JP2020026399A - スピロビアクリジン誘導体およびそれを用いた有機el素子 - Google Patents

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博貴 荒井
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Abstract

【課題】本発明は、有機EL素子用の青色TADF材料として、ETの高いスピロビアクリジン骨格を用いた、ホスト分子、およびこれを用いた有機EL素子を提供する。具体的には、ドナー部位としてアクリジン骨格、アクセプター部位としてm−シアノフェニル基等の骨格を持つ新規スピロビアクリジン誘導体を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるスピロビアクリジン誘導体(一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)。【選択図】なし

Description

本発明は、発光効率の高い新規スピロビアクリジン誘導体、およびそれを用いた有機EL素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子では、一対の電極間に電圧を印加することにより、陽極から正孔が、陰極から電子が、発光材料として有機化合物を含む発光層にそれぞれ注入され、注入された電子および正孔が再結合することによって、発光性の有機化合物中に励起子が形成され、励起された有機化合物から発光を得ることができる。
このような有機EL素子の実用性を向上させる手段の一つは、発光効率を上げることにある。有機化合物が形成する励起子には、一重項励起子(ES)および三重項励起子(ET)があり、一重項励起子(ES)からの蛍光発光と、三重項励起子(ET)からのリン光発光とがあるが、素子におけるこれらの統計的な生成比率は、ES:ET=1:3であり、蛍光発光を用いる有機EL素子では内部量子効率25%が限界といわれていた。そのため、電子からフォトンへの変換効率(内部量子効率)を向上させるべく、三重項励起状態を発光に変換することが可能なリン光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われてきた。しかしながら、リン光性化合物はその多くが、イリジウムや白金などの貴金属を中心金属とした錯体であり、そのコストや供給の安定性の面で課題がある。
最近、このようなリン光性化合物を用いずに、三重項励起状態の一部を発光に変換可能な材料として、遅延蛍光を発する材料の研究が行われている。具体的には、三重項励起子(ET)を一重項励起子(ES)へアップコンバージョンさせる、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を利用した有機EL素子が開発されている。このTADF材料を用いれば、一重項励起子(ES)は蛍光を発光する一方で、三重項励起子(ET)は、素子や周囲の熱を吸収して励起一重項へ逆項間交差されて蛍光を発光するため、電流励起によって生成するすべての励起子を光エネルギーとして取り出すことができ、同時に内部量子効率100%を実現することができる(非特許文献1)。また、これらの材料は有機物であるため、イリジウムや白金などの貴金属を含む従来の高効率なリン光発光材料よりも開発のコストの点において有利である。さらに、従来の蛍光材料と比較して理論外部量子効率が7.5%から30%と飛躍的に向上するが、一方で遅延蛍光を高効率で得るためには精密な分子設計が必要である。
TADF材料を用いた有機EL素子は、従来の蛍光系の有機EL素子よりも高性能であることがわかっている。高い外部量子効率を有する緑色の有機EL素子がすでに報告され、青色の有機EL素子の開発が進められている。
青色TADF素子の高性能化には、高い三重項励起状態を有するホスト分子が必要である。現在、ホスト分子としてはビス[2−[(オキソ)ジフェニルホスフィノ]フェニル]エーテル(DPEPO)が主に利用されているが、DPEPOは、高効率化には有用であるが、素子寿命が極めて短いという問題がある。
また、発光層内のキャリアバランスを調整し、デバイスの効率を向上させるためには、ユニポーラ性のホスト分子よりも、両キャリアを流すバイポーラ性のホスト分子の開発が求められる(非特許文献2)。スピロビアクリジン骨格を有する分子が、高い三重項励起状態を有することがこれまでに報告されているが(非特許文献3)、未だ改善の余地がある。
H. Uoyama. et al., Nature, 2012, 492, 234-238. A. Chaskar, et al., Adv. Mater. 2011, 23, 3876. M. Liu, R. Komatsu, H. Sasabe, J.Kido, et al., Chem. Mater. 2017, 29, 8630.
本発明では、上記の従来技術に鑑みて、ET の高いスピロビアクリジン骨格を用いた、新規ホスト分子を提供することを目的とする。
本発明のスピロビアクリジン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2020026399
一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
本発明の有機EL素子は前記スピロビアクリジン誘導体を含む。
本発明のスピロビアクリジン誘導体、特にその好適な実施形態であるmCN−SBAは、量子化学計算の結果から、青色有機EL素子用のホスト材料となりうること、および、TADF特性を発現すると考えられる。また、光学特性の評価の結果から、mCN−SBAは三重項を経由した発光機構を有すること、および、DPEPOと同等かそれ以上のデバイス効率を有すると考えられる。
図1は、mCN−SBAの1H−NMRスペクトルを表す。 図2は、mCN−SBA単膜のPYS測定結果(図2(a))、mCN−SBA単膜のUV−vis吸収スペクトル(図2(b))、mCN−SBAの10wt%DPEPOドープ共蒸着膜のPLスペクトル(図2(c))、mCN−SBAの10wt%DPEPOドープ共蒸着膜の低温リン光スペクトル(図2(d))、mCN−SBAトルエン溶液におけるPLスペクトル(図2(e))、およびmCN−SBAの10wt%DPEPOドープ共蒸着膜およびmCN−SBAの10wt%DPEPOドープ共蒸着膜のUV−vis吸収スペクトルおよびPLスペクトル(図2(f))を表す。 図3は、デバイス1、2におけるホール輸送層/発光層/電子輸送層のエネルギーダイアグラム(図3(a))、および、デバイス1、2に電流1mAを流したときのELスペクトル(図3(b))、電流密度−電圧−輝度特性(図3(c))、電力効率−輝度特性(図3(d))、電流効率−輝度特性(図3(e))、外部量子効率−輝度特性(図3(f))を表す。
図4は、デバイス3におけるホール輸送層/発光層1/発光層2/電子輸送層のエネルギーダイアグラム(図4(a))、および、デバイス1、2との比較において、デバイス3に電流1mAを流したときのELスペクトル(図4(b))、電流密度−電圧−輝度特性(図4(c))、電力効率−輝度特性(図4(d))、電流効率−輝度特性(図4(e))、外部量子効率−輝度特性(図4(f))を表す。 図5は、デバイス4、5におけるホール輸送層/発光層/電子輸送層のエネルギーダイアグラム(図5(a))、および、デバイス4、5に電流1mAを流したときのELスペクトル(図5(b))、電流密度−電圧−輝度特性(図5(c))、電力効率−輝度特性(図5(d))、電流効率−輝度特性(図5(e))、外部量子効率−輝度特性(図5(f))を表す。 図6は、本発明の有機EL素子の典型的な構成を示す。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明のスピロビアクリジン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2020026399
(一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
上記一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、tert−アミル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、R1およびR2には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基およびシクロヘキシル基などが好ましく、R3〜R6にはメチル基、エチル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などが好ましい。
アリール基にはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ターピリジニル基およびナフチル基が挙げられる。これらのうち、R1およびR2には、フェニル基およびピリジル基などが好ましく、R3〜R6は、フェニル基およびピリジル基などが好ましい。R3〜R6は芳香環のいずれの位置に結合していてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、対称および非対称のいずれの構造を有していてもよいが、アクリジン骨格を中心とする対称構造を有していることが好ましい。具体的には、下記構造式で表される化合物(以下「mCN−SBA」ともいう。)が特に好ましい。
Figure 2020026399
本発明のスピロビアクリジン誘導体は、一般式(1)に示すとおり、その構造中に、アクリジン骨格および置換基R1〜R6を有する。本発明の好適な実施形態であるmCN−SBAでは、アクリジン骨格はドナー部位であり、m−シアノフェニル基はアクセプター部位である。本発明のスピロビアクリジン誘導体では、ドナー部位とアクセプター部位とが、ねじれた立体構造であるために、発光部位であるアクリジン骨格に適度に電子が供給され、一重項と三重項とのエネルギー差(ΔEST)を調整することができる。また、ドナー部位とアクセプター部位とをπ共役系で繋ぐことで、発光波長を制御し、発光量子効率(PLQE)を向上させることができる。
一般式(1)で表されるスピロビアクリジン誘導体は、種々の公知の方法により製造することができる。一例として、mCN−SBAの合成方法を示す。
Figure 2020026399
1−ブロモ−2−ヨードベンゼンおよびアニリンを酢酸パラジウムおよびホスフィン配位子の存在下にクロスカップリングさせることにより、BrDPAを合成する。次いで、BrDPAのアミノ基をBoc保護して、Boc−BrDPAを合成する。一方、9(10H)−アクリドンおよび2−メトキシエトキシメチルクロリド(MEM−Cl)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、水素化ナトリウム(NaH)によるプロトン引き抜きを介してMEM−アクリドンを合成する。Boc−BrDPAおよびMEM−アクリドンをn−ブチルリチウム(BuLi)を添加した後、塩酸を加えてスピロアクリジンを合成する。さらにスピロアクリジンおよび3−ブロモベンゾニトリルをPd(0)触媒によるクロスカップリングさせることにより、目的とするmCN−SBAを合成する。
ただし、本発明のスピロビアクリジン誘導体は、上記方法に限られることなく、公知の種々の方法を組み合わせて製造することができる。
本発明の好適形態であるmCN−SBAでは、量子化学計算の結果、HOMOおよびLUMOのエネルギーギャップΔEH-Lは3.46eVと比較的ワイドなエネルギーギャップを示す。また、三重項エネルギーETは2.76eVと比較的高いエネルギー準位を示す。よって、青色有機EL素子への応用に値するホスト材料であるといえる。さらに、HOMOはドナー部位であるスピロアクリジン、LUMOはアクセプター部位であるm−シアノベンゼンに局在しているため、バイポーラ性ホストであると期待される。さらに、一重項エネルギーと三重項エネルギーの差、ΔEST の値が0.04eVと充分に小さいことからTADF特性の発現が期待できる。
mCN−SBAの光学特性の評価結果から、イオン化ポテンシャル(Ip)は−5.81eVであった。公知のホスト材料であるDPEPOと比較すると、やや浅い数値を示す。また、電子親和力Eaは−2.33eVを示し、DPEPOと比較すると浅い数値を示す。さらに、バンドギャップEgは3.48eVと非常にワイドである。一方、三重項エネルギーETは2.90eVと非常に高い。
また、図2(e)に示すように、mCN−SBAのトルエン溶液を酸素バブリングすると、PL強度が失活することから、mCN−SBAは三重項を経由した発光機構を有するといえる。
[有機EL素子]
本発明の有機EL素子は、上記スピロビアクリジン誘導体を用いたものである。
ここで、図6に上記有機EL素子の典型的な層構造を示す。
上記有機EL素子は、典型的には、基板1上に陽極2として、例えば、ITO等を成膜し、その上に正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7および陰極8がこの順に積層されてなる。
各層の構成材料について説明する。
基板1には、透明かつ平滑であって、少なくとも70%以上の全光線透過率を有するものが用いられ、具体的には、フレキシブルな透明基板である、数μm厚のガラス基板や特殊な透明プラスチック等が用いられる。
陽極2には、仕事関数が大きく、また全光線透過率は通常80%以上であるものが用いられる。具体的には、陽極2から発光した光を透過させるため、ITOやZnO等の透明導電性セラミックス、導電性高分子ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)やポリアニリン等の透明導電性高分子、その他の透明導電性材料が用いられる。陽極2の膜厚は、通常10〜200nmである。
正孔注入層3は発光効率の向上のために導入される層である。正孔注入層3は低電圧で電流を流すため、ピンホール等が発生しない程度に膜厚を薄くかつ一定にすることが好ましい。このような正孔注入材料には、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリアニリン、およびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔輸送層4は、陽極2と発光層5の間に設けられ、陽極2から正孔を効率良く発光層に輸送するための層である。正孔輸送材料には、イオン化エネルギーが小さいもの、すなわち、HOMOから電子が励起されやすく、正孔が生成されやすいものが用いられる。具体的には、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−アルト−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)、4,4’−シクロヘキシリデンビス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、4,4’,4’’−トリ−9−カルバゾリルトリフェニルアミン(TCTA)および4,4’,4’’−トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン)等が挙げられる。これらのうち、塗布成膜が可能でかつ、寿命の向上の観点から、4,4’−シクロヘキシリデンビス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)が好ましい。
発光層5には、ホスト材料として、本発明のスピロビアクリジン誘導体を用いる。前記スピロビアクリジン誘導体とともに他のホスト化合物を併用して、ダブル発光層としてもよいし、スピロビアクリジン誘導体と該ホスト化合物とを混合したシングル発光層としてもよい。
他のホスト化合物としては、蛍光およびTADFに基づく発光特性を損なわないものであれば制限されないが、例えば、N,N-ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、ビス[2−[(オキソ)ジフェニルホスフィノ]フェニル]エーテル(DPEPO)、3,6−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニルカルバゾール(PO9)、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル(CBP)、2,8−ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾチオフェン(PPT)、アダマンタン・アントラセン(Ad−Ant)、ルブレン、および2,2’−ビ(9,10−ジフェニルアントラセン)(TPBA)等が挙げられる。発光層5を構成する成分中、本発明のスピロビアクリジン誘導体ホスト化合物の含有率は、通常50〜99wt%、好ましくは90〜95wt%である。
電子輸送層6は、陰極8と発光層5の間に設けられ、陰極から電子を効率良く発光層に輸送するための層である。電子輸送材料には電子親和力が大きいもの、すなわち、LUMOのエネルギーが小さく、励起電子が存在しやすくする材料が用いられる。具体的には、3,3”,5,5’−テトラ(3−ピリジル)−1,1’;3’,1”−ターフェニル(B3PyPB)、4,6−ビス(3,5−ジ(ピリジン−3−イル)フェニル)−2−メチルピリミジン(B3PyMPM)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、1,3−ビス[5−(4−t−ブチルフェニル)−2−[1,3,4]オキサジアゾリル]ベンゼン(OXD−7)、3−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、バソクプロイン(BCP)、1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBi)等が挙げられる。
電子注入層7は陰極に接し、電子を輸送する役割を有する層である。電子注入材料には、例えば、フッ化リチウム(LiF)、8−ヒドロキシキノリノラト−リチウム(Liq)およびリチウム2−(2’,2’’−ビピリジン−6’−イル)フェノラート(Libpp)等が挙げられる。
上記各層の他に、必要に応じて、陽極側および陰極側に、励起子ブロック層を導入してもよい。
基板1上に形成される、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、陰極8といった薄膜は、真空蒸着法又は塗布法で積層される。真空蒸着法を用いる場合、通常10-3Pa以下に減圧した雰囲気で、蒸着物を加熱して行う。各層の膜厚は、層の種類や使用する材料によって異なるが、通常、陽極2および陰極8は100nm程度、発光層5を含む他の層は50nm未満である。なお、電子注入層7等は、例えば1nm以下の厚みで形成されることもある。
塗布法を用いる場合、各層の構成材料を例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、および水等に溶解させて公知の塗布法により各層を形成する。塗布法には、例えば、バーコート法、キャピラリーコート法、スリットコート法、インクジェット法、スプレーコート法、ノズルコート法、および印刷法が挙げられる。各層の形成にすべて同じ塗布法を用いてもよいし、インクの種類に応じて適宜最適な塗布法を個別に用いてもよい。
本発明の有機EL素子は、枚葉方式によって各層を形成する以外に、例えば、ロール・ツー・ロール法によって形成してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[一般式(1)で表されるスピロビアクリジン誘導体の合成]
合成物の同定に使用した機器および測定条件は以下のとおりである。
(1)1H核磁気共鳴(NMR)装置
日本電子(株)製(400MHz)JNM−EX270FT−NMR型
(2)質量分析(MS)装置
日本電子(株)製JMS−K9[卓上GCQMS]およびWaters(株)製Zspray(SQ検出器2))
(3)元素分析装置
Perkin Elmer 2400II CHNS/O アナライザー
測定モード:CHNモード
[実施例1]mCN−SBAの合成
mCN−SBAの合成スキームを以下に示す。
Figure 2020026399
(i)MEM−アクリドンの合成
Figure 2020026399
滴下ロート、窒素導入管を付した500mL 三つ口フラスコに、9(10H)−アクリドン(14.95g,77mmol)、水素化ナトリウム(55% in oil,5.05g,115mmol)、脱水N,N−ジメチルホルムアミド500mLを加え、撹拌し30分後、氷浴に浸した。その後、2−メトキシエトキシメチルクロリド(13.8ml,121mmol)を滴下ロートを用いて系内に導入し、室温に戻した。42時間後、TLCにて反応の進行を確認したところ、原料の消費および目的物らしきスポットが確認できたので、反応を終了させた。反応溶液を水4Lに流し込み、しばらく撹拌させながら放置した。その後、水を用いて吸引濾過を行い、濾物を減圧乾燥した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒比 ジクロロメタン:酢酸エチル=10:0→ 9:1 → 1:4→ 1:9 → 1:19)を行い、目的物8.79g(収率=41%)を得た。同定は1H−NMRにて行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.50(d,2H,J=8.0Hz),7.80−7.66(m,4H),7.31(t,2H,J=4.8Hz),5.80(s,2H),3.85(t,2H,J=2.8Hz),3.63(t,2H,J=2.0Hz),3.37(s,3H)ppm.
(ii)BrDPAの合成
Figure 2020026399
還流管を付した100mL三つ口フラスコに、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン(3.76ml,30mmol)、アニリン(2.73ml,30mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド(3.89g,40mmol)、脱水トルエン40mLを加え、1時間ほど窒素バブリングした。バブリング後、酢酸パラジウム(81.86mg,0.30mmol)、ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(0.55g,0.97mmol)を加え、20時間ほど加熱還流させた。TLCにて反応の進行を確認したところ、原料の消費および目的物らしきスポットが確認できたので、反応を終了させ、室温にもどした。室温に戻った後、ガラスフィルターにて熱濾過を行い、ろ液を濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒比 n−ヘキサン:ジクロロメタン=4:1)を行い、目的物7.34g(収率=98%)を得た。同定は1H−NMRにて行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.52(d,1H,J=1.6Hz),7.28(t,2H,J=2.0Hz),7.25(d,1H,J=1.6Hz),7.22−7.12(m,3H),7.06(t,1H,J=1.2Hz),6.75(t,1H,J=1.2Hz),6.08(s,1H)ppm.
(iii)Boc−BrDPAの合成
Figure 2020026399
還流管を付した200mL三つ口フラスコに、BrDPA(4.96g,20mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(7.7ml,35mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.37g,3mmol)、脱水テトラヒドロフラン150mlを加えた。20時間ほど加熱還流させた。TLCにて反応の進行を確認したところ、原料の消費および目的物らしきスポットが確認できたので、反応を終了させ、室温にもどした。室温に戻ったのち、濃縮を行った。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒比 n−ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)を行い、目的物5.89g(収率=85%)を得た。同定は1H−NMRにて行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl):δ=7.64(d,1H,J=8.0Hz),7.37−7.24(m,6H),7.23−7.05(m,2H),1.43(s,9H)ppm
(iv)スピロビアクリジンの合成
Figure 2020026399
温度計、窒素導入管を付した200mL四つ口フラスコに、BocBrDPA(2.80g,8.0mmol)、脱水テトラヒドロフラン(35ml)を加えて撹拌し、−80℃に冷やした。その後、n−ブチルリチウム(5.50ml,9.0mmol,1.64mol/L)を温度の上昇に気を付けて、慎重に滴下した。冷やしながら撹拌をして2時間後、予め 110mlサンプル管にMEM−アクリドン(2.30g,8.1mmol)を入れ、N2 パージし、次いで脱水テトラヒドロフラン(21ml)を加えて完全溶解させたものを系中に導入し、室温に戻した後、終夜反応させた。翌日、溶媒が枯れていたのを確認したので、脱水テトラヒドロフラン(60ml)を加え、予め調整しておいた1mol/L塩酸10mlも同様に加えた。8時間後、1mol/L塩酸5mlを系中に導入した。翌日、加えた塩酸を中和するため、塩酸と等量のモル数の炭酸カリウム水溶液を系中に導入し、適宜、pH試験紙で系内のpHを確認し、中性になったのを確認した。TLCにて反応の進行を確認したところ、原料の消費および目的物らしきスポットが確認できたので、分液 (抽出:ジクロロメタン50ml×3,洗浄:水50ml×2)をし、脱水、減圧留去後、減圧乾燥した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製(展開溶媒比 n−ヘキサン:ジクロロメタン=5.5:4.5)を行い、目的物1.54g(収率=54%)を得た。同定は1H−NMRにて行った。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=6.56(s,2H),4.45(t,4H,J=8.0Hz),4.31(d,4H,J=8.0Hz),4.19(d,4H,J=8.0Hz),4.07(t,4H,J=8.0Hz)ppm
(v)mCN−SBAの合成
Figure 2020026399
窒素導入管、還流管、温度計を付した50mL四つ口フラスコに、スピロアクリジン(0.87g,2.5mmol)、3−ブロモベンゾニトリル(0.91g,5.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド(1.20g,12.5mmol)、脱水キシレン40mLを加え、1時間ほど窒素バブリングした。バブリング後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(229mg,0.25mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(145mg,0.25mmol)を加え、18時間ほど加熱還流させた。TLCにて反応の進行を確認したところ、原料の消費および目的物らしきスポットが確認できたので、反応を終了させ、室温に戻した(黒色不透明溶液)。室温に戻った後、水400mLに反応溶液を加えた。次いで、トルエン100 mLにて抽出し(計3回)、食塩水200mLにて洗浄(計2回)、硫酸マグネシウムにて脱水、濃縮した。その後、ガラスフィルターにて原点抜きカラムを行い、ろ液を濃縮した。メタノールにて分散洗浄を行い、濾別した薄黄色固体を減圧乾燥させた。減圧乾燥後の目的物を0.20g得た(収率=14.6%)。目的物の同定は1H−NMR、Massにて行った。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ=8.26−7.98(m,8H),7.07(d,4H,J=4.0Hz),6.91(t,4H,J=8.4Hz),6.76(t,4H,J=7.6Hz),6.10(d,4H,J=4.0Hz)ppm;
EI−MS:m/z 549[M]+
[量子化学計算]
mCN−SBAの量子化学計算の結果を表1に示す。基底状態の構造は密度汎関数理論(B3LYP)を用い、基底関数は6−31+G(d)を使用した。エネルギー計算は時間依存密度汎関数法(B3LYP)を用い、基底関数は6−311+G(d,p)を使用した。
Figure 2020026399
量子化学計算の結果、HOMOとLUMOのエネルギーギャップΔEH-Lは3.46eVと比較的ワイドなエネルギーギャップを示した。また、三重項エネルギーETは2.76eVと比較的高いエネルギー準位を示した。このことは、本発明のスピロアクリジン誘導体が青色有機EL素子への応用に値するホスト材料であることを示唆している。さらに、計算した分子構造の結果から、フロンティア軌道がHOMOはドナー部位であるスピロビアクリジン、LUMOはアクセプター部位であるm−シアノベンゼンに局在しているため、バイポーラ性ホストであることが期待できる。
[熱特性評価]
mCN−SBAおよびDPEPOを昇華精製し、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)により、5%重量減衰温度(Td5)、ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)を測定した。
Figure 2020026399
表2に示すとおり、本発明のmCN−SBAは結晶性が高く、高い熱安定性を有していた。また、mCN−SBAは高い昇華性も有することから、有機EL素子の作製において、真空蒸着型のプロセスのみならず、ベーク工程を含む溶液塗布型のプロセスも好適であることがわかる。
[光学特性評価]
光学特性評価に用いた機器および測定条件は以下のとおりである。
(1)紫外・可視(UV−vis)分光光度計
(株)島津製作所製 UV−3150
測定条件;スキャンスピード 中速、測定範囲 200〜800nm サンプリングピッチ 0.5nm、スリット幅 0.5nm
(2)フォトルミネッセンス(PL)測定装置
(株)堀場製作所製Fluoro MAX−2
常温および低温において、PLスペクトル、および、ストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334)を用いた時間分解PLスペクトル(過渡PLスペクトル)を測定した。
(3)光電子収量分光(PYS)装置
住友重機械工業(株)製イオン化ポテンシャル測定装置
イオン化ポテンシャル測定装置を用いて、真空中でイオン化ポテンシャル(Ip)の測定を行った。
なお、電子親和力(Ea)は、UV−vis吸収スペクトルの吸収端よりエネルギーギャップ(Eg)を見積もることによって算出した。
<単膜およびDPEPO共蒸着膜の光学特性評価>
有機EL素子は全固体型の発光素子であるため、薄膜状態での光学特性が重要となる。そのため、mCN−SBAおよびDPEPOドープ膜(10wt%DPEPO共蒸着膜)について光学特性を評価した。結果を図2(a)〜(d)に示す。
一重項エネルギー(ES)はDPEPOドープ膜のPLスペクトルの立ち上がりによって求め、三重項エネルギー(ET)は低温燐光スペクトルの立ち上がりによって見積った。また、一重項エネルギー(ES)と三重項エネルギー(ET)との差からΔESTを求めた。
さらに、大気下、窒素バブリング後、および酸素バブリング後のトルエン希薄溶液(1.0×10-5M)のPLスペクトルをそれぞれ測定し、mCN−SBAの発光が三重項を介した発光機構であることを検証した。結果を図2(e)に示す。
結果を表3に示す。
Figure 2020026399
mCN−SBAの光学特性から電子物性を見積もると、Ipは−5.81eVであり、DPEPOと比較するとやや浅い数値を示した。また、Eaは−2.33eVを示し、DPEPOと比較すると浅い数値を示した。さらに、バンドギャップEgについては3.48eVと非常にワイドなバンドギャップを示した。三重項エネルギーETについては2.90eVと非常に高いETを有することが分かった。これらの結果から、CN−SBAは青色用のホスト材料として期待できる。
図2(e)より、窒素バブリング後はPL強度が増化すること、および酸素バブリング後はPL強度が半分以下に減少することが分かった。これは、窒素バブリング前に存在した酸素分子が窒素バブリング後には、系内に存在しなくなったことで三重項励起子が失活せずに発光に寄与したためと考えられる。一方、酸素バブリング後に、PL強度が減少したのはバブリングすることによって酸素分子で希薄溶液が満たされるので、三重項励起子が失活してしまい、発光強度が弱くなったためと考えられる。これらの結果から、mCN−SBAは三重項を経由した発光機構を経ると考察される。
<TZ−SBAドープ膜の光学特性評価>
有機ELの外部量子効率ηEQEは、キャリアバランス(γ)、励起子生成効率(hg)、発光量子収率(ηPL)および、光取り出し効率(ηout)の4つのパラメータの積ηEQE =γ ×hg×ηPL×ηoutで表され、三つ目のファクターである発光量子収率(ηPL)については発光材料をホスト材料にドープした薄膜の値を参考にする。
そのため、ゲスト材料として、スカイブルー発光を示すTADF発光材料TZ−SBAを用いて、スペクトルおよび発光量子収率(ηPL)を測定した。結果を図2(f)および表4に示す。
Figure 2020026399
Figure 2020026399
PLスペクトルから、DPEPOをホストに用いたものよりも、mCN−SBAをホストに用いたもののほうが、やや短波長側に発光を示した。これは、一つの可能性として使用したTADF発光材料TZ−SBAの発光機構に由来すると考えられる。TADF発光材料は分子内電荷移動型の発光機構を有し、発光スペクトルは発光材料周囲の環境から影響を受ける。周囲の環境とは、ホスト材料自身の分子の大きさや極性を指す。一般的に極性が強い材料をホストに用いると、発光材料が持つ励起一重項準位を安定化し、スペクトルは長波長化する。表4に示すように、mCN−SBAよりもDPEPOがホストであるほうが、PLスペクトルがレッドシフトしたため、DPEPOの方が強い極性を持つと予想される。
さらに、PLQYについては、mCN−SBAはDPEPOに匹敵する値を示したことから、DPEPOと同等かそれ以上のデバイス効率を示すことが期待される。
[有機EL素子の作製および評価]
有機EL素子の評価に用いた機器は以下のとおりである。
ELスペクトル
装置;(株)浜松ホトニクス製 PHOTONIC MULTI−CHANNEL ANALYZER PMA−1
<シングル発光層を用いたデバイス>
電子輸送層にB3PyPB、ホール輸送層にTAPCを用い、mCN−SBAおよびDPEPOをホスト材料に用いたデバイス1および2を蒸着により作製した。デバイス構造は以下のとおりである。デバイス1、2における各層のエネルギーダイアグラムを図3(a)に示す。
デバイス1:
ITO(130nm)/ポリマーバッファー層(20nm)/TAPC(20nm)/EML(20nm)/B3PyPB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
EML(発光層)は20wt% TZ−SBA : mCN−SBAからなる。
デバイス2:
ITO(130nm)/ポリマーバッファー層(20nm)/TAPC(20nm)/EML(20nm)/B3PyPB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
EML(発光層)は20wt% TZ−SBA : DPEPOからなる。
デバイス特性評価結果を図3(b)〜(f)および表5に示す。
Figure 2020026399
電圧に関して、mCN−SBAとDPEPOで駆動電圧に相違はないが、高輝度領域においてmCN−SBAの方が、DPEPOに比べて低電圧化が確認された。これはmCN−SBAの分子構造を構成するユニット内にドナー・アクセプターを導入したことで、電子とホール、両キャリアへの高い親和性が発光層内へのキャリアの導入量を増加させ、電圧に影響を及ぼしたためと考えられる。また、低電圧化の結果から、mCN−SBAはユニポーラ性よりもバイポーラ性である可能性が高いと示唆される。
次に、外部量子効率における比較では、DPEPOよりもmCN−SBAの方が、高い外部量子効率を示した。4つのパラメータの積ηEQE =γ ×ηg×ηPL×ηoutで表され(ηEQE:外部量子効率、γ:キャリアバランス、ηg:励起子生成効率、ηPL:発光量子収率、ηout:光取り出し効率)において、これらのデバイスの励起子生成効率(ηg)および光取り出し効率(ηout)を一定と仮定すると、発光量子収率(ηPL)は互いに同程度な値を示したことから、外部量子効率の低下の原因はキャリアバランス(γ)に支配されると考えられる。そのため、mCN−SBAがホストとしてキャリアに対してバイポーラ的に作用したことでキャリアバランスの改善がなされ、両デバイスにおける大きなキャリアバランスの違いに繋がったと結論づけることができる。さらに、mCN−SBAのデバイスではロールオフの低減が確認された。これに関してもmCN−SBAのバイポーラ的な性質からこのような結果を引き起こしたと考察される。
また、電力効率に関して、mCN−SBAを用いたデバイスよりもDPEPOを用いたデバイスの方が、駆動電圧の低下と外部量子効率の向上に伴う大幅な電力効率の向上が確認された。
<ダブル発光層を用いたデバイス>
mCN−SBAとDPEPOの両ホストを用いたダブル発光層デバイス3を作製した。電子輸送層にB3PyPB、ホール輸送層にTAPCを用い、発光材料にTZ−SBAを用いた。デバイス構造は以下のとおりである。デバイス3における各層のエネルギーダイアグラムを図4(a)に示す。
デバイス3:
ITO(130nm)/ポリマーバッファー層(20nm)/TAPC(20nm)/EML 1(10nm)/EML 2(10nm)/B3PyPB(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
EML 1(発光層 1)は20wt% TZ−SBA : mCN−SBAからなる。
EML 2(発光層 2)は20wt% TZ−SBA : DPEPOからなる。
シングル発光層のデバイス1、2と比較した、デバイス3の特性評価結果を図4(b)〜(f)および表6に示す。
Figure 2020026399
ダブル発光層のデバイスでは、シングル発光層のデバイスに比べて、駆動電圧の低下がみられた。外部量子効率に関して、シングル発光層による素子系よりもダブル発光層による素子系の方が、外部量子効率の大幅な向上が確認された。電力効率は、両ファクターが改善されたことで大幅な電力効率の向上が見られた。
<励起子ブロック層を導入したシングル発光層デバイス>
mCN−SBAが汎用性の高いホスト材料であるかを調べるため、電子側にホストを励起子ブロック層として導入したデバイス4、5を作製し、比較を行った。
デバイス構造は以下のとおりである。デバイス4、5における各層のエネルギーダイアグラムを図5(a)に示す。
デバイス4:
ITO(130nm)/ポリマーバッファー層(20nm)/TAPC(20nm)/mCP(10nm)/EML(20nm)/mCN−SBA(10nm)/B3PyPB(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
EML(発光層)は20wt%TZ−SBA : mCN−SBAからなる。
デバイス5:
ITO(130nm)/ポリマーバッファー層(20nm)/TAPC(20nm)/mCP(10nm)/EML(20nm)/DPEPO(10nm)/B3PyPB(40nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)
EML(発光層)は20wt%TZ−SBA : DPEPOからなる。
デバイス4および5の特性評価結果を図5(b)〜(f)および表7に示す。
Figure 2020026399
ホストとしてmCN−SBAを使用したデバイス4と、ホストとしてDPEPOを使用したデバイス5とを比較した。外部量子効率の比較では、mCN−SBAを用いたデバイス4で効率の低下が確認された。mCN−SBAを用いたデバイスでは高輝度領域における低電圧化が確認された。電力効率に関しては、mCN−SBAを用いたデバイスでは低電圧化し良好なキャリア注入性が実現したが、キャリアバランスの崩れによる外部量子効率の低下が著しく、相対的に電力効率が低下した。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表されるスピロビアクリジン誘導体。
    Figure 2020026399
    (一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
  2. 請求項1に記載のスピロビアクリジン誘導体を含む有機EL素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112812115A (zh) * 2020-02-28 2021-05-18 广东聚华印刷显示技术有限公司 吖啶类化合物、聚合物及其应用、发光器件

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