JP2020046309A - 黒体炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】視野特性が悪い放射温度計を用いる場合であっても、黒体空洞からの熱放射を正しく検知することができ、かつ黒体空洞の開口部の位置を正確に把握することができる黒体炉を提供する。【解決手段】本発明の黒体炉100は、放射温度計による測定温度の校正用の黒体炉であって、窓部101aを有する容器101と、容器101内に配され、窓部101a側が開口した黒体空洞102と、黒体空洞102を内包し、黒体空洞の開口部102aと窓部101aとの間に連通孔105を有する断熱部材103と、連通孔105の内壁に設置された鏡面反射部材104と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、十分に高い放射率を実現する良好な黒体炉であって、温度均一性が高く、黒体空洞が加熱容器の深部に設置された構造を有するものに関する。
サーモグラフィをはじめとした、産業界でニーズの高い波長10μm付近の赤外放射温度計は、−50℃から1000℃程度の広い温度範囲において、高精度な校正が求められている。一方で、156℃以上の温度範囲において国家標準体系における上位標準である放射温度計の波長は、1.6μmや0.9μmであるため、これらの国家標準放射温度計で波長の異なる10μm帯の赤外放射温度計を、高精度校正するための比較校正技術が必要となる。このように適正波長の異なる非接触式温度計を校正するための温度可変黒体炉としては、炉内の空洞の実効放射率が限りなく1であることが必要不可欠である。空洞の放射率を限りなく1に近づけるには、空洞が均熱であること、空洞の固有放射率が高いことが必要となる。
このような温度可変黒体炉として、筒状の黒体空洞を加熱容器に収容した黒体炉が知られている(特許文献1、2)。加熱容器は、黒体空洞からの熱放射を外部の放射温度計で検出可能にするための窓部を備えている。黒体空洞は、その均熱性を維持するために、加熱容器の窓部から奥まった位置に設置されている。
特開2015−203589号公報 特開2017−003565号公報
放射温度計の校正には、一般に温度可変の黒体炉が用いられる。黒体炉は所定の温度の黒体放射を実現するものであり、参照温度計でこの温度を測定し、同時に校正対象の放射温度計でこの時の黒体放射を測定して、その出力値を比較する。
黒体炉に求められる性能は、放射率が十分1に近い良好な黒体であること、接触温度計や標準放射温度計などの参照温度計が測定する場所の温度と、校正対象が測定する空洞の温度とが同じであること、および校正対象の放射温度計の視野をカバーする十分な大きさを有することである。
一番目の性能要件に関しては、一般に黒体空洞を用いた多重反射により放射率を高くし、それを温度が均一な加熱容器に設置することによって達成される。カーボンナノチューブを空洞の黒化に用いることも行われている(特許文献1、2参照)。二番目の要件からも温度均一性が求められる。
三番目の性能要件に関しては、視野特性が悪い普及型の放射温度計では、測定距離が長くなるに従い視野が円錐状に大きく広がる傾向があるため、できるだけ測定距離を短くできる構造にするか、大きな放射源直径を実現する必要がある。大きな放射源直径を実現する方法として面状の放射源を用いる方法があるが、この場合、放射面の表面を塗料などで黒化しても十分1に近い放射率は得られないという問題がある。一方、測定距離を短くできる構造としては黒体炉の窓部から黒体空洞開口までの距離が短いことが求められるが、その場合、黒体空洞の窓側端部が冷却されて十分な温度均一性が得られず、従って放射率を十分高くできないという問題がある。なお、放射率が低い場合であっても、参照温度計が放射温度計であり、かつ測定波長が校正対象と同一の場合に限り、放射率の影響は両者に等しく影響するため正しく校正を行うことができる。
温度均一性が高い黒体炉を用いて、視野特性が悪い普及型の赤外放射温度計や熱画像装置を校正する場合、黒体空洞は黒体炉の窓部から奥まった位置にあるため、赤外放射温度計や熱画像装置を、黒体空洞の近くに配置することができない。そのため、黒体空洞からの熱放射だけを検知できず、黒体炉の開口部の周囲からの熱放射を余計に検知してしまうため、黒体空洞の温度についての正しい指示値が得られにくい。
また、黒体空洞の周囲の熱放射部を含めた放射源の位置と直径を正確に規定することが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、視野特性が悪い放射温度計を用いる場合であっても、黒体空洞からの熱放射を正しく検知することができ、かつ黒体空洞の放射源位置と直径を正確に規定することができる黒体炉を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明の一態様に係る黒体炉は、放射温度計による測定温度の校正用の黒体炉であって、窓部を有する容器と、前記容器内に配され、前記窓部側が開口した黒体空洞と、前記容器内で前記黒体空洞を内包し、前記黒体空洞の開口部と前記窓部との間に連通孔を有する断熱部材と、前記連通孔の内壁に設置された鏡面反射部材と、を備えている。
(2)前記(1)に記載の黒体炉において、前記黒体空洞、前記鏡面反射部材が、いずれも筒状であって、それぞれの中心軸同士が互いに揃うように配置されていることが好ましい。
(3)前記(1)または(2)のいずれかに記載の黒体炉において、前記鏡面反射部材の内径が、前記黒体空洞の内径以下であることが好ましい。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の黒体炉において、前記鏡面反射部材が、前記連通孔の内壁のうち、少なくとも前記黒体空洞側の端部を覆っており、前記鏡面反射部材の軸方向の長さが、前記連通孔の長さの2/3以下であることが好ましい。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の黒体炉において、前記鏡面反射部材が、金属箔、金属蒸着部材、金属メッキ部材、または鏡面研磨された金属部材であることが好ましい。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の黒体炉において、前記鏡面反射部材の内径が、前記鏡面反射部材の開口部から前記窓部までの距離の0.2倍以上であることが好ましい。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の黒体炉において、前記黒体空洞の内壁が、カーボンナノチューブによって表面処理されていることが好ましい。
本発明の黒体炉は、黒体空洞と黒体炉の窓部との間に、鏡面反射部材を備えている。これにより、黒体空洞の深い部分からの熱放射を、鏡面反射部材で反射させつつ、黒体炉の外から検出可能にすることができる。また、連通孔(炉心管)の内壁が鏡面反射部材で覆われているため、連通孔の内壁からの熱放射を余計に検知してしまう問題を回避することができる。したがって、視野特性の悪い放射温度計等を用いる場合であっても、黒体空洞の熱放射を十分かつ正確に検知することができ、黒体空洞の温度についての正しい指示値を得ることができる。
さらに、熱放射を外部に導く鏡面反射部材を備えることにより、黒体空洞の実質的な開口部が黒体炉の窓部に近づくことになるため、放射源の位置と直径を正確に規定することができるようになる。
本発明の一実施形態に係る黒体炉の構成を、模式的に示す断面図である。 放射温度計による測定温度の校正方法について、模式的に説明する図である。 本発明の実施例1に係る黒体炉を用いて校正される放射温度計の、面積効果の測定結果を示すグラフである。 本発明の比較例2に係る黒体炉の構成を、模式的に示す断面図である。 本発明の実施例1、比較例1〜3の黒体炉について、温度測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明を適用した実施形態に係る黒体炉について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る黒体炉100の構成を、模式的に示す断面図である。黒体炉100は、放射温度計による測定温度の校正用の炉であって、主に、窓部101aを有する所定の容器(加熱容器)101と、容器101内に設置された黒体空洞102、断熱部材103、および鏡面反射部材104と、で構成されている。
黒体空洞102は、一方向に延在する中空の部材であり、少なくとも窓部101a側の一端が開口部102aを有しており、他端が塞がっている。また、黒体空洞102は、銅等の熱伝導率の高い材料からなり、内壁面が黒色コーティング処理されており、放射率(吸収率)が高められている。グラファイトや酸化したステンレス鋼・インコネルなど、固有放射率が高い材料からなる場合もある。熱放射が等方的に発生するようにするため、黒体空洞102は、筒状(円筒状)であって、その中心軸102bが窓部101aの中心付近と略垂直に交わるように、設置されていることが好ましい。
黒体空洞102の内壁は、カーボンナノチューブ(CNT)によって表面処理されていてもよい。この表面処理は、カーボンナノチューブを、黒体空洞102の内壁面に対して略垂直に成長させるものである。表面処理によって、成長したカーボンナノチューブ同士の隙間が、光を共鳴吸収する状態となるため、黒体空洞101の放射率をより高めることができる。
黒体空洞102の周囲には、黒体空洞102を均一に加熱する加熱手段(不図示)が配置されている。加熱手段としては、例えば、黒体空洞の周囲に巻かれたニクロムやカンタル製のヒータ線と、そのヒータ線に電流を流すための電源とで構成されるものが挙げられる。
断熱部材103は、黒体空洞101を内包しつつ、黒体空洞102と容器101の側壁との間、加熱手段と容器101の側壁との間を埋め込むように設置されている。断熱部材103の構成材料としては、例えば、シリカ系やアルミナ系のセラミック断熱材を用いることができる。
また、断熱部材103は、黒体空洞の開口部102aと窓部101aとの間に、黒体空洞102からの熱放射を取り出すための連通孔(炉心管)104を有する。熱放射を遮らないようにするため、連通孔105の内径は、黒体空洞の開口部102aの内径以上であることが好ましい。
鏡面反射部材104は、連通孔105の内壁(面)に設置されている。黒体空洞102、鏡面反射部材104は、いずれも筒状(円筒状)であることが好ましく、その場合、それぞれの中心軸同士が互いに揃うように配置されていることが好ましい。
鏡面反射部材104は、黒体空洞からの熱放射を約90%以上鏡面反射するものであればよく、その構成材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀等の金属(鏡面研磨金属部材、金属箔等)、あるいは、それら金属を蒸着、メッキしたガラス等の部材(金属蒸着部材、金属メッキ部材)等が挙げられる。ここでの鏡面研磨は、金属の表面の凹凸がナノメートルオーダー(1μm未満)となるように、好ましくは200nm以下となるように行うものであるとする。
黒体空洞102の深い位置からの熱放射を窓部101aの位置に導く観点から、鏡面反射部材の内径Dは、黒体空洞の内径D以下であることが好ましく、略1倍、すなわち鏡面反射部材104と黒体空洞102の内壁面同士が面一となっていれば、より好ましい。内径Dが内径Dより極端に小さいと、熱放射の通路が狭くなり過ぎ、発生した熱放射を十分に取り出すことが難しい。また、内径Dが内径Dより大きいと、放射温度計から見て黒体空洞の円筒端部が露出し、そこからの黒体空洞開口からの熱放射より暗い熱放射が、鏡面反射部材に反射して見えるため、検出される熱放射が弱くなってしまう。その結果として、正しい校正ができない。
黒体空洞以外の高温部分からの余計な熱放射を遮る観点から、鏡面反射部材104は、連通孔105の内壁のうち、少なくとも高温になる黒体空洞102側の端部を覆っていることが好ましい。同じ観点から、鏡面反射部材104の軸方向の長さは、連通孔105の高温部の長さより長ければより好ましく、これより短いと高温部分が露出するため、余計な熱放射を検知することにより、黒体空洞の正確な温度測定が妨げられてしまう。一方、鏡面反射部材の長さが、放射温度計と鏡面反射部材開口部の間の距離の2倍より長いと、黒体空洞開口から放射され、鏡面反射体での反射回数が2回を超える熱放射が、放射温度計に届くようになり、検出される放射が減少するため、正しく校正できない。よって、鏡面反射部材の長さは、放射温度計と鏡面反射部材開口部の間の距離の2倍より短いことが望ましい。放射温度計の設置位置は一番近い場合でも窓部の外であるので、鏡面反射部材の長さを連通孔の長さの2/3以下であれば、この条件は必ず満たされる。
図2は、本実施形態の黒体炉100を用いて、放射温度計106による測定温度を校正する方法について、模式的に説明する図である。点線矢印は、黒体空洞102から発生する熱放射の一部を例示している。
まず、黒体空洞102を、所定の温度になるように加熱する。そして、校正する放射温度計106を、熱放射を検知する部分が黒体炉の窓部101aと対向するように、かつ放射源が放射温度計の視野を十分カバーする、所定の見掛け上の放射源サイズとなるように、窓部101aに近づくように配置する。
加熱された黒体空洞102から、熱放射が発生する。底面を含む黒体空洞102の内壁全体から、熱放射があらゆる方向に放射され、黒体空洞内で多重反射しながら一部が黒体空洞開口から外部に到達する。すなわち、黒体空洞の開口部102aが黒体放射源である。従来の構成の黒体炉であれば、発生した熱放射のうち、黒体炉の内壁(本実施形態では連通孔105の内壁)に入射することなく、窓部101aに直接到達するものだけが放射温度計で検出され、黒体炉の内壁に入射したものは吸収されてしまう。したがって、放射源は、黒体空洞102の開口部のみとみなされる。ここで、良好な黒体空洞を実現するためには、黒体空洞の温度の均一性が重要であるため、加熱容器101の深部に黒体空洞102を配置することが望ましく、よって放射温度計106から放射源までの距離が遠くなる。放射温度計106の視野は距離が遠くなるにしたがって大きくなるため、これをカバーする十分大きな放射源を得ることは困難である。これが第一の課題である。さらに、黒体炉100の内壁(連通孔105の内壁)は黒体空洞102よりも低温ではあるものの高温になっているため、それ自身が放射していて、この熱放射が放射温度計に検出され温度指示値に影響を及ぼし、正しい校正が行えない。これが第二の課題である。
これに対し、本実施形態の黒体炉100では、発生した熱放射は、直接または鏡面反射部材104で反射しながら窓部101aに到達し、そこから放射温度計106に検出される。つまり、放射温度計から見ると、黒体空洞開口部だけでなく、その手前の鏡面反射部材の開口内が一様に放射している。したがって、実質的な放射源は黒体空洞の開口部102aではなく、鏡面反射部材104の開口部となり、黒体炉の窓部101aに近づくことになる。このため、放射温度計106からの距離を近づけられるため十分大きな放射源を実現でき、第一の課題が回避できる。
また、連通孔(炉心管)105の内壁が鏡面反射部材104で覆われているため、連通孔105の内壁からの熱放射を余計に検知してしまう第二の課題を回避することができる。(なお、連通孔105の内壁のうち、窓部101aに近い部分については、外気との接触によって温度が高くなりにくいため、熱放射の発生を考慮する必要がない。)したがって、視野特性の悪い放射温度計等を用いる場合であっても、黒体空洞102の熱放射を十分かつ正確に検知することができ、黒体空洞102の温度についての正しい指示値を得ることができる。さらに、黒体空洞の開口部102aの位置、ひいては放射源のサイズを正確に把握することができるようになる。
なお、測定される放射強度は、黒体空洞102の内径Dと、黒体空洞の開口部102aから放射温度計までの距離(測定距離)と、の比が小さいほど、放射源サイズの影響(面積効果)を受けやすい。実施例として後述するように、比が約0.2以上であれば、この影響を小さくする上で好ましい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
上記実施形態の黒体炉100を用いて校正される放射温度計の一つについて、放射源サイズの変化による検出される放射強度に比例した放射輝度信号の変化を調べた。図3は、その結果を示すグラフである。グラフの横軸は、鏡面反射部材の内径(放射源の直径)D2と、鏡面反射部材の開口部から放射温度計までの距離(測定距離)Lと、の比(D/L)を示している。グラフの縦軸は、(D/L)を0.2としたときの放射輝度を基準とした、相対的な放射輝度(相対輝度信号)を示している。
このグラフでは、D/L≧0.2の範囲となるときに、放射輝度がほぼ一定の値を示している。つまり、D/L≧0.2の範囲であれば、放射源サイズの影響が小さい状態で放射輝度を測定することができ、信頼性の高い校正値が得られる。したがって、黒体炉100としては、鏡面反射部材の内径Dが、鏡面反射部材の開口部から窓部までの距離の0.2倍以上となるものを用いることが好ましい。
この結果を踏まえて、黒体空洞102、連通孔105、鏡面反射部材104のサイズを決定した。黒体空洞102としては、内壁面を黒色コーティングしたの円筒状部材を用い、内径Dを40mmとし、軸方向の長さLを140mmとし、開口部102aから窓部101aの最外面までの距離(連通孔105の長さ)Lを88mmとした。鏡面反射部材104としては、アルミニウム箔を用い、内径Dを40mmとし、軸方向の長さを連通孔105の長さの2/3以下の55mmとした。黒体空洞102と鏡面反射部材104の内壁面同士がほぼ面一になるように、連通孔105の内径Dを、鏡面反射部材104の厚さ分だけ、黒体空洞102の開口部の内径Lより大きくした。放射温度計を鏡面反射部材開口部から100mmの距離に設置した。この結果、D/Lは0.4となり、0.2より十分大きい条件が得られた。
黒体炉100において、黒体空洞102を100℃、250℃、450℃に加熱したときに、検出した熱放射から放射輝度を測定し、放射輝度に対応する推定温度を算出した。
(比較例1)
実施例1の黒体炉100において、黒体空洞102の内径Dを75mmとし、長さLを180mmとし、鏡面反射部材105を除いたものを比較例1の黒体炉とした。この黒体炉について、実施例1と同じ条件で加熱したときの推定温度を算出した。
(比較例2)
図4は、比較例2の黒体炉110の構成について模式的に示す断面図である。黒体炉110では、実施例1の黒体空洞102に対応する部分が平板状になっており、連通孔105に鏡面反射部材は設置されていない。その他の構成については実施例1で用いた黒体炉100の構成と同様であり、黒体炉100と対応する箇所については、形状の違いによらず、同じ符号で示している。この黒体炉について、実施例1と同じ条件で加熱したときの推定温度を算出した。
(比較例3)
実施例1の黒体炉100において、黒体空洞1の内径Dを40mmとし、長さLを140mmとし、鏡面反射部材104を除いたものを比較例3の黒体炉とした。この黒体炉について、実施例1と同じ条件で加熱したときの推定温度を算出した。
図5は、実施例1、比較例1〜3の黒体炉について、普及型放射温度計をD/Lが0.2となる距離に設置して測定した推定温度の算出結果を示すグラフである。グラフを4つのブロックに分け、各ブロックに、比較例1、2、3、実施例1での算出結果をプロットしている。グラフの縦軸は、普及型放射温度計で測定した温度T(℃)と、参照標準放射温度計で測定した温度T(℃)との差ΔT(=T−T)を示している。ΔTが小さいほど、温度測定の精度が高いことになる。算出されたΔTの数値を表1にまとめた。なお、普及型放射温度計と参照標準放射温度計は測定波長が同一のものを使用することで、比較例1、2の黒体空洞の放射率が低いことの影響を受けないようにした。参照標準放射温度計の面積効果は十分小さく無視できる。
Figure 2020046309
比較例1、2では、ΔTの絶対値は0.5以下で、十分高精度の校正ができていると思われる。これは、放射源が加熱容器の深部に設置される構造ではないため、上述した第一の課題も、第二の課題も生じないためである。また、この例では参照標準が同じ波長の放射温度計であるため、放射源の放射率が低くても影響がないためである。参照標準が波長の異なる放射温度計や、接触型の温度計の場合には、低い放射率の影響により正しい校正結果が得られない可能性がある。
比較例3では、ΔTが正の値を示しており、真の温度を上回る温度が算出されたことが分かる。ΔTが正の値になるのは、黒体空洞とともに加熱された連通孔(炉心管)の内壁からも、熱放射が発生しており、これを検知してしまうためであると考えられる。
実施例1では、ΔTが比較例1、2と同様に、ほぼゼロの値を示している。比較例3と違い、ΔTが正の値にならないのは、連通孔105の内壁が鏡面反射部材104で覆われており、この内壁からの熱放射を検知していないためであると考えられる。また、黒体空洞102が加熱容器101の深部に設置されており、均熱性が高いため、黒体空洞放射率も高く、参照標準として波長の異なる放射温度計や接触型の放射温度計を用いても正しく校正を行うことができる。
100・・・黒体炉
101・・・容器
101a・・・窓部
102・・・黒体空洞
102a・・・開口部
102b・・・中心軸
103・・・断熱部材
104・・・鏡面反射部材
105・・・連通孔
106・・・放射温度計
・・・黒体空洞の内径
・・・鏡面反射部材の内径
・・・連通孔の内径
・・・連通孔の長さ
・・・黒体空洞の長さ
・・・測定距離

Claims (7)

  1. 放射温度計による測定温度の校正用の黒体炉であって、
    窓部を有する容器と、
    前記容器内に配され、前記窓部側が開口した黒体空洞と、
    前記容器内で前記黒体空洞を内包し、前記黒体空洞の開口部と前記窓部との間に連通孔を有する断熱部材と、
    前記連通孔の内壁に設置された鏡面反射部材と、を備えていることを特徴とする黒体炉。
  2. 前記黒体空洞、前記鏡面反射部材が、いずれも筒状であって、それぞれの中心軸同士が互いに揃うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の黒体炉。
  3. 前記鏡面反射部材の内径が、前記黒体空洞の内径以下であることを特徴とする請求項2に記載の黒体炉。
  4. 前記鏡面反射部材が、前記連通孔の内壁のうち、少なくとも前記黒体空洞側の端部を覆っており、前記鏡面反射部材の軸方向の長さが、前記連通孔の長さの2/3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒体炉。
  5. 前記鏡面反射部材が、金属箔、金属蒸着部材、金属メッキ部材、または鏡面研磨された金属部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の黒体炉。
  6. 前記鏡面反射部材の内径が、前記鏡面反射部材の開口部から前記窓部までの距離の0.2倍以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の黒体炉。
  7. 前記黒体空洞の内壁が、カーボンナノチューブによって表面処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の黒体炉。
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