JP2020055015A - 状態推定システム、状態推定方法、およびサービス提供方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、金型について劣化の兆候を適切に管理することが望まれる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
同図において、電動プレス機などの対象装置100は、駆動部101、および制御部102を備えて構成される。
次に、打抜加工を例にして、その工程と、制御内部値102aの時系列変化との関係を説明する。
図2は、対象装置100の打抜加工を5つの工程A〜Eに分けて示した図である。
図3は、工程A〜Eにおける制御内部値102a(ここでは制御指令電流値)の時系列変化を示す図である。ここでの工程A〜Eは、対象装置100の駆動工程に相当する。
図4は、金型20(上型21,下型22)の劣化が加工対象30に与える影響を説明する図である。
図4[a]は、上型21および下型22が正常な状態で加工したときの模式図である。この場合の破断面32は、上型21の鋭利な角部と加工対象30の接触部と、下型22の鋭利な角部と加工対象30の接触部とを結ぶ位置に発生する。
図5は、金型劣化に伴う時系列データの違いを説明する説明図である。
上述したような金型劣化の影響を受けるため、第1時間から第2時間までの所要期間(t2−t1)は金型劣化に伴って長くなる。
この相関関係を回帰分析(回帰式で近似)することにより、金型状態推定式を求めることができる。この金型状態推定式は、係数パラメータやデータテーブルの形式で推定規則として推定器203に記憶される。
図8は、状態推定システム200の動作を説明する流れ図である。
同図のステップ番号に沿って、金型状態推定の動作を説明する。
それ以外の場合、金型状態報知部205はステップS19に動作を移行する。
(なお、停止した対象装置100は、金型20の交換または補修を終えた保守担当者が再起動する。この再起動により、状態推定システム200はステップS10から動作を再開する。)
この金型優先の制御指令の後、制御変更部210は、ステップS22に動作を移行する。
この加工優先の制御指令の後、制御変更部210は、ステップS22に動作を移行する。
例えば、推定劣化度の履歴から劣化の進みが速いと予測されるほど、次回の点検時期を前倒しにする。また、推定劣化度が加工不良の兆候直前に至った場合は、加工処理のたびに金型状態の推定を全数行うことにより、加工不良の兆候を見逃さずに金型交換や金型補修の判定(ステップS17,S18)を行うことが可能になる。
以上の一連の動作により金型状態推定が完了する。
(1)実施例1では、図5に示すように、制御内部値102aがピーク値となる時点から終了値になる時点までの期間を、加工処理の一部に要した所要期間として推定する。この所要期間は、加工対象30にクラック31が生じてから破断完了するまでの時間と推定される。この所要期間は、金型劣化による「破断距離の変化」および「破断速度の変化」という二重の変化を相乗的に反映するため、金型劣化の影響を顕著に受ける。そのため、金型劣化を適切に推定できる。
仮に、この2段階推定を1段階で行った場合(制御内部値102aの時系列の変化から金型劣化を直接に推定)、推定過程を絞り切れずに金型劣化の推定を誤る虞がある。
しかし、実施例1は2段階推定のため、推定過程で所要期間を一旦確定し、その上で金型劣化を推定する。そのため、推定過程の絞り込みが適切で、金型劣化の推定を誤る虞は少ない。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様のため、ここでの重複説明を省略する。
実施例2の所要期間は、金型劣化による破断現象の時間遅れを反映するため、金型劣化の推定に好適である。
実施例2では、上述した実施例1の効果の他に、次の効果も奏する。
図9[b]に示すように、期間推定部202は、ピーク値Xpkの所定割合K倍(C点相当の割合<K<1)を超える第1時点t1と、ピーク値Xpkの所定割合K倍(C点相当の割合<K<1)を下回る第1時点t2となる間隔を計時する。なお、この所定割合K倍の値を、期間の始点と終点で異ならせることにより、ピーク点の前後期間を調整してもよい。
期間推定部202は、第2時点t2と第1時点t1との時間差(t2−t1)を、加工処理の一部に要した所要期間(期間評価値)として推定する。推定器203には、この実施例3の所要期間と、劣化度との推定規則が学習または記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
実施例3では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
図9[c]の加工処理は、プログラムモーション加工である。プログラムモーション加工とは、1回の加工を複数ステップに分割する加工方法を指す。1ステップの加工では困難な寸法や材質の加工対象30であっても、複数のステップに分割して少しずつ加工を行うことで加工が可能になる。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
実施例4では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例4では、図9[c]に示すように、1回の加工処理を複数ステップに分けて複数の所要期間を推定する。これら複数の所要期間の推定を組み合わせることにより、金型劣化の推定精度を高めることが可能になる。また、一方の所要期間が不明確でも、もう一方の所要期間のみで金型劣化を推定できるため、金型劣化の推定を確実に行うこともできる。
例えば図9[d]に示すように、期間推定部202は、実施例1〜4などで推定した所要期間にわたって制御内部値102aを積算した積分結果を求める。期間推定部202は、この積分結果を期間評価値とする。
推定器203には、この実施例5の期間評価値と、劣化度との推定規則が学習または記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
実施例5では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例5は、金型劣化に起因する所要期間の長短変化に加えて、金型劣化に起因する制御内部値の大小変化も併せて考慮することで、金型劣化を複合的かつ多視点に推定することが可能になる。すなわち、所要期間が短いままでも、制御内部値が過大になれば、期間評価値は過大になるため、劣化した金型20を酷使する状態などの兆候を見逃さずに推定することができる。また、所要期間が短いままでも、制御内部値が過小になれば、期間評価値は過小になるため、金型20の損傷によりプレスがかからない状態などの兆候を見逃さずに推定することができる。
図10は、クラウド構成による複数台の電動プレスシステムの管理を説明する図である。
同図において、クラウドサーバ500は、ネットワークを介して複数の電動プレスシステム300a,300b…に接続される。ここでのネットワークは、インターネットなどを介した外部接続可能なネットワークでもよいし、電動プレスシステム300a,300b…に接続が限定されたネットワークでもよい。
状態推定システム200a,200b…は、劣化推定部204および制御変更部210をそれぞれ備える。
なお、その他の構成および動作は、実施例1と同様であるため、ここでの重複説明を省略する。
・金型20の種別
・制御内部値102aの種類
・データ取得のサンプリング間隔
・所要期間の定義(第1時点t1,第2時点t2の決定方法)
・劣化度と所要期間の推定規則データ
・劣化度と所要期間の回帰直線式
・劣化度と所要期間の回帰データのデータテーブル
・金型20を交換(補修)する条件
・金型20の劣化点検サイクル
・劣化度と所要期間の相関係数
・推定劣化度の履歴
・交換時の金型20の劣化度(実測値)
・センサによる金型20の劣化度の測定値
・金型20の交換サイクル
・加工不良の発生率
・金型20の種別
・制御内部値102aの種類
・「金型優先」を選択する条件
・「金型優先」の制御パラメータ
・「加工優先」を選択する条件
・「加工優先」の制御パラメータ
・「制御変更せず」を選択する条件
・「制御変更せず」の制御パラメータ
・加工不良の発生率
・推定劣化度の履歴
・交換時の金型20の劣化度(実測値)
・センサによる金型20の劣化度の測定値
・金型20の交換サイクル
実施例6では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
本実施例では、一つ以上の電動プレスシステムにおいて、推定モデルや制御変更モデルを常に最適に近い状態に維持することが可能となる。また、他の電動プレスシステムの情報がクラウドでつながっているため、加工条件や加工対象30が変更された場合であっても、他の電動プレスシステムの過去の加工データベースに基づいてモデルを更新することも可能となる。
なお、上述した実施例では、制御内部値102aとして、制御指令電流値を使用する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御内部値102aとしては、対象装置100(例えば制御部102が駆動部101の制御)に使用する制御データであればよい。例えば、金型20が加工対象30を加工するに伴って時間変化する物理量(力、トルク、速度、加速度、角速度、変位量、モータ回転量、モータ駆動電流、脈動、負荷変動など)を反映する値、またはこれらを直接間接にコントロールするための値であることが好ましい。
Claims (12)
- 対象装置の劣化状態を推定する状態推定システムであって、
前記対象装置の制御部が前記対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得可能なデータ取得部と、
前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定部と、
前記期間評価値の値と前記対象装置の劣化との推定規則について記憶する推定器と、
前記推定器の前記推定規則に対して、前記期間推定部で求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記対象装置の劣化を推定する劣化推定部と
を備えた状態推定システム。 - 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
前記期間推定部は、
前記制御内部値がピーク値になる時点と終了値になる時点との間隔を、前記所要期間として推定する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
前記期間推定部は、
前記制御内部値がピーク値になる時点とピーク値の予め定められた所定割合になる時点との間隔を、前記所要期間として推定する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
前記期間推定部は、
前記制御内部値がピーク値の予め定められた所定割合を超える時点と前記ピーク値の予め定められた所定割合を下回る時点との間隔を、前記所要期間として推定する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
前記期間推定部は、
前記推定した所要期間にわたって前記制御内部値を積算した積分結果を、前記期間評価値として求める
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
前記データ取得部は、
前記制御内部値として、前記制御部が前記駆動部に指令する制御指令電流値を取得する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
前記期間推定部は、
前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置が消耗品を駆動する加工処理の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求め、
前記劣化推定部は、
前記推定器の前記推定規則に対して、前記期間推定部で求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記消耗品の劣化を推定し、
前記消耗品の劣化に応じて、前記対象装置の前記加工処理の制御変更を前記制御部に指示する制御変更部と
を備えたことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項7に記載の状態推定システムにおいて、
前記制御変更部は、
前記消耗品の劣化に応じて、前記消耗品を使用する加工処理の仕上がりが一定する方向に制御変更を指示する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 請求項7に記載の状態推定システムにおいて、
前記制御変更部は、
前記消耗品の劣化に応じて、前記消耗品の劣化を遅らせる方向に制御変更を指示する
ことを特徴とする状態推定システム。 - 対象装置の劣化状態を推定する状態推定方法であって、
前記対象装置の制御部が前記対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得可能なデータ取得ステップと、
前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定ステップと、
前記期間評価値の値と前記対象装置の劣化との推定規則に対して、前記期間推定ステップで求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記対象装置の劣化を推定する劣化推定ステップと
を備えた状態推定方法。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の状態推定システムを対象にしてクラウドサーバが実行するサービス提供方法であって、
一つ以上の前記状態推定システムから、前記対象装置の劣化の推定モデルとその推定結果をネットワークを介して収集して蓄積する推定モデル収集ステップと、
蓄積された前記推定モデルを前記推定結果に基づいて評価し、前記推定モデルの適正化を行う推定モデル適正化ステップと、
適正化された前記推定モデルに基づいて、前記状態推定システムの前記推定モデルを更新する推定モデル更新ステップと
を備えたことを特徴とするサービス提供方法。 - 請求項11に記載のサービス提供方法において、
制御変更部を備える前記状態推定システムからは、前記制御変更部の制御変更モデルとその制御結果をネットワークを介して収集して蓄積する制御変更モデル収集ステップと、
蓄積された前記制御変更モデルを前記制御結果に基づいて評価し、前記制御変更モデルの適正化を行う制御変更モデル適正化ステップと、
適正化された前記制御変更モデルに基づいて、前記状態推定システムの前記制御変更モデルを更新する制御変更モデル更新ステップと
を備えたことを特徴とするサービス提供方法。
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