JP2020066659A - 竹バイオマス燃料化プロセス及びそのバイオマスボイラー - Google Patents

竹バイオマス燃料化プロセス及びそのバイオマスボイラー Download PDF

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Abstract

【課題】竹を燃料とするバイオマスボイラーでは火格子でクリンカが発生するため不具合を生じる。【解決手段】 竹バイオマス燃料化プロセスの各工程を経ることにより束状竹燃料5を生成する。そして、バイオマスボイラー10は、火炉11に前記束状竹燃料5を供給する燃料供給装置12を備え、前記燃料供給装置12は、前記火炉11内部に向け前記束状竹燃料5をその燃焼に従って長手方向に押し込む燃料押し込み機構13を備え、前記火炉11では、前記燃料供給装置12に支持された状態の前記束状竹燃料5の燃焼個所33がその長手方向の一端から他端まで順次変位しながら燃焼していくようにした。【選択図】 図2

Description

本発明は、竹の新しいバイオマス燃料化プロセス、及びその竹バイオマス燃料化プロセスにより生成した竹バイオマス燃料を燃焼するバイオマスボイラーの技術に関する。
現在、木質バイオマスを主とする再生可能エネルギーの導入が積極的に進められている。ところが、製紙用やバイオマス発電の燃料としての需要が近年急増したことから、木質チップの価格高騰や慢性的な品薄状態が続いている。
一方、深刻な問題となっている竹林は、放置又は未整備の状態が長く続き里山の荒廃、局地的な豪雨の際の地滑りの原因となり甚大な災害被害を各地でもたらしている。
驚異的なスピード(約3年で成竹になる。)で増殖を続ける竹林を、効果的に管理するためには、竹を燃料(木材より20〜30%ほど熱量が高い。)とした熱利用が最善策である。
ところが、現在までの竹バイオマス燃料化プロセスでは、伐採された竹は、現地で玉切りしたものをそのままの状態で乾燥場所まで搬送するので、かさの割には重量が軽く無駄が多かった。また、乾燥に広い場所と長い時間を要していた。
そして、乾燥状態で竹をチップ加工する必要があるが、竹の直径は最大20cm程度と太く、これをチップ化するには大型のチッパーが必要である。チップ化の工程は、騒音、粉塵、振動がひどく作業環境が劣悪という問題もあった。大型のチッパーが高額で電力消費量も多く機械維持費も高いため、竹チップの高コスト要因となっていた。
さらに、伐採された竹の枝葉部分は、現在のチップ化燃焼には対応できないため、現地で廃棄処分されていた。廃棄時にそのままの形状ではかさ張るので、廃棄目的だけに自走式大型チッパーを持ち込んで粉砕処理したうえで廃棄していた。このため、2重のムダが発生しそのまま竹バイオマス燃料(竹燃料チップ)の価格に反映されていた。
一般的なバイオマスボイラー100の構造を図5に示す。バイオマスボイラー100は、燃料供給装置104を備えている。チップ化されたバイオマス燃料チップ101は、燃料供給装置104の燃料ホッパー102に投入される。燃料撹拌装置103によって撹拌された燃料チップ101は、燃料供給装置104のスクリューコンベア105まで落下する。そして、燃料チップ101はスクリューコンベア105によって火炉106内の火格子107上に投入される。
送風器108から送られた空気が火格子107の孔113を下から上に通過することによって、燃料チップ101が燃焼する。燃料チップ101が燃焼して生成した灰114は、火格子107の孔113から落下し、灰排出装置110のスクリューコンベア111によって、灰回収箱112の中に回収される。
しかし、竹を原料とする燃料チップ101を図5に示すバイオマスボイラー100で燃焼させると、以下の問題が発生する。
竹には、ケイ素(Si)成分とカリウム(K)成分が含まれており、バイオマス燃料として竹を燃焼させると、竹の灰中の酸化カリウム(KO)と二酸化ケイ素(SiO)の共晶反応が生じる。この共晶反応により生じた物質の融点は800℃以下と低い。竹の燃焼中に、火炉106内は1000℃程度の温度になり、この共晶により生じた物質が溶融し、溶岩状のクリンカ(溶融灰)が発生する。特に竹は他のバイオマス燃料に比べて、カリウムが多くクリンカの発生が多い。
発生したクリンカは火格子107の上に拡がり、火格子107の孔113を塞ぎ、火炉106内の空気の流入や排気を阻害して燃焼を継続させることができなくなる。また、クリンカは非常に硬くてハンマーで叩いてもなかなか取り除くことが困難である。さらに、落下物は灰排出装置110に詰まり、バイオマスボイラー100の失火を含め致命的な不具合の原因にもなっていた。
火格子を用いた燃焼方式には、火格子(固定床)の他、振動火格子、階段式火格子の方式が存在する。しかし、燃焼物がすべて火格子に接している為、これらの燃焼方式では、構造上クリンカの問題を解決するのは不可能である。火格子107はバイオマスボイラー100の基本的な構造であり、クリンカの問題の解決が望まれていた。
ほとんどのバイオマスボイラー100が、火格子107による燃焼方法を採用しているために、竹バイオマス燃料そのものに対する対策も提案されている。特許文献1には、竹を改質して、竹からカリウムを除去したものを燃料として用いることによるクリンカ発生の防止が提案されている。この特許文献1には、竹を粒径6mm以下まで微粒化し、微粒化した竹を常圧の水に浸して、カリウムや塩素を溶出させて除去する。そして、脱水した竹を燃料として用いるものである。
また、特許文献2には、竹材料に樹皮を混合したバイオマス燃料を燃焼させ、クリンカの発生を防止する燃焼装置が提案されている。この特許文献2には、燃焼した灰中の酸化カルシウムの重量パーセントが酸化カリウムの重量パーセントより多くなるように、前記バイオマス燃料の竹材料と樹皮との混合比率を設定している。
特開2016―125030号公報 特開2018―105610号公報
竹を原料とする燃料チップは、大きさが不均一となるため、スクリューコンベア等の燃料供給装置内で詰まりなどの不具合を生じやすい。この対応のために燃料供給装置から燃料チップを全て排出しなければならず、多くの時間と労力が無駄となる。
特許文献1に記載のものでは、竹の改質のために、水に浸す工程、脱水する工程を必要とし、燃料とするまでの作業工程が増加し、コストが増加する。
特許文献2に記載のものでは、バイオマス燃料として竹の他に樹皮が必要であり、竹材料に樹皮を混合する工程が必要となる。そのため、燃料とするまでの作業工程が増加し、コストが増加する。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するため、竹の新しいバイオマス燃料化プロセスを提案すると共に、そのプロセスにより生成した竹バイオマス燃料を燃焼することで火格子を用いない新しい燃焼方式を採用するバイオマスボイラーを提案する。
第1発明の竹バイオマス燃料化プロセスは、竹を伐採する伐採工程と、伐採した竹を所定の長さに玉切りする玉切り工程と、玉切りされた竹を繊維に沿って竹割りする竹割り工程と、割り竹を束ね所定の直径の束状竹燃料となるよう結束する結束工程と、前記束状竹燃料を乾燥させる乾燥工程と、からなる各工程を経ることにより竹を前記束状竹燃料に生成することを特徴とする。
第1発明の竹バイオマス燃料化プロセスにより生成された束状竹燃料は、バイオマスボイラーで燃焼させるための火格子を必要としないためクリンカの問題が生じない。また、束状竹燃料は、燃料供給装置内での詰まりの不具合を生じない。束状竹燃料は、竹を割って結束された状態で搬出するので、かさが減量され搬送時の積載ロスが生じない。束状竹燃料の生成に使用する、自走式竹割り機、自走式結束機は共に自走式なので、伐採現場が竹バイオマス燃料化工場となる。束状竹燃料は、割り竹の状態で乾燥するので、乾燥期間が従来方法より約1/2以下に短縮できる。
第2発明の竹バイオマス燃料化プロセスは、前記結束工程は、前記割り竹に加えて伐採された竹の枝葉を束ね、所定の直径の束状竹燃料となるよう結束する結束工程であることを特徴とする。
第2発明の竹バイオマス燃料化プロセスによれば、従来廃棄されていた竹の枝葉をも束状竹燃料に束ね燃料化するので、省資源化により燃料コストを下げることができる。
第3発明のバイオマスボイラーは、竹を燃料とするバイオマスボイラーであって、前記バイオマスボイラーは、前記束状竹燃料を燃焼させる火炉を備えたことを特徴とする。
第3発明のバイオマスボイラーは、従来の竹を原料とする燃料チップに代えて束状竹燃料を火炉で燃焼させ火格子を必要としないため、灰を留めることなく燃焼させクリンカの生成を防ぎ同時に竹炭を生成することができる。
第4発明のバイオマスボイラーは、前記火炉に前記束状竹燃料を供給する燃料供給装置を備え、前記燃料供給装置は、前記火炉内部に向け前記束状竹燃料をその燃焼に従って長手方向に押し込む燃料押し込み機構を備え、前記火炉では、前記燃料供給装置に支持された状態の前記束状竹燃料の燃焼個所がその長手方向の一端から他端まで順次変位しながら燃焼していくことを特徴とする。
第4発明のバイオマスボイラーは、前記燃料供給装置が、前記火炉内部に向け前記束状竹燃料をその燃焼に従って長手方向に押し込む燃料押し込み機構を備えており、前記火炉では、前記燃料供給装置に支持された状態の前記束状竹燃料の燃焼個所がその長手方向の一端から他端まで順次変位しながら燃焼していくようにしたので、前記束状竹燃料を連続して燃焼させることができる。
第5発明のバイオマスボイラーは、前記燃料供給装置は、さらに前記燃料押し込み機構の前段に燃料ホッパーを備え、前記燃料ホッパーは、その投入口に投入された前記束状竹燃料を前記燃料押し込み機構に供給することを特徴とする。
第5発明のバイオマスボイラーは、前記燃料供給装置の燃料ホッパーが前記束状竹燃料を前記燃料押し込み機構に供給するので、大量の束状竹燃料を連続して火炉で燃焼することができる。
第6発明のバイオマスボイラーは、前記燃料供給装置が前記燃料押し込み機構を複数個備え、前記燃料供給装置は、運転する前記燃料押し込み機構の個数を変更することにより、前記火炉における発生熱量を変更することを特徴とする、
第6発明のバイオマスボイラーは、従来のバイオマスボイラーでは不可能とされてきた急な熱需要の変化に対応する追従が可能になり幅広い運用を実現できる。
本発明の竹バイオマス燃料化プロセスは、燃料チップ化が不要となるので、詰まりなどの不具合を生じなくなると共に、大型のチッパーが不要になるなど経済性に優れる。また、本発明のバイオマスボイラーは、火格子を用いない燃焼方式を採用することができ、クリンカの問題が解決される。
本発明の竹バイオマス燃料化プロセスの要部説明図である。 本発明のバイオマスボイラーである。 本発明の竹バイオマス燃料化プロセスの具体的な実行を説明する図である。 本発明のバイオマスボイラーにおける火力調節の一例を説明する図である。 一般的なバイオマスボイラーの構造図である。
(燃料化プロセス)
図1に、本発明の竹バイオマス燃料化プロセスの要部説明図を示す。図1(a)は、林地にて伐採後、長さL=200〜300cmとなるよう玉切りにされた竹1である。
図1(b)は、玉切りされた竹1の竹割りの説明図である。図1(b)に示すように、玉切りされた竹1の一端を竹割り金具2に押し付けた状態で、竹1の他端を力Fで竹1の長手方向に移動させる。竹割り金具2には、円環部6の直径に該当する長さの複数の切刃4が放射状に設けられている。円環部6内を6つの部屋に分割するよう切刃4が配置されている。図1(b)に示されるように、竹1が竹割り金具2を通過すると、複数の割り竹3に竹割りされる。
図1(c)は、割り竹3を結束バンド4で結束した束状竹燃料5を示している。束状竹燃料5は、長さL=200〜300cm、直径φD=30〜60cmに形成される。束状竹燃料5は、割り竹3のみを束ねてもよいし、割り竹3に加えて枝葉部分も含め結束してもよい。結束バンド4は、束状竹燃料5を移動、保管等するのに十分な強度を有している。さらに、結束バンド4の素材は、可燃性で燃やしても無害なものが用いられる。
(バイオマスボイラー)
図2は、上述した竹バイオマス燃料化プロセスにより生成した竹バイオマス燃料(束状竹燃料5)を用いる、本発明のバイオマスボイラー10である。
バイオマスボイラー10は、立設された筒状の胴体9を有している。胴体9の内部下方の火炉11に束状竹燃料5を供給する燃料供給装置12を備えている。燃料供給装置12は、火炉11内部に向け差し込まれる束状竹燃料5をその燃焼に従って長手方向に押し込む燃料押し込み機構13を備えている。また、燃料供給装置12は、燃料押し込み機構13の前段に燃料ホッパー14を備えている。
燃料押し込み機構13は、水平に設置されたガイド部15と押し込みシリンダ16とから構成されている。ガイド部15の内側の寸法は、束状竹燃料5が長手方向に移動可能となるよう、束状竹燃料5の外径よりもやや大きい寸法となっている。ガイド部15は、火炉11内部に向け胴体9の側面に配置されている。ガイド部15の先端部17によって、燃焼中の束状竹燃料5が支持されるようになっている。
ガイド部15の後端部18には、押し込みシリンダ16が配置されている。押し込みシリンダ16のロッド20の先端には、束状竹燃料5とほぼ同じ直径の押し込みプレート21が設けられている。押し込みシリンダ16は、複動型の油圧シリンダであって、油圧ユニット22からの油圧供給によって伸縮動作するようになっている。
ガイド部15の中間部23は上方に向け開口しており、燃料ホッパー14の燃料収納部24の下部と一体となって形成されている。中間部23の開口部分には、開閉可能なフラップ26が設置されている。中間部23はフラップ26によって常時閉じられており、束状竹燃料5が通過する時のみフラップ26が開くようになっている。燃料収納部24は、束状竹燃料5が余裕を持って収まる寸法を有する、内部が長方形断面の空洞の容器である。燃料収納部24は、束状竹燃料5が積み重ねられるよう、上下に長い構造となっている。燃料収納部24の上端は開口しており、燃料ホッパー14への束状竹燃料24の投入口25となっている。
燃料供給装置12の下方には、送風器30が配置されている。送風器30からの空気は、送風ダクト31によって胴体9内部に送られる。送風ダクト31先端の送風口32から束状竹燃料5の燃焼個所33に向け空気を吹き付けるようになっている。
胴体9の下部には点火用バーナー34が配置されている。点火用バーナー34の火口35は、燃料押し込み機構13の束状竹燃料5に向けられている。点火用バーナー34には、液体又は気体の点火用燃料が供給される。
胴体9には耐熱ガラス38が嵌められたのぞき窓37が設けられている。のぞき窓37の外側には監視カメラ36が配置されている。監視カメラ36は、耐熱ガラス38を通して火炉11における束状竹燃料5の燃焼状態を撮影するようになっている。
胴体9上部の内部には螺旋状に形成された水管40が配置されている。水管40の上端41には給水管42を通って水が供給される。水管40の下端43からは温水管44を通って温水が取り出される。なお、バイオマスボイラー10で発生した熱エネルギーは、温水に限らず蒸気、温風等によっても取出し可能であることは勿論である。
水管40内部の水を加熱した燃焼ガスは、胴体9上部の排気口45を通って図示しない煙突に導かれる。矢印46は燃焼ガスが排気される方向を示している。
胴体9の下部は灰受け部50が形成されている。灰受け部50は、下方に向け先細りとなる円錐台の形状に形成されている。灰受け部50の下端は排出口51が設けられている。排出口51は、スクリューコンベア53の投入口52に連続している。スクリューコンベア53のスクリュー54は、モーター55によって回転駆動される。スクリューコンベア53の排出口56の下方には、灰回収箱57が載置されている。灰回収箱57の中には、灰58と竹炭59が回収される。
上述したバイオマスボイラー10を制御する、制御部60の構成は以下の通りである。監視カメラ36が撮影した束状竹燃料5の画像信号はコントローラ61に送られる。コントローラ61は、送られてきた束状竹燃料5の画像を画像処理し、画像処理結果を分析することにより、束状竹燃料5の燃焼状態を判断する。すなわち、着火状態、燃焼温度、燃焼範囲、束状竹燃料5のどの部分が燃焼しているか等を把握する。
コントローラ60は、束状竹燃料5の燃焼状態の判断に応じた駆動信号を各アクチュエータに出力する。すなわち、束状竹燃料5の点火が必要な時は、コントローラ60から点火用バーナー34に駆動信号が出力される。束状竹燃料5へ送風の開始・停止、あるいは送風する空気量の増減が必要な時は、送風器30に駆動信号が出力される。燃料押し込み機構13による束状竹燃料5の押し込みが必要な時は、油圧ユニット22に駆動信号が出力される。スクリューコンベア53による灰と竹炭の排出が必要な時は、モーター55に駆動信号が出力される。
(燃料化プロセスの実行)
図3に基づき、上述した竹バイオマス燃料化プロセスの具体的な実行を説明する。
図3(a)は、竹林69(現地)の竹70を示す。伐採工程では、竹70を伐採する。次の玉切り工程では、伐採した竹70及び枝葉68を所定の長さになるように玉切りする。玉切りされた竹1は、図1(a)で示された状態となる。
図3(b)は、玉切りされた竹1を小型の自走式竹割機71を使用して竹1の繊維に沿って竹割りする竹割り工程を示している。自走式竹割機71は、フレーム75先端に竹割り金具2(図1(b)参照)を備え、フレーム75後端に油圧式竹押し装置74を備えている。図3(b)は、竹割り金具2と油圧式竹押し装置74の押し金76との間に竹1をセットして、竹1を竹割り金具2の方向に押して竹1を竹割りする作業を示している。油圧式竹押し装置74は、自走式竹割機71に搭載されたエンジン(図示しない。)により油圧ポンプ(図示しない。)が駆動され、発生した油圧により駆動される。
自走式竹割機71は、クローラ73を備えておりエンジン(図示しない。)で駆動され、走行できるようになっている。そのため、自走式竹割機71は、竹70が生えている竹林69まで自走することができる。そして、竹林69で伐採及び玉切りした竹1をそのまま現地で竹割りすることができる。
図3(c)は、竹割りされた割り竹3を小型の自走式結束機77を使用して、所定の直径の束状竹燃料5となるように結束する結束工程を示している。図3(c)は、自走式結束機77の支え部78と圧縮部80との間に割り竹3をセットして、圧縮部80により割竹3を圧縮する作業を示している。圧縮すると同時に、結束バンド4(図1(c)参照)により束状竹燃料5を結束する。自走式結束機77は、自走式結束機77に搭載されたエンジン(図示しない。)により油圧ポンプ(図示しない。)が駆動され、発生した油圧により圧縮機80が駆動される。
自走式結束機77は、クローラ79を備えておりエンジン(図示しない。)で駆動され、走行できるようになっている。そのため、自走式結束機77も、竹70が生えている竹林69まで自走することができる。そして、竹林69で伐採、玉切り、竹割りした割り竹3を、そのまま現地で束状竹燃料5の状態に結束することができる。この時に、竹割りされた割り竹3に加えて伐採された竹の枝葉を一緒に束ねるようする。これにより、従来利用することなく現地で廃棄されていた枝葉も燃料化することができる。そのため、省資源化により燃料コストを下げることができる。
図3(d)に示すように、現地で生成された束状竹燃料5は、軽トラック81に積み込まれ、バイオマスボイラー10の近くの束状竹燃料5の集積地(乾燥地)に運ばれる。この時、玉切りされた竹1を竹割り及び結束した状態で搬出するので、かさが減容され積載ロスを生じることが無い。集積地では、束状竹燃料5は燃焼に適した所定の含水率となるまで乾燥させる。
以上説明したように、本発明の竹バイオマス燃料化プロセスによれば、新しい竹バイオマス燃料である束状竹燃料5を現地で生産することができる。そのため、従来の燃料チップ作成に必要とされたような大型で高額なチッパーが不要となる。また、小型の自走式竹割機にて竹1を分割し、小型の自走式結束機にて割り竹3と枝葉を結束するので、竹1を伐採する現地で竹バイオマス燃料化プロセスを全て完了できる。そのため、竹バイオマス燃料化プロセスにおける省エネルギー化・高効率化を図ることができる。
(バイオマスボイラーの運転)
上述した本発明のバイオマスボイラー10は、以下のように運転される。
図2に示したバイオマスボイラー10の燃料ホッパー14の投入口25に複数の乾燥した束状竹燃料5が投入される。すると、燃料ホッパー14から燃料押し込み機構13に束状竹燃料5が供給される。燃料押し込み機構13のガイド部15の束状竹燃料5は、押し込みシリンダ16の押し込みプレート21によってガイド部15の先端部17からその一部が突出するまで押し出される。このとき、監視カメラ36からの画像を認識することで、制御部60のコントローラ61は束状竹燃料5の点火準備が完了したことを認識する。
コントローラ61から点火用バーナー34に駆動信号が出され、火口35から束状竹燃料5の先端部に向け炎が噴出される。同時に、コントローラ61から送風機30に駆動信号が出され、送風口32から束状竹燃料5の先端部に向け空気が噴出される。これにより、束状竹燃料5の先端部が着火され、着火された先端部(燃焼部33)は勢いよく燃焼を開始する。
コントローラ61は、燃焼部33の燃焼状態の画像を常時監視している。燃焼部33の燃焼が進むと、コントローラ61は、燃料押し込み機構13の油圧ユニット22に駆動信号を出力する。すると、油圧ユニット22から押し込みシリンダ16に油圧が供給され、押し込みシリンダ16が伸長する。押し込みプレート21に押された束状竹燃料5は、ガイド部15にガイドされ最適な距離だけ火炉11の中心に向け移動する。束状竹燃料5の残量が少なくなると、燃え尽きる前に燃料押し込み機構13により次の束状竹燃料5が送り込まれ連続燃焼する。このように、バイオマスボイラー10の火炉11における束状竹燃料5の最適な燃焼状態が、制御部60によって自動的に継続される。
バイオマスボイラー10の胴体9の上部の水管40の上端41には、給水路42から水が供給される。水管40の下端43から蒸気管44に向けて、水管40内で発生した蒸気が排出される。排出された蒸気は、バイオマスボイラー10に隣接して設置されている各種装置の動力源あるいは熱源として利用される。
燃焼部33で発生した、灰と竹炭は、胴体9の灰受け部50に向け落下する。本発明のバイオマスボイラー10には、従来のバイオマスボイラー100の火格子107(図5参照)が無いので、火格子107にクリンカが付着することが無い。そのため、灰と竹炭は、スクリューコンベア53の投入口52に落下し、スクリュー54によって、灰回収箱57内にまで運ばれる。燃焼の副産物として同時生成される竹炭は、農業用土壌改良材として非常に有用である。なお、竹炭の回収量も、燃料供給及び燃焼空気などの調整により制御が可能である。
このように、図2に示す本発明のバイオマスボイラー10は火格子107(図5参照)が全く存在しないので、クリンカによる不具合が発生することなく、竹バイオマス燃料を燃焼させることができる。本発明のバイオマスボイラー10は、燃料供給装置12の開口部がφ30cm以上ありバイオマス燃料が詰まる不具合の発生もない。また、竹の改質あるいは他の燃焼材も必要とすることなく、竹バイオマス燃料を燃焼させることができる。
本発明のバイオマスボイラー10は、特殊部品なども使用せず構造自体を見直すことにより部品点数が少ないシンプルな構造なので、年間メンテナンス費及び消費電力を大幅に削減することができる。また、新しい燃焼方式の採用でクリンカの生成を防ぎ、高効率な燃焼を達成できるので、熱エネルギーの生産を低コストで効率的に行うことができる。さらに、本発明の竹バイオマス燃料化プロセス及び燃料供給方式の採用することで、燃料供給を不具合なく行い、バイオマスボイラー10の連続運転を実現し運用でのロスを排除することができる。
図4は、本発明のバイオマスボイラー10に好適な火力調節の一例を説明する図である。図4(a)は、図2に示したバイオマスボイラー10の燃焼個所33を上方から見た断面図である。胴体9内部の火炉11に向けて3つの燃料押し込み機構13が設けられている。図4(a)では、3つの燃料押し込み機構13全てが束状竹燃料5を火炉11内に突出させており、3つの束状竹燃料5が同時に燃焼している。すなわち、この状態でバイオマスボイラー10は、最大の火力で運転されている。
次に、図4(b)では、3つの燃料押し込み機構13のうちの2つが束状竹燃料5を火炉11内に突出させており、2つの束状竹燃料5が同時に燃焼している。一方、1つの燃料押し込み機構13は、束状竹燃料5を火炉11内に突出させておらず束状竹燃料5の燃焼を中止している。すなわち、この状態でバイオマスボイラー10は、中間の火力で運転されている。
さらに、図4(c)では、3つの燃料押し込み機構13のうちの1つが束状竹燃料5を火炉11内に突出させており、1つの束状竹燃料5のみが燃焼している。残り2つの燃料押し込み機構13は、束状竹燃料5を火炉11内に突出させておらず束状竹燃料5の燃焼を中止している。すなわち、この状態でバイオマスボイラー10は、最小の火力で運転されている。
このように、複数の燃料押し込み機構13を設け、運転する燃料押し込み機構13の個数を変更することにより、バイオマスボイラー10の火力調節することができる。
1:竹
3:割り竹
5:束状竹燃料
10:バイオマスボイラー
11:火炉
12:燃料供給装置
13:燃料押し込み機構
14:燃料ホッパー
25:投入口

Claims (6)

  1. 竹を伐採する伐採工程と、
    伐採した竹を所定の長さに玉切りする玉切り工程と、
    玉切りされた竹を繊維に沿って竹割りする竹割り工程と、
    割り竹を束ね所定の直径の束状竹燃料となるよう結束する結束工程と、
    前記束状竹燃料を乾燥させる乾燥工程と、
    からなる各工程を経ることにより竹を前記束状竹燃料に生成することを特徴とする、
    竹バイオマス燃料化プロセス。
  2. 前記結束工程は、前記割り竹に加えて伐採された竹の枝葉を束ね、所定の直径の束状竹燃料となるよう結束する結束工程であることを特徴とする、
    請求項1に記載された竹バイオマス燃料化プロセス。
  3. 竹を燃料とするバイオマスボイラーであって、
    前記バイオマスボイラーは、前記束状竹燃料を燃焼させる火炉を備えたことを特徴とするバイオマスボイラー。
  4. 前記火炉に前記束状竹燃料を供給する燃料供給装置を備え、
    前記燃料供給装置は、前記火炉内部に向け前記束状竹燃料をその燃焼に従って長手方向に押し込む燃料押し込み機構を備え、
    前記火炉では、前記燃料供給装置に支持された状態の前記束状竹燃料の燃焼個所がその長手方向の一端から他端まで順次変位しながら燃焼していくことを特徴とする、
    請求項3に記載されたバイオマスボイラー。
  5. 前記燃料供給装置は、さらに前記燃料押し込み機構の前段に燃料ホッパーを備え、
    前記燃料ホッパーは、その投入口に投入された前記束状竹燃料を前記燃料押し込み機構に供給することを特徴とする、
    請求項4に記載されたバイオマスボイラー。
  6. 前記燃料供給装置は、前記燃料押し込み機構を複数個備え、
    前記燃料供給装置は、運転する前記燃料押し込み機構の個数を変更することにより、前記火炉における発生熱量を変更することを特徴とする、
    請求項4又は5に記載されたバイオマスボイラー。
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