JP2020055015A - 状態推定システム、状態推定方法、およびサービス提供方法 - Google Patents

状態推定システム、状態推定方法、およびサービス提供方法 Download PDF

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Abstract

【課題】センサを必須とせずに、対象装置の劣化状態を推定するための技術を提供する。【解決手段】対象装置の劣化状態を推定する状態推定システムであって、対象装置の制御部が対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得することが可能なデータ取得部と、制御内部値の時系列の変化に基づいて対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定してその所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定部と、期間評価値の値と対象装置の劣化との推定規則について記憶する推定器と、推定器の推定規則に対して期間推定部で求めた期間評価値の値を当てはめて対象装置の劣化を推定する劣化推定部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、状態推定システム、状態推定方法、およびサービス提供方法に関する。
従来、電動プレス機のように、金型を使用して打抜加工、曲げ加工、成型加工、せん断加工、裁断加工などを行う加工装置が知られている。
この種の加工装置では、加工を繰り返すうちに金型が劣化し、加工対象の仕上がり品質が低下し始める。そのまま加工を繰り返すと、バリなどの加工不良が発生する。一旦、加工不良が発生すると、加工後に検品作業を行い、不良品を廃棄するなど、手間やコストがかかる。
そのため、金型について劣化の兆候を適切に管理することが望まれる。
特許文献1は、そのための従来技術として、『金型20のプレス方向における最下点を検出する下死点検出センサと、金型20の加工部分から生じる弾性波を検出するAE(Acoustic Emission)センサとを対象装置に設置する。これらセンサの出力値から、最下点を平均処理した値と、弾性波をFFT処理した所定周波数成分の値とを求め、これらの値から金型20の異常予測スコアを求める』旨を開示する。
特開2018−62000号公報
特許文献1の技術では、下死点検出センサやAEセンサが必須となり、その分だけシステム構成が複雑になる。
そこで、本発明は、センサを必須としない対象装置の劣化状態の推定技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、代表的な本発明の状態推定システムの一つは、対象装置の劣化状態を推定する状態推定システムであって、対象装置の制御部が対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得可能なデータ取得部と、制御内部値の時系列の変化に基づいて対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定してその所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定部と、期間評価値の値と対象装置の劣化との推定規則について記憶する推定器と、推定器の推定規則に対して期間推定部で求めた期間評価値の値を当てはめて対象装置の劣化を推定する劣化推定部とを備える。
本発明により、センサを必須とせずに対象装置の劣化状態の推定が可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
システム構成を説明する図である。 打抜加工における各工程を説明する説明図である。 制御内部値の時系列データの一例を示す図である。 金型20の劣化が加工対象に与える影響を説明する図である。 金型劣化に伴う時系列データの変化を説明する説明図である。 劣化度と所要期間の関係を示す図である。 推定劣化度の正解状況を示す図である。 状態推定システムの動作を説明する流れ図である。 所要期間のバリエーションを説明する図である。 クラウドサーバによる状態推定システムの管理を説明する図である。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、システム構成を説明する図である。
同図において、電動プレス機などの対象装置100は、駆動部101、および制御部102を備えて構成される。
駆動部101は、サーボモータ1と、サーボモータ1をドライブ駆動するサーボアンプ2と、サーボモータ1によって回転駆動される偏芯軸11と、偏芯軸11の運動を伝達する伝達軸12と、伝達軸12が伝達する運動を上下動に変換するスライド13とを備える。
スライド13の上下動は、金型20の一方の上型21に伝達される。金型20の他方の下型22は、上型21を受ける位置に固定される。この金型20(上型21および下型22)の間に、不図示の搬送機構によって加工対象30が順次に挿置される。この加工対象30の挿置に同期して、スライド13は金型20を押して加工対象30を加工処理する。
制御部102は、予め設定された加工条件に従うように、駆動部101を制御することにより、加工対象30の加工後の仕上がりをコントロールする。
一方、状態推定システム200は、データ取得部201、期間推定部202、推定器203、劣化推定部204、金型状態報知部205、および制御変更部210を備えて構成される。
データ取得部201は、制御部102から制御内部値102aを時系列に取得する。以下では、制御内部値102aとして、制御指令電流値(サーボモータ1のモータトルクをコントロールするため、制御部102内で生成されるトルク指令の値)を使用するケースについて説明する。
期間推定部202は、制御内部値102aの時系列の変化を時間領域で分析して、金型20を使用する加工処理の少なくとも一部に要した所要期間202aを期間評価値として推定する。
推定器203は、所要期間202aの長短と金型20の劣化度合い(劣化の兆候を含む)との推定規則を記憶している。
劣化推定部204は、推定器203の推定規則に対して、期間推定部202で推定された所要期間202aの長短を当てはめて、金型状態を推定する。
金型状態報知部205は、劣化推定部204で推定される金型20の劣化を金型20の保守担当者(の端末)に報知する。
制御変更部210は、状態推定システム200で推定される金型状態(推定劣化度)を取得し、その推定に応じて制御部102に対する制御指令(加工条件など)を変更することにより、金型状態に適応して変化する加工処理を実現する。
<打抜加工の説明>
次に、打抜加工を例にして、その工程と、制御内部値102aの時系列変化との関係を説明する。
図2は、対象装置100の打抜加工を5つの工程A〜Eに分けて示した図である。
図3は、工程A〜Eにおける制御内部値102a(ここでは制御指令電流値)の時系列変化を示す図である。ここでの工程A〜Eは、対象装置100の駆動工程に相当する。
[工程A] 制御部102が起動した初期段階である。図2[A]に示すスライド13は原点位置(上死点)にあって駆動されておらず、図3に示すA点の制御内部値102aは初期値を保つ。
[工程B] 制御部102がサーボモータ1の回転を開始する。図2[B]に示すようにスライド13は下降を始める。この時点では、金型20(上型21)および加工対象30には、スライド13のプレス力は伝達されておらず、サーボモータ1のトルクは小さい。そのため、図3に示すようにB点の制御内部値102aは定常値の範囲に収まる。
[工程B〜C] 図2[B]〜[C]に示すように、スライド13は金型20(上型21)に当接して下向きに押し始める。しかし、加工対象30にはプレス力は伝達しておらず、サーボモータ1のトルクは小さいままである。そのため、図3に示すB点〜C点の制御内部値102aは定常値の範囲を保つ。
[工程C] 図2[C]に示すように、スライド13および金型20(上型21)は一つになって下向きに移動し、加工対象30に当接する。加工対象30は金型20(下型22)によって位置が固定される。この状態で、加工対象30にプレス力をかけるためサーボモータ1のトルクは上昇を開始する。そのため、図3に示すC点を境にして、制御内部値102aは定常値から上昇に転じる。
[工程C〜D] 図2[C]〜[D]では、加工対象30は、金型20に挟まれてプレスされることにより変形(弾性変形→塑性変形)を生じる。この間、制御部102はサーボモータ1のトルクを継続的に増加させる。そのため、図3に示すC点〜D点にかけて制御内部値102aは上昇を続ける。
[工程D] 図2[D]では、加工対象30は、塑性変形を続けた後にクラック31が生じる。サーボモータ1にかかるトルクは、このクラック31が発生する瞬間(直前)に最大ピークとなる。そのため、図3に示すD点において制御内部値102aはピーク値を迎える。
[工程D〜E] 図2[D]〜[E]では、クラック31が進展するにつれて加工反力が解放されるため、サーボモータ1にかかるトルクは減少する。そのため、図3に示すD点〜E点にかけて制御内部値102aは下降する。
[工程E] 図2[E]は、加工対象30が完全に破断し、端材30aと分離した瞬間である。このとき加工対象30からの加工反力が完全に消滅するため、サーボモータ1にかかるトルクは最小値となる。そのため、図3に示すE点において制御内部値102aは局所的な最小値となる。
上述した一連の打抜加工が完了すると、制御内部値102aは定常値の範囲に戻る。スライド13は上型21と共に上昇し、図3に示すF点でスライド13は原点位置(上死点)まで復帰する。その後、モータが回転を停止することにより、制御内部値102aは初期値に戻る。
<金型劣化の影響>
図4は、金型20(上型21,下型22)の劣化が加工対象30に与える影響を説明する図である。
図4[a]は、上型21および下型22が正常な状態で加工したときの模式図である。この場合の破断面32は、上型21の鋭利な角部と加工対象30の接触部と、下型22の鋭利な角部と加工対象30の接触部とを結ぶ位置に発生する。
一方、図4[b]に示すように劣化し鈍った端部21aおよび端部22aでは、加工対象30に力が集中せず、クラックの発生位置が安定しない。さらに、クラックが発生するまでの時間(図3に示すD点)も遅れ気味になる。
さらに、鈍った端部21aおよび端部22aでは、クラックを進展させる力が効率的に集中しないため、破断面32aは直線的には進まず、破断距離は長くなり、破断速度も遅くなり、クラック発生から破断完了までにかかる時間は長くなる。また、クラックの進展が上型21と下型22で限度を超えてずれると、加工対象30の加工端面にはバリ(加工不良)が発生しやすくなる。
<金型20の状態推定>
図5は、金型劣化に伴う時系列データの違いを説明する説明図である。
同図において、第1時点t1(D1)およびt1(D2)は、それぞれ正常金型と劣化金型で加工したときの制御内部値102aのピーク値(図3のD点に相当)を計時した結果である。また、同図において、第2時点t2(E1)およびt2(E2)は破断完了の終了値(図3のE点に相当)を計時した結果である。
上述したような金型劣化の影響を受けるため、第1時間から第2時間までの所要期間(t2−t1)は金型劣化に伴って長くなる。
図6は、この所要期間(t2−t1)と、劣化度(上型21および下型22の端部の摩耗量)の実測値との関係を示す図である。
同図において、所要期間と劣化度は、強い正の相関関係を示す。
この相関関係を回帰分析(回帰式で近似)することにより、金型状態推定式を求めることができる。この金型状態推定式は、係数パラメータやデータテーブルの形式で推定規則として推定器203に記憶される。
この推定器203に記憶された金型状態推定式に対して、制御内部値102aのピーク時点Dから終了時点Eまでの所要期間を当てはめることにより、推定劣化度を求めることができる。
図7は、この推定劣化度と実際の劣化度とを比較した図である。
同図によれば、推定劣化度は正解に近いことが分かる。特に、劣化度が低い領域(金型劣化の兆候を示す領域)において、正解のばらつきが大きくならない。そのため、金型20の僅かな劣化(兆候)を監視する上で、所要期間の使用は好適である。
<金型状態推定の動作の流れ>
図8は、状態推定システム200の動作を説明する流れ図である。
同図のステップ番号に沿って、金型状態推定の動作を説明する。
ステップS10: データ取得部201は、制御部102による加工処理の起動を待機する(ステップS10のNO側へ)。加工処理の起動を検出すると、データ取得部201はステップS11に動作を移行する。
ステップS11: データ取得部201は、制御部102による加工処理の起動タイミング(図3のB点)に同期して、制御部102の内部から加工処理1サイクル分(図3のB点からF点までの期間)に相当する制御内部値102aを時系列順に取得する。なお、データ取得部201は、この動作を複数回にわたって行い、得られた複数の時系列データの間で平均化やメディアン化などのフィルタ処理を行うことにより、トルク脈動などのノイズ成分を抑制してもよい。データ取得部201は、得られた制御内部値102aの時系列データを期間推定部202に出力する。
ステップS12: 期間推定部202は、制御内部値102aの時系列データから最大のピーク値(図3のD点)を探索し、D点の時間を第1時点t1(D)として求める。この第1時点t1(D)は、加工対象30にクラック31が発生した時点と推定される。
ステップS13: 期間推定部202は、制御内部値102aの時系列データから第1時点t1(D)以降において、局所的な最小値(図3のE点)を探索し、E点の時間を第2時点t2(E)として求める。この第2時点t2(E)は、加工対象30の破断完了の時点と推定される。
ステップS14: 期間推定部202は、第2時点t2(E)と第1時点t1(D)との時間差分(t2−t1)を求め、所要期間とする。この所要期間は、加工処理の一部であるクラック発生から破断完了までの所要期間と推定される。期間推定部202は、推定した所要期間を期間評価値として、劣化推定部204に出力する。
ここで重要な点は、クラック発生や破断完了を専用のセンサを設けて監視しておらず、制御部102から取得可能な制御内部値102aの時系列の変化に基づいて、クラック発生から破断完了に至る所要期間を推定している点(センサレス)である。
ステップS15: 劣化推定部204は、クラック発生から破断完了までの所要期間(期間評価値に相当)を、推定器203の推定規則(ここでは金型状態推定式)に当てはめることにより、推定劣化度を推定する。ここで使用される推定規則は、金型20の種類や加工条件に応じて変化する。そのため、金型20の種類や加工条件に応じた推定規則に適応的に切り替えることが好ましい。
ステップS16: 劣化推定部204は、推定劣化度を現在日時とともに履歴として保存する。また、劣化推定部204は、金型状態報知部205を介して、推定劣化度を金型20の保守担当者(の端末)に報知する。保守担当者(または端末)は、この推定劣化度や履歴の報知により金型20の交換時期を予測することで、交換用の金型20を予め準備できる。
ステップS17: 金型状態報知部205は、推定劣化度について大小判定を行い、所定の閾値を超える場合に加工不良の兆候(可能性)ありと判定する。この判定に使用する閾値は、金型20の種類や加工条件によって変化するため、金型20の種類や加工条件に応じて適応的に切り替えることが好ましい。
また、推定劣化度の履歴において、自然な摩耗を超える推定劣化度の急変があった場合は、金型20に異常(欠けたり、加工屑が付着など)が発生したと判定する。
金型状態報知部205は、不良兆候ないし異常のいずれの場合についても、金型20の交換ないし補修が必要と判定し、ステップS18に動作を移行する。
それ以外の場合、金型状態報知部205はステップS19に動作を移行する。
ステップS18: 金型状態報知部205は、制御変更部210に対して対象装置100の停止を指令する。その上で、金型状態報知部205は、『金型20の不良兆候または異常』を対象装置100の識別IDと共に、金型20の保守担当者(の端末)に警報する。保守担当者は、この警報に従って、識別IDが示す対象装置100に対して金型20の交換または補修を行う。
(なお、停止した対象装置100は、金型20の交換または補修を終えた保守担当者が再起動する。この再起動により、状態推定システム200はステップS10から動作を再開する。)
ステップS19: 金型状態報知部205は、制御変更部210に対して、推定劣化度を出力する。制御変更部210は、推定劣化度の値や履歴変化に応じて、制御部102に対して制御変更を行うか否か、行う場合は加工優先か金型優先かを判定する。
例えば、推定劣化度が十分に小さく、推定劣化度の履歴変化も殆どない場合、制御変更部210は制御変更を行わないと判定して、ステップS22に動作を移行する。この場合、当初の効率的な加工条件を継続して、加工個数を十分に稼ぐことが可能になる。
また、推定劣化度は上昇傾向だが、加工不良の兆候まで十分な余裕がある場合、制御変更部210は金型優先の制御変更を行うと判定して、ステップS20に動作を移行する。
一方、推定劣化度がさらに上昇し、加工不良の兆候まで十分な余裕がない場合、制御変更部210は加工優先の制御変更を行うと判定して、ステップS21に動作を移行する。
ステップS20: ここでは、推定劣化度は上昇傾向だが、加工不良の兆候まで十分な余裕がある。そこで、制御変更部210は金型劣化を遅らせる方向に制御部102の制御指令(加工条件や制御パラメータなど)を変更する。例えば、加工処理において加工対象30の破断が進行する工程において(図3のD点からE点まで)、金型20のブレス力や速度を弱めることにより、破断時の金型摩耗を遅らせることができる。
このように、加工不良の兆候まで十分な余裕があることを活かして、推定劣化度の上昇を抑制することにより、金型20の寿命を無理のない範囲で延ばすことが可能になる。
この金型優先の制御指令の後、制御変更部210は、ステップS22に動作を移行する。
ステップS21: ここでは、推定劣化度がさらに上昇し、加工不良の兆候まで十分な余裕がない。そこで、制御変更部210は加工仕上がりの低下に備えて、加工仕上がりが一定する方向に制御部102の制御指令(加工条件や制御パラメータなど)を変更する。例えば、加工処理において加工対象30の破断が進行する工程において(図3のD点からE点まで)、金型20のブレス力や速度を強めることにより、金型劣化に伴う加工仕上がりの低下を抑制することができる。その結果、金型20の劣化に起因して加工対象30に発生する不良(バリなど)を抑制することが可能となる。
なお、このとき金型20の劣化は一時的に進むことになる。その結果、加工不良の兆候が出るか出ないかといった不安定な期間は短縮されることになり、金型交換や金型補修の判定(ステップS17,S18)に速やかに移ることができる。
この加工優先の制御指令の後、制御変更部210は、ステップS22に動作を移行する。
ステップS22: 劣化推定部204は、推定劣化度の履歴(進み具合)に応じて、次回の点検時期をデータ取得部201にスケジュール(タイマー割り込みの設定)する。
例えば、推定劣化度の履歴から劣化の進みが速いと予測されるほど、次回の点検時期を前倒しにする。また、推定劣化度が加工不良の兆候直前に至った場合は、加工処理のたびに金型状態の推定を全数行うことにより、加工不良の兆候を見逃さずに金型交換や金型補修の判定(ステップS17,S18)を行うことが可能になる。
データ取得部201は、この次回の点検時期にタイマ割り込みを起こし、ステップS10から動作を再開することにより、適宜な時間間隔で次回の金型状態推定が行われる。
以上の一連の動作により金型状態推定が完了する。
<実施例1の効果>
(1)実施例1では、図5に示すように、制御内部値102aがピーク値となる時点から終了値になる時点までの期間を、加工処理の一部に要した所要期間として推定する。この所要期間は、加工対象30にクラック31が生じてから破断完了するまでの時間と推定される。この所要期間は、金型劣化による「破断距離の変化」および「破断速度の変化」という二重の変化を相乗的に反映するため、金型劣化の影響を顕著に受ける。そのため、金型劣化を適切に推定できる。
(2)実施例1では、金型20に関連した現象(クラック発生、破断完了)を、制御内部値102aの時系列の変化に基づいて推定する。この制御内部値102aは、制御部102の内部において、対象装置100の制御に使用する値であるため、対象装置100内からセンサレスで取得できる。そのため、従来技術で必要であった下死点検出センサやAE(Acoustic Emission)センサは必須とならず、センサレスの構成でも金型劣化が推定可能になる。
(3)実施例1では、制御内部値102aの時系列の変化を、所定ルール(ピーク、局所的な最小点)に従って分析し、第1時点t1および第2時点t2を決定する。この所定ルールは変更が容易であり、その結果である所要期間の範囲を即座にかつ自由に変更できる。ここまでの柔軟性や適応性は、専用センサを使用しなければならない従来技術では不可能であった。
(4)仮に、制御内部値102aの数値(絶対量)を基準に所要期間を求めた場合、制御内部値102aに含まる低周波ノイズ(ドリフトノイズや1/fノイズ)やオフセット誤差の影響を受けて所要期間の長さが変動する。そのため、微妙な金型劣化の兆候を見逃す虞がある。しかし、実施例1では、制御内部値102aの時系列の変化(波形の相対量)から所要期間を求める。そのため、低周波ノイズやオフセット誤差があっても所要期間の変動は小さく、金型劣化の兆候を見逃す虞は低くなる。
(5)実施例1では、第1の推定(制御内部値102aの時系列変化から所要期間を推定)と、第2の推定(所要期間から金型劣化を推定)という2段階推定を行う。
仮に、この2段階推定を1段階で行った場合(制御内部値102aの時系列の変化から金型劣化を直接に推定)、推定過程を絞り切れずに金型劣化の推定を誤る虞がある。
しかし、実施例1は2段階推定のため、推定過程で所要期間を一旦確定し、その上で金型劣化を推定する。そのため、推定過程の絞り込みが適切で、金型劣化の推定を誤る虞は少ない。
(6)実施例1では、制御内部値102aとして、制御部102が駆動部101を制御するために指令する制御指令電流値を使用する。この制御指令電流値は駆動部101のトルクの増減を指定する値であるため、金型劣化により加工が遅れてトルクをかける期間が長くなるなどの現象を直接的に捕捉できる。そのため、金型劣化の推定が短絡(強い相関)になり容易になる。
(7)実施例1では、金型劣化の状態を取得し、劣化状態の推定結果に応じて制御部102に対する制御指令を変更することで、金型20を使用する加工処理の動作変更を行う。そのため、金型20の劣化状況に応じた適応的な加工処理が可能になる。
(8)実施例1では、金型劣化の状態に応じて、金型20を使用する加工処理の仕上がりが一定する方向に制御指令を行う。そのため、金型20が劣化しても加工不良の発生をなるべく回避することが可能になる。その結果、金型20の劣化に起因して加工対象30に発生する不良(バリなど)を抑制することが可能となる。
(9)また、実施例1では、劣化した金型20において加工処理の仕上がりを一定させることで、金型20の劣化を一時的に速く進める。そのため、加工不良が出るか出ないかといった不安定な時期を早く完了して、金型交換の時期が速まる。その結果、金型交換に至る直前での加工不良の発生を抑制できるという効果もある。
(10)さらに、実施例1では、金型20の劣化状態に応じて、金型20の劣化を遅らせる方向に制御指令を変更することもできる。この場合、金型20の寿命を一時的に延ばし、金型交換の頻度を抑えることが可能になる。
(11)このように金型20の寿命を一時的に延ばすことにより、新たな金型20の調達に時間を要する場合に対象装置100の稼働を一旦は続けることが可能になる。この場合、対象装置100のダウンタイムコストを低減できる。
(12)実施例1では、図1に示すように、金型状態報知部205を設けて、金型20の劣化状態を保守担当者(の端末)に迅速に通知する。そのため、金型20の交換が遅れて、加工不良が発生したり、劣化や欠損による振動が起こって金型20が突発破損したりなどの事態を未然に防ぐことが可能になる。
次に、実施例2として、ピーク時点t1とピーク値の所定割合の時点t2との間隔を所要期間とするケースについて説明する。
図9[a]に示すように、期間推定部202は、第1時点t1として、制御内部値Xのピーク値Xpkとなる時間を計時する。さらに、期間推定部202は、第2時点t2として、ピーク値Xpkの所定割合K倍(C点相当の割合<K<1)まで下降した時間を計時する。
期間推定部202は、第2時点t2と第1時点t1との時間差(t2−t1)を、加工処理の一部に要した所要期間(期間評価値)として推定する。推定器203には、この実施例2の所要期間と、劣化度との推定規則が記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様のため、ここでの重複説明を省略する。
実施例2の所要期間は、金型劣化による破断現象の時間遅れを反映するため、金型劣化の推定に好適である。
なお、図9[a]では第2時点t2は第1時点t1以降において計時しているが、第1時点t1よりも前の時点(図9[a]内の四角の点)としてもよい。その場合、加工処理の一部期間として、クラック発生までに要した時間を推定する。この所要期間は、破断の時間遅れの影響を受けないが、金型劣化によるクラック発生の時間遅れの影響を受けるため、金型劣化の推定に好適である。
<実施例2の効果>
実施例2では、上述した実施例1の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例2では、図9[a]に示すように、制御内部値102aがピーク値となる時点からピーク値の所定割合になる時点までの期間を加工処理の一部に要した所要期間として推定する。この所要期間は、加工対象30にクラック31が生じてから破断完了するまでの時間の一部に相当する。この所要期間も、金型劣化による「破断距離の変化」および「破断速度の変化」という二重の変化を相乗的に反映するため、金型劣化の影響を顕著に受ける。そのため、金型劣化を適切に推定できる。
さらに、実施例2では、所要期間の終点をピーク値の所定割合になる時点とするため、局所的な最小値である最終値(図3のE点)が存在しないケースや、局所的な最小値が明確でないケースにおいても、所要期間を適切に求めることができる。
また、実施例2では、制御内部値102aがピーク値の所定割合になる時点からピーク値となる時点までの期間を加工処理の一部に要した所要期間として推定する。この所要期間は、加工対象30に力がかかってからクラック31が発生するまでの時間の一部に相当する。この所要期間は、金型劣化によるクラック発生の遅れを反映するため、金型劣化を適切に推定できる。
さらに、実施例2では、加工対象30の材質や寸法、上型21および下型22の形状などに応じて、所定割合の倍数Kを適宜変更することで、所要期間と金型20の劣化状態の相関性が高くなるように設定することが可能となり、金型劣化の推定精度を更に高めることができる。
さらに、実施例3として、ピーク時点を挟む前後期間を所要期間とするケースについて説明する。
図9[b]に示すように、期間推定部202は、ピーク値Xpkの所定割合K倍(C点相当の割合<K<1)を超える第1時点t1と、ピーク値Xpkの所定割合K倍(C点相当の割合<K<1)を下回る第1時点t2となる間隔を計時する。なお、この所定割合K倍の値を、期間の始点と終点で異ならせることにより、ピーク点の前後期間を調整してもよい。
期間推定部202は、第2時点t2と第1時点t1との時間差(t2−t1)を、加工処理の一部に要した所要期間(期間評価値)として推定する。推定器203には、この実施例3の所要期間と、劣化度との推定規則が学習または記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
実施例3によれば、ピーク値Xpkの時間前後を所要期間として算出する。この所要期間は、金型劣化によるクラック発生までの時間遅れと破断の時間遅れの両方の影響を受ける。そのため、この所要期間は、金型劣化の推定に好適である。
<実施例3の効果>
実施例3では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例3では、図9[b]に示すように、制御内部値102aがピーク値の所定割合を超える時点からピーク値の所定割合を下回る時点までの期間を、加工処理の一部に要した所要期間として推定する。この所要期間には、金型劣化によるクラック発生の遅れと破断の遅れの両方を含むため、金型劣化の影響を非常に強く受ける。そのため、より適切に金型劣化を推定することができる。
実施例3では、加工対象30の材質や寸法、上型21および下型22の形状などに応じて、所定割合の倍数Kを適宜変更することで、所要期間と金型20の劣化状態の相関性が高くなるように設定することが可能となり、金型劣化の推定精度を更に高めることができる。
また、実施例4として、複数の所要期間を劣化状態の推定材料とするケースについて説明する。
図9[c]の加工処理は、プログラムモーション加工である。プログラムモーション加工とは、1回の加工を複数ステップに分割する加工方法を指す。1ステップの加工では困難な寸法や材質の加工対象30であっても、複数のステップに分割して少しずつ加工を行うことで加工が可能になる。
実施例4では、第1時間と第2時間をステップごとに計時し、複数の所要期間を算出する。抽出した所要期間(図12では、t2(X1)−t1(X1)と、t2(X2)−t1(X2))をそれぞれ用いて金型劣化を推定する。そのために、推定器203には、2種類の所要期間についてのそれぞれ推定規則が学習または記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
実施例4では、1回の加工の間に複数の所要期間を抽出することが可能となるため、金型20の推定精度が向上する。また、例えば第1ステップの所要期間(t2(X1)−t1(X1))で誤検知した場合であっても、第2ステップ(t2(X2)−t1(X2))で検知できるため、誤検知を抑制できる。
<実施例4の効果>
実施例4では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例4では、図9[c]に示すように、1回の加工処理を複数ステップに分けて複数の所要期間を推定する。これら複数の所要期間の推定を組み合わせることにより、金型劣化の推定精度を高めることが可能になる。また、一方の所要期間が不明確でも、もう一方の所要期間のみで金型劣化を推定できるため、金型劣化の推定を確実に行うこともできる。
さらに、実施例5として、『所定期間の長短』と『制御内部値の大小』とに基づいて、期間評価値を求めるケースについて説明する。
例えば図9[d]に示すように、期間推定部202は、実施例1〜4などで推定した所要期間にわたって制御内部値102aを積算した積分結果を求める。期間推定部202は、この積分結果を期間評価値とする。
推定器203には、この実施例5の期間評価値と、劣化度との推定規則が学習または記憶される。
なお、その他の構成や動作については実施例1と同様なため、ここでの重複説明を省略する。
<実施例5の効果>
実施例5では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
実施例5は、金型劣化に起因する所要期間の長短変化に加えて、金型劣化に起因する制御内部値の大小変化も併せて考慮することで、金型劣化を複合的かつ多視点に推定することが可能になる。すなわち、所要期間が短いままでも、制御内部値が過大になれば、期間評価値は過大になるため、劣化した金型20を酷使する状態などの兆候を見逃さずに推定することができる。また、所要期間が短いままでも、制御内部値が過小になれば、期間評価値は過小になるため、金型20の損傷によりプレスがかからない状態などの兆候を見逃さずに推定することができる。
次に、実施例6として、クラウドサーバから状態推定システムに対してサービス提供を行うケースについて説明する。
図10は、クラウド構成による複数台の電動プレスシステムの管理を説明する図である。
同図において、クラウドサーバ500は、ネットワークを介して複数の電動プレスシステム300a,300b…に接続される。ここでのネットワークは、インターネットなどを介した外部接続可能なネットワークでもよいし、電動プレスシステム300a,300b…に接続が限定されたネットワークでもよい。
これらの電動プレスシステム300a,300b…は、対象装置100a,100b…および状態推定システム200a,200b…をそれぞれ備えて構成される。
状態推定システム200a,200b…は、劣化推定部204および制御変更部210をそれぞれ備える。
なお、その他の構成および動作は、実施例1と同様であるため、ここでの重複説明を省略する。
以下、クラウドサーバ500による電動プレスシステム300a,300b…に対するサービス提供について説明する。
劣化推定部204は、例えば、次のようなデータ項目からなる劣化の推定モデルとその推定結果を有する。
『劣化の推定モデル』
・金型20の種別
・制御内部値102aの種類
・データ取得のサンプリング間隔
・所要期間の定義(第1時点t1,第2時点t2の決定方法)
・劣化度と所要期間の推定規則データ
・劣化度と所要期間の回帰直線式
・劣化度と所要期間の回帰データのデータテーブル
・金型20を交換(補修)する条件
・金型20の劣化点検サイクル
『推定結果』
・劣化度と所要期間の相関係数
・推定劣化度の履歴
・交換時の金型20の劣化度(実測値)
・センサによる金型20の劣化度の測定値
・金型20の交換サイクル
・加工不良の発生率
クラウドサーバ500は、状態推定システム200a,200b…から、上述した『劣化の推定モデル』とその『推定結果』をネットワークを介して定期的に収集し、一種のビックデータとして蓄積する。
クラウドサーバ500は、同類の金型20や対象装置100(似た劣化傾向をもつもの)に関するビックデータの評価(要因分析など)を行い、『推定結果』の個々の項目を改善するために有用な『劣化の推定モデル』の各項目を求める。
そして、『推定結果』の個々の項目を優先順に重み付けした評価関数が最適化するように『劣化の推定モデル』の各項目の組み合わせを選択する。このような評価により、クラウドサーバ500は、『適正な推定モデル』を自動的に策定する。
クラウドサーバ500は、自動的に策定した『適正な推定モデル』をネットワークを介して、同類の状態推定システム200a,200b…に供給する。状態推定システム200a,200b…は、現行の『推定モデル』を、供給された『適正な推定モデル』に更新する。
一方、制御変更部210は、例えば、次のようなデータ項目からなる制御変更モデルとその制御結果を有する。
『制御変更モデル』
・金型20の種別
・制御内部値102aの種類
・「金型優先」を選択する条件
・「金型優先」の制御パラメータ
・「加工優先」を選択する条件
・「加工優先」の制御パラメータ
・「制御変更せず」を選択する条件
・「制御変更せず」の制御パラメータ
『制御結果』
・加工不良の発生率
・推定劣化度の履歴
・交換時の金型20の劣化度(実測値)
・センサによる金型20の劣化度の測定値
・金型20の交換サイクル
クラウドサーバ500は、状態推定システム200a,200b…から、上述した『制御変更モデル』とその『制御結果』をネットワークを介して定期的に収集し、一種のビックデータとして蓄積する。
クラウドサーバ500は、同類の金型20や対象装置100(似た劣化傾向をもつもの)に関するビックデータの評価(要因分析など)を行い、『制御結果』の個々の項目を改善するために有用な『制御変更モデル』の各項目を求める。
そして、『制御結果』の個々の項目を優先順に重み付けした評価関数が最適化するように『制御変更モデル』の各項目の組み合わせを選択する。このような評価により、クラウドサーバ500は、『適正な制御変更モデル』を自動的に策定する。
クラウドサーバ500は、自動的に策定した『適正な制御変更モデル』をネットワークを介して、同類の状態推定システム200a,200b…に供給する。状態推定システム200a,200b…は、現行の『制御変更モデル』を、供給された『適正な制御変更モデル』に更新する。
<実施例6の効果>
実施例6では、上述した実施例の効果の他に、次の効果も奏する。
本実施例では、一つ以上の電動プレスシステムにおいて、推定モデルや制御変更モデルを常に最適に近い状態に維持することが可能となる。また、他の電動プレスシステムの情報がクラウドでつながっているため、加工条件や加工対象30が変更された場合であっても、他の電動プレスシステムの過去の加工データベースに基づいてモデルを更新することも可能となる。
<実施形態の補足事項>
なお、上述した実施例では、制御内部値102aとして、制御指令電流値を使用する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御内部値102aとしては、対象装置100(例えば制御部102が駆動部101の制御)に使用する制御データであればよい。例えば、金型20が加工対象30を加工するに伴って時間変化する物理量(力、トルク、速度、加速度、角速度、変位量、モータ回転量、モータ駆動電流、脈動、負荷変動など)を反映する値、またはこれらを直接間接にコントロールするための値であることが好ましい。
また、上述した実施例では、対象装置100の処理に関連した現象として、クラック発生の時点、終了値の時点、前後の中間値の時点を、制御内部値102aの時系列の変化に基づいて推定する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、対象装置100の摩耗や汚損や異常や損傷やその他の劣化により発生タイミングが変化する再現性ある現象であればよい。このような現象としては、例えば、起動時点、トルクの変化時点、加工処理の所要期間の内分点、加工処理の特徴的な時点などが好ましい。
さらに、上述した実施例では、制御内部値102aの時系列の変化を、特徴(ピーク、局所的な最小点、所定割合Kの中間点など)で分析し、第1時点t1および第2時点t2を決定する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、制御内部値の時系列変化に生じる解析可能な特徴であって、対象装置100の劣化により発生タイミングが変化する現象と推定できるものであればよい。このような時系列変化の特徴としては、変曲点や、傾きや、予め規定された所定パターンの時系列変化により決定される点、微分値やその変化により決定される点、積分値(積算値)により決定される点、包絡線により決定される点などが適宜に採用可能である。
さらに、上述した実施例では、制御内部値102aの時系列変化そのものに基づいて所要期間を推定している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御内部値102aが劣化の時間積分に相当する物理量の場合は、制御内部値102aの時系列変化を時間微分してから所要期間を推定することが好ましい。また、制御内部値102aが劣化の時間微分に相当する物理量の場合は、制御内部値102aの時系列変化を時間積分してから所要期間を推定することが好ましい。また、制御内部値102aの時系列変化に対して、妨害除去または特徴強調のフィルタ処理をしてから、所要期間を推定することも好ましい。
なお、実施形態では電動プレス機を用いた打抜加工を例に説明する。しかしながら、金型を使用した加工処理全般において本発明は好適である。例えば、金型を使用したせん断加工、曲げ加工、絞り加工、圧縮加工、裁断加工などに適用することが好ましい。さらには、金型以外の消耗品の劣化(兆候)を推定する用途に本発明は好適である。例えば、電動裁断機を対象装置とした場合、裁断刃の劣化の兆候(切れ味の変化)を監視するなどの用途に本発明は好適である。また例えば、ドリル刃やエンドミルその他の消耗品の劣化の兆候を監視するなどの用途に本発明は好適である。さらに例えば、加工装置では、被加工材の劣化(被加工材の不良や変質や素材違いや形成不良や規格外品や重量不均一やバリ発生や損傷など)も所要期間(期間評価値)から推定できるので、被加工材や加工形成品の品質推定の用途に本発明は好適である。また例えば、対象装置における駆動モータの劣化や動力伝達部品の劣化(摩耗や汚損)も所要期間(期間評価値)から推定できるので、対象装置の故障の予兆を推定する用途に本発明は好適である。
また、実施形態ではセンサレスの構成例を説明する。しかしながら、本発明はセンサレスに限定されない。例えば、センサを劣化検出のために追加的に組み合わせ、本発明の劣化状態の推定処理を補完するように組み合わせることも可能である。
さらに、実施形態では、相関関係を推定規則として採用する。しかしながら、本発明はこれに限定されてない。所要期間(または期間評価値)を訓練データとし、かつ対象装置の劣化度(計測値)を教師値として機械学習を行ったニューラルネットワークや、その他の機械学習の結果を、推定規則として採用してもよい。なお、劣化推定の材料とするデータが複数の場合は、多変量解析などにより推定規則を作成してもよい。
1…サーボモータ、2…サーボアンプ、11…偏芯軸、12…伝達軸、13…スライド、20…金型、21…上型、22…下型、30…加工対象、31…クラック、100…対象装置、101…駆動部、102…制御部、102a…制御内部値、200…状態推定システム、201…データ取得部、202…期間推定部、202a…所要期間、203…推定器、204…劣化推定部、205…金型状態報知部、210…制御変更部、300a…電動プレスシステム、500…クラウドサーバ

Claims (12)

  1. 対象装置の劣化状態を推定する状態推定システムであって、
    前記対象装置の制御部が前記対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得可能なデータ取得部と、
    前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定部と、
    前記期間評価値の値と前記対象装置の劣化との推定規則について記憶する推定器と、
    前記推定器の前記推定規則に対して、前記期間推定部で求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記対象装置の劣化を推定する劣化推定部と
    を備えた状態推定システム。
  2. 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
    前記期間推定部は、
    前記制御内部値がピーク値になる時点と終了値になる時点との間隔を、前記所要期間として推定する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  3. 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
    前記期間推定部は、
    前記制御内部値がピーク値になる時点とピーク値の予め定められた所定割合になる時点との間隔を、前記所要期間として推定する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  4. 請求項1に記載の状態推定システムにおいて、
    前記期間推定部は、
    前記制御内部値がピーク値の予め定められた所定割合を超える時点と前記ピーク値の予め定められた所定割合を下回る時点との間隔を、前記所要期間として推定する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
    前記期間推定部は、
    前記推定した所要期間にわたって前記制御内部値を積算した積分結果を、前記期間評価値として求める
    ことを特徴とする状態推定システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
    前記データ取得部は、
    前記制御内部値として、前記制御部が前記駆動部に指令する制御指令電流値を取得する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の状態推定システムにおいて、
    前記期間推定部は、
    前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置が消耗品を駆動する加工処理の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求め、
    前記劣化推定部は、
    前記推定器の前記推定規則に対して、前記期間推定部で求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記消耗品の劣化を推定し、
    前記消耗品の劣化に応じて、前記対象装置の前記加工処理の制御変更を前記制御部に指示する制御変更部と
    を備えたことを特徴とする状態推定システム。
  8. 請求項7に記載の状態推定システムにおいて、
    前記制御変更部は、
    前記消耗品の劣化に応じて、前記消耗品を使用する加工処理の仕上がりが一定する方向に制御変更を指示する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  9. 請求項7に記載の状態推定システムにおいて、
    前記制御変更部は、
    前記消耗品の劣化に応じて、前記消耗品の劣化を遅らせる方向に制御変更を指示する
    ことを特徴とする状態推定システム。
  10. 対象装置の劣化状態を推定する状態推定方法であって、
    前記対象装置の制御部が前記対象装置の駆動部の制御に使用する制御内部値を取得可能なデータ取得ステップと、
    前記制御内部値の時系列の変化に基づいて、前記対象装置の駆動工程の少なくとも一部に要した所要期間を推定して、前記所要期間に基づく期間評価値を求める期間推定ステップと、
    前記期間評価値の値と前記対象装置の劣化との推定規則に対して、前記期間推定ステップで求めた前記期間評価値の値を当てはめて、前記対象装置の劣化を推定する劣化推定ステップと
    を備えた状態推定方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の状態推定システムを対象にしてクラウドサーバが実行するサービス提供方法であって、
    一つ以上の前記状態推定システムから、前記対象装置の劣化の推定モデルとその推定結果をネットワークを介して収集して蓄積する推定モデル収集ステップと、
    蓄積された前記推定モデルを前記推定結果に基づいて評価し、前記推定モデルの適正化を行う推定モデル適正化ステップと、
    適正化された前記推定モデルに基づいて、前記状態推定システムの前記推定モデルを更新する推定モデル更新ステップと
    を備えたことを特徴とするサービス提供方法。
  12. 請求項11に記載のサービス提供方法において、
    制御変更部を備える前記状態推定システムからは、前記制御変更部の制御変更モデルとその制御結果をネットワークを介して収集して蓄積する制御変更モデル収集ステップと、
    蓄積された前記制御変更モデルを前記制御結果に基づいて評価し、前記制御変更モデルの適正化を行う制御変更モデル適正化ステップと、
    適正化された前記制御変更モデルに基づいて、前記状態推定システムの前記制御変更モデルを更新する制御変更モデル更新ステップと
    を備えたことを特徴とするサービス提供方法。
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