以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
[第1実施形態]
図1から図9は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置、貸出返却管理方法、及び貸出返却管理プログラムを示すためのものである。まず、図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置の概略構成について説明する。同図は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100とその周辺の構成を概略的に示す構成図である。
図1に示すように、貸出返却管理システム102は、複数の物品IT1,IT2,IT3,IT4,IT5,IT6(以下、適宜「物品IT1〜IT6」と表記する)の貸出及び返却を管理する貸出返却管理装置100と、貸出返却管理システム102が扱うデータを管理するデータ管理サーバ101と、を備える。
貸出返却管理装置100は、電磁シールド10と、RFID(Radio Frequency IDentifier)リーダ20と、情報取得装置30と、開閉検知デバイス40と、演算装置50と、を備える。
キャビネットCAは、内部に各物品IT1〜IT6を収納するためのものである。キャビネットCAは、例えば引き出し式のキャビネットであり、引き出しDRを備える。引き出しDRは、一方向(図1において右方向)に引き出すことで物品IT1〜IT6を収容及び取り出しが可能となり、他方向(図1において左方向)に押し入れることで収容された物品IT1〜IT6の保管が可能となる。引き出しDRは、錠LOを含んでおり、錠LOにはサーボモータSMが取り付けられている。引き出しDRは、押し入れた状態において、サーボモータSMによって錠LOに鍵をかけ(施錠し)、鍵のかかった錠を開ける(解錠する)ことができる。
本実施形態では、キャビネットCAが1つの引き出しDRを備える例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、キャビネットは、複数の引き出しを備えてよく、各引き出しは少なく1つの物品を収納可能であれば足りる。また、キャビネットは、引き出し式に限定されるものではなく、開き扉又は引き(スライド)扉を備える扉式のキャビネットでもよい。この場合においても、キャビネットの扉には錠が設けられる。
各物品IT1〜IT6には、図示しないICタグが付されている。ICタグは、当該ICタグが付された物品の物品識別情報、例えば、物品ごとに付与された一意の物品ID(物品識別子)を保持する。各物品IT1〜IT6に付されるICタグは、例えば電波をエネルギー源として動作するパッシブタグである。
RFIDリーダ20は、引き出しDRの内部に設置され、演算装置50に接続されている。RFIDリーダ20は、各物品IT1〜IT6に付されたICタグから物品IDを周期的に読み取るように構成されている。具体的には、RFIDリーダ20は、後述するアンテナを含む。アンテナは、所定の周波数帯の電波(電磁波)を放射(輻射)及び受波できるように構成されている。RFIDリーダ20は、アンテナから所定の時間間隔で電波を放射する。各物品IT1〜IT6に付されるICタグは、アンテナからの電波を整流して直流に変換し、これを電源としてメモリに記憶された物品IDを読み出す。そして、各ICタグは、読み出した物品IDの信号として反射波を放射する。アンテナが各反射波を受波するこことで、RFIDリーダ20は、各物品IT1〜IT6に付されたICタグから物品IDを読み取ることができる。これにより、複数の物品IT1〜IT6が単一種類ではなく複数種類であっても、各物品IT1〜IT6を識別することが可能となる。
電磁シールド10は、例えば引き出しDRの内部に設置される。これにより、アンテナからの電波及びICタグからの反射波の漏洩を防止することができるともに、反射率を向上させることができる。
情報取得装置30は、キャビネットCAの外側前面(図1において右側の面)に設置され、演算装置50に接続されている。情報取得装置30は、貸出返却管理システム102の利用者から当該利用者の利用者識別情報を取得するように構成されている。利用者識別情報は、例えば利用者ごとに付与された一意の利用者ID(利用者識別子)である。利用者は、例えば、図示しないカードを所持しており、このカードに搭載されたICチップには、当該利用者の利用者IDが記憶されている。情報取得装置30は、例えばNFC(Near Field Communication)の通信方式を採用した無線通信装置を含んで構成される。情報取得装置30は、NFCの規格に準拠したICチップと無線通信可能に構成されている。そのため、利用者がICチップを搭載したカードを情報取得装置30に近接させることで、情報取得装置30は、カードのICチップから当該利用者の利用者IDを取得することができる。
なお、利用者が所持するカードは一例であり、利用者IDを記憶するICチップを搭載するものであれば、カードに限定されるものではない。例えば、ICチップを搭載したキーホルダ、リストバンド、情報端末カバー等の形態であってもよい。また、情報取得装置30が取得する情報は、利用者IDに限定されるものでない。利用者ごとに一意である情報であればよく、例えば指紋、網膜、虹彩、顔、声紋等の各種の生体情報であってもよい。
開閉検知デバイス40は、引き出しDRの前端部(図1において右端部)に設置され、演算装置50に接続されている。開閉検知デバイス40は、引き出しDRの開閉を検知するように構成されている。具体的には、開閉検知デバイス40は、例えば照度センサを含んで構成される。開閉検知デバイス40は、照度センサによって計測された照度(光の明るさ)が所定レベル以上であるときに引き出しDRが開いている(引き出されている)と判定し、照度センサによって計測された照度が所定レベル未満であるときに引き出しDRが閉じている(押し入れられている)と判定する。そして、開閉検知デバイス40は、判定結果に基づく検知信号を演算装置50に出力する。
演算装置50は、キャビネットCAの内部に設置されている。演算装置50は、後述する無線通信部によって、貸出返却管理装置100とデータ管理サーバ101との間でデータの送受信を行う。なお、演算装置50の詳細については後述する。
データ管理サーバ101は、貸出返却管理システム102におけるデータを管理するためのものである。例えば、データ管理サーバ101は、前述した物品IDとその物品の種類、購入年月日、購入部署、収納キャビネット等の情報とを紐づけて管理する。
本実施形態では、貸出返却管理システム102が1つの貸出返却管理装置100とデータ管理サーバ101とを備える例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、貸出返却管理システムは、2以上の貸出返却管理装置を備えていてもよい。この場合、貸出返却管理システムは、1つのデータ管理サーバを備えてもよいし、2以上のデータ管理サーバを備えてよい。貸出返却管理システムが2以上のデータ管理サーバを備える場合、各データ管理サーバは、1つ又は2以上の貸出返却管理装置におけるデータを管理し、データ管理サーバのそれぞれは、ネットワーク等を介して互いに通信可能に接続される。
次に、図2及び図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に従う演算装置及びデータ管理サーバの概略構成について説明する。図2は、図1に示した演算装置50の構成を概略的に示すブロック図である。図3は、図1に示したデータ管理サーバ101の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、演算装置50は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。演算装置50は、入出力I/F(インターフェース)51と、記憶部52と、制御部53と、無線通信部54と、を備える。また、演算装置50は、演算装置50の各部の間で信号やデータを伝送するように構成されたバス55をさらに備える。
一方、図3に示すように、データ管理サーバ101は、無線通信部110と、制御部120と、記憶部130と、を備える。また、データ管理サーバ101は、データ管理サーバ101の各部の間で信号やデータを伝送するように構成されたバス140をさらに備える。
入出力I/F51は、演算装置50と外部の機器とのインターフェースである。入出力I/F51は、外部の機器との間でデータや信号をやり取りするように構成されている。また、入出力I/F51は、外部の機器との通信を制御するように構成されている。入出力I/F51は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High−Definition Mutimedia Interface)、IEEE1394等の規格化されたインターフェースの接続端子を含んで構成される。入出力I/F51は、RFIDリーダ20、サーボモータSM、情報取得装置30、及び開閉検知デバイス40に接続されている。
記憶部52は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。記憶部52は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を含んで構成される。記憶部52は、制御部53が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等をあらかじめ記憶している。
制御部53は、入出力I/F51、記憶部52、及び無線通信部54等、演算装置50の各部の動作を制御するように構成されている。また、制御部53は、記憶部52に記憶されたプログラムを実行する等によって、後述する各機能を実現するように構成されている。制御部53は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びバッファ等の緩衝記憶装置を含んで構成される。なお、制御部53の機能構成については、後述する。
無線通信部54は、図示しないアンテナを用いて、例えば、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等の規格に従う無線LAN(Local Area Network)等の無線通信方式、又は、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信方式に基づいて、データの通信(送受信)を行うように構成されている。
演算装置50と同様に、データ管理サーバ101において、無線通信部110は、図示しないアンテナを用いて、例えば、Wi−Fi等の規格に従う無線LAN等の無線通信方式、又は、3G、LTE、4G、5G等の移動体通信方式に基づいて、データの通信(送受信)を行うように構成されている。なお、データ管理サーバ101は、無線通信部110に代えて、又は、無線通信部110とともに、有線の通信部を備えていてもよい。
制御部120は、無線通信部110及び記憶部130等、データ管理サーバ101の各部の動作を制御するように構成されている。制御部120は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM等のメモリ、及びバッファ等の緩衝記憶装置を含んで構成される。
記憶部130は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。記憶部130は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を含んで構成される。記憶部130は、制御部120が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等をあらかじめ記憶している。また、記憶部130は、認証許可リスト131と、認証ログ132と、RFIDログ133と、利用者台帳134と、物品台帳135と、通知タスク136と、を記憶する。認証ログ132は、後述する解錠データ132aと、施錠データ132bとを含む。RFIDログ133は、後述する在庫データ133aと、差分データ133bとを含む。通知タスク136は、後述する貸出データ136aと、返却データ136bとを含む。
演算装置50の制御部53は、その機能構成として、例えば、在庫データ生成部53aと、差分データ生成部53bと、解錠判定部53cと、錠制御部53dと、開閉データ生成部53eと、貸出返却判定部53fと、貸出返却通知部53gと、を備える。
在庫データ生成部53aは、RFIDリーダ20が図1に示した物品IT1〜IT6に付されたICタグから物品IDを読み取ったことに応答して、物品IDを含む在庫データ133aを生成するように構成されている。詳細には、RFIDリーダ20はアンテナ21を含み、アンテナ21は物品IT1〜IT6に付されたICタグから物品IDの信号を受信する。RFIDリーダ20は受信した物品IDを演算装置50に出力する。入出力I/F51を介して物品IDが入力されると、在庫データ生成部53aは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを物品IDに付した在庫データ133aを生成する。在庫データ生成部53aは、生成した在庫データ133aをデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。データ管理サーバ101は、無線通信部110を介して受信した在庫データ133aを、記憶部130のRFIDログ133に格納する。
なお、アンテナ21は、RFIDリーダ20と一体化したものに限定されず、図示しないケーブルを介してRFIDリーダ20に接続される分離型のものであってもよい。いずれの場合でも、アンテナ21は、キャビネットCAの内部に固定される。これにより、アンテナ21を移動させる移動手段を設ける必要がなく、簡易かつ小型化された構成を実現することができる。
差分データ生成部53aは、在庫データ133aの時系列に基づいて、物品IDを含み、物品IT1〜IT6の減少又は増加を示す差分データ133bを生成するように構成されている。ここで、RFIDリーダ20は各物品IT1〜IT6の物品IDを周期的に読み取るので、在庫データ133aは周期的に生成され、物品IT1〜IT6のそれぞれについて、在庫データ133aの時系列が形成される。差分データ生成部53aは、在庫データ133aの時系列において、例えば、1つ前(直前)の周期においてRFIDリーダ20に読み取られて生成された(存在していた)在庫データ133aが、現在の周期においてRFIDリーダ20に読み取られずに生成されない(存在しない)場合に、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを含み、物品IDで識別される物品IT1〜IT6の減少を示す差分データ133bを生成する。一方、1つ前(直前)の周期においてRFIDリーダ20に読み取られずに生成されなかった(存在しなかった)在庫データ133aが、現在の周期においてRFIDリーダ20に読み取られて生成される(存在する)場合に、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを含み、物品IDで識別される物品IT1〜IT6の減少を示す差分データ133bを生成する。差分データ生成部53bは、生成した差分データ133bをデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。データ管理サーバ101は、無線通信部110を介して受信した在庫データ133bを、記憶部130のRFIDログ133に格納する。
解錠判定部53cは、利用者の利用者IDに基づいて錠LOを解錠するか否かを判定するように構成されている。詳細には、情報取得装置30は、利用者の利用者IDを取得し、取得した利用者IDを演算装置50に出力する。入出力I/F51を介して利用者IDが入力されると、解錠判定部53cは、認証許可リスト取得要求を生成し、生成した認証許可リスト取得要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。無線通信部110を介して認証許可リスト取得要求を受信したデータ管理サーバ101は、記憶部130の認証許可リスト131を読み出し、読み出した認証許可リスト131を要求元である演算装置50に無線通信部110を介して送信する。無線通信部54を介して認証許可リスト131を受信した演算装置50は、解錠判定部53cが、受信した認証許可リスト131を参照し、情報取得装置30によって取得された利用者IDが存在するか、つまり、利用者IDで識別される利用者として登録されているか否かを判定する。
錠制御部53dは、図1に示したキャビネットCAに含まれる錠LOの施錠及び解錠を制御するように構成されている。また、錠制御部53dは、利用者の利用者IDに基づいて錠LOを解錠するように構成されている。詳細には、錠制御部53dは、解錠判定部53cによる判定の結果、認証許可リスト131に情報取得装置30によって取得された利用者IDが存在する場合に、入出力I/F51を介してサーボモータSMに解錠駆動信号を出力する。この解錠駆動信号によってサーボモータSMが作動し、サーボモータSMが錠LOを解錠する。
また、錠LOの施錠については、まず、開閉検知デバイス40は、引き出しDRが閉じていることを示す閉検知信号を演算装置50に出力する。入出力I/F51を介して閉検知信号が入力されると、錠制御部53dは、所定時間、例えば、数秒を経過した後、入出力I/F51を介してサーボモータSMに施錠駆動信号を出力する。この施錠駆動信号によってサーボモータSMが作動し、サーボモータSMが錠LOを施錠する。
開閉データ生成部53eは、錠LOの解錠に応答して解錠データ52bを生成するように構成されている。また、開閉データ生成部53eは、錠LOの施錠に応答して施錠データ52cを生成するように構成されている。詳細には、錠制御部53dが入出力I/F51を介して錠LOに解錠駆動信号を出力すると、開閉データ生成部53eは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを情報取得装置30から取得した利用者IDに付した解錠データ132aを生成する。開閉データ生成部53eは、生成した解錠データ132aをデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。データ管理サーバ101は、無線通信部110を介して受信した解錠データ132aを、記憶部130の認証ログ132に格納する。一方、錠制御部53dが入出力I/F51を介してサーボモータSMに施錠駆動信号を出力すると、開閉データ生成部53eは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを含む施錠データ132bを生成する。開閉データ生成部53eは、生成した施錠データ132bをデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。データ管理サーバ101は、無線通信部110を介して受信した施錠データ132bを、記憶部130の認証ログ132に格納する。
貸出返却判定部53fは、在庫データ133aと解錠データ132aとに基づいて、錠LOが施錠されたときに、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定するように構成されている。具体的には、貸出返却判定部53fは、錠LOが施錠されたときに、在庫データ133aの時系列から生成される差分データ133bと解錠データ52bとに基づいて、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定するように構成されている。また、貸出返却判定部53fは、利用者による物品IT1〜IT6の貸出と判定したときに、当該利用者の利用者IDと当該物品IT1〜IT6の物品IDとを含む貸出データ136aを生成し、利用者による物品IT1〜IT6の返却と判定したときに、当該利用者の利用者IDと当該物品IT1〜IT6の物品IDとを含む返却データ136bを生成するように構成されている。貸出返却判定部53fは、生成した貸出データ136a又は返却データ136bをデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信する。データ管理サーバ101は、無線通信部110を介して受信した貸出データ136a又は返却データ136bを、記憶部130の通知タスク136に格納する。
貸出返却通知部53gは、貸出返却判定部53fによって利用者による物品の貸出と判定されたときに、当該利用者に当該物品の貸出を通知し、貸出返却判定部53fによって利用者による物品の返却と判定されたときに、当該利用者に当該物品の返却を通知するように構成されている。
前述したように、在庫データ133a及び解錠データ132aは、それぞれタイムスタンプを含んでいる。また、差分データ132b、施錠データ132b、貸出データ136a、及び返却データ136bについても、日時情報の一例としてタイムスタンプを含んでいる。これにより、各データのタイムスタンプを参照することで、それぞれの事象(イベント)が発生した順番を容易に判定することができる。
なお、在庫データ52a及び解錠データ52bは、日時情報を含まなくてもよい。この場合、例えば、各データは到来順に配列に格納され、当該配列に日時情報が付されてもよい。あるいは、当該配列のインデックスに日時情報が対応付けられていてもよい。
制御部53の各機能は、コンピュータ(マイクロプロセッサ)で実行されるプログラムによって実現することが可能である。したがって、制御部53が備える各機能は、ハードウェア、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
また、制御部53の各機能が、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現される場合、その処理は、マルチタスク、マルチスレッド、若しくはマルチタスク及びマルチスレッドの両方で実行可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
さらに、制御部53の各機能は、演算装置50の制御部53が有する場合に限定されるものではない。制御部53の一部の機能は、例えば、データ管理サーバ101の制御部120が有していてもよいし、あるいは、演算装置50と通信可能な他の装置が有していてもよい。
次に、図4から図9を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100の概略動作について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100が物品IT1〜IT6の在庫を管理する概略動作を示すフローチャートである。図5は、物品IT1〜IT6の減少を説明するための図である。図6は、物品IT1〜IT6の増加を説明するための図である。図7は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100が錠LOの解錠及び施錠を管理する概略動作を示すフローチャートである。図8は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100が物品IT1〜IT6の貸出及び返却を管理する概略動作を示すフローチャートである。図9は、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100が利用者への通知を管理する概略動作を示すフローチャートである。
なお、以下の説明において、各物品IT1〜IT6について周期的に物品IDが読み取られて在庫データ133aが生成され、それぞれ記憶部130のRFIDログ133に格納されているものとする。また、キャビネットCAに収納される各物品IT1〜IT6は、あらかじめ登録されており、物品インデックスj(jは正の整数)が対応付けられている。、登録された物品IT1〜IT6の数に応じた物品インデックスjの最大値は、制御部53のメモリ又は記憶部52等に記憶されているものとする。
<在庫管理処理>
演算装置50の制御部53は、例えばRFIDリーダ20が各物品IT1〜IT6について物品IDが読み取ると、図4に示す在庫管理処理S200を実行する。
最初に、差分データ生成部53bは、RFIDログ133へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、RFIDリーダ20が各物品IT1〜IT6の物品IDを読み出す周期において、1つ前(直前)の周期の在庫データ133aを検索する(S201)。なお、在庫データ133aは物品IT1〜IT6ごとに生成されるので、差分データ生成部53bは、各物品IT1〜IT6について、1つ前(直前)の周期の在庫データ133aを検索する。
次に、差分データ生成部53bは、検索された各在庫データ133aを、物品インデックスj及び日時インデックスk(kは正の自然数)で指定される配列Ajkのうち、配列Aj1にそれぞれ格納する(S202)。
次に、差分データ生成部53bは、RFIDログ133へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、RFIDリーダ20が各物品IT1〜IT6の物品IDを読み出す周期において、現在の周期の在庫データ133aを検索する(S203)。なお、差分データ生成部53bは、各物品IT1〜IT6について、現在の周期の在庫データ133aを検索する。
次に、差分データ生成部53bは、検索された各在庫データ133aを、物品インデックスj及び日時インデックスkで指定される配列Ajkのうち、配列Aj2にそれぞれ格納する(S204)。
次に、差分データ生成部53bは、物品インデックスjに「1」を設定し(S205)、配列Aj1の在庫データ133aに含まれる物品IDと配列Aj2の在庫データ133aに含まれる物品IDとが一致するか否かを判定する(S206)。
なお、配列Aj1及び配列Aj2の両方ともに在庫データ133aが格納されていない場合が考えられる。例えば、キャビネットCAに収納されるべきもののうちのある物品IT1〜IT6が、貸出中の場合等である。この場合、配列Aj1及び配列Aj2には、同一のデータ、例えば「Null」、「0」、スペース等が格納されていることから、差分データ生成部53bは、物品IDが一致すると判定することにする。
ステップS206の判定の結果、物品IDが一致する場合、1つ前の周期と現在の周期との間でキャビネットCAに収納される物品IT1〜IT6に差分が生じていない(変化がない)と考えられる。よって、差分データ生成部53bは、差分データ133bの生成を行わない。
一方、ステップS206の判定の結果、物品IDが一致しない場合、差分データ生成部53bは、1つ前(直前)の周期の直前の在庫データ133a、つまり、配列Aj1の在庫データ133aに含まれる物品IDが有るか否を判定する(S207)。
ステップS207の判定の結果、配列Aj1の在庫データ133aに含まれる物品IDが有る場合、現在の周期の在庫データ133a、つまり、配列Aj2に在庫データ133aが格納されていない為、ステップS206の判定において物品IDが一致しなかったと考えられる。すなわち、配列Aj1の物品IDに対応する物品は、減少したと考えられる。よって、差分データ生成部53bは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、このタイムスタンプと、配列Aj1の物品IDと、を含み、物品IDに対応する物品の減少を示す差分データ133bを生成する(S208)。生成された貸出データは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130のRFIDログ133に格納される。
一方、ステップS207の判定の結果、配列Aj1の在庫データ133aに含まれる物品IDがない場合、1つ前(直前)の周期の在庫データ133a、つまり、配列Aj1に在庫データ133aが格納されていない為、ステップS206の判定において物品IDが一致しなかったと考えられる。すなわち、配列Aj2の物品IDに対応する物品は、増加したと考えられる。よって、差分データ生成部53bは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、このタイムスタンプと、配列Aj2の物品IDと、を含み、物品IDに対応する物品の増加を示す差分データ133bを生成する(S209)。生成された返却データは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130のRFIDログ133に格納される。
ステップS206の判定の結果、物品IDが一致する場合、ステップS208において減少の差分データ133bを作成した後、又はステップS209において増加の差分データ133bを作成した後、差分データ生成部53bは、物品インデックスjに「1」を加算し(S210)、物品インデックスjの値が当該物品インデックスjの最大値より大きいか否かを判定する(S211)。
ステップS211の判定の結果、物品インデックスjの値が物品インデックスjの最大値より大きくない、つまり、最大値以下である場合、減少及び増加を判定していない物品IT1〜IT6が残っているものと考えられる。よって、差分データ生成部53bは、物品インデックスjの値が物品インデックスjの最大値を超える(上回る)まで、ステップS206からステップS211までを繰り返す。
一方、ステップS211の判定の結果、物品インデックスjの値が物品インデックスjの最大値より大きい場合、全ての物品IT1〜IT6について、貸出及び返却を判定したものと考えられる。よって、RFIDリーダ20が各物品IT1〜IT6の物品IDを読み出す周期において、現在の周期を一つ前の周期とするとともに、次(直後)の周期を現在の周期として、差分データ生成部53bは、ステップS201からステップS211までを繰り返す。在庫管理処理S200は、例えばRFIDリーダ20の電源が切断され、RFIDリーダ20による各物品IT1〜IT6の物品IDの読み取りが終了するまで、実行される。
ここで、図5及び図6を用いて物品IT1〜IT6の減少及び増加の具体例について説明する。
例えば、図5に示すように、物品インデックスjが「3」である物品IT3について、配列A31に在庫データ133aが格納されている一方、配列A32に在庫データ133aが格納されていない場合、物品IT3は減少したものとして減少の差分データ133bが生成される。なお、物品IT1〜IT6に付されたICタグは、実際には同時に物品IDが読み取られるわけではなく、在庫データ52aが生成される日時は厳密には同一ではない。しかし、FRIDリーダ20は、非常に短い時間に各物品IDをほぼ同時に読み取ることができるので、物品IT1〜IT6の在庫データ133aが、それぞれ、例えば日時DT1に生成されたものとみなすことできる。
また、図6に示すように、物品インデックスjが「4」である物品IT4について、配列A41に在庫データ133aが格納されていないのに、配列A42に在庫データ133aが格納されている場合、物品IT4は増加したものとして増加の差分データ133bが生成される。
なお、図示及びその詳細な説明を省略するが、物品IT1〜IT6の減少及び増加は、同時に発生することもある。例えば、物品IT3が減少するとともに、物品IT4が増加する場合、差分データ生成部53bは、物品IT3の増加の差分データ133bを生成するとともに、物品IT4の増加の差分データ133bを生成する。
<解錠施錠処理>
演算装置50の制御部53は、例えば利用者がICチップ搭載のカードを情報取得装置30に近接させ、情報取得装置30がカードのICチップから当該利用者の利用者IDを取得すると、図7に示す解錠施錠処理S220を実行する。
最初に、入出力I/F51を介して情報取得装置30が取得した利用者IDが入力される(S221)。次に、解錠判定部53cは、認証許可リスト131の取得要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101から認証許可リスト131を受信する(S222)。
次に、解錠判定部53cは、ステップS221で入力された利用者IDが、ステップ222において受信した認証許可リスト131に存在するか否かを判定する(S223)。
ステップS223の判定の結果、利用者IDが認証許可リスト131に存在する場合、入出力I/F51を介してサーボモータSMに解錠駆動信号を出力し、サーボモータSMが作動して錠LOを解錠する(S224)。
次に、開閉データ生成部53eは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプと、ステップ221で入力された利用者IDとを含む解錠データ132aを生成する(S225)。生成された解錠データ132aは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130の認証ログ132に格納される。
次に、錠制御部53dは、入出力I/F51を介して開閉検知デバイス40から引き出しDRの閉検知信号が入力されたか否かを判定する(S226)。錠制御部53dは、引き出しDRの閉検知信号が入力されるまで、ステップS226の判定を繰り返す。
ステップS226の判定の結果、引き出しDRの閉検知信号が入力された場合、所定時間を経過後、入出力I/F51を介してサーボモータSMに施錠駆動信号を出力し、サーボモータSMが作動して錠LOを施錠する(S227)。
次に、開閉データ生成部53eは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプを含む施錠データ132bを生成する(S228)。なお、施錠データ132bは、ステップ221で入力された利用者IDを含んでいてもよい。生成された施錠データ132bは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130の認証ログ132に格納される。
ステップS223の判定の結果、利用者IDが認証許可リスト131に存在しない場合、及び、ステップS228の後、制御部53は解錠施錠処理S220を終了する。
<貸出返却処理>
演算装置50の制御部53は、例えばサーボモータSMによって錠LOが施錠されると、図8に示す貸出返却処理S240を実行する。
最初に、貸出返却判定部53fは、認証ログ132へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、最新(直近)の解錠データ132aを検索する(S241)。なお、最新の解錠データ132aは、複数の解錠データ132aのうち、解錠データ132aに含まれるタイムスタンプが現時点の日時に最も近いものである。
次に、貸出返却判定部53fは、認証ログ132へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、最新(直近)の施錠データ132bを検索する(S242)。なお、最新の施錠データ132bは、複数の施錠データ132bのうち、施錠データ132bに含まれるタイムスタンプが現時点の日時に最も近いものである。
次に、貸出返却判定部53fは、RFIDログ133へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、ステップS242で検索した最新の施錠データ132bに対し、その直後の差分データ133bを検索する(S243)。最新の施錠データ132bの直後の差分データ133bは、最新の施錠データ132bに含まれるタイムスタンプよりも日時が後ろのものである。
次に、貸出返却判定部53fは、ステップS243の検索の結果、最新の施錠データ132bの直後の差分データ133bが有るか否かを判定する(S244)。
ステップS244の判定の結果、最新の施錠データ132bの直後の差分データ133bが有る場合、貸出返却判定部53fは、当該差分データ133bが減少の差分データ133bであるか否かを判定する(S245)。
ステップS245の判定の結果、減少の差分データ133bである場合、当該差分データ133bに含まれる物品IDに対応する物品は、最新の解錠データ132aに含まれる利用者IDに対応する利用者によって、貸し出されたものと考えられる。よって、貸出返却判定部53fは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプと、ステップ241で検索した最新の解錠データ132に含まれる利用者IDと、ステップS243で検索した差分データ133bに含まれる物品IDと、を含む貸出データ136aを生成する(S246)。生成された貸出データ136aは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130の通知タスク136に格納される。
ステップS245の判定の結果、減少の差分データ133bでない場合、つまり、増加の差分データ133bである場合、当該差分データ133bに含まれる物品IDに対応する物品は、最新の解錠データ132aに含まれる利用者IDに対応する利用者によって、返却されたものと考えられる。よって、貸出返却判定部53fは、日時情報、例えばタイムスタンプを生成し、生成したタイムスタンプと、ステップ241で検索した最新の解錠データ132に含まれる利用者IDと、ステップS243で検索した差分データ133bに含まれる物品IDと、を含む返却データ136bを生成する(S247)。生成された返却データ136bは、無線通信部54を介してデータ管理サーバ101に送信され、記憶部130の通知タスク136に格納される。
なお、ステップS243の検索の結果、最新の施錠データ132bの直後の差分データ133bが複数、例えばm個(mは2以上の整数)有る場合、貸出返却判定部53fは、ステップS244からステップS247までをm回繰り返す。
ステップS246の後、ステップS247の後、及びステップS244の判定の結果、最新の施錠データ132bの直後の差分データ133bがない場合、制御部53は貸出返却処理S240を終了する。
<通知処理>
演算装置50の制御部53は、例えば貸出返却判定部53fによって利用者による物品IT1〜IT6の貸出又は返却と判定されると、図9に示す通知処理S260を実行する。
最初に、貸出返却通知部53gは、通知タスク136へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、貸出データ136a及び返却データ136bを検索する(S261)。
貸出データ136a及び返却データ136bは、いずれか一方のみが生成され、通知タスク136に格納される場合に限定されず、貸出データ136a及び返却データ136bの両方が生成され、通知タスク136に格納されることがある。また、貸出データ136a及び返却データ136bの一方のみであっても、例えば物品IT1〜IT6のうちの複数の物品について、貸出データ136a又は返却データ136bが生成され、通知タスク136に格納されることがある。このように、通知タスク136に貸出データ136a及び返却データ136bの少なくとも一方が複数存在する場合、貸出返却通知部53gは、ステップS261において、それらの貸出データ136a及び返却データ136bの全てを検索する。
次に、貸出返却通知部53gは、利用者台帳134へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、貸出データ136a及び返却データ136bに含まれる利用者IDに対応する利用者レコードを検索する(S262)。利用者台帳134は、利用者IDごとに、当該利用者IDに対応する利用者の情報を含む利用者レコードが格納されている。各利用者レコードには、利用者IDと、当該利用者IDに対応する利用者の氏名、年齢、性別、所属部署、連絡先、Emailアドレス等の情報と、を含んでいる。
次に、貸出返却通知部53gは、物品台帳135へのアクセス要求をデータ管理サーバ101に無線通信部54を介して送信し、貸出データ136a及び返却データ136bに含まれる物品IDに対応する物品レコードを検索する(S263)。物品台帳135は、物品IDごとに、当該物品IDに対応する物品の情報を含む物品レコードが格納されている。各物品レコードには、物品IDと、当該物品IDに対応する物品の名称、型番、分類、色、購入年月日等の情報と、を含んでいる。
次に、貸出返却通知部53gは、ステップS263で検索した物品レコードに含まれる物品の名称を含み、ステップS262で検索した利用者レコードに含まれるEmailアドレスを宛先とする通知メールを作成する(S264)。なお、作成される通知メールは、ステップS261で貸出データ136aが検索された場合に物品IDに対応する物品の貸出を通知する文章(テキストデータ)を含み、ステップS261で返却データ136bが検索された場合に物品IDに対応する物品の返却を通知する文章(テキストデータ)を含む。
前述したように、ステップS261の検索の結果、貸出データ136a及び返却データ136bの少なくとも一方が複数、例えばn個(nは2以上の整数)検索された場合、貸出返却通知部53gは、ステップS262からステップS264までをn回繰り返す。
ステップS264の後、制御部53は通知処理S260を終了する。
このように、錠LOが施錠されたときに、在庫データ133aと解錠データ132aとに基づいて、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定することにより、仮に利用者の利用者IDを読み取れなかった場合、利用者IDに基づく解錠データ52bは生成されず錠LOは施錠されたままなので、当該利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却は行えない。よって、物品IT1〜IT6の貸出及び返却を行う利用者を特定することができ、利用者不明の物品IT1〜IT6の貸出及び返却を防止することができる。また、解錠データ133aの直前の在庫データ133aと施錠データ132bの直後の在庫データ133aとに基づいて、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定することが可能である。よって、RFIDリーダ20が物品IDを読み取ることによって在庫データ133aが周期的に生成され、利用者が自身の利用者IDを読み取らせるだけで解錠データ132aが生成され、錠LOが施錠されたときに、これらの在庫データ133a及び解錠データ132bに基づいて利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却が判定されるので、物品IT1〜IT6の貸出及び返却を簡便に管理することができる。
また、利用者による物品IT1〜IT6の貸出と判定したときに、当該利用者の利用者IDと当該物品の物品IDとを含む貸出データ136aを生成し、利用者による物品IT1〜IT6の返却と判定したときに、当該利用者の利用者IDと当該物品の物品IDとを含む返却データ136bを生成することにより、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却のデータログ(履歴)を残すことができ、例えば貸出及び返却の分析や解析に利用することができる。
本実施形態では、キャビネットCAの内部に設置された演算装置50が、在庫データ133a及び解錠データ132aを生成し、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却が判定する例を示したが、これに限定されるものではない。演算装置50の制御部53の在庫データ生成部53a、錠制御部53d、開閉データ生成部53e、及び貸出返却判定部53fについて、少なくとも一部を例えばデータ管理サーバ101で実現(実行)してもよい。
[第2実施形態]
図10から図12は、本発明の第2実施形態に係る貸出返却管理装置、貸出返却管理方法、及び貸出返却管理プログラムと、本発明の一実施形態に係るキャビネットとを示すためのものである。なお、第1実施形態と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
図10から図12を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る貸出返却管理装置が備えるベースプレート60及び仕切り板70の概略構成について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る貸出返却管理装置が備えるベースプレート60及び仕切り板70の外観を概略的に示す斜視図である。図11は、図10に示したベースプレート60の構成を概略的に示す平面図である。図12は、図10に示した仕切り板70の構成を概略的に示す平面図である。
本発明の第2実施形態に係る貸出返却管理装置100は、図10に示すベースプレート60及び仕切り板70をさらに備える点で、本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100と相違している。また、第1実施形態においてRFIDリーダ20と一体に配置されていたアンテナ21が、第2実施形態では仕切り板70に内蔵されている点も、相違している。
ベースプレート60は、例えば図1に示す引き出しDRの底面に設置される。一方、複数の仕切り板70は、それぞれ、ベースプレート60に設置される。各仕切り板70は、ベースプレート60を区画して物品IT1〜IT6を格納するための空間を形成するように構成されている。
具体的には、図11に示すように、ベースプレート60の面は、複数の領域61に分割されている。各領域61は、平面視において矩形状を有しており、他の領域61と略同一の寸法を有している。一方の領域61と他方の領域61との間には溝62が形成されており、各溝62には、接続端子64が設けられている。また、ベースプレート60は、図1に示すRFIDに電気的に接続される接続線63を含んでいる。接続線63と各接続端子64とは、図示しない配線によって互いに電気的に接続されている。
図12に示すように、仕切り板70は、平面視において矩形状を有しており、仕切り板70の一辺の長さは、ベースプレート60の領域61の一辺と略同一の長さを有している。仕切り板70の内部には、RFIDリーダ20のアンテナ21が埋設されている。アンテナ21は、仕切り板70の面から電波を放射し、各物品IT1〜IT6に付されたICタグからの反射波を受波する。
本実施形態において、RFIDリーダ20は、それぞれ識別可能な複数のアンテナ21を含んでいる。例えば、アンテナ21は2つの仕切り板70のそれぞれに内蔵されており、各アンテナ21は、図10に示すように、それぞれ電波(電磁波)を放射し、各物品IT1〜IT6に付されたICタグから物品IDの信号をそれぞれ受信する。このように、RFIDリーダ20がそれぞれ識別可能な複数のアンテナ21を含むことにより、アンテナ21を内蔵する複数の仕切り板70を、それぞれ識別することができる。
また、仕切り板70は、ベースプレート60に着脱可能に構成されている。具体的には、仕切り板70は、その端部(図12において下端部)を溝62に差し込ことでベースプレート60に取り付けられ、当該端部を溝62から引き抜くことでベースプレート60から取り外される。このように、仕切り板70がベースプレート60に着脱可能に構成されていることにより、物品IT1〜IT6を格納するための空間を容易に変更することができる。
さらに、仕切り板70の端部(図12において下端部)には、接続端子71が設けられており、アンテナ21に電気的に接続される。ベースプレート60に仕切り板70を設置する際に、接続端子71が設けられた仕切り板70の端部をベースプレート60の溝62に差し込み、接続端子71と接続端子64とを接触させる。これにより、仕切り板70に内蔵されたアンテナ21がベースプレート60の接続線63に接続される。
このように、RFIDリーダ20に電気的に接続される接続線63を含むベースプレート60と、仕切り板70とをさらに備え、アンテナ21を仕切り板70に内蔵するとともに、アンテナ21を接続線63に電気的に接続することにより、物品IT1〜IT6の近傍にRFIDリーダ20のアンテナ21を配置することが可能となる。従って、アンテナ21から放射される電波及びその反射波の空間減衰を低減させることができ、物品IDの読み取り精度を向上させることができる。
本実施形態において、アンテナ21は、例えば漏洩同軸ケーブルを含んで構成される。これにより、仕切り板70に内蔵され、物品IT1〜IT6の近傍に配置可能なアンテナを容易に実現することができる。
本実施形態では、2つの仕切り板70のそれぞれにアンテナ21が内蔵される例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、ベースプレート60に設置される仕切り板70の全てについて、それぞれアンテナ21が内蔵されてもよい。また、ベースプレート60及び仕切り板70は、図1に示す引き出しDRに設置される場合に限定されず、例えば、棚、容器、ロッカー等に設置されてもよい。
また、本実施形態では、貸出返却管理装置100がベースプレート60及び仕切り板70を備える例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図1に示したキャビネットCAがベースプレート60及び仕切り板70を備えていてもよい。この場合、キャビネットCAは、RFIDリーダ20と、ベースプレート60と、仕切り板70とを備えている。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の第1実施形態に係る貸出返却管理装置100、貸出返却管理方法、及び貸出返却管理プログラムは、錠LOが施錠されたときに、在庫データ133aと解錠データ132aとに基づいて、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定する。これにより、仮に利用者の利用者IDを読み取れなかった場合、利用者IDに基づく解錠データ132aは生成されず錠LOは施錠されたままなので、当該利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却は行えない。よって、物品IT1〜IT6の貸出及び返却を行う利用者を特定することができ、利用者不明の物品IT1〜IT6の貸出及び返却を防止することができる。また、解錠データ132aの直前の在庫データ133aと施錠データ132bの直後の在庫データ133aとに基づいて、利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却を判定することが可能である。よって、RFIDリーダ20が物品IDを読み取ることによって在庫データ133aが周期的に生成され、利用者が自身の利用者IDを読み取らせるだけで解錠データ132aが生成され、錠LOが施錠されたときに、これらの在庫データ133a及び解錠データ132aに基づいて利用者による物品IT1〜IT6の貸出及び返却が判定されるので、物品IT1〜IT6の貸出及び返却を簡便に管理することができる。
また、本発明の第2実施形態に係る貸出返却管理装置100、貸出返却管理方法、及び貸出返却管理プログラムは、RFIDリーダ20に電気的に接続される接続線63を含むベースプレート60と、仕切り板70とをさらに備え、アンテナ21が仕切り板70に内蔵され、接続線63に電気的に接続される。これにより、物品IT1〜IT6の近傍にRFIDリーダ20のアンテナ21を配置することが可能となる。従って、アンテナ21から放射される電波及びその反射波の空間減衰を低減させることができ、物品IDの読み取り精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るキャビネットCAは、RFIDリーダ20と、RFIDリーダ20に電気的に接続される接続線63を含むベースプレート60と、仕切り板70とを備え、アンテナ21が仕切り板70に内蔵され、アンテナ21が接続線63に電気的に接続される。これにより、物品IT1〜IT6の近傍にRFIDリーダ20のアンテナ21を配置することが可能となる。従って、アンテナ21から放射される電波及びその反射波の空間減衰を低減させることができ、物品IDの読み取り精度を向上させることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。