JP2020033894A - 密閉型電動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出ガスを水平方向に誘導して噴射する噴射管が設けられていない簡素な構成でありながら、外部に吐出される油(潤滑油)の量を低減する。【解決手段】密閉型電動圧縮機(スクロール圧縮機S)は、固定子と回転子とからなる電動機と、電動機により回転駆動される圧縮機構部と、電動機及び圧縮機構部を内部に収容する密閉容器と、密閉容器の上部に形成された開口部に接続され、かつ、冷媒ガスを外部に吐出する吐出パイプ8と、吐出パイプの密閉容器の内側に取り付けられたアダプタ60と、を備えている。アダプタは、斜め下方に広がる傾斜部61を有している。吐出パイプの下端部PLの位置は、傾斜部の内壁面に沿って吐出パイプの中心方向に延伸させた線と吐出パイプの中心線CLとが交差する点P0を中心点とし、中心点から傾斜部の下端部までの距離rを半径とする円弧Arの範囲内に設定されている。【選択図】図2
Description
本発明は、密閉型電動圧縮機に関する。
密閉型電動圧縮機は、例えば、空気調和機や冷蔵庫等の冷媒サイクルにおいて冷媒の圧縮に用いられている。密閉型電動圧縮機としては、例えば、スクロール圧縮機がある。そのスクロール圧縮機の中でも、吐出パイプが圧縮機構部の上方に設けられた構造のものがある。この構造のスクロール圧縮機は、吐出口から圧縮機構部の上方に設けられたチャンバ内空間に吐出ガスを一旦吐出し、吐出パイプを介してチャンバ内空間から外部の冷媒サイクルに吐出ガスを吐出する。しかしながら、この構造のスクロール圧縮機は、固定スクロールに設けられた吐出口と吐出パイプとの距離が近いため、油(潤滑油)を外部の冷媒サイクルに吐出し易い。
仮に油が外部の冷媒サイクルに吐出された場合に、冷媒サイクルに設けられた熱交換器の伝熱作用が阻害され、その結果、冷媒サイクルの冷凍効果が低下する。そのため、スクロール圧縮機は、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減することが望まれていた。
そこで、吐出口からチャンバ内空間に吐出された吐出ガスを水平方向に誘導して噴射する噴射管を圧縮機構部の上方に設けたスクロール圧縮機が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機は、噴射管を設けることによって、部品点数が増加し、その分だけ原価(製造コスト)が増加していた。また、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機は、噴射管を設けることによって、流体損失が発生していた。
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、外部に吐出される油の量(吐出油量)を低減する密閉型電動圧縮機を提供することを主な目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、密閉型電動圧縮機であって、固定子と回転子とからなる電動機と、前記電動機により回転駆動される圧縮機構部と、前記電動機及び前記圧縮機構部を内部に収容する密閉容器と、前記密閉容器の上部に形成された開口部に接続され、かつ、冷媒ガスを外部に吐出する吐出パイプと、前記吐出パイプの前記密閉容器の内側に取り付けられたアダプタと、を備え、前記アダプタは、斜め下方に広がる傾斜部を有しており、前記吐出パイプの下端部の位置は、前記傾斜部の内壁面に沿って前記吐出パイプの中心方向に延伸させた線と前記吐出パイプの中心線とが交差する点を中心点とし、前記中心点から前記傾斜部の下端部までの距離を半径とする円弧の範囲内に設定されている構成とする。
その他の手段は、後記する。
その他の手段は、後記する。
本発明によれば、外部に吐出される油の量(吐出油量)を低減することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施形態1]
<密閉型電動圧縮機の全体構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機の全体構成について説明する。図1は、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機としてのスクロール圧縮機Sの全体構成を示す図である。ここでは、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機がスクロール圧縮機Sとして構成されている場合を想定して説明する。
<密閉型電動圧縮機の全体構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機の全体構成について説明する。図1は、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機としてのスクロール圧縮機Sの全体構成を示す図である。ここでは、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機がスクロール圧縮機Sとして構成されている場合を想定して説明する。
図1に示すように、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機としてのスクロール圧縮機Sは、「チャンバ」と称される密閉容器1と、固定子2aと回転子2bとからなる電動機2と、電動機2により回転駆動される圧縮機構部3とを備えている。
密閉容器1は、電動機2及び圧縮機構部3を内部に収容する容器である。密閉容器1は、円筒状の筒チャンバ1aと、筒チャンバ1aの上部に溶接固定された蓋チャンバ1bと、筒チャンバ1aの下部に溶接固定された底チャンバ1cとで構成されている。
蓋チャンバ1bの上面には、外部の冷媒サイクルから冷媒ガスを吸い込む(導入する)ための吸込パイプ7が取り付けられている。吸込パイプ7は、蓋チャンバ1bの上面に形成された開口部に、溶接又はロウ付けされて固定配置されている。吸込パイプ7の下端部は、圧縮機構部3に設けられた吸込室4に取り付けられている。
また、蓋チャンバ1bの上面には、外部の冷媒サイクルに冷媒ガスを吐出するための吐出パイプ8が取り付けられている。吐出パイプ8は、蓋チャンバ1bの上面に形成された開口部1opに、アダプタ60を介して、溶接又はロウ付けされて固定配置されている。吐出パイプ8の下端部は、圧縮機構部3の上方に設けられたチャンバ内空間54に配置されている。
チャンバ内空間54は、密閉容器1の内部に形成された密閉空間である。スクロール圧縮機Sは、チャンバ内空間54が高圧雰囲気となる、いわゆる高圧チャンバタイプの圧縮機である。
密閉容器1の内部には、スクロール圧縮機Sを組み立てる際の適当な段階で油(潤滑油)が封入されている。これにより密閉容器1の底部には、貯油部9が形成されている。
電動機2は、固定子2aと、回転子2bとを備えている。固定子2aは、焼き嵌めや溶接等により密閉容器1に固定されている。回転子2bは、固定子2aの内側に回転可能に配置されている。その回転子2bには、クランクシャフト6が固定されている。
クランクシャフト6は、主軸と、偏心部であるピン部6cとを備えている。クランクシャフト6の主軸は、上側が後記するフレーム13に設けられた主軸受13aに支持されており、下側が下軸受10に支持されている。クランクシャフト6の内部には、貯油部9の油(潤滑油)を後記する旋回軸受部11cに供給するための給油縦穴6aが設けられている。
圧縮機構部3は、旋回スクロール11と、固定スクロール12と、フレーム13と、オルダムリング14とを備えている。
旋回スクロール11は、旋回スクロールラップ11aと、旋回端板11bと、旋回軸受部11cとを有している。旋回スクロールラップ11aは、旋回端板11bに立設するように形成された渦巻き状のラップである。旋回軸受部11cは、クランクシャフト6の偏心部であるピン部6cが挿入される軸受部である。
固定スクロール12は、固定スクロールラップ12aと、固定端板12bとを有している。固定スクロールラップ12aは、固定端板12bに立設するように形成された渦巻き状のラップである。固定スクロールラップ12aの外周部には、吸込室4が配置されている。また、固定スクロールラップ12aの中央部には、吐出口5が配置されている。
旋回スクロール11と固定スクロール12は、旋回スクロールラップ11aと固定スクロールラップ12aとが噛み合うように、対向配置されている。電動機2がクランクシャフト6を回転駆動すると、クランクシャフト6のピン部6cが主軸に対して偏心回転運動を行う。これに伴い、旋回スクロール11が旋回運動を行う。
圧縮機構部3は、旋回スクロールラップ11aと固定スクロールラップ12aとを噛み合わせた状態で旋回スクロール11を旋回させることにより、旋回スクロールラップ11aと固定スクロールラップ12aとの間に、吸込室4と連通する圧縮室51を形成する。
フレーム13は、その外周側が溶接によって筒チャンバ1aの内壁面に固定されている。フレーム13は、クランクシャフト6の主軸を回転自在に支持する主軸受13aを備えている。固定スクロール12は、ボルトによりフレーム13と締結され固定されている。
フレーム13と旋回スクロール11との間には、背圧室53が形成されている。背圧室53は、旋回スクロール11側から固定スクロール12側に向かう方向の背圧を冷媒に与える。これにより、圧縮機構部3は、旋回スクロール11が固定スクロール12から離れないように、背圧を与えた冷媒で旋回スクロール11を固定スクロール12側に押圧している。
オルダムリング14は、旋回スクロール11とフレーム13との間に配置されている。オルダムリング14は、固定スクロール12に対して旋回スクロール11を自転させずに旋回運動を行わせるための自転規制部材である。オルダムリング14は、図示せぬキー部を備えている。キー部は、旋回スクロール11に形成された旋回オルダム溝(図示せず)と、フレーム13に形成されたフレームオルダム溝(図示せず)とに挿入されている。これにより、オルダムリング14は、旋回スクロール11の自転を規制している。
スクロール圧縮機Sは、吸込パイプ7を介して外部の冷媒サイクルから冷媒ガスを導入する(矢印Ain参照)。そして、スクロール圧縮機Sは、圧縮室51で冷媒ガスを圧縮し、吐出口5を介して圧縮された冷媒ガスをチャンバ内空間54に吐出する。この後、スクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8を介してチャンバ内空間54から外部の冷媒サイクルに冷媒ガスを吐出する(矢印Aout参照)。
圧縮室51からチャンバ内空間54に吐出された冷媒ガスには、油(潤滑油)が混入している。スクロール圧縮機Sは、チャンバ内空間54で冷媒ガスを流動させることで、冷媒ガスから油を分離させる。そして、スクロール圧縮機Sは、分離された油を落下させて貯油部9(図1参照)に戻す。しかしながら、スクロール圧縮機Sは、チャンバ内空間54で冷媒ガスから油を十分に分離させられないことにより、冷媒ガスと共に油を外部の冷媒サイクルに吐出してしまう可能性がある。
仮に油が外部の冷媒サイクルに吐出された場合に、冷媒サイクルに設けられた熱交換器の伝熱作用が阻害され、その結果、冷媒サイクルの冷凍効果が低下する。そのため、スクロール圧縮機Sは、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減することが望ましい。
そこで、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sでは、外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減するために、吐出パイプ8が以下のような構成になっている。
<実施形態に係る吐出パイプの構成>
本実施形態では、外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減するために、図2及び図3に示すように、吐出パイプ8は、下端部PLの位置が後記する円弧Arの範囲内に設定された構成になっている。
本実施形態では、外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減するために、図2及び図3に示すように、吐出パイプ8は、下端部PLの位置が後記する円弧Arの範囲内に設定された構成になっている。
以下、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る吐出パイプ8の構成について説明する。図2は、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8の構成を示す図である。図3は、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sの冷媒ガスの流れを示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8は、密閉容器1の内側の位置に取り付けられたアダプタ60を備えている。アダプタ60は、傾斜部61と、垂直部62と、水平部63と、を有している。
傾斜部61は、円錐状の形状を呈しており、斜め下方に広がる構造になっている。傾斜部61は、チャンバ内空間54に吐出された油(潤滑油)を含む冷媒ガスを下方に誘導する誘導部として機能する。
垂直部62は、吐出パイプ8の外周面よりも若干大きな円筒状の形状を呈しており、傾斜部61の上端部61Tからその上方に向けて延在するように形成されている。
水平部63は、円板状の形状を呈しており、傾斜部61の下端部61Bから水平方向に向けて延在するように形成されている。
本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8の下端部PLの位置が円弧Arの範囲内に設定された構成になっている。円弧Arは、点P0を中心点とし、距離rを半径とし、角度θで広がる円弧である。ここで、点P0は、アダプタ60の傾斜部61の内壁面に沿って吐出パイプ8の中心方向に延伸させた線(図2の点線参照)と吐出パイプ8の中心線CLとが交差する点である。また、距離rは、中心点である点P0からアダプタ60の傾斜部61の下端部61Bまでの距離である。角度θは、例えば90°程度の任意の角度である。角度θは、アダプタ60の傾斜部61と密閉容器1の蓋チャンバ1bとが溶接し易い角度に設定されている。
係る構成において、吐出パイプ8の突出量Cは、傾斜部61の下端部61Bから円弧Arの下端部ArBまでの距離aに対して、「C<aの関係」を満たしている。つまり、前記した「吐出パイプ8の下端部PLの位置が円弧Arの範囲内に設定された構成」は、「C<aの関係」を満たす構成であることを意味している。なお、吐出パイプ8の突出量Cは、アダプタ60の傾斜部61の下端部61Bよりも下方に突出する吐出パイプ8の下端部PLの突出量を意味している。
係る構成において、圧縮室51(図1参照)からチャンバ内空間54に吐出された直後の冷媒ガスG1は、図3に示すように、比較的多くの油99(潤滑油)を含んでいる。冷媒ガスG1は、チャンバ内空間54を漂い、その一部がアダプタ60の傾斜部61に沿って降下する(矢印A11参照)。
その際に、油99の重量が冷媒ガスG1の重量よりも重いため、油99が冷媒ガスG1から分離して落下する。また、油99がアダプタ60の傾斜部61に接触することにより、油99が冷媒ガスG1から分離して傾斜部61に付着する。
これにより、スクロール圧縮機Sは、アダプタ60の下側において、冷媒ガスG1に含まれる油99の濃度を低下させることができ、その結果、アダプタ60の下側において、油99をほとんど含まない冷媒ガスG2の層を生成することができる。つまり、油99が分離された矢印11で示す気流が傾斜部61に沿って下方に流れるので、アダプタ60の下側において、油99をほとんど含まない冷媒ガスG2の層が生成される。冷媒ガスG2の量は、アダプタ60の下側において、アダプタ60に近くなるほど多くなる。特に、冷媒ガスG2の量は、アダプタ60の円弧Arの内側で多くなる。
スクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8の下端部PLの位置が円弧Arの範囲内に設定された構成になっている。このようなスクロール圧縮機Sでは、吐出パイプ8の下端部PLが油99をほとんど含まない冷媒ガスG2の層の中に配置される。
スクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8を介してチャンバ内空間54から外部の冷媒サイクルに冷媒ガスを吐出する(矢印A12参照)。その際に、スクロール圧縮機Sは、円弧Arの内側付近の冷媒ガス(つまり、油99をほとんど含まない冷媒ガスG2)から順に外部の冷媒サイクルに吐出する。このような本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油99の量を低減することができる。
<比較例のスクロール圧縮機の構成>
ここで、図4及び図5を参照して、比較例のスクロール圧縮機SZの構成について説明する。図4は、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108の構成を示す図である。図5は、比較例のスクロール圧縮機SZの冷媒ガスの流れを示す図である。
ここで、図4及び図5を参照して、比較例のスクロール圧縮機SZの構成について説明する。図4は、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108の構成を示す図である。図5は、比較例のスクロール圧縮機SZの冷媒ガスの流れを示す図である。
比較例のスクロール圧縮機SZは、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sと比較すると、吐出パイプ8(図2参照)の代わりに、吐出パイプ108(図4参照)を有する点で相違する。
図4に示すように、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108は、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8(図2参照)と比較すると、下端部PLの位置が円弧Arの範囲外に設定されている点で相違する。つまり、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108は、前記した「C<aの関係」を満たしていないパイプである。ここで、符号「C」は、吐出パイプ108の突出量(すなわち、傾斜部61の下端部61Bよりも下方に突出する吐出パイプ108の下端部PLの突出量)を意味している。また、符号「a」は、傾斜部61の下端部61Bから円弧Arの下端部ArBまでの距離を意味している。
図5に示すように、比較例のスクロール圧縮機SZは、吐出パイプ108の下端部PLの位置が円弧Arの範囲外に設定された構成になっている。このような比較例のスクロール圧縮機SZでは、吐出パイプ108の下端部PLが比較的多くの油99を含む含冷媒ガスG1の層の中に配置される。
比較例のスクロール圧縮機SZは、吐出パイプ108を介してチャンバ内空間54から外部の冷媒サイクルに冷媒ガスを吐出する(矢印A13参照)。その際に、比較例のスクロール圧縮機SZは、円弧Arの外側付近の冷媒ガス(つまり、比較的多くの油99を含む含冷媒ガスG1)を外部の冷媒サイクルに吐出する。このような比較例のスクロール圧縮機SZは、冷媒ガスG1と共に比較的多くの油99を外部の冷媒サイクルに吐出してしまう。そのため、比較例のスクロール圧縮機SZでは、冷媒サイクルに設けられた熱交換器の伝熱作用が阻害され、その結果、冷媒サイクルの冷凍効果が低下する。
このような比較例のスクロール圧縮機SZ(図4及び図5参照)に対して、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、前記した通り、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油99の量を低減することができる。そのため、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、冷媒サイクルに設けられた熱交換器の伝熱作用が阻害されず、その結果、冷媒サイクルの冷凍効果を向上させることができる。
<本実施形態に係る密閉型電動圧縮機の特性>
本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sは、例えば、図6に示す特性を有する。図6は、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8の突出量CとOCR(オイル循環率:Oil Circulation Rate)比との関係を示すグラフ図である。図6は、横軸を吐出パイプ8の突出量C(mm)とし、縦軸をOCR比として示している。ここで、OCR比とは、冷媒循環量に占める吐出油量の割合を意味している。
本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sは、例えば、図6に示す特性を有する。図6は、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8の突出量CとOCR(オイル循環率:Oil Circulation Rate)比との関係を示すグラフ図である。図6は、横軸を吐出パイプ8の突出量C(mm)とし、縦軸をOCR比として示している。ここで、OCR比とは、冷媒循環量に占める吐出油量の割合を意味している。
図6に示す例では、「N1<N2<N3」とする3段階のクランクシャフト6の回転速度(つまり、旋回スクロール11の旋回速度)における、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sの吐出パイプ8の突出量CとOCR比との関係を示している。
図6に示す例では、傾斜部61の下端部61Bから円弧Arの下端部ArBまでの距離aが約6(mm)に設定されている。OCR比は、クランクシャフト6の回転速度(つまり、旋回スクロール11の旋回速度)がN1からN3に向かって速くなるにしたがって、高くなる。
なお、OCR比は、N1からN3までのいずれの回転速度においても、吐出パイプ8の突出量Cが前記した距離aよりも小さい場合に、値が低くなっている。OCR比は、冷媒循環量に占める吐出油量の割合であるため、低い程好ましい。したがって、本実施形態1に係るスクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8の突出量Cが前記した距離aよりも小さい場合(つまり、「C<a」の場合)に、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減することができ、良好な効果を得ることができる。
<本実施形態に係る密閉型電動圧縮機の主な特徴>
本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8の下端部PLの位置が図2に示す円弧Arの範囲内に設定されている構成になっている。これにより、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、油99をほとんど含まない冷媒ガスG2を外部の冷媒サイクルに吐出する。
本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、吐出パイプ8の下端部PLの位置が図2に示す円弧Arの範囲内に設定されている構成になっている。これにより、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、油99をほとんど含まない冷媒ガスG2を外部の冷媒サイクルに吐出する。
このような本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、例えば特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機と異なり、吐出ガスを水平方向に誘導して噴射する噴射管が設けられていない簡素な構成でありながら、冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油の量を低減することができる。
そのため、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、冷媒サイクルに設けられた熱交換器の伝熱作用が阻害されないようにすることができ、その結果、冷媒サイクルの冷凍効果の低下を抑制して冷媒サイクルの性能を向上させることができる。また、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、スクロール圧縮機Sの内部の貯油部9(図1参照)に貯蔵される油の量を増加させることができ、主軸受13aや下軸受10、旋回軸受部11c等の軸受部の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sは、例えば特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機に対して、吐出パイプ8の長さを低減することができるため、その分だけ原価(製造コスト)を低減することができる。
以上の通り、本実施形態1に係る密閉型電動圧縮機(スクロール圧縮機S)によれば、吐出ガスを水平方向に誘導して噴射する噴射管を設けることなく、外部に吐出される油(潤滑油)の量を低減することができる。
[実施形態2]
実施形態1に係るスクロール圧縮機Sは、図2に示す円弧Arに対する下端部PLの位置を規定することで、吐出パイプ8の構成を規定している。これに対し、本実施形態2では、吐出パイプ8の突出量Cに対するアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dの割合を規定することで、吐出パイプ8の構成を規定したスクロール圧縮機SAを提供する。
実施形態1に係るスクロール圧縮機Sは、図2に示す円弧Arに対する下端部PLの位置を規定することで、吐出パイプ8の構成を規定している。これに対し、本実施形態2では、吐出パイプ8の突出量Cに対するアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dの割合を規定することで、吐出パイプ8の構成を規定したスクロール圧縮機SAを提供する。
以下、図7を参照して、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAの構成について説明する。図7は、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAの吐出パイプ8の構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAは、吐出パイプ8の突出量Cとアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dが「C<Dの関係」を満たす構造になっている。ここで、「吐出パイプ8の突出量C」は、アダプタ60の傾斜部61の下端部61Bよりも下方に突出する吐出パイプ8の下端部PLの突出量を意味している。また、アダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dは、アダプタ60の傾斜部61の内壁面における最内周部から最外周部までの径方向幅を意味している。
スクロール圧縮機SAは、「C<Dの関係」を満たすことにより、吐出パイプ8の下端部PLの位置を前記した円弧Arの範囲内に設定することができる。
<比較例のスクロール圧縮機における吐出パイプの突出量Cとアダプタの傾斜部の径方向幅Dとの関係>
ここで、図8を参照して、前記した比較例のスクロール圧縮機SZにおける吐出パイプ108の突出量Cとアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dとの関係について説明する。図8は、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108の構成を示す図である。
ここで、図8を参照して、前記した比較例のスクロール圧縮機SZにおける吐出パイプ108の突出量Cとアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dとの関係について説明する。図8は、比較例のスクロール圧縮機SZの吐出パイプ108の構成を示す図である。
図8に示すように、前記した比較例のスクロール圧縮機SZは、吐出パイプ108の突出量Cとアダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dが「C<Dの関係」を満たさない構造になっている。ここで、「吐出パイプ108の突出量C」は、アダプタ60の傾斜部61の下端部61Bよりも下方に突出する吐出パイプ108の下端部PLの突出量を意味している。また、アダプタ60の傾斜部61の径方向幅Dは、アダプタ60の傾斜部61の内壁面における最内周部から最外周部までの径方向幅を意味している。
前記した比較例のスクロール圧縮機SZは、「C<Dの関係」を満たさないため、吐出パイプ108の下端部PLの位置が円弧Arの範囲外に設定される。
<C/Dの割合に応じた密閉型電動圧縮機の特性>
スクロール圧縮機は、C/Dの割合に応じて、例えば、図9に示す特性を有する。図9は、スクロール圧縮機のC/Dの割合とOCR比との関係を示すグラフ図である。図9は、横軸をアダプタ60の傾斜部61の径方向幅D(mm)に対する吐出パイプ8の突出量C(mm)とし、縦軸をOCR比として示している。
スクロール圧縮機は、C/Dの割合に応じて、例えば、図9に示す特性を有する。図9は、スクロール圧縮機のC/Dの割合とOCR比との関係を示すグラフ図である。図9は、横軸をアダプタ60の傾斜部61の径方向幅D(mm)に対する吐出パイプ8の突出量C(mm)とし、縦軸をOCR比として示している。
図9に示す例では、「N1<N2<N3」とする3段階のクランクシャフト6の回転速度(つまり、旋回スクロール11の旋回速度)における、スクロール圧縮機のC/Dの割合とOCR比との関係を示している。
図9に示す例において、横軸「C/D」の値が1未満の領域は、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAの特性を示している。また、横軸「C/D」の値が1以上の領域は、比較例のスクロール圧縮機SZの特性を示している。
OCR比は、横軸「C/D」の値が1以上の領域よりも横軸「C/D」の値が1未満の領域の方が低くなっている。つまり、OCR比は、比較例のスクロール圧縮機SZよりも本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAの方が低くなっている。OCR比は、冷媒循環量に占める吐出油量の割合であるため、低い程好ましい。したがって、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAは、比較例のスクロール圧縮機SZよりも冷媒ガスと共に外部の冷媒サイクルに吐出される油の量(吐出油量)を低減することができ、良好な効果を得ることができる。
このような本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAは、例えば図10に示すように、吐出パイプ8の突出量Cを1(mm)未満にすることもできる。この場合に、図9に示すグラフ図において、横軸「C/D」の値が「0」付近の特性(つまり、OCR比が最も低くなる特性)を得ることができる。そのため、本実施形態2に係るスクロール圧縮機SAの吐出パイプ8の突出量Cは、好ましくは、1(mm)未満であるとよい。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
また、本発明は、各種のヒートポンプサイクルに用いることができる。
例えば、前記した実施形態は、本発明の要旨を分かり易く説明するために詳細に説明したものである。そのため、本発明は、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、ある構成要素に他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に変更したりすることができる。また、本発明は、一部の構成要素を削除することもできる。
また、本発明は、各種のヒートポンプサイクルに用いることができる。
S,SA スクロール圧縮機(密閉型圧縮機)
1 密閉容器
1a 筒チャンバ
1b 蓋チャンバ
1c 底チャンバ
1op 開口部
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
3 圧縮機構部
4 吸込室
5 吐出口
6 クランクシャフト(回転軸)
6a 給油縦穴
6c ピン部
7 吸込パイプ
8 吐出パイプ
9 貯油部
10 下軸受
11 旋回スクロール
11a 旋回スクロールラップ
11b 旋回端板
11c 旋回軸受部
12 固定スクロール
12a 固定スクロールラップ
12b 固定端板
13 フレーム
13a 主軸受
14 オルダムリング
51 圧縮室
53 背圧室
54 チャンバ内空間
60 アダプタ
61 傾斜部
62 垂直部
63 水平部
1 密閉容器
1a 筒チャンバ
1b 蓋チャンバ
1c 底チャンバ
1op 開口部
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
3 圧縮機構部
4 吸込室
5 吐出口
6 クランクシャフト(回転軸)
6a 給油縦穴
6c ピン部
7 吸込パイプ
8 吐出パイプ
9 貯油部
10 下軸受
11 旋回スクロール
11a 旋回スクロールラップ
11b 旋回端板
11c 旋回軸受部
12 固定スクロール
12a 固定スクロールラップ
12b 固定端板
13 フレーム
13a 主軸受
14 オルダムリング
51 圧縮室
53 背圧室
54 チャンバ内空間
60 アダプタ
61 傾斜部
62 垂直部
63 水平部
Claims (4)
- 固定子と回転子とからなる電動機と、
前記電動機により回転駆動される圧縮機構部と、
前記電動機及び前記圧縮機構部を内部に収容する密閉容器と、
前記密閉容器の上部に形成された開口部に接続され、かつ、冷媒ガスを外部に吐出する吐出パイプと、
前記吐出パイプの前記密閉容器の内側に取り付けられたアダプタと、を備え、
前記アダプタは、斜め下方に広がる傾斜部を有しており、
前記吐出パイプの下端部の位置は、前記傾斜部の内壁面に沿って前記吐出パイプの中心方向に延伸させた線と前記吐出パイプの中心線とが交差する点を中心点とし、前記中心点から前記傾斜部の下端部までの距離を半径とする円弧の範囲内に設定されている
ことを特徴とする密閉型電動圧縮機。 - 請求項1に記載の密閉型電動圧縮機において、
前記傾斜部の下端部よりも下方に突出する前記吐出パイプの下端部の突出量Cは、前記傾斜部の内壁面における最内周部から最外周部までの径方向幅Dに対して、C<Dの関係を満たしている
ことを特徴とする密閉型電動圧縮機。 - 請求項2に記載の密閉型電動圧縮機において、
前記突出量Cは、1(mm)未満である
ことを特徴とする密閉型電動圧縮機。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の密閉型電動圧縮機において、
前記アダプタは、円錐状の形状を呈する前記傾斜部と、前記吐出パイプの外周面よりも若干大きな円筒状の形状を呈しており、前記傾斜部の上端部からその上方に向けて延在するように形成された垂直部と、円板状の形状を呈しており、前記傾斜部の下端部から水平方向に向けて延在するように形成された水平部と、を有している
ことを特徴とする密閉型電動圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018158858A JP2020033894A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | 密閉型電動圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018158858A JP2020033894A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | 密閉型電動圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020033894A true JP2020033894A (ja) | 2020-03-05 |
Family
ID=69667473
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018158858A Pending JP2020033894A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | 密閉型電動圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020033894A (ja) |
-
2018
- 2018-08-28 JP JP2018158858A patent/JP2020033894A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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A977 | Report on retrieval |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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A02 | Decision of refusal |
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