JP2020068660A - 流体取扱装置およびこれを用いた流体取扱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の加熱および冷却を繰返しても、流体の汚染が少なく、PCR法を適切に行うことが可能な流体取扱装置、およびこれを用いた流体取扱方法を提供する。【解決手段】流体取扱装置は、流路チップと、容器本体と、接着層と、を備える。容器本体は、流路チップの排出部に接続された、流体を収容するための収容部と、収容部の開口縁を囲むように配置された、収容部の径方向に延在するプレート部と、を有し、収容部は、収容部内において収容部の外壁に沿って周方向に延在する、収容部と同一方向に開口を有する内周溝を有する。容器本体のプレート部が、流路チップと接着層を介して接合されている。接着層は、容器本体の内周溝の内径よりも大きく、かつ内周溝の外径より小さい径の開口部を有し、開口部の端部が、内周溝上に位置し、排出部は、容器本体の収容部上であって内周溝上ではない位置に配置されている。【選択図】図2
Description
本発明は、流体取扱装置およびこれを用いた流体取扱方法に関する。
近年、膨大な数の遺伝子配列の中から特定の遺伝子配列を選択的に増幅させる方法として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法と称される技術が実用化されている。PCR法では、2本鎖DNAを1本鎖DNAに変性させる。その後、1本鎖DNAの特定の部位にのみ結合するプライマを用いて、1本鎖DNAの特定の領域に対応する鎖を生成する。そして、これらを繰り返すことで、特定の2本鎖DNAのみを増幅させる。
このようなPCR法において、2本鎖DNAを1本鎖DNAに変性する際、DNAやプライマを含む溶液を加熱する必要がある。一方、1本鎖DNAにプライマを結合させる際には、当該溶液を冷却する必要がある。つまり、PCR法では、溶液の加熱および冷却を繰返し行う必要がある。
ここで、PCR法に用いる流体取扱装置として、種々の装置が提案されている。例えば図1Aに示すように、流体150を収容するための容器本体110と、容器本体110に流体150を供給するための流路チップ130と、これらを接合するための接着層120と、を備える流体取扱装置100が提案されている(特許文献1)。当該流体取扱装置100では、容器本体110の上方および下方に配置される温度調節装置141、142によって、容器本体110内の流体150の加熱や冷却が行われる。
ここで、容器本体110と流路チップ130とを、接着層120によって確実に貼り合わせるためには、容器本体110と流路チップ130との間に位置する接着層120の面積を大きくすることが好ましい。そのため、容器本体110と流路チップ130との接合面の面積より、接着層120の面積を大きくすることが考えられる。しかしながらこの場合、流体150を収容する領域上にも、接着層120が配置される。
このような流体取扱装置100において、流体150を加熱すると、流体150中の成分の一部が気化する(図1A)。その後、当該流体取扱装置100を冷却すると、気化した成分の一部が、接着層120表面や流路チップ130表面で結露する。そして、図1Bに示すように、結露した成分が流体150側に落下したり、容器本体110の側壁を伝って流体150側に移動する。しかしながら、接着層120と接触した後の成分には、不純物が含まれることが多い。そしてこのような不純物が流体150に混入すると、PCR法を適切に行うことができない、という課題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。流体の加熱および冷却を繰返しても、流体の汚染が少なく、PCR法を適切に行うことが可能な流体取扱装置、およびこれを用いた流体取扱方法の提供を目的とする。
本発明は、以下の流体取扱装置を提供する。
流体を導入するための導入部、流体を排出するための排出部、およびこれらを連結する流路、を含む流路チップと、前記流路チップの前記排出部から排出される流体を収容するための容器本体と、前記流路チップおよび前記容器本体を貼り合わせるための接着層と、を備える流体取扱装置であって、前記容器本体は、前記流路チップの前記排出部に接続された、流体を収容するための収容部と、前記収容部の開口縁を囲むように配置された、前記収容部の径方向に延在するプレート部と、を有し、前記収容部は、前記収容部内において前記収容部の外壁に沿って周方向に延在する、前記収容部と同一方向に開口を有する内周溝を有し、前記容器本体の前記プレート部が、前記流路チップと前記接着層を介して接合されており、前記接着層は、前記容器本体の内周溝の内径よりも大きく、かつ前記内周溝の外径より小さい径の開口部を有し、前記開口部の端部が、前記内周溝上に位置し、前記排出部は、前記容器本体の前記収容部上であって前記内周溝上ではない位置に配置されている、流体取扱装置。
流体を導入するための導入部、流体を排出するための排出部、およびこれらを連結する流路、を含む流路チップと、前記流路チップの前記排出部から排出される流体を収容するための容器本体と、前記流路チップおよび前記容器本体を貼り合わせるための接着層と、を備える流体取扱装置であって、前記容器本体は、前記流路チップの前記排出部に接続された、流体を収容するための収容部と、前記収容部の開口縁を囲むように配置された、前記収容部の径方向に延在するプレート部と、を有し、前記収容部は、前記収容部内において前記収容部の外壁に沿って周方向に延在する、前記収容部と同一方向に開口を有する内周溝を有し、前記容器本体の前記プレート部が、前記流路チップと前記接着層を介して接合されており、前記接着層は、前記容器本体の内周溝の内径よりも大きく、かつ前記内周溝の外径より小さい径の開口部を有し、前記開口部の端部が、前記内周溝上に位置し、前記排出部は、前記容器本体の前記収容部上であって前記内周溝上ではない位置に配置されている、流体取扱装置。
本発明は、以下の流体取扱方法も提供する。
上述の流体取扱装置を用いた流体取扱方法であって、前記流路チップ内の流体を、前記容器本体の収容部側に移動させる工程と、前記容器本体に収容された流体の加熱および冷却を行う工程と、を有する、流体取扱方法。
上述の流体取扱装置を用いた流体取扱方法であって、前記流路チップ内の流体を、前記容器本体の収容部側に移動させる工程と、前記容器本体に収容された流体の加熱および冷却を行う工程と、を有する、流体取扱方法。
本発明によれば、容器本体の収容部に収容された流体の加熱および冷却を繰り返したとしても、接着層に接触した成分が容器本体の収容部内の流体に混ざることがない。したがって、収容部内の流体に不純物が入り込み難く、PCR法を適切に行うことができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る流体取扱装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面に示されている寸法または寸法の比率は、説明をわかりやすくするため、実際の寸法または寸法の比率とは異なる場合がある。
本実施の形態の流体取扱装置の概略断面図を、図2に示す。本実施の形態の流体取扱装置1は、容器本体10と、流路チップ30とが、接着層20を介して貼り合わせられた構造を有する。当該流体取扱装置1は、容器本体10が重力方向下方、流路チップ30が重力方向上方になるように配置されて使用される。当該流体取扱装置1は、例えば、PCR法を行う際に好適に用いることができ、以下、この態様を中心に説明する。ただし、当該流体取扱装置1は、PCR法以外の他の用途に用いてもよい。
容器本体10は、PCR法を行う際に、DNAやプライマ等を含む流体(図示せず)を収容するための部材である。当該容器本体10の内部で流体の加熱や冷却が行われる。ここで、本実施の形態で使用する流体は、例えば特定のDNAと、これを増殖するためのプライマと、溶媒と、を含む液体等とすることができるが、これらに限定されない。
容器本体10は、流路チップ30から移動してくる流体を収容するための収容部11と、収容部11の開口縁を囲むように配置された、収容部11の径方向に延在するプレート部13と、を有する。
収容部11は、底面と、これを囲む側壁面とを有し、流路チップ30と対向する面に開口を有する、凹状の領域である。収容部11の外形は、流路チップ30から離れるにしたがって径が小さくなる略円錐台状である。またその内部には、外形と略相似状の略円錐台状の空間が設けられている。ただし、収容部11の外形やその内部の空間の形状はこれらの形状に限定されず、それぞれ円柱状や角柱状、角錐状等であってもよい。また、収容部11内部の空間の体積は、所望の量の流体を収容可能であればよく、その内径や深さは、適宜設定される。
収容部11の内部には、収容部11の外壁11aに沿って周方向に(収容部11の中心軸を取り囲むように)延在し、収容部11と同一方向に開口する内周溝12が形成されている。本実施の形態では、内周溝12は、収容部11と同心の円環状の溝である。本実施の形態では、内周溝12は、収容部11を規定する外壁11aと、外壁11aの内側から収容部11の開口に向かって延在する内壁11bとによって規定されている。
内周溝12の幅および深さは、PCR法を行った際に、接着層20や流路チップ30等の表面で結露した成分を全て収容可能であれば、特に制限されない。たとえば、流体を加熱したときに蒸発する成分の量に基づいて、内周溝12の幅および深さを設定することができる。
また、本実施の形態では、内周溝12の断面形状を略三角形状としているが、当該形状に限定されない。断面形状は、半円状や台形状、矩形状等、いずれの形状であってもよい。また、本実施の形態では、内周溝12の幅および深さが、全周に亘って略同じであるが、これらが連続的または断続的に変化していてもよい。
また、内周溝12を規定する内壁11bの厚みおよび断面形状は特に制限されない。本実施の形態では、外壁11aから離れるにつれて薄くなるように形成されている。
容器本体10のプレート部13は、収容部11の開口縁を囲むように配置された、収容部11の径方向に延在する板状の領域である。当該プレート部13と、後述の流路チップ30とが、接着層20を介して接合されることで容器本体10と流路チップ30とが固定される。
本実施の形態では、プレート部13が円環状に形成されているが、当該形状に制限されない。またその幅も、接着層20を介して流路チップ30と容器本体10とを貼り合わせた際に、十分な強度が得られる幅であれば特に制限されない。
なお、プレート部13の流路チップ30側の面は、本実施の形態では平面状であるが、対向して配置される流路チップ30の形状に合わせて、凹部や凸部等を有していてもよい。また、プレート部13の流路チップ30と反対側の面の形状も特に制限されず、任意の形状とすることができる。
このような容器本体10は樹脂からなり、本実施の形態では、収容部11およびプレート部13が射出成形等によって一体に成形されている。ただし、容器本体10は、別々に成形された部材を組み立てて形成したものであってもよい。容器本体10を構成する樹脂は、PCR法における加熱や冷却に耐えることが可能であり、かつ熱膨張や熱収縮の少ない樹脂であることが好ましい。このような樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン;ポリエーテル;ポリスチレン;シリコーン樹脂;ならびに各種エラストマー等の樹脂材料が含まれる。
接着層20は、上述の容器本体10と、後述の流路チップ30とを接合するための層である。本実施の形態では、接着層20が、容器本体10のプレート部13の全面を覆う形状とされている。一方で、接着層20が容器本体10の収容部11を覆わないように、接着層20には円形状の開口部21が形成されている。
当該接着層20の開口部21の径M1は、内周溝12の外径R1より小さく、かつ内周溝12の内径R2より大きく設定されている。このような接着層20によって、容器本体10と流路チップ30とを接合すると、接着層20が、容器本体10のプレート部13と収容部11との境界から、収容部11側に一部はみ出す。ただし、接着層20がはみ出す幅L1は、内周溝12の幅L2より小さくなる。したがって、開口部21の端部21aが、内周溝12上に位置することとなり、容器本体10の収容部11上であって内周溝12上ではない領域には、接着層20が配置されない。
ここで、接着層20の種類は特に制限されないが、本実施の形態では、シリコーン系接着剤を含む層としている。シリコーン系接着剤は、耐熱性が高く、流体取扱装置1の加熱や冷却を繰返しても変化が少ない。そのため、PCR法における繰返しの温度変化によっても、容器本体10や流路チップ30と接着層20とが剥離し難い。ただし、接着層20がシリコーン系接着剤を含むと、流体中の成分が接着層20に付着した際、その一部が溶出し、不純物となることがある。そこで、本実施の形態では、上述のように開口部21の端部21aを内周溝12上に配置している。
なお、接着層20は、自立可能なシートからなる層であってもよく、例えば流路チップ30の一方の面に接着剤を塗布して得られる膜等であってもよい。また、接着層20の厚みは、容器本体10と流路チップ30とを十分に接着可能であれば特に制限されず、接着層20の種類や、要求される接着強度等に応じて適宜選択される。
流路チップ30は、所望の流体を容器本体に移動させるための部材であり、流体を導入するための導入部(図示せず)と、流体を排出するための排出部34と、これらを連結する流路33と、容器本体10の収容部11を流体取扱装置1の外部とを連通させるための貫通孔35と、を有する。
本実施の形態では、流路チップ30が、本体部31と、当該本体部31の一方の面(以下、本体部の「表面」とも称する)に貼り合わせられたフィルム32と、から構成され、本体部31に設けられた溝とフィルム32とに囲まれた領域が流路33となる。
本体部31は、導入部(図示せず)の一部となる本体部側導入部(図示せず)と、流路33の一部として機能する溝と、流体を容器本体10の収容部11に排出するための排出部34と、貫通孔35の一部となる本体部側貫通孔35aと、を有する。
本体部側導入部(図示せず)は、本体部31に設けられた凹部であり、フィルム32側に設けられた貫通孔(フィルム側導入部(図示せず))と接続されている。また、本体部側導入部は、溝の一端とも接続されている。本体部側導入部の位置は、容器本体10や接着層20と干渉しない位置であればよく、流路チップ30の流路33の形状等に応じて、適宜選択される。
一方、流路33の一部として機能する溝は、一端が導入部(本体部側導入部)と接続され、他端が排出部34と接続されていればよい。当該溝の深さや幅、形状等は、流体の種類や量に応じて適宜選択される。
また、排出部34は、本体部31に設けられた貫通孔であり、溝の他端と接続されている。排出部34は、容器本体10と流路チップ30とを接着層20を介して接合した際に、容器本体10の収容部11上であって、内周溝12上ではない位置に形成される。
また、本体部側貫通孔35aは、容器本体10の収容部11上に位置するよう配置されていればよく、上述の導入部や流路33、排出部34と干渉しない位置であれば、その位置は特に制限されない。
一方、フィルム32は、本体部31を覆う平坦な膜であり、流体を導入するための貫通孔(フィルム側導入部(図示せず))と、上述の本体部側貫通孔35aと対応する位置に形成されたフィルム側貫通孔35bと、を有する。当該フィルム32の厚み等は適宜選択される。
本体部31およびフィルム32は樹脂からなる。これらの樹脂は、PCR法における加熱や冷却に耐えることが可能な樹脂であり、かつ熱膨張や熱収縮の少ない樹脂であることが好ましい。このような本体部31およびフィルム32を構成する樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィン樹脂等のポリオレフィン;ポリエーテル;ポリスチレン;シリコーン樹脂;ならびに各種エラストマー等の樹脂材料等が含まれる。
また、本体部31とフィルム32との接合は、熱融着や、接着剤による接着等、公知の方法で行うことができる。
(流体取扱方法)
次に、上述の流体取扱装置1を用いた流体取扱方法について、以下説明する。当該流体取扱方法は、流路チップ30内の流体を、容器本体10の収容部11側に移動させる工程(以下「流体収容工程」とも称する)と、容器本体10の収容部11に収容された流体の加熱および冷却を行う工程(以下「PCR工程」とも称する)と、を含む。
次に、上述の流体取扱装置1を用いた流体取扱方法について、以下説明する。当該流体取扱方法は、流路チップ30内の流体を、容器本体10の収容部11側に移動させる工程(以下「流体収容工程」とも称する)と、容器本体10の収容部11に収容された流体の加熱および冷却を行う工程(以下「PCR工程」とも称する)と、を含む。
流体収容工程では、流路チップ30の導入部(図示せず)から、DNAやプライマ等を含む流体を注入する。DNAやプライマ等は、ドロップレットとして供給してもよい。そして、流路チップ30の貫通孔35と、吸引装置(図示せず)とを接続し、当該貫通孔35から、容器本体10の収容部11内の空気を吸引する。これにより、収容部11内に負圧が発生し、流路チップ30内の流体が、容器本体10の収容部11側に移動する。
その後、必要に応じて、流路チップ30の貫通孔35を塞ぐ。これらを塞ぐ方法は特に制限されず、例えば、樹脂製のキャップ等を嵌め込んでもよく、シール部材等をフィルム32側に貼り付けてもよい。
さらに、流路チップ30のフィルム32側、および/または容器本体10の収容部11側に、温度制御装置(図示せず)を配置する。温度制御装置は、容器本体10内部の流体を、所望の温度まで加熱したり冷却したりすることが可能な装置であれば特に制限されず、一般的なPCR法に用いられる温度制御装置と同様とすることができる。
そして、容器本体10の収容部11内で、特定のDNAを増殖させる(PCR工程)。具体的には、容器本体10の収容部11内の温度を上げることで、収容部11内の2本鎖DNAを1本鎖DNAに分離させる。このときの温度は、例えば90℃以上に設定することができる。2本鎖DNAが分離することで、2つの1本鎖DNAが生成する。
次に、温度を40〜65℃程度に下げて、分離した1本鎖DNAの特定の部位にプライマを結合させる。その後、温度を70℃程度にまで上げて、プライマに対応する部分の2本鎖DNAを伸長させる。これにより、2本鎖DNAが2つ生成する。そして、これらの処理を繰り返すことで、特定のDNAを増殖させることができる。
(効果)
前述のように、容器本体10の収容部11内に収容された流体の加熱を行うと、流体の一部の成分が揮発し、接着層20側に移動する。その後、流体の冷却を行うと、これらの成分が接着層20表面等で結露する。ここで、本実施の形態の流体取扱装置1では、接着層20の開口部の端部21aが、内周溝12上に配置されている。そのため、接着層20と接触した成分(液滴)が落下したり、外壁11aを伝って移動したとしても、内周溝12の外部に出ることがない。したがって、接着層20に接触した成分が、収容部11内の流体が収容されている部分に再び戻ることがなく、収容部11内の流体が汚染されにくい。
前述のように、容器本体10の収容部11内に収容された流体の加熱を行うと、流体の一部の成分が揮発し、接着層20側に移動する。その後、流体の冷却を行うと、これらの成分が接着層20表面等で結露する。ここで、本実施の形態の流体取扱装置1では、接着層20の開口部の端部21aが、内周溝12上に配置されている。そのため、接着層20と接触した成分(液滴)が落下したり、外壁11aを伝って移動したとしても、内周溝12の外部に出ることがない。したがって、接着層20に接触した成分が、収容部11内の流体が収容されている部分に再び戻ることがなく、収容部11内の流体が汚染されにくい。
(変形例)
上述の実施の形態では、収容部を1つのみ有する容器本体と、流路チップとを、接着層を介して貼り合わせた構成を例に説明したが、図3および図4の斜視図に示すように、流体取扱装置200、300は、収容部11を複数有する容器本体10と、流路チップ30とを、接着層20を介して貼り合わせた構造を有していてもよい。当該変形例における容器本体10は、複数の収容部11を有する以外は、上述の実施の形態の容器本体と同様とすることができる。また、接着層20も、容器本体10の各収容部11上に、それぞれ開口部(図示せず)を有すること以外は、上述の実施の形態の接着層と同様とすることができる。さらに、流路チップ30も、容器本体10の各収容部11上に、貫通孔35を有し、所望の収容部11に所望の流体を移動させることが可能なように、導入部(図示せず)や、排出部(図示せず)、および流路(図示せず)が配置されている以外は、上述の実施の形態の流路チップと同様とすることができる。なお、収容部11の数は特に制限されず、例えば図3に示すように、1×8個としてもよく、図4に示すように、3×8個としてもよい。
上述の実施の形態では、収容部を1つのみ有する容器本体と、流路チップとを、接着層を介して貼り合わせた構成を例に説明したが、図3および図4の斜視図に示すように、流体取扱装置200、300は、収容部11を複数有する容器本体10と、流路チップ30とを、接着層20を介して貼り合わせた構造を有していてもよい。当該変形例における容器本体10は、複数の収容部11を有する以外は、上述の実施の形態の容器本体と同様とすることができる。また、接着層20も、容器本体10の各収容部11上に、それぞれ開口部(図示せず)を有すること以外は、上述の実施の形態の接着層と同様とすることができる。さらに、流路チップ30も、容器本体10の各収容部11上に、貫通孔35を有し、所望の収容部11に所望の流体を移動させることが可能なように、導入部(図示せず)や、排出部(図示せず)、および流路(図示せず)が配置されている以外は、上述の実施の形態の流路チップと同様とすることができる。なお、収容部11の数は特に制限されず、例えば図3に示すように、1×8個としてもよく、図4に示すように、3×8個としてもよい。
また、上述の実施の形態では、容器本体の内周溝が、収容部の中心軸を囲むように配置されているが、内周溝は、接着層の端部の形状に合わせて形成されていればよい。例えば、収容部を平面視した場合に、特定の方向において外周溝が形成されていなくてもよい。
また、上述の実施の形態では、流路チップの貫通孔から容器本体の収容部内の空気を吸引して、流体を流路チップ側から収容部内に移動させる、としたが、このような貫通孔を設けず、導入部側から圧力をかけて、流体を容器本体の収容部側に移動させてもよい。
本発明の流体取扱装置、および流体取扱方法は、特にPCR法を行った分析や試験等に非常に有用である。
1、100、200、300 流体取扱装置
10、110 容器本体
11 収容部
11a 外壁
11b 内壁
12 内周溝
13 プレート部
20、120 接着層
21 開口部
21a 開口部の端部
30、130 流路チップ
31 本体部
32 フィルム
33 流路
34 排出部
35 貫通孔
35a 本体部側貫通孔
35b フィルム側貫通孔
141、142 温度調節装置
150 流体
M1 接着層の開口部の径
L1 接着層がはみ出す幅
L2 内周溝の幅
R1 内周溝の外径
R2 内周溝の内径
10、110 容器本体
11 収容部
11a 外壁
11b 内壁
12 内周溝
13 プレート部
20、120 接着層
21 開口部
21a 開口部の端部
30、130 流路チップ
31 本体部
32 フィルム
33 流路
34 排出部
35 貫通孔
35a 本体部側貫通孔
35b フィルム側貫通孔
141、142 温度調節装置
150 流体
M1 接着層の開口部の径
L1 接着層がはみ出す幅
L2 内周溝の幅
R1 内周溝の外径
R2 内周溝の内径
Claims (4)
- 流体を導入するための導入部、流体を排出するための排出部、およびこれらを連結する流路、を含む流路チップと、
前記流路チップの前記排出部から排出される流体を収容するための容器本体と、
前記流路チップおよび前記容器本体を貼り合わせるための接着層と、
を備える流体取扱装置であって、
前記容器本体は、前記流路チップの前記排出部に接続された、流体を収容するための収容部と、前記収容部の開口縁を囲むように配置された、前記収容部の径方向に延在するプレート部と、を有し、
前記収容部は、前記収容部内において前記収容部の外壁に沿って周方向に延在する、前記収容部と同一方向に開口を有する内周溝を有し、
前記容器本体の前記プレート部が、前記流路チップと前記接着層を介して接合されており、
前記接着層は、前記容器本体の内周溝の内径よりも大きく、かつ前記内周溝の外径より小さい径の開口部を有し、前記開口部の端部が、前記内周溝上に位置し、
前記排出部は、前記容器本体の前記収容部上であって前記内周溝上ではない位置に配置されている、
流体取扱装置。 - 前記内周溝は、前記収容部を規定する外壁と、前記外壁の内側から前記収容部の開口に向かって延在する内壁とによって規定される、請求項1に記載の流体取扱装置。
- 前記流路チップは、前記容器本体の前記収容部上であって前記内周溝上ではない位置に貫通孔をさらに有する、
請求項1または2に記載の流体取扱装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体取扱装置を用いた流体取扱方法であって、
前記流路チップ内の流体を、前記容器本体の収容部側に移動させる工程と、
前記容器本体の前記収容部に収容された流体の加熱および冷却を行う工程と、
を有する、
流体取扱方法。
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