のうちの特定の時間帯しか流通しない場合、両方の流体の流通時間が一致または重複することを絞込みの条件とすることが好ましい。すなわち、被加熱設備と被除熱設備の稼働時間が一致または重複することを絞込みの条件とすることが好ましい。絞り込み条件は予めコンピュータに入力され、記憶手段11に記憶される。
次にコスト評価を行う。コスト評価は、第1の熱システム100における運転コスト(以下、第1の運転コストOC1という)と、第2の熱システム200における運転コスト(以下、第2の運転コストOC2という)と、第1の熱システム100を第2の熱システム200に改造するための改造コストMCについて行う。コスト評価に引き続き、投資回収期間T、すなわち改造コストMCがどの程度の期間で回収できるかの評価を行う。その後、投資回収期間Tが所定の許容値を満たしているかどうかを判定し、その結果に基づき第2の熱システム200への改造を行うかどうかの判断を行う。各ステップは設計支援システム10が入力データに基づき自動計算するようにしてもよいが、一部の評価を設計者が行い、その結果を設計支援システム10に入力するようにしてもよい。以下、各ステップについて詳細に説明する。
第1の運転コストOC1は、第1の熱システム100において被加熱流体の加熱と被除熱流体の除熱に要する運転コストである。演算手段13はまず、熱交換器A1の被加熱流体の温度及び流量に関する情報を記憶手段11から読み出す。次に演算手段13は、これらの情報に基づきボイラH1に要求される単位時間当たりの加熱量を計算し、それに基づき燃料コストを算出する。コスト評価に必要な各種データ(例えば、単位時間当たりの加熱量を得るための燃料の量、単位量当たりの燃料代等)は予め記憶手段11に記憶されている。同様に、演算手段13は冷水槽B1の被除熱流体の温度及び流量に関する情報を記憶手段11から読み出す。なお、被除熱流体の流量はチラーC1と冷水槽B1の循環ループを流れる水の流量、すなわち第2の配管L102(または第3の配管L103)を流れる水の流量である。次に、演算手段13はこれらの情報に基づきチラーC1に要求される単位時間当たりの除熱量を計算し、それに基づきチラーC1の運転コストを算出する。コスト評価に必要な各種データ(例えば、除熱量を電気代に換算する係数)は予め記憶手段11に記憶されている。第1のポンプ101の運転コスト(ポンプの駆動モータの電気代)も同様にして計算する。演算手段13はボイラH1の燃料コストとチラーC1の電気代と第1のポンプ101の運転コストを合算し、その結果を第1の運転コストOC1とする。なお、第1の運転コストOC1に第1のポンプ101の運転コストを含めているのは、被除熱流体から除熱するために熱の移動が必要なためである。
次に、第2の熱システム200の定義を行う。図5(b)は第2の熱システム200の概略構成を示している。冷水槽B1の水が第1の配管L201に設けられた第1のポンプ202によってヒートポンプ201に送られ、ヒートポンプ201で除熱され、第2の配管L202によって冷水槽B1に戻される。ヒートポンプ201は第3の配管L203によって温水槽204と接続されており、温水槽204の水が第2のポンプ203によってヒートポンプ201に送られる。ヒートポンプ201で加熱された水は第4の配管L204によって熱交換器A1に送られ、第6の配管L206を通って熱交換器A1に供給される水を加熱し、第5の配管L205を通って温水槽204に戻される。すなわち、冷水槽B1の水がヒートポンプ201で除熱(冷却)され、冷水槽B1から奪った熱で第6の配管L206を流れる水が加熱される。
第2の運転コストOC2は、第2の熱システム200において被除熱流体を除熱し被加熱流体を加熱するのに要する運転コストである。熱交換器A1の被加熱流体(第6の配管L206を流れる水)の温度及び流量に関する情報、及び冷水槽B1の被除熱流体(第2の配管L202を流れる水)の温度及び流量に関する情報に基づき、演算手段13はヒートポンプ201の単位時間当たりの動力コスト(コンプレッサの駆動モータの電気代)を計算する。第1のポンプ202と第2のポンプ203の単位時間当たりの動力コスト(ポンプの駆動モータの電気代)も同様にして計算する。演算手段13はヒートポンプ201の動力コストと第1のポンプ202と第2のポンプ203の動力コストを合算し、その結果を第2の運転コストOC2とする。なお、第2の運転コストOC2に第1のポンプ202と第2のポンプ203の運転コストを含めているのは、被除熱流体から除熱し、その熱で被加熱流体を加熱するために熱の移動が必要なためである。
次に、第1の熱システム100を第2の熱システム200に改造するための改造コストMCを求める。図5(b)の破線枠は改造によって新たに設置される設備を示している。まず、入力手段12によって、熱システム1の平面図上にヒートポンプ201と温水槽204の設置位置を入力する。これによって、ヒートポンプ201と温水槽204の位置情報が記憶手段11に記憶される。次に、概略の配管ルートを作成する。具体的には、入力手段12によって配管ルートの屈曲点を入力し、演算手段13が第1〜第5の配管L201〜L205の配管ルートを自動生成する。演算手段13は自動生成された配管ルートに基づき、第1〜第5の配管L201〜L205の配管長を計算する。配管長は始点と終点との直線距離に一定の係数を掛けることによって求めてもよい。同様に、入力手段12から第1〜第5の配管L201〜L205の配管口径が入力される。演算手段13は配管長と配管口径から配管のコストを算出する。さらに、入力手段12から、ヒートポンプ201、温水槽204、第1のポンプ202、第2のポンプ203のコスト、これらの付帯設備(計装設備、弁等)のコスト、設計費、施工費等が入力される。演算手段13はこれらを総計して改造コストMCを算出する。
次に、演算手段13は、第2の運転コストOC2と改造コストMCの合計が第1の運転コストOC1を下回る投資回収期間Tを計算する。いくつかの例では、第2の運転コストOC2は第1の運転コストOC1の半分以下に低減される。しかし、改造コストMCが高いとその投資を回収するのに時間が掛かることもあるため、第2の熱システム200への改造の適否判断を行うための判断材料として、投資回収に要する時間を計算する。第1の運転コストOC1と第2の運転コストOC2は単位時間当たりの運転コストとして求められているため、投資回収期間TはOC1×T>OC2×T+MCを満たす最小値として容易に求めることができる。
演算手段13は、以上の演算結果に基づき、第2の熱システム200への改造の適否を判断する。具体的には、演算手段13は投資回収期間Tを所定の許容値と比較し、投資回収期間Tが所定の許容値を下回るときに第2の熱システム200への改造に対して肯定的判断(第2の熱システム200への改造を行うとの判断)をする(ステップS9)。これに対し、投資回収期間が所定の許容値を上回るときは、演算手段13は第2の熱システム200への改造に対して否定的判断(第2の熱システム200への改造を行わないとの判断)をする(ステップS10)。許容値は予め記憶手段11に入力されている。
本実施形態では被加熱設備と被除熱設備がヒートポンプによって接続される代わりに、被加熱設備と被除熱設備のいずれか一方が熱システム1の外部の熱源と接続される。すなわち、本実施形態の第2の熱システムでは、被加熱設備または被除熱設備が熱源流体を有する熱源と接続され、被加熱設備または被除熱設備と熱源流体との間の熱移動がヒートポンプによって行われる。以下の説明では、選択された被加熱設備または被除熱設備を対象設備といい、対象設備を流れる流体を内部流体という場合がある。ここでは第1の実施形態と同じステップについては詳細な説明を省略し、主に第1の実施形態との差異について説明する。図6に本実施形態に係る熱システム2を示している。熱システム2は熱システム1の外部に位置する熱源D1〜D4を有している。熱源D1〜D4としては井戸、市水などが挙げられるが、これらに限定されない。熱源D1〜D4は空気であってもよい。図7に本実施形態の熱システムの設計方法の概略フローを示す。
100,300 第1の熱システム
200,400 第2の熱システム
201,401 ヒートポンプ
A1〜A5 被加熱設備
B1〜B5 被除熱設備
C1〜C5 除熱装置
D1〜D4 熱源
H1〜H5 加熱装置
Claims (11)
- 被加熱設備の内部を流通する被加熱流体の加熱と、被除熱設備の内部を流通する被除熱流体の除熱とが顕熱によって行われる第1の熱システムを、前記被除熱流体がヒートポンプによって除熱され、前記被除熱流体から奪われた熱が前記ヒートポンプによって前記被加熱流体に加えられる第2の熱システムに変更することの適否を判定する熱システムの設計方法であって、
前記被加熱設備及び前記被除熱設備の位置情報、並びに前記被加熱流体と前記被除熱流体の温度及び流量に関する情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報並びに前記温度及び流量に関する情報に基づき、前記第1の熱システムにおいて前記被加熱流体の加熱と前記被除熱流体の除熱に要する第1の運転コストと、前記第2の熱システムにおいて前記被除熱流体を除熱し前記被加熱流体を加熱するのに要する第2の運転コストと、前記第1の熱システムを前記第2の熱システムに改造するための改造コストと、を演算するコスト算出ステップと、
少なくとも前記コスト算出ステップにおける演算結果に基づいて、前記第2の熱システムに変更することの適否を判断する判断ステップと、を有する、熱システムの設計方法。 - 前記第2の運転コストと前記改造コストの合計が前記第1の運転コストを下回る投資回収期間を算出する投資回収期間算出ステップを有し、
前記判断ステップでは、前記投資回収期間が所定の許容値を下回るときに前記第2の熱システムへの変更についての肯定的判断を行う、請求項1に記載の熱システムの設計方法。 - 前記被加熱設備と前記被除熱設備の少なくともいずれかは複数設けられ、
すべての前記被加熱設備とすべての前記被除熱設備に対して前記記憶ステップが行われ、前記被加熱設備と前記被除熱設備との組み合わせが互いに異なる少なくとも2以上の組について前記コスト算出ステップと前記投資回収期間算出ステップとが行われ、最も前記投資回収期間の短い組について前記判断ステップが行われる、請求項2に記載の熱システムの設計方法。 - 前記第1の熱システムから前記第2の熱システムに変更した場合の二酸化炭素排出量の削減量の予測値を求める二酸化炭素排出削減量予測ステップを有し、
前記判断ステップでは、前記コスト算出ステップにおける前記演算結果と、前記二酸化炭素排出削減量予測ステップにおける二酸化炭素排出量の削減量の前記予測値と、に基づき、前記第2の熱システムに変更することの適否を判断する、請求項1に記載の熱システムの設計方法。 - 前記被加熱設備と前記被除熱設備の位置情報がマップとしてコンピュータの表示装置に表示される、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱システムの設計方法。
- 対象設備の内部を流通する内部流体の加熱または除熱が顕熱によって行われる第1の熱システムを、熱源が有する熱源流体と前記内部流体との間の熱移動がヒートポンプによって行われる第2の熱システムに変更することの適否を判定する熱システムの設計方法であって、
前記対象設備及び前記熱源の位置情報、並びに前記内部流体と前記熱源流体の温度及び流量に関する情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記位置情報並びに前記内部流体と前記熱源流体の前記温度及び流量に関する情報に基づき、前記第1の熱システムにおいて前記内部流体の加熱または除熱に要する第1の運転コストと、前記第2の熱システムにおいて前記熱源流体と前記内部流体との間の熱移動に要する第2の運転コストと、前記第1の熱システムを前記第2の熱システムに改造するための改造コストと、を算出するコスト算出ステップと、
少なくとも前記コスト算出ステップにおける演算結果に基づいて、前記第2の熱システムに変更することの適否を判断する判断ステップと、を有する、熱システムの設計方法。 - 前記第2の運転コストと前記改造コストの合計が前記第1の運転コストを下回る投資回収期間を算出する投資回収期間算出ステップを有し、
前記判断ステップでは、前記投資回収期間が所定の許容値を下回るときに前記第2の熱システムへの変更についての肯定的判断を行う、請求項6に記載の熱システムの設計方法。 - 前記対象設備と前記熱源の少なくともいずれかは複数設けられ、
すべての前記対象設備とすべての前記熱源に対して前記記憶ステップが行われ、前記対象設備と前記熱源との組み合わせが互いに異なる少なくとも2以上の組について前記コスト算出ステップと前記投資回収期間算出ステップとが行われ、最も前記投資回収期間の短い熱源について前記判断ステップが行われる、請求項7に記載の熱システムの設計方法。 - 前記第1の熱システムから前記第2の熱システムに変更した場合の二酸化炭素排出量の削減量の予測値を求める二酸化炭素排出削減量予測ステップを有し、
前記判断ステップでは、前記コスト算出ステップにおける前記演算結果と、前記二酸化炭素排出削減量予測ステップにおける二酸化炭素排出量の削減量の前記予測値と、に基づき、前記第2の熱システムに変更することの適否を判断する、請求項6に記載の熱システムの設計方法。 - 前記対象設備と前記熱源の位置情報がマップとしてコンピュータの表示装置に表示される、請求項6から9のいずれか1項に記載の熱システムの設計方法。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の熱システムの設計方法において前記第2の熱システムに改造することに関して肯定的判断がされたときに、前記第1の熱システムを前記第2の熱システムに改造するステップを行うことを有する、熱システムの改造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113032992A (zh) * | 2021-03-22 | 2021-06-25 | 西安热工研究院有限公司 | 一种与煤电耦合的高压空气储能系统最优冷源的确定方法 |
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JP2013029233A (ja) * | 2011-07-27 | 2013-02-07 | Chiyoda Kako Kensetsu Kk | 産業向けヒートポンプ導入解析装置 |
JP2014157526A (ja) * | 2013-02-18 | 2014-08-28 | Fuji Electric Co Ltd | 熱対策機器導入省エネ試算評価システム及び評価方法 |
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