JP2020067153A - 直動装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)軸方向に延び、外周面に軌道面を有する案内軸と、
内部に前記案内軸の軌道面に対面する軌道面を有し、前記案内軸に沿って往復運動する移動体と、
前記案内軸の軌道面と、前記移動体の軌道面とで形成される空間を転動するボールとを備える直動装置において、
前記案内軸の軌道面及び前記移動体の軌道面の少なくとも一方に、開口直径が10〜30μmで、深さ1〜3μmの凹凸を、1mm2当たり200〜500個有することを特徴とする直動装置。
(2)前記軌道面のStrが0.2以上であることを特徴とする上記(1)記載の直動装置。
(3)軸方向に延び、外周面に軌道面を有する案内軸と、
内部に前記案内軸の軌道面に対面する軌道面を有し、前記案内軸に沿って往復運動する移動体と、
前記案内軸の軌道面と、前記移動体の軌道面とで形成される空間を転動するボールとを備える直動装置の製造方法において、
前記案内軸の軌道面及び前記移動体の軌道面の少なくとも一方を、焼入れ工程後に研削加工または切削加工を施した後、前記軌道面の表面をブラスト処理して、開口直径が10〜30μmで、深さ1〜3μmの凹凸を、1mm2当たり200〜500個形成することを特徴とする直動装置の製造方法。
(4)前記ブラスト処理がショットピーニング処理であり、前記軌道面の断面形状の接線に対して直交する角度にてショット材を該軌道面に衝突させることを特徴とする上記(3)記載の直動装置の製造方法。
(5)前記軌道面の表面を、Strを0.2以上にすることを特徴とする上記(3)または(4)記載の直動装置の製造方法。
本発明において直動装置には制限はなく、ボールねじ装置やリニアガイド装置全般に適用することができる。そのため、本明細書ではこれら装置の具体的な図示は省略する。そして、本発明では、ボールねじ装置のねじ軸やナットの各軌道面、リニアガイド装置の案内レールやスライダの各軌道面の表面の表面性状を下記のように規定する。
本発明はまた、上記の直動装置の製造方法に関する。ブラスト処理までの工程は常法に従うことができ、例えば高炭素鋼等からなる素材を用いてねじ軸やナット、案内レールやスライダの形状に加工し、熱処理を行った後、切削加工や研削加工により軌道面を形成し、更にブラスト処理を施す。このブラスト処理により軌道面にショット材を高速で衝突させ、切削加工や研削加工による筋状の加工痕跡の頂部を潰し、微細な凹凸を形成する。
また、軌道面は螺旋溝であるため、軌道面に均一にブラスト処理を行う為に、ショット対象(ねじ軸又はナット)を回転させると共に、噴射ノズルをショット対象の回転に同期させて軸方向に移動させながらブラスト処理を行うことが好ましい。
さらに、図5では、ゴシックアーチ状の軌道面1の片側の円弧にブラスト処理を行っているが、複数の噴射ノズルを用いて、軌道面の両側の円弧に同時にブラスト処理を行っても良い。これにより、軌道面に効率よくブラスト処理を施すことができる。
(比較例1)
高炭素鋼をボールねじ装置のねじ軸形状に加工し、熱処理した後研削加工により断面がゴシックアーチ状の軌道面を螺旋状に形成した。そして、この軌道面を電子顕微鏡で観察したところ、図1に示すように、筋状の加工痕が見られた。また、同観察面について三次元表面粗さ測定機を用いて極座標グラフを求めたところ、図2に示すように、90°付近に一本の角スペクトルが観察された。Strを求めたところ、0.03であった。
比較例1で作製したねじ軸について、平均直径が50μmの鋼球を用いたショットピーニング処理を施した。ショット圧は0.3MPaであり、図5に示すように軌道面の接線と直交するようにショット材を噴射した。そして、ショットピーニング処理後の軌道面を電子顕微鏡で観察したところ、図3に示すように、筋状の加工痕が無くなり、代わりに微細な凹凸が多数形成されていた。凹凸は、開口直径が10〜30μmで、深さが1.8〜2.8μmであり、1mm2当たり450個存在していた。また、同観察面について三次元表面粗さ測定機を用いて極座標グラフを求めたところ、図4に示すように、ほぼ全ての方向に一様な角スペクトルが観察された。Strを求めたところ、0.83であった。
比較例1のねじ軸に、ショットピーニング処理していないナットを用いて、ボールねじ装置を組み立てた。また、実施例1のねじ軸に、ショットピーニング処理したナットを用いて、ボールねじ装置を組み立てた。また、ボールは両ボールねじ装置とも共通とした。尚、以降に示す[試験例3]、「試験例4」及び[試験例5]も、同様の2つのボールねじ装置を用いた。
そして、両ボールねじ装置について、回転数を変えてトルク値を測定した。結果を図6に示すが、ショットピーニング処理した実施例1のねじ軸を用いることにより、トルクが小さくなることがわかる。これは、ショットピーニング処理により形成された微細な凹凸に潤滑剤が溜り、潤滑性能が高まったことが原因であると推察される。
試験2と同様の両ボールねじ装置について、回転速度1min−1で低速運転し、100往復した時のトルク残存率を測定した。結果を図7に示すが、ショットピーニング処理した実施例1のねじ軸を用いた場合、100往復後でもトルクが初期のまま残存している(残存率100%)。これに対し、ショットピーニング処理していない比較例1のねじ軸を用いた場合、100往復後のトルクが初期の34%にまで低下している。このように、ショットピーニング処理を付加することにより、トルク残存率の低下を少なく抑えることもできる。
試験2と同様の両ボールねじ装置に、協同油脂製グリース「LRL3」に、異物として珪砂を1質量%混入して供給し、試験3と同様にしてトルク残存率を測定した。結果を図8に示すが、ショットピーニング処理した実施例1のねじ軸を用いた場合は、ショットピーニング処理していない比較例1のねじ軸を用いた場合に比べて約2倍のトルク残存率を示している。このように、ショットピーニング処理を付加することにより、異物耐久性を向上させることもできる。
試験2と同様の両ボールねじ装置を高負荷耐久性試験に供した。試験条件は下記の通りである。
・潤滑剤:リューベ株式会社製グリース「YS2」
・ねじ軸最大面圧2.6GPa、ナット最大面圧:2.2GPaとなる様に軸方向荷重を付加
結果を図9に示すが、ショットピーニング処理した実施例1のねじ軸を用いた場合は、ショットピーニング処理していない比較例1のねじ軸を用いた場合に比べて寿命が大きく伸びている。このように、ショットピーニング処理を付加することにより、高負荷で使ボールねじ装置を使用した場合でも、耐久性が大きく向上させることもできる。
10 噴射ノズル
A 噴射ノズルの噴射孔の中心を通る線
L 軌道面の接線
Claims (5)
- 軸方向に延び、外周面に軌道面を有する案内軸と、
内部に前記案内軸の軌道面に対面する軌道面を有し、前記案内軸に沿って往復運動する移動体と、
前記案内軸の軌道面と、前記移動体の軌道面とで形成される空間を転動するボールとを備える直動装置において、
前記案内軸の軌道面及び前記移動体の軌道面の少なくとも一方に、開口直径が10〜30μmで、深さ1〜3μmの凹凸を、1mm2当たり200〜500個有することを特徴とする直動装置。 - 前記軌道面のStrが0.2以上であることを特徴とする請求項1記載の直動装置。
- 軸方向に延び、外周面に軌道面を有する案内軸と、
内部に前記案内軸の軌道面に対面する軌道面を有し、前記案内軸に沿って往復運動する移動体と、
前記案内軸の軌道面と、前記移動体の軌道面とで形成される空間を転動するボールとを備える直動装置の製造方法において、
前記案内軸の軌道面及び前記移動体の軌道面の少なくとも一方を、焼入れ工程後に研削加工または切削加工を施した後、前記軌道面の表面をブラスト処理して、開口直径が10〜30μmで、深さ1〜3μmの凹凸を、1mm2当たり200〜500個形成することを特徴とする直動装置の製造方法。 - 前記ブラスト処理がショットピーニング処理であり、前記軌道面の断面形状の接線に対して直交する角度にてショット材を該軌道面に衝突させることを特徴とする請求項3記載の直動装置の製造方法。
- 前記軌道面の表面を、Strを0.2以上にすることを特徴とする請求項3または4記載の直動装置の製造方法。
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JP2005114076A (ja) * | 2003-10-09 | 2005-04-28 | Okuma Corp | ボールねじ |
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