JP2020025523A - 環境モニタリングシステム - Google Patents

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千津雄 水口
Chizuo Mizuguchi
千津雄 水口
昭弘 水口
Akihiro Mizuguchi
昭弘 水口
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Abstract

【課題】深度毎の水質や大気質を計測し、計測した結果に基づいて養殖に最適な位置に浮沈式生簀を設置可能な環境モニタリングシステムを提供する。【解決手段】環境モニタリングシステム1は、浮沈式生簀が設置される水域の水を取水する取水手段2と、取水された水の水質ファクターを計測する計測部3と、取水手段2の作動及び計測部3の作動を制御し、計測部3が計測した水質計測結果を取得する制御部4を備え、取水手段2は、取水口2a〜2cと、水を計測槽6に送水する取水管2dと、取水口2a〜2cのうちで取水が許可される一つを切り替える取水弁2e〜2gと、取水ポンプ2hを備え、計測槽6は、水を貯留する容器体9と、水の水質ファクターを計測する水質センサー7を備え、制御部4は、取水が許可される取水口2a〜2cが切り替わる毎に水質センサー7の計測を開始させる。【選択図】図1

Description

本発明は、水産物を養殖する浮沈式生簀が設置される環境を監視するための環境モニタリングシステムに係り、特に、異なる水深毎の水質、又は浮沈式生簀周辺の大気質を連続的に計測しその結果を一元的に管理することで、養殖に最適な環境に浮沈式生簀を設置可能な環境モニタリングシステムに関する。
近年、水産物の養殖に関する技術分野においては、海水温の上昇や波浪、赤潮といった環境条件による悪影響を回避するために生簀を水中に沈降させたり、又は出荷や観察のために水面に浮上させたりすることが可能な浮沈式生簀が実用化されてきた。
しかし、環境条件は、年間や1日の間で常に変化しているほか、天候変化によって急激に悪化することがあるので、生簀が設置される水域の水質や生簀上方の大気質を常時計測することが必要であるという課題があった。
このような課題を解決するために、水産物の養殖に関する技術分野ではないが、リアルタイムに水質を計測するための技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
特許文献1には「屋外遠隔水質測定装置及び方法」という名称で、水質センサーの位置を遠隔で調整して水中に挿入可能な水質測定装置等に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、水質センサーを備えるセンサーホルダーと、センサーホルダーをリアルタイムに撮影するカメラと、センサーホルダーを上昇または下降させる第1及び第2垂直長さ可変棒と、センサーホルダーを水平方向に前進または後進させる水平長さ可変棒と、第1及び第2垂直長さ可変棒の長さと、水平長さ可変棒及の長さをそれぞれ制御する命令を受信して遂行するコントロールボックスと、このコントロールボックスに上記の制御命令を送信し、水質センサーから測定された測定値とカメラからリアルタイム撮影された動映像を受信する端末と、が備えられることを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、水源が存在する特定地点に固定されたカメラからリアルタイム動映像が送信されて端末のディスプレイに表示される。これにより、その地点でのセンサーホルダーの位置が確認される。次に、端末からの制御命令に従い、確認されたセンサーホルダーの位置に応じて第1及び第2垂直長さ可変棒と水平長さ可変棒が遠隔操作されることで、水質センサーが水中に挿入されて水質が測定される。この測定値は、端末に送信されてディスプレイに表示される。
したがって、特許文献1に係る発明によれば、遠隔地の水質の情報を、測定者が直接赴くことなく容易に知ることができる。そのため、特許文献1に係る発明を適用することで、浮沈式生簀が沈降されている水域の水質をリアルタイムに計測できる可能性がある。
特開2015−31687号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、水質センサーは、第1及び第2垂直長さ可変棒と水平長さ可変棒を遠隔操作することによって所望の位置に挿入されることから、水中の深い位置の水質を計測する際には第1及び第2垂直長さ可変棒の長さを長大にする必要がある。しかし、このような構成は、大掛かりとなり過ぎて現実的ではない。
また、浮沈式生簀を浮沈させる際には、水産物の生育に最適な水質を備える水域の位置や水深、水面上の大気質を予め把握できることが望ましい。しかし、特許文献1に開示された発明を用いて異なる水深毎や水平位置毎の水質を計測しようとすると、第1及び第2垂直長さ可変棒や水平長さ可変棒の長さを変更したり、設置位置を変更したりすることが必要となってその操作に一定の時間を要し、エネルギー消費も増大する。そのため、水深等を変更しつつそれぞれの水質を頻繁に繰り返して計測することを効率的に実施できない可能性がある。
したがって、浮沈式生簀を設置する水域の水質計測のために特許文献1に係る発明を適用したとしても、現実的でないとともに、所望の水深等の水質をリアルタイムに計測するという課題を十分に解決できないものと考えられる。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、所望の水深の水質のほか、所望の水平位置の大気質をリアルタイムで計測し、計測した結果に基づいて養殖に最適な位置に浮沈式生簀を設置することができる環境モニタリングシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、水産物を養殖する浮沈式生簀が設置される環境を監視するための環境モニタリングシステムであって、浮沈式生簀が設置される水域の水を取水する取水手段と、この取水手段から取水された水の水質を表す水質ファクターを計測する計測部と、取水手段の作動及び計測部の作動を無線通信を介して制御するとともに、計測部が計測した水質ファクターからなる水質計測結果を無線通信を介して取得する制御部を備え、取水手段は、複数の取水口と、この複数の取水口からそれぞれ取水された水を計測部に送水する取水管と、この取水管の途中において複数の取水口の下流側に配設され、複数の取水口のうちで取水が許可される一つを選択的に切り替える取水弁と、取水管の途中において取水弁の下流側に配設される取水ポンプを備え、計測部は、取水管から送水された水を貯留する計測槽と、この計測槽に貯留された水の中に浸漬されて水質ファクターを計測する水質センサーを備え、制御部は、無線通信を介し、複数の取水口のうちで取水が許可される取水口が切り替わる毎に水質センサーの計測を開始させることを特徴とする。
このような構成の発明において、浮沈式生簀とは、水産物を収容する生簀が異なる深度や水平位置に適宜移動して設置されるものをいい、例えば、生簀と、この生簀を同一の水平位置に固定するための固定部材と、この固定部材と生簀を連結する張りロープを備える構成や、フロートを備える生簀と、この生簀を同一の水平位置に固定するための固定部材と、フロートに空気や水を給排可能な給排装置を備える構成等がある。
また、水質ファクターとは、水温、溶存酸素量、pH等の養殖における水産物の生育状態に関連する物理量である。さらに、計測部が備える水質センサーは、このような物理量を計測し電気信号として出力可能である。なお、この水質センサーの個数や種類数は特に制限されない。
さらに、本願においては、複数の取水口のある側を上流側とし、これらの取水口から取水された水が向かう方向を下流側とする。
次に、取水手段のうち複数の取水口は、それぞれ、(1)同一水平位置において異なる水深に設置される場合、(2)同一水深において異なる水平位置に設置される場合、(3)異なる水深において異なる水平位置に設置される場合、が考えられる。
また、取水管は、(4)複数の取水口と同数本が備えられる場合、(5)一端が複数の取水口とそれぞれ連通するように複数本に分岐しているが、これらの分岐が途中で合流して1本となり、一つの他端が計測部の計測槽に取り付けられる場合、が考えられる。
さらに、取水弁の個数は、(6)複数の取水口のそれぞれに取り付けられる場合の複数個、又は(7)複数方向に切替可能な1つの弁体を有して1本の取水管に介設される1個、のいずれであっても良い。取水ポンプも(4)又は(5)にそれぞれ対応して、(8)複数個又は(9)1個のいずれが設けられても良い。
そして、計測槽は、(10)複数の取水管の各他端がそれぞれ1個の計測槽毎に取り付けられる場合の複数個、又は(11)複数の取水管の各他端、又は1本の取水管の一つの他端が1個の計測槽に取り付けられる場合の1個、のいずれであっても良い。水質センサーも(10)又は(11)にそれぞれ対応して、(12)複数個又は(13)1個のいずれが設けられても良い。
上記構成の発明においては、例えば、3個の取水口(上記(3)の場合)と、1本の取水管(上記(5)の場合)と、3個の取水弁(上記(6)の場合)と、1台の取水ポンプ(上記(9)の場合))と、1個の計測槽(上記(11)の場合)と、1個の水質センサー(13)と、を備える構成であって、水深の浅い順に取水してそれぞれの水質ファクターを計測する場合を想定すると、制御部は、無線通信を介し、まず最も浅い水深に沈降された取水口の取水を許可するように、対応する取水弁を開放して取水ポンプを作動させる。すると、許可された一つの取水口から取水された水は、取水管を通過して計測槽に送水され、貯留される。
計測槽には、水質センサーが備えられており、貯留された水の中に浸漬された状態になることから、制御部が、第1の無線手段を介して水質センサーに計測を開始するよう制御することで、水質センサーによって水質ファクターが計測される。計測された水質ファクターからなる最初の水質計測結果は、第1の無線手段を介し、制御部によって取得される。この後、水質センサーは、計測を継続しても良いし、制御部からの停止信号又は一定時間計測後は自動的に計測を停止するといったタイマー機能等によって計測を一旦停止しても良い。
続いて、制御部は、最初の水質計測結果を取得するに伴い、無線通信を介し、2番目に浅い水深に沈降された取水口の取水を許可するように、対応する取水弁を開放する。これと同時に直前に開放されていた取水弁を閉鎖する。なお、取水弁の切り替え時に、取水ポンプは作動したままでも良いし、切り替えに応じて停止及び再作動しても良い。
2回目に取水許可された取水口から取水された水は、最初の場合と同様に計測槽に貯留される。その後、制御部も最初の場合と同様に水質センサーの計測を開始させる。すなわち、制御部は、無線通信を介し、複数の取水口のうちで取水が許可される取水口が切り替わる毎に水質センサーの計測を開始させる。このようにして計測された2回目の水質計測結果は、同様に制御部によって取得される。
そして、制御部は、2回目の水質計測結果を取得するに伴い、最も深い水深に沈降された取水口の取水を許可するように、対応する取水弁を開放し、水質センサーの計測を開始させて3回目の水質計測結果を取得する。その後、制御部は、最も浅い水深に沈降された取水口の取水を許可するように、対応する取水弁を再び開放し、これ以降、前述したと同様に、取水口が切り替わる毎に水深の異なる水質計測結果を連続的に取得する。
このように、異なる3種類の水深毎の水質計測結果が取得されるので、制御部は、これらの水質計測結果に基づいて最適な水質ファクターを有する水深を連続して決定できる。
次に、第2の発明は、第1の発明において、計測槽は、取水管から送水された水を貯留する容器体と、この容器体に貯留された水を排水する排水ポンプを備え、容器体は、その上縁寄りに、容器体に貯留された水のオーバーフロー分を流出させる溢水口が設けられ、制御部は、無線通信を介し、複数の取水口のうちで取水が許可される取水口から供給される水に対応する水質センサーの計測が完了する毎に排水ポンプを作動させることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、複数の取水口から連続的に取水される場合、貯留された水が計測槽の容器体からオーバーフロー分として溢れ出すことになる。そこで、溢水口を設け、オーバーフロー分の流出方向をガイドして、水質ファクターの計測に利用できない水の排出を促進するとともに周囲が浸水するのを防止するようにしたのである。
また、制御部が水質センサーの計測が完了する毎に排水ポンプを作動させるため、水質センサーによる計測が新たに開始される際に容器体に貯留されている水は、これよりも前に貯留された水と混合されない。計測対象の水は、主に、この水が取水された取水口の周辺にある水となる。したがって、新たに計測される水質計測結果の精度は、排水ポンプが設けられない場合よりも向上する。
続いて、第3の発明は、第1又は第2の発明において、複数の取水口は、それぞれ異なる水深に沈降されることを特徴とする。
このような構成の発明において、第1又は第2の発明の作用に加えて、異なる水深毎に取水口が沈降されるため、その水深での水質計測結果が得られる。なお、長さの異なる複数の取水管の先端にそれぞれ取水口を接続すると、容易に異なる水深毎に取水口を沈降させることができる。
さらに、第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、浮沈式生簀が設置される水域の周囲に広がる空間の性質を表す空間ファクターを計測する空間センサーを備え、制御部は、空間センサーの作動を無線通信を介して制御するとともに空間センサーが計測した空間ファクターからなる空間計測結果を無線通信を介して取得することを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて、水質ファクターと併せて、空間センサーによって空間ファクターが計測される。計測された空間計測結果は制御部によって取得されるので、制御部において、水質計測結果と空間計測結果に基づいて最適な水深が決定される。
ここで、空間ファクターとは、外気温、太陽光の照度といった養殖における水産物の生育状態に関連する物理量である。さらに、空間センサーは、このような物理量を計測し電気信号として出力可能である。なお、この空間センサーの個数や種類数は特に制限されない。
そして、第5の発明は、第4の発明において、水質ファクターは、溶存酸素量、pH、塩分濃度、電気伝導度、濁度、全溶固形物量及び比重からなる項目群から選択される少なくとも一つと、水温であり、空間ファクターは、外気温及び照度の少なくともいずれかであることを特徴とする。
このような構成の発明において、水温が必須の計測項目であり、これ以外の項目群と、外気温及び照度は、必要に応じて適宜選択される。
上記構成の発明においては、第4の発明の作用に加えて、水質ファクターと空間ファクター値を計測することで、浮沈式生簀を設置する環境の適否が判断される。例えば、浮沈式生簀を設置している水域が適正な飼育条件の範囲内にあるか否か、ない場合の移動先はどこか、をきめ細かく知ることができる。
そして、第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、水産物を収容する網状の生簀に浮力を付与するためのフロートと、このフロートの内部へ流体を給排して浮力の大きさを調整するための浮力調整用手段と、生簀の深度を計測する深度センサーを備え、浮力調整用手段は、フロートに給排路を介して流体を給排する流体給排装置と、フロートと流体給排装置の間において給排路に接続されて流体の給排を切り替える弁装置を備え、制御部は、取得した水質計測結果に基づいて水産物の養殖に最も適した最適深度を決定し、深度センサーの作動を無線通信を介して制御するとともに深度センサーが計測した深度からなる深度計測結果を無線通信を介して取得し、取得した深度計測結果が決定された最適深度と一致するように、浮力調整用手段を作動させることを特徴とする。
このような構成の発明において、流体として、例えば空気や水が使用される。また、流体給排装置及び弁装置の例としては、それぞれ流体を給排するポンプ及び電磁弁や電動弁が考えられる。
上記構成の発明においては、制御部は、無線通信を介して深度センサーの計測を開始させ、深度計測結果を取得する。取得した深度計測結果は、制御部により、水産物の養殖に最も適した最適深度と比較される。比較の結果、深度計測結果が最適深度よりも浅い場合、制御部は流体給排装置と弁装置を制御してフロートの浮力を減少させる。一方、深度計測結果が最適深度よりも深い場合、制御部は流体給排装置と弁装置を制御して、フロートの浮力を増大させる。
その後、制御部は、新たに深度計測結果を取得して最適深度と比較し、流体給排装置と弁装置を適宜作動させることを繰り返し、生簀が沈降されている現実の深度を最適深度に一致させるようにする。
第1の発明によれば、制御部は、複数の取水口のうちで取水が許可される取水口が切り替わる毎に水質センサーの計測を開始させ、その水質計測結果を取得することから、異なる水深や異なる水平位置での水質を詳細に知ることができる。さらに、制御部は、取得した水質計測結果に基づき、最適な水質ファクターを連続して決定できるので、浮沈式生簀を沈降させるのに最適な位置をリアルタイムに把握することが可能である。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、溢水口を設けることによりオーバーフロー分の排出を促進できるから、連続的な取水と計測が可能となる。
また、計測対象の水は、主に、この水が取水された取水口の周辺にある水となるため、新たに計測される水質計測結果の精度を排水ポンプが設けられない場合よりも向上させることができる。したがって、第2の発明によれば、精度の良好な水質計測結果をメンテナンスフリーで連続的に得ることが可能である。
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、異なる水深毎に水質計測結果が得られるため、例えば、養殖されている水産物が好む水質ファクターを有する水深を直ちに選んで、浮沈式生簀を選んだ水深に沈降又は浮上させることができる。
第4の発明によれば、第1乃至第3のいずれかの発明の効果に加えて、水質計測結果と空間計測結果に基づいて最適な水深が決定されるため、例えば、摂餌に適した水温や照度を有する水深に浮沈式生簀を移動させることができる。
第5の発明によれば、第4の発明の効果に加えて、水質ファクターと空間ファクター値を計測することにより、例えば、浮沈式生簀を設置している水域が適正な飼育条件の範囲内にあるか否か、ない場合の移動先はどこか、をきめ細かく知ることができるため、水産物の生産効率の向上に寄与することができる。
第6の発明によれば、第1乃至第5のいずれかの発明の効果に加えて、深度計測結果と最適深度とを比較し、その結果に応じて浮力調整用手段を作動させることを繰り返すことで、生簀が沈降されている現実の深度を最適深度に自動的に一致させることができる。したがって、生簀を目的の深度に正確に設置することができる。
実施例1に係る環境モニタリングシステムの外観図である。 (a)は実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する計測槽の正面図であり、(b)は(a)におけるA線矢視図である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムの構成図である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムの作用を説明するためのフロー図である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の入力画面の一例である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の出力画面の一例である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムによる制御部の出力画面の一例である。 実施例1に係る環境モニタリングシステムによる制御部の出力画面の一例である。 実施例2に係る環境モニタリングシステムの外観図である。 実施例2に係る環境モニタリングシステムの作用を説明するためのフロー図である。
本発明の第1の実施の形態に係る環境モニタリングシステムについて、図1乃至図7を用いて詳細に説明する。図1は、実施例1に係る環境モニタリングシステムの外観図である。
図1に示すように、実施例に係る環境モニタリングシステム1は、水産物を養殖する浮沈式生簀が設置される環境を監視するための環境モニタリングシステムである。
環境モニタリングシステム1は、浮沈式生簀が設置される水域の水を取水する取水手段2と、この取水手段2から取水された水の水質を表す水質ファクターを計測する計測部3と、取水手段2の作動及び計測部3の作動を無線通信を介して制御する制御部4を備える。
このうち、取水手段2、計測部3はいずれも水面50に浮上する計測用筏(図示せず)に積載され、制御部4は計測用筏から離隔した陸上に設置されている。
取水手段2は、3個の取水口2a〜2cと、この取水口2a〜2cからそれぞれ取水された水を取水手段2に送水する取水管2dと、この取水管2dの途中において取水口2a〜2cの下流側にそれぞれ配設され、取水口2a〜2cのうちで取水が許可される一つを選択的に切り替える3個の取水弁2e〜2gと、取水管2dの途中において取水弁2e〜2gの下流側に配設される1台の取水ポンプ2hと、取水管2dの途中において取水弁2e〜2gと取水口2a〜2cの間にそれぞれ設けられる3個の逆止弁2i〜2kを備える。
取水管2dは、一端2Eが取水口2a〜2cとそれぞれ連通するように3本に分岐しているが、これらの分岐が途中で合流部2Jにおいて合流して1本となり、一つの他端2E´が計測部3の計測槽6の容器体9へ水を注入可能に取り付けられる。なお、取水管2dにおいては、逆止弁2i〜2kから取水口2a〜2cまでの長さを変化させることにより、取水口2a〜2cはそれぞれ異なる水深(例えば、5m、10m及び20m)に沈降されている。
また、取水弁2e〜2gは、制御部4からの信号が無線通信を介して伝達されることによりそれぞれ作動する電動弁であって、弁体の姿勢により取水口2a〜2cを取水状態(全開状態)又は取水停止状態(全閉状態)のいずれかにそれぞれ切り替え可能である。
取水ポンプ2hも同様に、制御部4からの信号が無線通信5によって伝達されて吸水を開始又は停止する。なお、取水ポンプ2hは、取水弁2e〜2gの弁体が切り替えを行っている間は、継続して取水する。
次に、計測部3は、制御部4と双方向に無線通信をするための通信部5(図3参照)と、取水管2dから送水された水を貯留する計測槽6と、この計測槽6に貯留された水の中に浸漬されて水質ファクターを計測する水質センサー7と、を備える。ここで、水質ファクターとは、溶存酸素量、pH、塩分濃度、電気伝導度、濁度、全溶固形物量及び比重からなる項目群と、水温の計8種類である。よって、水質センサー7は、上記水質ファクターを計測可能な8種類が備えられる。また、計測用筏には、水中を撮像した画像データを制御部4へ送信可能な水中カメラ11a,11b(図3参照)が設けられる。
また、計測槽6は、取水管2dから送水された水を貯留する容器体9と、この容器体9に貯留された水を排水する排水ポンプ10を備える。また、容器体9には排水ホース9gが接続され、排水ポンプ10の下流側には排水ホース9gと合流する排水ホース10aが接続されている。よって、排水ホース9gを流下する水は排水ホース10aを通過する水と合流した後、水面50へ排出される。より詳細な計測槽6の構成については、図2を用いて後に説明する。
さらに、環境モニタリングシステム1は、浮沈式生簀が設置される水域の周囲に広がる空間の性質を表す空間ファクターを計測する空間センサー8を備える。ここで、空間ファクターとは、外気温及び照度である。よって、空間センサー8としては、上記空間ファクターを計測可能な2種類が備えられる。また、空間センサー8には、空間を撮像した画像データを制御部4へ送信可能な監視カメラ(図示せず)が設けられる。これら空間センサー8は、配線8A(図3参照)を介して計測部3の通信部5(図3参照)と有線通信可能に構成され、前述の計測用筏に積載される。
次に、実施例に係る環境モニタリングシステムを構成する計測部の計測槽について、図2を用いながら詳細に説明する。図2(a)は実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する計測槽の正面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA線矢視図である。なお、図1で示した構成要素については、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、容器体9は、上縁9aが開放された立方形状の箱型をなしており、その上縁9aを取り囲むように溝部9bが形成されている。溝部9bの底面には、容器体9に貯留された水のオーバーフロー分を流出させる1個の溢水口9cが設けられる。この溢水口9cは、具体的には溝部9bの底面に穿設された孔部であるが、これ以外に溝部9bの外側壁が切り欠かれた切り欠きであっても良い。さらに、溝部9bには、溢水口9cと近接する位置の内側壁と、溢水口9cと対向する位置の内側壁にV字状の切り欠き9d,9dがそれぞれ設けられている。よって、水のオーバーフロー分は、主に切り欠き9d,9dから流出し、溝部9bを経由して溢水口9cへ流れ込んだ後、排水ホース9gを介して水面50(図1参照)へ排水される。
また、容器体9の底部には、水質センサー7の下方に排水孔9eが設けられる。よって、排水ポンプ10(図1参照)が作動すると、容器体9に貯留された水が排水孔9eを通過し、排水ホース10aを介して水面50へ排水される。
さらに、取水管2dの他端2E´は、容器体9の内部で開口するように、図示しない取付手段によって上縁9aに取り付けられる。そのため、水質センサー7が注入された水流による影響を受けるのを防止することを目的として、容器体9の内部には、水質センサー7と他端2E´の間に、仕切り板9fが容器体9の底部から間隔を空けて取り付けられている。
続いて、実施例1に係る環境モニタリングシステムの構成について、図3を用いながら詳細に説明する。図3は、実施例1に係る環境モニタリングシステムの構成図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
制御部4は、具体的にはパーソナルコンピュータであって、図3に示すように、水質センサー7や水中カメラ11a,11b等の各起動時刻の設定等をするための入力部4aと、水質センサー7による水質計測結果や空間センサー8による空間計測結果を取得して演算を行ったり、取水手段2や計測部3等の作動を制御したりするための中央処理ユニット(以下、CPUという。)4bと、上記水質計測結果や演算結果等を記憶する記憶部4cと、記憶した水質計測結果等や環境モニタリングシステム1の作動状況を表示する出力部4dと、CPU4bが計測部3の通信部5と双方向に無線通信をするための通信部4eを備える。このうち、入力部4aと出力部4dは、同一のモニター(図示せず)上に表示される。
また、計測部3は、通信部4eと双方向に無線通信をするための通信部5と、水質センサー7を備える。このうち、通信部5は、水質センサー7、空間センサー8とそれぞれ配線7A,8Aを介して双方向に有線通信可能である。また、通信部5は、水中カメラ11a,11bとも配線11Aを介して双方向に有線通信可能である。加えて、通信部5は、取水手段2のうちの取水弁2e〜2g及び取水ポンプ2hと配線2Aを介して一方向に有線通信可能であるとともに、排水ポンプ10と配線10Aを介して一方向に有線通信可能である。
よって、CPU4bと、取水弁2e〜2g及び取水ポンプ2hは、通信部4eと、通信部5と、配線2Aを介して一方向に通信可能に構成される。これにより、取水弁2e〜2g及び取水ポンプ2hの作動がCPU4bによって制御される。
また、CPU4bと、水質センサー7は、通信部4eと、通信部5と、配線7Aを介して双方向に通信可能に構成される。これにより、水質センサー7の作動がCPU4bによって制御されるとともに、水質センサー7による水質計測結果がCPU4bに送信される。
さらに、CPU4bと、排水ポンプ10は、通信部4eと、通信部5と、配線10Aを介して一方向に通信可能に構成される。これにより、排水ポンプ10の作動がCPU4bによって制御される。
続いて、CPU4bと、水中カメラ11a,11bは、通信部4eと、通信部5と、配線11Aを介して双方向に通信可能に構成される。これにより、水中カメラ11a,11bの作動がCPU4bによって制御されるとともに、水中カメラ11a,11bの画像がCPU4bに送信される。
そして、CPU4bと、空間センサー8は、通信部4eと、通信部5と、配線8Aを介して双方向に通信可能に構成される。これにより、CPU4bは、空間センサー8の作動を通信部4e,5による無線通信を介して制御するとともに空間センサー8が計測した空間ファクターからなる空間計測結果を無線通信を介して取得する。
さらに、実施例1に係る環境モニタリングシステムの作用について、図4を用いながら説明する。図4は、実施例1に係る環境モニタリングシステムの作用を説明するためのフロー図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4に示すように、上記構成の実施例に係る環境モニタリングシステム1においては、まず、ステップS1の1番目の取水弁開放工程において、制御部4のCPU4bが、通信部4e,5と、配線2Aを介し、取水弁2e〜2gのうち、1番目の取水弁2eを開放する。ここで、CPU4bは取水弁2e〜2gと取水弁番号n=1〜3をそれぞれ関連付けて認識していることで、取水弁2e〜2gのうちで取水が許可される一つを選択的に切り替え可能としている。
また、CPU4bは、取水弁2eを開放すると同時に、ステップS2の取水ポンプ作動工程において、取水弁取水ポンプ2hを作動させる。なお、取水弁2e〜2gは、それぞれ、5m、10m及び20mの水深に沈降されている取水口2a〜2cの下流に配設されているから、取水弁2eの開放で水深5mにおける水が取水弁2eから取水され、取水管2dを通過して計測槽6の容器体9へ注入される。これにより、水質センサー7は容器体9に貯留された水に浸漬される。このとき、容器体9から溢れ出た水のオーバーフロー分は、溝部9bに沿って流れ、溢水口9cへ流れ込んだ状態となる。
次いで、CPU4bが、通信部4e,5と、配線7Aを介し、ステップS3の水質センサー計測開始工程において、水質センサー7の計測を開始させる。水質センサー7は水質ファクターをそれぞれ計測した後、これらのデータをステップS4の水質計測結果送信工程において、水質計測結果として配線7Aと、通信部5, 4eを介しCPU4bへ無線送信する。すると、CPU4bは、水質計測結果を取得して記憶部4cへ格納すると同時に出力部4dに出力する。
続いて、CPU4bは、n=1における水質計測結果を取得すると、ステップS5の排水ポンプ作動工程において、排水ポンプ10を作動させる。すると、容器体9に貯留された水深5mにおける水が、水面50(図1参照)へ排出される。なお、排水ポンプ10は、図示しないフロートスイッチや水位センサー、一定時間が経過すると作動を停止するタイマー等のいずれかを備えることで、自動的に停止する。
その後、CPU4bは、取水弁番号nに1を加えて2とし、ステップS6の取水弁番号判断工程において、取水弁番号nが4であるか否かを判断する。nが4に達していない場合は、ステップS7の取水弁切替工程に進み、取水弁番号n(この場合n=2)に関連付けられた2番目の取水弁2fを開放する。そして、ステップS8の取水弁閉止工程において、1番目の取水弁2eを閉止する。以降、1番目の取水弁2eを開放させたときと同様に、n=2におけるステップS3の水質センサー計測開始工程と、ステップS4の水質計測結果送信工程を経ることで、CPU4bはn=2における水質計測結果を取得する。このように、水深10mに沈降された取水口2bからの取水に対応する水質センサー7の計測が完了すると、CPU4bは、ステップS5の排水ポンプ作動工程において、一旦停止していた排水ポンプ10を再度作動させる。
続いて、CPU4bは、取水弁番号nに1を加えて3とし、ステップS6の取水弁番号判断工程と、ステップS7の取水弁切替工程と、ステップS8の取水弁閉止工程を経由して、n=3に関連付けられた3番目の取水弁2gを開放すると同時に、2番目の取水弁2fを閉止する。そして、2番目の取水弁2fを開放させたときと同様に、n=3における水質計測結果を取得する。このように、水深20mに沈降された取水口2cからの取水に対応する水質センサー7の計測が完了すると、CPU4bは、ステップS5の排水ポンプ作動工程において、一旦停止していた排水ポンプ10を再度作動させる。
上記のように、CPU4bは、通信部4e,5による無線通信を介し、取水口2a〜2cのうちで取水が許可される取水口が切り替わる毎にステップS3の水質センサー計測開始工程での水質センサー7の計測を開始させる。また、CPU4bは、通信部4e,5による無線通信を介し、取水口2a〜2cのうちで取水が許可される取水口から供給される水に対応する水質センサー7の計測が完了する毎に排水ポンプ10を作動させる。なお、取水ポンプ2hは、取水口2a〜2cのうちのいずれかから取水が継続されている間はその作動も継続されるが、取水弁2e〜2gの切り替え時に一旦停止されても良い。
続いて、CPU4bは、取水弁番号nに1を加えて4とするから、ステップS6の取水弁番号判断工程において、取水弁番号nが4であると判断されて、ステップS9の取水弁閉止工程に進み、n=3に関連付けられた3番目の取水弁2gを閉止する。その後にCPU4bは、取水弁番号nを初期値(n=1)へリセットし、ステップS1の1番目の取水弁開放工程以降の工程を上記と同様に繰り返す。
次に、実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の入力部について図5を用いて説明する。図5は、実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の入力画面の一例である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については、図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5は、制御部4の入力部4aとして表示される画面の一例である。この画面には、向かって左側より、計測用筏に設置される水中カメラ11a,11b(図中表記カメラ1、カメラ2)と、空間センサー8の監視カメラ(図中表記監視カメラ1)と、水質センサー7(図中表記水質計)の稼働時間をそれぞれ設定可能な稼働時間設定画面が表示される。さらに、この画面には、例えば、所望の起動時刻や、水中カメラ11a,11bや監視カメラ等を自動的に起動させるためのタイマー機能の有効・無効が設定するための入力欄が表示される。
続いて、実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の出力部について図6乃至図8を用いて説明する。図6乃至図8は、それぞれ実施例1に係る環境モニタリングシステムを構成する制御部の出力画面の一例である。なお、図1乃至図5で示した構成要素については、図6乃至図8においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6は、制御部4の出力部4dとして表示される画面の一例であって、環境モニタリングシステム1の作動状況を示した管理画面である。この画面の向かって左半分は、現在時刻、その時刻の水質センサー7、空間センサー8、水中カメラ11a,11bの作動状況等が表示される。
また、画面の向かって右半分は、直近の水質センサー7の水質計測結果や、空間センサー8の空間計測結果等が表示される。
次に図7も、制御部4の出力部4dとして表示される画面の一例である。この画面には、CPU4bが約3分毎に取得した水質センサー7による水質計測結果と空間センサー8による空間計測結果が時間の経過を追って表示される。このうち、左から2列目の「水深」の値から分かるように、水深5m、10m、20mにおける水質計測結果が図4を用いて説明したとおりに繰り返し計測されている。また、空間計測結果もこれと同じタイミングで計測されている。
同様に図8も、制御部4の出力部4dとして表示される画面の一例である。この画面には、設定された起動時刻(図6参照)における水質計測結果(水深5,10,20mにおける水温と、溶存酸素量)及び空間計測結果(外気温)が、それぞれ時系列データとして折れ線グラフで表示されている。
以上、説明したように、環境モニタリングシステム1によれば、CPU4bは取水弁2e〜2gのうちで取水が許可される一つを選択的に切り替え可能とし、かつこの一つを開放すると同時に、取水弁取水ポンプ2hを作動させるので、水深毎の水を自動的に計測槽6へ貯留することができ、切り替え時の手間が掛からない。また、CPU4bは水質センサー7の計測を開始させ、水質センサー7は水質計測結果をCPU4bへ無線送信するので、異なる水深での水質を詳細に知ることができる。よって、養殖されている水産物が好む水質ファクターを有する水深を直ちに選んで、浮沈式生簀を選んだ水深に沈降又は浮上させることができる。
さらに、取水手段2においては、逆止弁2i〜2kから取水口2a〜2cまでの取水管2dの長さを変化させることにより、取水口2a〜2cをそれぞれ異なる水深に設置できるので、大掛かりな操作をすることなく水深毎の取水を実現可能である。なお、上記のように分岐した取水管2dの長さを変化させる方法としては、逆止弁2i〜2kの上流側で他の取水管に付け替えることが考えられる。
そして、計測槽6においては、水質センサー7は水が容器体9へ注入されることでこの水に浸漬されて計測を開始し、その後CPU4bが水質計測結果を取得すると、排水ポンプ10の作動により容器体9に貯留された水は水面50へ排出されるため、水質センサー7は計測時のみ水中に浸漬されることになる。すなわち、水質センサー7が常時水中に浸漬される場合と比較して、故障頻度を低くして製品寿命を延ばすことができる。
加えて、計測槽6においては、容器体9から溢れ出た水のオーバーフロー分は、溢水口9cへ流れ込み、かつ水質計測結果が取得される毎に容器体9に貯留された水が水面50へ排出されるため、精度の良好な水質計測結果をメンテナンスフリーで連続的に得ることが可能である。
また、環境モニタリングシステム1によれば、図7及び図8に示したように、水質計測結果と空間計測結果を表示できるので、これらの結果に基づいて最適な水深を決定できる。そのため、例えば、摂餌に適した水温や照度を有する水深に浮沈式生簀を移動させることができる。このほか、異常値を直ちに発見して水産物の健全な生育に不適な水域を特定できるため、魚病の発生や大量死を未然に防ぐことが可能となる。
本発明の第2の実施の形態に係る環境モニタリングシステムについて、図9,3,10を用いて詳細に説明する。図9は、実施例2に係る環境モニタリングシステムの外観図である。なお、図1乃至図8で示した構成要素については、図9においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9に示すように、実施例2に係る環境モニタリングシステム20は、実施例1に係る環境モニタリングシステム1(図1参照)に加えて、水産物を収容する網状の生簀21に浮力を付与するためのフロート22と、このフロート22の内部へ流体を給排して浮力の大きさを調整するための浮力調整用手段23と、生簀21の深度を計測する深度センサー24を備える。なお、本実施例で用いる「深度」は、生簀21が存在する深さを指し、実施例1で用いた「水深」は取水口2a〜2cが存在する深さを指す文言であるとして区別している。
このうち、生簀21は、複数の中空鋼管が立方形状をなすように組み立てられてなる生簀枠21aと、この生簀枠21aの間に貼設される網体21bと、生簀枠21aの周囲に取り付けられる略円柱状のフロート21cからなり、1対のブイ25a,25aが連結部25b,25bでそれぞれ連結されるとともに両端が図示しない方塊にそれぞれ連結される側ロープ25cと、一端が生簀枠21aに係止され他端が側ロープ25bに連結部25bで連結される伸縮ロープ25d,25dによって、潮流で流されないようにそれぞれ固定されている。
なお、伸縮ロープ25dを備えることで、生簀21の深度が浅い場合には伸縮ロープ25dが収縮して絡まり難くなるとともに、生簀21の深度を増大させて沈降させることが可能となる。また、実際には、4本の側ロープ25cが生簀枠21aの四辺を取り囲むようにして設置されるが、図では1本の側ロープ25cのみを表示し、残りは省略する。また、実際には4対のブイ25a,25aが設置されるが、図では1対のブイ25a,25aのみを表示し、残りは省略する。
また、浮力調整用手段23は、前述した計測用筏(図示せず)に積載されている。
よって、フロート22に流体を給排して浮力の大きさを変化させることにより、生簀21を上昇又は沈降させることができる。なお、図9には、生簀21が水面50に浮上した場合(生簀21)と、生簀21が水面50下にやや沈降した場合(生簀21*)と、生簀21が最も沈降した場合(生簀21**)、の3通りの状態を同時に示している。生簀21*と、生簀21**は、それぞれ生簀21とは異なる深度に沈降された状態を説明するための表記であって、それぞれの構成は生簀21と同一である。
生簀21を上昇又は沈降させるための浮力調整用手段23は、フロート22に給排路26を介して流体を給排する流体給排装置27と、フロート22と流体給排装置27の間において給排路26に接続されて流体の給排を切り替える弁装置28を備える。具体的には、流体給排装置27として空気ポンプが使用され、弁装置28として電磁弁が使用される。よって、本実施例の場合、使用される流体は空気である。なお、弁装置28は浮力調整用手段23の筐体内に収容されている。
さらに、実施例2に係る浮沈式生簀のより詳細な構成について、図3を用いて説明する。図3に示すように、環境モニタリングシステム20(図9参照)を構成する浮力調整用手段23は、計測部3の通信部5と配線23Aを介して一方向に有線通信可能である。よって、CPU4bと、流体給排装置27及び弁装置28は、通信部4eと、通信部5と、配線23Aを介して一方向に通信可能に構成される。これにより、流体給排装置27及び弁装置28の作動がCPU4bによって制御される。具体的には、CPU4bは、弁装置28の弁体の姿勢を変化させて給排路26を開通状態とした際に、流体給排装置27を稼働させてフロート22の内部へ給気またはフロート22の内部の空気を排気する。なお、これらの場合以外には、弁装置28は給排路26を開通させない。
また、環境モニタリングシステム20を構成する深度センサー24は、計測部3の通信部5と配線24Aを介して双方向に有線通信可能である。これにより、制御部4のCPU4bは、深度センサー24の作動を通信部4e,5による無線通信を介して制御するとともに深度センサー24が計測した深度からなる深度計測結果を無線通信を介して取得する。なお、CPU4bは、予め設定された時間間隔毎に、連続して深度センサー24を作動させているので、同様のタイミングで連続的に深度計測結果を取得する。
続いて、実施例2に係る環境モニタリングシステムの作用について、図10を用いながら説明する。図10は、実施例2に係る環境モニタリングシステムの作用を説明するためのフロー図である。なお、図1乃至図9で示した構成要素については、図10においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10に示すように、ステップS21の最適深度仮決定工程において、CPU4bが直近の水質計測結果に基づいて水産物の養殖に最も適した最適深度Dを仮決定する。この仮決定は、水質ファクターのうちの水温を仮決定のための指標として利用したものであって、CPU4bが取水口2cから取水された水の水質計測結果を取得する毎に1回目が開始される。すなわち、仮決定は、直近の3種類の深度d〜d毎の水質計測結果のうちで、その水産物の生育に最適な水温Tに最も近い値を示す深度dを選択するものである。
次に、ステップS22の比較工程において、CPU4bは、仮決定された深度dにおける水温以外の水質ファクター及び空間ファクターと、予め設定し記憶部4cに記憶されているそれぞれの適正値を比較する。比較の結果、水温以外の水質ファクター及び空間ファクターとそれぞれの適正値との差が許容範囲内であれば、仮決定された深度dを最適深度Dとして決定する(ステップS23の最適深度決定工程)。
一方、比較の結果、水温以外の水質ファクター及び空間ファクターとそれぞれの適正値との差が許容範囲内にない場合は、CPU4bはステップS21の最適深度仮決定工程に戻り、次に水温Tに近い値を示す深度dを選択し、ステップS22の比較工程に進む。以降、CPU4bはステップS23の最適深度決定工程に進んで最適深度Dをdに決定するか、又はステップ21の最適深度仮決定工程に戻り、2番目に水温Tに近い値を示す深度dを選択し、ステップ22の比較工程に進むことを繰り返す。
ただし、ステップ21の最適深度仮決定工程に戻った場合に、この工程の繰り返し回数が4回に達したときは、CPU4bはこれを認識してステップ22の比較工程に進むことなく、新たに水の水質計測結果を取得するのを待って、再度ステップS21の最適深度仮決定工程を開始させる。
また、CPU4bは、ステップ24の深度計測結果取得工程において、深度センサー24が計測した計測深度Dからなる深度計測結果を予め設定された時間間隔毎に連続的に取得している。よって、CPU4bは、ステップ25の深度比較工程において、決定した最適深度Dと、計測深度Dを比較する。その結果、(1)計測深度D>最適深度Dの場合、CPU4bは、ステップ26−1の浮力増加工程において浮力調整用手段23を作動させて、すなわち、弁装置28の弁体の姿勢を変化させて給排路26を開通状態とするとともに流体給排装置27を稼働させてフロート22の内部へ給気し、フロート22の浮力を増大させる。これにより、生簀21は浮上する。
また、(2)計測深度D<最適深度Dの場合、CPU4bは、ステップ26−2の浮力減少工程において弁装置28の弁体の姿勢を変化させて給排路26を開通状態とするとともに流体給排装置27を稼働させてフロート22の内部の空気を排気し、フロート22の浮力を減少させる。これにより、生簀21は沈降する。
あるいは、(3)計測深度D=最適深度Dの場合、CPU4bは、浮力調整用手段23を作動させない。これにより、生簀21の深度は変化しない。
その後、上記(1)〜(3)のいずれの場合においても、CPU4bは、ステップ24の深度計測結果取得工程に戻り、最新の計測深度Dを取得する。そのため、自動的にステップ25の深度比較工程が行われ、これに伴いフロート22の浮力が再度調整される。すなわち、CPU4bは、取得した計測深度Dが決定された最適深度Dと一致するように、浮力調整用手段23を連続的に作動させることになる。
以上説明したように、環境モニタリングシステム20によれば、環境モニタリングシステム1の効果に加えて、CPU4bは、取得した計測深度Dが決定された最適深度Dと一致するように、浮力調整用手段23を連続的に作動させることができるので、生簀21が沈降されている現実の深度を最適深度Dに自動的に一致させることができる。したがって、生簀21を目的の深度に正確かつ何ら手動によることなく設置することができる。
なお、本発明に係る環境モニタリングシステムは、実施例1に示すものに限定されない。例えば、環境モニタリングシステム1の取水手段2において、取水弁2e〜2gがそれぞれ取水口2a〜2cの下流にそれぞれ設けられる代わりに、1台の電動三方弁が取水管2dの合流部2Jと取水ポンプ2hの間に設置されても良い。また、1台の取水ポンプ2hが設けられる代わりに、3台の取水ポンプが、合流部2Jと取水弁2e〜2gの間に設置されても良い。さらに、取水口は、3個以外の複数個が沈降されても良い。このほか、水質ファクターの項目群は、必ずしもすべて計測される必要はなく、空間ファクターの外気温と照度はいずれか一方が計測されても良いほか、外気温と照度のいずれもが計測されなくても良い。
そして、環境モニタリングシステム20は、実施例2に示すものに限定されない。例えば、フロート22は、細長のチューブ形状をなして、複数の生簀枠21aに挟まれるように設置されたり、生簀枠21aの中空部に挿入されたりしても良い。また、伸縮ロープ25dの代わりに、伸縮性を有しないロープが使用されても良い。
本発明は、環境モニタリングシステムおよびこれを備えた浮沈式生簀として利用可能である。
1…環境モニタリングシステム 2…取水手段 2A…配線 2a〜2c…取水口 2d…取水管 2E…一端 2E´…他端 2J…合流部 2e〜2g…取水弁 2h…取水ポンプ 2i〜2k…逆止弁 3…計測部 4…制御部 4a…入力部 4b…CPU 4c…記憶部 4d…出力部 4e…通信部 5…通信部 6…計測槽 7…水質センサー 7A…配線 8…空間センサー 8A…配線 9…容器体 9a…上縁 9b…溝部 9c…溢水口 9d…切り欠き 9e…排水孔 9f…仕切り板 9g…排水ホース 10…排水ポンプ 10A…配線 10a…排水ホース 11a,11b…水中カメラ 11A…配線 20…環境モニタリングシステム 21…生簀 21a…生簀枠 21b…網体 21c,22…フロート 23…浮力調整用手段 23A…配線 24…深度センサー 24A…配線 25a…ブイ 25b…連結部 25c…側ロープ 25d…伸縮ロープ 26…給排路 27…流体給排装置 28…弁装置 50…水面

Claims (6)

  1. 水産物を養殖する浮沈式生簀が設置される環境を監視するための環境モニタリングシステムであって、
    前記浮沈式生簀が設置される水域の水を取水する取水手段と、
    この取水手段から取水された前記水の水質を表す水質ファクターを計測する計測部と、
    前記取水手段の作動及び前記計測部の作動を無線通信を介して制御するとともに、前記計測部が計測した前記水質ファクターからなる水質計測結果を前記無線通信を介して取得する制御部を備え、
    前記取水手段は、複数の取水口と、この複数の取水口からそれぞれ取水された前記水を前記計測部に送水する取水管と、この取水管の途中において複数の前記取水口の下流側に配設され、複数の前記取水口のうちで取水が許可される一つを選択的に切り替える取水弁と、前記取水管の途中において前記取水弁の下流側に配設される取水ポンプを備え、
    前記計測部は、前記取水管から送水された前記水を貯留する計測槽と、この計測槽に貯留された前記水の中に浸漬されて前記水質ファクターを計測する水質センサーを備え、
    前記制御部は、前記無線通信を介し、複数の前記取水口のうちで取水が許可される前記取水口が切り替わる毎に前記水質センサーの計測を開始させることを特徴とする環境モニタリングシステム。
  2. 前記計測槽は、前記取水管から送水された前記水を貯留する容器体と、この容器体に貯留された前記水を排水する排水ポンプを備え、
    前記容器体は、その上縁寄りに、前記容器体に貯留された前記水のオーバーフロー分を流出させる溢水口が設けられ、
    前記制御部は、前記無線通信を介し、複数の前記取水口のうちで取水が許可される前記取水口から供給される前記水に対応する前記水質センサーの計測が完了する毎に前記排水ポンプを作動させることを特徴とする請求項1に記載の環境モニタリングシステム。
  3. 複数の前記取水口は、それぞれ異なる水深に沈降されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環境モニタリングシステム。
  4. 前記浮沈式生簀が設置される前記水域の周囲に広がる空間の性質を表す空間ファクターを計測する空間センサーを備え、
    前記制御部は、前記空間センサーの作動を前記無線通信を介して制御するとともに前記空間センサーが計測した前記空間ファクターからなる空間計測結果を前記無線通信を介して取得することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の環境モニタリングシステム。
  5. 前記水質ファクターは、溶存酸素量、pH、塩分濃度、電気伝導度、濁度、全溶固形物量及び比重からなる項目群から選択される少なくとも一つと、水温であり、
    前記空間ファクターは、外気温及び照度の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の環境モニタリングシステム。
  6. 前記水産物を収容する網状の生簀に浮力を付与するためのフロートと、このフロートの内部へ流体を給排して前記浮力の大きさを調整するための浮力調整用手段と、前記生簀の深度を計測する深度センサーを備え、
    前記浮力調整用手段は、前記フロートに給排路を介して前記流体を給排する流体給排装置と、前記フロートと前記流体給排装置の間において前記給排路に接続されて前記流体の給排を切り替える弁装置を備え、
    前記制御部は、取得した前記水質計測結果に基づいて前記水産物の養殖に最も適した最適深度を決定し、前記深度センサーの作動を前記無線通信を介して制御するとともに前記深度センサーが計測した前記深度からなる深度計測結果を前記無線通信を介して取得し、取得した前記深度計測結果が決定された前記最適深度と一致するように、前記浮力調整用手段を作動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の環境モニタリングシステム。
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