<着色硬化性樹脂組成物>
本発明に係る着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含み、着色剤(A)はC.I.ピグメントグリーン59を含有し、重合性化合物(C)は、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリレート(c1)を含有する。C.I.ピグメントグリーン59と(メタ)アクリレート(c1)との特定の組み合わせを含む本発明に係る着色硬化性樹脂組成物によれば、高い明度と優れたパターン形状とが両立されたカラーフィルタの形成が可能となる。
以下、各成分について詳細に説明するが、本明細書において各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
〔1〕着色剤(A)
本発明に係る着色硬化性樹脂組成物において着色剤(A)は、C.I.ピグメントグリーン59を含む。着色剤(A)におけるC.I.ピグメントグリーン59の含有量は、着色剤(A)100質量%中、通常10〜100質量%であり、高い明度と優れたパターン形状とを効果的に両立させる観点から、好ましくは30〜100質量%であり、より好ましくは40〜100質量%であり、さらに好ましくは45〜100質量%である。後述するように、着色剤(A)はC.I.ピグメントグリーン59以外の他の着色剤を含むことができるが、この場合、C.I.ピグメントグリーン59の含有量は、着色剤(A)100質量%中、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。
着色剤(A)は、C.I.ピグメントグリーン59以外の他の着色剤を含むことができる。他の着色剤は、C.I.ピグメントグリーン59以外の他の顔料であってもよいし、染料であってもよいし、これらの両方であってもよい。他の着色剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。他の顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられ、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
C.I.ピグメントグリーン59以外の他の顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58等のC.I.ピグメントグリーン59以外の緑色顔料;
C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
等が挙げられる。
中でも、C.I.ピグメントグリーン59以外の他の顔料は、黄色顔料であることが好ましい。当該他の顔料は、黄色顔料の中でも、同じカラーフィルタの厚み及び同じ着色剤濃度での対比で、C.I.ピグメントグリーン59との組み合わせにより、より良好な明度が得られることから、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185等を含むことが好ましく、C.I.ピグメントイエロー138を含むことがより好ましい。
高い明度と優れたパターン形状とを効果的に両立させる観点から、緑色着色剤におけるC.I.ピグメントグリーン59の含有量を高めることが好ましい。具体的には、緑色着色剤におけるC.I.ピグメントグリーン59の含有量は、緑色着色剤100質量%中、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、なおさらに好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
上記他の着色剤は染料であってもよい。染料としては、公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクワリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
着色剤(A)がC.I.ピグメントグリーン59以外の他の着色剤を含む場合、当該他の着色剤の含有量は、高い明度と優れたパターン形状とを効果的に両立させる観点から、着色剤(A)100質量%中、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上(例えば40質量%以上)である。
着色硬化性樹脂組成物における着色剤(A)の合計含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、通常10〜60質量%であるが、高い明度と優れたパターン形状とを両立させる観点から、着色硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、好ましくは15〜50質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。なお、本明細書において「着色硬化性樹脂組成物の固形分」とは、着色硬化性樹脂組成物に含まれる成分のうち、溶剤(E)以外の全成分を指す。
着色硬化性樹脂組成物の調製に使用される各種顔料は、溶剤中で均一に分散した分散液の状態であることが好ましい。また顔料は、粒径が均一であることが好ましい。上記分散液は、顔料と溶剤とを混合することにより得ることができる。必要に応じて、顔料分散剤を混合してもよい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶剤中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
顔料分散剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、シリコーン系、フッ素系、エステル系(ポリエステル系を含む。)、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の具体例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(BASFジャパン(株)製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)等が挙げられる。顔料分散剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは5〜50質量部である。顔料分散剤の使用量が上記範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られやすい傾向にある。
顔料分散液を構成する溶剤としては、特に限定されず、着色硬化性樹脂組成物に含有され得る後述の溶剤(E)と同様の溶剤が挙げられる。中でも、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、N,N−ジメチルホルムアミド等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル等であることが好ましい。2種以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、顔料分散液中の固形分の濃度が、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜18質量%となる量である。
着色硬化性樹脂組成物の調製に使用される各種顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体や顔料分散剤等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
〔2〕樹脂(B)
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、樹脂(B)を含有する。着色硬化性樹脂組成物は、樹脂(B)として1種又は2種以上の樹脂を含有することができる。樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性とは、アルカリ化合物の水溶液である現像液に溶解する性質のことをいう。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種(a)〔以下、「(a)」ということがある。〕と、炭素数2〜4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(b)〔以下、「(b)」ということがある。)との共重合体。
樹脂[K2]:(a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)〔以下「(c)」ということがある。〕との共重合体。
樹脂[K3]:(a)と(c)との共重合体。
樹脂[K4]:(a)と(c)との共重合体に(b)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K5]:(b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K6]:(b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂。
(a)としては、具体的には、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和(メタ)アクリル酸類等が挙げられる。
中でも、共重合反応性の観点やアルカリ水溶液への溶解性の観点から、(a)は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等であることが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記についても同様である。
(b)は、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群より選択される少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、好ましくは、炭素数2〜4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体である。
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)〔以下、「(b1)」ということがある。〕、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)〔以下、「(b2)」ということがある。〕、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)〔以下、「(b3)」ということがある。〕等が挙げられる。
(b1)としては、不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−1)〔以下、「(b1−1)」ということがある。〕、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−2)〔以下、「(b1−2)」ということがある。〕が挙げられる。
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物等が挙げられる。
式(I)及び式(II)中、Ra及びRbは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。X1及びX2は、互いに独立して、単結合、*−Rc−、*−Rc−O−、*−Rc−S−、又は*−Rc−NH−を表す。Rcは、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。*は、Oとの結合手を表す。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
Ra及びRbは、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基である。
Rcを構成するアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
X1及びX2は、好ましくは、単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH2−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CH2CH2−O−基であり、より好ましくは単結合、*−CH2CH2−O−基である。
式(I)で表される化合物の具体例は、下記式(I−1)〜下記式(I−15)で表される化合物を含む。好ましくは、式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)であり、より好ましくは、式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)である。
式(II)で表される化合物の具体例は、下記式(II−1)〜下記式(II−15)で表される化合物を含む。好ましくは、式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)であり、より好ましくは、式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)である。
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率は、式(I):式(II)〔モル比〕で、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)は、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。(b2)の好ましい例は、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキセタンを含む。
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)は、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。(b3)の好ましい例は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
(c)の具体例は、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート〔当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」と呼ばれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」と呼ばれることもある。〕、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート〔当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」と呼ばれている。〕、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等
が挙げられる。
中でも、共重合反応性及び耐熱性の観点から、(c)は、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。また、パターン形成時の現像性に優れることから、(c)は、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜50モル%(より好ましくは10〜45モル%)、
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;50〜98モル%(より好ましくは55〜90モル%)。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記範囲にあると、保存安定性、現像性、得られるパターンの耐溶剤性に優れる傾向がある。
樹脂[K1]は、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、(a)及び(b)(特に(b1))の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられる。溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、着色硬化性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤(E)等を用いることができる。
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;4〜45モル%(より好ましくは10〜30モル%)、
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)、
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは5〜60モル%)。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記範囲にあると、保存安定性、現像性、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
樹脂[K2]は、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造することができる。具体的には、(a)、(b)(特に(b1))及び(c)の所定量、重合開始剤及び溶剤を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜55モル%(より好ましくは10〜50モル%)、
(c)に由来する構造単位;45〜98モル%(より好ましくは50〜90モル%)。
樹脂[K3]は、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造することができる。
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテル構造、特に(b1)が有するオキシラン環を(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。具体的には、まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、(a)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜50モル%(より好ましくは10〜45モル%)、(c)に由来する構造単位;50〜95モル%(より好ましくは55〜90モル%)。
次に、上記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテル構造、特に(b1)が有するオキシラン環を反応させる。具体的には、(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)(特に(b1))、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテル構造との反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を得ることができる。
(b)の使用量、特に(b1)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルであることが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲とすることにより、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテル構造の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、(b1−1)がより好ましい。
上記反応触媒の使用量は、(a)、(b)(特に(b1))及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%であることが好ましい。上記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%であることが好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)(特に(b1))と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)(特に(b1))及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位、特に(b1)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)、
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)。
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)(特に(b1))と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテル構造に、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。上記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)(特に(b1))100モルに対して、5〜80モルであることが好ましい。環状エーテル構造の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、(b1−1)がより好ましい。
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテル構造とカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。
樹脂[K1]〜[K6]のうち、樹脂(B)として好ましい樹脂は、[K1]又は[K2]である。樹脂(B)は、1種の樹脂からなっていてもよく、2種以上の樹脂を含んでいてもよい。
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が上記範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高く、得られるパターンの残膜率や硬度も高い傾向にある。樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
樹脂(B)の溶液酸価は、好ましくは5〜180mg−KOH/gであり、より好ましくは10〜100mg−KOH/gであり、さらに好ましくは12〜50mg−KOH/gである。酸価は、樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
樹脂(B)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。樹脂(B)の含有量が、上記範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高い傾向がある。
〔3〕重合性化合物(C)
重合性化合物(C)は、光照射等より重合開始剤(D)から発生する活性ラジカル等によって重合し得る化合物である。本発明の着色硬化性樹脂組成物において、重合性化合物(C)は、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリレート(c1)を含有する。(メタ)アクリレート(c1)は、下記式:
で表される(メタ)アクリレート化合物である。上記式中、Xはそれぞれ独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。Yは水素原子、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。a〜fは1以上の整数であり、a〜fの合計であるa+b+c+d+e+f+gは6〜24の整数である。a〜fの合計は、好ましくは6〜18である。エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートは、上記式においてYが水素原子である化合物であり、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートは、上記式においてYがアクリロイル基又はメタクリロイル基である化合物である。重合性化合物(C)は、(メタ)アクリレート(c1)として、上記式においてYが水素原子である化合物のみを含有していてもよいし、Yがアクリロイル基又はメタクリロイル基である化合物のみを含有していてもよいし、これらの両方を含んでいてもよい。
着色剤(A)がC.I.ピグメントグリーン59を含み、かつ重合性化合物(C)が(メタ)アクリレート(c1)を含む本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、高い明度と優れたパターン形状とが両立されたカラーフィルタの形成が可能となる。
(メタ)アクリレート(c1)は、例えば、ジペンタエリスリトールにエチレンオキシドを開環付加させる工程と、開環付加により導入されたエチレンオキシド由来の末端水酸基に(メタ)アクリロイルクロライドや(メタ)アクリル酸を反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程とを含む方法;(メタ)アクリル酸にエチレンオキシドを開環付加させてエチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、ジペンタエリスリトールとエステル化反応させる方法等によって製造することができる。
重合性化合物(C)は、(メタ)アクリレート(c1)以外の他の重合性化合物をさらに含有することができる。他の重合性化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000以下である。本発明の着色硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート(c1)に加えて、1種又は2種以上の他の重合性化合物を含有することができる。他の重合性化合物は、好ましくは、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物を含み、より好ましくは、重合性のエチレン性不飽和結合として(メタ)アクリロイル基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基)を含有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(c2)を含む。
中でも、(メタ)アクリロイル基含有化合物(c2)は、(メタ)アクリロイル基を分子内に3つ以上有する重合性化合物であることが好ましく、その具体例は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
重合性化合物(C)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部であり、より好ましくは50〜120質量部である。
高い明度と優れたパターン形状とを効果的に両立させる観点から、重合性化合物(C)における(メタ)アクリレート(c1)の含有量は高いことが好ましい。具体的には、(メタ)アクリレート(c1)の含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、通常20質量%であり、好ましくは50質量%であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、なおさらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
〔4〕重合開始剤(D)
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、重合開始剤(D)を含有する。着色硬化性樹脂組成物は、重合開始剤(D)として1種又は2種以上の重合開始剤を含有することができる。重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始し得る化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、O−アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。重合開始剤(D)は、感度や、精密なパターン形状の形成性等を考慮して、2種以上を併用してもよい。重合開始剤(D)は、感度及び所望の線幅を有するパターン形状を精密に作り込むうえで有利であることから、O−アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物を含むことが好ましい。
O−アシルオキシム化合物は、下記式(d)で表される構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
O−アシルオキシム化合物は、例えば、下記式(d1)で表される化合物(以下、「化合物(d1)」ということがある。)、式(d2)で表される化合物(以下、「化合物(d2)」ということがある。)、及び式(d3)で表される化合物(以下、「化合物(d3)」ということがある。)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(d1)〜(d3)中、
Rd1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、又は芳香族炭化水素基と該アルキル基から導かれるアルカンジイル基とを組み合わせた、置換基を有していてもよい基を表し、上記アルキル基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−、−CO−、−S−、−SO2−又は−NRd5−に置き換わっていてもよい、
Rd2は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数3〜36の複素環基又は炭素数1〜10のアルキル基を表す、
Rd3は、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す、
Rd4は、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基を表し、上記脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−、−CO−又は−S−に置き換わっていてもよく、上記脂肪族炭化水素基に含まれるメチン基(−CH<)は、−PO3<に置き換わっていてもよく、上記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子はOH基で置換されていてもよい、
Rd5は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
Rd1で表される芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜15であることが好ましく、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
またRd1で表される芳香族炭化水素基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。置換基は、芳香族炭化水素基のα位やγ位に置換していることが好ましく、γ位に置換していることがより好ましい。該置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1〜15のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
上記置換基としてのアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜7であることがより好ましい。該置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。該置換基としてのアルキル基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−又は−S−に置き換わっていてもよい。また、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよく、フッ素原子で置換されていることが好ましい。
Rd1で表される芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Rd1で表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Rd1で表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、下記式で表される基が好ましい。
式中、Rd6は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rd6に含まれる水素原子はハロゲン原子に置換されていてもよい。m2は、1〜5の整数を表す。
Rd6で表されるアルキル基としては、Rd1で表される芳香族炭化水素基の置換基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。Rd6の炭素数は、2〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。また、Rd6で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状であることが好ましい。
Rd6に含まれる水素原子を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素が特に好ましい。また、Rd6に含まれる水素原子の2個以上、10個以下がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、3個以上、6個以下がハロゲン原子で置換されていることが好ましい。Rd6O−基の置換位置は、オルト位、パラ位が好ましく、パラ位が特に好ましい。またm2は、1〜2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
Rd1で表される複素環基の炭素数は、3〜20であることが好ましく、より好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。該複素環基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。
またRd1で表される複素環基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。該置換基としては、Rd1で表される芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基と同様の基が挙げられる。
Rd1で表されるアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましい。Rd1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基及びペンタデシル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。また、Rd1で表されるアルキル基において、メチレン基(−CH2−)は、−O−、−CO−、−S−、−SO2−又は−NRd5−に置き換わっていてもよく、水素原子は、OH基又はSH基で置換されていてもよい。
Rd5は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。該アルキル基は、鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)であっても、環状であってもよく、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。また、Rd5のアルキル基において、メチレン基(−CH2−)は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
Rd1で表される置換基を有していてもよいアルキル基としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。*は結合手を表す。
さらに、Rd1で表される、芳香族炭化水素基と上記Rd1で表されるアルキル基から導かれるアルカンジイル基とを組み合わせた基の炭素数は、7〜33であることが好ましく、より好ましくは7〜18であり、さらに好ましくは7〜12である。該組み合わせた基は、1又は2以上の置換基を有していてもよく、該置換基としては、芳香族炭化水素基、アルキル基が有していてもよい置換基として例示した基と同様の基が挙げられる。該Rd1で表される、芳香族炭化水素基と上記Rd1で表されるアルキル基から導かれるアルカンジイル基とを組み合わせた基としては、アラルキル基が挙げられ、具体的には、下記式で表される基を挙げることができる。式中、*は結合手を表す。
中でも、Rd1としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基がより好ましい。
Rd2で表される芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜15であることが好ましく、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基及びターフェニル基等が挙げられる。
Rd2で表される複素環基の炭素数は、3〜20であることが好ましく、より好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。該複素環基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。
Rd2で表されるアルキル基の炭素数は、1〜7であることが好ましく、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基等が挙げられる。該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。
Rd2としては、鎖状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜5の鎖状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の鎖状アルキル基であり、メチル基であることが特に好ましい。
Rd3で表される芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜15であることが好ましく、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基及びターフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、Rd3で表される芳香族炭化水素基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。置換基は、芳香族炭化水素基のα位やγ位に置換していることが好ましい。該置換基としては、炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基等の炭素数1〜15のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、ノネニル基及びデセニル基等の炭素数1〜15のアルケニル基;等が挙げられる。
Rd3で表される芳香族炭化水素基が有していてもよい脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜7であることがより好ましく、該脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。また、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)は、−O−、−CO−又は−S−に置き換わっていてもよく、メチン基(−CH<)は、−N<に置き換わっていてもよい。
Rd3で表される芳香族炭化水素基が有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Rd3で表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Rd3で表される複素環基の炭素数は、3〜20であることが好ましく、より好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。該複素環基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。また、Rd3で表される複素環基は、1又は2以上の置換基を有していてもよく、該置換基としては、Rd1で表される芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基と同様の基が挙げられる。
中でもRd3は、置換基を有する芳香族炭化水素基であることが好ましく、該置換基としては、炭素数1〜7(より好ましくは炭素数1〜3)の鎖状アルキル基が好ましく、置換基の個数は、2個以上、5個以下であることが好ましい。
Rd4で表される芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜15であることが好ましく、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基及びターフェニル基等が挙げられ、フェニル基及びナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。またRd4で表される芳香族炭化水素基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。該置換基としては、Rd1の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基が挙げられる。
Rd4で表される脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜13であることが好ましく、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは4〜9である。Rd4で表される脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基及びペンタデシル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ブタデセニル基及びペンタデセニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基は、鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)であっても、環状であってもよく、鎖状の基と環状の基を組み合わせた基であってもよい。また、Rd4の脂肪族炭化水素基において、メチレン基(−CH2−)は、−O−、−CO−又は−S−に置き換わっていてもよく、メチン基(−CH<)は、−PO3<に置き換わっていてもよく、上記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子はOH基で置換されていてもよい。
Rd4で表される置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Rd4は、置換基を有していてもよい鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有しない鎖状アルキル基であり、さらに好ましくは置換基を有しない分岐鎖状アルキル基である。
化合物(d1)としては、下記式(d1)で表される化合物、具体的には下記式(d1−1)で表される化合物〜下記式(d1−67)で表される化合物が挙げられる。表1〜7中、*は結合手を表す。
中でも、式(d1−3)で表される化合物〜式(d1−6)で表される化合物、式(d1−18)で表される化合物〜式(d1−52)で表される化合物、式(d1−55)で表される化合物、式(d1−56)で表される化合物、式(d1−60)で表される化合物、式(d1−61)で表される化合物が好ましく、
より好ましくは式(d1−3)で表される化合物〜式(d1−6)で表される化合物、式(d1−18)で表される化合物〜式(d1−41)で表される化合物であり、
さらに好ましくは式(d1−24)で表される化合物、式(d1−36)で表される化合物〜式(d1−40)で表される化合物であり、
特に好ましくは式(d1−24)で表される化合物である。
化合物(d1)は、例えば特表2014−500852号公報に記載の製造方法により製造することができる。
化合物(d2)は、
Rd1が置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、
Rd2が炭素数1〜10のアルキル基、
Rd3が置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、
Rd4が置換基を有していてもよい炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基である化合物が好ましく、
より好ましくは、
Rd1がメチル基、エチル基又はプロピル基を表し、
Rd2がメチル基、エチル基又はプロピル基を表し、
Rd3がメチル基で置換されたフェニル基を表し、
Rd4がメチル基、エチル基又はプロピル基である化合物であり、
さらに好ましくは、
Rd1及びRd2がメチル基、Rd3がo−トリル基及びRd4がエチル基である化合物である。
化合物(d3)は、
Rd1が置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、
Rd2が炭素数6〜18の芳香族炭化水素基である化合物が好ましく、
より好ましくは、
Rd1がヘキシル基及びRd2がフェニル基である化合物である。
このようなO−アシルオキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02、OXE03(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。これらのO−アシルオキシム化合物であると、リソ性能に優れたカラーフィルタが得られる傾向にある。
アルキルフェノン化合物は、下記式(d4)で表される部分構造又は下記式(d5)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
式(d4)で表される構造を有する化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d5)で表される構造を有する化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d4)で表される構造を有する化合物が好ましい。
ビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’,5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは5〜25質量部であり、さらに好ましくは10〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が上記範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
〔5〕重合開始助剤(D1)
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。中でも、チオキサントン化合物が好ましい。重合開始助剤(D1)を2種以上併用してもよい。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
重合開始助剤(D1)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始助剤(D1)の含有量が上記範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
〔6〕チオール化合物(T)
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、チオール化合物(T)を含有していてもよい。着色硬化性樹脂組成物は、チオール化合物(T)として1種又は2種以上のチオール化合物を含有することができる。チオール化合物(T)は、重合開始剤(D)がO−アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物、及び/又はビイミダゾール化合物であるときに特に好ましく使用される。チオール化合物(T)は、分子内に少なくとも1つのスルファニル基(−SH)を有する化合物である。チオール化合物(T)は、好ましくは、分子内にスルファニル基を1つ有する化合物である。
分子内にスルファニル基を1つ有する化合物としては、2−スルファニルオキサゾール、2−スルファニルチアゾール、2−スルファニルベンズイミダゾール、2−スルファニルベンゾチアゾール、2−スルファニルベンゾオキサゾール、2−スルファニルニコチン酸、2−スルファニルピリジン、2−スルファニルピリジン−3−オール、2−スルファニルピリジン−N−オキサイド、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−スルファニルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−スルファニルピリミジン、4−アミノ−2−スルファニルピリミジン、6−アミノ−5−ニトロソ−2−チオウラシル、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−スルファニルピリミジン、4,6−ジアミノ−2−スルファニルピリミジン、2,4−ジアミノ−6−スルファニルピリミジン、4,6−ジヒドロキシ−2−スルファニルピリミジン、4,6−ジメチル−2−スルファニルピリミジン、4−ヒドロキシ−2−スルファニル−6−メチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2−スルファニル−6−プロピルピリミジン、2−スルファニル−4−メチルピリミジン、2−スルファニルピリミジン、2−チオウラシル、3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−チオール、4,5−ジフェニルイミダゾール−2−チオール、2−スルファニルイミダゾール、2−スルファニル−1−メチルイミダゾール、4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−スルファニル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−スルファニル−1,2,4−トリアゾール、2−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−スルファニル1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、2−アミノ−5−スルファニル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−ジスルファニル−1,3,4−チアジアゾール、(フラン−2−イル)メタンチオール、2−スルファニル−5−チアゾリドン、2−スルファニルチアゾリン、2−スルファニル−4(3H)−キナゾリノン、1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオール、2−キノリンチオール、2−スルファニル−5−メチルベンズイミダゾール、2−スルファニル−5−ニトロベンズイミダゾール、6−アミノ−2−スルファニルベンゾチアゾール、5−クロロ−2−スルファニルベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−スルファニルベンゾチアゾール、6−ニトロ−2−スルファニルベンゾチアゾール、2−スルファニルナフトイミダゾール、2−スルファニルナフトオキサゾール、3−スルファニル−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−6−スルファニルピラゾロ[2,4−d]ピリジン、2−アミノ−6−プリンチオール、6−スルファニルプリン及び4−スルファニル−1H−ピラゾロ[2,4−d]ピリミジン等が挙げられる。
分子内にスルファニル基を2つ以上有する化合物としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3−スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブチレート)及び1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(D)100質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは5〜45質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。チオール化合物(T)の含有量が上記範囲内にあると、感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向がある。
〔7〕溶剤(E)
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、溶剤(E)を含むことが好ましい。着色硬化性樹脂組成物は、溶剤(E)として1種又は2種以上の溶剤を含むことができる。溶剤(E)としては、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
溶剤(E)は、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、溶剤(E)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール及び3−エトキシプロピオン酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が上記範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
〔8〕レベリング剤(F)
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、レベリング剤(F)を含むことができる。着色硬化性樹脂組成物は、レベリング剤(F)として1種又は2種以上のレベリング剤を含むことができる。レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
レベリング剤(F)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中、通常0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.05質量%以下である。なお、この含有量に、上記顔料分散剤の含有量は含まれない。
〔9〕酸化防止剤(G)
着色剤(A)の耐熱性及び耐光性を向上させる観点からは、着色硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤は、2種以上用いてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF(株)製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、BASF(株)製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF(株)製)、イルガノックス3790(Irganox 3790:1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF(株)製)、イルガノックス1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、イルガノックス1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、BASF(株)製)、イルガノックス1520L(Irganox 1520L:4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、BASF(株)製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、BASF(株)製)、イルガノックス565(Irganox 565:2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3’、5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、BASF(株)製)、アデカスタブAO−80(アデカスタブAO−80:3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学(株)製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学(株)製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学(株)製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)及びビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ329K((株)ADEKA製)、アデカスタブPEP36((株)ADEKA製)、アデカスタブPEP−8((株)ADEKA製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社製)、ウェストン618(Weston 618、GE社製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE社製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE社製)及びスミライザーGP(Sumilizer GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物及びテトラキス[メチレン(3−ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
〔10〕その他の成分
本発明の着色硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、樹脂(B)以外の高分子化合物、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機酸、有機アミン化合物、硬化剤等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
また、本発明に係る着色硬化性樹脂組成物は、炭素数2〜4の環状エーテル構造含有成分を含むことができる。炭素数2〜4の環状エーテル構造含有成分とは、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環等)を有する化合物であれば特に限定されず、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する単量体であってもよいし、炭素数2〜4の環状エーテル構造を有する共重合体であってもよい。また、例えば、樹脂(B)が、炭素数2〜4の環状エーテル構造含有成分を兼ねていてもよい。
充填剤としては、ガラス、シリカ、アルミナ等が挙げられる。樹脂(B)以外の高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及びポリフロロアルキルアクリレート等が挙げられる。
密着促進剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なお、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは、炭素数2〜4の環状エーテル構造含有成分の一例である。
紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系化合物;等が挙げられる。凝集防止剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
有機酸は、現像性の調整に用いられ、具体的には、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;等が挙げられる。
有機アミン化合物としては、
n―プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン等のモノアルキルアミン;
シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン等のモノシクロアルキルアミン;
メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルn−プロピルアミン、エチルn−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン等のジアルキルアミン;
メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミン等のモノアルキルモノシクロアルキルアミン;
ジシクロヘキシルアミン等のジシクロアルキルアミン;
ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、メチルジ−n−プロピルアミン、エチルジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン等のトリアルキルアミン;
ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン等のジアルキルモノシクロアルキルアミン;
メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のモノアルキルジシクロアルキルアミン;
2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール等のモノアルカノールアミン;
4−アミノ−1−シクロヘキサノール等のモノシクロアルカノールアミン;
ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−n−ブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジ−n−ペンタノールアミン、ジ−n−ヘキサノールアミン等のジアルカノールアミン;
ジ(4−シクロヘキサノール)アミン等のジシクロアルカノールアミン;
トリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ−n−ブタノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリ−n−ペンタノールアミン、トリ−n−ヘキサノールアミン等のトリアルカノールアミン;
トリ(4−シクロヘキサノール)アミン等のトリシクロアルカノールアミン;
3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール、4−アミノ−1,3−ブタンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジオール、2−ジエチルアミノ−1,3−プロパンジオール等のアミノアルカンジオール;
4−アミノ−1,2−シクロヘキサンジオール、4−アミノ−1,3−シクロヘキサンジオール等のアミノシクロアルカンジオール;
1−アミノシクロペンタノンメタノール、4−アミノシクロペンタノンメタノール等のアミノ基含有シクロアルカノンメタノール;
1−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−ジメチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジエチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジメチルアミノシクロヘキサンメタノール、4−ジエチルアミノシクロヘキサンメタノール等のアミノ基含有シクロアルカンメタノール;
β−アラニン、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノ吉草酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸等のアミノカルボン酸;
アニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、p−エチルアニリン、p−n−プロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン、p−n−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−メチル−N,N−ジメチルアニリン等の芳香族アミン;
o−アミノベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、p−アミノベンジルアルコール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコール等のアミノベンジルアルコール;
o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、p−ジエチルアミノフェノール等のアミノフェノール;
m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等のアミノ安息香酸;等が挙げられる。
硬化剤としては、加熱されることによって樹脂(B)中のカルボキシ基と反応して樹脂(B)を架橋することができる化合物、単独で重合して着色パターンを硬化させ得る化合物等が挙げられ、エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。硬化剤としてのエポキシ化合物は、上述の炭素数2〜4の環状エーテル構造含有成分に該当する。硬化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、エポキシ化油等のエポキシ樹脂や、これらのエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂及びその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族又は芳香族のエポキシ化合物、ブタジエンの(共)重合体のエポキシ化物、イソプレンの(共)重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。エポキシ樹脂の市販品としては、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、「スミエポキシ(登録商標)ESCN−195XL−80」(住友化学(株)製)等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン等が挙げられる。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、硬化剤としてエポキシ化合物、オキセタン化合物等を含有する場合には、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る化合物を含んでいてもよい。該化合物としては、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、酸発生剤等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、
フタル酸、3,4−ジメチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸;等が挙げられる。
多価カルボン酸無水物としては、
無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;
無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸無水物;
無水ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂環式多価カルボン酸無水物;
エチレングリコールビストリメリテイト酸、グリセリントリストリメリテイト無水物等のエステル基含有カルボン酸無水物;等が挙げられる。
カルボン酸無水物としては、エポキシ樹脂硬化剤として市販されているものを用いてもよい。エポキシ樹脂硬化剤としては、商品名「アデカハードナー(登録商標)EH−700」((株)ADEKA製)、商品名「リカシッド(登録商標)HH」(新日本理化(株)製)、商品名「MH−700」(新日本理化(株)製)等が挙げられる。
酸発生剤としては、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)、並びに必要に応じて、溶剤(E)、チオール化合物(T)、レベリング剤(F)、重合開始助剤(D1)、酸化防止剤(G)、その他の成分を混合することにより調製できる。
<カラーフィルタ及びその製造方法、カラーフィルタ並びに表示装置>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明に係るカラーフィルタである。本発明に係るカラーフィルタは、典型的には緑色画素として用いられる。
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができ、例えば次のようにして作製することができる。まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜5分間であることが好ましく、30秒間〜3分間であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、光源としては、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光には、露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液は、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液であることが好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。現像後は、水洗することが好ましい。
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
得られたカラーフィルタの膜厚は隣接画素に影響することから、できる限り薄いことが好ましい。特に厚膜になった場合には、液晶パネルを作製した際に、光源の光が2色以上の画素を通過して漏れ出てくることがあり、斜めからパネルを見た場合、色の鮮やかさが失われてしまうおそれがある。カラーフィルタの膜厚は、例えば、3μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.8μm以下である。カラーフィルタの膜厚の下限は特に限定されないが、通常1μm以上であり、1.5μm以上であってもよい。
本発明に係るカラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
<合成例1:樹脂溶液(B1)の調製>
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8及び/又は9−イルアクリレートの混合物289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、B型粘度(23℃)125mPas、固形分37.0質量%、溶液酸価27mg−KOH/gの樹脂を含む樹脂溶液(B1)を得た。樹脂溶液(B1)に含まれる樹脂の重量平均分子量Mwは9200、分子量分布は2.08であった。
樹脂溶液(B1)に含まれる樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。以下の条件で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
装置 ;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)、
カラム ;TSK−GELG2000HXL、
カラム温度 ;40℃、
溶媒 ;THF、
流速 ;1.0mL/min、
被検液固形分濃度 ;0.001〜0.01質量%、
注入量 ;50μL、
検出器 ;RI、
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500
(東ソー(株)製)。
<合成例2:顔料分散液(A1)の調製>
C.I.ピグメントグリーン59 14.0部
アクリル系顔料分散剤 1.9部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.1部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(A1)を得た。
<合成例3:顔料分散液(A2)の調製>
C.I.ピグメントグリーン58 14.0部
アクリル系顔料分散剤 1.9部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.1部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(A2)を得た。
<合成例4:顔料分散液(A3)の調製>
C.I.ピグメントイエロー138 15.0部
アクリル系顔料分散剤 4.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 80.5部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(A3)を得た。
<実施例1〜5及び比較例1〜5>
(1)着色硬化性樹脂組成物の調製
表8に記載の成分を表8に記載の配合量となるように混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。表8における各成分の配合量の単位は「質量部」である。各成分の詳細は次のとおりである。
〔1〕顔料分散液(A1):合成例2で得られた顔料分散液(A1)、
〔2〕顔料分散液(A2):合成例3で得られた顔料分散液(A2)、
〔3〕顔料分散液(A3):合成例4で得られた顔料分散液(A3)、
〔4〕樹脂溶液(B1):合成例1で得られた樹脂溶液(B1)、
〔5〕重合性化合物(C1):エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート(EO6mol)(新中村化学工業(株)製の商品名「M−DPH−6E」)、
〔6〕重合性化合物(C2):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製の商品名「A−9550」)、
〔7〕重合開始剤(D1):下記式
で表される化合物、
〔8〕重合開始剤(D2):2,2’,4−トリス(2−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニル−1,1’−ビイミダゾール(CHEMBRIDGE INTERNATIONAL CORPORATION製の商品名「TCDM」)、
〔9〕チオール化合物(T1):2−メルカプトベンゾチアゾール(三新化学工業(株)製の商品名「サンセラーM」)、
〔10〕添加剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製の商品名「KBM−503」)
〔11〕レベリング剤(F1):ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製の商品名「トーレシリコーンSH8400」)、
〔12〕溶剤(E1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
(2)着色塗膜の作製
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークした。冷却後、この着色硬化性樹脂組成物を塗布した基板に、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
(3)膜厚測定
上記(2)で得られた着色塗膜について、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて測定した。結果を表9に示す。
(4)色度評価
上記(2)で得られた着色塗膜について、測色機(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)及び三刺激値(Y)を測定した。(Y)が大きいほど明度が高いことを示す。結果を表9に示す。
(5)着色パターンの作成及び着色パターンの形状評価
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が2.7μmになるように、スピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。冷却後、組成物層を形成した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を80μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、50mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。なお、フォトマスクとしては、50μmのラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用した。光照射後の組成物層を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水溶液に25℃で60秒間浸漬させて現像し、水洗後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行うことにより、着色パターンを得た。得られた着色パターンについて、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて膜厚を測定したところ、2.7μmであることを確認した。
得られた着色パターンについて、走査型電子顕微鏡(S−4000;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて形状を観察し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表9に示す。
A:着色パターン形状が、図1に示されるような順テーパ形状である、
B:着色パターン形状が、図2に示されるような逆テーパ形状である。
実施例1〜5及び比較例1〜5においては、着色塗膜の色度座標(x,y)を統一している。実施例1〜5では、高い明度と良好な着色パターンの形状とを両立させることができた。これに対して、比較例1〜2では明度が不十分であり、比較例3〜5では着色パターンが逆テーパ形状となった。