JP2020055181A - 多層基材、積層体、包装材料、包装袋およびスタンドパウチ - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明の解決しようとする課題は、該多層基材を備える積層体を提供することである。
また、本発明の解決しようとする課題は、該積層体から構成される包装材料を提供することである。
また、本発明の解決しようとする課題は、該積層体から作製される包装袋を提供することである。
さらに、本発明の解決しようとする課題は、該積層体から作製されるスタンドパウチを提供することである。
蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜であり、
接着層が、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物により構成される。
中間層が、中間層が、一方の面に蒸着膜を備える延伸ポリエチレンフィルムからなる。
蒸着膜と隣接する接着層が、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物により構成される。
ヒートシール層の厚さが、20μm以上60μm以下である。
ヒートシール層の厚さが、50μm以上200μm以下である。
本発明の多層基材10は、図1に示すように、高密度ポリエチレン層11と、中密度ポリエチレン層12と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層13と、中密度ポリエチレン層14と、高密度ポリエチレン層15とを備える。
延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。
延伸フィルムの長手方向(MD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、多層基材の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、多層基材への印刷適性を向上することができる。また、多層基材の透明性を向上することができるため、多層基材表面に画像を形成した場合に、その裏面からの視認性を向上させることができる。
一方、延伸フィルムの長手方向(MD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、延伸フィルムの破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
延伸フィルムの横手方向(TD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、層多層基材の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、多層基材への印刷適性を向上することができる。また、多層基材の透明性を向上することができるため、多層基材表面に画像を形成した場合に、その裏面からの視認性を向上させることができる。
一方、延伸フィルムの横手方向(TD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、延伸フィルムの破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
なお、本発明において、延伸フィルムのヘイズ値は、JIS K 7105に準拠して測定する。
形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。
環境負荷低減という観点からは、多層基材への画像形成は、バイオマス由来のインキを用いて行われることが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
このような構成とすることにより、フィルムの延伸適性を向上することができる。また、本発明の多層基材の強度および耐熱性を向上することができる。また、多層基材におけるカールの発生を防止することができる。
さらに、下記するようにフィルムの生産効率を向上することができる。
このとき、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さよりも薄いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、1/10以上1/1以下であることが好ましく、1/5以上1/2以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/10以上とすることにより、本発明の多層基材の強度および耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、フィルムの延伸適性を向上することができる。
また、高密度ポリエチレン層の厚さは、多層基材中間層の厚さと同じまたは中間層の厚さよりも厚いことが好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、多層基材中間層の厚さとの比は、1/0.25以上1/2以下であることが好ましく、1/0.5以上1/1以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さと、多層基材中間層の厚さとの比を1/0.25以上とすることにより、本発明の多層基材の強度および耐熱性を向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さと、多層基材中間層の厚さとの比を1/1以下とすることにより、層間の密着性を向上することができる。
各高密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、20μm以下であることが好ましく、2μm以上、10μm以下であることがより好ましい。
高密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、高密度ポリエチレン層の厚さを、20μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
各中密度ポリエチレン層の厚さは、1μm以上、30μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。
中密度ポリエチレン層の厚さを、1μm以上とすることにより、フィルムの延伸適性をより向上することができる。また、中密度ポリエチレン層の厚さを、30μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
基材中間層の厚さは、1μm以上、10μm以下であることが好ましく、2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
基材中間層の厚さを、1μm以上とすることにより、高密度ポリエチレン層と中密度ポリエチレン層との密着性をより向上することができる。また基材中間層の厚さを、5μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性をより向上することができる。
具体的には、外側から、高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレン層と、および低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層とをチューブ状に共押出し、次いで、対向する低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層同士を、これをゴムロールなどにより、圧着することによって作製することができる。
このような方法により作製することにより、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
また、インフレーション製膜機において、延伸も合わせて行うことができ、これにより、生産効率をより向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
また、多層基材表面に従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
多層基材の厚さを10μm以上とすることにより、多層基材の強度を向上することができる。また、多層基材の厚さを50μm以下とすることにより、多層基材の加工適性を向上することができる。
ポリエチレンのMFRを3g/10分以上とすることにより、多層基材の加工適性を向上することができる。また、ポリエチレンのMFRを20g/10分以下とすることにより、樹脂フィルムが破断してしまうことを防止することができる。
ポリエチレンのMFRを0.5g/10分以上とすることにより、多層基材の加工適性を向上することができる。また、ポリエチレンのMFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
図2に示すように、本発明の積層体16は、上記多層基材10と、ヒートシール層17とを備える。
また、本発明においては、ヒートシール層が多層基材同様ポリエチレンにより構成されることを特徴とする。このような構成とすることにより、包装材料用積層体のリサイクル性を向上することができる。
本発明の積層体全体におけるポリエチレンの含有量を90質量%以上とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
なお、積層体におけるポリエチレンの含有量とは、積層体を構成する各層における樹脂材料の含有量の和に対する、ポリエチレンの含有量の割合を意味する。
本発明の積層体が備えるヒートシール層は、上記した多層基材同様、ポリエチレンにより構成されていることを特徴とする。このような構成とすることにより、包装材料として十分な強度や耐熱性を有し、かつリサイクル可能な包装材料とすることができる。
但し、延伸ポリエチレンフィルムは、未延伸のポリエチレン樹脂フィルムにより形成するか、或いはポリエチレンの溶融押出により形成する。
本発明の特性を損なわない範囲において、エチレンとその他のモノマーとの共重合体を使用することができる。
また、環境負荷の観点から、バイオマス由来のポリエチレンまたはリサイクルされたポリエチレンであることが好ましい。
具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超低密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層/中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層/低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超低密度ポリエチレンの少なくともいずれかを含む層からなる構成とすることができる。
このような構成とすることにより、ヒートシール性を維持しつつ、本発明の積層体の製袋適性および強度をより向上することができる。
このような構成とすることにより、本発明の積層体を用いて作製される包装材料などの環境負荷をより低減することができる。
例えば、1g以上、200g以下の内容物を充填する図7に示すような包装袋30を作製する場合、ヒートシール層の厚さは、20μm以上、60μm以下であることが好ましい。
ヒートシール層の厚さを20μm以上とすることにより、充填された内容物が、ヒートシール層の破損により漏れてしまうことを防止することができる。また、ヒートシール層を60μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
ヒートシール層の厚さを50μm以上とすることにより、充填された内容物が、ヒートシール層の破損により漏れてしまうことを防止することができる。また、ヒートシール層の厚さを200μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
なお、図7および8における斜線部分は、ヒートシール部である
本発明の積層体は、多層基材と、ヒートシール層との間に蒸着膜を備えることができる。これにより、積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上することができる。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができると共に、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
一実施形態において、本発明の積層体は、任意の層間に、接着層を備えることができる。これにより、これら層間の密着性を向上することができる。
無溶剤型接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤などが挙げられ、これらのなかでも2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく使用することができる。
溶剤型接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびオレフィン系接着剤などが挙げられる。
接着層をこのような構成とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより一層向上させることができる。
また、蒸着膜を備えた積層体を包装材料に適用する際には、成形機などにより積層体に屈曲負荷がかかるため、アルミニウム蒸着膜に亀裂などが生じる恐れがある。上記したような特定の接着剤を使用することで、アルミニウム蒸着膜に亀裂が生じた場合であっても、酸素バリア性および水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
〔第1例〕オルト配向多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール
〔第2例〕グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール
〔第3例〕イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
特に、オルトフタル酸およびその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸など脂肪族多価カルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸などの不飽和結合含有多価カルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、これらジカルボン酸の無水物およびこれらジカルボン酸のエステル形成性誘導体などの芳香族多価カルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸およびこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などの多塩基酸などが挙げられる。これらの中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
なお、上記その他の多価カルボン酸を2種以上使用してもよい。
但し、R1、R2、R3のうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、および2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基およびフェニル基が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基およびフェニル基が最も好ましい。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、酸素バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
また、イソシアネート化合物は、芳香族であっても、脂肪族であってもよく、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
さらに、イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。
中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、イソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、酸素バリア性および水蒸気バリア性の観点からは、芳香族であることが好ましい。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびメタキシリレンジアミンなどが挙げられ、分子活性水素化合物としては、各種ポリエステル樹脂、ポリエーテルポリオールおよびポリアミドの高分子活性水素化合物などが挙げられる。
リン酸変性化合物の含有量を0.005質量%以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、リン酸変性化合物の含有量を10質量%以下とすることにより、接着層の接着性を向上することができる。
板状無機化合物としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、クリソタイルなど)およびパイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライなど)などが挙げられる。
具体的には、例えば、シクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリンおよびヒドロキシアルキル化シクロデキストリンなどのシクロデキストリンのグルコース単位の水酸基の水素原子を他の官能基で置換したものなどを用いることができる。また、分岐環状デキストリンも用いることができる。
また、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体におけるシクロデキストリン骨格は、6個のグルコース単位からなるα−シクロデキストリン、7個のグルコース単位からなるβ−シクロデキストリン、8個のグルコース単位からなるγ−シクロデキストリンのいずれであってもよい。
これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらシクロデキストリンおよび/またはその誘導体を以降、デキストリン化合物と総称する場合がある。
接着層の厚さを0.5μm以上とすることにより、接着層の接着性を向上することができる。また、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物からなる接着層を、アルミニウム蒸着膜と隣接するように設けた場合には、積層体の耐屈曲負荷性を向上することができる。
接着層の厚さを6μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。
一実施形態において、本発明の積層体は、多層基材と、ヒートシール層との間に、一方の面に蒸着膜を備える延伸ポリエチレンフィルムからなる中間層を備えることができる。これにより、積層体の強度、酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上することができる。
中間層は、蒸着膜を備え、これにより、ガスバリア性、とりわけ酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができると共に、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
中間層を構成する延伸ポリエチレンフィルムは、上記した多層基材およびヒートシール層同様ポリエチレンにより構成されていることを特徴とする。このような構成とすることにより、包装材料としての強度や耐熱性を維持しながらリサイクル可能な包装材料とすることができる。
延伸フィルムの長手方向(MD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。一方、延伸フィルムの長手方向(MD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、延伸フィルムの破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
延伸フィルムの横手方向(TD)の延伸倍率を2倍以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。一方、延伸フィルムの横手方向(TD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、延伸フィルムの破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
また、中間層は、多層基材同様、上記した多層構造からなるものであってもよい。
延伸ポリエチレンフィルムの厚さを9μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性をより向上することができる。また、延伸ポリエチレンフィルムの厚さを50μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
本発明の積層体は、包装材料用途に特に好適に使用することができる。
包装材料は、特に限定されず、図7に示すように、包装袋30であってもよく、図8に示すように、胴部41および底部42を備えるスタンドパウチ40であってもよい。なお、スタンドパウチにおいては、胴部のみが上記積層体により形成されていても、底部のみが上記積層体により形成されていても、胴部および底部の両方が上記積層体により形成されていてもよい。
また、包装袋は、2枚の積層体を、ヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、その端部をヒートシールすることによっても製造することができる。
内容物充填後、開口をヒートシールすることにより、包装体とすることができる。
高密度ポリエチレン(密度:0.960g/cm3、融点130℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5960)、中密度ポリエチレン(密度:0.940g/cm3、融点126℃、MFR:0.85g/10分、Dowchemical社製、商品名:Elite5940)および超低密度ポリエチレン(密度:0.870g/cm3、融点55℃、MFR:1.0g/10分、Dowchemical社製、商品名:Affinity EG8100G)をインフレーション成形法により、外側から、高密度ポリエチレン層(12.5μm)、中密度ポリエチレン層(43.75μm)および超低密度ポリエチレン層(6.25μm)を備えるチューブ状のフィルムとして押し出した後、内側の超低密度ポリエチレン層同士を、ゴムロールにより、圧着し、高密度ポリエチレン層(12.5μm)、中密度ポリエチレン層(43.75μm)、超低密度ポリエチレン層(12.5μm)、中密度ポリエチレン層(43.75μm)および高密度ポリエチレン層(12.5μm)を備える、厚さ125μmのポリエチレンフィルムを得た。
このポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ25μmの多層基材Aを得た。
多層基材Aのヘイズ値を、JIS K 7105に準拠して測定したところ、ヘイズ値は6.2%であった。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、95質量%であった。
上記高密度ポリエチレン、上記中密度ポリエチレンおよび上記超低密度ポリエチレンをインフレーション成形法により、外側から、高密度ポリエチレン層、中密度ポリエチレン層および超低密度ポリエチレン層を備えるチューブ状のフィルムとして押し出した後、内側の超低密度ポリエチレン層同士を、ゴムロールにより、圧着し、高密度ポリエチレン層(2.5μm)、中密度ポリエチレン層(8.75μm)、超低密度ポリエチレン層(2.5μm)、中密度ポリエチレン層(8.75μm)および高密度ポリエチレン層(2.5μm)を備える、厚さ25μmの多層基材aを得た。
多層基材aのヘイズ値を、JIS K 7105に準拠して測定したところ、ヘイズ値は21.3%であった。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、95質量%であった。
多層基材Aを、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製、商品名:E5100)に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、積層体を作製した。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、75質量%であった。
上記多層基材Aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、97質量%であった。
上記多層基材aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、97質量%であった。
多層基材Aを、厚さ12μmの上記二軸延伸PETフィルムに変更した以外は、実施例2−1と同様にして、積層体を作製した。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、86質量%であった。
上記基材Aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、95質量%であった。
実施例3−1において、基材Aの画像形成面と、ヒートシール層Aの蒸着面との接着を、イソシアネート化合物およびリン酸変性化合物を含む2液硬化型接着剤(DIC(株)製、PASLIM VM001/VM102CP)により行った以外は、実施例3−1と同様にして、本発明の積層体を作製した。
上記基材aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、95質量%であった。
基材Aを、厚さ12μmの上記二軸延伸PETフィルムに変更した以外は、実施例3−1と同様にして、積層体を作製した。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、76質量%であった。
上記多層基材Aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、93質量%であった。
実施例4−1において、多層基材Aの画像形成面と、中間層Aの蒸着面との接着を、イソシアネート化合物およびリン酸変性化合物を含む2液硬化型接着剤(DIC(株)製、PASLIM VM001/VM102CP)により行った以外は、実施例4−1と同様にして、本発明の積層体を作製した。
上記多層基材aを準備した。
なお、2液硬化型ウレタン系接着剤により形成される接着層の厚さは3.0μmであった。
また、このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、93質量%であった。
多層基材Aおよび中間層Aの延伸ポリエチレンフィルムを、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)商品名:E5100)に変更した以外は、実施例4−1と同様にして積層体を得た。このようにして得られた積層体におけるポリエチレンの割合は、62質量%であった。
上記実施例および比較例において得られた積層体のリサイクル性を下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
○:積層体におけるポリエチレンの含有量が90質量%以上であった。
×:積層体におけるポリエチレンの含有量が90質量%未満であった。
上記実施例1−1および比較例1−1〜1−2、実施例3−1〜3−2および比較例3−1〜3−2並びに実施例4−1〜4−2および比較例4−1〜4−2において得られた積層体から、縦80mm×横80mmの試験片をそれぞれ2枚ずつ作製した。
2枚の試験片を、ヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、3辺を140℃でヒートシールし、包装袋を作製した。
上記実施例2−1および比較例2−1〜2−2において得られた積層体から、縦110mm×横150mmの試験片をそれぞれ2枚ずつ作製した。
2枚の試験片を、ヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、2辺を140℃でヒートシールし、筒状の胴部を形成した。
次いで、上記実施例2−1および比較例2−1〜2−2において得られた積層体から、縦110mm×横150mmの試験片を1枚作製し、これをヒートシール層が外側となるように、V字に折り、上記筒状の胴部と140℃でヒートシールし、底部を形成すると共に、スタンドパウチを作製した。
作製した包装材料を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1〜4にまとめた。
(評価基準)
○:包装材料表面にシワなどが発生しておらず、また、ヒートシールバーへの付着が見られなかった。
×:包装材料表面にシワなどが発生しており、また、ヒートシールバーへの付着が見られ、製袋できなかった。
上記実施例および比較例において作製した積層体が備える多層基材に形成した画像を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1〜4にまとめた。
(評価基準)
○:印刷時の寸法安定性が良好であり、擦れ、滲みなどが生じていない良好な画像を形成することができていた。
×:印刷時にフィルムの伸び縮みが発生し、形成した画像に擦れや滲みが生じていた。
上記実施例および比較例において作製した積層体を、10mm幅の試験片とし、ループスティフネス測定試験器(東洋精機製作所製、商品名:ループステフネステスタ)によりその剛性を測定した。なお、ループの長さは、60mmとした。測定結果を表1〜4にまとめた。
上記実施例および比較例において作製した積層体を、引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名:RTC−1310A)により、直径0.5mmの針を突き刺した際の強度を測定した。なお、突き刺し速度は、50mm/分とした。測定結果を表1〜4にまとめた。
まず、上記実施例3−1〜3−2および比較例3−1〜3−2並びに実施例4−1〜4−2および比較例4−1〜4−2で得られた積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。
酸素透過度の測定には、MOCON製 OXTRAN2/20を使用し、23℃、90%RHn条件下において、水蒸気透過度の測定には、MOCON製 PERMATRAN3/31を使用し、40℃、90%RHの条件下において、それぞれ測定した。
さらに、上記実施例3−1〜3−2および比較例3−1〜3−2並びに実施例4−1〜4−2および比較例4−1〜4−2で得られた積層体について、ゲルボフレックステター(テスター産業(株)性、商品名:BE1006BE)を用い、ASTM F 392に準拠して屈曲負荷(ストローク:155mm、屈曲動作:440°)を5回与えた。
屈曲負荷後、積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。
屈曲負荷性試験前後の積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を表3および4に示す。
Claims (15)
- 高密度ポリエチレン層と、
中密度ポリエチレン層と、
低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層または超低密度ポリエチレン層と、
中密度ポリエチレン層と、
高密度ポリエチレン層と、
の五層共押延伸フィルムからなることを特徴とする、多層基材。 - 前記高密度ポリエチレン層の厚さが、1μm以上、20μm以下である、請求項1に記載の多層基材。
- 前記中密度ポリエチレン層の厚さが、1μm以上、30μm以下である、請求項1または2に記載の多層基材。
- 前記低密度ポリエチレン層、前記直鎖状低密度ポリエチレン層または前記超低密度ポリエチレン層の厚さが、1μm以上、10μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層基材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層基材と、ヒートシール層とを備えることを特徴とする、積層体。
- 前記多層基材と、前記ヒートシール層との間に蒸着膜を備える、請求項5に記載の積層体。
- 前記多層基材と、前記蒸着膜との間に接着層を備え、
前記蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜であり、
前記接着層が、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物により構成される、請求項6に記載の積層体。 - 前記多層基材と、前記ヒートシール層との間に、中間層を備え、
前記中間層が、一方の面に蒸着膜を備える延伸ポリエチレンフィルムからなる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の積層体。 - 前記多層基材と、前記中間層との間および前記中間層と、前記ヒートシール層との間に、接着層を備える、請求項8に記載の積層体。
- 前記蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜であり、
前記蒸着膜と隣接する前記接着層が、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とリン酸変性化合物を含む樹脂組成物の硬化物により構成される、請求項9に記載の積層体。 - 前記積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の積層体。
- 包装材料用途に用いられる、請求項5〜11のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項5〜12のいずれか一項に記載の積層体を用いて作製されたものである包装材料。
- 包装袋であって、
請求項5〜12のいずれか一項に記載の積層体を用いて作製され、
前記ヒートシール層の厚さが、20μm以上60μm以下であることを特徴とする、包装袋。 - スタンドパウチであって、
請求項5〜12のいずれか一項に記載の積層体を用いて作製され、
前記ヒートシール層の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とするスタンドパウチ。
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