JP2020048683A - 片麻痺の検査装置 - Google Patents

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中島 重義
Shigeyoshi Nakajima
重義 中島
充彦 池渕
Mitsuhiko Ikebuchi
充彦 池渕
加藤 良一
Ryoichi Kato
良一 加藤
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Abstract

【課題】人の片麻痺を簡易に検査することが可能な検査装置を提供する。【解決手段】人の片麻痺を検査する装置が提供される。検査装置は、人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、人の歩行時の位置データの周波数分布を算出する周波数解析部と、h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は区間とその近傍の区間を積分区間として周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出する積分部と、hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出する直線導出部と、直線の傾き及び切片、並びに、人のストライド周波数f1の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値により特定される点が、少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、人が片麻痺か否かを判断する判断部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、人の片麻痺を検査する検査装置、プログラム及び方法に関する。
脳梗塞や脳出血を含む脳卒中の検査には、通常、MRIやCTが使用される。しかし、このような設備は、病院等の特定の施設にしかなく、このような設備を使用する検査には、お金と時間がかかる。また、CTには、放射能侵襲があるし、MRIには、磁場侵襲がある。さらに、このような検査は、実際上、毎日受けることはできない。しかし、例えば、脳卒中の中でも近年多く見られる脳梗塞の場合、発症後、4.5時間以内に血栓溶解薬を注射すれば、回復が見込まれることが知られている。よって、脳卒中は、早期発見が重要である。
脳卒中は、片麻痺の症状を伴うことが多くある。片麻痺の回復過程を評価する指標に、ブルンストロームステージと呼ばれる指標がある。これによれば、片麻痺の程度がI〜VIの6段階に分けて評価され、数字が大きい程軽微であり、健常者に近い。特に最も軽微なステージVIの人の場合、片麻痺が発症していたとしても、周りからは分かりづらく、本人にも自覚がないことがしばしばある。従って、片麻痺の早期発見は難しいのが現状である。
特許文献1は、片麻痺の患者及び健常者を含む被験者の腰に加速度計を装着して腰の軌道パターンを計測し、計測された腰の軌道パターンの幾何学的特徴とブルンストロームステージとの関係性を評価している。
西辰徳、他2名,「腰軌道の運動学的分析に基づく片麻痺歩行評価システム」,計測自動制御学会論文集,第47巻,第1号,8−16頁,2011年1月
本発明は、人の片麻痺を簡易に検査することが可能な検査装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
第1観点に係る検査装置は、人の片麻痺を検査する装置であって、前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出する周波数解析部と、h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出する積分部と、hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出する直線導出部と、前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数f1の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値により特定される点が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する判断部とを備える。
第2観点に係る検査装置は、第1観点に係る検査装置であって、前記判断部は、前記切片と前記ストライド周波数f1の値により特定される点が、前記切片と前記ストライド周波数f1をそれぞれ2軸とする平面内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する。
第3観点に係る検査装置は、第1観点に係る検査装置であって、前記判断部は、前記傾きと前記切片の値により特定される点が、前記傾きと前記切片をそれぞれ2軸とする平面内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する。
第4観点に係る検査システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る検査装置と、前記検査装置に内蔵又は外付けされ、前記加速度データを計測する加速度計とを備える。
第5観点に係るプログラムは、人の片麻痺を検査するためのプログラムであって、以下のステップをコンピュータに実行させる。
(1)前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出するステップ。
(2)h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出するステップ。
(3)hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出するステップ。
(4)前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断するステップ。
第6観点に係る方法は、人の片麻痺を検査するための方法であって、以下のステップを含む。
(1)前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出するステップ。
(2)h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出するステップ。
(3)hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出するステップ。
(4)前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断するステップ。
本発明によれば、人の片麻痺を簡易に検査することができる。その結果、例えば、MRIやCT等の設備に頼らずとも、脳卒中の早期発見を助けることができる。
本発明の一実施形態に係る片麻痺の検査装置の構成を示す図。 本発明の一実施形態に係る片麻痺の検査方法の流れを示すフローチャート。 健常者の加速度データを示すグラフ。 股関節異常患者の加速度データを示すグラフ。 片麻痺の脳卒中患者の加速度データを示すグラフ。 健常者の加速度データの周波数分布p(f)を示すグラフ。 股関節異常患者の加速度データの周波数分布p(f)を示すグラフ。 片麻痺の脳卒中患者の加速度データの周波数分布p(f)を示すグラフ。 健常者の位置データの周波数分布の様々な積分区間での積分値g(h)を示すグラフ。 股関節異常患者の位置データの周波数分布の様々な積分区間での積分値g(h)を示すグラフ。 片麻痺の脳卒中患者の位置データの周波数分布の様々な積分区間での積分値g(h)を示すグラフ。 健常者についてのhの対数と、積分値g(h)の対数との関係を示すグラフ。 股関節異常患者についてのhの対数と、積分値g(h)の対数との関係を示すグラフ。 片麻痺の脳卒中患者についてのhの対数と、積分値g(h)の対数との関係を示すグラフ。 健常者、股関節異常患者、並びにブルンストロームステージIV、V及びVIの脳卒中患者を含む41名についての、切片ciとストライド周波数f1のプロット図。 健常者、股関節異常患者、並びにブルンストロームステージIV、V及びVIの脳卒中患者を含む41名についての、傾きsiと切片ciのプロット図。 健常者、股関節異常患者、並びにブルンストロームステージIV、V及びVIの脳卒中患者を含む41名についての、傾きsiとストライド周波数f1のプロット図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る片麻痺の検査装置、プログラム及び方法について説明する。
<1.片麻痺の検査装置の構成>
図1に、本実施形態に係る片麻痺の検査装置1の構成図を示す。検査装置1は、ハードウェアとしては、汎用のコンピュータであり、これに限定されないが、本実施形態では、加速度計3が内蔵されたスマートフォンから構成される。スマートフォンは、インターネットを介して所定のプログラム2をダウンロードし、インストールすることにより、片麻痺の検査を行う検査装置1として使用可能となる。プログラム2は、加速度計3により計測される人P1の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、人P1の片麻痺を簡易に検査するアプリケーションソフトウェアであり、検査装置1に後述する処理を実行させる。検査装置1によれば、MRIやCT等の大掛かりな設備に頼らずとも、簡易に片麻痺の検査を行うことができ、脳卒中の早期発見を助けることができる。検査装置1による片麻痺の検査は、医師や理学療法士等の専門家とともに行うこともできるが、自分だけで行うこともできるため、日常的な検査が可能になる。
図1に示すとおり、検査装置1は、表示部10、入力部20、記憶部30、制御部40及び通信部50を有する。これらの部10〜50は、互いにバス線7を介して接続されている。表示部10は、液晶ディスプレイ等で構成され、適当な画面をユーザーに対し表示する。入力部20は、タッチパネルや操作ボタン等で構成され、検査装置1に対するユーザーからの操作を受け付ける。通信部50は、検査装置1をインターネットや、BLUETOOTH(登録商標)のような近距離無線通信ネットワーク等に通信接続する通信インターフェースである。記憶部30は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置で構成され、記憶部30内には、プログラム2が格納されている。
制御部40は、CPU、ROM及びRAM等から構成されており、記憶部30内に格納されているプログラム2を読み出して実行することにより、仮想的に、周波数解析部41、積分部42、直線導出部43、判断部44及び結果出力部45として動作する。各部41〜45の動作については、後述する。
<2.片麻痺の検査方法の流れ>
以下、図2を参照しつつ、本実施形態に係る片麻痺の検査方法の流れについて説明する。まず、片麻痺の検査を行うに当たり、ユーザーは、入力部20を操作して、検査装置1上でプログラム2を起動させる。これにより、図2に示す処理が開始する。なお、ここでいうユーザーとは、被験者となる人P1自身の他、医師や理学療法士等の専門家のような、人P1の片麻痺の検査結果を必要とする者の総称である。
次に、被験者となる人P1の身体の所定の位置、本実施形態では、図1に示すように、腰の後ろの仙骨に近い位置に、検査装置1を図視されないベルト等を介して装着する。ただし、検査装置1の装着位置はこれに限定されず、首の後ろ等、その他の部位に装着することも可能である。そして、この状態で、人P1がテスト歩行を行うと、検査装置1に含まれる加速度計3により、人P1の歩行時の時系列の加速度データが収集される(ステップS1)。テスト歩行では、人P1に8歩以上歩かせることが好ましい。また、歩き始めと歩き終わりの加速度データは、定常的な歩行の状態を表すデータとはならないため、後述する解析には必ずしも適さない。従って、加速度計3により収集された加速度データのうち、歩き始めと歩き終わりのデータを削除し、残りの一定速度のデータを後述する解析の対象とすることが好ましい。8歩分の加速度データであれば、通常は4秒程度の時間で収集することができ、6歩分の一定速度のデータが含まれる。
加速度計3により計測された加速度データは、記憶部30内に保存される。なお、加速度計3は、3軸加速度センサであり、ここでは、左右、前後及び上下方向の3方向の加速度データが収集される。左右、前後及び上下方向は、歩行中の人P1を基準に定義される。図3A〜図3Cは、それぞれ、健常者、股関節に異常を有する患者、及び脳卒中による片麻痺の患者の実際の加速度データのグラフを示している。
続いて、周波数解析部41が、記憶部30内の加速度データに基づいて、人P1の歩行時の位置データ(加速度計3が装着された部位の変位データ)の周波数分布を算出する(ステップS2)。より具体的には、周波数解析部41は、3方向の加速度データをそれぞれフーリエ変換し、各方向について、周波数スペクトルのコサイン成分(実部)及びサイン成分(虚部)を導出する。続いて、周波数解析部41は、これら3方向×2つの成分の合計6つの成分を6次元ベクトルとしたときのベクトル長(スカラー値、大きさ)pを算出する。pは、周波数fの関数であり、以下、p(f)と表現する。図4A〜図4Cは、それぞれ、図3A〜図3Cの加速度データに基づくp(f)のグラフである。
続いて、周波数解析部41は、加速度データの周波数分布の大きさであるp(f)を、位置データの周波数分布の大きさq(f)へと変換する。変換式は、q(f)=−p(f)/(2πf)2である。すなわち、周波数fのサイン関数sin(2πft)及びコサイン関数cos(2πft)は、時間tで二回微分すると−(2πf)2倍になるため、−1/(2πf)2倍すると、二回積分したことになる。よって、以上の変換式に基づくq(f)は、加速度計3が装着されている腰の位置を表す位置ベクトル(3次元ベクトル)の時系列データの周波数分布(6次元ベクトル)のベクトル長(スカラー値、大きさ)を表す。
続いて、積分部42は、h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhの近傍からH番目のピーク周波数fHの近傍までを積分区間として、周波数分布の大きさq(f)を積分し、積分値g(h)を算出する(ステップS3)。g(h)は、以下の通り、定義される。本実施形態では、積分区間は、ピーク周波数fhからピーク周波数fHまでの区間よりもやや広く、同区間と同区間の近傍の区間とを含む、(h−0.5)×f1から(H+0.5)×f1までの区間である。また、本実施形態では、H=6である。
図4A〜図4Cの1Hz当たりにある1番目のピークは、ストライド(右一歩と左一歩)の周波数(以下、ストライド周波数という)f1のピークである。人間の歩行には、通常、1Hzの近傍にストライド周波数f1があり、そのパワーは、左右の足で二足歩行する人間の横揺れに対応する。そして、その2倍の周波数2f1(以下、ステップ周波数という)は、一歩ずつの人間の縦揺れと前後揺れに対応する。よく知られているように、一定の弾力係数を有する物体の自由振動は、ある周波数のサイン・コサイン関数になる。人間の歩行は、自由振動のように滑らかであれば、横揺れに対応するストライド周波数f1と、縦揺れ及び前後揺れに対応するステップ周波数2f1とのサイン・コサイン関数だけで表されるはずである。しかし、実際には、3f1以上の領域にも、パワーが存在する。歩行時には、足を床から離すトゥキックや、踵を床に接触させるヒールタッチ等の衝撃が足に加わり、それらの衝撃が3f1以上の領域に現れていると考えられる。そして、これらの衝撃は、健常者の場合、膝や腰でうまく吸収して軽減されると考えられるが、片麻痺の患者の場合、そうはいかない。発明者らは、以上のとおり定義されるg(h)が、h×f1以上の周波数において吸収されなかった衝撃のパワーを表すものと考えた。図5A〜図5Cは、それぞれ、図4A〜図4Cのp(f)に基づくg(h)のグラフである。
続いて、直線導出部43は、h=1,2,・・・,Hに対し、hの対数log(h)と、g(h)の対数log(g(h))を算出し、log(h)とlog(g(h))との線形関係を表す近似直線を導出する(ステップS4)。近似直線は、最小二乗法等により算出される。図6A〜図6Cは、それぞれ、図5A〜図5Cの(h,g(h))に基づく(log(h),log(g(h)))の点をプロットしたグラフである。
自然の海や湖の波の周期や、風や小川のせせらぎには、1/f揺らぎが現れる。1/f揺らぎとは、パワーが周波数fに反比例する揺らぎのことであり、1/f揺らぎが現れるとき、周波数fの対数log(f)と、その周波数分布a(f)の対数log(a(f))との関係は、傾きが−1の直線となる。このことに着想を得て、本発明者らは、h=1,2,・・・,Hに対するH個の(log(h),log(g(h)))の点は、1本の直線に回帰すると予測し、このことを実験により確認した。この実験は、健常者20名と、股関節異常患者1名と、片麻痺の脳卒中患者20名(うち、ブルンストロームステージIV、V、VIの人がそれぞれ7名、6名、7名)の合計41名に対して行った。図6A〜図6Cは、このうち、健常者1名と、股関節異常患者1名と、ブルンストロームステージVIの片麻痺の脳卒中患者1名分のデータを表している。なお、ステージVIの患者は、歩行を観察したときに健常者と余り区別がつかず、ステージVの患者は、健常者とは区別がつくが、自立して歩けるレベルであり、ステージIVの患者は、かろうじて歩けるレベルである。ステージIII以下は、自立して歩くのが困難なレベルである。この実験においては、以上の41名の各人に対し、(log(h),log(g(h)))の関係について、直線に近いほど絶対値が1に近くなる相関係数を算出した。その結果、41名のこのような相関係数は、−1〜−0.96の範囲に収まった。なお、このときの近似直線の傾きは−3に近くなったため、人間の歩行は、1/f3揺らぎであると考察される。
続いて、判断部44は、ステップS4で導出された近似直線の切片ciの値と、ステップS2で導出されているストライド周波数f1の値により特定される(ci,f1)の点が、ci−f1平面内において分布する位置に応じて、人P1が片麻痺か否かを判断する(ステップS5)。ci−f1平面は、切片i及びストライド周波数f1をそれぞれ2軸とする平面領域である。図7は、上記した実験による41名の(ci,f1)の点の分布図である。図中、黒丸(normal)の点は、健常者のデータを表し、「+」(HipOA)の点は、股関節異常患者のデータを表し、三角、×、四角の点は、それぞれブルンストロームステージIV、V、VIの片麻痺の脳卒中患者を表している。同図に示すように、片麻痺の脳卒中患者に対応する(ci,f1)の点が分布する領域A1は、ci−f1平面内において健常者及び股関節異常患者のそれが分布する領域A2から区別される。図7には、これらの領域の境界線L1が破線で示されている。境界線L1は、直線として定義することができる。判断部44は、予め定められ、記憶部30内に格納されている境界線L1を特定する情報に基づいて、被験者である人P1に対応する(ci,f1)の点が、領域A1又はA2内のいずれに存在するかを判断する。領域A1内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状がでていると判断し、領域A2内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状が出ていないと判断する。
続いて、結果出力部45は、ステップS5の判断結果を示す画面を作成し、表示部10上に表示させる(ステップS6)。これを見たユーザーは、人P1に片麻痺の症状が出ているかを判断し、必要に応じて必要な治療に早期に取り掛かることができる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
上記実施形態において、検査装置1は、スマートフォンとして実現された。しかしながら、検査装置1のハードウェア構成は、この態様に限定されず、例えば、加速度計3を万歩計(登録商標)のような専用の装置とし、これに検査装置1としてのコンピュータを外付けで接続することにより、検査システムを構成してもよい。この構成では、加速度計3により計測した加速度データを、無線又は有線通信によりコンピュータに送信し、コンピュータにおいて上記実施形態と同様に加速度データを解析すればよい。ここでいうコンピュータは、スマートフォンであってもよいし、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等、任意のコンピュータとすることができる。また、加速度計3、プロセッサ及び表示部を1つの筐体内に搭載した万歩計(登録商標)のような専用の装置として、検査装置1を実現することもできる。
<3−2>
上記実施形態では、切片ciとストライド周波数f1の値により特定される(ci,f1)の点の、ci−f1平面内における位置に応じて、片麻痺が判断された。しかしながら、これに限らず、ステップS4で導出されるlog(h)とlog(g(h))との線形関係を表す近似直線の傾きsi及び切片ci、並びに、ストライド周波数f1の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値により特定される点が、これらの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、片麻痺を判断してもよい。
図8は、上記した実験による41名の(si,c1)の点の分布図である。同図に示すように、片麻痺の脳卒中患者に対応する(si,c1)の点が分布する領域B1も、si−c1平面内において健常者及び股関節異常患者のそれが分布する領域B2から区別される。図8には、これらの領域の境界線L2が破線で示されている。境界線L2は、直線として定義することができる。よって、判断部44は、予め定められ、記憶部30内に格納されている境界線L2を特定する情報に基づいて、被験者である人P1に対応する(si,c1)の点が領域B1又はB2内のいずれに存在するかを判断してもよい。そして、領域B1内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状がでていると判断し、領域B2内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状が出ていないと判断してもよい。
同様に、図9は、上記した実験による41名の(si,f1)の点の分布図である。同図に示すように、片麻痺の脳卒中患者に対応する(si,f1)の点が分布する領域C1も、si−f1平面内において健常者及び股関節異常患者のそれが分布する領域C2から概ね区別される。図9には、これらの領域の境界線L3が破線で示されている。境界線L3は、直線として定義することができる。よって、判断部44は、予め定められ、記憶部30内に格納されている境界線L3を特定する情報に基づいて、被験者である人P1に対応する(si,f1)の点が領域C1又はC2内のいずれに存在するかを判断してもよい。そして、領域C1内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状がでていると判断し、領域C2内に存在する場合には、人P1に片麻痺の症状が出ていないと判断してもよい。
また、以上のことから分かるように、片麻痺の脳卒中患者に対応する(si,c1,f1)の点が分布する領域も、si−c1−f1空間内において健常者及び股関節異常患者のそれが分布する領域から区別される。よって、判断部44は、予め定められ、記憶部30内に格納されているこれらの領域を区別する境界を特定する情報に従って、被験者である人P1に対応する(si,c1,f1)の点がこれらの領域のいずれに存在するかを判断し、片麻痺の症状が出ているか否かを判断してもよい。なお、境界は、平面として定義することができる。
1 検査装置
2 プログラム
3 加速度計
41 周波数解析部
42 積分部
43 直線導出部
44 判断部
i 切片
i 傾き
1 ストライド周波数

Claims (6)

  1. 人の片麻痺を検査する検査装置であって、
    前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出する周波数解析部と、
    h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出する積分部と、
    hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出する直線導出部と、
    前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数f1の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値により特定される点が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する判断部と
    を備える、検査装置。
  2. 前記判断部は、前記切片と前記ストライド周波数f1の値により特定される点が、前記切片と前記ストライド周波数f1をそれぞれ2軸とする平面内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する、
    請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記判断部は、前記傾きと前記切片の値により特定される点が、前記傾きと前記切片をそれぞれ2軸とする平面内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断する、
    請求項1に記載の検査装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の検査装置と、
    前記検査装置に内蔵又は外付けされ、前記加速度データを計測する加速度計と
    を備える、検査システム。
  5. 人の片麻痺を検査するためのプログラムであって、
    前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出するステップと、
    h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出するステップと、
    hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出するステップと、
    前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断するステップと
    をコンピュータに実行させる、プログラム。
  6. 人の片麻痺を検査する方法であって、
    前記人の歩行時の時系列の加速度データに基づいて、前記人の歩行時の位置データの周波数分布を算出するステップと、
    h=1,2,・・・,H(Hは、2以上の整数)に対し、h番目のピーク周波数fhからH番目のピーク周波数fHまでの区間、又は前記区間とその近傍の区間を積分区間として前記周波数分布を積分し、積分値g(h)を算出するステップと、
    hの対数と、g(h)の対数との線形関係を表す直線を導出するステップと、
    前記直線の傾き及び切片、並びに、前記人のストライド周波数の3つの要素の中から選択される少なくとも2つの要素の値が、前記少なくとも2つの要素をそれぞれ軸とする空間内において分布する位置に応じて、前記人が片麻痺か否かを判断するステップと
    を含む、方法。
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