JP2020047637A - ワイヤボンディングモニタ装置 - Google Patents

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真彦 関原
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Abstract

【課題】価格の上昇を抑制しながら、ワイヤボンディング装置をモニタすることが可能なワイヤボンディングモニタ装置を提供する。【解決手段】ワイヤボンディングモニタ装置1は、放電信号29に基づいた電気放電により、金属ワイヤに金属ボールを形成し、金属ワイヤに当接される超音波発振子20に発振信号を供給して、金属ワイヤを半導体チップの電極およびリードに接合させるワイヤボンディング装置2に結合される。ワイヤボンディングモニタ装置1には、放電信号29と、超音波発振子の振動に基づいた電圧波形27と電流波形28とが供給される。ワイヤボンディングモニタ装置1は、放電信号29を用いて、金属ワイヤを半導体チップの電極およびリードに接合させる工程を特定し、特定した工程における電圧波形27に基づいて、ワイヤボンディング装置1をモニタする。【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤボンディングモニタ装置に関し、例えば、超音波を用いて、金属ワイヤを半導体チップの電極およびリードフレームに接合させるワイヤボンディング装置をモニタするワイヤボンディングモニタ装置に関する。
超音波を用いて、半導体チップ上の電極やリードフレーム上に金属ワイヤを接合するワイヤボンディングプロセスにおいて、ボンディング異常を検出する手段として、接合時の超音波発振子に印加された電圧(超音波電圧)、発振時の回路電流(超音波電流)をモニタし、通常と異なる波形特徴を捉えるなどの判定を行う手法が考えられている。
例えば、特許文献1には、ワイヤボンディングモニタ装置が記載されている。特許文献1では、超音波振動を発生する超音波電流、超音波電流と超音波電圧との位相差、超音波電力、ボンディングツール変位または振動子を駆動する電圧制御周波数可変発振回路の発振電圧の位相と超音波電流の位相との差を一定にする制御電圧のうちの少なくとも1つの波形のうち、波形を示すグラフ上の所定の位置の複数のウインドウ内にある部分をモニタすることによって、ボンディングの要否を判定することが記載されている。
特開2000−114321号公報
しかしながら、超音波電流、超音波電圧をモニタしても、モニタした波形が、金属ワイヤと半導体チップの電極とを接合したときの波形なのか、金属ワイヤとリードフレームとを接合したときの波形なのかを判別することができない。
また、ワイヤボンディング装置では、金属ワイヤを半導体チップの電極およびリードフレームに接合している期間だけでなく、ボンディングの開始時や、金属ワイヤでループを形成する時に、超音波発振が行われることがある。これは、例えば、ボンディング開始時やループ形成時に、ボンディングツールと金属ワイヤとの間の摩擦を低減する目的で行われる。この場合、超音波電流、超音波電圧をモニタしても、摩擦低減を目的としている超音波発振か否かを判別することが困難である。すなわち、超音波電流、超音波電圧をモニタしても、金属ワイヤを接合するための超音波発振なのか、摩擦低減のための超音波発振なのかを判別することは、困難である。
これらの判別を可能とするために、ワイヤボンディング装置を改造することを考えると、ワイヤボンディング装置の種類に応じて、ハードウェアおよびソフトウェアの機能追加が必要となる。その結果、ワイヤボンディング装置の価格が上昇し、半導体装置の価格上昇にも繋がることになる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態に係わるワイヤボンディングモニタ装置を述べると、次のとおりである。
すなわち、ワイヤボンディングモニタ装置は、放電信号に基づいた電気放電により、金属ワイヤに金属ボールを形成し、前記金属ワイヤに当接された超音波発振子に発振信号を供給して、前記金属ワイヤを、半導体チップの電極およびリードに接合させるワイヤボンディング装置に結合される。ワイヤボンディングモニタ装置は、放電信号と、超音波発振子の振動に基づいた波形とが供給される処理部を備える。処理部は、放電信号を用いて、金属ワイヤを半導体チップおよびリードに接合させる1つの工程を特定し、特定した1つの工程における波形に基づいて、ワイヤボンディング装置をモニタする。
1つの半導体チップには、複数の電極が形成され、複数の電極は、複数の金属ワイヤによって、対応するリードに接続される。すなわち、金属ワイヤを半導体チップの電極と対応するリードとに接合させる工程が、複数回実行されることになる。
一実施の形態においては、金属ボールを形成するタイミングで、複数回実行される工程のそれぞれが特定される。また、金属ボールが、半導体チップの電極に接合されるのか、リードに接合されるのかを、予め特定しておく。これにより、1つの金属ワイヤを半導体チップの電極に接合したときの波形と、同じ金属ワイヤをリードに接合したとき波形を判別することが可能となる。金属ボールを形成するための放電信号の生成は、ワイヤボンディング装置が予め備えている機能であるため、ワイヤボンディング装置を改造しなくても、金属ワイヤを半導体チップの電極に接合したときと、金属ワイヤをリードフレームに接合したときとを区別して、モニタすることが可能となる。
一実施の形態によれば、価格の上昇を抑制しながら、ワイヤボンディング装置をモニタすることが可能なワイヤボンディングモニタ装置を提供することができる。
実施の形態1に係わるワイヤボンディングモニタ装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係わる超音波発振子、トランスデューサおよびキャピラリの等価回路を示す図である。 実施の形態1に係わる波形処理部における処理を説明するための図である。 実施の形態1に係わる電圧波形の包絡線を示す図である。 (A)および(B)は、実施の形態1に係わるUSモニタ装置における判定を説明するための図である。 実施の形態1に係わるUSモニタ装置の動作を説明するためのタイミング図である。 実施の形態1に係わるUSモニタ装置の波形取得シーケンスを説明するためのタイミング図である。 実施の形態1に係わるUSモニタ装置の動作を説明するためのタイミング図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。 実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(実施の形態1)
<ワイヤボンディングモニタ装置>
図1は、実施の形態1に係わるワイヤボンディングモニタ装置の構成を示すブロック図である。図1には、説明の都合上、ワイヤボンディングモニタ装置(USモニタ装置)1に結合されたワイヤボンディング装置(ワイヤボンダ)2およびサーバ装置(サーバ)3も示されている。半導体装置を製造する工場には、複数のワイヤボンダ2が設置されている。USモニタ装置1は、特に制限されないが、ワイヤボンダ2に一対一に対応し、対応するワイヤボンダ2に結合されている。図1には、工場に設置された複数のワイヤボンダ2と複数のUSモニタ装置1のうち、1つのワイヤボンダ2と対応するUSモニタ装置1が、示されている。
一方、サーバ3は、例えば工場に1台設置され、複数のUSモニタ装置1に結合されている。このサーバ3には、結合されたそれぞれのUSモニタ装置1から、対応するワイヤボンダ2の情報が通知され、格納される。
<ワイヤボンダ2>
ワイヤボンダ2は、超音波発振子20、超音波発振子20に取り付けられたトランスデューサ(超音波ホーン)21、キャピラリ22、超音波発振回路23、電流検出用抵抗24、超音波制御回路25および放電ユニット26を備えている。
超音波発振回路23は、フィードバック制御信号CNTに従った発振信号を出力する。超音波発振子20は、超音波発振回路23からの発振信号に従って振動する。例えば、図1において、両方向矢印20_1によって示されているように、超音波発振子20は、発振信号に従って左右に振動する。トランスデューサ21は、超音波発振子20の振動を増幅し、トランスデューサ21に取り付けられているキャピラリ22を、両方向矢印22_1で示すように、左右に振動させる。
図1には示していないが、キャピラリ22の先端からは、金属ワイヤが突出している。すなわち、金属ワイヤは、キャピラリ22およびトランスデューサ21を介して、超音波発振子20に当接する。金属ワイヤは、左右に振動しているキャピラリ22によって荷重が印加され、ボンディング対象40に押し付けられる。これにより、金属ワイヤがボンディング対象40に接合される。具体的な動作は、後で図9〜図16を用いて説明する。
超音波発振回路23と超音波発振子20との間には、電流検出用抵抗24が接続されている。発振信号の電圧は、電圧フィードバック信号VFとして超音波制御回路25に供給される。また、超音波発振回路23と超音波発振子20との間を流れる電流は、電流検出用抵抗24によって、電圧に変換され、電流フィードバック信号IFとして超音波制御回路25に供給される。超音波制御回路25は、供給された電圧フィードバック信号VFと電流フィードバック信号IFに基づいてフィードバック制御信号CNTを出力する。すなわち、超音波発振回路23からの発振信号によって超音波発振子20が適切に振動するように、超音波制御回路25は電圧フィードバック信号VFと電流フィードバック信号IFによって、超音波発振子20の状態を監視し、フィードバック制御信号CNTによって、超音波発振回路23を制御する。
ここでは、電圧フィードバック信号VFおよび電流フィードバック信号IFの両方に基づいて、超音波制御回路25が、フィードバック制御信号CNTを出力する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、超音波制御回路25は、電圧フィードバック信号VFまたは電流フィードバック信号IFのいずれかに基づいて、フィードバック制御信号CNTを出力するようにしてもよい。実施の形態1に係わる超音波制御回路25は、電圧フィードバック信号VFによって表される電圧または電流フィードバック信号IFによって表される電流が、一定値となるような、フィードバック制御信号CNTを出力する。
放電ユニット26は、金属ワイヤに金属ボールを形成するとき、放電信号(トーチスパーク信号)を形成する。放電信号は、図示しないトーチ電極に供給される。トーチ電極は、金属ボールを形成するとき、金属ワイヤの先端に近接するように、移動し、放電信号により、金属ワイヤとトーチ電極との間でトーチスパーク(電気放電)を発生させる。これにより、金属ワイヤの先端に金属ボールが形成される。
<USモニタ装置>
USモニタ装置1は、波形処理部10、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)11およびプロセッサ12を備えている。波形処理部10には、前記した電圧フィードバック信号VFが、電圧波形27として供給され、前記した電流フィードバック信号IFが、電流波形28として供給される。実施の形態1に係わる波形処理部10は、供給された電圧波形27の包絡線(エンベロープ)を形成し、供給された電流波形28の包絡線を形成する。形成された電圧波形27の包絡線と、電流波形28の包絡線は、A/D変換器11に供給され、デジタル信号に変換され、プロセッサ12に供給される。
A/D変換器11には、放電信号29も供給されており、A/D変換器11は、放電信号29をデジタル信号に変換して、プロセッサ12に供給する。
プロセッサ12は、図示しないプログラムに従って、供給された電圧波形27および電流波形28の包絡線に対応するデジタル信号と、放電信号29に対応するデジタル信号を処理し、対応するワイヤボンダ2の状態をモニタする。モニタすることにより、ワイヤボンダ2において異常が発生している場合、プロセッサ12は、ワイヤボンダ装置2に対して停止指示信号STPを出力する。ワイヤボンダ装置2は、停止指示信号STPが供給されると、動作を停止する。また、プロセッサ12は、ワイヤボンダ装置の状態を示す通知信号SSIをサーバ3に供給する。
プロセッサ12は、ユーザーが設定可能な制御レジスタ13を備えている。この制御レジスタ13には、マスク・指定点設定レジスタ13_1、トリガ閾値レジスタ13_2、
ワイヤ番号初期化閾値レジスタ13_3および設定時間レジスタ13_4が含まれている。これらのレジスタについては、後で説明するので、ここでは省略する。
図1では、波形処理部10が、電圧波形27および電流波形28から、それぞれの包絡線を形成し、A/D変換器11が、形成された電圧波形27および電流波形28の包絡線を、デジタル信号に変換する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、波形処理部10では、電圧波形27および電流波形28のうちの一方について、その包絡線を形成し、これをA/D変換器11によってデジタル信号に変換し、プロセッサ12に供給するようにしてもよい。
また、図1に示した波形処理部10、A/D変換器11およびプロセッサ12によって、USモニタ装置1の処理部が構成されていると見なすことができる。
<ワイヤボンダの動作>
次に、ワイヤボンダ2において実行されるワイヤボンディングの動作(ワイヤボンディングプロセス)を、図を用いて説明する。図9〜図16は、実施の形態1に係わるワイヤボンダの動作を説明するための図である。
図9には、ボンディングを開始したときの状態が示されている。図9において、40_1は半導体チップを示し、40_2は半導体チップ40_1上に形成された電極(電極パッド)を示している。また、40_3はリードを示している。半導体チップ40_1上には、複数の電極が形成されている。複数の電極に電気的に接続される複数のリードは、リードフレームとして一体的に形成されている。図9には、複数の電極のうちの1つの電極と、この電極に対応するリードが、符号40_2と40_3とでそれぞれ示されている。
半導体チップ40_1とリード40_3は、ヒータープレート50に搭載されている。キャピラリ22には、貫通部22_2が形成されており、金属ワイヤ51は、この貫通部22_2を通過している。貫通部22_2の径は、金属ワイヤ51の径に比べて大きくなっており、金属ワイヤ51は、貫通部22_2内を移動可能となっている。図9において、53はワイヤクランパを示している。金属ワイヤ51は、ワイヤクランパ53を貫通しており、ワイヤクランパ53を閉じることにより、金属ワイヤ51は、ワイヤクランパ53に固定される。
ボンディングの開始時、ワイヤクランパ53は閉じられている。特に制限されないが、図9では、ボンディングの開始時に、金属ワイヤ51の先端には、金属ボール52が形成されている。
ワイヤクランパ53を閉じた状態で、ワイヤクランパ53およびキャピラリ22が、電極40_2に向かって、上方から下降する。図10には、下降により、金属ボール52が、電極40_2の近傍まで近寄ったときの状態が示されている。この状態になると、ワイヤクランパ53は開かれ、金属ワイヤ51は、ワイヤクランパ53から分離される。
次に、図11に示すように、キャピラリ22に荷重FC1を加え、金属ボール52を電極40_2に当接させる。また、超音波発振回路23(図1)は発振信号を出力する。さらに、ヒータープレート50を加熱することにより、熱SA1を半導体チップ4_1に加える。発振信号が超音波発振子20に供給されることにより、符号22_1で示すように、キャピラリ22は、左右に振動する。熱SA1と荷重FC1と振動22_1が加わることにより、熱SA1が加わった状態で、金属ボール52は、電極40_2に押し付けられ、左右に交互に変位する振動22_1により、金属ボール52は、電極40_2に擦り合わせられ、電極40_2に接合される。すなわち、金属ワイヤ51と電極パッド40_2側との接合は行われる。金属ワイヤ51と電極バッド40_2との接合を、以下、第1ボンディング(1st−Bond)とも称する。
次に、金属ワイヤ51をリード40_3に接合するために、金属ワイヤをループ状に変形させる。図12に示すように、ワイヤクランパ53を開いた状態で、キャピラリ22を上昇させ、紙面左側に移動させる。この後で、キャピラリ22を、電極パッド40_2側からリード40_3側の方向へ移動させる。キャピラリ22の移動に伴って、金属ワイヤ51が変形する。
キャピラリ22を、対応するリード40_3の鉛直線上まで移動させた後、図13に示すように、ワイヤクランパ53を開いた状態で、キャピラリ22をリード40_3上に下降させる。キャピラリ22に荷重FC2を加え、ヒータープレート50を加熱することにより、熱SA2をリード4_3に加える。発振信号が超音波発振子20に供給されることにより、符号22_1で示すように、キャピラリ22は、左右に振動する。これにより、熱SA2が加わった状態で、金属リード51の途中部分はリード40_3に押し付けられるように当接し、左右に交互に変位する振動22_1によって、金属ワイヤ51の途中部分が、リード40_3に接合される。すなわち、金属ワイヤ51とリード40_3側が接合される。金属ワイヤ51とリード40_3との接合を、以下、第2ボンディング(2nd−Bond)とも称する。
このようにして、第1ボンディングと第2ボンディングを行うことにより、ループ状に変形した金属ワイヤにより、電極40_2とリード40_3とが電気的に接続されることになる。
次に、ワイヤクランパ53が閉じられ、ワイヤクランパ53に金属ワイヤ51が固定される。この状態で、ワイヤクランパ53とキャピラリ22は、リード40_3に対して鉛直方向に、上昇させられる。ワイヤクランパ53によって金属ワイヤ51は固定されているため、ワイヤクランパ53を上昇させることにより、金属ワイヤ51は、リード40_3に接合された途中部分から切断される(ワイヤカット)。このときの状態が、図14に示されている。
図14の後で、別の電極パッドおよび別のリードに対して、第1ボンディングおよび第2ボンディングを行うために、金属ワイヤ51に対して金属ボールを形成する。図15には、金属ワイヤ51に対して金属ボールを形成する状態が示されている。図15において、60は、トーチ電極を示している。図14の後で、トーチ電極60は、金属ワイヤ51の切断された先端に近接するように、移動する。このトーチ電極60には、放電ユニット26(図1)が接続されている。放電ユニット26からトーチ電極60に放電信号29が印加されることにより、トーチ電極60と金属ワイヤ51の先端との間でトーチスパーク61が発生する。トーチスパークによって、金属ワイヤ51の先端に金属ボール52が形成される。なお、このとき、ワイヤクランパ53は閉じた状態である。
次に、図16に示すように、キャピラリ22を、リード40_3の鉛直線上から、半導体チップ40_1上の別の電極40_2の鉛直線上に移動させ、1つのワイヤボンディング工程が終了する。
続けて、別の電極と別のリードとを接続させる場合、図16の後で、図12〜図16の工程を繰り返す。
図9〜図16では、ワイヤボンディングを行う前に、予め、金属ワイヤ51に金属ボール52が形成されている場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、金属ワイヤ51として、銅を用いる場合、予め銅の金属ボールを形成しておくと、酸化膜が金属ボール52を覆うようになる。そのため、ワイヤボンディングを開始したときに(図9)、トーチ電極60を金属ワイヤ51の先端に近づけて、トーチスパークによって、金属ボール52を形成するようにしてもよい。この場合には、第2ボンディング(図14)が終了したあと、図16に示したように、キャピラリ22を移動させて、1つのワイヤボンディング工程が終了することになる。
<超音波発振子・トランスデューサ・キャピラリの等価回路>
図2は、実施の形態1に係わる超音波発振子、トランスデューサおよびキャピラリの等価回路を示す図である。図2において、紙面左側に示した超音波発振回路23、電流検出用抵抗24、超音波制御回路25、超音波発振子20、トランスデューサ21およびキャピラリ22の構成は、図1に示した構成と同じであるため、説明は省略する。超音波発振子20、トランスデューサ21およびキャピラリ22は、容量Cdと抵抗Rmとが並列に接続された等価回路で表すことができる。この場合、等価回路のインピーダンスZは、次式で表すことができる。
1/Z=jωCd+1/Rm
図2において、紙面右側に示すように、容量Cdと抵抗Rmの並列回路で表される超音波発振子20、トランスデューサ21およびキャピラリ22の等価回路に対して、超音波発振回路23からの発振信号が供給され、等価回路における容量Cd、抵抗Rmの変化が、電圧フィードバック信号VFおよび電流フィードバック信号IFとして、超音波制御回路25に供給され、超音波制御回路25は、供給されている電圧フィードバック信号VFおよび電流フィードバック信号IFに基づいたフィードバック制御信号CNTによって、超音波発振回路23を制御することになる。
等価回路における容量Cdおよび抵抗Rmは、超音波発振子20が発生する振動(超音波による振動)、キャピラリ22等に加わる負荷・荷重(例えば、図11、図13に示した荷重FC1、FC2)および熱(例えば、図11、図13に示した熱SA1、SA2)等によって変化する。例えば、キャピラリ22の負荷変動は、抵抗Rmの変化として表れる。この振動、負荷・荷重および熱は、加熱をしながら超音波でワイヤボンディングを行う場合、金属ワイヤと電極との間の接合および金属ワイヤとリードの間の接合を制御する3大要素である。実施の形態1においては、この3大要素に基づいた電圧波形27(電圧フィードバック信号VF)と電流波形28(電流フィードバック信号IF)が、USモニタ装置1に供給され、これらに基づいて、ワイヤボンダ2の状態がモニタされる。
<波形処理部>
図3は、実施の形態1に係わる波形処理部における処理を説明するための図である。ワイヤボンダ2からUSモニタ装置1へ供給される電圧波形27および電流波形29は、例えば60kHz〜120kHz程度の正弦波である。図3には、電圧波形27の一例が示されている。図3において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
図3において、W27は、電圧波形27の波形を示し、RNGは、電圧波形27の振幅を示している。電圧波形27は、前記したように比較的高い周波数で変化する。また、電圧波形の27の振幅RNGは、ワイヤボンダの機種毎に異なることが多い。
波形処理部10は、電圧波形27を例えば整流することにより、電圧波形17の包絡線を形成して、出力する。さらに、ワイヤボンダの機種に依存して、異なる振幅RNGの電圧波形27が供給された場合、出力する包絡線の変動幅を調整する機能を備えている。図3において、W27_hは、波形処理部10から出力された電圧波形27の包絡線を示している。
波形処理部10が、USモニタ装置1に設けられていない場合、A/D変換器11は、同図において、SMP1で示されているサンプリングタイミングで、電圧波形27の値を取り込み、デジタル信号へ変換することが考えられる。これに対して、実施の形態1においては、波形処理部10が、電圧波形27の包絡線を出力する。そのため、サンプリングタイミングは、図3において符号SMP2で示したようなタイミングに設定することが可能である。これにより、A/D変換器11が行う変換回数を低減することができる。その結果、A/D変換後のデータ量を低減し、高速化を図ることが可能である。
また、波形処理部10において、出力する包絡線の電圧範囲を調整することが可能であるため、USモニタ装置1は、幅広い機種のワイヤボンダをモニタすることが可能である。
<波形処理部から出力される包絡線の例>
次に、波形処理部10から出力される包絡線の例を説明する。ここでは、電圧波形27の包絡線を例にして説明するが、電流波形28の包絡線でも同様である。
図4は、実施の形態1に係わる電圧波形の包絡線を示す図である。図4において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。図4には、図1に示したワイヤボンダ2において、互いに対応している半導体チップの電極40_2とリード40_3とを金属ワイヤ51で接続したときに、USモニタ装置1に供給される電圧波形27の包絡線が示されている。すなわち、1つのワイヤボンディング工程における電圧波形の27の包絡線が、図4に示されている。超音波発振子20が、振動を発生すると、電圧波形27に変化が発生し、電圧波形27の包絡線の波形部は、図4に示すように高くなる。
図4において、電圧波形27の包絡線の波形は、Lift、1st−PreBleed、1st−Bond、Loopingの一部期間、2nd−BondおよびZ−tearにおいて高くなっている。
1st−Bondは、前記した第1ボンディングを行っている期間であり、2nd−Bondは、前記した第2ボンディングを行っている期間である。この2つの期間が、USモニタ装置1で判定する対象の期間である。
この2つの期間以外の期間(Lift、1st−PreBleed、Loopingの一部期間およびZ−tear)においても、振動は発生している。
図4において、最初のLiftの期間で、キャピラリ22は、リード40_3から鉛直方向に上昇する。このとき、キャピラリ22の貫通口22_2と金属ワイヤ51との間の摩擦により、金属ワイヤ51がキャピラリ22に引っ掛かる恐れがある。そのため、超音波発振子20の振動でキャピラリ22を振動させ、金属ワイヤ51がキャピラリ22に引っ掛かるのを防ぐようにしている。
1st−PreBleedは、金属ボール52を電極40_2に当接させ、超音波発振子20の振動によりキャピラリ22を振動させ、金属ボール52と電極40_2との間でスクラブを行っている期間である。この1st−PreBleedでは、キャピラリ22に荷重FC1は印加されておらず、熱SA1も加えられていない。次の初期荷重印加スクラブにおいて、キャピラリ22に軽量の荷重が加えられ、金属ボール52と電極40_2との間でスクラブが行われる。この2種類のスクラブにより、金属ボール52や電極40_2の被膜が取り除かれる。
次に、1st−Bondにおいて、図11に示したように、熱SA1を加え、荷重FC1を加え、超音波発振子20の振動でキャピラリ22を振動させて、金属ボール52と電極40_2とを接合させる。1st−Bondの後のLoopingにおいて、キャピラリ22を、電極40_2側からリード40_3側へ移動させる。移動期間において、摩擦により、金属ワイヤ51とキャピラリ22とが引っ掛かるのを防ぐために、キャピラリ22は、超音波発振子20の振動によって振動させられている。
2nd−Bondにおいて、図13に示したように、熱SA2を加え、荷重FC2を加え、超音波発振子20の振動でキャピラリ22を振動させて、金属ワイヤ51とリード40_3とを接合させる。なお、第2ボンディングにおいては、金属ボールではなく、金属ワイヤをリードに接合させるため、超音波発振子20の振動でキャピラリ22を振動させている期間が、長くなっている。
Z−tearにおいては、図14に示したように、金属ワイヤ51を切断する。切断を容易にするために、キャピラリ22を超音波発振子20の振動で、振動させている。
図4において、最後のLiftは、別の電極とリードとを接続する次のワイヤボンディング工程における最初のLiftを示している。
<USモニタ装置における判定>
USモニタ装置1は、図4に示した1st−Bondおよび2nd―Bondの期間において、ワイヤボンダ2の状況をモニタし、判定する。図5は、実施の形態1に係わるUSモニタ装置における判定を説明するための図である。ここで、図5(A)には、図4に示した電圧波形27の包絡線のうち、1st−Bondおよび2nd―Bondの期間を拡大した波形が示されている。図4に示すように、1st−Bondと2nd―Bondの期間は、例えば、その長さが異なっているが、USモニタ装置1における判定の項目は同じであるため、1つの期間(例えば、1st−Bondの期間)で説明する。また、図5(B)は、USモニタ装置1によって判定される項目を示している。実施の形態1に係わるUSモニタ装置1においては、図5(B)に示す5項目を基にして、判定が行われる。判定する項目としては、5項目全てを対象の項目としなくてもよく、少なくとも1項目以上を判定の項目とすればよい。
図5(A)において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。電圧波形27の包絡線は、A/D変換器11によってデジタル信号に変換されている。ここでは、電圧波形27の包絡線は、0Vから最大10Vまでの範囲で変化するものとし、A/D変換器11は、この電圧範囲を15ビットのデジタル信号に変換しているものとする。また、このときのA/D変換器11のサンプリング周期tsの最低値は、100μsecとなっている。実施の形態1においては、プロセッサ12が、電圧波形27の包絡線に対応するデジタル信号を用いて、判定を行うが、理解を容易にするために、包絡線を用いて説明する。
超音波発振子20によって振動が発生することにより、電圧波形27の包絡線は、時刻t0付近で、0Vから立ち上がる。図5(A)に示すように、包絡線の立ち上がりは、突入的に高くなり、その後、低下する。低下後、包絡線は、なだらかに低下し、その後急激に低下し、時刻te付近で、再び0Vに到達する。
実施の形態1においては、包絡線が突発的に高くなっている期間は、判定に用いない期間(マスク期間)として除外し、包絡線がなだらかに変化している期間を検出範囲DTAとする。また、時刻te付近で急激に包絡線が低下している期間も判定に用いない期間として除外する。
プロセッサ12は、検出範囲DTAにおいて、包絡線の最大値Maxと最小値Minを取得する。また、プロセッサ12は、検出範囲DTAにおいて、任意のタイミングを指定点(図5(A)では、時刻t1)として設定し、指定点における包絡線の値を取得する。プロセッサ12は、取得した最大値Maxと最小値Minの差分と、検出範囲DTAにおける包絡線の平均値と、指定点における包絡線の値と最小値Minとの差分を算出する。プロセッサ12は、取得した最大値Max、最小値Min、および算出した最大値Maxと最小値Minとの差分(最大−最小)、平均値および指定点での値と最小値Minの差分(指定点−最小)を、図5(B)に示すように、判定の項目として用いる。
ワイヤボンダ2に対して、例えば事前確認期間を設定する。この事前確認期間において、ワイヤボンダ2で複数のワイヤボンディング工程を行い、異常が発生していないときのワイヤボンディング工程において取得および算出した、前記の5項目の値を蓄積しておく。蓄積した5項目のそれぞれについて、正常と判定する範囲(正常範囲)を設定する。例えば、異常が発生していないときのワイヤボンディング工程で取得した複数の最大値Maxを蓄積しておき、蓄積されている複数の最大値Maxが含まれる範囲を、正常範囲として設定する。
事前確認期間の後の実際のワイヤボンディング工程において、プロセッサ12は、取得および算出した5項目のそれぞれが、予め設定された対応する正常範囲に含まれるか否かを判定する。例えば、取得および算出した5項目のいずれかが、対応する正常範囲に含まれない場合、プロセッサ12は、停止指示信号STPをワイヤボンダ2に供給する。ワイヤボンダ2は、この停止指示信号STPが供給されることにより、停止する。これにより、ボンディングの異常により、不良の半導体装置が発生するのを防ぐことが可能となる。
また、プロセッサ12は、取得および算出した5項目を、通知信号SSIとしてサーバ3に供給する。例えば、ユーザーが、サーバ3に格納されている5項目の内容を確認することにより、異常等のワイヤボンダ2の状況を把握することができる。
前記したように、電圧波形27および電流波形28は、超音波発振子20、トランスデューサ21およびキャピラリ22によって構成される等価回路の特性の変化によって変わる。例えば、リード40_3が、ヒータープレート50に固定されていない状態で、リード40_3に対して金属ワイヤ51を接合しようとすると、リード40_3自体が動くことになる。この場合、2nd―Bondにおける検出範囲DTAにおいて、等価回路の特性が大きく変動し、電圧波形27も検出範囲DATにおいて大きく変動することになり、項目「最大値Maxと最小値Minとの差分」が、対応する正常範囲を超えることになる。このような場合、ワイヤボンダ2は停止させられる。また、サーバ3には、正常範囲を超えた項目「最大値Maxと最小値Minとの差分」を含む5つの項目が格納されることになり、ユーザーは、例えばワイヤボンダ2が停止した原因を把握することができる。
図1に示したマスク・指定点設定レジスタ13_1には、前記したマスク期間を指定する情報と、指定点を指定する情報とが設定される。マスク・指定点設定レジスタ13_1には、ユーザーが所望のマスク期間および指定点に係わる情報を設定する。プロセッサ12は、マスク・指定点設定レジスタ13_1に設定されている情報に基づいて、マスク期間と指定点を設定する。
なお、ワイヤボンダの機種および対象の半導体装置が変わることにより、前記した5項目の正常範囲が異なることが考えられる。そのため、ワイヤボンダの機種あるいは対象の半導体装置の変更に対応して正常範囲も変更することが望ましい。
<複数ワイヤボンディング工程>
半導体装置は、半導体チップと複数のリードを備えている。前述したように、半導体チップ上には複数の電極が形成され、それぞれの電極は、リードフレームに配置されている複数のリードのうち、対応するリードに金属ワイヤで電気的に接続される。1つの金属ワイヤによって、1つの電極とこの1つの電極に対応する1つのリードとの間の電気的な接続は、前記したように、ワイヤボンダによって、1つの金属ワイヤを、電極とリードとに接合する1つのワイヤボンディング工程で実現される。1つの半導体チップ上の複数の電極を対応する複数のリードに接続するために、ワイヤボンダ2においては、複数のワイヤボンディング工程が連続的に実行されることになる。
実施の形態1においては、ワイヤボンダ2において連続的に実行される複数のワイヤボンディング工程から、USモニタ装置1は、放電信号29が供給されるタイミング、すなわち金属ボールが形成されるタイミングを用いて、それぞれのワイヤボンディング工程を特定する。放電信号29は、ワイヤボンダ2において、金属ボールを形成するのに用いられる。そのため、USモニタ装置1は、ワイヤボンダ2を改造しなくても、連続的に実行される複数のワイヤボンディング工程から、それぞれのワイヤボンディング工程を特定することが可能である。
図6は、実施の形態1に係わるUSモニタ装置の動作を説明するためのタイミング図である。図6には、3つのワイヤボンディング工程が連続的に実行されている例が示されている。同図では、それぞれのワイヤボンディング工程が、符号1WRSによって示されている。1つのワイヤボンディング工程1WRSにおいて、1つの金属ワイヤが、半導体チップ上の電極とリードとに接合される。各ワイヤボンディング工程1WRSにおいては、図9〜図16で説明したように、金属ワイヤ51に金属ボール52を形成する工程(図15)が、少なくとも1回含まれている。図9〜図16では、リードに金属ワイヤを接合した後、金属ボール52を形成していたが、前記したように、金属ボール52は、金属ワイヤを半導体チップの電極に接合する直前に形成するようにしてもよい。図6においては、金属ワイヤを半導体チップの電極に接合する直前で、金属ボールを形成する例が示されている。
図6に示すように、時刻tw1において、放電ユニット26(図1)が放電信号29を出力する。この放電信号29により、金属ワイヤと、金属ワイヤに近接したトーチ電極60との間でトーチスパークが発生し、金属ワイヤの先端に金属ボール52が形成される。その後、図10〜図14で説明したようにして、金属ワイヤが電極とリードとに接合される。金属ワイヤがリードに接合されたあと、図16で説明したように、キャピラリ22が電極の上側に移動する。これにより、1つのワイヤボンディング工程1WRSが完了し、次のワイヤボンディング工程1WRSが開始し、以降連続的にワイヤボンディング工程1WRSが実行される。
各ワイヤボンディング工程1WRSにおいて、ワイヤボンダ2は、電圧波形27および電流波形28を出力する。ワイヤボンディング工程1WRSにおいて、超音波発振子20により超音波が発生することにより、図4で説明したように、電圧波形の包絡線は変化し、同様に、電流波形の包絡線も変化する。図6には、この電圧波形27の包絡線と電流波形の包絡線が示されている。
実施の形態1に係わるUSモニタ装置1において、トリガ閾値レジスタ13_2には、処理を開始するトリガの閾値TTHが設定される。プロセッサ12は、A/D変換器11から放電信号29に対応するデジタル信号が供給されると、A/D変換器11から出力されている電圧波形27および電流波形28の包絡線に対応するデジタル信号を取り込み、蓄積する。プロセッサ12は、蓄積したデジタル信号で表される包絡線と、トリガ閾値レジスタ13_2に設定されたトリガ閾値TTHとを比較し、トリガ閾値TTHを超えている電圧波形27の包絡線部分または/および電流波形28の包絡線部分を、判定対象の候補として選択する。さらに、プロセッサ12は、選択した判定対象の候補が、半導体チップ上の電極およびリードに係わる包絡線部分よりも多い場合、判定対象の候補から、半導体チップ上の電極およびリードに係わる包絡線部分を判定対象として選択する。判定対象として選択した包絡線部分に対して、プロセッサ12は、図5で説明したように判定を行う。すなわち、トリガ閾値TTHを超えている包絡線部分において、判定対象として選択された包絡線部分に図5で説明したように検出範囲DTAが設定され、検出範囲DTA内の包絡線部分に基づいて、ワイヤボンダ2のモニタが実施される。
ここでは、電圧波形27の包絡線とトリガ閾値TTHとを比較する例を説明する。図6において、電圧波形27の包絡線が、トリガ閾値TTHを超えている部分は、トリガ条件該当波形番号TTN=(1)〜(5)で示した部分である。これらのトリガ条件該当波形番号TTN=(1)〜(5)の部分が、判定対象の候補となる。これらの判定対象の候補のうち、半導体チップ上の電極およびリードに係わる包絡線部分は、トリガ条件該当波形番号TTN=(2)および(5)である。すなわちトリガ条件該当波形番号TTN=(2)で示した包絡線の波形部が、金属ワイヤを半導体チップの電極に接合する際の振動により生じた包絡線の変化部に該当する。また、トリガ条件該当波形番号TTN=(5)でした包絡線の波形部が、金属ワイヤをリードに接合する際の振動により生じた包絡線の変化部に該当する。
そのため、プロセッサ12は、判定対象の候補であるトリガ条件該当波形番号TTN=(1)〜(5)のうち、トリガ条件該当波形番号TTN=(2)および(5)を指定し、トリガ条件該当波形番号TTN=(2)および(5)の包絡線の変化部を判定対象とする。プロセッサ12は、判定対象とした包絡線の変化部に対して、図5で説明したように、5つの項目を取得および算出し、正常範囲か否かの判定を行う。
トリガ条件該当波形番号TTN=(1)〜(5)から指定するトリガ条件該当波形番号TTN=(2)および(5)を特定する方法は、例えば、前記した事前確認期間において、複数のワイヤボンディング工程を実施したときに、金属ワイヤと電極との接合および金属ワイヤとリードとの接合に係わる包絡線の変化に対応するトリガ条件該当波形番号TTNを求めておけばよい。また、図6の例では、金属ボール52は、半導体チップの電極に金属ワイヤを接合する前に形成されることが、予め判明しており、1つのワイヤボンディング工程では、金属ワイヤと電極との接合が行われた後、同じ金属ワイヤがリードに接合されることが、予め判明している。そのため、トリガ条件該当波形番号TTN=(2)および(5)のうち、時間的に早いトリガ条件該当波形番号TTN=(2)に対応する包絡線部分が、金属ワイヤと電極との接合に係わる包絡線部分であり、時間的に遅いトリガ条件該当波形番号TTN=(5)に対応する包絡線部分が、金属ワイヤとリードとの接合に係わる包絡線部分であることが分かる。
このように、連続してワイヤボンディング工程が実行されていても、USモニタ装置1は、放電信号29によって、各ワイヤボンディング工程1WRSを特定することができ、それぞれのワイヤボンディング工程における異常等を検出するようにモニタすることが可能である。
また、包絡線において、トリガ閾値TTHを超えている包絡線部分を、判定対象の候補とするため、電圧波形27に不要な電圧変化があっても、判定対象の候補から取り除くことが可能である。これにより、プロセッサ12の処理の低減を図ることが可能である。
さらに、判定対象の候補から、判定対象を指定するため、不適切な判定対象の候補を除くことが可能である。すなわち、金属ワイヤと電極との接合に起因して生じた包絡線部分および金属ワイヤとリードとの接合に起因して生じた包絡線部分以外の判定に用いない包絡線部分があっても、判定対象から除くことが可能である。この判定に用いない包絡線部分としては、例えば、図4に示したLift、1st−PreBleed、Looping、Z−tear等が含まれる。
ここでは、電圧波形27を例にして説明したが、電流波形28の場合も同様である。
<波形取得シーケンス>
図7は、実施の形態1に係わるUSモニタ装置の波形取得シーケンスを説明するためのタイミング図である。図6で説明したように、放電信号29が出力されると、電圧波形27および電流波形28の包絡線に対応するデジタル信号をプロセッサ12は、取り込み、蓄積して、トリガ閾値TTHを超える包絡線部を、判定対象として選択して、図5で説明したように判定を行う。
また、実施の形態1においては、プロセッサ12は、取り込んだ包絡線の波形部分(デジタル信号)に、金属ワイヤの番号(ワイヤ番号)を付与する。ワイヤ番号は、半導体チップ上に形成されている複数の電極と複数のリード間を接続する複数の金属ワイヤのうち、最も早く接続した金属ワイヤに対して、ワイヤ番号「1」を付与し、順次、ワイヤ番号を+1して増加させる。すなわち、1つの半導体チップに対して実行される複数のワイヤボンディング工程のうち、最も早いワイヤボンディング工程で用いた金属ワイヤが、ワイヤ番号「1」となり、次のワイヤボンディング工程で用いられた金属ワイヤが、ワイヤ番号「2」となり、ワイヤボンディング工程の進行に合わせて、ワイヤ番号が増加する。
これにより、ワイヤボンディング工程において、ワイヤボンダ2から出力された電圧波形27および電流波形28の包絡線と、ワイヤボンディング工程で用いられた金属ワイヤ、電極およびリードとが、USモニタ装置1において、一対一に対応付けられる。図7では、N番目のワイヤボンディング工程1WRS_Nで出力された電圧波形27の包絡線において、トリガ閾値TTHを超えている波形部分に、N番目ワイヤの番号が付与される。
具体的に述べると、図7の例では、電極へ金属ボールを接合する直前で金属ボールを形成しているため、ワイヤボンディング工程1WRS_Nにおいて、最初にトリガ閾値TTHを超えている波形部分は、電極と金属ワイヤとを接合する際に生じる包絡線である。そのため、ワイヤボンディング工程1WRS_Nにおいて、最初にトリガ閾値TTHを超えている波形部分には、N番目ワイヤで電極側(PAD側)の番号(N番目ワイヤPAD側)が付されている。また、ワイヤボンディング工程1WRS_Nにおいて、最後にトリガ閾値TTHを超えている波形部分は、リードと金属ワイヤとを接合する際に生じる包絡線である。そのため、ワイヤボンディング工程1WRS_Nにおいて、最後にトリガ閾値TTHを超えている波形部分には、N番目ワイヤでリード側(LEAD側)の番号(N番目ワイヤLEAD側)が付されている。
以降同様にして、包絡線の波形部分にワイヤ番号が付加される。
プロセッサ12内のワイヤ番号初期化閾値レジスタ13_3には、ワイヤ番号初期化閾値時間が設定される。ワイヤ番号初期化閾値時間は、図7に示すように、1つの半導体チップ上における複数の電極(PAD)と複数のリード(LEAD)間を接続するとき、隣接するワイヤボンディング工程(例えば1WRS_N+1と1WRS_N+2)において、先のワイヤボンディング(1WRS_N+1)でトリガ閾値電圧TTHよりも低下した(超えた)最後の包絡線の立ち下がりタイミング(時刻)と、後のワイヤボンディング(1WRS_N+2)でトリガ閾値電圧TTHを超えた最初の包絡線の立ち上がりタイミングとの間の差時間(ワイヤボンディング時間差)の最大値が設定される。
連続して、ワイヤボンディング工程が実行されているとき、プロセッサ12は、判定対象として選択した包絡線の立ち下がりと立ち上がりとの間の時間差を、ワイヤ番号初期化閾値レジスタ13_3に設定されているワイヤ番号初期化閾値時間と比較する。すなわち、プロセッサ12は、隣接するワイヤボンディング工程において、判定対象として選択した包絡線が、トリガ閾値電圧TTHよりも低下する時刻と、次に、判定対象として選択した包絡線が、トリガ閾値電圧TTHを超えるまでの時間差を求め、ワイヤ番号初期化閾値時間と比較する。
ワイヤボンダ2において、1つの半導体チップ上の複数の電極と複数のリードと接続するワイヤボンディング工程が実行されているときには、ワイヤボンディング工程は連続して、実行されている。そのため、ワイヤボンディング工程間の時間(ワイヤボンディング時間差)は短くなる。すなわち、判定対象として選択した包絡線が、トリガ閾値電圧TTHよりも低下する時刻と、次に、判定対象として選択した包絡線が、トリガ閾値電圧TTHを超えるまでの時間差は、ワイヤ番号初期化閾値時間よりも短くなる。この場合、プロセッサ12は、取得した包絡線の波形部に、連続したワイヤ番号を付与する。
これに対して、ワイヤボンダ2において、対象の半導体チップを交換するために、半導体チップの搬送や、半導体チップ上の電極の位置等を検出する動作(位置検出動作)が実行されると、図7に示すように、ワイヤボンディング時間差が、ワイヤ番号初期化閾値時間よりも長くなる。プロセッサ12は、ワイヤボンディング時間差が、ワイヤ番号初期化閾値時間よりも長いと判定すると、ワイヤ番号を初期化し、取得した包絡線の波形部分に対して、ワイヤ番号1を付与する。これにより、図7に示すように、ワイヤ番号初期化閾値時間よりも長いワイヤボンディング時間差で開始されたワイヤボンディング工程において最初の包絡線の変化部分には、1番目ワイヤPAD側が付与され、最後の包絡線の変化部分には、1番目ワイヤLEAD側が付与される。
これにより、ワイヤボンダ2において、複数の半導体装置に対して、連続的にワイヤボンディングを実施した場合も、USモニタ装置1においては、半導体装置ごとに、1番目から始まるワイヤ番号を付与した包絡線の波形部分を取得することができる。また、USモニタ装置1は、各半導体装置において、それぞれワイヤ番号を付与した包絡線の波形部分に対して、図5で説明した判定を行うため、各半導体装置内における複数の電極と複数のリード間の接合に係わる複数の状態を取得することができる。
プロセッサ12は、取得した複数の状態を基にして、例えば次に述べるような判定を行う。
半導体チップ上の電極は、例えば、半導体チップの4辺に沿って配置される。半導体チップ40_1(図9等)とヒータープレート50(図9等)との間に、例えば異物が挟まれていると、半導体チップ40_1は、ヒータープレート50に対して、傾斜して設置されることになる。この状態で、ワイヤボンダ2により、4辺に沿って配置されている電極に金属ワイヤを接合すると、電極とヒータープレート50との間の距離が、辺によって異なるため、キャピラリ22に荷重を加えたときに、キャピラリ22の先端に加わる負荷が、例えば辺によって異なる。キャピラリ22の先端に加わる負荷が変化することにより、等価回路の特性も変化する。これにより、1st−Bondで測定した最大値または/および最小値が、例えば半導体チップ40_1の辺毎に異なるようになる。辺に配置した電極とワイヤ番号とを対応させておくことにより、このような辺間での相違も判別することが可能であり、異物の挟み込み等による異常も検出することが可能である。なお、挟み込む異物の大きさや位置によっても、1st−Bondで測定した最大値または/および最小値は変わる。
ここでも、電圧波形27の包絡線を例にして説明したが、電流波形28の包絡線についても同様に、ワイヤ番号を付与し、ワイヤ番号毎に接合の状態を取得することができる。
なお、図7では、トリガ閾値TTHを設定することにより、判定対象の候補となっていない包絡線の波形部分が、電極(PAD)に対応する包絡線の波形部と、リード(LEAD)に対応する包絡線の波形部との間で発生していることが示されている。トリガ閾値TTHを、適切に設定することに、このように判定対象を低減することも可能であり、プロセッサの処理の低減を図ることが可能である。
<不要波形のリジェクト>
ワイヤボンダ2において、例えばエラーが発生した場合、ユーザーはワイヤボンダ2に対してエラーを解除するエラー解除操作を実施する。この場合、エラーが発生している期間および解除操作を行っている期間においても、ワイヤボンダ2からUSモニタ装置1に対して、放電信号29、電圧波形27および電流波形28が、供給されている。しかしながら、これらの期間に供給されている電圧波形27および電流波形28を用いて、ワイヤボンダ2の状態を判定するのは適切とは言えない。ここでは、これらの期間に供給されている波形を不要波形と見なして、USモニタ装置1においてリジェクトする構成を説明する。
図8は、実施の形態1に係わるUSモニタ装置の動作を説明するためのタイミング図である。不要波形をリジェクトするために、プロセッサ12には、図1に示したように設定時間レジスタ13_4が設けられている。設定時間レジスタ13_4には、時間的に隣接するワイヤボンディング工程間において、最初の包絡線の波形部が発生したタイミング間の差時間(以下、設定差時間と称する)の最大値が、設定閾値時間STTとして設定される。
設定閾値時間STTの具体的な例と、設定閾値時間STTを用いた不要波形のリジェクトとを図8を用いて説明する。
図8において、(1)〜(6)のそれぞれは、ワイヤボンダ2により実行されるワイヤボンディング工程を示している。ワイヤボンディング工程において、金属ワイヤにより対応する電極とリードを接合することにより、放電信号29、電流波形28および電圧波形27が、ワイヤボンダ2からUSモニタ装置1に供給され、図8に示す電流波形28および電圧波形27の包絡線と放電信号29とが、プロセッサ12に供給される。
例えば、ワイヤボンディング工程(2)を、基準のワイヤボンディング工程と見なす。基準のワイヤボンディング工程(2)と隣接するワイヤボンディング工程(1)において、例えば電圧波形27の包絡線が最初に立ち上がるタイミングと、基準のワイヤボンディング工程(2)において、電圧波形27の包絡線が最初に立ち上がるタイミングとの間の差が、設定差時間となる。同様に、ワイヤボンディング工程(3)において、例えば電圧波形27の包絡線が最初に立ち上がるタイミングと、基準のワイヤボンディング工程(2)において、電圧波形27の包絡線が最初に立ち上がるタイミングとの間の差も、設定差時間である。この設定差時間の最大値が、設定閾値時間STTである。
図8には、ワイヤボンディング工程(3)の後で、エラーが発生し、ワイヤボンダ1が停止し、ユーザーによってエラー解除操作(図ではエラー解除と記載)が行われた場合が示されている。すなわち、連続したワイヤボンディング工程(1)〜(3)では、エラーが発生せずに、ワイヤボンダ2では、通常のワイヤボンディング工程が実施され、エラー解除操作が行われた後のワイヤボンディング工程(5)、(6)でも通常のワイヤボンディング工程が実施されている。
ワイヤボンダ2におけるエラーは、例えばキャピラリ22の貫通部から金属ワイヤ51が抜けることにより発生する。エラー解除操作において実施されているワイヤボンディング工程(4)では、抜けた金属ワイヤをキャピラリ22に挿入した後で、金属ワイヤの先端に金属ボールを生成するようなことが行われる。このワイヤボンディング工程(4)では、実際に電極とリードとを金属ワイヤによって接合するような動作は行われないため、捨てワイヤボンディング工程と見なすことができる。ワイヤボンディング工程(4)は、捨てワイヤボンディング工程であるため、この工程で供給された包絡線は、USモニタ装置1において判定する必要はない。
そのため、実施の形態1に係わるUSモニタ装置1では、ワイヤボンディング工程(4)に係わる包絡線の波形を、設定閾値時間STTを用いて、リジェクトする。すなわち、USモニタ装置1内のプロセッサ12は、リジェクトするか否かを判定する対象のワイヤボンディング工程を基準のワイヤボンディング工程と見なし、基準のワイヤボンディング工程の前後のワイヤボンディング工程が、設定閾値時間STTを満たしているか否かを判定する。前後のいずれのワイヤボンディング工程も、設定閾値時間STTを満たしていないと判定した場合、プロセッサ12は、対象のワイヤボンディング工程は、捨てワイヤボンディング工程と見なし、判定を行わない。
図8を用いて具体的に説明する。通常ボンディングにおいては、ワイヤボンディング工程(1)、(2)、(3)、(4)および(5)は、時間的に前または/および後で、前または/および後のワイヤボンディング工程が、期間A、BまたはEの間隔で開始している。
すなわち、ワイヤボンディング工程(2)、(3)および(5)では、それぞれを基準のワイヤボンディング工程と見なしたとき、最初の包絡線の波形部が発生するタイミングに対して、少なくとも前のワイヤボンディング工程(1)、(2)および(4)において最初の包絡線の波形部が発生するタイミングは、設定閾値時間STT以内である。また、ワイヤボンディング工程(1)および(5)では、それぞれを基準のワイヤボンディング工程と見なしたとき、最初の包絡線の波形部が発生するタイミングに対して、後のワイヤボンディング工程(2)および(6)において最初の包絡線の波形部が発生するタイミングが、設定閾値時間STT以内である。
その結果、プロセッサ12は、ワイヤボンディング工程(1)、(2)、(3)、(4)および(5)からの電圧波形27、電流波形28を用いて、図5で説明した判定を行い、記録する。
一方、エラー解除操作では、操作に時間が必要であるため、ワイヤボンディング工程(4)の前後で比較的長い時間が発生する。図8では、ワイヤボンディング工程(3)と(4)との間の期間が符号Cで示され、ワイヤボンディング工程(4)と(5)との間の期間が符号Dで示されている。この期間Cと期間Dが長いため、ワイヤボンディング工程(4)を基準のワイヤボンディング工程と見なしたとき、ワイヤボンディング工程(4)において、最初に包絡線が発生したタイミングに対して、前のワイヤボンディング工程(3)において最初に包絡線が発生したタイミングは、設定閾値時間STTを超えている。同様に、ワイヤボンディング工程(4)において、最初に包絡線が発生したタイミングに対して、後のワイヤボンディング工程(5)において最初に包絡線が発生したタイミングは、設定閾値時間STTを超えている。
その結果、プロセッサ12は、ワイヤボンディング工程(4)における包絡線に対して、図5で説明した判定を行わず、判定結果も蓄積もしない。
<変形例>
変形例に係わるUSモニタ装置では、図1に示した超音波ホーンに対して、ピエゾ素子が取り付けられている。このピエゾ素子は、上下に移動するキャピラリ22によって、金属ワイヤを電極およびリードに接合する際に、印加される荷重を検出する。また、図1に示したワイヤボンダ2には、キャピラリ22とリードフレームおよび半導体チップとの間の距離を表す距離信号を出力するエンコーダーが追加されている。
また、USモニタ装置1には、図1に示した電圧波形27、電流波形28および放電信号29だけでなく、ピエゾ素子によって検出された荷重とエンコーダーからの距離信号も供給される。これにより、USモニタ装置1は、電圧波形27および電流波形28を用いたワイヤボンダ2のモニタだけでなく、ピエゾ素子によって検出された荷重とエンコーダーからの距離信号とに基づいても、ワイヤボンダ2をモニタする。これにより、より精度の高いモニタが可能とされている。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施の形態1では、レジスタ13に、ユーザーが閾値等を設定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レジスタ13を用いずに、予め定めた閾値等が固定的に用いられるようにしてもよい。
1 ワイヤボンディングモニタ装置
2 ワイヤボンディング装置
10 波形処理部
11 アナログ/デジタル変換器
12 プロセッサ
13 レジスタ
20 超音波発振子
22 キャピラリ
23 超音波発振回路
25 超音波制御回路
26 放電ユニット
27 電圧波形
28 電流波形
29 放電信号
CNT フィードバック制御信号
IF 電流フィードバック信号
VF 電圧フィードバック信号

Claims (12)

  1. 放電信号に基づいた電気放電により、金属ワイヤに金属ボールを形成し、前記金属ワイヤに当接された超音波発振子に発振信号を供給して、前記金属ワイヤを、半導体チップの電極およびリードに接合させるワイヤボンディング装置に結合されるワイヤボンディングモニタ装置であって、
    前記放電信号と、前記超音波発振子の振動に基づいた波形とが供給される処理部を備え、
    前記処理部は、前記放電信号を用いて、前記金属ワイヤを前記半導体チップおよび前記リードに接合させる1つの工程を特定し、特定した1つの工程における前記波形に基づいて、前記ワイヤボンディング装置をモニタする、ワイヤボンディングモニタ装置。
  2. 請求項1に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理部は、前記波形の包絡線を形成する波形処理部を備え、
    前記処理部は、前記包絡線に基づいて、前記工程における前記金属ワイヤと前記半導体チップの電極との接合と前記金属ワイヤと前記リードの接合とを特定する、ワイヤボンディングモニタ装置。
  3. 請求項2に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理装置は、前記特定した前記金属ワイヤと前記半導体チップの電極との接合に対応する包絡線と、前記特定した前記金属ワイヤと前記リードとの接合に対応する包絡線とに基づいて、前記ワイヤボンディング装置における異常の発生を判定する、ワイヤボンディングモニタ装置。
  4. 請求項3に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理部は、前記ワイヤボンディング装置における異常の発生を判定したとき、前記ワイヤボンディング装置を停止させ、通知する、ワイヤボンディングモニタ装置。
  5. 請求項4に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理部は、前記包絡線と前記放電信号をデジタル信号に変換する変換部と、前記変換部からのデジタル信号に基づいて、前記ワイヤボンディング装置の停止を指示するプロセッサとを備える、ワイヤボンディングモニタ装置。
  6. 請求項3に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理部は、前記包絡線が、所定の閾値を超えているか否かを判定し、前記所定の閾値を超えている包絡線部分に基づいて、前記ワイヤボンディング装置をモニタする、ワイヤボンディングモニタ装置。
  7. 請求項6に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記処理部は、前記所定の閾値を超えている包絡線部分に対して、検出範囲を設定し、前記検出範囲における前記包絡線に基づいて、前記ワイヤボンディング装置をモニタする、ワイヤボンディングモニタ装置。
  8. 請求項1に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記波形は、前記超音波発振子の状態に従ったフィードバック信号に基づいた波形である、ワイヤボンディングモニタ装置。
  9. 請求項8に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記超音波発振子には、前記金属ワイヤを前記半導体チップの電極に接合するとき、前記金属ワイヤを前記リードに結合するとき、および前記金属ワイヤを、前記半導体チップの電極に対応する位置および前記リードに対応する位置間を移動するとき、発振信号が供給される、ワイヤボンディングモニタ装置。
  10. 請求項1に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記ワイヤボンディング装置は、
    前記超音波振動子に結合された超音波ホーンと、
    前記超音波ホーンに取り付けられ、前記金属ワイヤと当接し、前記リードおよび前記半導体チップに対して、上下に移動し、前記金属ワイヤを、前記リードおよび前記半導体チップに接合するとき、前記金属ワイヤに荷重を印加するキャピラリと、
    前記リードおよび前記半導体チップが搭載され、加熱されるヒートプレートと、
    前記超音波ホーンに取り付けられ、前記金属ワイヤを前記半導体チップの電極および前記リードに接合するとき、印加される前記荷重を検出するピエゾ素子と、
    前記キャピラリと、前記リードおよび前記半導体チップとの間の距離を表す距離信号を出力するエンコーダーと、
    を備え、
    前記処理部は、前記ピエゾ素子によって検出された印加荷重と、前記エンコーダーからの距離信号に基づいて、前記ワイヤボンディング装置をモニタする、ワイヤボンディングモニタ装置。
  11. 金属ワイヤに当接された超音波発振子に発振信号を供給して、前記金属ワイヤを、半導体チップの電極およびリードに接合させるワイヤボンディング装置に結合されるワイヤボンディングモニタ装置であって、
    前記超音波発振子の振動に基づいた波形が供給される処理部を備え、
    前記処理部は、前記波形の包絡線を形成する包絡線形成部と、所定の閾値が設定される閾値設定部とを備え、前記所定の閾値を超えている包絡線部分に検出範囲を設定し、前記検出範囲における包絡線に基づいて、前記ワイヤボンディング装置をモニタする、ワイヤボンディングモニタ装置。
  12. 請求項11に記載のワイヤボンディングモニタ装置において、
    前記波形は、前記超音波発振子の状態に従ったフィードバック信号に基づいた波形である、ワイヤボンディングモニタ装置。
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